(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-27
(45)【発行日】2023-04-04
(54)【発明の名称】ドアヒンジ
(51)【国際特許分類】
B60J 5/04 20060101AFI20230328BHJP
E05D 3/10 20060101ALI20230328BHJP
E05D 3/06 20060101ALI20230328BHJP
B60J 5/00 20060101ALI20230328BHJP
B05D 5/02 20060101ALI20230328BHJP
【FI】
B60J5/04 L
E05D3/10
E05D3/06
B60J5/00 Z
B05D5/02
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019002561
(22)【出願日】2019-01-10
【審査請求日】2021-10-18
(32)【優先日】2018-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】519010422
【氏名又は名称】ケーニグセグ オートモーティブ アーベー
【氏名又は名称原語表記】Koenigsegg Automotive AB
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100149249
【氏名又は名称】田中 達也
(72)【発明者】
【氏名】クリスチャン ヴォン ケーニグセグ
【審査官】森本 康正
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第01334856(EP,A2)
【文献】仏国特許出願公開第02703747(FR,A1)
【文献】仏国特許出願公開第02736380(FR,A1)
【文献】特開2006-233514(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 5/00- 5/12
E05D 1/00- 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路車両(100)のサイドドア(200)を前記道路車両(100)のボディに接続するためのドアヒンジ(300)であって、該ドアヒンジ(300)が、前記サイドドア(200)が閉鎖する閉鎖状態と、前記サイドドア(200)が開放する開放状態を有し、前記ドアヒンジ(300)が、
・前記ドアヒンジ(300)を前記サイドドア(200)に接続するドアマウント(302)と、・前記ドアヒンジ(300)を前記道路車両(100)の前記ボディ(102)に取り付けるための、取り付け方位に位置するベース(304)と、
・前記ドアマウント(302)に接続された連結器(306)と、
・第1継手(310)により前記ベース(304)に旋回可能に接続され、第2継手(312)により前記連結器(306)に旋回可能に接続されたクランク(308)と、
・第3継手(316)により前記ベース(304)に旋回可能に接続され、第4継手(318)により前記連結器(306)に旋回可能に接続されたフォロワ(314)とを備え、
前記ベース(304)、前記連結器(306)、前記クランク(308)、並びに前記フォロワ(314)が、前記ドアヒンジ(300)が閉鎖状態から開放状態に変化したときに、前記ドアマウント(302)を、取り付け方位に位置する前記ベース(304)に対して、外側に向けてシフトさせるよう配置され、
前記連結器(306)が、第5継手(320)により、前記ドアマウント(302)に接続され、前記第5継手(320)が、回転継手として構成されると共に、前記ドアマウント(302)を前記連結器(306)に対して回転させるよう配置され、該回転が、外側に向けたシフトに対して横方向の回転であり、前記ドアヒンジ(300)が、
・前記ドアマウント(302)及び前記クランク(308)を接続すると共に、前記ドアヒンジ(300)が閉鎖状態から開放状態に変化したときに、前記ドアマウント(302)を前記連結器(306)に対して回転させるよう配置されている歯車機構(322)を更に備えるドアヒンジ。
【請求項2】
