(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-27
(45)【発行日】2023-04-04
(54)【発明の名称】車両の走行状況データ収集システム及び情報処理装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20230328BHJP
【FI】
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2019058085
(22)【出願日】2019-03-26
【審査請求日】2021-09-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110000419
【氏名又は名称】弁理士法人太田特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100100103
【氏名又は名称】太田 明男
(74)【代理人】
【識別番号】100173163
【氏名又は名称】石塚 信洋
(74)【代理人】
【識別番号】100134522
【氏名又は名称】太田 朝子
(74)【代理人】
【識別番号】100135024
【氏名又は名称】本山 敢
(72)【発明者】
【氏名】澄川 瑠一
(72)【発明者】
【氏名】岡田 朋之
(72)【発明者】
【氏名】竹林 洋亮
【審査官】松野 広一
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-044058(JP,A)
【文献】特開2002-208093(JP,A)
【文献】特開2016-218824(JP,A)
【文献】特開2002-150343(JP,A)
【文献】特開2003-279358(JP,A)
【文献】特開2018-055581(JP,A)
【文献】特開2015-184885(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の走行状況データ収集システムであって、
依頼者により設定された、走行状況データ
の収集の依頼の内容を含む、少なくとも一つの依頼データが記憶されたサーバと、
車両の前記走行状況データを取得する情報処理装置と、を有し、
前記情報処理装置は
、受託者により設定された前記依頼の実行に伴う実行時間、または前記依頼の実行に伴う身体的影響の少なくともいずれか一方に関する、前記受託者の許容度を含む
前記受託者の受託条件の情報を前記サーバに送信し、
前記サーバは、前記情報処理装置から送信された前記受託条件に基づいて、前記情報処理装置に送信する、送信対象となる少なくとも一つの
前記依頼データを選択し、前記送信対象となる少なくとも一つの前記依頼データを前記情報処理装置へ送信し、
前記情報処理装置は、
前記受託者の
前記受託条件に適合する前記依頼データに基づいて前記走行状況データを取得し、かつ取得した前記走行状況データを前記サーバへ送信する、車両の走行状況データ収集システム。
【請求項2】
自動運転機能を有する車両の走行状況データ収集システムであって、
依頼者により設定された、走行状況データ
の収集の依頼の内容を含む、少なくとも一つの依頼データが記憶されたサーバと、
前記自動運転機能を有する車両の前記走行状況データを取得する情報処理装置と、を有し、
前記情報処理装置は
、受託者により設定された前記自動運転機能の作動時における自動走行条件を含む
前記受託者の受託条件の情報を前記サーバに送信し、
前記サーバは、前記情報処理装置から送信された前記受託条件に基づいて、前記情報処理装置に送信する、送信対象となる少なくとも一つの
前記依頼データを選択し、前記送信対象となる少なくとも一つの前記依頼データを前記情報処理装置へ送信し、
前記情報処理装置は、
前記受託者の
前記受託条件に適合する前記依頼データに基づいて前記走行状況データを取得し、かつ取得した前記走行状況データを前記サーバへ送信する、車両の走行状況データ収集システム。
【請求項3】
前記受託条件は、前記車両の現在地または目的地を含む、請求項1又は2に記載の車両の走行状況データ収集システム。
【請求項4】
前記受託条件は、前記車両の運転者の属性を含む、請求項1又は2に記載の車両の走行状況データ収集システム。
【請求項5】
前記サーバは、前記送信対象となる
前記依頼データに基づいて、前記車両の走行経路を示す走行経路データを算出する、請求項1~4のいずれか一項に記載の車両の走行状況データ収集システム。
【請求項6】
前記サーバは、前記送信対象となる
前記依頼データを前記情報処理装置へ送信する際に、前記走行経路データを送信する、請求項5に記載の車両の走行状況データ収集システム。
【請求項7】
前記情報処理装置は、受信した前記依頼データに基づいて、前記車両の走行経路を示す走行経路データを算出する、請求項1~4のいずれか一項に記載の車両の走行状況データ収集システム。
【請求項8】
前記依頼データには、前記依頼に対する報酬の情報を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の車両の走行状況データ収集システム。
【請求項9】
前記サーバは、前記走行状況データを依頼者側情報処理装置へ送信し、
前記サーバまたは依頼者側情報処理装置は、受信した前記走行状況データに応じて、前記情報処理装置に対して前記報酬に関する報酬データを送信する、請求項8に記載の車両の走行状況データ収集システム。
【請求項10】
依頼者により設定された、車両の走行状況データ
の収集の依頼の内容を含む、少なくとも一つの依頼データが記憶されるとともに、
前記車両の情報処理装置から送信された受託条件に基づいて、前記情報処理装置に送信する、送信対象となる少なくとも一つの
前記依頼データを選択し、前記送信対象となる少なくとも一つの前記依頼データを前記情報処理装置へ送信するサーバと、送信される前記依頼データに基づいて
前記車両の
前記走行状況データを取得して前記サーバに送信する前記情報処理装置と、を含む車両の走行状況データ収集システムに利用される前記情報処理装置であって、
前記車両の
前記走行状況データを取得するデータ取得部と、
前記車両の外部と通信する通信部と、を有し、
