(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-27
(45)【発行日】2023-04-04
(54)【発明の名称】伸縮式ブーム組立体のためのインサート付き摩耗パッド
(51)【国際特許分類】
B66C 23/693 20060101AFI20230328BHJP
【FI】
B66C23/693 N
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018035777
(22)【出願日】2018-02-28
【審査請求日】2021-02-26
(32)【優先日】2017-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510051082
【氏名又は名称】マニタウォック クレイン カンパニーズ, エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】MANITOWOC CRANE COMPANIES, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100083895
【氏名又は名称】伊藤 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100175983
【氏名又は名称】海老 裕介
(72)【発明者】
【氏名】カラマン, ブラッドリー チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】ベントン, ジョン フリーモント
【審査官】吉川 直也
(56)【参考文献】
【文献】実開平05-014083(JP,U)
【文献】特開2010-285224(JP,A)
【文献】実開昭58-072253(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2017/0029253(US,A1)
【文献】特開平11-157779(JP,A)
【文献】特開2010-168216(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 23/68-23/693
B66F 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
伸縮式ブーム組立体のための摩耗パッドであって、
摩耗パッド本体であって、第1面、及び前記第1面とは反対側に位置していて前記第1面から当該摩耗パッド本体の高さだけ離間されている第2面を有している摩耗パッド本体と、
前記第1面と前記第2面の一方に形成された溝と、
その一部分が前記溝から外方に突き出るように前記溝内に配置されているインサートと、
を備え、
当該摩耗パッドは、前記溝が内側の伸縮ブーム区分と前記内側の伸縮ブーム区分に直接隣接する外側の伸縮ブーム区分の長手軸線の周りの周方向に延びるようにして、前記内側の伸縮ブーム区分と前記外側
の伸縮ブーム区分との間に設置されるように構成されて
おり、
前記摩耗パッド本体は、前記摩耗パッド本体の撓みを可能にさせるように、前記溝に対して直角に延びる複数の陥凹を含んでいる、摩耗パッド。
【請求項2】
前記インサートは低摩擦材料である、請求項1に記載の摩耗パッド。
【請求項3】
前記低摩擦材料は、ポリテトラフルオロエチレンとグラファイトと二硫化モリブデンのうちの少なくとも1つを含んでいる、請求項2に記載の摩耗パッド。
【請求項4】
前記溝と前記インサートとは、前記インサートがインターロック式の嵌め合いによって前記溝内に保持されるように、少なくとも部分的に形状が対応している、請求項1に記載の摩耗パッド。
【請求項5】
前記摩耗パッド本体は、実質的に平坦な撓んでいない状態から、少なくとも1つの曲率半径を有する撓んだ状態へと可動である、請求項
1に記載の摩耗パッド。
【請求項6】
前記インサートと前記溝は前記摩耗パッド本体の前記第1面側に配置されており、前記第1面は前記摩耗パッドの略凸形状を有する外面である、請求項1に記載の摩耗パッド。
【請求項7】
前記インサートと前記溝は前記摩耗パッド本体の前記第2面側に配置されており、前記第2面は前記摩耗パッド本体の内面であり略凹形状を有している、請求項1に記載の摩耗パッド。
【請求項8】
第2の溝及び前記第2の溝内に配置されているワイパーを更に備えている、請求項1に記載の摩耗パッド。
【請求項9】
外側のブーム区分と、
前記外側のブーム区分内に配置されていて前記外側のブーム区分から外へ伸長したり中へ収縮したりする伸縮運動をするように構成されている内側のブーム区分と、
摩耗パッド本体、溝、及びインサートを有する摩耗パッドであって、
前記摩耗パッド本体は、第1面及び前記第1面とは反対側に位置していて当該摩耗パッド
本体の高さだけ離間されている第2面を有して
おり、
前記溝は、前記第1面と前記第2面の一方に形成され
ており、
前記インサートは、前記溝内に配置され、前記溝から外方に突き出る部分を有している、
摩耗パッドと、
を備え、
前記摩耗パッドは、前記溝が前記内側のブーム区分と前記外側のブーム区分の長手軸線の周りの周方向に延びるようにして前記内側のブーム区分と前記外側のブーム区分の一方に設置されており、前記インサートは前記内側のブーム区分と前記外側のブーム区分の他方に接触するように構成されて
おり、
前記摩耗パッド本体は、前記摩耗パッド本体の撓みを可能にさせるように、前記溝に対して直角に延びる複数の陥凹を含んでいる、伸縮式ブーム組立体。
【請求項10】
前記インサートは低摩擦材料である、請求項
9に記載の伸縮式ブーム組立体。
【請求項11】
前記低摩擦材料は、ポリテトラフルオロエチレンとグラファイトと二硫化モリブデンのうちの少なくとも1つを含んでいる、請求項
10に記載の伸縮式ブーム組立体。
【請求項12】
前記溝と前記インサートは、前記インサートがインターロック式の嵌め合いによって前記溝内に保持されるように、少なくとも部分的に形状が対応している、請求項
9に記載の伸縮式ブーム組立体。
【請求項13】
前記摩耗パッドは前記内側のブーム区分上に設置されている、請求項
9に記載の伸縮式ブーム組立体。
【請求項14】
前記インサートと前記溝は前記摩耗パッドの前記第1面側に配置されており、前記第1面は略凸形状を有する外面であり、前記インサートが前記外側のブーム区分の内面に接触するようにされた、請求項
13に記載の伸縮式ブーム組立体。
【請求項15】
前記摩耗パッドは、第2の溝及び前記第2の溝内に配置されているワイパーを更に備えている、請求項
9に記載の伸縮式ブーム組立体。
【請求項16】
外側のブーム区分と、
前記外側のブーム区分内に配置されていて前記外側のブーム区分から外へ伸長したり中へ収縮したりする伸縮運動をするように構成されている内側のブーム区分と、
摩耗パッド本体、溝、及びインサートを有する第1の摩耗パッドであって、
前記摩耗パッド本体は、第1面及び前記第1面とは反対側に位置していて前記第1面から当
該摩耗パッド
本体の高さだけ離間されている第2面を有して
おり、
前記溝は、前記第1面と前記第2面の一方に形成されて、深さを有して
おり、
前記インサートは、前記溝内に配置されていて、当該インサートの一部分が前記溝から外方に突き出るように前記溝の前記深さより大きい高さを有している
、第1の摩耗パッドと、
第2の摩耗パッドと、
を備え、
前記第1の摩耗パッドは、前記溝が前記内側
のブーム区分の長手軸線の周りの周方向に延びるようにして前記内側のブーム区分の後方部分に設置されていて前記内側のブーム区分と一体に前記外側のブーム区分に対して動くようにされており、前記第2の摩耗パッドは前記外側のブーム区分の前方部分に設置されていて前記外側のブーム区分に対して固定されて
おり、
前記摩耗パッド本体は、前記摩耗パッド本体の撓みを可能にさせるように、前記溝に対して直角に延びる複数の陥凹を含んでいる、伸縮式ブーム組立体。
【請求項17】
前記第2の摩耗パッドの内面は、前記内側のブーム区分の外面に接触するように構成されている、請求項
16に記載の伸縮式ブーム組立体。
【請求項18】
前記第2の摩耗パッドは、内面に形成されて、該外側
