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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-27
(45)【発行日】2023-04-04
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20230328BHJP
【FI】
A63F7/02 326Z
A63F7/02 304D
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018224269
(22)【出願日】2018-11-29
(65)【公開番号】P2020081660
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】100111970
【弁理士】
【氏名又は名称】三林 大介
(74)【代理人】
【識別番号】100163315
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健二
(72)【発明者】
【氏名】野田 泰之
(72)【発明者】
【氏名】原 一功
(72)【発明者】
【氏名】田中 勝巳
【審査官】廣瀬 貴理
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-082960(JP,A)
【文献】特開2018-126245(JP,A)
【文献】特開2011-091971(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技媒体を利用して遊技を行う遊技機であって、
ステッピングモーターと、
前記ステッピングモーターを駆動するモーター駆動手段と、
を備え、
前記モーター駆動手段は、
前記ステッピングモーターの駆動を開始してから終了するまでの1回の駆動において、
前記ステッピングモーターの駆動を開始してから所定の条件が成立するまでの第1の期間は、前記ステッピングモーターに第1の電流を流すことで前記ステッピングモーターを駆動し、
前記第1の期間が経過した後の第2の期間は、前記ステッピングモーターに前記第1の電流より小さい第2の電流を流すことで前記ステッピングモーターを駆動することが可能であり、
前記モーター駆動手段は、
前記1回の駆動が所定の閾値時間以上に亘って継続する場合は、当該1回の駆動における前記第1の期間は前記ステッピングモーターに前記第1の電流を流し、前記第2の期間は前記ステッピングモーターに前記第2の電流を流し、
前記1回の駆動が前記所定の閾値時間未満しか継続しない場合は、当該1回の駆動における前記第1の期間および前記第2の期間の双方の期間で、前記ステッピングモーターに前記第1の電流を流す
ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
遊技媒体を利用して遊技を行う遊技機であって、
ステッピングモーターと、
前記ステッピングモーターを駆動するモーター駆動手段と、
を備え、
前記モーター駆動手段は、
前記ステッピングモーターの駆動を開始してから終了するまでの1回の駆動において、
前記ステッピングモーターの駆動を開始してから所定の条件が成立するまでの第1の期間は、前記ステッピングモーターに第1の電流を流すことで前記ステッピングモーターを駆動し、
前記第1の期間が経過した後の第2の期間は、前記ステッピングモーターに前記第1の電流より小さい第2の電流を流すことで前記ステッピングモーターを駆動することが可能であり、
前記モーター駆動手段は、
前記1回の駆動が所定の閾値頻度以上で行われている場合は、当該1回の駆動における前記第1の期間は前記ステッピングモーターに前記第1の電流を流し、前記第2の期間は前記ステッピングモーターに前記第2の電流を流し、
前記1回の駆動が前記所定の閾値頻度未満で行われている場合は、当該1回の駆動における前記第1の期間および前記第2の期間の双方の期間で、前記ステッピングモーターに前記第1の電流を流す
ことを特徴とする遊技機。
【請求項3】
遊技媒体を利用して遊技を行う遊技機であって、
ステッピングモーターと、
前記ステッピングモーターを駆動するモーター駆動手段と、
を備え、
前記モーター駆動手段は、
前記ステッピングモーターの駆動を開始してから終了するまでの1回の駆動において、
前記ステッピングモーターの駆動を開始してから所定の条件が成立するまでの第1の期間は、前記ステッピングモーターに第1の電流を流すことで前記ステッピングモーターを駆動し、
前記第1の期間が経過した後の第2の期間は、前記ステッピングモーターに前記第1の電流より小さい第2の電流を流すことで前記ステッピングモーターを駆動することが可能であり、
前記モーター駆動手段は、
前回の前記1回の駆動からの時間が所定の時間未満である場合は、今回の前記1回の駆動における前記第1の期間は前記ステッピングモーターに前記第1の電流を流し、前記第2の期間は前記ステッピングモーターに前記第2の電流を流し、
前回の前記1回の駆動からの時間が前記所定の時間以上である場合は、今回の前記1回の駆動における前記第1の期間および前記第2の期間の双方の期間で、前記ステッピングモーターに前記第1の電流を流す
ことを特徴とする遊技機。
【請求項4】
遊技媒体を利用して遊技を行う遊技機であって、
ステッピングモーターと、
前記ステッピングモーターを駆動するモーター駆動手段と、
を備え、
前記モーター駆動手段は、
前記ステッピングモーターの駆動を開始してから終了するまでの1回の駆動において、
前記ステッピングモーターの駆動を開始してから所定の条件が成立するまでの第1の期間は、前記ステッピングモーターに第1の電流を流すことで前記ステッピングモーターを駆動し、
前記第1の期間が経過した後の第2の期間は、前記ステッピングモーターに前記第1の電流より小さい第2の電流を流すことで前記ステッピングモーターを駆動することが可能であり、
前記ステッピングモーターの駆動力が伝達されることで、遊技者に遊技媒体を払い出す払出手段を備え、
当該遊技機には、遊技媒体が遊技者に払い出される払出口が設けられており、
前記払出手段は、動作可能な可動部材を備え、
前記可動部材は、前記ステッピングモーターの駆動力が伝達されることで、遊技媒体に接触しつつ動作して該遊技媒体を前記払出口側に移動させるものであり、
前記モーター駆動手段は、
前記1回の駆動を開始する時点で遊技媒体と前記可動部材の位置関係が所定の位置関係にある場合は、当該1回の駆動における前記第1の期間は前記ステッピングモーターに前記第1の電流を流し、前記第2の期間は前記ステッピングモーターに前記第2の電流を流し、
前記1回の駆動を開始する時点で遊技媒体と前記可動部材の位置関係が前記所定の位置関係にない場合は、当該1回の駆動における前記第1の期間および前記第2の期間の双方の期間で、前記ステッピングモーターに前記第2の電流を流す
ことを特徴とする遊技機。
【請求項5】
遊技媒体を利用して遊技を行う遊技機であって、
ステッピングモーターと、
前記ステッピングモーターを駆動するモーター駆動手段と、
を備え、
前記モーター駆動手段は、
前記ステッピングモーターの駆動を開始してから終了するまでの1回の駆動において、
前記ステッピングモーターの駆動を開始してから所定の条件が成立するまでの第1の期間は、前記ステッピングモーターに第1の電流を流すことで前記ステッピングモーターを駆動し、
前記第1の期間が経過した後の第2の期間は、前記ステッピングモーターに前記第1の電流より小さい第2の電流を流すことで前記ステッピングモーターを駆動することが可能であり、
前記ステッピングモーターの脱調を検出可能な脱調検出手段を備え、
前記第2の電流を流している際に前記脱調検出手段が前記ステッピングモーターの脱調を検出した場合は、次回の前記1回の駆動における前記第1の期間および前記第2の期間の双方の期間で、前記ステッピングモーターに前記第1の電流を流す
ことを特徴とする遊技機
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技球や遊技メダル等の遊技媒体を利用して遊技を行う遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技機としては、遊技盤に形成された遊技領域に向けて遊技球を発射することによって遊技を行うパチンコ機や、遊技メダルを投入後、外周面に複数種類の図柄が描かれた回胴を回転させることによって遊技を行うスロットマシンなどが知られている。
【0003】
このような遊技機では、駆動源を駆動することによって、その駆動力を可動体に伝達し、可動体を移動させることがある。このような駆動源としては、回転量(制御量)の調節が容易であることから、ステッピングモーターが優先的に利用されている(例えば特許文献1)。
【0004】
ステッピングモーターの駆動を開始するに際しては、大きなトルク(本明細書では『初動トルク』ともいう)が必要であり、この際、ステッピングモーターには、『初動トルクを上回るトルクを出力可能な大きさの電流』を流す必要がある。また、このようなステッピングモーターを駆動するための電流(本明細書では『駆動電流』ともいう)は、駆動開始から駆動終了まで変化させないことが常識である。従って、結局のところ、ステッピングモーターの駆動電流としては、駆動開始から駆動終了まで『初動トルクを上回るトルクを出力可能な大きさの電流』が一律に利用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-180331号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
もっとも、一般的な遊技機においては、ステッピングモーターを駆動する期間やタイミングが多様であり、この期間やタイミングによっては、ステッピングモーターが長期間に亘って、あるいは、高い頻度で駆動されることもある。そして、このような場合に、ステッピングモーターの駆動電流として『初動トルクを上回るトルクを出力可能な大きさの電流』を一律に利用すると、ステッピングモーターが過度に発熱してしまう虞がある。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、ステッピングモーターの発熱を抑制することができる遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題の少なくとも一部を解決するために、本発明の遊技機は次の構成を採用した。すなわち、
遊技媒体を利用して遊技を行う遊技機であって、
