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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-27
(45)【発行日】2023-04-04
(54)【発明の名称】義歯用アタッチメント
(51)【国際特許分類】
   A61C 8/00 20060101AFI20230328BHJP
   A61C 13/265 20060101ALI20230328BHJP
【FI】
A61C8/00 Z
A61C13/265
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022505458
(86)(22)【出願日】2021-11-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-03
(86)【国際出願番号】 KR2021015876
(87)【国際公開番号】W WO2022098112
(87)【国際公開日】2022-05-12
【審査請求日】2022-01-26
(31)【優先権主張番号】10-2020-0146063
(32)【優先日】2020-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】518013431
【氏名又は名称】デンフレックス カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】キム,ヒョン ウ
【審査官】中尾 麗
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-1311250(KR,B1)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0013013(KR,A)
【文献】特表2020-503988(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2012-0121063(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 8/00
A61C 13/265
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
口腔内に装着される義歯(denture)の維持力を補強するために使用される義歯用アタッチメントであって、
義歯に結合する第1の締結部と、歯槽骨に植え立てられている天然歯又はインプラントフィクスチャーの上部側に備えられ、前記第1の締結部と相互結合する第2の締結部と、を含み、
前記第1の締結部と前記第2の締結部のうちの少なくとも一箇所には、一定区間が螺旋状をなす複数の弾性リブ同士が内径中心軸(A)を中心として外周に沿って備えられ、単位の弾性リブそれぞれは、一端が互いに連結され且つ他端は互いに分離されるため、他端が外力によって内径中心軸(A)を基準として内側又は外側に変形してから、外力が除去されると元の形状に復元され、
これらの弾性リブの弾性復元作用によって、前記第1の締結部と前記第2の締結部との弾性的な着脱が可能であることを特徴とする、義歯用アタッチメント。
【請求項2】
前記第1の締結部と前記第2の締結部とが結合するとき、複数の弾性リブで囲まれてなる第1の締結部の軸孔の底面と第2の締結部の上端との間に、義歯の垂直的位置変化収容空間(B)が形成されることを特徴とする、請求項1に記載の義歯用アタッチメント。
【請求項3】
前記義歯の垂直的位置変化収容空間(B)の内径(D1)は、第2の締結部のうち、締結される部位の最大外径(D2)と同じ又はそれより大きいことを特徴とする、請求項2に記載の義歯用アタッチメント。
【請求項4】
前記義歯の垂直的位置変化収容空間には、弾性的変形が可能なばね又はゴム材質の弾性体がさらに備えられることを特徴とする、請求項2に記載の義歯用アタッチメント。
【請求項5】
分離されている弾性リブの他端からなる第1の締結部の末端部には、一定区間陥没しているフィクスチャー植立角度収容陥没部が少なくとも一つ形成されることを特徴とする、請求項1に記載の義歯用アタッチメント。
【請求項6】
前記第1の締結部の末端部が外径から内径まで傾斜面をなすことを特徴とする、請求項1に記載の義歯用アタッチメント。
【請求項7】
前記フィクスチャー植立角度収容陥没部の幅(D3)は、前記第2の締結部のネック部の最大外径(D4)と同じ又はそれより大きいことを特徴とする、請求項5に記載の義歯用アタッチメント。
【請求項8】