のブーム区分の長手軸線の周りの周方向に延びる溝と、前記溝内に配置されて前記溝から外向きに突き出る部分を有するインサートであって、前記内側のブーム区分の外面に接触するように構成されているインサートと、を含んでいる、請求項
16に記載の伸縮式ブーム組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概括的には、クレーンやテレローダー(teleloader)などの様な、伸縮式ブーム組立体を具備する建設機材及び建設機械に関する。具体的には、本願は、伸縮式ブーム組立体の入れ子にされた区分同士の間に配置される摩耗パッドに関する。
【背景技術】
【0002】
摩耗パッドは伸縮式ブーム組立体の或る区分の重量を伸縮式ブーム組立体の別の区分に対して部分的に支持するのが典型的である。摩耗パッドは、更に、伸縮式ブーム組立体の隣接する区分同士の間の滑り摩擦を低減するように構成されているものである。また、摩耗パッドは、典型的に、交換可能であるように設計されている。
【0003】
既知の摩耗パッドは、実質的に曲がらないこともあり、伸縮区分の特定の設計及び形状に合わせて機械加工されている。これらの摩耗パッドは、実質的に連続した摩耗パッドを形成するべく伸縮区分の少なくとも一部分の周りに設置される複数の区分として形成されていることがある。別の既知の摩耗パッドは、単一部片として形成されていて、摩耗パッドの柔軟性を向上させるべくその厚さを部分的に貫いて延びる複数の溝を含んでいる。その様な摩耗パッドは、それが設置される伸縮区分の形状に実質的に追従するように設置時に撓ませることができる。本願と同一の出願人であるManitowoc Crane Companies,LLCによって所有されていてここに参考文献としてその全体が援用される米国特許出願第15/220,140号(米国特許公開第2017/0029253号として公開)は、その様な摩耗パッドを開示している。
【0004】
伸縮式ブームは、典型的には、隣接する伸縮ブーム区分同士の間、具体的には摩耗パッドと摩耗パッドが支承する伸縮ブーム区分の間に、潤滑を必要とする。1つの伸縮区分を別の伸縮区分に対して伸長又は収縮させる間のチャタリング、粗動、又は粗い動作を低減又は防止するのに流体又は半固体の潤滑剤が使用されている。しかしながら、適切な潤滑を確保するためには伸縮区分を監視しなくてはならず、整備は時間を食うし、その様な潤滑剤で汚れてしまうこともある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許出願第15/220,140号(米国特許公開第2017/0029253号)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、直接隣接する伸縮ブーム区分同士の間への潤滑剤注入の必要性を低減又は排除する摩耗パッドの必要性が存在している。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1つの態様によれば、伸縮式ブーム組立体のための摩耗パッドが提供されている。摩耗パッドは、摩耗パッド本体であって、第1面及び第1面とは反対側に位置していて第1面から摩耗パッド本体の高さだけ離間されている第2面を有している摩耗パッド本体と、第1面と第2面の一方に形成され摩耗パッド本体の長さに沿って延びている溝と、その一部分が溝から外方に突き出るように溝内に配置されているインサートと、を含んでいる。摩耗パッドは、内側の伸縮ブーム区分と直接隣接する外側の伸縮ブーム区分との間に設置されるように構成されている。
【0008】
別の態様によれば、外側のブーム区分と、外側の区分内に配置されていて外側のブーム区分から外へ伸長したり中へ収縮したりする伸縮運動をするように構成されている内側のブーム区分と、を備えている伸縮式ブーム組立体が提供されている。伸縮式ブーム組立体は、摩耗パッドであって、第1面及び第1面とは反対側に位置していて第1面から摩耗パッドの高さだけ離間されている第2面を有している摩耗パッドと、第1面と第2面の一方に形成され摩耗パッドの長さに沿って延びている溝と、溝内に配置され該溝から外方に突き出る部分を有しているインサートと、を更に含んでいる。摩耗パッドは、内側のブーム区分と外側のブーム区分の一方に設置されており、インサートは内側のブーム区分と外側のブーム区分の他方に接触するように構成されている。
【0009】
更に別の態様によれば、外側のブーム区分と、外側のブーム区分内に配置されていて外側の区分から外へ伸長したり中へ収縮したりする伸縮運動をするように構成されている内側のブーム区分と、を有している、クレーンの伸縮式ブーム組立体が提供されている。この組立体は、第1の摩耗パッドであって、第1面及び第1面とは反対側に位置していて第1面から第1の摩耗パッドの高さだけ離間されている第2面を有している摩耗パッドと、第1面と第2面の一方に形成され第1の摩耗パッドの長さに沿って延びていてある深さを有している溝と、溝内に配置され一部分が溝から外方に突き出るように溝の深さより大きい高さを有しているインサートと、を更に備えている。この組立体は第2の摩耗パッドを更に含んでいる。第1の摩耗パッドは内側のブーム区分の後方部分に設置されていて内側のブーム区分と一体に外側のブーム区分に対して動くように構成されており、第2の摩耗パッドは外側のブーム区分の前方部分に設置されている。
【0010】
本発明のこれら及び他の特徴及び利点は、付随の特許請求の範囲と併せて次の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】ここに説明されている或る実施形態による伸縮式ブーム組立体を備える建設車両の斜視図である。
【
図2】
図1の伸縮式ブーム組立体のA-A断面である。
【
図3】ここに説明されている或る実施形態による、伸縮式ブーム組立体の第1区分及び関連付けられている摩耗パッドの斜視図である。
【
図4】ここに説明されている或る実施形態による、未設置位置にある摩耗パッドの或る実施形態の斜視図である。
【
図6】ここに説明されている或る実施形態による、設置位置にある
図4の摩耗パッドの斜視図である。
【
図8】未設置位置にある摩耗パッドの別の実施形態の斜視図である。
【
図9】ここに説明されている或る実施形態による、設置位置にある
図8の摩耗パッドの斜視図である。
【
図11】ここに説明されている或る実施形態による、伸縮式ブーム組立体内に、関連付けられているシムと共に設置されている
図6の摩耗パッドの拡大断面図である。
【
図12】ここに説明されている或る実施形態による、摩耗パッドと共に使用するためのインサートの或る実施例を示している端面図である。
【
図13】撓んだ状態にある、
図12のインサートの側面図である。
【
図14】弛緩状態にある、
図12のインサートの側面図である。
【
図15】ここに説明されている或る実施形態による、インサートを有する摩耗パッドの斜視図である。
【
図16】ここに説明されている或る実施形態による、インサートと共に使用するように構成されている摩耗パッドの平面図である。
【
図21】ここに説明されている或る実施形態による、インサートと共に使用するように構成されている摩耗パッドの内観図である。
【
図31】ここに説明されている或る実施形態による、インサートと一体の摩耗パッドの内観図である。
【
図33】ここに説明されている別の実施形態による摩耗パッドの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本装置は様々な形態での具現化の余地があるとはいえ、図面には目下のところ好適な実施形態が示されており以下ではそれら実施形態を説明してゆくが、ついては本開示は装置の例示と見なされるべきであって本開示を示されている特定の実施形態に限定しようとするものではないことを理解しておきたい。
【0013】
図1は、伸縮式ブーム組立体15を含んでいる建設車両10を描いている。建設車両10は、建設車両10を移動式にする車輪、軌道、レール、などの様な地面係合部材18を備えて構成されていてもよいし、又は代わりに建設車両10は架台(図示せず)上などに固定されていてもよい。
【0014】
幾つかの実施形態では、建設車両10は、
