(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-27
(45)【発行日】2023-04-04
(54)【発明の名称】案内システム
(51)【国際特許分類】
G01C 21/26 20060101AFI20230328BHJP
G08G 1/005 20060101ALI20230328BHJP
G08B 21/02 20060101ALI20230328BHJP
【FI】
G01C21/26 P
G08G1/005
G08B21/02
(21)【出願番号】P 2018163745
(22)【出願日】2018-08-31
【審査請求日】2021-08-03
(73)【特許権者】
【識別番号】513211744
【氏名又は名称】株式会社WHERE
(73)【特許権者】
【識別番号】000162593
【氏名又は名称】エクシオグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123319
【氏名又は名称】関根 武彦
(74)【代理人】
【識別番号】100123098
【氏名又は名称】今堀 克彦
(72)【発明者】
【氏名】丸田 一
(72)【発明者】
【氏名】藤島 伸吾
【審査官】田中 将一
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-032428(JP,A)
【文献】特開2017-106787(JP,A)
【文献】特開2006-146545(JP,A)
【文献】特開2018-054308(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
G01C 21/00 - 21/36
G01C 23/00 - 25/00
G08B 19/00 - 21/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
案内対象エリア内に設けられた複数のビーコンと、前記案内対象エリア内の通路を移動するユーザが携帯し、前記ビーコンに基づいて前記通路を歩行するユーザへの案内情報を出力する案内装置とを備える案内システムであって、
前記ビーコンが、当該ビーコンを識別する情報を含むビーコン信号を送信する送信部を備え、
前記案内装置が、
前記ビーコン信号を受信し、前記ビーコン信号に基づいて前記ユーザの現在位置を特定する測位部と、
前記測位部で求めた現在位置から、所定の経路に沿って目的地へ向かうための案内情報を生成する案内生成部と、
前記案内情報を音声メッセージとして出力する音声出力部と、を備え、
前記複数のビーコンが、
案内を要する特定の場所である要所に設けられ、所定の位置検出精度に応じて、前記ビーコン信号を送信する電波の到達距離が定められた第一のビーコンと、
前記要所以外に設けられ、前記第一のビーコンよりも前記電波の到達距離が長く設定された第二のビーコンとを備え
、
複数の前記ビーコンが、それぞれ、他のビーコンとメッシュ通信を行い、当該メッシュ通信により前記案内装置から信号を受信する管理装置をさらに備え、
前記案内装置が、現在位置を示す位置信号を定期的に前記管理装置へ送信し、
前記管理装置が、所定時間以上前記位置信号を受信しない場合に、管理者に対して救護の要求を報知する
案内システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、案内システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、視覚障がい者を誘導するための設備として、点字ブロック(視覚障害者誘導用ブロック)が用いられている。
【0003】
また、特許文献1では、搬送波を歩行位置情報信号に基づいて被変調波に変調して出力する被変調波出力手段を有する送信システムと、受信した該被変調波の該歩行位置情報信号を所定の信号に変換して出力する被変調波受信手段を有する受信システムとを備える情報案内システムが提案されている。当該情報案内システムでは、送信システムが、該被変調波の到達可能範囲内で且つこれより狭い範囲に目標物位置情報信号としての赤外線信号を出力する信号出力手段を有し、該信号出力手段が該到達可能範囲内に位置する目標物に設置されている。更に、該受信システムが、受信指向性を発揮し得る信号受信部で受信した該目標物位置情報信号を所定の信号に変換して出力する信号受信手段を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
点字ブロックは、都市部の歩道や、駅、バスターミナル等、多数の人が通行する路面上において広く用いられているが、全ての路面に設けられているものではなく、特に、屋内に設置されるものは少なかった。このため、ホテルや病院、役所等の屋内で視覚障がい者が介助なしに歩行することが難しかった。
【0006】
また、特許文献1に記載の情報案内システムでは、目標物の位置を示す赤外線信号(目標物位置情報信号)を送信し、これを受信指向性を発揮し得る信号受信部で受信する構成としている。このため、目標物位置情報信号を受信できる範囲が狭く、目標物に十分に近づかないと歩行位置情報信号を受信できないという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、ユーザの移動を適切に支援することが可能な技術の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の案内システムは、
案内対象エリア内に設けられた複数のビーコンと、前記案内対象エリア内の通路を移動するユーザが携帯し、前記ビーコンに基づいて前記通路を歩行するユーザへの案内情報を出力する案内装置とを備える案内システムであって、
前記ビーコンが、当該ビーコンを識別する情報を含むビーコン信号を送信する送信部を備え、
前記案内装置が、
前記ビーコン信号を受信し、前記ビーコン信号に基づいて前記ユーザの現在位置を特定する測位部と、
前記測位部で求めた現在位置から、所定の経路に沿って目的地へ向かうための案内情報を生成する案内生成部と、
前記案内情報を音声メッセージとして出力する音声出力部とを備える。
【0009】
前記案内システムは、複数の前記ビーコンが、それぞれ、他のビーコンとメッシュ通信を行い、当該メッシュ通信により前記案内装置から信号を受信する管理装置をさらに備え、
前記案内装置が、前記経路以外に設けられた前記ビーコンから前記ビーコン信号を受信した場合、前記案内対象エリア以外に設けられたビーコンからビーコン信号を受信した場合、又は前記案内対象エリア内の立入禁止エリアに設けられた前記ビーコンから前記ビーコン信号を受信した場合に、前記ビーコンのメッシュ通信により、異常を知らせる異常通知を前記管理装置へ送信する異常通知部を備えてもよい。
【0010】
前記案内システムは、複数の前記ビーコンが、それぞれ、他のビーコンとメッシュ通信を行い、当該メッシュ通信により前記案内装置から信号を受信する管理装置をさらに備え、
前記案内装置が、現在位置を示す位置信号を定期的に前記管理装置へ送信し、
前記管理装置が、所定時間以上前記位置信号を受信しない場合に、管理者に対して救護の要求を報知してもよい。
【0011】
上記課題を解決するため、本発明の案内方法は、
通路を移動するユーザが携帯し、前記通路に設けられた複数のビーコンに基づいて前記通路を歩行するユーザへの案内情報を出力する案内装置が、
前記ビーコンを識別する情報を含むビーコン信号を前記ビーコンから受信し、前記ビーコン信号に基づいて前記ユーザの現在位置を特定するステップと、
前記ステップで求めた現在位置から、所定の経路に沿って目的地へ向かうための案内情報を生成するステップと、
前記案内情報を音声メッセージとして出力するステップと、を実行する。
【0012】