前記通信部は
、受託者により設定された前記依頼の実行に伴う実行時間、または前記依頼の実行に伴う身体的影響の少なくともいずれか一方に関する、前記受託者の許容度を含む
前記受託条件の情報を前記サーバに送信し、前記サーバから送信される前記受託条件に適合する前記依頼データを受信し、
前記データ取得部は、前記受託条件に適合する前記依頼データに基づいて前記走行状況データを取得し、
前記通信部は、前記データ取得部が取得した前記走行状況データを前記サーバへ送信する、情報処理装置。
【請求項11】
依頼者により設定された、自動運転機能を有する車両の走行状況データ
の収集の依頼の内容を含む、少なくとも一つの依頼データが記憶されるとともに、前記自動運転機能を有する
前記車両の情報処理装置から送信された受託条件に基づいて、前記情報処理装置に送信する、送信対象となる少なくとも一つの
前記依頼データを選択し、前記送信対象となる少なくとも一つの前記依頼データを前記情報処理装置へ送信するサーバと、送信される前記依頼データに基づいて前記自動運転機能を有する
前記車両の
前記走行状況データを取得して前記サーバに送信する前記情報処理装置と、を含む車両の走行状況データ収集システムに利用される前記情報処理装置であって、
前記自動運転機能を有する
前記車両の
前記走行状況データを取得するデータ取得部と、
前記車両の外部と通信する通信部と、を有し、
前記通信部は
、受託者により設定された前記自動運転機能の作動時における自動走行条件を含む
前記受託条件の情報を前記サーバに送信し、前記サーバから送信される前記受託条件に適合する前記依頼データを受信し、
前記データ取得部は、前記受託条件に適合する前記依頼データに基づいて前記走行状況データを取得し、
前記通信部は、前記データ取得部が取得した前記走行状況データを前記サーバへ送信する、情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の走行状況データ収集システム及び情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な条件下での車両の走行状況に関するデータを収集することが求められている。例えば、下記特許文献1には、新車の購入に際して、販売済みの車両の走行状況に関するデータを収集、提供するサーバを含むデータ収集システムに関する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1に記載の技術では、データを収集する立場(受託者)の、依頼を受託する際の条件(受託条件)は考慮されず、データ収集を依頼する立場(依頼者)の希望に沿ったデータが収集されにくいという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、依頼者の希望に沿った車両の走行状況データを収集する確実性を向上可能な、新規かつ改良された車両の走行状況データ収集システム及び制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、車両の走行状況データ収集システムであって、依頼者により設定された、走行状況データ収集の依頼の内容を含む、少なくとも一つの依頼データが記憶されたサーバと、車両の走行状況データを取得する情報処理装置と、を有し、情報処理装置は、受託者により設定された依頼の実行に伴う実行時間、または依頼の実行に伴う身体的影響の少なくともいずれか一方に関する、受託者の許容度を含む受託者の受託条件の情報をサーバに送信し、サーバは、情報処理装置から送信された受託条件に基づいて、情報処理装置に送信する、送信対象となる少なくとも一つの依頼データを選択し、送信対象となる少なくとも一つの依頼データを情報処理装置へ送信し、情報処理装置は、受託者の受託条件に適合する依頼データに基づいて走行状況データを取得し、かつ取得した走行状況データをサーバへ送信する、車両の走行状況データ収集システムが提供される。
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、自動運転機能を有する車両の走行状況データ収集システムであって、依頼者により設定された、走行状況データ収集の依頼の内容を含む、少なくとも一つの依頼データが記憶されたサーバと、自動運転機能を有する車両の走行状況データを取得する情報処理装置と、を有し、情報処理装置は、受託者により設定された自動運転機能の作動時における自動走行条件を含む受託者の受託条件の情報をサーバに送信し、サーバは、情報処理装置から送信された受託条件に基づいて、情報処理装置に送信する、送信対象となる少なくとも一つの依頼データを選択し、送信対象となる少なくとも一つの依頼データを情報処理装置へ送信し、情報処理装置は、受託者の受託条件に適合する依頼データに基づいて走行状況データを取得し、かつ取得した走行状況データを前記サーバへ送信する、車両の走行状況データ収集システムが提供される。
【0010】
上記受託条件は、上記車両の現在地または目的地を含んでもよい。
【0012】
上記受託条件は、上記車両の運転者の属性を含んでもよい。
【0013】
上記サーバは、上記送信対象となる依頼データに基づいて、上記車両の走行経路を示す走行経路データを算出してもよい。
【0014】
上記サーバは、上記送信対象となる依頼データを上記情報処理装置へ送信する際に、上記走行経路データを送信してもよい。
【0015】
上記情報処理装置は、受信した上記依頼データに基づいて、上記車両の走行経路を示す走行経路データを算出してもよい。
【0016】
上記依頼データには、上記依頼に対する報酬の情報を含んでもよい。
【0017】
上記サーバは、上記走行状況データを依頼者側情報処理装置へ送信し、上記サーバまたは依頼者側情報処理装置は、受信した上記走行状況データに応じて、上記情報処理装置に対して上記報酬に関する報酬データを送信してもよい。