ステッピングモーターと、
前記ステッピングモーターを駆動するモーター駆動手段と、
を備え、
前記モーター駆動手段は、
前記ステッピングモーターの駆動を開始してから終了するまでの1回の駆動において、
前記ステッピングモーターの駆動を開始してから所定の条件が成立するまでの第1の期間は、前記ステッピングモーターに第1の電流を流すことで前記ステッピングモーターを駆動し、
前記第1の期間が経過した後の第2の期間は、前記ステッピングモーターに前記第1の電流より小さい第2の電流を流すことで前記ステッピングモーターを駆動することが可能であり、
前記モーター駆動手段は、
前記1回の駆動が所定の閾値時間以上に亘って継続する場合は、当該1回の駆動における前記第1の期間は前記ステッピングモーターに前記第1の電流を流し、前記第2の期間は前記ステッピングモーターに前記第2の電流を流し、
前記1回の駆動が前記所定の閾値時間未満しか継続しない場合は、当該1回の駆動における前記第1の期間および前記第2の期間の双方の期間で、前記ステッピングモーターに前記第1の電流を流す
ことを特徴とする。
【0009】
また、本発明の遊技機は、
遊技媒体を利用して遊技を行う遊技機であって、
ステッピングモーターと、
前記ステッピングモーターを駆動するモーター駆動手段と、
を備え、
前記モーター駆動手段は、
前記ステッピングモーターの駆動を開始してから終了するまでの1回の駆動において、
前記ステッピングモーターの駆動を開始してから所定の条件が成立するまでの第1の期間は、前記ステッピングモーターに第1の電流を流すことで前記ステッピングモーターを駆動し、
前記第1の期間が経過した後の第2の期間は、前記ステッピングモーターに前記第1の電流より小さい第2の電流を流すことで前記ステッピングモーターを駆動することが可能であり、
前記モーター駆動手段は、
前記1回の駆動が所定の閾値頻度以上で行われている場合は、当該1回の駆動における前記第1の期間は前記ステッピングモーターに前記第1の電流を流し、前記第2の期間は前記ステッピングモーターに前記第2の電流を流し、
前記1回の駆動が前記所定の閾値頻度未満で行われている場合は、当該1回の駆動における前記第1の期間および前記第2の期間の双方の期間で、前記ステッピングモーターに前記第1の電流を流す
こととしてもよい。
【0010】
また、本発明の遊技機は、
遊技媒体を利用して遊技を行う遊技機であって、
ステッピングモーターと、
前記ステッピングモーターを駆動するモーター駆動手段と、
を備え、
前記モーター駆動手段は、
前記ステッピングモーターの駆動を開始してから終了するまでの1回の駆動において、
前記ステッピングモーターの駆動を開始してから所定の条件が成立するまでの第1の期間は、前記ステッピングモーターに第1の電流を流すことで前記ステッピングモーターを駆動し、
前記第1の期間が経過した後の第2の期間は、前記ステッピングモーターに前記第1の電流より小さい第2の電流を流すことで前記ステッピングモーターを駆動することが可能であり、
前記モーター駆動手段は、
前回の前記1回の駆動からの時間が所定の時間未満である場合は、今回の前記1回の駆動における前記第1の期間は前記ステッピングモーターに前記第1の電流を流し、前記第2の期間は前記ステッピングモーターに前記第2の電流を流し、
前回の前記1回の駆動からの時間が前記所定の時間以上である場合は、今回の前記1回の駆動における前記第1の期間および前記第2の期間の双方の期間で、前記ステッピングモーターに前記第1の電流を流す
こととしてもよい。
【0011】
また、本発明の遊技機は、
遊技媒体を利用して遊技を行う遊技機であって、
ステッピングモーターと、
前記ステッピングモーターを駆動するモーター駆動手段と、
を備え、
前記モーター駆動手段は、
前記ステッピングモーターの駆動を開始してから終了するまでの1回の駆動において、
前記ステッピングモーターの駆動を開始してから所定の条件が成立するまでの第1の期間は、前記ステッピングモーターに第1の電流を流すことで前記ステッピングモーターを駆動し、
前記第1の期間が経過した後の第2の期間は、前記ステッピングモーターに前記第1の電流より小さい第2の電流を流すことで前記ステッピングモーターを駆動することが可能であり、
前記ステッピングモーターの駆動力が伝達されることで、遊技者に遊技媒体を払い出す払出手段を備え、
当該遊技機には、遊技媒体が遊技者に払い出される払出口が設けられており、
前記払出手段は、動作可能な可動部材を備え、
前記可動部材は、前記ステッピングモーターの駆動力が伝達されることで、遊技媒体に接触しつつ動作して該遊技媒体を前記払出口側に移動させるものであり、
前記モーター駆動手段は、
前記1回の駆動を開始する時点で遊技媒体と前記可動部材の位置関係が所定の位置関係にある場合は、当該1回の駆動における前記第1の期間は前記ステッピングモーターに前記第1の電流を流し、前記第2の期間は前記ステッピングモーターに前記第2の電流を流し、
前記1回の駆動を開始する時点で遊技媒体と前記可動部材の位置関係が前記所定の位置関係にない場合は、当該1回の駆動における前記第1の期間および前記第2の期間の双方の期間で、前記ステッピングモーターに前記第2の電流を流す
こととしてもよい。
【0012】
また、本発明の遊技機は、
遊技媒体を利用して遊技を行う遊技機であって、
ステッピングモーターと、
前記ステッピングモーターを駆動するモーター駆動手段と、
を備え、
前記モーター駆動手段は、
前記ステッピングモーターの駆動を開始してから終了するまでの1回の駆動において、
前記ステッピングモーターの駆動を開始してから所定の条件が成立するまでの第1の期間は、前記ステッピングモーターに第1の電流を流すことで前記ステッピングモーターを駆動し、
前記第1の期間が経過した後の第2の期間は、前記ステッピングモーターに前記第1の電流より小さい第2の電流を流すことで前記ステッピングモーターを駆動することが可能であり、
前記ステッピングモーターの脱調を検出可能な脱調検出手段を備え、
前記第2の電流を流している際に前記脱調検出手段が前記ステッピングモーターの脱調を検出した場合は、次回の前記1回の駆動における前記第1の期間および前記第2の期間の双方の期間で、前記ステッピングモーターに前記第1の電流を流す
こととしてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、遊技機において、ステッピングモーターの発熱を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本実施例のパチンコ機1の正面図である。
図2】本実施例の遊技盤20の盤面構成を示す説明図である。
図3】本実施例のパチンコ機1における制御回路の構成を示すブロック図である。
図4】本実施例の払出機構を概念的に示す説明図である。
図5】本実施例の払出制御基板240によって実行される払出制御処理を示すフローチャートである。
図6】一般的なパルス周波数に係る電流値と払出モーター70の回転速度を示す説明図である。
図7】本実施例のパルス周波数に係る電流値と払出モーター70の回転速度を示す説明図である。
図8】別態様のパルス周波数に係る電流値と払出モーター70の回転速度を示す説明図である。
図9】変形例1を示す説明図である。
図10】変形例2を示す説明図である。
図11】変形例3を示す説明図である。
図12】変形例4を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
上述した本発明の内容を明確にするために、本発明を、遊技媒体として遊技球を利用して遊技を行うパチンコ機(遊技機)であって、「セブン機」や「デジパチ」と呼ばれるタイプのパチンコ機(遊技機)に適用した実施例について説明する。尚、特に断りがない限りは、パチンコ機正面に向かって右側を「右」と表現し、左側を「左」と表現する。
【0019】
また、以下の実施例は次のような順序に従って説明する。
A.パチンコ機の装置構成:
A-1.装置前面側の構成:
A-2.遊技盤の構成:
A-3.制御回路の構成:
B.遊技の概要:
C.払出モーターの駆動態様:
D.変形例:
D-1.変形例1:
D-2.変形例2:
D-3.変形例3:
D-4.変形例4:
D-5.変形例5:
【0020】
A.パチンコ機の装置構成 :
A-1.装置前面側の構成 :
図1は、パチンコ機1の正面図である。図示するように、パチンコ機1の前面部には、前面枠4が設けられている。前面枠4の略中央部には窓部4aが形成されており、この窓部4aにはガラス板等の透明板4bが嵌め込まれている。遊技者は、窓部4a(透明板4b)を通して奥側に配置された遊技盤20の遊技領域を視認可能である。また、前面枠4における窓部4aの右下方には、小窓部4cが形成されており、この小窓部4cには合成樹脂板等の透明板4dが嵌め込まれている。遊技者は、小窓部4c(透明板4d)を通して奥側に配置されたセグメント表示部50(図2参照)を視認可能である。セグメント表示部50は、複数のLEDの組合せによって遊技に係る情報を表示する表示部である。
【0021】
前面枠4における窓部4aの上方には上部ランプ5aが設けられ、窓部4aの周縁部における右部には右サイドランプ5bが設けられ、窓部4aの周縁部における左部には左サイドランプ5cが設けられている。また、前面枠4における窓部4aの左右上方には上部スピーカー6aが設けられており、本体枠2の下部の前面には下部スピーカー6bが設けられている。これらの上部ランプ5a、右サイドランプ5b、左サイドランプ5c、上部スピーカー6a、下部スピーカー6bは、遊技上の演出効果を高めるために駆動される。
【0022】
前面枠4における窓部4aの下方には、上皿部7が設けられている。上皿部7の奥側には、払出口が設けられており、この払出口からは、カードユニット242(図3参照)を介して遊技者に貸し出される遊技球や、遊技者に特典として付与される遊技球が払い出される。また、上皿部7の下方には下皿部8が設けられており、上皿部7の容量を超えて払い出された遊技球が貯留される。
【0023】
前面枠4における下皿部8の右方には、発射ハンドル9が設けられている。発射ハンドル9の回転軸は、発射ハンドル9の奥側に搭載された発射装置ユニット261(図3参照)に接続されており、発射装置ユニット261には、上皿部7に貯留された遊技球が供給される。遊技者が発射ハンドル9を回転させると、その回転が発射装置ユニット261に伝達され、発射装置ユニット261に内蔵された発射モーターが駆動して、回転角度に応じた強さで遊技球が発射される。
【0024】
