IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トヨタ自動車九州株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-箱台車の昇降装置 図1
  • 特許-箱台車の昇降装置 図2
  • 特許-箱台車の昇降装置 図3
  • 特許-箱台車の昇降装置 図4
  • 特許-箱台車の昇降装置 図5
  • 特許-箱台車の昇降装置 図6
  • 特許-箱台車の昇降装置 図7
  • 特許-箱台車の昇降装置 図8
  • 特許-箱台車の昇降装置 図9
  • 特許-箱台車の昇降装置 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-27
(45)【発行日】2023-04-04
(54)【発明の名称】箱台車の昇降装置
(51)【国際特許分類】
   B66F 7/02 20060101AFI20230328BHJP
   B62B 5/00 20060101ALI20230328BHJP
   B62B 3/02 20060101ALI20230328BHJP
   B65G 1/00 20060101ALI20230328BHJP
【FI】
B66F7/02 F
B62B5/00 F
B62B5/00 C
B62B3/02 Z
B65G1/00 501F
B65G1/00 501C
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019126670
(22)【出願日】2019-07-08
(65)【公開番号】P2021011355
(43)【公開日】2021-02-04
【審査請求日】2022-04-22
(73)【特許権者】
【識別番号】596002767
【氏名又は名称】トヨタ自動車九州株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080160
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149205
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 泰央
(72)【発明者】
【氏名】前原 庸一
【審査官】八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-107785(JP,A)
【文献】特開2002-348093(JP,A)
【文献】実開平05-068918(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2018/0004195(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66F 1/00-19/02
B62B 1/00-5/08
B65G 1/00-1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部フレームに昇降作動用の螺杆を左右方向に回転自在に配設し、
前記螺杆には螺杆回転作動により昇降する螺合ブロックを螺着し、
前記螺合ブロックには前記基部フレームに沿って昇降自在の箱受け体を一体に連設し、
前記箱受け体には別個設けた箱台車の箱受け体の昇降を行うために前記箱台車と連結可能な連結部を設け、
前記箱台車に昇降作動を行うためのアクチュエータを搭載することなく、昇降装置を介して前記連結部の連結係合により前記箱台車の箱受け体の昇降を可能とした
ことを特徴とする箱台車の昇降装置。
【請求項2】
前記昇降装置の箱受け体の左右側部は前記基部フレームの左右側に上下に懸架したガイドチェーンに沿って昇降可能に構成したことを特徴とする請求項1に記載の箱台車の昇降装置。
【請求項3】
前記昇降装置の箱受け体の前記連結部はシリンダにより回動突出自在の回転爪により構成したことを特徴とする請求項1または2に記載の箱台車の昇降装置。
【請求項4】
前記箱台車の基部フレームには一側端縁に連結凹凸形状より構成したラッチ機構を設け、
前記箱台車の箱受け体には、昇降所定位置において前記ラッチ機構と係合する突出自在の係合爪を設けたことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の箱台車の昇降装置。
【請求項5】
前記箱台車の箱受け体の係合爪は当該箱受け体に基端を軸支した略L字状のレバー体の折曲部付近に設けると共に、前記レバー体にはラッチ係合用シリンダを連動連設して前記ラッチ係合用シリンダの作動により前記ラッチ機構を介して昇降した当該箱受け体を定位置に固定可能に構成したことを特徴とする請求項4に記載の箱台車の昇降装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、箱台車の昇降装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工場内では、棚に収容された多様な大きさの箱を搬入・搬出するため、箱を載せる載置面(荷物の載置面)を備える箱台車(運搬用の箱台車)が使用されることが多い。このような箱台車を用いて棚に収容された箱を搬入・搬出するためには、搬入・搬出の対象となる箱が収容される棚の高さに箱台車の載置面の高さを調整する必要がある。