図1に描かれている様に移動式クレーンである。勿論、建設車両10は、テレローダーであるか又は伸縮式ブーム組立体15を含んでいる何れかの他の型式の建設車両であってもよい。
【0015】
図2には、
図1の伸縮式ブーム組立体15のA-A断面が描かれている。伸縮式ブーム組立体15は断面が矩形であるが、理解しておきたいこととして、本発明の実施形態は、方形、矩形、楕円形、分節型の伸縮式ブーム組立体と共に採用されてもよいし、又は伸縮式ブーム組立体の含まれている1つ又はそれ以上の部分が別の部分の曲率半径と同じ又は異なる曲率半径を有している伸縮式ブーム組立体と共に採用されてもよい。
【0016】
伸縮式ブーム組立体15は、第1区分20と、第1区分20の最も典型的には内部に又は第1区分の周りに入れ子にされるように構成されている少なくとも第2区分25と、を含んでいる。つまり、第1区分20は外側の伸縮ブーム区分であり、第2区分25は内側の伸縮ブーム区分である、としてもよい。第2区分25は第1区分20から離れて伸長したり第1区分20の中へ収縮したりすることができる。したがって、
図2では、第2区分25は、左方へ第1区分20及びブームピボット17(
図1)から離れるように伸長してゆく。勿論、伸縮式ブーム組立体15は、複数の入れ子区分を含んでいてもよい。第2区分25並びに他の入れ子にされた伸縮区分(図示せず)は、既知のリニアアクチュエータ(図示せず)によって伸長方向又は収縮方向に駆動されるようになっていてもよい。
【0017】
伸縮式ブーム組立体15の第1区分20と第2区分25の間には、少なくとも1つの摩耗パッド30が配置されている。随意的に、第1区分20と第2区分25の一方に連結されているブラケット50が、摩耗パッド30をそれが隣接している第1区分20又は第2区分25に対して所定位置に受け入れ及び/又は保持するように構成されている。
【0018】
伸縮式ブーム組立体15の第1区分120の別の実施形態が、
図3に斜視図で描かれている。第2区分は描かれていないが、当業者には理解される様に典型的に外観は第1区分120と同様であるはずだということに留意されたし。この事例では、第1区分は複数の部分121a、121b、121cを含んでいる。各部分121a、121b、121cは、他の部分121a、121b、121cのうちの少なくとも1つの曲率半径とは異なる曲率半径を含んでいる。
【0019】
摩耗パッド130は、随意的に、ブラケット150によって所定位置内に受け入れられ及び/又は所定位置に保持される。ブラケット150は、随意的に、少なくとも1つ又はそれ以上の位置決め部材151a、151b、151cを含んでいる。位置決め部材151a、151b、151cは、タブ、フランジ、陥凹、溝、リッジ、又は摩耗パッド130を受け入れ及び/又は保持するように構成されている何れかの他の同様の構造であってもよい。位置決め部材151a、151b、151cは、互いと及び/又は第1区分120と共に一体形成されていてもよい。
図3に描かれている様に、位置決め部材151a、151b、151cは、第1端122から離れて内方に延びている位置決め部材151aや第1区分120の内面123から離れて延びている隆起した位置決め部材151b及び151cの様な、平板鋼及び/又はプラスチックから作られた各種フランジを含んでいてもよい。位置決め部材151a、151b、151cは、第1区分120と摩耗パッド130の製造公差に適応するべく位置決め部材151a、151b、151cを動かせるようにナット、ねじ、ボルト、スロット及び溝、接着剤、などの様な取り付け装置152で調節可能に第1区分120へ固定されていてもよい。
【0020】
図4-
図7を見て、摩耗パッド230の或る実施形態が、第1面232と、第1面232とは反対側に位置していて第1面232から厚さ又は高さ236だけ離間されている第2面234を含んでいる。摩耗パッド230は、同様に、長さ238と幅又は奥行き240を含んでいる。
図4及び
図5は、未設置位置にある摩耗パッド230を描いており、一方、
図6及び
図7は設置された形状及び向きにある摩耗パッド230を描いている。
図4及び
図5に描かれている様に、高さ236及び奥行き240は長さ238より相当小さく、その結果、摩耗パッド230は形状が矩形である。随意的には、第1面232と第2面234の間の高さ236は、摩耗パッド230の長さ238と幅240の少なくとも一方を横断して実質的に同じである。更に他の実施形態では、第1面232と第2面234の間の高さ236は、摩耗パッド230の長さ238と幅240の少なくとも一方を横断して平均高さの10パーセント未満で変化するように構成されていてもよい。
【0021】
但し、摩耗パッドの様々な実施形態では、摩耗パッドの寸法/採寸値の様々な高さ、長さ、及び奥行きを使用することができる。また、ここでの使用に際し、高さ、奥行き、及び長さという用語は、様々な寸法を単に区別しているだけであって、或る所与の寸法の他の寸法に対する規模を暗示しているわけではない。当然ながら、方形、楕円形、丸形、及び他の幾何学形状を含め、他の形状の摩耗パッドも構想される。楕円形及び円形の様な他の形状では、長軸及び短軸が長さ及び奥行きという用語に適宜相当する。
【0022】
一実施形態では、摩耗パッド230は、或る材料から作られた本体231(
図4)を含んでいる。一実施形態では、本体231は、他の材料に対比して相対的に低い摩擦係数を有する耐摩耗性材料で作られている。幾つかの実施形態では、本体231の材料は金属である。更に他の実施形態では、摩耗パッド本体231の材料は、プラスチック材料、熱可塑性材料、熱硬化性材料、又は他の類似の材料である。例えば、本体231の材料は、ナイロン又はナイロン系材料であってもよい。随意的には、摩耗パッド230は、本体材料の摩擦係数を更に小さくする摩擦改質剤(図示せず)を含んでいる。摩擦改質剤は、随意的に、本体231の第1面232と第2面234の少なくとも一方へ塗布された潤滑剤と摩耗パッド本体231の材料へ一体化された潤滑剤のうちの少なくとも一方を含んでいる。例えば、摩耗パッド本体231は、モリブデン、及び/又はオイル、及び/又は他の湿潤性及び/又は乾燥性潤滑剤を含浸させていてもよい。
【0023】
摩耗パッド230は、本体231の第1面232と第2面234の少なくとも一方に少なくとも1つの陥凹242を含んでいる。幾つかの実施形態では、摩耗パッド230は複数の陥凹242を含んでいる。第1面232と第2面234は幾つかの実施形態では摩耗パッドの上面と下面であるかもしれないし、また代わりの実施形態では第1面と第2面は、例えば前面と後面或いは左側面と右側面ということもあり得る。
図4に描かれている様に、摩耗パッド230は、随意的に、少なくとも1つの陥凹242aを第1面232に、そして少なくとももう1つの陥凹242bを第2面234に、含んでいる。
【0024】
陥凹242は、摩耗パッド230の寸法を少なくとも部分的に横断して延びている。例えば、陥凹242a及び242bは、摩耗パッド230の奥行き240を完全に横断して延びている。他の実施形態では、陥凹242は、摩耗パッド230の奥行き240及び/又は長さ238を部分的に横断して延びているだけである。
図4に描かれている様に、少なくとも1つの陥凹242は、摩耗パッド230の奥行き240に平行に向きを定められているが、複数の陥凹のなかで陥凹242又は他の陥凹は、高さ236又は長さ238の様な別の寸法に平行であってもよいし、寸法の何れにも平行でなくてもよい。
【0025】
陥凹242は、第1面232と第2面234の少なくとも一方の中へ深さ244だけ延びており、ここに深さ244は第1面232と第2面234の間の高さ236より小さい。
図4に描かれている様に、第1面232の陥凹242aは第1面232の中へ深さ244aだけ延び、陥凹242bは第2面234の中へ深さ244bだけ延びており、各深さ244a及び244bは高さ236より小さい。随意的には、
図5に描かれている様に、第1の陥凹242aの深さ244aと第2の陥凹242bの深さ244bの和は高さ236より小さい。
【0026】
