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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-27
(45)【発行日】2023-04-04
(54)【発明の名称】同軸コネクタ装置
(51)【国際特許分類】
   H01R 24/50 20110101AFI20230328BHJP
   H01R 13/6585 20110101ALI20230328BHJP
【FI】
H01R24/50
H01R13/6585
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020553438
(86)(22)【出願日】2019-10-23
(86)【国際出願番号】 JP2019041569
(87)【国際公開番号】W WO2020085398
(87)【国際公開日】2020-04-30
【審査請求日】2021-04-19
(31)【優先権主張番号】P 2018201507
(32)【優先日】2018-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】592028846
【氏名又は名称】I-PEX株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100145012
【弁理士】
【氏名又は名称】石坂 泰紀
(74)【代理人】
【識別番号】100171099
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】中川 友太
【審査官】濱田 莉菜子
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-278007(JP,A)
【文献】特開平06-052936(JP,A)
【文献】特開2012-099299(JP,A)
【文献】特開2018-116925(JP,A)
【文献】特開平08-241762(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 24/00-24/86
H01R 13/6585
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板の面上に配される絶縁基体と、
各々が、上記絶縁基体に組み付けられ、相手方コネクタ装置における信号用コンタクト部材が接触するものとされた接触部、及び、上記回路基板に配された信号端子部に接続される信号用接続部が設けられたものとされる第1及び第2の信号用接続コンタクト部材と、
上記絶縁基体に組み付けられ、上記第1及び第2の信号用接続コンタクト部材の夫々における接触部の両方を包囲して配されて相手方コネクタ装置における接地用コンタクト部材が接触するものとされた包囲接触部、及び、上記回路基板に配された接地端子部に接続される接地用接続部が設けられた接地用接続コンタクト部材と、
上記包囲接触部の内側において、上記第1の信号用接続コンタクト部材における接触部と上記第2の信号用接続コンタクト部材における接触部とにより挟まれて配され、接地電位が与えられる導電性仕切り壁部材と、
を備えて構成され
上記導電性仕切り壁部材が、上記絶縁基体を貫通して伸びて上記回路基板に配された接地端子部に接続される基板接続部が設けられたものとされること、を特徴とする同軸コネクタ装置。
【請求項2】
上記導電性仕切り壁部材が、上記接地用接続コンタクト部材と一体的に構成されていることを特徴とする請求項1記載の同軸コネクタ装置。
【請求項3】
上記導電性仕切り壁部材が、上記接地用接続コンタクト部材における包囲接触部の一部分から屈曲して伸びていることを特徴とする請求項記載の同軸コネクタ装置。
【請求項4】
上記導電性仕切り壁部材が、上記相手方コネクタ装置の接地用コンタクト部材に係合する係合接続部が設けられたものとされることを特徴とする請求項1記載の同軸コネクタ装置。
【請求項5】
上記接地用接続コンタクト部材における包囲接触部の一部分と上記導電性仕切り壁部材とが、上記第1の信号用接続コンタクト部材における接触部を囲み、他の信号用接続コンタクト部材における接触部を囲まない第1の導電性隔壁部を成す、請求項1記載の同軸コネクタ装置。
【請求項6】
上記接地用接続コンタクト部材における包囲接触部の一部分と上記導電性仕切り壁部材とが、上記第1の信号用接続コンタクト部材における接触部を囲み、他の信号用接続コンタクト部材における接触部を囲まない第1の導電性隔壁部を成し、上記接地用接続コンタクト部材における包囲接触部の他の一部分と上記導電性仕切り壁部材とが、上記第2の信号用接続コンタクト部材における接触部を囲み、他の信号用接続コンタクト部材における接触部を囲まない第2の導電性隔壁部を成すことを特徴とする請求項1記載の同軸コネクタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の特許請求の範囲に記載された発明は、回路基板に取り付けられて複数の同軸ケーブルが接続された相手方同軸コネクタ装置が嵌合連結されるものとされ、当該複数の同軸ケーブルを回路基板に電気的に接続されたものとなす同軸コネクタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の電気部品,電気装置あるいは電子機器間等における高周波信号の伝送には、外部ノイズの影響を受け難い信号伝送路を形成する、中心導体とそれを内部絶縁体を介して包囲する外側導体とが外部絶縁体により被覆されて成る同軸ケーブルが用いられることが多い。例えば、同軸ケーブルが高周波信号を扱う回路基板に連結されて、当該回路基板からその外部への同軸ケーブルを通じた高周波信号の伝送、あるいは、当該回路基板への外部からの高周波信号の同軸ケーブルを通じた伝送が行われる。
【0003】