【0003】
従来では、箱台車の載置面の高さを調整するため、載置面の昇降作動用の昇降駆動機構(アクチュエーター等)と、その昇降駆動機構を制御するための制御回路と、その昇降駆動機構に通電するための電力供給手段とを備える箱台車が存在する。
【0004】
また、例えば、台車の隅部に立設されたマストと、マスト間に昇降自在に配設された荷台と、荷台に連結されたチェーンと、チェーンを回転させるための駆動部とで構成された昇降機構付き軌道走行台車が開示されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2011-026016号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の従来技術では、チェーンの回転に連動してチェーンに連結されている荷台(箱受け体)を昇降自在とすることができる。しかしながら、上述の従来技術では、荷台(箱受け体)を昇降させるための昇降機構を台車自体に設ける必要があるため、台車を構成する部品数が増加し、台車の構造が複雑になる。このため、台車の重量が増加し、台車の積載率も低下するおそれがある。また、台車の製造コストが高くなる。
【0007】
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたものであり、昇降可能な箱受け体を備える箱台車の構造を簡素化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様は、基部フレームに昇降作動用の螺杆を左右方向に回転自在に配設し、前記螺杆には螺杆回転作動により昇降する螺合ブロックを螺着し、前記螺合ブロックには前記基部フレームに沿って昇降自在の箱受け体を一体に連設し、前記箱受け体には別個設けた箱台車の箱受け体の昇降を行うために前記箱台車と連結可能な連結部を設け、前記箱台車に昇降作動を行うためのアクチュエータを搭載することなく、昇降装置を介して前記連結部の連結係合により前記箱台車の箱受け体の昇降を可能としたことを特徴とする箱台車の昇降装置である。
【0009】
また、この第1の態様において、前記昇降装置の箱受け体の左右側部は前記基部フレームの左右側に上下に懸架したガイドチェーンに沿って昇降可能に構成してもよい。
【0010】
また、この第1の態様において、前記昇降装置の箱受け体の前記連結部はシリンダにより回動突出自在の回転爪により構成してもよい。
【0011】
また、この第1の態様において、前記箱台車の基部フレームには一側端縁に連結凹凸形状より構成したラッチ機構を設け、前記箱台車の箱受け体には、昇降所定位置において前記ラッチ機構と係合する突出自在の係合爪を設けてもよい。
【0012】
また、この第1の態様において、前記箱台車の箱受け体の係合爪は当該箱受け体に基端を軸支した略L字状のレバー体の折曲部付近に設けると共に、前記レバー体にはラッチ係合用シリンダを連動連設して前記ラッチ係合用シリンダの作動により前記ラッチ機構を介して昇降した当該箱受け体を定位置に固定可能に構成してもよい。
【0013】
このような態様を採ることにより、昇降作動を行うためのアクチュエータを箱台車に搭載することなく、昇降装置を介して連結部の連結係合により箱台車の箱受け体の昇降を可能とするという作用をもたらす。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、昇降可能な箱受け体を備える箱台車の構造を簡素化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施の形態における昇降装置100及び箱台車200の外観構成を示す斜視図である。
図2】本発明の実施の形態における昇降装置100の外観構成を示す正面図である。
図3】本発明の実施の形態における昇降装置100の外観構成を示す背面図である。
図4】本発明の実施の形態における昇降装置100の外観構成を示す左側面図である。
図5】本発明の実施の形態における昇降装置100の外観構成を示す右側面図である。
図6】本発明の実施の形態における昇降装置100と箱台車200とを連結する際における連結動作の遷移例を示す上面図である。
図7】本発明の実施の形態における箱台車200の外観構成を示す斜視図である。
図8】本発明の実施の形態における箱台車200の外観構成を示す正面図である。
図9】本発明の実施の形態における箱台車200の外観構成を示す側面図である。
図10】本発明の実施の形態における箱台車200のラッチ機構を解除する際における解除動作の遷移例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施の形態と称する)を説明する。