請求項1に記載のドアヒンジ(300)であって、前記第1継手(310)が、回転継手として構成されると共に、前記ドアヒンジ(300)が閉鎖状態から開放状態に変化したときに、前記ドアマウント(302)を、取り付け方位に位置する前記ベース(304)に対して、上側に向けてシフトさせるよう配置されているドアヒンジ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のドアヒンジ(300)であって、前記第1継手(310)が、第1回転軸線(330)を規定する回転継手として構成され、前記第1回転軸線(330)が、前記ドアヒンジ(300)が開放状態にあると共に、前記ベース(304)がその取り付け方位に位置する場合、前記ドアマウント(302)
から離れる方向に、垂直方向に5°~25°の角度(394)だけ傾斜しているドアヒンジ。
【請求項4】
請求項1~
3の何れか一項に記載のドアヒンジ(300)であって、前記ベース(304)、前記連結器(306)、前記クランク(308)、並びに前記フォロワ(314)が、前記ドアヒンジ(300)が閉鎖状態から開放状態に変化したときに、前記連結器(306)と前記クランク(308)との間で角度変化(393)を生じさせるよう更に配置され、前記歯車機構(322)が、前記ドアマウント(302)に取り付けられた複数の第1歯部(324)と、前記クランク(308)に取り付けられた複数の第2歯部(326)を含み、前記第1歯部(324)及び前記第2歯部(326)が、協働するよう配置されているため、前記連結器(306)と前記クランク(308)との間で前記角度変化(393)が生じたときに、前記ドアマウント(302)が前記連結器(306)に対して回転するドアヒンジ。
【請求項5】
請求項
4に記載のドアヒンジ(300)であって、前記第1歯部(324)及び前記第2歯部(326)が、傘歯車又は傘歯車の一部として構成されているドアヒンジ。
【請求項6】
請求項1~
5の何れか一項に記載のドアヒンジ(300)であって、前記第2継手(312)が、第2回転軸線(332)を規定する回転継手として構成され、前記第2回転軸線(332)が、前記ドアヒンジ(300)が閉鎖状態にあると共に、前記ベース(304)がその取り付け方位に位置する場合、前記ベース(304)
から離れる方向に、垂直方向に5°~25°の角度(394)だけ傾斜しているドアヒンジ。
【請求項7】
請求項1~
6の何れか一項に記載のドアヒンジ(300)であって、該ドアヒンジ(300)が閉鎖状態から開放状態に変化したときに、ダブルロッカー運動を規定する機械的リンク機構が、前記ベース(304)、前記連結器(306)、前記クランク(308)、並びに前記フォロワ(314)で構成されているドアヒンジ。
【請求項8】
請求項1~
7の何れか一項に記載のドアヒンジ(300)であって、前記第1継手及び前記第3継手(310,316)が、前記ベース(304)上において離間し、前記第2継手及び前記第4継手(312,318)が、前記連結器(306)上において離間しているドアヒンジ。
【請求項9】
請求項
8に記載のドアヒンジ(300)であって、前記第1継手と前記第3継手(310,316)との中心の間隔が、前記第2継手と前記第4継手(312,318)との中心の間隔よりも大きいドアヒンジ。
【請求項10】
請求項1~
9の何れか一項に記載のドアヒンジ(300)であって、前記第1継手と前記第2継手(310,312)との中心の間隔が、前記第3継手と前記第4継手(316,318)との中心の間隔よりも大きいドアヒンジ。
【請求項11】
請求項1~
10の何れか一項に記載のドアヒンジ(300)であって、第6継手(342)により前記ベース(304)に接続され、第7継手(344)により前記クランク(308)に接続されたダンパ(340)を更に備え、該ダンパ(304)が、前記ドアヒンジ(300)が開放状態から閉鎖状態に変化したときに、前記ベース(304)と前記クランク(308)との間の相対運動を減衰させるよう配置されているドアヒンジ。
【請求項12】
請求項1~
11の何れか一項に記載のドアヒンジ(300)であって、第8継手(352)により前記ベース(304)に接続され、第9継手により前記クランク(308)に接続されたアクチュエータ(350)を更に備え、該アクチュエータ(350)が、前記ドアヒンジ(300)を閉鎖状態から開放状態に変化させるよう構成されているドアヒンジ。
【請求項13】
請求項1~
12の何れか一項に記載のドアヒンジ(300)であって、10 kg~100 kgの範囲の重量を有するサイドドア(200)を支持するよう構成されているドアヒンジ。
【請求項14】
