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特許7251827幹細胞の挙動調節用ナノコイル-基板複合体、その製造方法、及びそれを利用した幹細胞の付着及び分化調節方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-27
(45)【発行日】2023-04-04
(54)【発明の名称】幹細胞の挙動調節用ナノコイル-基板複合体、その製造方法、及びそれを利用した幹細胞の付着及び分化調節方法
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/00 20060101AFI20230328BHJP
   A61K 35/28 20150101ALI20230328BHJP
   C12M 3/00 20060101ALI20230328BHJP
【FI】
C12M1/00 A
A61K35/28
C12M3/00 A
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2021138667
(22)【出願日】2021-08-27
(65)【公開番号】P2022064287
(43)【公開日】2022-04-25
【審査請求日】2021-08-27
(31)【優先権主張番号】10-2020-0131889
(32)【優先日】2020-10-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】518107501
【氏名又は名称】コリア ユニバーシティ リサーチ アンド ビジネス ファウンデーション
【氏名又は名称原語表記】KOREA UNIVERSITY RESEARCH AND BUSINESS FOUNDATION
【住所又は居所原語表記】145,Anam-ro,Seongbuk-gu,Seoul,Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】キム ヨン-グン
(72)【発明者】
【氏名】カン,ヒ-ミン
(72)【発明者】
【氏名】コ,ミン-ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ミン,スン-ホン
【審査官】山本 晋也
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-194581(JP,A)
【文献】特開2018-193607(JP,A)
【文献】特開2009-075100(JP,A)
【文献】特開2021-137004(JP,A)
【文献】特開2022-064286(JP,A)
【文献】Dexter S. H. Wong et al.,Nano Lett.,2017年02月24日,Vol.17,pp.1685-1695
【文献】Thin Solid Films,2013年05月01日,Vol.546,pp.255-258
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M
C12N
C12Q
G01N
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板、基板と化学結合されたナノコイル、及び前記ナノコイルと化学結合されたインテグリンリガンドペプチドを含み、
前記ナノコイルは螺旋形のナノワイヤで構成され、一つ以上の金属元素を含み、
前記ナノコイルは100nm~20μmの長さを有し、
前記ナノコイルは磁場の印加有無によって可逆的に長さが下記式1:
[式1]
|L1-L0|>10nm
式1で、L1は磁場を印加する時のナノコイルの長さであり、
L0は磁場が印加されないナノコイルの長さである
の範囲内で変化することを含む、幹細胞の付着及び分化調節用ナノコイル-基板複合体。
【請求項2】
前記金属元素はコバルト(Co)、鉄(Fe)及びニッケル(Ni)の中の一つ以上の元素を含むことを特徴とする請求項1に記載の幹細胞の付着及び分化調節用ナノコイル-基板複合体。
【請求項3】
前記ナノワイヤは断面が円形のワイヤ形態で備えられ、直径は5nm~30nmであり、
前記ナノコイルの螺旋形外径の平均長さは50nm~200nmであることを特徴とする請求項1に記載の幹細胞の付着及び分化調節用ナノコイル-基板複合体。
【請求項4】
前記印加される磁場は100mT~7Tの大きさであることを特徴とする請求項1に記載の幹細胞の付着及び分化調節用ナノコイル-基板複合体。
【請求項5】
前記インテグリンリガンドペプチドは複数個が前記ナノコイルに互いに離隔されて結合され、互いに隣合うインテグリンリガンドの間の平均間隔は1~10nmであることを特徴とする請求項1に記載の幹細胞の付着及び分化調節用ナノコイル-基板複合体。
【請求項6】
磁場の印加時に、前記ナノコイルの互いに隣合う螺旋は離隔され、互いに隣合う螺旋の間のピッチ(pitch)は1nm~100nmであることを特徴とする請求項1に記載の幹細胞の付着及び分化調節用ナノコイル-基板複合体。
【請求項7】
前記インテグリンリガンドペプチドはチオール化されたインテグリンリガンドペプチドを含み、
前記インテグリンリガンドペプチドのチオール基と螺旋形のナノコイルとポリエチレングリコールリンカーによって結合された構造であることを特徴とする請求項1に記載の幹細胞の付着及び分化調節用ナノコイル-基板複合体。
【請求項8】
前記ナノコイルはカルボン酸塩が置換されて基板と結合された構造であることを特徴とする請求項1に記載の幹細胞の付着及び分化調節用ナノコイル-基板複合体。
【請求項9】
前記基板はナノコイルが結合されない基板の表面が非活性化されたことを特徴とする請求項1に記載の幹細胞の付着及び分化調節用ナノコイル-基板複合体。
【請求項10】
一つ以上の金属元素を含む溶液を電着してナノコイルを用意するステップと、
前記ナノコイルと第1懸濁液とを混合して前記ナノコイルにカルボン酸塩置換基を置換するステップと、
カルボン酸塩が置換された前記ナノコイルを含む溶液に表面が活性化された基板を担持して前記ナノコイルが結合された基板を製造するステップと、
前記ナノコイルが結合された基板をポリエチレングリコールリンカーを含む溶液に担持して前記ナノコイルの末端にリンカーを結合するステップと、
インテグリンリガンドペプチド(RGD)を含む第2懸濁液と前記ナノコイルが結合された前記活性化された基板を混合して前記ナノコイルにインテグリンリガンドペプチドを結合するステップと、を含むことを特徴とする幹細胞の付着及び分化調節用ナノコイル-基板複合体の製造方法であって、
前記ナノコイルは磁場の印加有無によって可逆的に長さが下記式1:
[式1]
|L1-L0|>10nm
(式1で、L1は磁場を印加する時のナノコイルの長さであり、
L0は磁場が印加されないナノコイルの長さである)、
の範囲内で変化することを含む、方法
【請求項11】
ナノコイルを用意するステップで金属元素を含む溶液はコバルト(Co)、鉄(Fe)及びニッケル(Ni)の中の一つ以上の金属元素を含むことを特徴とする請求項10に記載の幹細胞の付着及び分化調節用ナノコイル-基板複合体の製造方法。
【請求項12】
カルボン酸塩置換基を置換するステップで、前記第1懸濁液はカルボン酸塩置換基を含むアミノ酸誘導体を含み、
前記アミノ酸誘導体がナノコイルの表面に結合することを特徴とする請求項10に記載の幹細胞の付着及び分化調節用ナノコイル-基板複合体の製造方法。
【請求項13】