【0018】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、依頼者により設定された、車両の走行状況データ収集の依頼の内容を含む、少なくとも一つの依頼データが記憶されるとともに、車両の情報処理装置から送信された受託条件に基づいて、情報処理装置に送信する、送信対象となる少なくとも一つの依頼データを選択し、送信対象となる少なくとも一つの依頼データを情報処理装置へ送信するサーバと、送信される依頼データに基づいて車両の走行状況データを取得してサーバに送信する情報処理装置と、を含む車両の走行状況データ収集システムに利用される情報処理装置であって、車両の走行状況データを取得するデータ取得部と、車両の外部と通信する通信部と、を有し、通信部は、受託者により設定された依頼の実行に伴う実行時間、または依頼の実行に伴う身体的影響の少なくともいずれか一方に関する、受託者の許容度を含む受託条件の情報をサーバに送信し、サーバから送信される受託条件に適合する依頼データを受信し、データ取得部は、受託条件に適合する依頼データに基づいて走行状況データを取得し、通信部は、データ取得部が取得した走行状況データをサーバへ送信する、情報処理装置が提供される。
また、上記課題を解決するために、本発明のさらに別の観点によれば、自動運転機能を有する車両の走行状況データ収集の依頼の内容を含む、少なくとも一つの依頼データが記憶されるとともに、自動運転機能を有する車両の情報処理装置から送信された受託条件に基づいて、情報処理装置に送信する、送信対象となる少なくとも一つの依頼データを選択し、送信対象となる少なくとも一つの依頼データを情報処理装置へ送信するサーバと、送信される依頼データに基づいて自動運転機能を有する車両の走行状況データを取得してサーバに送信する情報処理装置と、を含む車両の走行状況データ収集システムに利用される情報処理装置であって、自動運転機能を有する車両の走行状況データを取得するデータ取得部と、車両の外部と通信する通信部と、を有し、通信部は、受託者により設定された自動運転機能の作動時における自動走行条件を含む受託条件の情報をサーバに送信し、サーバから送信される受託条件に適合する依頼データを受信し、データ取得部は、受託条件に適合する依頼データに基づいて走行状況データを取得し、通信部は、データ取得部が取得した走行状況データをサーバへ送信する、情報処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように本発明によれば、依頼者の希望に沿った車両の走行状況データを収集する確実性を向上可能な車両の走行状況データ収集システム及び制御装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係るネットワーク構成例を示す図である。
【
図2】同実施形態に係る制御装置のブロック構成例を示す図である。
【
図3】同実施形態に係る走行状況データ収集システムの動作例を示すシーケンス図である。
【
図4】同実施形態に係る走行状況データ収集システムの一の変形例を示すシーケンス図である。
【
図5】同実施形態に係る他の変形例における走行経路の選択について説明する図である。
【
図6】本発明の第2の実施形態に係る走行状況データ収集システムの動作例を示すシーケンス図である。
【
図7】本発明の第3の実施形態に係る走行状況データ収集システムの動作例を示すシーケンス図である。
【
図8A】本発明の第4の実施形態に係る走行状況データ収集システムの動作例を示すシーケンス図である。
【
図8B】同実施形態に係る走行状況データ収集システムの動作例を示すシーケンス図である。
【
図9A】本発明の第5の実施形態に係る走行状況データ収集システムの動作例を示すシーケンス図である。
【
図9B】同実施形態に係る走行状況データ収集システムの動作例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0022】
<1.第1の実施形態>
[1.1.車両の走行状況データ収集システムの概要]
まず、
図1を参照して、本発明の第1の実施形態に係る車両の走行状況データ収集システム100の概要について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係るネットワーク構成例を示す図である。本実施形態に係る車両の走行状況データ収集システム100は、車両の走行状況データを収集するためのシステムである(なお、以下の説明において、車両の走行状況データ収集システムを、単に「データ収集システム」と称することがある)。
図1に示すように、本実施形態に係るデータ収集システム100では、走行状況データの収集を依頼する立場(依頼者101)からのデータ収集の依頼が、サーバ103を介して当該依頼を受託する立場(受託者105)へ伝達される。さらに、受託者105による当該依頼が達成された結果が走行状況データとして収集される。
【0023】
より具体的には、データ収集システム100において、依頼者101が設定したデータ収集の依頼の内容を含む依頼データは、サーバ103に記憶される。例えば、依頼者101a、依頼者101b、および依頼者101cから、それぞれ依頼A、依頼B、および依頼Cがなされると、サーバ103には依頼データA、依頼データB、および依頼データCを含む依頼データ(依頼データ群)が記憶される。サーバ103は、記憶された依頼データの中から少なくとも一つの依頼データを、受託者105側の情報処理装置200へ送信する。受託者105は、情報処理装置200が受信した依頼データから依頼の内容を確認し、受託者105の受託条件に適合する依頼を受託、実行する。依頼の実行結果としての走行状況データは、情報処理装置200からサーバ103へ送信される。サーバ103は、収集された走行状況データを依頼者側情報処理装置109へと送信する。
【0024】
依頼者101は、個人に限定されるものではなく、企業、自治体、公共機関その他の団体も含まれる。また、受託者105は、車両107の乗員または所有者である。
【0025】
走行状況データには、車両107自体の状態、車両107の有する機能、装備の状態、および、天気や路面状況等の車両107の周辺の環境等、車両107の走行に関する種々の情報が含まれる。
【0026】