前記螺旋状を有する複数の弾性リブの外周面には、弾性リブ保護ハウジングがさらに備えられることを特徴とする、請求項1に記載の義歯用アタッチメント。
【請求項9】
前記螺旋状を有する複数個の弾性リブの末端部が形成する内径は、対応して締結される部位の最大外径よりもさらに小さいことを特徴とする、請求項1に記載の義歯用アタッチメント。
【請求項10】
前記第1の締結部の上面に形成されたベース部をさらに含み、前記ベース部の上面には、義歯ボディとの結合のためのねじ部材が形成され、前記ねじ部材と対応する前記ベース部の内側下面には、ドライバーを嵌め込んで回転させることができる多角形凹溝部が備えられることを特徴とする、請求項1に記載の義歯用アタッチメント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、義歯用アタッチメントに係り、より詳細には、ユーザが、義歯に結合した第1の締結部と、天然歯又はインプラントフィクスチャーの上部側に備えられた第2の締結部とを簡単な操作で着脱することができるのはもとより、義歯に咬合力が持続的に加わる場合でも、アタッチメント自体の弾性リブ構造によって伝達される力を緩衝することができ、その結果、アタッチメントの寿命だけでなく、インプラントフィクスチャー又は天然歯の歯根の寿命までも延ばすことができ、かつ、歯槽骨に植え立てられた複数個のフィクスチャー同士が成す植立角度が50°以上となるように互いに大きくずれて植え立てられている場合でも、第1の締結部がいかなる干渉や変形もなく第2の締結部に締結できるようにする、耐久性にも優れる義歯用アタッチメントに関する。
【背景技術】
【0002】
義歯は、永久歯の損傷を代替する治療方法の一種であって、インプラント形態の人工歯に比べて経済的負担が少なくて広く用いられている実情である。このような義歯は、ユーザの歯茎に着脱可能に結合するものであり、例えば、洗浄や就寝をする場合には歯茎から分離することができ、食物の摂取や外出をする場合には歯茎に結合することができる。
【0003】
一般に、義歯の維持力は、義歯用アタッチメントによって補強されるが、従来の義歯用アタッチメントは、人体の歯槽骨に植え立てられたフィクスチャー(fixture)の上部側に位置する第2の締結部と、義歯の底面部に埋め込まれた部位の第1の締結部が相互着脱される構造であって、その締結方式は、一般に、第2の締結部は金属からなり、義歯の底面に結合している第1の締結部は金属からなるハウジング内の狭い空間にプラスチックやゴムリングなどのポリマーを位置させてプラスチックやゴムリングの弾性力を利用した締結方式であった。
【0004】
ところが、このような従来の義歯用アタッチメントにおいては、フィクスチャー(fixture)の一側に位置する金属からなる第2の締結部と、義歯の底面に埋め込まれた金属ハウジング内の狭い空間にプラスチックやゴムからなる弾性体が位置した第1の締結部とが着脱されるため、義歯の使用時間が増加するほどプラスチックやゴム材質の摩耗が発生し、義歯に加わる様々な方向の咬合力によって義歯の位置が変化し続けながら持続的にアタッチメントに応力を加えることによりプラスチック又はゴムなどのポリマー材質が破損するなど、耐久性が低下するという問題点があった。
【0005】
また、義歯の使用時間が増加するほど、第1の締結部の金属ハウジング内にあるプラスチックやゴムリングの摩耗によって義歯着用状態で義歯が歯茎にしっかりと固定されず揺れるなど、着用堅固性が低下するという問題点もあった。
【0006】
さらに、上述した従来の技術は、第1の締結部の金属ハウジング内にある非常に小さいサイズのプラスチックやゴムが弾性的変形限界内で発揮しうる緩衝機能の材質的限界により、前記義歯を着用した状態で食品を咀嚼するときに発生する咀嚼力が前記義歯からフィクスチャーに直接伝達される。このとき、前記咀嚼力が前記フィクスチャーに集中することによりアタッチメント又はフィクスチャーが変形及び破損してしまうという問題点があり、これによりアタッチメントのメンテナンスが頻繁に必要とされて不便であり、メンテナンス費用が過多にかかるという問題点があった。
【0007】
特に、一般に義歯に咬合力が加わると、義歯の底面と接触している歯茎部位が圧迫されて収縮し、その結果、歯茎の上に置かれた義歯の位置も収縮した分だけ歯茎側に変位する場合が頻繁に発生する。このように咬合力が持続的に義歯に加わって義歯が歯茎側に変位し続ける場合、そのような咬合力がアタッチメント又はフィクスチャーに過度な力を集中的に伝達することにより、使用寿命を短縮させるという問題点があった。
【0008】
