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  • 特許-チップ内部抵抗の補正回路 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-27
(45)【発行日】2023-04-04
(54)【発明の名称】チップ内部抵抗の補正回路
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/822 20060101AFI20230328BHJP
   H01L 27/04 20060101ALI20230328BHJP
【FI】
H01L27/04 V
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021193873
(22)【出願日】2021-11-30
(65)【公開番号】P2023000984
(43)【公開日】2023-01-04
【審査請求日】2021-11-30
(31)【優先権主張番号】202110669238.3
(32)【優先日】2021-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521521943
【氏名又は名称】モーターコム・エレクトロニック・テクノロジー・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Motorcomm Electronic Technology Co., Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】テン、シャオチェン
【審査官】市川 武宜
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-306145(JP,A)
【文献】特開2011-029473(JP,A)
【文献】特開2014-138094(JP,A)
【文献】特開2001-229697(JP,A)
【文献】特開2004-336699(JP,A)
【文献】特開2013-026640(JP,A)
【文献】特開2015-122494(JP,A)
【文献】特開2013-239754(JP,A)
【文献】特開2001-243785(JP,A)
【文献】特開2001-094048(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/822
H01L 27/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源電圧と基準抵抗の一端の間に接続され、前記基準抵抗の他端は接地され、第1の制御信号により制御されることが可能な第1のMOSトランジスタと、
基準電圧と前記基準抵抗の電圧に対して演算し、前記第1の制御信号を出力するオペアンプと、
前記電源電圧と基準ノードJ1の間に接続され、前記第1の制御信号により制御されることが可能な第2のMOSトランジスタと、
一つが前記基準ノードJ1と接地端の間に接続され、他のそれぞれが所在されている分岐は制御可能に前記基準ノードJ1と前記接地端の間に接続される複数のチップ内部抵抗と、
前記基準ノードJ1の電圧を前記基準電圧と比較して比較信号を生成するコンパレータと、
前記比較信号により制御信号を生成し、二分法の原理に基づいて、それぞれ対応する前記チップ内部抵抗が所在されている分岐の導通または切断を制御するコントローラと、
を具備する、チップ内部の抵抗を補正する回路。
【請求項2】
前記チップ内部抵抗のそれぞれと対応的に前記基準ノードJ1と前記接地端の間に接続される複数のスイッチとを、さらに含み、
前記複数のスイッチそれぞれの制御端は前記コントローラに接続される、請求項1に記載のチップ内部の抵抗を補正する回路。
【請求項3】
前記複数のスイッチそれぞれとして第3のMOSトランジスタを採用し、
前記第3のMOSトランジスタのドレインはそれぞれ対応する前記チップ内部抵抗に接続され、ソースは前記接地端に接続され、ゲートは前記コントローラに接続される、請求項2に記載のチップ内部の抵抗を補正する回路。
【請求項4】
