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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-27
(45)【発行日】2023-04-04
(54)【発明の名称】遺伝子療法
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/113 20100101AFI20230328BHJP
   C12N 15/21 20060101ALI20230328BHJP
   C12N 15/22 20060101ALI20230328BHJP
   C12N 15/28 20060101ALI20230328BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20230328BHJP
   C12N 5/0789 20100101ALI20230328BHJP
   C12N 5/0786 20100101ALI20230328BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20230328BHJP
   A61K 35/12 20150101ALI20230328BHJP
   A61K 35/15 20150101ALI20230328BHJP
   A61K 35/28 20150101ALI20230328BHJP
   A61K 35/17 20150101ALI20230328BHJP
   A61K 31/405 20060101ALI20230328BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230328BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20230328BHJP
   C07K 16/28 20060101ALN20230328BHJP
   C12N 5/0783 20100101ALN20230328BHJP
【FI】
C12N15/113 Z
C12N15/21
C12N15/22
C12N15/28
C12N5/10
C12N5/0789 ZNA
C12N5/0786
C12N15/63 Z
A61K35/12
A61K35/15
A61K35/28
A61K35/17
A61K31/405
A61P35/00
A61P35/02
C07K16/28
C12N5/0783
【請求項の数】 28
(21)【出願番号】P 2019556929
(86)(22)【出願日】2018-04-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-06-18
(86)【国際出願番号】 EP2018060238
(87)【国際公開番号】W WO2018193119
(87)【国際公開日】2018-10-25
【審査請求日】2021-04-20
(31)【優先権主張番号】1706410.6
(32)【優先日】2017-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】1801511.5
(32)【優先日】2018-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】514194370
【氏名又は名称】オスペダーレ サン ラファエレ エス.アール.エル
(73)【特許権者】
【識別番号】511262290
【氏名又は名称】フォンダツィオーネ テレトン
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ナルディーニ,ルイージ
(72)【発明者】
【氏名】エスコバー,ジュリア
(72)【発明者】
【氏名】ゲントナー,ベルンハルト ルドルフ
(72)【発明者】
【氏名】ムッチ,アデーレ
【審査官】小林 薫
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-525141(JP,A)
【文献】Sci. Transl. Med., 2014, Vol.6, Issue 217, 217ra3 (pp.1-13)
【文献】EMBO Mol. Med., 2016, Vol.8, No.2, pp.155-170
【文献】Cell, 2015, Vol.161, pp.205-214
【文献】J. Clin. Oncol., 2012, Vol.30, No.3, pp.322-328
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00-15/90
C12N 1/00- 7/08
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者における癌の処置又は予防のための医薬組成物であって、
前記医薬組成物は、造血幹細胞(HSC)、造血前駆細胞(HPC)、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球を含み、
前記HSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球は、ベクターを含み、
前記ベクターは、サイトカインをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含み、
前記医薬組成物は、腫瘍関連抗原(TAA)特異的T細胞、免疫チェックポイント阻害薬及び/又は1-メチル-トリプトファン(1-MT)と組み合わせて使用するためのものである、
前記医薬組成物
【請求項2】
医薬組成物が、免疫チェックポイント阻害薬及びTAA特異的T細胞と組み合わせて使用されるものである、請求項1記載の医薬組成物
【請求項3】
TAA特異的T細胞が、キメラ抗原受容体(CAR)及び/又はトランスジェニックT細胞受容体(TCR)を発現する、請求項1又は2記載の医薬組成物
【請求項4】
TAAが、癌胎児抗原(CEA)、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、エフリンB2、ROR1、メソテリン、c-Met、GD-2、及びMAGE A3 TCR、4-1BB、腺癌抗原、アルファ-フェトプロテイン、BAFF、Bリンパ腫細胞、C242抗原、炭酸脱水酵素9(CA-IX)、CCR4、CD152、CD200、CD22、CD19、CD22、CD123、CD221、CD23(IgE受容体)、CD28、CD4、CD40、CD44、CD44 v6、CD51、CD52、CD56、CD74、CD80、CS-1、CNT0888、CTLA-4、DR5、EpCAM、CD3、フィブロネクチンエキストラドメインB、葉酸受容体1、糖タンパク質75、GPNMB、HGF、ヒト散乱因子受容体キナーゼ、IGF-1受容体、IGF-I、IgGl、L1-CAM、IL-13、IL-6、インスリン様増殖因子I受容体、インテグリンα5β1、インテグリンαvβ3、MORAb-009、MS4A1、ムチンCanAg、N-グリコリルノイラミン酸、NPC-1C、PDGF-Rα、PDL192、ホスファチジルセリン、前立腺癌細胞、RANKL、RON、SCH900105、SDC1、SLAMF7、テネイシンC、TGFベータ2、TGF-β、TRAIL-R1、TRAIL-R2、腫瘍抗原CTAA16.88、血管内皮増殖因子(VEGF)、VEGF-A、VEGFR-1、VEGFR2、ビメンチン、5T4、CD5、CD19、CD20、CD21、CD25、CD37、CD30、CD33、CD45、CAMPATH-1(CDw52)、HLA-DR、抗イディオタイプ、TAG-72、Ep-CAM、MUC1、葉酸結合タンパク質、A33、G250、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、前立腺特異的抗原(PSA)、フェリチン、ガングリオシド、Ley、CA-125、CA19-9、上皮増殖因子受容体(EGFR)、p185HER2、IL-2受容体、de2-7EGFR、線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)、テネイシン、メタロプロテイナーゼ、エンドシアリン、炭酸脱水酵素、ガレクチン9、アルドラーゼA、eIFγ4、チロシナーゼ、ガレクチン4、HERKV-K10、p53、NY-LU-12、レスチン、NY-CO-38、MAGE-1、MAGE-4a、SSX2、NY-ESO-1、SCP-1、707-AP、AFP、ART-4、BAGE、b-カテニン/m、Bcr-abl、CAMEL、CAP-1、CASP-8、CDC27m、CDK4/m、CT、Cyp-B、DAM-6(MAGE-B2)及びDAM-10(MAGE-B1)、ELF2M、ETV6-AML1、G250、GAGE、GnT-V、Gp100、HAGE、HER-2/neu、HLA-A*0201-R170I、HPV-E7、HSP70-2M、HST-2、hTERT(hTRT)、iCE、KIAA0205、LAGE、LDLR/FUT、MAGE、MART-1/メラン-A、MC1R、ミオシン/m、MUC1、MUM-1、MUM-2、MUM-3、NA88-A、NY-ESO-1、P15、p190マイナーbcr-abl、Pml/RARa、PRAME、RAGE、RU1、RU2、SAGE、SART-1、SART-3、TEL/AML1、TPI/m、TRP-1、タンパク質1、gp75、TRP-2、TRP-2/INT2及びWT1から成る群より選択される、請求項1~3のいずれか1項記載の医薬組成物
【請求項5】
TAA特異的T細胞が、患者から単離された細胞に由来する、請求項1~4のいずれか1項記載の医薬組成物
【請求項6】
TAA特異的T細胞が、少なくとも1つの内在性遺伝子を破壊するように操作されたものである、請求項1~5のいずれか1項記載の医薬組成物
【請求項7】
免疫チェックポイント阻害薬が、
(i)抗体であり且つ/又は、
(ii)A2AR(アデノシンA2A受容体)、B7-H3(CD276)、B7-H4(VTCN1)、BTLA(B及びTリンパ球アテニュエーター;CD272)、HVEM(ヘルペスウイルスエントリーメディエーター)、CTLA-4(細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4;CD152)、IDO(インドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ)、TDO(トリプトファン2,3-ジオキシゲナーゼ)、KIR(キラー細胞免疫グロブリン様受容体)、LAG3(リンパ球活性化遺伝子3)、PD-1(プログラム細胞死1受容体)、PD-L1(PD-1リガンド1)、PD-L2(PD-1リガンド2)、TIM-3(T細胞免疫グロブリンドメイン及びムチンドメイン3)、VISTA(T細胞活性化のVドメインIg抑制因子)、B7-1(CD80)及びB7-2(CD86)から成る群より選択される阻害性チェックポイント分子を阻害する、
請求項1~6のいずれか1項記載の医薬組成物
【請求項8】
ベクターが、少なくとも1つのmir-130a標的配列及び少なくとも1つのmir-126標的配列を含む、請求項1~7のいずれか1項記載の医薬組成物
【請求項9】
ベクターが、サイトカインをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した組織特異的プロモーターをさらに含む、請求項1~8のいずれか1項記載の医薬組成物
【請求項10】
癌が、血液悪性腫瘍又は固形腫瘍である、請求項1~9のいずれか1項記載の医薬組成物
【請求項11】
患者における癌の処置又は予防のための医薬組成物であって、
前記医薬組成物は、腫瘍関連抗原(TAA)特異的T細胞を含み、
前記患者は、造血幹細胞(HSC)、造血前駆細胞(HPC)、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球を以前に投与されており、
前記HSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球は、ベクターを含み、
前記ベクターは、サイトカインをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含む、
前記医薬組成物
【請求項12】
患者における癌の処置又は予防のための医薬組成物であって、
前記医薬組成物は、免疫チェックポイント阻害薬を含み、
前記患者は、造血幹細胞(HSC)、造血前駆細胞(HPC)、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球を以前に投与されており、
前記HSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球は、ベクターを含み、
前記ベクターは、サイトカインをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含む、
前記医薬組成物
【請求項13】
患者における癌の処置又は予防のための医薬組成物であって、
前記医薬組成物は、1-メチル-トリプトファン(1-MT)を含み、
前記患者は、造血幹細胞(HSC)、造血前駆細胞(HPC)、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球を以前に投与されており、
前記HSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球は、ベクターを含み、
前記ベクターは、サイトカインをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含む、
前記医薬組成物
【請求項14】
患者における癌の処置又は予防のための医薬組成物であって、
前記医薬組成物は、免疫チェックポイント阻害薬と腫瘍関連抗原(TAA)特異的T細胞の組合せ物を含み、
前記患者は、造血幹細胞(HSC)又は造血前駆細胞(HPC)を以前に投与されており、
前記HSC又はHPCは、ベクターを含み、
前記ベクターは、サイトカインをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含む、
前記医薬組成物
【請求項15】
ベクターが、少なくとも1つのmir-130a標的配列及び少なくとも1つのmir-126標的配列を含む、請求項11~14のいずれか1項記載の医薬組成物
【請求項16】
ベクターが、サイトカインをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した組織特異的プロモーターをさらに含む、請求項11~15のいずれか1項記載の医薬組成物
【請求項17】
癌が、血液悪性腫瘍又は固形腫瘍である、請求項11~16のいずれか1項記載の医薬組成物
【請求項18】
患者における癌の処置又は予防のための医薬組成物であって、
前記医薬組成物は、造血幹細胞(HSC)、造血前駆細胞(HPC)、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球を含み、
前記HSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球は、第1のサイトカインをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結された少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含むベクター、並びに第2のサイトカインをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含むベクターを含み、
第1及び第2のサイトカインは、異なるものである、
前記医薬組成物
【請求項19】
患者における癌の処置又は予防のための医薬組成物であって、
前記医薬組成物は、造血幹細胞(HSC)、造血前駆細胞(HPC)、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球の集団を含み、
前記集団は、第1のサイトカインをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結された少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含むベクター、並びに第2のサイトカインをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結された少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含むベクター形質導入されたものであり、
第1及び第2のサイトカインは、異なるものである、
前記医薬組成物
【請求項20】
(a)第1のサイトカインがIFNαであり、且つ、第2のサイトカインがIFNγであるか、
(b)第1のサイトカインがIFNαであり、且つ、第2のサイトカインがTNFαであるか、又は
(c)第1のサイトカインがIFNγであり、且つ、第2のサイトカインがTNFαである、
請求項18又は19記載の医薬組成物
【請求項21】
(a)造血幹細胞(HSC)、造血前駆細胞(HPC)、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球であって、
前記HSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球は、ベクターを含み、
前記ベクターは、サイトカインをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含む、
前記HSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球;及び
(b)腫瘍関連抗原(TAA)特異的T細胞、免疫チェックポイント阻害薬及び/又は1-メチル-トリプトファン(1-MT)
を含む、医薬組成物。
【請求項22】
サイトカインが、インターフェロン(IFN)、IL-12又は顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)である、請求項1~17のいずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項23】
サイトカインが、IFNα又はIFNγである、請求項1~17及び21のいずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項24】
少なくとも1つの内在性遺伝子が、TCRα鎖、TCRβ鎖及び主要組織適合複合体(MHC)をコードする内在性遺伝子から選択される、請求項6~10、22又は23のいずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項25】
ベクターが、サイトカインをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した組織特異的プロモーターをさらに含む、請求項21記載の医薬組成物。
【請求項26】
組織特異的プロモーターが、TEK(Tie2)プロモーターである、請求項9、10、16、17又は25のいずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項27】
癌が、肝臓癌又は神経膠芽腫である、請求項1~20及び22~26のいずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項28】
サイトカインが、インターフェロン(IFN)であり、
TAA特異的T細胞が、CARを発現し、且つ、
TAAが、B7-H3である、
請求項1~17及び21~27のいずれか1項記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サイトカイン遺伝子療法の使用、特に、場合により、がんを処置又は予防するための免疫チェックポイント阻害薬、腫瘍関連抗原(TAA)特異的T細胞及び/又は1-メチル-トリプトファン(1-MT)と組み合わせた、インターフェロン(例えば、インターフェロン-アルファ又は-ガンマ)遺伝子療法に関する。
【背景技術】
【0002】
免疫療法は、近年、長く続く寛解を誘導するその可能性に起因して、抗がん処置としての新たな関心を得た。免疫応答を回避するためにがん細胞により選出される機序の理解が増したため、免疫チェックポイントを標的にし、これにより、免疫システムの力が解き放つ新規治療の開発がもたらされた1。これらの薬物の臨床試験は、常に致命的と以前みなされた腫瘍、例えば、転移性メラノーマにおいて前例のない、持続性応答を導いた2、3。しかしながら、これらの進歩にも関わらず、患者の大部分は、腫瘍特異的T細胞の生成の失敗、又は古典的な負のチェックポイント、CTLA4又はPD1/PDL14の遮断に対する抵抗性を与える免疫抑制性腫瘍微小環境の存在のいずれかに起因して、これらの療法に応答しない。
【0003】
従って、現在の試みは、免疫療法の恩恵をより多数の腫瘍患者に拡大し得る、新しい免疫チェックポイント標的及び併用療法を同定することを目的にする。この関連で、抗がん剤としてのサイトカイン、例えば、インターフェロン(IFN)の使用における新たな関心が存在する5。腫瘍細胞及び血管に対する細胞分裂阻害及び抗血管新生効果に加えて、IFN、特に、I型インターフェロンは、樹状細胞(DC)の成熟及び交差提示能力、T細胞の増殖及び細胞傷害性、ナチュラルキラー(NK)細胞の殺傷能力、並びにB細胞の免疫グロブリンクラススイッチを増大する6、7。本発明者らは、移植された、遺伝子操作された造血幹細胞(HSC)の腫瘍浸潤性単球/マクロファージ子孫におけるインターフェロン-アルファ(IFNα)導入遺伝子を選択的に発現する細胞及び遺伝子療法ストラテジーが、抗腫瘍応答をブーストし得るという原理の証明を以前に報告した。この腫瘍標的化IFNα送達ストラテジーは、それぞれ、マウスにおいて全身性の毒性を示さず、特発性乳房腫瘍の増殖並びに乳房及び結腸直腸のがん細胞の肺及び肝臓転移を阻害した8~10
【0004】
別の免疫療法アプローチは、腫瘍関連抗原(TAA)に対するトランスジェニックT細胞受容体(TCR)又はキメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子操作されたT細胞の養子移入である11、12。このアプローチは、TAAに対する内在性T細胞応答を誘導するのに失敗する低い変異負荷を有する悪性腫瘍に特に適当である。CD19抗原を認識するCAR T細胞は、再発した難治性B細胞悪性腫瘍において注目に値する有効性を示した。しかしながら、これらの研究はまた、治療効果が、骨髄(BM)疾患又は白血病に関して結節性疾患においてほとんど明らかでないことを示唆し、免疫抑制性微小環境が、特に、固形腫瘍塊において免疫療法の成功に向けた主要な妨害となることを示唆している。さらに、増殖の速い腫瘍、例えば、B細胞急性リンパ芽球性白血病(B-ALL)において、抗原喪失が、CD19 CAR T細胞で処置した患者の最大20%において生じ、これは、単一抗原に対する免疫療法の限界を説明している11、13。しかしながら、白血病が、同種間移植の状況以外でTAA特異的T細胞応答を誘導するかどうか、そのような応答が、治療目的のため増強され得るかどうかについての入手可能なデータはほとんどない。
【0005】
改良されたがん療法が依然として必要とされている。本発明は、遺伝子療法により送達されるサイトカイン、例えば、IFNαが、他の免疫療法ストラテジーと組み合わせて使用される場合、改良された有効性が達成され得るということを確立することにより、この必要を満たす。
【発明の概要】
【0006】
本発明者らは、驚くべきことに、遺伝子療法により送達されるサイトカイン、例えば、インターフェロンが、抗腫瘍応答の誘導、強化及び維持をブーストし、他の免疫療法ストラテジー、特に、免疫チェックポイント阻害薬を用いた処置及び腫瘍関連抗原(TAA)特異的T細胞を用いた処置と協力し得ることを見出した。
【0007】
