(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-27
(45)【発行日】2023-04-04
(54)【発明の名称】飛行体およびシステム
(51)【国際特許分類】
B64D 43/00 20060101AFI20230328BHJP
B64C 29/00 20060101ALI20230328BHJP
【FI】
B64D43/00
B64C29/00 A
(21)【出願番号】P 2022206128
(22)【出願日】2022-12-23
(62)【分割の表示】P 2021569620の分割
【原出願日】2020-01-07
【審査請求日】2023-01-12
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517106408
【氏名又は名称】株式会社A.L.I.Technologies
(74)【代理人】
【識別番号】110002790
【氏名又は名称】One ip弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼木 優
(72)【発明者】
【氏名】城田 たける
【審査官】諸星 圭祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-039397(JP,A)
【文献】特開2005-125976(JP,A)
【文献】特表2017-530043(JP,A)
【文献】特表2019-520719(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0174335(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64D 43/00
B64C 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転翼部を備える機体と、
前記機体の底側に複数設けられ、対向する表面を検出し、該表面との距離を測定する複数のセンサと、
前記複数のセンサから得られる、前記センサの各々の位置における前記距離に基づいて、前記機体の前記表面に対する姿勢を推定する推定部を有する制御装置と、
を備え
、
前記機体は、
搭乗者が搭乗するための搭乗部をさらに備え、
前記複数のセンサは、少なくとも、前記機体の前後方向に間隔を空けて配置される前後一対のセンサと、前記搭乗部よりも前記機体の幅方向において突出した部分にそれぞれ設けられる左右一対のセンサと、を含む、飛行体。
【請求項2】
さらに慣性センサを備え、
前記推定部は、前記慣性センサから得られる情報に基づいて取得した前記機体の姿勢の情報と、前記センサの各々の位置における前記距離の情報と、に基づいて、前記表面の形状を推定する、請求項1に記載の飛行体。
【請求項3】
前記複数のセンサの少なくとも一つは、前記機体の端部または該端部近傍に設けられる、請求項1
または2に記載の飛行体。
【請求項4】
前記機体の幅方向における前記回転翼部の長さは、前記機体の幅方向における前記搭乗部の長さよりも大き
い、請求項1
~3のいずれか1項に記載の飛行体。
【請求項5】
前記回転翼部は、前記機体の前後方向において一対設けられ、
前記複数のセンサの少なくとも一つは、前記機体の前後方向において、前記機体における前記一対の回転翼部の間に設けられる、請求項1~
4のいずれか1項に記載の飛行体。
【請求項6】
前記複数のセンサ
のうち、2つのセンサは、前記機体のピッチ軸またはロール軸に沿って設けられる、
請求項1~
5のいずれか1項に記載の飛行体。
【請求項7】
前記複数のセンサは3つ以上のセンサである、請求項1~
6のいずれか1項に記載の飛行体。
【請求項8】
前記複数のセンサは、レーザセンサおよび超音波センサを少なくとも含む、
請求項1~
7のいずれか1項に記載の飛行体。
【請求項9】
前記制御装置は、前記飛行体が進行する方向における表面の情報を取得する表面情報取得部をさらに備える、
請求項1~
8のいずれか1項に記載の飛行体。
【請求項10】
前記制御装置は、前記表面情報取得部により得られた表面情報と、該表面情報に対応する表面を前記センサが検出して得られる情報とを比較して得られる情報を生成する、比較情報生成部をさらに備える、請求項
9に記載の飛行体。
【請求項11】
前記表面情報は、前記機体の前方に設けられ、前記飛行体が進行する方向に向けられ、前記飛行体が進行する方向の表面を検出するセンサにより得られる信号に基づいて生成される、請求項
9または10に記載の飛行体。
【請求項12】
前記表面情報は、サーバに記憶されている表面情報データベースから取得される、請求項
9~11のいずれか1項に記載の飛行体。
【請求項13】
請求項10に記載の飛行体と、
前記表面情報を記憶する表面情報データベースを備えるサーバと、を備えるシステムであって、
前記飛行体は、前記表面の状況に関する情報を前記サーバに送信し、
前記サーバは、前記表面の状況に関する情報に基づいて、前記表面情報データベースに記憶される前記表面の状況に関する情報に対応する前記表面の表面情報を更新する、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、飛行体およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
搭乗者を乗せて浮上して移動することが可能な飛行体は、陸路を移動する自動二輪車等の移動体が、陸路や水路等の表面上を移動する際に他の移動体との関係で受けることになる移動に対する制約を受けることなく移動することが可能である。そのため、かかる飛行体は、新たな移動手段として実現されることが期待されている。