前記案内方法は、複数の前記ビーコンが、それぞれ、他のビーコンとメッシュ通信を行い、当該メッシュ通信を介して前記案内装置が管理装置と通信し、
前記案内装置が、前記経路以外に設けられた前記ビーコンから前記ビーコン信号を受信した場合、前記案内対象エリア以外に設けられたビーコンからビーコン信号を受信した場合、又は前記案内対象エリア内の立入禁止エリアに設けられた前記ビーコンから前記ビーコン信号を受信した場合に、前記ビーコンのメッシュ通信により、異常を知らせる異常通知を前記管理装置へ送信してもよい。
【0013】
上記課題を解決するため、本発明の案内プログラムは、
通路を移動するユーザが携帯し、前記通路に設けられた複数のビーコンに基づいて前記通路を歩行するユーザへの案内情報を出力する案内装置に、
前記ビーコンを識別する情報を含むビーコン信号を前記ビーコンから受信し、前記ビーコン信号に基づいて前記ユーザの現在位置を特定するステップと、
前記ステップで求めた現在位置から、所定の経路に沿って目的地へ向かうための案内情報を生成するステップと、
前記案内情報を音声メッセージとして出力するステップと、を実行させる。
【0014】
前記案内プログラムは、複数の前記ビーコンが、それぞれ、他のビーコンとメッシュ通信を行い、当該メッシュ通信を介して前記案内装置が管理装置と通信し、前記案内装置が、前記経路以外に設けられた前記ビーコンから前記ビーコン信号を受信した場合、前記案内対象エリア以外に設けられたビーコンからビーコン信号を受信した場合、又は前記案内対象エリア内の立入禁止エリアに設けられた前記ビーコンから前記ビーコン信号を受信した場合に、前記ビーコンのメッシュ通信により、異常を知らせる異常通知を前記管理装置
へ送信させてもよい。
【0015】
また、本発明は、前記プログラムをコンピュータが読み取り可能な記録媒体に非一時的に記録したものであってもよい。コンピュータに、この記録媒体のプログラムを読み込ませて実行させることにより、その機能を提供させることができる。
【0016】
ここで、コンピュータ等が読み取り可能な記録媒体とは、データやプログラム等の情報を電気的、磁気的、光学的、機械的、または化学的作用によって蓄積し、コンピュータ等から読み取ることができる記録媒体をいう。このような記録媒体のうちコンピュータ等から取り外し可能なものとしては、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、CD(Compact Disc)、CD-R/W、DVD(Digital Versatile Disk)、ブルーレイディスク(Blu-ray Disc(登録商標))、DAT、8mmテープ、フラッシュメモリなどのメモリカード等がある。また、コンピュータ等に固定された記録媒体としてハードディスクやROM(リードオンリーメモリ)等がある。
【発明の効果】
【0017】
本案内システムによれば、ユーザの移動を適切に支援することが可能な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図2】アドバタイズパケットのデータ形式を示す図である。
【
図3】実施形態に係るビーコンの機能ブロックの例を示す図である。
【
図4】実施形態に係る案内装置の機能ブロックの例を示す図である。
【
図5】ビーコンの識別情報とビーコンの設置位置の座標とを対応付けて記憶した位置信号テーブルの一例を示す図である。
【
図6A】通路に設けられたビーコンと、その電波到達範囲を示す図である。
【
図6B】要所に配置したビーコンの電波到達距離より他のビーコンの電波到達距離を長く設定した例を示す図である。
【
図7】複数のビーコンから受信したビーコン信号を用いて測位する手法の説明図である。
【
図9】実施形態に係る管理装置の機能ブロックの例を示す図である。
【
図10】情報処理装置のハードウェア構成例を示す図である。
【
図11A】実施形態に係る案内装置が実行する案内方法を示す図(1/2)である。
【
図11B】実施形態に係る案内装置が実行する案内方法を示す図(2/2)である。
【
図12】実施形態に係る管理装置が実行する案内方法を示す図である。
【
図13】案内を開始する地点(フロント)があるフロアを示す図である。
【
図15】変形例におけるビーコンの配置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。以下の実施形態の構成は例示であり、本発明は実施形態の構成に限定されない。
【0020】
〈実施形態1〉
《システム構成》
図1は、本発明に係る案内システム1の概略図である。案内システム1は、主に施設内
の通路を移動するユーザ(例えば視覚障がい者)を目的地へ案内する。案内システム1は、案内対象エリア内及び案内対象エリア周辺に設けられた複数のビーコン10と、当該ビーコン10から取得した信号に基づいてユーザへの案内情報を出力する案内装置20と、案内装置20の位置等の情報を管理する管理装置30とを備える。本実施形態の案内システム1は、ホテル内を案内対象エリアとし、例えばフロントでチェックインしたユーザをフロントから客室へ案内する。また、エレベータやエスカレータの出口、客室など、任意の場所で、ユーザが目的地を入力した場合に、現在位置から目的地へ案内する。なお、本実施形態では、ユーザの主な移動手段が歩行であるが、歩行に限定するものではなく、カートや車いす等で移動してもよい。また、ユーザがエレベータやエスカレータに乗って移動した場合もユーザの移動とする。
【0021】
ビーコン10は、案内システム1を利用するユーザが歩行する通路に沿って複数設置されている。特に、ビーコン10は、通路の曲がり角や分岐点、客室のドア(出入り口)、エレベータの出入り口等、案内に必要な特定の場所(以下、要所とも称す)に設けられている。なお、各設置位置における通路内の設置箇所は、通路の側壁、天井、床など、任意に設けられる。また、ビーコン10の設置位置は、通路内に限定されるものではなく、通路外に設けられてもよい。例えば、ユーザが通路から外れた場合や立入禁止区域に立ち入った場合に、これを検知するため、通路外(案内エリア外)や立入禁止区域にビーコン10を設置している。複数のビーコン10の各々は、少なくとも1つの他のビーコン10の電波到達距離内に配置され、他のビーコンと相互に通信を行う機能、即ちメッシュ通信を行う機能を有し、全体としてマルチホップ無線ネットワーク(メッシュネットワーク)を形成する。なお、相互に通信可能とした複数のビーコンを総称してビーコンメッシュとも呼ぶ。ビーコン10の電波到達距離は、ビーコン信号に基づいて現在地を求める際の精度に応じて定めてもよい。例えば、通路の曲がり角等の要所に設けられているビーコンの電波到達距離を他のビーコンの電波到達距離よりも短く設定してもよい。
【0022】
ビーコン10は、ビーコン10自身の識別情報を含むビーコン信号を送信する。この識別情報は、各ビーコン10を一意に識別可能な情報である。ビーコン10は、例えばBluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)、無線LANといった無線通信規格に従ってビ
ーコン信号の送信や他の装置(ビーコン10等)との通信を行う。本実施形態では、ビーコン10が、無線通信規格としてBluetooth Low Energyを採用し、ビーコン信号としてアドバタイズパケットを送信する。
図2は、アドバタイズパケットのデータ形式を示す図である。
図2に示すように、アドバタイズパケット61は、ペイロード62に、UUID63を有する。そして、本実施形態では、ビーコン10が、本システムの案内サービスを示すID64と、ビーコン10自身の識別情報65とからなるUUID63をアドバタイズパケット61に含めて送信する。
【0023】
