(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-27
(45)【発行日】2023-04-04
(54)【発明の名称】鍵管理システム及び鍵管理方法
(51)【国際特許分類】
E05B 19/00 20060101AFI20230328BHJP
【FI】
E05B19/00 E
(21)【出願番号】P 2019137158
(22)【出願日】2019-07-25
【審査請求日】2022-05-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】501079875
【氏名又は名称】グローリーAZシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114306
【氏名又は名称】中辻 史郎
(74)【代理人】
【識別番号】100148655
【氏名又は名称】諏訪 淳一
(72)【発明者】
【氏名】小仲 栄一
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開平9-268811(JP,A)
【文献】特開2006-348503(JP,A)
【文献】特開2020-122310(JP,A)
【文献】特開2010-95913(JP,A)
【文献】特開2006-79199(JP,A)
【文献】特開2001-182387(JP,A)
【文献】特開2013-175219(JP,A)
【文献】特開2018-76641(JP,A)
【文献】特開2013-127196(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00-85/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キーホルダをそれぞれ収容する複数の収容部を有する複数の鍵管理装置を備えた鍵管理システムであって、
少なくとも1台の鍵管理装置は、
他の鍵管理装置から取り出された返却対象となるキーホルダが自装置に対応づけて登録されていることを条件として、前記複数の収容部のうちの空き状態である収容部に対して前記返却対象となるキーホルダを返却可能に制御する制御部
を有する鍵管理システム。
【請求項2】
前記複数の鍵管理装置と通信可能な管理装置をさらに備え、
各鍵管理装置は、
前記複数の収容部のうちの空き状態である収容部に対して前記返却対象となるキーホルダが返却された場合に、該キーホルダの返却に係る情報を前記管理装置に通知する返却情報通知部をさらに備え、
前記管理装置は、
各鍵管理装置から通知されたキーホルダの返却に係る情報に基づいて、キーホルダの返却履歴を管理する
請求項
1に記載の鍵管理システム。
【請求項3】
前記鍵管理装置は、
前記キーホルダを返却する鍵管理装置の収容部に係る情報を含む予約情報を前記管理装置に対して通知する予約情報通知部をさらに備え、
前記管理装置は、
返却対象となるキーホルダを管理する鍵管理装置に対して前記予約情報に含まれる前記キーホルダを返却する鍵管理装置の収容部に係る情報を通知する
請求項
2に記載の鍵管理システム。
【請求項4】
前記管理装置と通信可能な端末装置をさらに備え、
前記端末装置は、
前記キーホルダを返却する鍵管理装置の収容部に係る情報を含む予約情報を前記管理装置に対して通知し、
前記管理装置は、
返却対象となるキーホルダを管理する鍵管理装置に対して前記予約情報に含まれる前記キーホルダを返却する鍵管理装置の収容部に係る情報を通知する
請求項
2に記載の鍵管理システム。
【請求項5】
前記管理装置は、
少なくとも1台の鍵管理装置に対して返却可能なキーホルダの制限数に係るデータを保持し、
前記制限数に係るデータに基づいて、前記鍵管理装置への返却対象となるキーホルダの返却可能数を制限する
請求項
2乃至4のいずれか一つに記載の鍵管理システム。
【請求項6】
少なくとも1台の鍵管理装置は、
前記キーホルダの返却期限を管理する返却期限管理部と、
前記返却期限内に前記キーホルダが返却されない場合に、キーホルダが未返却である旨を示す報知を行う報知部と
をさらに備えた請求項
2乃至5のいずれか一つに記載の鍵管理システム。
【請求項7】
キーホルダをそれぞれ収容する複数の収容部を有する複数の鍵管理装置を備えた鍵管理システムにおける鍵管理方法であって、
少なくとも1台の鍵管理装置が、他の鍵管理装置から取り出された返却対象となるキーホルダを自装置に対応づけて登録する登録工程と、
前記登録工程により他の鍵管理装置から取り出された返却対象となるキーホルダが自装置に対応づけて登録されていることを条件として、前記複数の収容部のうちの空き状態である収容部に対して前記返却対象となるキーホルダを返却可能に制御する制御工程と
を含む鍵管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用者によるキーホルダの返却を容易にすることができる鍵管理装置、鍵管理システム及び鍵管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、金融機関や流通機関などの店舗には、店舗内に設置された機器を作動させるための鍵や管理場所を開閉する鍵などの複数の鍵が存在するため、これらの鍵を鍵管理装置によって管理する技術が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、キーホルダに対する遠隔操作を可能とした鍵管理装置が開示されている。かかる特許文献1に代表される従来の鍵管理装置では、鍵管理装置の収納部とキーホルダが一対一の関係にあり、ある収納部から取り出したキーホルダは、必ず同じ収納部に返却されるよう構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術によれば、キーホルダは所定の錠機構に返却することしかできないという問題がある。例えば、利用者が鍵管理装置から取り出したキーホルダを持参して出張したような場合に、このキーホルダを鍵管理装置に収納することができず、キーホルダを厳正に管理できないという問題がある。