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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-27
(45)【発行日】2023-04-04
(54)【発明の名称】洗車機
(51)【国際特許分類】
   B60S 3/04 20060101AFI20230328BHJP
   B08B 3/02 20060101ALI20230328BHJP
【FI】
B60S3/04
B08B3/02 E
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018144893
(22)【出願日】2018-08-01
(65)【公開番号】P2020019380
(43)【公開日】2020-02-06
【審査請求日】2021-06-01
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 刊行物名 MKseikoChannel ウェブサイトの掲載日 平成30年6月19日 ウェブサイトのアドレス https://www.youtube.com/watch?v=05iz1L1FPBM
(73)【特許権者】
【識別番号】000103138
【氏名又は名称】エムケー精工株式会社
(72)【発明者】
【氏名】松村 義郎
(72)【発明者】
【氏名】中村 祐紀
(72)【発明者】
【氏名】水島 彰宏
【審査官】瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-070069(JP,A)
【文献】特開2000-317412(JP,A)
【文献】特開2005-125848(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02243672(EP,A1)
【文献】独国特許出願公開第102014117167(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B08B 3/00
B60S 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
門型状に形成した洗車機本体を往復移動させながら前記本体の前側に備えた車体検出センサで自動車の上面位置を検出して自動車の形状を検出し、検出した自動車の形状に合わせて前記本体内に装備された洗車処理装置で自動車車体を洗車処理する洗車機において、
前記本体の前面上部から所定距離離間した本体前方位置に、自動車車体に洗浄液を供給する洗浄ユニットを設け、
前記洗浄ユニットは、
垂直下向きから前記本体内側に向かって変位し、洗浄水を噴射する複数の第1ノズルを有する第1パイプと、垂直下向きから前記本体内側に向かって変位し、泡状洗剤を噴射する複数の第2ノズルを有する第2パイプと、を備え、
前記第1パイプに沿った複数の前記第1ノズルは、所定の前記第1ノズルから噴射される洗浄水の噴射範囲が他の前記第1ノズルから噴射される洗浄水の噴射範囲と合流するように指向され、
前記第2パイプに沿った複数の前記第2ノズルは、所定の前記第2ノズルから噴射される泡状洗剤の噴射範囲が他の前記第2ノズルから噴射される泡状洗剤の噴射範囲と合流するように指向される、
ことを特徴とする洗車機。
【請求項2】
垂直下向きの複数の前記第1ノズルによる噴射範囲の合流高さと、垂直下向きの複数の前記第2ノズルによる噴射範囲の合流高さとが同じになるように、複数の前記第1ノズルおよび複数の前記第2ノズルが指向されることを特徴とする上記請求項1記載の洗車機。
【請求項3】
前記洗浄ユニットの前面側からみて、複数の前記第1ノズルの間に所定の前記第2ノズルが設けられ、複数の第2ノズルの間に所定の前記第1ノズルが設けられる、
