IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱自動車工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-車両状態表示装置 図1
  • 特許-車両状態表示装置 図2
  • 特許-車両状態表示装置 図3
  • 特許-車両状態表示装置 図4
  • 特許-車両状態表示装置 図5
  • 特許-車両状態表示装置 図6
  • 特許-車両状態表示装置 図7
  • 特許-車両状態表示装置 図8
  • 特許-車両状態表示装置 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-27
(45)【発行日】2023-04-04
(54)【発明の名称】車両状態表示装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 35/00 20060101AFI20230328BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20230328BHJP
【FI】
B60K35/00 Z
B60R16/02 640K
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021574471
(86)(22)【出願日】2020-11-16
(86)【国際出願番号】 JP2020042558
(87)【国際公開番号】W WO2021152959
(87)【国際公開日】2021-08-05
【審査請求日】2022-02-24
(31)【優先権主張番号】P 2020011586
(32)【優先日】2020-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177460
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 智子
(72)【発明者】
【氏名】冨田 祐一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 裕之
(72)【発明者】
【氏名】阿部 雅子
(72)【発明者】
【氏名】手嶋 由和
【審査官】稲村 正義
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-093491(JP,A)
【文献】特開2019-034570(JP,A)
【文献】特開2000-247164(JP,A)
【文献】特開2002-247706(JP,A)
【文献】国際公開第2013/132547(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 35/00
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動輪を駆動するように構成されたエンジンを含む車両の車両状態表示装置であって、
前記車両のエネルギー伝達状態が表示される表示部と、
前記エンジンを表すエンジン表示と、前記駆動輪を表す駆動輪表示とを前記表示部に表示するように構成された車両構成表示制御部と、
前記エンジン表示と前記駆動輪表示との間に表示され前記エンジンと前記駆動輪との間のエネルギーの伝達を示す第1の伝達表示の表示態様を制御するように構成された伝達状態表示制御部と、を備え、
前記伝達状態表示制御部は、
前記エンジンの停止中に前記第1の伝達表示を停止し、
前記エンジンの稼働中に前記第1の伝達表示を表示し、前記車両が走行している場合と、前記車両が停止している場合とで、前記第1の伝達表示を維持しつつ、前記第1の伝達表示の表示態様を変更する、
ように構成される、
車両状態表示装置。
【請求項2】
前記伝達状態表示制御部は、前記第1の伝達表示の表示中に前記車両が走行している場合には、前記第1の伝達表示の表示中に前記車両が停止している場合よりも彩度が高い色で前記第1の伝達表示を表示する、
請求項1記載の車両状態表示装置。
【請求項3】
前記車両は、前記駆動輪の駆動を補助するように構成された電力を蓄積するバッテリを更に備え、
前記車両構成表示制御部は、前記バッテリを表すバッテリ表示を前記表示部に更に表示し、
前記伝達状態表示制御部は、前記バッテリ表示と前記駆動輪表示との間に、前記バッテリから前記駆動輪への前記エネルギーの伝達を示す第2の伝達表示と、前記駆動輪から前記バッテリへの前記エネルギーの伝達を示す第3の伝達表示とを更に表示する、
請求項1または2記載の車両状態表示装置。
【請求項4】