随意的に、摩耗パッド230は、含まれている複数の陥凹242の少なくとも一部分241が複数の陥凹242の少なくとも別の部分243に平行である。代わりに、複数の陥凹242の部分241は複数の陥凹242の別の部分243に対して部分的に平行即ち溝の或る分節又は或る長さに亘ってのみ平行であってもよいし(描かれていない)、又は、更に他の実施形態では、複数の陥凹242の一部分241は複数の陥凹242の別の部分243に平行でなくてもよい(描かれていない)。
【0027】
図5を参照して、一実施形態では、少なくとも1つの陥凹242aは、随意的に、第1軸248を含んでいる。少なくとももう1つの陥凹242bは、随意的に、第2軸250を含んでいる。幾つかの実施形態では、第1軸248と第2軸250は平行である。随意的に、第1軸248と第2軸250は、高さ236、長さ238、又は奥行き240の少なくとも1つに平行な平面内にある。勿論、第1軸248と第2軸250は他の実施形態では平行でない場合もある。
【0028】
陥凹242は、随意的に、幾つかの実施形態では曲率半径253を有する谷底252を含んでいる。他の実施形態では、谷底252は2つの平面の交点である。
図5と
図7を比較することによって示される様に、谷底252の曲率半径253は、摩耗パッドの未設置位置(
図5)と設置位置(
図7)の間で変化し得る。
【0029】
図5は、更に、少なくとも1つの陥凹242が、第1面232と第2面234の少なくとも一方に近接している第1幅254と、少なくとも1つの陥凹242の谷底252に近接している第2幅256と、を含んでいるという随意的な特徴を描いている。
図5に描かれている未設置位置では、第1幅254は第2幅256と大凡同じである。他の実施形態では、摩耗パッド230の未設置位置では、第1幅254は第2幅256より大きく、また他の実施形態では第1幅254は第2幅256より小さい。摩耗パッドが
図7に描かれている様に設置位置に配置されたとき、第1幅254及び第2幅256は変化し得る。
【0030】
複数の陥凹242が存在している摩耗パッド230の実施形態では、隣接する陥凹242同士の同じ構造又は形体間の距離を画定しているピッチ260(
図5)が存在する。従って、幾つかの実施形態では、摩耗パッド230は、
図4に描かれている様に、隣接する陥凹242同士の間に所与のピッチ260を有する第1部分262と、異なるピッチ260を有する第2部分264と、を含んでいる。
図3は、同様に、陥凹142のピッチ160が第1部分162と第2部分164の間で差があるという概念を描いている。
【0031】
摩耗パッド230は、
図4に描かれている様に、第1面232と第2面234の間の第1距離271に配置されている少なくとも第1曲げ平面270を含んでいてもよい。幾つかの実施形態では、第1面232と第2面234の間の第2距離273に配置されている第2曲げ平面272が存在している。曲げ平面又は中立平面は、圧縮力も張力も作用していない平面である。
図4-
図7では、第1曲げ平面270と第2曲げ平面274は、第1面232と第2面234の間で等距離にあるので、第1距離271と第2距離273は実質的に同じ(例えば他方の距離の10%以内)である。但し、他の実施形態では、以下に論じられている様に、第1距離が第2距離とは異なっていることもある。
【0032】
摩耗パッド230は、
図4に描かれている様に、少なくとも1つの陥凹242を含んでいて第1曲げ剛性を有している第1部分280、を含んでいてもよい。摩耗パッド230は、同様に、第2曲げ剛性を有している第2部分282、を有していてもよい。第2部分は、第2部分282内に、陥凹242を全く有していないこともあれば1つ又は複数の陥凹242を有していることもある。更に、第2部分282の曲げ剛性は、典型的にそうである様に第1部分280の曲げ剛性とは異なっていることもあるが、他の実施形態では第1部分280と第2部282の曲げ剛性は同じである。
図4に描かれているように、第2部分282の曲げ剛性は第1部分280の曲げ剛性より大きい。
【0033】
曲げ剛性は、摩耗パッド230を伸縮式ブーム組立体15の第1区分20と第2区分25の間に設置するとき及び摩耗パッド230が設置された後に起こり得る曲げ変形に対する摩耗パッド230の抵抗力である。曲げ剛性は、摩耗パッド230の弾性率(即ち、本体231が作られている材料の関数)と、摩耗パッド230の関心軸周りの断面の面積慣性モーメントと、摩耗パッド230の長さと、境界条件(即ち、他の場所もあるが中でも特に摩耗パッド230の端と面に加えられる力)の関数である。
【0034】
摩耗パッド230の陥凹242のピッチを有する第1部分262及び/又は第2部分264は、曲げ平面を有する第1部分270及び第2部分272の1つ又はそれ以上と同じ部分のこともあれば異なる部分のこともある。同じ様に、第1部分262及び/又は第2部分264は、曲げ剛性の第1部分280及び第2部分282の1つ又はそれ以上と同じ部分のこともあれば異なる部分のこともある。同様に、曲げ平面の第1部分270及び/又は第2部分272は、曲げ剛性の第1部分280及び第2部分282の1つ又はそれ以上と同じ部分のこともあれば異なる部分のこともある。
【0035】
図8-
図10は摩耗パッド330の別の実施形態を描いている。摩耗パッド330は、随意的に、以上に摩耗パッド230に関して述べられている特徴の、全てを含む、何れかの組合せを組み入れている。したがって、摩耗パッド330の論考は明確な相違点に焦点を絞る。
【0036】
摩耗パッド330は、第1面332と第2面334の両方に複数の陥凹342を含んでいる。摩耗パッド330は、隣接する陥凹342同士の間に所与のピッチを有する第1部分362と、隣接する陥凹342同士の間に別のピッチを有する第2部分364と、隣接する陥凹342同士の間に更に別のピッチを有する第3部分366と、を含んでいる。したがって、見て分かる様に、所与の溝間ピッチを有する摩耗パッドの部分は幾つあってもよく、それら所与の溝間ピッチは異なっている及び/又は同じである(例えば、第1部分362のピッチは第2部分364のピッチと同じであり共に第3部分366のピッチとは異なる)とすることができる。摩耗パッド330では、第1部分362、第2部分364、及び第3部分366の各ピッチは互いに異なっている。
【0037】
摩耗パッド330は、
図8に描かれている様に、第1面332と第2面334の間の第1距離371に配置されている少なくとも第1曲げ平面370を含んでいてもよい。幾つかの実施形態では、随意的に、1つ又はそれ以上の追加の曲げ平面が存在している。摩耗パッド330では、第1面332と第2面334の間の第2距離373に位置する第2曲げ平面372が存在している。同様に、第1面332と第2面334の間の第3距離375に位置する第3曲げ平面374が存在している。
図8に描かれている様に、第1距離371、第2距離373、及び第3距離375は、どれも互いに異なっている。
【0038】
随意的に、摩耗パッド330は、同様に、
図8に描かれている様に少なくとも1つの陥凹342を含んでいて第1曲げ剛性を有している第1部分380、を含んでいてもよい。摩耗パッド330は、同様に、1つ又はそれ以上の追加の部分を有していてもよい。例えば、摩耗パッド330は、第2曲げ剛性を有している第2部分382を含んでいる。第2部分は、第2部分382内に陥凹342を全く有していないこともあれば又は1つ又は複数の陥凹342を有していることもある。摩耗パッド330は、この実施例では、第3曲げ剛性を有する第3部分384を含んでいる。第2部分382及び第3部分384の曲げ剛性は第1部分380の曲げ剛性とは異なっていることもあるが、他の実施形態ではそれらのうち1つ又はそれ以上の部分の曲げ剛性は同じであってもよい。
図8に描かれているには、第2部分382の曲げ剛性は第1部分380及び第3部分384の曲げ剛性より大きく、第3部分384の曲げ剛性は第1部分380の曲げ剛性より大きい。
【0039】