次の分岐にある前記第3のMOSトランジスタのサイズは、前の分岐にある前記第3のMOSトランジスタのサイズより事前設定された比率で減少し、
次の分岐にある前記チップ内部の抵抗の抵抗値は、前の分岐にある前記チップ内部抵抗の抵抗値と比較して指数関数的に増加し、
前記複数のチップ内部抵抗、前記基準抵抗、及びチップの内蔵抵抗との関係は次式(1)となり、
【数1】
ここで、R0は理想的な状態での前記内蔵抵抗の抵抗値を表し、
R1は理想的な状態での前記基準抵抗の抵抗値を表し、
dは、外部環境の影響を受けた後の前記内蔵抵抗のオフセット量を表し、
R総は前記チップ内部抵抗のすべては並列に接続された後の抵抗値を表し、
前記式(1)を使用して、R総が得られ;
前記チップ内部抵抗の指数関数的な関係と並列接続原理により、理想的な状態での最小単位の抵抗の抵抗値xは求められ、
最小単位抵抗の実際の抵抗値は次式(2)となり、
【数2】
ここで、yは最小単位抵抗に対応する前記第3のMOSトランジスタの抵抗を表す、請求項3に記載のチップ内部の抵抗を補正する回路。
【請求項5】
前記オペアンプの非反転入力端は前記基準電圧に接続され、前記オペアンプの反転入力端は前記基準抵抗の電圧に接続される、請求項1に記載のチップ内部の抵抗を補正する回路。
【請求項6】
前記基準抵抗は精密抵抗である、請求項1に記載のチップ内部の抵抗を補正する回路。
【請求項7】
前記第1のMOSトランジスタのゲートは前記オペアンプの出力端に接続され、前記第1のMOSトランジスタのドレインは前記オペアンプの反転入力端に接続され、前記第1のMOSトランジスタのソースは前記電源電圧に接続される、請求項1に記載のチップ内部の抵抗を補正する回路。
【請求項8】
前記第2のMOSトランジスタのゲートは前記オペアンプの出力端に接続され、前記第2のMOSトランジスタのドレインは前記基準ノードJ1に接続され、前記第2のMOSトランジスタのソースは前記電源電圧に接続される、請求項1に記載のチップ内部の抵抗を補正する回路。
【請求項9】
前記コンパレータの非反転入力端は前記基準ノードJ1に接続され、前記コンパレータの反転入力端は前記基準電圧に接続され、前記コンパレータの出力端は前記コントローラに接続される、請求項1に記載のチップ内部の抵抗を補正する回路。
【請求項10】
入力端が前記コンパレータの出力端に接続される第1のバッファと、
入力端が前記第1のバッファの出力端に接続され、出力端が前記コントローラに接続される第2のバッファと、をさらに具備する、請求項1に記載のチップ内部の抵抗を補正する回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はチップ補正分野に関し、特に、チップ内部抵抗を補正する回路に関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路において、高速や高周波チップなどより正確な抵抗値が必要な場合のチップの中に、チップ内部抵抗は製造工程、温度、使用環境の影響を受けるため、抵抗がオフセットし、抵抗が大きすぎあるいは小さすぎになる。特に、プロセス製造による偏差は避けられない。チップ内の集積抵抗の抵抗精度はわずか±17%で、このような精度は非常に不十分で、高精度抵抗の要件を満たすことができない。
【0003】
その精度を向上させるためには、チップの内部抵抗を補正する必要がある。従来技術では、通常、レーザートリミングを使用する手段で補正をし、具体的なトリミング方法は、レーザービームが抵抗ワークピースに位置決めされ、抵抗ワークピースのフィルム基板を切断させて、抵抗ワークピースの断面積を変更することにより、抵抗の抵抗値を変更し、指定されたパラメータまたは抵抗値を達成する。このような処理方法ではコストが高く、補正中に、作業条件の変化によるオフセットも発生し、理想的な抵抗値を達成できない。そのため、上記の問題を考慮して、実際の使用ニーズを満たすために、チップ内部抵抗の補正回路を設計することが急務である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】中国出願公開第104601161号明細書