したがって、ユーザが簡単な操作で義歯を着脱することができるのはもとより、義歯に咀嚼力又は咬合力が持続的に加わる場合でも、アタッチメント自体の構造的特徴によって伝達される力を緩衝することができる義歯用アタッチメントが要求される。
【0009】
また、従来のアタッチメントは、義歯の底面に埋め込まれる金属ハウジング内の狭い空間にプラスチックやゴムリングなどの非金属性のポリマーを装着してポリマーの弾性を利用するタイプであるが、このようなタイプのアタッチメントは、材質の限界により義歯の脱着に要求される十分な弾性と耐久性を得るのが難しく、一定以上の弾性と耐久性を得るためには多くのスペースが必要なので、より大きい体積の金属ハウジングが必要であり、このような金属ハウジングを義歯の底面に埋め込むと、多くの場合、義歯の頬側又は舌側に飛び出すという問題点があった。このため、十分な弾性維持力と耐久性を持ちながらもできるだけ体積が小さいアタッチメントが要求された。
【0010】
さらに、従来のアタッチメントは、歯槽骨に複数個のフィクスチャーを植え立て、複数個のフィクスチャーの上部に対応部を位置させ、義歯の底面にこれに対応する締結部を複数個埋め込もうとしたとき、すなわち複数個のアタッチメントを使用しようとしたとき、歯槽骨に植え立てられたフィクスチャーの植立角度が互いに平行せず、20°以上ずれていると、それぞれのアタッチメントが締結できる角度の限界のため、フィクスチャーの上部に位置する対応部を、一般的に使用するストレートタイプ(straight type)の対応部として使用することができず、別途の傾いたアバットメント(angled abutment)という特殊な対応部を用いて、大きく異なる植立角度を補償しなければならないという煩わしい問題点だけでなく、たとえ傾いたアバットメントという特殊な対応部を使用するとしても、傾いたアバットメントが全ての角度を補償することができるように多様な全ての角度別に生産することが不可能であるという問題点があった。そのため、フィクスチャーの植立角度が大きく異なっても、一つの対応部で解決することができる義歯用アタッチメントが要求された。
【0011】
別の従来の技術であるフック締結方式は、義歯の底面に埋め込まれるフランジ部から歯茎までの距離があまりにも短いため、義歯の底面に埋め込まれるフランジ部から歯茎方向に単純直線切開で形成された短い長さのフック突起では、繰り返される義歯の脱着時に要求される十分に柔らかくて適切な弾性力、耐久性及び適切な義歯維持力を得ることが不可能であり、これにより繰り返される義歯の脱着によりアタッチメントが短時間で急激に弾性力を失ってしまい、義歯が口腔内に装着された状態で加わり続ける様々な方向の咬合力によって前後左右を含む全方向への義歯の動きを一定部分弾性的に緩衝する緩圧(stress break)機能も発揮することができないので、短い長さのフック突起の永久変形が発生しやすいという問題点と、緩衝されていない咬合力の持続的衝撃によりフィクスチャーの寿命も短くなるおそれがあるという問題点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、ユーザが、義歯の底面に結合した第1の締結部と、天然歯又はインプラントフィクスチャーの上部側に備えられた第2の締結部とを簡単な操作で着脱することができるのはもとより、義歯に咬合力が持続的に加わる場合でも、アタッチメント自体の弾性リブ構造によって伝達される力を緩衝することができ、その結果、アタッチメントの寿命だけでなく、第2の締結部が結合しているインプラントフィクスチャー又は天然歯の歯根の寿命までも延ばすことができる義歯用アタッチメントを提供することにある。
【0013】
本発明の他の目的は、螺旋状を有する複数の弾性リブによってアタッチメント自体が緩衝機能を持つように構成することにより、咬合力によって加わる応力が緩衝されてアタッチメント又はインプラントフィクスチャーに集中せず、さらには垂直及び側方圧による応力も緩衝することができる義歯用アタッチメントを提供することにある。
【0014】
本発明の別の目的は、歯槽骨に植え立てられた複数個のフィクスチャー同士が成す植立角度が50°以上となるように互いに大きくずれて植え立てられている場合でも、第2の締結部のネック部がフィクスチャー植立角度収容陥没部内に着座するようにすることにより、フィクスチャーのずれて植え立てられた角度を補償することができ、その結果、フィクスチャーがなす植立角度が50°以上となるように互いにずれて植え立てられている場合にも、第1の締結部がいかなる干渉や変形もなく第2の締結部に締結できるようにすることにある。
