(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-27
(45)【発行日】2023-04-04
(54)【発明の名称】ファン取付孔の蓋、衣服及び空調衣服
(51)【国際特許分類】
A41D 13/002 20060101AFI20230328BHJP
A41D 27/28 20060101ALI20230328BHJP
【FI】
A41D13/002 105
A41D27/28 A
A41D27/28 Z
(21)【出願番号】P 2018211884
(22)【出願日】2018-11-12
【審査請求日】2021-11-04
(73)【特許権者】
【識別番号】592171005
【氏名又は名称】株式会社セフト研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】川窪 保弘
(72)【発明者】
【氏名】猪俣 勝司
【審査官】▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-071032(JP,A)
【文献】実開平03-129695(JP,U)
【文献】実開昭56-146723(JP,U)
【文献】実開昭55-095509(JP,U)
【文献】国際公開第2016/063416(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0374418(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 13/002
A41D 27/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファン取付孔を有するシート状部材の一面側に配置さ
れる蓋本体と、
前記シート状部材の他面側に配置さ
れる挟持部材と、
を備え、
前記蓋本体は、前記蓋本体の一面側へと突出する突出部を備え、
前記蓋本体と、前記挟持部材との間に、前記シート状部材の前記ファン取付孔の周囲を挟み込
み、前記突出部の外面が前記ファン取付孔の内縁に接する状態で
、前記シート状部材に取り付けられることを特徴とするファン取付孔の蓋。
【請求項2】
ファン取付孔を有するシート状部材の一面側に配置される蓋本体と、
前記シート状部材の他面側に配置される挟持部材と、
を備え、
前記蓋本体は、前記蓋本体の一面側へと筒状に突出する筒状部を備え、
前記蓋本体と、前記挟持部材との間に、前記シート状部材の前記ファン取付孔の周囲を挟み込み、前記筒状部が前記ファン取付孔を挿通する状態で、前記シート状部材に取り付けられることを特徴とするファン取付孔の蓋。
【請求項3】
ファン取付孔を有するシート状部材の一面側に配置され、略扁平な板状に形成された平面部と、前記平面部の一面側へと立設する筒状部と、を備える蓋本体と、
前記シート状部材の他面側に配置され、リング状に形成された挟持部材と、
を備え、
前記蓋本体と、前記挟持部材との間に、前記シート状部材の前記ファン取付孔の周囲を挟み込んだ状態で、前記筒状部の外面側に備えられた第1接続手段と、前記挟持部材の内面側に備えられた第2接続手段とを接続することによって、前記シート状部材に取り付けられることを特徴とするファン取付孔の蓋。
【請求項4】
前記挟持部材は、可撓性を有し、
前記第1接続手段は、前記筒状部の互いに対向する一対の第1部位の外側に備えられ、
前記第2接続手段は、前記挟持部材の互いに対向する一対の第2部位の内側に備えられ、
前記第1接続手段と、前記第2接続手段とは、互いに嵌合するように形成され、
前記一対の第2部位における前記挟持部材の内側の間隔は、前記一対の第1部位における前記筒状部の外側の間隔と同一であるか又は前記一対の第1部位における前記筒状部の外側の間隔より小さく、
前記挟持部材の内周は前記筒状部の外周より大きいことを特徴とする請求項3に記載のファン取付孔の蓋。
【請求項5】
前記筒状部は外周が円形となるように形成され、
前記挟持部材は、内周が、前記筒状部の外周と同一か又は前記筒状部の外周よりも僅かに大きい円形となるように形成され、
前記第1接続手段は、雌ねじであり
前記第2接続手段は、前記第1接続手段と螺合する雄ねじであることを特徴とする請求項3に記載のファン取付孔の蓋。
【請求項6】
前記筒状部は外周が円形となるように形成され、
前記挟持部材は、内周が、前記筒状部の外周と同一か又は前記筒状部の外周よりも僅かに大きい円形となるように形成され、
前記第1接続手段は、雄ねじであり
前記第2接続手段は、前記第1接続手段と螺合する雌ねじであることを特徴とする請求項3に記載のファン取付孔の蓋。
【請求項7】
前記シート状部材から形成され、
前記ファン取付孔を閉塞するように請求項1から6のいずれか一項に記載のファン取付孔の蓋が備えられていることを特徴とする衣服。
【請求項8】
ファン取付孔が形成された服本体を備え、
前記ファン取付孔に、請求項1から6のいずれか一項に記載のファン取付孔の蓋と、ファンと、を選択的に取り付け可能であることを特徴とする空調衣服。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファン取付孔の蓋、衣服及び空調衣服に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、身体を冷却する空調衣服が実用化され、急速に普及しつつある。従来の空調衣服は、通気性の低いシート状部材で形成された服本体と、服本体の後側の下方に取り付けられた2つのファンと、2つのファンに電力を供給するための電源装置と、電源装置と2つのファンとを電気的に接続するための電源ケーブルと、を備える。
【0003】
ファンを作動させると、大量の空気がファンから服本体内に取り込まれる。取り込まれた空気の圧力により服本体と着用者の身体との間に空気流通路が自動的に形成され、取り込まれた空気は、形成された空気流通路を着用者の身体又は下着の表面に沿って流通し、例えば、襟部や袖部の開口部から外部に排出される。
そして、取り込まれた空気が、服本体と着用者の身体又は下着との間の空気流通路を流通する間に、身体から出た汗を蒸発させ、蒸発する際の気化熱により身体が冷却される(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
