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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-27
(45)【発行日】2023-04-04
(54)【発明の名称】トレーディングカード判定評価装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20230328BHJP
   G06Q 30/02 20230101ALI20230328BHJP
【FI】
G06Q50/10
G06Q30/02 450
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021151494
(22)【出願日】2021-09-16
【審査請求日】2022-04-19
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520311064
【氏名又は名称】岩田 翼
(74)【代理人】
【識別番号】100134072
【弁理士】
【氏名又は名称】白浜 秀二
(72)【発明者】
【氏名】岩田 翼
【審査官】貝塚 涼
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-259101(JP,A)
【文献】特開2020-144941(JP,A)
【文献】再公表特許第2013/065456(JP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して、所定のトレーディングカードに関する最新の真偽情報を含む市場取引情報を提供する取引システムと通信して、対戦ゲームで使用可能な前記所定のトレーディングカードの判定および評価を行うトレーディングカード判定評価装置であって、
前記所定のトレーディングカードの画像を読み取る読み取り手段と、
前記読み取り手段が光学的に読み取る本物及び偽物のトレーディングカードの表面、裏面、断面の画像の特徴情報を蓄積部にカード毎に蓄積させて前記所定のトレーディングカードの特徴情報を学習する学習手段と、
前記読み取り手段が読み取る前記所定のトレーディングカードの画像と、前記学習手段が前記蓄積部に蓄積した前記特徴情報とを比較して、読み取った前記所定のトレーディングカードの真贋を判定する判定手段と、
前記読み取り手段が読み取った前記所定のトレーディングカードの劣化状態を複数の要素に基づいて判別する判別手段と、
前記判別手段が判別した前記所定のトレーディングカードの劣化状態に基づいて読み取った前記所定のトレーディングカードのランクを評価する評価手段と、
前記評価手段が評価したランクと、前記取引システムから提供される前記市場取引情報に基づいて算定した取引額指標となる取引画像を作成する作成手段と、
前記作成手段が作成した前記評価手段が評価したランクと、前記市場取引情報に基づいて算定した取引額指標となる取引画像を評価認定シートに印刷する印刷手段と、
を備え、前記評価認定シートは、所定の認定マークが付されていることを特徴とするトレーディングカード判定評価装置。
【請求項2】
前記読取り手段は、前記所定のトレーディングカードの表裏面および断面の画像や、光の透過度、反射度を読み取ることを請求項1に記載のトレーディングカード判定評価装置。
【請求項3】
前記読取り手段は、前記所定のトレーディングカードの表裏面および断面の画像や、光の透過度、反射度を光学的に読み取ることを請求項1に記載のトレーディングカード判定評価装置。
【請求項4】
前記所定のトレーディングカードの重量を測定する重量測定手段を備え、
前記判定手段は、前記重量測定手段が測定した前記所定のトレーディングカードの重量と、あらかじめ記憶された真贋判定重量とを比較して真贋判定を行うことを特徴とする請求項1に記載のトレーディングカード判定評価装置。
【請求項5】
前記印刷手段が印刷した評価認定シートと、前記所定のトレーディングカードとを一体として透明薄板材で挟持封印する封入手段を備えることを特徴とする請求項1に記載のトレーディングカード判定評価装置。
【請求項6】
前記評価認定シートは、前記透明薄板材の開封に基づいて、破損する構造を備えることを特徴とする請求項に記載のトレーディングカード判定評価装置。
【請求項7】
