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特許7251760MEMS光スイッチ、その駆動方法、及びMEMS光スイッチを備えた光スイッチモジュール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-27
(45)【発行日】2023-04-04
(54)【発明の名称】MEMS光スイッチ、その駆動方法、及びMEMS光スイッチを備えた光スイッチモジュール
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/35 20060101AFI20230328BHJP
【FI】
G02B6/35
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2018522443
(86)(22)【出願日】2017-06-01
(86)【国際出願番号】 JP2017020449
(87)【国際公開番号】W WO2017213018
(87)【国際公開日】2017-12-14
【審査請求日】2020-05-25
(31)【優先権主張番号】P 2016113356
(32)【優先日】2016-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000240477
【氏名又は名称】Orbray株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077573
【弁理士】
【氏名又は名称】細井 勇
(72)【発明者】
【氏名】山内 研也
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 正和
(72)【発明者】
【氏名】石川 正紀
(72)【発明者】
【氏名】神原 大輔
【審査官】山本 貴一
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-158688(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0225833(US,A1)
【文献】特開2000-029078(JP,A)
【文献】特開2007-065594(JP,A)
【文献】特開2007-192902(JP,A)
【文献】特表2005-514650(JP,A)
【文献】特開2009-003282(JP,A)
【文献】特開2010-028696(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0097927(US,A1)
【文献】特開2008-042244(JP,A)
【文献】特開2006-133336(JP,A)
【文献】特開2003-077154(JP,A)
【文献】特開2003-090968(JP,A)
【文献】特開昭63-073218(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/35,26/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
MEMS光スイッチと、ミラーと、該ミラーの角度を制御する制御機構とを備えた光スイッチモジュールであって、
MEMS光スイッチは、入力ポートの数がn(n≧1)で出力ポートの数がm(m≧1)の、n×m光スイッチであり、
MEMS光スイッチは、出力ポートの他に、光が照射されても外部に光を出射しないオフポートを有し、出力ポートとオフポートを含む出力側ポートを備えるとともに、入力ポートに入力された光を、オフポートを含む出力側ポートへ照射することができるように構成されており、且つMEMS光スイッチは駆動電極を備え、
ミラーは、電圧の印加により該ミラーの向きを入力ポートと出力ポートに対して変更可能に配置されるとともに、該ミラーの角度に応じて何れかの入力ポートと何れかの出力ポートが光学的に結合可能となるように配置されており、
制御機構は、電圧の印加によりミラーの角度を制御可能に構成されており、且つ、初期電圧V0(V)から、ミラーの角度を所望の設定値角度に制御する設定電圧V1(V)に遷移する途中で、V0(V)超およびV1(V)未満である電圧V2(V)がミラーに印加され、V2(V)印加により設定値角度までミラーが振れた時点でV1(V)が印加されるように構成されており、前記電圧V2(V)は、当該電圧V2(V)をミラーに印加した時、ミラーの最大振れ幅が前記設定値角度となる電圧値であり、
制御機構は、駆動電極に接続されて駆動電極の印加電圧を制御する制御部により形成されており、
制御部は、設定受付部、光量制御部、駆動制御部を備えており、設定受付部は、入力ポート及び出力ポートを通る光の光量に関する設定を受け付け、
光量制御部は、演算装置を備え、設定受付部が受け付けた前記光量に関する設定に従って、ミラーでの光の反射に応じて照射先とされる出力側ポートの切換スケジュールを設定し、
駆動制御部は、切換スケジュールに従って、駆動電圧を駆動電極に印加する、ことを特徴とする光スイッチモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、MEMS光スイッチ、その駆動方法、及びMEMS光スイッチを備えた光スイッチモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