このような空調衣服は、身体を冷却する必要のない冬場においても、ファンを取り付けずに通常の上衣として使用できるようにすることで、通年に亘って使用可能であることが好ましい。しかし、空調衣服は、服本体を形成するシート状部材がファンを取り付けるためのファン取付孔を有することから、ファンを取り付けずに使用する場合、このファン取付孔が、衣服の密閉性を保つ上で障害となる。
【0005】
そこで、空調衣服を、ファンを取り付けずに通常の上衣として使用する際に、ファン取付孔を閉孔することを可能とするため、閉孔蓋の取付手段としての面ファスナーをファン取付孔の周囲に備えておき、これを用いて閉孔蓋を着脱自在に取り付けることを可能とした空調衣服が知られている(例えば、特許文献2参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】国際公開2005/063065号
【文献】特許第6191028号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献2に記載の閉孔蓋は、面ファスナーを用いて、空調衣服の服本体のファン取付孔周辺に貼付するようにして取り付ける構造であるため、これを使用するためには、空調衣服の服本体が、ファン取付孔の周囲に、閉孔蓋の取付手段としての面ファスナーを備えることが必須であり、これを備えていない空調衣服の服本体に対しては使用することができなかった。
【0008】
本発明の課題は、ファン取付孔の周囲に特段の取付手段を備えずとも取り付けることができるファン取付孔の蓋を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、ファン取付孔の蓋であって、
ファン取付孔を有するシート状部材の一面側に配置される蓋本体と、
前記シート状部材の他面側に配置される挟持部材と、
を備え、
前記蓋本体は、前記蓋本体の一面側へと突出する突出部を備え、
前記蓋本体と、前記挟持部材との間に、前記シート状部材の前記ファン取付孔の周囲を挟み込み、前記突出部の外面が前記ファン取付孔の内縁に接する状態で、前記シート状部材に取り付けられることを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、ファン取付孔の蓋であって、
ファン取付孔を有するシート状部材の一面側に配置される蓋本体と、
前記シート状部材の他面側に配置される挟持部材と、
を備え、
前記蓋本体は、前記蓋本体の一面側へと筒状に突出する筒状部を備え、
前記蓋本体と、前記挟持部材との間に、前記シート状部材の前記ファン取付孔の周囲を挟み込み、前記筒状部が前記ファン取付孔を挿通する状態で、前記シート状部材に取り付けられることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、ファン取付孔の蓋であって、
ファン取付孔を有するシート状部材の一面側に配置され、略扁平な板状に形成された平面部と、前記平面部の一面側へと立設する筒状部と、を備える蓋本体と、
前記シート状部材の他面側に配置され、リング状に形成された挟持部材と、
を備え、
前記蓋本体と、前記挟持部材との間に、前記シート状部材の前記ファン取付孔の周囲を挟み込んだ状態で、前記筒状部の外面側に備えられた第1接続手段と、前記挟持部材の内面側に備えられた第2接続手段とを接続することによって、前記シート状部材に取り付けられることを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のファン取付孔の蓋であって、
前記挟持部材は、可撓性を有し、
前記第1接続手段は、前記筒状部の互いに対向する一対の第1部位の外側に備えられ、
前記第2接続手段は、前記挟持部材の互いに対向する一対の第2部位の内側に備えられ、
前記第1接続手段と、前記第2接続手段とは、互いに嵌合するように形成され、
前記一対の第2部位における前記挟持部材の内側の間隔は、前記一対の第1部位における前記筒状部の外側の間隔と同一であるか又は前記一対の第1部位における前記筒状部の外側の間隔より小さく、
前記挟持部材の内周は前記筒状部の外周より大きいことを特徴とする。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項3に記載のファン取付孔の蓋であって、
前記筒状部は外周が円形となるように形成され、
前記挟持部材は、内周が、前記筒状部の外周と同一か又は前記筒状部の外周よりも僅かに大きい円形となるように形成され、
前記第1接続手段は、雌ねじであり
前記第2接続手段は、前記第1接続手段と螺合する雄ねじであることを特徴とする。
【0014】
請求項6に記載の発明は、請求項3に記載のファン取付孔の蓋であって、
前記筒状部は外周が円形となるように形成され、
前記挟持部材は、内周が、前記筒状部の外周と同一か又は前記筒状部の外周よりも僅かに大きい円形となるように形成され、
前記第1接続手段は、雄ねじであり
前記第2接続手段は、前記第1接続手段と螺合する雌ねじであることを特徴とする。
【0015】
請求項7に記載の発明は、衣服であって
前記シート状部材から形成され、
前記ファン取付孔を閉塞するように請求項1から6のいずれか一項に記載のファン取付孔の蓋が備えられていることを特徴とする。
【0016】
請求項8に記載の発明は、空調衣服であって、
ファン取付孔が形成された服本体を備え、
前記ファン取付孔に、請求項1から6のいずれか一項に記載のファン取付孔の蓋と、ファンと、を選択的に取り付け可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ファン取付孔の周囲に特段の取付手段を備えずとも取り付けることができるファン取付孔の蓋を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】前身頃の開閉手段を開いた状態における空調衣服の正面図である。
【
図2】空調衣服の服本体のファン取付孔周辺を服本体の内面側から見た図である。
【
図3】空調衣服の服本体に取り付けられた状態のファンを示す概略図である。
【
図4】第1実施形態に係る閉孔蓋が取り付けられた空調衣服の服本体の背面図である。
【
図6】第1実施形態に係る閉孔蓋の蓋本体を示す斜視図である。なお、面ファスナーが備えられた面を上に向けた状態を図示している。
【