同軸ケーブルが回路基板に連結される際には、例えば、ケーブル側同軸コネクタ装置が同軸ケーブルの一端に装着され、そのケーブル側同軸コネクタ装置が、回路基板に取り付けられた基板側同軸コネクタ装置に嵌合連結される状態がとられる。ケーブル側同軸コネクタ装置は、同軸ケーブルの中心導体が接続される信号用コンタクトと、同軸ケーブルの外側導体が接続される接地用コンタクトとを備える。基板側同軸コネクタ装置は、回路基板において扱われる高周波信号が供給される信号用接続コンタクトと、信号用接続コンタクトを包囲して配されて接地電位が与えられる環状接地用接続コンタクトとを備える。このようなケーブル側同軸コネクタ装置の基板側同軸コネクタ装置との嵌合連結は、例えば、ケーブル側同軸コネクタ装置の接地用コンタクトが基板側同軸コネクタ装置の環状接地用接続コンタクトに嵌合接触接続されるもとで、ケーブル側同軸コネクタ装置の信号用コンタクトが基板側同軸コネクタ装置の信号用接続コンタクトに接触接続される状態がとられて行われる。
【0004】
斯かるケーブル側同軸コネクタ装置の基板側同軸コネクタ装置との嵌合連結が行われるにあたっては、回路基板の部品等搭載面に取り付けられた基板側同軸コネクタ装置が、例えば、それにおける信号用接続コンタクトと環状接地用接続コンタクトとを回路基板における部品等搭載面の上方に向かわせるものとされ、その基板側同軸コネクタ装置に対して、同軸ケーブルの一端に装着されたケーブル側同軸コネクタ装置が、回路基板における部品等搭載面の上方からその部品等搭載面に向かう方向をもって係合せしめられて、ケーブル側同軸コネクタ装置の接地用コンタクトが基板側同軸コネクタ装置の環状接地用接続コンタクトに嵌合接触接続されるとともに、ケーブル側同軸コネクタ装置の信号用コンタクトが基板側同軸コネクタ装置の信号用接続コンタクトに接触接続される。従って、基板側同軸コネクタ装置は、回路基板における部品等搭載面において所定の占有面積を占めるものとして配され、それに嵌合連結されたケーブル側同軸コネクタ装置は回路基板における部品等搭載面から突出するものとなる。
【0005】
上述のようにして、ケーブル側同軸コネクタ装置と基板側同軸コネクタ装置とが用いられて同軸ケーブルが回路基板に連結されるにあたっては、回路基板に複数の同軸ケーブルが連結されることが必要とされることも少なくない。斯かる際には、複数の同軸ケーブルの回路基板に対する連結に要されるコネクタ装置についての回路基板の部品等搭載面における占有面積をできるだけ制限したもとで、複数の同軸ケーブルの夫々が回路基板に確実に連結されることが望まれることになる。
【0006】
そこで、従来においては、回路基板における部品等搭載面に配される基板側同軸コネクタ装置を、二つの信号用接続コンタクトを共通の絶縁基体に組み付け、それらの夫々における接触部を共通の絶縁基体に組み付けた共通の接地用接続コンタクトで包囲するようにしたものとなすことにより、二つの同軸ケーブルを回路基板に電気的に連結するに用いられる基板側同軸コネクタ装置について、その回路基板の部品等搭載面における占有面積を低減させようとしたものが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0007】
特許文献1に開示されている基板側同軸コネクタ装置(レセプタクル部材(41)) は、回路基板の部品等搭載面に実装されるものとされており、斯かる基板側同軸コネクタ装置にあっては、第1の信号用接続コンタクト(レセプタクル中心コンタクト(46))と第2の信号用接続コンタクト(レセプタクル中心コンタクト(47))とが、共通の絶縁基体(レセプタクルインシュレータ(45))に取り付けられており、第1の信号用接続コンタクトにおける、相手方同軸コネクタ装置(プラグ型コネクタ)の信号用コンタクトが接触する第1の接触部(レセプタクル中心コンタクト接触部(50)) と、第2の信号用接続コンタクトにおける、相手方同軸コネクタ装置(プラグ型コネクタ)の信号用コンタクトが接触する第2の接触部(レセプタクル中心コンタクト接触部(53)) との夫々が、共通の接地用接続コンタクト(レセプタクル外部コンタクト(44)) によって包囲されている。そして、共通の絶縁基体と第1の信号用接続コンタクトと共通の接地用接続コンタクトとによって、実質的に第1のリセプタクルコネクタ(第1のレセプタクル(42))が構成されており、また、共通の絶縁基体と第2の信号用接続コンタクトと共通の接地用接続コンタクトとによって、実質的に第2のリセプタクルコネクタ(第2のレセプタクル(43))が構成されている。
【0008】
このような特許文献1に開示されている基板側同軸コネクタ装置においては、第1のリセプタクルコネクタと第2のリセプタクルコネクタとが、二つの同軸ケーブルの回路基板に対する電気的連結に夫々供されるものとされる。斯かるもとで、第1のリセプタクルコネクタと第2のリセプタクルコネクタとの夫々が、共通の絶縁基体と共通の接地用接続コンタクトが用いられて構成されることにより、第1の信号用接続コンタクトにおける第1の接触部と第2の信号用接続コンタクトにおける第2の接触部とが、小間隔をおいて相互近接して配されるものとされ、それにより、基板側同軸コネクタ装置の回路基板上の占有面積の低減が図られることが期待される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2012-99299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述された、従来提案されている基板側同軸コネクタ装置では、第1及び第2の信号用接続コンタクトを共通の絶縁基体に組み付け、それらが夫々備える第1及び第2の接触部を共通の絶縁基体に組み付けた共通の接地用接続コンタクトで包囲するようにして構成されて回路基板の部品等搭載面に配される。この基板側同軸コネクタ装置にあっては、第1の信号用接続コンタクトにおける第1の接触部と第2の信号用接続コンタクトにおける第2の接触部とが小間隔をおいて相互近接して配されるものとされる。それにより、第1の信号用接続コンタクトにおける第1の接触部を通じて伝送される高周波信号及び第2の信号用接続コンタクトにおける第2の接触部を通じて伝送される高周波信号についての伝送特性に劣化がもたらされるという不都合が生じる虞がある。即ち、例えば、第1の信号用接続コンタクトにおける第1の接触部を通じて伝送される高周波信号が、第2の信号用接続コンタクトにおける第2の接触部を通じて伝送される高周波信号にクロストークノイズとして混入するとともに、第2の信号用接続コンタクトにおける第2の信号用接続コンタクトを通じて伝送される高周波信号が、第1の信号用接続コンタクトにおける第1の接触部を通じて伝送される高周波信号にクロストークノイズとして混入するという、クロストーク障害を生じる虞があるのである。