【0003】
例えば、特許文献1において、搭乗者を乗せた状態で、プロペラの回転によって地上から50cm乃至100cm程度の高さに浮上して移動する、いわゆるホバーバイクとも称される飛行体に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
かかる飛行体を搭乗者が運転する際には、飛行体の姿勢の制御が重要となる。飛行体が進行する表面は、必ずしも舗装された路面には限らない。そのため、飛行体の姿勢の制御は、飛行体の絶対的な姿勢だけではなく、表面に対する飛行体の姿勢を把握することが重要となる。
【0006】
本技術は、上記事情に鑑みてなされたものであり、飛行体の姿勢をより精度高く把握することが可能である飛行体を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示によれば、回転翼部を備える機体と、前記機体の底側に複数設けられ、対向する表面を検出し、該表面との距離を測定する複数のセンサと、前記複数のセンサから得られる、前記センサの各々の位置における前記距離に基づいて、前記機体の前記表面に対する姿勢を推定する推定部を有する制御装置と、を備える飛行体が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本開示の技術によれば、飛行体の姿勢をより精度高く把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の一実施形態に係る飛行体の概要を示す図である。
【
図2】同実施形態に係る飛行体の構成例を示す斜視図である。
【
図3】同実施形態に係る飛行体の構成例を示す側視図である。
【
図4】同実施形態に係る飛行体の構成例を示す底面図である。
【
図5】同実施形態に係る飛行体のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【
図6】同実施形態に係る制御装置の構成の概略を説明するブロック図である。
【
図7】同実施形態に係る制御装置のプロセッサの、姿勢推定機能に係る構成の一例を示すブロック図である。
【
図8】同実施形態に係る飛行体における処理の第1の例を示すフローチャートである。
【
図9】同実施形態に係る飛行体における処理の第2の例を示すフローチャートである。
【
図10】実施形態の変形例に係る飛行体1の構成例を示す底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0011】
図1は、本開示の一実施形態に係る飛行体の概要を示す図である。
図1に示すように、飛行体1は、搭乗者が搭乗可能であって地上から50cm乃至100cm程度の高さに浮上して水平方向に移動することが可能な、いわゆるホバーバイクとも称される移動手段である。かかる飛行体1は、有線または無線の任意のネットワークNWを介して、サーバ110と接続可能に構成される。かかる飛行体1とサーバ110とにより実現される構成をシステム100と呼称する。サーバ110は、単数又は複数のコンピュータ等により実現されるサーバである。例えば、サーバ110は、飛行体1に対して、飛行体1が移動し得る表面の情報を提供し得る。
【0012】
かかる飛行体1は、後述するように前傾姿勢を取りながら、回転翼部による生じる揚力および推力により、浮上しながら推進する。飛行体1の移動において、飛行体1の姿勢が重要となる。かかる飛行体1の姿勢を精度高く制御することで、飛行体1の移動における速度および旋回方向をより確実に制御することが可能となる。
【0013】
再度
図1を参照すると、飛行体1は表面GR上を適切な高さを維持しながら移動する。かかる表面GRは一定ではなく、例えば表面GRは傾斜していたり、凹凸であったりする。具体的には、
図1に示すように、平坦な部分A1と上昇方向に傾斜する部分A2とが存在する。そうすると、通常の飛行体とは異なり、飛行体1は表面GRの近傍を飛行するため、飛行体1の浮上状態に対して表面GRの形状の影響が大きい。そのため、単に飛行体1の絶対的な姿勢を取るだけでは制御が困難となる。
【0014】
そこで、本技術の一例は、飛行体1と表面GRとの距離を測定することで表面GRに対する飛行体1の姿勢(例えば、表面GRに平行な基準面HOに対する飛行体1の姿勢PO)を推定する。かかる距離は、飛行体1の底面に備え付けられた測距機能を有する底部センサにより測定される。この底部センサを複数設けることにより、各々の底部センサと表面GRとの距離から飛行体1の姿勢(所定の軸まわりまたは面の勾配等)を推定することができる。
【0015】
さらに、飛行体1が上記システム100に含まれる場合、飛行体1は、底部センサ等により検出した表面GRの情報をサーバ110に送信してもよい。これにより、サーバ110に予め記憶されている表面GRの情報を、飛行体1から提供された情報に基づいて更新することができる。このように飛行体1は、表面GRの情報を収集するための装置として、システム100において機能してもよい。
【0016】
図2~
図4は、本開示の一実施形態に係る飛行体1の構成例を示す斜視図、側視図及び底面図である。なお、各図に示す各座標軸について、Lは飛行体1(機体2)の前後方向(前側が正)、Wは飛行体1(機体2)の幅方向(左方向が正)、Hは飛行体1(機体2)の上下方向(上側が正)を示す。
【0017】
