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特許7251984自発光感光性樹脂組成物、これを用いて製造された色変換層および表示装置
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  • 特許-自発光感光性樹脂組成物、これを用いて製造された色変換層および表示装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-27
(45)【発行日】2023-04-04
(54)【発明の名称】自発光感光性樹脂組成物、これを用いて製造された色変換層および表示装置
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/004 20060101AFI20230328BHJP
   G03F 7/027 20060101ALI20230328BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20230328BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20230328BHJP
   G02F 1/13357 20060101ALI20230328BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20230328BHJP
【FI】
G03F7/004 505
G03F7/027
G02B5/20
G09F9/30 349A
G02F1/13357
G02F1/1335 505
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019001092
(22)【出願日】2019-01-08
(65)【公開番号】P2019120954
(43)【公開日】2019-07-22
【審査請求日】2021-10-11
(31)【優先権主張番号】10-2018-0002870
(32)【優先日】2018-01-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】503454506
【氏名又は名称】東友ファインケム株式会社
【氏名又は名称原語表記】DONGWOO FINE-CHEM CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】132, YAKCHON-RO, IKSAN-SI, JEOLLABUK-DO 54631, REPUBLIC OF KOREA
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】オ, ヨン-ホ
(72)【発明者】
【氏名】チャン, ホ-ジン
(72)【発明者】
【氏名】ファン, ジ-ナ
【審査官】倉本 勝利
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-210577(JP,A)
【文献】特開2016-130848(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2011-0139567(KR,A)
【文献】特開2018-124553(JP,A)
【文献】特開2006-127841(JP,A)
【文献】特開2015-194521(JP,A)
【文献】特開2011-219644(JP,A)
【文献】特開2014-012814(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/004
G03F 7/027
G02B 5/20
G09F 9/30
G02F 1/13357
G02F 1/1335
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
染料;および中心金属としてアルミニウム(Al)またはケイ素(Si)を有するテトラアザポルフィリン(tetraazaporphyrin)系化合物を含み、
前記テトラアザポルフィリン(tetraazaporphyrin)系化合物は、下記化学式1で表される化合物であり、
前記染料は、下記化学式2で表される化合物であることを特徴とする自発光感光性樹脂組成物。
【化1】
(前記化学式1において、R 26 ~R 33 は、それぞれ独立に、水素;非置換のフェニル基;炭素数1~8のアルキル基;炭素数1~8のアルコキシ基;ニトロ基;ハロゲン原子;シアノ基;炭素数1~8のアルキルアミノ基;炭素数1~8のアミノアルキル基;または炭素数1~8のアルコキシ基、炭素数1~8のアルキル基、ニトロ基、ハロゲン原子、炭素数1~8のアルキルアミノ基、炭素数1~8のアミノアルキル基、およびシアノ基の中から選択された1つ以上の置換基を有するフェニル基であり、
Mは、アンモニア、水、およびハロゲン原子の中から選択された1つ以上のリガンドを有するか、リガンドを有しないAlまたはSiである。)
【化2】
(前記化学式2において、R1およびR2は、それぞれ独立に、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換のヘテロ環基、または置換もしくは非置換の直鎖もしくは分枝鎖アルキル基であり、
R3、R4、R5およびR6は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルコキシ基、置換もしくは非置換のフェノキシ基、置換もしくは非置換のチオフェノキシ基、または下記化学式3で表される置換基であり、かつR3、R4、R5およびR6がすべて同一ではない。)
【化3】
(前記化学式3において、X1およびX5は、水素原子であり、
X2、X3およびX4は、それぞれ独立に、水素原子またはハロゲン原子であり、かつX2、X3およびX4のうちの少なくとも1つ以上は、ハロゲン原子であり、
Yは、酸素原子または硫黄原子である。)
【請求項2】
前記染料は、下記化学式4で表される化合物であることを特徴とする請求項に記載の自発光感光性樹脂組成物。
【化4】
(前記化学式4において、R1およびR2は、それぞれ独立に、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換のヘテロ環基、置換もしくは非置換の直鎖アルキル基、または置換もしくは非置換の分枝鎖アルキル基であり、
R11、R12、R13およびR14は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、炭素数1~10の直鎖または分枝鎖アルキル基、炭素数1~10のハロアルキル基、ヒドロキシ基、炭素数1~10のアルコキシ基、炭素数1~10のエステル基、およびアミン基から選択される置換基であり、かつR11、R12、R13およびR14のうちの少なくとも1つは、残りと置換基の種類または置換基の位置が異なるものであり、
、Y、YおよびYは、それぞれ独立に、酸素(O)原子または硫黄(S)原子であり、
a、b、cおよびdは、それぞれ独立に、1~5の整数である。)
【請求項3】
前記自発光感光性樹脂組成物は、色変換層形成用であることを特徴とする請求項1に記載の自発光感光性樹脂組成物。
【請求項4】
前記自発光感光性樹脂組成物は、結合剤樹脂、光重合性化合物、光重合開始剤、および溶剤をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の自発光感光性樹脂組成物。
【請求項5】
前記自発光感光性樹脂組成物の固形分の総重量に対して、結合剤樹脂5~85重量%;および光重合性化合物5~50重量%を含み、
前記結合剤樹脂および光重合性化合物の固形分の総重量に対して、光重合開始剤0.1~40重量%を含み、
前記自発光感光性樹脂組成物の総重量に対して、テトラアザポルフィリン系化合物0.001~15重量%;染料0.001~30重量%;および溶剤60~90重量%を含むことを特徴とする請求項に記載の自発光感光性樹脂組成物。
【請求項6】