依頼の内容としては、走行状況データの収集に関するものであればよく、特に限定されない。例えば、依頼者101が、道路管理会社である場合、特定の道路の路面状況や天気等の情報に関する走行状況データの収集の依頼がなされる。また、依頼者101が、自動車メーカである場合、販売後の自動車およびその装備が、ユーザによってどのように使用されているか等の走行状況データの収集の依頼がなされる。その他、依頼者101が旅行を計画している、または旅行中である場合、行き先の天気、風景、目的地までの到達時間、渋滞状況等の走行状況データの収集の依頼がなされる。
【0027】
[1.2.ネットワーク構成例]
引き続き、
図1を参照しながら、本実施形態に係る車両の走行状況データ収集システム100のネットワーク構成例について説明する。
図1に示すように、データ収集システム100は、サーバ103と、車両107において走行状況データを取得する情報処理装置200と、を含んで構成される。また、データ収集システム100は、依頼者側情報処理装置109を含んでもよい。
【0028】
サーバ103は、依頼者101により設定された、走行状況データ収集の依頼の内容を含む、少なくとも一つの依頼データを記憶する機能を有する。また、サーバ103は、少なくとも一つの依頼データを情報処理装置200へ送信する機能を有する。また、サーバ103は、情報処理装置200から送信された走行状況データを依頼者側情報処理装置109へ送信する機能を有してもよい。
【0029】
情報処理装置200は、ネットワーク111aを介してサーバ103と通信可能に接続されている。情報処理装置200は、受託者105の受託条件に適合する依頼データに基づいて走行状況データを取得し、走行状況データをサーバ103へ送信する機能を有する。本実施形態において、受託条件は、サーバ103から送信された複数の依頼データの中から受託者105が選択した依頼データの選択結果である。情報処理装置200についての詳細は後述する。
【0030】
依頼者側情報処理装置109は、ネットワーク111bを介してサーバ103と通信可能に接続されている。依頼者101は、依頼者側情報処理装置109を利用して、走行状況データの収集の依頼に関する設定をすることができる。依頼者側情報処理装置109は、ネットワーク111bを介して、依頼データをサーバ103へ送信する機能を有する。依頼者側情報処理装置109は、サーバ103との通信および依頼データの入力受付が可能な装置であればよく、特に限定されない。依頼者側情報処理装置109として、例えば、
図1に示すように、スマートフォン109a、パーソナルコンピュータ109b、車載制御装置109c等が挙げられる。
【0031】
[1.3.情報処理装置の構成例]
次に、
図2を参照して、本実施形態に係る情報処理装置200の構成例について説明する。
図2は、本実施形態に係る情報処理装置200のブロック構成例を示す図である。情報処理装置200は、制御部210と、通信部220とを有する。
【0032】
制御部210は、走行状況データを取得するために必要なセンサ群310の制御、取得した走行状況データの記録、通信部220への出力等の各種機能を発揮するために必要な制御を行う。
【0033】
通信部220は、ネットワーク111aを介して情報処理装置200の外部と通信する機能を有する。
【0034】
情報処理装置200の一例としては、車載制御装置が挙げられる。また、制御部210の機能は、一例として、車載制御装置に搭載されたCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等の協働により実現される。また、通信部220としての機能は、一例として、無線通信用インタフェースにより実現される。
【0035】
制御部210は、データ取得部211と、データ記録部213とを有する。データ取得部211は、データ計測装置311および車両位置計測装置313から出力される各種データを取得する機能を有する。また、データ記録部213は、データ取得部211が取得した各種データを一時的または永続的に記憶しておく機能を有する。
【0036】
データ計測装置311は、センサ群310から取得されるセンサ信号に基づいて車両107の走行状況に関する情報を検出する。センサ群310は、走行状況データとしての各種データを取得するための複数のセンサである。例えば、センサ群310は、車輪速センサ、車速センサ、加速度センサ、角速度センサ、温度センサ、湿度センサ、雨滴センサ、照度センサ、荷重センサ、操舵角センサ、集音センサ(マイク)、振動センサ、撮像カメラ、レーダ又は超音波センサのうちの少なくともいずれかを含む。データ計測装置311は、例えば、車両107の速度、加速度、角加速度、路面の粗さの推定値、周辺の気温、湿度等を計測する。また、データ計測装置311は、車両107の周辺の静止画、動画の撮影、または音声を検出する。
【0037】
車両位置計測装置313は、車両107の現在位置計測を行う。車両位置計測装置313の例としては、GPS(Global Positioning System)アンテナが挙げられる。
【0038】
出力装置320は、制御部210の処理結果等を出力する機能を有する。出力装置320の一例としては、表示パネル、ヘッドアップディスプレイ、スピーカ等である。また、入力装置330は、情報処理装置200の利用者からの入力を受け付ける機能を有する。入力装置330の一例としては、ボタン、タッチ入力式の画面、マイク等である。
【0039】
なお、情報処理装置200は、車両107の走行状況データを取得できればよく、車載制御装置に限定されない。例えば、情報処理装置200は、車両107の各種センサ又は制御装置と通信可能なスマートフォン、タブレット型コンピュータ等であってもよい。この場合、出力装置320および入力装置330は、情報処理装置200と一体となっていてもよい。また、センサ群310の内の一部または全部として、スマートフォン等に搭載された各種センサ、機能が使用されてもよい。
【0040】
[1.4.データ収集システムの動作例]
次に、
図3を参照して、本実施形態に係る車両の走行状況データ収集システム100の動作例について説明する。
図3は、本実施形態に係る車両の走行状況データ収集システム100の動作例を示すシーケンス図である。