前記車両構成表示制御部は、前記バッテリの充電率を表す充電率表示を前記表示部に更に表示し、
前記伝達状態表示制御部は、前記第2の伝達表示を前記充電率表示と同じ色で表示する、
請求項3記載の車両状態表示装置。
【請求項5】
前記車両は、前記電力を用いて稼働し前記駆動輪を駆動するとともに、前記車両の減速時に前記駆動輪の回転力を用いて回生発電を行い前記バッテリに前記電力を供給するように構成されたモータジェネレータを更に備え、
前記伝達状態表示制御部は、前記モータジェネレータにより前記駆動輪を駆動している場合に前記第2の伝達表示を表示し、前記モータジェネレータにより前記回生発電を行っている場合に前記第3の伝達表示を表示する、
請求項3または4記載の車両状態表示装置。
【請求項6】
前記伝達状態表示制御部は、前記バッテリの充電率が所定値以上であり前記回生発電により発電した電力で前記バッテリを充電できない場合と、前記回生発電により発電した電力で前記バッテリを充電している場合とで、前記第3の伝達表示の表示態様を変更する、
請求項5記載の車両状態表示装置。
【請求項7】
前記伝達状態表示制御部は、前記バッテリの充電率が所定値以上であり前記回生発電により発電した電力で前記バッテリを充電できない場合には、前記回生発電により発電した電力で前記バッテリを充電している場合よりも彩度が低い色で前記第3の伝達表示を表示する、
請求項5記載の車両状態表示装置。
【請求項8】
前記伝達状態表示制御部は、前記第1の伝達表示の表示中に前記車両が停止している場合における前記第1の伝達表示の表示色と、前記バッテリの充電率が所定値以上であり前記回生発電により発電した電力で前記バッテリを充電できない場合における前記第3の伝達表示の表示色とを同一とする、
請求項5記載の車両状態表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両におけるエネルギー伝達状態をディスプレイに表示する車両状態表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術として、駆動源を複数備えるハイブリッド車両等において、車両におけるエネルギー伝達状態をユーザに視認可能に表示する技術が知られている。
例えば、日本国特許第5212518号公報には、車両のエネルギーの伝達状況を表示する車両の運転状態表示装置において、停車状態にあること、及びブレーキ操作がなされていること、の2つの条件が共に成立するときには、車軸にエネルギーが伝達されていても、その旨の表示を行わないものとした車両の運転状態表示装置が開示されている。
【0003】
上述した関連技術では、ドライバがブレーキ操作を行って車両が停車状態にある場合には、車軸へのエネルギー伝達の表示を行わないものとしている。ここで、エンジンを主な駆動源とする車両では、車両が停車していてもエンジンが駆動している状態が比較的頻繁に生じる。この時に、エンジンから車軸(駆動輪)へのエネルギー伝達の表示を行わないものとすると、ドライバが違和感を覚える可能性があり、改善の余地がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、車両におけるエネルギー伝達状態を表示するに際し、ドライバの感覚により近い表示を行う車両状態表示装置を提供する。
【0005】
本開示の一態様によれば、駆動輪を駆動するエンジンを含む車両の車両状態表示装置は、前記車両のエネルギー伝達状態が表示される表示部と、前記エンジンを表すエンジン表示と、前記駆動輪を表す駆動輪表示とを前記表示部に表示するように構成された車両構成表示制御部と、前記エンジン表示と前記駆動輪表示との間に表示され前記エンジンと前記駆動輪との間のエネルギーの伝達を示す第1の伝達表示の表示態様を制御するように構成された伝達状態表示制御部と、を備える。前記伝達状態表示制御部は、前記エンジンの稼働中に前記第1の伝達表示を表示し、前記車両が走行している場合と、前記車両が停止している場合とで、前記第1の伝達表示の表示態様を変更するように構成される。
【0006】
本開示の前記態様によれば、エンジンの稼働中にはエンジンと駆動輪との間のエネルギーの伝達を示す第1の伝達表示を表示し、エンジンの停止中には第1の伝達表示の表示を停止する。これにより、ドライバによって認識しやすいエンジンの稼働状態に連動して第1の伝達表示の有無を切り替えることができ、車両状態表示装置による表示とドライバの感覚との間にずれが生じるのを防止することができる。