本発明の一態様によると、患者におけるがんの処置又は予防における使用のための、ベクターを含む造血幹細胞(HSC)、造血前駆細胞(HPC)、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球であって、ベクターが、サイトカインをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含み、HSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球が、免疫チェックポイント阻害薬と組み合わせて使用される、造血幹細胞(HSC)、造血前駆細胞(HPC)、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球が提供される。
【0008】
本発明の別の態様によると、患者におけるがんの処置又は予防における使用のための、ベクターを含むHSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球であって、ベクターが、サイトカインをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含み、HSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球が、腫瘍関連抗原(TAA)特異的T細胞と組み合わせて使用される、HSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球が提供される。
【0009】
本発明の別の態様によると、患者におけるがんの処置又は予防における使用のための、ベクターを含むHSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球であって、ベクターが、サイトカインをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含み、HSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球が、免疫チェックポイント阻害薬及びTAA特異的T細胞と組み合わせて使用される、HSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球が提供される。
【0010】
本発明の別の態様によると、患者におけるがんの処置又は予防における使用のための、ベクターを含むHSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球であって、ベクターが、サイトカインをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含み、HSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球が、1-メチル-トリプトファン(1-MT)と組み合わせて使用される、HSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球が提供される。
【0011】
本発明の別の態様によると、患者におけるがんの処置又は予防における使用のための、サイトカインをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含むベクターであって、免疫チェックポイント阻害薬と組み合わせて使用される、ベクターが提供される。
【0012】
本発明の別の態様によると、患者におけるがんの処置又は予防における使用のための、サイトカインをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含むベクターであって、TAA特異的T細胞と組み合わせて使用される、ベクターが提供される。
【0013】
本発明の別の態様によると、患者におけるがんの処置又は予防における使用のための、サイトカインをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含むベクターであって、免疫チェックポイント阻害薬及びTAA特異的T細胞と組み合わせて使用される、ベクターが提供される。
【0014】
本発明の別の態様によると、患者におけるがんの処置又は予防における使用のための、サイトカインをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含むベクターであって、1-メチル-トリプトファン(1-MT)と組み合わせて使用される、ベクターが提供される。
【0015】
本発明の別の態様によると、患者におけるがんの処置又は予防における使用のための、CAR及び/又はトランスジェニックTCRを発現するTAA特異的T細胞であって、患者が、ベクターを含むHSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球を以前に投与されており、ベクターが、サイトカインをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含む、TAA特異的T細胞が提供される。
【0016】
本発明の別の態様によると、患者におけるがんの処置又は予防における使用のためのTAA特異的T細胞であって、患者が、サイトカインをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含むベクターを以前に投与されている、TAA特異的T細胞が提供される。
【0017】
本発明の別の態様によると、患者におけるがんの処置又は予防における使用のための免疫チェックポイント阻害薬であって、患者が、ベクターを含むHSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球を以前に投与されており、ベクターが、サイトカインをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含む、免疫チェックポイント阻害薬が提供される。
【0018】
本発明の別の態様によると、患者におけるがんの処置又は予防における使用のための免疫チェックポイント阻害薬であって、患者が、サイトカインをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含むベクターを以前に投与されている、免疫チェックポイント阻害薬が提供される。
【0019】
本発明の別の態様によると、患者におけるがんの処置又は予防における使用のための1-メチル-トリプトファン(1-MT)であって、患者が、ベクターを含むHSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球を以前に投与されており、ベクターが、サイトカインをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含む、1-メチル-トリプトファン(1-MT)が提供される。
【0020】
本発明の別の態様によると、患者におけるがんの処置又は予防における使用のための1-メチル-トリプトファン(1-MT)であって、患者が、サイトカインをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含むベクターを以前に投与されている、1-メチル-トリプトファン(1-MT)が提供される。
【0021】
本発明の別の態様によると、患者におけるがんの処置又は予防における使用のための免疫チェックポイント阻害薬とTAA特異的T細胞の組合せ物であって、患者が、ベクターを含むHSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球を以前に投与されており、ベクターが、サイトカインをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含む、免疫チェックポイント阻害薬とTAA特異的T細胞の組合せ物が提供される。
【0022】
本発明の別の態様によると、患者におけるがんの処置又は予防における使用のための免疫チェックポイント阻害薬とTAA特異的T細胞の組合せ物であって、患者が、サイトカインをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含むベクターを以前に投与されている、免疫チェックポイント阻害薬とTAA特異的T細胞の組合せ物が提供される。
【0023】
本発明の別の態様によると、がんを処置又は予防する方法であって、サイトカインをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含むベクターを含むHSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球を、それを必要とする患者に投与する工程を含み、HSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球が、免疫チェックポイント阻害薬及び/又はTAA特異的T細胞と組み合わせて使用される、方法が提供される。
【0024】
本発明の別の態様によると、がんを処置又は予防する方法であって、サイトカインをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含むベクターを、それを必要とする患者に投与する工程を含み、ベクターが、免疫チェックポイント阻害薬及び/又はTAA特異的T細胞と組み合わせて使用される、方法が提供される。
【0025】
本発明の別の態様によると、ベクターを含むHSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球を以前に投与された患者におけるがんを処置又は予防する方法であって、ベクターが、サイトカインをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含み、患者にTAA特異的T細胞を投与する工程、及び/又は患者に免疫チェックポイント阻害薬を投与する工程を含む、方法が提供される。
【0026】
本発明の別の態様によると、サイトカインをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含むベクターを以前に投与された患者におけるがんを処置及び/又は予防する方法であって、患者にTAA特異的T細胞を投与する工程、及び/又は患者に免疫チェックポイント阻害薬を投与する工程を含む、方法が提供される。
【0027】
本発明の別の態様によると、がんを処置又は予防する方法であって、サイトカインをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含むベクターを含むHSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球を、それを必要とする患者に投与する工程を含み、HSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球が、1-メチル-トリプトファン(1-MT)と組み合わせて使用される、方法が提供される。
【0028】
本発明の別の態様によると、がんを処置又は予防する方法であって、サイトカインをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含むベクターを、それを必要とする患者に投与する工程を含み、ベクターが、1-メチル-トリプトファン(1-MT)と組み合わせて使用される、方法が提供される。
【0029】
本発明の別の態様によると、ベクターを含むHSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球を以前に投与された患者におけるがんを処置又は予防する方法であって、ベクターが、サイトカインをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含み、患者に1-メチル-トリプトファン(1-MT)を投与する工程を含む、方法が提供される。
【0030】
本発明の別の態様によると、サイトカインをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含むベクターを以前に投与された患者におけるがんを処置及び/又は予防する方法であって、患者に1-メチル-トリプトファン(1-MT)を投与する工程を含む、方法が提供される。
【0031】
本発明の別の態様によると、患者におけるがんの処置又は予防における使用のための、ポリヌクレオチドを含む造血幹細胞(HSC)、造血前駆細胞(HPC)、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球であって、ポリヌクレオチドが、サイトカインをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含み、HSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球が、免疫チェックポイント阻害薬と組み合わせて使用される、造血幹細胞(HSC)、造血前駆細胞(HPC)、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球が提供される。
【0032】
本発明の別の態様によると、患者におけるがんの処置又は予防における使用のための、ポリヌクレオチドを含むHSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球であって、ポリヌクレオチドが、サイトカインをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含み、HSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球が、腫瘍関連抗原(TAA)特異的T細胞と組み合わせて使用される、HSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球が提供される。
【0033】
本発明の別の態様によると、患者におけるがんの処置又は予防における使用のための、ポリヌクレオチドを含むHSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球であって、ポリヌクレオチドが、サイトカインをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含み、HSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球が、免疫チェックポイント阻害薬及びTAA特異的T細胞と組み合わせて使用される、HSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球が提供される。
【0034】
本発明の別の態様によると、患者におけるがんの処置又は予防における使用のための、ポリヌクレオチドを含むHSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球であって、ポリヌクレオチドが、サイトカインをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含み、HSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球が、1-メチル-トリプトファン(1-MT)と組み合わせて使用される、HSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球が提供される。
【0035】
本発明の別の態様によると、患者におけるがんの処置又は予防における使用のための、サイトカインをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含むポリヌクレオチドであって、免疫チェックポイント阻害薬と組み合わせて使用される、ポリヌクレオチドが提供される。
【0036】
本発明の別の態様によると、患者におけるがんの処置又は予防における使用のための、サイトカインをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含むポリヌクレオチドであって、TAA特異的T細胞と組み合わせて使用される、ポリヌクレオチドが提供される。
【0037】
本発明の別の態様によると、患者におけるがんの処置又は予防における使用のための、サイトカインをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含むポリヌクレオチドであって、免疫チェックポイント阻害薬及びTAA特異的T細胞と組み合わせて使用される、ポリヌクレオチドが提供される。
【0038】
本発明の別の態様によると、患者におけるがんの処置又は予防における使用のための、サイトカインをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含むポリヌクレオチドであって、1-メチル-トリプトファン(1-MT)と組み合わせて使用される、ポリヌクレオチドが提供される。
【0039】
本発明の別の態様によると、患者におけるがんの処置又は予防における使用のための、CAR及び/又はトランスジェニックTCRを発現するTAA特異的T細胞であって、患者が、ポリヌクレオチドを含むHSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球を以前に投与されており、ポリヌクレオチドが、サイトカインをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含む、TAA特異的T細胞が提供される。
【0040】
本発明の別の態様によると、患者におけるがんの処置又は予防における使用のためのTAA特異的T細胞であって、患者が、サイトカインをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含むポリヌクレオチドを以前に投与されている、TAA特異的T細胞が提供される。
【0041】
本発明の別の態様によると、患者におけるがんの処置又は予防における使用のための免疫チェックポイント阻害薬であって、患者が、ポリヌクレオチドを含むHSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球を以前に投与されており、ポリヌクレオチドが、サイトカインをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含む、免疫チェックポイント阻害薬が提供される。
【0042】
本発明の別の態様によると、患者におけるがんの処置又は予防における使用のための免疫チェックポイント阻害薬であって、患者が、サイトカインをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含むポリヌクレオチドを以前に投与されている、免疫チェックポイント阻害薬が提供される。
【0043】
本発明の別の態様によると、患者におけるがんの処置又は予防における使用のための1-メチル-トリプトファン(1-MT)であって、患者が、ポリヌクレオチドを含むHSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球を以前に投与されており、ポリヌクレオチドが、サイトカインをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含む、1-メチル-トリプトファン(1-MT)が提供される。
【0044】
本発明の別の態様によると、患者におけるがんの処置又は予防における使用のための1-メチル-トリプトファン(1-MT)であって、患者が、サイトカインをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含むポリヌクレオチドを以前に投与されている、1-メチル-トリプトファン(1-MT)が提供される。
【0045】
本発明の別の態様によると、患者におけるがんの処置又は予防における使用のための免疫チェックポイント阻害薬とTAA特異的T細胞の組合せ物であって、患者が、ポリヌクレオチドを含むHSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球を以前に投与されており、ポリヌクレオチドが、サイトカインをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含む、免疫チェックポイント阻害薬とTAA特異的T細胞の組合せ物が提供される。
【0046】
本発明の別の態様によると、患者におけるがんの処置又は予防における使用のための免疫チェックポイント阻害薬とTAA特異的T細胞の組合せ物であって、患者が、サイトカインをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含むポリヌクレオチドを以前に投与されている、免疫チェックポイント阻害薬とTAA特異的T細胞の組合せ物が提供される。
【0047】
本発明の別の態様によると、がんを処置又は予防する方法であって、サイトカインをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含むポリヌクレオチドを含むHSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球を、それを必要とする患者に投与する工程を含み、HSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球が、免疫チェックポイント阻害薬及び/又はTAA特異的T細胞と組み合わせて使用される、方法が提供される。
【0048】
本発明の別の態様によると、がんを処置又は予防する方法であって、サイトカインをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含むポリヌクレオチドを、それを必要とする患者に投与する工程を含み、ポリヌクレオチドが、免疫チェックポイント阻害薬及び/又はTAA特異的T細胞と組み合わせて使用される、方法が提供される。
【0049】
本発明の別の態様によると、ポリヌクレオチドを含むHSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球を以前に投与された患者におけるがんを処置又は予防する方法であって、ポリヌクレオチドが、サイトカインをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含み、患者にTAA特異的T細胞を投与する工程、及び/又は患者に免疫チェックポイント阻害薬を投与する工程を含む、方法が提供される。
【0050】
本発明の別の態様によると、サイトカインをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含むポリヌクレオチドを以前に投与された患者におけるがんを処置及び/又は予防する方法であって、患者にTAA特異的T細胞を投与する工程、及び/又は患者に免疫チェックポイント阻害薬を投与する工程を含む、方法が提供される。
【0051】
本発明の別の態様によると、がんを処置又は予防する方法であって、サイトカインをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含むポリヌクレオチドを含むHSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球を、それを必要とする患者に投与する工程を含み、HSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球が、1-メチル-トリプトファン(1-MT)と組み合わせて使用される、方法が提供される。
【0052】
本発明の別の態様によると、がんを処置又は予防する方法であって、サイトカインをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含むポリヌクレオチドを、それを必要とする患者に投与する工程を含み、ポリヌクレオチドが、1-メチル-トリプトファン(1-MT)と組み合わせて使用される、方法が提供される。
【0053】