【0015】
本発明の別の目的は、義歯の底面に埋め込まれる第1の締結部の末端部が外径から内径まで傾斜面をなすようにすることにより、義歯が歯茎枠に装着される過程で第2の締結部が第1の締結部と結合することができる正確な位置に来なくても、第2の締結部が第1の締結部の入口の外径から内径への傾斜面に沿って摺動して位置するため、第1の締結部と自然に結合することができる義歯用アタッチメントを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するための本発明の一実施形態は、口腔内に装着される義歯(denture)の維持力を補強するために使用される義歯用アタッチメントであって、義歯の底面に結合する第1の締結部と、歯槽骨に植え立てられている天然歯又はインプラントフィクスチャーの上部側に備えられ、前記第1の締結部と相互結合する第2の締結部と、を含み、前記第1の締結部と前記第2の締結部のうちの少なくとも一箇所には、一定区間が螺旋状をなす複数の弾性リブが内径中心軸を中心として外周に沿って備えられ、単位の弾性リブそれぞれは、一端が互いに連結され且つ他端は互いに分離されるため、他端が外力によって内径中心軸を基準として内側又は外側に変形してから、外力が除去されると元の形状に復元され、これらの弾性リブの弾性復元作用によって、前記第1の締結部と前記第2の締結部とが弾性的に着脱可能に構成される。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ユーザが、義歯の底面に結合した第1の締結部と、天然歯又はインプラントフィクスチャーの上部側に備えられた第2の締結部とを簡単な操作で着脱することができるのはもとより、義歯に咬合力が持続的に加わる場合でも、アタッチメント自体の弾性リブ構造によって伝達される力を緩衝することができ、その結果、アタッチメントの寿命だけでなく、第2の締結部が結合しているインプラントフィクスチャー又は天然歯の歯根の寿命までも延ばすことができるという効果を持つ。また、螺旋状を有する複数の弾性リブによってアタッチメント自体が緩衝機能を持つように構成することにより、咬合力によって加わる応力が緩衝されてアタッチメント又はインプラントフィクスチャーに集中せず、さらには垂直及び側方圧による応力も全体にわたって分散させることができる。
【0018】
また、本発明によれば、フィクスチャーの一面に位置する第2の締結部と義歯の底面に埋め込まれる第1の締結部のうちの少なくとも一箇所に、一定区間が螺旋状をなす複数個の弾性リブが集まって形成する弾性締結部が備えられ、前記一定区間が螺旋状をなす弾性リブの開放されている末端部が弾性リブの内径中心軸を中心として内側又は外側への弾性的動きによる弾性締結力を持つようにすることにより、直線状に弾性リブを形成して締結力を持つように形成したときよりも弾性リブの長さを少なくとも2.5倍長く延ばすことができるため、螺旋状の弾性リブの永久変形のない弾性的変形量を非常に大きくすることができ、その結果、アタッチメントの弾性的耐久性を大きくすることができ、柔らかい脱着力を発揮することができ、義歯に多様な方向の咬合力が加わったときに発生しうる前後左右を含む全方向への義歯動きを一定部分弾性的に許容することができる緩圧機能も発揮することができるので、フィクスチャー又はアタッチメントの寿命を延ばすという効果を持つ。
【0019】
また、歯槽骨に植え立てられた複数個のフィクスチャー同士が成す植立角度が50°以上となるように互いに大きくずれて植え立てられている場合、第2の締結部のネック部がフィクスチャー植立角度収容陥没部内に着座するようにすることにより、フィクスチャーのずれて植え立てられた角度を補償することができ、その結果、フィクスチャーがなす植立角度が50°以上となるように互いに大きくずれて植え立てられている場合でも、第1の締結部がいかなる干渉や変形もなく第2の締結部に締結できるという効果を持つ。
【0020】
また、本発明によれば、義歯の底面に埋め込まれる第1の締結部の末端部が外径から内径まで傾斜面をなすようにすることにより、義歯が歯茎枠に装着される過程で第2の締結部が第1の締結部と結合することができる正確な位置に来なくても、第2の締結部が第1の締結部の入口の外径から内径への傾斜面に沿って摺動して位置するため、第1の締結部と自然に結合することができるという効果を持つ。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態による義歯用アタッチメントの分解斜視図である。
図2】本発明の一実施形態による義歯用アタッチメントの分解断面図である。