また、車両状態表示装置は、第1の伝達表示の表示中における車両の走行の有無に基づいて第1の伝達表示の表示態様を変更するので、エンジンから駆動輪へのエネルギーの伝達が実際に行われているか否かをドライバに認識させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施の形態にかかる車両状態表示装置が搭載された車両の構成を示す図である。
図2図2は、実施の形態にかかる車両状態表示装置の機能的構成を示すブロック図である。
図3図3は、車両状態表示装置の動作を示すフローチャートである。
図4図4は、ディスプレイの表示例を示す説明図である。
図5図5は、ディスプレイの表示例を示す説明図である。
図6図6は、ディスプレイの表示例を示す説明図である。
図7図7は、ディスプレイの表示例を示す説明図である。
図8図8は、ディスプレイの表示例を示す説明図である。
図9図9は、ディスプレイの表示例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に添付図面を参照して、本開示にかかる車両状態表示装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。
図1は、実施の形態にかかる車両状態表示装置が搭載された車両の構成を示す図である。車両10は、エンジン102、モータジェネレータ104、バッテリ106、タイヤ(前輪TF、後輪TR)を備える。車両10は、いわゆるマイルドハイブリッド方式を採用しており、主たる駆動源としてエンジン102を用いつつ、所定の走行状況下ではモータジェネレータ104でエンジン102を補助することにより燃費の向上(エンジン102での燃料消費量の削減)を図っている。
【0009】
より詳細には、モータジェネレータ104はエンジン102とベルトで連結されており、エンジン102の出力軸にモータジェネレータ104の回転を伝達することにより駆動輪(本実施の形態では前輪TF)を回転させる。モータジェネレータ104からエンジン102への駆動力の伝達は、例えば車両10の燃費アシスト時や加速アシスト時等に行われる。燃費アシストは、走行中にドライバ要求出力の一部をモータジェネレータ104でアシストすることでエンジン102の負荷を低減し燃費を改善する。加速アシストは、全開加速の際、ドライバ要求出力に対し、エンジン102の出力の遅れをアシストすることで加速性能を改善する。また、エンジン102のスタータモータとしてモータジェネレータ104を用いることで、迅速かつ静粛にエンジン102を始動することが可能となる。
【0010】
また、車両10の減速時やバッテリ106の充電率低下時には、エンジン102の駆動力をモータジェネレータ104に伝達することにより、モータジェネレータ104を発電機(ジェネレータ)として駆動させ、発電した電力をバッテリ106に供給し、バッテリ106を充電する。車両10の減速時における回生発電では、燃料カット中の減速エネルギーを利用してモータジェネレータ104で発電する。この時、ドライビリティ(減速感)を考慮してブレーキペダルの踏み込み有無で発電量を切り替えてもよい。また、バッテリ106の充電率低下時における燃焼発電では、燃料を用いてエンジン102を積極的に回転させることによりモータジェネレータ104で発電を行い、次の加速アシストに備えてバッテリ106を充電する。
【0011】
バッテリ106は、例えば48V程度のバッテリであり、モータジェネレータ104の駆動用電力を蓄積するために、車両10の電装品の駆動電力を蓄積する12Vバッテリとは別個に設けられている。
すなわち、車両10は、駆動輪を駆動するエンジン102と、駆動輪の駆動の補助に用いられる電力を蓄積するバッテリ106と、バッテリ106の電力を用いて稼働し駆動輪を駆動するとともに車両10の減速時に駆動輪の回転力を用いて回生発電を行いバッテリ106に電力を供給するモータジェネレータ104とを備える。
なお、本実施の形態における車両10の構成は一例であり、本開示は公知の様々な形式の車両に適用可能である。
【0012】
図2は、実施の形態にかかる車両状態表示装置の機能的構成を示すブロック図である。
車両10は、上述したエンジン102、モータジェネレータ104、バッテリ106の他、車速センサ108、表示部110(例えば、ディスプレイ)およびECU(Electronic Control Unit)20を有する。
車速センサ108は、車両10の各輪の回転速度を検出し、各輪の回転速度の平均値を車両10の走行速度として算出する。
ディスプレイ110は、運転中のドライバが視認可能な位置(例えばインストルメントパネル内)に設置されている。
【0013】
ECU20は、CPU、制御プログラムなどを格納・記憶するROM、制御プログラムの作動領域としてのRAM、各種データを書き換え可能に保持するEEPROM、周辺回路等とのインターフェースをとるインターフェース部などを含んで構成されるマイクロコンピュータであり、本実施の形態で車両状態表示装置として機能する。