また、上皿部7の縁部には遊技者による押下操作が可能な演出ボタン10aが設けられており、下皿部8の左方には遊技者による押込操作や回転操作が可能なジョグシャトル10bが設けられている。これらの演出ボタン10aやジョグシャトル10bは、何れも遊技者によって操作される演出操作部であり、所定の条件の成立時に遊技者によって操作されると、所定の遊技演出が行われる。以下、演出ボタン10aやジョグシャトル10bを「演出操作部10a,10b」ともいう。
【0025】
前面枠4の背面側には中枠(図示略)および本体枠(図示略)が設けられ、前面枠は、一端(図1における左側)が中枠に対して回動可能に軸支されており、中枠は、一端(図1における左側)が本体枠に対して回動可能に軸支されている。本体枠は、木製の板状部材を組み立てて構成された略長方形の枠体であり、パチンコ機1はこの本体枠が島設備に取り付けられることで遊技ホールに設置される。中枠の前面側には遊技盤20(図2参照)が着脱可能に取り付けられており、前面枠4が中枠に対してパチンコ機1の前方側に回動(開放)されると、遊技盤20が露出した状態となる。
【0026】
A-2.遊技盤の構成 :
図2は、遊技盤20の盤面構成を示す説明図である。図示するように、遊技盤20の中央には略円形状の遊技領域21が形成されている。遊技領域21の左側には、発射装置ユニット261から発射された遊技球を遊技領域21へ案内する遊技球通路が、外レール22と内レール23とによって形成されている。発射装置ユニット261から発射された遊技球は、この遊技球通路を通過して遊技領域21に放出され、遊技領域21の上部から下方に向かって流下する。遊技領域21を流下する遊技球は、前面枠4の窓部4a(透明板4b)を通して、遊技者が視認可能である。
【0027】
遊技領域21の略中央には中央装置40が設けられており、中央装置40の略中央には、演出表示装置41が設けられている。演出表示装置41は液晶表示画面を用いて構成され、演出用の種々の画像を表示することが可能である。例えば、演出図柄として3つの識別図柄41a,41b,41cを表示可能であり、これらの識別図柄41a,41b,41cが、複数の数字(例えば「1」~「9」の9つの数字)を次々と切り換えて変動表示を実行する。
【0028】
遊技領域21において、中央装置40(演出表示装置41)の右方には、普通図柄作動ゲート27が設けられている。遊技球が普通図柄作動ゲート27を通過すると、内蔵されたゲートセンサー27s(図3参照)によって検知される。普通図柄作動ゲート27を通過した後は、そのまま下方へ流下していく。
【0029】
遊技領域21における中央装置40(演出表示装置41)の下方には、開口部の大きさが不変(一定)であり遊技球が常時入球可能な始動口である第1始動口24が設けられている。第1始動口24に入球した遊技球は、内部の通路を通って遊技盤20の裏面側に導かれて、第1始動口センサー24s(図3参照)によって検知される。
【0030】
遊技領域21における第1始動口24の下方には、遊技球の入球可能性が変化する入球口である第2始動口25が設けられている。第2始動口25は、パチンコ機1の前後方向に回動可能な開閉扉26を備えており、開閉扉26が略直立して遊技球が入球不能(または入球困難)な閉鎖状態と、開閉扉26がパチンコ機1の前方側に回動して遊技球が入球可能(または入球容易)な開放状態とに変化可能である。図2では、第2始動口25が開放状態となっている様子が示されている。第2始動口25に入球した遊技球は、内部の通路を通って遊技盤20の裏面側に導かれて、第2始動口センサー25s(図3参照)によって検知される。
【0031】
遊技領域21における第1始動口24の右方には、略長方形状に大きく開口された大入賞口28が設けられている。大入賞口28は、パチンコ機1の前後方向に回動可能な開閉扉29を備えており、開閉扉29が略直立して遊技球が入球不能な閉鎖状態と、開閉扉29がパチンコ機1の前方側に回動して遊技球が入球可能な開放状態とに変化可能である。図2では、大入賞口28が開放状態となっている様子が示されている。大入賞口28に入球した遊技球は、内部の通路を通って遊技盤20の裏面側に導かれて、大入賞口センサー28s(図3参照)によって検知される。
【0032】
また、遊技領域21には一般入賞口30が適宜設けられており、遊技球が一般入賞口30に入球した場合は10個の遊技球が遊技者に払い出される。同様に、上記の第1始動口24に遊技球が入球した場合は3個の遊技球が払い出され、第2始動口25に遊技球が入球した場合にも3個の遊技球が払い出される。更に、第1始動口24または第2始動口25に入球した場合には抽選が行われ、その結果次第では大入賞口28が開放状態となる大当り遊技が行われる。大入賞口28が開放状態となった場合、入球1個につき13個の遊技球が払い出される。
【0033】
その他、遊技領域21には、遊技球が流下する経路に影響を与える風車型ホイール31や多数の遊技釘32が設けられている。また、遊技領域21の最下部にはアウト口33が設けられており、上述した第1始動口24、第2始動口25、大入賞口28、一般入賞口30の何れにも入球しなかった遊技球は、アウト口33から遊技盤20の裏側に排出される。
【0034】
また、遊技盤20における遊技領域21の右下方には、LEDの組合せによって遊技に係る情報を表示するセグメント表示部50が設けられている。セグメント表示部50は、前面枠4に設けられた小窓部4c(図1参照)を通して遊技者が視認可能である。
【0035】
また、遊技盤20における演出表示装置41の上方には、回転役物60が設けられている。詳しくは後述するが、回転役物60は、その回転軸61に役物モーター80の駆動力が伝達されることによって、図中の矢印方向に回転する。
【0036】
A-3.制御回路の構成 :
次に、パチンコ機1における制御回路の構成について説明する。図3は、パチンコ機1における制御回路の構成を示したブロック図である。図示するようにパチンコ機1の制御回路は、多くの制御基板や各種基板などから構成されている。機能に着目して大別すると、遊技の基本的な進行に係る制御を司る主制御基板200と、遊技の演出に係る制御を司るサブ制御基板220と、サブ制御基板220の制御下で画像の表示や音声の出力に係る制御を司る画像音声制御基板230と、サブ制御基板220の制御下でランプの発光に係る制御を司るランプ制御基板226と、遊技球の貸出や払出に係る制御を司る払出制御基板240と、遊技球の発射に係る制御を司る発射制御基板260などから構成されている。これらの制御基板は、各種の論理演算や算術演算を実行するCPU(図3におけるCPU201、221、231等)、CPUで実行される各種プログラムやデータが記憶されているROM(図3におけるROM202、222、232等)、プログラムの実行に際してCPUが一時的なデータを記憶するRAM(図3におけるRAM203、223、233等)、入出力用回路など、種々の周辺LSIがバスで相互に接続されて構成されている。
【0037】
主制御基板200には、第1始動口24へ入球した遊技球を検知する第1始動口センサー24sや、第2始動口25へ入球した遊技球を検知する第2始動口センサー25s、大入賞口28へ入球した遊技球を検知する大入賞口センサー28s、普通図柄作動ゲート27を通過した遊技球を検知するゲートセンサー27sなどが接続されている。主制御基板200のCPU201は、これらのセンサーなどから出力された遊技球の検知信号を受けると、その検知信号を出力したセンサーに対応するコマンドを、サブ制御基板220や、払出制御基板240、発射制御基板260などに向けて送信する。
【0038】
また、主制御基板200には、第2始動口25に設けられた開閉扉26を開閉させる第2始動口ソレノイド26mや、大入賞口28に設けられた開閉扉29を開閉させる大入賞口ソレノイド29mや、遊技に関する情報を表示するセグメント表示部50などが接続されている。主制御基板200のCPU201は、第2始動口ソレノイド26m、大入賞口ソレノイド29m、セグメント表示部50のそれぞれに向けて駆動信号を出力することにより、これら各部の動作を制御する。
【0039】
サブ制御基板220には、画像音声制御基板230や、ランプ制御基板226、演出操作基板227、モーター制御基板228が接続されている。サブ制御基板220のCPU221は、主制御基板200から各種コマンドを受信すると、コマンドの内容に応じて遊技の演出内容を決定する。そして、決定した演出内容を示す各種コマンドを、画像音声制御基板230や、ランプ制御基板226、モーター制御基板228に向けて送信する。
【0040】
画像音声制御基板230は、他の制御基板と同様にCPU231、ROM232、RAM233を備え、更にこれらに加えて、VDP234、画像ROM235、音声ROM236を備えている。画像音声制御基板230のCPU231は、サブ制御基板220が決定した演出内容に対応する画像や映像を表示するようにVDP234に対して指示する。VDP234は、指示された画像や映像のデータ(例えば、スプライトデータや動画データなど)を画像ROM235から読み出して画像を生成し、演出表示装置41の表示画面に出力する。また、画像音声制御基板230のCPU231は、サブ制御基板220が決定した演出内容に対応する音声データを音声ROM236から読み出して、その音声データの信号をアンプ基板224に送信することにより、各種スピーカー6a,6b(上部スピーカー6a、下部スピーカー6b)から音声を出力する。
【0041】
ランプ制御基板226は、サブ制御基板220が決定した演出内容を受け取ると、各種ランプ5a~5c(上部ランプ5a、右サイドランプ5b、左サイドランプ5c)が所定の発光パターンで発光するように指示を出す。
【0042】
演出操作部10a,10b(演出ボタン10aやジョグシャトル10b)に対する遊技者の操作は、演出操作基板227を介してサブ制御基板220に入力され、サブ制御基板220では、遊技者の操作に対応した演出が実行されるように演出内容を変更する。
【0043】
また、モーター制御基板228は、役物モーター80を制御する基板である。前述した回転役物60(図2参照)は、この役物モーター80から駆動力が伝達されるように(ギヤやリンク機構等の所定の駆動力伝達手段を介して)取り付けられている。サブ制御基板220は、回転役物60を回転させる演出を行う場合は、モーター制御基板228に対して、該演出の内容を示すコマンドを送信し、モーター制御基板228は、サブ制御基板220から受信したコマンドに基づく態様で役物モーター80を駆動する(回転させる)。
【0044】