飛行体1は、機体2と、鞍部30と、把持部4と、動力部5の一例であるエンジン50と、第1回転翼部6(6A~6B)と、第2回転翼部7(7A~7D)と、第3回転翼部8(8A~8D)と、排気システム9と、ステップ31とを備える。また、飛行体1は、底部センサ14を備える。また、飛行体1は、前方センサ15を備え得る。なお、第1回転翼部6、第2回転翼部7および第3回転翼部8は回転翼部の一例である。また、鞍部30と、把持部4と、ステップ31とにより、搭乗部3が構成される。また、飛行体1はその他の構成要素も備えうるものであり、該構成要素については後述する。
【0018】
機体2は、飛行体1の上部において前後方向に伸びて形成される。機体2は、例えば、炭素繊維強化樹脂、ガラス繊維強化樹脂、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン合金またはマグネシウム合金等の、比較的比重が小さく、かつ強度の高い素材から形成され得る。
【0019】
機体2の前後方向における中央部の上側には、搭乗部3および把持部4が設けられる。
【0020】
搭乗部3は、機体2の一部であり、各回転翼部と接続される。搭乗部3は、搭乗者が搭乗するための部分である。鞍部30は、搭乗者が飛行体1の機体2に跨って搭乗する搭乗部3の座席に相当する。搭乗者が安定して着座できるように、鞍部30は、下方側に突出するような形状を成してもよい。また、ステップ301は、搭乗者が鞍部30に跨った際に搭乗者の足を据え置くための部分である。図示する例では、ステップ31は、平面方向において、鞍部30よりも幅方向に突出し、かつ後述する各回転翼部よりも内方側になるように設けられる。かかるステップ31には、例えば、搭乗者が飛行体1を操作するための装置が適宜設けられていてもよい。
【0021】
把持部4は、鞍部30に跨った搭乗者が掴むために設けられる。把持部4の形状は図示するような形状に限定されない。把持部4には、搭乗者が飛行体1を操作するための操作部やインタフェース等が設けられてもよい。また、把持部4は機体2に固定されるが、把持部4は機体2に対して相対的に移動可能に設けられてもよいし、移動不能(つまり完全に固定された状態)に設けられてもよい。把持部4は、例えば機体2に対して上下方向Hに沿う方向を回転軸とするステアリングのように移動可能であってもよいし、機体2に対して前後方向Lに沿う方向に移動可能なレバーのようなものであってもよい。かかる把持部4には、ボタン、レバー、ステアリング等の操作部が設けられてもよく、かかる操作部に入力される入力信号は、後述する制御装置10に送出され得る。
【0022】
動力部5の一例であるエンジン50は、機体2の下側であって、鞍部30の下方に設けられる。なお、
図2に示すエンジン50は、実際は機体2の外側からは部分的にしか視認できない場合もあり、本明細書において位置関係を示すために側視から全体が確認できるように表示されている。エンジン50は、例えば、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、ガスエンジン等が挙げられ、エンジン50の機構は特に限定されない。
【0023】
第1回転翼部6は、機体2を浮上させるための揚力を発生させる揚力発生翼部の一例である。第1回転翼部6A、6Bは、動力部5の前後に一対設けられる。
図1及び
図2に示す例では、動力部5の前後において、機体2の前方及び後方を構成するテーパ形状のフレームの下方に設けられる。かかるフレーム形状により、第1回転翼部6に多くの気体をスムーズに取り込むことができる。
【0024】
第1回転翼部6は、揚力を発生させるためのプロペラと、かかるプロペラを収容し、上下端に通気口を有するダクトとを備える。プロペラは、例えば上下方向に重ね合わせられた1対のブレード群が、それぞれ反対方向に回転する、いわゆる二重反転プロペラである。かかるプロペラの回転により、上方から下方へと気流が生じる。かかる気流により機体2に揚力が発生し、機体2を浮上させることができる。なお、本実施形態に係る第1回転翼部6は、機体2の前後にそれぞれ設けられているが、前後の少なくともいずれかに第1回転翼部6が設けられていてもよい。かかる機体2をピッチ方向(幅方向Wを回転軸とする回転方向)またはロール方向(前後方向Lを回転軸とする回転方向)に傾斜させたり、第1回転翼部6を傾斜させることで、第1回転翼部6により水平方向の推力が発生する。これにより、飛行体1を推進させることができる。
【0025】
また、第1回転翼部6のダクトの上下端の通気口の少なくともいずれか(上端側が好ましい)には、ルーバーが設けられていてもよい。例えば
図2に示すように、ルーバーは、短冊状であり、幅方向に配設され、前後方向Lを中心軸として外側から中心側にかけて下方に傾斜するように設けられてもよい。かかるルーバーにより、ダクト内への異物の侵入を抑制しすることができる。また、ルーバーが設けられることで、ダクトの内部から何かが飛散した際においても、ルーバーが飛散物の障害となり得る。また、上方から流入する気体の流れを整えることができる。また、ルーバーが設けられることにより、飛行体1に搭乗する搭乗者からプロペラが見えにくくなるので、搭乗者の恐怖感が和らぎ得る。
【0026】
また、第1回転翼部6のダクトの一部に、可変のフラップ機構が設けられていてもよい。かかるフラップ機構により流入または流出する気体の流動量および/または流動方向を制御することができる。これにより、飛行体1の飛行制御をより精緻に行うことができる。
【0027】