インテグリンリガンドペプチドを結合するステップで、前記第2懸濁液はチオール化されたインテグリンリガンドペプチドを含むことを特徴とする請求項11に記載の幹細胞の付着及び分化調節用ナノコイル-基板複合体の製造方法。
【請求項14】
ナノコイルが結合された基板を製造するステップは、基板を酸性溶液の中に浸漬させて基板の表面を活性化させた後表面が活性化された基板をアミノシラン溶液の中に担持して表面をアミン化させた基板を用いることを特徴とする請求項11に記載の幹細胞の付着及び分化調節用ナノコイル-基板複合体の製造方法。
【請求項15】
ナノコイルにインテグリンリガンドペプチドを結合するステップ以後にポリエチレングリコール誘導体を含む溶液にナノコイルが結合された基板を担持してナノコイルが結合されない基板の表面を非活性化させるステップをさらに含むことを特徴とする請求項11に記載の幹細胞の付着及び分化調節用ナノコイル-基板複合体の製造方法。
【請求項16】
請求項1~9の中の何れか一項による幹細胞の細胞付着及び分化調節用ナノコイル-基板複合体に培養液を処理した後20mT~7Tの磁場を印加して幹細胞の細胞付着及び分化を調節するステップを含み、
前記ナノコイルは磁場の印加有無によって可逆的に長さが下記式1
[式1]
|L1-L0|>10nm
式1で、L1は磁場を印加する時のナノコイルの長さであり、
L0は磁場が印加されないナノコイルの長さである)、
の範囲内で変化することを含む、幹細胞の付着及び分化調節方法。
【請求項17】
幹細胞の付着及び分化を調節するステップはナノコイル-基板複合体に磁場の印加有無によって可逆的にナノコイルの長さを変化させて生体内または生体外の請求項16に記載の幹細胞の付着及び分化調節方法。
【請求項18】
幹細胞の付着及び分化を調節するステップは、ナノコイル-基板複合体に磁場を印加しない場合、幹細胞の付着及び機械感知分化が低下されることを現す請求項16に記載の幹細胞の付着及び分化調節方法。
【請求項19】
幹細胞の付着及び分化を調節するステップは、ナノコイル-基板複合体に磁場を印加する場合、幹細胞の付着及び機械感知分化が促進されることを現すことを特徴とする請求項16に記載の幹細胞の付着及び分化調節方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は幹細胞の付着及び分化調節のためのナノコイル(nanocoil)ー基板複合体、その製造方法及び前記ナノコイル-基板複合体を利用した幹細胞の付着及び分化調節方法に関し、具体的には、前記ナノコイル-基板複合体に磁場印加有無によって幹細胞の細胞付着及び分化を調節する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
幹細胞は自己再生を通じて増殖が可能であり、骨、脂肪、筋肉、心筋、血管、軟骨などの多様な細胞に分化することができる可能性を有する。最近には、このような特性を利用して損傷された組職、臓器を再生するために幹細胞或いは幹細胞から分化された細胞の体内移植がたくさん研究されている。また、幹細胞が特定細胞に分化することができるように補助することができる生体材料も活発に研究されている。
【0003】
このように、幹細胞の再生効果を効率的に制御するための方法として生体内でリガンドの提示を通じた技術が利用されている。しかしながら、従来のマイクロ規模のインテグリンリガンドペプチド(RGD)着脱(uncaging)が幹細胞の付着を調節するが、幹細胞の分化に対する調整はしないという問題がある。
【0004】
そこで、本出願人はナノバーコードリガンドの周期性及び配列順を制御して幹細胞の付着及び分化を制御する技術を開発及び出願したことがある。
【0005】
以下、本願出願人は既に出願した幹細胞付着及び分化技術に比べてさらに向上され、生体親和的技術を提供することができる技術を提案する。特にリガンドを予め設計して挿入する方式ではなく、注入後外部刺激を利用して細胞の特性をリアルタイムに変化させることができる技術を提案する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】大韓民国登録特許10-1916588号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、リガンドがコーティングされたナノコイルを含む基板を提供し、リガンドがコーティングされたナノコイルに磁場を印加することを制御して幹細胞の付着及び分化を調節する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、基板、基板と化学結合されたナノコイル、及び前記ナノコイルと化学結合されたインテグリンリガンドペプチドを含み、前記ナノコイルは螺旋形のナノワイヤで備えられ、一つ以上の金属元素を含み、前記ナノコイルは100nm~20μmの長さを有し、前記ナノコイルは磁場の印加有無によって可逆的に長さが下記式1の範囲内で変化することを含む幹細胞の付着及び分化調節用ナノコイル-基板複合体を提供する。
【0009】
[式1]
|L-L|>10nm
式1で、Lは磁場を印加する時のナノコイルの長さであり、
は磁場が印加されないナノコイルの長さである。
【0010】
また、本発明は一つ以上の金属元素を含む溶液を電着してナノコイルを用意するステップと、前記ナノコイルと第1懸濁液とを混合してナノコイルにカルボン酸塩置換基を置換するステップと、カルボン酸塩が置換されたナノコイルを含む溶液に表面が活性化された基板を担持してナノコイルが結合された基板を製造するステップと、ナノコイルが結合された基板をポリエチレングリコールリンカーを含む溶液に担持してナノコイルの末端にリンカーを結合するステップと、インテグリンリガンドペプチド(RGD)を含む第2懸濁液と活性化されたナノコイルが結合された基板を混合してナノコイルにインテグリンリガンドペプチドを結合するステップと、を含む幹細胞の付着及び分化調節用ナノコイル-基板複合体の製造方法を提供する。
【0011】
また、本発明は前述した幹細胞の細胞付着及び分化調節用ナノコイル-基板複合体に培養液を処理した後、20mT~7Tの磁場を印加して幹細胞の細胞付着及び分化を調節するステップを含み、前記ナノコイルは磁場の印加有無によって可逆的に長さが下記式1の範囲内で変化することを含む幹細胞の付着及び分化調節方法を提供する:
[式1]
|L-L|>10nm
式1で、Lは磁場を印加する時のナノコイルの長さであり、
は磁場が印加されないナノコイルの長さである。
【発明の効果】
【0012】
本発明による幹細胞の付着及び分化調節用ナノコイル-基板複合体は、インテグリンリガンドがコーティングされたナノコイルに磁場の印加有無を制御することにより可逆的な制御が可能であり、生体内及び生体外での幹細胞の付着及び表現型分化を効率的に調節することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施例による幹細胞の細胞付着及び分化調節用ナノコイル-基板複合体及びこれを利用した幹細胞の付着及び分化調節方法を示した模式図である。
図2】本発明によるナノコイルの走査電子顕微鏡イメージである。
図3】本発明によるナノコイルの高角度環状暗視野走査透過型電子顕微鏡(HAADF-STEM)イメージ、エネルギー分散型X線分光法マッピング(EDS Mapping)、走査電子顕微鏡(SEM)イメージ及び高分解能走査透過電子顕微鏡(HR-STEM)イメージを示し、HAADF-STEMのスケールバーは250μm、SEMのスケールバーは1μmであり、HR-STEMのスケールバーは4Åを表す。
