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特許7251830複数の部材を同時に、生成的に製造するための生産設備
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-27
(45)【発行日】2023-04-04
(54)【発明の名称】複数の部材を同時に、生成的に製造するための生産設備
(51)【国際特許分類】
   B22F 12/82 20210101AFI20230328BHJP
   G05B 19/418 20060101ALI20230328BHJP
   G05D 1/00 20060101ALI20230328BHJP
   B22F 10/28 20210101ALI20230328BHJP
   B22F 12/88 20210101ALI20230328BHJP
   B33Y 50/00 20150101ALI20230328BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20230328BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20230328BHJP
   G05D 1/02 20200101ALI20230328BHJP
   G05D 1/10 20060101ALI20230328BHJP
【FI】
B22F12/82
G05B19/418 Z
G05D1/00 Z
B22F10/28
B22F12/88
B33Y50/00
B33Y30/00
B33Y10/00
G05D1/02 Z
G05D1/10
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021173946
(22)【出願日】2021-10-25
(62)【分割の表示】P 2019184346の分割
【原出願日】2015-11-05
(65)【公開番号】P2022023909
(43)【公開日】2022-02-08
【審査請求日】2021-10-25
(31)【優先権主張番号】102014016718.6
(32)【優先日】2014-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】506154834
【氏名又は名称】ツェーエル・シュッツレヒツフェアヴァルトゥングス・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】ヘルツォーク・フランク
【審査官】祢屋 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-502365(JP,A)
【文献】特表2015-531321(JP,A)
【文献】特開2007-098950(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F 12/82
B22F 3/105
B22F 3/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
選択的なレーザ焼結法又はレーザ溶融法を用いて複数の部材を同時に、生成的に製造するための生産設備であって、
生産設備の1つ以上の搬送先へ自律的に走行又は飛行するように、それぞれが構成された複数の搬送車又は複数の飛翔装置と、
複数の構造装置であって、前記構造装置から取り出し可能な少なくとも1つの構造コンテナを備え、前記構造コンテナを積んで自律的に走行された搬送車又は自律的に飛行された飛翔装置から前記構造コンテナを自動的に受け取り、前記構造コンテナ内の構造材料をスキャナを介して供給されるレーザ光により層状に固化することによって前記構造コンテナ内で部材を自動的に積層造形して部材包含構造コンテナをもたらし、自律的に走行された搬送車又は自律的に飛行された飛翔装置へ前記部材包含構造コンテナを自動的に送出するように、それぞれが構成された、SLM装置及び/又はSLS装置の形態の複数の構造装置と、