前記所定のトレーディングカードは、開封された後、対戦時に出し入れ可能に密閉保管可能とすることを特徴とする請求項1に記載のトレーディングカード判定評価装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対戦ゲームに使用するトレーディングカードの判定およびトレーディングカードの価値評価を行うトレーディングカード判定評価装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
対戦ゲームで利用されるトレーディングカードは、特定の用紙に文字画像を特殊なインクで印刷された簡単な構造であって、対戦者同士が指し示すカードの能力値を比較して勝敗を決定する非常にシンプルな対戦ゲームで使用される。
【0003】
一方、トレーディングカードは、流通性をもって取引される市場取引の対象としても近年注目されている。その価値は、美術骨董品等と同等もしくはそれ以上の財産価値があり、中には世界的なオークションでも取引される事例がある。
【0004】
具体的には、図10に示した能力・効果が同一のカードC1~C5は、一般的な消費者が比較すると同等に評価されるものと考えるが、市場では、カードC3が最高額と評価されるという、非常に分かりにくい評価基準が設定されている。このため、米国には、トレーディングカードを鑑定する専門会社が存在する。
なお、日本において、鑑定されたトレーディングカードの枚数は、公開された統計資料によれば、2019年において、約15万7千枚ほどである。
【0005】
一方、トレーディングカードは、特定の用紙に文字画像を特殊なインクで印刷された簡単な構造であるがゆえに、それほど精巧な印刷知識を持たない者でも市販された用紙と写真レベルの高精細インクジェットカラープリンタを使用することで、簡単に偽物のトレーディングカードを作成できてしまうという事情がある。
【0006】
このため、流通するトレーディングカードあるいは対戦で習得したトレーディングカードが本物であるのか、偽物であるか、すなわち真贋をカードユーザが判断することは容易ではない。
【0007】
このような背景の下、トレーディングカードのコレクターは、上述した米国の評価機関に所有するトレーディングカードを運送する往復運送費、およびトレーディングカード評価手数料を自前で支払う必要がある。
【0008】
上記トレーディングカードの評価価値を判断して認定する機関が米国(PAS(Professional Sports Authenticator)社、Beckett社)やEUにある。
【0009】
このように運送されて評価されたトレーディングカードは、図11に示すように開封できないようにトレーディングカードと、トレーディングカードの評価情報が印刷されたい指標とを一体として密封加工されて返送されてくる。
ここで、評価指標紙には、トレーディングカードの名称、トレーディングカードの10段階評価数、登録番号、バーコード等が印刷されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】AU2008330607
【文献】特開2019-155039号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述したようにトレーディングカード所有者は、所有するトレーディングカードを米国の評価会社に輸送して、真贋判定されて返却され、かつ、格付けされたトレーディングカードを保管することで一定の財産とすることができる。
現状では、高額なカードを米国に輸送することでしか、カードの鑑定が行えないため、カード所有者は輸送時における破損や紛失の危険性を受けながら、鑑定希望をしている状態にあり、日本国内のカード所有者にとって、資産性商品喪失のリスクを回避できない、危険な状態である。
【0012】
しかし、米国から返却された格付けされた日本製のトレーディングカードに対する評価情報は、言語の関係で、正しく翻訳されない状態のローマ字表記となる場合も多い。日本名のカードにも関わらず、全て英語訳もしくは、ローマ字表記にされるため、ニュアンス通りの正しい翻訳をされないケースも発生し、このような翻訳上の制限により、上記評価指標紙の表記がトレーディングカードの所有者に不愉快な印象を与えかねないものであった。
【0013】