第2回転翼部7は、機体2に推力を与えるための推力発生翼部の一例である。特に、第2回転翼部7は、機体2に対して主に機体2の前後方向に推力を与え得る。第2回転翼部7Aは機体2の前方左側に、第2回転翼部7Bは機体2の後方左側に、第2回転翼部7Cは機体2の前方右側に、第2回転翼部7Dは機体2の後方右側に設けられる。例えば、第2回転翼部7A、7B、7C、7Dは、機体2の前後において、第1回転翼部6の幅方向に配設される。
【0028】
第2回転翼部7は、機体2の前後方向に気体を流通させるダクトと、該ダクトの内側において推力を発生させるプロペラと、を備える。該ダクトは、前後方向の端部にそれぞれ流通口が設けられる。該プロペラは、例えば二重反転プロペラであってもよいし、一重プロペラであってもよい。また、該プロペラは、後述する制御装置10またはモータドライバ13等により、回転方向やプロペラのピッチ角を適宜変更してもよい。これにより、第2回転翼部7は、機体2の前後方向の少なくともいずれかの方向に沿った推力を発生させることができる。なお、第2回転翼部7は、通常機体2の前方への推力を発生させるが、後方への推力を発生させてもよい。かかる第2回転翼部7は、例えば、飛行体1の速度を変化させたり、飛行体1をヨー軸(上下方向Hに沿う方向の軸)まわりに回転させる制御をするために用いられる。
【0029】
第3回転翼部8は、機体2に推力を与えるための推力発生翼部の一例である。特に、第3回転翼部8は、機体2に対して主に機体2の上下方向に推力を与え得る。第3回転翼部8Aは機体2の前方左側に、第3回転翼部8Bは機体2の後方左側に、第3回転翼部8Cは機体2の前方右側に、第3回転翼部8Dは機体2の後方右側に設けられる。例えば、第3回転翼部8A、8B、8C、8Dは、機体2の前後において、第1回転翼部6の幅方向に配設される。
【0030】
第3回転翼部8は、機体2の上下方向に気体を流通させるケーシングと、該ケーシングの内側において推力を発生させるプロペラと、を備える。該ケーシングは、上端部および下端部にそれぞれ流通口が設けられる。該プロペラは、例えば二重反転プロペラであってもよいし、一重プロペラであってもよい。また、該プロペラは、後述する制御装置10またはモータドライバ13等により、回転方向やプロペラのピッチ角を適宜変更してもよい。これにより、第3回転翼部8は、機体2の上下方向の少なくともいずれかの方向に沿った推力を発生させることができる。なお、第3回転翼部8は、通常機体2の上方への推力を発生させるが、下方への推力を発生させてもよい。かかる第3回転翼部8は、例えば、飛行体1の第1回転翼部6による浮上時の補助的な役割として用いられたり、飛行体1の姿勢を制御したり、飛行体1をピッチ軸(幅方向Wに沿う方向の軸)まわりおよび/またはロール軸(前後方向Lに沿う方向の軸)まわりに回転させる制御をするために用いられる。
【0031】
排気システム9は、エンジン50から排出される排気ガスを処理するシステムである。かかる排気システム9として、例えば公知の排気デバイス等が使用できる。排気システム9は、鞍部30の下方に設けられる。
図2に示す例では、エンジン50の下部に排気システム9が設けられている。
【0032】
底部センサ14(14A~14D)は、機体2の底側に複数設けられる。底部センサ14は、機体2に対向する表面を検出し、該表面との距離を測定する機能を有する。底部センサ14は、例えば、レーザセンサ、超音波センサ等の測距機能を有する。機体2に設けられる底部センサ14の種類は特に限定されないが、飛行体1の飛行状態および/または対向する表面の状態(例えば、凹凸の激しい路面や、水面等)が変化しても測定精度が変動しないよう、複数種類のセンサが設けられてもよい。
【0033】
具体的には、底部センサ14として、少なくともレーザセンサと超音波センサが併用して機体2に設けられてもよい。レーザセンサは応答が早いため、リアルタイム性を失わずに表面との距離を測定することが可能である。一方で、レーザセンサは計測範囲が限られており、表面が水面や鏡面である場合にレーザが全反射しやすくなり、距離の測定精度が低下する可能性がある。そこで、超音波センサを併用することで、レーザセンサより応答は遅いものの、安定的に距離を測定することが可能となる。少なくともこれらの2種類のセンサは、同時に測定が行われていてもよいし、所定の条件に応じて使用するセンサが切り替えられるように制御されてもよい。
【0034】
図4に示すように、例えば底部センサ14A~14Dは、機体2の端部2A、または端部2Aの近傍に設けられ得る。機体2が傾いた際に最初に表面に接触しうる部分は、機体2の端部2Aである。すなわち、端部2Aは、飛行体1を上方または下方から見た際における飛行体1の外縁部分に相当する。端部2Aまたはその近傍に底部センサ14を設けておくことで、機体2と表面との接近を早く検知することが可能となる。
【0035】
さらに、
図4に示すように、底部センサ14は、飛行体1(機体2)の幅方向において、搭乗部3よりも突出した部分に設けられ得る。具体的には、
図4に示すように、底部センサ14は、ステップ31から各第3回転翼部8へと延伸する部材の底側に設けられる。かかる設置位置は、回転翼部(第1回転翼部6、第2回転翼部7および第3回転翼部8を構成する部分)の近傍であり、より具体的には、第3回転翼部8の近傍であり得る。かかる位置に設けられることで、機体が傾いたときの姿勢を制御するための回転翼部の出力へのフィードバックを早くすることができる。
【0036】
底部センサ14により得られた情報は、後述する制御装置10に送信される。
【0037】
底部センサ14の設置位置の変形例については後述する。
【0038】