前記複数の搬送車又は前記複数の飛翔装置を制御するように構成された生産設備制御装置であって、前記複数の搬送車又は前記複数の飛翔装置から選択された搬送車又は飛翔装置に、前記複数の構造コンテナから選択された構造コンテナへ自律的に走行又は飛行させるように、且つ、前記選択された搬送車又は飛翔装置が前記選択された構造コンテナを自動的に受け取ると、前記選択された搬送車又は飛翔装置に、前記複数の構造装置から選択された構造装置へ自律的に走行又は飛行させるように構成された制御コマンドを、前記選択された搬送車又は飛翔装置へ送るように、且つ、前記複数の搬送車又は前記複数の飛翔装置から選択された搬送車又は飛翔装置に、前記部材包含構造コンテナをもたらす前記選択された構造装置へ自律的に走行又は飛行させ、前記選択された構造装置が前記選択された搬送車又は飛翔装置へ前記部材包含構造コンテナを自動的に送出すると、前記選択された搬送車又は飛翔装置が前記部材包含構造コンテナを自動的に受け取るように構成された制御コマンドを、前記選択された搬送車又は飛翔装置へ送るように構成された、生産設備制御装置と、
を含んでいることを特徴とする、生産設備。
【請求項2】
前記部材包含構造コンテナ内の固化されていない構造材料から前記部材を取り出すように、それぞれが構成された少なくとも1つの取り出しステーションを含んでおり、前記生産設備制御装置が、前記部材包含構造コンテナを受け取った前記搬送車又は前記飛翔装置に前記少なくとも1つの取り出しステーションから選択された取り出しステーションへ自律的に走行又は飛行させるように構成された制御コマンドを、前記部材包含構造コンテナを受け取った前記搬送車又は前記飛翔装置へ送るように構成されていることを特徴とする、請求項1記載の生産設備。
【請求項3】
前記固化されていない構造材料から取り出された前記部材の熱的な及び/又は表面の機械的な再処理のために構成された、少なくとも1つの再加工ステーションを含んでおり、前記生産設備制御装置が、前記複数の搬送車又は前記複数の飛翔装置から選択された搬送車又は飛翔装置に前記固化されていない構造材料から取り出された前記部材を前記少なくとも1つの再加工ステーションから選択された再加工ステーションへ自律的に走行搬送又は飛行搬送させるように構成された制御コマンドを、前記選択された搬送車又は飛翔装置へ送るように構成されていることを特徴とする、請求項に記載の生産設備。
【請求項4】
熱的な及び/又は表面の機械的な再処理を受けた前記部材を貯蔵するために構成された、少なくとも1つの貯蔵範囲を含んでおり、前記生産設備制御装置が、前記複数の搬送車又は前記複数の飛翔装置から選択された搬送車又は飛翔装置に熱的な及び/又は表面の機械的な再処理を受けた前記部材を前記貯蔵範囲へ自律的に走行搬送又は飛行搬送させるように構成された制御コマンドを、前記選択された搬送車又は飛翔装置へ送るように構成されていることを特徴とする、請求項に記載の生産設備。
【請求項5】
前記生産設備制御装置が、前記複数の構造装置のうちの1つ以上で使用可能な構造材料の量及び/又は前記複数の構造装置のうちの1つ以上で使用可能な構造材料の種類に少なくとも部分的に基づいて、前記複数の構造装置から1つの構造装置を選択するように構成されている、ことを特徴とする、請求項1~のいずれか1項に記載の生産設備。
【請求項6】
複数の構造プレートと、
構造プレート取扱装置と、
を含んでおり、
前記複数の構造コンテナのそれぞれが、前記複数の構造プレートから選択された構造プレートを前記構造プレート取扱装置から自動的に受け取るように構成されており、前記複数の構造コンテナのそれぞれが、前記複数の構造プレートのそれぞれが自動的にロックされるように構成された高さ調整可能な支持部を含んでいることを特徴とする、
請求項1~のいずれか1項に記載の生産設備。
【請求項7】
前記複数の構造コンテナのそれぞれが、前記複数の搬送車のそれぞれの上に若しくは前記複数の飛翔装置のそれぞれの上に且つ/若しくは前記複数の構造装置のそれぞれのプロセスチャンバ内に自動的にロックされるように構成されていることを特徴とする、請求項1~のいずれか1項に記載の生産設備。
【請求項8】
前記複数の構造コンテナのそれぞれが、少なくとも1つの連結装置を含んでおり、前記複数の構造コンテナのそれぞれ及び/又は前記複数の搬送車のそれぞれ若しくは前記複数の飛翔装置のそれぞれが、前記少なくとも1つの連結装置と係合するように構成された少なくとも1つのロック要素を含んでいることを特徴とする、請求項7に記載の生産設備。
【請求項9】