図7】第1実施形態に係る閉孔蓋の挟持部材を示す斜視図である。なお、面ファスナーが備えられた面を上に向けた状態を図示している。
【
図8】第2実施形態に係る閉孔蓋が取り付けられた空調衣服の
図5と同一の位置における断面図である。なお、第1接続手段及び第2接続手段が備えられた位置と断面とが一致する場合につき図示している。
【
図9】第2実施形態に係る閉孔蓋の蓋本体を示す斜視図である。なお、筒状部を上に向けた状態を図示している。
【
図10】第2実施形態に係る閉孔蓋の挟持部材を示す斜視図である。
【
図11】蓋本体に挟持部材が取り付けられた状態の第2実施形態に係る閉孔蓋を蓋本体に筒状部が備えられた側から見た平面図である。
【
図12】第3実施形態に係る閉孔蓋が取り付けられた空調衣服の
図5と同一の位置における断面図である。
【
図13】第3実施形態に係る閉孔蓋の蓋本体を示す斜視図である。なお、筒状部を上に向けた状態を図示している。
【
図14】第3実施形態に係る閉孔蓋の挟持部材を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、
図1から
図14に基づいて説明する。
なお、本発明に係る閉孔蓋は、空調衣服等の、ファン取付孔を有するシート状部材から形成された物品に取り付けられ、ファンが取り外された状態におけるファン取付孔を塞ぐために用いられるものである。したがって、まず、閉孔蓋が取り付けられる物品の一例として、空調衣服200の一例につき
図1から
図3に基づいて説明し、空調衣服200の服本体210に閉孔蓋が取り付けられる場合を例として、各実施形態につき説明する。
【0020】
[空調衣服]
空調衣服200は、
図1に示すように、服本体210と、服本体210内部に空気を導入するファン220と、ファン220に電力を供給する電源部230と、電源部230とファン220とを接続する接続ケーブル240と、を備え、ファン220によって服本体210内に取り込まれた空気を、着用者の身体又は下着の表面に沿って流通させることで、身体から出た汗を蒸発させ、蒸発する際の気化熱により身体を冷却するものである。
【0021】
{服本体}
服本体210は、
図1に示すように、通気性のない又はファン220による空気の導入によって膨らませることができる程度の通気性を有するシート状部材Sによって、着用者の少なくとも胴部を覆う形状に形成されている。
服本体210は、第一開閉手段211と、第二開閉手段212と、空気漏れ防止手段213と、ファン取付孔214と、取付孔補強部材215と、襟部空気排出部216と、袖部空気排出部217と、電源部保持手段218と、を備える。
【0022】
(第一開閉手段及び第二開閉手段)
第一開閉手段211及び第二開閉手段212は、服本体210を前開きとし、空調衣服200を着用する際に、服本体210の前部を開閉するためのものであり、その具体的構成は任意であるが、例えば、一般的な線ファスナーが用いられる。
【0023】
(空気漏れ防止手段)
空気漏れ防止手段213は、
図1に示すように、服本体210下部に備えられた、服本体210と着用者の身体との間の空間内の空気が服本体210の裾部から外部に漏れることを防止するための手段であり、服本体210下部から空気が外部に漏れることを防止することができるものであれば、その具体的構成は任意である。
【0024】
(ファン取付孔)
ファン取付孔214は、
図1及び
図2に示すように、服本体210を形成するシート状部材Sの着用者の腰の左右に対応する位置に形成された、空調衣服200の着用時において、服本体210と着用者の身体との間の空間と、外部と、を繋ぐこととなる円形の孔部である。ファン取付孔214の直径をk1とする。
ファン取付孔214を挿通するようにしてファン220を取り付けることで、ファン取付孔214を介して、外部の空気を服本体210内に取り込むことができる。
【0025】
(取付孔補強部材)
取付孔補強部材215は、
図1及び
図2に示すように、例えばプラスチック等によって形成された扁平な環状の部材であり、中心にファン取付孔214と大きさが略一致する孔部215aを有する。
図2に示すように、取付孔補強部材215は、孔部215aが、ファン取付孔214に重なるように、服本体210の内面側に取り付けられる。これによって、服本体210のファン取付孔214周辺が補強され、ファン220をファン取付孔214に取り付け易くなり、また、取り付けられたファン220が外れ難くなる。
取付孔補強部材215は、服本体210を形成するシート状部材Sに対し、縫合、接着等任意の方法によって取り付けることができる。また、取付孔補強部材215を服本体210の内面側から覆う裏地が備えられていてもよい。
なお、ファン220の取付けの容易性及びファン220の外れ難さは低下するものの、取付孔補強部材215を備えない構成とすることも可能である。
【0026】
(空気排出部)
襟部空気排出部216及び袖部空気排出部217は、
図1に示すように、ファン220によってファン取付孔214から導入された空気を、着用者の身体又は下着に沿って流通させた後に排出するための開口部であり、それぞれ、着用者の首と服本体210の襟部の端部との間と、着用者の腕と服本体210の袖部の端部との間と、に形成される。
【0027】
(電源部保持手段)
電源部保持手段218は、電源部230を服本体210に装着するための手段であり、
図1においてはポケットを用いた場合につき図示したが、その具体的構成は任意である。
【0028】
(ケーブル保持手段)
ケーブル保持手段219は、接続ケーブル240を、服本体210の内面側に保持するための手段であり、
図1においては、一般的なベルト通しのように、縦長の布を上下2カ所において縫い付けることにより形成したものを図示したが、その具体的構成は任意である。
【0029】
{ファン}
ファン220は、
図1及び
図3に示すように、ファン取付孔214を挿通するようにして服本体210に取り付けられ、ファン取付孔214を通して、服本体210と着用者の身体との間の空間に空気を導入するためのものである。
【0030】
ファン220としては、ファン取付孔214を挿通するようにして服本体210に取り付けられ、服本体210内部に空気を導入できるものであれば、任意の構成を採用可能であるが、例えば、
図3に示すように、ファン本体221と、これを服本体210に固定するためのリング状の取付けリング222と、を備える。