【文献】中国出願公開第111490751号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的はチップ内部の抵抗を補正する回路を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の技術問題を解決するために、本発明は以下の技術的解決策を採用する。
本発明は、チップ内部の抵抗を補正する回路を提供し、その回路は、電源電圧と基準抵抗の一端の間に接続され、基準抵抗の他端は接地され、第1の制御信号により制御される可能な第1のMOSトランジスタと、基準電圧と前記基準抵抗の電圧に対して演算を実行し前記第1の制御信号を出力するオペアンプと、前記電源電圧と基準ノードの間に接続され、前記第1の制御信号により制御される可能な第2のMOSトランジスタと、一つが前記基準ノードと接地端の間に接続され、他のそれぞれが所在されている分岐は制御可能に前記基準ノードと前記接地端の間に接続される複数のチップ内部抵抗と、前記基準ノードの電圧を前記基準電圧と比較して比較信号を生成するコンパレータと、前記比較信号により制御信号を生成し、二分法の原理に基づいて、それぞれのチップ内部抵抗が所在されている分岐の導通または切断を制御するコントローラと、を具備する。
【0007】
好ましくは、さらに、前記チップ内部抵抗のそれぞれと対応的に前記基準ノードと前記接地端の間に接続される複数のスイッチとを含み、それぞれの前記スイッチの制御端は前記コントローラに接続される。
【0008】
好ましくは、前記複数のスイッチそれぞれとして第3のMOSトランジスタを採用し、前記各第3のMOSトランジスタのドレインは対応する前記チップ内部抵抗に接続され、ソースは前記接地端に接続され、ゲートは前記コントローラに接続される。
【0009】
好ましくは、次の分岐にある第3のMOSトランジスタのサイズは、前の分岐の第3のMOSトランジスタのサイズより事前設定された比率で減少し、次の分岐にある前記チップ内部抵抗の抵抗値は、前の分岐にある前記チップ内部抵抗の抵抗値と比較して指数関数的に増加し、前記複数のチップ内部抵抗、基準抵抗、及びチップの内蔵抵抗との関係は次式(1)となり、
【数1】

ここで、R0は理想的な状態での内蔵抵抗の抵抗値を表し、
R1は理想的な状態での基準抵抗の抵抗値を表し、
dは、外部環境の影響を受けた後の内蔵抵抗のオフセット量を表し、
は前記チップ内部抵抗のすべては並列に接続された後の抵抗値を表し、
前記式(1)を使用して、Rが得られ;
チップ内部抵抗の指数関数的な関係と並列接続原理により、理想的な状態での最小単位の抵抗の抵抗値xは求められ、
最小単位抵抗の実際の抵抗値は次式(2)となり、
【数2】

ここで、yは最小単位抵抗に対応する第3のMOSトランジスタの抵抗を表す。
【0010】
好ましくは、前記オペアンプの非反転入力端は前記基準電圧に接続され、その反転入力端は前記基準抵抗の電圧に接続される。
【0011】
好ましくは、前記基準抵抗は精密抵抗である。
【0012】
好ましくは、前記第1のMOSトランジスタのゲートは前記オペアンプの出力端に接続され、そのドレインは前記オペアンプの反転入力端に接続され、そのソースは前記電源電圧に接続される。
【0013】
好ましくは、前記第2のMOSトランジスタのゲートは前記オペアンプの出力端に接続され、前記第2のMOSトランジスタのドレインは前記基準ノードに接続され、前記第2のMOSトランジスタのソースは前記電源電圧に接続される。
【0014】
好ましくは、前記コンパレータの非反転入力端は前記基準ノードに接続され、前記コンパレータの反転入力端は前記基準電圧に接続され、前記コンパレータの出力端は前記コントローラに接続される。
【0015】
好ましくは、さらに、入力端が前記コンパレータの出力端に接続される第1のバッファと、入力端が前記第1のバッファの出力端に接続され、出力端が前記コントローラに接続される第2のバッファと、を具備する。
【発明の効果】
【0016】