なお、実際には、エンジン102とECU20との間にはエンジン102を制御するエンジン・コントロール・ユニットが、モータジェネレータ104とECU20との間にはモータジェネレータ104を制御するモータ・コントロール・ユニットが、バッテリ106とECU20との間にはバッテリ106を制御するバッテリ・コントロール・ユニットが、それぞれ介在している。
【0014】
ECU20は、上記CPUが上記制御プログラムを実行することにより、車両10におけるエネルギー伝達状態をディスプレイ110に表示する車両状態表示装置として機能する。より詳細には、車両状態表示装置は、車両構成表示制御部202と伝達状態表示制御部204とを有する。
【0015】
車両構成表示制御部202は、車両10の構成を示す表示(アイコン)をディスプレイ110に表示する。本実施の形態では、車両構成表示制御部202は、エンジン102を表すエンジン表示Eiと、駆動輪を表す駆動輪表示Tiと、バッテリ106を示すバッテリ表示Biをディスプレイ110に表示する。なお、本実施の形態では、ディスプレイ110のベースカラーは黒等の明度の低い色であるものとする。
【0016】
図4等に示すように、エンジン表示Eiおよび駆動輪表示Tiは、例えばそれぞれエンジン102および駆動輪(タイヤ)の外観を模式化したアイコンである。また、バッテリ表示Biは、例えばバッテリ106を乾電池として模式化した形状を有するアイコンであり、バッテリ106の充電率に連動して内部のインジケータ(網掛け部)の面積が変化する。例えば、図4のバッテリ表示Biは充電率60%程度の状態を示し、図9のバッテリ表示Biは充電率が100%(満充電)に近い状態を示す。バッテリ106の充電率が低いほど、インジケータの面積は小さくなる。
すなわち、車両構成表示制御部202は、バッテリ106の充電率を背景とは異なる色の表示面積によって表す充電率表示をディスプレイ110に表示する。本実施の形態では、バッテリ表示Bi内のインジケータの表示色は青であるものとする。
【0017】
伝達状態表示制御部204は、車両構成表示制御部202で表示したアイコン間に、当該アイコンが示す構成間におけるエネルギーの伝達を示す伝達表示を表示し、その表示態様を制御する。本実施の形態では、伝達状態表示制御部204は、例えばエンジン表示Eiと駆動輪表示Tiとの間に、エンジン102と駆動輪との間のエネルギーの伝達を示す第1の伝達表示F1を表示する。
【0018】
図5および図6は、第1の伝達表示F1の表示例である。
第1の伝達表示F1は、エンジン102の駆動により駆動輪に回転力が与えられる状態を示し、本実施の形態ではエンジン表示Eiから駆動輪表示Tiに向かう矢印によって表現されている。なお、伝達表示(第1の伝達表示F1、第2の伝達表示F2、第3の伝達表示F3)の図案は、矢印に限らず、ドライバがエネルギーの流れを直感的に認識できる図案であればよい。
【0019】
伝達状態表示制御部204は、エンジン102の稼働中には図5のように第1の伝達表示F1を表示する一方で、エンジン102の停止中には図4のように第1の伝達表示F1の表示を停止する。これは、エンジン102の稼働中にはドライバの操作等(例えばアクセル操作)によりエンジン102から駆動輪へのエネルギー伝達が可能な状態である一方で、エンジン102の停止中にはエンジン102から駆動輪へのエネルギー伝達が行えないためである。
【0020】
また、伝達状態表示制御部204は、第1の伝達表示F1の表示中(すなわちエンジン102の稼働中)に車両10が走行している場合と、第1の伝達表示F1の表示中に車両10が停止している場合とで、第1の伝達表示F1の表示態様を変更する。
本実施の形態では、エンジン102の稼働中に車両10が停止している場合には、図5に示すように第1の伝達表示F1を灰色(無彩色)で表示する。これに対して、エンジン102の稼働中に車両10が走行している場合には、図6に示すように第1の伝達表示(F1’と表記する)を有彩色、例えばオレンジ色で表示する。
すなわち、伝達状態表示制御部204は、第1の伝達表示の表示中に車両10が走行している場合には、第1の伝達表示の表示中に車両10が停止している場合よりも彩度が高い色で第1の伝達表示を表示する。
このようにすることで、エンジン102から駆動輪にエネルギー伝達が行われていて実際に駆動輪が駆動していること(走行中:彩度が高い色での表示)と、クリープトルクに相当するエネルギー伝達は行われているが駆動輪は実際には駆動していないこと(停止中:無彩色での表示)とを、ドライバが直感的に識別することができる。その結果、ユーザビリティが向上する。