【0031】
ファン本体221は、内部にプロペラ(不図示)とプロペラを回転させるモーター(不図示)とを収納し、
図3に示すように、ファン220の使用時において空気が取り込まれる側を構成する空気取込部221aと、ファン220、220の使用時において空気が送出される側を構成する空気送出部221bと、空気取込部221aと空気送出部221bとの間の筒状の連結部である筒状部221cと、筒状部221cの空気取込部221a側の端部から筒状部221cの側面と略垂直な方向に突出するフランジ部221dとを有する。筒状部221cは、その中心軸に垂直な平面で切った際の断面の外形が円形となる円筒状に形成され、その外径は、ファン取付孔214の直径と同一か極僅かに小さくなるように形成されている。
【0032】
また、ファン本体221は、空気送出部221b側の所定の位置に、接続ケーブル240と接続される第一接続端子221eを有する。第一接続端子221eは、接続ケーブル240を接続し、電源部230から電力の供給を受けることができる端子であれば、その具体的な構成は任意である。
【0033】
取付けリング222は、ファン本体221をファン取付孔214に取り付けるためのリング状の部材であり、その内径が筒状部221cの外形と同一か、極僅かに大きくなるように形成されている。
【0034】
筒状部221cの外面と、取付けリング222の内面と、には、例えば、取付けリング222の内面側に凸部が形成され、筒状部221cの外面側に当該凸部と係合する凹部を形成することにより、係止手段(不図示)が形成されている。
【0035】
ファン220を服本体210に取り付ける際には、
図3に示すように、ファン本体221の空気送出部221b側を、ファン取付孔214に服本体210の外面側から挿入して、フランジ部221dが、服本体210のファン取付孔214周囲の部分と接するようにする。次に、取付けリング222を、服本体210の内面側から筒状部221cの外側に差し込むことにより、フランジ部221dと取付けリング222とによって、服本体210を形成するシート状部材Sのファン取付孔214周囲の部分及び取付孔補強部材215の孔部215aの周囲の部分を挟み込み、その状態で係止手段によって取付けリング222をファン本体221に固定する。
これによって、ファン220をファン取付孔214を挿通するようにして服本体210に固定することができる。
【0036】
{電源部}
電源部230は、ファン220に電力を供給するための部材であり、例えば、安全保護回路が付加されたリチウムイオン組電池が内蔵され、接続ケーブル240を通じてファン220と接続するための、第二接続端子(不図示)を備える。
電源部130は、ファン220に電力を供給することができるものであれば、その具体的な構成は任意である。
【0037】
{接続ケーブル}
接続ケーブル240は、電源部230とファン220とを接続するケーブルである。接続ケーブル240を通じて、電源部230からファン220に対して、ファン220の稼働に必要な電力が供給される。接続ケーブル240は、電源部230からファン220に対して、ファン220の稼働に必要な電力を供給できるものであればよく、その具体的な構成は任意である。
【0038】
[第1実施形態]
次に、第1実施形態に係る閉孔蓋100について、
図4から
図7に基づいて説明する。
【0039】
{閉孔蓋の構成}
第1実施形態に係る閉孔蓋100は、
図4及び
図5に示すように、蓋本体110と、挟持部材120とからなり、服本体210の外側に配置された蓋本体110と、服本体210の内側に配置された挟持部材120と、によって、服本体210のファン取付孔214の周囲のシート状部材S、及び取付孔補強部材215が備えられている場合には取付孔補強部材215を挟み込むようにして、服本体210に着脱自在に取り付けられる。
【0040】
(蓋本体)
蓋本体110は、
図5及び
図6に示すように、略扁平な円形の板状に形成され、中央部に挟持部材120と接続するための第1接続手段としての面ファスナー110aを備える。
蓋本体110の材料は、蓋本体110と、挟持部材120と、によって、服本体210のファン取付孔214の周囲の部分を挟み込むことで、ファン取付孔214を閉塞することができるものであれば任意であるが、例えばプラスチック等の樹脂材料や、厚手の布等を用いることができる。
蓋本体110は、その直径k2が、服本体210のファン取付孔214の直径k1と比較して大きくなるように形成されている。これによって、
図5に示すように、ファン取付孔214の中心と、蓋本体110の中心とが重なるように、蓋本体110を服本体210の外面側から当てると、蓋本体110がファン取付孔214を完全に覆うと共に、蓋本体110の外周付近が、服本体210のファン取付孔214の周囲の部分に当接することとなる。
なお、
図5及び
図6においては、蓋本体110に、面ファスナー110aを除いて凹凸が存しない場合につき図示したが、蓋本体110には、ファン取付孔214を閉塞する上で障害とならない範囲で、多少の凹凸が存在していてもよい。「略扁平」とはこのような場合を含む趣旨である。
【0041】
第1接続手段としての面ファスナー110aは、後述の挟持部材120に備えられた第2接続手段としての面ファスナー120aと接続されることで、蓋本体110と挟持部材120とを、これらの中央部において着脱自在に接続するための手段である。
【0042】
第1接続手段としての面ファスナー110aは、
図5及び
図6に示すように、蓋本体110の一面の中央部付近に備えられ、その直径はファン取付孔214の直径k1よりも小さい。
すなわち、面ファスナー110aは、ファン取付孔214の中心と、蓋本体110の中心とが重なるように蓋本体110を服本体210の外面側から当てた際に、ファン取付孔214の周囲に当接することとなる部分を避け、ファン取付孔214に重なる位置に備えられる。
【0043】
(挟持部材)
挟持部材120は、
図5及び
図7に示すように、略扁平な円形の板状に形成され、中央部に蓋本体110と接続するための第2接続手段としての面ファスナー120aを備える。
挟持部材120の材料も、蓋本体110と同様、蓋本体110と、挟持部材120と、によって、服本体210のファン取付孔214の周囲の部分を挟み込むことで、ファン取付孔214を閉塞することができる強度を有すれば任意であるが、例えばプラスチック等の樹脂材料や、厚手の布等を用いることができる。