図3】本発明の第1の締結部の一実施形態を示す斜視図、A-A線に沿った断面図、及びB-B線に沿った断面図である。
図4】本発明の一実施形態による義歯用アタッチメントの結合断面図である。
図5】本発明の一実施形態において、第2の締結部の垂直中心軸がずれて位置した状態で第1の締結部が第2の締結部に結合するとき、第2の締結部のネック部が第1の締結部のフィクスチャー植立角度収容陥没部内に着座する構造を示す断面図である。
図6図6(a)は本発明の第1の締結部の他の実施形態を示す斜視図、図6(b)は本発明の第1の締結部の別の実施形態を示す斜視図である。
図7】本発明の他の実施形態による第2の締結部の構造を示す斜視図である。
図8】本発明の他の実施形態に係る第2の締結部の構造、及び該第2の締結部に対応して結合する第1の締結部の構造を示す断面図である。
図9】本発明の一実施形態による弾性リブを保護するための弾性リブ保護ハウジングの他の実施形態を示す断面図である。
図10】本発明の第1の締結部の他の実施形態を示す斜視図、A-A線に沿った断面図、及びB-B線に沿った断面図である。
図11】本発明の一実施形態による第1の締結部の末端部の外径から内径までの傾斜面Sを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を参照してより詳細に説明する。
【0023】
図1は本発明の一実施形態による義歯用アタッチメントの分解斜視図、図2は本発明の一実施形態に係る義歯用アタッチメントの分解断面図である。
【0024】
まず、図1及び図2を参照すると、本発明の一実施形態による義歯用アタッチメント100は、口腔内に装着される義歯の維持力を補強するために使用されるものであって、歯茎と接触する義歯に結合するベース部10と、前記ベース部10の下側に延在し、外周に沿って複数個の弾性リブ20A、20Bが下向きに突出するように形成された第1の締結部20と、歯槽骨に植え立てられている天然歯の歯根の上部又はインプラントフィクスチャー1の上部に設けられ、前記第1の締結部20と相互結合する第2の締結部40と、を備える。好ましくは、前記ベース部10及び前記第1の締結部20は、義歯ボディに埋め込まれるように義歯に結合する。
【0025】
図1及び図2では、第2の締結部40を備えたアバットメント30がインプラントフィクスチャー1の上部側に結合していることを示しているが、第2の締結部40は、多様な方式で天然歯又はインプラントフィクスチャーの上部側に備えられることができ、これとは異なり、歯槽骨に植え立てられるフィクスチャーに一体的に形成されることもできる。
【0026】
前記ベース部10及び第2の締結部40は、義歯ボディの内部に接着用レジンなどで固定される。より好ましくは、前記ベース部10は、義歯に固定される機能さえできれば、様々な形状に製造できるのは自明である。
【0027】
図1及び図2に示すように、前記第1の締結部20は、前記ベース部10の下側に延在し、一定区間螺旋状をなす複数個の弾性リブ20a、20bが同一の内径中心軸Aを中心として外周に沿って下向きに突出するように備えられる。好ましくは、単位の弾性リブ20a、20bそれぞれは、一端が互いに連結され且つ他端は互いに分離されるため、他端が外力によって同一の内径中心軸Aを基準として内側又は外側に変形してから、外力が除去されると元の形状に復元され、これらの弾性リブの弾性復元作用によって第1の締結部20と第2の締結部40との弾性的な脱着が可能である。
【0028】
一方、図7に示すように、第2の締結部40にも、螺旋状をなす複数個の弾性リブが同一の内径中心軸Aを中心として外周に沿って備えられることができる。すなわち、前記第1の締結部20と第2の締結部40のうちの少なくとも一箇所には、一定区間が螺旋状をなす複数個の弾性リブが同一の内径中心軸Aを中心として外周に沿って備えられることができる。
【0029】
図1を参照すると、前記アタッチメント30は、歯槽骨に植え立てられている天然歯の歯根の上部又はインプラントフィクスチャー1の上部に締結され、上部には、前記第1の締結部20と着脱可能に結合する第2の締結部40が備えられる。すなわち、アタッチメント30のねじ山32がインプラントフィクスチャー1の軸孔内にねじ込まれて固定される。
【0030】