また、訪日外国人(インバウンド)が東京に入国して大阪から出国する場合に、東京の無人レンタカーショップで車の鍵を含むキーホルダを借りることはできるが、大阪でこのキーホルダを返却することができず、結果的にレンタカーを利用することができない。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、利用者によるキーホルダの返却を容易にすることができる鍵管理システム及び鍵管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明は、キーホルダをそれぞれ収容する複数の収容部を有する複数の鍵管理装置を備えた鍵管理システムであって、少なくとも1台の鍵管理装置は、他の鍵管理装置から取り出された返却対象となるキーホルダが自装置に対応づけて登録されていることを条件として、前記複数の収容部のうちの空き状態である収容部に対して前記返却対象となるキーホルダを返却可能に制御する制御部を有する。
【0011】
また、本発明は、上記の発明において、前記複数の鍵管理装置と通信可能な管理装置をさらに備え、各鍵管理装置は、前記複数の収容部のうちの空き状態である収容部に対して前記返却対象となるキーホルダが返却された場合に、該キーホルダの返却に係る情報を前記管理装置に通知する返却情報通知部をさらに備え、前記管理装置は、各鍵管理装置から通知されたキーホルダの返却に係る情報に基づいて、キーホルダの返却履歴を管理する。
【0012】
また、本発明は、上記の発明において、前記鍵管理装置は、前記キーホルダを返却する鍵管理装置の収容部に係る情報を含む予約情報を前記管理装置に対して通知する予約情報通知部をさらに備え、前記管理装置は、返却対象となるキーホルダを管理する鍵管理装置に対して前記予約情報に含まれる前記キーホルダを返却する鍵管理装置の収容部に係る情報を通知する。
【0013】
また、本発明は、上記の発明において、前記管理装置と通信可能な端末装置をさらに備え、前記端末装置は、前記キーホルダを返却する鍵管理装置の収容部に係る情報を含む予約情報を前記管理装置に対して通知し、前記管理装置は、返却対象となるキーホルダを管理する鍵管理装置に対して前記予約情報に含まれる前記キーホルダを返却する鍵管理装置の収容部に係る情報を通知する。
【0014】
また、本発明は、上記の発明において、前記管理装置は、少なくとも1台の鍵管理装置に対して返却可能なキーホルダの制限数に係るデータを保持し、前記制限数に係るデータに基づいて、前記鍵管理装置への返却対象となるキーホルダの返却可能数を制限する。
【0015】
また、本発明は、上記の発明において、少なくとも1台の鍵管理装置は、前記キーホルダの返却期限を管理する返却期限管理部と、前記返却期限内に前記キーホルダが返却されない場合に、キーホルダが未返却である旨を示す報知を行う報知部とをさらに備える。
【0018】
また、本発明は、キーホルダをそれぞれ収容する複数の収容部を有する複数の鍵管理装置を備えた鍵管理システムにおける鍵管理方法であって、少なくとも1台の鍵管理装置が、他の鍵管理装置から取り出された返却対象となるキーホルダを自装置に対応づけて登録する登録工程と、前記登録工程により他の鍵管理装置から取り出された返却対象となるキーホルダが自装置に対応づけて登録されていることを条件として、前記複数の収容部のうちの空き状態である収容部に対して前記返却対象となるキーホルダを返却可能に制御する制御工程とを含む。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、キーホルダを厳正に管理しつつ、ある鍵管理装置から取り出したキーホルダを他の鍵管理装置に対して返却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、本実施例に係る鍵管理システムのシステム構成を示す図である。
【
図2】
図2は、
図1に示した鍵管理装置の概観を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1に示した鍵管理装置の内部構成を示す機能ブロック図である。
【
図4】
図4は、
図1に示した管理装置の内部構成を示す機能ブロック図である。
【
図5】
図5は、
図1に示した端末装置の内部構成を示す機能ブロック図である。
【
図6】
図6は、本実施例に係る複数の鍵管理装置間で返却先情報を通知する場合の処理手順を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、本実施例に係る端末装置から返却先情報を通知する場合の処理手順を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、本実施例に係るキーホルダを返却する場合の処理手順を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、本実施例に係る返却期限を超過した際にその旨を報知する場合の処理手順を示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、変形例1に係る取出・返却権限設定の概念を示す図である。
【
図11】
図11は、変形例2に係る鍵管理システムのシステム構成を示す図である。
【
図12】
図12は、変形例3に係る鍵管理装置の外観を示す斜視図及び小扉の形状を示す図である。
【
図13】
図13は、変形例4に係る鍵管理装置の外観を示す斜視図である。
【
図14】
図14は、変形例5に係る鍵管理装置のシステム構成等を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、添付図面を参照して、本発明に係る鍵管理システム及び鍵管理方法の好適な実施例を詳細に説明する。
【実施例】
【0022】
<鍵管理システムの概要及びシステム構成>
まず、本実施例に係る鍵管理システムの概要について説明する。
図1は、本実施例に係る鍵管理システムのシステム構成を示す図である。ここでは、異なる2つの地点にそれぞれ鍵管理装置10A及び10Bを配設した場合を示している。また、鍵管理装置は鍵単体を管理することもできるが、以下に示す実施例では、鍵管理装置が一又は複数の鍵がリング等に繋がれたキーホルダを管理する場合を示すこととする。