図4】本発明によるナノコイルの(a)エネルギー分散型X線分光法(EDS)及び(b)電子エネルギー損失分光法(EELS)で分析した結果グラフ及びマッピングイメージであり、(b)のスケールバーは200nmを表す。
図5】本発明によるナノコイルの高分解能透過電子顕微鏡(HRTEM)イメージであり、左側スケールバーは300nm、右側スケールバーは2nmである。
図6】本発明によるナノコイルのX線回折分析グラフである。
図7】本発明によるナノコイルの振動試料型磁力計測定結果グラフである。
図8】本発明によるナノコイル-基板複合体を製造するステップを図式化したイメージである。
図9】本発明によるナノコイル-基板複合体のフーリエ変換赤外線分光(FT-IR)分析結果である。
図10】本発明によるナノコイルを対象として原子間力顕微鏡(AFM)で撮影したイメージとナノコイルの長さを示したグラフであり、スケールバーは500nmを表す。
図11】本発明によるナノコイルを対象として原子間力顕微鏡(AFM)で撮影したイメージとナノコイルの長さを示したグラフであり、スケールバーは500nmを表す。
図12】本発明によるナノコイル-基板複合体を利用して培養された幹細胞(48時間後)のF-アクチン、核及びビンキュリンに対する共焦点免疫蛍光イメージ(a)であり、共焦点免疫蛍光実験結果に基づいて計算した付着細胞密度、細胞面積、焦点付着数、アスペクト比(主軸/副軸比率)を示したグラフ(b)であり、スケールバーは50μmを表す。
図13】本発明によるナノコイル-基板複合体を利用して18時間ごとに磁場印加を変化させて培養された幹細胞(54時間後)のF-アクチン、核及びビンキュリンに対する共焦点免疫蛍光イメージであり、スケールバーは50μmを表す。
図14】本発明によるナノコイル-基板複合体を利用して18時間ごとに磁場印加を変化させて培養された幹細胞の共焦点免疫蛍光実験結果に基づいて計算した付着細胞密度、細胞面積、焦点付着数、アスペクト比(主軸/副軸比率)を示したグラフである。
図15】本発明によるナノコイル-基板複合体を利用して培養された幹細胞(48時間後)の生きている細胞と死んだ細胞に対する共焦点免疫蛍光イメージ(a)であり、共焦点免疫蛍光実験結果に基づいて計算した細胞生存能力を示したグラフ(b)であり、スケールバーは50μmを表す。
図16】本発明の比較例によるナノコイルのない基板(No nanocoil)またはインテグリンリガンド(RGD)が結合されないナノコイル-基板複合体で二重モードスイッチング(bimodal switching)に対する幹細胞の付着性実験結果である。
図17】本発明によるナノコイル-基板複合体を利用して18時間の間隔で磁場印加を調節して36時間の間培養された幹細胞のF-アクチン、核及びYAPに対する共焦点免疫蛍光イメージ(a)であり、共焦点免疫蛍光実験結果に基づいて計算した核/細胞質YAP比率を示したグラフ(b)であり、スケールバーは50μmを表す。
図18】本発明によるナノコイル-基板複合体を利用して18時間の間隔で磁場印加を調節して36時間の間培養された幹細胞のF-アクチン、核及びTAZに対して共焦点免疫蛍光で分析した結果である。
図19】本発明によるナノコイル-基板複合体を利用して幹細胞を5日間培養するが、2日目の日に磁場印加を調節して培養された幹細胞のオステオカルシン(osteocalcin)、F-アクチン、核に対して共焦点免疫蛍光で分析した結果である。
図20】本発明によるナノコイル-基板複合体を利用して幹細胞を3日間培養するが、一日経った日に磁場印加を調節して培養された幹細胞の核/細胞質RUNX2及びALP遺伝子発現プロファイルを定量的に分析したグラフである。
図21】本発明によるナノコイル-基板複合体を利用して幹細胞を5日間培養するが、2日目の日に磁場印加を調節して培養された幹細胞のALP遺伝子、RUNX2、F-アクチン及び核に対して共焦点免疫蛍光で分析した結果である。
図22】本発明によるナノコイル-基板複合体を利用して抑制剤のない培地とROCK抑制剤(Y27632)及びミオシンII抑制剤(ブレビスタチン)を有する培地で幹細胞を48時間の間培養した後、YAP、F-アクチン及び核に対する共焦点免疫蛍光で分析した結果である。
図23】本発明によるナノコイル-基板複合体を利用して抑制剤のない培地とアクチン重合抑制剤(サイトカラシンD)を有する培地で幹細胞を48時間の間培養した後、YAP、F-アクチン及び核に対する共焦点免疫蛍光で分析した結果である。
図24】本発明によるナノコイル-基板複合体を利用して抑制剤のない培地とアクチン重合抑制剤(サイトカラシンD)、ROCK抑制剤(Y27632)及びミオシンII抑制剤(ブレビスタチン)を有する培地で幹細胞を48時間の間培養した後、TAZ、F-アクチン及び核に対して共焦点免疫蛍光で分析した結果である。
図25】本発明によるナノコイル-基板複合体を利用した生体内宿主幹細胞付着調節に対する実験結果である。
図26図25に示した共焦点免疫蛍光イメージから付着性細胞密度、細胞面積、焦点付着数、アスペクト比(主軸/副軸比率)及び核/細胞質YAP蛍光比率を計算したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明をより具体的に説明するために、本発明による好ましい実施例を添付図面を参照してより詳しく説明する。しかしながら、本発明はここで説明される実施例に限定されず、他の形態に具体化されることもできる。
【0015】
本発明は、基板、基板と化学結合されたナノコイル、及び前記ナノコイルと化学結合されたインテグリンリガンドペプチドを含み、前記ナノコイルは螺旋形のナノワイヤで備えられ、一つ以上の金属元素を含み、前記ナノコイルは100nm~20μmの長さを有し、前記ナノコイルは磁場の印加有無によって可逆的に長さが下記式1の範囲内で変化することを含む幹細胞の付着及び分化調節用ナノコイル-基板複合体を提供する:
[式1]
|L-L|>10nm
式1で、Lは磁場を印加する時のナノコイルの長さであり、
は磁場が印加されないナノコイルの長さである。
【0016】
図1は本発明による幹細胞の細胞付着及び分化調節用ナノコイル-基板複合体及びこれを利用した幹細胞の細胞付着及び分化調節方法を示した模式図である。
【0017】
図1によれば、本発明のナノコイル-基板複合体は、基板、基板と化学結合されたナノコイル、及び前記ナノコイルと化学結合されたインテグリンリガンドペプチドを含み、前記ナノコイルは螺旋形に捻じられた形態のナノワイヤで備えられ、前記ナノワイヤはコバルト(Co)、鉄(Fe)及びニッケル(Ni)の中の一つ以上の金属元素を含むことが分かる。
【0018】
具体的には、前記ナノコイルは式1を充足する螺旋形ナノワイヤで備えられることができる:
[式1]
|L-L|>10nm
式1で、Lは磁場を印加する時のナノコイルの長さであり、
は磁場が印加されないナノコイルの長さである。
【0019】
前記式1で、磁場が印加されないナノコイルの長さは100nm~20μm、500nm~4μmまたは1μm~3μmであってもよい。
【0020】
前記のように、磁場を印加する時、ナノコイルが伸長(stretching)されて長さが長くなると、生体内で幹細胞の付着を促進させることができる。ただ、磁場が除去される場合ナノコイルが収縮して既存のナノコイルの長さに戻る。
【0021】
具体的には、前記式1で磁場の印加有無によるナノコイルの長さ変化は10nm以上、20nm以上、10nm~500nmまたは10nm~100nmであってもよい。