案内装置20は、ユーザの音声等により、目的地が入力されると、現在地から目的地までの経路を決定する。例えば、ユーザが、フロントでチェックインし、宿泊する部屋が確定した場合に、この部屋番号を入力すると、案内装置20が、現在位置(フロント)から当該部屋番号で識別される部屋(目的地)までの経路を算出する。そして、案内装置20は、ビーコン10からビーコン信号を受信することで、案内装置20の現在位置を特定し、現在位置から経路に従って目的地へ移動するための音声案内をユーザに対して出力する。
【0024】
管理装置30は、ビーコンメッシュを介して案内装置20から信号を受信し、ユーザの救護が必要な場合に管理者(例えばフロントのスタッフ)に通知する。
【0025】
〈ビーコン10の機能構成〉
図3は、本実施形態に係るビーコン10の機能ブロックの例を示す図である。ビーコン
10は、通信部11や、記憶部12を備える。
【0026】
通信部11は、ビーコン信号を送信する送信部の一形態である。通信部11は、例えば本システムのビーコン信号であることを示すID64(
図2)と、当該ビーコン10の識別情報65とをUUID63として含むビーコン信号を送信する。また、通信部11は、他のビーコン10や案内装置20、管理装置30等の装置(以下単にビーコン10等とも称す)との間で双方向に情報の送受信を行う。例えば、BLE(Bluetooth Low Energy)におけるGATTのようなプロファイルに基づいて相互通信を行うようにしてもよい。例えば、通信部11は、コネクション型の通信を行ってもよい。通信部11は、他のビーコン10等からメッシュ通信を示すID64と当該ビーコン10の識別情報65等を含む信号を受信した場合、当該他のビーコン10等と相互通信し、位置信号や異常通知等の情報と、その宛先を示す識別情報とを含む情報を周辺のビーコン又は管理装置30へ送信(マルチホップ)する。通信部11は、受信した信号に含まれる情報を、記憶部12に格納する。
【0027】
記憶部12は、不揮発性メモリであり、例えばマイクロプロセッサが有するフラッシュメモリのようなEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory
)等によって実現される。また、記憶部12は、予め定められた自身のビーコン10の識別情報や、記憶部12は、受信した信号に含まれる情報などを格納する。
【0028】
〈案内装置20の機能構成〉
図4は、本実施形態に係る案内装置20の機能ブロックの例を示す図である。案内装置20は、チェックイン時等にユーザに貸し出され、ユーザが携帯することでユーザと共に移動する。案内装置20は、例えば、PDR(Pedestrian Dead Reckoning)といった専
用の装置として構成される。また、案内装置20は、ユーザが所有するスマートフォンや携帯電話等で案内用のプログラムを実行することにより案内装置20として機能するものであってもよい。案内装置20は、
図4に示すように、測位部21と、経路算出部22と、案内情報生成部23と、案内情報出力部24と、位置情報送信部25と、異常通知部26と、記憶部27を有する。
【0029】
測位部21は、ビーコン10からビーコン信号を受信し、このビーコン信号に基づいて当該案内装置20の現在位置、即ち案内装置20を携帯するユーザの現在位置を特定する。例えば、測位部21は、本システムのビーコン信号であることを示すID64をUUIDに含むアドバタイズパケットをビーコン信号として受信することで、当該ビーコン信号に含まれる識別情報65で識別されるビーコン10の電波到達距離内に位置していること、即ち当該ビーコン10の設置位置近傍に位置していることが特定できる。
【0030】
この場合、現在位置を示す位置情報としては、現在受信しているビーコン信号に含まれる識別情報を用いることができる。また、位置情報は、歩行者が移動する空間に定められた座標系における座標や経緯度であってもよい。この場合、現在位置を示す位置情報としては、例えば、現在受信しているビーコン信号から特定されるビーコンの設置位置を示す座標又は経緯度を用いることができる。更に、測位部21は、ユーザの移動に伴って案内装置20が移動した際、加速度センサや地磁気センサといった検出部の検出結果に基づいて、案内装置20の位置を求めてもよい。例えば、ビーコン信号に基づいて、案内装置20がフロントやエレベータ前等の要所に位置したことを検出し、この要所に位置してから現在までに移動した方向や移動量を検出部によって検出する。具体的には、フロントから北(移動方向)へ5m(移動量)、エレベータ前から北へ3m、東へ5mなどのように、要所の位置を基準とし、検出部で求めた移動方向及び移動量に基づいて、この要所から移動した後の位置を求め、この位置を示す座標又は経緯度を現在地の位置情報とする。
【0031】
図5は、ビーコン10の識別情報とビーコン10の設置位置の座標とを対応付けて記憶した位置信号テーブルの一例を示す図である。
図5における設置位置の座標は、案内対象エリアに定められた互いに直交するX軸,Y軸,Z軸からなる座標系における座標であり、各階の平面内の位置をX軸,Y軸上の値で示し、高さ方向の位置をZ軸上の値で示している。測位部21は、例えば受信したビーコン信号の識別情報が10-30であった場合、位置信号テーブルを参照して当該ビーコン10の設置位置の座標を求め、この座標(3367,5492,2100)から電波到達距離内に案内装置20が存在することを特定する。
【0032】
図6Aは、通路に設けられたビーコン10と、その電波到達範囲を示す図である。
図6Aでは、通路に沿ってビーコン10を複数設けており、それぞれ符号10に枝番を付し、符号10-21~10-42のように示している。また、
図6Aでは、各ビーコン10-21~10-42から電波到達距離内にある電波到達範囲を二点鎖線の円1A-21~1A-42で示している。本実施形態では、各ビーコン10は、少なくとも1つの他のビーコン10の電波到達距離内に配置されているため、案内装置20は
図6Aに示すように複数のビーコン10の電波到達範囲内に位置していることが多い。
図6Aでは、案内装置20がビーコン10-29,10-30の電波到達範囲内に位置している。この場合、測位部21は、位置信号テーブルを参照してビーコン10-29,10-30の設置位置(3335,5492,2100)(3367,5492,2100)を求め、この中間(3351,5492,2100)に案内装置20が存在するものと特定してもよい。
【0033】
このようにビーコン信号に基づいて案内装置20の位置を特定する場合、ビーコン信号の電波到達距離が短い方が特定される範囲が狭くなり、精度が高くなる。しかしながら、電波到達距離が短いと、この電波到達距離内に他のビーコンを配置してビーコンメッシュを構成することになるため、多数のビーコン10を設置する必要がある。このため
図6Bに示すように要所に配置したビーコン10-24の電波到達距離を他のビーコン10の電波到達距離より短く設定して要所での位置検出精度を高くし、要所以外のビーコン10の電波到達距離を長く設定してビーコン10の設置数を抑えた構成としてもよい。
【0034】
なお、
図6A、
図6Bでは、案内装置20がビーコン10から受信したビーコン信号に基づいて、当該ビーコン10の電波到達距離内に位置していることを特定したが、これに限らず、ビーコン信号の受信強度(RSSI:Received Signal Strength Indicator)に基づいて案内装置20の位置を検出する構成としてもよい。受信強度は、案内装置20とビーコン10との距離が長くなるのにしたがって、小さくなる。例えば、受信強度(エネルギー)は、距離の-2乗に比例する。このため案内装置20は、ビーコン信号の送信出力と受信強度から、当該ビーコン信号を発信したビーコン10との距離を求めることができる。また、案内装置20は、