また、真贋判定は段階評価である程度認識することはできるが、トレーディングカード取引市場での常に変動する現在価格までは知ることはできない。また、トレーディングカード取引市場での現在価格は国ごとに異なるのが常であるから、どの国のコレクターと取引するのが一番高価に売買できるかもわからない。
【0014】
このように変動するトレーディングカードの取引価格を知るサービスが展開されていないため、資産価値の高いトレーディングカードの取引も低調であるのが現実である。
さらに、一旦評価を受けたトレーディングカードは、上述したように所定の材料で密閉されているため、簡単には取り出すことができない構造である。
このため、トレーディングカードの所有者が対戦ゲームで使用したい場合、上記密閉状態を開放する作業、いわゆる密閉状態を物理的に破壊する必要がある。
【0015】
一方、対戦後、トレーディングカードを保管するシステムが提供されていないため、保管状態が劣悪になると、当該トレーディングカードの価値も相乗的に低下してしまうという取り扱い上の課題も指摘されていた。
【0016】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、本発明の目的は、所定のトレーディングカードの画像を読み取り、AI判定処理を実行して、読み取ったトレーディングカードの真贋を判定できるトレーディングカード判定評価装置を提供することである。
【0017】
また、ネットワークを介して、流通するトレーディングカードの取引情報を取得し、評価画像と、評価したトレーディングカードの書誌情報から成る評価認定シートを印刷し、該印刷した評価認定シートとトレーディングカードとを一体とする密閉ケースに収容し、トレーディングカードが破損しない密閉ケースに収容した状態で流通させたり、保管したりできるトレーディングカード判定評価装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記目的を達成する本発明のトレーディングカード判定評価装置は以下に示す構成を備える。
【0020】
本発明に係るトレーディングカード判定評価装置は、ネットワークを介して、所定のトレーディングカードに関する最新の真偽情報を含む市場取引情報を提供する取引システムと通信して、対戦ゲームで使用可能な前記所定のトレーディングカードの判定および評価を行うトレーディングカード判定評価装置であって、前記所定のトレーディングカードの画像を読み取る読み取り手段と、前記読み取り手段が光学的に読み取る本物及び偽物のトレーディングカードの表面、裏面、断面の画像の特徴情報を蓄積部にカード毎に蓄積させて前記所定のトレーディングカードの特徴情報を学習する学習手段と、前記読み取り手段が読み取る前記所定のトレーディングカードの画像と、前記学習手段が前記蓄積部に蓄積した前記特徴情報とを比較して、読み取った前記所定のトレーディングカードの真贋を判定する判定手段と、前記読み取り手段が読み取った前記所定のトレーディングカードの劣化状態を複数の要素に基づいて判別する判別手段と、前記判別手段が判別した前記所定のトレーディングカードの劣化状態に基づいて読み取った前記所定のトレーディングカードのランクを評価する評価手段と、前記評価手段が評価したランクと、前記取引システムから提供される前記市場取引情報に基づいて算定した取引額指標となる取引画像を作成する作成手段と、前記作成手段が作成した前記評価手段が評価したランクと、前記市場取引情報に基づいて算定した取引額指標となる取引画像を評価認定シートに印刷する印刷手段と、を備え、前記評価認定シートは、所定の認定マークが付されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、流通するトレーディングカードの真贋を迅速、かつ精度よく判定することができる。
【0023】
また、本発明によれば、流通するトレーディングカードのランクと市場価格とを一体として認証する評価認定シートを印刷し、該印刷した評価認定シートとトレーディングカードとを一体として破損しない密閉ケースに収容することができる。
【0024】
さらに、密閉ケースに収容された流通情報を読み取らせるだけで、トレーディングカードのコレクターは、トレーディングカードの市場価格をいつでも確認することができる。
さらに、対戦に使用するトレーディングカードを劣化しない状態で簡易に保存管理できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】トレーディングカード判定評価装置の構成を示すブロック図である。