なお、車両10が走行しているか否かは、車速センサ108で検出された車両10の走行速度が所定値以上か否かによって判断する。
【0021】
また、伝達状態表示制御部204は、例えばバッテリ表示Biと駆動輪表示Tiとの間に、バッテリ106から駆動輪へのエネルギーの伝達を示す第2の伝達表示F2と、駆動輪からバッテリ106へのエネルギーの伝達を示す第3の伝達表示F3とを更に表示する。
図7から図9は、第2の伝達表示F2および第3の伝達表示F3の表示例である。
第2の伝達表示F2は、バッテリ106の電力を用いてモータジェネレータ104がモータとして稼働することにより駆動輪に回転力が与えられる状態(例えば加速アシスト時や燃費アシスト時など)を示し、本実施の形態では図7に示すようにバッテリ表示Biから駆動輪表示Tiに向かう矢印によって表現されている。
また、第3の伝達表示F3は、駆動輪の回転力を用いてモータジェネレータ104をジェネレータとして稼働することによりバッテリ106に充電している状態(例えば回生発電時や燃料発電時)を示し、本実施の形態では図8に示すように駆動輪表示Tiからバッテリ表示Biに向かう矢印によって表現されている。
すなわち、伝達状態表示制御部204は、モータジェネレータ104により駆動輪を駆動している場合に第2の伝達表示F2を表示し、モータジェネレータ104により回生発電を行っている場合に第3の伝達表示F3を表示する。
【0022】
なお、第2の伝達表示F2と第3の伝達表示F3とは、形状としては矢印の向きが異なるのみであり、運転中のドライバにとっては識別しにくい可能性がある。このため、例えば第2の伝達表示F2と第3の伝達表示F3との表示色を異ならせてもよい。より具体的には、例えば第2の伝達表示F2を青色で表示し、第3の伝達表示F3を緑色で表示する、などが考えられる。
この場合、バッテリ表示Biにおける充電率表示の色と、第2の伝達表示F2の色とが同一となる。すなわち、伝達状態表示制御部204は、第2の伝達表示F2をバッテリ表示Biの充電率表示と同じ色で表示する。これにより、バッテリ106から駆動輪へのエネルギーの流れをより明確に表すことができる。
【0023】
ここで、バッテリ106が満充電に近い状態では、回生発電によりモータジェネレータ104で発電した電力をバッテリ106に充電できない場合がある。このような場合は、回生発電により発電した電力はバッテリ106には供給されず、車両10の他の構成部で消費されることになる。
このため、伝達状態表示制御部204は、バッテリ106の充電率が所定値以上であり回生発電により発電した電力でバッテリ106を充電できない場合と、回生発電により発電した電力でバッテリ106を充電している場合とで、第3の伝達表示F3の表示態様を変更するようにしてもよい。
【0024】
具体的には、例えば回生発電により発電した電力でバッテリ106を充電可能な場合には、図8に示すように第3の伝達表示F3を緑色(有彩色)で表示する。これに対して、バッテリ106の充電率が高く回生発電により発電した電力を受け入れることができない場合には、図9に示すように第3の伝達表示(F3’と表記する)を灰色(無彩色)で表示する。なお、図9ではバッテリ表示Biのインジケータが満充電に近いことを示している。
すなわち、伝達状態表示制御部204は、バッテリ106の充電率が所定値以上であり回生発電により発電した電力でバッテリ106を充電できない場合は、回生発電により発電した電力でバッテリを充電している場合よりも彩度が低い色で第3の伝達表示を表示する。
このようにすることで、回生発電が行われる減速時にバッテリ106への充電が行われているのか否かをドライバが直感的に認識することができる。
また、図9における第3の伝達表示F3’は、図5における第1の伝達表示F1と同様に灰色で表示される。すなわち、伝達状態表示制御部204は、第1の伝達表示F1の表示中に車両10が停止している場合における第1の伝達表示F1の表示色と、バッテリ106の充電率が所定値以上であり回生発電により発電した電力でバッテリ106を充電できない場合における第3の伝達表示F3の表示色とを同一とする。このように、エネルギー伝達が可能ではあるが、車両の状態に起因してエネルギー伝達が行われていない状態を同一色で表現することにより、表示間に統一感を与え、より直感的にドライバに車両状態を認識させることができる。
【0025】
図3は、車両状態表示装置の動作を示すフローチャートである。