【0011】
斯かる点に鑑み、本願の特許請求の範囲に記載された発明は、回路基板の部品等搭載面に取り付けられて、複数の同軸ケーブルが接続されたケーブル側同軸コネクタ装置が嵌合連結される基板側同軸コネクタ装置を成すにあたり、回路基板の部品等搭載面における占有面積の低減を図ることができ、しかも、それを通じて伝送される高周波信号についての伝送特性に劣化がもたらされる事態を回避することができる同軸コネクタ装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願の特許請求の範囲における請求項のいずれかに記載された発明(以下、本願発明という。)に係る同軸コネクタ装置は、回路基板の面上に配される絶縁基体と、各々が、絶縁基体に組み付けられ、相手方コネクタ装置における信号用コンタクト部材が接触するものとされた接触部、及び、回路基板に配された信号端子部に接続される信号用接続部が設けられたものとされる第1及び第2の信号用接続コンタクト部材と、絶縁基体に組み付けられ、第1及び第2の信号用接続コンタクト部材の夫々における接触部を包囲して配されて相手方コネクタ装置における接地用コンタクト部材が接触するものとされた包囲接触部、及び、回路基板に配された接地端子部に接続される接地用接続部が設けられた接地用接続コンタクト部材と、第1の信号用接続コンタクト部材における接触部と第2の信号用接続コンタクト部材における接触部とにより挟まれて配され、接地電位が与えられる導電性仕切り壁部材と、を備えて構成される。
【0013】
上述の本願発明に係る同軸コネクタ装置にあっては、回路基板の面上に配される絶縁基体に、各々が接触部を有するものとされた第1及び第2の信号用接続コンタクト部材、及び、第1の信号用接続コンタクト部材における接触部と第2の信号用接続コンタクト部材における接触部とを包囲して配される包囲接触部を有するものとされた接地用接続コンタクト部材が取り付けられ、さらに、第1の信号用接続コンタクト部材における接触部と第2の信号用接続コンタクト部材における包囲接触部とにより挟まれて配され、接地電位が与えられる導電性仕切り壁部材が備えられている。斯かるもとで、接地用接続コンタクト部材における包囲接触部は、第1の信号用接続コンタクト部材における接触部と第2の信号用接続コンタクト部材における接触部とに対して共通のものとして、それらを包囲している。そして、共通の包囲接触部により包囲された第1の信号用接続コンタクト部材における接触部と第2の信号用接続コンタクト部材における接触部とは、絶縁基体上において、小間隔をおいて相互近接して配されたものとされる。また、接地電位が与えられる導電性仕切り壁部材は、第1の信号用接続コンタクト部材における接触部と第2の信号用接続コンタクト部材における接触部との間の小間隔内に配されたものとされる。
【0014】
それにより、絶縁基体上において、接地用接続コンタクト部材における包囲接触部の一部分と導電性仕切り壁部材とが、第1の信号用接続コンタクト部材における接触部を包囲する第1の導電性隔壁部を成し、接地用接続コンタクト部材における包囲接触部の他の一部分と導電性仕切り壁部材とが、第2の信号用接続コンタクト部材における接触部を包囲する第2の導電性隔壁部を成すものとされる。
【0015】
このようなもとで、導電性仕切り壁部材は、例えば、絶縁基体を貫通して伸びて回路基板に配された接地端子部に接続される基板接続部が設けられたものとされ、また、接地用接続コンタクト部材における包囲接触部の一部分から屈曲して伸びるものとして、接地用接続コンタクト部材と一体的に構成されたものとされる。
【発明の効果】
【0016】
上述のような本願発明に係る同軸コネクタ装置によれば、接地用接続コンタクト部材における包囲接触部により共通に包囲される第1の信号用接続コンタクト部材の接触部と第2の信号用接続コンタクト部材の接触部とが、回路基板の面上に配される絶縁基体上において小間隔をおいて相互近接して配されたものとされることにより、絶縁基体の面積の低減が図られ、それに伴って、絶縁基体が配される回路基板の面における同軸コネクタ装置についての占有面積の低減を図ることができる。そして、それに加えて、接地電位が与えられる導電性仕切り壁部材が、第1の信号用接続コンタクト部材における接触部と第2の信号用接続コンタクト部材における接触部との間の小間隔内に配されるので、第1の信号用接続コンタクト部材における接触部と第2の信号用接続コンタクト部材における接触部とが、接地電位が与えられた導電性仕切り壁部材によって相互に電磁的に遮蔽されることになり、それにより、第1の信号用接続コンタクト部材における接触部を通じて伝送される高周波信号の、第2の信号用接続コンタクト部材における接触部を通じて伝送される高周波信号へのクロストークノイズとしての混入、及び、第2の信号用接続コンタクト部材における接触部を通じて伝送される高周波信号の、第1の信号用接続コンタクト部材における接触部を通じて伝送される高周波信号へのクロストークノイズとしての混入が抑制されて、その結果、第1の信号用接続コンタクト部材における接触部及び第2の信号用接続コンタクト部材における接触部の夫々を通じて伝送される高周波信号についての伝送特性に劣化がもたらされる事態を回避することができることになる。
【0017】
また、本願発明に係る同軸コネクタ装置において、導電性仕切り壁部材が、絶縁基体を貫通して伸びて回路基板に配された接地端子部に接続される基板接続部が設けられたものとされる場合には、導電性仕切り壁部材に対する回路基板からの接地電位の印加が容易に行われるとともに、絶縁基体を介在させた導電性仕切り壁部材の回路基板に対する設置が、堅固になされることになる。
【0018】
さらに、本願発明に係る同軸コネクタ装置において、導電性仕切り壁部材が、接地用接続コンタクト部材における包囲接触部の一部分から屈曲して伸びるものとして、接地用接続コンタクト部材と一体的に構成されたものとされる場合には、構成部品点数の低減を図ることができて構成を簡略化することができるとともに、絶縁基体における導電性仕切り壁部材の配置を堅固に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本願発明に係る同軸コネクタ装置の一例を示す上方から見下ろした斜視図である。