MEMS光スイッチは、光クロスコネクトスイッチ、減衰器、波長ブロッカー、動的利得等化器、光ファイバネットワーク等の幅広い用途に使用されており、例えば特許文献1のようなミラーを備えた型式のMEMS光スイッチが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2010-515095号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ミラーを備えるMEMS光スイッチは、電圧を印加することでミラーの角度が制御される型式のスイッチである。MEMS光スイッチは、1つ又は複数の入力ポートと1つ又は複数の出力ポートを備えている。MEMS光スイッチでは、ミラーの角度が変わることに伴って反射光の方向が変わることにより、入力ポートと出力ポートの光学的結合が制御される。例えば、入力ポートと出力ポートが複数存在する場合には、それぞれの入力ポートについて、入力ポートからの光の反射光の方向を制御することで適宜それぞれの出力ポートに光学的に結合させることができる。
【0005】
MEMS光スイッチにおける電圧の印加に際しては、初期電圧V0(V)から、ミラーの角度を所望の設定値角度に制御する設定電圧V1(V)に遷移させることでミラーに電圧が印加される。しかし、ミラーは機械的共振周波数特性を有するため、入力電圧値を図6上段の様にV0(V)から直接V1(V)に遷移させると、図6下段の様にミラーが共振する。図6には、上段に駆動電圧と経過時間との関係を示すグラフが示され、下段に初期電圧がV0の場合におけるミラーの状態を基準としたミラーの角度θと経過時間との関係を示すグラフが示されており、経過時間の軸を揃えて上段と下段のグラフが並べられている。また、図7には、図6の場合における出射光の光出力と経過時間との関係を示すグラフが示されている。この図7に示すように、図6の下段に示すような共振振れ幅から減衰振動して設定値角度に収束する過程で、出力ポートに伝搬される出射光の光出力にリンギングが発生する。よって入力ポートの光学的なスイッチング時間が冗長化されてしまう。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、ミラーの共振と出力ポートに伝搬される出射光の光出力に於けるリンギングの発生が防止されて、入力ポート及び/又は出力ポートの光学的なスイッチング時間が短縮可能なMEMS光スイッチ、その駆動方法、及び光スイッチモジュールの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題は、以下の本発明により解決される。即ち本発明の光スイッチモジュールは、MEMS光スイッチと、ミラーと、該ミラーの角度を制御する制御機構とを備えた光スイッチモジュールであって、MEMS光スイッチは、入力ポートの数がn(n≧1)で出力ポートの数がm(m≧1)の、n×m光スイッチであり、MEMS光スイッチは、出力ポートの他に、光が照射されても外部に光を出射しないオフポートを有し、出力ポートとオフポートを含む出力側ポートを備えるとともに、入力ポートに入力された光を、オフポートを含む出力側ポートへ照射することができるように構成されており、且つMEMS光スイッチは駆動電極を備えている。
【0008】
前記ミラーは、電圧の印加により該ミラーの向きを入力ポートと出力ポートに対して変更可能に配置されるとともに、該ミラーの角度に応じて何れかの入力ポートと何れかの出力ポートが光学的に結合可能となるように配置されており、制御機構は、電圧の印加によりミラーの角度を制御可能に構成されており、且つ、初期電圧V0(V)から、ミラーの角度を所望の設定値角度に制御する設定電圧V1(V)に遷移する途中で、V0(V)超およびV1(V)未満である電圧V2(V)がミラーに印加され、V2(V)印加により設定値角度までミラーが振れた時点でV1(V)が印加されるように構成されている。前記電圧V2(V)は、当該電圧V2(V)をミラーに印加した時、ミラーの最大振れ幅が前記設定値角度となる電圧値である。
【0009】
前記制御機構は、駆動電極に接続されて駆動電極の印加電圧を制御する制御部により形成されており、制御部は、設定受付部、光量制御部、駆動制御部を備えており、設定受付部は、入力ポート及び出力ポートを通る光の光量に関する設定を受け付け、光量制御部は、演算装置を備え、設定受付部が受け付けた前記光量に関する設定に従って、ミラーでの光の反射に応じて照射先とされる出力側ポートの切換スケジュールを設定し、駆動制御部は、切換スケジュールに従って、駆動電圧を駆動電極に印加するように構成されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明のMEMS光スイッチ、その駆動方法、及び光スイッチモジュールに依れば、いずれについてもミラーの共振を防止することが可能となる為、出力ポートに伝搬される出射光の光出力に於けるリンギング発生が防止される。よって入力ポート及び/又は出力ポートの光学的なスイッチング時間が短縮され、高速でのスイッチング動作が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の実施形態に係るMEMS光スイッチと、そのMEMS光スイッチを備えた光伝搬装置を示す模式図である。
図2図2は、図1のMEMS光スイッチに備えられるミラーの変化角度を示す模式図である。
図3図3は、図1のMEMS光スイッチに備えられるミラーを駆動する電圧の印加例を示す説明図である。