前記複数の構造装置又は前記複数の飛翔装置がそれぞれ、選択的なレーザ焼結装置又はレーザ溶融装置を含んでいることを特徴とする、請求項1~のいずれか1項に記載の生産設備。
【請求項10】
前記複数の搬送車又は前記複数の飛翔装置のそれぞれが、前記複数の構造装置のそれぞれによって且つ/若しくは前記生産設備制御装置によって読み取り可能な電子的なエンコードを含んでいることを特徴とする、請求項1~のいずれか1項に記載の生産設備。
【請求項11】
前記生産設備制御装置が、前記複数の搬送車又は前記複数の飛翔装置から1つの搬送車又は1つの飛翔装置を選択するように、且つ/若しくは、前記複数の構造コンテナから選択された構造コンテナに対して決定され、ワークピースと関連付けられた、ワークピース特有のデータに少なくとも部分的に基づいて、前記複数の搬送車又は前記複数の飛翔装置から選択された搬送車又は飛翔装置へ、制御コマンドを送るように構成されていることを特徴とする、請求項1~10のいずれか1項に記載の生産設備。
【請求項12】
屋内GPSシステムを含んでおり、前記複数の搬送車又は前記複数の飛翔装置のそれぞれが、前記屋内GPSシステムからの情報に少なくとも部分的に基づいて、前記生産設備の前記1つ以上の搬送先へ自律的に走行又は飛行することを特徴とする、請求項1~11のいずれか1項に記載の生産設備。
【請求項13】
選択的なレーザ焼結法又はレーザ溶融法を用いて複数の部材を同時に、生成的に製造するための方法であって、
複数の搬送車又は複数の飛翔装置から選択された搬送車又は飛翔装置に、複数の構造コンテナから選択された構造コンテナへ自律的に走行又は飛行させるように、且つ、前記選択された搬送車又は飛翔装置が前記選択された構造コンテナを自動的に受け取ると、前記選択された搬送車又は飛翔装置に、SLM装置及び/又はSLS装置の形態の複数の構造装置であって、前記構造装置から取り出し可能な少なくとも1つの構造コンテナを備えた複数の構造装置から選択された構造装置へ自律的に走行又は飛行させるように構成された、生産設備制御装置からの制御コマンドを、前記選択された搬送車又は飛翔装置へ送ることを含む、前記方法であって、
前記複数の搬送車又は前記複数の飛翔装置が、構造コンテナを自動的に受け取り、前記生産設備制御装置からの制御コマンドに従って、前記構造コンテナを生産設備の1つ以上の搬送先へ自律的に走行搬送又は飛行搬送するように、それぞれが構成された前記選択された搬送車又は飛翔装置を含んでおり、
前記複数の構造装置が、構造コンテナを積んで自律的に走行された搬送車又は飛行された飛翔装置から前記構造コンテナを自動的に受け取り、前記構造コンテナ内の構造材料をスキャナを介して供給されるレーザ光により層状に固化することによって前記構造コンテナ内で部材を積層造形して部材包含構造コンテナをもたらし、前記生産設備制御装置からの制御コマンドに従って、自律的に走行された搬送車又は飛行された飛翔装置へ前記部材包含構造コンテナを自動的に送出するように、それぞれが構成された前記選択された構造装置を含んでおり、
前記複数の搬送車又は前記複数の飛翔装置から選択された搬送車又は飛翔装置に、前記部材包含構造コンテナをもたらす前記選択された構造装置へ自律的に走行又は飛行させ、前記選択された構造装置が前記選択された搬送車又は飛翔装置へ前記部材包含構造コンテナを自動的に送出すると、前記選択された搬送車又は飛翔装置が
前記部材包含構造コンテナを自動的に受け取るように構成された、前記生産設備制御装置からの制御コマンドを、前記選択された搬送車又は飛翔装置へ送ることを含む、方法。
【請求項14】
コンピュータ実行可能命令を含む、コンピュータ可読媒体であって、
前記コンピュータ実行可能命令が、選択的なレーザ焼結法又はレーザ溶融法を用いて複数の部材を同時に、生成的に製造するための生産設備制御装置によって実行されると、
複数の搬送車又は複数の飛翔装置から選択された搬送車又は飛翔装置に、複数の構造コンテナから選択された構造コンテナへ自律的に走行又は飛行させるように、且つ、前記選択された搬送車又は飛翔装置が前記選択された構造コンテナを自動的に受け取ると、前記選択された搬送車又は飛翔装置に、SLM装置及び/又はSLS装置の形態の複数の構造装置であって、前記構造装置から取り出し可能な少なくとも1つの構造コンテナを備えた複数の構造装置から選択された構造装置へ自律的に走行又は飛行させるように構成された制御コマンドを、前記生産設備制御装置が、前記選択された搬送車又は飛翔装置へ送ることを特徴とする、前記コンピュータ可読媒体であって、