【0017】
[昇降装置および箱台車の構成例]
図1は、本発明の実施の形態における昇降装置100及び箱台車200の外観構成を示す斜視図である。図1では、固定されている昇降装置100の所定位置に箱台車200を移動させた場合の昇降装置100及び箱台車200の外観(昇降装置100側から見た場合の外観)を示す。
【0018】
昇降装置100は、例えば、自動車製造工場や自動車部品製造工場において、各種部品を搬送するための各種の箱(多様なサイズの箱)を搬入・搬出可能なフローラックに取り付けられる昇降装置である。なお、図1における手前側(箱台車200が位置する側の反対側)には、各種の箱(多様なサイズの箱)を搬入・搬出可能なフローラックが設けられるが、説明を容易にするため、図1では、フローラックの図示を省略する。
【0019】
箱台車200は、例えば、自動車製造工場や自動車部品製造工場において、各種部品を搬送するための各種の箱(多様なサイズの箱)を移動させる際に用いられる汎用台車(運搬台車)である。また、箱台車200は、昇降装置100とは別個に設けられる箱台車である。
【0020】
[昇降装置の構成例]
図2は、本発明の実施の形態における昇降装置100の外観構成を示す正面図(図1における昇降装置100を手前側から見た正面図)である。また、図3は、本発明の実施の形態における昇降装置100の外観構成を示す背面図である。また、図4は、本発明の実施の形態における昇降装置100の外観構成を示す左側面図である。また、図5は、本発明の実施の形態における昇降装置100の外観構成を示す右側面図である。また、図6は、本発明の実施の形態における昇降装置100と箱台車200とを連結する際における連結動作の遷移例を示す上面図である。
【0021】
昇降装置100は、基部フレーム110と、螺杆(らかん)120と、箱受け体130と、スライドガイド141乃至144と、ガイドチェーン150、155と、連結部160、165とを備える。昇降装置100は、箱受け体130の昇降作動用の昇降駆動機構(例えば、アクチュエーター)(図示せず)と、その昇降駆動機構を制御するための制御回路(図示せず)と、その制御回路に操作信号を出力する操作部(図示せず)と、その昇降駆動機構や制御回路に電力を供給する電力供給手段(図示せず)とを備え、箱受け体130を基部フレーム110に沿って上下に移動可能とする昇降駆動装置である。図2では、箱受け体130の移動方向を矢印11、12で示す。
【0022】
基部フレーム110は、下部の矩形状(上面視で略ロの字状)のフレームと、上部の矩形状(上面視で略ロの字状)のフレームと、これらの各フレームの各頂点等に立設する複数の支柱とで構成される。すなわち、基部フレーム110は、直方体形状のフレームである。また、基部フレーム110には、下部に4つの脚部111乃至114が設けられる。
【0023】
また、基部フレーム110は、下部の長方形のフレームのうちの長辺に相当するフレーム間を連結するフレーム115にギア(スプロケット)152を備える。また、基部フレーム110は、下部の長方形のフレームのうちの長辺に相当するフレーム間を連結するフレーム116にギア(スプロケット)157を備える。また、基部フレーム110は、上部の長方形のフレームのうちの長辺に相当するフレーム間を連結するフレーム117、118に棒状の回転体(回転軸)153を備える。また、回転体153は、棒状の回転軸の両端(長手方向の両端)に2つのギア(スプロケット)151、156を備える。
【0024】
また、ガイドチェーン150は、基部フレーム110の下部のギア152と、基部フレーム110の上部のギア151とにかみ合わせられる。また、ガイドチェーン155は、基部フレーム110の下部のギア157と、基部フレーム110の上部のギア156とにかみ合わせられる。このように、ガイドチェーン150、155は、基部フレーム110の左右側に上下に懸架される。また、ガイドチェーン150、155は、箱受け体130の左右端を上下方向に同期して移動させるためのチェーンである。
【0025】
また、基部フレーム110には、ギア152を備えるフレーム115と、ギア151を備えるフレーム117との間にスライドガイド141、142が立設されている。また、基部フレーム110には、ギア157を備えるフレーム116と、ギア156を備えるフレーム118との間にスライドガイド143、144が立設されている。
【0026】
スライドガイド141乃至144は、上下方向に昇降する箱受け体130のスライド部材133乃至136をガイドするための棒状部材である。
【0027】
また、基部フレーム110の左右方向の端部(図2における右側の端部)には、昇降作動用の螺杆120が回転自在に配設される。
【0028】