図10を見ると、摩耗パッド330に係る追加の随意的な相違点が識別される。少なくとも1つの陥凹342aは随意的に第1軸348を含んでいる。少なくとももう1つの陥凹342bは随意的に第2軸350を含んでいる。摩耗パッド230とは対照的に、第1軸348と第2軸350は、平行でなくてもよく、及び/又は摩耗パッド330の高さ、長さ、又は奥行きの1つに平行な平面内に位置していなくてもよい。したがって、この構成では、陥凹342aの深さ344aと陥凹344bの深さ344bの和は、陥凹342aと陥凹342bが互いにオフセットしているために摩耗パッド330の奥行き336より大きい。
【0040】
加えて、陥凹342a及び342bは、随意的に、少なくとも製造公差内で、2つの平面の交点である谷底352を含んでいる。したがって、何れかの谷底352は、
図8に描かれているその未設置位置では最小の曲率半径を有している。
図8と
図10を比較することによって示される様に、谷底352の曲率半径は、摩耗パッド330の未設置位置(
図8)と設置位置(
図9及び
図10)の間で変化し得る。
【0041】
図11を見て、建設車両10は、随意的に、少なくとも1つのシム590を含んでいる。
図11には、
図1の伸縮式ブーム組立体15と類似の伸縮式ブーム組立体の第1区分520と第2区分525の断面が描かれている。少なくとも1つの陥凹542を有する摩耗パッド530が、第1区分520と第2区分525の間に配置されている。シム590は、何れの材料で製造されていてもよいのであるが典型的には熱可塑性材料、熱硬化性材料、金属材料、又はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の様な他の材料で形成されているものであって、摩耗パッド530と第1区分520の間(最も典型的)又は摩耗パッド530と第2区分525の間のどちらか一方の間に配置することができる。シム590は、摩耗パッド530を第1区分520と第2区分530の間に配置するときに、よりぴったり馴染ませることができるようにするものであって、製造公差を勘案している。
【0042】
シム590は、少なくとも、第1面592と、第1面592から離間されている第2面594と、を含んでいる。随意的に、シム590は、第1面592と第2面594の少なくとも一方から離れて延びている1つ又はそれ以上のリッジ又は突起596を含んでいる。描かれている様に、リッジ596は、第1面592から延びていて、陥凹542の少なくとも1つに受け入れられるように又はその中へ延びるように構成されている。言い換えれば、リッジ596は、寸法的には、少なくとも1つの陥凹542内に――緩くにせよ干渉嵌めによるにせよ――嵌るような形状(高さ、幅、リッジ先端部の曲率半径)をしている。
【0043】
摩耗パッドを製造する方法も開示されている。方法は、長さと、第1面と、第1面から或る高さ離間されている第2面と、を有している材料、を得る段階を含んでいる。方法は、第1面と第2面の少なくとも一方の中へ或る深さ延びる少なくとも1つの陥凹を形成する段階を更に含んでおり、ここに深さは第1面と第2面の間の高さより小さい。陥凹は、材料をフライス加工する、鋸引きする、成形する、及びアブレーション加工する、のうちの少なくとも1つによって形成されてもよい。
【0044】
随意的に、方法は、複数の陥凹を形成する段階を含んでいる。その様な方法では、複数の陥凹の少なくとも一部分が複数の陥凹の少なくとも別の部分に平行に形成されてもよい。随意的に、材料の第1の部分の複数の陥凹のピッチは材料の第2の部分の複数の陥凹のピッチと異なってもよい。
【0045】
更に、少なくとも1つの陥凹を形成する段階は、少なくとも1つの陥凹を第1面に形成する段階と、少なくとももう1つの陥凹を第2面に形成する段階と、を含んでいてもよい。その様な実施形態では、少なくとももう1つの陥凹は第2面の中へ第1面と第2面の間の高さより小さい深さで延びている
【0046】
少なくとも1つの陥凹を形成する段階は、少なくとも1つの陥凹を第1軸を含むように形成する段階と、少なくとももう1つの陥凹を第2軸を含むように形成する段階と、を含んでいてもよく、ここに第1軸と第2軸は平行であり、第1の陥凹の深さと第2の陥凹の深さの和は第1面と第2面の間の高さより小さい。
【0047】
少なくとも1つの溝を形成する段階は、少なくとも1つの陥凹に、曲率半径を含む谷底を形成する段階を含んでいてもよい。
【0048】
少なくとも1つの陥凹を形成する段階は、少なくとも1つの溝を、第1面と第2面の少なくとも一方に近接している第1幅と、少なくとも1つの陥凹の谷底に近接している第2幅と、を含むように形成する段階を含んでいてもよく、ここに第1幅は第2幅より大きい。
【0049】
少なくとも1つの陥凹を形成する段階は、少なくとも1つの陥凹を材料の長さに平行になるように向きを定める段階を含んでいてもよい。
【0050】
方法は、材料へ一体化された摩擦改質剤を含んでいる材料を得る段階を更に含んでいてもよい。同じ様に、方法は、随意的に、潤滑剤を第1面と第2面の少なくとも一方へ塗布する段階を含んでいる。
【0051】
方法は、随意的に、第1面と第2面の間の高さが材料の長さと幅の少なくとも一方を横断して実質的に同じであるような材料を得る又は形成する段階を含んでいる。随意的に、第1面と第2面の間の高さは、材料の長さと幅の少なくとも一方を横断して平均高さの10パーセント未満で変化するように構成されている。
【0052】
方法は、随意的に、材料の第1部分の第1曲げ平面の位置を当該第1曲げ平面が材料の第2部分の第2曲げ平面とは異なるように修正する段階を含んでいる。
【0053】
方法は、更に、随意的に、材料の第1部分の第1曲げ剛性を当該第1曲げ剛性が材料の第2部分の第2曲げ剛性とは異なるように修正する段階を含んでいる。
【0054】
摩耗パッドをクレーンの伸縮式ブーム組立体の第1区分と第2区分の間の所定位置に設置する方法も開示されている。方法は、長さと、第1面及び第1面から或る高さ離間されている第2面と、第1面と第2面の少なくとも一方の中へ或る深さ延びている少なくとも1つの陥凹と、を含んでいる摩耗パッド、を提供する段階を含んでおり、ここに深さは第1面と第2面の間の高さより小さい。方法は、更に、摩耗パッドを伸縮式ブーム組立体の第1区分と第2区分の間に配置する段階を含んでいる。
【0055】
摩耗パッドをクレーンの伸縮式ブーム組立体の第1区分と第2区分の間の所定位置に設置する更に別の方法は、長さと、第1面及び第1面から或る高さ離間されている第2面と、第1曲げ剛性を有する第1部分と、第2曲げ剛性を有する第2部分と、を含んでいる摩耗パッド、を提供する段階を含んでおり、ここに第2曲げ剛性は第1曲げ剛性とは異なる。随意的に、第1面と第2面の間の高さは、第1部分と第2部分で実質的に同じである。方法は、摩耗パッドを伸縮式ブーム組立体の第1区分と第2区分の間に配置する段階を更に含んでいる。
【0056】
摩耗パッドをクレーンの伸縮式ブーム組立体の第1区分と第2区分の間の所定位置に設置する更に別の方法は、長さと、第1面及び第1面から或る高さ離間されている第2面と、第1曲げ平面を有する第1部分と、第2曲げ平面を有する第2部分と、を含んでいる摩耗パッド、を提供する段階を含んでおり、ここに第2曲げ平面の位置(即ち、第1面と第2面の間の距離)は第1曲げ平面とは異なる。随意的に、第1面と第2面の間の高さは、第1部分と第2部分で実質的に同じである。方法は、摩耗パッドを伸縮式ブーム組立体の第1区分と第2区分の間に配置する段階を更に含んでいる。
【0057】
摩耗パッドをクレーンの伸縮式ブーム組立体の第1区分と第2区分の間の所定位置に設置する更に別の方法は、長さと、第1面及び第1面から或る高さ離間されている第2面と、第1面と第2面の少なくとも一方の中へ或る深さ延びている少なくとも複数の溝と、を含んでいる摩耗パッド、を提供する段階を含んでおり、ここに深さは第1面と第2面の間の高さより小さい。第1部分の複数の溝は第1ピッチを有しており、第2部分の複数の溝は第2ピッチを有している。方法は、摩耗パッドを伸縮式ブーム組立体の第1区分と第2区分の間に配置する段階を更に含んでいる。
【0058】
摩耗パッドを設置する方法は、随意的に、少なくとも1つのリッジを含んでいる少なくとも1つのシムを当該リッジが摩耗パッドの少なくとも1つの陥凹の中へ少なくとも部分的に延びるように配置する段階を含んでいる。
【0059】