前記複数の搬送車又は飛翔装置が、構造コンテナを自動的に受け取り、前記生産設備制御装置からの制御コマンドに従って、前記構造コンテナを生産設備の1つ以上の搬送先へ自律的に走行搬送又は飛行搬送するように、それぞれが構成された前記選択された搬送車又は飛翔装置を含んでおり、
前記複数の構造装置が、構造コンテナを積んで自律的に走行された搬送車又は飛行された飛翔装置から前記構造コンテナを自動的に受け取り、前記構造コンテナ内の構造材料をスキャナを介して供給されるレーザ光により層状に固化することによって前記構造コンテナ内で部材を積層造形して部材包含構造コンテナをもたらし、前記生産設備制御装置からの制御コマンドに従って、自律的に走行された搬送車又は自律的に飛行された飛翔装置へ前記部材包含構造コンテナを自動的に送出するように、それぞれが構成された前記選択された構造装置を含んでおり、
前記コンピュータ実行可能命令が前記生産設備制御装置によって実行されると、
前記複数の搬送車又は前記複数の飛翔装置から選択された搬送車又は飛翔装置に、前記部材包含構造コンテナをもたらす前記選択された構造装置へ自律的に走行又は飛行させ、前記選択された構造装置が前記選択された搬送車又は飛翔装置へ前記部材包含構造コンテナを自動的に送出すると、前記選択された搬送車又は飛翔装置が前記部材包含構造コンテナを自動的に受け取るように構成された制御コマンドを、前記生産設備制御装置が、前記選択された搬送車又は飛翔装置へ送ることを特徴とする、コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、選択的なレーザ焼結法又はレーザ溶融法を用いて同時に、生成的な態様で複数の部材を製造することが可能な生産設備に関するものである。製造は生産設備範囲において進行し、この生産設備範囲には、レーザ焼結装置及びレーザ溶融装置の形態の少なくとも2つの構造装置が設けられる。このような装置は、通常、SLM装置又はSLS装置と呼ばれ、通常、装置のプロセスチャンバから取り出される構造コンテナを含んでいる。
【背景技術】
【0002】
構造コンテナ内には高さ方向に変位可能なプラットフォームが配置されており、このプラットフォーム上には、溶融性又は焼結性の構造材料がコーティング機を用いて設けられる。スキャナを介して供給されるレーザ光によって、構造材料層が層状に焼結又は溶融され、このとき固化される。この部分的に固化された層へ次の層が設けられ、三次元的な部材が完成するまでレーザ焼結過程又はレーザ溶融過程が繰り返される。
【0003】
完成後、取り出しステーションにおいて、部材コンテナからの、完成されたか、又は少なくとも部分的に完成された部材の取り出しがなされる。取り出しステーションは、固化されていない構造材料を構造コンテナから取り出すとともに規定どおりに排出すること、及びこれに類することに寄与するものである。そして、部材は、熱的な又は表面の機械的な差異加工のための再加工ステーションへ連行されることができる。ワークピースが完成されるとすぐに、貯蔵範囲で部材の貯蔵がなされることになる。
【0004】
通常、上述の装置全てはそれだけでも独立して動作し、すなわち1つの部材が1つの構造装置において完成され、そして、容器が操作者によって取り出される。部材は、手動で、又は部分的に自動化されて取り出しステーションにおいて梱包から取り出され、そして、梱包から取り出された部材は、操作者によって手動で再加工ステーションへ連行され、そこで組み付けられ、再加工プロセスが実行され、そして、部材が、操作者によって、出荷のために仕上げられる貯蔵部へ連行される。
【0005】