ボディ(102)と、サイドドア(200)と、請求項1~
13の何れか一項に記載のドアヒンジ(300)とを備える道路車両(100)であって、前記ドアヒンジ(300)により、前記道路車両(100)の前記サイドドア(200)が前記道路車両(100)の前記ボディ(102)に接続されている道路車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路車両のサイドドアを道路車両のボディに接続するためのドアヒンジに関する。
【背景技術】
【0002】
道路車両の形状及び大きさは様々である。一般的な特徴はボディ及び四輪ではあるが、長さ、高さ、並びに幅などの特徴のみならず、ドアの種類及び配置などの細部は、道路車両に応じて大きく異なる。例えばステーションワゴン又はスポーツ・ユーティリティ・ビークル(SUV)と称される道路車両は、複数の搭乗者や、手荷物等のかさばる物品を収容するために、比較的大きいのみならずかなりの高さを有する。そのような道路車両の典型的な構成においては、車両が駐車している地面よりも高い位置にサイドドアが配置されているため、縁石又はその類似物が設けられた路上にて、道路車両が駐車しているときにサイドドアをリスクなく外側に向けてスイングすることができる。
【0003】
他方で、典型的なスポーツカーは、ステーションワゴン又はSUVとは対照的に、高出力エンジンを備える低車高の車である。言うまでもなく、スポーツカーは、購入時の初期費用の点のみならず点検整備の点でも非常に高額であり、特に車両における損傷部分の修理費の点で非常に高額である。従って、スポーツカーの車高が低いという事実は、ドアが外側に向けてスイングしたときに縁石に衝突して損傷し、その後に高額の修理費がかかるというリスクに直接的な影響を及ぼす。
【0004】
スポーツカーのドアを損傷するリスクは長い間に亘って認識されており、そのようなリスクを低減するために様々な試みがなされてきた。そのような試みの一例として、幾つかのタイプのスポーツカーにおいては、サイドドアを開くときに、サイドドアが車両のボディから極めて限定的な距離だけ外側に向けてスイングした後、ドアの平面に対して実質的に垂直な軸線周りに回転する例を挙げることができる。そのようなドアは、単一のドアヒンジで車両のボディに接続され、そのドアヒンジにより、ドアの横方向運動が回転運動と共に可能になるため、車両が駐車している場所の横に設けられた縁石に衝突してドアが損傷するリスクが低減される。しかしながら、スポーツカーの開発においては、低いプロファイルを有する車両に対する需要が引き続き高まっており、従ってそのような車両は、地面から非常に小さな距離で配置された最下部分を有するサイドドアを備える。従って、道路車両のドア、特にサイドドアが縁石に衝突して損傷を被ることなく開くことを可能にする構成が依然として求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の課題は、道路車両におけるドアの欠点の少なくとも一部を克服するか又は低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、第1態様によれば、道路車両のサイドドアを道路車両のボディに接続するドアヒンジにより解決される。ドアヒンジは、サイドドアが閉じた閉鎖状態と、サイドドアが開いた開放状態を有する。ドアヒンジは、ドアヒンジをサイドドアに接続するためのドアマウントと、ドアヒンジを取り付け方位において道路車両のボディに取りつけるためのベース又フレームを備える。連結器は、ドアマウントに接続され、クランクは、第1継手によりベースに旋回可能に接続され、第2継手により連結器に旋回可能に接続される。フォロワは、第3継手によりベースに旋回可能に接続され、第4継手により連結器に旋回可能に接続される。
【0007】
ベース、連結器、クランク、並びにフォロワは、ドアヒンジが閉鎖状態から開放状態に変化するときに、ドアマウント又はサイドドアを、取り付け方位に位置するベースに対して又は道路車両のボディに対して外側に向けてシフトさせるよう配置される。連結器は、第5継手によりドアマウントに接続される。この第5継手は、回転継手として構成されると共に、連結器に対してドアマウントの回転を可能にするよう配置される。この場合、ドアマウントの回転は、外側に向けた運動に対して横方向に生じる。歯車機構は、ドアマウント及びクランクを接続すると共に、ドアヒンジが閉鎖状態から開放状態に変化したときに、ドアマウントを連結器に対して回転させるよう配置される。