本発明において、チップ外部に一つの基準抵抗が設けられ、チップ内部の基準電圧に基づいて、温度の影響を受けない電流が生成され、当該電流はチップ内部抵抗にミラーリングされ、その内部抵抗によって生成された電圧を基準電圧と比べさせることにより、内部抵抗の抵抗値が調節され、内部抵抗の抵抗値を基準抵抗の抵抗値に限りなく近づけるような、チップ内部抵抗の補正を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は本発明に係るチップ内部抵抗を補正するための回路を示す回路概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下は、本発明の図面を参照しながら、本発明の実施例に採用された技術案を明確かつ完全的に説明する。言うまでもなく、記載された実施例は、本発明の実施例の一部に過ぎず、すべての実施例というものではない。本発明の実施例に基づいて、創造的な作業なしに当業者によって得られる他のすべての実施例は、本発明の保護範囲に含まれるべきである。
【0019】
本発明の実施例および実施例の特徴は、衝突がない場合、互いに組み合わせることができることに留意されたい。
【0020】
次に、図面と特定の実施例を結合して、さらに本発明を説明するが、本発明を限定するものではない。
【0021】
図1に示すように、本発明はチップ補正分野に属するチップ内部抵抗を補正する回路を提供し、それは、電源電圧VDDと基準抵抗R1の一端の間に接続され、前記基準抵抗の他端は接地され、第1の制御信号により制御されることが可能な第1のMOSトランジスタと、基準電圧と基準抵抗R1の電圧に対して演算し、第1の制御信号を出力するオペアンプと、電源電圧と基準ノードJ1の間に接続され、第1の制御信号により制御されることが可能な第2のMOSトランジスタと、一つのR0が前記基準ノードと接地端の間に接続され、他のそれぞれが所在されている分岐は制御可能に基準ノードJ1と接地端の間に接続される複数のチップ内部抵抗(R0、R11、R12…R1N)と、基準ノードJ1の電圧を基準電圧と比較して比較信号を生成するコンパレータ2と、比較信号により制御信号を生成し、二分法の原理に基づいて、それぞれのチップ内部抵抗が所在されている分岐の導通または切断を制御するコントローラ4と、を具備する。
【0022】
具体的に、本実施例において、チップ内部に環境の影響を受けない基準電圧Vrefがある。基準抵抗R1の負のフィードバック効果により、オペアンプ1は安定した電圧を出力できる。オペアンプ1は、チップ内部の基準電圧と外部の基準抵抗R1の電圧により演算を行い、第1の制御信号を出力する。第1のMOSトランジスタM1は、オペアンプ1により出力された第1の制御信号により、第1のMOSトランジスタM1を流れた電流を安定させ、温度の影響を受けないように、導通または切断される。第2のMOSトランジスタM2は、第1のMOSトランジスタM1を流れた安定した電流を基準ノードJ1にミラーリングさせて、コンパレータ2は基準ノードJ1の電圧を基準電圧と比較する。コントローラ4は、コンパレータ2により出力された比較結果に応じて、制御信号を生成し、その制御信号により、内部抵抗の両端の電圧(基準ノードJ1の電圧)が基準電圧に限りなく近づくまで内部抵抗の抵抗値を調節するため、各チップ内部抵抗が所在されている分岐の導通と切断を制御し。
【0023】
さらに、チップ内部は、また、ノーマリーオープン型の抵抗であり、基準ノードJ1と接地端の間に接続され、補正後に、すべての導電された分岐上のチップ内部抵抗の並列抵抗値と併せて、基準抵抗R1の抵抗値と等しい内蔵抵抗R0とを含む。
【0024】
好ましい実施形態として、さらに、チップ内部抵抗と対応的に一つずつ基準ノードJ1と接地端との間に接続される複数のスイッチ(K1、K2…KN)とを含む。
【0025】
好ましい実施形態として、それぞれのスイッチ(K1、K2…KN)の制御端はコントローラ4に接続される。
【0026】
好ましい実施形態として、スイッチのそれぞれは第3のMOSトランジスタを採用し、各第3のMOSトランジスタのドレインは一つのチップ内部抵抗に接続され、それぞれのソースは接地端に接続され、それぞれのゲートは前記コントローラに接続される。
【0027】