図2】トレーディングカード判定評価装置におけるトレーディングカード判定画像を示す図である。
図3】トレーディングカード判定評価装置におけるトレーディングカード判定画像を示す図である。
図4】トレーディングカード判定評価装置におけるトレーディングカード判定画像を示す図である。
図5図1に示した印刷部が印刷してプレス加工した格付け評価シートの一例を示す図である。
図6】トレーディングカード判定評価装置の判定評価方法を説明するフローチャートである。
図7】トレーディングカードサービスシステムの一例を示すブロック図である。
図8】トレーディングカードサービスシステムのグレーディング工程を示す図である。
図9】トレーディングカードの保管方法を説明する状態図である。
図10】トレーディングカードの一例を説明する状態図である。
図11】トレーディングカードの保管状態を説明する状態図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
次に本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して説明する。
<システム構成の説明>
〔第1実施形態〕
次に本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態を示すトレーディングカード判定評価装置の構成を示すブロック図である。
【0027】
図1において、1はトレーディングカード判定評価装置で、制御部2が内部バスに接続される読取部7、AI判定部8、評価部9、作成部10、保存部11、ランク付け部12を総括的に制御する。5は通信部で、インターネット6を介して余地利引きシステムと通信可能に接続する処理を実行する。
3は入力部で、キーボード、マウスデバイス等で構成され、表示部4に表示される画面表示に対して数値入力やアイコン指示等を行う。
【0028】
読取部7は、真トレーディングカード7A、偽トレーディングカード7Bの表面、裏面、断面を光学的に読取り、AI判定部8にその読取った画像情報を出力する。AI判定部8は、トレーディングカードの真偽判定により積み重ねた学習結果をメモリ部8Aに蓄積している。メモリ部8Aには、図2図4に示す真偽判定情報が評価されたトレーディングカード毎に識別可能に蓄積されている。メモリ部8Aには、常に最新の取引で公開となっているトレーディングカードの真偽情報も更新可能に記憶されている。
【0029】
評価部9は、一例としてパッケージのセンタリング、コーナー、エッジ、表面の状態の評価を数値化する。ランク付け部12は、評価部9の評価値の数値の相加平均値を求めて算出した数値を評価値とする。作成部10は、取引システム16から取得する評価対象のトレーディングカードの市場取引情報に基づいて算定した取引額を指標する取引画像を作成する。本例では、取引画像をQRコードで構成する場合を示すが、これに限定されるものではない。保存部11は作成した取引画像を保存し、再度発行指示に対応可能に構成されている。
【0030】
印刷部13は、作成部10が作成した取引画像を、所定のフォーマットで評価シートと開封シールを例えば熱転写方式で所定のシール上に印刷する。ここで、開封シールは、パッケージ15が封印された状態から開封された状態に変位した場合に、剥がれることで表示内容が無効化される。
【0031】
パッケージ部14は、トレーディングカードが所定位置に配置され、評価シートと開封シールとが上部に張り付けられた後、上カバーと下カバーが張り合わされ熱圧着され密封される。このため、通常の保管状態ではトレーディングカード本体が外気に触れることはない。
【0032】
このように構成されたトレーディングカード判定評価装置において、AI判定部8は、偽のトレーディングカードから取得する特徴情報をメモリ部8Aに蓄積して学習しているため、読取部7が取引対象となる所定のトレーディングカードの画像を読み取ると、AI判定部8が読み取ったトレーディングカードの画像と、学習した最新の特徴情報とを比較して、読み取ったトレーディングカードの真贋を迅速に判定することができる。
【0033】
この際、読取部7は、トレーディングカードの表裏面および断面の画像を光学的に読み取り、それぞれが学習した最新の特徴情報との差異を検出することで、トレーディングカードの真贋判定を自動化することができる。