ことを特徴とする上記請求項1又は2記載の洗車機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄水や泡状洗剤を自動車車体に吹き付ける洗浄ノズルを備えた洗浄ユニットを本体と別体に設けた洗車機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般にこの種の洗車機は、門型に形成した本体フレームに、自動車の形状を検出する車形検出装置と、車体面をブラッシング洗浄する洗浄ブラシや車体面をブロワ乾燥する乾燥ノズル等からなる洗車処理装置を備え、自動車を跨いでこの本体フレームを走行させて車体面の洗浄及び乾燥を行うように構成されている。また、洗車処理装置として、洗浄水を高圧噴射するジェットノズルや泡状洗剤を散布する泡ノズルを備えた洗車機も知られている。
【0003】
洗車処理は、車形検出装置により自動車の形状を検出し、検出した車形に基づいて洗浄ブラシや乾燥ノズルを車体に接離させることで実行される。また、ジェットノズルによる高圧洗浄や泡ノズルによる泡散布は、洗浄ブラシによるブラッシング洗浄の前に実行される。このことから、車形検出装置・ジェットノズル・泡ノズルは、本体フレーム内において洗浄ブラシより先行する位置に配置されることなり、本体フレーム内のスペース上の制約から車形検出装置と各ノズルは比較的近い場所にレイアウトされることになる。これにより、ジェットノズルや泡ノズルからの洗浄水や泡状洗剤が車形検出装置による車形検出に影響を与え、正確な車形検出が困難になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2000-317412号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明の課題は、自動車の形状を検出する車形検出に影響を与えない高圧洗浄や泡散布を実現する洗車機を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような課題を解決するため本発明は、門型状に形成した洗車機本体を往復移動させながら本体の前方に備えた車体検出センサで自動車の上面位置を検出して自動車の形状を検出し、検出した自動車の形状に合わせて洗車機本体内に装備された洗車処理装置で自動車車体を洗車処理する洗車機において、該洗車機本体の前面上部から所定距離離間した本体前方位置に、自動車車体に洗浄液を供給する洗浄ユニットを設けたことを特徴とする。
【0007】
洗浄ユニットは、洗車機本体で洗車を受ける自動車を所定の停車位置に停車させたときの自動車の前端よりも車体後方寄りに設け、自動車車体に洗浄剤を吹き付ける複数の洗浄ノズルを備え、該洗浄ノズルから自動車車体に洗浄剤を吹き付ける洗浄動作と、洗車機本体の車体検出センサで自動車の形状を検出する車形検出動作とを、洗車機本体の往移動に伴い同時に実行する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、車体検出センサと洗車処理装置とを装備した洗車機本体の前面上部から所定距離離間した本体前方位置に、自動車車体に洗浄液を噴射する洗浄ユニットを設け、洗車機本体と離れた洗浄ユニットから洗浄液を噴射することで、洗浄水が洗車機本体の車体検出センサに掛かり、車形検出に影響を与えることが軽減される。加えて、洗車機本体とは別体の洗浄ユニットから洗浄液を噴射することで、周囲に対して洗浄形態や洗車力がアピールされ、集客性や洗車需要の向上に寄与する。
【0009】
また、洗浄ノズルから自動車車体に洗浄剤を吹き付ける洗浄動作と、洗車機本体の車体検出センサで自動車の形状を検出する車形検出動作とを、洗車機本体の往移動で同時に実行することができ、それぞれの動作を別に実行する場合に比べて、洗車時間を長引かせることがない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の洗車機を示す外観図である。
図2】同洗車機の側面図である。
図3】洗浄ユニット9の内部構造を示す説明図である。
図4】洗浄ユニット9のスライド動作を示す説明図である。