前方センサ15は、機体2の前方に設けられ、飛行体1が進行する方向に向けられたセンサである。前方センサ15は、飛行体1が進行する方向における表面を検出する機能を有する。すなわち、前方センサ15は底部センサ14とは異なる領域における表面を検出し得る。前方センサ15は、例えば、飛行体1の約5m~80mの範囲における表面を検出することができるものであってもよい。前方センサ15は、例えば、レーザセンサ、超音波センサ、レーダ等であり得る。
【0039】
前方センサ15により得られた情報は、後述する制御装置10に送信される。
【0040】
次に、
図5を用いて、飛行体1の構成要素についてより詳細に説明する。
図5は、本実施形態に係る飛行体1のハードウェア構成例を示すブロック図である。なお、既に上述した構成要素については説明を省略する。また、
図5に示す破線は、飛行体1(機体2)の前部、中央部(搭乗部)、後部を区画する仮想の境界線である。すなわち、鞍部30が設けられている領域が、機体2の搭乗部3に相当する。また、
図5に示す矢印Lは、機体2の前方向を示す矢印である。
【0041】
図5に示すように、機体2の中央部には、鞍部30、把持部4、動力部5が設けられ、さらに、排気システム9、制御装置10、バッテリ11が設けられ得る。また、本実施形態に係る底部センサ14も、機体2の中央部に設けられ得る。
【0042】
動力部5は、エンジン50の他に、ガソリンタンク51、ジェネレータ52、PCU(Power Control Unit)53を備えてもよい。ガソリンタンク51は、エンジン50に供給するガソリンを貯蔵するものである。ジェネレータ52はエンジン50を動力源として得られる動力により電力を発電する機能を有する。かかるジェネレータ52はPCU53により制御され、発電された電力は、例えばバッテリ11に蓄電される。PCU53は、バッテリ11の電力管理を行う機能を有する。なお、バッテリ11として、ジェネレータ52により発電された電力を蓄電するバッテリとは別に、独立したバッテリが設けられてもよい。例えば、ジェネレータ52が発電して蓄電したバッテリは機体2の制御装置10を構成する基板やセンサ類用として、独立したバッテリはモータ12の動力用として用いられてもよい。
【0043】
機体2の前部及び後部には、第1回転翼部6、第2回転翼部7および第3回転翼部8の他に、モータ12およびモータドライバ13が、第2回転翼部7および第3回転翼部8のそれぞれに対して設けられる。
【0044】
本実施形態においては、第1回転翼部6には、エンジン50により発生する動力が、不図示の動力軸等を介して伝達される。一方、第2回転翼部7及び第3回転翼部8には、各々に対して設けられたモータ12から直接動力軸等を介して動力が伝達される。
【0045】
なお、本実施形態では、モータ12は第2回転翼部7及び第3回転翼部8に付随する形でそれぞれ設けられるとしたが、本技術はかかる例に限定されない。例えば、モータ12は機体2の中央部の、鞍部30の下部に設けられてもよい。この場合、モータ12は動力部5の一例である。モータ12の数は特に限定されず、例えば、モータ12の数は第2回転翼部7及び第3回転翼部8の数に対応して設けられてもよい。
【0046】
図6は、本実施形態に係る制御装置10の構成の概略を説明するブロック図である。図示のように、制御装置10は、プロセッサ10A、メモリ10B、及びセンサ10Cを主要構成として備える。
【0047】
プロセッサ10Aは、本実施の形態では例えばCPU(Central Processing Unit)で構成され、飛行体1の各構成要素の動作を制御し、各要素間におけるデータの送受信の制御や、プログラムの実行に必要な処理等を行う。
【0048】
メモリ10Bは、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性記憶装置で構成される主記憶装置、及びフラッシュメモリやHDD(Hard Disc Drive)等の不揮発性記憶装置で構成される補助記憶装置を備える。このメモリ10Bは、プロセッサ10Aの作業領域として使用される一方、制御装置10が実行可能であるロジック、コード、あるいはプログラム命令といった各種の設定情報等が格納される。
【0049】
センサ10Cは、本実施の形態では、力センサ、慣性センサ(加速度センサ、ジャイロセンサ)、GPS衛星から電波を受信するGPSセンサ、近接センサ、光学式または超音波式の測距センサ、ビジョン/イメージセンサ(カメラ)、大気圧を測定する気圧センサ、温度を測定する温度センサといった各種のセンサによって構成される。かかるセンサ10Cは、底部センサ14や前方センサ15等とは異なり、制御装置10の一構成として設けられるものを含む。
【0050】
制御装置10は、例えば、把持部4に備えられた操作部から得られた入力信号や、各種センサから得られた信号に基づいて、エンジン50や、モータ12の出力を制御する。これにより、各回転翼部の回転数等が制御され、飛行体1の浮上や飛行が行われる。なお、制御装置10の設けられる位置は、機体2の中央部等に限定されない。
【0051】
また、本実施形態に係る制御装置10は、底部センサ14から得られた情報を基に、機体2の姿勢を推定する。
【0052】
図7は、本実施形態に係る制御装置10のプロセッサ10Aの、姿勢推定機能に係る構成の一例を示すブロック図である。
図7に示すように、プロセッサ10Aは、センサ情報取得部10A1および推定部10A2を備える。また、プロセッサ10Aは、表面情報取得部10A3、比較情報生成部10A4およびセンサ評価部10A5を備えてもよい。
【0053】