具体的に、各レベルのチップ内部抵抗が所在されている分岐のオン・オフを制御するように、MOSトランジスタをスイッチとして使用されてもいい。
【0028】
好ましい実施形態として、次の分岐にある第3のMOSトランジスタのサイズは、前の分岐の第3のMOSトランジスタのサイズより事前設定された比率で減少し、次の分岐にあるチップ内部抵抗の抵抗値は、前の分岐にある前記チップ内部抵抗の抵抗値と比較して指数関数的に増加し、複数のチップ内部抵抗、基準抵抗、及びチップの内蔵抵抗との関係は次式(1)となり、
【数3】

ここで、R0は理想的な状態での内蔵抵抗の抵抗値を表し、
R1は理想的な状態での基準抵抗の抵抗値を表し、
dは、外部環境の影響を受けた後の内蔵抵抗のオフセット量を表し、
は前記チップ内部抵抗のすべては並列に接続された後の抵抗値を表し、
前記式(1)を使用して、Rが得られ;
チップ内部抵抗の指数関数的な関係と並列接続原理により、理想的な状態での最小単位の抵抗値xは次式(2)で求められ、
最小単位抵抗の実際の抵抗値は次式(2)となり、
【数4】

ここで、yは最小単位抵抗に対応する第3のMOSトランジスタの抵抗を表す。
【0029】
具体的に、MOSトランジスタが導通すると、MOSトランジスタ自体にも抵抗が発生するため、内蔵抵抗R0が導通されている分岐上のチップ内部抵抗と並列に接続されると、導通されている分岐上のチップ内部抵抗の抵抗にMOSトランジスタの抵抗値を加えてから、内蔵抵抗R0と並列に接続されるものになるので、抵抗を補正する精度に影響を与えてしまう。この実施例において、マルチレベル分岐上のMOSトランジスタのサイズはすべて異なり、且つ事前設定された比率で順次減少され、つまり、後者の分岐上のMOSトランジスタのサイズは前者のMOSトランジスタのサイズより事前に設定された比率で指数関数的に減少されている。サイズが大きいほど、MOSトランジスタのチップ内部の抵抗が小さくなる。それに従って、後者の分岐上のMOSトランジスタの抵抗値と前者の分岐上のMOSトランジスタの抵抗値も事前に設定された比率で指数関数的に増加するように設定されている。好ましくは、事前に設定された比率は2倍である。
【0030】
具体的に、各チップ内部抵抗が所在されている分岐にさらに一つのスイッチを含み、そのスイッチは対応する分岐上のチップ内部抵抗と直列に接続され、複数のチップ内部抵抗(R11、R12…R1N)と複数のスイッチ(K1、K2…KN)は一つの抵抗アレイを構成し、抵抗アレイ中のチップ内部抵抗の抵抗値は指数関数的に増加する。好ましくは、後者の分岐上のチップ内部抵抗の抵抗値は前者の分岐上のチップ内部抵抗の抵抗値の2倍である。
【0031】
さらに、チップ内部抵抗は製造工程や温度、使用環境の影響により抵抗値がオフセットする。抵抗アレイ中の全てのチップ内部抵抗の並列抵抗値の合計を基準抵抗R1の抵抗値の17%に設定する。これにより、チップ内部抵抗が所定されている分岐の導通、切断をすることで、オフセット抵抗値を補正できる。
【0032】
さらに、内部抵抗の抵抗アレイが6つの分岐により並列に接続されることを例示する。つまり、内部抵抗は第1の抵抗R11、第2の抵抗R12、第3の抵抗R13、第4の抵抗R14、第5の抵抗R15と第6の抵抗R16を含む。
【0033】
複数のチップ内部抵抗の最小単位抵抗(即ち、第1の抵抗R11)の抵抗値xを求める方法は以下となり、抵抗R0の抵抗値が下方に17%オフセットされることを仮定し、つまり、オフセット後の抵抗R0の抵抗値はR0(1-17%)となる。この場合、オフセットを補正するには、内部抵抗を増加させる必要があるが、並列に接続すると、抵抗値が減少する。従って、ここで、6つの分岐が全て切断されて、抵抗R0だけにより内部抵抗のオフセットを補正し、抵抗R0の実際の抵抗値をR0*1.17に設定する必要がある。例えば、抵抗R0の抵抗値が2.4Kとすると、抵抗R0の実際の抵抗値を2.4K*1.17に設定するだけで、17%オフセットされた内部抵抗を元に戻せる。抵抗R0の抵抗値が上方に17%オフセットされると、抵抗R0の実際の抵抗値が2.4K*1.17に設定されているため、つまり、オフセットされた抵抗値は2.4K*1.17となる。