図3に示すように、まず依頼者101は、依頼者側情報処理装置109を利用して、依頼データをサーバ103に送信する(S101)。サーバ103は、依頼者側情報処理装置109から受信した依頼データを記憶する(S103)。次に、受託者105は、情報処理装置200を介してサーバ103にアクセスし、サーバ103に記憶された依頼データの情報を参照する(S105)。情報処理装置200からのアクセスに応じて、サーバ103は、依頼データの情報を情報処理装置200へ送信する(S107)。
【0041】
受託者105は、情報処理装置200を介して依頼データを参照し、受託を希望する依頼データを選択する。情報処理装置200は、受託者105がいずれかの依頼データを選択したか否かにより、受託者105に受託の意思があるか否かについて判定する(S109)。特に、情報処理装置200が複数の依頼データを受信した場合、複数の依頼データの内のいずれかまたは全部について受託者105に受託の意思があるか否かを判定する。ステップS109において、受託の意思があると判定された場合、依頼は受託される(S111)。一方、ステップS109において、受託の意思があると判定されなかった場合、本実施形態に係る処理は終了する。
【0042】
ステップS111で依頼が受託された後、情報処理装置200は、走行状況データの取得を開始する(S113)。具体的には、情報処理装置200のデータ取得部211は、データ計測装置311又は車両位置計測装置313から出力された、依頼の達成に必要な情報を取得する。また、情報処理装置200は、依頼内容に応じて、運転者に対して情報(指定された運転方法、経路等)を音声、画像等で出力する。続いて、情報処理装置200は、依頼データの依頼の内容が達成されたか否かを判定する(S115)。ステップS115において、依頼が達成されたと判定された場合、情報処理装置200は、サーバ103へ走行状況データを送信する(S119)。複数の依頼を受託している場合、走行状況データは、依頼が達成されるごとにサーバ103へ送信されてもよいし、複数の依頼に関する走行状況データがまとめてサーバ103へ送信されてもよい。
【0043】
一方、ステップS115において、依頼が達成されたと判定されない場合、受託者105に依頼続行の意思があるか否かが判定される(S117)。受託者105に依頼続行の意思がある場合、ステップS113の処理に戻って、走行状況データの取得が行われる。一方、ステップS117において、受託者105に依頼続行の意思があると判定されない場合、本実施形態に係る処理は終了する。以上、本実施形態に係る車両の走行状況データ収集システム100の動作例について説明した。
【0044】
なお、上記の例では、情報処理装置200は、ステップS115において依頼が達成されたと判定された後、ステップS119においてサーバ103へ走行状況データを送信しているが、依頼の達成を待たずに、走行状況データが随時送信されてもよい。
【0045】
本実施形態によれば、サーバ103が複数の依頼データを情報処理装置200へ送信し、受託者105が複数の依頼データの中から適宜の依頼データを選択して当該依頼を実行する。これにより、受託者105の受託条件あるいは受託の意思が考慮された依頼データが選択され、依頼者101の希望に沿った走行状況データの収集が行われる。この結果、依頼者101の希望に沿った走行状況データが収集される確実性が向上する。
【0046】
<1.5.変形例1>
次に、
図4を参照して、本実施形態に係る車両の走行状況データ収集システム100の変形例について説明する。
図4は、本変形例に係る走行状況データ収集システム100の動作例を示すシーケンス図である。本変形例において、依頼データには、依頼者101により設定された、依頼に対する報酬に関する情報が含まれる。さらに、受託者105が依頼を受託し、達成した場合、依頼者101から依頼に対する報酬が支払われる。なお、本変形例におけるその他の構成については、第1の実施形態と共通するので、説明は省略する。
【0047】
図4に示すように、依頼者101は、依頼データをサーバ103に送信する際に、依頼の内容とともに、当該依頼に対する報酬に関する情報も設定し、依頼データを送信する(S101’)。その後の本変形例に係るステップS103~S119の処理は、
図3に記載のシーケンス図と同様な処理が行われる。
【0048】
ステップS119において、情報処理装置200からサーバ103へ走行状況データが送信された後、サーバ103は、依頼者側情報処理装置109へ走行状況データを送信する(S121)。依頼者101は、依頼の達成結果の情報を確認し、達成結果に応じた報酬を支払う(S123)。報酬の支払に関する処理は、依頼者側情報処理装置109から報酬に関する報酬データが情報処理装置200へ送信されることで行われる。受託者105は、依頼に対する報酬の情報について確認する(S125)。
【0049】
本変形例において、報酬は、依頼者101からではなく、サーバ103から自動的に支払われるようにしてもよい。この場合、報酬に関し、依頼者101へ別途請求が行われる。
【0050】
また、報酬は、金銭、ポイント等の経済的な価値を有するものだけでなく、名誉または肯定的な評価もしくはコメント等の社会的な価値を有するものでもよい。また、報酬は、金銭だけでなく、役務の提供であってもよい。
【0051】
また、報酬の支払に関する処理は、本実施形態に係るデータ収集システム100とは、異なる情報処理システムにおいて行われてもよい。具体的には、電子通貨、仮想通貨、クレジットカード決済などを用いた電子的決済システムを用いて、依頼者101から受託者105へ報酬の支払処理が行われる。この場合、報酬に関する報酬データは、受託者105に対して送信されなくてもよいし、報酬データには報酬の支払に関する事前又は事後の通知のみが記載されてもよい。
【0052】
本変形例によれば、依頼の達成により、受託者105に報酬が支払われるので、受託者105による依頼の受託に対するインセンティブが生じる。また、受託者105は、依頼を受託するか検討する際、報酬によって受託するか否かを判断することができる。このため、受託者105が積極的に依頼を受託し、依頼をよく達成するようになる。この結果、依頼者101の希望に沿った依頼が実行され、走行状況データが収集される確実性が向上する。
【0053】
<1.6.変形例2>
次に、