通常、上述の装置のそれぞれは個別の電子制御部を備えており、生産加工範囲において従事する職員は、それぞれ加工ステップ又は取り出しステップの後に、別の装置のうちどれが別の加工ステップのために空いているか、どの装置が新たな構造過程を開始するのに十分に構造材料を含んでいるか、部材を収容するのにどの貯蔵範囲が適しているか、及びこれに類することを問い合わせることを強いられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、造ステップ、び搬送ステップが多かれ少なかれ全自動で進行することができ、生産設備内に設けられるべき個別装置が簡易化して形成されることができ、上述の個別ステップを有する生産過程全体がより迅速に実行可能であるように、請求項1の前提部分の特徴を有する生産設備を形成することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、請求項1の特徴の組合せによって解決される。有利な発展形態は、従属請求項から明らかである。
【0008】
まず、生産設備内に生産設備制御装置が設けられ、この生産設備制御装置は、構造装置、少なくとも1つの取り出しステーション、少なくとも1つの再加工ステーション及びこれに類するものと相互に作用し、装置の制御のために、装置の動作状態及び時間的な可用性についての応答要求のために、並びに装置内で使用可能な構造材料の量及び構造材料の種類の応答要求のために形成されている。
【0009】
このことは、第1に、設備制御装置が構造装置と相互に作用するのに適していることを意味している。全ての構造装置は、この設備制御装置によって、いわば生産監視に基づき一人のみの操作者によって監視されるように監視されることが可能である。構造装置自体、すなわちレーザ焼結設備又はレーザ溶融設備は、もはや個別の入力装置又はディスプレイを備える必要がなく、これによりより単純かつ安価に製造されることが可能である。
【0010】
さらに、どのくらいの構造材料が設備内にまだ存在するかという操作者によるコントロールが省略される。次の構造過程のために不十分な構造材料を含む設備は、例えば自動的な再充填装置によって充填されることが可能であり、このことは、生産設備制御装置によって行われることが可能である。生産設備制御装置において作業する操作者は、ディスプレイ上で、構造装置のうちどれが使用可能であるか、構造装置がどのくらいの構造材料を包含しているか、どの構造材料が問題であるか、を概観する。操作者は、同様に「制御値」について入力及び開始され得る次の構造過程のための構造材料が次の構造過程について十分であるかどうかがのフィードバックを装置から受ける。
【0011】
設備の別の本質的な特徴は、造装置から取り出し可能な構造コンテナを自己駆動式で生産設備制御装置によって操舵可能及び制御可能な搬送手段によって自動的に収容し、設備の装置又はステーションへ搬送し、及びそこで例えばプロセスチャンバへ入れ、自動的にロックし、又は構造プロセスの接続後再びアンロックし、収容し、別のステーション、例えば中間貯蔵ステーション又は取り出しステーションへ連行し、このステーションへ入れることにある。本発明の範囲における搬送手段は、床において走行し適宜制御可能な自己駆動式の搬送車であるか、又は搬送飛翔装置として形成されており、飛翔装置は、例えばクアッドコプター又はオプトコプタであってよく、すなわち、今日では「ドローン」とも呼ばれ適当な積み荷を受けることに適したヘリコプタに類似して形成された装置であり得る。
【0012】
今日、このような飛翔装置は、かなり幅広い使用範囲において立証されているとともに、比較的大きな積み荷を受け、所定の箇所へ連行し、そこへ降ろすことができるようになっている。
【0013】
換言すれば、構造装置の監視のみが行われるわけではなく、構造コンテナ、部材、構造プレート又は構造材料と共にその出荷、構造過程後の構造コンテナの取り出し、取り出しステーション又は貯蔵箇所への構造コンテナの連行及びこれに類することが行われる。これら全ても、生産監視によって中央で制御可能である。
【0014】
一人の操作者のみが、例えば、どの構造コンテナがどの構造装置へ連行され、どの材料が構造コンテナ内で用いられ、構造コンテナが完成された部材と共にどの取り出しステーションへ走行し、又は飛行するか、この部材が構造材料と共に不活性ガス雰囲気内で爆発の危険性を排除しつつ梱包から取り出され得るかどうか、及びこれに類することを設定することが可能である。これら生産ステップ全ては、生産設備制御装置を介して行われることが可能である。このために、生産設備制御装置は、入力装置と、少なくとも1つのディスプレイとを備えている。これにより、生産設備全体についての、すなわち構造装置、取り出しステーション、再加工ステーション及びこれらに類するものについての制御データを、構造データによって、構造材料から顧客データ、貯蔵箇所について決定的であり得るとともに完成された部材が連行される出荷先まで入力することができる。