【0023】
金融機関や流通機関などの店舗には、店舗内に設置された機器を作動させるための鍵や管理場所を開閉する鍵などの複数の鍵が存在するため、これらの鍵をリング等で繋いだキーホルダが鍵管理装置によって管理される。鍵管理装置では、キーホルダと収納部を一対一で固定的に対応付け、ある収納部には特定のキーホルダしか収納させないようしている。
【0024】
しかしながら、かかる従来の鍵管理装置では、ある場所の鍵管理装置の収納部から取り出したキーホルダを他の場所の鍵管理装置に返却することができないため、キーホルダを用いたサービスを提供する場合の阻害要因となっている。例えば、利用者が鍵管理装置から取り出したキーホルダを持参して出張したような場合に、このキーホルダを鍵管理装置に収納することができず、キーホルダを厳正に管理できないという問題がある。また、訪日外国人(インバウンド)が東京に入国して大阪から出国する場合に、東京の無人レンタカーショップで車の鍵のキーホルダを借りることはできるが、大阪でキーホルダを返却することができず、結果的にレンタカーを利用することができない。さらに、キーホルダをどの鍵管理装置に対してでも返却できることとすると、返却先が渋滞してしまうという問題が生ずる。つまり、収納部数以上のキーホルダを鍵管理装置に返却しようとしたならば、収納容量を超えてしまう結果となる。
【0025】
なお、従来の鍵管理装置では、一つの鍵管理装置内のある収納部から取り出したキーホルダを同一の鍵管理装置の他の収納部に返却することができないため、キーホルダの効率的な運用を行ううえでの阻害要因となっている。
【0026】
このため、本実施例に係る鍵管理装置では、返却対象となるキーホルダが自装置に対応づけて登録されていることを条件として、複数の収容部のうちの空き状態である収容部に対して返却対象となるキーホルダを返却可能に制御するよう構成している。これにより、キーホルダを厳正に管理しつつ、ある鍵管理装置から取り出したキーホルダを他の鍵管理装置に対して返却することができる。
【0027】
図1に示すように、本鍵管理システムは、金融機関や流通機関などの店舗に設けられ、異なる複数の地点に配設された鍵管理装置10A及び10B(以下、「鍵管理装置10」と総称する)と、管理装置20と、端末装置30とがネットワークNを介して接続されるシステム構成となる。
【0028】
鍵管理装置10は、金融機関や流通機関などの店舗に設けられ、店舗内に設置された機器を作動させるための鍵や管理場所を開閉する鍵をリング等で繋いだキーホルダを収納する装置であり、後述する操作表示部及び認証部等を有する。操作表示部は、タッチパネルディスプレイ等であり、操作者による操作入力の受付及び各種情報の表示を行う。認証部は、操作者が携行するカードから識別情報等を読み取り認証処理を行う。
【0029】
具体的には、操作者が所持するカードを認証部に翳したならば、該認証部はカードからカードIDを読み取り、該カードIDに基づいて操作者の認証を行い、操作者がキーホルダを取り出す権限を有するか否かを判定する。その結果、操作者がキーホルダを取り出す権限を有すると判定されたならば、後述する鍵収納庫の扉が解錠され、扉が開放可能となる。鍵収納庫には、複数のキーホルダが収納されている。また、各キーホルダは、それぞれ該キーホルダに対応する収容部に収納される。
【0030】
管理装置20は、それぞれの鍵管理装置10が保有する収容部の数及び該収容部で使用中の数を記憶しており、鍵管理装置10又は端末装置30から通知された返却先情報からキーホルダの返却が可能であるか否かを判定し、返却可能であると判定されたならば返却先の鍵管理装置10に対して返却先情報を通知する。
【0031】
端末装置30は、取出対象となるキーホルダ又はすでに取り出されたキーホルダとその返却先を入力し、返却先情報として管理装置20に通知する。
【0032】
図1に示すように、鍵管理装置10Aにおいて操作者の認証がなされた後に、鍵管理装置10Aの収納部からキーホルダを取り出して返却先の情報が入力されたならば(ステップS1)、鍵管理装置10A及び返却先である鍵管理装置10Bの情報が返却先情報として管理装置20に通知される(ステップS2)。管理装置20では返却先の鍵管理装置10Bの収容部に空きがあり該キーホルダが返却可能であるか否かを判定し(ステップS3)、返却可能であるならば該返却先情報を鍵管理装置10Bに通知する(ステップS4)。その後、鍵管理装置10Bにより操作者の認証を受け、キーホルダを返却する(ステップS5)。
【0033】
なお、返却先情報の入力は鍵管理装置から行うのではなく、端末装置30から返却先情報を入力するよう構成することもできる。端末装置30において、キーホルダ、該キーホルダを取り出す鍵管理装置10Aの情報及び返却先である鍵管理装置10Bの情報を入力し、返却先情報として管理装置20に通知する(ステップS2´)。管理装置20では返却先の鍵管理装置10Bにキーホルダを返却することができるか否かを判定し(ステップS3)、返却先の鍵管理装置10Bにキーホルダを返却できる場合には、該返却先情報を鍵管理装置10Bに通知する(ステップS4)。その後、操作者がキーホルダを返却する(ステップS5)。
【0034】
このように、本実施例に係る鍵管理システムは、鍵管理装置10A又は端末装置30において入力した返却先情報を、管理装置20を介して鍵管理装置10Bに通知することにより、ある鍵管理装置の収納部から取り出したキーホルダを他の鍵管理装置の収納部に返却することが可能となる。
【0035】
なお、本実施例では、カードIDを内部メモリに記憶するIC(integrated circuit)カードを用いる場合について説明するが、カードIDを磁気記録する磁気カードを用いて認証を行うこともできる。また、あらかじめ設定されるコードを利用者が入力して操作者の認証を行うこともできる。さらに、顔、指紋、掌紋などの生体識別情報を用いた認証を行うこともできる。
【0036】
<鍵管理装置10の外観構成>
次に、本実施例に係る鍵管理装置10の外観について説明する。
図2は、本実施例に係る鍵管理装置10の外観を示す斜視図である。