図5に示すように各ビーコン10の位置を予め記憶しておき、複数のビーコン10の位置と、これらのビーコン10との距離とに基づいて案内装置20の位置を求める。
【0035】
図7は、複数のビーコン10から受信したビーコン信号を用いて測位する手法の説明図である。各ビーコン10-31,10-32,10-33が所定出力(例えば2mW)でビーコン信号を送信し、案内装置20が、当該所定出力で送信されたビーコン信号を受信した際に受信強度を測定し、この減衰の程度によって距離を求める。ここで、案内装置20とビーコン10-31との距離がr1であった場合、ビーコン10-31の設置位置(3399,5492,2100)を中心とした半径r1の円周R1上に案内装置20が存在する。同様に、ビーコン10-32との距離がr2であった場合、ビーコン10-32の設置位置(3431,5492,2100)を中心とした半径r2の円周R2上に案内装置20が存在し、ビーコン10-33の設置位置(3430,5534,2100)を中心とした半径r3の円周R3上に案内装置20が存在する。従って、円周R1,R2,R3の交わる箇所99が案内装置20の現在位置であることが求まる。なお、上記の例では3つのビーコン信号を用いた例を示したが、
これに限らず4つ以上のビーコン信号を用いても、2つのビーコン信号を用いてもよい。
【0036】
また、測位部21は、加速度センサや地磁気センサ等の検出部による検出結果に基づいて、案内装置20の向きを特定する。これにより測位部21は、案内装置20を特定の状態で保持するユーザの向きを特定することができる。
図8は、案内装置20の保持状態の一例を示す図である。
図8は、ユーザを上方から視た平面図であり、ユーザ81の正面側(図の上方)を前方、ユーザ81の背面側(図の下方)を後方、ユーザ81の左右側を左右方向と
図8の例では、ユーザが、案内装置20を胸の前で水平に持ち、案内装置20の上部を前方に向けている。これにより、案内装置20の向きから、ユーザを案内する向きを特定することができる。なお、
図8は、一例であり、この保持形態に限定されるものではなく、案内装置20を胸ポケットへ特定の向きで入れること、腕や腰に特定の向きで装着することなど、案内装置20とユーザの向きとの関係が特定できる保持形態であればよい。
【0037】
経路算出部22は、記憶部27に格納されている地図情報に基づいて、目的地までの経路を示す経路情報を算出する。
【0038】
案内情報生成部23は、測位部21で求めた現在位置及び向きから、所定の目的地へ向かうための案内情報を生成する。例えば、「10m直進し、突き当たりを右折です。」「右手側の壁に沿って進みます。」等のように、現在位置から、次の曲がり角、即ち次に進む向きを変える箇所等、次の要所までの距離や方向を示す情報を生成する。例えば、現在位置を示す位置情報がビーコン10の識別情報である場合、この識別情報から特定されるビーコン10の設置位置から次の要所までの距離や方向を地図情報から求める。例えば、
図6Aに示すように案内装置20がビーコン10-29,10-30の電波到達範囲内に位置し、案内装置20が、ビーコン10-29,10-30の中間(3351,5492,2100)に位置すると特定された場合、この座標(3351,5492,2100)と次の要所に設置されたビーコン10-24の座標(3175,5492,2100)とから、この座標間の距離を求めて、「10m直進し、・・・」のように、次の要所までの距離を示す案内情報とする。
【0039】
案内情報出力部24は、案内情報生成部23で生成した案内情報をユーザに対して出力する。例えば、案内情報出力部24は、案内情報に基づいて音声メッセージを合成し、スピーカ(不図示)から出力させる。また、音声メッセージに限らず、案内情報出力部24は、案内情報を表示装置(不図示)に表示出力させる。この場合、案内情報出力部24は、文字の大きさや、表示する範囲の大きさ、背景色を黒にし、白抜き文字で表示するなど、ロービジョンのユーザに対して障がいの態様や程度に応じた設定で表示させてもよい。
【0040】
位置情報送信部25は、現在位置を示す位置情報を定期的に周囲のビーコンを介して管理装置30へ送信する。位置情報を受信した周囲のビーコン10は、更に周囲のビーコン10へ位置情報を送信(マルチホップ)し、この周囲のビーコン10への送信を繰り返して管理装置30へ伝達する。
【0041】
異常通知部26は、経路以外に設けられたビーコン10からビーコン信号を受信した場合や、案内対象エリア以外に設けられたビーコン10からビーコン信号を受信した場合に、異常を知らせる異常通知を管理装置30へ送信する。また、異常通知部26は、案内対象エリア内の立入禁止エリアに設けられたビーコン10からビーコン信号を受信した場合や、ユーザが救護を求め、救護信号の送信を選択した場合に、異常通知を管理装置30へ送信する。異常通知は、ビーコンメッシュを介して管理装置30へ送信してもよいし、携帯電話回線や無線LAN(local area network)等、他の通信回線を介して送信してもよい。
【0042】
記憶部27は、各ビーコン10の識別情報(ビーコンID)に対応付けて、複数のビーコン10の設置場所を示す位置情報、動作設定等を記憶している。また、記憶部27は、案内に使用する地図情報等の情報を記憶する。例えば、ビーコン10の設けられた位置をノードとし、ユーザが移動可能なノード間の通路をリンク(エッジ)とし、当該リンクをユーザが移動する場合の移動のしにくさ(例えば距離)をコスト(重み)とし、地図情報は、これらノード、リンク、コストを示す情報を有している。
【0043】
〈管理装置30の機能構成〉
図9は、実施形態に係る管理装置30の機能ブロックの例を示す図である。管理装置30は、例えばコンピュータであり、位置取得部31と、報知制御部32と、記憶部33とを備える。
【0044】
位置取得部31は、案内装置20からビーコンメッシュを介して位置情報を取得し、記憶部33へ記憶する。
【0045】
報知制御部32は、異常通知を受信した場合、当該異常通知の識別情報から案内装置20を特定し、当該案内装置20から異常通知、即ち、経路外通知、エリア外通知、立入禁止通知、又は救護の要求があったことを管理者(スタッフ)へ報知する。また、報知制御部32は、各案内装置20から位置信号を所定の時間間隔で受信し、所定時間以上位置信号を受信していない案内装置20があった場合、救護を要すると判定し、管理者に対して救護の要求を報知する。例えば、報知制御部32は、異常通知を送信した案内装置20或は救護を要すると判定した案内装置20の位置を表示装置に表示する。また、報知制御部32は、異常通知を送信した案内装置20或は救護を要する案内装置20の位置を示すメールをスタッフが持つ端末へ送信する。なお、救護を要する案内装置20の位置は、例えば、受信した位置信号のうち、最新の位置信号が示す位置とする。
【0046】
〈ハードウェア構成〉
案内装置20は、スマートフォン、携帯電話、タブレット型端末、カーナビゲーション装置、PDA(Personal Digital Assistant)、PC(Personal Computer)のような専
用または汎用のコンピュータ、あるいは、コンピュータを搭載した電子機器を使用して実現可能である。管理装置30は、PC、ワークステーション(WS、Work Station)のような専用または汎用のコンピュータ、あるいは、コンピュータを搭載した電子機器を使用して実現可能である。
【0047】
図10は、情報処理装置のハードウェア構成例を示す図である。
図10に示す情報処理装置90は、一般的なコンピュータの構成を有している。案内装置20、管理装置30は、