図5を参照して、本実施形態に係る車両の走行状況データ収集システム100のその他の変形例について説明する。
図5は、本実施形態に係る走行経路の選択について説明する図である。本変形例では、依頼データを受信した情報処理装置200は、当該依頼データに基づいて車両の走行経路を示す走行経路データを算出する。なお、本変形例におけるその他の構成については、第1の実施形態と共通するので、説明は省略する。
【0054】
具体的には、本変形例における、サーバ103から送信対象となる依頼データを情報処理装置200へ送信する処理(
図3のステップS107に相当)において、サーバ103は、依頼データを情報処理装置200へ送信する。情報処理装置200は、サーバ103から送信された依頼データを受信後、受信した依頼データの依頼の内容の情報を考慮し、効率的に依頼を達成するための1つまたは複数の走行経路データを算出する。
【0055】
例えば、受託者105が、3件の依頼A、依頼Bおよび依頼Cを受託した場合、情報処理装置200は、依頼A、依頼Bおよび依頼Cの依頼の内容等を考慮して、車両107の走行経路を算出する。このとき、
図5に示すように、受託者105には、情報処理装置200が算出した走行経路である、依頼達成経路1(点線)および依頼達成経路2(二点鎖線)が示される。さらに、このとき受託者105には、依頼達成経路ごとに、要する時間、走行距離、達成した場合に得られる報酬等の情報が併せて示される。受託者105は、これらの情報を基に走行経路を選択する。
【0056】
本変形例によれば、情報処理装置200は受信した依頼データに基づいて走行経路データを算出するので、受託者105は、より効率的に依頼を実行できる。この結果、依頼者101の希望に沿った依頼が実行され、走行状況データが収集される確実性が向上する。
【0057】
なお、本変形例において、走行経路データが情報処理装置200において算出される例を示したが、本変形例はこれに限定されない。例えば、サーバ103は、送信対象となる依頼データから走行経路を算出し、走行経路データを情報処理装置200へ送信してもよい。特に、サーバ103は、情報処理装置200に依頼データを送信する際に、走行経路データを合わせて送信するようにしてもよい。
【0058】
これにより、情報処理装置200に不要な負担をかけることなく、走行経路データが算出され、走行経路が受託者105に示される。また、依頼データとともに走行経路データがサーバ103から送信されるので、受託者105は、依頼データ受信の後、すぐに走行経路の確認ができ、走行経路も考慮しつつ受託する依頼を選択できるとともに迅速な依頼の開始が実現される。
【0059】
<2.第2の実施形態>
次に、
図6を参照して、第2の実施形態に係る車両の走行状況データ収集システム100の動作例について説明する。
図6は、本実施形態に係る車両の走行状況データ収集システム100の動作例を示すシーケンス図である。本実施形態に係る車両の走行状況データ収集システム100は、受託者105の受託条件に、受託者105の依頼に対する許容度が含まれる点で第1の実施形態と相違する。なお、本実施形態に係るデータ収集システム100の内、第1の実施形態と共通する部分については、説明を省略する。
【0060】
図6に示すように、まず依頼者101は、依頼者側情報処理装置109を利用して、依頼データをサーバ103に送信する(S201)。サーバ103は、依頼者側情報処理装置109から受信した依頼データを記憶する(S203)。次に、受託者105は、情報処理装置200を利用して依頼に対する許容度を設定する。具体的には、受託者105は、依頼について、どのような内容、条件の依頼までを許容するか等の情報を定性的または定量的に、情報処理装置200へ入力する。
【0061】
ここで、受託者105の依頼に対する許容度には、依頼に伴う実行時間、現在地からの距離、依頼に伴う身体的影響(疲労の度合い、感情の変化)等の依頼内容に関する条件または制限が含まれる。例えば、現在地からの距離に関し、許容度の低い例(受託者105が依頼を受託する範囲が狭い例)としては、車両107の現在地から10km圏内で実行可能な依頼に限定すること、または特定の地域(市区町村)内で実行可能な依頼に限定すること等が挙げられる。また、身体的影響に関し、許容度の低い例(受託者105への身体的影響が少ない例)としては、未舗装道路もしくは幅員の狭い道路の走行をしない依頼に限定すること、または高速道路の走行をしない依頼に限定すること等が挙げられる。
【0062】
情報処理装置200は、受託者105の依頼に対する許容度の情報をサーバ103に送信する(S205)。サーバ103は、情報処理装置200から提供された情報である、受託者105の依頼に対する許容度に基づいて、当該許容度に適合する依頼データを、送信対象となる依頼データとして選択し(S207)、情報処理装置200へ依頼データを送信する(S209)。
【0063】
依頼データを受信した情報処理装置200は、当該依頼データに基づいて車両の走行経路を示す走行経路データを算出する(S211)。なお、走行経路データの算出は、サーバ103において行われてもよい。この際、サーバ103は依頼データの送信とともに、走行経路データも併せて送信してもよい。
【0064】
本実施形態に係るステップS213以降の処理は、
図3のステップS109以降の処理と同様であるので説明を省略する。以上、本実施形態に係る車両の走行状況データ収集システム100の動作例について説明した。
【0065】
本実施形態によれば、受託者105の受託条件は、受託者105の依頼に対する許容度を含む。これにより、受託者105は、依頼の選択に労力や時間を要せずに、自らの希望や条件に沿った依頼を受託することが可能になる。この結果、依頼者101の希望に沿った走行状況データが収集される確実性が向上する。
【0066】
<3.第3の実施形態>
次に、
図7を参照して、第3の実施形態に係る車両の走行状況データ収集システム100の動作例について説明する。
図7は、本実施形態に係る車両の走行状況データ収集システム100の動作例を示すシーケンス図である。本実施形態に係る車両の走行状況データ収集システム100は、受託者105の受託条件情報に、車両107の現在地または目的地が含まれる点で他の実施形態と相違する。なお、本実施形態に係るデータ収集システム100の内、他の実施形態と共通する部分については、説明を省略する。