【0015】
自己駆動式の各搬送手段が、SLM/SLS装置、取り出しステーション、再加工ステーション及び/又は生産設備制御装置によって読み取り可能な電子的なエンコードを備えていれば、特に有利である。このようにして、生産設備全体のどの構成要素がどの時点で存在するかを監視の態様で操作者に知らせる管理が可能となる。生産経過全体を明瞭な態様で後に再現することができるように、このこと全ては、ディスプレイ上に表示され、メモリ内に記録されることが可能であり、このことは、しばしばより高価で壊れやすい部材の品質保証のために本質的であるか、又は少なくとも有利である。
【0016】
このとき、生産設備制御装置が受信装置を備えることができ、該受信装置によって、構造コンテナから送信されるワークピース特有のデータを読み取ることが可能である。これらデータは、例えば、構造過程において構造コンテナのメモリへ読み取ることができ、そして、そこからそれぞれ呼び出されることが可能である。
【0017】
自己駆動式でレールなしに制御可能な搬送車に関して、このような搬送車は、従来技術であるとともに例えば屋内GPSによって制御されることができ、この制御も、生産設備制御装置によって行われる。同様のことは、搬送飛翔装置にも当てはまる。
【0018】
有利には、生産設備が複数の自己駆動式の搬送手段を含んでいる。この搬送手段の少なくとも一部は、梱包から取り出された部材のための収容装置若しくは貯蔵装置又は連結装置を備えており、このほか、部材又は構造プレートを、構造コンテナから取り出すか、あるいはこの構造コンテナへ入れ、回転させ、反転させ、及び例えば再加工ステーションへ対応する調整ソケット上に載置するために、ロボットアーム及びこれに類するものを、これら部材又はコンテナへ入れられるべき構造プレートの取り扱いのために、搬送手段上へ、又は搬送手段において設けることが可能である。
【0019】
搬送手段は、支持プレートの高さ調整のための駆動部も有することが可能であり、これら支持プレートは、例えば取り出しステーションの範囲において、完成された部材及び固化されていない構造材料を構造コンテナから取り出し、さらに送るために、搬送手段に配置された構造コンテナ上で、又は構造コンテナにおいて、高さ方向に変位可能に配置されている。
【0020】
本発明の発展形成においては、更なる生産ステップについての設備構成要素の可用性又は構造材料の配量容器及びリザーバ容器の充填レベルについて応答要求されるだけではなく、生産設備制御装置も例えば構造プレート取扱装置及び調整装置を制御することができるようになっており、この構造プレート取扱装置及び調整装置により、構造プレートは、構造コンテナの高さ調整可能な支持部上へ全自動で配置可能であるとともに、そこで固定可能であり、目標位置へ調整されることが可能である。同様に、この装置の調整データは、生産設備制御装置のメモリ内にメモリされることが可能である。例えば発注された部材の定時の完成及び/又は引き渡しが設定される時間的な生産計画が生産設備制御装置によって考慮されることも本発明の範囲内にある。
【0021】
本発明を、図面における有利な実施例に基づいて詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】複数の異なる装置を有する生産加工範囲の大幅に簡易化された概略的な図示である。
図2】載置された構造コンテナを有する、生産設備制御装置によって操舵可能な搬送車の概略的な図示である。
図3】冶具上に載置された部材及び搬送車上に配置された遠隔操作可能なロボットアームを有する、生産設備制御装置によって操舵可能な搬送車の概略的な図示である。
図4】搬送車と、連結された構造コンテナを有する搬送飛翔装置との概略的な図示である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