図10に示すような情報処理装置90によって実現される。情報処理装置90は、プロセッサ91、メモリ92、記憶装置93、入力部94、出力部95、通信制御部96を有する。これらは、互いにバスによって接続される。メモリ92及び記憶装置93は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体である。情報処理装置のハードウェア構成は、
図10に示される例に限らず、適宜構成要素の省略、置換、追加が行われてもよい。
【0048】
情報処理装置90は、プロセッサ91が記録媒体に記憶されたプログラムをメモリ92の作業領域にロードして実行し、プログラムの実行を通じて各構成部等が制御されることによって、所定の目的に合致した機能を実現することができる。
【0049】
プロセッサ91は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やDSP(Digital Signal Processor)である。
【0050】
メモリ92は、例えば、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory
)を含む。メモリ92は、主記憶装置とも呼ばれる。
【0051】
記憶装置93は、例えば、EPROM(Erasable Programmable ROM)、ハードディス
クドライブ(HDD、Hard Disk Drive)、ソリッドステートドライブ(SSD、Solid State Drive)である。また、記憶装置93は、リムーバブルメディア、即ち可搬記録媒体を含むことができる。リムーバブルメディアは、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリ、あるいは、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)のようなディスク記録媒体である。記憶装置93は、二次記憶装置とも呼ばれる。
【0052】
記憶装置93は、各種のプログラム、各種のデータ及び各種のテーブルを読み書き自在に記録媒体に格納する。記憶装置93には、オペレーティングシステム(Operating System :OS)、各種プログラム、各種テーブル等が格納される。記憶装置93に格納される情報は、メモリ92に格納されてもよい。また、メモリ92に格納される情報は、記憶装置93に格納されてもよい。
【0053】
オペレーティングシステムは、ソフトウェアとハードウェアとの仲介、メモリ空間の管理、ファイル管理、プロセスやタスクの管理等を行うソフトウェアである。オペレーティングシステムは、通信インタフェースを含む。通信インタフェースは、通信制御部96を介して接続される他の外部装置等とデータのやり取りを行うプログラムである。外部装置等には、例えば、他の情報処理装置、外部記憶装置等が含まれる。
【0054】
入力部94は、キーボード、ポインティングデバイス、ワイヤレスリモコン、タッチパネル等を含む。また、入力部94は、加速度センサや方位センサのような検出装置や、マイクロフォンのような音声の入力装置を含むことができる。
【0055】
出力部95は、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、LCD(Liquid Crystal Display)、PDP(Plasma Display Panel)、EL(Electroluminescence)パネル等の
表示装置、プリンタ等の出力装置を含む。また、出力部95は、スピーカのような音を出力する出力装置や、バイブレータのような振動を出力する出力装置を含むことができる。
【0056】
通信制御部96は、他の装置と接続し、情報処理装置90と他の装置との間の通信を制御する。通信制御部96は、例えば、LAN(Local Area Network)インタフェースボード、Bluetooth(登録商標)などの無線通信のための無線通信回路、電話通信のための通
信回路である。LANインタフェースボードや無線通信回路は、インターネット等のネットワークに接続される。
【0057】
案内装置20を実現するコンピュータは、プロセッサ91が二次記憶装置93に記憶されているプログラムを主記憶装置92にロードして実行することによって、測位部21と、経路算出部22と、案内情報生成部23と、案内情報出力部24と、位置情報送信部25と、異常通知部26の各機能を実現する。また、案内装置20の記憶部27は、主記憶装置92または二次記憶装置93の記憶領域に設けられる。
【0058】
管理装置30を実現するコンピュータは、プロセッサ91が二次記憶装置93に記憶されているプログラムを主記憶装置92にロードして実行することによって、位置取得部31と、報知制御部32の各機能を実現する。また、管理装置30の記憶部33は、主記憶装置92または二次記憶装置93の記憶領域に設けられる。
【0059】
〈案内方法〉
図11~
図12を用い、本実施形態1の案内システム1において、案内装置20及び管理装置30がプログラムに基づいて実行する案内方法について説明する。まず、ユーザ等
の指示により案内装置20の案内プログラムが起動されると、案内装置20は
図11の処理を開始する。
【0060】
図11A,
図11Bは、本実施形態に係る案内装置20が実行する案内方法を示す図である。案内装置20は、ステップS10にて、ユーザ等に操作されて、目的地を示す情報の入力を受ける。目的地を示す情報は、例えばユーザが宿泊する部屋(客室)を一意に識別可能な識別情報(部屋番号)である。また、客室に限らず、会議室や食堂、トイレ、自動販売機などの場所を示す識別情報であってもよい。
【0061】
ステップS20にて、案内装置20は、ビーコン10からビーコン信号を受信して、案内装置20の現在位置を特定する。また、案内装置20は、加速度センサや地磁気センサ等の検出部による検出結果に基づいて、案内装置20の向き、即ちユーザの向きを特定する。
【0062】
ステップS30にて、案内装置20は、記憶部27に格納されている地図情報に基づいて、目的地までの経路を示す経路情報を算出する。例えば、ユーザが、フロントでチェックインし、宿泊する客室の部屋番号を入力した場合、経路算出部22は、フロント(現在地)から当該部屋番号で特定される客室(目的地)までの経路情報を地図情報から算出する。また、フロントからエレベータまでをホテルのスタッフが案内し、宿泊する部屋(目的地)がある階でエレベータを降りたユーザが、部屋番号を音声入力した場合、案内装置20は、エレベータ前(現在地)から当該部屋番号で特定される客室(目的地)までの経路情報を地図情報から算出する。なお、地図情報から経路情報を算出する手法としては、ダイクストラ法など、任意の経路探索アルゴリズムを用いることができる。
【0063】
ステップS35にて、案内装置20は、案内の開始を通知する。例えば、案内装置20は、現在地から目的地までの経路を音声メッセージとし、ユーザに対して出力すると共に、案内を開始することを示す情報と案内装置20の識別情報を含む開始信号を管理装置30へ送信する。
【0064】
ステップS40にて、案内装置20は、ステップS20で求めた現在位置及び向きから、所定の目的地へ向かうための案内情報を生成する。例えば、ユーザの現在位置及び向きに対して、経路情報が示す次の曲がり角が右折で10m先にある場合、「10m直進し、突き当たりを右折です。」等のように、次の曲がり角、即ち次に進む向きを変える箇所等を示す情報を生成する。また、案内情報生成部23は、ユーザの向きと経路情報とに基づき、ユーザが進行方向を向いていない場合に、進行方向を案内する。例えば、「左手方向に直進です。」「右手側の壁に沿って進みます。」「4時方向に向きを変えて進みます。」等のように、現在のユーザの向きに対する方向を示す案内情報を生成する。
【0065】