【0008】
重量を支持する能力に関して、ドアヒンジの実施形態には、10 kg~100 kgの範囲の重量を有するサイドドアを支持するよう構成されたドアヒンジが含まれる。
【0009】
第1継手は、回転継手として構成可能であり、ドアヒンジが閉鎖状態から開放状態に変化するときに、ドアマウント又はサイドドアを、取り付け方位に位置するベースに対して又は道路車両のボディに対して外側に向けてシフトさせるよう配置又は配向される。
【0010】
第1継手は、第1回転軸線を規定する回転継手として構成可能であり、第1回転軸線は、ドアヒンジが開放状態にあると共に、ベースがその取り付け方位に位置する場合、ドアマウントから離れる方向に傾斜している。
【0011】
換言すれば、様々な態様において、このようなドアヒンジは、道路車両のドアが開かれるときに、ドアを上側に向けてシフトさせると同時に、外側方向にシフトさせ、更には外側方向に対して横方向の平面内で回転させるという技術的効果をもたらす。このような技術的効果の利点は、サイドドアの最下部が例えば縁石に衝突するリスクが低減され、従って道路車両に対する高額な修理が回避されることである。
【0012】
幾つかの実施形態において、ベース、連結器、クランク、並びにフォロワは、ドアヒンジが閉鎖状態から開放状態に変化したときに、連結器とクランクとの間で角度変化を生じさせるよう更に配置される。そのような実施形態において、歯車機構は、ドアマウントに取り付けられた複数の第1歯部と、クランクに取り付けられた複数の第2歯部を含む。第1歯部及び第2歯部は、協働するよう配置されているため、連結器とクランクとの間で角度変化が生じたときにドアマウントが連結器に対して回転する。
【0013】
換言すれば、そのような実施形態においては、簡単でコンパクトな構成が得られ、そのような簡単でコンパクトな構成は、サイドドアが開かれるときにサイドドアの回転を可能にする。
【0014】
幾つかの実施形態において、第2継手は、第2回転軸線を規定する回転継手として構成可能であり、第2回転軸線は、ドアヒンジが閉鎖状態にあると共に、ベースがその取り付け方位に位置する場合、ベースから離れる方向に傾斜している。
【0015】
即ち、このような傾斜した第2回転軸線は、サイドドアが開かれるときに、サイドドアを実質的に垂直平面内に維持すると共に、サイドドアが完全に開放されたときにも当然ながらドアの垂直性を維持する効果を有する。このような効果の利点は、サイドドアの重心がヒンジと整列するが故に、ドアヒンジ自体の負荷と車両のボディにおける負荷が最小限に抑えられることである。
【0016】
ベース、連結器、クランク、並びにフォロワで構成される機械的リンク機構は、幾つかの実施形態において、ドアヒンジが閉鎖状態から開放状態に変化したときに、ダブルロッカー運動を規定することができる。このような機械的リンク機構は、第1継手及び第3継手がベース上において離間し、第2継手及び第4継手が連結器上において離間している実施形態で得ることができる。例えば、第1継手と第3継手との中心の間隔は、第2継手と第4継手との中心の間隔よりも大きくてもよく、第1継手と第2継手との中心の間隔は、第3継手と第4継手との中心の間隔よりも大きくてもよい。
【0017】
このような機械的リンク機構の利点は、簡単でコンパクトな構成を有することである。
【0018】
ドアヒンジはダンパを備えることができ、幾つかの実施形態においてはアクチュエータを備えることができる。ダンパ、例えばリニアダンパは、第6継手によりベースに接続することができ、第7継手によりクランクに接続することができ、ドアヒンジが開放状態から閉鎖状態に変化したときに、ベースとクランクとの間の相対運動を減衰させるよう配置することができる。アクチュエータは、第8継手によりベースに接続することができ、第9継手によりクランクに接続することができ、ドアヒンジを閉鎖状態から開放状態に変化させるよう構成することができる。
【0019】
このような実施形態の利点は、簡単でコンパクトな構成により、サイドドアの開閉が容易かつ安全に実現可能なことである。
【0020】
上述した課題は、第2態様によれば、ボディと、サイドドアと、第1態様に係るドアヒンジとを備える道路車両により解決される。この場合、ドアヒンジにより、道路車両のサイドドアが道路車両のボディに接続される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】サイドドアを備える道路車両を左側から示す略図である。