請求項1~のいずれか1項に記載の自発光感光性樹脂組成物で製造されることを特徴とする色変換層。
【請求項7】
請求項に記載の色変換層を含むことを特徴とする表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自発光感光性樹脂組成物、これを用いて製造された色変換層および表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、ディスプレイ産業は、CRT(cathode-ray tube)から、PDP(plasma display panel)、OLED(organic light-emitting diode)、LCD(liquid-crystal display)などに代表される平板ディスプレイへと急激な変化を遂げてきている。そのうち、LCDは、ほぼすべての産業で使用される表示装置として広く用いられており、その応用範囲は拡大し続けている。
【0003】
LCDは、バックライトユニットから発生した白色光が液晶セルを通過しながら透過率が調節され、レッド(Red)、グリーン(Green)、ブルー(Blue)のカラーフィルタを透過して出る3原色が混合されてフルカラーを実現する。
【0004】
バックライトユニットの光源にはCCFL(Cold Cathode Fluorescent Lamp)を用いるが、この場合、バックライトユニットがCCFLに電源を常に印加しなければならないため、消費電力が消耗する問題を引き起こす。また、既存のCRTに比べて約70%水準の色再現率、水銀の添加に伴う環境汚染問題が欠点として指摘されている。
【0005】
前記問題点を解消するための代替品として、今のところ、LED(Light Emitting diode)を用いたバックライトユニットに関する研究が活発に行われている。LEDをバックライトユニットとして用いる場合、NTSC(National Television System Committee)色再現範囲の仕様の100%を上回ってより鮮やかな画質を消費者に提供することができる。
【0006】
そこで、同種産業界ではバックライト光源の効率を向上させるべく、カラーフィルタおよびLCDパネル(panel)の材料および構造などの変更により光効率を向上させるために努力しているが、着色材料の透過特性の限界によって色再現性および輝度特性を同時に満足させにくく、一定の水準を超えられない問題を抱えている。
【0007】
低い色再現性の問題はカラーフィルタの光効率の増加により解消可能であり、このために、カラーフィルタの厚さを増加させるか、これに積層または近接して色変換層(または光変換層)を導入する方式が提案されている。
【0008】
図1は、表示装置内における色変換層の役割を示す模式図であって、図1のように、バックライトユニットから発生した光源は、色変換層およびカラーフィルタを介して光効率を直接的に増加させることができる。
【0009】
特許文献1は、青色または紫外線波長帯の入射光を所定波長帯の光に変換する少なくとも1つの蛍光物質を有する光変換部を含むディスプレイに関して開示している。しかし、依然として光変換部の蛍光効率が低いという欠点がある。
【0010】
特許文献2は、隔壁を別途に形成しなくても所望の位置に色変換層を形成することができる、インクジェット法を用いた色変換フィルタの製造方法を開示しているが、この場合、染料自体だけでは蛍光効率が低く、有機EL材料を用いて一般溶剤に不溶性である問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】韓国公開特許第10-2012-0048218号公報
【文献】韓国公開特許第10-2010-0056437号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記の従来技術の問題を解決するためになされたものであって、特定のテトラアザポルフィリン系化合物を含むことにより、優れた蛍光効率特性を確保できる自発光感光性樹脂組成物、これを用いて製造された色変換層および表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、染料;および中心金属としてアルミニウム(Al)またはケイ素(Si)を有するテトラアザポルフィリン(tetraazaporphyrin)系化合物を含むことを特徴とする自発光感光性樹脂組成物を提供する。
【0014】
また、本発明は、前記自発光感光性樹脂組成物で製造されることを特徴とする色変換層を提供する。
【0015】
さらに、本発明は、前記色変換層を含むことを特徴とする表示装置を提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る自発光感光性樹脂組成物、これを用いて製造された色変換層および表示装置は、中心金属としてアルミニウム(Al)またはケイ素(Si)を有するテトラアザポルフィリン系化合物を含むことにより、優れた光学密度(Optical Density、O.D.)、蛍光効率(fluorescence efficiency)および発光強度(luminous intensity)特性を確保できる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】表示装置内における色変換層の役割を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、表示装置の色変換層に使用可能な自発光感光性樹脂組成物に関する。
【0019】
色変換層は、カラーフィルタの使用によって生じる低下した光効率を向上させるためのもので、前記カラーフィルタに隣接して位置し(図1参照)、カラーフィルタのレッド(R)、グリーン(G)パターンに対応するように微細パターンからなる。この時、前記微細パターンは、自発光感光性樹脂組成物を用いて形成することができる。
【0020】
特に、本発明に係る自発光感光性樹脂組成物は、染料、および中心金属としてアルミニウム(Al)またはケイ素(Si)を有するテトラアザポルフィリン(tetraazaporphyrin)系化合物を必須成分として含むことを特徴とすることができる。
【0021】
また、本発明に係る自発光感光性樹脂組成物は、結合剤樹脂、光重合性化合物、光重合開始剤、および溶剤をさらに含んでもよい。
【0022】
以下、各組成を説明する。
【0023】
テトラアザポルフィリン系化合物
本発明に係る自発光感光性樹脂組成物は、中心金属としてアルミニウムまたはケイ素を有するテトラアザポルフィリン系化合物を含むことにより、優れた光学密度(Optical Density、O.D.)、蛍光効率(fluorescence efficiency)および発光強度(luminous intensity)特性を確保することができる。
【0024】
本発明の一実施形態によれば、前記テトラアザポルフィリン系化合物は、下記化学式1で表される化合物であってもよい。
【0025】
【化1】
(前記化学式1において、R26~R33は、それぞれ独立に、水素;非置換のフェニル基;炭素数1~8のアルキル基;炭素数1~8のアルコキシ基;ニトロ基;ハロゲン原子;シアノ基;炭素数1~8のアルキルアミノ基;炭素数1~8のアミノアルキル基;または炭素数1~8のアルコキシ基、炭素数1~8のアルキル基、ニトロ基、ハロゲン原子、炭素数1~8のアルキルアミノ基、炭素数1~8のアミノアルキル基、およびシアノ基の中から選択された1つ以上の置換基を有するフェニル基であり、
Mは、アンモニア、水、およびハロゲン原子の中から選択された1つ以上のリガンドを有するか、リガンドを有しないAlまたはSiである。)
【0026】
本発明の自発光感光性樹脂組成物中のテトラアザポルフィリン系化合物の含有量は、自発光感光性樹脂組成物の総重量に対して0.001~15重量%含まれることが好ましく、0.1~10重量%含まれることがより好ましい。前記テトラアザポルフィリン系化合物の含有量が前記範囲以内の場合、優れた蛍光効率を示し得て好ましく、テトラアザポルフィリン系化合物の含有量が前記範囲を超える場合、蛍光減少および工程性に不利な影響を及ぼすことがある。