ステップS50にて、案内装置20は、ステップS40で生成した案内情報に基づいて音声メッセージを合成し、スピーカ(不図示)からユーザに対して出力させる。また、音声メッセージに限らず、案内情報出力部24は、案内情報を表示装置(不図示)に表示出力させてもよい。この場合、案内情報出力部24は、文字の大きさや、表示する範囲の大きさ、背景色を黒にし、白抜き文字で表示するなど、ユーザの障がいの態様や程度に応じた設定で表示させてもよい。
【0066】
ステップS60にて、案内装置20は、現在位置を示す位置情報を定期的にビーコンメッシュを介して管理装置30へ送信する。案内装置20は、例えばビーコン10からビーコン信号を受信した毎に、或は所定時間毎に、受信したビーコン信号と案内装置20の識別情報とを位置信号として周囲のビーコン10に送信する。周囲のビーコン10で受信された位置信号は、各ビーコンによるメッシュ通信によって管理装置30へ伝達される。な
お、この位置信号の送信は、管理装置30で案内装置20の現在位置を管理するためのものなので、管理装置30で現在位置を管理する必要がない場合には、ステップS60を省略して位置信号の送信を行わなくてもよい。
【0067】
ステップS70にて、案内装置20は、現在位置が経路から外れているか否かを判定する。例えば、案内装置20は、経路と隣接していないビーコン10或は経路から所定距離以上離れた位置にあるビーコン10、即ち経路以外に設けられたビーコン10からビーコン信号を受信した場合に経路から外れたと判定する。案内装置20は、ステップS70にて否定判定であればステップS80へ移行し、肯定判定であれば、ステップS85へ移行する。ステップS85にて、案内装置20は、経路から外れたことを示す情報(経路外通知)を音声や表示、振動等でユーザに通知する。このとき案内装置20は、案内装置20の現在位置と向きを求め、現在位置から所定経路へ戻るための復帰路を求めてユーザへ出力してもよい。例えば、「後ろへ向かって5m戻り、右に曲がって元の経路へ戻って下さい」等のように、復帰路を示すメッセージを音声や表示で出力する。
【0068】
また、案内装置20は、経路外通知を管理装置30へ送信しても良い。通知を受けた管理者は、ユーザへ電話する、ユーザの元に駆けつける、警報装置40を作動させるなどの対応を行う。なお、
図11では、後述のようにステップS40~S110が目的地に到達するまで繰り返される。このため、案内装置20が経路から外れた場合、経路に戻るまで、ステップS70で繰り返し肯定判定されることになる。この場合、常にステップS75で経路外通知を出力するのではなく、所定回数毎又は所定期間が経過する毎に出力を行うこととしてもよい。また、ステップS70で肯定判定された後、連続して所定回数又は所定期間肯定判定が繰り返されるまでは、ユーザへ経路外通知を出力し、所定回数又は所定期間経過しても元の経路に戻れない場合に、管理装置30へ経路外通知を出力する構成としてもよい。即ち、経路から外れた当初は、ユーザにのみ経路外通知を出力し、ユーザが独力で経路に戻れないような場合には管理装置30へ経路外通知を出力する構成としてもよい。
【0069】
ステップS80にて、案内装置20は、案内対象エリアから外れているか否かを判定する。例えば、案内装置20は、案内対象エリア以外に設けられたビーコン10、例えばホテルの外やホテルの外へ向かう通路に設けられたビーコン10からビーコン信号を受信した場合に案内対象エリアから外れたと判定する。また、本実施形態では、案内装置20が案内対象エリア内に存在する場合、概ねビーコン10からビーコン信号を受信できるので、ビーコン信号が所定時間以上受信できない状態が続いた場合、案内装置20は、案内対象エリアから外れたと判定してもよい。なお、案内装置20は、加速度センサーの検出結果を用い、止まっている時間、即ち加速度が閾値未満の時間は、ビーコン信号が受信できない時間に加算せず、移動している時間即ち加速度が閾値以上の時間を計数して所定時間以上ビーコン信号を受信できない場合に案内対象の領域から外れたと判定してもよい。案内装置20は、ステップS80にて否定判定であればステップS90へ移行し、肯定判定であれば、ステップS85へ移行する。ステップS85にて、案内装置20は、案内対象エリアから外れたことを示す情報(エリア外通知)を音声や表示、振動等でユーザに通知する。このとき案内装置20は、案内装置20の現在位置と向きを求め、現在位置から案内対象エリアへ戻るための復帰路を求めてユーザへ出力してもよい。例えば、「右側の壁に沿って進み、案内対象エリアへ戻って下さい」等のように、復帰路を示すメッセージを音声や表示で出力する。
【0070】
また、案内装置20は、エリア外通知を管理装置30へ送信しても良い。通知を受けた管理者は、ユーザへ電話する、ユーザの元に駆けつける、警報装置40を作動させるなどの対応を行う。なお、案内装置20が案内対象エリアから外れた場合、案内対象エリアに戻るまで、ステップS80で繰り返し肯定判定されることになる。この場合、常にステッ
プS85でエリア外通知を出力するのではなく、所定回数毎又は所定期間が経過する毎に出力を行うこととしてもよい。また、ステップS80で肯定判定された後、連続して所定回数又は所定期間肯定判定が繰り返されるまでは、ユーザへエリア外通知を出力し、所定回数又は所定期間経過しても案内対象エリアに戻れない場合には、管理装置30へエリア外通知を出力する構成としてもよい。即ち、案内対象エリアから外れた当初は、ユーザにのみエリア外通知を出力し、ユーザが独力で戻れないような場合には管理装置30へエリア外通知を出力する構成としてもよい。
【0071】
ステップS90にて、案内装置20は、立入禁止エリアに進入したか否かを判定する。例えば、案内装置20は、非常用階段や機械室等の立入禁止エリアに設けられた所定のビーコン10からビーコン信号を受信した場合に立入禁止エリアに進入したと判定する。案内装置20は、ステップS90にて否定判定であればステップS100へ移行し、肯定判定であれば、ステップS95へ移行する。ステップS95にて、案内装置20は、立入禁止エリアに進入したことを示す情報(立入禁止通知)を音声や表示、振動等でユーザに通知する。このとき案内装置20は、案内装置20の現在位置と向きを求め、立入禁止エリアを出るための復帰路を求めてユーザへ出力してもよい。例えば、「ここは立入禁止エリアです。左方向へ10m進み、突き当たりを右折して立入禁止エリアを出て下さい」等のように、復帰路を示すメッセージを音声や表示で出力する。
【0072】
また、案内装置20は、立入禁止通知を管理装置30へ送信しても良い。通知を受けた管理者は、ユーザへ電話する、ユーザの元に駆けつける、警報装置40を作動させるなどの対応を行う。なお、案内装置20が立入禁止エリアに進入した場合、このエリアから出るまで、ステップS90で繰り返し肯定判定されることになる。この場合、常にステップS95で立入禁止通知を出力するのではなく、所定回数毎又は所定期間が経過する毎に出力を行うこととしてもよい。また、ステップS90で肯定判定された後、連続して所定回数又は所定期間肯定判定が繰り返されるまでは、ユーザへ立入禁止通知を出力し、所定回数又は所定期間経過しても立入禁止エリアから出られない場合に、管理装置30へ立入禁止通知を出力する構成としてもよい。即ち、立入禁止エリアに進入した場合、先ずユーザにのみ立入禁止通知を出力し、ユーザが独力で立入禁止エリアから出られないような場合には管理装置30へ立入禁止通知を出力する構成としてもよい。
【0073】
ステップS100にて、案内装置20は、スタッフを呼ぶことをユーザが選択したか否かを判定する。案内装置20は、ステップS100にて否定判定であればステップS110へ移行し、肯定判定であれば、ステップS120へ移行して救護信号(救護要求)を管理装置30へ送信する。
【0074】