図4図4は、本実施例におけるMEMS光スイッチに備えられるミラーを駆動する電圧の印加条件を示す図である。
図5図5は、本実施例に係るMEMS光スイッチのミラーを高速スイッチング駆動させた場合における、光出力とスイッチング時間の関係を示すグラフである。
図6図6は、MEMS光スイッチに備えられるミラーを駆動する電圧の印加について、従来の電圧の印加例を示す説明図である。
図7図7は、MEMS光スイッチに備えられるミラーが共振を起こした場合における、光出力とスイッチング時間の関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のMEMS光スイッチの実施形態においては、MEMS光スイッチが、入力ポートの数がn(n≧1)で出力ポートの数がm(m≧1)の、n×m光スイッチであり、ミラーを備える。ミラーの角度は、電圧の印加により制御可能に構成され、且つ、ミラーの角度に応じて何れかの入力ポートと何れかの出力ポートが光学的に結合される。また、MEMS光スイッチは、何れかの入力ポートと何れかの出力ポートを光学的に結合させるように電圧の印加によりミラーの角度を制御する制御機構を接続することができるように構成される。このMEMS光スイッチに接続される制御機構においては、初期電圧V0(V)から、ミラーの角度を所望の設定値角度に制御する設定電圧V1(V)に遷移する途中で、V0(V)超およびV1(V)未満である電圧V2(V)がミラーに印加され、電圧V2(V)の印加により設定値角度までミラーが振れた時点(タイミング)で設定電圧V1(V)が印加される。
【0013】
また本発明のMEMS光スイッチの駆動方法に係る実施形態の特徴は、ミラーを備え、入力ポートの数がn(n≧1)で出力ポートの数がm(m≧1)のn×m光スイッチであるMEMS光スイッチに、初期電圧V0(V)から、ミラーの角度を所望の設定値角度に制御する設定電圧V1(V)に遷移する途中で、V0(V)超およびV1(V)未満である電圧V2(V)をミラーに印加し、電圧V2(V)の印加により設定値角度までミラーが振れた時点で設定電圧V1(V)を印加することである。
【0014】
MEMS光スイッチ及びその駆動方法に依れば、ミラーの共振を防止することが可能となる為、出力ポートに伝搬される出射光の光出力に於けるリンギング発生が防止される。よって入力ポート及び/又は出力ポートの光学的なスイッチング時間が短縮され、高速でのスイッチング動作が可能となる。
【0015】
以下、図1から図3を参照して本発明の実施形態に係るMEMS光スイッチとその駆動方法を説明する。本実施形態のMEMS光スイッチ120は、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を適用した光スイッチであり、入力ポート110の数がn(n≧1、図1ではn=1)で出力ポート130の数がm(m≧1)の、n×m光スイッチで、ミラー121を備える。図1は、MEMS光スイッチ120を備えた装置の一例として、光伝搬装置100を示している。光伝搬装置100は、入力ポート110からの入射光の光量を複数に分岐して、出力ポート130から出射する装置である。
【0016】
入力ポート110は光の入射口であり、光ファイバ220等を介して光源210と光学的に結合され、光源210からの光を入射する。光源210は、400nm以上700nm以下の可視光や、赤外光、紫外光等の不可視光を出射する光源であり、半導体レーザLD(Laser Diode)が使用されてよいし、発光ダイオード(LED)等が使用されてよい。なお、入力ポート110と並んでオフポートを設けても良い。
【0017】
一方、各出力ポート130に光ファイバ230が光学的に結合されている。出力ポート130は光の出射口であり、入力ポート110に入力した光が照射されると光ファイバ230等を介してその光を外部に出射する。なおオフポート132に光が照射されても、外部に光を出射しない。出力ポート130とオフポート132をまとめて、出力側ポート134と称する。
【0018】
ミラー121の傾斜角度と各出力側ポート134の位置は、予め光伝搬装置100内において対応付けられて配置設定されており、ミラー121の傾斜角度を変化させてミラー121の向きを制御することにより、各出力側ポート134の何れかに入力ポート110からの光を伝搬させる。伝搬先となった何れかの出力側ポート134が、入力ポート110と光学的に結合されることになる。
【0019】
MEMS光スイッチ120には、何れかの入力ポートと何れかの出力ポートが光学的に結合されるように電圧の印加によりミラーの角度を制御する制御機構が接続される。制御機構は、駆動電極122に接続されて駆動電極122の印加電圧を制御する制御部140により形成されている。MEMS光スイッチ120に制御機構が接続されて光スイッチモジュールが形成される。光伝搬装置100には、図1に示すように、このような光スイッチモジュールが搭載されている。
【0020】
制御部140は、設定受付部141、光量制御部142、駆動制御部143を備えている。光量制御部142は、演算装置やメモリ等により構成することができ、設定受付部141が受け付けた光量に関する設定に従って、ミラー121での光の反射(入力ポート110からの光の反射)に応じて照射先とされる出力側ポート134の切換スケジュールを設定する。
【0021】
駆動制御部143は、電圧出力装置等により構成することができ、切換スケジュールにしたがって、駆動電圧を駆動電極122に印加する。