払出制御基板240には、上皿部7に設けられた球貸ボタン241(図1では図示省略)や、パチンコ機1に並設されたカードユニット242、払出モーター70などが接続されている。球貸ボタン241が操作されると、この操作に係る信号は、払出制御基板240を介してカードユニット242に伝達される。遊技球の貸出が許可されている場合は、カードユニット242は、払出制御基板240に対して遊技球の払出を指示する払出コマンドが送信される。払出制御基板240は、払出コマンドを受信すると、払出モーター70を駆動して遊技球の払出を行う。また、主制御基板200から遊技球の払出を指示する払出コマンドを受信した場合も、払出モーター70を駆動して遊技球の払出を行う。
【0045】
また、払出制御基板240には発射制御基板260が接続されており、発射制御基板260には、遊技球を発射させるための発射モーター262や遊技者が発射ハンドル9に触れていることを検知するタッチスイッチ263等を有する発射装置ユニット261が接続されている。発射制御基板260は、タッチスイッチ263を介して遊技者が発射ハンドル9に触れていることを検知すると、発射モーター262を駆動することによって、発射ハンドル9の回転角度に応じた強さで遊技球を発射する。
【0046】
B.遊技の概要 :
本実施例のパチンコ機1では、次のようにして遊技が進行する。上皿部7に遊技球が貯留された状態で遊技者が発射ハンドル100を回転させると、上皿部7に貯留された遊技球が1球ずつ発射装置ユニット261に供給されて、図2を用いて前述した遊技領域21に向けて発射される。遊技球を打ち出す強さは発射ハンドル100の回転角度に対応するので、遊技者は発射ハンドル100の回転角度を変化させることによって、遊技者の所望する領域に遊技球を流下させることができる。例えば、中央装置40(演出表示装置41)の左方の領域を流下するように遊技球を発射したり(左打ちを行ったり)、中央装置40の右方の領域を流下するように遊技球を発射したり(右打ちを行ったり)することができる。
【0047】
図2を用いて前述したように、第1始動口24には左打ちされた遊技球が入球可能である。遊技球が第1始動口24に入球して、第1始動口センサー24sによって検知されると、大当り判定乱数など所定の乱数の値を取得し、大当り判定乱数の値に基づいて大当りであるか外れであるかを判定する大当り判定を行う。続いて、大当り判定の結果に基づいて、セグメント表示部50にて第1の特別図柄(以下「第1特図」ともいう)を表す複数の第1特図LEDを点灯させて第1特図を変動表示させた後、LEDを所定の組合せで点灯させて第1特図を停止表示させる。このとき、大当り判定の結果が大当りであれば、大当り図柄に対応する組合せのLEDを点灯させ、外れであれば、外れ図柄に対応する組合せのLEDを点灯させる。そして、第1特図が大当り図柄で停止表示されると、遊技者にとって有利な大当り遊技を開始する。
【0048】
また、前述したように第2始動口25には右打ちされた遊技球が入球可能である。遊技球が第2始動口25に入球して、第2始動口センサー25sに検知されると、大当り判定乱数などを取得して大当り判定を行う。続いて、セグメント表示部50にて第2の特別図柄(以下「第2特図」ともいう)を表す複数の第2特図LEDを点灯させて第2特図を変動表示させた後、第1特図と同様に、大当り判定の結果に応じた所定の組合せでLEDを点灯させて第2特図を停止表示させる。そして、第2特図が大当り図柄で停止表示された場合にも、大当り遊技を開始する。
【0049】
尚、第1始動口24または第2始動口25に遊技球が入球しても、第1特図や第2特図の変動表示中など大当り判定が直ぐに行われない場合は、第1始動口24への入球で取得した大当り判定乱数などを第1特図保留として記憶し、第2始動口25への入球で取得した大当り判定乱数などを第2特図保留として記憶する。その後、大当り判定が可能になると、第1特図保留または第2特図保留に基づいて大当り判定や、対応する特別図柄(第1特図または第2特図)の変動表示を行う。このような第1特図保留および第2特図保留は、それぞれ最大4つまで記憶可能である。
【0050】
さらに、特別図柄の変動表示と連動して、演出表示装置41では識別図柄41a,41b,41cが複数の数字(例えば「1」~「9」の9つの数字)を次々と切り換えて変動表示する演出(以下「図柄変動演出」ともいう)が行われる。3つの識別図柄41a,41b,41cは、特別図柄が外れ図柄で停止表示される場合は、同じ数字で揃わない組合せ(バラケ目)で停止表示されるのに対して、特別図柄が大当り図柄で停止表示される場合は、同じ数字で揃う組合せ(ゾロ目)で停止表示される。このため、3つの識別図柄のうち2つが停止表示されたときに同じ数字で揃っていると、最後に停止表示される識別図柄も同じ数字となって大当り遊技が開始されるのではないかと、遊技者は識別図柄の変動表示(図柄変動演出)を注視することになる。このように、2つの識別図柄が同じ図柄で停止表示された状態で最後の識別図柄を変動表示させながら行われる演出は「リーチ演出」と呼ばれており、このリーチ演出を発生させることで遊技興趣を高めることが可能である。また、図柄変動演出の一環として、回転役物60を回転させる演出が行われることがある。
【0051】
尚、上記の大当り判定は主制御基板200で行われ、また、特別図柄を変動表示させる時間(特別図柄の変動時間)も主制御基板200で決定される。一方、演出表示装置41における図柄変動演出は、サブ制御基板220の制御下で実行される。そこで、特別図柄の変動表示と、図柄変動演出とを連動させるために、主制御基板200からサブ制御基板220に向けて、大当り判定の結果を指示するコマンド(判定結果指示コマンド)や、特別図柄の変動時間を指示するコマンド(変動時間指示コマンド)が送信されるようになっている。
【0052】
第1特図または第2特図が大当り図柄で停止表示されると、大入賞口28が開放状態となる大当り遊技を開始する。大当り遊技では、開放した大入賞口28を、規定入球数(例えば9個)の遊技球が入球するか、あるいは所定の開放時間(例えば30秒)が経過したら閉鎖するラウンド遊技が複数回繰り返される。前述したように、大入賞口28には右打ちされた遊技球が入球可能である。そして、大入賞口28に遊技球が入球すると、賞球として13個の遊技球が遊技者に払い出されるので、大当り遊技中に遊技者は多量の賞球を獲得することが可能である。
【0053】
また、前述したように、中央装置40(演出表示装置41)の右方には、普通図柄作動ゲート27が設けられており、右打ちされた遊技球が普通図柄作動ゲート27を通過可能である。遊技球が普通図柄作動ゲート27を通過して、ゲートセンサー27sによって検知されると、普図当り判定乱数を取得し、普図当り判定乱数の値に基づいて普図当りであるか外れであるかを判定する普図当り判定を行う。続いて、普図当り判定の結果に基づいて、セグメント表示部50にて普通図柄を表す左右2つの普通図柄LEDを点灯させて普通図柄を変動表示させた後、何れかのLEDを点灯させて普通図柄を停止表示させる。このとき、普図当り判定の結果が普図当りであれば、普図当り図柄に対応する左のLEDを点灯させ、外れであれば、外れ図柄に対応する右のLEDを点灯させる。そして、普通図柄が普図当り図柄で停止表示された場合は、第2始動口25が開放状態となった後に閉鎖状態となる普図当り遊技が行われるので、第2始動口25に遊技球が入球する可能性(すなわち、第2特図の変動表示が行われる可能性)が高まる。
【0054】
尚、遊技球が普通図柄作動ゲート27を通過しても、普通図柄の変動表示中など普図当り判定が直ぐに行われない場合は、取得した普図当り判定乱数を普図保留として最大4つまで記憶することが可能である。その後、普図当り判定が可能になると、普図保留に基づいて普図当り判定や、普通図柄の変動表示を行う。
【0055】
C.払出モーターの駆動態様 :
本実施例のパチンコ機1は、主に払出モーター70の駆動態様に特徴を有している。以下では、払出モーター70の駆動態様について説明するが、その準備として先ず、払出モーター70の駆動力を利用して遊技球を払い出す機構(本明細書では「払出機構」ともいう)について説明する。
【0056】
図4は、本実施例の払出機構を概念的に示す説明図である。図4に示すように、パチンコ機1の内部(上皿部7の払出口の奥側)には、下流側が払出口(上皿部7)に連通する球通路71が設けられている。すなわち、パチンコ機1の後方上部には、遊技球を貯留可能な遊技球タンクが設けられており、この遊技球タンクに貯留された遊技球が上流側から球通路71に進入し、球通路71の下流側から払出口(上皿部7)に払い出される。
【0057】
球通路71の中途部には、スプロケット72の一部を球通路71内に受け入れるための切欠部71a(スリット)が設けられている。すなわち、切欠部71aは、上下方向に伸びる形状に形成されており、その切欠部71aからは、回転するスプロケット72の刃が順次挿入されるように構成されている。図4に矢印で示すように、スプロケット72は、球通路71内の刃が下方向(遊技球を払い出す方向)へ移動するように回転される。
【0058】
球通路71内において、スプロケット72の歯間には1個の遊技球が挿入される。そして、スプロケット72が回転していない場合は、スプロケット72の歯間に遊技球が保持され、遊技球の球通路71下流側への移動が阻止された状態(遊技球の払出が行われない状態)となる。これに対して、スプロケット72が回転している場合は、スプロケット72の歯間に挿入された遊技球が1個ずつ球通路71の下流側へ送られる状態(遊技球の払出が行われる状態)となる。本実施例のスプロケット72は、歯間部分が6箇所あるので、スプロケット72が60度(360度÷6箇所)回転する毎に遊技球が1個払い出されることとなる。
【0059】
このような遊技球の払出は、払出モーター70を駆動することによって行われる。すなわち、払出モーター70を駆動すると、その駆動力が所定の駆動力伝達手段(ギヤ等)を介してスプロケット72に伝達され、その結果、スプロケット72が回転することで遊技球の払出が行われる。
【0060】
球通路71内のスプロケット72よりも下流側には、実際に払い出される遊技球(スプロケット72を通過した遊技球)を検知する払出球センサー73が設けられている。払出制御基板240は、払出球センサー73が出力する信号に基づいて、遊技者に実際に払い出された遊技球の数を検出(演算)する。
【0061】