挟持部材120は、その直径k3が、服本体210のファン取付孔214の直径k1と比較して大きくなるように形成されている。これによって、
図5に示すように、ファン取付孔214の中心と、挟持部材120の中心とが重なるように、挟持部材120を服本体210の内面側から当てると、挟持部材120がファン取付孔214を完全に覆うと共に、挟持部材120の外周付近が、服本体210のファン取付孔214の周囲の部分に当接することとなる。
なお、
図5及び
図7においては、挟持部材120に、面ファスナー120aを除いて凹凸が存しない場合につき図示したが、挟持部材120には、ファン取付孔214を閉塞する上で障害とならない範囲で、多少の凹凸が存在していてもよい。「略扁平」とはこのような場合を含む趣旨である。
【0044】
第2接続手段としての面ファスナー120aは、前述の蓋本体110に備えられた第1接続手段としての面ファスナー110aと接続されることで、蓋本体110と挟持部材120とを、これらの中央部において着脱自在に接続するための手段である。
【0045】
第2接続手段としての面ファスナー120aは、
図5及び
図7に示すように、挟持部材120の一面の中央部付近に備えられ、その直径はファン取付孔214の直径k1よりも小さい。
すなわち、面ファスナー120aは、ファン取付孔214の中心と、挟持部材120の中心とが重なるように挟持部材120を服本体210の内面側から当てた際に、ファン取付孔214の周囲に当接することとなる部分を避け、ファン取付孔214に重なる位置に備えられる。
【0046】
{閉孔蓋の取り付け方法}
閉孔蓋100は、以下のようにして、空調衣服200の服本体210に取り付けることができる。
1.空調衣服200からファン220を取り外し、ファン取付孔214が開放された状態とする。
2.蓋本体110を、蓋本体110の中心とファン取付孔214の中心とが略重なり、第1接続手段としての面ファスナー110aが備えられた側の面の外周付近が服本体210外面側のファン取付孔214の周囲の部分に当接するように、服本体210の外面側から当てる。
3.挟持部材120を、挟持部材120の中心とファン取付孔214の中心とが略重なり、第2接続手段としての面ファスナー120aが備えられた側の面の外周付近が服本体210内面側のファン取付孔214の周囲の部分に当接するように、服本体210の内面側から当てる。
4.蓋本体110の第1接続手段としての面ファスナー110aと、挟持部材120の第2接続手段としての面ファスナー120aとを接続する。
【0047】
これによって、
図5に示すように、蓋本体110の外周付近と、挟持部材120の外周付近とによって、服本体210のファン取付孔214の周囲の部分を挟むことで、閉孔蓋100を、ファン取付孔214を塞ぐようにして、服本体210に取り付けることができる。
【0048】
{閉孔蓋の効果}
第1実施形態に係る閉孔蓋100によれば、上記のようにして、ファン取付孔214を閉塞するように閉孔蓋100を服本体210に対して取り付けることが可能であることから、服本体210に対して閉孔蓋100を取り付け可能とするために、服本体210の側に何らかの取付手段を備えることを要しない。
したがって、空調衣服200の服本体210に対して追加の加工を行う必要がないことから、閉孔蓋100を使用可能とするために空調衣服の製造コストの増加を招くことを防止できる。また、閉孔蓋100の使用を予定して製造された空調衣服でなくとも、服本体210にファン220を取り付けるためのファン取付孔214を有する多くの空調衣服について、ファン220を取り外した際に、ファン取付孔214を閉塞して用いることが可能となる。
【0049】
また、本実施形態によれば、蓋本体110、挟持部材120共に略扁平な板状に形成されていることから、閉孔蓋100を薄く形成することができ、服本体210に取り付けた状態で、これが着用者の邪魔になることを防止できる。
【0050】
{変形例}
以下、第1実施形態の変形例につき説明する。
【0051】
上記のように、第1実施形態においては、第1接続手段として面ファスナー110aが用いられ、第2接続手段として面ファスナー120aが用いられることが好ましいが、第1実施形態における第1接続手段及び第2接続手段は、これらがファン取付孔214を介して着脱自在に接続可能であればよく、必ずしも面ファスナーには限られない。
例えば、スナップボタンを用いてもよいし、接着と剥離とを繰り返すことが可能な所定の感圧接着剤を塗布することで、第1接続手段及び第2接続手段を形成してもよい。
【0052】
なお、例えば、第1接続手段が、感圧接着剤等の単独でも接着力を有する手段である場合、第2接続手段としては、特段の構成を備えずともよい。この場合、挟持部材120のうち、閉孔蓋100が服本体210に取り付けられた際に、蓋本体110と当接し、第1接続手段が接続される部分が、本発明における第2接続手段として機能することとなる。
また、反対に、第2接続手段が、感圧接着剤等の単独でも接着力を有する手段である場合、第1接続手段としては、特段の構成を備えずともよい。この場合、蓋本体110のうち、閉孔蓋100が服本体210に取り付けられた際に、挟持部材120と当接し、第2接続手段が接続される部分が、本発明における第1接続手段として機能することとなる。
【0053】
また、上記においては、閉孔蓋100が取り付けられる物品として、空調衣服200を例として説明したが、閉孔蓋100は、空調衣服200以外にも、ファンを取り付けるファン取付孔を有するシート状部材を備え、ファンを取り付けた状態、ファンを取り付けずファン取付孔を閉塞した状態の両状態で使用することが求められるその他の物品においても用いることが可能である。
【0054】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係る閉孔蓋100Aについて、
図8から
図11に基づいて説明する。なお、第1実施形態に係る閉孔蓋100と同一の部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0055】
{閉孔蓋の構成}
第2実施形態に係る閉孔蓋100Aは、