オフセットを補正するには、6つの分岐の全てを導通する必要があることを仮定すると、つまり、全ての分岐が導通された後の並列抵抗値の合計Rは、2.4K*1.17と並列に接続すると、基準抵抗R1の抵抗値2.4Kと等しい必要がある。それにより、Rの抵抗値は2.4Kを2.4Kで割ってから1.17をかけた値で、即ち6つの分岐上の抵抗が並列に接続された後の抵抗値は2.4K/2、4K*1.17と等しい。例えば、R11=x、R12=2x、R13=4x、R14=8x、R15=16x、R16=32xとすると、6つ分岐上の並列抵抗値の公式がRと等しいので、最小単位抵抗xの抵抗値が求められる。さらに、各抵抗はチップ内の同じ使用環境にあるため、各抵抗のオフセットが同じで、つまり、各抵抗の抵抗値が全て上方に17%オフセットされており、そのため、上記求められたxを1.17で割る必要があり、そして、第1の抵抗の抵抗値がx/1.17により得られる。
【0034】
さらに、各チップ内部抵抗と直列に接続されたMOSトランジスタの自体にも抵抗があるため、上記得られたx/1.17にはMOSトランジスタの抵抗も含まれているので、x/1.17からMOSトランジスタの抵抗を減算してから、最終の複数のチップ内部抵抗の最小単位抵抗を得る。好ましい実施例として、オペアンプ1の非反転入力端は基準電圧に接続され、オペアンプ1の反転入力端は基準抵抗R1の電圧に接続される。
【0035】
具体的に、基準電圧と基準抵抗R1の電圧がオペアンプ1に入力され、オペアンプ1の演算により出力された電圧信号が安定性と信頼性を確保する。
【0036】
好ましい実施例として、基準抵抗R1は精密抵抗である。
【0037】
具体的に、チップ外部に増設された基準抵抗R1は一つの精密抵抗であり、当該精密抵抗はほとんど変化しないか、外部環境の影響を受けないため、当該の第1のMOSトランジスタM1を流れる電流は影響をほとんど受けない電流である。
【0038】
好ましい実施例として、第1のMOSトランジスタのゲートはオペアンプ1の出力端に接続され、第1のMOSトランジスタM1のドレインは、オペアンプ1の反転入力端に接続され、第1のMOSトランジスタM1のソースは電源電圧に接続される。
【0039】
好ましい実施例として、第2のMOSトランジスタM2のゲートは、オペアンプ1の出力端に接続され、第2のMOSトランジスタM2のドレインは基準ノードJ1に接続され、第2のMOSトランジスタM2のソースは電源電圧に接続される。
【0040】
具体的に、第1のMOSトランジスタM1を流れる安定電流は、第2のMOSトランジスタM2を介してチップの内部にミラーリングされ、第1のMOSトランジスタM1および第2のMOSトランジスタM2は両方ともPMOSトランジスタである。
【0041】
好ましい実施例として、コンパレータ2の非反転入力端は基準ノードJ1に接続され、コンパレータ2の反転入力端は基準電圧に接続され、コンパレータ2の出力端はコントローラ4に接続される。
【0042】
具体的には、基準電圧と基準ノードJ1の電圧をコンパレータ2に入力し、コンパレータ2により比較を行い、比較結果を出力する。比較結果が基準ノードJ1の電圧が基準電圧よりも大きいことを示している場合、コンパレータ2の出力結果は1とする。比較結果が基準ノードJ1の電圧が基準電圧よりも低いことを示している場合、コンパレータ2の出力結果は0とする。
【0043】
好ましい実施例として、さらに、入力端がコンパレータ2の出力端に接続される第1のバッファ31と、入力端が第1のバッファ31の出力端に接続され、出力端がコントローラ4に接続される第2のバッファ32と、を具備する。
【0044】
好ましい実施例として、コントローラ4は二分法の原理に基づいて、各チップ内部抵抗が所在されている分岐の導通または切断を制御する。
【0045】
好ましい実施例として、補正後、全ての導通された分岐上のチップ抵抗の並列抵抗値が基準抵抗R1の抵抗値と等しい。
【0046】
具体的に、コントローラ4は比較結果により二分法に基づいてそれぞれのチップ内部抵抗が所在されている分岐上の導通と切断を制御し、比較結果が変化した場合(即ち、1から0に、または0から1に変化)、補正を完了とする。補正が完了すると、すべての導通されている分岐上のチップ内部抵抗の並列抵抗値は基準抵抗R1の抵抗値と等しくなる。