【0022】
本発明のナノコイル-基板複合体でナノコイルの長さ変化が前記式1を充足しない場合、前記ナノコイルの長さ変化が小さくて細胞付着能の差を見せなくて問題になる。
【0023】
前記ナノコイルの螺旋形外径の平均長さは50nm~200nmまたは100nm~200nmであってもよい。ナノコイルの螺旋形外径が100nm未満の場合、ナノコイルが小さすぎてインテグリンリガンドペプチドが所定の間隔を隔てて結合しにくくなり、外径が200nmを超える場合、基板上にナノコイルが占める領域が広くなって基板で適切な密度で分布しにくいという問題がある。
【0024】
前記ナノコイルはナノワイヤからなり、前記ナノワイヤはコバルト(Co)、鉄(Fe)及びニッケル(Ni)の中の一つまたは二つ以上の金属元素を含むことができ、前記ナノワイヤは断面が円形のワイヤ形態で備えられ、直径は5nm~100nm、20nm~90nmまたは50nm~80nmであってもよい。前記のようなワイヤの直径を充足しない場合、ナノコイルの伸長及び収縮が円滑に現れないないことがある。
【0025】
前記ナノコイル内に結合されたインテグリンリガンドペプチドはチオール化されたインテグリンリガンドペプチドであってもよく、前記インテグリンリガンドペプチドは複数個が前記ナノコイルに互いに離隔されて結合され、互いに隣合うインテグリンリガンドの間の平均間隔は1nm~10nmであってもよい。互いに隣合うインテグリンリガンドペプチドの間の平均間隔が1nm未満の場合、磁場を印加した場合にも幹細胞の付着及び分化を活性化しにくく、10nmを超える場合、磁場を印加しない場合にも幹細胞の付着及び分化を活性化して磁場を利用した可逆的制御をしにくいという問題が発生する。
【0026】
前記ナノコイルで磁場を印加する時、前記ナノコイルの互いに隣合う螺旋は離隔され、互いに隣合うらせんの間のピッチ(pitch)は1nm~100nm、1nm~50nmまたは5nm~30nmであってもよい。これは磁場の印加時にナノコイルが伸長(stretching)しながらピッチ間隔が増加したのである。それによってインテグリンリガンドペプチドの間隔も増加する。
【0027】
前記インテグリンリガンドペプチドはチオール化されたインテグリンリガンドペプチドで、インテグリンリガンドペプチドのチオール基と螺旋形のナノコイルのポリエチレングリコールリンカーによって結合されることができる。前記ポリエチレングリコールリンカーはマレイミド-ポリエチレングリコール-NHSエステル(Mal-PEG-NHS ester)であってもよい。前記のようなリンカーを含んでナノコイルとインテグリンリガンドペプチドとの間の結合力を高めて耐久性を向上させることができる。
【0028】
前記ナノコイルはカルボン酸塩が置換された構造であってもよい。前記カルボン酸塩置換基はアミノ酸誘導体、具体的にはアミノカプロン酸であってもよい。前記のように、ナノコイルがカルボン酸塩が置換された構造を有することにより、基板及びインテグリンリガンドペプチドとの結合力を高めることができる。
【0029】
前記基板は表面がアミン化された基板で、アミノシラン溶液に担持されて表面が活性化された基板であってもよく、前記基板の表面にあるアミノ基とナノコイルのカルボキシル基がEDC/NHS反応を通じて結合された構造であってもよい。
【0030】
また、前記基板はナノコイルが結合されない基板の表面が非活性化されたものであってもよい。
【0031】
また、本発明は一つ以上の金属元素を含む溶液を電着してナノコイルを用意するステップと、前記ナノコイルと第1懸濁液とを混合してナノコイルにカルボン酸塩置換基を置換するステップと、カルボン酸塩基が置換されたナノコイルを含む溶液に表面が活性化された基板を担持してナノコイルが結合された基板を製造するステップと、ナノコイルが結合された基板をポリエチレングリコールリンカーを含む溶液に担持してナノコイルの末端にリンカーを結合するステップと、インテグリンリガンドペプチド(RGD)を含む第2懸濁液と活性化されたナノコイルが結合された基板を混合してナノコイルにインテグリンリガンドペプチドを結合するステップと、を含む幹細胞の付着及び分化調節用ナノコイル-基板複合体の製造方法を提供する。
【0032】
前記ナノコイルを用意するステップで金属元素を含む溶液はコバルト(Co)、鉄(Fe)及びニッケル(Ni)の中の一つまたは二つ以上の金属元素を含むことができる。
【0033】
前記ナノコイルを用意するステップは、ナノ気孔を有し、一面に作用電極を有するナノテンプレート(nano template)を用意するステップと、アスコルビン酸(Ascorbic acid;C)、オキシ硫酸バナジウム(IV)(VOSO・xHO)及び蒸着しようとする金属を含む金属前駆体溶液を含む第1金属前駆体混合液を用意するステップと、前記第1金属前駆体混合液に硝酸(Nitric acid;HNO)を混合して第2金属前駆体混合液を用意するステップと、前記第2金属前駆体混合液に前記ナノテンプレートを浸漬し、前記第2金属前駆体混合液に挿入された対電極(counter electrode)と前記作用電極との間に電流を印加して電気メッキ方式で前記ナノ気孔に金属ナノコイルを蒸着させるステップと、前記金属ナノコイルが蒸着されたナノテンプレートで前記作用電極及び前記ナノテンプレートを選択的に除去するステップと、を含む。
【0034】
前記ナノテンプレートとしては陽極酸化アルミニウム(Anodic Aluminum Oxide、AAO)ナノテンプレート、無機材料(Inorganic)ナノテンプレートまたは高分子ナノテンプレートを用いる。ここでは、陽極酸化アルミニウムナノテンプレートを用いる場合を図示する。陽極酸化アルミニウムをナノテンプレート細孔(Pore)の直径によってナノワイヤーの大きさが決まり、ナノワイヤーの形成時間及び速度によってナノワイヤーの長さが決まる。
【0035】
前記ナノ気孔の平均直径は5nm ~500nm、50nm~200nmまたは100nm~200nmであってもよい。
【0036】
前記金属前駆体溶液は硫酸コバルト(II)七水和物(CoSO・7HO)及び硫酸鉄(II)七水和物(FeSO・7HO)の中で少なくとも一つを含むことができる。
【0037】
硫酸コバルト(II)七水和物(CoSO・7HO)の濃度は30mM~100mMで、オキシ硫酸バナジウム(IV)(VOSO・xHO)の濃度は30mM~100mMで、鉄硫酸鉄(II)七水和物(FeSO・7HO)の濃度は30mM~100mMで、アスコルビン酸(Ascorbic acid;C)の濃度は20mM~50mMであってもよい。
【0038】
前記第2金属前駆体混合液のpHは1.5~2.5であってもよい。
【0039】
前記ナノテンプレートを前記第2金属前駆体混合液に浸漬し、前記第2金属前駆体混合液を収納するメッキ槽(plating bath)を減圧するステップをさらに含むことができる。前記メッキ槽の圧力は100Torr~700Torrであってもよい。
【0040】
電気メッキ時に前記作用電極に流れる電流密度は0.1~300mA/cmで、電気メッキ時間は1分~48時間であってもよい。
【0041】
電子ビーム蒸着法(Electron Beam Evaporation)で陽極酸化アルミニウムナノテンプレートの底面に厚さ250nmの銀(Ag)電極層を形成する。この電極層は電着時に陰極の役割を果たす。ここで、電極層として他の金属または他の伝導性物質層を用いることができる。
【0042】