本発明の別の態様によると、ポリヌクレオチドを含むHSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球を以前に投与された患者におけるがんを処置又は予防する方法であって、ポリヌクレオチドが、サイトカインをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含み、患者に1-メチル-トリプトファン(1-MT)を投与する工程を含む、方法が提供される。
【0054】
本発明の別の態様によると、サイトカインをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含むポリヌクレオチドを以前に投与された患者におけるがんを処置及び/又は予防する方法であって、患者に1-メチル-トリプトファン(1-MT)を投与する工程を含む、方法が提供される。
【0055】
本発明の別の態様によると、患者におけるがんの処置又は予防における使用のための、ベクターを含む造血幹細胞(HSC)、造血前駆細胞(HPC)、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球であって、ベクターが、1型インターフェロン(IFN)をコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含み、HSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球が、免疫チェックポイント阻害薬と組み合わせて使用される、造血幹細胞(HSC)、造血前駆細胞(HPC)、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球が提供される。
【0056】
本発明の別の態様によると、患者におけるがんの処置又は予防における使用のための、ベクターを含むHSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球であって、ベクターが、1型インターフェロンをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含み、HSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球が、腫瘍関連抗原(TAA)特異的T細胞と組み合わせて使用される、HSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球が提供される。
【0057】
本発明の別の態様によると、患者におけるがんの処置又は予防における使用のための、ベクターを含むHSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球であって、ベクターが、1型インターフェロンをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含み、HSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球が、免疫チェックポイント阻害薬及びTAA特異的T細胞と組み合わせて使用される、HSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球が提供される。
【0058】
本発明の別の態様によると、患者におけるがんの処置又は予防における使用のための、ベクターを含むHSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球であって、ベクターが、インターフェロンをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含み、HSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球が、1-メチル-トリプトファン(1-MT)と組み合わせて使用される、HSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球が提供される。
【0059】
本発明の別の態様によると、患者におけるがんの処置又は予防における使用のための、1型インターフェロンをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含むベクターであって、免疫チェックポイント阻害薬と組み合わせて使用される、ベクターが提供される。
【0060】
本発明の別の態様によると、患者におけるがんの処置又は予防における使用のための、1型インターフェロンをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含むベクターであって、TAA特異的T細胞と組み合わせて使用される、ベクターが提供される。
【0061】
本発明の別の態様によると、患者におけるがんの処置又は予防における使用のための、1型インターフェロンをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含むベクターであって、免疫チェックポイント阻害薬及びTAA特異的T細胞と組み合わせて使用される、ベクターが提供される。
【0062】
本発明の別の態様によると、患者におけるがんの処置又は予防における使用のための、インターフェロンをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含むベクターであって、1-メチル-トリプトファン(1-MT)と組み合わせて使用される、ベクターが提供される。
【0063】
本発明の別の態様によると、患者におけるがんの処置又は予防における使用のための、CAR及び/又はトランスジェニックTCRを発現するTAA特異的T細胞であって、患者が、ベクターを含むHSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球を以前に投与されており、ベクターが、1型インターフェロンをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含む、TAA特異的T細胞が提供される。
【0064】
本発明の別の態様によると、患者におけるがんの処置又は予防における使用のためのTAA特異的T細胞であって、患者が、1型インターフェロンをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含むベクターを以前に投与されている、TAA特異的T細胞が提供される。
【0065】
本発明の別の態様によると、患者におけるがんの処置又は予防における使用のための免疫チェックポイント阻害薬であって、患者が、ベクターを含むHSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球を以前に投与されており、ベクターが、1型インターフェロンをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含む、免疫チェックポイント阻害薬が提供される。
【0066】
本発明の別の態様によると、患者におけるがんの処置又は予防における使用のための免疫チェックポイント阻害薬であって、患者が、1型インターフェロンをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含むベクターを以前に投与されている、免疫チェックポイント阻害薬が提供される。
【0067】
本発明の別の態様によると、患者におけるがんの処置又は予防における使用のための1-メチル-トリプトファン(1-MT)であって、患者が、ベクターを含むHSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球を以前に投与されており、ベクターが、インターフェロンをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含む、1-メチル-トリプトファン(1-MT)が提供される。
【0068】
本発明の別の態様によると、患者におけるがんの処置又は予防における使用のための1-メチル-トリプトファン(1-MT)であって、患者が、インターフェロンをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含むベクターを以前に投与されている、1-メチル-トリプトファン(1-MT)が提供される。
【0069】
本発明の別の態様によると、患者におけるがんの処置又は予防における使用のための免疫チェックポイント阻害薬とTAA特異的T細胞の組合せ物であって、患者が、ベクターを含むHSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球を以前に投与されており、ベクターが、1型インターフェロンをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含む、免疫チェックポイント阻害薬とTAA特異的T細胞の組合せ物が提供される。
【0070】
本発明の別の態様によると、患者におけるがんの処置又は予防における使用のための免疫チェックポイント阻害薬とTAA特異的T細胞の組合せ物であって、患者が、1型インターフェロンをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含むベクターを以前に投与されている、免疫チェックポイント阻害薬とTAA特異的T細胞の組合せ物が提供される。
【0071】
本発明の別の態様によると、がんを処置又は予防する方法であって、1型インターフェロンをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含むベクターを含むHSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球を、それを必要とする患者に投与する工程を含み、HSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球が、免疫チェックポイント阻害薬及び/又はTAA特異的T細胞と組み合わせて使用される、方法が提供される。
【0072】
本発明の別の態様によると、がんを処置又は予防する方法であって、1型インターフェロンをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含むベクターを、それを必要とする患者に投与する工程を含み、ベクターが、免疫チェックポイント阻害薬及び/又はTAA特異的T細胞と組み合わせて使用される、方法が提供される。
【0073】
本発明の別の態様によると、ベクターを含むHSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球を以前に投与された患者におけるがんを処置又は予防する方法であって、ベクターが、1型インターフェロンをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含み、患者にTAA特異的T細胞を投与する工程、及び/又は患者に免疫チェックポイント阻害薬を投与する工程を含む、方法が提供される。
【0074】
本発明の別の態様によると、1型インターフェロンをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含むベクターを以前に投与された患者におけるがんを処置及び/又は予防する方法であって、患者にTAA特異的T細胞を投与する工程、及び/又は患者に免疫チェックポイント阻害薬を投与する工程を含む、方法が提供される。
【0075】
本発明の別の態様によると、がんを処置又は予防する方法であって、インターフェロンをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含むベクターを含むHSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球を、それを必要とする患者に投与する工程を含み、HSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球が、1-メチル-トリプトファン(1-MT)と組み合わせて使用される、方法が提供される。
【0076】
本発明の別の態様によると、がんを処置又は予防する方法であって、インターフェロンをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含むベクターを、それを必要とする患者に投与する工程を含み、ベクターが、1-メチル-トリプトファン(1-MT)と組み合わせて使用される、方法が提供される。
【0077】
本発明の別の態様によると、ベクターを含むHSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球を以前に投与された患者におけるがんを処置又は予防する方法であって、ベクターが、インターフェロンをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含み、患者に1-メチル-トリプトファン(1-MT)を投与する工程を含む、方法が提供される。
【0078】
本発明の別の態様によると、インターフェロンをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含むベクターを以前に投与された患者におけるがんを処置及び/又は予防する方法であって、患者に1-メチル-トリプトファン(1-MT)を投与する工程を含む、方法が提供される。
【0079】
本発明の別の態様によると、患者におけるがんの処置又は予防における使用のための、ポリヌクレオチドを含む造血幹細胞(HSC)、造血前駆細胞(HPC)、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球であって、ポリヌクレオチドが、1型インターフェロン(IFN)をコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含み、HSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球が、免疫チェックポイント阻害薬と組み合わせて使用される、造血幹細胞(HSC)、造血前駆細胞(HPC)、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球が提供される。
【0080】
本発明の別の態様によると、患者におけるがんの処置又は予防における使用のための、ポリヌクレオチドを含むHSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球であって、ポリヌクレオチドが、1型インターフェロンをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含み、HSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球が、腫瘍関連抗原(TAA)特異的T細胞と組み合わせて使用される、HSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球が提供される。
【0081】
本発明の別の態様によると、患者におけるがんの処置又は予防における使用のための、ポリヌクレオチドを含むHSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球であって、ポリヌクレオチドが、1型インターフェロンをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含み、HSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球が、免疫チェックポイント阻害薬及びTAA特異的T細胞と組み合わせて使用される、HSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球が提供される。
【0082】
本発明の別の態様によると、患者におけるがんの処置又は予防における使用のための、ポリヌクレオチドを含むHSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球であって、ポリヌクレオチドが、インターフェロンをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含み、HSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球が、1-メチル-トリプトファン(1-MT)と組み合わせて使用される、HSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球が提供される。
【0083】
本発明の別の態様によると、患者におけるがんの処置又は予防における使用のための、1型インターフェロンをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含むポリヌクレオチドであって、免疫チェックポイント阻害薬と組み合わせて使用される、ポリヌクレオチドが提供される。
【0084】
本発明の別の態様によると、患者におけるがんの処置又は予防における使用のための、1型インターフェロンをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含むポリヌクレオチドであって、TAA特異的T細胞と組み合わせて使用される、ポリヌクレオチドが提供される。
【0085】
本発明の別の態様によると、患者におけるがんの処置又は予防における使用のための、1型インターフェロンをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含むポリヌクレオチドであって、免疫チェックポイント阻害薬及びTAA特異的T細胞と組み合わせて使用される、ポリヌクレオチドが提供される。
【0086】
本発明の別の態様によると、患者におけるがんの処置又は予防における使用のための、インターフェロンをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含むポリヌクレオチドであって、1-メチル-トリプトファン(1-MT)と組み合わせて使用される、ポリヌクレオチドが提供される。
【0087】
本発明の別の態様によると、患者におけるがんの処置又は予防における使用のための、CAR及び/又はトランスジェニックTCRを発現するTAA特異的T細胞であって、患者が、ポリヌクレオチドを含むHSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球を以前に投与されており、ポリヌクレオチドが、1型インターフェロンをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含む、TAA特異的T細胞が提供される。
【0088】
本発明の別の態様によると、患者におけるがんの処置又は予防における使用のためのTAA特異的T細胞であって、患者が、1型インターフェロンをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含むポリヌクレオチドを以前に投与されている、TAA特異的T細胞が提供される。
【0089】
本発明の別の態様によると、患者におけるがんの処置又は予防における使用のための免疫チェックポイント阻害薬であって、患者が、ポリヌクレオチドを含むHSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球を以前に投与されており、ポリヌクレオチドが、1型インターフェロンをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含む、免疫チェックポイント阻害薬が提供される。
【0090】
本発明の別の態様によると、患者におけるがんの処置又は予防における使用のための免疫チェックポイント阻害薬であって、患者が、1型インターフェロンをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含むポリヌクレオチドを以前に投与されている、免疫チェックポイント阻害薬が提供される。
【0091】
本発明の別の態様によると、患者におけるがんの処置又は予防における使用のための1-メチル-トリプトファン(1-MT)であって、患者が、ポリヌクレオチドを含むHSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球を以前に投与されており、ポリヌクレオチドが、インターフェロンをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含む、1-メチル-トリプトファン(1-MT)が提供される。
【0092】
本発明の別の態様によると、患者におけるがんの処置又は予防における使用のための1-メチル-トリプトファン(1-MT)であって、患者が、インターフェロンをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含むポリヌクレオチドを以前に投与されている、1-メチル-トリプトファン(1-MT)が提供される。
【0093】
本発明の別の態様によると、患者におけるがんの処置又は予防における使用のための免疫チェックポイント阻害薬とTAA特異的T細胞の組合せ物であって、患者が、ポリヌクレオチドを含むHSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球を以前に投与されており、ポリヌクレオチドが、1型インターフェロンをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含む、免疫チェックポイント阻害薬とTAA特異的T細胞の組合せ物が提供される。
【0094】
本発明の別の態様によると、患者におけるがんの処置又は予防における使用のための免疫チェックポイント阻害薬とTAA特異的T細胞の組合せ物であって、患者が、1型インターフェロンをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含むポリヌクレオチドを以前に投与されている、免疫チェックポイント阻害薬とTAA特異的T細胞の組合せ物が提供される。
【0095】
本発明の別の態様によると、がんを処置又は予防する方法であって、1型インターフェロンをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含むポリヌクレオチドを含むHSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球を、それを必要とする患者に投与する工程を含み、HSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球が、免疫チェックポイント阻害薬及び/又はTAA特異的T細胞と組み合わせて使用される、方法が提供される。
【0096】
本発明の別の態様によると、がんを処置又は予防する方法であって、1型インターフェロンをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含むポリヌクレオチドを、それを必要とする患者に投与する工程を含み、ポリヌクレオチドが、免疫チェックポイント阻害薬及び/又はTAA特異的T細胞と組み合わせて使用される、方法が提供される。
【0097】
本発明の別の態様によると、ポリヌクレオチドを含むHSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球を以前に投与された患者におけるがんを処置又は予防する方法であって、ポリヌクレオチドが、1型インターフェロンをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含み、患者にTAA特異的T細胞を投与する工程、及び/又は患者に免疫チェックポイント阻害薬を投与する工程を含む、方法が提供される。
【0098】
本発明の別の態様によると、1型インターフェロンをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含むポリヌクレオチドを以前に投与された患者におけるがんを処置及び/又は予防する方法であって、患者にTAA特異的T細胞を投与する工程、及び/又は患者に免疫チェックポイント阻害薬を投与する工程を含む、方法が提供される。