随意的に、様々な方法での摩耗パッドを配置する段階は、(a)摩耗パッドを伸縮式組立体の第1区分の内部の内に配置する段階と摩耗パッドを伸縮式組立体の第2区分の外部上へ配置する段階のうちの一方の段階と、(b)伸縮式組立体の第2区分を伸縮式組立体の第1区分内に配置する段階と、を更に含んでいる。
【0060】
以上の実施形態は、ブームの伸縮区分の周りに又は内に馴染ませるために撓むように構成されている形状追従性摩耗パッドを説明している。一実施形態では、以上に説明されている形状追従性摩耗パッドは、例えば、異なるサイズ、異なる形状、又は曲率が変わる異なる区分、を有する伸縮区分の周り又は内に馴染ませることができる。
【0061】
図12-
図14を参照して、ここに説明されている実施形態によれば、以上に
図2-
図11に関して説明されている摩耗パッド並びに以下の実施形態の中で説明されている摩耗パッドは、更にインサート602を含むことができる。インサート602は、ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoretylene)(PTFE)、グラファイト、及び二硫化モリブデンの様な、低摩擦材料又は乾燥性又は固形の潤滑剤であるのが望ましい。インサート602は、完全にこれらの材料のうちの1つによって形成されていてもよいし、又はこれらの材料のうちの少なくとも1つを含む複合材又は配合物として形成されていてもよいと理解している。
【0062】
インサート602は、形状が実質的に伸縮ブーム区分の外形及び/又は摩耗パッドの形状に沿うことができるように可撓性材料であるのが望ましい。一実施形態では、インサート602は、以上に説明されている様な形状追従性摩耗パッドと関連付けて使用されたときに摩耗パッドと共に撓む又は曲がるように構成されている。その様な可撓性インサート602は、更に、以下に更に説明されている様に予め成形された形状を有している実質的に曲がらない又は機械加工された摩耗パッドと関連付けて使用されてもよい。
【0063】
更に、インサート602は、説明されている様に、摩耗パッドの溝にインターロック式に嵌ることによって摩耗パッドへ定着されるように構成されている。加えて、インサート602は、インサート602の一部分が溝から外方に摩耗パッドの表面を越えて突き出るように溝内に配置され又は保持される。例えば、一実施形態では、インサート602が摩耗パッドから突き出るように、インサート602は摩耗パッドの溝の深さより大きい高さを有している。別の実施形態では、インサートは、インサート602の一部分が溝から突き出るように、溝内で段上に又は1つ又はそれ以上のスペーサ又はシム上に配置されてもよい。したがって、以上に説明されている実施形態では、摩耗パッドは、更に、以下に
図12-
図34を参照して説明されている方式でインサート602を受け入れ及び/又は保持するように構成されている溝を備えて形成されていてもよい。一実施形態では、摩耗パッドは、それぞれのインサート602を受け入れるための複数の溝を備えて形成されていてもよい。溝は、実質的に互いに平行に延びていてもよい。
【0064】
溝は摩耗パッドの長さ方向、つまり伸縮ブーム区分の周方向又は円周方向(即ち、ブーム区分の周囲を周って又は長手方向軸の周りに延びる方向)に対応する方向に延びている。一実施形態では、摩耗パッドは、外面又は凸面に形成された溝を有していてもよい。その様な実施形態では、摩耗パッドは内側の伸縮ブーム区分に設置され、インサート602は摩耗パッドから外方に突き出る。インサート602は、内側の伸縮ブーム区分と共に動くように構成されていて、内側の伸縮ブーム区分の伸長及び収縮中は、直接隣接する外側の伸縮ブーム区分の内面に接触して当該外側の伸縮ブーム区分の内面に当てて摺動するように構成されている。この実施形態では、摩耗パッドは、内側の伸縮ブーム区分の後端又は近位端に配置させることができる。
【0065】
代わりに、溝は摩耗パッドの内側又は凹面側に形成されていてもよい。その様な実施形態では、摩耗パッドは、外側の伸縮ブーム区分に設置され、インサート602は内向きに突き出る。インサート602は、内側の伸縮ブーム区分の伸長及び収縮中は、直接隣接する内側の伸縮ブーム区分の外面に接触し、当該内側の伸縮ブーム区分の外面に当てて摺動するように構成されている。その様な実施形態では、摩耗パッドは、外側の伸縮ブーム区分の前端又は遠位端に設置させることができ、内側の伸縮ブーム区分は摩耗パッドに対して動く。幾つかの実施形態では、外面側に配置されている溝及びインサートを有している摩耗パッドと、内面側に溝及びインサート位置を有している別の摩耗パッドとが、一体に、伸縮式ブームの摩耗パッドシステムとして使用されてもよい。
【0066】
図12は、ここに説明されている或る実施形態によるインサート602の端面図である。
図13は、インサート602が摩耗パッドと共にブーム上に設置された状態にあるときの様な、湾曲又は撓んだ状態にある
図12のインサート602を示している。
図14は、未設置状態又は撓んでいない(弛緩した)状態にある
図12のインサートの側面図であり、当該状態ではインサート602の表面は引張力又は圧縮力の下に置かれていない。
図12-
図14、特に
図12を参照して、インサートは形状が実質的に台形であってもよい。そうすると、インサート602を、摩耗パッド側の、以下に更に説明されている対応した形状をしている溝の中へ、蟻継ぎ関係に嵌めることができる。とはいえ、摩耗パッドの溝とインターロック式に嵌り合うことを可能にする他の形状も同様に適切であるものと理解している。つまり、インサート602は
図12に示されている実質的に台形の形状に限定されず、また溝は対応する実質的に台形の形状に限定されない。
【0067】
伸縮式ブーム動作中の通常的に加えられる力に曝されたときにインサート602を溝内に保持するのに溝とインサート602の間のインターロック式の嵌め合いを可能にさせる他の形状も同様に適切である。加えて、溝とインサート602の断面形状が全体として対応していなければならないというものでもない。溝とインサート602それぞれの形状の少なくとも一部分が、伸縮式ブームの通常の動作中にインサート602が溝内に保持されるというやり方で対応している限り、その様な形状は適切である。例えば、インサート602が溝の対応している保持用スロットなどへの受け入れに適した構成のタブ又は舌部の様な1つ又はそれ以上の突出部を含んでいる、というのであってもよいしその逆であってもよい。代わりに、又は加えて、インサート602を溝に保持するのに接着剤又は機械的締結具の様な既知の締結具が使用されていてもよい。つまり、インサート602と溝の間のインターロック式の嵌め合いを提供する形状対応式に加え又はその代わりに、締結具を使用してインサート602を溝に保持することもできるわけである。
【0068】
図13及び
図14を参照して、インサート602は、実質的に平坦な状態又は未設置状態(
図14を見られたし)から実質的に湾曲した状態又は設置状態(
図13を見られたし)へ撓むのに十分な可撓性を有しているのが望ましい。一実施形態では、インサート602は弾力的に可撓性である。インサート602は、異なる摩耗パッド同士の場合や異なる伸縮ブーム区分同士の周りに見られる異なる曲率半径に対応するために撓むように構成されている。例えば、一実施形態では、インサート602は、大凡165mm-175mmの曲率半径周りに曲がることができる。とはいえ、インサート602は、特定のブーム区分及び摩耗パッドの寸法に依存して、上記範囲より大きい又は小さい曲率半径周りに曲がるサイズ又は形状或いは構成とすることができるものと理解しておきたい。
【0069】
図15は、ここに説明されている或る実施形態による、概して、インサート602が中に配置された溝604を有する本体631として形成されている摩耗パッド630の斜視図である。本体631は、単一部片であってもよいし、又は複数の分節636、638から成っていてもよい。一実施形態では、摩耗パッド630は、実質的に曲がらず、特定の伸縮ブーム区分に馴染む大きさ及び形状を有するように予め成形されていてもよい。また、一実施形態では、摩耗パッド630の1つ又はそれ以上の分節636、638は、以上に
図1-