また、評価部9は、読み取ったトレーディングカードの劣化状態を判別する処理を所定の基準(状態パラメータ52~55)に従って判別する処理を行う。
これにより、ランク付け部12は、判別したトレーディングカードの劣化状態に基づいて読み取ったトレーディングカードのランクを評価する処理を行う。
【0034】
そして、作成部10は、評価したランクと取引情報とに基づいて評価画像に変換する処理を行い、認定シート情報を作成する。
【0035】
この際、トレーディングカード判定評価装置1はネットワークを介して流通するトレーディングカードの取引情報をインターネット上に接続されるサーバ装置から取得しておくものとする。なお、サーバ装置が管理する取引情報は、中古市場での取引情報も含まれているものとする。
【0036】
そして、印刷部13は、トレーディングカードの市場における当該トレーディングカードの取引情報を含む認定情報(QRコードを含む)を所定の用紙に印刷する処理を行う。
【0037】
ここで、印刷に使用する用紙は、後述するパッケージ処理により密閉されたトレーディングカードが開封されると損傷するように構成されている。いわば、偽造防止シールの原理に基づくシート材を使用するものとする。このため、再度の認定処理が実行されてパッケージに密封されない状態のトレーディングカードは、市場取引での価値は証明されない。
【0038】
なお、本実施形態では、日本製のトレーディングカードであれば、言語は日本語として印刷する。また、外国製のトレーディングカードの場合は、それぞれの言語に合わせたフォントを使用して書誌事項を印刷する構成を採用している。
これにより、誤ったローマ字表記となることがなくなり、トレーディングカードのコレクターの満足度も高くなる。
パッケージ部14は、印刷した評価認定シートと、トレーディングカードとを一体として透明薄板材で挟持封印するパッケージ処理を行う。
なお、印刷された評価認定シートは、所定の認定コードが付されているため、取引者が事後的に判断することができる。
【0039】
また、評価認定シートは、前記透明薄板材の開封に基づいて、破損する構造を備えるため、トレーディングカードを開封された後においては、対戦時に出し入れ可能にトレーディングカードを密閉保管可能に収容することができる。
さらに、上記トレーディングカード判定評価装置1における、符号8~12を1つのアプリケーションプログラムによるソフトウエア処理に置き換える構成であってもよい。
【0040】
図2図4は、本実施形態を示すトレーディングカード判定評価装置におけるトレーディングカード判定画像を示す図である。
【0041】
図2に示す画像は、(a)が本物の読取画像パターンで、(b)が偽の読取画像パターンである。本例では、読取部7が解像度、例えば1200DPI程度の高精細に読み取り、その結果を表示部4に表示してみると、本物であれば所定の密度のドットパターンが印刷されているにもかかわらず、偽物は所定の密度でドットパターンが印刷されていないため、粗いドットパターンをトレーディングカード15から読み取る。
【0042】
図3は、図1に示したトレーディングカード15の断面画像を示す図である。
【0043】
図3に示すように、本物のトレーディングカード15は、上シートと下シートとの間に、例えば青色の敷紙等特殊な用紙などが介入しているため、読取部7が所定波長の光(例えばブルーライト)を照射するとその反射画像を読み取ると、表示部4にはその青色の筋画像を認識することができる。
【0044】
図4は、図1に示したトレーディングカード15の反射画像を示す図である。
【0045】
図4に示すように、本物のトレーディングカード15は、上シートと下シートとの間に、例えば青色の特殊用紙等が介入しているため、読取部7が所定波長の光を照射するとその反射画像を読み取ると、表示部4にはその青色の筋画像を認識することができる。この青筋の状態がトレーディングカードの真贋判定の決め手となる場合もある。また、カードは製品毎に重量がおおよそ明確になっているため、0.01g以上の高精度で測定する重量測定装置を設け、AI判定部8がトレーディングカードの真贋を判定する構成を組み合わせることで、トレーディングカードの重量からも真偽判定に活用できる。