【0099】
本発明の別の態様によると、がんを処置又は予防する方法であって、インターフェロンをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含むポリヌクレオチドを含むHSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球を、それを必要とする患者に投与する工程を含み、HSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球が、1-メチル-トリプトファン(1-MT)と組み合わせて使用される、方法が提供される。
【0100】
本発明の別の態様によると、がんを処置又は予防する方法であって、インターフェロンをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含むポリヌクレオチドを、それを必要とする患者に投与する工程を含み、ポリヌクレオチドが、1-メチル-トリプトファン(1-MT)と組み合わせて使用される、方法が提供される。
【0101】
本発明の別の態様によると、ポリヌクレオチドを含むHSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球を以前に投与された患者におけるがんを処置又は予防する方法であって、ポリヌクレオチドが、インターフェロンをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含み、患者に1-メチル-トリプトファン(1-MT)を投与する工程を含む、方法が提供される。
【0102】
本発明の別の態様によると、インターフェロンをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含むポリヌクレオチドを以前に投与された患者におけるがんを処置及び/又は予防する方法であって、患者に1-メチル-トリプトファン(1-MT)を投与する工程を含む、方法が提供される。
【0103】
一実施形態において、TAA特異的T細胞は、キメラ抗原受容体(CAR)及び/又はトランスジェニックT細胞受容体(TCR)を発現する。一実施形態において、TAA特異的T細胞は、CARを発現する。一実施形態において、TAA特異的T細胞は、トランスジェニックTCRを発現する。
【0104】
従って、本発明は、TAA特異的CAR又はTCRを発現するように操作されたT細胞を使用してもよい。
【0105】
一実施形態において、サイトカインは、インターフェロン(IFN)、IL-12又は顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)である。
【0106】
一実施形態において、サイトカインは、インターフェロン(IFN)である。好ましくは、サイトカインは、I型インターフェロン又はII型インターフェロンである。
【0107】
好ましい実施形態において、サイトカインは、IFNαである。
【0108】
別の好ましい実施形態において、サイトカインは、インターフェロン-ガンマ(IFNγ)である。
【0109】
一実施形態において、1型インターフェロンは、インターフェロン-アルファ(IFNα)又はインターフェロン-ベータ(IFNβ)である。
【0110】
一実施形態において、1型インターフェロンは、IFNαである。
【0111】
一実施形態において、1型インターフェロンは、IFNβである。
【0112】
一実施形態において、II型インターフェロンは、インターフェロン-ガンマ(IFNγ)である。
【0113】
一実施形態において、本発明のHSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ、単球又はベクターは、患者におけるがんの再発の予防における使用のため提供される。
【0114】
一実施形態において、本発明のHSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ、単球又はベクターは、患者におけるがんの進行の予防における使用のため提供される。
【0115】
一実施形態において、TAAは、癌胎児抗原(CEA)、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、エフリンB2、ROR1、メソテリン、c-Met、GD-2、及びMAGE A3 TCR、4-1BB、腺癌抗原、アルファ-フェトプロテイン、BAFF、Bリンパ腫細胞、C242抗原、炭酸脱水酵素9(CA-IX)、CCR4、CD152、CD200、CD22、CD19、CD22、CD123、CD221、CD23(IgE受容体)、CD28、CD4、CD40、CD44、CD44 v6、CD51、CD52、CD56、CD74、CD80、CS-1、CNT0888、CTLA-4、DR5、EpCAM、CD3、フィブロネクチンエキストラドメインB、葉酸受容体1、糖タンパク質75、GPNMB、HGF、ヒト散乱因子受容体キナーゼ(human scatter factor receptor kinase)、IGF-1受容体、IGF-I、IgGl、L1-CAM、IL-13、IL-6、インスリン様増殖因子I受容体、インテグリンα5β1、インテグリンαvβ3、MORAb-009、MS4A1、ムチンCanAg、N-グリコリルノイラミン酸、NPC-1C、PDGF-Rα、PDL192、ホスファチジルセリン、前立腺癌細胞、RANKL、RON、SCH 900105、SDC1、SLAMF7、テネイシンC、TGFベータ2、TGF-β、TRAIL-R1、TRAIL-R2、腫瘍抗原CTAA16.88、血管内皮増殖因子(VEGF)、VEGF-A、VEGFR-1、VEGFR2、ビメンチン、5T4、CD5、CD19、CD20、CD21、CD25、CD37、CD30、CD33、CD45、CAMPATH-1(CDw52)、HLA-DR、抗イディオタイプ、TAG-72、Ep-CAM、MUC1、葉酸結合タンパク質、A33、G250、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、前立腺特異的抗原(PSA)、フェリチン、ガングリオシド(例えば、GD2、GD3、GM2)、Ley、CA-125、CA19-9、上皮増殖因子受容体(EGFR)、p185HER2、IL-2受容体、de2-7 EGFR、線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)、テネイシン、メタロプロテイナーゼ、エンドシアリン、炭酸脱水酵素、ガレクチン9、アルドラーゼA、eIFγ4、チロシナーゼ、ガレクチン4、HERKV-K10、p53、NY-LU-12、レスチン、NY-CO-38、MAGE-1、MAGE-4a、SSX2、NY-ESO-1、SCP-1、707-AP、AFP、ART-4、BAGE、b-カテニン/m、Bcr-abl、CAMEL、CAP-1、CASP-8、CDC27m、CDK4/m、CT、Cyp-B、DAM-6(MAGE-B2)及びDAM-10(MAGE-B1)、ELF2M、ETV6-AML1、G250、GAGE、GnT-V、Gp100、HAGE、HER-2/neu、HLA-A*0201-R170I、HPV-E7、HSP70-2M、HST-2、hTERT(hTRT)、iCE、KIAA0205、LAGE、LDLR/FUT、MAGE、MART-1/メラン-A、MC1R、ミオシン/m、MUC1、MUM-1、MUM-2、MUM-3、NA88-A、NY-ESO-1、P15、p190マイナーbcr-abl、Pml/RARa、PRAME、RAGE、RU1、RU2、SAGE、SART-1、SART-3、TEL/AML1、TPI/m、TRP-1、タンパク質1、gp75、TRP-2、TRP-2/INT2又はWT1のうち任意の1つ以上から選択される。
【0116】
一実施形態において、TAAは、CD19である。
【0117】
好ましい実施形態において、TAA特異的T細胞は、CD19特異的CARを発現する。
【0118】
一実施形態において、TAA特異的T細胞は、患者から単離された細胞に由来する。
【0119】
一実施形態において、TAA特異的T細胞は、少なくとも1つの内在性遺伝子を破壊するように操作され、好ましくは、少なくとも1つの内在性遺伝子は、TCR α鎖、TCR β鎖及び主要組織適合複合体(MHC)をコードする内在性遺伝子から選択される。
【0120】
一実施形態において、免疫チェックポイント阻害薬は、抗体であり、好ましくは、免疫チェックポイント阻害薬抗体は、抗CTLA4抗体、抗PD1抗体、抗PDL1抗体、抗PDL2抗体及び抗LAG-3抗体からなる群から選択される。
【0121】
一実施形態において、ベクターは、少なくとも1つのmir-130a標的配列及び少なくとも1つのmir-126標的配列を含み、好ましくは、ベクターは、2つのmir-130a標的配列及び2つのmir-126標的配列を含む。
【0122】
一実施形態において、本発明において使用されるHSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球は、少なくとも1つのmir-130a標的配列及び少なくとも1つのmir-126標的配列を含み、好ましくは、本発明において使用されるHSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球は、2つのmir-130a標的配列及び2つのmir-126標的配列を含む。
【0123】
ベクター又はポリヌクレオチドは、サイトカイン、例えば、1型インターフェロンをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した組織特異的プロモーターをさらに含んでもよい。好ましい組織特異的プロモーターは、TEK(Tie2)プロモーターである。
【0124】
一実施形態において、がんは、血液悪性腫瘍又は固形腫瘍であり、好ましくは、血液悪性腫瘍は、急性骨髄性白血病(AML)、リンパ芽球性白血病、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、骨髄異形成症候群(MDS)、骨髄増殖性腫瘍(MPN)、原発性骨髄線維症、本態性血小板血症、真性多血症、非定型慢性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病(CML)、リンパ腫、多発性骨髄腫、非ホジキンリンパ腫、及びホジキンリンパ腫からなる群から選択されるか、又は好ましくは、固形腫瘍は、肺がん、乳がん、食道がん、胃がん、結腸がん、胆管細胞癌、膵臓がん、卵巣がん、頭頸部がん、滑膜肉腫、血管肉腫、骨肉腫、甲状腺がん、子宮内膜がん、ニューロブラストーマ、横紋筋肉腫、肝臓がん、メラノーマ、前立腺がん、腎臓がん、軟部組織肉腫、尿路上皮がん、胆道がん、神経膠芽腫、子宮頸部がん及び結腸直腸がんからなる群から選択される。
【0125】
一実施形態において、がんは、原発腫瘍からの転移である。
【0126】
一実施形態において、本発明において使用される細胞は、ベクター又はポリヌクレオチドを含むHSCであり、ベクター又はポリヌクレオチドは、サイトカイン、例えば、1型インターフェロンをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含む。
【0127】
一実施形態において、本発明において使用される細胞は、ベクター又はポリヌクレオチドを含むHPCであり、ベクター又はポリヌクレオチドは、サイトカイン、例えば、1型インターフェロンをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含む。
【0128】
一実施形態において、本発明において使用される細胞は、ベクター又はポリヌクレオチドを含む骨髄/単球にコミットした前駆細胞であり、ベクター又はポリヌクレオチドは、サイトカイン、例えば、1型インターフェロンをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含む。
【0129】
一実施形態において、本発明において使用される細胞は、ベクター又はポリヌクレオチドを含むマクロファージであり、ベクター又はポリヌクレオチドは、サイトカイン、例えば、1型インターフェロンをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含む。
【0130】
一実施形態において、本発明において使用される細胞は、ベクター又はポリヌクレオチドを含む単球であり、ベクター又はポリヌクレオチドは、サイトカイン、例えば、1型インターフェロンをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含む。
【0131】
本発明の別の態様によると、患者におけるがんの処置又は予防における使用のための、第1のサイトカインをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含むベクター、並びに第2のサイトカインをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含むベクターを含む造血幹細胞(HSC)、造血前駆細胞(HPC)、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球であって、第1及び第2のサイトカインが異なる、造血幹細胞(HSC)、造血前駆細胞(HPC)、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球が提供される。
【0132】
本発明の別の態様によると、患者におけるがんの処置又は予防における使用のための、造血幹細胞(HSC)、造血前駆細胞(HPC)、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球の集団であって、第1のサイトカインをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結された少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含むベクター、並びに第2のサイトカインをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含むベクターが形質導入され、第1及び第2のサイトカインが異なる、造血幹細胞(HSC)、造血前駆細胞(HPC)、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球の集団が提供される。
【0133】
一実施形態において、第1のサイトカインは、第1のベクター上にコードされ、第2のサイトカインは、第2のベクター上にコードされる。一実施形態において、第1及び第2のサイトカインは、同じベクター上にコードされる。
【0134】
本発明の別の態様によると、患者におけるがんの処置又は予防における使用のための、第1のサイトカインをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結された少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含むポリヌクレオチドと、第2のサイトカインをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含むポリヌクレオチドの組合せ物であって、第1及び第2のサイトカインが異なる、組合せ物が提供される。
【0135】
一実施形態において、第1のサイトカインは、第1のポリヌクレオチド上にコードされ、第2のサイトカインは、第2のポリヌクレオチド上にコードされる。一実施形態において、第1及び第2のサイトカインは、同じポリヌクレオチド上にコードされる。ポリヌクレオチドは、例えば、ベクターの形態であってもよい。
【0136】
一実施形態において、第1及び第2のサイトカインは、インターフェロン(IFN)又は腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)からそれぞれ独立して選択される。
【0137】
一実施形態において、第1及び第2のサイトカインは、I型IFN(好ましくは、IFNα又はIFNβ)、II型IFN(好ましくは、IFNγ)及びTNFαからなる群からそれぞれ独立して選択される。
【0138】
一実施形態において、第1及び第2のサイトカインは、IFNα、IFNβ、IFNγ及びTNFαからなる群からそれぞれ独立して選択される。
【0139】
一実施形態において、第1のサイトカインは、IFNαであり、第2のサイトカインは、IFNγである。
【0140】
一実施形態において、第1のサイトカインは、IFNαであり、第2のサイトカインは、TNFαである。
【0141】
好ましい実施形態において、第1のサイトカインは、IFNγであり、第2のサイトカインは、TNFαである。
【0142】
本発明の別の態様によると、患者におけるがんの処置又は予防における使用のための、ベクターを含む造血幹細胞(HSC)、造血前駆細胞(HPC)、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球であって、ベクターが、サイトカインをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含み、サイトカインが、インターフェロン(IFN)又は腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)である、造血幹細胞(HSC)、造血前駆細胞(HPC)、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球が提供される。
【0143】
本発明の別の態様によると、患者におけるがんの処置又は予防における使用のための、サイトカインをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含むベクターであって、サイトカインが、インターフェロン(IFN)又は腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)である、ベクターが提供される。
【0144】
本発明の別の態様によると、患者におけるがんの処置又は予防における使用のための、サイトカインをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含むポリヌクレオチドであって、サイトカインが、インターフェロン(IFN)又は腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)である、ポリヌクレオチドが提供される。
【0145】
一実施形態において、IFNは、II型IFN(好ましくは、IFNγ)又はI型IFN(好ましくは、IFNα又はIFNβ)である。
【0146】
一実施形態において、サイトカインは、IFNγである。一実施形態において、サイトカインは、IFNαである。一実施形態において、サイトカインは、IFNβである。
【図面の簡単な説明】
【0147】
図1】OVA特異的CD8+T細胞の誘導によるIFNマウスにおけるOVA-ALL増殖の阻害。a、HSCを操作し、特発性B-ALLを生じさせるため使用したレンチウイルスベクター(LV)の略図。b、実験設計。c、CTRL(n=10、アイソタイプ対照抗体で処置した)、IFN((n=10、アイソタイプ対照抗体で処置した)、CTRL+aCTLA4(n=14)及びIFN+aCTLA4(n=13)マウスの経時的な末梢血(PB)における親ALLの絶対数(平均±SEM)。各ドットは、単一のマウスを表す。*p<0.05、**p<0.01、****p<0.0001、要因実験における縦断的データについてのノンパラメトリックランクベースの方法。d、e、f、IFN(n=15)及びCTRL(n=15)マウスの経時的なPB(d)、並びにBM及び脾臓(e、f;腫瘍注射の14日後)におけるOVA-ALL(上部に示すNGFR/OVA双方向性LVを用いて操作した)の絶対数(平均±SEM)(9回の実験のうち1回を示す)。各ドットは、単一のマウスを表す。****p<0.0001、要因実験における縦断的データについてのノンパラメトリックランクベースの方法(d);*p<0.05、**p<0.01、マンホイットニー(e、f)。g、腫瘍注射の13日目に、IFNマウス由来、又はNGFR-OVA若しくはNGFR-CD20 BdLVを形質導入したEL4標的細胞株に対するIFNg-ELISPOTにより試験した腫瘍を有していないCTRL(ナイーブC57Bl/6、n=1)マウス由来の脾臓のCD8+T細胞。各ドットは、単一のマウス、平均±SEMを表す。低腫瘍負荷(n=5):5.2±4.9(平均±SEM)%OVA-ALL;中腫瘍負荷(n=1):33%OVA-ALL;高腫瘍負荷(n=6):51±4.9%OVA-ALL。h、IFN(n=14-6)及びCTRL(n=15-8)マウスのPBにおけるOVA特異的T細胞のパーセンテージ(平均±SEM)。**p<0.01、OVA-ALL注射の9日目に行ったマンホイットニー。各ドットは、単一のマウスを表す。トランスジェニックOT-Iマウス由来のT細胞を陽性対照として用いる(示していない)。i、j、3回の独立した実験のIFN(n=23)及びCTRL(n=26)マウスにおける腫瘍注射の9日目の、BM(i)及び脾臓(j)におけるOVA特異的T細胞の絶対数(平均±SEM)。**p<0.01、***p<0.001、マンホイットニー。各ドットは、単一のマウスを表す。k、腫瘍注射の9日目のIFN(n=7)及びCTRL(n=8)マウス由来、又は(g)において試験した腫瘍を有していないマウス由来の脾臓のCD8+T細胞。コンカナバリンA(ConA)刺激及びOT-Iマウス由来のT細胞(示していない)を陽性対照として用いる。各ドットは、単一のマウスを表す。l、m、IFN(n=9)、CD8枯渇IFN(n=7)及びCTRL(n=9)マウスのPBにおけるOVA-ALLのパーセンテージ(l)並びに絶対数(m)(平均±SEM)。**p<0.01、****p<0.0001、要因実験における縦断的データについてのノンパラメトリックランクベースの方法(l);*p<0.05、****p<0.0001、ダン検定により調整したp値を有するクラスカルウォリス(m)。
図2】養子移入したOT-I T細胞は、IFNマウスにおいてOVA-ALLを拡大し、含有する。a、b、実験設計(a)及びIFN(n=7)又はCTRL(n=7)マウスにおける経時的なOVA-ALL増殖(b、PBにおけるパーセンテージ;平均±SEM)。c、OT-I養子移入の3日目のIFN(n=7)、CTRL(n=7)及び腫瘍を有していない(C57Bl/6腫瘍なし、n=3)マウスのBM及び脾臓におけるOTI T細胞の絶対数(平均±SEM)。*p<0.05、**p<0.01、マンホイットニー。各ドットは、単一のマウスを表す。d、養子移入の3日目の(c)のマウスのBM及び脾臓におけるOT-I T細胞内のナイーブ(CD44-CD62L+)、セントラルメモリー(CD44+CD62L+)及びエフェクターメモリー(CD44+CD62L-)細胞のパーセンテージ(平均±SEM)。**p<0.01、ノンパラメトリック組合せ検定。e、f、実験設計(e)並びにOVA-ALLを注射したCTRL(n=12)、IFN+OT-I(n=9)及びCTRL+OT-I(n=10)マウスの生存曲線(f)。*p<0.05、****p<0.0001マンテルヘンツェル検定、ボンフェローニ検定により調整したp値。g、(f)のCTRL+OT-I及びIFN+OT-Iマウス、並びに腫瘍を有していないC57Bl/6マウス(n=3)の経時的なPBにおける養子移入したOT-I T細胞の絶対数(平均±SEM)。長期生存しているマウスを緑色で示す。各線は、単一のマウスを表す。h、(f、g)のマウスのPBにおけるOT-I T細胞上でのLag3発現のパーセンテージ(平均±SEM)。各線は、単一のマウスを表す。