ステップS110にて、案内装置20は、目的地に到達したか否かを判定する。例えば、案内装置20は、目的地に設けられているビーコン10からのビーコン信号を受信した場合に目的地に達したと判定する。ステップS110にて否定判定であれば、案内装置20は、ステップS130へ移行し、ビーコン10からビーコン信号を受信して、案内装置20の現在位置を特定し、ステップS40へ戻る。一方、ステップS110にて肯定判定であれば、案内装置20は、ステップS140へ移行し、終了通知を行う。例えば、案内装置20は、「目的地に到着しました。」等のように、ユーザへ通知すると共に、ビーコンメッシュを介して管理装置30へ案内が終了したことを示す終了信号(終了通知)を送信する。
【0075】
図12は、本実施形態に係る管理装置30が実行する案内方法を示す図である。管理装置30は、管理者等の指示により管理装置30の案内プログラムが起動されると、
図12の処理を開始する。
【0076】
ステップS210にて管理装置30は、ビーコンメッシュを介して各案内装置20からの位置信号を待ち受け、受信した場合には、位置信号を受信時刻と共に記憶部33へ記憶する。
【0077】
ステップS220にて管理装置30は、ビーコンメッシュを介して各案内装置20からの開始信号を待ち受け、受信した場合には、開始信号を受信時刻と共に記憶部33へ記憶する。即ち、案内中である案内装置20を開始信号から識別できるようにし、後述のように位置信号が受信できなくなった場合に救護が行えるように、管理の対象とする。
【0078】
ステップS230にて管理装置30は、ビーコンメッシュを介して各案内装置20からの終了信号を待ち受け、受信した場合には、記憶部33へ記憶する。
【0079】
ステップS240にて管理装置30は、記憶部33を参照し、開始信号を受信後、終了信号を受信していない案内装置20で、位置信号を所定時間以上受信していない案内装置があるか否かを判定する。管理装置30は、ステップS250にて否定判定であれば、ステップS260へ移行し、肯定判定であればステップS270へ移行して救護が必要であることを管理者に対して報知する。このとき管理装置30は、当該案内装置20から最後に受信した位置信号から位置を示す情報(例えばビーコン10の設置位置)を求め、この位置を示す情報と、最後に受信した位置信号の受信時刻とを救護が必要であることと共に管理者へ報知する。
【0080】
ステップS250にて管理装置30は、ビーコンメッシュや他の無線通信回線を介して、経路外通知、エリア外通知、立入禁止通知、救護信号等の異常通知を待ち受け、案内装置20から異常通知を受信した場合には、当該案内装置20から受信した位置信号と共に記憶部33へ記憶する。
【0081】
ステップS260にて管理装置30は、異常通知を受信したか否かを判定する。管理装置30は、ステップS260にて否定判定であれば、
図12の処理を終了し、肯定判定であれば、ステップS270へ移行して受信した異常通知を管理者に対して報知する。このとき管理装置30は、異常通知と共に、案内装置20の位置信号を管理者へ報知してもよい。これにより、管理者は、位置信号に基づいてユーザの元へ駆けつけることができる。また、管理者は、位置信号に基づいて、ユーザが居ると思われる付近に設置されている警報装置40を起動させて、当該ユーザやその付近のスタッフに、ユーザが経路から外れたことや、案内対象エリアから外れたこと、或は立入禁止エリアに進入したことを報知できる。また、管理装置30は、異常通知と共に、ユーザの氏名や電話番号、性別、年齢等を管理者へ報知してもよい。これにより、管理者は、異常が生じたことと、ユーザの情報を知ることができ、ユーザの元へ駆けつける際、ユーザを発見する手がかりにすることができる。更に、管理装置30は、「ユーザがいる場所の地図を表示する」「ユーザへ電話する」「ユーザの近くの警報装置を作動させる」といった選択肢を管理者へ提示し、管理者が選択した処理を実行する構成としてもよい。即ち、位置信号に基づいてユーザが所持する案内装置20が存在する場所の地図を表示する処理や、ユーザが所持する携帯電話の電話番号宛に電話をかける処理、位置信号で示される位置から最も近い位置に設置されている警報装置40を作動させる処理を行う。
なお、管理装置30は、管理者等により案内処理の停止が指示されるまで、
図12の処理を繰り返し実行する。
【0082】
図13は、案内を開始する地点(フロント)があるフロアを示す図、
図14は、目的地があるフロアを示す図である。
【0083】
図13,
図14に示すように、ビーコン10は、主に通路に沿って設けられ、特に曲が
り角や分岐点、客室のドア(入り口)、エレベータの乗り口等、案内に必要な特定の場所に設けられている。なお、
図13,
図14では、説明に用いるビーコン10を便宜上10-1~10-17と示している。
【0084】
図13に示すように、フロント71には、ビーコン10-1が設けられている。ユーザ72がフロントでチェックインすると、案内装置20が貸し出され、ユーザ72或はフロントのスタッフが案内装置20に目的地としての部屋の番号(
図14では501)を入力する(ステップS10)。
【0085】
案内装置20は、フロントに設けられたビーコン10-1のビーコン信号を受信して現在地を特定し(ステップS20)、この現在地から目的地(501号室)までの経路を地図情報から算出する(ステップS30)。
【0086】
案内装置20は、案内を開始する際、ユーザが経路の全体を予め把握できるように、現在地から目的地までを音声メッセージで出力する(ステップS35)。例えば、「現在地から左手側に3m進んで右折し、20m進み突き当たりを右折すると、3m先にエレベータがあります。エレベータで5階に上がり、エレベータを降りてから3m直進して左折し、15m進み、突き当たりを左折し、10m進んだ右手が501号室(目的地)です。」などのように、現在地から目的地までの要所(曲がり角等)を一括して案内する。
【0087】
そして、ユーザが移動を開始し、ビーコン10-2のビーコン信号を受信すると、案内装置20は、「右折して20m直進です。」のように曲がり角であること、即ち進行方向を変えることを案内する(ステップS40~S60)。このときユーザが
図13の下側を向いていれば右折であるが、ユーザの向きによっては曲がる方向が異なる。このためステップS20で検出したユーザの向きに応じて、ユーザがビーコン10-3~10-5の方向を向くように方向を案内する。例えば、
図13においてビーコン10-2が設けられた地点で、ユーザが
図13の右側、即ち進行方向と反対側を向いている場合、「180度向きを変えて20m直進です。」のようにユーザの向きに応じた方向を案内する。
【0088】
また、案内装置20は、経路外か否か、目的地に達したか等の判定を行い(ステップS70~S110)、否定判定であれば、ビーコン信号を受信して現在地を特定し(ステッ
プS130)、案内情報を出力する等の処理(ステップS40~S60)を繰り返す。な
お、ステップS130で受信したビーコン信号が前回受信したものと同じ場合、前回案内情報を出力してから所定時間経過するまで、ステップS40~S100の処理を省略し、同じ案内情報の出力が不必要に繰り返されることを防止してもよい。
【0089】
そして、ビーコン10-3のビーコン信号を受信すると、案内装置20は、「このまま15m進んで突き当たりを右折です。」のように次の曲がり角までの距離を案内する。ビーコン10-4,10-5のビーコン信号を受信した場合、案内装置20は、ビーコン10-3のビーコン信号を受信した場合と同様に「このまま10m進んで突き当たりを右折です。」「このまま5m進んで突き当たりを右折です。」のように次の曲がり角までの距離を案内する。本実施形態では、ビーコン10が、ビーコンメッシュを形成するため曲がり角以外の場所にも設けられており、曲がり角に着いたときだけでなく、次の曲がり角に向かって移動している途中でも案内を行うことができる。