【0047】
さらに、コントローラ4はコンパレータ2による出力された結果により制御信号を出力し、比較結果が1である場合に、内部抵抗は製造工程や温度、使用環境の影響を受け、オフセットが発生し、抵抗が大きくなりすぎるので、補正する必要がある。並列回路の特性により、ここで、並列回路を追加してシャフトする必要があり、つまり、一つまたは複数の抵抗が所在されている分岐の導通を制御する。一般に、毎度一つのみの分岐を導通または切断してから、基準ノードJ1の電圧を観察し、それから他の分岐の導通や切断をする必要があるかどうかを判断し続ける。同様に、比較結果が0の場合に、抵抗が小さくなりすぎるので、大きくする必要がある。ここで、並列抵抗を切断する必要がある。
【0048】
また分岐のオン・オフを調節する必要があるかどうかを判断する基準は、コンパレータ2による出力された比較結果が1から0、または0から1に変化したことがあるかどうかである。
【0049】
さらに、内部抵抗の抵抗アレイは6つの分岐により並列に接続されることを例示する。つまり、内部抵抗は第1の抵抗R11、第2の抵抗R12、第3の抵抗R13、第4の抵抗R14、第5の抵抗R15と第6の抵抗R16を含む。対応的にそれぞれと直列に接続された第1のスイッチ、第2のスイッチ、第3のスイッチ、第4のスイッチ、第5のスイッチを含み、ここのスイッチはMOSトランジスタであってもいい。そして、一つのより高い抵抗が所在されている分岐の抵抗値はそれより低い抵抗が所在されている分岐の抵抗値の2倍となり、つまり、第5の抵抗の抵抗値は第4の抵抗の2倍となり、同様に、第4の抵抗は第3の抵抗の2倍となり、それ以外の抵抗値は同じでここで説明を省略する。
【0050】
例えば、6つの分岐中のスイッチの初期状態を「101000」とすれば、第6のスイッチと第4のスイッチが導通され、他のスイッチが切断されることを表し、この時、第6の抵抗と第4の抵抗が導通されている抵抗である。比較結果は基準ノードJ1の電圧が基準電圧より大きいことを示す場合は、別の抵抗を並列に接続追加する必要があり、二分法に基づくと、6つの分岐のスイッチの動作状態を「110100」と制御する必要があり、つまり、第6の抵抗は変更せず、第4の抵抗が所在されている分岐が切断され、第5の抵抗と第3の抵抗が所在されている分岐が導通される。コンパレータ2により出力された結果が変わった場合、補正が完了し、比較結果が1と変わらない場合、繰り返して上記の工程に沿って補正を進める。
【0051】
比較結果は基準ノードJ1の電圧が基準電圧よりも低いことを示す場合、いま導通されている抵抗のうち一つを切断する必要があり、二分法に基づくと、五つの分岐のスイッチの動作状態を「010100」と制御する必要があり、つまり、第6の抵抗と第4の抵抗が所在されている分岐が切断され、第5の抵抗と第3の抵抗が所在されている分岐が導通される。コンパレータ2により出力された結果が変わった場合、補正が完了し、比較結果が0と変わらない場合、繰り返して上記の工程に沿って補正を進める。
【0052】
さらに、本実施例にて、6つの分岐の初期状態に「100000」を先に割り当てることができ、つまり、第6の抵抗が所在されている分岐が導通され、他の分岐が所在されている抵抗が切断され、それから二分法に基づいて各分岐のオン・オフ状態を制御してもいい。
【0053】
本発明の効果は、チップの外部に基準抵抗を設定し、チップ内部の基準電圧に基づいて、温度の影響を受けない電流を発生させ、その電流をチップの内部抵抗に電流をミラーリングさせ、内部抵抗が発生された電圧を基準電圧と比較することにより、内部抵抗の抵抗値が基準抵抗の抵抗値に限りなく近づくように内部抵抗の抵抗値を調節させ、よって、チップ内部抵抗の補正を実現させることができる。
【0054】
前述の説明は、本発明の好ましい実施例にすぎず、本発明の実施方式および保護範囲を限定するものではない。当業者にとって、本発明の説明および図面の内容を使用することによって行われたすべての同等の置換および明らかな変更は、本発明の保護範囲に含まれるべきであることを理解すべきである。
図1