センサ情報取得部10A1は、底部センサ14から得られた情報(センサ情報)を取得する機能を有する。かかるセンサ情報は、底部センサ14により得られる、飛行体1の下部の表面を測定して得られる情報である。センサ情報取得部10A1は、取得したセンサ情報(例えば測距信号)に基づいて、各底部センサ14における表面までの距離の情報を得る。
【0054】
各底部センサ14における表面との距離の情報は、推定部10A2に出力される。また、該情報は、外部のサーバ110に出力されてもよい。また、該情報は、比較情報生成部10A4、センサ評価部10A5に出力されてもよい。
【0055】
推定部10A2は、各底部センサ14における表面との距離に基づいて、機体2の表面に対する姿勢を推定する機能を有する。推定部10A2は、例えば、複数の底部センサ14の各々における表面からの距離に基づいて、各底部センサ14により構成される線または面を推定する。そして推定部10A2は、かかる線または面の傾斜方向および傾斜角度を算出し、かかる算出結果を機体2の姿勢として取得しうる。なお、推定部10A2は、他のセンサ(例えばジャイロセンサ)等から得られる情報に基づいて別途機体2の姿勢に係る情報を取得し、該姿勢に係る情報および底部センサ14から取得したセンサ情報に基づいて、表面の形状を推定してもよい。かかる表面の形状の推定結果は、後述する比較情報生成部10A4にて用いられ得る。
【0056】
例えば、底部センサ14が2つ設けられる場合は、かかる底部センサ14間で結ばれる線の傾斜角度が推定部10A2により推定され得る。また、底部センサ14が3つ以上設けられる場合は、かかる底部センサ14が含まれ得る面の傾斜方向および傾斜角度が推定部10A2により推定され得る。なお、底部センサ14が4つ以上設けられる場合は、すべての底部センサ14が同一平面上に位置するとは限らない。この場合、例えば、近似的な平面が推定されてもよく、その推定方法は、例えば最小二乗法等の公知の手法であってもよい。
【0057】
推定部10A2により推定される機体2の姿勢に係る情報は、例えば、把持部4に出力され得る。把持部4は、該情報を把持部4に設けられ得るディスプレイ等に表示してもよい。これにより、搭乗者は現在の機体の姿勢を把握することができる。また、姿勢に係る情報はモータドライバ13への指令値に変換され、モータドライバ13へ出力され得る。モータドライバ13は、該指令値に基づいて、第2回転翼部7および/または第3回転翼部8のプロペラの回転を制御してもよい。これにより、機体2の制御をより正確に行うことが可能となる。また、機体2の姿勢に係る情報は、適宜サーバ110等に送信されてもよい。
【0058】
表面情報取得部10A3は、飛行体1が進行する方向における表面の情報を取得する機能を有する。かかる情報は、例えば、飛行体1に設けられる前方センサ15から得られるセンサ情報であってもよいし、サーバ110から取得される情報であってもよい。サーバ110から取得される情報は、例えば、予め地図情報と紐付けられた表面の情報であってもよい。この場合、飛行体1に積載されているセンサ(位置情報センサ等)や飛行体1の移動履歴等に基づいて、飛行体1が進行する予定である(すなわち、飛行体1が進行する方向における)表面の情報がサーバ110から提供されてもよい。
【0059】
表面情報取得部10A3が取得した上記の情報は、例えば、比較情報生成部10A4および/またはセンサ評価部10A5に出力される。
【0060】
比較情報生成部10A4は、表面情報取得部10A3により得られた表面の情報と、該表面の情報に対応する表面を底部センサ14が検出して得られる情報とを比較して得られる情報を生成する機能を有する。
【0061】
例えば、飛行体1がサーバ110から得られた表面情報に対応する表面上を進行した際に、底部センサ14が該表面を検出したとする。このときに、比較情報生成部10A4は、サーバ110から得られた表面情報(先の表面情報)と、底部センサ14により検出された表面に係る情報(例えば、上述した表面の形状の推定結果。後の表面情報)を比較する。このとき、先の表面情報と後の表面情報とが、所定の条件を超えて異なっている場合がある。例えば、かかる表面が侵食されていたり、工事等により該表面の形状が変化している場合である。そうすると、比較情報生成部10A4は、後の表面情報が先の表面情報から変化していることを示す情報を生成し得る。かかる情報は、後の表面情報とともに、サーバ110に送信され得る。これにより、サーバ110は、表面情報データベースに含まれている先の表面情報を、後の表面情報に基づいて更新することができる。そうすると、表面情報データベースに含まれるデータの精度を向上させることができる。
【0062】
センサ評価部10A5は、表面情報取得部10A3により得られた表面の情報と、該表面の情報に対応する表面を底部センサ14が検出して得られる情報とに基づいて、底部センサ14の状態を評価する機能を有する。
【0063】
例えば、飛行体1がサーバ110から得られた表面情報に対応する表面上を進行した際に、底部センサ14が該表面を検出したとする。このときに、比較情報生成部10A4は、サーバ110から得られた表面情報(先の表面情報)と、底部センサ14により検出された表面に係る情報(後の表面情報)を比較する。このとき、先の表面情報と後の表面情報とが、所定の条件を超えて異なっている場合がある。例えば、底部センサ14の設けられる位置がずれていたり、底部センサ14の向きがずれていたり、そもそも底部センサ14が不調である場合である。そうすると、センサ評価部10A5は、底部センサ14に異常が発生している可能性がある旨の情報を出力し得る。かかる情報は、例えば把持部4のディスプレイや、サーバ110等に出力され得る。これにより、搭乗者や飛行体1の管理者は、底部センサ14の異常がある可能性を認識することができる。