前記カルボン酸塩置換基を置換するステップは、前記ナノコイルと第1懸濁液を混合して8~20時間または10~15時間反応させて実施することができる。前記第1懸濁液はカルボン酸塩置換基を含むアミノ酸誘導体を含むことができ、具体的には、前記アミノ酸誘導体はアミノカプロン酸であってもよい。前記のような第1懸濁液と反応させて前記アミノ酸誘導体がナノコイルの面に結合することができる。
【0043】
前記ナノコイルが結合された基板を製造するステップは、カルボン酸塩が置換されたナノコイルを含む溶液に表面が活性化された基板を担持して実施することができる。
【0044】
前記表面が活性化された基板は塩酸及び硫酸の中の何れか一つ以上を含む酸性溶液に30分~2時間または30分~1時間浸漬させて製造することができる。これを通じて、前記基板の表面に水酸化基を結合させてアミノ基との結合を容易にして基板の表面活性化を効果的に行うことができる。
【0045】
前記ナノコイルが結合された基板を製造するステップは、前記表面が活性化された基板を暗条件下でアミノ-シラン溶液に基板を担持して基板の表面をアミン化させることができる。前記アミノ-シラン溶液は(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン(APTES)を含むことができる。この時、基板の表面をアミン化させるとは基板の上にアミン基を結合させたという意味である。前記のように、アミノ-シラン溶液に浸漬して基板の表面をアミン化させることにより前記ナノコイルとEDC/NHS反応を通じて結合することができる。
【0046】
前記ナノコイルの末端にリンカーを結合するステップは、ナノコイルが結合された基板をポリエチレングリコールリンカーを含む溶液に担持して実施することができる。前記ポリエチレングリコールリンカーはマレイミド-ポリエチレングリコール-NHSエステル(Mal-PEG-NHS ester)であってもよい。前記のようなリンカーを含んでナノコイルとインテグリンリガンドペプチドとの間の結合力を高めて耐久性を向上させることができる。
【0047】
前記ナノコイルにインテグリンリガンドペプチドを結合するステップは、インテグリンリガンドペプチド(RGD)を含む第2懸濁液と活性化されたナノコイルが結合された基板を混合して実施することができる。前記第2懸濁液はチオール化されたインテグリンリガンドペプチドを含むことができる。
【0048】
前記ナノコイルにインテグリンリガンドペプチドを結合するステップ以後にポリエチレングリコール誘導体を含む溶液にナノコイルが結合された基板を担持してナノコイルが結合されない基板の表面を非活性化させるステップをさらに含むことができる。前記ポリエチレングリコール誘導体はメトキシ-ポリ(エチレングリコール)-スクシンイミジルカルボキシメチルエステルであってもよい。
【0049】
また、本発明は前述した幹細胞の細胞付着及び分化調節用ナノコイル-基板複合体に処理した後、20mT~7Tの磁場を印加して幹細胞の細胞付着及び分化を調節するステップを含み、前記ナノコイルは磁場の印加有無によって可逆的に長さが変化し、下記式1を充足することを特徴とする幹細胞の付着及び分化調節方法を提供する:
[式1]
|L-L|>10nm
式1で、Lは磁場を印加する時のナノコイルの長さであり、
は磁場が印加されないナノコイルの長さである。
【0050】
前記幹細胞の細胞付着及び分化を調節するステップは、ナノコイル-基板複合体に磁場の印加有無によって可逆的にナノコイルの長さを変化させて生体内及び生体外の幹細胞の付着及び分化を調節することができる。
【0051】
具体的には、幹細胞の付着及び分化を調節するステップは、ナノコイル-基板複合体に磁場を印加しない場合ナノコイルが収縮し、ナノコイルのピッチの間隔が減小して幹細胞の付着及び機械感知分化を低下させる可能性がある。
【0052】
また、幹細胞の付着及び分化を調節するステップは、ナノコイル-基板複合体に磁場を印加する場合ナノコイルが伸長し、ナノコイルのピッチの間隔が増加して幹細胞の付着及び機械感知分化を促進することができる。
【0053】
例えば、ナノコイル-基板複合体に磁場を印加してから磁場を除去する場合、ナノコイルの長さが伸長及び収縮が可逆的に発生する。具体的には、磁場を印加してから除去した後再び磁場を印加する場合、ナノコイルの長さが伸長した後収縮してから再び伸長することができる。
【0054】
これを通じて、本発明によるナノコイル-基板複合体を利用した幹細胞の細胞付着及び分化調節は時間的及び可逆的に調節することができる。
【0055】
具体的には、前記式1で磁場の印加有無によるナノコイルの長さ変化は10nm以上、20nm以上、10nm~500nmまたは10nm~100nmであってもよい。
【0056】
本発明のナノコイル-基板複合体でナノコイルの長さ変化が前記式1を充足しない場合、前記ナノコイルの長さ変化が少なくて細胞付着能の差を見せなくて問題になる。
【0057】
以下、本発明の実施例を記載する。しかし、以下の実施例は本発明の好ましい一実施例に過ぎず、本発明の権利範囲が以下の実施例によって限定されるのではない。
【0058】
[製造例]
製造例
ナノコイルの製造
気孔直径が200nmの陽極酸化アルミニウム(AAO)の多孔性テンプレートを用いて電着して製造した。まず、陽極酸化アルミニウム多孔性テンプレートの片面に電子ビーム蒸発器を用いて銀(Ag)を蒸着した。金属イオン前駆体溶液で硫酸コバルト七水和物(CoSO・7HO、0.08M)と硫酸鉄七水和物(FeSO・7HO、0.08M)を脱イオン水に混合して用意した。CoFeナノコイルを生産するためにオキシ硫酸バナジウム(IV)(VOSO・xHO)とL-アスコルビン酸(0.06M)を前記金属イオン前駆体溶液に添加した。その後、硝酸を前駆体溶液に添加してpH2.5に調整した後、陽極酸化アルミニウムテンプレートの気孔に注入し、20mA/cmの所定の電流密度を1分間印加してCoFeナノコイルを蒸着した。CoFeナノコイルが蒸着されたナノテンプレートを1MのNaOHで45℃で30分間反応させてナノテンプレートを除去した後脱イオン水で洗浄してCoFeナノコイルを製造した。洗浄されたCoFeナノコイルは基板に結合する前に1mLの脱イオン水に懸濁した。
【0059】
比較制造例
陰性荷電されたチオール化されたRGDペプチド(CDDRGD、GL Biochem)を添加しないことを除いて製造例1と同じ方法でナノコイルを製造した。
【0060】
[実施例]
実施例
ナノコイル-基板複合体製造
アミノカプロン酸(aminocaproic acid)は製造例で製造したナノコイルの天然酸化物層と反応するものと知られたアミングループに基づいて磁気CoFeナノコイルの表面にカップリングするのに使われた。1mLのナノコイルと1mLの6mMアミノカプロン酸溶液の混合溶液を室温で12時間撹拌した後、遠心分離して脱イオン水で洗浄した。22mm×22mmの平面の細胞培養グレード硝子基板をアミン化させてナノコイルの表面にカルボキシレート基が基板上のアミン基に結合されるようにする。まず、基板を塩酸及びメタノールを1:1で混合した混合物で30分間洗浄し、脱イオン水で洗浄した。洗浄された基板を硫酸で1時間活性化させて脱イオン水で洗浄した。基板を暗室で3-アミノプロピルトリエトキシシラン(APTES)及びエタノール(1:1)で1時間アミン化してエタノールで洗浄した後、100℃で1時間乾燥した。1mLの脱イオン水でアミノカプロン酸が結合されたナノコイルを0.5mLの20mMのN-エチル-N`-(3-(ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド)(EDC)及び0.5mLの20mMのN-ヒドロキシスクシンイミド(N-hydroxysuccinimide、NHS)を含む脱イオン水1mLで3時間EDC/NHS反応を通じて活性化させ、その後、脱イオン水で洗浄した。