図8に示すように、蓋本体110Aと、挟持部材120Aとからなり、服本体210の外側に配置された蓋本体110Aと、服本体210の内側に配置された挟持部材120Aと、によって、服本体210のファン取付孔214の周囲のシート状部材S、及び取付孔補強部材215が備えられている場合には取付孔補強部材215を挟み込むようにして、服本体210に着脱自在に取り付けられる。
【0056】
(蓋本体)
蓋本体110Aは、
図8及び
図9に示すように、略扁平な円形の板状に形成された平面部111と、平面部111の一面から円筒状に立設する筒状部112と、を備える。蓋本体110Aの材料は、後述のように挟持部材120Aを筒状部112に取り付けることで、蓋本体110Aの平面部111と、挟持部材120Aの一端部と、によって、服本体210のファン取付孔214の周囲の部分を挟み込むことで、ファン取付孔214を閉塞することができるものであれば任意であるが、例えばプラスチック等の樹脂材料を用いることができる。
なお、
図8及び
図9においては、平面部111に凹凸が存しない場合につき図示したが、平面部111には、ファン取付孔214を閉塞する上で障害とならない範囲で、多少の凹凸が存在していてもよい。「略扁平」とはこのような場合を含む趣旨である。
【0057】
平面部111は、その直径k4が、服本体210のファン取付孔214の直径k1と比較して、大きくなるように形成されている。これによって、
図8に示すように、ファン取付孔214の中心と、平面部111の中心とが重なり、筒状部112がファン取付孔214を挿通するように、蓋本体110Aを服本体210の外面側から当てると、平面部111がファン取付孔214を完全に覆うと共に、平面部111の外周付近が、服本体210のファン取付孔214の周囲の部分に当接することとなる。
【0058】
筒状部112は、
図8及び
図9に示すように、平面部111の一面側の中央部から、その中心軸に垂直な平面で切ったときの断面が円形となる円筒状に立設するようにして形成されている。
筒状部112の外周の直径k5は、服本体210のファン取付孔214の直径k1と同一か、僅かに小さくなるように形成されている。したがって、筒状部112をファン取付孔214に挿入することが可能であり、かつ、挿入した際に、隙間が生じないか、僅かしか生じないようにすることができる。
また、筒状部112は、
図8及び
図9に示すように、平面部111の外周付近に均等に筒状部112が備えられていない部分が残るように形成されている。
【0059】
筒状部112が立設する高さは、服本体210のファン取付孔214、及び取付孔補強部材215が備えられている場合には取付孔補強部材215の孔部215aを服本体210の外面側から挿通した上で、後述のように服本体210の内面側において挟持部材120Aを取り付けることができれば任意であるが、このような機能を果たし得る限りで、できる限り低く形成することが好ましい。これによって、服本体210に閉孔蓋100Aを取り付けた際に、閉孔蓋100Aが服本体210の内面側に突出する長さを短くすることができ、閉孔蓋100Aが着用者の邪魔になることを防止することができる。
【0060】
筒状部112には、
図8及び
図9に示すように、その中心軸に対して対称となる、互いに対向する二つの部位(本発明における第1部位)の外側に、それぞれ、第1接続手段としての凹部112aが形成されている。
第1接続手段としての凹部112aは、筒状部112の高さ方向中央部に形成された穴であり、筒状部112の外周に挟持部材120Aを固定するために用いられる。
凹部112aの形状は、後述の挟持部材120Aに形成された凸部120bと嵌合することで、筒状部112外面に挟持部材120Aを固定できるものであれば任意であるが、例えば、略四角形状の断面形状を有する穴として形成される。
【0061】
(挟持部材)
挟持部材120Aは、
図8に示すように、蓋本体110Aの筒状部112の外面を覆うように取り付けられ、挟持部材120Aの一端部と、蓋本体110Aの平面部111との間に、服本体210のファン取付孔214の周囲の部分を挟み込むことによって、閉孔蓋100Aを服本体210に取り付けるための部材である。
【0062】
挟持部材120Aは、
図10及び
図11に示すように、平面視における形状(挟持部材120Aをその中心軸に垂直な平面で切ったときの断面形状)が、楕円形状となるリング状に形成され、内周の長さが、蓋本体110Aの筒状部112の外周の長さよりも長く、内周の短径k6が、蓋本体110Aの筒状部112の外周の直径k5よりも小さいか、又は蓋本体110Aの筒状部112の外周の直径k5と同一となるように形成されている。なお、この場合、挟持部材120Aの内周の長径k7は、蓋本体110Aの筒状部112の外周の直径k5よりも大きくなる。
【0063】
また、挟持部材120Aの高さは、全周にわたり均一であり、かつ、蓋本体110Aの筒状部112の高さよりも僅かに低く形成されている。
【0064】
挟持部材120Aは、プラスチック等の可撓性を有する材料によって一体的に形成されており、可撓性を有している。
挟持部材120Aが可撓性を有することで、長径方向の外面側からこれを押圧すると、挟持部材120Aの短径方向が外側に膨らみ、挟持部材120Aを略円形状に変形することができる。また、長径方向の外面側からこれを押圧する力を解放すると、挟持部材120Aは、元の楕円形状に戻ることになる。
【0065】
図8及び
図10に示すように、挟持部材120Aの短径方向における互いに対向する二つの部位(本発明における第2部位)の内側には、それぞれ、第2接続手段としての凸部120bが形成されている。
第2接続手段としての凸部120bは、
図8及び
図10に示すように、挟持部材120Aの高さ方向中央部に形成され、それぞれが、蓋本体110Aの凹部112aと嵌合することで、挟持部材120Aを蓋本体110Aの筒状部112の外側に固定するためのものである。
なお、第2接続手段としての凸部120bは、挟持部材120Aの高さ方向中央部から、僅かに一方に寄った位置に備えられていてもよい。この場合、挟持部材120Aを筒状部112に挿入する向きを変えることで、挟持部材120Aと、蓋本体110Aの平面部111との間の間隔を2段階に調整することが可能となる。
【0066】