図2に示すように、この鍵管理装置10は、扉施錠部12にて開閉される鍵収納部19、操作表示部13、認証部14、ホルダランプ15及び収容部16を有する。
【0037】
操作表示部13は、タッチパネルディスプレイ等であり、操作員による操作入力を受け付けるとともに、各種情報を表示する。認証部14は、操作員が携帯するカードから識別情報等を読み取る読取装置である。ここではカードをICカードとする場合について説明するが、磁気カードであってもよい。また、扉施錠部12は、鍵収納部19の扉を施錠する機構である。
【0038】
収容部16は、鍵がリング等に繋がれたキーホルダを着脱可能に収納する。各収容部16は、キーホルダの取り出しを許可又は禁止できるように図示しないロック機構が設けられている。鍵管理装置10は、各収容部16に対するロック機構を制御することによって、キーホルダの取り出しの許可又は禁止を制御する。また、各収容部16は、キーホルダに内蔵された無線IDタグを読み込むことによって、キーホルダが正しく返却されているか又は取出中であるかを検知することができる。また、1つのキーホルダに対して、1つのメイン返却収容部と1以上のサブ返却収容部を指定できる。この際、メイン返却収容部はキーホルダ相互に重複しないように制御し、サブ返却収容部については重複を許容する。
【0039】
また、各収容部16の近傍にはホルダランプ15が設けられている。利用者がキーホルダを取り出す場合及び利用者がキーホルダを交換する場合に、このホルダランプ15を点灯させることによって、当該キーホルダの位置を操作者に報知する。このホルダランプ15は、例えば複数色による発光、連続点灯又は点滅点灯の複数の発光態様での発光が可能なLEDとすることができる。これにより、メイン返却収容部とサブ返却収容部の発光色を異なるものと指定することができる。
【0040】
<鍵管理装置10の内部構成>
次に、
図2に示した鍵管理装置10の内部構成について説明する。
図3は、
図2に示した鍵管理装置10の内部構成を示す機能ブロック図である。
図3に示すように、鍵管理装置10は、鍵管理制御部11、扉施錠部12、操作表示部13、認証部14、ホルダランプ15、収容部16、通信部17及び記憶部18を有する。扉施錠部12、操作表示部13、認証部14、ホルダランプ15及び収容部16については、
図2の外観構成において説明したため、ここではその説明を省略する。
【0041】
鍵管理制御部11は、鍵管理装置10を全体制御する制御部であり、返却制御部11a、受付部11b、登録部11c、返却情報通知部11d、予約情報通知部11e、返却期限管理部11f及び報知部11gを有する。実際には、これらの機能部に対応するプログラムを図示しないROMや不揮発性メモリに記憶しておき、これらのプログラムをCPU(Central Processing Unit)にロードして実行することにより、返却制御部11a、受付部11b、登録部11c、返却情報通知部11d、予約情報通知部11e、返却期限管理部11f及び報知部11gにそれぞれ対応するプロセスを実行させることになる。
【0042】
返却制御部11aは、受付部11bで受け付けた自装置に対する返却指示に対して、空きの収容部が存在していて返却可能かどうかを判定する。
【0043】
受付部11bは、利用者が操作表示部13から入力した返却指示を受け付け、該返却指示を返却制御部11aに通知するとともに、管理装置20から受け付けた返却先情報を登録部11cに通知する。登録部11cは、返却制御部11aで返却可能と判定されたキーホルダ又は管理装置20から受け付けた返却先情報内のキーホルダと、返却先の収容部16とを対応させ、記憶部18に登録する。
【0044】
返却情報通知部11dは、収容部にキーホルダが返却されたならば、該返却に係る返却情報を管理装置20に通知する。予約情報通知部11eは、利用者が操作表示部13から入力した返却指示が自装置以外の鍵管理装置であったならば、該返却先情報を管理装置20に通知する。
【0045】
返却期限管理部11fは、自装置へのキーホルダの返却期限を管理する。報知部11gは、返却期限が超過した場合に、未返却である旨の報知を行う。
【0046】
通信部17は、ネットワークNを介して管理装置20とデータ通信するためのインタフェース部である。記憶部18は、ハードディスク装置や不揮発性メモリ等の記憶デバイスであり、登録されたキーホルダ情報、返却可能と判定された返却期限を含むキーホルダ情報及びすでに返却されているキーホルダ情報を記憶する。
【0047】
<管理装置20の内部構成>
次に、
図1に示した管理装置20の内部構成について説明する。
図4は、
図1に示した管理装置20の内部構成を示す機能ブロック図である。
図4に示すように、管理装置20は、制御部21、入力部22、表示部23、通信部24及び記憶部25を有する。
【0048】
制御部21は、管理装置20を全体制御する制御部であり、返却履歴管理部21a、返却先情報通知部21b及び返却可能数管理部21cを有する。実際には、これらの機能部に対応するプログラムを図示しないROMや不揮発性メモリに記憶しておき、これらのプログラムをCPUにロードして実行することにより、返却履歴管理部21a、返却先情報通知部21b及び返却可能数管理部21cにそれぞれ対応するプロセスを実行させることになる。
【0049】
返却履歴管理部21aは、それぞれの鍵管理装置10に対して返却された履歴を記憶部25に記憶して管理する。返却先情報通知部21bは、返却可能数管理部21cで返却可能と判定された返却先の鍵管理装置10に対して、返却先情報を通知する。
【0050】
返却可能数管理部21cは、鍵管理装置10から受信した返却情報に基づき、それぞれの鍵管理装置10の返却可能数を管理する。また、鍵管理装置10又は端末装置30から受け付けた返却先情報に基づき、返却先の鍵管理装置10に返却が可能か否かを判定する。
【0051】
入力部22は、キーボードやマウス等の入力デバイスである。表示部23は、液晶ディスプレイ装置等の表示デバイスである。通信部24は、鍵管理装置10及び端末装置30との通信を行う通信インタフェースである。記憶部25は、ハードディスク装置や不揮発性メモリ等の記憶デバイスであり、返却履歴、各鍵管理装置10の収容部の数及び返却可能数を記憶する。