図5】各洗浄ノズルの噴射範囲を示す説明図である。
図6】洗浄ユニット9のチルト動作を示す説明図である。
図7】給水・給気系を示す説明図である。
図8】制御系を示すブロック図である。
図9】洗浄ユニット9による高圧洗浄動作を示す説明図である。
図10】洗浄ユニット9による泡散布動作を示す説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施態様について図面を基に説明する。図1は本発明の洗車機を示す外観図、図2は同洗車機の側面図である。
1は洗車機本体で、アーチ状に形成され、左右一対のレール2・2上を往復走行し、レール2・2間に停車される自動車を跨ぐように移動する。洗車機本体1は、正逆転可能な走行モータ3によりレール2・2上に与えられる走行範囲を往復走行し、走行モータ3の出力軸に連係された走行エンコーダ4からのパルス信号を受けて走行位置が検出される。
【0012】
5,6・6は洗浄ブラシで、5は車体面に沿って昇降動作し主に車体上面を洗浄するトップブラシ、6・6は車体面に沿って開閉動作し車体の側面および前後面を洗浄する左右一対のサイドブラシである。7,8・8は乾燥ノズルで、7は車体面に沿って昇降動作し主に車体上面に高圧風を吹き付けるトップノズル、8・8は主に車体側面に高圧風を吹き付ける左右一対のサイドノズルである。
【0013】
9は洗浄ユニットで、車体面に洗浄水を高圧噴射する高圧噴射ノズル10と、泡状洗剤を散布する泡散布ノズル11とを内蔵し、洗車機本体1の天面に取り付けた支持アーム12によって洗車機本体1の前面から所定距離Lだけ前方に突出した位置に設置されている。
【0014】
図3は洗浄ユニット9の正面視内部構造を示している。
13は走行台車で、洗浄ユニット9内の幅方向に渡って水平に取り付けられる走行レール14に沿って左右にスライドする。走行台車13は、上面に連係体15を形成し、下面にパイプ取付具16を介して、高圧パイプ17と泡パイプ18を前後に取り付けている。
【0015】
19はスライド装置で、前後方向の横軸回りに回転する左右一対のスプロケット20R・20Lと、スプロケット20R・20L間に巻回されて上下に無限ループを形成するチェーン21と、駆動側スプロケット20Rを回転駆動するモータ22と、従動側スプロケット20Lをチェーン21が緊張する方向に引っ張るテンションバネ23とから構成されている。
【0016】
24は転動コマで、円筒形状をなし、前端をチェーン21に固定され、後端に走行台車13の連係体15が遊嵌されて、走行台車13をチェーン21と連動してスプロケット20R・20L間を回転移動するものである。25R・25Lは位置検出スイッチで、走行台車13を非接触で検知するマグネットスイッチからなる。
【0017】
この構成により、図4に示すように、モータ22を正転駆動すると、スプロケット20Rが回転し、チェーン21に固定された転動コマ24と連係した走行台車13が走行レール14に沿って横方向にスライドする(図4a)。転動コマ24がスプロケット20Lに達すると、転動コマ24が走行台車13の連係体15の長孔に沿って下移動する(図4b)。転動コマ24がスプロケット20Lを通過すると、転動コマ24と連動して走行台車13がそれまでと逆方向にスライドする(図4c)。転動コマ24がスプロケット20Rに達すると、転動コマ24が走行台車13の連係体15の長孔に沿って上移動する(図4d)。
【0018】
よって、モータ22を正転させることで、走行台車13がスプロケット20R・20Lでスライド方向を転換しながら、スプロケット20R・20L間の全幅距離Sの範囲で左右スライドを繰り返すように動作する。走行台車13は、位置検出スイッチ25R・25Lによって走行位置が検知され、走行台車13がスライド方向を転換するスプロケットの位置に差し掛かると、モータ22の出力を低下させて転動コマ24を減速させるような制御に用いられる。
【0019】