車両10が起動すると(ステップS300)、車両構成表示制御部202は、ディスプレイ110にエンジン表示Ei、駆動輪表示Ti、バッテリ表示Bi(図中「アイコン」と表記)を表示する(ステップS302)。
伝達状態表示制御部204は、エンジン102が稼働しているか否かを判断し(ステップS304)、エンジン102が稼働していない場合は(ステップS304:No)、ステップS312に移行する。
エンジン102が稼働している場合(ステップS304:Yes)、伝達状態表示制御部204は、さらに車両10が走行しているか否かを判断する(ステップS306)。車両10が走行している場合(ステップS306:Yes)、伝達状態表示制御部204は、エンジン表示Eiから駆動輪表示Tiに向かう第1の伝達表示F1(図中「第1の表示」と表記)を有彩色で表示する(ステップS308)。また、車両10が停止している場合(ステップS306:No)、伝達状態表示制御部204は、エンジン表示Eiから駆動輪表示Tiに向かう第1の伝達表示F1’を無彩色(例えば灰色)で表示する(ステップS310)。
【0026】
また、伝達状態表示制御部204は、モータジェネレータ104の稼働状態を判断し(ステップS312およびS314)、モータジェネレータ104が力行状態である場合には(ステップS312:Yes)、バッテリ表示Biから駆動輪表示Tiに向かう第2の伝達表示F2(図中「第2の表示」と表記)を例えば有彩色で表示する(ステップS314)。
また、モータジェネレータ104が回生状態である場合(ステップS316:Yes)、伝達状態表示制御部204は、回生発電により発電した電力でバッテリ106を充電可能か否か判断する(ステップSS318)。バッテリ106を充電可能な場合(ステップSS318:Yes)、伝達状態表示制御部204は、駆動輪表示Tiからバッテリ表示Biに向かう第3の伝達表示F3(図中「第3の表示」と表記)を有彩色で表示する(ステップS320)。一方、バッテリ106を充電できない場合(ステップSS318:No)、伝達状態表示制御部204は、駆動輪表示Tiからバッテリ表示Biに向かう第3の伝達表示F3を無彩色で表示する(ステップS322)。
車両10の起動中、車両状態表示装置は、ステップS304に戻り以降の処理をくり返す。
【0027】
以上説明したように、実施の形態にかかる車両状態表示装置は、エンジン102の稼働中にはエンジン102と駆動輪との間のエネルギーの伝達を示す第1の伝達表示F1を表示し、エンジン102の停止中には第1の伝達表示F1の表示を停止する。これにより、ドライバによって認識しやすいエンジン102の稼働状態に連動して第1の伝達表示F1の表示の有無を切り替えることができ、車両状態表示装置による表示とドライバの感覚との間にずれが生じるのを防止することができる。
また、車両状態表示装置は、第1の伝達表示F1の表示中における車両10の走行の有無に基づいて第1の伝達表示F1の表示態様を変更するので、エンジン102から駆動輪へのエネルギーの伝達が実際に行われているか否かをドライバに認識させることができる。例えば車両10が走行している場合には車両10が停止している場合よりも彩度が高い色で第1の伝達表示F1を表示することによって、ドライバに対してエネルギー伝達の有無を直感的に認識させることができる。
また、車両状態表示装置は、バッテリ106から駆動輪へのエネルギーの伝達を示す第2の伝達表示F2と、駆動輪からバッテリ106へのエネルギーの伝達を示す第3の伝達表示F3とを表示する。これにより、ドライバから認識しづらいモータジェネレータ104の稼働状態を表示することができる。
また、車両状態表示装置は、バッテリ106の充電率が所定値以上であり回生発電により発電した電力でバッテリ106を充電できない場合と、回生発電により発電した電力でバッテリ106を充電している場合とで、第3の伝達表示F3の表示態様を変更するので、回生発電に伴う電力の流れをより詳細にドライバに認識させることができる。
【0028】
本出願は、2020年1月28日出願の日本特許出願特願2020-011586に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
【符号の説明】
【0029】
10 車両
102 エンジン
104 モータジェネレータ
106 バッテリ
110 表示部(ディスプレイ)
20 ECU(車両状態表示装置)
202 車両構成表示制御部
204 伝達状態表示制御部
Bi バッテリ表示
Ei エンジン表示
Ti 駆動輪表示
F1 第1の伝達表示
F2 第2の伝達表示
F3 第3の伝達表示
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9