図2】本願発明に係る同軸コネクタ装置の一例を示す平面図である。
図3】本願発明に係る同軸コネクタ装置の一例を示す下方から見上げた斜視図である。
図4】本願発明に係る同軸コネクタ装置の一例が備える接地用接続コンタクト部材を示す斜視図である。
図5】本願発明に係る同軸コネクタ装置の一例に嵌合連結される相手方同軸コネクタ装置をそれに接続された複数の同軸ケーブルと共に示す上面側から見た斜視図である。
図6】本願発明に係る同軸コネクタ装置の一例に嵌合連結される相手方同軸コネクタ装置をそれに接続された複数の同軸ケーブルと共に示す底面側から見た斜視図である。
図7】本願発明に係る同軸コネクタ装置の一例に嵌合連結される相手方同軸コネクタ装置が備える接地用コンタクト部材を示す斜視図である。
図8】本願発明に係る同軸コネクタ装置の一例に嵌合連結される相手方同軸コネクタ装置に複数の同軸ケーブルが接続される過程を示す斜視図である。
図9】回路基板に取り付けられた本願発明に係る同軸コネクタ装置の一例に対して、複数の同軸ケーブルが接続された相手方同軸コネクタ装置が対向配置された状態を示す斜視図である。
図10】回路基板に取り付けられた本願発明に係る同軸コネクタ装置の一例に、複数の同軸ケーブルが接続された相手方同軸コネクタ装置が嵌合連結された状態を示す斜視図である。
図11】本願発明に係る同軸コネクタ装置の一例に、複数の同軸ケーブルが接続された相手方同軸コネクタ装置が嵌合連結された状態を示す平面図である。
図12】本願発明に係る同軸コネクタ装置の一例に、複数の同軸ケーブルが接続された相手方同軸コネクタ装置が嵌合連結された状態を示す側面図である。
図13図11におけるXIII-XIII線断面を示す断面図である。
図14図11における XIV-XIV 線断面を示す断面図である。
図15図12におけるXV-XV線断面を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本願発明を実施するための形態は、以下に述べられる本願発明についての実施例をもって説明される。
[実施例]
【0021】
図1図2及び図3は、本願発明に係る同軸コネクタ装置の一例を示す。
【0022】
図1図2及び図3に示される本願発明に係る同軸コネクタ装置の一例を成す同軸コネクタ装置10は、複数の同軸ケーブルが接続された相手方同軸コネクタ装置を成すケーブル側同軸コネクタ装置が嵌合連結される基板側同軸コネクタ装置を成すものとされている。そして、同軸コネクタ装置10は、図1図2及び図3においては図示が省略されているが後述される図9及び図10に示されている回路基板11の部品等搭載面11aに固定されて、実際の使用に供される。
【0023】
同軸コネクタ装置10は、絶縁基体13と、第1の信号用接続コンタクト部材16と、第2の信号用接続コンタクト部材19とを備えている。絶縁基体13は、合成樹脂材等の絶縁材料により平板状に形成されて、回路基板11の部品等搭載面11aに配される。第1の信号用接続コンタクト部材16は、金属材料によって形成されて絶縁基体13に組み付けられ、絶縁基体13から突出して相手方同軸コネクタ装置における同軸ケーブルの中心導体に接続された信号用コンタクト部材が接触するものとされた接触部14、及び、接触部14から絶縁基体13の外部へと伸びて、回路基板11の部品等搭載面11aに配された信号端子に接続される信号用接続部15が設けられたものとされる。第2の信号用接続コンタクト部材19は、同じく金属材料によって形成されて絶縁基体13に組み付けられ、絶縁基体13から突出して相手方同軸コネクタ装置における同軸ケーブルの中心導体に接続された信号用コンタクト部材が接触するものとされた接触部17、及び、接触部17から絶縁基体13の外部へと伸びて、回路基板11の部品等搭載面11aに配された信号端子部に接続される信号用接続部18が設けられたものとされる。第1の信号用接続コンタクト部材16における接触部14と第2の信号用接続コンタクト部材19における接触部17とは、絶縁基体13上に比較的小なる間隔、即ち、小間隔をおいて相互対向するものとして配置されている。
【0024】
また、同軸コネクタ装置10は、包囲接触部20と、接地用接続コンタクト部材22と、導電性仕切り壁部材23とを備えている。包囲接触部20は、金属材料によって形成されて絶縁基体13に組み付けられ、第1の信号用接続コンタクト部材16における接触部14と第2の信号用接続コンタクト部材19における接触部17とを包囲して配されて、相手方同軸コネクタ装置における同軸ケーブルの外側導体に接続された接地用コンタクト部材が接触するものとされる。接地用接続コンタクト部材22は、包囲接触部20から絶縁基体13の外部へと伸びて、回路基板11の部品等搭載面11aに配された接地端子部に接続される接地用接続部21が設けられたものとされる。導電性仕切り壁部材23は、絶縁基体13に設けられた一対の突出支持部13aによって支持されて、第1の信号用接続コンタクト部材16における接触部14と第2の信号用接続コンタクト部材19における接触部17とに挟まれて配され、接地電位が与えられるものとされる。斯かるもとで、導電性仕切り壁部材23は、絶縁基体13における第1の信号用接続コンタクト部材16における接触部14と第2の信号用接続コンタクト部材19における接触部17との間の小間隔内に配されていることになり、それにより、第1の信号用接続コンタクト部材16における接触部14と第2の信号用接続コンタクト部材19における接触部17とが、接地電位が与えられるものとされた導電性仕切り壁部材23によって相互に電磁遮蔽されたものとされる。導電性仕切り壁部材23は、必ずしも一重の壁部材に限られない。導電性仕切り壁部材23は、接触部14と接触部17との間に多重に配置された複数の壁部材により構成されていてもよい。この場合、複数の壁部材同士の間に隙間があってもよい。
【0025】