具体的には、トレーディングカードの重量を測定するデジタル計量器の精度は、1/100であれば適用可能であり、AI判定部8が、デジタル計量器が測定したトレーディングカードの重量と、あらかじめ記憶された真贋判定重量とを比較して真贋判定を行うことで十分な精度でトレーディングカードの真贋を判定することも可能である。
また、重量によるトレーディングカードの真贋判定と、読取部7による読取処理に基づくトレーディングカードの真贋判定とを組み合わせてより精度よく真贋判定を行うことができる。
図5は、図1に示した印刷部13が印刷してプレス加工した格付け評価シートの一例を示す図である。
【0046】
図5において、51は格付け評価シートで、状態パラメータ52~55の数値を相加平均して得られる数値(カードランク)56がランク「9.5」として印刷された状態を示す。57はQRコードで、読み取ったトレーディングカードの市場価格を取引システム16から取得して作成される。
【0047】
これにより、トレーディングカードのQRコードを後述するトレーディングカードサービスシステムが読み取り、トレーディングカードの市場価格を認識するので、トレーディングカードのコレクターは、従来のような米国にトレーディングカードを鑑定料とともに空輸する等の費用が格段に節約され、さらに空輸における破損や紛失のリスクを回避することが出来るようになる。
【0048】
また、トレーディングカードサービスシステムが管理する市場価格と米国のPSAとの差額も一定の範囲に収束するので、トレーディングカードを収集するコレクターは、いつでも変動する市場価格を認識できる。
【0049】
図6は、本実施形態を示すトレーディングカード判定評価装置の判定評価方法を説明するフローチャートである。なお、(1)~(15)は各ステップを示す。各ステップは、制御部2がメモリ部2aから制御プログラムを読み出して実行することで実現される。
【0050】
まず、制御部2からの読取指示に従い読取部7にセットされたトレーディングカードを読み取らせる(1)。制御部2は、読取部7からAI判定部8に出力された読み取ったトレーディングカードの画像情報に対する判定指示を行う。これに従い、AI判定部8は、読み取るトレーディングカードの画像情報と、学習してメモリ部8Aに蓄積されている最新の特徴情報と比較して真偽判定する(2)。
【0051】
ここで、前記制御部2は、AI判定部8による真偽判定結果が真状態であると判断した場合、ステップ(3)へ進み、トレーディングカードの真偽判定結果を表示部4に表示する。次に、制御部2は、評価部9に対してトレーディングカードの状態の評価開始を指示する。これの指示を受けた評価部9は、複数の状態変数(状態パラメータ52~55)を数値化する(4)。
【0052】
次に、制御部2は、ランク付け部12に対してトレーディングカードのランク付けの開始を指示する。これの指示を受けたランク付け部12は、状態パラメータ52~55の相加平均を演算してカードランク56を確定する(5)。
【0053】
次に、制御部2は、作成部10に対してトレーディングカードの市場価格の調査開始を指示する。これの指示を受けた作成部10は、通信部5を介してインターネット上6の取引システム16に接続して、読み取ったトレーディングカードの取り引される市場情報を取得し、トレーディングカードの取引き価格を決定する(7)。
次に、作成部10は、評価したランクと取引情報とに基づいて評価画像に変換する処理を行い、認定シート情報(例えばQRコード)を作成する(8)。
【0054】
次に、制御部2は、作成した取引情報に対する印刷指示がなされているかどうかを判断し(9)、制御部2は、印刷指示がなされていると判断した場合、印刷部13にランク付けされた数値と、QRコードとを含む評価認定シートを印刷して(10)、本処理を終了する。
【0055】
一方、ステップ(9)において、制御部2は、印刷指示がなされていないと判断した場合、評価認定シートの情報を保存部11に保存して(11)、本処理を終了する。
【0056】
一方、ステップ(2)で、AI判定部8が読み取ったトレーディングカードが偽物であると判断した場合、制御部2は、表示部4に偽物判定結果を表示する(12)。なお、表示部4に偽物判定されたトレーディングカードの価値は、市場価格よりも大幅に安価な価格となるが、資産価値とは別の次元でトレーディングカードを集めるコレクターも存在するので、常に評価額がゼロになるとは限らない。
【0057】