【0027】
本明細書において、「置換もしくは非置換」は、ハロゲン基、ニトリル基、ニトロ基、ヒドロキシ基、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、チオール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、スルホキシ基、アルキルスルホキシ基、アリールスルホキシ基、シリル基、ホウ素基、アリールアミン基、アラルキルアミン基、アルキルアミン基、アリール基、アリールアルキル基、アリールアルケニル基、ヘテロ環基、およびアセチレン基からなる群より選択された1個以上の置換基で置換されるか、いずれの置換基も有しないことを意味する。
【0028】
本明細書において、「ハロゲン基」は、-F、-Cl、-Br、または-Iを意味する。
【0029】
染料
本発明の自発光感光性樹脂組成物に含まれる染料は、色変換層に通常用いられる染料を使用することができる。
【0030】
また、前記染料は、蛍光染料であることを特徴とすることができ、好ましくは、赤色蛍光染料、より好ましくは、ペリレンビスイミド(perylene bis-imide)系化合物であることを特徴とすることができる。
【0031】
本発明の一実施形態によれば、前記ペリレンビスイミド系化合物は、下記化学式2で表される化合物であってもよい。
【0032】
【化2】
(前記化学式2において、R1およびR2は、それぞれ独立に、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換のヘテロ環基、または置換もしくは非置換の直鎖もしくは分枝鎖アルキル基であり、
R3、R4、R5およびR6は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルコキシ基、置換もしくは非置換のフェノキシ基、置換もしくは非置換のチオフェノキシ基、または下記化学式3で表される置換基であり、かつR3、R4、R5およびR6がすべて同一ではない。)
【0033】
【化3】
(前記化学式3において、X1およびX5は、水素原子であり、
X2、X3およびX4は、それぞれ独立に、水素原子またはハロゲン原子であり、かつX2、X3およびX4のうちの少なくとも1つ以上は、ハロゲン原子であり、
Yは、酸素原子または硫黄原子である。)
【0034】
また、前記化学式2で表される化合物は、ハロゲンが置換されたアリールオキシ基またはチオフェノキシ基が少なくとも1つ以上置換されたものであってもよい。
【0035】
前記ハロゲンが置換されたアリールオキシ基またはチオフェノキシ基が少なくとも1つ以上置換されたペリレンビスイミド系化合物を含む自発光感光性樹脂組成物は、色変換層の蛍光度を増加させることができる。また、ペリレンビスイミド系化合物に非対称形態の置換基を導入して構造的なねじれを誘発させることにより、溶媒に対する溶解度を増加させることができ、これによって、優れた化学的、熱的および光学的安定性を示し得て、工程の適用に非常に有利な効果を有する。
【0036】
本発明の他の実施形態によれば、前記ペリレンビスイミド系化合物は、下記化学式4で表される化合物であってもよい。
【0037】
【化4】
(前記化学式4において、R1およびR2は、それぞれ独立に、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換のヘテロ環基、置換もしくは非置換の直鎖アルキル基、または置換もしくは非置換の分枝鎖アルキル基であり、
R11、R12、R13およびR14は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、炭素数1~10の直鎖または分枝鎖アルキル基、炭素数1~10のハロアルキル基、ヒドロキシ基、炭素数1~10のアルコキシ基、炭素数1~10のエステル基、およびアミン基から選択される置換基であり、かつR11、R12、R13およびR14のうちの少なくとも1つは、残りと置換基の種類または置換基の位置が異なるものであり、
、Y、YおよびYは、それぞれ独立に、酸素(O)原子または硫黄(S)原子であり、
a、b、cおよびdは、それぞれ独立に、1~5の整数である。)
【0038】
また、上記化学式4で表される化合物は、上記R11、R12、R13及びR14のいずれかがパラ(para)又はメタ(meta)位置に置換されるものであってもよい。上記R1又はR2は、下記化学式5で表される置換基であってもよい。
【0039】
【化5】
(前記化学式5において、R21~R25は、それぞれ独立に、水素原子、および置換もしくは非置換の炭素数1~5の直鎖または分枝鎖アルキル基から選択される置換基である。)
【0040】
本発明のさらに他の実施形態によれば、前記ペリレンビスイミド系化合物は、下記化学式4-1~4-12で表される化合物のうちのいずれか1つであってもよい。
【0041】
【化6-1】
【0042】
【化6-2】
【0043】
【化6-3】
【0044】
【化6-4】
【0045】
本発明の自発光感光性樹脂組成物中の染料の含有量は、自発光感光性樹脂組成物の総重量に対して0.001~30重量%含まれることが好ましく、0.1~10重量%含まれることがより好ましい。前記染料の含有量が前記範囲以内の場合、蛍光効率および工程性の面で有利であり、前記範囲を超えると、染料の凝集発生によって蛍光効率の減少および工程性に不利な影響を及ぼすことがある。
【0046】
結合剤樹脂
本発明の自発光感光性樹脂組成物に含有される結合剤樹脂は、通常、光や熱の作用による反応性およびアルカリ溶解性を有し、着色材料の分散媒として作用する。本発明の自発光感光性樹脂組成物に含有される結合剤樹脂は、染料に対する結合剤樹脂として作用し、色変換層の製造のための現像ステップで使用されたアルカリ性現像液に溶解可能な結合剤樹脂であればいずれも使用可能である。
【0047】
結合剤樹脂は、例えば、カルボキシル基含有単量体およびこの単量体と共重合可能な他の単量体の共重合体などが挙げられる。
【0048】
前記カルボキシル基含有単量体としては、例えば、不飽和モノカルボン酸や、不飽和ジカルボン酸、不飽和トリカルボン酸などの分子中に1個以上のカルボキシル基を有する不飽和多価カルボン酸などの不飽和カルボン酸などが挙げられる。ここで、不飽和モノカルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、α-クロロアクリル酸、ケイ皮酸などが挙げられる。不飽和ジカルボン酸としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸などが挙げられる。不飽和多価カルボン酸は、酸無水物であってもよく、具体的には、マレイン酸無水物、イタコン酸無水物、シトラコン酸無水物などが挙げられる。また、不飽和多価カルボン酸は、そのモノ(2-メタクリロイルオキシアルキル)エステルであってもよく、例えば、コハク酸モノ(2-アクリロイルオキシエチル)、コハク酸モノ(2-メタクリロイルオキシエチル)、フタル酸モノ(2-アクリロイルオキシエチル)、フタル酸モノ(2-メタクリロイルオキシエチル)などが挙げられる。不飽和多価カルボン酸は、その両末端ジカルボキシ重合体のモノ(メタ)アクリレートであってもよく、例えば、ω-カルボキシポリカプロラクトンモノアクリレート、ω-カルボキシポリカプロラクトンモノメタクリレートなどが挙げられる。これらのカルボキシル基含有単量体は、それぞれ単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0049】