このようにして、同軸コネクタ装置10は、絶縁基体13と、接触部14を有する第1の信号用接続コンタクト部材16と、接触部17を有する第2の信号用接続コンタクト部材19と、接地用接続コンタクト部材22と、第1の信号用接続コンタクト部材16における接触部14と第2の信号用接続コンタクト部材19における接触部17とに挟まれて配されて、接地電位が与えられる導電性仕切り壁部材23と、を備えて構成されているのである。そして、絶縁基体13上において、接地用接続コンタクト部材22における包囲接触部20の一部分と導電性仕切り壁部材23とが、第1の信号用接続コンタクト部材16における接触部14を包囲する第1の導電性隔壁部を成し、接地用接続コンタクト部材22における包囲接触部20の他の一部分と導電性仕切り壁部材23とが、第2の信号用接続コンタクト部材19における接触部17を包囲する第2の導電性隔壁部を成している。ここでの包囲とは、図2に示されるように、導電性部分と導電性部分との間(例えば導電性仕切り壁部材23と包囲接触部20との間)に隙間を持って包囲する場合を含む。
【0026】
以上の構成に示されるように、「同軸コネクタ」とは、1つの信号用接続コンタクト部材と、その信号用接続コンタクト部材の接触部を包囲して他の信号用接続コンタクト部材の接触部を包囲しない1つの導電性隔壁部と、の組み合わせ(以下、「同軸組み合わせ」という。)を少なくとも1組有しているコネクタを意味する。本実施形態の同軸コネクタ装置10は、同軸組み合わせを2組有している。なお、同軸組み合わせにおいて、接触部の中心軸と導電性隔壁部の中心軸とは必ずしも一致していなくてもよく、少なくとも接触部の中心軸が導電性隔壁部の中心軸の近傍に位置していればよい。近傍に位置するとは、接触部の中心軸と導電性隔壁部との間隔の最小値に比較して、接触部の中心軸と導電性隔壁部の中心軸との間隔が小さいことを意味する。
【0027】
図4は、接地用接続コンタクト部材22の具体的構成例を示す。図4に示される接地用接続コンタクト部材22にあっては、全体が、金属板材に打抜き・押圧・屈曲加工が施されて形成されている。そして、第1の信号用接続コンタクト部材16における接触部14と第2の信号用接続コンタクト部材19における接触部17とを包囲する状態をとる包囲接触部20が、矩形状環状体を成すものとされていて、包囲接触部20からは、複数の接地用接続部21が屈曲して伸びている。また、包囲接触部20の一部分から、導電性仕切り壁部材23が、包囲接触部20が形成する矩形状環状体の内側へ当該矩形状環状体を二分するように屈曲して伸びており、斯かる導電性仕切り壁部材23は、包囲接触部20の一部を成すものとして、接地用接続コンタクト部材22と一体的に構成されたものとされていることになる。
【0028】
図1及び図2に示されるように、導電性仕切り壁部材23には、その一端部分に、相手方同軸コネクタ装置の接地用コンタクト部材が係合する状態をとる係合接続部23aが設けられている。さらに、図3に示されるように、導電性仕切り壁部材23には、係合接続部23aが設けられた一端部分とは反対側の他端部分に、絶縁基体13に設けられた透孔24を通じて絶縁基体13を貫通して伸びる基板接続部23bが設けられていて、基板接続部23bは回路基板11の部品等搭載面11aに配された接地端子部に接続される。
【0029】
上述の同軸コネクタ装置10にあっては、導電性仕切り壁部材23が接地用接続コンタクト部材22と一体的に構成されたものとされているが、本願発明に係る同軸コネクタ装置においては、必ずしも導電性仕切り壁部材23が接地用接続コンタクト部材22と一体的に構成されたものとされる必要はなく、導電性仕切り壁部材23が接地用接続コンタクト部材22とは別体のものとして構成されてもよい。その際には、導電性仕切り壁部材23から絶縁基体13に設けられた透孔24を通じて絶縁基体13を貫通して伸びる基板接続部23bが設けられて、その基板接続部23bが回路基板11の部品等搭載面11aに配された接地端子部に接続されることにより、導電性仕切り壁部材23に対する回路基板11からの接地電位の印加が容易に行われるとともに、絶縁基体13を介在させた導電性仕切り壁部材23の回路基板11に対する設置が堅固になされることになる。なお、上述の同軸コネクタ装置10に見られるように、導電性仕切り壁部材23が接地用接続コンタクト部材22と一体的に構成されたものとされたもとにあっては、構成部品点数の低減を図ることができて構成を簡略化することができるとともに、絶縁基体13における導電性仕切り壁部材23の配置を堅固に行うことができるという利点が得られる。
【0030】
図5及び図6は、同軸コネクタ装置10に嵌合連結される相手方同軸コネクタ装置の一例を成すケーブル側同軸コネクタ装置30を、それに接続された二つの同軸ケーブル31A及び31Bの夫々の一部分と共に示す。
【0031】
図5及び図6に示されるケーブル側同軸コネクタ装置30は、主要構成要素として、第1の信号用コンタクト部材33Aと、第2の信号用コンタクト部材33Bと、接地用コンタクト部材35と、絶縁ハウジング36とを備えている。第1の信号用コンタクト部材33Aは、導電性材料により形成されて、同軸ケーブル31Aの中心導体32Aとの電気的な接続がなされる。第2の信号用コンタクト部材33Bは、導電性材料により形成されて、同軸ケーブル31Bの中心導体32Bとの電気的な接続がなされる。接地用コンタクト部材35は、導電性材料により形成されて、同軸ケーブル31Aの外側導体34A及び同軸ケーブル31Bの外側導体34Bの夫々との電気的な接続がなされて接地電位が与えられる。絶縁ハウジング36は、合成樹脂材等の絶縁材料により形成されて、第1の信号用コンタクト部材33A,第2の信号用コンタクト部材33B及び接地用コンタクト部材35を相互絶縁状態をもって支持する。斯かるもとで、同軸ケーブル31Aは、その中心導体32Aが第1の信号用コンタクト部材33Aに接続されるとともに、その外側導体34Aが接地用コンタクト部材35に接続されてケーブル側同軸コネクタ装置30に接続されたものとされ、また、同軸ケーブル31Bは、その中心導体32Bが第2の信号用コンタクト部材33Bに接続されるとともに、その外側導体34Bが接地用コンタクト部材35に接続されてケーブル側同軸コネクタ装置30に接続されたものとされる。
【0032】