【
図2】
図2a及び
図2bは、サイドドアが開かれる一連の動作時における道路車両を左側から示す略図である。
【
図3】
図3a及び
図3bは、それぞれ、左側から見たドアヒンジの閉鎖状態及び開放状態で示す説明図であり、
図3c及び
図3dは、それぞれ、正面から見たドアヒンジを閉鎖状態及び開放状態で示す説明図であり、
図3e及び
図3fは、それぞれ、上側から見たドアヒンジを閉鎖状態及び開放状態で示す説明図であり、
図3g及び
図3hは、それぞれ、右側から見たドアヒンジを閉鎖状態及び開放状態で示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、前部10、後部20、並びにサイドドア200を備える低車高の道路車両100を左側から概略的に示す。図示の道路車両100は静止しており、歩道又は舗道の一部であり得る縁石112の横における地面111の一部に駐車している。この場合、サイドドア200は、開いたときに多かれ少なかれ重大な損傷を被るリスクがあることが容易に理解できる。
図1aに概略的に示すように、サイドドア200は、縁石112の高さよりも小さい最下縁201を有するため、外側に向けて(即ち
図1の平面に対して垂直な方向に)動くか又はスイングするときに最下縁201が縁石112に衝突する。
【0023】
図2a及び
図2bは、ドアヒンジ300が閉鎖状態から開放状態に変化したことにより、
ドアヒンジ300によって道路車両100に接続されたサイドドア200が開かれる一連の動作を示す。
図2aに示すドア200は、
図2aの平面に対して垂直な方向において、上側及び外側に向けてシフトしつつ、外側方向に対して横方向における平面内で回転した半開状態にある。
図2bに示すドア200は、上側及び外側に向けて更にシフトしつつ、搭乗者が道路車両100から降車するときに最大のスペースが得られる位置に更に回転した開放状態にある。
【0024】
【0025】
ドアヒンジは、ドアヒンジ300をサイドドア200に接続するためのドアマウント302を備える。
【0026】
ドアヒンジ300を道路車両100のボディ102に取り付けるために、取り付け方位に位置するベース304が設けられている。ベース304は、フレームとして構成可能であり、
図3c~
図3dの前部10から見た場合に最も明瞭であるように、そのようなベース又はフレームは、適切な構成を有することにより、ヒンジ300を道路車両100のボディ102に確実に取り付けることを可能にする。
【0027】
ドアマウント302には、連結器306が接続され、またクランク308は、第1継手310によりベース304に旋回可能に接続されている。クランク308は、第2継手312により連結器306に接続されている。
【0028】
図3c及び
図3dに明示するように、第1継手310としては、第1回転軸線330を規定する回転継手が使用可能であり、その回転継手は、ドアヒンジ300が開放状態にあると共に、ベース304がその取り付け方位に位置する場合、ドアマウント302
から離れる方向に傾斜している。様々な実施形態において、第1回転軸線330は、ドアマウント302
から離れる方向に、垂直方向に5°~25°又は10°~20°の角度394だけ傾斜している。換言すれば、第1回転継手310は、ドアマウント302をシフトさせるよう配置又は配向されるから、ドアマウント302に取り付けられたドア200が、取り付け方位に位置するベース304に対して上側に向けてシフトする。従って、ドア200がボディ102に取り付けられ、かつドアヒンジ300が閉鎖状態から開放状態に移行するときに、ドア200が道路車両100のボディ102に対してシフトする。
【0029】
フォロワ314は、第3継手316、例えば球状継手により、ベース304に旋回可能に接続されると共に、第4継手318、例えば球状継手により、連結器306に接続されている。ベース304、連結器306、クランク308、並びにフォロワ314は、ドアマウント302をシフトさせるよう配置されるから、ドアマウント302に取り付けられたドア200が、取り付け方位に位置するベース304に対して外側に向けてシフトする。従って、ドア200がボディ102に取り付けられ、かつドアヒンジ300が閉鎖状態から開放状態に変化するときに、ドア200が道路車両100のボディ102に対してシフトする。
【0030】