前記カルボキシル基含有単量体と共重合可能な他の単量体としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、o-ビニルトルエン、m-ビニルトルエン、p-ビニルトルエン、p-クロロスチレン、o-メトキシスチレン、m-メトキシスチレン、p-メトキシスチレン、o-ビニルベンジルメチルエーテル、m-ビニルベンジルメチルエーテル、p-ビニルベンジルメチルエーテル、o-ビニルベンジルグリシジルエーテル、m-ビニルベンジルグリシジルエーテル、p-ビニルベンジルグリシジルエーテル、インデンなどの芳香族ビニル化合物;メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n-プロピルアクリレート、n-プロピルメタクリレート、i-プロピルアクリレート、i-プロピルメタクリレート、n-ブチルアクリレート、n-ブチルメタクリレート、i-ブチルアクリレート、i-ブチルメタクリレート、sec-ブチルアクリレート、sec-ブチルメタクリレート、t-ブチルアクリレート、t-ブチルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、3-ヒドロキシプロピルアクリレート、3-ヒドロキシプロピルメタクリレート、2-ヒドロキシブチルアクリレート、2-ヒドロキシブチルメタクリレート、3-ヒドロキシブチルアクリレート、3-ヒドロキシブチルメタクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、4-ヒドロキシブチルメタクリレート、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、フェニルアクリレート、フェニルメタクリレート、2-メトキシエチルアクリレート、2-メトキシエチルメタクリレート、2-フェノキシエチルアクリレート、2-フェノキシエチルメタクリレート、メトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシジエチレングリコールメタクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、メトキシトリエチレングリコールメタクリレート、メトキシプロピレングリコールアクリレート、メトキシプロピレングリコールメタクリレート、メトキシジプロピレングリコールアクリレート、メトキシジプロピレングリコールメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、ジシクロペンタジエニルアクリレート、ジシクロペンタジエチルメタクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルメタクリレート、グリセロールモノアクリレート、グリセロールモノメタクリレートなどの不飽和カルボン酸エステル類;2-アミノエチルアクリレート、2-アミノエチルメタクリレート、2-ジメチルアミノエチルアクリレート、2-ジメチルアミノエチルメタクリレート、2-アミノプロピルアクリレート、2-アミノプロピルメタクリレート、2-ジメチルアミノプロピルアクリレート、2-ジメチルアミノプロピルメタクリレート、3-アミノプロピルアクリレート、3-アミノプロピルメタクリレート、3-ジメチルアミノプロピルアクリレート、3-ジメチルアミノプロピルメタクリレートなどの不飽和カルボン酸アミノアルキルエステル類;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなどの不飽和カルボン酸グリシジルエステル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、アリルグリシジルエーテルなどの不飽和エーテル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α-クロロアクリロニトリル、シアン化ビニリデンなどのシアン化ビニル化合物;アクリルアミド、メタクリルアミド、α-クロロアクリルアミド、N-2-ヒドロキシエチルアクリルアミド、N-2-ヒドロキシエチルメタクリルアミドなどの不飽和アミド類;マレイミド、ベンジルマレイミド、N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミドなどの不飽和イミド類;1,3-ブタジエン、イソプレン、クロロプレンなどの脂肪族共役ジエン類;およびポリスチレン、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリ-n-ブチルアクリレート、ポリ-n-ブチルメタクリレート、ポリシロキサンの重合体分子鎖の末端にモノアクリロイル基またはモノメタクリロイル基を有する巨大単量体類などが挙げられる。これらの単量体は、それぞれ単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。特に、前記カルボキシル基含有単量体と共重合可能な他の単量体として、ノルボルニル骨格を有する単量体、アダマンタン骨格を有する単量体、ロジン骨格を有する単量体などのバルキー性単量体が比誘電定数値を低下させる傾向があるので、好ましい。
【0050】
本発明の結合剤樹脂は、酸価が20~200(mgKOH/g)の範囲であることが好ましい。酸価が前記範囲にあれば、現像液中の溶解性が向上して非露出部が溶解しやすく感度が増加し、結果的に露出部のパターンが現像時に残って残膜率(film remaining ratio)を改善できるので、好ましい。
【0051】
ここで、酸価とは、アクリル系重合体1gを中和するのに必要な水酸化カリウムの量(mg)として測定される値であり、通常、水酸化カリウム水溶液を用いて滴定することにより求められる。
【0052】
また、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC;テトラヒドロフランを溶出溶剤とする)で測定したポリスチレン換算重量平均分子量(以下、単に「重量平均分子量」という)が3,000~200,000、好ましくは5,000~100,000の結合剤樹脂が好ましい。分子量が前記範囲にあれば、コーティングフィルムの硬度が向上して、残膜率が高く、現像液中の非露出部の溶解性が卓越し、解像度が向上する傾向があって、好ましい。
【0053】
結合剤樹脂の分子量分布[重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)]は、1.5~6.0であることが好ましく、1.8~4.0であることがより好ましい。分子量分布[重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)]が1.5~6.0であれば、現像性に優れるので、好ましい。
【0054】
本発明の結合剤樹脂の含有量は、自発光感光性樹脂組成物中の固形分の総重量に対して、通常5~85重量%、好ましくは10~70重量%の範囲である。結合体樹脂の含有量が前記範囲以内の場合、現像液への溶解性が十分で非画素部分の基板上に現像時に残渣が発生しにくく、現像時に露光部の画素部分の膜減少が生じにくくて、非画素部分の欠落性が良好な傾向があるので、好ましい。
【0055】
光重合性化合物
本発明の自発光感光性樹脂組成物に含有される光重合性化合物は、後述する光重合開始剤の作用で重合できる化合物であって、単官能単量体、2官能単量体、その他の多官能単量体などが挙げられる。
【0056】
単官能単量体の具体例としては、ノニルフェニルカルビトールアクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート、2-エチルヘキシルカルビトールアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、N-ビニルピロリドンなどが挙げられる。
【0057】
2官能単量体の具体例としては、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのビス(アクリロイルオキシエチル)エーテル、3-メチルペンタンジオールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0058】
その他の多官能単量体の具体例としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらのうち、2官能以上の多官能単量体が好ましく使用される。