【0061】
アミン化された基板を活性化されたナノコイルに1時間漬けた後脱イオン水で洗浄した。インテグリンリガンドはまず0.04mMのマレイミド-ポリ(エチレングリコール)-NHSエステルリンカーと2μlのN,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA、2μL)を含む1mLの脱イオン水で暗条件下で16時間振りながら培養してアミド結合を形成して基板の表面にグラフトされた後脱イオン水で洗浄した。チオール-エン反応を媒介するために前記基板をチオール化されたRGDペプチドリガンド(GCGYCFCDSPG、GLBiochem、0.04M)、2μLのN,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)及び10Mmのトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィンヒドロクロリド(TCEP)を含む脱イオン水1mLで暗条件下で2時間培養した後脱イオン水で洗浄した。細胞の培養前に非-RGDリガンド特異的幹細胞付着を最小化するために、ナノコイルが結合されない領域を暗所で2μLのN,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)及び100μΜメトキシ-ポリ(エチレングリコール)-スクシンイミジルカルボキシメチルエステル(methoxy-poly(ethylene glycol)-succinimidyl carboxymethyl ester)を含む脱イオン水1mLで2時間反応させた後洗浄して基板の非-ナノコイルーコーティングされた領域を遮断した。
【0062】
比較例1
前記比較制造例1で製造したナノコイルを用いたことを除いて同じ方法でナノコイル-基板複合体を製造した。
【0063】
[実験例]
実験例1
本発明によるナノコイルの形態と化学的特性を確認するために、製造されたナノコイルを対象に走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope、SEM)、高角度環状暗視野走査透過型電子顕微鏡(HAADF-STEM)、高分解能透過型電子顕微鏡(HR-TEM)及び高分解能走査透過電子顕微鏡(HR-STEM)で撮影し、エネルギー分散型X線分光法(Energy dispersive X-ray spectroscopy、EDS)、電子エネルギー損失分光法(Electron energy loss spectroscopy、EELS)、振動試料型磁力計測定(Vibrating-sample magnetometry、VSM)及びX線回折分析(X-ray diffraction、XRD)を利用して分析し、その結果は図2及び図7に示した。
【0064】
図2は本発明によるナノコイルの走査電子顕微鏡イメージである。具体的には、(A)は電着時間によるCoFeナノコイルの長さを測定した走査電子顕微鏡イメージ及びグラフであり、(b)は電着テンプレートの気孔直径を調節して製造したCoFeナノコイルの走査電子顕微鏡イメージであり、(c)はコバルトナノコイルとCoFeナノコイルの走査電子顕微鏡イメージであり、この時、スケールバーは(a)1μm、(b)500nm及び(c)200nmである。
【0065】
図2によれば、本発明によるナノコイルは電着テンプレートの気孔直径によってCoFeナノコイルの直径を調節することができ、金属イオン前駆体を調節することによってナノコイルの構成元素を調節することができ、電着時間によってCoFeナノコイルの長さを調節することができることが分かる。
【0066】
図3は本発明によるナノコイルの高角度環状暗視野走査透過型電子顕微鏡(HAADF-STEM)イメージエネルギー分散型X線分光法マッピング(EDS mapping)及び高分解能走査透過電子顕微鏡(HR-STEM)イメージを示した。
【0067】
図4は本発明によるナノコイルの(a)エネルギー分散型X線分光法(EDS)及び(b)電子エネルギー損失分光法(EELS)で分析した結果グラフ及びマッピングイメージである。
【0068】
図3及び図4によれば、HAADF-STEM及び電子エネルギー損失分光法(EELS)イメージでナノコイルはコバルト(Co)及び鉄(Fe)からなり、それぞれ約50原子%の分布で均一に分布されたことを確認することができる。
【0069】
図5は 本発明によるナノコイルの高分解能透過電子顕微鏡(HRTEM)イメージであり、図6は 本発明によるナノコイルのX線回折分析グラフである。
【0070】
図5及び図6によれば、ナノコイルは体心立方構造の(110)結晶面を有することが分かり、平均格子間隔は約2.02±0.02Åであることが分かる。また、等方性インテグリンリガンドと結合を促進するためにナノコイルを成すナノワイヤの直径はインテグリン分子大きさの約10nmとほぼ類似することが分かる。
【0071】
図7は本発明によるナノコイルの振動試料型磁力計測定結果グラフである。具体的には、コバルト及び鉄によるナノコイルの磁気特性を確認し、これを通じてナノコイルのナノ伸長(「ON」)及びナノ収縮(「OFF」)の可逆的な二重モード(bimodal)転換が可能であることが分かる。
【0072】
実験例2
本発明によるナノコイル-基板複合体の特性を確認するために、ナノコイル-基板複合体を対象に電界放出走査電子顕微鏡で撮影し、フーリエ変換赤外線分光分析(Fourier-transform infrared spectroscopy、FT-IR)を実施し、原子間力顕微鏡(Atomic force microscope、AFM)で撮影し、その結果は図8図11に示した。
【0073】
フーリエ変換赤外線分光法(FTIR)はナノコイルの化学的結合特性を確認するために、FTIRはGX1(Perkin Elmer Spectrum、USA)を用いて行った。化学的結合特性の変化に対する分析を経たサンプルを分析する前に凍結乾燥させてKBrペレットに稠密にパッキングした。
【0074】
図8は本発明によるナノコイル-基板複合体を製造するステップを図式化したイメージである。図8によれば、ナノコイルにアミノカプロン酸を結合させた。その後、EDC/NHS反応を利用してEDC及びNHSが含まれた水にアミノカプロン酸が結合されたナノコイルを入れて活性化させた後、表面がアミン化された基板と結合させた。基板が結合されないナノコイルに結合されたアミノカプリン酸にポリエチレングリコールを結合させた後チオール化されたインテグリンリガンド(RGD)と反応させてインテグリンリガンドをナノコイルに結合させた。
【0075】
図9は本発明によるナノコイル-基板複合体のフーリエ変換赤外線分光(FT-IR)分析した結果である。図9によれば、アミノカプロン酸がコーティングされたナノコイルの化学的結合特性を分かることができる。具体的には、1560ー1565Cm-1及び1387ー1389Cm-1でCOO結合を確認した。これを通じて、ナノコイルにアミノカプロン酸が成功的に結合されたことが分かる。
【0076】