図5は、払出制御基板240によって実行される払出制御処理(S100)を示すフローチャートである。この払出制御処理では、遊技球を遊技者に払い出すための処理が行われる。図5に示すように、払出制御基板240は、払出制御処理を開始すると先ず、払出コマンドを受信しているか否かを判断する(S101)。払出コマンドは、遊技球の払出を指示するコマンドであり、カードユニット242または主制御基板200から払出制御基板240に向けて送信されるコマンドである。
【0062】
詳しくは、カードユニット242からは、球貸ボタン241が操作された場合に『125個の遊技球の払出を指示する払出コマンド』が払出制御基板240に向けて送信される。これに対して、主制御基板200からは、遊技球が一般入賞口30に入球した場合に『10個の遊技球の払出を指示する払出コマンド』が払出制御基板240に向けて送信される。同様に、第1始動口24または第2始動口25に遊技球が入球した場合は『3個の遊技球の払出を指示する払出コマンド』が送信され、大入賞口28に遊技球が入球した場合は『13個の遊技球の払出を指示する払出コマンド』が送信される。
【0063】
S101の判断処理で、払出コマンドを受信していると判断された場合は(S101:yes)、払出モーター70の温度が閾値温度Th(例えば、60℃)未満であるか否かを判断する(S102)。すなわち、払出モーター70の近傍に温度センサー(図示省略)を設け、この温度センサーの出力値に基づいて払出モーター70の温度を検出する。そして、この温度が閾値温度Th未満であるか否かを判断する。その結果、閾値温度Th未満でなければ(S102:no)、払出モーター70の温度が閾値温度Th未満になるまで待機する。
【0064】
これに対して、払出モーター70の温度が閾値温度Th未満である場合(あるいは、待機した結果、払出モーター70の温度が閾値温度Th未満まで低下した場合)は(S102:yes)、遊技球の払出を行う。すなわち、払出モーター70の温度が過度に高くなると、潤滑剤の劣化や周辺機器への悪影響などの不具合が生じる虞があるため、払出モーター70の温度が閾値温度Th未満の場合のみに遊技球の払出を行う。
【0065】
遊技球の払出を行う際は、先ず、遊技者に払い出すべき遊技媒体の数(本明細書では「払出予定数」ともいう)を検出する(S103)。すなわち、払出コマンドには、払い出す遊技球の数(上述した125個、10個、3個、13個の何れか)を示す情報が含まれているので、この払出コマンドに基づいて、遊技者に払い出すべき遊技媒体の数(払出予定数)を検出する(S103)。
【0066】
こうして「払出予定数」を検出したら(S103)、払出モーター70の励磁態様を決定する(S104)。すなわち、本実施例のパチンコ機1では、スプロケット72が60度回転する毎に1個の遊技球が払い出されるので、検出した「払出予定数」に対応する角度だけスプロケット72が回転するような払出モーター70の回転量(励磁態様)を決定する。
【0067】
また、遊技球の払出を行うに際しては、一定の速度CS(例えば、スプロケット72が1秒間に0.5回転する速度)で払出モーター70を回転させるところ、脱調を回避すべく(通常のステッピングモーターの制御方法と同様に)、図6に示すような態様で駆動することが一般的である。ずなわち、払出モーター70の駆動を開始してから徐々にパルス速度(パルス周波数)を上げていくことで、払出モーター70の回転速度を徐々に(速度CSまで)上げていく。そして、パルス速度を一定にすることで、払出モーター70を一定の速度CSで駆動する。その後、徐々にパルス速度(パルス周波数)を下げていくことで、払出モーター70の回転速度を徐々に下げていき、最終的に払出モーター70を停止させる(払出モーター70の駆動を終了する)。S104の処理で払出モーター70の励磁態様を決定するに際しては、この加速させる期間、一定の速度CSで回転させる期間、減速させる期間の全体を通して、「払出予定数」に対応する角度だけスプロケット72が回転するように、払出モーター70の回転量(励磁態様)を決定する。
【0068】
こうして払出モーター70の励磁態様を決定したら(S104)、決定した励磁態様で払出モーター70を駆動する(S105)。これによってS103で検出された「払出予定数」の遊技球が払い出されることとなる。もっとも、払出モーター70が駆動された際(スプロケット72が回転した際)に遊技球がスプロケット72の歯間に保持されていない場合(例えば、遊技球タンクに遊技球が貯留されていない場合)は、実際に払い出された遊技球の数が「払出予定数」に満たない場合がある。そこで、次のS106の処理では、払出球センサー73が出力する信号に基づいて、遊技者に実際に払い出された遊技球の数を検出し、これが「払出予定数」に到達したか否かを判断する(S106)。その結果、実際に払い出された遊技球の数が「払出予定数」に満たない場合は(S106:no)、実際に払い出された遊技球の数と「払出予定数」との差分を新たな「払出予定数」として検出し(S103)、上述した遊技媒体の払出を行う処理(S104~S106)を繰り返す。これによって、S103で検出された「払出予定数」の遊技球が払い出されることとなる。
【0069】
ここで、ステッピングモーター(ここでは払出モーター70)の駆動を開始するに際しては、大きなトルク(本明細書では「初動トルク」ともいう)が必要であり、この際、ステッピングモーター(ここでは払出モーター70)には、『初動トルクを上回るトルクを出力可能な大きさの電流Lc』を流す必要がある。また、このようなステッピングモーター(ここでは払出モーター70)を駆動するための電流(本明細書では「駆動電流」ともいう)は、駆動開始から駆動終了まで変化させないことが常識である。従って、結局のところ、ステッピングモーター(ここでは払出モーター70)の駆動電流としては、図6(a)に示すように、駆動開始から駆動終了まで(パルス速度に拘わらず)『初動トルクを上回るトルクを出力可能な大きさの電流Lc』が一律に利用される。
【0070】
もっとも、一般的なパチンコ機においては、ステッピングモーター(ここでは払出モーター70)を駆動する期間やタイミングが多様であり、この期間やタイミングによっては、ステッピングモーター(ここでは払出モーター70)が長期間に亘って、あるいは、高い頻度で駆動されることもある。例えば、本実施例のパチンコ機1であれば、遊技球の払出が行われる期間やタイミングは多様であり、払出が行われる期間やタイミングによっては、払出モーター70が長期間に亘って、あるいは、高い頻度で駆動されることもある。そして、このような場合、図6(a)に示すように、払出モーター70の駆動電流として(パルス速度に拘わらず)『初動トルクを上回るトルクを出力可能な大きさの電流Lc』を一律に利用すると、払出モーター70が過度に発熱してしまう虞がある。そして、払出モーター70が過度に発熱すると、上述したS102の処理で遊技球の払出を待機することとなるので、遊技球の払出に時間がかかってしまう。あるいは、遊技球の払出を待機しない構成であれば、払出モーター70が過度に発熱して、潤滑剤の劣化や周辺機器への悪影響などの不具合が生じる虞がある。
【0071】
そこで、本実施例のパチンコ機1では、ステッピングモーター(ここでは払出モーター70)の駆動開始時には大きなトルクが必要であるものの、一旦駆動が開始されたら後は、大きなトルクは必要ないことに着目し、図7に示すような態様で払出モーター70を駆動することとした。すなわち、『払出モーター70の駆動開始から払出モーター70が一定の速度CSになるまで加速させる加速期間』は『初動トルクを上回るトルクを出力可能な大きさの電流Lc』を流し、加速期間が経過した後の『払出モーター70を一定の速度CSで回転させる定速期間』、および、『払出モーター70の回転速度を一定の速度CSから停止するまで減速させていく減速期間』は、『初動トルクを上回るトルクを出力可能な大きさの電流Lc』より小さい『電流Sc』を流すこととした。こうすると、払出モーター70を駆動する期間のうち、定速期間および減速期間における駆動電流を小さくすることができるので、払出モーター70発熱を抑えることが可能となる。加えて、消費電力を抑えることも可能となる。また、加速期間は『初動トルクを上回るトルクを出力可能な大きさの電流Lc』を流すので、払出モーター70が脱調する可能性も軽減することができる。
【0072】
ここで、ステッピングモーター(ここでは払出モーター70)の駆動終了時にも(減速期間においても)、定速期間よりは大きなトルクが必要となる。そこで、図8に示すように、加速期間に加えて減速期間も『初動トルクを上回るトルクを出力可能な大きさの電流Lc』を流し、定速期間だけ『初動トルクを上回るトルクを出力可能な大きさの電流Lc』よりも小さい『電流Sc』を流すこととしてもよい。こうした場合も、払出モーター70を駆動する期間のうち、定速期間における駆動電流を小さくすることができるので、払出モーター70の発熱を抑えることが可能となる。加えて、消費電力を抑えることも可能となる。また、加速期間および減速期間は『初動トルクを上回るトルクを出力可能な大きさの電流Lc』を流すので、払出モーター70が脱調する可能性も軽減することができる。
【0073】
また、遊技球の払出には遊技球の重量が負荷となるため大きなトルクを必要とするところ、本実施例のような態様で払出モーター70を駆動することとすると、払出モーター70の発熱を抑えつつ、遊技球の払出を円滑に行うことができる。
【0074】
尚、『電流Lc』としては、例えば、0.8Aの電流を流し、『電流Sc』としては、例えば、0.5Aの電流を流す。また、本明細書において、ステッピングモーター(払出モーター70)に電流を流すということは、当然ながら、ステッピングモーター(払出モーター70)の固定子(ステータ)に巻かれた励磁コイルに電流を流すということである。また、上述したような駆動態様は、当然ながら、S104(図5)の処理で励磁態様として決定されることとなる。
【0075】
また、払出制御基板240は「モーター駆動手段」として捉えることもでき、スプロケット72は「払出手段」、「可動部材」として捉えることもできる。また、『払出モーター70の駆動開始から払出モーター70が一定の速度CSになるまで加速させる加速期間』は『駆動開始から所定の条件が成立するまでの第1の期間』として捉えることもでき、『払出モーター70を一定の速度CSで回転させる定速期間』は『第1の期間が経過した後の第2の期間』として捉えることもできる。また、『初動トルクを上回るトルクを出力可能な大きさの電流Lc(大きな電流Lc)』は「第1の電流」として捉えることもでき、『初動トルクを上回るトルクを出力可能な大きさの電流Lc』よりも小さい『電流Sc』は「第2の電流」として捉えることもできる。