【0059】
前記光重合性化合物は、自発光感光性樹脂組成物中の固形分の総重量に対して、通常5~50重量%、好ましくは7~45重量%の範囲で使用される。光重合性化合物の含有量が前記範囲以内の場合、画素部の強度や平滑性が良好になる傾向があるので、好ましい。
【0060】
光重合開始剤
本発明で使用される光重合開始剤は、アセトフェノン系化合物を含むことが好ましい。アセトフェノン系化合物としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、ベンジルジメチルケタール、2-ヒドロキシ-1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2-メチルプロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルホリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)ブタン-1-オン、2-ヒドロキシ-2-メチル[4-(1-メチルビニル)フェニル]プロパン-1-オンのオリゴマーなどが挙げられ、好ましくは、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)ブタン-1-オンなどが挙げられる。また、前記アセトフェノン系以外の光重合開始剤を組み合わせて使用することができる。アセトフェノン系以外の光重合開始剤は、光を照射することによって活性ラジカルを発生する活性ラジカル発生剤、増感剤、酸発生剤などが挙げられる。活性ラジカル発生剤としては、例えば、ベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物、トリアジン系化合物などが挙げられる。ベンゾイン系化合物としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイソブチルエーテルなどが挙げられる。ベンゾフェノン系化合物としては、例えば、ベンゾフェノン、o-ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルスルフィド、3,3’,4,4’-テトラ(t-ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6-トリメチルベンゾフェノンなどが挙げられる。チオキサントン系化合物としては、例えば、2-イソプロピルチオキサントン、4-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン、1-クロロ-4-プロホキシチオキサントンなどが挙げられる。トリアジン系化合物としては、例えば、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシナフチル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシスチリル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-[2-(5-メチルフラン-2-イル)エテニル]-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-[2-(フラン-2-イル)エテニル]-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-[2-(4-ジエチルアミノ-2-メチルフェニル)エテニル]-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-[2-(3,4ジメトキシフェニル)エテニル]-1,3,5-トリアジンなどが挙げられる。前記活性ラジカル発生剤としては、例えば、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,2’-ビス(o-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾール、10-ブチル-2-クロロアクリドン、2-エチルアントラキノン、ベンジル、9,10-フェナントレンキノン、カンファーキノン、フェニルグリオキシル酸メチル、チタノセン化合物などを使用することができる。前記酸発生剤としては、例えば、4-ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウムp-トルエンスルホネート、4-ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4-アセトキシフェニルジメチルスルホニウムp-トルエンスルホネート、4-アセトキシフェニルメチルベンジルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムp-トルエンスルホネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウムp-トルエンスルホネート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネートなどのオニウム塩類や、ニトロベンジルトシレート類、ベンゾイントシレート類などが挙げられる。また、活性ラジカル発生剤として前記化合物中には活性ラジカルと同時に酸を発生する化合物もあり、例えば、トリアジン系光重合開始剤は、酸発生剤としても使用される。
【0061】
本発明に係る自発光感光性樹脂組成物に使用される光重合開始剤の含有量は、前記結合剤樹脂および光重合性化合物の固形分の総重量に対して、通常0.1~40重量%、好ましくは1~30重量%である。光重合開始剤の含有量が前記範囲以内の場合、自発光感光性樹脂組成物が高感度化され、この組成物を用いて形成した画素部の強度や、この画素部の表面における平滑性が良好になる傾向があるので、好ましい。
【0062】
さらに、本発明では、光重合開始助剤を使用することができる。光重合開始助剤は、光重合開始剤と組み合わせて使用される場合があり、光重合開始剤によって重合開始された光重合性化合物の重合を促進させるために使用される化合物である。光重合開始助剤としては、アミン系化合物、アルコキシアントラセン系化合物、チオキサントン系化合物などが挙げられる。アミン系化合物としては、例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4-ジメチルアミノ安息香酸メチル、4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸2-ジメチルアミノエチル、4-ジメチルアミノ安息香酸2-エチルヘキシル、N,N-ジメチルパラトルイジン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンズフェノン(通称、ミヒラーズケトン)、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(エチルメチルアミノ)ベンゾフェノンなどが挙げられ、なかでも、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンが好ましい。アルコキシアントラセン系化合物としては、例えば、9,10-ジメトキシアントラセン、2-エチル-9,10-ジメトキシアントラセン、9,10-ジエトキシアントラセン、2-エチル-9,10-ジエトキシアントラセンなどが挙げられる。チオキサントン系化合物としては、例えば、2-イソプロピルチオキサントン、4-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン、1-クロロ-4-プロホキシチオキサントンなどが挙げられる。このような光重合開始助剤は、単独でまたは複数を組み合わせて使用しても構わない。
【0063】
また、光重合開始助剤として市販のものを使用することができ、市販の光重合開始助剤としては、例えば、商品名「EAB-F」[製造元:保土谷化学工業株式会社]などが挙げられる。