また、非リガンド特異的( non-ligand-specific)幹細胞の接着を最小化するために、ナノリガンドが結合されない基板はメトキシ-PEG-NHSエステルグループと結合して非活性化させ、図3によれば、ナノコイルの均一な分布は走査電子顕微鏡を通じて確認することができ、密度は約62802±2385ナノコイル/mmであることが分かる。
【0077】
図10は本発明によるナノコイルの伸長(stretching、「ON」)及び収縮(compression、「OFF」)による弾性運動の磁気二重モードスイッチング(magnetic bimodal switching)を確認するために原子間力顕微鏡(AFM)で撮影した結果である。図11は本発明によるナノコイルに磁場を印加しない場合を原子間力顕微鏡(AFM)で撮影した結果である。
【0078】
図10及び図11によれば、本発明によるナノコイル-基板複合体は、磁場を印加すればナノコイルの伸長が発生してナノコイルの長さが長くなり、また磁場を印加しない場合、ナノコイルの収縮が発生してナノコイルの長さが元の状態に戻ることが分かる。しかし、ナノコイルの長さだけ長くなってから再び短くなるだけでナノコイルの外径やナノコイルを成すナノワイヤの直径は大きい差がないことを確認することができる。
【0079】
具体的には、磁場を印加する時のナノコイルの長さは1241±28nmであり、磁場を印加しない場合、ナノコイルの長さは995±4nmに減小し、再び磁場を印加すれば、ナノコイルの長さは1255±18nmに伸びることを確認することができる。この時、ナノコイルの外径は174nm~180nmに保持され、、ナノコイルを成すナノワイヤの直径は66~71nmに保持されて循環スイッチング (ON→OFF→ON)される間に大きな差がないことを確認することができる。
【0080】
これを通じて、本発明のナノコイル-基板複合体は二重モードスイッチングする間に巨視的なリガンド密度が一定に保持されることを分かることができる。
【0081】
実験例3
本発明によるナノコイル-基板複合体に磁場を印加することによって幹細胞の付着に及ぼす影響を確認するために以下のような実験を行い、その結果は図12図16に示した。
【0082】
本発明のリガンド含有ナノコイルの可逆的伸長及び収縮の自己スイッチングが幹細胞の焦点付着、機械感知(mechanosensing)及び分化に及ぼす影響を調査するために製造例で製造したナノコイル-基板複合体を利用して評価した。基板を用いる前に紫外線下で2時間滅菌した。ヒト間葉幹細胞(hMSC、Lonzaからの継代5)を約9,500cell/cmの密度に滅菌された基板上にプレーティングし、10%ウシ胎児血清、4MmのL-グルタミン及び50U/mLのペニシリン/ストレプトマイシンが補充された高グルコースダルベッコの修正されたイーグル培地(DMEM)が含まれた成長培地で5%CO下で37℃で培養した。
【0083】
幹細胞の焦点付着性及び機械感知は物質の辺縁近くに永久磁石(270mT)を48時間配置(「ON」)してナノコイルが物質の辺縁に向けたリアルタイム伸長(in situ stretching)を促進または磁石を48時間除去(「OFF」)してナノコイルを元の構造に可逆的収縮を誘導することにより、幹細胞の焦点付着を調査した。幹細胞焦点付着性及び機械感知を評価するための対照実験は二重モードスイッチング(磁場印加/除去)下で行われたが、ナノコイルまたはインテグリンリガンドのない状態で行われた。
【0084】
図12は本発明によるナノコイル-基板複合体を利用して培養された幹細胞(48時間後)のF-アクチン、核及びビンキュリンに対する共焦点免疫蛍光イメージ(a)であり、共焦点免疫蛍光実験結果に基づいて計算した付着細胞密度、細胞面積、焦点付着数、アスペクト比(主軸/副軸比率)を示すグラフ(b)であり、スケールバーは50μmを表す。
【0085】
図12によれば、磁場を印加した伸長(「ON」)モードが磁場を除去した収縮(「OFF」)モードよりも広い領域にかけてずっと高い付着細胞密度及び焦点付着を促進し、焦点付着複合体でビンキュリンクラスタリングを促進することを確認することができる。
【0086】
幹細胞の焦点付着に対する周期的転換「ON」(伸長)及び「OFF」(収縮)の効果は磁石を配置(「ON」)したり除去(「OFF」)して54時間の間調査したり、18時間ごとに周期的に転換(「OFF-OFF-OFF」、「OFF-ON-OFF」、「ON-OFF-ON」及び「ON-ON-ON」)して調査した。
【0087】
図13は本発明によるナノコイル-基板複合体を利用して18時間ごとに磁場印加を変化させて培養された幹細胞(54時間後)のF-アクチン、核及びビンキュリンに対する共焦点免疫蛍光イメージであり、スケールバーは50μmを表す。
【0088】
図14は本発明によるナノコイル-基板複合体を利用して18時間ごとに磁場印加を変化させて培養された幹細胞の共焦点免疫蛍光実験結果に基づいて計算した付着細胞密度、細胞面積、焦点付着数、アスペクト比(主軸/副軸比率)を示すグラフである。
【0089】
図13及び図14によれば、ナノコイル-基板複合体の二重モードスイッチングである「ON」(伸長)及び「OFF」(収縮)はそれぞれ繰り返されたサイクルで可逆的インテグリンβ1発現及び幹細胞の焦点付着を促進及び抑制した。具体的には、磁場を印加する伸長モードでは幹細胞焦点付着が促進され、磁場を除去した収縮モードでは幹細胞焦点付着が抑制されたことが分かる。そこで、磁場を印加してから除去した場合、付着細胞密度、細胞面積及び焦点付着数が増加してから減少することを確認することができる。
【0090】
付着性幹細胞でCoFeナノコイルの伸長及び収縮の細胞適合性を確認するために細胞染色を行った。48時間に伸長(「ON」)または収縮(「OFF」)条件で培養されたリガンドコーティングされたCoFeナノコイルに付着された幹細胞をPBS(phosphate-buffered saline)で洗浄し、DMEMに0.05%緑色蛍光カルセイン-AM及び0.2%赤色蛍光ヨウ化プロピジウム(PI)を含む染色溶液で37℃で30分間培養した。染色された細胞をPBSで洗浄し、蛍光顕微鏡でイメージ化し、幹細胞の生存力を決めるために生きている細胞(緑色)及び死んだ細胞(赤色)の数を数えた。
【0091】
図15は本発明によるナノコイル-基板複合体を利用して培養された幹細胞(48時間後)の生きている細胞と死んだ細胞に対する共焦点免疫蛍光イメージ(a)であり、共焦点免疫蛍光実験結果に基づいて計算した細胞生存能力を示したグラフ(b)であり、スケールバーは50μmを表す。
【0092】
図15によれば、CoFeナノコイル-基板複合体を用いて磁場印加する伸長モード及び磁場を印加しない収縮モード何れも細胞生存能力が95%と優れて幹細胞に対して細胞毒性がなくて細胞適合性が優れていることが分かる。
【0093】
図16は本発明の比較例によるナノコイルのない基板(No nanocoil)またはインテグリンリガンド(RGD)が結合されないナノコイル-基板複合体で二重モードスイッチング(bimodal switching)に対する幹細胞の付着性実験で、培養された幹細胞(24時間後)のF-アクチン、核及びビンキュリンに対する共焦点免疫蛍光イメージ(a)であり、共焦点免疫蛍光実験結果に基づいて計算した付着細胞密度、細胞面積、焦点付着数、アスペクト比(主軸/副軸比率)を示したグラフ(b)であり、この時、スケールバーは50μmを表す。
【0094】