【0052】
<端末装置30の内部構成>
次に、
図1に示した端末装置30の内部構成について説明する。
図5は、
図1に示した端末装置30の内部構成を示す機能ブロック図である。
図5に示すように、端末装置30は、制御部31、入力部32、表示部33、通信部34及び記憶部35を有する。
【0053】
制御部31は、端末装置30を全体制御する制御部であり、予約情報受付部31a及び予約情報通知部31bを有する。実際には、これらの機能部に対応するプログラムを図示しないROMや不揮発性メモリに記憶しておき、これらのプログラムをCPUにロードして実行することにより、予約情報受付部31a及び予約情報通知部31bにそれぞれ対応するプロセスを実行させることになる。
【0054】
予約情報受付部31aは、利用者が入力したキーホルダの返却予約を受け付ける処理部である。予約情報通知部31bは、予約情報受付部31aが受け付けた返却予約を返却先情報として管理装置20に通知する処理部である。
【0055】
入力部32は、キーボードやマウス等の入力デバイスである。表示部33は、液晶ディスプレイ装置等の表示デバイスである。通信部34は、管理装置20との通信を行う通信インタフェースである。記憶部35は、ハードディスク装置や不揮発性メモリ等の記憶デバイスであり、返却予約の受け付け及び通知の情報を記憶する。
【0056】
<鍵管理装置10間で返却先情報を通知する処理手順>
次に、
図1に示した鍵管理装置10間で返却先情報を通知する処理手順について説明する。
図6は、
図1に示した鍵管理装置10間で返却先情報を通知する処理手順を示すフローチャートである。ここでは、鍵管理装置10Aの収納部から取り出したキーホルダを鍵管理装置10Bの収納部に返却する場合を示している。
【0057】
図6に示すように、鍵管理装置10Aでキーホルダを取り出す場合には(ステップS101;Yes)、利用者が鍵管理装置10Aに返却先情報を入力する(ステップS102)。この返却先情報に含まれる返却先が鍵管理装置10Aすなわち自装置である場合には(ステップS103;Yes)、本処理を終了する。
【0058】
これに対して、返却先情報に含まれる返却先が鍵管理装置10Bすなわち他装置である場合には(ステップS103;No)、鍵管理装置10Aから管理装置20に対して返却先情報を通知する(ステップS104)。
【0059】
管理装置20は、鍵管理装置10Aから返却先情報の通知を受け取ったならば、この返却先情報に含まれる返却先の鍵管理装置10Bにキーホルダを返却することができるか否かを判定し(ステップS105)、返却可能であると判定された場合には(ステップS106;Yes)、管理装置20から返却先の鍵管理装置10Bに対して返却先情報を通知する(ステップS107)。
【0060】
これに対して、返却先情報に含まれる返却先の鍵管理装置10Bにキーホルダを返却することができない場合には(ステップS106;No)、ステップS102に移行して、再度の返却先入力を促すメッセージを鍵管理装置10Aの操作表示部13に表示し、利用者に返却先情報を入力させる(ステップS102)。以後、キーホルダが返却可能となるまで(ステップS103;Yes)、上記一連の処理を繰り返す。
【0061】
<端末装置30から返却先情報を通知する処理手順>
次に、
図1に示した端末装置30から返却先情報を通知する処理手順について説明する。
図7は、
図1に示した端末装置30から返却先情報を通知する処理手順を示すフローチャートである。
【0062】
図7に示すように、端末装置30において返却先情報が入力されたならば(ステップS201;Yes)、端末装置30から管理装置20に対して返却先情報を通知する(ステップS202)。
【0063】
管理装置20は、端末装置30から返却先情報の通知を受け付けたならば、返却先の鍵管理装置10Bにキーホルダを返却することができるか否かを判定し(ステップS203)、返却可能であると定された場合には(ステップS204;Yes)、管理装置20から返却先の鍵管理装置10Bに対して返却先情報を通知する(ステップS205)。
【0064】
これに対して、返却先の鍵管理装置10Bにキーホルダを返却できない場合には(ステップS204;No)、再度返却先を入力させるメッセージを端末装置30の表示部33に表示して、利用者に再度返却先情報を入力させる(ステップS201;Yes)。以後、キーホルダが返却可能となるまで(ステップS204;Yes)、上記一連の処理を繰り返す。
【0065】
<鍵管理装置10Bにキーホルダを返却する処理手順>
次に、
図1に示した鍵管理装置10Bにキーホルダを返却する処理手順について説明する。
図8は、
図1に示した鍵管理装置10Bにキーホルダを返却する処理手順を示すフローチャートである。
【0066】
図8に示すように、管理装置20から返却先の鍵管理装置10Bに対して返却先情報が通知されたならば(ステップS301)、鍵管理装置10Bにおいて返却先情報が保存される(ステップS302)。
【0067】
その後、利用者による返却の操作を受け付けたならば(ステップS303;Yes)、返却可能な収容部16のホルダランプ15を点灯させる(ステップS304)。なお、自装置から取り出されたキーホルダを返却する収容部のホルダランプにおける点灯と、他装置から取り出されたキーホルダを返却する収容部のホルダランプにおける点灯を異なる点灯態様とすることができる。そして、キーホルダの返却が完了したならば(ステップS305;Yes)、全てのホルダランプ15を消灯する(ステップS306)。
【0068】
<返却期限を超過した場合の処理手順>
鍵管理装置10からキーホルダを取り出した場合には、その日時から一定の期間内にキーホルダを返却する必要がある。このため、かかる返却期限を超過した場合に、その旨を報知する場合の処理手順について説明する。
図9は、返却期限を超過した場合の処理手順を示すフローチャートである。
【0069】
図9に示すように、管理装置20から返却先の鍵管理装置10Bに対して返却先情報が通知されたならば(ステップS401)、鍵管理装置10Bにおいて返却先情報が記憶される(ステップS402)。