図11に関連する実施形態の中で説明されている陥凹に類似した1つ又はそれ以上の陥凹642を含んでいて、伸縮ブーム区分の周りに馴染ませる場合の可撓性を可能にさせていてもよい。
【0070】
図15に示されている実施形態では、溝604は摩耗パッド630の外面又は凸面632側に配置されている。とはいえ、以上に詳述されている様に、本開示はその様な構成に限定されず、他の実施形態では溝604及びインサート602は摩耗パッド630の内面634に配置されていてもよい。
【0071】
図16-
図20は、インサート602と共に使用するように構成されている別の摩耗パッド730の実施例の様々な図である。
図16を参照して、摩耗パッド730は、伸縮ブーム区分の周りに馴染ませる場合の可撓性を可能にするように、自身の幅を横断して延びる複数の陥凹742を含んでいる材料の本体731として形成された形状追従性摩耗パッドとすることができる。以上に言及されている摩耗パッド730の「幅」方向Wは、摩耗パッド730が設置されている伸縮式ブームの軸方向又は長手方向に対応する。摩耗パッド730は、インサート602(
図12-
図14に示されている)を受け入れ及び/又は保持するように構成されている溝704を含んでいる。溝704は、概して、摩耗パッド730が設置されている伸縮式ブーム分節の周方向又は円周方向に対応する方向である摩耗パッド730の長さ方向Lに延びている。一実施形態では、溝704は、摩耗パッド730に形成されている複数の陥凹742に実質的に直角に延びている。
【0072】
図17は、
図16の摩耗パッド730の側面図であり、
図18は、一実施形態による、
図17の摩耗パッド730の一部分(符号18で識別)の拡大図である。
図19は溝704の断面形状を示す摩耗パッド730の端面図であり、
図20は、一実施形態による、
図19の摩耗パッド730の一部分(符号20で識別)の拡大図である。
図17及び
図18を参照して、一実施形態では、陥凹742は第1面732と第2面734の一方のみに形成されていてもよい。
【0073】
図19及び
図20を参照すると、以上に詳述されている実施形態に類似した、実質的に台形の断面形状を有する溝704が示されている。同じ様に、インサート602は、例えば
図12に示されている様に対応する実質的に台形の形状を有するものとして形成されていてもよい。とはいえ、以上に詳述されている様に、インサート602は溝704の深さより大きい高さを有していて、その結果インサート602は摩耗パッド730から外方へ第1面732と第2面734の一方を越えて突き出るようになっていてもよい。加えて、以上に詳述されている様に溝742とインサート602は、図に示されている実質的に台形の形状に限定されない。
【0074】
図16-
図20を参照して、一実施形態では、インサート602のための溝704は、摩耗パッド730の陥凹742と同じ側の面に形成されている。したがって、溝704は摩耗パッド730の陥凹742に交差していてもよい。一実施形態では、こちらの面(即ち、溝704及び陥凹742を有する面)は、伸縮式ブームに設置されたときの摩耗パッド730の外面又は凸面(
図16-
図20では第1面732)に対応しているとしてもよい。とはいえ、以上に詳述されている様に、本開示はその様な構成に限定されず、溝704並びにその中に保持されるインサート602及び/又は陥凹742を摩耗パッド730の内面又は凹面側に形成してインサート602を内面(
図16-
図20では第2面734)側に保持させるようにしてもよい。別の実施形態では、溝704は摩耗パッド730の複数の陥凹742とは反対側の面に形成されていてもよい。
【0075】
図21-
図30は、インサート602と共に使用するように構成されている摩耗パッド830の別の実施形態の様々な図である。この実施形態では、摩耗パッド830は、本体831を含んでいて、実質的に曲がらず、特定の伸縮式ブーム分節に設置される構成の予め成形された部品として機械加工されていてもよい。摩耗パッド830は、伸縮式ブーム内にひとまとめに定着されるか又は個別に設置される複数の分節を含んでいてもよい。
【0076】
図21は、一実施形態による、内面834を示す側面図であり摩耗パッド830の上部の端面図である。
図22は、インサート602(
図12-
図14を見られたし)を受け入れ及び/又は保持するための溝804を有している摩耗パッド830の一部分(符号22で識別)を示す拡大図である。
図23は、一実施形態による摩耗パッド830の外面832を示しており、
図24は外面832の一部分(符号24で識別)を示す拡大図である。
図25は、一実施形態による、摩耗パッド830の(伸縮式ブームに対しての)軸方向図である。
図26は、ここに説明されている或る実施形態による摩耗パッド830の斜視図である。
【0077】
図21-
図26を参照して、インサート602を受け入れ及び/又は保持するための溝804は摩耗パッド830の外面又は凸面(即ち第1面832)側に形成されている。摩耗パッド830の内面(即ち第2面834)は、内側の伸縮ブーム区分の外面に係合するように構成されている1つ又はそれ以上の脚部876(
図25)を含んでいてもよい。一実施形態では、外面832は、追加的に、グリース又は他の類似の潤滑剤を保持する構成のチャネル878を備えて形成されていてもよい。
【0078】
図27は摩耗パッド830の外面832の別の図である。
図28-
図30は、
図27の異なる位置にて取られた断面図である。
図21-
図30を参照して、摩耗パッド830は、摩耗パッド880を伸縮式ブーム分節へ定着させるための締結具を受け入れる構成の1つ又はそれ以上の締結具孔880を備えて形成されていてもよい。追加的に、チャネル878は、グリース又は他の潤滑剤を通してチャネル880へ供給する給送部882へ接続されていてもよい。
【0079】
更に
図21-
図30を参照して、溝804は、以上に詳述されている実施形態と同様の実質的に台形の断面形状を有するものとして示されている。同じ様に、インサート602は、例えば
図12に示されている様に対応する実質的に台形の形状を有するものとして形成されていてもよい。但し、以上に詳述されている様に、インサート602は摩耗パッド830から外方に突き出ている。加えて、以上に詳述されている様に、溝804及びインサート602は、図に示されている実質的に台形の形状に限定されない。また、
図21-
図30では、溝804は伸縮式ブーム内に設置されたときの摩耗パッド830の外面又は凸面832側に示されている。とはいえ、以上に詳述されている様に、本開示はその様な構成に限定されず、溝804を摩耗パッド830の内面側又は凹面側に形成してインサート602を内面側に保持させることもできる。
【0080】
図31及び
図32は、インサート602が溝904に設置されている本体931を備える摩耗パッド930の実施形態を示している。
図31を参照して、インサート602は、摩耗パッド930から突き出るように溝904から外方に延びていてもよい。したがって、インサート602は、ブーム区分の伸縮運動中に直接隣接する伸縮ブーム区分(例えば、第1区分20又は第2区分25)の表面に接触するように構成されている。同様に、
図32は溝904から外方に延びるインサート602を示している。以上に説明されている実施形態の幾つかと同様に、摩耗パッド930は、ブーム区分の少なくとも一部分の周りの可撓性及び追従性を可能にさせる複数の陥凹942を含んでいてもよい。
【0081】
更に
図31及び
図32を参照して、溝904は、以上に詳述されている実施形態と同様の実質的に台形の断面形状を有するものとして示されている。同じ様に、インサート602は、例えば
図12に示されている様に対応する実質的に台形形状を有するものとして形成されていてもよい。とはいえ、以上に詳述されている様に、溝904及びインサート602は図に示されている実質的に台形の形状に限定されない。また、
図31-
図32では、溝904は摩耗パッド930の外面又は凸面(即ち第1面932)側に示されている。とはいえ、以上に詳述されている様に、本開示はその様な構成に限定されず、溝904を摩耗パッド930の内面又は凹面(即ち第2面934)側に形成してインサート602を内面側に保持させることもできる。