【0064】
なお、比較情報生成部10A4とセンサ評価部10A5が併用される場合は、例えば、先の表面情報と後の表面情報との乖離の程度によって、どちらの機能が優先的に発揮されるかが定められてもよい。具体的には、先の表面情報と後の表面情報との乖離の程度が部分的に生じる場合(すなわち、進行中のほとんどの時点において先の表面情報と後の表面情報との乖離が小さい場合)、比較情報生成部10A4の機能が優先的に実行されてもよい。一方で、先の表面情報と後の表面情報との乖離の程度が恒常的に生じる場合は、底部センサ14の異常が考えられるため、センサ評価部10A5の機能が優先的に実行されてもよい。
【0065】
次に、本実施形態に係る飛行体1における処理の一例について説明する。
図8は、本実施形態に係る飛行体1における処理の第1の例を示すフローチャートである。
図8に示すフローチャートは、飛行体1の機体2の姿勢の推定に係る処理の流れを示す。
【0066】
まず、飛行体1の進行中において、複数の底部センサ14により測距信号(センサ情報の一例)が取得される(SQ101)。次に、センサ情報取得部10A1は、測距信号に基づいて各底部センサ14における表面までの距離に係る情報を取得する(SQ103)。
【0067】
次いで、推定部10A2は、取得した距離に係る情報に基づき、機体2の姿勢を推定する(SQ105)。そして、推定された機体の姿勢の情報が適宜出力される(SQ107)。
【0068】
かかる処理は、飛行体1の進行中において適宜繰り返し実行され得る。
【0069】
図9は、本実施形態に係る飛行体1における処理の第2の例を示すフローチャートである。
図9に示すフローチャートは、飛行体1が、前方センサ15から得られた表面情報と、底部センサ14から得られた表面情報とを突き合せることに関する処理の流れを示す。
【0070】
まず、飛行体1の進行中において、前方センサ15により飛行体1の進行方向の表面から得られる情報(先の表面情報)を表面情報取得部10A3が取得する(SQ201)。
【0071】
次に、飛行体1がかかる表面まで進行し(SQ203)、各底部センサ14が該表面を検知し、センサ情報取得部10A1は各底部センサ14から表面の情報(後の表面情報)を取得する(SQ205)。
【0072】
次いで、比較情報生成部10A4またはセンサ評価部10A5は、先の表面情報と後の表面情報とを突き合わせる(SQ207)。比較情報生成部10A4は、かかる情報を突き合せて比較情報を生成する(SQ209)。また、センサ評価部10A5は、かかる情報を突き合せて、底部センサ14の異常の可能性の有無等を評価する(SQ211)。これらの比較情報および/または評価情報は、適宜出力され得る(SQ213)。
【0073】
以上説明したように、本実施形態に係る飛行体1の底部には複数の測距機能を有するセンサが設けられ、進行する表面との距離から得られる情報に基づいて、飛行体1の姿勢を推定することができる。かかるセンサを複数設けることで、飛行体1の姿勢を表面を基準として相対的に得ることができる。よって、表面に対する飛行体1の姿勢に係る情報を精度高く得ることができる。
【0074】
(変形例)
次に、本実施形態に係る飛行体1の変形例について説明する。
図10は、本実施形態の変形例に係る飛行体1の構成例を示す底面図である。
図10に示す飛行体1の構成のうち、底部センサ14(14E~14H)以外は、上記実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0075】
図10に示す底部センサ14E、14Fは、飛行体1の前後方向における端部に設けられている。具体的には、底部センサ14Eは第1回転翼部6Aの前方側の端部に、底部センサ14Fは第1回転翼部6Bの後方側の端部にそれぞれ設けられている。このように前後方向の端部に底部センサ14が設けられることで、飛行体1がピッチ方向に大きく回転している場合においても、第1回転翼部6の端部が表面等に衝突する前に表面との距離が小さくなっていることを検知することができる。
【0076】
また、
図10に示すように、底部センサ14E、14Fはロール軸RAに沿って並んで設けられていてもよい。これにより、ロール方向の回転の影響を受けずに、ピッチ方向の姿勢を精度高く推定することができる。
【0077】
同様に、底部センサ14G、14Hは、飛行体1の幅方向における端部に設けられていてもよい。この場合、例えば、
図10に示すように、底部センサ14G、14Hは、ピッチ軸PAに沿って並んで設けられていてもよい。これにより、ピッチ方向の回転の影響を受けずに、ロール方向の姿勢を精度高く推定することができる。
【0078】
また、底部センサ14は、機体2の搭乗部3(中央部に相当)に設けられていてもよい。すなわち、底部センサ14は、機体2の前後方向において、機体2における一対の回転翼部の間に設けられていてもよい。これにより、飛行体1が表面に着陸する場合において、接地する搭乗部3の底部側において、表面上に障害物があるかどうかを検出することができる。
【0079】
次に、本実施形態の他の変形例に係るシステム100について説明する。上記実施形態に係るシステム100においては、サーバ110は予め記憶されている表面情報を格納する表面情報データベースを備え得る。本変形例においては、サーバ110は、飛行体1が底部センサ14により取得された表面の状況に関する情報を適宜取得してもよい。この場合、かかる表面の状況に関する情報は、飛行体1の位置情報とともに取得されてもよい。これにより、サーバ110は、飛行体1が進行可能な領域における地形情報等を、適宜取得することができる。得られた地形情報は、飛行体1に対して適宜送信され得る。かかる情報は、例えば、飛行体1の進行中等において無線ネットワークを介して適宜サーバ110に送信されてもよい。