【0064】
これらの光重合開始助剤を使用する場合、その使用量は、光重合開始剤1モルあたり、通常10.0モル以下、好ましくは0.01~5.0モルが好ましい。光重合開始助剤の使用量が前記範囲内の場合、自発光感光性樹脂組成物の感度がさらに高くなり、この組成物を用いて形成される色変換層の生産性が向上する傾向があるので、好ましい。
【0065】
溶剤
本発明の自発光感光性樹脂組成物に含有される溶剤は特に制限されず、着色感光性樹脂組成物の分野で用いられている各種有機溶剤を使用することができる。その具体例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルなどのエチレングリコールモノアルキルエーテル類、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテルなどのジエチレングリコールジアルキルエーテル類、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテートなどのエチレングリコールアルキルエーテルアセテート類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、メトキシブチルアセテート、メトキシペンチルアセテートなどのアルキレングリコールアルキルエーテルアセテート類、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレンなどの芳香族炭化水素類、メチルエチルケトン、アセトン、メチルアミルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、グリセリンなどのアルコール類、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチルなどのエステル類、γ-ブチロラクトンなどの環状エステル類などが挙げられる。
【0066】
前記溶剤は、塗布性および乾燥性の面から、前記溶剤のうち沸点が100℃~200℃の有機溶剤を使用することが好ましく、より好ましくは、アルキレングリコールアルキルエーテルアセテート類、ケトン類、3-エトキシプロピオン酸エチルや、3-メトキシプロピオン酸メチルなどのエステル類を使用することができ、さらに好ましくは、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチルなどを使用することができる。これらの溶剤は、それぞれ単独でまたは2種類以上混合して使用することができる。
【0067】
本発明の自発光感光性樹脂組成物中の溶剤の含有量は、自発光感光性樹脂組成物の総重量に対して、通常60~90重量%、好ましくは70~85重量%である。溶剤の含有量が前記範囲内の場合、ロールコーター、スピンコーター、スリットアンドスピンコーター、スリットコーター(ダイコーターともいう場合がある)、インクジェットなどの塗布装置で塗布した時、塗布性が良好になる傾向があるので、好ましい。
【0068】
その他添加剤
本発明の自発光感光性樹脂組成物は、必要に応じて、充填剤、別の高分子化合物、顔料分散剤、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤などの添加剤を含むことも可能である。
【0069】
充填剤の具体例は、ガラス、シリカ、アルミナなどが例示される。
【0070】
別の高分子化合物としては、具体的には、エポキシ樹脂、マレイミド樹脂などの硬化性樹脂、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリフルオロアルキルアクリレート、ポリエステル、ポリウレタンなどの熱可塑性樹脂などが挙げられる。
【0071】
顔料分散剤としては、市販の界面活性剤を用いることができ、例えば、シリコーン系、フッ素系、エステル系、陽イオン系、陰イオン系、非イオン系、両性などの界面活性剤などが挙げられる。これらは、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。前記界面活性剤として、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリエチレングリコールジエステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、脂肪酸変性ポリエステル類、3級アミン変性ポリウレタン類、ポリエチレンイミン類などがあり、その他、商品名でKP(信越化学工業(株)製造)、ポリフロー(POLYFLOW)(共栄社化学(株)製造)、エフトップ(EFTOP)(トーケムプロダクツ社製造)、メガファック(MEGAFAC)(大日本インキ化学工業(株)製造)、フロラード(Flourad)(住友スリーエム(株)製造)、アサヒガード(Asahi guard)、サーフロン(Surflon)(以上、旭硝子(株)製造)、ソルスパース(SOLSPERSE)(ゼネカ(株)製造)、EFKA(EFKAケミカルズ社製造)、PB821(味の素(株)製造)などが挙げられる。
【0072】
前記密着促進剤として、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2-メトキシエトキシ)シラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2-(3,4-エホキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。
【0073】
前記酸化防止剤としては、具体的には、2,2’-チオビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,6-ジ-<81>t-ブチル-4-メチルフェノールなどが挙げられる。紫外線吸収剤としては、具体的には、2-(3-tert-ブチル-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、アルコキシベンゾフェノンなどが挙げられる。凝集防止剤としては、具体的には、ポリアクリル酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0074】
本発明の自発光感光性樹脂組成物は、例えば、以下の方法によって製造することができる。染料を予め溶剤と混合して溶解させる。この時、必要に応じて顔料分散剤が使用され、また、結合剤樹脂の一部または全部が配合される場合もある。得られた分散液(以下、ミルベースという場合もある)に結合剤樹脂の残り、光重合性化合物、および光重合開始剤を、必要に応じて使用されるその他の成分、必要に応じて追加の溶剤を所定の濃度となるようにさらに添加して、目的の自発光感光性樹脂組成物を得ることができる。
【0075】
色変換層
また、本発明は、前記自発光感光性樹脂組成物で製造された色変換層を提供する。
【0076】
本発明の色変換層は、表示装置に適用される場合、表示装置が光源の光によって発光するので、より優れた光効率を実現することができる。また、色を有する光が放出されることから、色再現性がより優れ、光ルミネッセンスによって全方向に光が放出されるので、視野角も改善できる。
【0077】
より詳細には、色変換層を含む通常の表示装置では、白色光が色変換層を透過してカラーが実現されるが、この過程で光の一部が色変換層に吸収されるので、光効率が低下することがある。しかし、本発明の自発光感光性樹脂組成物で製造された色変換層を含む場合には、色変換層が光源の光によって自体発光するので、より優れた光効率を実現することができる。
【0078】
色変換層は、基板と、前記基板の上部に形成されたパターン層とを含む。
【0079】
基板は、色変換層自体の基板でもよいし、またはディスプレイ装置などに色変換層が位置する部位でもよいもので、特に制限されない。前記基板は、ガラス、シリコン(Si)、シリコン酸化物(SiOx)、または高分子基板であってもよいし、前記高分子基板は、ポリエーテルスルホン(polyethersulfone、PES)またはポリカーボネート(polycarbonate、PC)などであってもよい。