これにより、トレーディングカード取引市場において、トレーディングカードのコレクターにとって一定の評価価値を示す指標を発行することができ、所有するトレーディングカードの資産価値を容易に算出することができる。
また、コレクターは、資産価値を算出することで、当該トレーディングカードを市場において有償譲渡して資金を調達することも可能となる。
【0058】
また、トレーディングカードの取引が活発化して当該指標による取り引きの信頼度が上がることで、トレーディングカードのオークションシステムも構築することが可能となる。
このように、本出願人が提唱するトレーディングカード評価システムを利用することで、トレーディングカードの資産価値をさらに高めることができる。
なお、本実施形態において上記真贋判定では、読取部7は、トレーディングカードの表裏面および断面の画像(a)や、光の透過度(b)、反射度(c)等を読み取る例を示した。
これに対して、読取部7は、上記(a)と、(b)、または、上記(a)と、(c)を読み取り、AI判定部8がトレーディングカードの真贋を判定する構成としてもよい。
〔第1の実施形態の効果〕
第1の実施形態によれば、トレーディングカード自体の真贋判断と、市場価格を取得可能な状態でトレーディングカードを保管することができる。
〔第2実施形態〕
【0059】
図7は、本実施形態を示すトレーディングカードサービスシステムの一例を示すブロック図である。なお、図1と同一のものには同一の符号を付してその説明を省略する。
【0060】
図7において、17はサーバ装置で、インターネット6に接続され、データベース部17Aには取引システム16で公表されているトレーディングカードの市場価格変動(日本を含む世界市場)を調査して、動的に変動する最新のトレーディングカード市場価格を記憶している。
【0061】
18はユーザーPCで、図示しないトレーディングカード取引アプリケーションがインストールされている。ユーザーは、トレーディングカード取引アプリケーションを実行することで、サーバ装置17にアクセスして価格一覧を表示して、所有するトレーディングカードを検索することで、市場価格を認識することができる。
【0062】
また、ユーザーは、トレーディングカード判定評価装置1を運用する店舗に所有するトレーディングカードを持ち込み、トレーディングカードの鑑定依頼を行うと、図8に示す手順でトレーディングカードのグレーディング工程の結果を取得することができる。
遠方地域に住むユーザーは、本出願人もしくは、その許諾した者が運用するホームページより、鑑定依頼の申し込みを行い、所定の費用支払いを行うことで、カード鑑定を国内郵送依頼するための梱包キッドが郵送されてくる。
耐衝撃性を備えかつ、追跡可能な同梱包キッドに、鑑定依頼するカードを封入し、送付することで、遠隔地からも鑑定に依頼することができる。
【0063】
このように構成されたトレーディングカードサービスシステムは、トレーディングカード管理装置と、トレーディングカードの取引情報を蓄積して管理するサーバ装置と、が通信する構成を採用している。
【0064】
このようなトレーディングカードサービスシステムにおいて、トレーディングカード管理装置1が読み取る評価認定シートに対する取引情報に基づく取引価格をサーバ装置17から取得して提示する。
【0065】
ここで、サーバ装置17は、インターネット6を介して取引システム16から定期的に取得してトレーディングカードの市場価格を更新可能に管理している。
【0066】
このため、サーバ装置17は、トレーディングカード15の中古市場の取引情報を取得して管理し、ユーザーPC18またはトレーディングカード判定評価装置1から受け取るトレーディングカードの市場価格提示要求に応答して、最新の市場価格を迅速に応答することができる。
【0067】
図8は、本実施形態を示すトレーディングカードサービスシステムのグレーディング工程を示す図である。
【0068】
トレーディングカードを所有して、鑑定を希望するユーザーは、本システムを運用する店舗へ出向き、受付窓口にトレーディングカードを提出し、鑑定依頼書に必要事項を記載して鑑定依頼を行うと、図7に示した読取部7によるトレーディングカード読み取り工程→AI判定部8によるAI判定工程→評価部9,作成部10が協働する市場価格チェック工程→ランク付け部12によるグレード確定工程を実行して、預かったトレーディングカードと、鑑定結果の印刷結果と預かったトレーディングカードを返送する。