第2接続手段としての凸部120bは、第1接続手段としての凹部112aの形状に対応して、凹部112aと嵌合可能なものである必要があり、凹部112aが略四角形状の断面形状を有する穴として形成されている場合であれば、略四角柱状の突起として形成される。また、第2接続手段としての凸部120bは、第1接続手段としての凹部112aと嵌合させることができるように、凹部112aの内面側の形状と同一か、これよりも僅かに小さく形成されている。
【0067】
{閉孔蓋の取付け方法}
閉孔蓋100Aは、以下のようにして、空調衣服200の服本体210に取り付けることができる。
1.空調衣服200からファン220を取り外し、ファン取付孔214が開放された状態とする。
2.蓋本体110Aの筒状部112を、服本体210の外面側から、ファン取付孔214に挿入し、平面部111の筒状部112が備えられていない外周付近の部分を、服本体210外面側のファン取付孔214の周囲の部分に当接させる。
3.楕円形状の挟持部材120Aの長径方向を外面側から押圧し、これを撓ませて略円形状に変形させる。
4.挟持部材120Aの形状を略円形状に保ったまま、凸部120bの位置と、蓋本体110Aの筒状部112の凹部112aの位置とが重なるようにして、挟持部材120Aを、服本体210の内面側から筒状部112に挿入する。
5.凸部120bが、凹部112aと対向する状態で、挟持部材120Aに対する押圧を解除し、
図11に示すように凹部112aと凸部120bとを嵌合させる。
【0068】
これによって、
図8に示すように、蓋本体110Aの平面部111の筒状部112が備えられていない外周付近の部分と、挟持部材120Aの一端部とによって、服本体210のファン取付孔214の周囲を挟んだ状態で、挟持部材120Aを筒状部112に固定することで、閉孔蓋100Aを、ファン取付孔214を塞ぐようにして、服本体210に取り付けることができる。
なお、閉孔蓋100Aを取り外す際には、再び挟持部材120Aの長径方向を外面側から押圧し、挟持部材120Aを撓ませて略円形状に変形させることで、凹部112aと凸部120bとの嵌合を解除した上で、挟持部材120Aを、筒状部112から引き抜けばよい。
【0069】
{閉孔蓋の効果}
第2実施形態に係る閉孔蓋100Aによっても、上記のようにしてファン取付孔214を閉塞するように閉孔蓋100Aを服本体210に対して取り付けることが可能であることから、服本体210に対して閉孔蓋100Aを取り付け可能とするために、服本体210の側に何らかの取付手段を備えることを要しない。
したがって、空調衣服200の服本体210に対して追加の加工を行う必要がないことから、閉孔蓋100Aを使用可能とするために空調衣服の製造コストの増加を招くことを防止できる。また、閉孔蓋100Aの使用を予定して製造された空調衣服でなくとも、服本体210にファン220を取り付けるためのファン取付孔214を有する多くの空調衣服について、ファン220を取り外した際に、ファン取付孔214を閉塞して用いることが可能となる。
【0070】
また、挟持部材120Aが筒状部112に挿入された状態で、挟持部材120Aが元の楕円形状に戻ろうとする力が働くため、蓋本体110Aに備えられた第1接続手段としての凹部112aと、挟持部材120Aに備えられた第2接続手段としての凸部120bとの嵌合が外れ難くなり、その結果として、閉孔蓋100Aを、服本体210から外れ難くすることができる。
【0071】
{変形例}
以下、第2実施形態の変形例につき説明する。
【0072】
上記においては、服本体210の外面側に蓋本体110Aが配置され、服本体210の内面側に挟持部材120Aが配置される場合につき説明したが、これとは反対に、服本体210の外面側に挟持部材120Aが配置され、服本体210の内面側に蓋本体110Aが配置されるようにすることも可能である。
ただし、閉塞蓋装着時の服の外観を考慮すると、服本体210の外面側に蓋本体110Aが配置され、服本体210の内面側に挟持部材120Aが配置される方が好ましい。
【0073】
また、空調衣服200のファン220の構成を変更することで、閉孔蓋100Aの挟持部材120Aと、ファン220を取り付けるための取付けリング222を共用できるようにしてもよい。
すなわち、ファン本体221の筒状部221cを、上下方向に短くし、外面側の形状が閉孔蓋100Aの蓋本体110Aにおける筒状部112と同様になるように形成することで、閉孔蓋100Aの取り付けに用いる挟持部材120Aを、ファン220の取り付けの際にも用いることが可能となる。
【0074】
また、上記においては、閉孔蓋100Aが取り付けられる物品として、空調衣服200を例として説明したが、閉孔蓋100Aは、空調衣服200以外にも、ファンを取り付けるファン取付孔を有するシート状部材を備え、ファンを取り付けた状態、ファンを取り付けずファン取付孔を閉塞した状態の両状態で使用することが求められるその他の物品においても用いることが可能である。
【0075】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態に係る閉孔蓋100Bについて、
図12から
図14に基づいて説明する。なお、第1実施形態に係る閉孔蓋100又は第2実施形態に係る閉孔蓋100Aと同一の部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0076】
{閉孔蓋の構成}
第2実施形態に係る閉孔蓋100Bは、
図12に示すように、蓋本体110Bと、挟持部材120Bとからなり、服本体210の外側に配置された蓋本体110Bと、服本体210の内側に配置された挟持部材120Bと、によって、服本体210のファン取付孔214の周囲のシート状部材S、及び取付孔補強部材215が備えられている場合には取付孔補強部材215を挟み込むようにして、服本体210に着脱自在に取り付けられる。
【0077】
(蓋本体)
蓋本体110Bは、
図12及び
図13に示すように、略扁平な円形の板状に形成された、第2実施形態に係る蓋本体110Aと同様の平面部111と、平面部111の一面から円筒状に立設する筒状部112Bと、を備える。蓋本体110Bの材料は、後述のように挟持部材120Bを筒状部112Bに取り付けることで、蓋本体110Bの平面部111と、挟持部材120Bの一端部と、によって、服本体210のファン取付孔214の周囲の部分を挟み込むことで、ファン取付孔214を閉塞することができるものであれば任意であるが、例えばプラスチック等の樹脂材料を用いることができる。