【0067】
図7に示すように、まず依頼者101は、依頼者側情報処理装置109を利用して、依頼データをサーバ103に送信する(S301)。サーバ103は、依頼者側情報処理装置109から受信した依頼データを記憶する(S303)。続いて、情報処理装置200は、車両107の現在地または目的地の情報をサーバ103へ送信する(S305)。具体的には、受託者105は、情報処理装置200を利用して車両107の目的地の情報を設定する。また、情報処理装置200は、車両位置計測装置313の計測結果に基づいて車両107の現在地を取得する。情報処理装置200は、これらの現在地または目的地の情報をサーバ103へ送信する。
【0068】
サーバ103は、情報処理装置200から提供された情報である、現在地または目的地の情報に基づいて依頼データを選択する(S307)。例えば、サーバ103は、現在地または目的地の情報から、受託者105が移動中に達成可能な依頼を選択する。また、サーバ103は、現在地と目的地の間の走行距離、走行時間等の情報を算出し、それらに該当する条件、内容の依頼データを選択する。その後、サーバ103は、情報処理装置200へ送信対象となる依頼データを送信する(S309)。
【0069】
本実施形態に係るステップS311以降の処理は、
図4のステップS211以降の処理と同様であるので、説明を省略する。以上、本実施形態に係る車両の走行状況データ収集システム100の動作例について説明した。
【0070】
本実施形態によれば、受託者105の受託条件は、車両107の現在地または目的地の情報を含む。これにより、受託者105は、依頼の選択に労力や時間を要せずに、自らの希望や条件に沿った依頼を受託することが可能になる。この結果、依頼者101の希望に沿った走行状況データが収集される確実性が向上する。
【0071】
<4.第4の実施形態>
次に、
図8A、
図8Bを参照して、第4の実施形態に係る車両の走行状況データ収集システム100の動作例について説明する。
図8Aおよび
図8Bは、本施形態に係る車両の走行状況データ収集システム100の動作例を示すシーケンス図である。本実施形態に係る車両の走行状況データ収集システム100は、車両107が自動運転機能を有し、受託者105の受託条件に、受託者105により設定された自動走行条件が含まれる点で、他の実施形態と相違する。なお、本実施形態に係るデータ収集システム100の内、他の実施形態と共通する部分については、説明を省略する。
【0072】
図8Aに示すように、まず依頼者101は、依頼者側情報処理装置109を利用して、依頼データをサーバ103に送信する(S401)。サーバ103は、依頼者側情報処理装置109から受信した依頼データを記憶する(S403)。続いて、受託者105は、自動運転機能が作動している時の自動走行条件を設定する(S405)。自動走行条件には、依頼を受託した場合の迂回に要する時間、前後、上下もしくは左右の加速度の最大値、走行に伴う車両107における汚損の発生、またはエネルギー消費効率(燃費、電費)に対する許容度合い(閾値)が含まれる。また、自動走行条件には、目的地または走行経路の少なくとも一方が含まれる。さらに、車両107が無人で依頼達成のため走行する場合、自動走行条件には、車両107の使用予定が含まれてもよい。
【0073】
情報処理装置200は、設定された車両107の自動走行条件をサーバ103へ送信する(S407)。自動走行条件データがサーバ103に送信された後、サーバ103は、かかる自動走行条件と適合する依頼データの有無を確認する(S409)。
【0074】
ステップS409における適合の判定に際し、例えば、自動走行条件が迂回に要する時間に関する場合、次のような条件式(1)を用いて適合を判定してもよい。
T2≦T0+T1 ・・・(1)
ここで、
T0:依頼を受託しない場合の目的地までの所要時間
T1:許容できる迂回時間
T2:依頼を受託した場合の目的地までの所要時間
である。
【0075】
上記条件式(1)が満たされる場合、サーバ103は、依頼データと自動走行条件とが適合すると判定する。なお、自動走行条件が速度、加速度、もしくは角加速度、走行による汚損の発生、またはエネルギー消費量等に関する場合も上記式(1)と同様な条件式を用いて、自動走行条件と依頼データの適合が判定される。
【0076】
特に、加速度に関する自動走行条件の場合、左右加速度の発生を予測するため、予定走行経路から旋回半径と車速から左右加速度が算出され、条件式において用いられてもよい。さらに、上下加速度の発生を予測するため、過去の走行実績から上下加速度が算出され、条件式において用いられてもよい。
【0077】
ステップS409における適合確認処理の結果に基づいて、自動走行条件と適合す依頼データが存在するか否かが判定される(S411)。自動走行条件と適合する依頼データが存在すると判定されない場合、処理は終了する。一方、自動走行条件と適合する依頼データが存在すると判定された場合、サーバ103は、変更後の走行経路を算出するとともに、自動走行条件に適合する依頼データと変更後の走行経路データを、情報処理装置200へ送信する(S413)。
【0078】
受託者105は、走行経路、依頼の内容の情報について確認する(S415)。情報処理装置200は、受託者105が当該依頼データの依頼の内容について受託の意思があるか否かについて判定する(S417)。例えば、情報処理装置200は、受託者105により受託操作が行われたか否かにより、受託者105の受託の意思を判定する。ステップS415において、受託の意思があると判定されなかった場合、本実施形態に係る処理は終了する。一方、受託の意思があると判定された場合、自動運転が開始される(S419)。自動運転が開始された後、車両107は、走行経路データに基づいて走行経路を走行する(S421)。また、情報処理装置200は、走行状況データの取得を開始する(S423)。
【0079】
続いて、
図8Bに示すように、依頼の達成に必要な走行経路の走行が終了し(S425)、取得された走行状況データがサーバ103へ送信される(S427)。その後、走行状況データの送信が完了する(S429)。