【0022】
MEMS光スイッチ120は、ミラー121と駆動電極122を備えている。ミラー121は、入力ポート110から入射した光がその反射面に導かれる位置に配置されており、駆動電極122からの駆動電圧Va(t)がミラー121に印加されて、ミラー121の角度が制御される。そして、ミラー121の角度に応じて各出力側ポート134の何れかに入力ポート110からの光が伝搬されることとなる。
【0023】
ミラー121の向きを所望の角度に制御するにあたり、駆動電圧Va(t)として、初期電圧V0(V)から、ミラー121の角度を所望の設定値角度θに制御する設定電圧V1(V)が印加される(図2参照)。ただし、本実施形態では、駆動電圧Va(t)を初期電圧V0(V)からV1(V)に遷移する途中で、図3上段に示すようにV0(V)超およびV1(V)未満である電圧V2(V)をミラー121に印加するように駆動電圧Va(t)の電圧印加が制御される。V2(V)の電圧値は、そのV2(V)をミラー121に印加した時、ミラー121の最大振れ幅が前記設定値角度θとなる電圧値とする。なお、図3には、上段に駆動電圧と経過時間との関係を示すグラフが示され、下段に初期電圧がV0の場合におけるミラー121の状態を基準としたミラー121の角度θと経過時間との関係を示すグラフが示されており、経過時間の軸を揃えて上段と下段のグラフが並べられている。
【0024】
制御部140による電圧印加の制御にともなうミラー121の向き(角度)制御について、初期電圧V0(V)から設定電圧V1(V)への遷移途中にV2(V)を印加してミラー121を設定値角度θまで予め振らせておき、ミラー121が設定値角度θまで振れた時点(図3中の時間t2経過時点)でV1(V)を印加することで、ミラー121が初期状態から直接設定値角度θで共振することが防止されることを、本出願人は検証により見出した。即ち、V2(V)の印加によりミラー121が設定値角度θまで振れた状態で、更にV1(V)の印加により設定値角度θにミラー121が振れようとする為、ミラー121の共振が防止可能となる。
【0025】
このようにミラー121の共振を防止することが可能となる為、本発明に係るMEMS光スイッチを備えた光スイッチモジュールでは、図3下段に示すように出力ポート130から光ファイバ230に伝搬される出射光の、光出力に於けるリンギング発生が防止される。よって出力ポート130の光学的なスイッチング時間が短縮され、高速でのスイッチング動作が可能となる。
【0026】
高速でのスイッチング動作が可能となることで、本発明に係るMEMS光スイッチを例えば光表示装置または照明装置と云った人間の肉眼により視認が必要な用途に於いた際、光のちらつき認識を防止することが可能となる。
【0027】
更に、ミラー121の共振周波数に応じて(一例として共振周波数が1kHzの場合)、高次数のローパスフィルタやノッチフィルタが不要となる。また、MEMS光スイッチ120を駆動する回路がアナログ回路の場合、MEMS光スイッチ120を駆動する回路にデジタルフィルタを構成する必要が無くなる。そのため、MEMS光スイッチ120とMEMS光スイッチ120を駆動するアナログ回路との親和性は良く、駆動回路が煩雑となるのを抑制できる。
【0028】
無論、MEMS光スイッチ120の使用例は、光伝搬装置100に限定されず、光伝搬装置100とは逆に光源210を複数設けると共に出力ポート130を1つとして、ミラー121により何れかの光源210の光を選択して出力ポート130に伝搬させても良い。
【実施例
【0029】
以下に本発明の実施例を説明するが、本発明は以下の実施例にのみ限定されない。
【0030】
本実施例のMEMS光スイッチのミラーでは、初期電圧V0=0(V)から25(V)印加で1度(degree)振れる。その1度を設定値角度θとすると、共振の最大角度変化は±0.5度であった。またこのとき設定電圧V1=25(V)である。そしてV0から直接設定電圧25(V)を加えると0.5度から1.5度を最大角度として減衰しながら設定値角度θに収束して行った。その減衰の際に20m秒のスイッチング時間を要することを観察した。その理由として、直接パルス的な駆動をすると高調波による広い周波数帯域を有する電圧信号となり、その共振周波数成分(約1kHz)によって共振が起こると思われる。
【0031】
本実施例では、図4に示すようにV2=V’(V)をミラーに印加した。なお、V0からV’及びV’からV1へと、V’(V)の印加時間tで以てステップ電圧駆動とした。V’はミラーの最大の振れ角度が設定値角度θ=1度(degree)となるような電圧値であり、12(V)とした。このV’(12(V))の電圧をミラーに印加して1度ミラーが最大に振れた時点で、設定電圧25(V)を加えることにより、入力ポートの光学的なスイッチング時間を0.5m秒に短縮出来ることが観察された。さらに、このとき、図5に示すように出力ポートからの出射光の光出力に於けるリンギング発生が防止されることが確認された。
【符号の説明】
【0032】
100 光伝搬装置
110 入力ポート
120 MEMS光スイッチ
121 ミラー
122 駆動電極
130 出力ポート
132 オフポート
134 出力側ポート
140 制御部
141 設定受付部
142 光量制御部
143 駆動制御部
210 光源
220、230 光ファイバ

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7