【0078】
筒状部112Bは、第2実施形態に係る筒状部112と略同一形状となる円筒状に、平面部111の一面側の中央部から立設するようにして形成され、
図12及び
図13に示すように、外面側に、後述の挟持部材120Bの雌ねじ部120cと螺合する、第1接続手段としての雄ねじ部112bを備えている。
【0079】
(挟持部材)
挟持部材120Bは、
図12に示すように、蓋本体110Bの筒状部112Bの外面を覆うように取り付けられ、挟持部材120Bの一端部と、蓋本体110Bの平面部111との間に、服本体210のファン取付孔214の周囲の部分を挟み込むことによって、閉孔蓋100Bを服本体210に取り付けるための部材である。
【0080】
挟持部材120Bは、
図14に示すように、平面視における形状(挟持部材120Bをその中心軸に垂直な平面で切ったときの断面形状)が、円形状となるリング状に形成され、内周の直径k8が、蓋本体110Bの筒状部112Bの外周の直径k5と同一か、筒状部112Bの外周の直径k5よりも僅かに大きくなるように形成されている。
【0081】
挟持部材120Bの高さは、全周にわたり均一であり、かつ、蓋本体110Aの筒状部112Bの高さよりも僅かに低く形成されている。また、挟持部材120Bは、プラスチック等により一体的に形成されている。
【0082】
挟持部材120Bは、内面側に、蓋本体110Bの筒状部112Bの雄ねじ部112bと螺合する、第2接続手段としての雌ねじ部120cを備えている。
【0083】
{閉孔蓋の取付け方法}
閉孔蓋100Bは、以下のようにして、空調衣服200の服本体210に取り付けることができる。
1.空調衣服200からファン220を取り外し、ファン取付孔214が開放された状態とする。
2.蓋本体110Bの筒状部112Bを、服本体210の外面側から、ファン取付孔214に挿入し、平面部111の筒状部112Bが備えられていない外周付近の部分を、服本体210外面側のファン取付孔214の周囲の部分に当接させる。
3.挟持部材120Bを、服本体210の内面側から、これを回転させて雄ねじ部112bと雌ねじ部120cとを螺合させながら、筒状部112Bに取り付ける。
【0084】
これによって、
図12に示すように、蓋本体110Bの平面部111の筒状部112Bが備えられていない外周付近の部分と、挟持部材120Bの一端部とによって、服本体210のファン取付孔214の周囲を挟んだ状態で、挟持部材120Bを筒状部112Bに固定することで、閉孔蓋100Bを、ファン取付孔214を塞ぐようにして、服本体210に取り付けることができる。
なお、挟持部材120Bを取り外す際には、挟持部材120Bを、これを取り付けた際とは反対方向に回転させて、雄ねじ部112bと雌ねじ部120cとの螺合を外しながら筒状部112Bから引き抜けばよい。
【0085】
{閉孔蓋の効果}
第3実施形態に係る閉孔蓋100Bによっても、上記のようにしてファン取付孔214を閉塞するように閉孔蓋100Bを服本体210に対して取り付けることが可能であることから、服本体210に対して閉孔蓋100Bを取り付け可能とするために、服本体210の側に何らかの取付手段を備えることを要しない。
したがって、空調衣服200の服本体210に対して追加の加工を行う必要がないことから、閉孔蓋100Aを使用可能とするために空調衣服の製造コストの増加を招くことを防止できる。また、閉孔蓋100Aの使用を予定して製造された空調衣服でなくとも、服本体210にファン220を取り付けるためのファン取付孔214を有する多くの空調衣服について、ファン220を取り外した際に、ファン取付孔214を閉塞して用いることが可能となる。
【0086】
また、蓋本体110Bと挟持部材120Bとが、雄ねじ部112bと、雌ねじ部120cとの螺合によって、強固に固定されることから、閉孔蓋100Bを服本体210から外れ難くすることができる。
【0087】
{変形例}
以下、第3実施形態の変形例につき説明する。
【0088】
上記においては、服本体210の外面側に蓋本体110Bが配置され、服本体210の内面側に挟持部材120Bが配置される場合につき説明したが、これとは反対に、服本体210の外面側に挟持部材120Bが配置され、服本体210の内面側に蓋本体110Bが配置されるようにすることも可能である。
ただし、閉塞蓋装着時の服の外観を考慮すると、服本体210の外面側に蓋本体110Bが配置され、服本体210の内面側に挟持部材120Bが配置される方が好ましい。
【0089】
また、上記においては、蓋本体110Bの筒状部112Bに備えられた第1接続手段として雄ねじ部112bを用い、挟持部材120Bに備えられた第2接続手段として雌ねじ部120cを用いる場合につき説明したが、これとは反対に、第1接続手段を雌ねじとし、第2接続手段を雄ねじとしてもよい。
【0090】
また、空調衣服200のファン220の構成を変更することで、閉孔蓋100Bの挟持部材120Bと、ファン220を取り付けるための取付けリング222を共用できるようにしてもよい。
すなわち、ファン本体221の筒状部221cを、上下方向に短くし、外面側の形状が閉孔蓋100Bの蓋本体110Bにおける筒状部112Bと同様になるように形成することで、閉孔蓋100Bの取り付けに用いる挟持部材120Bを、ファン220の取り付けの際にも用いることが可能となる。
【0091】
また、上記においては、閉孔蓋100Bが取り付けられる物品として、空調衣服200を例として説明したが、閉孔蓋100Bは、空調衣服200以外にも、ファンを取り付けるファン取付孔を有するシート状部材を備え、ファンを取り付けた状態、ファンを取り付けずファン取付孔を閉塞した状態の両状態で使用することが求められるその他の物品においても用いることが可能である。
【符号の説明】
【0092】
100、100A、100B 閉孔蓋
110、110A、110B 蓋本体
110a 面ファスナー(第1接続手段)
111 平面部
112、112B 筒状部
112a 凹部(第1接続手段)
112b 雄ねじ部(第1接続手段)
120、120A、120B 挟持部材
120a 面ファスナー(第2接続手段)
120b 凸部(第2接続手段)
120c 雌ねじ部(第2接続手段)
200 空調衣服
210 服本体
214 ファン取付孔
220 ファン
S シート状部材