【0080】
サーバ103は走行状況データを受信し(S431)、さらに走行状況データを依頼者側情報処理装置109へ送信する(S433)。依頼者101は、依頼の達成結果の情報を確認し、達成結果に応じた報酬を支払う(S435)。報酬の支払は、依頼者側情報処理装置109から報酬に関する報酬データが情報処理装置200へ送信されることで行われる。受託者105は、依頼に対する報酬の情報について確認する(S437)。以上、本実施形態に係る車両の走行状況データ収集システム100の動作例について説明した。
【0081】
本実施形態によれば、受託者105の受託条件は、受託者105により設定された、自動運転機能を有する車両107の自動走行条件を含む。これにより、受託者105は、依頼の選択に労力や時間を要せずに、自らの希望や条件に沿った依頼を受託することが可能になる。この結果、依頼者101の希望に沿った走行状況データが確実に収集される。
【0082】
さらに、本実施形態によれば、車両107の自動運転機能を利用して、走行状況データが取得される。これにより、人間による運転の場合よりも、さらに高精度な走行状況データが収集される。
【0083】
なお、本実施形態において、サーバ103が変更後の走行経路データを算出したが、本発明はこれに限定されない。例えば、情報処理装置200が、受信した依頼データに基づいて変更後の走行経路データを算出してもよい。
【0084】
<5.第5の実施形態>
次に、
図9Aおよび
図9Bを参照して、第5の実施形態に係る車両の走行状況データ収集システム100の動作例について説明する。
図9Aおよび
図9Bは、本施形態に係る車両の走行状況データ収集システム100の動作例を示すシーケンス図である。本実施形態に係る車両の走行状況データ収集システム100は、受託者105の受託条件に運転者の属性が含まれる点で、他の実施形態と相違する。なお、本実施形態に係るデータ収集システム100の内、他の実施形態と共通する部分については、説明を省略する。
【0085】
図9Aに示すように、まず依頼者101は、依頼者側情報処理装置109を利用して、依頼データをサーバ103に送信する(S501)。サーバ103は、依頼者側情報処理装置109から受信した依頼データを記憶する(S503)。続いて、サーバ103は、各依頼データについて依頼を達成するのに必要な運転者の属性の情報を算出する(S505)。
【0086】
受託者105は、運転者の属性を設定する(S507)。運転者の属性には、運転者の運転技能に関する情報が含まれる。運転技能に関する情報としては、例えば、自動車運転免許の種類、取得後の経過年数、運転技能の評価結果が挙げられる。
【0087】
さらに受託者105は、目的地、走行経路の設定を行う(S509)。情報処理装置200は、ステップS507で入力された運転者の属性の情報と、ステップS509で設定された情報とをサーバ103へ送信する(S511)。サーバ103は、ステップS507で設定された運転者の属性の情報と、ステップS505で算出された運転者の属性の情報との適合を確認する(S513)。
【0088】
ステップS513における、適合の判定に際し、例えば、免許取得年数に関する運転者の属性の場合、運転者の免許取得経過年数が、依頼データに基づいて算出された、運転者に求められる免許取得経過年数以上となっていることが判定される。また、その他の例として、ステップS513における判定に際し、運転者の技能評価が、依頼データに基づいて算出された、運転者に求められる運転技能評価以上となっていることが判定される。
【0089】
その他の運転者の属性として、総走行距離、年齢、性別、または依頼の走行経路の走行履歴の有無等も同様に、依頼者101により設定された運転者の属性との適合が判定されてもよい。また、運転者の運転技能の評価は、自ら行った結果でもよいし、同乗者による評価結果でもよい。また、運転技能の評価は、過去の走行履歴から判定されてもよい。
【0090】
図9A、
図9Bに示した本実施形態に係るステップS517以降の処理は、
図8AのステップS413以降の処理と同様であるので、説明を省略する。以上、本実施形態に係る車両の走行状況データ収集システム100の動作例について説明した。
【0091】
本実施形態によれば、受託者105の受託条件は、運転者の属性を含む。これにより、受託者105は、依頼の選択に労力や時間を要せずに、自らの運転技能に見合った依頼を受託することが可能になる。この結果、依頼者101の希望に沿った走行状況データが収集される確実性が向上する。
【0092】
なお、本実施形態において、運転者の属性は、サーバ103により依頼の内容に基づいて算出されるとしたが、例えば、依頼者101によって、依頼に必要な運転者の属性が設定されてもよい。例えば、依頼者101が、運転初心者等の運転技能の低い運転者、あるいは、運転技能の高い運転者による走行状況データの収集を希望する場合、あらかじめ依頼データとして、受託者105の属性を合わせて設定する。
【0093】
また、本実施形態において、受託者105により運転者の属性の情報が入力されるとしたが、情報処理装置200またはサーバ103に事前に登録された運転者の登録情報と連携することにより、運転者の属性の情報が自動的に設定されてもよい。
【0094】
また、本実施形態において、依頼の達成結果の情報に応じて、運転者の属性における技能評価、走行履歴の情報等が、サーバ103または情報処理装置200に自動的に記録、更新されてもよい。
【0095】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0096】
特に、上記実施形態において説明したシーケンス図における処理は一部のステップが省略されてもよいし、追加的なステップが含まれてもよい。さらに、複数のステップが同時に処理されてもよく、また、図示された順番で実行されなくてもよい。
【符号の説明】
【0097】
100 車両の走行状況データ収集システム
101 依頼者
103 サーバ
105 受託者
107 車両
109 依頼者側情報処理装置
200 情報処理装置
210 制御部
211 データ取得部
220 通信部