図16によれば、比較例はナノコイルがないかインテグリンリガンド(RGD)が結合されない基板を用いた状態で二重モードスイッチング「ON」及び「OFF」で有意味な差がないので、幹細胞の付着を促進しないことを確認することができる。
【0095】
これを通じて、本発明のナノコイル-基板複合体の場合、インテグリンリガンドペプチドとナノコイルに結合されてこそ二重モードスイッチングが効果を現すので、幹細胞の付着を促進し、遠隔で調節するためにはインテグリンリガンドペプチド及びナノコイルが全部必要であることが分かる。
【0096】
実験例4
本発明によるナノコイル-基板複合体を利用した遠隔及び可逆的二重モードスイッチングである「ON」(伸長)及び「OFF」(収縮)が幹細胞の骨形成分化に対して及ぼす効果を調べるための実験を次のように実行し、その結果は図17~24に示した。
【0097】
インテグリン結紮(ligation)媒介調節付着及び幹細胞の拡散は幹細胞分化を媒介する機械感知信号を活性化する。細胞付着性フィブロネクチン及びラミニンの周期巨視的伸長は幹細胞で焦点付着キナーゼ(FAK)リン酸化を活性化して骨形成分化を促進する。
【0098】
図17は本発明によるナノコイル-基板複合体を利用して18時間の間隔で磁場印加を調節して36時間培養された幹細胞のF-アクチン、核及びYAPに対する共焦点免疫蛍光イメージ(a)であり、共焦点免疫蛍光実験結果に基づいて計算した核/細胞質YAP比率を示したグラフ(b)であり、この時、スケールバーは50μmを表す。
【0099】
図18は本発明によるナノコイル-基板複合体を利用して18時間の間隔で磁場印加を調節して36時間培養された幹細胞のF-アクチン、核及びTAZに対する共焦点免疫蛍光イメージ(a)であり、共焦点免疫蛍光実験結果に基づいて計算した核/細胞質TAZ比率を示したグラフ(b)であり、この時、スケールバーは50μmを表す。
【0100】
図17及び図18によれば、時間を調節した二重モードスイッチングで磁場を印加する伸長(「ON」)モードは免疫蛍光を通じて可逆的方式で幹細胞のYAP及びTAZ機械変換器(mechanotransducer)のかなり高い核移行を刺激するということを確認することができる。
【0101】
図19は本発明によるナノコイル-基板複合体を利用して幹細胞を5日間培養するが、2日目の日に磁場印加を調節して培養された幹細胞のオステオカルシン(osteocalcin)、F-アクチン、核に対する共焦点免疫蛍光イメージ及びALP染色イメージ(a)であり、共焦点免疫蛍光実験結果に基づいて計算したアルカリ性ホスファターゼ-陽性細胞比率を示したグラフ(b)であり、この時、スケールバーは50μmを表す。
【0102】
図20は本発明によるナノコイル-基板複合体を利用して幹細胞を3日間培養するが、一日経った日に磁場印加を調節して培養された幹細胞の核/細胞質RUNX2及びALP遺伝子発現プロファイルを定量的に分析したグラフである。
【0103】
図21は本発明によるナノコイル-基板複合体を利用して幹細胞を5日間培養するが、2日目の日に磁場印加を調節して培養された幹細胞のALP遺伝子、RUNX2、F-アクチン及び核に対する共焦点免疫蛍光イメージ(a)であり、共焦点免疫蛍光実験結果に基づいて計算したALP蛍光強度及び核/細胞質RUNX2比率を示したグラフ(b)であり、この時、スケールバーは50μmを表す。
【0104】
図20及び図21によれば、時間を制御した二重モードスイッチングで磁場を印加する伸長(「ON」)は骨形成分化のための初期マーカーであるRUNX2で相当高い核移行、アルカリ性ホスファターゼ陽性細胞及びRUNX2/ALP遺伝子発現と後期マーカーであるオステオカルシンの明らかな発現を可逆的に促進することが分かる。
【0105】
図22は本発明によるナノコイル-基板複合体を利用して抑制剤のない培地とROCK抑制剤(Y27632)及びミオシンII抑制剤(ブレビスタチン)を有する培地で幹細胞を48時間培養した後、YAP、F-アクチン及び核に対する共焦点免疫蛍光イメージ(a)であり、スケールバーは50μmである。(b)は前記共焦点免疫蛍光イメージから計算されたY27632及びブレビスタチンによる核/細胞質YAP蛍光比率を計算したグラフである。
【0106】
図23は本発明によるナノコイル-基板複合体を利用して抑制剤のない培地とアクチン重合抑制剤(サイトカラシンD)を有する培地で幹細胞を48時間の間培養した後、YAP、F-アクチン及び核に対する共焦点免疫蛍光イメージ(a)であり、スケールバーは50μmである。(b)は前記共焦点免疫蛍光イメージから計算されたサイトカラシンDによる核/細胞質YAP蛍光比率を計算したグラフである。
【0107】
図24は本発明によるナノコイル-基板複合体を利用して抑制剤のない培地とアクチン重合抑制剤(サイトカラシンD)、ROCK抑制剤(Y27632)及びミオシンII抑制剤(ブレビスタチン)を有する培地で幹細胞を48時間培養した後、TAZ、F-アクチン及び核に対する共焦点免疫蛍光イメージ(a)であり、スケールバーは50μmである。(b)は前記共焦点免疫蛍光イメージから計算されたサイトカラシンD、Y27632及びブレビスタチンによる核/細胞質TAZ蛍光比率を計算したグラフである。
【0108】
図22図24によれば、二重モードスイッチングで磁場を印加する伸長(「ON」)モードによって誘導された幹細胞の機械感知はミオシンII、rho-関連タンパク質キナーゼ(ROCK)及びアクチン重合のような信号分子を含み、これはYAP/TAZ機械変換器の明らかな核移行を肯定的に調節することが分かる。
【0109】
これを通じて、磁場印加による二重モードスイッチングで磁場を印加する場合、(「ON」)はYAP/TAZ機械変換を通じて幹細胞分化を媒介することが分かる。
【0110】
実験例5
本発明によるナノコイル-基板複合体を利用して磁場印加によるナノコイルの伸長及び収縮に対して生体内幹細胞の付着及び機械的形質導入を調節するということを確認するために実験を実施し、その結果は、図25及び図26に示した。
【0111】
図25は本発明によるナノコイル-基板複合体を利用した生体内宿主幹細胞付着調節に対する実験結果である:(a)は皮下移植された基板上にhMSCが注入されてから6時間後に互いに異なる磁場印加順を有するナノコイルを含んだ場合のヒト特異的核抗体(HuNu)、F-アクチン及び核に対する共焦点免疫蛍光イメージであり、スケールバーは50μmを表す。
【0112】
図26図25に示した共焦点免疫蛍光イメージから付着性細胞密度、細胞面積、焦点付着数、アスペクト比(主軸/副軸比率)及び核/細胞質YAP蛍光比率を計算したグラフである。
【0113】
図25の(a)は本発明によるナノコイル-基板複合体をヌードマウスの皮下ポケットに移植した後、hMSCを注入して行った実験を図式化したイメージである。
【0114】
図25及び図26によれば、二重モードスイッチングですべての場合において免疫蛍光でヒト特異的核抗体(HuNu)及びDAPI陽性核の共同局所化によって基板に付着された注入されたhMSCを確認することができる。また、生体内可逆的二重モードスイッチングで磁場を印加する伸長(「OFF-ON」及び「ON-ON」)グループが磁場を除去した収縮(「OFF」)グループに比べてずっと広い領域とビンキュリンクラスタリング及びYAP機械変換にかけてより高い付着密度及び焦点付着を刺激し、これは長期間にかけて宿主免疫細胞の付着を促進したことを確認することができる。
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