螺杆120は、箱受け体130の昇降作動用の昇降駆動機構(例えば、アクチュエーター)により回転される細長い棒状の回転体である。また、螺杆120の回転体には螺子が刻設されている。また、螺杆120には、螺杆回転作動により昇降する螺合ブロック121が螺着される。すなわち、螺杆120の回転方向に応じて、螺合ブロック121が上昇または下降する。また、螺合ブロック121には、箱受け体130が一体に連設される。
【0029】
箱受け体130は、各種部品を搬送するための各種の箱(多様なサイズの箱)を搬入・搬出するための棚面である。箱受け体130は、フレーム132と、複数の摺動ライン131とを備える。すなわち、上面視で略ロの字状のフレーム132において複数(本実施の形態では「8」)の摺動ライン131が配置されている。摺動ライン131は、回転する筒状のローラーを直線状に配置したレール状部材である。また、複数の摺動ライン131のそれぞれは、箱の搬入・搬出方向に対して平行となるように配置される。すなわち、複数の摺動ライン131のそれぞれは、並列に配置される。
【0030】
また、箱受け体130の左右方向の端部(フレーム132の左右方向の端部)には、スライド部材133乃至136が設けられる。スライド部材133乃至136は、図6に示すように、上面視において略コの字形状の部材である。また、スライド部材133は、スライドガイド141に取り付けられ、スライド部材134は、スライドガイド142に取り付けられ、スライド部材135は、スライドガイド143に取り付けられ、スライド部材136は、スライドガイド144に取り付けられる。そして、スライド部材133乃至136は、基部フレーム110に立設されるスライドガイド141乃至144に沿って上下方向に移動可能となる。
【0031】
また、箱受け体130の左右方向の端部(フレーム132の左右方向の端部)には、ガイドチェーン150、155が接続される。また、箱受け体130は、螺合ブロック121に連設されているため、螺合ブロック121の昇降に応じて、基部フレーム110に沿って昇降する。このように、箱受け体130は、基部フレーム110の左右側に上下に懸架されるガイドチェーン150、155に沿って昇降可能に構成される。また、螺杆120の回転作動とガイドチェーン150、155の回転作動とにより、箱受け体130を基部フレーム110に沿って緩やかに昇降作動させることができる。
【0032】
また、箱受け体130の下部(フレーム132の下部)には、ラッチ係合用シリンダ137、138が設けられる。ラッチ係合用シリンダ137、138は、箱台車200のラッチ機構のロックを解除する際に用いられるロック解除用シリンダである。また、ラッチ係合用シリンダ137、138は、制御回路(図示せず)の制御に基づいて、昇降装置100の前後方向(箱の搬入・搬出方向)に駆動する動力シリンダである。なお、ラッチ係合用シリンダ137、138を用いた箱台車200のラッチ機構のロック解除については、図10を参照して詳細に説明する。
【0033】
[連結部の構成例]
次に、図6を参照して、連結部160、165の構成について説明する。なお、図6(1)には、昇降装置100と箱台車200とが連結する前の状態を示す。また、図6(2)には、昇降装置100と箱台車200とが連結されている状態を示す。なお、図6では、説明を容易にするため、昇降装置100の連結部160、165と箱台車200の連結部270、275との連結動作に関する部分以外については、一部を省略して示す。
【0034】
箱受け体130には、箱台車200の箱受け体220の昇降を行うために、箱台車200と連結可能な連結部160、165が設けられる。なお、連結部160、165は、箱受け体130の前側(図1における箱台車200側)において、左右方向の両端部に設けられる。
【0035】
連結部160は、シリンダ161と、回転爪162と、回転軸163とを備える。また、連結部165は、シリンダ166と、回転爪167と、回転軸168とを備える。なお、連結部160及び165は、左右対称であり、構成及び動作は互いに共通する。このため、以下では、主に、連結部160について説明し、連結部165の説明を省略する。
【0036】
シリンダ161は、制御回路(図示せず)の制御に基づいて、昇降装置100の前後方向(箱の搬入・搬出方向)に駆動する動力シリンダである。また、シリンダ161は、先端部が回転爪162(T字の垂直部分(脚部分))に接続される。
【0037】
回転爪162は、上面視において略T字状の部材(平板形状の部材)であり、T字の水平部分(頭部分)の一端部が回転軸163に回動自在に軸支される。また、回転爪162は、T字の垂直部分(脚部分)がシリンダ161の先端部に接続される。また、図6(2)に示すように、回転爪162と箱台車200の連結部270とが連結係合される場合には、回転爪162の上面と、箱台車200の連結部270の下面とが当接して連結される。なお、回転爪162、167については、昇降装置100による昇降動作に応じて、箱受け体220の昇降を行うことが可能な強度を有する素材を用いることが好ましい。
【0038】