図3】IFNマウスにおけるISG/Th1プライミングされた遺伝子シグネチャー及び増大した古典的単球、及びM1の偏り。a、OVA-ALL負荷の前及び後のIFN及びCTRLマウスのBM及び脾臓におけるがん免疫遺伝子のパネルの発現における変化を示すボルケーノプロット。水平方向の破線は、有意性の閾値(FDR<0.05)を示す。垂直方向の破線は、CTRLマウスに関して2倍増大した/減少した発現を有する遺伝子を示す。ISGをオレンジ色、Th1及びT細胞活性化遺伝子を水色、IFN及びTh1応答に共通する遺伝子を緑色、マクロファージ及びDC活性化遺伝子を赤色、NK細胞活性化遺伝子を紫色、抗原処理遺伝子を青色、白血病関連遺伝子を灰色で示す。ゲートにかけたものを挿入図として右に拡大して示す。CTRL BM+ALL、n=2を除き、各試料についてn=3マウス。b、腫瘍注射の9日の、OVA-ALLを注射したIFN(n=6)及びCTRL(n=5)マウス由来、並びに腫瘍を有していないC57Bl/6マウス由来の脾臓のCD4+T細胞における示したTh1遺伝子(OVA-ALLを注射したCTRLマウスに対する平均変化倍率±SEM)のRT-qPCRによる発現解析。各ドットは、単一のマウスを表す。*p<0.05、マンホイットニー。c、OVA-ALL注射の前及び後(12日目)のIFN(n=11)及びCTRL(n=13)マウスのPBにおける示した骨髄集団のパーセンテージ(平均±SEM)。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001、ダン検定により調整したp値を有するクラスカルウォリス。各個々の骨髄細胞集団内で、統計解析を行う。
図4】IFN細胞及び遺伝子療法は、永続性のある抗がん応答を誘導し、免疫チェックポイント療法と組み合わせた場合、生存をさらに改善する。a、b、c、d、第1の腫瘍負荷後(a;n=11、13;*p<0.05、マンテルヘンツェル検定)及び示したALL細胞を用いた続く腫瘍負荷後(b:n=3、(a)の長期生存しているIFNマウス対4匹のナイーブマウス;c:(a、b)の同じ3匹の生存しているマウス対4匹のナイーブマウス;d:(a、b、c)の3匹のうち2匹の生存しているマウス対4匹のナイーブマウス)のOVA-ALLを注射したIFN及びCTRLマウスの生存曲線。e、実験設計。f、g、OVA-ALLを注射した(f)IFN(n=14)、CTRL(n=14)、IFN+aCTLA4(n=14)及びCTRL+aCTLA4(n=15)マウスの生存曲線、*p<0.05、***p<0.001、マンテルヘンツェル検定、ボンフェローニ法により調整したp値;並びに(g)IFN+aCTLA4(n=10)及びCTRL+aCTLA4(n=12)マウス、*p<0.05、マンテルヘンツェル検定。h、腫瘍注射の51日目の、(f)(IFN n=3、CTRL n=1、IFN+aCTLA4 n=4、CTRL+aCTLA4 n=3)の生存しているマウス由来及びNGFR-OVA又はNGFR-CD20 BdLV又はPGK-OFP又はPGK-tTA LVを形質導入したEL4標的細胞株に対するIFNg-ELISPOTにより試験した腫瘍を有していない(OT-I、n=1及び移植したCTRLマウス、n=2)マウス由来のPBMC。破線は、EL4 NGFR標的細胞に対して見られるより高い中央値のバックグラウンドレベルを示す。各ドットは、全4つのTAAに対して試験した単一のマウスを表す。i、(f)OVA-ALL注射前(矢印の起点、T0)及び2回目の腫瘍再負荷の4日後(矢印の先端、T2)の生存しているマウス(各矢印はマウスを表す)のTCR-ベータCDRレパートリーのクローン性及び類似性。j、腫瘍注射の19日目の、(h)のようにIFNg-ELISPOTにより試験した(g)(IFN+αCTLA-4生存マウス、塗りつぶした青色の記号、n=3;CTRL+αCTLA-4生存マウス、塗りつぶした赤色の記号、n=1;IFN+αCTLA-4非レスポンダー、塗りつぶしていない青色の記号、n=7;CTRL+αCTLA-4、塗りつぶしていない赤色の記号、n=12匹のうち8匹の非レスポンダー対照)のマウス由来のPBMC。各ドットは、全4つのTAAに対して試験した単一のマウスを表す。k、(j)において示したIFNg-ELISPOTアッセイにより評価したそれらの免疫反応性に基づき層別化した(g)のマウスの生存曲線。2つ以上の抗原に対して反応したマウスを赤色で示し;1つの抗原に対して反応した又は抗原に対して反応しなかったマウスを黒色で示す。OVA及びNGFRに対する反応性は、それらの発現が、BdLV内に存在する双方向性プロモーターにより同時制御されるので、1に値することに注意されたい。
図5】操作したOVA-ALLは、親ALLと比較して、増大した免疫原性を示した。a、精製したOVA-ALL上でNGFR発現を示す代表的なプロットを用いた、OVA-ALLを生成するために使用した双方向性LV(BdLV)の略図。a、腫瘍を注射したマウスのPBにおけるALL上でのB-ALL(CD19+OFP+)及びNGFR発現を同定するために使用したゲーティングストラテジー。c、上:免疫コンピテントC57Bl/6(n=5)及び免疫欠損NSG(n=6)マウスのPBにおけるOVA-ALL並びに免疫コンピテントC57Bl/6(n=5)マウスのPBにおける親ALLのパーセンテージ(平均±SEM)。下:免疫コンピテントC57Bl/6(n=5)及び免疫欠損NSG(n=6)マウスのPBに存在するALL上でのNGFRマーカーの発現。NGFR及びOVA抗原の発現は、BdLV内に存在する双方向性プロモーターにより同時制御されることに注意されたい。d、e、屠殺時での、免疫コンピテントC57Bl/6(n=6)(d)及び免疫欠損NSG(n=6)マウス(e)のBMに存在するOVA-ALLのパーセンテージ(平均±SEM)及び白血病細胞上でのNGFRマーカーの発現。
図6】IFNマウスにおけるOVA-ALL増殖の阻害及びOVA特異的T細胞の誘導。a、OVA特異的CD8+T細胞を同定するために使用したゲーティングストラテジー。b、c、d、腫瘍注射の9日目での、IFN(n=14-6)及びCTRL(n=15-8)マウスのPB(b)における並びにBM及び脾臓(c、d)におけるOVA-ALLのパーセンテージ(b)及び絶対数(c、d)(平均±SEM)。***P<0.001、マンホイットニー。各ドットは、単一のマウスを表す。e、腫瘍負荷の9日目でのIFN(n=9)、CD8枯渇IFN(n=7)及びCTRL(n=9)マウスのPBにおけるOVA-ALLのパーセンテージ。各ドットは、単一のマウスを表す。*p<0.05、***p<0.001、ダン検定により調整したp値を有するクラスカルウォリス。
図7】OVA-ALLアポトーシス、細胞周期及び増殖速度を評価するために使用したゲーティングストラテジー。a、b、ゲーティングストラテジー(a)並びに腫瘍注射の9日目の、IFN(n=11)及びCTRL(n=15)マウスのBM及び脾臓に存在する早期アポトーシス(アネキシン+7-AAD-)、後期アポトーシス(アネキシン+7-ADD+)、死/壊死(アネキシン-7AAD+)及び生きている(アネキシン-7-AAD-)OVA-ALL細胞の解析(b)(パーセンテージ、平均±SEM)。*p<0.05、マンホイットニー。c、d、ゲーティングストラテジー(c)並びに腫瘍注射の9日目でのIFN(n=11)及びCTRL(n=15)マウスのBM及び脾臓における細胞周期のG0(Ki67-ヘキスト)、G1(Ki67+ヘキスト)及びS-G2-M(Ki67+ヘキスト高)期におけるOVAALL分布の解析(d:パーセンテージ、平均±SEM)。e、f、ゲーティングストラテジー(e)並びに腫瘍注射の9日目でのIFN(n=11)及びCTRL(n=15)マウスのBM及び脾臓に存在する増殖性EdU+ALL細胞の解析(f:パーセンテージ、平均±SEM)。**p<0.01、マンホイットニー。
図8】OVA-ALLを注射したCTRL、IFNマウス及び腫瘍を有していないC57Bl/6マウスにおけるOT-I T細胞の養子移入。a、OT-I養子移入後の示した時間でのCTRL(n=7)及びIFN(n=7)マウスのPBにおけるOVA-ALLの絶対数(平均±SEM)。各ドットは、単一のマウスを表す。b、OT-I T細胞の養子移入の3日目でのIFN(n=7)、CTRL(n=7)及び腫瘍を有していない(C57Bl/6腫瘍なし、n=3)マウスのBM及び脾臓におけるOT-I T細胞上でのLag3発現。各ドットは、単一のマウスを表す。c、養子移入したOT-I T細胞(CD45.2+)を同定するために使用したゲーティングストラテジー並びに(a、b)のマウスのBM及び脾臓に存在するOT-I T細胞上でのLag3発現。OFP-CD8+T細胞上でのゲーティングにより、OVA-ALL細胞をまず除外する。CD45.1及びCD45.2マーカーを使用して、放射線抵抗性レシピエント由来のCD8+T細胞(CD45.1+)、ドナー由来のCD8+T細胞(CD45.1.2+)及び養子移入したOT-I T細胞(CD45.2+)の間で区別する。腫瘍を有していないマウスにおいて、養子移入したOT-I T細胞を、CD8+T細胞として定義し、CD45.2+CD8+T細胞上でゲーティングすることにより、CD8+レシピエント由来のT細胞(CD45.1+)から区別する。d、ナイーブ(CD62L+CD44-)、セントラルメモリー(CD62L+CD44+)及びエフェクターメモリー(CD62L-CD44+)養子移入したOT-I T細胞を同定するために使用したゲーティングストラテジー。OT-I T細胞を、(c、CD19-CD8+T細胞上でゲーティングすることにより、OVA-ALLをまず除外する)に記載した通り同定する。e、f、OT-I T細胞の養子移入の3日目での(a、b)において示すマウス由来のBM及び脾臓におけるALL上でのOVA-ALL(e)(平均±SEM)及びNGFRマーカー発現(f)の絶対数。各ドットは、単一のマウスを表す。**p<0.01、***p<0.001、マンホイットニー(e)。
図9】養子移入したOT-I T細胞は、IFNマウスにおいてOVA-ALLを拡大し、含有する。a、b、c、d、IFN+OT-I(n=9、a、c)及びCTRL+OT-I(n=10、b、d)マウスのPB(a、b)及びBM(c、d)におけるALL細胞のパーセンテージ(平均±SEM)及びALL細胞上でのNGFRマーカーの発現。長期生存しているマウスを緑色で示す。白血病を根絶した生存しているマウスについては、NGFR発現を示していないことに注意されたい。各個々のマウスを、単一のドット(b、d)又は線(a、b)として表す。e、f、(a、b、c、d、CTRL+OT-I、n=8;IFN+OT-I、n=3)の安楽死させた腫瘍を有するマウスのBM、脾臓及びリンパ節におけるナイーブ(CD62L+CD44-)、セントラルメモリー(CD62L+CD44+)及びエフェクターメモリー(CD62LCD44+)OT-I T細胞のパーセンテージ(平均±SEM)。f、(e)において示すマウスのBM、脾臓及びリンパ節に存在するOT-I T細胞上でのPD1発現のパーセンテージ(平均±SEM)。各ドットは、単一のマウスを表す。
図10】精製した脾臓のCD4+T細胞におけるプロトタイプTh2及びTreg遺伝子の遺伝子発現解析。a、腫瘍注射の9日目の、OVA-ALLを注射したIFN(n=6)及びCTRL(n=5)マウスから、並びに腫瘍を有していないナイーブC57Bl/6マウスから精製した脾臓のCD4+T細胞における示したTh2及びTreg遺伝子(OVA-ALLを注射したCTRLマウスに対する平均変化倍率±SEM)のRT-qPCRによる発現解析。各ドットは、単一のマウスを表す。
図11】腫瘍を有する並びに腫瘍を注射していないIFN及びCTRLマウスのPB及び脾臓における骨髄細胞のフローサイトメトリー解析。a、b、c、ゲーティングストラテジー(a)並びに腫瘍注射の10日目での、腫瘍のない、及びOVA-ALLを注射した、IFN及びCTRLマウス(CTRL:n=3、IFN:n=2、CTRL+ALL:n=9、IFN+ALL:n=7)の脾臓における骨髄細胞集団の解析(b、絶対数、平均±SEM)。マクロファージ(MF)を、CD19-CD11c-Ly6G-F4/80+細胞として同定し、IAb(MHC-II)マーカーを使用して、MHC-II+MF及びMHC-II-Mfにさらに区別する。本発明者らは、CD19-F4/80-CD11c+MHCII+樹状細胞からCD19-F4/80-CD11c+MHCII-骨髄細胞を区別した。本発明者らは、顆粒球をCD19-F4/80-CD11c-CD11b+Ly6C+Ly6G+として、古典的単球をCD19-F4/80-CD11c-CD11b+Ly6ClowLy6G-として、及び非古典的単球をCD19-F4/80-CD11c-CD11b+Ly6C-Ly6G-として定義した。**p<0.01、ダン検定により調整したp値を有するクラスカルウォリス。各個々の骨髄集団内で、統計を行う。d、(c)の腫瘍のない又は腫瘍を有するIFN及びCTRLマウスに存在するMHC-IIマクロファージのパーセンテージ。**p<0.01、ダン検定により調整したp値を有するクラスカルウォリス。
図12】腫瘍を有する及び腫瘍を注射していない、IFN及びCTRLマウスのBMにおける骨髄細胞並びにBM及び脾臓における制御性T細胞におけるフローサイトメトリー解析。a、b、ゲーティングストラテジー並びに腫瘍注射の10日目での、腫瘍のない、及びOVA-ALLを注射した、IFN及びCTRLマウス(CTRL:n=3、IFN:n=2、CTRL+ALL:n=9、IFN+ALL:n=7)のBMにおける骨髄細胞集団の解析(絶対数、平均±SEM)。各ドットは、単一のマウスを表す。マクロファージ(MF)をCD19-CD11c-Ly6G-F4/80+細胞として、樹状細胞(DC)をCD19-F4/80-CD11c+MHCII+として、顆粒球をCD19-F4/80-CD11c-CD11b+Ly6C+Ly6G+として、古典的単球をCD19-F4/80-CD11c-CD11b+Ly6ClowLy6G-として及び非古典的単球をCD19-F4/80-CD11c-CD11b+Ly6CLy6G-として同定する。*p<0.05、**p<0.01、ダン検定により調整したp値を有するクラスカルウォリス。各個々の骨髄集団内で、統計を行う。c、d、ゲーティングストラテジー(c)並びに(b)の腫瘍のない、及びOVA-ALLを注射した、IFN及びCTRLマウスのBM及び脾臓における制御性T細胞の解析(d、絶対数、平均±SEM)。各ドットは、単一のマウスを表す。制御性T細胞をCD3+CD4+CD25+FoxP3+として定義する。**p<0.01、ダン検定により調整したp値を有するクラスカルウォリス。各個々の組織内で、統計を行う。
図13】腫瘍を有する及び腫瘍を注射していない、IFN及びCTRLマウスの脾臓におけるNK及びNKT細胞のフローサイトメトリー解析。a、b、ゲーティングストラテジー(a)並びに腫瘍注射の10日目での、腫瘍のない又はOVA-ALLを注射した、IFN及びCTRLマウス(CTRL:n=3、IFN:n=2、CTRL+ALL:n=9、IFN+ALL:n=7)の脾臓及びBMに存在する、NK及びNKT細胞の解析(b、絶対数、平均±SEM)。各ドットは、単一のマウスを表す。NK細胞をCD19-CD3-NK1.1+として、NKT細胞をCD19-CD3+NK1.1+として同定する。CD11b及びCD27マーカーを使用して、本発明者らは、最も未熟(CD11b-CD27+)、成熟で、最も細胞傷害性のある、サイトカイン産生株(CD11b+CD27+)及び成熟で、あまり細胞傷害性のない、サイトカイン産生株(CD11b+CD27-)NK細胞の間でさらに区別した。**p<0.01、***p<0.001、ダン検定により調整したp値を有するクラスカルウォリス。各個々の集団内で、統計を行う。c、(b)の腫瘍のない又は腫瘍を有する、IFN及びCTRLマウスの脾臓(上)及びBM(下)におけるNK細胞の示した亜集団のパーセンテージ(平均±SEM)。各ドットは、単一のマウスを表す。d、e、(b)のマウスの脾臓(d)及びBM(e)に存在するCD11b+CD27+(d)及びCD11b+CD27-(d、e)NK細胞上でのNKG2D及びNKp46発現のパーセンテージ(平均±SEM)。各ドットは、単一のマウスを表す。*p<0.05、**p>0.01、ダン検定により調整したp値を有するクラスカルウォリス。各個々の集団内で、統計を行う。
図14】OVA特異的T細胞により発揮された免疫圧力は、マウスにおいてOVA陰性ALL細胞の免疫選択を導く。a、各個々のIFN(n=11)及びCTRL(n=13)マウスのPBにおけるOVA-ALLのパーセンテージ(平均±SEM)。各線は、単一のマウスを表す。b、迅速又は遅延した疾患経過(迅速な疾患経過:CTRL:13~29日間(範囲)、20.4±1.3(平均±SEM)、n=11;IFN:16~27日間、20.8±1.8、n=5;遅延した疾患経過:CTRL:34~44日間、39±5、n=2;IFN:34~100日間、56±22、n=3)を示すIFN(n=8)及びCTRL(n=13)マウスのPBにおけるBM浸潤性ALL(又はBM解析が利用可能でないマウスについては、PB循環ALL)上でのNGFR発現及びOVA特異的T細胞の絶対数(平均±SEM)(各線は、単一のマウスを表す)。c、長期生存IFN(n=3)マウスのPBにおけるOVA特異的T細胞の絶対数(平均±SEM)。各線は、単一のマウスを表す。d、OVA-ALLを用いた2回目の腫瘍負荷の14日目の、生存しているIFNマウス(n=3)対図4bの4匹のナイーブマウスにおけるOVA特異的T細胞のパーセンテージ(平均±SEM)。各ドットは、単一のマウスを表す。e、マウスにおける注射前に1対1の比で混合したOVA-ALLと親ALL細胞を示す代表的なプロット。
図15】個々のマウスにおける白血病増殖動態。a、b、各個々の(a)IFN(n=14)、CTRL(n=14)、IFN+aCTLA4(n=14)及びCTRL+aCTLA4(n=15)マウス並びに(b)IFN+aCTLA4(n=10)及びCTRL+aCTLA4(n=12)マウスのPBにおけるOVA-ALLのパーセンテージ(平均±SEM)。各線は、単一のマウスを表す。
図16】OVA陰性ALL細胞の免疫選択は、CTLA4処置IFNとCTRLマウスの両方において増強される。a、迅速、遅延した疾患経過又は長期生存を示すIFN(n=14)、CTRL(n=14)、IFN+aCTLA4(n=14)及びCTRL+aCTLA4(n=15)マウスのPBにおけるBM浸潤性ALL(又はBM解析が利用可能でないマウスについては、PB循環ALL)上でのNGFR発現及びOVA特異的T細胞の絶対数(平均±SEM)(各線は、単一のマウスを表す)。迅速な疾患経過:CTRL:14~21日間(範囲)、15.66±0.8(平均±SEM)、n=12;IFN:17~25日間、21±1.3、n=8;CTRL+CTLA4:14~21日間、19±1.2、n=6;IFN+CTLA4:25日間、25±0、n=2;遅延した疾患経過:CTRL:36日間、n=1;IFN:30~36日間、34±2、n=3;CTRL+CTLA4、30~64日間、42±7.4、n=5;IFN+CTLA4:25~64日間、44±4.9、n=7)。b、(a)のマウスのPBにおけるCD8+T細胞内のOVA特異的T細胞のパーセンテージ。*p<0.05、**p<0.01、****p<0.0001、要因実験における縦断的データについてのノンパラメトリックランクベースの方法。c、OVA-ALL注射前(矢印の起点、T0)及びOVA-ALL負荷の30日目(矢印の先端、T1)の図4fの腫瘍のない長期生存しているマウス(各矢印は、マウスを表す)のTCR-ベータCDRレパートリーのクローン性及び類似性。
図17】IFN遺伝子療法は、適応免疫を活性化することにより、ALL増殖を阻害する。CTRL(n=10、アイソタイプ対照抗体で処置した)、IFN(n=10、アイソタイプ対照抗体で処置した)、CTRL+αCTLA4(n=14)及びIFN+αCTLA4(n=13)マウスの経時的な末梢血(PB)における親ALLの絶対数(平均±SEM)。各ドットは、単一のマウスを表す。*p<0.05、**p<0.01、****p<0.0001、要因実験における縦断的データについてのノンパラメトリックランクベースの方法。
図18】IFN遺伝子療法は、TMEにおいて免疫刺激プログラムを強いる。CTRL+ALL(n=7)及びIFN+ALL(n=8)のマウスのBMにおけるMHC-I分子上で免疫優性OVA(SINFEKL)ペプチドを提示するDCのパーセンテージ。*p<0.05、マンホイットニー検定。
図19】IFN遺伝子療法による白血病TMEの転写リプログラミング。a,b、腫瘍を有する(ALL)対対照(CTRL)マウス(a)又はIFN遺伝子療法で処置した(IFN+ALL)若しくは処置していない(ALL)ALLマウス(b)由来の脾臓のマクロファージにおけるアップレギュレートされた(緑色)又はダウンレギュレートされた(オレンジ色)、差次的に発現した遺伝子(絶対log2FC>1.5、FDR<0.05)を示すボルケーノプロット(左パネル)。棒プロット(右パネル)は、示した比較からアップレギュレートされた(緑色)又はダウンレギュレートされた(オレンジ色)遺伝子が豊富なGO期を示す。c、d、ALLマウス由来のマクロファージ(c)又はIFN+ALLマウスにおいて誘導されたISG(d)における調節解除した遺伝子の選択したRNA-Seqスナップショット。e、f、IFN遺伝子療法で処置した又は処置していない、CTRL又はALLマウスの脾臓から選別した10,821個のCD11b+細胞のscRNA-Seqデータを取り込んだtSNEプロット。転写により定義したクラスター及び関連する細胞タイプ(e)を、レジェンドにおける数字及び色により示す。実験条件に基づき着色した、クラスター1由来の細胞(非古典的単球)における単一細胞RNA-Seqデータ(f)。g、示した比較におけるクラスター1(非古典的単球)のscRNA-Seqデータにおけるアップレギュレートされた(緑色)又はダウンレギュレートされた(オレンジ色)上位100種の遺伝子(log2FCによりランク付けした)が豊富なGO期。h、示した条件について選択した遺伝子の非古典的単球における平均発現(細胞の数について標準化した、log変換TPM値)。i、サブクラスター形成後の、クラスター1(非古典的単球)のscRNA-Seqデータの最小極大木(MST)解析。各パイは、サブクラスターを表し、そのサイズ(細胞の数)及び組成(実験条件)を示す。アスタリスクにより印を付けたパイは、分散した組成を有する少数のサブクラスターを表す。
図20】IFN遺伝子療法は、養子移入したCAR19を形質導入したT細胞の活性化をブーストし、生存を増強する。a、b、実験設計(a)及びCTRL+CTRLT(n=5)、IFN+CTRLT(n=5)、CTRL+CART19(n=7)、IFN+CART19(n=7)における経時的なALL増殖(b、PBにおける絶対数;平均±SEM)。****p<0.0001、要因実験における縦断的データについてのノンパラメトリックランクベースの方法。c、(b)のマウスのPBにおけるCD8+NGFR+ CART19細胞上でのLag3発現のパーセンテージ(平均±SEM)。長期生存しているマウスを緑色で示す。各線は、単一のマウスを表す。d、e、実験設計(d)及びCTRL+CTRLT(n=7)、IFN+CTRLT(n=6)、CTRL+CART19(n=7)、IFN+CART19(n=6)、CTRL+iCART19(n=7)、IFN+iCART19(n=6)、IFN+CTRLT後期(n=6、後期介入試験)、IFN+iCART19後期(n=6、後期介入試験)における経時的なALL増殖(e、PBにおける絶対数;平均±SEM)。****p<0.0001、要因実験における縦断的データについてのノンパラメトリックランクベースの方法。選択した群に対して、統計解析を行う(補足のオンラインの表9及び10を参照)。f、(b)のマウスのPBにおけるCD8+NGFR+ CART19細胞上でのLag3発現の経時的なパーセンテージ(平均±SEM)。CTRL+CART19及びCTRL+iCART19マウスを、一緒にプロットする。長期生存しているマウスを緑色で示す。各線は、単一のマウスを表す。g、(b及びe)のCART19又はiCART19細胞で処置したマウスの生存曲線。図20のCART19及びiCART19で処置したCTRLマウス。b、eを、一緒にプロットする(CTRL+i/CART19、n=21)、IFN+CART19(n=13)、IFN+iCART19(n=6)、IFN+iCART19後期(n=6)。****p≦0.0001、マンテルヘンツェル検定、ボンフェローニ法により調整したp値。