高圧パイプ17は、パイプの両端に1つずつ高圧噴射ノズル10a・10bを取り付け、パイプの中心と端部までの距離を略2分する点にそれぞれ2つずつ高圧噴射ノズル10c・10d、10e・10fを取り付けている。端部の高圧噴射ノズル10a・10bは、垂直に対して所定角度θ1幅方向内向きに指向させている。また、分点の高圧噴射ノズル10c・10d、10e・10fは、一方の高圧噴射ノズル10c・10eを垂直下向き、他方の高圧噴射ノズル10d・10fを垂直に対して所定角度θ2幅方向内向きに指向させている。
【0020】
泡パイプ18は、パイプの両端に1つずつ泡散布ノズル11a・11bを取り付け、パイプの中心点に2つの泡散布ノズル11c・11dを取り付けている。端部の泡散布ノズル11a・11bは、垂直に対して所定角度θ3幅方向内向きにに指向させている。また、中心点の泡散布ノズル11c・11dbは、それぞれ垂直に対して所定角度θ4幅方向外向きに指向させている。
【0021】
図5は高圧噴射ノズル10及び泡散布ノズル11の噴射範囲を示している。 高圧噴射ノズル10は、ノズル10a・10c・10fの噴射範囲が合流し、ノズル10b・10d・10eの噴射範囲が合流し、その合流高さは、それぞれ普通車のボンネット高さ付近に設定されている。また、ノズル10d・ノズル10fの噴射範囲が合流し、その合流高さは、普通車のルーフ高さ付近に設定されている(図5a)。
【0022】
泡散布ノズル11は、ノズル11a・ノズル11cの噴射範囲が合流し、ノズル11b・ノズル11dの噴射範囲が合流し、その合流高さは、それぞれ普通車のボンネット高さ付近に設定されている(図5b)。
【0023】
これら各ノズルからの噴射範囲は、走行台車13の左右スライドに合わせて、自動車の幅方向に移動する。このとき、走行台車13の走行範囲(=スプロケット20間の全幅距離S)の走行限でパイプの端部に取り付けられるノズル(ここではノズル10a・10b・11a・11b)が車体側面に洗浄水・泡状洗剤を噴射/散布するように設定されている。
【0024】
これにより、高圧噴射ノズル10から噴射した洗浄水、並びに泡散布ノズル11から散布された泡状洗剤は、外部に飛散することが抑えられ、車体上面及び側面を効率的にジェット洗浄し、車体上面にムラなく泡状洗剤を散布することを実現する。
【0025】
図6は洗浄ユニット9の側面視内部構造を示している。
26はチルト装置で、洗浄ユニット9を左右側面で挟持し、回転軸27を介して洗浄ユニット9を回動自在に軸支する側面フレーム28の内部に備えられている。チルト装置26は、基端を側面フレーム28内に軸支し、ロッド先端を洗浄ユニット9の基台29に設けた回動片30に連係したエアシリンダ31と、洗浄ユニット9の基台29を水平姿勢に付勢するバネ32とから構成されている。
【0026】
この構成により、エアシリンダ31にエア供給すると、ロッドが伸長して洗浄ユニット9を揺動させ、ノズル10・11を洗車機本体1内側に首振りする。また、エアシリンダ31へのエア供給を停止すると、バネ32に付勢されて洗浄ユニット9を水平姿勢に戻す。よって、洗浄ユニット9の各ノズル10・11の噴射範囲は、垂直下向きから洗車機本体1内側に所定角度θ5傾斜した状態に変位し、車体前方及び車体後面への洗浄に寄与する。
【0027】
33は照明表示器で、図1に示すように、洗浄ユニット9の前面に備えられ、入車案内や洗車状況を表示する。表示器33は、洗浄ユニット9の前面に横並びで複数開口した表示窓内に、LEDをマトリクス配置した単位パネルを取り付けて構成され、発光パターンを切り替えてユーザ及び洗車機周辺に対するアイキャッチを図るものである。
【0028】
照明表示器33による表示内容は、洗車していないときの待機表示、自動車の入退車を案内する案内表示、洗車工程毎の工程表示、洗車動作に合わせた動作表示、自動車の退出を案内する退車案内表示、エラーが発生時のエラー表示等が設定され、表示形態は、カラー電飾・文字表示・画像表示等が設定され、表示パターンは、グラデーション・アニメーション・スクロール・フラッシュ等が設定されている。
【0029】