このように、連結部160は、シリンダ161により回動突出自在の回転爪162により構成される。また、連結部165は、シリンダ166により回動突出自在の回転爪167により構成される。また、連結部160の回転爪162と、連結部165の回転爪167との動作は、制御回路(図示せず)により制御される。
【0039】
[箱台車の構成例]
図7は、本発明の実施の形態における箱台車200の外観構成を示す斜視図である。また、図8は、本発明の実施の形態における箱台車200の外観構成を示す正面図である。また、図9は、本発明の実施の形態における箱台車200の外観構成を示す側面図である。
【0040】
箱台車200は、基部フレーム210と、箱受け体220と、昇降チェーン231乃至234と、バランサー251、252と、ラッチ機構260、265と、連結部270、275とを備える。箱台車200は、基部フレーム210に設けられるスライド機構(スライドガイド241乃至244、スライド部材223乃至226)に沿って箱受け体220を上下にスライド可能とする汎用台車である。図8では、箱受け体220の移動方向を矢印13、14で示す。
【0041】
なお、箱台車200は、箱受け体220をスライドさせるための駆動機構を備えていない。このため、昇降装置100の連結部160、165と箱受け体220の連結部270、275とを連結して、箱受け体220を上下にスライドさせるようにする。すなわち、本発明の実施の形態では、昇降作動を行うためのアクチュエータを箱台車200に搭載することなく、昇降装置100を介して連結部160、165、270、275の連結係合により箱台車200の昇降を可能とする。
【0042】
基部フレーム210は、下部の矩形状(上面視で略ロの字状)のフレームと、上部の矩形状(上面視で略ロの字状)のフレームと、これらの各フレームの各頂点等に立設する複数の支柱とで構成される。すなわち、基部フレーム210は、直方体形状のフレームである。また、基部フレーム210には、下部に4つの車輪201乃至204が設けられる。また、基部フレーム210は、正面側(車輪201、202が設けられている面側)の両端部にラッチ機構260、265を備える。
【0043】
また、基部フレーム210は、下部の長方形のフレームのうち、左右のフレーム上にギア(スプロケット)280乃至283を備える。また、基部フレーム110は、上部の長方形のフレームのうち、左右のフレーム上に棒状の回転体(回転軸)284、287を備える。また、回転体284は、棒状の回転軸の両端(長手方向の両端)に2つのギア(スプロケット)285、286を備える。また、回転体287は、棒状の回転軸の両端(長手方向の両端)に2つのギア(スプロケット)288、289を備える。
【0044】
昇降チェーン231乃至234は、箱受け体220の左右端を上下方向に同期して移動させるためのチェーンである。また、昇降チェーン231は、基部フレーム210の下部のギア280と、基部フレーム210の上部のギア285とにかみ合わせられる。また、昇降チェーン232は、基部フレーム210の下部のギア281と、基部フレーム210の上部のギア286とにかみ合わせられる。また、昇降チェーン233は、基部フレーム210の下部のギア282と、基部フレーム210の上部のギア288とにかみ合わせられる。また、昇降チェーン234は、基部フレーム210の下部のギア283と、基部フレーム210の上部のギア289とにかみ合わせられる。このように、昇降チェーン231乃至234は、基部フレーム210の左右側に上下に懸架される。
【0045】
また、基部フレーム210には、ギア280、281を備えるフレームと、ギア285、286を備えるフレームとの間にスライドガイド241、242が立設されている。また、基部フレーム210には、ギア282、283を備えるフレームと、ギア288、289を備えるフレームとの間にスライドガイド243、244が立設されている。
【0046】
スライドガイド241乃至244は、上下方向に昇降する箱受け体220のスライド部材223乃至226をガイドするための棒状部材である。
【0047】
箱受け体220は、各種部品を搬送するための各種の箱(多様なサイズの箱)を搬入・搬出するための棚面である。箱受け体220は、フレーム222と、複数の摺動ライン221とを備える。すなわち、上面視で略ロの字状のフレーム222において複数(本実施の形態では「8」)の摺動ライン221が配置されている。摺動ライン221は、回転する筒状のローラーを直線状に配置したレール状部材である。また、複数の摺動ライン221のそれぞれは、箱の搬入・搬出方向に対して平行となるように配置される。すなわち、複数の摺動ライン221のそれぞれは、並列に配置される。
【0048】
また、箱受け体220の左右方向の端部(フレーム222の左右方向の端部)には、スライド部材223乃至226が設けられる。スライド部材223乃至226は、図6に示すように、上面視において略コの字形状の部材である。また、スライド部材223は、スライドガイド241に取り付けられ、スライド部材224は、スライドガイド242に取り付けられ、スライド部材225は、スライドガイド243に取り付けられ、スライド部材226は、スライドガイド244に取り付けられる。そして、スライド部材223乃至226は、基部フレーム210に立設されるスライドガイド241乃至244に沿って上下方向に移動可能となる。