図21】操作したOVA-ALLは、親ALLと比較して、増大した免疫原性を示した。ALLを注射したCTRL(n=10、アイソタイプ対照抗体で処置した)、IFN(n=10、アイソタイプ対照抗体で処置した)、CTRL+αCTLA4(n=14)及びIFN+αCTLA4(n=13)マウスの生存曲線。**p<0.01、マンテルヘンツェル検定。
図22】脾臓のマクロファージにおけるバルクRNA-Seq解析。a、ALL対照と比較した、IFN遺伝子療法(IFN+ALL)で処置したALLマウス由来のマクロファージにおけるアップレギュレートされた(n=213)又はダウンレギュレートされた(n=258)遺伝子の示した条件における発現レベルを示すボックスプロット。数字は、示した比較におけるウィルコクソンの符号順位検定の結果を表す。b、示した条件のマクロファージにおけるRNA-Seqデータセット間の相関のヒートマップ。数字は、決定値の計算した係数(R2)を示す。目的変数なしの階層的クラスター形成に基づき、試料を整理する。
図23】脾臓のCD11b+細胞のscRNA-Seqデータにおける細胞タイプの同定。a、示した遺伝子シグネチャー(GS)の単一細胞発現レベルを示すtSNEプロット。非古典的単球:Cd300e、1700011I03Rik、Tspan9、Dmpk、Fxyd2;古典的単球:Ly6c2、Tarm、Tfec、Psrc1、Mmp8;好中球:Il1f9、Pglyrp4、Nlrp12、Mrgpra2b、Mmp8、Ltf、Amer2、Stfa2l1、Gm5483;樹状細胞:Adam23、Procr、Mab21l3、Sucnr1、Fndc5、Rnf186、Flt3、Cd207、Adam11、Apol7c、Htr7;マクロファージ:Vcam1、Mertk、Actn1、Fcna、Crip2、Spic、Kcna2、Gfra2、Stab2、Jup;NK細胞:Khdc1c、Khdc1b、Phactr3、Col8a2、Klra4、Adamts14、Gzma、Cma1、Gzmb、Clip4;T細胞:Cd3g、Cd3e、Bcl11b、Actn2、Camk4;B細胞:Pax5、Cd79a、Cd19、Chst3、Scn4a、Cacna1i、Ly6d、Klhl14、Mzb1。カラースケールは、各シグネチャー内の遺伝子にわたる平均発現(log変換TPM)を表す。b、各クラスターについての上位20種の判別可能な遺伝子の発現(スケーリングされたlog変換TPM値)を示すヒートマップ。各クラスターについて選択した代表的な遺伝子を右側に示す。各クラスターについて、最大200個の単一細胞を示す。
図24】脾臓のCD11b+細胞でのscRNA-Seqデータにおける白血病及びIFNにより誘導された変化。実験条件に基づき着色した、クラスター2~11のscRNA-Seqデータを示すtSNEプロット。
図25】非古典的単球のscRNA-Seqデータのサブクラスター形成解析及びCD4T細胞に対する遺伝子発現解析。a、3種の代表的なALLを注射したCTRL(CTRL+ALL)、IFN非レスポンダー(IFN+ALL NR)及びIFNレスポンダー(IFN+ALL R)マウス由来の脾臓におけるOVA-ALL細胞(上)及びOVA特異的CD8 T細胞(下)を示すフローサイトメトリープロット。これらのマウス由来のCD11b+細胞を、scRNA-seqにより解析した。b、クラスター形成(上のプロット)又は実験条件(下のプロット)に基づき着色した、非古典的単球集団内の細胞のサブクラスターを示すtSNEプロット。丸で囲ったサブクラスターは、分散した組成を有する少数のサブクラスターを表し、図19iにおいてアスタリスクにより印を付けたものに対応する。
図26】IFN遺伝子療法は、CART19細胞の活性化をブーストする。a、形質導入したマウスT細胞に使用した双方向性LV(BdLV)の略図並びに図20bのマウスにおける注入に先立つ、形質導入されていない(UT)及び形質導入した(CART19)CD4及びCD8 T細胞におけるNGFR発現のパーセンテージ。b、図20bのマウスにおける注入に先立つ、ナイーブ(CD62L+CD44+)、セントラルメモリー(CD62L+CD44+)及びエフェクターメモリー(CD62L-CD44+)UT又はCART19 T細胞のパーセンテージ。c、PBにおけるB細胞形成不全を示す図20bのIFN+CART19生存しているマウスの代表的なフローサイトメトリープロット。d、CTRL+CART19(n=7)及びIFN+CART19(n=7)マウス由来のCD8+NGFR+ CART19細胞上でのPD1発現の経時的なパーセンテージ(平均±SEM)。長期生存しているマウスを緑色で示す。各線は、単一のマウスを表す。e、f、(d)のマウスのCD4+(e)及びCD8+(f)CART19細胞上での経時的なNGFR発現のレベル(平均蛍光強度、MFI)。長期生存しているマウスを緑色で示す。各線は、単一のマウスを表す。
図27】IFN遺伝子療法は、iCART19細胞の活性化をブーストする。a、図20eのマウスにおける注入に先立つ、形質導入されていない(UT)及び形質導入した(CART19)CD4及びCD8 T細胞におけるNGFR発現のパーセンテージ。b、図20eのマウスにおける注入に先立つ、ナイーブ(CD62L+CD44+)、セントラルメモリー(CD62L+CD44+)及びエフェクターメモリー(CD62L-CD44+)UT又はCART19 T細胞のパーセンテージ。c、CTRL+CART19(n=7)、IFN+CART19(n=6)、CTRL+iCART19(n=7)、IFN+iCART19(n=6)及びIFN+iCART19後期(n=6、後期介入試験)マウス由来のCD4(上)及びCD8(下)NGFR+CART19細胞の絶対数(平均±SEM)。長期生存しているマウスを緑色で示す。各線は、単一のマウスを表す。d、(c)のマウスのCD4+(上)及びCD8+(下)CART19細胞上での経時的なNGFR発現のレベル(平均蛍光強度、MFI)。長期生存しているマウスを緑色で示す。各線は、単一のマウスを表す。
図28】コンストラクトNGFR対照(上)、Tig126/130a(中)及びTta126/130a(下)の構造。
図29】白血病増殖でのIFNγ送達の評価及び白血病により誘導された腫瘍促進性微小環境。
図30】Tie2ベクター骨格を使用した、幾つかの免疫刺激性サイトカインの白血病微小環境への同時送達の評価。
図31】チェックポイント阻害薬抗CTLA-4及び抗LAG-3、並びにインドールアミン-2,3-ジオキシゲナーゼ(IDO)阻害薬、1-メチル-トリプトファン(1-MT)を含む、他の免疫療法ストラテジーとの、IFNγの遺伝子療法ベースの送達間の相乗作用の評価。
【発明を実施するための形態】
【0148】
細胞
幹細胞は、多くの細胞タイプに分化することができる。全ての細胞タイプに分化することができる細胞は、全能性として知られている。哺乳類において、接合子及び初期の胚細胞のみが、全能性である。幹細胞は、全部ではないが、大部分の多細胞生物において見られる。それらは、有糸細胞分裂を通じてそれら自体を再生し、多様な範囲の専門化した細胞タイプに分化する能力により特徴付けられる。2つの広範なタイプの哺乳類幹細胞は、胚盤胞の内部細胞塊から単離される胚性幹細胞、及び成体組織において見られる成体幹細胞である。発生中の胚において、幹細胞は、専門化した胚組織の全てに分化することができる。成体生物において、幹細胞及び前駆細胞は、専門化した細胞を補充するが、再生器官、例えば、血液、皮膚又は腸組織の正常なターンオーバーも維持する、身体のための修復システムとして作用する。
【0149】
造血幹細胞(HSC)は、例えば、末梢血、骨髄及び臍帯血において見られ得る多能性幹細胞である。HSCは、自己再生し、任意の血液細胞系統に分化する能力がある。それらは、全ての造血組織(例えば、骨髄、脾臓及び胸腺)において免疫システム全体、並びに赤血球及び骨髄系統を再定着させる能力がある。それらは、造血細胞の全ての系統の、一生にわたる生成をもたらす。
【0150】
造血前駆細胞(HPC)は、特定のタイプの細胞に分化する能力を有する。しかしながら、幹細胞と対照的に、それらは、既に、よりはるかに特異的であり、それらの「標的」細胞に分化するように後押しされている。HSCとHPCの違いは、HSCが無制限に複製し得る一方、HPCは、制限された回数のみ分裂し得ることである。
【0151】
一実施形態において、本発明は、HSC及びHPCを含む細胞の混合された集団(例えば、HSPC集団)を使用してもよい。
【0152】
分化した細胞は、幹細胞又は前駆細胞と比較してより専門化した細胞である。分化は、単一の接合子から複雑なシステムの組織及び細胞タイプへの生物の変化として多細胞生物の発生中に生じる。分化はまた、成体における共通のプロセスであり、成体幹細胞は、分裂し、組織修復及び正常な細胞ターンオーバー中に完全に分化した娘細胞を生じる。分化は、細胞のサイズ、形、膜電位、代謝活性及びシグナルに対する応答性を劇的に変化させる。これらの変化は、大部分は、遺伝子発現における高度に制御された修飾に起因する。言い換えると、分化した細胞は、特定の遺伝子の活性化及び脱活性化を含む発生プロセスに起因して、特定の構造を有し、ある種の機能を果たす細胞である。ここでは、分化した細胞は、造血系統の分化した細胞、例えば、単球、マクロファージ、好中球、好塩基球、好酸球、赤血球、巨核球/血小板、樹状細胞、T細胞、B細胞及びNK細胞を含む。例えば、造血系統の分化した細胞は、分化していない細胞(HSC及びHPC)上では発現されていないか、又はより低い程度に発現されている細胞表面分子の検出により、HSC及びHPCと区別することができる。適当なヒト系統マーカーの例は、CD33、CD13、CD14、CD15(骨髄)、CD19、CD20、CD22、CD79a(B)、CD36、CD71、CD235a(赤血球)、CD2、CD3、CD4、CD8(T)、CD56(NK)を含む。
【0153】
細胞供給源
一実施形態において、本発明において使用されるHSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球は、組織試料から得られる。
【0154】
例えば、HSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球は、成人及び胎児末梢血、臍帯血、骨髄、肝臓又は脾臓から得ることができる。好ましくは、これらの細胞は、末梢血又は骨髄から得られる。それらは、増殖因子処理によるインビボでの細胞の動員後に得られてもよい。
【0155】
HSC又はHPCの動員は、例えば、G-CSF、プレリキサホル又はそれらの組合せを使用して行われてもよい。他の薬剤、例えば、NSAID、CXCR2リガンド(Grobeta)及びジペプチジルペプチダーゼ阻害薬も、動員剤として有用であり得る。
【0156】
幹細胞増殖因子GM-CSF及びG-CSFを使用できることに伴い、大部分の造血幹細胞移植法は、現在、骨髄からではなく、末梢血から収集された幹細胞を使用して行われる。末梢血幹細胞の収集は、より大きなグラフトをもたらし、ドナーがグラフトを収集するための一般的な麻酔に供されることを要求せず、生着までより短い時間となり、より低い長期再発率をもたらし得る。
【0157】
骨髄は、標準的な吸引方法により(定常状態又は動員後のいずれか)、又は次世代回収ツールを使用することにより、収集されてもよい。
【0158】
加えて、HSCはまた、誘導された多能性幹細胞に由来してもよい。
【0159】
HSC特徴
HSCは、典型的には、フローサイトメトリー法による低い前方散乱及び側方散乱プロファイルのものである。一部は、ミトコンドリア活性の決定を可能にするローダミン標識により示される通り、代謝上静止状態である。HSCは、ある種の細胞表面マーカー、例えば、CD34、CD45、CD133、CD90及びCD49fを含み得る。それらはまた、CD38及びCD45RA細胞表面マーカーの発現を欠く細胞として定義されてもよい。しかしながら、これらのマーカーの一部の発現は、発生ステージ及びHSCの組織特異的な文脈に依存する。「サイドポピュレーション細胞」と呼ばれる一部のHSCは、フローサイトメトリーにより検出されるヘキスト33342色素を除外する。従って、HSCは、それらの同定及び単離を可能にする記述的な特徴を有する。
【0160】
負の(陰性の)マーカー
CD38は、ヒトHSCの最も確立された、有用な単一の負のマーカーである。
【0161】
ヒトHSCはまた、系統マーカー、例えば、CD2、CD3、CD14、CD16、CD19、CD20、CD24、CD36、CD56、CD66b、CD271及びCD45RAについて負であってもよい。しかしながら、これらのマーカーは、HSC富化のため組み合わせて使用する必要があり得る。
【0162】
負のマーカーにより、ヒトHSCが、これらのマーカーの発現を欠くことは、理解されるべきである。
【0163】
正の(陽性の)マーカー
CD34及びCD133は、HSCの最も有用な正のマーカーである。
【0164】
一部のHSCはまた、系統マーカー、例えば、CD90、CD49f及びCD93について正である。しかしながら、これらのマーカーは、HSC富化のため組み合わせて使用する必要があり得る。
【0165】
正のマーカーにより、ヒトHSCが、これらのマーカーを発現することは、理解されるべきである。
【0166】
従って、細胞の治療集団は、CD34+CD38-であってもよい。さらなる分離が、例えば、CD34+CD38-CD45RA-CD90+CD49f+細胞を得るために行われてもよい。
【0167】
miRNA発現
細胞におけるmiRNAであるmir-126及びmir-130aの発現は、細胞が、HSC又はHPCであることを示す。より具体的には、mir-126発現は、細胞が、原始的なHPCであることを示す。Mir-130a発現は、細胞が、より原始的なHPCであることを示す。
【0168】
サイトカイン
サイトカインは、細胞のシグナル伝達において重要な役割を果たす、小さいタンパク質、典型的には、およそ5~20kDaのサイズのカテゴリーである。サイトカインは、インターフェロン、ケモカイン、インターロイキン、リンホカイン及び腫瘍壊死因子を含んでもよく、マクロファージ、Bリンパ球、Tリンパ球、マスト細胞、内皮細胞及び線維芽細胞を含む、広範な細胞により産生される。
【0169】
サイトカインは、受容体を通じて作用し、液性と細胞ベースの免疫応答の間のバランスを調節するという、免疫システムにおいて特に重要な役割を有する。
【0170】
サイトカインは、インターフェロン(IFN)、IL-12及び顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)を含む。
【0171】
インターフェロン(IFN)は、病原体(例えば、ウイルス、細菌及び寄生虫)及び腫瘍細胞の存在に対して応答して宿主細胞により作られるシグナル伝達タンパク質の群である。
【0172】
IFNは、典型的には、3つのクラス:I型、II型、及びIII型に分けられる。
【0173】
I型インターフェロン(IFN)
I型インターフェロン(IFN)は、免疫細胞(白血球、例えば、NK細胞、B細胞、T細胞、マクロファージ等)により産生されるサイトカインのクラスである。I型IFNは、それらが、複数の細胞タイプに対する特定のIFN効果を有し得るので、多面的サイトカインと称される。
【0174】
一実施形態において、I型IFNは、インターフェロン-アルファ(IFNα)である。IFNαは、IFN-アルファ、IFNa、INFα-1/13としても知られている。
【0175】
例となるIFNαアミノ酸配列は、
である。
【0176】
一実施形態において、I型IFNをコードするヌクレオチド配列は、配列番号6のアミノ酸配列を含むIFNαタンパク質をコードする。一実施形態において、I型IFNをコードするヌクレオチド配列は、配列番号6に対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%の同一性を有するアミノ酸配列を含むIFNαタンパク質をコードし、配列番号6のアミノ酸配列を有するIFNαタンパク質の機能性は、実質的に維持される。
【0177】
IFNαをコードする例となるヌクレオチド配列は、
である。
【0178】
一実施形態において、IFNαをコードするヌクレオチド配列は、配列番号7のヌクレオチド配列を含む。一実施形態において、IFNαをコードするヌクレオチド配列は、配列番号7に対して少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%の同一性を有するヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレオチド配列は、配列番号6のタンパク質と同じ機能を実質的に有するタンパク質をコードする。
【0179】
一実施形態において、1型IFNは、インターフェロン-ベータ(IFNβ、IFNb)である。
【0180】
例となるIFNβアミノ酸配列は、
である。
【0181】
一実施形態において、I型IFNをコードするヌクレオチド配列は、配列番号8のアミノ酸配列を含むIFNβタンパク質をコードする。一実施形態において、I型IFNをコードするヌクレオチド配列は、配列番号8に対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%の同一性を有するアミノ酸配列を含むIFNβタンパク質をコードし、配列番号8のアミノ酸配列を有するIFNβタンパク質の機能性は、実質的に維持される。
【0182】
IFNβをコードする例となるヌクレオチド配列は、
である。
【0183】
一実施形態において、IFNβをコードするヌクレオチド配列は、配列番号9のヌクレオチド配列を含む。一実施形態において、IFNβをコードするヌクレオチド配列は、配列番号9に対して少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%の同一性を有するヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレオチド配列は、配列番号8のIFNβタンパク質と同じ機能を実質的に有するタンパク質をコードする。
【0184】
一実施形態において、I型IFNをコードするヌクレオチド配列は、コドン最適化されている。
【0185】
II型インターフェロン-インターフェロン-γ(IFNγ)
免疫インターフェロンとしても知られる、インターフェロン-γ(IFNγ)は、インターロイキン-12により活性化され、免疫応答の制御及び活性化において重要な役割を果たす。
【0186】
例となるIFNγアミノ酸配列は、
である。
【0187】
配列番号12のアミノ酸1~23は、シグナルペプチドとして作用し、切断され、配列番号12のアミノ酸24~161により表される成熟タンパク質を形成し得る。IFNγの例となる成熟アミノ酸配列は、
である。
【0188】
一実施形態において、IFNγをコードするヌクレオチド配列は、配列番号12又は13のアミノ酸配列を含むIFNγタンパク質をコードする。一実施形態において、IFNγをコードするヌクレオチド配列は、配列番号12又は13に対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%の同一性を有するアミノ酸配列を含むIFNγタンパク質をコードし、配列番号12又は13のアミノ酸配列を有するIFNγタンパク質の機能性は、実質的に維持される。
【0189】
さらに例となるIFNγアミノ酸配列は、
である。
【0190】
一実施形態において、IFNγをコードするヌクレオチド配列は、配列番号17のアミノ酸配列を含むIFNγタンパク質をコードする。一実施形態において、IFNγをコードするヌクレオチド配列は、配列番号17に対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%の同一性を有するアミノ酸配列を含むIFNγタンパク質をコードし、配列番号17のアミノ酸配列を有するIFNγタンパク質の機能性は、実質的に維持される。
【0191】
IFNγをコードする例となるヌクレオチド配列は、
である。
【0192】
成熟型のIFNγをコードする例となるヌクレオチド配列は、
である。
【0193】
IFNγをコードするさらなる例となるヌクレオチド配列は、
である。
【0194】
一実施形態において、IFNγをコードするヌクレオチド配列は、配列番号14、15又は16のヌクレオチド配列を含む。一実施形態において、IFNγをコードするヌクレオチド配列は、配列番号14、15又は16に対して少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%の同一性を有するヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレオチド配列は、配列番号12又は13のタンパク質と同じ機能を実質的に有するタンパク質をコードする。
【0195】
IFNγをコードするさらなる例となるヌクレオチド配列は、
である。
【0196】
一実施形態において、IFNγをコードするヌクレオチド配列は、配列番号18のヌクレオチド配列を含む。一実施形態において、IFNγをコードするヌクレオチド配列は、配列番号18に対して少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%の同一性を有するヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレオチド配列は、配列番号17のタンパク質と同じ機能を実質的に有するタンパク質をコードする。
【0197】
一実施形態において、IFNγをコードするヌクレオチド配列は、コドン最適化されている。
【0198】
腫瘍壊死因子α(TNFα)
腫瘍壊死因子α(TNFα)は、全身性炎症に関与するサイトカインである。その主な役割は、免疫細胞の制御におけるものである。
【0199】
TNFαは、活性化されたマクロファージにより主に産生されるが、他の細胞タイプ、例えば、CD4+リンパ球、NK細胞、好中球、マスト細胞、好酸球、及びニューロンによっても産生される。
【0200】
例となるTNFαアミノ酸配列は、
である。
【0201】
一実施形態において、TNFαをコードするヌクレオチド配列は、配列番号19のアミノ酸配列を含むTNFαタンパク質をコードする。一実施形態において、TNFαをコードするヌクレオチド配列は、配列番号19に対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%の同一性を有するアミノ酸配列を含むTNFαタンパク質をコードし、配列番号19のアミノ酸配列を有するTNFαタンパク質の機能性は、実質的に維持される。
【0202】
TNFαをコードする例となるヌクレオチド配列は、
である。
【0203】
一実施形態において、TNFαをコードするヌクレオチド配列は、配列番号20のヌクレオチド配列を含む。一実施形態において、TNFαをコードするヌクレオチド配列は、配列番号20に対して少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%の同一性を有するヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレオチド配列は、配列番号19のタンパク質と同じ機能を実質的に有するタンパク質をコードする。
【0204】
1-メチル-トリプトファン(1-MT)
1-メチルトリプトファン(1-MT)は、トリプトファン分解酵素インドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ(IDO)の阻害薬であり、構造:
【0205】
【化1】
を有する。
【0206】
本発明の1-MTは、塩又はエステル、特に、医薬的に許容される塩又はエステルとして存在することができる。