絶縁ハウジング36は、中央部に矩形透孔37Aが形成された第1の基部38A及び中央部に矩形透孔37Bが形成された第2の基部38Bを有しており、第1の基部38Aは第1の信号用コンタクト部材33Aを保持していて、第2の基部38Bは第2の信号用コンタクト部材33Bを保持している。また、接地用コンタクト部材35は、絶縁ハウジング36が有する第1の基部38A及び第2の基部38Bを概ね包囲する環状嵌合部39を有しており、環状嵌合部39は、第1の基部38Aによって保持された第1の信号用コンタクト部材33A及び第2の基部38Bによって保持された第2の信号用コンタクト部材33Bの周囲に配されていることになる。そして、これら絶縁ハウジング36の第1の基部38A及び第2の基部38Bと接地用コンタクト部材35の環状嵌合部39とは、ケーブル側同軸コネクタ装置30における嵌合連結部を構成しており、同軸ケーブル31A及び同軸ケーブル31Bが接続されたケーブル側同軸コネクタ装置30は、斯かる嵌合連結部をもって、同軸コネクタ装置10に嵌合連結される。
【0033】
絶縁ハウジング36には、後述される図8に示されるように、第1の基部38A及び第2の基部38Bに加えて、第1の基部38Aの一端から折曲可能に伸びる折曲当接部40Aと第2の基部38Bの一端から折曲可能に伸びる折曲当接部40Bとが設けられている。折曲当接部40A及び折曲当接部40Bは、各々が全体として平板状部を成しており、折り曲げられたとき第1の信号用コンタクト部材33A及び第2の信号用コンタクト部材33Bに夫々当接するものとされている。
【0034】
図7に示されるように、接地用コンタクト部材35における環状嵌合部39には、その一部分から環状嵌合部39が形成する環状体の内側へと伸びる平板状仕切り壁部41が設けられている。平板状仕切り壁部41は、接地用コンタクト部材35が絶縁ハウジング36によって支持されたもとにおいて、絶縁ハウジング36の第1の基部38Aによって保持された第1の信号用コンタクト部材33Aと絶縁ハウジング36の第2の基部38Bによって保持された第2の信号用コンタクト部材33Bとにより挟まれて配され、第1の信号用コンタクト部材33Aと第2の信号用コンタクト部材33Bとの間を仕切るものとされる。それにより、中心導体32Aが第1の信号用コンタクト部材33Aに接続されるとともに外側導体34Aが接地用コンタクト部材35に接続されて同軸ケーブル31Aがケーブル側同軸コネクタ装置30に接続され、同様に、中心導体32Bが第2の信号用コンタクト部材33Bに接続されるとともに外側導体34Bが接地用コンタクト部材35に接続されて同軸ケーブル31Bがケーブル側同軸コネクタ装置30に接続されたもとにあっては、同軸ケーブル31Aの中心導体32Aが接続された第1の信号用コンタクト部材33Aと同軸ケーブル31Bの中心導体32Bが接続された第2の信号用コンタクト部材33Bとの間が、平板状仕切り壁部41によって仕切られることになる。そして、平板状仕切り壁部41には、接地用コンタクト部材35における環状嵌合部39を通じて接地電位が与えられるので、第1の信号用コンタクト部材33Aと第2の信号用コンタクト部材33Bとは、接地電位が与えられるものとされる平板状仕切り壁部41によって、相互に電磁遮蔽されたものとされる。
【0035】
平板状仕切り壁部41の一端部には、ケーブル側同軸コネクタ装置30が同軸コネクタ装置10に嵌合連結されたとき、同軸コネクタ装置10における導電性仕切り壁部材23に設けられた係合接続部23aに接触する係合連結部41aが設けられている。平板状仕切り壁部41の係合連結部41aが導電性仕切り壁部材23の係合接続部23aに接触することにより、導電性仕切り壁部材23と平板状仕切り壁部41との相互連結が堅固に行われる。
【0036】
また、接地用コンタクト部材35における環状嵌合部39には、平板状仕切り壁部41の立ち上がり部を挟んで一対のケーブル支持部42A及び42Bが設けられている。ケーブル支持部42Aは、中心導体32Aが第1の信号用コンタクト部材33Aに接続された同軸ケーブル31Aを支持し、また、ケーブル支持部42Bは、中心導体32Bが第2の信号用コンタクト部材33Bに接続された同軸ケーブル31Bを支持する。
【0037】
さらに、接地用コンタクト部材35には、環状嵌合部39に加えて、環状嵌合部39の一端から折曲可能に伸びるシェル部43が設けられている。シェル部43は、後述される図13に示されるように、折り曲げられるとき、それに伴って絶縁ハウジング36の折曲当接部40A及び40Bの夫々を折り曲げるとともに、中心導体32Aが第1の信号用コンタクト部材33Aに接続された同軸ケーブル31Aの外側導体34A、及び、中心導体32Bが第2の信号用コンタクト部材33Bに接続された同軸ケーブル31Bの外側導体34Bの夫々との接続がなされるものとされる。
【0038】
そして、シェル部43には、一対の第1の折曲係合部44と、一対の第2の折曲係合部45と、一対の第3の折曲係合部47とが設けられている。一対の第1の折曲係合部44は、折り曲げられて、ケーブル支持部42A及び42Bに夫々係合することになる。一対の第2の折曲係合部45は、折り曲げられて、中心導体32Aが第1の信号用コンタクト部材33Aに接続された同軸ケーブル31Aの外側導体34A及び中心導体32Bが第2の信号用コンタクト部材33Bに接続された同軸ケーブル31Bの外側導体34Bに夫々係合する。一対の第3の折曲係合部47は、折り曲げられて、中心導体32Aが第1の信号用コンタクト部材33Aに接続された同軸ケーブル31Aの表皮絶縁体46A及び中心導体32Bが第2の信号用コンタクト部材33Bに接続された同軸ケーブル31Bの表皮絶縁体46Bに夫々係合する。
【0039】
上述のように、絶縁ハウジング36と、第1の信号用コンタクト部材33A及び第2の信号用コンタクト部材33Bと、接地用コンタクト部材35とを備えて構成されたケーブル側同軸コネクタ装置30に、同軸ケーブル31Aと同軸ケーブル31Bとが接続されるにあたっては、先ず、図8に示されるように、接地用コンタクト部材35に設けられたシェル部43が折り曲げられていない状態におかれたケーブル側同軸コネクタ装置30に、同軸ケーブル31Aが、その一端部において外側導体34A及び中心導体32Aが露出せしめられたものとされて、露出した外側導体34Aが接地用コンタクト部材35におけるケーブル支持部42Aに当接するとともに、露出した中心導体32Aがケーブル側同軸コネクタ装置30における第1の信号用コンタクト部材33Aに当接する状態をもって配され、また、同軸ケーブル31Bが、その一端部において外側導体34B及び中心導体32Bが露出せしめられたものとされて、露出した外側導体34Bが接地用コンタクト部材35におけるケーブル支持部42Bに当接するとともに、露出した中心導体32Bがケーブル側同軸コネクタ装置30における第2の信号用コンタクト部材33Bに当接する状態をもって配される。