郵送による送付の場合は、本出願人所管もしくは、その許諾を受けたホームページで、カード鑑定希望者が、鑑定申請を行い、金額を支払った後、カード鑑定を国内郵送依頼するための梱包キッドが郵送されてくる。
耐衝撃性を備えかつ、追跡可能な同梱包キッドに、鑑定依頼するカードを封入し、送付することで、遠隔地からも鑑定に依頼することができる。
【0069】
このようなトレーディングカードサービスシステムを提供することで、トレーディングカードのコレクターは、いつでも変動する資産価値を認識することが可能となる。
【0070】
なお、トレーディングカードを取引する団体自身が、トレーディングカードサービスシステムが鑑別したトレーディングカードの価値と、価格とを認定する書面を発行するサービスを加えてもよい。
〔第2実施形態による効果〕
【0071】
本実施形態によれば、現在のトレーディングカード評価依頼をサービス店舗で処理でき、迅速かつ、安価な費用で所定するトレーディングカードの流通価格を認識することができる。
【0072】
また、トレーディングカードが輸送取扱者によって破損する等の事故も回避でき、トレーディングカード評価サービスをビジネスとして展開することも可能となる。
【0073】
〔第3実施形態〕
図9は、本実施形態を示すトレーディングカードの保管方法を説明する状態図である。
トレーディングカードは、それぞれのカードの能力に応じて所有者が対戦相手に提示して勝敗を決すゲームである。
したがって、カードコレクターとは別に、トレーディングカード実物を使用してゲームを対戦したいと考えるユーザーも数多い。
【0074】
そこで、第1、第2で示したトレーディングカードをパッケージから分離する行為を行うと、上述したようにトレーディングカード15に付与した、QRコードとを含む評価認定シートが損傷するため、そのトレーディングカードの価値は認定および証明できない状態に遷移する。
【0075】
このため、トレーディングカードをそのままの状態で保管すると、対戦回数が嵩むと、トレーディングカードの状態も劣化(エッジ損傷、印刷擦り切れ当)を進んでしまう。
【0076】
そこで、ユーザーがトレーディングカード15からトレーディングカード本体91を取り出し、ゲームで対戦した後、真空密閉可能な開封自在の袋体92へ収納する。なお、袋体92は一定形状を記憶する記憶形状板が収容されているので、当該袋体92へトレーディングカード本体が収容されている状態では折曲がりによる変形を回避できるものとする。
また、袋体92に外気掃き出し口93を設けて、袋体92の内部を外気に触れない状態にすることで、トレーディングカード本体の劣化を防止できるように構成してもよい。
なお、外気を排気する装置として、家庭用の食品保存用のフィールシートに使用する吸引装置を利用することができる。
〔第3実施形態の効果〕
【0077】
本実施形態によれば、トレーディングカード本来の対戦ゲームを楽しむユーザーにとって、トレーディングカードの損傷をできるだけ回避できるので、トレーディングカードの取引に耐え得る状態での保管が可能となる。
【0078】
本発明の各工程は、ネットワーク又は各種記憶媒体を介して取得したソフトウエア(プログラム)をパソコン(コンピュータ)等の処理装置(CPU、プロセッサ)にて実行することでも実現できる。
【0079】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形(各実施形態の有機的な組合せを含む)が可能であり、それらを本発明の範囲から除外するものではない。
【符号の説明】
【0080】
1 トレーディングカード判定評価装置
7 読取部
8 AI判定部
9 評価部
10 作成部
11 保存部
12 ランク付け部
【要約】
【課題】 所定のトレーディングカードの画像を読み取り、AI判定処理を実行して、読み取ったトレーディングカードの真贋を判定すること。
【解決手段】
対戦ゲームで使用可能な所定のトレーディングカードの判定および評価を行うトレーディングカード判定評価装置1において、所定のトレーディングカードの画像を読み取り、AI判定処理を実行することで、トレーディングカードの真贋の判定を行う。そして、トレーディングカードの現在の状態を数値化して、ランク付けを確定する。
【選択図】 図6
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11