【0082】
図33及び
図34は、本体1031を溝1004内のインサート602と共に備えている摩耗パッド1030の別の実施形態を示している。一実施形態では、摩耗パッド1030は、随意的には、概ね摩耗パッド1030の長さ方向(伸縮ブーム区分の周方向又は円周方向に対応する)に延びている第2溝1006を含んでいてもよい。第2溝1006にはワイパー1008が配置されていてもよい。ワイパー1008は、例えばフェルト材料の条片又は布で覆われたインサートであってもよい。ワイパー1008は、伸縮運動時に直接隣接するブーム区分に接触し当該ブーム区分の表面から汚れ、潤滑剤、又は他の粒子の様なデブリを拭うように構成されている。インサート602と溝1004に同じく、ワイパー1008と第2溝1006は、伸縮運動中に直接隣接する伸縮式ブーム表面に接触するように摩耗パッド1030の内面又は外面のどちらかに配置させることができる。
【0083】
以上の実施形態では、摩耗パッドは、クレーンの様な建設車両の伸縮式ブームと組み合わせて使用するように構成されている。一実施形態では、単一の摩耗パッドが使用されていることもある。別の実施形態では、第1の摩耗パッドを内側の伸縮区分の後端又は近位端に設置して当該摩耗パッドの外を向いている面にインサート602を配置させ、第2の摩耗パッドを外側の伸縮区分の前端又は遠位端に配置させ当該第2の摩耗パッドの内側を向いている面にインサート602を配置させることもできる。第1の摩耗パッドは、内側の伸縮区分に対して固定されていて、内側の伸縮区分の伸縮運動に伴って外側の伸縮区分に対して摺動可能になっている。第2の摩耗パッドは、外側の伸縮区分に対して固定されていて、内側の伸縮区分が第2摩耗パッド及び外側の伸縮区分に対して摺動可能になっている。別の構成では、摩耗パッドを内側の伸縮区分の後端又は近位端に設置して当該摩耗パッドの外面にインサート602を配置させ、従来の摩耗パッドを含むもう1つの摩耗パッドを外側の伸縮区分の前端又は遠位端に配置させることもできる。これらの配設の様々な組合せも同様に構想される。
【0084】
従って、以上の実施形態では、インサート602は外方に摩耗パッドの外面を越えて延びて、直接隣接する外側の伸縮ブーム区分の内面に接触することができる。こうしてインサート602は、内側の伸縮ブーム区分と外側の伸縮ブーム区分の間に比較的低い摩擦接触を提供して、内側のブーム区分の外側のブーム区分に対する比較的滑らかな伸縮運動を可能にさせ、粗動及びチャタリングを実質的に低減又は防止することができる。別の構成では、インサート602は内方に摩耗パッドの内面を越えて延びて、直接隣接する内側の伸縮ブーム区分の外面に接触することができる。その結果、インサート602はこうして外側の伸縮ブーム区分と内側の伸縮ブーム区分の間に比較的低い摩擦接触を提供して比較的滑らかな伸縮運動を可能にさせることができる。インサート602は比較的低摩擦の材料で作られているので、流体又は半固体の潤滑剤の使用を低減又は排除し、伸縮式ブームのより簡単でより清潔な点検保守をもたらすことができる。
【0085】
また、以上の実施形態では、インサート602は、摩耗パッドの長さに沿って完全に又は実質的に完全に延びていてもよい。幾つかの実施形態では、インサート602は、摩耗パッドの長さに沿って連続的に延びている。ということは、インサート602は、直接隣接している伸縮ブーム区分の面に接触して広い低摩擦接触面を提供することができるわけである。その様な構成は、グリースの様な追加の潤滑剤の必要性を低減又は排除するうえで有用であろう。
【0086】
以上の実施形態のうちの何れかからの様々な特徴は、ここに説明されている他の実施形態と一体に使用できるものと理解している。例えば、
図2-
図11に関して示され説明されている摩耗パッドが、例えば
図12-
図34に関して示され説明されているインサート602を受け入れ及び/又は保持するように構成された溝を含むこともできる。また、以上の異なる実施形態に跨って使用されている同じ又は同様の用語は、説明されている又は図に示されている何れかの相違点を別として、同じ又は同様の構成要素を指すものと理解している。
【0087】
ここに言及されている全ての特許は、本開示の本文内に具体的に援用されていようがいまいが、これによりここに参考文献として援用される。
【0088】
本開示では、原文の冠詞「a」又は「an」の対訳である「一」、「或る」という語は単数形及び複数形のどちらも含むものと捉えられたい。逆に、複数物品への何らかの言及は、該当する場合には、単数形を含むものとする。
【0089】
上記からは、本開示の新規性のある概念の真髄及び範囲から逸脱することなく数多くの修正型及び変形型が達成され得るということが観取されるであろう。示されている特定の実施形態に関しては何らの限定も意図されず、また推察されてもならない、ということを理解しておきたい。本開示は、特許請求の範囲の範囲内に入る全てのその様な修正型を網羅するものとする。
【符号の説明】
【0090】
10 建設車両
15 伸縮式ブーム組立体
17 ブームピボット
18 地面係合部材
20 ブーム組立体の第1区分
25 ブーム組立体の第2区分
30 摩耗パッド
50 ブラケット
120 ブーム組立体の第1区分
121a、121b、121c 第1区分の部分
122 第1区分の第1端
123 第1区分の内面
130 摩耗パッド
142 陥凹
150 ブラケット
151a、151b、151c 位置決め部材
152 取付け装置
160 陥凹間ピッチ
162 摩耗パッドの所与の溝間ピッチを有する第1部分
164 摩耗パッドの別の溝間ピッチを有する第2部分
230 摩耗パッド
231 摩耗パッド本体
232 摩耗パッドの第1面
234 摩耗パッドの第2面
236 厚さ又は高さ
238 長さ
240 幅又は奥行き
241 複数の陥凹の一部分
242、242a、242b 陥凹
243 複数の陥凹の別の部分
244a、244b 陥凹の深さ
248 第1軸
250 第2軸
252 谷底
253 曲率半径
254 第1幅
256 第2幅
260 ピッチ
262 摩耗パッドの所与の溝間ピッチを有する第1部分
264 摩耗パッドの別の溝間ピッチを有する第2部分
270 第1曲げ平面
271 第1距離
272 第2曲げ平面
273 第2距離
280 摩耗パッドの第1曲げ剛性を有する第1部分
282 摩耗パッドの第2曲げ剛性を有する第2部分
330 摩耗パッド
332 摩耗パッドの第1面
334 摩耗パッドの第2面
336 奥行き
342、342a、342b 陥凹
344a、344b 陥凹の深さ
348 第1軸
350 第2軸
352 谷底
362 摩耗パッドの所与の溝間ピッチを有する第1部分
364 摩耗パッドの別の溝間ピッチを有する第2部分
366 摩耗パッドの更に別の溝間ピッチを有する第3部分
370 第1曲げ平面
371 第1距離
372 第2曲げ平面
373 第2距離
374 第3曲げ平面
375 第3距離
380 摩耗パッドの第1曲げ剛性を有する第1部分
382 摩耗パッドの第2曲げ剛性を有する第2部分
384 摩耗パッドの第3曲げ剛性を有する第3部分
520 ブーム組立体の第1区分
525 ブーム組立体の第2区分
530 摩耗パッド
542 陥凹
590 シム
592 シムの第1面
594 シムの第2面
596 リッジ又は突出部
602 インサート
604 溝
630 摩耗パッド
631 摩耗パッド本体
632 摩耗パッドの外面
634 摩耗パッドの内面
636、638 摩耗パッドの分節
642 陥凹
704 溝
730 摩耗パッド
731 摩耗パッド本体
732 摩耗パッドの第1面
734 摩耗パッドの第2面
742 陥凹
804 溝
830 摩耗パッド
831 摩耗パッド本体
832 摩耗パッドの外面
834 摩耗パッドの内面
876 脚部
878 チャネル
880 締結具孔
882 給送部
904 溝
930 摩耗パッド
931 摩耗パッド本体
932 摩耗パッドの外面
934 摩耗パッドの内面
942 陥凹
1004 溝
1006 第2溝
1008 ワイパー
1030 摩耗パッド
1031 摩耗パッド本体
L 摩耗パッドの長さ方向
W 摩耗パッドの幅方向