【0070】
その後、返却期限が超過するまでの間に(ステップS403;No)、キーホルダが返却されたならば(ステップS404;Yes)、処理を終了する。これに対して、キーホルダの返却が返却期限を超過したならば(ステップS403;Yes)、鍵管理装置10Bにおいて、返却期限を超過している旨を報知する(ステップS405)。
【0071】
上述してきたように、本実施例では、金融機関や流通機関などの店舗に設けられた鍵管理装置10及び返却先情報を予約する端末装置30と通信可能な管理装置20を有し、管理装置20は、鍵管理装置10又は端末装置30から通知された返却先情報に基づいて、キーホルダの返却が可能かどうかの判定を行い、返却可能な場合には返却先の鍵管理装置10に対して返却先情報を通知するよう構成したので、複数の鍵管理装置10の間で、どの鍵管理装置10に対してもキーホルダを返却することが可能となる。
【0072】
各鍵管理装置10は、他の鍵管理装置10から取り出された返却対象となるキーホルダが自装置に対応づけて登録されていることを条件として、複数の収容部のうちの空き状態である収容部に対して返却対象となるキーホルダを返却可能に制御する。
【0073】
また、各鍵管理装置10は、複数の収容部のうちの空き状態である収容部に対して返却対象となるキーホルダが返却された場合に、該キーホルダの返却に係る情報を管理装置20に通知し、管理装置20は、各鍵管理装置10から通知されたキーホルダの返却に係る情報に基づいて、キーホルダの返却履歴を管理する。
【0074】
また、鍵管理装置10は、キーホルダを返却する鍵管理装置10の収容部に係る情報を含む予約情報を管理装置20に対して通知し、管理装置20は、返却対象となるキーホルダを管理する鍵管理装置10に対して予約情報に含まれるキーホルダを返却する鍵管理装置の収容部に係る情報を通知する。
【0075】
また、端末装置30は、キーホルダを返却する鍵管理装置10の収容部に係る情報を含む予約情報を管理装置20に対して通知し、管理装置20は、返却対象となるキーホルダを管理する鍵管理装置10に対して予約情報に含まれるキーホルダを返却する鍵管理装置の収容部に係る情報を通知する。
【0076】
また、管理装置20は、各鍵管理装置10に対して返却可能なキーホルダの制限数に係るデータを保持し、制限数に係るデータに基づいて、各鍵管理装置への返却対象となるキーホルダの返却可能数を制限する。
【0077】
なお、上記の実施例では、複数の鍵管理装置10の間でキーホルダの返却を行う場合を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、単一の鍵管理装置10において、自装置の空きの収容部16に対する登録されたキーホルダの返却を制御することもできる。
【0078】
鍵管理装置10は、キーホルダをそれぞれ収容する複数の収容部と、返却対象となるキーホルダが自装置に対応づけて登録されていることを条件として、複数の収容部のうちの空き状態である収容部に対して返却対象となるキーホルダを返却可能に制御する制御部とを有することになる。また、鍵管理装置10は、キーホルダを複数の収容部のいずれかに収容返却するための所定の操作を受け付ける受付部11bを備え、制御部は、受付部11bにより所定のキーホルダを収容するための所定の操作を受け付けたならば、所定のキーホルダが自装置に対応づけて登録されていることを条件として、複数の収容部のうちの空き状態である収容部に対して所定のキーホルダを返却可能に制御することになる。また、鍵管理装置10は、キーホルダをそれぞれ収容する複数の収容部と、キーホルダについて、返却対象となる収容部を複数登録する登録部11cとを有することになる。なお、収納部について、返却対象となるキーホルダを複数登録することもできる。
【0079】
また、上記の実施例では、管理装置20において、各鍵管理装置10の返却可能数の管理、返却先の鍵管理装置10に対してキーホルダを返却できるか否かの判定及び返却履歴の管理を行う場合を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、当該各機能を複数の鍵管理装置10のうちの一つに行わせることもできる。
【0080】
また、上記の実施例では、返却先とした鍵管理装置10にキーホルダを返却できない場合には、利用者に返却先を再入力させることとしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、返却可能な鍵管理装置10の情報を利用者の操作する表示部に表示し、表示した鍵管理装置10の中からキーホルダを返却する鍵管理装置10を利用者に選択させるように構成することもできる。
【0081】
また、上記の実施例では、端末装置30から返却先情報を入力して管理装置20に通知する場合を示したが、管理装置20への返却先情報の通知後に、該返却先情報の取り消し又は修正を行うこともできる。
【0082】
また、上記の実施例では、返却期限を超過した場合、返却先の鍵管理装置10Bにおいて返却期限の超過を報知する場合を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、キーホルダの取り出し元の鍵管理装置10Aにおいて報知するよう構成することができる。また、鍵管理装置10A及び鍵管理装置10Bに同時に報知することもできる。
【0083】
また、上記の実施例では、鍵管理装置10又は端末装置30において返却先情報を入力する場合を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、携帯端末からQRコード(登録商標)等の二次元バーコードによる読み取りとすることもできる。
【0084】
また、上記の実施例では、鍵管理装置10又は端末装置30において返却先情報を入力した場合に入力内容をそれぞれの表示部において確認可能とした場合を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、鍵管理装置10又は端末装置30にプリンタを接続して入力内容を印刷することもできる。