図2を参照すると、アタッチメント30の上部に突設された第2の締結部40は、複数個の弾性リブ20a、20bで囲まれて内側に形成された締結空間に結合する。すなわち、ユーザは、接着用レジンによって義歯に固定された第1の締結部20が第2の締結部40の上側に対応するように位置させた状態で、義歯全体を下方に加圧する簡単な操作だけでも、カチッという音と共に容易に義歯を歯茎の上に装着することができる。ここで、前記複数個の弾性リブ20a、20bからなる前記第1の締結部20が前記第2の締結部40と締結される際に、前記複数の弾性リブ20a、20bは同一の内径垂直中心軸Aを基準として外側又は内側に変形してから締結完了時に原状復元される弾性復元作用によって前記第2の締結部40に弾性締結される。場合によっては、第2の締結部がインプラントフィクスチャーに一体的に形成されることができる。
【0031】
図1を参照すると、前記第1の締結部20は、一定区間にわたって螺旋状を有する複数個の弾性リブ20a、20bからなるが、このような螺旋状を有する複数個の弾性リブ20a、20bは、それ自体が緩衝機能を持つため、咬合力によって加わる応力を緩衝させるのはもとより、垂直及び側方圧による応力も分散させる機能をする。
【0032】
図6(a)は本発明の第1の締結部の一実施形態を示す斜視図であり、図6(b)は本発明の第1の締結部の別の実施形態を示す斜視図である。本発明の複数個の弾性リブ20a、20bは、図6(a)に示すように、第1の締結部20の下側末端まで螺旋状に形成されてもよく、図6(b)に示すように、一定区間で螺旋状を有し、末端部から直線状に形成されてもよい。この場合、上部の隣接する弾性リブ同士の間では螺旋状の間隙22を有し、末端部の一定区間では垂直方向の間隙24を有する。このように、特に下部開放されている末端部に垂直方向の間隙24を構成した理由は、弾性リブの十分な機械的強度を確保するためである。もし弾性リブが図6(a)のようにベース部10から第1の締結部20の下側末端まで螺旋状に構成される場合、特に開放された部位のエッジ部位の機械的強度が弱くなるおそれがあることを考慮したのである。ところが、本発明は、複数個の弾性リブが第1の締結部20の少なくとも一定区間で螺旋状を有することができる全ての構造を含むものと解釈されるべきである。
【0033】
図1及び図3を参照すると、分離されている弾性リブの他端からなる第1の締結部20の末端部には、一定区間陥没しているフィクスチャー植立角度収容陥没部22が少なくとも一つ形成される。
【0034】
前記フィクスチャー植立角度収容陥没部22は、フィクスチャー同士がなす植立角度が50°以上となるように互いに大きくずれて植え立てられている場合、図5に示すように、前記第2の締結部40のネック部42が前記フィクスチャー植立角度収容陥没部22内に着座するようにすることにより、フィクスチャーのすれて植え立てられた角度を補償することができ、その結果、フィクスチャー同士がなす植立角度が50°以上となるように互いにずれて植え立てられている場合でも、第1の締結部がいかなる干渉や変形もなく第2の締結部と締結可能である。
【0035】
図5を参照すると、前記フィクスチャー植立角度収容陥没部22は、互いに大きくずれて植え立てられているフィクスチャーに締結されている第2の締結部40と結合する第1の締結部20が埋め込まれた義歯が口腔内に装着された後、咬合力によって歯茎方向に移動したとき、第2の締結部による第1の締結部の弾性リブの変形を最小限に抑えるために、分離されている弾性リブの他端からなる第1の締結部の末端部、すなわち第2の締結部が第1の締結部に進入する初入口部位で一定区間陥没するように形成される。
【0036】
好ましくは、図2に示すように、前記フィクスチャー植立角度収容陥没部22の幅D3は、前記第2の締結部40のネック部42の最大外径D4と同じ又はそれより大きい。その結果、第2の締結部の垂直中心軸がずれて位置した状態で第1の締結部を第2の締結部に結合するとき、第2の締結部のネック部42がフィクスチャー植立角度収容陥没部22内に着座するようにして、第1の締結部のフィクスチャー植立角度収容陥没部が第2の締結部のネック部下部側の外側面に最も近く位置するようにすることができる。
【0037】
図1を参照すると、複数個の弾性リブ20a、20bの外周面には、弾性リブ保護ハウジング50がさらに備えられることができる。前記弾性リブ保護ハウジング50は、第1の締結部20を義歯に固定するときに使用される接着用レジンなどが第1の締結部20の弾性リブ20a、20bの間に染み込むのを防止するためのものであって、前記ベース部10に一体的に備えられることができるのはもとより、ベース部固定作業の完了後に除去することができるように分離型に製作されることもできる。好ましくは、前記弾性リブ保護ハウジング50は、第1の締結部20が第2の締結部40に締結されるとき、又は義歯に咬合力が加わるとき、弾性リブ保護ハウジング50内で弾性リブが変形しうる空間を確保することができるように弾性リブ保護ハウジング50の内面と第1の締結部20の外面との間に弾性変形することができる空間だけの間隙を持つように製造できる。