【0040】
続いて、接地用コンタクト部材35に設けられたシェル部43が環状嵌合部39に向かって折り曲げられる。それにより、絶縁ハウジング36に設けられた折曲当接部40Aがシェル部43によって折り曲げられて第1の信号用コンタクト部材33Aに押圧当接して、同軸ケーブル31Aの中心導体32Aが第1の信号用コンタクト部材33Aに堅固に接続された状態とされるとともに、絶縁ハウジング36に設けられた折曲当接部40Bがシェル部43によって折り曲げられて第2の信号用コンタクト部材33Bに押圧当接して、同軸ケーブル31Bの中心導体32Bが第2の信号用コンタクト部材33Bに堅固に接続された状態とされる。さらに、折り曲げられたシェル部43が、環状嵌合部39に設けられたケーブル支持部42Aに当接した同軸ケーブル31Aの外側導体34Aに当接して当該外側導体34Aを有した同軸ケーブル31Aをケーブル支持部42Aとで挟持するとともに、環状嵌合部39に設けられたケーブル支持部42Bに当接した同軸ケーブル31Bの外側導体34Bに当接して当該外側導体34Bを有した同軸ケーブル31Bをケーブル支持部42Bとで挟持する状態をとるものとされる。
【0041】
その後、シェル部43に設けられた第1の折曲係合部44が、相互に近接するように折り曲げられて、同軸ケーブル31A及び同軸ケーブル31Bを夫々支持したケーブル支持部42A及び42Bに夫々係合するものとされ、また、シェル部43に設けられた一対の第2の折曲係合部45が相互に近接するように折り曲げられて、中心導体32Aが第1の信号用コンタクト部材33Aに接続された同軸ケーブル31Aの外側導体34A及び中心導体32Bが第2の信号用コンタクト部材33Bに接続された同軸ケーブル31Bの外側導体34Bに夫々係合するものとされ、さらに、シェル部43に設けられた一対の第3の折曲係合部47が相互に近接するように折り曲げられて、中心導体32Aが第1の信号用コンタクト部材33Aに接続された同軸ケーブル31Aの表皮絶縁体46A及び中心導体32Bが第2の信号用コンタクト部材33Bに接続された同軸ケーブル31Bの表皮絶縁体46Bに夫々係合するものとされる。それにより、同軸ケーブル31Aと同軸ケーブル31Bとがケーブル側同軸コネクタ装置30に堅固に接続され、その結果、ケーブル側同軸コネクタ装置30が前述の図5及び図6に示される状態におかれることになる。
【0042】
上述の同軸コネクタ装置10及びケーブル側同軸コネクタ装置30が実際の使用に供されるにあたっては、例えば、図9に示されるように、同軸コネクタ装置10が、回路基板11の部品等搭載面11aに、即ち、回路基板11の面上に絶縁基体13が配されるものとされて回路基板11に固定され、回路基板11に固定された同軸コネクタ装置10に対して、同軸ケーブル31Aと同軸ケーブル31Bとが接続されたケーブル側同軸コネクタ装置30が対向配置される。その際、ケーブル側同軸コネクタ装置30における第1の信号用コンタクト部材33A及び第2の信号用コンタクト部材33Bが、同軸コネクタ装置10における第1の信号用接続コンタクト部材16における接触部14及び第2の信号用接続コンタクト部材19における接触部17に夫々対応する位置をとるとともに、ケーブル側同軸コネクタ装置30の接地用コンタクト部材35における環状嵌合部39が、同軸コネクタ装置10の接地用接続コンタクト部材22における包囲接触部20に対応する位置をとるものとされる。
【0043】
続いて、同軸ケーブル31Aと同軸ケーブル31Bとが接続されたケーブル側同軸コネクタ装置30が、回路基板11に固定された同軸コネクタ装置10に向って変位せしめられて、図10に示されるように、同軸コネクタ装置10に嵌合連結せしめられる。その際には、ケーブル側同軸コネクタ装置30における同軸ケーブル31Aの中心導体32Aが接続された第1の信号用コンタクト部材33A及び同軸ケーブル31Bの中心導体32Bが接続された第2の信号用コンタクト部材33Bが、同軸コネクタ装置10の第1の信号用接続コンタクト部材16における接触部14及び第2の信号用接続コンタクト部材19における接触部17に夫々接触されるとともに、ケーブル側同軸コネクタ装置30における同軸ケーブル31Aの外側導体34A及び同軸ケーブル31Bの外側導体34Bの夫々に接続された接地用コンタクト部材35に設けられた環状嵌合部39が、同軸コネクタ装置10における接地用接続コンタクト部材22に設けられた包囲接触部20に嵌合接触接続される。即ち、接地用コンタクト部材35が包囲接触部20に嵌合せしめられる。それにより、同軸ケーブル31A及び同軸ケーブル31Bの夫々が、ケーブル側同軸コネクタ装置30及び同軸コネクタ装置10を介して、回路基板11に連結された状態が得られる。
【0044】
図11(平面図)及び図12(側面図)は、同軸ケーブル31Aと同軸ケーブル31Bとが接続されたケーブル側同軸コネクタ装置30が同軸コネクタ装置10に嵌合連結された状態を、回路基板11の図示を省略して示す。ケーブル側同軸コネクタ装置30が同軸コネクタ装置10に嵌合連結されたもとにあっては、図11におけるXIII-XIII線断面を示す断面図である図13に示されるように、ケーブル側同軸コネクタ装置30において、同軸ケーブル31Aの中心導体32Aが、絶縁ハウジング36に設けられた折曲当接部40Aによって押圧された第1の信号用コンタクト部材33Aによって挟持される状態をもって、第1の信号用コンタクト部材33Aに接続されており、また、同軸ケーブル31Aの外側導体34Aが、接地用コンタクト部材35における環状嵌合部39に設けられたケーブル支持部42A及びシェル部43に接続されている。図示は省略されているが、ケーブル側同軸コネクタ装置30においては、同軸ケーブル31Bも、同軸ケーブル31Aと同様にして、その中心導体32Bが、絶縁ハウジング36に設けられた折曲当接部40Bによって押圧された第2の信号用コンタクト部材33Bによって挟持される状態をもって、第2の信号用コンタクト部材33Bに接続されており、また、その外側導体34Bが、接地用コンタクト部材35における環状嵌合部39に設けられたケーブル支持部42B及びシェル部43に接続されている。