【0085】
また、上記の実施例では、鍵をリング等に繋いだキーホルダを鍵管理装置10の収容部16に収容する場合を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、鍵そのものを収容部に収容することもできる。
【0086】
また、複数の鍵管理装置10を設ける場合に、全ての鍵管理装置が同一の構成を有するのではなく、少なくとも1台の鍵管理装置10が本実施例に係る構成を有するようにしても良い。例えば、既存の鍵管理装置と本実施例に係る新たな鍵管理装置が混在するシステムが考えられる。
【0087】
また、上記の実施例で図示した各構成は機能概略的なものであり、必ずしも物理的に図示の構成をされていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【0088】
<変形例1>
ところで、上記実施例では、ICカード等による認証を受けた利用者は、キーホルダの取出及び返却の両方を行える場合を示したが、利用者の勤務形態によっては、キーホルダの取出又は返却の一方のみが行われる場合がある。このため、本変形例1では、キーホルダの取出と返却の権限を分割する場合について説明する。
【0089】
図10は、変形例1に係る取出・返却権限設定の概要を示す図である。ここでは営業所A及びBにそれぞれ鍵管理装置10A及び鍵管理装置10Bが設置されている。鍵管理装置10A及び10Bは、キーホルダの取出及び返却に関する権限を設定することができる。
【0090】
図10に示すように、鍵管理装置10Aは、利用者R1に対してキーホルダ1の取出及び返却の両方の権限を付与し、鍵管理装置10Bは、利用者R1に対してキーホルダ1の返却の権限のみを付与した状況を示している。また、利用者R2に対しては、鍵管理装置10Bでのキーホルダ1に対する取出の権限のみを付与した状況を示している。なお、キーホルダの返却先を指定する画面において、返却権限を持つ鍵管理装置だけが表示されるようにしてもよい。
【0091】
利用者R1が、営業所Aで午前10時に鍵管理装置10Aからキーホルダ1を取り出し、営業所Bで午後10時に鍵管理装置10Bに対してキーホルダ1を返却する場合には、いずれの行為も承認設定されており、それぞれの取出及び返却が可能である。一方、利用者R2が、営業所Bでキーホルダ1を返却しようとする場合、キーホルダ1の返却の権限が付与されていないため、キーホルダ1を返却することができない。
【0092】
上述してきたように、本変形例1では、キーホルダの取出及び返却の権限を、それぞれの利用者に個別に付与することにより、セキュリティを保ったまま、利用者が直接に鍵管理装置10にキーホルダを返却することができる。また、返却権限のみを付与する場合は、営業所の管理者が不在となる営業時間外等においてもキーホルダの返却が可能となる。
【0093】
なお、上記の変形例1では、キーホルダの取出及び返却に関する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、キーホルダ及び収納部に内蔵された無線IDタグを使用して、キーホルダの物理的な動きをトレースすることもできる。
【0094】
<変形例2>
ところで、上記実施例では、キーホルダを返却する鍵管理装置を事前に設定しておき、該鍵管理装置に対してキーホルダを返却する場合を示したが、利用者によっては予定と異なる鍵管理装置に一時的にキーホルダを返却したい場合がある。このため、本変形例2では、予約なしに鍵管理装置で一時的にキーホルダの返却を受け付ける場合について説明する。
【0095】
図11は、本変形例2に係る情報処理システムの構成を示す図である。
図11に示すように、本鍵管理システムは、鍵管理装置10A及び10Bと、管理装置20とがネットワークNを介して接続されるシステム構成となる。
【0096】
鍵管理装置10は、自装置に事前に登録されていないキーホルダの返却を受付可能な収容部を有しており、該キーホルダの返却を受け付けた場合には、管理装置20に対して該キーホルダの取扱権限を有する利用者情報を問い合わせる。管理装置20は、鍵管理装置10からの利用者情報の問い合わせに対し、該キーホルダの取扱権限を有する利用者情報を鍵管理装置10に通知する。
【0097】
図11に示すように、利用者が鍵管理装置10Aからキーホルダを取り出し(ステップS11)、返却予約をしていない鍵管理装置10Bに該キーホルダを返却する(ステップ12)。
【0098】
鍵管理装置10Bは、該キーホルダの取扱権限を有する利用者情報を管理装置20に問い合わせ(ステップ13)、管理装置20は該利用者情報を鍵管理装置10Bに通知する(ステップ14)。
【0099】
上述してきたように、本変形例2では、予約をしていない鍵管理装置にキーホルダを一時的に返却したい場合において、該キーホルダの取扱権限を有する利用者情報を該鍵管理装置が把握することにより、一時的な返却が可能となる。
【0100】
なお、上記の変形例2では、利用者情報を管理装置20に問い合わせることとしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、キーホルダの一時返却時に利用者の認証を行って、認証された利用者にのみキーホルダの取り出しを許可することもできる。また、キーホルダの一時返却時に取出用コードを発行し、取出用コードの入力を条件としてキーホルダの取り出しを許可することもできる。また、鍵管理システムに権限を有する管理者等に取出権限を付与することもできる。
【0101】
<変形例3>
ところで、上記実施例では、
図2に示すように、鍵管理装置10の扉施錠部12を開いたときに、管理している全てのキーホルダが見えるため、利用権限のないキーホルダに触れることも可能であり、セキュリティ面で問題が生じる可能性がある。このため、本変形例3では、キーホルダを収容する収容部に小扉を取り付けることによりセキュリティを向上させている。
【0102】
本変形例3に係る鍵管理装置10の外観について説明する。
図12は、本変形例3に係る鍵管理装置10の外観を示す斜視図である。