これらの組合せにより、例えば、待機表示では、季節・時間帯・イベント時に応じた表示を設定したり、工程表示では、洗浄と乾燥のイメージに合わせたカラー電飾を設定したり、動作表示では、走行台車13のスライド動作に連動したスクロールやブラシやブロワの動作を抽象化したアニメーションを設定したり、エラー表示では、発生した異常の程度に応じたカラー表示を設定したりすることができる。
【0030】
その他、洗車機本体1には、図2に示すように、本体1の走行に伴い自動車の上面位置を読み取る車形検出器34、自動車を検出する光電スイッチ35a・35b、本体1後方の物体を検出するエリアセンサ36を備えている。車形検出器34は、本体1の前方に配置され、自動車を幅方向に挾んで複数の発光素子を上下に配列した発光部と、発光素子と対をなす受光素子を上下に配列した受光部を対向させ、発光部と受光部との間に形成される光軸が自動車の車体によって遮られたのを検知して、車体の上面位置を検出するものである。光電スイッチ35a・35bは、いずれも発光部と受光部を車幅方向に対向させて光軸を形成し、その光軸の透光/遮光によって車体の有無を出力するもので、光電スイッチ35aは本体1の前側で自動車の入車を検出し、光電スイッチ35bは本体1の後側で自動車の退車を検出する。エリアセンサ36は、本体1後面で設けられ、照射した赤外光の反射波を検知して物体の有無を出力するもので、本体1が後退する際にその進行方向に退出中の自動車や人等の存在を検出する。
【0031】
図7は給水・給気系統を示す配管図である。
給水系は、洗車機本体1に装備される液剤散布パイプ37・ケミカル散布パイプ38・水散布パイプ39、及び洗浄ユニット9に装備される泡パイプ17に給水する低圧系管路と、洗浄ユニット9の高圧パイプ16に給水する高圧系管路からなり、給気系は、洗浄ユニット9の泡パイプ17・チルト装置26のエアシリンダ31に給気する給気管路からなる。
【0032】
低圧系管路は、貯水タンク40内に備えた低圧ポンプ41によって給水され、液剤散布パイプ37に至る給水管路42と、ケミカル散布パイプ38に至る給水管路43と、水散布パイプ39に至る給水管路44と、泡パイプ17に至る給水管路45とを備えている。
【0033】
液剤散布パイプ37に至る給水管路42には、シャンプー剤タンク46と連通したシャンプー管路47が混合器48を介して接続されており、シャンプー管路47に設けたチューブポンプ49より定量の液剤を吸い上げ、混合器48から給水管路42内にシャンプーが混入される。
【0034】
ケミカル散布パイプ38に至る給水管路43には、ケミカルタンク50と連通したケミカル管路51が混合器52を介して接続されており、ケミカル管路51に設けたチューブポンプ53により定量のケミカルを吸い上げ、混合器52から給水管路43内にケミカルが混入される。
【0035】
泡パイプ17に至る給水管路45には、発泡洗剤タンク54と連通した発泡洗剤管路55が混合器56を介して接続されており、発泡洗剤管路55に設けたチューブポンプ57により定量の発泡洗剤を吸い上げ、混合器56から給水管路45内に発泡洗剤が混入される。また、混合器56の下流側の給水管路45には、コンプレッサ58と連通した給気管路59が混合器60を介して接続されている。更に、混合器60の下流側の給水管路45には、液剤の流れに乱流を発生される発泡用管路61が設けられている。
【0036】
混合器56において、洗浄水に発泡洗剤が混入された発泡液剤が生成され、次に混合器60において、この発泡液剤がコンプレッサ58からの高圧エアで起泡されて起泡洗剤が生成され、最後にこの起泡洗剤が発泡用管路61を通過する間にきめ細かな泡沫洗剤となって泡パイプ17から散布される。尚、発泡用管路61は、本出願人が先に出願した特願2018-95077号で実現される。
【0037】
これら低圧系管路の給水管路42~45は、それぞれ電磁弁62~65によって開閉制御される。
【0038】
高圧系管路は、貯水タンク40から吸水する高圧ポンプ66によって給水され、高圧パイプ16に至る給水管路67を備え、電磁弁68によって開閉制御される。