連結器306は、第5継手320により、ドアマウント302に接続されている。第5継手320は、回転継手として構成されると共に、連結器306に対してドアマウント302の回転を可能にするよう配置されている。この場合、ドアマウント302の回転は、外側に向けた運動に対して横方向に生じる。
【0031】
歯車機構322は、ドアマウント302及びクランク308を接続し、かつドアヒンジ300が閉鎖状態から開放状態に変化するときに、ドアマウント302を連結器306に対して回転させるよう配置されている。
【0032】
図3e及び3fに明示するように、ベース304、連結器306、クランク308、並びにフォロワ314は、ドアヒンジ300が閉鎖状態から開放状態に変化したときに、連結器306とクランク308との間で角度変化393を生じさせるよう更に配置することができる。図示の実施形態において、歯車機構322は、ドアマウント302に取り付けられた複数の第1歯部324と、クランク308に取り付けられた複数の第2歯部326を含む。第1歯部324及び第2歯部326は、例えば、傘歯車又は傘歯車の一部として構成されている。そのような実施形態において、第1歯部324及び第2歯部326は、協働するよう配置されているため、連結器306とクランク308との間で角度変化393が生じたときにドアマウント302が連結器306に対して回転する。
【0033】
図3a及び
図3bに明示するように、第2継手312としては、第2回転軸線332を規定する回転継手が使用可能であり、その回転継手は、ドアヒンジ300が閉鎖状態にあると共に、ベース304がその取り付け方位に位置する場合、ベース304
から離れる方向に傾斜している。第2回転軸線332は、ドアヒンジ300が閉鎖状態にあると共に、ベース304がその取り付け方位に位置する場合、ベース304
から離れる方向に、垂直方向に5°~25°又は10°~20°の角度395だけ傾斜させることができる。ドアヒンジ300のこのような実施形態において、傾斜した第2回転軸線322は、サイドドア200がドアマウント302に取り付けられ、かつ開かれるときに、サイドドア200を実質的に垂直平面内に維持すると共に、(例えば
図2bに示すように)サイドドア200が完全に開放されたときにもドア200の垂直性を維持する効果を有する。
【0034】
図3e及び
図3fに明示するように、ドアヒンジ300が閉鎖状態から開放状態に変化したときに、ダブルロッカー運動を規定する機械的リンク機構は、ベース304、連結器306、クランク308、並びにフォロワ314で構成することができる。このような機械的リンク機構は、第1継手310及び第3継手316がベース304上において離間し、第2継手312及び第4継手318が連結器306上において離間している実施形態で得ることができる。例えば、第1継手310と第3継手316との中心の間隔は、第2継手312と第4継手318との中心の間隔よりも大きくてもよく、第1継手310と第2継手312との中心の間隔は、第3継手316と第4継手318との中心の間隔よりも大きくてもよい。
【0035】
図3g及び
図3hに明示するように、ドアヒンジ300の実施形態は、ダンパ340及び/又はアクチュエータ350を備えることができる。ダンパ340は、第6継手342、例えば球状継手によりベース304に接続し、第7継手344、例えば球状継手によりクランク308に接続することができる。このようなダンパ304は、ドアヒンジ300が開放状態から閉鎖状態に変化したときに、ベース304とクランク308との間の相対運動を減衰させるよう配置することができる。アクチュエータ350は、第8継手352、例えば球状継手によりベース304に接続し、第9継手354、例えば球状継手によりクランク308に接続することができる。このようなアクチュエータ350は、ドアヒンジ300を閉鎖状態から開放状態に変化させるよう構成することができる。例えば
図3g及び
図3hに示す実施形態の場合のように、ダンパ340及びアクチュエータ350の何れかは、リニアタイプとして構成可能であり、またアクチュエータ350には、適切な方法で電力が供給可能である(図示せず)。
【0036】
ドアヒンジ300の実施形態は、10 kg~100 kgの範囲の重量を有するサイドドア200を支持できるように構成される。即ち、ドアヒンジ300は、材料の適切な選択及び絶対的な寸法により、10 kg~100 kgのドア200を確実に支持すると共に、閉鎖状態から開放状態に変更することができる。