【0049】
また、箱受け体220の左右方向の端部(フレーム222の左右方向の端部)には、昇降チェーン231乃至234が接続される。すなわち、箱受け体220は、基部フレーム210の左右側に上下に懸架される昇降チェーン231乃至234に沿って昇降可能に構成される。このように、箱受け体220は、上下方向の高さを変更することが可能な可変棚(高さ可変棚)である。
【0050】
また、箱受け体220の一端部(左右方向の端部(図8における左側))は、箱台車200の内側の昇降チェーン231及び昇降チェーン232に取り付けられる。また、箱受け体220の他の端部(左右方向の端部(図8における右側))は、昇降チェーン233及び昇降チェーン234に取り付けられる。
【0051】
バランサー251、252は、箱台車200に搬入され、箱受け体220に載せられた箱の負荷を軽減するためのバランサーである。また、バランサー251は、箱台車200の外側の昇降チェーン231及び昇降チェーン232に取り付けられる。また、バランサー252は、箱台車200の外側の昇降チェーン233及び昇降チェーン234に取り付けられる。
【0052】
また、箱受け体220には、駆動機構を備えていない箱台車200の箱受け体220の昇降を行うために、昇降装置100の連結部160、165と連結可能な連結部270、275が設けられる。なお、連結部270、275は、箱受け体220の前側(図1における昇降装置100側)において、左右方向の両端部に設けられる。
【0053】
また、連結部270、275は、昇降装置100の回動突出自在の回転爪162、167と連結可能となるように、左右方向の両端部から左右方向に突出するように設けられる上面視で矩形状の板状部材である。なお、連結部270、275については、昇降装置100による昇降動作に応じて、箱受け体220の昇降を行うことが可能な強度を有する素材を用いることが好ましい。
【0054】
[ラッチ機構の構成例]
図10は、本発明の実施の形態における箱台車200のラッチ機構を解除する際における解除動作の遷移例を示す側面図である。図10(1)には、箱台車200のラッチ機構を解除する前の状態を示す。また、図10(2)には、箱台車200のラッチ機構が解除された状態を示す。なお、図10では、説明を容易にするため、箱台車200のラッチ機構に関する部分以外については、一部を省略して示す。
【0055】
ラッチ機構260、265は、基部フレーム210の一側端縁に設けられ、連結凹凸形状より構成されるラッチ機構である。すなわち、ラッチ機構260、265は、箱受け体220を固定するためのラッチ機構であり、箱受け体220は、ラッチ機構260、265により任意の高さで基部フレーム210に固定可能である。
【0056】
また、箱受け体220には、昇降所定位置においてラッチ機構260と係合する突出自在の係合爪261と、レバー体262と、回転軸263とが設けられる。また、箱受け体220には、昇降所定位置においてラッチ機構265と係合する突出自在の係合爪266と、レバー体267と、回転軸268とが設けられる。なお、係合爪261、レバー体262、回転軸263と、係合爪266、レバー体267、回転軸268とは、左右対称であり、構成及び動作は互いに共通する。このため、以下では、主に、係合爪266、レバー体267、回転軸268について説明し、係合爪261と、レバー体262と、回転軸263の説明を省略する。
【0057】
係合爪266は、ラッチ機構265の凹部に係合するための部材であり、付勢手段(例えば、コイルスプリング(円筒コイルバネ))によりラッチ機構265とは反対側に付勢される。また、係合爪266は、端部(爪部とは反対側の端部)がレバー体267の折曲部から突出する棒状体269に当接され、ラッチ機構265の反対方向への移動が規制される。
【0058】
レバー体267は、回転軸268により基端が軸支される略L字状のレバー体(板状部材)であり、付勢手段(例えば、コイルスプリング(円筒コイルバネ))によりラッチ機構265側に付勢される。また、レバー体267の折曲部には、ラッチ機構265の反対方向への係合爪266の移動を規制する棒状体269が設けられる。
【0059】
なお、レバー体267の付勢手段は、係合爪266の付勢手段よりも付勢の強さが大きい。このため、通常は、図10(1)に示すように、係合爪266は、ラッチ機構265側に付勢され、ラッチ機構265の凹部に係合される。このため、箱台車200の箱受け体220の高さは固定される。
【0060】