【0076】
D.変形例 :
次に変形例について説明する。
D-1.変形例1 :
上述した実施例では、『払出モーター70の駆動を開始してから終了するまでの1回の駆動』の継続時間に拘わらず、加速期間(および減速期間)は『初動トルクを上回るトルクを出力可能な大きさの電流Lc(大きな電流Lc)』を払出モーター70に流し、定速期間は「大きな電流Lc」より小さい『電流Sc(小さな電流Ls)』を払出モーター70に流すこととした。
【0077】
変形例1では、払出制御基板240は、図9(a)に示すように、「1回の駆動」が所定の閾値時間Ta(例えば、5秒)以上に亘って継続する場合は、当該「1回の駆動」における加速期間(および減速期間)は「大きな電流Lc」を払出モーター70に流し、定速期間は「小さな電流Sc」を払出モーター70に流すものの、図9(b)に示すように、「1回の駆動時間」が所定の閾値時間Ta未満である場合は、加速期間、定速期間、減速期間の全てで「大きな電流Lc」を流すこととしている。
【0078】
上述したように、払出モーター70を駆動する期間やタイミングは多様であり、遊技球の払出を行う期間やタイミングによっては、払出モーター70が長期間に亘って、あるいは、高い頻度で駆動されることもある。そして、このような場合に、払出モーター70の駆動電流として「大きな電流Lc」を一律に利用すると、払出モーター70が過度に発熱してしまう。もっとも、逆に、払出モーター70が短時間だけ、あるいは、低い頻度で駆動されるのであれば、払出モーター70が過度に発熱する可能性は低い。すなわち、払出モーター70を駆動する期間やタイミングによって、払出モーター70が過度に発熱する可能性は異なる。
【0079】
そこで、変形例1では、『1回の駆動が所定の閾値時間Ta以上(例えば、5秒以上である長時間)に亘って継続する場合』は、払出モーター70が過度に発熱する可能性が高いものとして、当該「1回の駆動」における加速期間(および減速期間)は「大きな電流Lc」を払出モーター70に流し、定速期間は「小さな電流Sc」を払出モーター70に流すこととした。これに対して、『1回の駆動が所定の閾値時間Ta未満(例えば、5秒未満である短時間)だけ継続する場合』は、払出モーター70が過度に発熱する可能性が低いものとして、加速期間、定速期間、減速期間の全てで「大きな電流Lc」を流すこととした。すなわち、この場合は、駆動電流の大きさを変化させないこととした。
【0080】
こうすると、『1回の駆動が所定の閾値時間Ta以上(例えば、5秒以上である長時間)に亘って継続する場合(払出モーター70が過度に発熱する可能性が高い場合)』は、払出モーター70の発熱を抑えることができ、『1回の駆動が所定の閾値時間Ta未満(例えば、5秒未満である短時間)だけ継続する場合(払出モーター70が過度に発熱する可能性が低い場合)』は、駆動電流の大きさを変化させる制御を省くことができる。
【0081】
尚、「1回の駆動」が所定の閾値温度Th以上(例えば、5秒以上である長時間)に亘って継続するか、「1回の駆動」が所定の閾値時間Ta未満(例えば、5秒未満である短時間)だけ継続するかの判断は、次のように行われる。すなわち、払出モーター70の「1回の駆動」の時間は、1回の遊技球の払出におけるスプロケット72の回転量に対応しており、この回転量は1回の「払出予定数」に対応している。従って、結局のところ、払出モーター70の「1回の駆動」の時間は、1回の「払出予定数」に対応している。このため、払出制御基板240は、「払出予定数」が所定数(例えば、10個)以上である場合に、「1回の駆動」が所定の閾値温度Th以上(例えば、5秒以上である長時間)に亘って継続すると判断し、「払出予定数」が所定数(例えば、10個)未満である場合に、「1回の駆動」が所定の閾値時間Ta未満(例えば、5秒未満である短時間)だけ継続すると判断する。
【0082】
そして、このような構成は、『1回の払出予定数が所定数以上である場合』は、払出モーター70が過度に発熱する可能性が高いものとして、当該「1回の駆動」における加速期間(および減速期間)は「大きな電流Lc」を払出モーター70に流し、定速期間は「小さな電流Sc」を払出モーター70に流すこととし、『1回の払出予定数が所定数未満である場合』は、払出モーター70が過度に発熱する可能性が低いものとして、加速期間、定速期間、減速期間の全てで「大きな電流Lc」を流す構成として捉えることもできる。
【0083】
D-2.変形例2 :
上述したように、一般的なパチンコ機においては、払出モーター70を駆動する期間やタイミングによって、払出モーター70が過度に発熱する可能性は異なる。そこで、変形例2では、図10(a)に示すように、『1回の駆動が所定の閾値頻度以上(例えば、10秒間に3回以上の高い頻度)で行われている場合』は、払出モーター70が過度に発熱する可能性が高いものとして、当該「1回の駆動」における加速期間(および減速期間)は「大きな電流Lc」を払出モーター70に流し、定速期間は「小さな電流Sc」を払出モーター70に流すこととする。これに対して、図10(b)に示すように、『1回の駆動が所定の閾値頻度未満(例えば、10秒間に3回未満の低い頻度)で行われている場合』は、払出モーター70が過度に発熱する可能性が低いものとして、加速期間、定速期間、減速期間の全てで「大きな電流Lc」を流すこととする。すなわち、この場合は、駆動電流の大きさを変化させないこととする。
【0084】
こうすると、『1回の駆動が所定の閾値頻度以上(例えば、10秒間に3回以上の高い頻度)で行われている場合(払出モーター70が過度に発熱する可能性が高い場合)』は、払出モーター70の発熱を抑えることができ、『1回の駆動が所定の閾値頻度未満(例えば、10秒間に3回未満の低い頻度)で行われている場合(払出モーター70が過度に発熱する可能性が低い場合)』は、駆動電流の大きさを変化させる制御を省くことができる。
【0085】
ここで、1回の駆動が所定の閾値頻度以上(例えば、10秒間に3回以上の高い頻度)で行われているか、1回の駆動が所定の閾値頻度未満(例えば、10秒間に3回未満の低い頻度)で行われているかの判断は、次のように行われる。すなわち、払出制御基板240は、払出モーター70の1回の駆動を行う都度、そのタイミング(例えば、時刻)を記憶しておく。そして、払出モーター70を駆動するタイミングで、当該タイミングから所定の時間(例えば、10秒)遡った期間内に1回の駆動が所定回数(例えば、3回)以上行われていれば、1回の駆動が所定の閾値頻度以上(例えば、10秒間に3回以上の高い頻度)で行われていると判断し、1回の駆動が所定回数(例えば、3回)未満しか行われていなければ、1回の駆動が所定の閾値頻度未満(例えば、10秒間に3回未満の低い頻度)で行われていると判断する。
【0086】
そして、このような構成は、『所定の期間内に1回の駆動が所定回数(例えば、3回)以上行われている場合』は、払出モーター70が過度に発熱する可能性が高いものとして、当該「1回の駆動」における加速期間(および減速期間)は「大きな電流Lc」を払出モーター70に流し、定速期間は「小さな電流Sc」を払出モーター70に流すこととし、『所定の期間内に1回の駆動が所定回数(例えば、3回)未満しか行われていない場合』は、払出モーター70が過度に発熱する可能性が低いものとして、加速期間、定速期間、減速期間の全てで「大きな電流Lc」を流す構成として捉えることもできる。
【0087】
D-3.変形例3 :
上述したように、一般的なパチンコ機においては、払出モーター70を駆動する期間やタイミングによって、払出モーター70が過度に発熱する可能性は異なる。そこで、変形例3では、図11(a)に示すように、『前回の1回の駆動からの時間が所定の時間未満(例えば、0.5秒未満である短時間)である場合』は、払出モーター70が過度に発熱する可能性が高いものとして、今回の「1回の駆動」における加速期間(および減速期間)は「大きな電流Lc」を払出モーター70に流し、定速期間は「小さな電流Sc」を払出モーター70に流すこととする。これに対して、図11(b)に示すように、『今回の前回の1回の駆動からの時間が所定の時間以上(例えば、0.5秒以上である長時間)である場合』は、払出モーター70が過度に発熱する可能性が低いものとして、加速期間、定速期間、減速期間の全てで「大きな電流Lc」を流すこととする。すなわち、この場合は、駆動電流の大きさを変化させないこととする。
【0088】
こうすると、『前回の1回の駆動からの時間が所定の時間未満(例えば、0.5秒未満である短時間)である場合(払出モーター70が過度に発熱する可能性が高い場合)』は、払出モーター70の発熱を抑えることができ、『前回の1回の駆動からの時間が所定の時間以上(例えば、0.5秒以上である長時間)である場合(払出モーター70が過度に発熱する可能性が低い場合)』は、駆動電流の大きさを変化させる制御を省くことができる。
【0089】
ここで、前回の「1回の駆動」からの時間が所定の時間未満(例えば、0.5秒未満である短時間)であるか、前回の「1回の駆動」からの時間が所定の時間以上(例えば、0.5秒以上である長時間)であるかの判断は、次のように行われる。すなわち、払出制御基板240は、払出モーター70の「1回の駆動」を行う都度、そのタイミング(例えば、時刻)を記憶しておく。そして、払出モーター70を駆動するタイミングで、前回の「1回の駆動」が行われたタイミングからの経過時間が所定の時間(例えば、0.5秒)未満であれば、前回の「1回の駆動」からの時間が所定の時間未満(例えば、0.5秒未満である短時間)であると判断し、前回の「1回の駆動」が行われたタイミングからの経過時間が所定の時間(例えば、0.5秒)以上であれば、前回の「1回の駆動」からの時間が所定の時間以上であると判断する。
【0090】
D-4.変形例4 :
上述したように、本実施例のパチンコ機1では、スプロケット72の歯間に遊技球を保持させつつ(スプロケット72を遊技球に接触させつつ)スプロケット72を回転させることによって、遊技球を球通路71の下流側(払出口側)に移動させる。従って、払出モーター70の「初動トルク」は、払出モーター70の駆動開始時点の「遊技球とスプロケット72の位置関係」によって異なる。例えば、スプロケット72が遊技球に接している場合(スプロケット72の歯間に遊技球が保持されている場合)の方が、スプロケット72が遊技球に接していない場合(スプロケット72の歯間に遊技球が保持されている場合)よりも「初動トルク」が大きい。また、スプロケット72に接している遊技球の数が多くなるほど、「初動トルク」が大きくなる。
【0091】