【0080】
パターン層は、本発明の自発光感光性樹脂組成物を含む層で、前記自発光感光性樹脂組成物を塗布し、所定のパターンで露光、現像および熱硬化して形成された層であってもよい。
【0081】
前記自発光感光性樹脂組成物で形成されたパターン層は、赤量子ドット粒子を含有した赤色パターン層、緑量子ドット粒子を含有した緑色パターン層、および青量子ドット粒子を含有した青色パターン層を備えることができる。光照射時、赤色パターン層は赤色光を、緑色パターン層は緑色光を、青色パターン層は青色光を放出する。その場合、表示装置への適用時に光源の放出光が特に限定されないが、より優れた色再現性の面から、青色光を放出する光源を使用することができる。
【0082】
本発明の他の実施形態によれば、前記パターン層は、赤色パターン層、緑色パターン層、および青色パターン層のうち2種の色のパターン層のみを備えることもできる。その場合には、前記パターン層は、量子ドット粒子を含有しない透明パターン層をさらに備える。
【0083】
2種の色のパターン層のみを備える場合には、含有しない残りの色を示す波長の光を放出する光源を用いることができる。例えば、赤色パターン層および緑色パターン層を含む場合には、青色光を放出する光源を用いることができる。その場合に、赤量子ドット粒子は赤色光を、緑量子ドット粒子は緑色光を放出し、透明パターン層は青色光がそのまま透過して青色を示す。
【0084】
前記のような基板およびパターン層を含む色変換層は、各パターンの間に形成された隔壁をさらに含んでもよいし、ブラックマトリックスをさらに含んでもよい。また、色変換層のパターン層の上部に形成された保護膜をさらに含んでもよい。
【0085】
表示装置
また、本発明は、前記色変換層を含む表示装置を提供する。
【0086】
本発明の色変換層は、通常の液晶表示装置だけでなく、電界発光表示装置、プラズマ表示装置、電界放出表示装置などの各種画像表示装置に適用可能である。
【0087】
本発明の表示装置は、赤量子ドット粒子を含有した赤色パターン層、緑量子ドット粒子を含有した緑色パターン層、および青量子ドット粒子を含有した青色パターン層を含む色変換層を備えることができる。その場合、表示装置への適用時に光源の放出光が特に限定されないが、より優れた色再現性の面から、好ましくは、青色光を放出する光源を用いることができる。
【0088】
本発明の他の実施形態によれば、本発明の表示装置は、赤色パターン層、緑色パターン層、および青色パターン層のうち2種の色のパターン層のみを含む色変換層を備えることもできる。その場合には、前記色変換層は、量子ドット粒子を含有しない透明パターン層をさらに備える。
【0089】
2種の色のパターン層のみを備える場合には、含有しない残りの色を示す波長の光を放出する光源を用いることができる。例えば、赤色パターン層および緑色パターン層を含む場合には、青色光を放出する光源を用いることができる。その場合に、赤量子ドット粒子は赤色光を、緑量子ドット粒子は緑色光を放出し、透明パターン層は、青色光がそのまま透過して青色を示す。
【0090】
本発明の表示装置は、光効率に優れて高い輝度を示し、色再現性に優れ、広い視野角を有することができる。
【0091】
以下、本発明を実施例および比較例を利用してより詳細に説明する。しかし、下記の実施例は本発明を例示するためのものであって、本発明は下記の実施例によって限定されず、多様に修正および変更可能である。本発明の範囲は、後述する特許請求の範囲の技術的思想によって定められる。また、以下、含有量を示す「%」および「部」は、特に言及しない限り、重量基準である。
【0092】
合成例1
文献(J.Am.Soc.,4839(1952))で公知の方法により、次のように化学式1-1で表されるテトラアザポルフィリン化合物を合成した。
【0093】
【化7】
【0094】
メタルフリーオクタフェニルテトラアザポルフィリン50重量部と酸化アルミニウム1.5重量部を、o-ジクロロベンゼン25重量部の溶媒下で1.5時間還流した。反応が完了すると、前記反応混合物を熱い状態で還流した。反応完了後、室温まで冷却させて生成された固体を熱水とエタノールで洗浄した後、これをクロロベンゼンを用いて抽出した。次に、前記抽出物を結晶化して純粋なアルミニウムオクタフェニルテトラアザポルフィリンを得た。
【0095】
合成例2
酸化アルミニウムの代わりにケイ酸を用いたことを除き、前記合成例1と同様の方法により、化学式1-2で表される純粋なケイ素オクタフェニルテトラアザポルフィリンを得た。
【0096】
【化8】
【0097】
比較合成例1
酸化アルミニウムの代わりに無水マンガンを用いたことを除き、前記合成例1と同様の方法により、化学式1-3で表される純粋なマンガンオクタフェニルテトラアザポルフィリンを得た。
【0098】
【化9】
【0099】
比較合成例2
酸化アルミニウムの代わりに硝酸銅を用いたことを除き、前記合成例1と同様の方法により、化学式1-4で表される純粋な銅オクタフェニルテトラアザポルフィリンを得た。
【0100】
【化10】
【0101】
合成例3
【0102】
【化11】
【0103】
1,6,7,12-テトラクロロペリレンテトラカルボン酸ジアンハイドライド(0.11mol)と2,6-ジイソプロピルアニリン(0.44mol)を、プロピオン酸1Lに投入後、昇温して140℃で5時間反応を維持した。この後、反応液を室温に冷却して析出物を減圧濾過し、メタノールで水洗した。前記濾過体を水に分散して30分間維持した後、減圧濾過し、再度メタノールに分散して30分間維持した後、減圧濾過した。前記濾過体を乾燥して、80.5%の収率で中間体化合物(INT)を得た。
【0104】
前記形成された中間体化合物に対して、MALDI-TOF測定装置を用いてMS(Mass Spectrometric)を測定した結果、分子量が848.16であることが確認された。
【0105】
合成例4:化学式4-1の化合物の合成
【0106】
【化12】
【0107】
前記合成例3で合成された中間体化合物(0.04mol)とN-メチルピロリドン(266.1g)溶解液に炭酸カリウム(0.04mol)を添加した後、120℃に昇温した。前記反応液に4-フルオロフェノール(0.04mol)をN-メチルピロリドン(88.7g)に溶解した溶液を120℃で2時間投入した。同じ温度で1時間反応維持後、4-クロロフェノール(0.16mol)と炭酸カリウム(0.16mol)を添加して、4時間撹拌した。その後、反応液を室温に冷却し、蒸留水3Lに排出した。このように生成された紫色沈殿物を減圧濾過し、メタノールで水洗した。前記濾過体をメチレンクロライド(MC)に再溶解後、シリカ濾過して不純物を除去し、MeOHで再結晶を進行させて、化学式4-1の化合物を40.4%の収率で得ており、分子量は1198.29であることが確認された。
【0108】
合成例5:化学式4-3の化合物の合成
【0109】
【化13】
【0110】
前記合成例3で合成された中間体化合物(0.04mol)とN-メチルピロリドン(266.1g)溶解液に炭酸カリウム(0.04mol)を添加した後、120℃に昇温した。前記反応液に2,4-(tert-ブチル)フェノール(0.04mol)をN-メチルピロリドン(88.7g)に溶解した溶液を120℃で2時間投入した。同じ温度で1時間反応維持後、4-クロロフェノール(0.16mol)と炭酸カリウム(0.16mol)を添加して、4時間撹拌した。その後、反応液を室温に冷却し、蒸留水3Lに排出した。このように生成された紫色沈殿物を減圧濾過し、メタノールで水洗した。前記濾過体をメチレンクロライド(MC)に再溶解後、シリカ濾過して不純物を除去し、MeOHで再結晶を進行させて、化学式4-3の化合物を37.0%の収率で得ており、分子量は1236.37であることが確認された。
【0111】
合成例6:化学式4-7の化合物の合成
【0112】
【化14】
【0113】