また、図10(2)に示すように、昇降装置100と箱台車200とが連結された状態で、ラッチ係合用シリンダ138が矢印17方向に移動すると、ラッチ係合用シリンダ138の先端部がレバー体267の端部(回転軸268が設けられる端部とは反対側の端部)を矢印17方向に移動させる。このレバー体267の移動に応じて、レバー体267の折曲部から突出する棒状体269も矢印17方向に移動し、端部が棒状体269に当接されている係合爪266も矢印17方向に移動する。この係合爪266の移動により、ラッチ機構265の凹部から係合爪266が抜けるため、箱台車200のラッチ機構が解除される。
【0061】
なお、箱台車200のラッチ機構を設定する場合には、昇降装置100と箱台車200とが連結された状態で、ラッチ係合用シリンダ138を矢印17とは反対方向に移動させる。このラッチ係合用シリンダ138の移動に応じて、ラッチ係合用シリンダ138の先端部がレバー体267の端部が矢印17とは反対方向に移動する。このレバー体267の移動に応じて、レバー体267の折曲部から突出する棒状体269も矢印17とは反対方向に移動し、端部が棒状体269に当接されている係合爪266も矢印17とは反対方向に移動する。この係合爪266の移動により、ラッチ機構265の凹部に係合爪266が係合するため、箱台車200のラッチ機構が設定される。
【0062】
このように、略L字状のレバー体262、267には、ラッチ係合用シリンダ137、138が連動連設される。そして、ラッチ係合用シリンダ137、138の作動によりラッチ機構260、265を介して昇降した箱受け体220が定位置に固定可能に構成される。
【0063】
[昇降装置および箱台車の動作例]
次に、図面を参照して、本発明の実施の形態における箱台車200の箱受け体220の昇降動作について説明する。
【0064】
最初に、図1に示すように、作業者が、箱台車200を牽引し、昇降装置100の正面側に停止させる。
【0065】
次に、作業者は、箱受け体130の昇降作動を操作するための操作部を用いて、昇降装置100の箱受け体130を箱台車200の箱受け体220の高さに移動させるための操作を行う。この操作内容に基づいて、昇降装置100の制御回路は、昇降駆動機構(例えば、アクチュエーター)を駆動させ、昇降装置100の箱受け体130を上下方向に移動させる。
【0066】
次に、作業者は、昇降装置100の操作部を用いて、箱台車200の連結部270、275と連結係合させるため、シリンダ161、166を移動させる。すなわち、矢印15、16(図6(2)に示す)方向に、シリンダ161、166を駆動させる。このシリンダ161、166の駆動により、連結部160の回転爪162と、連結部165の回転爪167とが図6(2)に示す位置に移動する。これにより、連結部160の回転爪162の上面と、箱台車200の連結部270の下面とが当接し、連結部165の回転爪167の上面と、箱台車200の連結部275とが当接する。
【0067】
次に、図6(2)に示すように、連結部160の回転爪162と、箱台車200の連結部270とを連結係合させ、連結部165の回転爪167と、箱台車200の連結部275とを連結係合させる。なお、これらの連結係合には、何らかの固定部材を用いるようにしてもよい。このように、昇降装置100の連結部160、165と、箱台車200の連結部270、275とをリンク状態とする。
【0068】
次に、箱台車200のラッチ機構を解除する。具体的には、昇降装置100と箱台車200とが連結係合された状態で、ラッチ係合用シリンダ137、138を矢印17(図10(2)に示す)方向に移動させ、係合爪261、266を矢印17方向に移動させる。この係合爪261、266の移動により、箱台車200のラッチ機構が解除される。この解除により、昇降装置100の箱受け体130を移動可能状態にする。このように、昇降装置100の連結部160、165と、箱台車200の連結部270、275とをリンク状態とし、箱台車200の箱受け体220のラッチを解除させることにより、昇降装置100の箱受け体130の移動に応じて、箱台車200の箱受け体220を移動させることが可能となる。
【0069】
次に、作業者は、箱受け体130の昇降作動を操作するための操作部を用いて、昇降装置100の箱受け体130を移動させ、箱受け体130とリンク状態となっている箱台車200の箱受け体220を所望の高さに移動させる。
【0070】
そして、箱台車200の箱受け体220が所望の高さになった場合には、箱台車200のラッチ機構260、265に箱台車200の箱受け体220を固定させる。具体的には、ラッチ係合用シリンダ137、138を矢印17(図10(2)に示す)とは反対方向に移動させ、係合爪261、266を矢印17とは反対方向に移動させる。この係合爪261、266の移動により、箱台車200のラッチ機構が設定される。
【0071】
このように、箱台車200の箱受け体220が所望の高さになった状態で、箱台車200からの箱の搬入や、箱台車200への箱の搬出が行われる。
【0072】