図12に示すように、鍵管理装置10内の隣り合う2つの収容部の1つに小扉を取り付け、他方の収容部のふたとなるように設置する。小扉の開閉については、キーホルダの利用権限に応じて制御するとともに、図示しない収容部内のセンサにより、小扉の開閉を検知する。
【0103】
上述してきたように、本変形例3では、キーホルダを収容する収容部の隣り合う2つの収容部の1つに小扉を取り付け、他方の収容部のふたとなるように設置することでセキュリティを向上することが可能となる。
【0104】
なお、この変形例3では、全ての収容部に小扉を設置する場合を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、扉施錠部を取り外すことができる。また、通常の収容部と小扉を設置した収容部を混在させることもできる。
【0105】
<変形例4>
ところで、上記実施例では、
図2に示すように、鍵管理装置10の鍵収納部19が1つである場合を示したが、鍵管理装置によっては複数の鍵収納部を有する場合がある。例えば、2つの鍵収納部を有する場合に、第1の鍵収納部の扉施錠部は、通常鍵のキーホルダを保管するために営業時間内は常に開放して運用され、第2の鍵収納部の扉施錠部は、重要鍵のキーホルダを保管するために常に閉鎖し、その開放のためには管理者の許可が必要とされる。
【0106】
営業時間中に、重要鍵のキーホルダの使用頻度が高い場合には、その都度管理者の許可が必要となるため、業務効率が低下する。このため、本実施例4では、管理者の許可を受けることを条件として、営業時間中に通常鍵のキーホルダを保管する鍵収納部に重要鍵のキーホルダを保管できるようにしている。
【0107】
本変形例4に係る鍵管理装置の外観について説明する。
図13は、本変形例4に係る鍵管理装置の外観を示す斜視図である。
図13に示す鍵管理装置は、通常鍵のキーホルダを保管する鍵収納部K1及び重要鍵のキーホルダを保管する鍵収納部K2を有する。
【0108】
同一のキーホルダを鍵収納部K1及び鍵収納部K2の双方に収容可能とし、それぞれのキーホルダには、個別の利用権限及び利用可能時間帯を設定可能とする。
【0109】
これにより、重要鍵のキーホルダを営業時間外は鍵収納部K2に、営業時間中は鍵収納部K1に保管できるため、営業時間中の該重要鍵の取り出しについては、管理者の許可を取る必要がなくなる。
【0110】
また、鍵収納部K1からの該重要鍵の取出可能時間を営業時間中に設定することにより、該重要鍵のキーホルダを鍵収納部K1から鍵収納部K2に移動することを忘れた場合であっても、該重要鍵のキーホルダの不正使用を防止することができる。
【0111】
上述してきたように、本変形例4では、同一のキーホルダを鍵収納部K1及び鍵収納部K2の双方に収容可能とし、それぞれのキーホルダには、個別の利用権限及び利用可能時間を設定可能とすることにより、重要鍵の取出許可に係る手間の効率化及び不正防止のセキュリティを向上することが可能となる。
【0112】
なお、上記の変形例4では、1つの鍵管理装置内の複数の鍵収納部に対して制御することとしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、複数の鍵管理装置間で制御することもできるし、収容部内のセンサを利用して重要鍵の存在可否あるいは存在場所についても確認することができる。
【0113】
<変形例5>
従来、「抜取ホルダ」と呼ばれる設定が知られている。この抜取ホルダは、店舗の表扉を閉鎖する場合に守衛等により用いられる鍵である。店舗の締め処理を行う場合に、抜取ホルダが鍵管理装置から抜き取られていなければ、表扉を閉めることができず、締め処理を完了することができない仕様とされている。
【0114】
しかしながら、かかる仕様を行う場合に、鍵管理装置から抜き取られた抜取ホルダを適正に管理しなければ、店舗のセキュリティを確保するうえで問題が生ずる。そこで本変形例5では、店舗の締め処理に伴って表扉を閉める場合に、2台の鍵管理装置を設け、一方の鍵管理装置から取り出された抜取ホルダが他方の鍵管理装置に返却されていることを条件に、店舗の締め処理を行えるよう構成している。
【0115】
具体的には、
図14に示すように、抜取ホルダを管理する鍵管理装置10Aと、鍵管理装置10BとをLAN(Local Area Network)で接続する。なお、鍵管理装置10A及び10Bにおける抜取ホルダを収納する収納部はあらかじめ定められており、鍵管理装置10Aから表扉の閉操作を実行できるものとする。
【0116】
ここで、鍵管理装置10Aにおける抜取ホルダを収納する収納部の状態が「無」であり、かつ、鍵管理装置10Bにおける抜取ホルダを収納する収納部の状態が「有」であるならば、鍵管理装置10Aから表扉の閉操作を行うことができる。言い換えると、鍵管理装置10Aから抜取ホルダが抜き取られていない場合、鍵管理装置10Bに抜取ホルダが返却されていない場合には、鍵管理装置10Aから表扉の閉操作を行うことができない。
【0117】
このように、本変形例5では、店舗の締め処理を行う場合に、店舗のセキュリティを高めることができる。なお、本変形例5は、店舗の締め処理を行う場合のみならず、鍵管理装置からキーホルダを取り出すことを条件として各種の操作を受付可能とする場合に有効である。
【産業上の利用可能性】
【0118】
本発明に係る鍵管理システム及び鍵管理方法は、利用者によるキーホルダの返却を容易にする場合に有用である。
【符号の説明】
【0119】
A,B 営業所
R1,R2 利用者
10,10A,10B 鍵管理装置
11 鍵管理制御部
11a 返却制御部
11b 受付部
11c 登録部
11d 返却情報通知部
11e 予約情報通知部
11f 返却期限管理部
11g 報知部
12 扉施錠部
13 操作表示部
14 認証部
15 ホルダランプ
16 収容部
17 通信部
18 記憶部
19 鍵収納部
20 管理装置
21 制御部
21a 返却履歴管理部
21b 返却先情報通知部
21c 返却可能数管理部
22 入力部
23 表示部
24 通信部
25 記憶部
30 端末装置
31 制御部
31a 予約情報受付部
31b 予約情報通知部
32 入力部
33 表示部
34 通信部
35 記憶部