そこで、変形例4では、図12(a)に示すように、『遊技球とスプロケット72の位置関係が所定の位置関係にある場合(例えば、スプロケット72の歯間に遊技球が保持されており、初動トルクが大きい場合)』は、加速期間(および減速期間)は「大きな電流Lc」を払出モーター70に流し、定速期間は「小さな電流Sc」を払出モーター70に流すこととする。これに対して、図12(b)に示すように、『遊技球とスプロケット72の位置関係が所定の位置関係にない場合(例えば、スプロケット72の歯間に遊技球が保持されておらず、初動トルクが小さい場合)』は、加速期間、定速期間、減速期間の全てで「小さな電流Sc」を流すこととする。
【0092】
こうすると、『遊技球とスプロケット72の位置関係が所定の位置関係にある場合(例えば、スプロケット72の歯間に遊技球が保持されており、初動トルクが大きい場合)』における駆動開始時(および駆動終了時)にだけ「大きな電流Lc」を流すこととなるので、払出モーター70の発熱を抑えることが可能となる。加えて、消費電力を抑えることも可能となる。
【0093】
ここで、遊技球とスプロケット72の位置関係が所定の位置関係にあるか否かの判断は、次のように行われる。すなわち、スプロケット72の歯間に保持された遊技球を検知可能なセンサーを設ける。そして、払出制御基板240は、該センサーが遊技球を検知している場合は、遊技球とスプロケット72の位置関係が所定の位置関係にあると判断し、該センサーが遊技球を検知していない場合は、遊技球とスプロケット72の位置関係が所定の位置関係にないと判断する。
【0094】
D-5.変形例5 :
次に変形例5について説明する。変形例5では、上述した実施例および変形例において「小さな電流Sc」を流した結果、払出モーター70が脱調したか否かを検出可能な構成とする。例えば、払出モーター70のモーター軸の先端部に、払出モーター70の回転速度を検出するための回転センサーを設ける。回転センサーは、モーター軸と共に回転する回転盤と、回転盤を挟んで(互いに対向した位置で)光を投受光するフォトインタラプタとを備えている。回転盤には、円周部に複数の切欠(スリット)が設けられており、この切欠は、フォトインタラプタから投光された光を、モーター軸の回転態様(回転盤の姿勢)に対応して反対側に通過させたり、遮ったりする。そして、フォトインタラプタは、回転盤を挟んで受光した(切欠部を通過した)光を信号に変換して払出制御基板240に出力する。払出制御基板240は、この信号が入力されるタイミングに基づいて払出モーター70の回転態様(回転速度)を「実際の回転態様(回転速度)」として検出できるようになっている。
【0095】
払出制御基板240には、払出モーター70を所定の励磁態様で励磁した場合における「理想的な回転態様(回転速度)」が(所定の励磁態様毎に)記憶されている。そして、「小さな電流Sc」を流した際は、「実際の回転態様(回転速度)」を「理想的な回転態様」と比較して、これらが一致しなければ払出モーター70が脱調したと判断する。尚、回転センサーおよび払出制御基板240は「脱調検出手段」として捉えることもできる。
【0096】
そして、払出制御基板240は、「小さな電流Sc」を流した際に払出モーター70の脱調を検出した場合は、次回の「1回の駆動」では、上述した「1回の駆動」の継続時間や、「1回の駆動」が行われる頻度、前回の「1回の駆動」からの経過時間、「遊技球とスプロケット72の位置関係」に拘わらず、加速期間、定速期間、減速期間の全てで「大きな電流Lc」を流す。
【0097】
このようなパチンコ機1において、「小さな電流Sc」を流した際に脱調が生じた場合は、該脱調は部材の劣化などが原因であることが推測され、この場合は、次回の1回の駆動においても、「小さな電流Sc」では脱調が生じる可能性がある。そこで、変形例5では、「小さな電流Sc」を流した際に脱調が生じた場合は、次回の「1回の駆動」における加速期間、定速期間、減速期間の全てで「大きな電流Lc」を流す。こうすると、「小さな電流Sc」を流した場合よりも払出モーター70を強く励磁することができるので、脱調が生じる虞を抑えることが可能となる。
【0098】
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することができる。
【0099】
例えば、上述した実施例では、払出モーター70を駆動する態様について説明したが、その他のステッピングモーターを上述した実施例および変形例と同様の態様で駆動することとしてもよい。例えば、役物モーター80を上述した実施例および変形例と同様の態様で駆動することとしてもよい。
【0100】
また、上述した実施例では、本発明を「セブン機」や「デジパチ」と呼ばれるタイプのパチンコ機に適用した例について説明したが、本発明は、遊技球を遊技領域に向けて発射可能な遊技機であれば適用することができ、例えば、「ハネモノ」や「アレパチ」と呼ばれるタイプのパチンコ機に適用することもできる。
【0101】
また、上述した実施例では、遊技ホールの島設備から供給される遊技球を払い出すことによって、遊技の結果としての利益(遊技価値)を遊技者に付与するパチンコ機1に本発明を適用した例を説明した。これに限らず、「遊技球の払い出し」とは異なる形態で遊技上の利益を付与するタイプの遊技機にも、本発明を適用することができる。例えば、各種入球口への遊技球の入球が発生することで、その入球に対応する利益の量(遊技価値の大きさ)を示すデータを記憶することによって、遊技上の利益(遊技価値)を遊技者に付与するタイプのパチンコ機にも本発明を適用することができ、この場合にも、上述した実施例と同様の効果を得ることができる。尚、遊技上の利益(遊技価値)をデータ化して遊技者に付与するタイプのパチンコ機としては、パチンコ機に内蔵された複数個の遊技球を循環させて使用する遊技機、具体的には、各種入球口あるいはアウト口を経て遊技盤の裏面に排出された遊技球を、再度、発射位置に戻して発射するように構成されたパチンコ機(いわゆる封入式遊技機)を例示できる。
【0102】
また、上述した実施例では、遊技盤20に形成された遊技領域21に向けて遊技球を発射することによって遊技を行うパチンコ機1に本発明を適用したが、外周面に複数種類の図柄が描かれた回胴を回転させ、該回胴を停止させることによって遊技を行うスロットマシン(回胴式遊技機)に本発明を適用することとしてもよい。
【0103】
<上述した実施例から抽出できる遊技機A1~A8>
上述した実施例または変形例のパチンコ機は、次のような遊技機A1~A8として捉えることができる。
【0104】
<遊技機A1>
遊技媒体を利用して遊技を行う遊技機であって、
ステッピングモーターと、
前記ステッピングモーターを駆動するモーター駆動手段と、
を備え、
前記モーター駆動手段は、
前記ステッピングモーターの駆動を開始してから終了するまでの1回の駆動において、
前記ステッピングモーターの駆動を開始してから所定の条件が成立するまでの第1の期間は、前記ステッピングモーターに第1の電流を流すことで前記ステッピングモーターを駆動し、
前記第1の期間が経過した後の第2の期間は、前記ステッピングモーターに前記第1の電流より小さい第2の電流を流すことで前記ステッピングモーターを駆動する
ことを特徴とする遊技機。
【0105】
ステッピングモーターの駆動を開始するに際しては、大きなトルク(本明細書では「初動トルク」ともいう)が必要あり、この際、ステッピングモーターには、『初動トルクを上回るトルクを出力可能な大きさの電流』を流す必要がある。また、このようなステッピングモーターを駆動するための電流(本明細書では「駆動電流」ともいう)は、駆動開始から駆動終了まで変化させないことが常識である。従って、結局のところ、ステッピングモーターの駆動電流としては、駆動開始から駆動終了まで『初動トルクを上回るトルクを出力可能な大きさの電流』が一律に利用される。
【0106】
もっとも、一般的な遊技機においては、ステッピングモーターを駆動する期間やタイミングが多様であり、この期間やタイミングによっては、ステッピングモーターが長期間に亘って、あるいは、高い頻度で駆動されることもある。そして、このような場合に、ステッピングモーターの駆動電流として『初動トルクを上回るトルクを出力可能な大きさの電流』を一律に利用すると、ステッピングモーターが過度に発熱してしまう虞がある。
【0107】
そこで、本出願では、ステッピングモーターの駆動開始時には大きなトルクが必要であるものの、一旦駆動が開始されたら後は、大きなトルクは必要ないことに着目した。すなわち、『駆動開始から所定の条件が成立するまでの第1の期間』は、第1の電流(初動トルクを上回るトルクを出力可能な大きさの電流)を流すものの、『第1の期間が経過した後の第2の期間』は、第1の電流より小さい第2の電流を流すこととした。こうすると、ステッピングモーターを駆動する期間のうち、第2の期間における駆動電流を小さくすることができるので、ステッピングモーターの発熱を抑えることが可能となる。加えて、消費電力を抑えることも可能となる。
【0108】
尚、第1の期間が終了する「所定の条件」としては、ステッピングモーターの回転速度の加速が終了すること、ステッピングモーターの駆動を開始してから所定の時間が経過すること等を例示することができる。
【0109】
<遊技機A2>
遊技機A1において、
前記モーター駆動手段は、
前記第1の期間は、前記ステッピングモーターの回転速度を所定の速度まで上げていき、
前記第2の期間は、前記ステッピングモーターを一定の速度で回転させる
ことを特徴とする遊技機。
【0110】
このような遊技機では、『ステッピングモーターの回転速度を所定の速度まで上げていく期間』、すなわち、大きなトルクを必要とする期間は第1の電流(大きな電流)を流し、『ステッピングモーターを一定の速度で回転させる第2の期間』、すなわち、小さなトルクしか必要としない期間は第2の電流(小さな電流)を流すこととした。こうすると、ステッピングモーターの発熱を抑えつつ、脱調の可能性も軽減させることができる。
【0111】
<遊技機A3>
遊技機A1または遊技機A2において、
前記ステッピングモーターの駆動力が伝達されることで、遊技者に遊技媒体を払い出す払出手段を備える
ことを特徴とする遊技機。
【0112】
このような遊技機では、ステッピングモーターの駆動力を払出手段に伝達することで遊技媒体の払出を行うところ、遊技媒体の払出には大きなトルクを必要とする。この点、本遊技機では、その駆動開始時(第1の期間)に第1の電流(大きな電流)を流し、その後の期間(第2の期間)は第2の電流(小さな電流)を流すこととした。こうすると、ステッピングモーターの発熱を抑えつつ、遊技媒体の払出を円滑に行うことができる。