前記合成例3で合成された中間体化合物(0.04mol)とN-メチルピロリドン(266.1g)溶解液に炭酸カリウム(0.04mol)を添加した後、120℃に昇温した。前記反応液に4-ブチルパラベン(0.04mol)をN-メチルピロリドン(88.7g)に溶解した溶液を120℃で2時間投入した。同じ温度で1時間反応維持後、4-クロロフェノール(0.16mol)と炭酸カリウム(0.16mol)を添加して、4時間撹拌した。その後、反応液を室温に冷却し、蒸留水3Lに排出した。このように生成された紫色沈殿物を減圧濾過し、メタノールで水洗した。前記濾過体をメチレンクロライド(MC)に再溶解後、シリカ濾過して不純物を除去し、MeOHで再結晶を進行させて、化学式4-7の化合物を68.7%の収率で得ており、分子量は1280.35であることが確認された。
【0114】
合成例7:化学式4-10の化合物の合成
【0115】
【化15】
【0116】
前記合成例3で合成された中間体化合物(0.04mol)とN-メチルピロリドン(266.1g)溶解液に炭酸カリウム(0.04mol)を添加した後、120℃に昇温した。前記反応液に4-(tert-ブチル)フェノール(0.04mol)をN-メチルピロリドン(88.7g)に溶解した溶液を120℃で2時間投入した。同じ温度で1時間反応維持後、4-クロロフェノール(0.16mol)と炭酸カリウム(0.16mol)を添加して、4時間撹拌した。その後、反応液を室温に冷却し、蒸留水3Lに排出した。このように生成された紫色沈殿物を減圧濾過し、メタノールで水洗した。前記濾過体をメチレンクロライド(MC)に再溶解後、シリカ濾過して不純物を除去し、MeOHで再結晶を進行させて、化学式4-10の化合物を56.5%の収率で得ており、分子量は1370.21であることが確認された。
【0117】
合成例8:化学式4-12の化合物の合成
【0118】
【化16】
【0119】
前記合成例3で合成された中間体化合物(0.04mol)とN-メチルピロリドン(266.1g)溶解液に炭酸カリウム(0.04mol)を添加した後、120℃に昇温した。前記反応液に3-(トリフルオロメチル)フェノール(0.04mol)をN-メチルピロリドン(88.7g)に溶解した溶液を120℃で2時間投入した。同じ温度で1時間反応維持後、4-クロロフェノール(0.16mol)と炭酸カリウム(0.16mol)を添加して、4時間撹拌した。その後、反応液を室温に冷却し、蒸留水3Lに排出した。このように生成された紫色沈殿物を減圧濾過し、メタノールで水洗した。前記濾過体をメチレンクロライド(MC)に再溶解後、シリカ濾過して不純物を除去し、MeOHで再結晶を進行させて、化学式4-12の化合物を40.5%の収率で得ており、分子量は1248.29であることが確認された。
【0120】
製造例:結合剤樹脂
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下ロートおよび窒素導入管を備えたフラスコを準備した。モノマー滴下ロートとして、ベンジルマレイミド74.8g(0.20モル)、アクリル酸43.2g(0.30モル)、ビニルトルエン118.0g(0.50モル)、t-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート4g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)40gを投入後、撹拌混合して準備し、連鎖移動剤滴下槽として、n-ドデカンチオール6g、PGMEA24gを入れて撹拌混合したものを準備した。この後、フラスコにPGMEA395gを導入し、フラスコ内の雰囲気を空気から窒素にした後、撹拌しながらフラスコの温度を90℃まで昇温した。次に、モノマーおよび連鎖移動剤を滴下ロートから滴下開始した。滴下は90℃を維持しながらそれぞれ2時間の間進行させ、1時間後に110℃に昇温して3時間維持した後、ガス導入管を導入して、酸素/窒素=5/95(v/v)混合ガスのバブリングを開始した。次に、グリシジルメタクリレート28.4g[(0.10モル)、(本反応に使用したアクリル酸のカルボキシル基に対して33モル%)]、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)0.4g、トリエチルアミン0.8gをフラスコ内に投入して、110℃で8時間反応させて、固形分酸価が70mgKOH/gの結合剤樹脂を得た。GPCにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量は16,000であり、分子量分布(Mw/Mn)は2.3であった。
【0121】
装置:HLC-8120GPC(東ソー(株)製造)
カラム:TSK-GELG4000HXL+TSK-GELG2000HXL(直列接続)
カラム温度:40℃
移動相溶剤:テトラヒドロフラン
流速:1.0ml/分
注入量:50μl
検出器:RI
測定試料濃度:0.6質量%(溶剤=テトラヒドロフラン)
校正用標準物質:TSK STANDARD POLYSTYRENE F-40、F-4、F-1、A-2500、A-500(東ソー(株)製造)
【0122】
前記得られた重量平均分子量および数平均分子量の比を分子量分布(Mw/Mn)とした。
【0123】
実施例1~6および比較例1~3
下記表1に示した組成および含有量により実施例1~6および比較例1~3それぞれの自発光感光性樹脂組成物を製造した。
【0124】
【表1】
TAP-1:合成例1
TAP-2:合成例2
TAP-3:比較合成例1
TAP-4:比較合成例2
A-1:合成例4
A-2:合成例5
A-3:合成例6
A-4:合成例7
A-5:合成例8
B:製造例の結合剤樹脂
C:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(Kayarad DPHA:日本化薬(株)製造)
D-1:2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)ブタン-1-オン(Irgacure369;Ciba Specialty Chemical社製造)
D-2:4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンズフェノン(EAB-F;保土谷化学(株)製造)
E:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)
【0125】
色変換層の製造例
前記実施例1~6と比較例1~3で製造された自発光感光性樹脂組成物を用いて色変換層を製造した。すなわち、それぞれの自発光感光性樹脂組成物をスピンコーティング法でガラス基板上に塗布した後、加熱板上に置き、100℃の温度で3分間維持して薄膜を形成させた。次に、前記薄膜上に紫外線を照射した。この時、紫外線光源はウシオ電機(株)製の超高圧水銀ランプ(商品名USH-250D)を用いて、大気雰囲気下、40mJ/cmの露光量(365nm)で光照射し、特別な光学フィルタは用いなかった。前記紫外線の照射された薄膜をpH12.5のKOH水溶液現像溶液にスプレー現像器を用いて60秒間現像後、220℃の加熱オーブンで20分間加熱してパターンを製造した。前記製造された自発光カラー色変換層パターンのフィルムの厚さは3.0μmであった。色変換層の厚さは500μmまで多様に制御可能である。
【0126】
実験例:発光強度の測定
前記実施例1~6および比較例1~3の自発光感光性樹脂組成物を用いて製造された厚さが3.0μmの自発光カラーパターンを量子効率測定器(QE-1000、大塚社製)を用いて、それぞれのコーティング基板に対する発光(Photo Luminescence、PL)を測定して、下記表2に記載した。測定された発光強度が高いほど優れた蛍光効率特性を有すると判断することができる。
【0127】
【表2】
【0128】
前記表2を参照すれば、実施例1~6が、比較例1~3に比べてより高い発光強度値を有するので、実施例1~6による自発光感光性樹脂組成物を用いて製造された色変換層の蛍光効率が、比較例1~3より優れていることが分かる。


図1