【0207】
一実施形態において、1-MLはD-1-MTである。一実施形態において、1-MLはL-1-MTである。一実施形態において、1-MLは、ラセミ混合物である。
【0208】
本発明の薬剤の医薬的に許容される塩は、その適当な酸付加又は塩基の塩を含む。適当な医薬塩の概説は、Bergeら、(1977年)、J Pharm Sci 66:1~19頁において見られ得る。
【0209】
本発明はまた、適当な場合、薬剤の全てのエナンチオマー及び互変異性体を含む。当業者は、光学特性(例えば、1つ以上の不斉炭素原子)又は互変異性体特徴を有する化合物を理解する。対応するエナンチオマー及び/又は互変異性体は、当該技術分野において公知の方法により単離/調製されてもよい。
【0210】
マイクロRNA標的配列
マイクロRNA遺伝子は、Y染色体を除き、全てのヒト染色体にわたり点在する。それらは、ゲノムの非コード領域に又はタンパク質コード遺伝子のイントロン内のいずれかに位置し得る。およそ50%のmiRNAが、ポリシストロニックな一次転写物として転写されるクラスターにおいて出現する。タンパク質コード遺伝子と同様に、miRNAは、通常、ポリメラーゼIIプロモーターから転写され、いわゆる一次miRNA転写物(pri-miRNA)を生じる。次に、このpri-miRNAは、RNAseIII型ファミリーであるDrosha及びDicerに属する2つの酵素により行われる、一連のエンドヌクレアーゼ的切断工程を通じて処理される。pri-miRNAから、mirna前駆体(pre-mirna)と呼ばれる、約60ヌクレオチド長のステムループが、Drosha and DiGeorge syndrome critical region遺伝子(DGCR8)から構成される特定の核複合体により切り取られ、一次ステムループの塩基近くの両方の鎖を収穫し、5'リン酸塩及び2bp長の3'オーバーハングを離脱する。次に、pre-mirnaは、RAN-GTP及びエキスポーチンにより、核から細胞質に能動的に輸送される。次に、Dicerは、Drosha切断により定義されない、ステムループの末端での二本鎖切断を行い、成熟miRNA及びmiRNA*と呼ばれる、二重鎖の逆側の鎖から構成される、19~24bpの二重鎖を生じる。熱力学的非対称規則と一致して、二重鎖の1つの鎖のみが、RNA誘導サイレンシング複合体(RISC)に選択的にロードされ、成熟マイクロRNAとして蓄積する。この鎖は、通常、siRNA二重鎖の各鎖の5'末端に導入された単一ヌクレオチドのミスマッチにより示された通り、その5'末端が、その相補鎖にあまり密接に対形成されないものである。しかしながら、両方の二重鎖の鎖の蓄積を同様の程度まで支持する幾つかのmiRNAが存在する。
【0211】
マイクロRNAは、実験上の遺伝子ノックダウンのため広範に使用されている低分子干渉RNA(siRNA)と同様に、RNAiをトリガーする。miRNAとsiRNAの間の主な相違は、それらの生合成である。RISCにロードされると、低RNA分子のガイド鎖は、タンパク質コード遺伝子の3'非翻訳領域(3'UTR)において優先的に見られるmRNA標的配列と相互作用する。miRNAの5'末端からカウントしたヌクレオチド2~8、いわゆるシード配列は、RNAiをトリガーするのに必須であることが示された。ガイド鎖配列全体が、mRNA標的に完全に相補的である場合、通常、siRNA及び植物miRNAの場合であるので、mRNAは、アルゴノート(Ago)タンパク質の関与、いわゆる、低RNA二重鎖のRNA誘導サイレンシング複合体(RISC)への「スライサー」により、エンドヌクレアーゼ的に切断される。DGRC(DiGeorge syndrome critical region gene 8)及びTRBP(TAR(HIV)RNA結合タンパク質2)は、それぞれ、Drosha及びDicer RNase III酵素による成熟miRNA生合成を促進する二本鎖RNA結合タンパク質である。miRNA二重鎖のガイド鎖は、エフェクター複合体RISCに取り込まれ、不完全な塩基対形成を通じて特定の標的を認識し、転写後遺伝子サイレンシングを誘導する。幾つかの機序が、この制御様式について提案されている:miRNAは、翻訳開始の阻止を誘導するか、脱アデニル化による分解のため標的mRNAを印付けるか、又は標的を細胞質Pボディに隔絶し得る。
【0212】
他方、シードのみが、標的mRNAに完全に相補的であるが、残りの塩基は、不完全な対形成を示す場合、RNAiは、翻訳の阻止を導く複数の機序を通じて作用する。真核生物のmRNA分解は、mRNAの3'末端でのポリAテイルの短縮、並びに5'末端での脱キャッピング、続いて別々の細胞質エリアである、mRNA分解経路の成分が豊富ないわゆるPボディにおけるmiRNAの5'-3'エキソヌクレアーゼ消化及び蓄積を通じて主に生じる。
【0213】
本発明によると、サイトカイン、例えば、1型IFNの発現は、対応するmiRNA標的配列を使用して内在性miRNAにより制御される。この方法を使用して、細胞において内在的に発現されたmiRNAは、ベクター又はポリヌクレオチドに位置するその対応するmiRNA標的配列に結合することにより、その細胞における導入遺伝子の発現を妨げるか、又は低減する。これは、組織特異的プロモーターへの依存に優る多数の利点を有し、特に、組織特異的プロモーターが、非標的細胞の一部におけるリーキー発現と関連することが多いという事実がある。
【0214】
本発明において有用であるmiRNA標的配列は、HSCにおいて発現されるが、分化した細胞、例えば、骨髄細胞(腫瘍浸潤性マクロファージを含む)においては広範に発現されない、miRNA標的配列である。IFNα発現は、HSCにとって毒性であることが知られているので、これは、特に重要である。
【0215】
本発明における使用のためのmiRNA標的配列の好ましい例は、mir-130a及びmir-126である。
【0216】
mir-126 miRNAのmir-126標的配列への結合は、HSCにおいて及び赤血球系統の細胞において発現を最も有効に遮断する。従って、mir-126標的配列は、骨髄及びリンパ系系統におけるロバストな導入遺伝子発現に頼った遺伝子療法適用に特に適している。
【0217】
mir-126 miRNAは、ヌクレオチド配列:
を有してもよい。
【0218】
一実施形態において、mir-126標的配列は、
のヌクレオチド配列を含む。
【0219】
一実施形態において、本発明において使用されるベクター又はポリヌクレオチドは、配列番号2のヌクレオチド配列の少なくとも1つ、少なくとも2つ、又は少なくとも3つのコピーを含む。好ましい実施形態において、mir-126標的配列は、配列番号2のヌクレオチド配列の2つのコピーを含む。
【0220】
一実施形態において、本発明において使用されるHSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球は、配列番号2のヌクレオチド配列の少なくとも1つ、少なくとも2つ、又は少なくとも3つのコピーを含む。好ましい実施形態において、mir-126標的配列は、配列番号2のヌクレオチド配列の2つのコピーを含む。
【0221】
コピーmir-126標的配列は、スペーサー配列により分離され得る。スペーサー配列は、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ又は少なくとも4つ又は少なくとも5つのヌクレオチド塩基を含み得る。
【0222】
mir-130a miRNAのmir-130a標的配列への結合は、HSCにおいて及び赤血球系統の細胞において発現を最も有効に遮断する(miR-126と同様)。従って、miR-130a標的配列は、骨髄及びリンパ系系統におけるロバストな導入遺伝子発現に頼った遺伝子療法適用に特に適している。
【0223】
mir-130a miRNAは、
のヌクレオチド配列を有してもよい。
【0224】
一実施形態において、mir-130a標的配列は、
のヌクレオチド配列を含む。
【0225】
一実施形態において、mir-130a標的配列は、配列番号4のヌクレオチド配列の少なくとも1つ、少なくとも2つ又は少なくとも3つのコピーを含む。好ましい実施形態において、mir-130a標的配列は、配列番号4のヌクレオチド配列の2つのコピーを含む。
【0226】
コピーmir-130a標的配列は、スペーサー配列により分離され得る。スペーサー配列は、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、又は少なくとも5つのヌクレオチド塩基を含み得る。
【0227】
一実施形態において、ベクターは、mir-126標的配列の2つのコピー及びmir-130a標的配列の2つのコピーを含む。
【0228】
一実施形態において、mir-126標的配列の2つのコピー及びmir-130a標的配列の2つのコピーは、
のヌクレオチド配列において含まれる。
【0229】
組合せ標的配列、例えば、mir-126標的配列の2つのコピー及びmir-130a標的配列の2つのコピーを含む標的配列は、この組合せの使用が、HSCにおけるベクターの阻止及び骨髄子孫における発現を最大にするので、本発明における使用に特に好ましい。
【0230】
さらに、組合せ標的を使用する場合、HSCにおける導入遺伝子ダウンレギュレーションは、2つの独立したmiRNAにより確実にされ、内在性miRNA制御に干渉するというリスクは、低減され、これにより、標的配列の安全性及び有効性を増大させる。
【0231】
ベクター
ベクターは、一方の環境から他方の環境への実体の移入を可能にするか、又は促進するツールである。本発明に従い、及び例として、組換え核酸技術において使用される一部のベクターは、実体、例えば、核酸のセグメント(例えば、異種性DNAセグメント、例えば、異種性Cdnaセグメント)が、標的細胞に移入されるのを可能にする。ベクターは、細胞内で異種性核酸(DNA又はRNA)を維持する、核酸のセグメントを含むベクターの複製を促進する、又は核酸のセグメントによりコードされるタンパク質の発現を促進するという目的を果たし得る。ベクターは、非ウイルス性又はウイルス性であってもよい。組換え核酸技術において使用されるベクターの例は、プラスミド、染色体、人工染色体及びウイルスを含むが、これらに限定されない。ベクターはまた、例えば、ネイキッド核酸(例えば、DNA)であってもよい。その最も単純な形態において、ベクターはそれ自体が、目的のヌクレオチドであってもよい。
【0232】
本発明において使用されるベクターは、例えば、プラスミド又はウイルスベクターであってもよく、ポリヌクレオチドの発現のためのプロモーター、及び場合により、プロモーターの制御因子を含んでもよい。好ましい実施形態において、ベクターは、ウイルスベクターである。
【0233】
本発明において使用されるポリヌクレオチドを含むベクターは、当該技術分野において公知の様々な技術、例えば、形質転換、トランスフェクション及び形質導入を使用し、細胞に導入されてもよい。幾つかの技術、例えば、組換えウイルスベクター、例えば、レトロウイルス、レンチウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、バキュロウイルス及び単純ヘルペスウイルスベクター、スリーピングビューティー(Sleeping Beauty)ベクターを用いた形質導入、核酸の直接的注射及び微粒子銃形質転換が、当該技術分野において公知である。
【0234】
非ウイルス送達システムは、DNAトランスフェクション方法を含むが、これに限定されない。ここでは、トランスフェクションは、遺伝子を標的細胞に送達するための非ウイルスベクターを使用したプロセスを含む。典型的なトランスフェクション方法は、エレクトロポレーション、DNA微粒子銃、脂質媒介性トランスフェクション、小型DNA媒介性トランスフェクション、リポソーム、イムノリポソーム、リポフェクチン、陽イオン性薬剤媒介性トランスフェクション、陽イオン性表面(facial)両親媒性物質(CFA)(Nature Biotechnology、1996年、14;556頁)及びそれらの組合せを含む。
【0235】
用語「トランスフェクション」は、ウイルスと非ウイルス送達の両方によるポリヌクレオチドの細胞への送達を包含すると理解されるべきである。
【0236】
加えて、本発明は、遺伝子標的化プロトコール、例えば、DNA修飾因子の送達を用いてもよい。
【0237】
ウイルス送達システムは、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター、ヘルペスウイルスベクター、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、及びバキュロウイルスベクターを含むが、これらに限定されない。
【0238】
レトロウイルスは、溶菌性ウイルスのものと異なるライフサイクルを有するRNAウイルスである。この関連で、レトロウイルスは、DNA中間体を通じて複製する感染性の実体である。レトロウイルスが細胞に感染する場合、そのゲノムは、逆転写酵素によりDNA形態に変換される。DNAコピーは、新しいRNAゲノムの産生のための鋳型及び感染性ウイルス粒子のアセンブリーに必要なウイルスによりコードされるタンパク質として働く。
【0239】
多くのレトロウイルス、例えば、マウス白血病ウイルス(MLV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ウマ伝染性貧血ウイルス(EIAV)、マウス乳房腫瘍ウイルス(MMTV)、ラウス肉腫ウイルス(RSV)、フジナミ肉腫ウイルス(FuSV)、モロニーマウス白血病ウイルス(Mo-MLV)、FBRマウス骨肉腫ウイルス(FBR MSV)、モロニーマウス肉腫ウイルス(Mo-MSV)、エーベルソンマウス白血病ウイルス(A-MLV)、トリ骨髄細胞腫症ウイルス29(MC29)、及びトリ赤芽球症ウイルス(AEV)並びにレンチウイルスを含む全ての他のレトロウイルス科が存在する。
【0240】
レトロウイルスの詳細なリストは、Coffinら(「Retroviruses」、1997年、Cold Spring Harbour Laboratory Press編:JM Coffin、SM Hughes、HE Varmus、758~763頁)において見られ得る。
【0241】
レンチウイルスはまた、レトロウイルスファミリーに属するが、それらは、分割細胞と非分割細胞の両方に感染することができる(Lewisら、(1992年)、EMBO J、3053~3058頁)。
【0242】
一実施形態において、ベクターは、レンチウイルスベクターである。
【0243】
プロモーター
一実施形態において、ベクターは、組織特異的プロモーターを含む。好ましくは、組織特異的プロモーターは、腫瘍浸潤性骨髄細胞のサブセット、例えば、Tie2発現単球(TEM)又はM2分極マクロファージを特異的な発現を駆動する。
【0244】
好ましい実施形態において、組織特異的プロモーターは、TEK(Tie2)プロモーターである。
【0245】
例となるTEKプロモーターヌクレオチド配列は、
である。
【0246】
一実施形態において、TEKプロモーターは、配列番号10のヌクレオチド配列を含む。一実施形態において、TEKプロモーターは、配列番号10に対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む。
【0247】
TEK(Tie2)プロモーターは、mir-126標的配列及び/又はmir-130a標的配列と組み合わされてもよい。これは、腫瘍浸潤性骨髄細胞のサブセット、例えば、腫瘍浸潤性マクロファージにおける特異的な導入遺伝子発現を可能にする。
【0248】
一実施形態において、ベクターは、TEK(Tie2)エンハンサー配列をさらに含んでもよい。
【0249】
例となるTEK(Tie2)エンハンサー配列は、
である。
【0250】
一実施形態において、TEKエンハンサーは、配列番号11のヌクレオチド配列を含む。一実施形態において、TEKエンハンサーは、配列番号11に対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む。
【0251】
コドン最適化
本発明において使用されるポリヌクレオチドは、コドン最適化されていてもよい。コドン最適化は、WO1999/41397及びWO2001/79518において以前に記載されている。異なる細胞は、特定のコドンのそれらの利用において異なる。このコドンバイアスは、細胞タイプにおける特定のtRNAの相対存在量におけるバイアスに対応する。それらが、対応するtRNAの相対存在量と一致するように合わされるように、配列におけるコドンを変えることにより、発現を増大させることが可能である。同様に、対応するtRNAが、特定の細胞タイプにおいて稀であることが知られているコドンを慎重に選択することにより、発現を減少させることが可能である。従って、さらなる程度の翻訳制御が、利用可能である。
【0252】
HIV及び他のレンチウイルスを含む多くのウイルスは、多数の稀なコドンを使用し、これらを一般的に使用される哺乳類コドンに対応するように変えることにより、哺乳類におけるパッケージング成分の増大した発現を達成することができる。哺乳類細胞について、並びに様々な他の生物についてのコドン利用表が、当該技術分野で公知である。
【0253】
コドン最適化はまた、mRNA不安定性モチーフ及び隠れたスプライス部位の除去を含んでもよい。
【0254】
腫瘍関連抗原(TAA)
本明細書において使用される、用語、腫瘍関連抗原(TAA、腫瘍抗原としても公知)は、がん細胞、例えば、腫瘍細胞により発現される抗原分子を指す。TAAは、TAA分子の部分(例えば、エピトープ)に特異的に結合することができる免疫受容体(例えば、TCR、トランスジェニックTCR又はCAR)を発現する免疫細胞により認識され得る。
【0255】
本明細書において使用される、用語、TAA特異的T細胞は、TAAに特異的であるTCR又はCARを発現するT細胞を指す。
【0256】
TAA特異的TCR又はTAA特異的CARを発現するT細胞は、TAAを発現する腫瘍細胞を特異的に標的にし、殺傷することができ得る。TAA特異的TCRは、トランスジェニックTCRであってもよい。
【0257】
一実施形態において、TAA特異的T細胞は、遺伝子操作されていなくてもよい。T細胞は、天然に誘導された腫瘍特異的T細胞であってもよい。例えば、本発明において使用されるT細胞は、腫瘍又はリンパ節から拡大されてもよい。
【0258】
特定のTAAは、非腫瘍細胞(例えば、健常細胞)と比較して、特定のタイプの腫瘍細胞上で高い相対存在量で発現されてもよい。
【0259】
TAAの例は、癌胎児抗原(CEA)、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、エフリンB2、ROR1、メソテリン、c-Met、GD-2、及びMAGE A3 TCR、4-1BB、腺癌抗原、アルファ-フェトプロテイン、BAFF、Bリンパ腫細胞、C242抗原、炭酸脱水酵素9(CA-IX)、CCR4、CD152、CD200、CD22、CD19、CD22、CD123、CD221、CD23(IgE受容体)、CD28、CD4、CD40、CD44、CD44 v6、CD51、CD52、CD56、CD74、CD80、CS-1、CNT0888、CTLA-4、DR5、EpCAM、CD3、フィブロネクチンエキストラドメインB、葉酸受容体1、糖タンパク質75、GPNMB、HGF、ヒト散乱因子受容体キナーゼ、IGF-1受容体、IGF-I、IgGl、L1-CAM、IL-13、IL-6、インスリン様増殖因子I受容体、インテグリンα5β1、インテグリンαvβ3、MORAb-009、MS4A1、ムチンCanAg、N-グリコリルノイラミン酸、NPC-1C、PDGF-Rα、PDL192、ホスファチジルセリン、前立腺癌細胞、RANKL、RON、SCH 900105、SDC1、SLAMF7、テネイシンC、TGFベータ2、TGF-β、TRAIL-R1、TRAIL-R2、腫瘍抗原CTAA16.88、血管内皮増殖因子(VEGF)、VEGF-A、VEGFR-1、VEGFR2、ビメンチン、5T4、CD5、CD19、CD20、CD21、CD25、CD37、CD30、CD33、CD45、CAMPATH-1(CDw52)、HLA-DR、抗イディオタイプ、TAG-72、Ep-CAM、MUC1、葉酸結合タンパク質、A33、G250、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、前立腺特異的抗原(PSA)、フェリチン、ガングリオシド(例えば、GD2、GD3、GM2)、Ley、CA-125、CA19-9、上皮増殖因子受容体(EGFR)、p185HER2、IL-2受容体、de2-7 EGFR、線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)、テネイシン、メタロプロテイナーゼ、エンドシアリン、炭酸脱水酵素、ガレクチン9、アルドラーゼA、eIFγ4、チロシナーゼ、ガレクチン4、HERKV-K10、p53、NY-LU-12、レスチン、NY-CO-38、MAGE-1、MAGE-4a、SSX2、NY-ESO-1、SCP-1、707-AP、AFP、ART-4、BAGE、b-カテニン/m、Bcr-abl、CAMEL、CAP-1、CASP-8、CDC27m、CDK4/m、CT、Cyp-B、DAM-6(MAGE-B2)及びDAM-10(MAGE-B1)、ELF2M、ETV6-AML1、G250、GAGE、GnT-V、Gp100、HAGE、HER-2/neu、HLA-A*0201-R170I、HPV-E7、HSP70-2M、HST-2、hTERT(hTRT)、iCE、KIAA0205、LAGE、LDLR/FUT、MAGE、MART-1/メラン-A、MC1R、ミオシン/m、MUC1、MUM-1、MUM-2、MUM-3、NA88-A、NY-ESO-1、P15、p190マイナーbcr-abl、Pml/RARa、PRAME、RAGE、RU1、RU2、SAGE、SART-1、SART-3、TEL/AML1、TPI/m、TRP-1、タンパク質1、gp75、TRP-2、TRP-2/INT2又はWT1を含む。
【0260】
追加のTAAは、当該技術分野において公知の方法を使用して同定されてもよい、例えば、その内容が参照により本明細書に取り込まれる、Zilberbergら、2015年(Biology of Blood and Marrow Transplantation、21巻、6号、2015年6月、1000~1007頁)による総説を参照のこと。
【0261】
T細胞
本明細書において使用される、用語「T細胞」は、CD8+T細胞、CD4+T細胞、ナイーブT細胞、メモリー幹T細胞、セントラルメモリーT細胞、ダブルネガティブT細胞、エフェクターメモリーT細胞、エフェクターT細胞、Th0細胞、Tc0細胞、Th1細胞、Tc1細胞、Th2細胞、Tc2細胞、Th17細胞、Th22細胞、ガンマ/デルタT細胞を指し得る。
【0262】
本発明において使用されるT細胞は、養子T細胞移入のため使用されてもよい。本発明はまた、腫瘍浸潤性リンパ球(TIL)及び/又は骨髄浸潤性リンパ球(MIL)の養子移入を包含する。
【0263】
本明細書において使用される、用語「養子T細胞移入」は、T細胞集団の患者への投与を指す。T細胞は、対象から単離され、次に、遺伝子修飾され、患者に投与される前にTAA特異的TCR又はCARを発現するようにインビトロ(エクスビボ)で培養されてもよい。
【0264】
養子細胞移入は、同種間又は自家であってもよい。
【0265】
「自家細胞移入」により、細胞の開始集団が、形質導入されたT細胞集団が投与されるのと同じ対象から得られることは、理解されるべきである。自家移入は、免疫学的不適合性に付随する問題を回避し、遺伝子上一致しているドナーの有効性の無関係な対象に利用可能であるので、有利である。
【0266】
「同種間細胞移入」により、細胞の開始集団が、形質導入された細胞集団が投与されるのと異なる対象から得られることは、理解されるべきである。好ましくは、ドナーは、細胞が、免疫学的不適合性のリスクを最小にするために投与される対象と遺伝子上一致している。或いは、ドナーは、患者とミスマッチであるか、又は無関連であってもよい。