【0045】
上述の図13に加えて、図12におけるXV-XV線断面を示す断面図である図15にも示されるように、第1の信号用コンタクト部材33Aに設けられた一対の相互対向接触接続部50Aが、同軸コネクタ装置10の第1の信号用接続コンタクト部材16における接触部14を挟持する状態をもって、接触部14に接触しており、また、第2の信号用コンタクト部材33Bに設けられた一対の相互対向接触接続部50Bが、同軸コネクタ装置10の第2の信号用接続コンタクト部材19における接触部17を挟持する状態をもって、接触部17に接触しているとともに、接地用コンタクト部材35における環状嵌合部39が、同軸コネクタ装置10の接地用接続コンタクト部材22における包囲接触部20に接触している。
【0046】
さらに、図11における XIV-XIV 線断面を示す断面図である図14に示されるように、ケーブル側同軸コネクタ装置30の接地用コンタクト部材35における環状嵌合部39に設けられた平板状仕切り壁部41が、それに設けられた係合連結部41aを同軸コネクタ装置10における導電性仕切り壁部材23に設けられた係合接続部23aに接触係合させている。それにより、同軸コネクタ装置10における導電性仕切り壁部材23とケーブル側同軸コネクタ装置30における平板状仕切り壁部41とが、接地電位が与えられるもとで相互係合したものとされている。
【0047】
上述のような本願発明に係る同軸コネクタ装置の一例を成す同軸コネクタ装置10によれば、接地用接続コンタクト部材22における包囲接触部20により共通に包囲される第1の信号用接続コンタクト部材16における接触部14と第2の信号用接続コンタクト部材19における接触部17とが、回路基板11の部品等搭載面11aに配される絶縁基体13上において小間隔をおいて相互近接して配されたものとされることにより、絶縁基体13の面積の低減が図られ、それに伴って、絶縁基体13が配される回路基板11の部品等搭載面11aにおける同軸コネクタ装置10についての占有面積の低減を図ることができる。
【0048】
そして、それに加えて、接地電位が与えられる導電性仕切り壁部材23が、第1の信号用接続コンタクト部材16における接触部14と第2の信号用接続コンタクト部材19における接触部17との間の小間隔内に配されるので、第1の信号用接続コンタクト部材16における接触部14と第2の信号用接続コンタクト部材19における接触部17とが、接地電位が与えられた導電性仕切り壁部材23によって相互に電磁的に遮蔽されることになり、それにより、第1の信号用接続コンタクト部材16における接触部14を通じて伝送される高周波信号の、第2の信号用接続コンタクト部材19における接触部17を通じて伝送される高周波信号へのクロストークノイズとしての混入、及び、第2の信号用接続コンタクト部材19における接触部17を通じて伝送される高周波信号の、第1の信号用接続コンタクト部材16における接触部14を通じて伝送される高周波信号へのクロストークノイズとしての混入が抑制されて、その結果、第1の信号用接続コンタクト部材16における接触部14及び第2の信号用接続コンタクト部材19における接触部17の夫々を通じて伝送される高周波信号についての伝送特性に劣化がもたらされる事態を回避することができることになる。
【0049】
また、同軸コネクタ装置10においては、導電性仕切り壁部材23が、絶縁基体13を貫通して伸びて回路基板11の部品等搭載面11aに配された接地端子部に接続される基板接続部23bが設けられたものとされているので、導電性仕切り壁部材23に対する回路基板11からの接地電位の印加が容易に行われるとともに、絶縁基体13を介在させた導電性仕切り壁部材23の回路基板11に対する設置が、堅固になされることになる。
【0050】
さらに、同軸コネクタ装置10においては、導電性仕切り壁部材23が、接地用接続コンタクト部材22における包囲接触部20の一部分から屈曲して伸びるものとして、接地用接続コンタクト部材22と一体的に構成されたものとされているので、構成部品点数の低減を図ることができて構成を簡略化することができるとともに、絶縁基体13における導電性仕切り壁部材23の配置を堅固に行うことができることになる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
以上のような本願発明に係る同軸コネクタ装置は、回路基板の部品等搭載面に取り付けられて、複数の同軸ケーブルが接続されたケーブル側同軸コネクタ装置が嵌合連結される基板側同軸コネクタ装置を成すにあたり、回路基板の部品等搭載面における占有面積の低減を図ることができ、しかも、それを通じて伝送される高周波信号についての伝送特性に劣化がもたらされる事態を回避することができるものとして、各種の電子機器等に広く適用され得るものである。
【符号の説明】
【0052】
10…同軸コネクタ装置、 11…回路基板、 11a…部品等搭載面、 13…絶縁基体、 14,17…接触部、 15,18…信号用接続部、 16…第1の信号用接続コンタクト部材、 19…第2の信号用接続コンタクト部材、 20…包囲接触部、 21…接地用接続部、 22…接地用接続コンタクト部材、 23…導電性仕切り壁部材、 23a…係合接続部、23b…基板接続部、 24…透孔、 30…ケーブル側同軸コネクタ装置、 31A,31B…同軸ケーブル、 32A,32B…中心導体、 33A…第1の信号用コンタクト部材、 33B…第2の信号用コンタクト部材、 34A,34B…外側導体、 35…接地用コンタクト部材、 36…絶縁ハウジング、 37A,37B…矩形透孔、 38A…第1の基部、 38B…第2の基部、 39…環状嵌合部、 40A,40B…折曲当接部、 41…平板状仕切り壁部、 41a…係合連結部、 42A,42B…ケーブル支持部、 43…シェル部、 44…第1の折曲係合部、 45…第2の折曲係合部、 46A,46B…表皮絶縁体、 47…第3の折曲係合部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15