【0080】
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0081】
例えば、上記実施形態においては、回転翼部として、機体2を浮上させるための揚力を発生させる揚力発生翼部(第1回転翼部6)と、機体2に推力を与えるための推力発生翼部(第2回転翼部7、第3回転翼部8)とが設けられるとしたが、本技術はかかる例に限定されない。例えば、推力発生翼部として上記実施形態に示すような第2回転翼部7のみが設けられてもよいし、第3回転翼部8のみが設けられてもよい。また、揚力発生翼部または推力発生翼部の一方のみが設けられてもよい。いずれかしか設けられない場合は、他方の力を発生する代替手段が適宜採用され得る。また、動力部も、エンジンまたはモータのいずれか一方のみが設けられてもよい。
【0082】
本明細書において説明した制御装置による一連の処理は、ソフトウェア、ハードウェア、及びソフトウェアとハードウェアとの組合せのいずれを用いて実現されてもよい。本実施形態に係る制御装置10の各機能を実現するためのコンピュータプログラムを作製し、PC等に実装することが可能である。また、このようなコンピュータプログラムが格納された、コンピュータで読み取り可能な記録媒体も提供することができる。記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリ等である。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信されてもよい。
【0083】
また、本明細書においてフローチャートを用いて説明した処理は、必ずしも図示された順序で実行されなくてもよい。いくつかの処理ステップは、並列的に実行されてもよい。また、追加的な処理ステップが採用されてもよく、一部の処理ステップが省略されてもよい。
【0084】
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
【0085】
なお、以下のような構成も本開示の技術的範囲に属する。
(項目1)
回転翼部を備える機体と、
前記機体の底側に複数設けられ、対向する表面を検出し、該表面との距離を測定する複数のセンサと、
前記複数のセンサから得られる、前記センサの各々の位置における前記距離に基づいて、前記機体の前記表面に対する姿勢を推定する推定部を有する制御装置と、
を備える飛行体。
(項目2)
前記複数のセンサの少なくとも一つは、前記機体の端部または該端部近傍に設けられる、項目1に記載の飛行体。
(項目3)
前記機体は、
前記回転翼部と接続され、搭乗者が搭乗するための搭乗部をさらに備え、
前記機体の幅方向における前記回転翼部の長さは、前記機体の幅方向における前記搭乗部の長さよりも大きく、
前記複数のセンサの少なくとも一つは、前記搭乗部よりも前記機体の幅方向において突出した部分に設けられる、項目1または2に記載の飛行体。
(項目4)
前記回転翼部は、前記機体の前後方向において一対設けられ、
前記複数のセンサの少なくとも一つは、前記機体の前後方向において、前記機体における前記一対の回転翼部の間に設けられる、項目1~3のいずれか1項に記載の飛行体。
(項目5)
前記複数のセンサは2つのセンサであり、
前記2つのセンサは、前記機体のピッチ軸またはロール軸に沿って設けられる、
項目1~4のいずれか1項に記載の飛行体。
(項目6)
前記複数のセンサは3つ以上のセンサである、項目1~4のいずれか1項に記載の飛行体。
(項目7)
前記複数のセンサは、レーザセンサおよび超音波センサを少なくとも含む、
項目1~6のいずれか1項に記載の飛行体。
(項目8)
前記制御装置は、前記飛行体が進行する方向における表面の情報を取得する表面情報取得部をさらに備える、
項目1~7のいずれか1項に記載の飛行体。
(項目9)
前記制御装置は、前記表面情報取得部により得られた表面情報と、該表面情報に対応する表面を前記センサが検出して得られる情報とに基づいて、該センサの状態を評価するセンサ評価部をさらに備える、項目8に記載の飛行体。
(項目10)
前記制御装置は、前記表面情報取得部により得られた表面情報と、該表面情報に対応する表面を前記センサが検出して得られる情報とを比較して得られる情報を生成する、比較情報生成部をさらに備える、項目8または9に記載の飛行体。
(項目11)
前記表面情報は、前記機体の前方に設けられ、前記飛行体が進行する方向に向けられ、前記飛行体が進行する方向の表面を検出するセンサにより得られる信号に基づいて生成される、項目8~10のいずれか1項に記載の飛行体。
(項目12)
前記表面情報は、サーバに記憶されている表面情報データベースから取得される、項目8~11のいずれか1項に記載の飛行体。
(項目13)
項目10に記載の飛行体と、
前記表面情報を記憶する表面情報データベースを備えるサーバと、を備えるシステムであって、
前記飛行体は、前記表面の状況に関する情報を前記サーバに送信し、
前記サーバは、前記表面の状況に関する情報に基づいて、前記表面情報データベースに記憶される前記表面の状況に関する情報に対応する前記表面の表面情報を更新する、システム。
【符号の説明】
【0086】
1 飛行体
2 機体
3 搭乗部
4 把持部
5 動力部
6 第1回転翼部
7 第2回転翼部
8 第3回転翼部
9 排気システム
10 制御装置
10A2 推定部