【0090】
ビーコン10-6は、1階のエレベータ前に設けられ、ビーコン10-7は、エレベータ内に設けられ、ビーコン10-8は、5階のエレベータ前に設けられている。ビーコン10-6のビーコン信号を受信すると、案内装置20は、「エレベータ前です。」のようにエレベータの出入り口に着いたことを案内し、ユーザはエレベータの操作ボタンを操作する。エレベータが1階に到着してドアが開くと、案内装置20がエレベータ内に設けら
れたビーコン10-7のビーコン信号を受信してエレベータが到着したことを案内する。例えば、「エレベータが到着しました。エレベータに入って左手側に操作パネルがあります。」のように案内する。
【0091】
エレベータが目的の階(本例では5階)に停まるように、ユーザが操作し、エレベータが5階に停まってドアを開くと、5階のエレベータ前に設けられたビーコン10-8のビーコン信号を受信し目的の階に着いたことを案内する。例えば、案内装置20は、「5階に到着しました。3m前進して左折です。」のように5階での案内を行う。
【0092】
ビーコン10-10~10-15のビーコン信号を受信した場合、案内装置20は、前述のビーコン10-3~10-5のビーコン信号を受信した場合と同様に「このまま15m進んで突き当たりを左折です。」「このまま5m進んで突き当たりを左折です。」のように次の曲がり角までの距離を案内する。
【0093】
案内装置20は、ビーコン10-16のビーコン信号を受信した場合、「左折して、10m進んだ右手が501号室(目的地)です。」のように曲がり角であることと目的地までの距離を案内し、ビーコン10-17のビーコン信号を受信した場合、「5m進んだ右手が501号室(目的地)です。」のように目的地までの距離を案内する。
【0094】
そして、ユーザが目的地の前に達し、ビーコン10-18のビーコン信号を受信した場合、案内装置20は、「目的地に到着しました。案内を終了します。」のように到着と案内の終了を通知する(ステップS140)。客室のドアの前に設けられたビーコン10-18は、ビーコン信号に基づいて位置を特定する場合の精度を高めるために、他のビーコン、例えばビーコン10-17よりも電波到達距離を短く設定している。そしてビーコン10-18の電波到達距離内に他のビーコン10-17を設け、ビーコン10-18のビーコン信号を用いた位置の特定精度を高めながら、ビーコン10-17を介してメッシュ通信を可能にしている。また、ビーコン10-18の電波到達距離を短く設定しても、ビーコン10-17からのビーコン信号に基づいて目的地までの案内がなされるので、ビーコン10-18からのビーコン信号を受信するまでの間に迷うことがない。他の客室のドアの前に設けたビーコン10についても、他のビーコン10、例えば10-10~10-15等より電波到達距離を小さく設定してよい。また、客室のドアの前に限らず、通路の曲がり角や分岐点、エレベータの出入り口等、案内に必要な特定の場所に設けられているビーコン10の電波到達距離を短く設定し、この電波到達距離内に他のビーコン10を設けるように構成してもよい。
【0095】
このように本実施形態によれば、施設内を移動する視覚障がい者の位置をビーコン信号に基づいて特定し、移動する方向や距離等を示す音声案内を出力することで、視覚障がい者の移動を適切に支援することができる。
【0096】
特に、本実施形態では、案内に必要な特定の場所に設けられているビーコン10の電波到達距離を短く設定しても、他のビーコン10からのビーコン信号に基づいて、電波到達距離を短く設定したビーコンまでの案内が成されるため、電波到達距離を短く設定したビーコンからのビーコン信号を受信するまでの間に迷うことがない。
【0097】
更に、案内装置20が、経路から外れたと判定した場合や、案内対象領域から外れたと判定した場合、立ち入り禁止区域に進入したと判定した場合、管理装置30へ異常通知を送信して管理者による対応を要請できる。
【0098】
管理装置30が、案内装置20の位置を定期的に取得し、所定時間以上案内装置20の位置信号が受信できない場合には、管理者に対して救護を通知する。これによりユーザが
、案内装置20を使いこなせず、救護を要求できないまま案内対象領域から外れてしまった場合でも、管理者が救護要求に基づいて、ユーザの救護に向かうことができる。
【0099】
〈変形例〉
前述の実施形態では、各ビーコン10がビーコンメッシュを構成し、主にメッシュ通信によって管理装置30と通信を行う例を示したが、これに限らず、ビーコン10がメッシュ通信を行わない構成としてもよい。
図15は、本変形例におけるビーコン10の配置を示す図である。
図15に示すように、本変形例では、ビーコン10を通路の曲がり角や客室のドア等、案内の要所にのみ配置している。このため、各ビーコン10は、電波到達距離内に他のビーコン10が配置されているとは限らず、メッシュ通信を行わない。
【0100】
本変形例において、案内装置20は、前述の実施形態と同じ構成であり、管理装置30と通信する場合に、メッシュ通信に代え、携帯電話回線や無線LANを介して管理装置30と通信を行う。例えば、
図11におけるステップS20,S130にて現在位置を求める際にビーコン10からビーコン信号を受信し、ステップS60,S75,S85,S95,S120で管理装置30と通信する場合には、携帯電話回線や無線LANを用いる。
【0101】
なお、本変形例は、案内装置20がビーコン信号を常に受信する構成ではなく、曲がり角を通過後、次の曲がり角(要所)に到達するまでの間など、要所から離れた位置にいる間は、ビーコン信号を受信しないため、ステップS60における現在位置の送信を省略してもよい。但し、加速度センサや方位センサ等を用いた自律航法により、現在位置を求められる場合には、この現在位置をステップS60で送信してもよい。
【0102】
また、管理装置30についても前述の実施形態と同じ構成であり、案内装置20と通信する場合に、メッシュ通信に代え、携帯電話回線や無線LANを介して通信を行う。例えば、
図12におけるステップS210~S230,S250,S270にて案内装置20と通信する場合に、携帯電話回線や無線LANを用いる。なお、案内装置20の現在位置を管理しない場合には、
図12のステップS210~S240を省略してもよい。
【0103】
このように本変形例によれば、要所以外に配置するビーコン10を無くして、ビーコンの配置数を少なくし、システムの簡素化を図ることができる。なお、案内システム1における全てのビーコン10がメッシュ通信を行わない構成に限定されるものではなく、メッシュ通信を行うビーコン10とメッシュ通信を行わないビーコン10とが存在する構成としてもよい。例えば、ロビーや共用施設付近など、ユーザの利用頻度の高いエリアや経路が分かりにくいエリアでは、ビーコン10を多数配置してメッシュ通信を行い、利用頻度の低いエリアではビーコン10を要所にのみ配置してメッシュ通信を行わない構成としてもよい。この場合、案内装置20は、ビーコン信号に基づいて当該ビーコン10がメッシュ通信を行うか否かを識別し、メッシュ通信を行うビーコン10の電波到達距離内であればビーコンメッシュを介して管理装置30と通信し、メッシュ通信を行うビーコン10の電波到達距離内でなければ携帯電話回線や無線LANを介して管理装置30と通信すればよい。
【符号の説明】
【0104】
1 :案内システム
10 :ビーコン
11 :通信部
12 :記憶部
20 :案内装置
21 :測位部
22 :経路算出部
23 :案内情報生成部
24 :案内情報出力部
25 :位置情報送信部
26 :異常通知部
27 :記憶部
30 :管理装置
31 :位置取得部
32 :報知制御部
33 :記憶部
61 :アドバタイズパケット