箱台車200からの箱の搬入や箱台車200への箱の搬出が終了した後には、昇降装置100の連結部160、165と、箱台車200の連結部270、275とのリンク状態を解除する。具体的には、作業者は、昇降装置100の操作部を用いて、箱台車200の連結部270、275との連結係合を解除させるため、シリンダ161、166を移動させる。すなわち、矢印15、16(図6(2)に示す)とは反対方向に、シリンダ161、166を移動させる。このシリンダ161、166の移動により、連結部160の回転爪162と、連結部165の回転爪167とが図6(1)に示す位置に移動する。
【0073】
このように、本発明の実施の形態によれば、箱台車200に昇降作動を行うためのアクチュエータ(昇降駆動装置)を箱台車200自体に搭載することなく、昇降装置100を介して連結部160、165、270、275の連結係合により箱台車200の箱受け体220を昇降させることができる。
【0074】
また、本発明の実施の形態によれば、螺杆120の回転作動により、緩やかでありながら確実な昇降作動を実現することができる。また、箱台車200に載置した荷物への揺動を可及的に減少することで搬送する部品同士が接触することによる破損を低減することができる。また、昇降装置100と箱台車200とを連結部160、165、270、275で固定して昇降装置の昇降作動を行うことができるため、昇降装置100の昇降作動を確実に箱台車200に伝達することができる。
【0075】
このように、本発明の実施の形態では、昇降駆動機構を箱台車200から分離して、箱台車200とは別体の昇降装置100を用いるようにする。これにより、箱受け体220の昇降作動用の昇降駆動機構(アクチュエーター)と、その昇降駆動機構を制御するための制御回路と、その制御回路に操作信号を出力する操作部と、その昇降駆動機構や制御回路に電力を供給する電力供給手段とを箱台車200に設ける必要がない。すなわち、箱台車200の昇降作動と電源とを別体とした構成を実現することができる。
【0076】
また、本発明の実施の形態によれば、箱台車200における搬送機構と棚への自動搬入・自動搬出機構を分離して箱台車200の構造の簡素化を図ることができる。また、箱台車200を構成する部品数の削減により、箱台車200の重量の軽量化することができ、箱台車200の低コスト化を実現することができる。また、構成部品の削減により、荷物積載量を向上させることができ、積載率を向上させることができる。
【0077】
なお、本発明の実施の形態では、昇降装置100の箱受け体130において8の摺動ライン131を備える例と、箱台車200の箱受け体220において8の摺動ライン221を備える例とを示したが、本発明は、これに限定されない。例えば、昇降装置100の箱受け体130において8以外の複数の摺動ライン131を備える場合や、箱台車200の箱受け体220において8以外の複数の摺動ライン221を備える場合についても本発明の実施の形態を適用することができる。
【0078】
なお、本発明の実施の形態では、箱台車200に1つの箱受け体220を備える例を示したが、本発明は、これに限定されない。例えば、上下方向に複数の箱受け体を箱台車200に備える場合についても本発明の実施の形態を適用することができる。このように、箱台車200に複数の箱受け体を備える場合でも、昇降装置100を用いることにより、各箱受け体の昇降動作を順次行うことができる。
【0079】
なお、本発明は上述した実施形態に限られず、上述した実施形態の中で開示した各構成を相互に置換したり組合せを変更したりした構成、公知発明並びに上述した実施形態の中で開示した各構成を相互に置換したり組合せを変更したりした構成、等も含まれる。また、本発明の技術的範囲は上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された事項とその均等物まで及ぶものである。
【符号の説明】
【0080】
100 昇降装置
110 基部フレーム
111~114 脚部
115~118、132 フレーム
151、152、156、157 ギア
153 回転体
120 螺杆
121 螺合ブロック
130 箱受け体
131 摺動ライン
133~136 スライド部材
137、138 ラッチ係合用シリンダ
141~144 スライドガイド
150、155 ガイドチェーン
160、165 連結部
161、166 シリンダ
162、167 回転爪
163、168 回転軸
200 箱台車
201~204 車輪
210 基部フレーム
220 箱受け体
221 摺動ライン
222 フレーム
223~226 スライド部材
231~234 昇降チェーン
241~244 スライドガイド
251、252 バランサー
260、265 ラッチ機構
261、266 係合爪
262、267 レバー体
263、268 回転軸
269 棒状体
270、275 連結部
280~283、285、286、288、289 ギア
284、287 回転体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10