【0039】
給気系管路は、コンプレッサ58によって給気され、洗浄ユニット9の泡パイプ17に至る給気管路59と、チルト装置26のエアシリンダ31に至る給気管路69を備え、給気管路59は、電磁弁70によって開閉制御され、給気管路69は、電磁弁71によって開閉制御される。尚、給気系管路を低圧系管路や高圧系管路に接続し、管路内の水抜き(凍結防止措置)に使用するようにしても良い。
【0040】
図8は制御系を示すブロック図である。
72は制御部で、走行モータ3、走行エンコーダ4、トップブラシ5、サイドブラシ6・6、トップノズル7、サイドノズル8・8、洗浄ユニット9、車体検出器34、光電スイッチ35a・35b、エリアセンサ36、低圧系の低圧ポンプ41、チューブポンプ49・53・57、電磁弁62~65、高圧系の高圧ポンプ66、電磁弁68、給気系のコンプレッサ58、電磁弁70・71、洗車受付装置73が接続されている。
【0041】
洗車受付装置73は、レール2・2で与えられる洗車機本体1の走行範囲(洗車エリア)に入る手前で自動車の運転席から操作可能な高さに設けられており、前面の操作パネルで料金の受付、洗車コースの選択、洗車開始指令等の操作を行う。
【0042】
このように構成する洗車機の動作について説明する。
洗車受付装置73で洗車受付が完了すると、照明表示器33が待機中表示から入車案内表示に切り替わり、自動車を入車を案内する。洗車機本体1の前方に備えた光電スイッチ35aが遮光し、車体検出器34が透光している状態が所定時間継続したら、自動車が停車位置に停車したことを検出し、洗車動作が開始される。洗車コースとして、泡ジエット洗車が選択された場合には、洗車機本体1の往復走行に合わせて次の洗浄工程が順次実行される。
【0043】
○第1往工程(図9
第1往工程では、洗車機本体1の往行に伴い、洗浄ユニット9の高圧噴射ノズル10から車体面に洗浄水を高圧噴射するジェット洗浄が実行される。ジェット洗浄は、洗浄ユニット9のスライド装置19を作動して走行台車13を横方向にスライドさせながら、高圧噴射ノズル10より洗浄水を高圧噴射することで実行される。
【0044】
第1往工程の開始当初は、洗車機本体1が往行を開始する前に、チルト装置26を作動して洗浄ユニット9を洗車機本体1の内側に指向させ、高圧噴射ノズル10から洗浄水を車体の前方に向けて噴射する(図9a)。これは、洗浄ユニット9が洗車機本体1の前面から所定距離Lだけ前方に突出した位置に設置されていることで生じる車体の前端付近の洗浄不足を補うための動作である。
【0045】
その後、洗浄ユニット9を水平姿勢に戻し、高圧噴射ノズル10の噴射方向を鉛直下向きにした後、スライド装置19による走行台車13のスライドを実行しながら洗車機本体1の往行を開始する(図9b)。この走行台車13のスライドにより、高圧噴射ノズル10からの高圧噴射は自動車の車幅全域に渡って作用し、車体の上面及び側面がムラなく洗浄される。
【0046】
洗車機本体1の往行が進み、光電スイッチ35aが車体後端を抜けて透光に転ずると、チルト装置26を作動して洗浄ユニット9を洗車機本体1の内側に指向させ、高圧噴射ノズル10から洗浄水を車体の後面に向けて噴射する(図9c)。この時、洗車機本体1の走行速度を一旦停止もしくは減速すると洗浄効果を高めることができる。
【0047】
その後、走行エンコーダ4からのパルス信号を受けて洗車機本体1が所定距離走行したことを検出すると、洗浄ユニット9を水平姿勢に戻し、洗浄ユニット9を停止して第1往工程が終了となる(図9d)。
【0048】