【0113】
<遊技機A4>
遊技機A1乃至遊技機A3の何れか1つにおいて、
前記モーター駆動手段は、
前記1回の駆動が所定の閾値時間以上に亘って継続する場合は、当該1回の駆動における前記第1の期間は前記ステッピングモーターに前記第1の電流を流し、前記第2の期間は前記ステッピングモーターに前記第2の電流を流し、
前記1回の駆動が前記所定の閾値時間未満しか継続しない場合は、当該1回の駆動における前記第1の期間および前記第2の期間の双方の期間で、前記ステッピングモーターに前記第1の電流を流す
ことを特徴とする遊技機。
【0114】
上述したように、一般的な遊技機においては、ステッピングモーターを駆動する期間やタイミングが多様であり、この期間やタイミングによっては、ステッピングモーターが長期間に亘って、あるいは、高い頻度で駆動されることもある。そして、このような場合に、ステッピングモーターの駆動電流として『初動トルクを上回るトルクを出力可能な大きさの電流』を一律に利用すると、ステッピングモーターが過度に発熱してしまう。もっとも、逆に、ステッピングモーターが短時間だけ、あるいは、低い頻度で駆動されるのであれば、ステッピングモーターが過度に発熱する可能性は低い。すなわち、ステッピングモーターを駆動する期間やタイミングによって、ステッピングモーターが過度に発熱する可能性は異なる。
【0115】
そこで、本遊技機では、『1回の駆動が所定の閾値時間以上(長時間)に亘って継続する場合』は、ステッピングモーターが過度に発熱する可能性が高いものとして、当該1回の駆動における第1の期間はステッピングモーターに第1の電流(大きな電流)を流し、第2の期間はステッピングモーターに第2の電流(小さな電流)を流すこととした。これに対して、『1回の駆動が所定の閾値時間未満(短時間)だけ継続する場合』は、ステッピングモーターが過度に発熱する可能性が低いものとして、当該1回の駆動における第1の期間および第2の期間の双方の期間で、ステッピングモーターに第1の電流(大きな電流)を流すこととした。すなわち、この場合は、駆動電流の大きさを変化させないこととした。
【0116】
こうすると、『1回の駆動が所定の閾値時間以上(長時間)に亘って継続する場合(ステッピングモーターが過度に発熱する可能性が高い場合)』は、ステッピングモーターの発熱を抑えることができ、『1回の駆動が所定の閾値時間未満(短時間)だけ継続する場合(ステッピングモーターが過度に発熱する可能性が低い場合)』は、駆動電流の大きさを変化させる制御を省くことができる。
【0117】
<遊技機A5>
遊技機A1乃至遊技機A3の何れか1つにおいて、
前記モーター駆動手段は、
前記1回の駆動が所定の閾値頻度以上で行われている場合は、当該1回の駆動における前記第1の期間は前記ステッピングモーターに前記第1の電流を流し、前記第2の期間は前記ステッピングモーターに前記第2の電流を流し、
前記1回の駆動が前記所定の閾値頻度未満で行われている場合は、当該1回の駆動における前記第1の期間および前記第2の期間の双方の期間で、前記ステッピングモーターに前記第1の電流を流す
ことを特徴とする遊技機。
【0118】
上述したように、一般的な遊技機においては、ステッピングモーターを駆動する期間やタイミングによって、ステッピングモーターが過度に発熱する可能性は異なる。そこで、本遊技機では、『1回の駆動が所定の閾値頻度以上(高い頻度)で行われている場合』は、ステッピングモーターが過度に発熱する可能性が高いものとして、当該1回の駆動における第1の期間はステッピングモーターに第1の電流(大きな電流)を流し、第2の期間はステッピングモーターに第2の電流(小さな電流)を流すこととした。これに対して、『1回の駆動が所定の閾値頻度未満(低い頻度)で行われている場合』は、ステッピングモーターが過度に発熱する可能性が低いものとして、当該1回の駆動における第1の期間および第2の期間の双方の期間で、ステッピングモーターに第1の電流(大きな電流)を流すこととした。すなわち、この場合は、駆動電流の大きさを変化させないこととした。
【0119】
こうすると、『1回の駆動が所定の閾値頻度以上(高い頻度)で行われている場合(ステッピングモーターが過度に発熱する可能性が高い場合)』は、ステッピングモーターの発熱を抑えることができ、『1回の駆動が所定の閾値頻度未満(低い頻度)で行われている場合(ステッピングモーターが過度に発熱する可能性が低い場合)』は、駆動電流の大きさを変化させる制御を省くことができる。
【0120】
<遊技機A6>
遊技機A1乃至遊技機A3の何れか1つにおいて、
前記モーター駆動手段は、
前回の前記1回の駆動からの時間が所定の時間未満である場合は、今回の前記1回の駆動における前記第1の期間は前記ステッピングモーターに前記第1の電流を流し、前記第2の期間は前記ステッピングモーターに前記第2の電流を流し、
前回の前記1回の駆動からの時間が前記所定の時間以上である場合は、今回の前記1回の駆動における前記第1の期間および前記第2の期間の双方の期間で、前記ステッピングモーターに前記第1の電流を流す
ことを特徴とする遊技機。
【0121】
上述したように、一般的な遊技機においては、ステッピングモーターを駆動する期間やタイミングによって、ステッピングモーターが過度に発熱する可能性は異なる。そこで、本遊技機では、『前回の1回の駆動からの時間が所定の時間未満(短時間)である場合』は、ステッピングモーターが過度に発熱する可能性が高いものとして、今回の1回の駆動における第1の期間はステッピングモーターに第1の電流(大きな電流)を流し、第2の期間はステッピングモーターに第2の電流(小さな電流)を流すこととした。これに対して、『前回の1回の駆動からの時間が所定の時間以上(長時間)である場合』は、ステッピングモーターが過度に発熱する可能性が低いものとして、今回の1回の駆動における第1の期間および第2の期間の双方の期間で、ステッピングモーターに第1の電流(大きな電流)を流すこととした。すなわち、この場合は、駆動電流の大きさを変化させないこととした。
【0122】
こうすると、『前回の1回の駆動からの時間が所定の時間未満(短時間)である場合(ステッピングモーターが過度に発熱する可能性が高い場合)』は、ステッピングモーターの発熱を抑えることができ、『前回の1回の駆動からの時間が所定の時間以上(長時間)である場合(ステッピングモーターが過度に発熱する可能性が低い場合)』は、電流の大きさを変化させる制御を省くことができる。
【0123】
<遊技機A7>
遊技機A3において、
当該遊技機には、遊技媒体が遊技者に払い出される払出口が設けられており、
前記払出手段は、動作可能な可動部材を備え、
前記可動部材は、前記ステッピングモーターの駆動力が伝達されることで、遊技媒体に接触しつつ動作して該遊技媒体を前記払出口側に移動させるものであり、
前記モーター駆動手段は、
前記1回の駆動を開始する時点で遊技媒体と前記可動部材の位置関係が所定の位置関係にある場合は、当該1回の駆動における前記第1の期間は前記ステッピングモーターに前記第1の電流を流し、前記第2の期間は前記ステッピングモーターに前記第2の電流を流し、
前記1回の駆動を開始する時点で遊技媒体と前記可動部材の位置関係が前記所定の位置関係にない場合は、当該1回の駆動における前記第1の期間および前記第2の期間の双方の期間で、前記ステッピングモーターに前記第2の電流を流す
ことを特徴とする遊技機。
【0124】
このような遊技機では、可動部材を遊技媒体に接触させつつ動作させることによって、遊技媒体を払出口側に移動させるところ、「初動トルク」は、ステッピングモーターの駆動開始時点の「遊技媒体と可動部材の位置関係」によって異なる。例えば、可動部材が遊技媒体に接している場合の方が、可動部材が遊技媒体に接していない場合よりも「初動トルク」が大きい。また、可動部材に接している遊技媒体の数が多くなるほど、「初動トルク」が大きくなる。
【0125】
そこで、本遊技機では、『遊技媒体と可動部材の位置関係が所定の位置関係にある場合(初動トルクが大きい場合)』は、1回の駆動における第1の期間はステッピングモーターに第1の電流(大きな電流)を流し、第2の期間はステッピングモーターに第2の電流(小さな電流)を流すこととした。これに対して、『遊技媒体と可動部材の位置関係が所定の位置関係にない場合(初動トルクが小さい場合)』は、1回の駆動における第1の期間および第2の期間の双方の期間で、ステッピングモーターに第2の電流(小さな電流)を流すこととした。
【0126】
こうすると、『遊技媒体と可動部材の位置関係が所定の位置関係にある場合(初動トルクが大きい場合)』における駆動開始時にだけ大きな電流を流すこととなるので、ステッピングモーターの発熱を抑えることが可能となる。加えて、消費電力を抑えることも可能となる。
【0127】
<遊技機A8>
遊技機A1乃至遊技機A7の何れか1つにおいて、
前記ステッピングモーターの脱調を検出可能な脱調検出手段を備え、
前記第2の電流を流している際に前記脱調検出手段が前記ステッピングモーターの脱調を検出した場合は、次回の前記1回の駆動における前記第1の期間および前記第2の期間の双方の期間で、前記ステッピングモーターに前記第1の電流を流す
ことを特徴とする遊技機。
【0128】
このような遊技機において、第2の電流(小さな電流)を流した際に脱調が生じた場合は、該脱調は部材の劣化などが原因であることが推測され、この場合は、次回の1回の駆動においても、第2の電流(小さな電流)では脱調が生じる可能性がある。そこで、本遊技機では、第2の電流(小さな電流)を流した際に脱調が生じた場合は、次回の1回の駆動における第1の期間および第2の期間の双方の期間で第1の電流(大きな電流)を流すこととしている。こうすると、第2の電流(小さな電流)を流した場合よりもステッピングモーターを強く励磁することができるので、脱調が生じる虞を抑えることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0129】
本発明は、遊技ホールで用いられる遊技機に利用することができる。
【符号の説明】
【0130】
1…パチンコ機(遊技機)、70…払出モーター(ステッピングモーター)、71…球通路、72…スプロケット(払出手段、可動部材)、200…主制御基板、201…CPU、220…サブ制御基板、221…CPU、240…払出制御基板(モーター駆動手段、脱調検出手段)。
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