まず、図1を参照する。生産設備1は、複数の部材2の同時かつ生成的な製造のために設けられているとともに、生産加工範囲3を備えており、この生産加工範囲には、それぞれ装置4のプロセスチャンバから取り出すことが可能な構造コンテナ5を備えた少なくとも2つのSLS装置及び/又はSLM装置4が設けられている。さらに、生産加工範囲3には、少なくとも1つの取り出しステーション6が設けられており、この取り出しステーションでは、完成された部材2を構造コンテナ5から取り出すことが可能である。また、生産設備範囲3には、完成され取り出された部材の熱的な、及び/又は表面の機械的な再処理のための少なくとも1つの再加工ステーション7と、部材2が引き渡され中間貯蔵され得る貯蔵範囲8とが設けられている。
【0024】
生産設備範囲3の全ての設備構成要素は、生産設備制御装置10に接続されており、この生産設備制御装置は、各装置4,6,7の制御のために、各動作状態及び装置の時間的な可用性についての応答要求のために、並びに装置において使用可能な、又は存在する構造材料の量及び構造材料の種類についての応答要求のために形成されている。このことは、SLS装置又はSLM装置4にとって、次の構造ジョブを実行するために十分な構造材料が使用可能であるかについて応答要求されることを意味する。これとは逆に、このことは、取り出しステーション6にとって、取り出し過程が規定どおりに、かつ、構造材料による周囲範囲の汚染なしに実行されるように、粉体容器における吸引される粉体のために十分な場所があるかどうかについて応答要求されることを意味している。
【0025】
少なくとも1つの品質管理装置9も生産設備制御装置10に接続されることができ、このような管理装置は、例えば、部材の外形が電子的にスキャンされ、その密度が特定され、その重量が測定され、及びこれに類するものがなされることにあり、部材の品質を、異なる態様で評価することが可能である。
【0026】
生産設備範囲3において、構造コンテナ5は、自己駆動式の、生産設備制御装置10によって操舵可能な搬送手段15によって自動的に収容され、装置4,6,7,8,9へ搬送され、そして例えばそこで、例えばプロセスチャンバのような設備構成要素へ入れられ、自動的にロックされる。
【0027】
SLS装置又はSLM装置4における生成的な構造プロセスの完了後、構造コンテナ5は、自走式の搬送手段15によって、自動的にアンロックしつつ自動的に収容され、プログラム制御されて中間貯蔵ステーション又は取り出しステーション6へ走行し、そこでこの中間貯蔵ステーション又は取り出しステーションへ入れられる。構造コンテナ5は、これら構造コンテナに配置された少なくとも1つの連結装置20(図2参照)を介して搬送手段15上に固定されているとともに、例えば高さ方向の変位により、SLM装置又はSLS装置4のロック要素に係合されることができ、連結装置20は、搬送手段15と構造コンテナ5の間でプログラム制御されて解除される。
【0028】
生産設備制御装置10は、少なくとも1つの入力装置25及びディスプレイ26を含んでおり、これにより、生産設備範囲3についての制御値のように形成されている。
【0029】
本発明の発展形成においては、自己駆動式の各搬送手段15がSLM装置又はSLS装置4、取り出しステーション6、再加工ステーション7又は生産設備制御装置10によって読み取り可能な電子的なエンコードを備えており、生産設備制御装置10は受信装置を備えている。この受信装置によって、構造コンテナ5から送信されるワークピース特有のデータを読み取ることが可能である。有利には、これにより、どの搬送手段15上でどの構造コンテナ5が、したがってどの部材2が搬送されるかを、生産設備制御装置10を介して随時チェックすることが可能となる。これにより、生産設備制御装置10は、構造コンテナ5の搬送のための自己駆動式の搬送手段15がワークピースデータに依存して制御されることができるようになっている。これにより、例えば熱的な再加工のための構造コンテナ5が熱処理装置へ移行され、そこで適当な熱処理ステップが実行され、そしてこのように「焼き戻し」された部材2が中間貯蔵ステーション又は貯蔵範囲8へ連行されることが保証される。
【0030】
設備は複数の自己駆動式の搬送車15を含んでおり、これら搬送車は、搬送車駐車範囲16において引き出しのために駐車されることが可能である。必要であれば搬送手段15が構造コンテナ5と共に迅速にSLM装置又はSLS装置4へ至ることができるように、そこに駐車された搬送手段15が、連結された構造コンテナ5と共にあらかじめ設けられていることが本発明の範囲内にある。さらに、本発明の範囲においては構造コンテナリザーバ17を設けることも可能であり、この構造コンテナリザーバ内には、同一又は異なる複数の構造コンテナ5を貯蔵することが可能である。