【0038】
本発明の他の実施例によれば、図9に示すように、弾性リブ保護ハウジング50の外周面に凹凸部52がさらに備えられることができる。これは、ベース部10と弾性リブ保護ハウジング50全体がレジンなどによって義歯内に埋め込まれる場合、前記凹凸部52がレジンと結合して堅固性と耐久性を確保するためである。好ましくは、前記弾性リブ保護ハウジング50は、一定区間で垂直長さ方向に折り畳まれて長さが短くなることができるように、円周に沿ってシワが形成できる。場合によっては、前記弾性リブ保護ハウジング50は、ポリマーなどの合成樹脂材で形成され、シワ加工を容易にすることもできる。
【0039】
本発明の別の実施形態によれば、図6及び図7に示すように、第1の締結部20が複数の弾性リブからなる第2の締結部40に締結される構造を持つことができる。この場合、第2の締結部40の複数個の弾性リブは、第1の締結部20が嵌め込まれて締結される場合、中心軸Aを基準として外側に変形してから締結完了時に原状復元される弾性復元作用によって弾性締結される。
【0040】
図4を参照すると、第1の締結部20と第2の締結部40とが締結されるとき、一定区間螺旋状を有する複数個の弾性リブで囲まれてなる第1の締結部20の軸孔の底面と第2の締結部40の上端との間には、「義歯の垂直的位置変化収容空間B」が形成されることができる。好ましくは、前記収容空間Bの垂直距離は少なくとも0.6mmになる。より好ましくは、前記義歯の垂直的位置変化収容空間には、ばね又はゴム材質などの弾性体がさらに備えられることができる。最も好ましくは、前記義歯の垂直的位置変化収容空間Bの内径D1は、第2の締結部40のうち、締結される部位の最大外径D2と同じ又はそれより大きい。これは、義歯の底面と接触している歯茎が咬合力によって押圧されて義歯の垂直位置が変化するとき、第2の締結部40が縁部の干渉なく前記垂直的位置変化収容空間B内に容易に進入することができるようにするためである。
【0041】
すなわち、義歯に咬合力が加わって義歯の底面と接触している歯茎が押圧されて義歯の垂直的位置が変化するとき、第2の締結部40を包んでいる第1の締結部(すなわち、複数の弾性リブ)が外側に変形しながら、第2の締結部40が「義歯の垂直的位置変化収容空間」に移動する。その後、咬合力が除去され、押圧されていた歯茎が復元されると、歯茎が咬合力を受ける以前の位置に移動し、第1の締結部20が元の位置に復元され、結果として第2の締結部40が第1の締結部20の軸孔内で咬合力を受ける以前の垂直位置に弾性的に復元されることができる。この場合、前記義歯の垂直的位置変化収容空間にばね又はゴム材質などの弾性体がさらに備えられることで、義歯位置の前記弾性的復元をより容易にすることができる。
【0042】
本発明の別の実施形態によれば、図10に示すように、ベース部10の上面には、義歯ボディとの結合のためにねじ部材12が備えられることができる。この場合、義歯ボディには、ねじ部材12と対応する位置に結合凹溝(図示せず)が形成される。また、前記ねじ部材12と対応する前記ベース部の内側下面には多角形凹溝部14が備えられるが、これは、施術者がアタッチメントを義歯ボディに結合するか、或いはアタッチメントを交替する必要がある場合、ドライバーなどを多角形凹溝部14に嵌め込んで回転させることができるようにするためである。
【0043】
このように、ねじ部材を介してアタッチメントを義歯に結合した場合、接着用レジンなしでも容易にアタッチメントを義歯に固定することができる。特に、施術後使用中にアタッチメントを破損又は損傷のため交替する必要がある場合にも、ドライバーを用いて容易に分離及び再結合することができる。
【0044】
以上、図面を参照して特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明は、このような特定の構造に限定されるものではない。当業分野における通常の知識を有する者であれば、以下の特許請求の範囲に記載された本発明の技術思想及び権利範囲から逸脱することなく、本発明に様々な修正又は変更を加えることができる。ところが、それらの単純な設計上の材料修正又は変形構造はいずれも明らかに本発明の権利範囲内に属することを予め明かしておく。
図1
図2
図3
図4
図5
図6(a)】
図6(b)】
図7
図8
図9
図10
図11