尚、この第1往工程で走行エンコーダ4のパルス信号を受けて車体検出器34の車体検出結果を取り込み、洗車機本体1の走行位置検出と自動車の車形データ作成を行うようにしても良い。この場合、洗浄ユニット9の高圧噴射で飛散する洗浄水が車体検出器34の車体検出に影響を及ぼす可能性がある。特に、洗浄ユニット9を洗車機本体1の内側に指向させ、車体後面をジェット洗浄するタイミング(図9c)では、洗浄ユニット9からの噴射が直接車体検出器34に付着する可能性もある。そのため、光電スイッチ35aが車体後端を抜けて透光に転じた時点で車体検出器34の車体検出結果の取り込みを中止し、その後のブラッシング工程で残りの車形データを作成するようにすることが望ましい。更に、車体検出器34の前面に開閉式の蓋体を装備し、取り込みを中止する際に蓋体を閉じるようにすることが望ましい。
【0049】
○第1復工程(図10
第1復工程では、洗車機本体1の復行に伴い、洗浄ユニット9の泡散布ノズル11から車体面に泡状洗剤を散布する泡散布が実行される。泡散布は、ジェット洗浄と同様に、洗浄ユニット9のスライド装置19を作動して走行台車13を横方向にスライドさせながら、泡散布ノズル11より泡状洗剤を散布することで実行される。
【0050】
第1復工程が開始すると、洗車機本体1が復行を開始する前に、洗車機本体1が第1往工程が終了した位置で、チルト装置26を作動して洗浄ユニット9を洗車機本体1の内側に指向させるとともに、スライド装置19による走行台車13のスライドを実行し、泡散布ノズル11から泡状洗剤を車体の後面に向けて散布する(図10a)。
【0051】
その後、洗車機本体1が復行を開始し、光電スイッチ35aが車体後端で遮光される位置まで復行すると、洗浄ユニット9を水平姿勢に戻し、スライド装置19による走行台車13のスライドを維持しながら、泡散布ノズル11の噴射方向を鉛直下向きに戻す(図10b)。
【0052】
洗車機本体1の復行が進み、車体の上面及び側面にムラなく泡状洗剤を散布していく(図10c)。洗車機本体1が洗車開始位置に戻ると、チルト装置26を作動して洗浄ユニット9を洗車機本体1の内側に指向させ、泡散布ノズル11から泡状洗剤を車体の前方に向けて散布する(図10d)。その後、所定時間が経過すると、洗浄ユニット9を水平姿勢に戻し、洗浄ユニット9を停止して第1往工程が終了となる。
【0053】
こうして、洗車機本体1の往復走行に伴い、洗浄ユニット9による泡ジエット洗浄が実行された後は、洗車機本体1の1.5往復走行に伴い、これまでと同様の洗車工程が実行される。
【0054】
すなわち、第2往行工程において、走行エンコーダ4のパルス信号を受けて車体検出器34の車体検出結果を取り込み、洗車機本体1の走行位置検出と自動車の車形データ作成を行うとともに、液剤散布パイプ37からシャンプー、ワックス散布パイプ38と水散布パイプ39から洗浄水を散布しながら、検出した車形に基づいて、上面洗浄ブラシ8及び側面洗浄ブラシ9・9を自動車に接離させながらブラッシング洗浄が行われる。
【0055】
また、第2復工程は、第2往工程で作成した車形データに基づいて液剤散布パイプ37と水散布パイプ39から洗浄水、ケミカル散布パイプ38からワックス(あるいは撥水剤)を散布しながらブラッシング洗浄を実行する。このとき、洗浄ユニット9の高圧噴射ノズル10から洗浄水を高圧噴射し、すすぎを実行しても良い。
【0056】
更に、第3往工程では、第2往工程で作成した車形データに基づいて乾燥ノズル5・6・6を車体の各面に作用し、高圧風によるブロー乾燥が実行される。
【0057】
以上のように本発明は、洗車機本体の前面から所定距離離間した位置に、自動車車体に洗浄液を噴射する洗浄ユニットを設けたものであり、この構成を逸脱しない範囲で様々な実施態様が考えられる。例えば、洗車機の構成は、据置式の本体フレームに自動車を搬送するタイプ、自動車と本体フレームを双方可動するタイプ、いずれにも採用可能である。
【符号の説明】
【0058】
1 洗車機本体
9 洗浄ユニット
10 高圧噴射ノズル
11 泡散布ノズル
19 スライド装置
26 チルト装置
図1
図2
図3
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図7
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図10