【0031】
生産設備制御装置10による設備構成要素の中央制御によって、個々の装置、特にSLM装置又はSLS装置4を、簡易化することが可能であり、すなわち個別の入力装置及びディスプレイ装置なしに形成されることが可能であり、これによりその製造コストが削減される。
【0032】
生産設備制御装置10は、生産設備1内に含まれる複数の装置のための可用性チェック装置を含んでいる。自己駆動式の搬送手段15及びこれら搬送手段によって支持された構造コンテナ5は、生産設備1内に存在する装置4,6,7,8,9の可用性チェックに依存して制御される。このとき、構造材料の配量容器又はリザーバ容器の充填レベルが、生産設備制御装置10によってSLM装置又はSLS装置4において監視され、装置に接続された再充填装置についての再充填制御信号の出力のために形成されている。再充填装置は、異なる構造材料の種類を有するリザーバ容器30と、このリザーバ容器30からSLS装置又はSLM装置4へ走行しそこで構造材料を下へ降ろす粉体搬送装置31とを含んでいる。同様に、取り出しステーション6から詳細には図示されていない粉体処理設備又は洗浄装置/ふるい分け設備への粉体搬送を設定することが考えられる。
【0033】
さらに、生産設備制御装置10は構造プレート処理装置及び調整装置にも接続されており、この構造プレート処理装置及び調整装置によって、構造プレートが、構造コンテナ5の高さ調整可能な支持部上に全自動で配置可能及び固定可能であり、目標位置へ調整可能である。当該複数の構造プレートのうち1つが構造コンテナ5の高さ調整可能な支持部41上に図示されている複数の構造プレート40の動作は、ロボットアーム又はこれに類するものによって行われることができ、生産設備1は、ロボットアームを有する搬送手段15によって収容されることが可能であるとともにコンテナへ入れられ、そこで自動的に調整されることが可能な異なる構造プレート40のための貯蔵範囲を含んでいる。自動的な調整を、複数のセンサによって、光学的に、又は機械的に行うことが可能である。異なる構造プレートのデータも、同様に生産設備制御装置10内にメモリされている。
【0034】
さらに、熱的なデータのメモリは、品質管理のために、各SLM設備又はSLS設備内にメモリ可能又は表示可能である。
【0035】
加えて、爆発性の構造材料の場合のために、生産設備制御装置が規定どおりの粉体吸引装置又は取り出しステーション6の不活性化及び/又は注水を含むように、生産設備制御装置10が形成及びプログラムされていることが考えられる。
【0036】
図3には搬送車15aが図示されており、この搬送車上にはセンタリング装置50が配置されており、このセンタリング装置上では、あらかじめ梱包から取り出された部材2を所定の目標位置に保持することが可能である。これにより、例えば部材2の表面の再加工を行うために、搬送車15aは再加工範囲へ送入されることが可能である。ロボットアーム60は、部材を構造コンテナ5から取り出し、センタリング装置50上へ載置し、あるいはこのセンタリング装置から外し、そして例えば貯蔵範囲8へ降ろすことに適したものである。
【0037】
図4には、搬送車15aに加えて、搬送飛翔装置15bが概略的にのみ図示されており、この搬送飛翔装置15bには構造コンテナ5が連結されている。構造コンテナ5は、連結装置によって搬送飛翔装置15bの下側に保持されている。このケースでは、搬送飛翔装置15bは、クアッドコプターとして図示されているとともに、搬送車15aと同様に屋内GPSを介して制御可能である。
【符号の説明】
【0038】
1 生産設備
2 部材
3 生産設備範囲
4 SLM/SLS装置
5 構造コンテナ
6 取り出しステーション
7 再加工ステーション
8 貯蔵範囲
9 品質管理装置
10 生産設備制御装置
15 搬送手段
15a 搬送車
15b 搬送飛翔装置
16 搬送車駐車範囲
17 構造コンテナリザーバ
20 連結装置
25 入力装置
26 ディスプレイ
30 リザーバ容器
31 粉体搬送装置
40 構造プレート
41 支持部
50 センタリング装置
60 ロボットアーム
図1
図2
図3
図4