【0267】
形質導入された細胞集団の適当な用量は、例えば、治療上及び/又は予防上有効であるべきである。投与されるべき用量は、処置されるべき対象及び状態に依存し、当業者により容易に決定され得る。
【0268】
T細胞は、患者から単離されたT細胞に由来してもよい。T細胞は、対象から単離された混合された細胞集団、例えば、末梢血リンパ球(PBL)の集団の一部であってもよい。PBL集団内のT細胞は、当該技術分野において公知の方法により、例えば、抗CD3及び/若しくは抗CD28抗体、又は抗CD3及び/若しくは抗CD28抗体とコンジュゲートした細胞サイズのビーズを使用して、活性化されてもよい。
【0269】
T細胞は、CD4+ヘルパーT細胞又はCD8+細胞傷害性T細胞であってもよい。T細胞は、CD4+ヘルパーT細胞/CD8+細胞傷害性T細胞の混合された集団内であってもよい。ポリクローナル活性化、例えば、場合により、抗CD28抗体と組み合わせて抗CD3抗体を使用することは、CD4+及びCD8+T細胞の増殖をトリガーする。
【0270】
T細胞は、遺伝子修飾された細胞が、養子導入されるべきである対象から単離されてもよい。これに関して、細胞は、T細胞を対象から単離すること、場合により、T細胞を活性化すること、TCR遺伝子を細胞にエクスビボで移入することにより、作製されてもよい。その場合、続く、対象の免疫療法は、TCRを形質導入された細胞の養子移入により行われてもよい。本明細書において使用される、このプロセスは、自家T細胞移入を指し、すなわち、TCRを形質導入された細胞が、T細胞が元々由来する同じ対象に投与される。
【0271】
或いは、T細胞は、それが同種間であるように、異なる対象から単離されてもよい。T細胞は、ドナー対象から単離されてもよい。例えば、対象が、同種間造血幹細胞移植(Allo-HSCT)又は固形器官移植又は細胞移植又は幹細胞療法を受けている場合、細胞は、器官、組織又は細胞が由来するドナーに由来してもよい。ドナー及び処置を受けている対象は、同胞であってもよい。
【0272】
或いは、T細胞は、幹細胞、例えば、造血幹細胞(HSC)に由来してもよい。HSCへの遺伝子移入は、幹細胞がCD3分子を発現しないので、細胞表面でのTCR発現を導かない。しかしながら、幹細胞が、胸腺に遊走するリンパ系前駆体に分化する場合、CD3発現の開始は、胸腺細胞における導入されたTCRの表面発現を導く。
【0273】
このアプローチの利点は、導入されたTCR鎖の発現は、内在性TCR遺伝子セグメントの再構成を抑制して、機能的TCRアルファ及びベータ遺伝子を形成するので、成熟T細胞が、生成されると、導入されたTCRのみを発現し、内在性TCR鎖をほとんど、又は全く発現しないことである。さらなる利点は、遺伝子修飾された幹細胞が、所望の抗原特異性を有する成熟T細胞の継続的供給源であることである。従って、本明細書において定義されたHSC、HPC、又はベクターは、分化するとTAA特異的TCRを発現するT細胞を生じる、遺伝子修飾された幹細胞、好ましくは、遺伝子修飾された造血幹細胞と組み合わせて使用されてもよい。
【0274】
当該技術分野において公知の他のアプローチを使用して、本発明の細胞又は本発明の方法により調製される細胞における内在性遺伝子の発現を低減するか、制限するか、妨げるか、サイレンシングするか、又は抑止してもよい。
【0275】
本明細書において使用される、用語「破壊すること」は、遺伝子の発現を低減すること、制限すること、妨げること、サイレンシングすること、又は抑止することを指す。当業者は、内在性遺伝子を破壊する当該技術分野において公知の任意の方法、例えば、ゲノム編集、遺伝子サイレンシング、遺伝子ノックダウン又は遺伝子ノックアウトの任意の適当な方法を使用することができる。
【0276】
例えば、内在性遺伝子は、人工ヌクレアーゼを用いて破壊されてもよい。人工ヌクレアーゼは、例えば、特定のポリヌクレオチド配列(例えば、目的の遺伝子をコードする)を選択的に標的にする、及び前記ポリヌクレオチド配列において二本鎖中断を導入するように操作された人工制限酵素である。典型的には、二本鎖中断(DSB)は、誤りがちな非相同末端結合(NHEJ)により修復され、これにより、内在性遺伝子を発現することができない場合のある非機能的ポリヌクレオチド配列の形成がもたらされる。
【0277】
一部の実施形態において、人工ヌクレアーゼは、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)及びCRISPR/Cas(例えば、CRISPR/Cas9)からなる群から選択される。
【0278】
T細胞受容体(TCR)
抗原処理中、抗原は、細胞内で分解され、次に、主要組織適合複合体(MHC)分子により細胞表面に運ばれる。T細胞はまた、抗原提示細胞の表面にあるこのペプチド:MHC複合体を認識することができる。2つの異なるクラスのMHC分子:MHC I及びMHC IIが存在し、各クラスが、異なる細胞コンパートメント由来のペプチドを細胞表面に送達する。
【0279】
T細胞受容体(TCR)は、MHC分子に結合した抗原の認識に関与するT細胞の表面において見られる分子である。TCRヘテロダイマーは、T細胞のおよそ95%においてアルファ(α)及びベータ(β)鎖からなり、一方、T細胞のおよそ5%は、ガンマ(γ)及びデルタ(δ)鎖からなるTCRを有する。
【0280】
TCRの抗原及びMHCとの会合は、TCRが、関連する酵素、共受容体、及び専門化されたアクセサリー分子により媒介される一連の生化学的事象を通じて発現される、Tリンパ球の活性化をもたらす。
【0281】
TCRの各鎖は、免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバーであり、1つのN末端免疫グロブリン(Ig)-可変(V)ドメイン、1つのIg-定常(C)ドメイン、膜貫通型/細胞膜貫通領域、及びC末端に短い細胞質テイルを有する。
【0282】
TCR α鎖とβ鎖の両方の可変ドメインは、3つの超可変又は相補性決定領域(CDR)を有する。アルファ鎖のCDR1はまた、抗原性ペプチドのN末端部分と相互作用する一方、ベータ鎖のCDR1は、ペプチドのC末端部分と相互作用することが示されているが、CDR3は、処理された抗原の認識に関与する主要なCDRである。CDR2は、MHC分子を認識すると考えられている。
【0283】
TCRドメインの定常ドメインは、システイン残基がジスルフィド結合を形成し、2つの鎖の間で連結を作る、短い接続配列からなる。
【0284】
本発明において使用されるTCRは、TCRが、定常ドメインにおいて2つ以上のジスルフィド結合を含み得るように、α及びβ鎖のそれぞれにおいて1つ以上の追加のシステイン残基を有してもよい。
【0285】
構造により、哺乳類における3つの異なる鎖(γ、δ、及びε)及びζ鎖を有するCD3のような他の分子とTCRを関連付けることが可能になる。これらのアクセサリー分子は、負に荷電した膜貫通型領域を有し、TCRから細胞へのシグナルを伝播するのにきわめて重要である。CD3-及びζ-鎖は、TCRと一緒に、T細胞受容体複合体としても知られるものを形成する。
【0286】
T細胞複合体からのシグナルは、特異的共受容体によるMHC分子の同時結合により増強される。ヘルパーT細胞について、この共受容体は、CD4(クラスII MHCに特異的)であり、一方、細胞傷害性T細胞について、この共受容体は、CD8(クラスI MHCに特異的)である。共受容体により、抗原提示細胞とT細胞の間で長期の会合が可能になり、活性化Tリンパ球のシグナル伝達に関与する細胞内の必須分子(例えば、LCK)を動員する。
【0287】
従って、本明細書において使用される、用語「T細胞受容体」(TCR)は、MHC分子により提示された場合、ペプチドを認識する能力がある分子を指す。分子は、2つの鎖α及びβ(又は場合により、γ及びδ)のヘテロダイマーであってもよいか、又はそれは、一本鎖TCRコンストラクトであってもよい。
【0288】
本発明において使用されるTCRは、1つより多くの種に由来する配列を含むハイブリッドTCRであってもよい。例えば、驚くべきことに、マウスTCRが、ヒトTCRよりもヒトT細胞においてより効率的に発現されることが見出された。それ故、TCRは、ヒト可変領域及びマウス定常領域を含んでもよい。
【0289】
このアプローチの欠点は、マウス定常配列が、免疫応答をトリガーし、移入されたT細胞の拒絶を導き得ることである。しかしながら、養子T細胞療法のための患者を整えるために使用される条件付けレジメンは、マウス配列を発現するT細胞の生着を可能にするのに十分な免疫抑制をもたらし得る。
【0290】
主要組織適合複合体(MHC)に結合した抗原性ペプチドとの接触の大部分を確立するTCRの部分は、相補性決定領域3(CDR3)であり、各T細胞クローンに固有である。CDR3領域は、胸腺において生じ、可変(V)、多様性(β及びδ鎖について、D)及び結合(J)遺伝子に属する不連続な遺伝子が関与する体細胞の再構成事象の際に生じる。さらに、各TCR鎖遺伝子の再構成座位にて挿入/欠失されるランダムヌクレオチドは、高度に可変のCDR3配列の多様性を大幅に増大させる。従って、生物学的試料における特異的なCDR3配列の頻度は、特異的T細胞集団の存在量を示す。健常な人間におけるTCRレパートリーの多種多様性は、抗原提示細胞の表面上でMHC分子により提示される様々な外来抗原に対する広範な保護をもたらす。これに関して、理論上最大1015個の異なるTCRが、胸腺において生じ得ることは、注目すべきことである。
【0291】
T細胞受容体多様性は、CDR3に焦点を当てており、この領域は、主に抗原認識に関与する。
【0292】
CDRは、例えば、所与の配列から1、2、又は3個の置換、付加又は欠失を含んでもよく、但し、TCRは、MHC分子により提示される場合、TAA由来ペプチドを結合する能力を保持する。
【0293】
TAAに特異的なTCRは、当該技術分野において公知の任意の方法を使用して当業者により容易に生成され得る。
【0294】
例えば、TAA特異的TCRは、Linnemannら(Nature Medicine 19、1534~1541頁(2013年))のTCR遺伝子捕捉方法により同定されてもよい。簡潔に述べると、この方法は、高処理のDNAベースのストラテジーを使用して、TCR遺伝子をコードするゲノムDNA断片の捕捉及び配列決定によりTCR配列を同定し、それを使用して、TAA特異的TCRを同定し得る。
【0295】
改良されたTCR発現及び低減したTCR誤対合
CD3分子の供給が増大されるにつれ、例えば、本発明のTCRを発現するように修飾された細胞においてTCR発現が増大され得る。従って、T細胞は、CD3-ガンマ、CD3-デルタ、CD3-イプシロン及び/又はCD3-ゼータをコードする1つ以上の遺伝子を含むよう修飾されてもよい(例えば、ベクターを使用して)。一実施形態において、T細胞は、CD3-ゼータをコードする遺伝子を含む。T細胞は、CD8をコードする遺伝子を含んでもよい。そのような遺伝子をコードするベクターは、遺伝子操作された細胞の安全プロファイルを増大させるために、選択可能なマーカー又は自殺遺伝子をコードしてもよい。遺伝子は、自己切断性配列、例えば、2A自己切断性配列により連結されてもよい。
【0296】
或いは、CD3遺伝子をコードする1つ以上の別々のベクターは、TCRをコードする1つ以上のベクターと同時、逐次又は別々でのT細胞への共移入のため提供されてもよい。
【0297】
トランスジェニックTCRを本発明において使用されるT細胞において発現させて、T細胞の抗原特異性を変えてもよい。TCRを形質導入されたT細胞は、少なくとも2つのTCRアルファ及び2つのTCRベータ鎖を発現する。内在性TCRアルファ/ベータ鎖は自己寛容である受容体を形成する一方、導入されたTCRアルファ/ベータ鎖は、所与の標的抗原について定義された特異性を有する受容体を形成する。
【0298】
しかしながら、移入されたTCRは、内在性TCRの存在により希釈され、腫瘍特異的TCRの発現が最適以下になり得るので、TCR遺伝子療法は、移入された(すなわち、トランスジェニック)TCRの十分な発現を要求する。さらに、内在性鎖と導入された鎖の間の誤対合が生じて、新規の受容体が形成され得、自己抗原についての予想できない特異性を示し、患者に移入された場合、自己免疫損傷を引き起こし得る。
【0299】
故に、幾つかのストラテジーを調査して、内在性TCR鎖と導入されたTCR鎖の間の誤対合のリスクを低減した。TCRアルファ/ベータ界面の変異は、望ましくない誤対合を低減するために現在利用されている1つのストラテジーである。例えば、アルファ及びベータ鎖の定常ドメインにおけるシステインの導入は、ジスルフィド結合の形成を可能にし、野生型の鎖との誤対合を低減しながら、導入された鎖の対形成を増強する。
【0300】
従って、本発明において使用されるTCRは、α鎖及びβ鎖が、T細胞において発現される場合、前記鎖と内在性TCR α及びβ鎖の間の誤対合の頻度が低減されるように、α鎖/β鎖の界面で1つ以上の変異を含んでもよい。一実施形態において、1つ以上の変異は、システイン残基を、α鎖及びβ鎖のそれぞれの定常領域ドメインに導入し、システイン残基は、α鎖とβ鎖の間でジスルフィド結合を形成する能力がある。
【0301】
誤対合を低減するための別のストラテジーは、腫瘍特異的TCR α及び又はβ鎖をコードする遺伝子に加えられ、内在性TCR遺伝子の発現を制限するように設計された、siRNAをコードするポリヌクレオチド配列の導入に依存する(Okamoto S、Cancer research、69、9003~9011頁、2009年)。
【0302】
従って、本発明において使用されるTCRをコードするベクター又はポリヌクレオチドは、内在性TCR遺伝子の発現を制限するか、又は阻止する目的の、1つ以上のsiRNA又は他の薬剤を含んでもよい。
【0303】
内在性TCR遺伝子の定常領域(TRAC及び、又はTRBC)を標的にし、内在性TCRアルファ及び/又はベータ鎖遺伝子の永続的な破壊を得て、これにより、腫瘍特異的TCRの完全な発現を可能にし、TCR誤対合のリスクを低減するか、又は阻止するように設計された、人工ヌクレアーゼ、例えば、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)又はCRISPR/Casシステムを組み合わせることも可能である。TCR遺伝子編集としても知られる、このプロセスは、インビトロ及びインビボでのTCR遺伝子移入よりも優れていることが判明した(Provasi E.、Genovese P.、Nature Medicine May;18(5):807~15頁;2012年)。
【0304】
加えて、ゲノム編集テクノロジーは、本発明において使用されるTCRをコードするポリヌクレオチド、並びに場合により、1つ以上のプロモーター領域及び/又は他の発現制御配列を含む、発現カセットの人工ヌクレアーゼにより破壊された内在性遺伝子への標的化された組込みを可能にする(Lombardo A.、Nature biotechnology 25、1298~1306頁;2007年)。
【0305】
トランスジェニックTCRの発現を増大させ、TCR誤対合を低減するために開発された別のストラテジーは、ヒトTCR α及びTCR β定常領域(例えば、TRAC、TRBC1及びTRBC2領域)をそれらのマウス対応部分と置き換える、「マウス化」にある。TCR定常領域のマウス化は、例えば、Sommermeyer and Uckert J Immunol;2010年(184:6223~6231頁)において記載されている。従って、本発明において使用されるTCRは、マウス化されてもよい。
【0306】
キメラ抗原受容体(CAR)
CARは、細胞外リガンド結合ドメイン、最も一般的には、細胞内シグナル伝達成分に連結したモノクローナル抗体(scFv)の一本鎖可変断片、最も一般的には、CD3ζ単独又は1つ以上の共刺激ドメインと組み合わせたCD3ζを含む。スペーサーを、多くの場合、細胞外抗原結合ドメインと膜貫通型部分の間に加えて、標的との相互作用を最適化する。
【0307】
本発明における使用のためのCARは、
(i)抗原特異的標的ドメイン、
(ii)膜貫通型ドメイン、
(iii)場合により、少なくとも1つの共刺激ドメイン、及び
(iv)細胞内シグナル伝達ドメイン
を含み得る。
【0308】
好ましくは、抗原特異的標的ドメインは、抗体又はその断片、より好ましくは、一本鎖可変断片を含む。
【0309】
好ましくは、抗原特異的標的ドメインは、TAAを標的にする。
【0310】
一実施形態において、抗原特異的標的ドメインは、CD19を標的にする。
【0311】
膜貫通型ドメインの例は、T細胞受容体複合体、CD28及びCD8aのゼータ鎖の膜貫通型ドメインを含む。
【0312】
共刺激ドメインの例は、CD28、CD137(4-1BB)、CD134(OX40)、DaplO、CD27、CD2、CD5、ICAM-1、LFA-1、Lck、TNFR-I、TNFR-II、Fas、CD30及びCD40由来の共刺激ドメインを含む。
【0313】
一実施形態において、共刺激ドメインは、CD28由来の共刺激ドメインである。
【0314】
細胞内シグナル伝達ドメインの例は、ヒトCD3ゼータ鎖、FcyRIII、FcsRI、Fc受容体の細胞質テイル及び細胞質受容体を有する免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフ(ITAM)を含む。
【0315】
キメラ抗原受容体
本明細書において使用される「キメラ抗原受容体」又は「CAR(単数又は複数)」は、細胞(例えば、T細胞、例えば、ナイーブT細胞、セントラルメモリーT細胞、エフェクターメモリーT細胞又はそれらの組合せ)上に抗原特異性を付与することができる操作された受容体を指す。CARは、人工T細胞受容体、キメラT細胞受容体又はキメラ免疫受容体としても知られている。好ましくは、本発明のCARは、抗原特異的標的領域、細胞外ドメイン、膜貫通型ドメイン、場合により、1つ以上の共刺激ドメイン、及び細胞内シグナル伝達ドメインを含む。
【0316】
抗原特異的標的ドメイン
抗原特異的標的ドメインは、目的の標的抗原に結合する能力をCARにもたらす。抗原特異的標的ドメインは、好ましくは、腫瘍殺傷をもたらすエフェクター免疫応答をそれに対してトリガーすることが望ましい、臨床上関心がもたれる抗原を標的にする。
【0317】
抗原特異的標的ドメインは、生物学的分子(例えば、細胞表面受容体若しくは腫瘍タンパク質、又はそれらの組合せ)を特異的に認識し、それに結合する能力を有する任意のタンパク質又はペプチドであり得る。抗原特異的標的ドメインは、目的の生物学的分子についての、任意の天然に生じる、合成、半合成、又は組換え生成された結合パートナーを含む。
【0318】
例証となる抗原特異的標的ドメインは、抗体又は抗体断片若しくは誘導体、受容体の細胞外ドメイン、細胞表面分子/受容体についてのリガンド、或いはその受容体結合ドメイン、及び腫瘍結合タンパク質を含む。
【0319】
好ましい実施形態において、抗原特異的標的ドメインは、抗体であるか、又はそれに由来する。抗体由来の標的メインは、抗体の断片又は抗体の1つ以上の断片の遺伝子操作された産物であり得、その断片は、抗原との結合に関与する。例は、可変領域(Fv)、相補性決定領域(CDR)、Fab、一本鎖抗体(scFv)、重鎖可変領域(VH)、軽鎖可変領域(VL)及びラクダ科抗体(VHH)を含む。
【0320】
好ましい実施形態において、結合ドメインは、一本鎖抗体(scFv)である。scFvは、マウス、ヒト又はヒト化scFvであってもよい。
【0321】
抗体又はその抗原結合断片に関して「相補性決定領域」又は「CDR」は、抗体の重鎖又は軽鎖の可変領域における高度に可変のループを指す。CDRは、抗原立体構造と相互作用し、抗原への結合を主に決定することができる(一部のフレームワーク領域は、結合に関与することが知られているが)。重鎖可変領域及び軽鎖可変領域は、それぞれ、3つのCDRを含有する。
【0322】
「重鎖可変領域」又は「VH」は、CDRよりも高度に保存され、CDRを支持するためのスキャッフォールドを形成する、フレームワーク領域としても知られる隣接区画間に挿入された3つのCDRを含有する抗体の重鎖の断片を指す。
【0323】
「軽鎖可変領域」又は「VL」は、フレームワーク領域の間に挿入された3つCDRを含有する抗体の軽鎖の断片を指す。
【0324】
「Fv」は、完全な抗原結合部位を有する抗体の最小の断片を指す。Fv断片は、1本の重鎖の可変領域に結合した1本の軽鎖の可変領域からなる。
【0325】
「一本鎖Fv抗体」又は「scFv」は、互いに直接又はペプチドリンカー配列を介して接続された軽鎖可変領域及び重鎖可変領域からなる操作された抗体を指す。
【0326】
腫瘍細胞表面分子を特異的に結合する抗体は、当該技術分野において周知の方法を使用して調製することができる。そのような方法は、ファージディスプレイ、ヒト若しくはヒト化抗体を生成する方法、又はヒト抗体を産生するように操作されたトランスジェニック動物若しくは植物を使用する方法を含む。部分的又は完全に合成の抗体のファージディスプレイライブラリーが、利用可能であり、標的分子に結合し得る抗体又はその断片についてスクリーニングされ得る。ヒト抗体のファージディスプレイライブラリーもまた、利用可能である。同定されると、抗体をコードするアミノ酸配列又はポリヌクレオチド配列を、単離及び/又は決定することができる。
【0327】
がん抗原を標的にする標的ドメインに関して、標的ドメインの選択は、処置されるべきがんのタイプに依存し、腫瘍抗原を標的にし得る。対象由来の腫瘍試料は、ある種のバイオマーカー又は細胞表面マーカーの存在について特徴付けられ得る。例えば、対象由来の乳がん細胞は、Her2Neu、エストロゲン受容体、及び/又はプロゲステロン受容体のそれぞれについて陽性又は陰性であってもよい。個々の対象の腫瘍細胞上で見られる、腫瘍抗原又は細胞表面分子が選択される。好ましくは、抗原特異的標的ドメインは、腫瘍細胞上で見られ、実質的に正常組織上では見られないか、又は生命維持に必要ではない正常組織にその発現が制限される、細胞表面分子を標的にする。
【0328】
本発明において使用されるCARにより標的にされ得るTAAは、癌胎児抗原(CEA)、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、エフリンB2、ROR1、メソテリン、c-Met、GD-2、及びMAGE A3 TCR、4-1BB、腺癌抗原、アルファ-フェトプロテイン、BAFF、Bリンパ腫細胞、C242抗原、炭酸脱水酵素9(CA-IX)、CCR4、CD152、CD200、CD22、CD19、CD22、CD123、CD221、CD23(IgE受容体)、CD28、CD4、CD40、CD44、CD44 v6、CD51、CD52、CD56、CD74、CD80、CS-1、CNT0888、CTLA-4、DR5、EpCAM、CD3、フィブロネクチンエキストラドメインB、葉酸受容体1、糖タンパク質75、GPNMB、HGF、ヒト散乱因子受容体キナーゼ、IGF-1受容体、IGF-I、IgGl、L1-CAM、IL-13、IL-6、インスリン様増殖因子I受容体、インテグリンα5β1、インテグリンαvβ3、MORAb-009、MS4A1、ムチンCanAg、N-グリコリルノイラミン酸、NPC-1C、PDGF-Rα、PDL192、ホスファチジルセリン、前立腺癌細胞、RANKL、RON、SCH 900105、SDC1、SLAMF7、テネイシンC、TGFベータ2、TGF-β、TRAIL-R1、TRAIL-R2、腫瘍抗原CTAA16.88、血管内皮増殖因子(VEGF)、VEGF-A、VEGFR-1、VEGFR2、ビメンチン、5T4、CD5、CD19、CD20、CD21、CD25、CD37、CD30、CD33、CD45、CAMPATH-1(CDw52)、HLA-DR、抗イディオタイプ、TAG-72、Ep-CAM、MUC1、葉酸結合タンパク質、A33、G250、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、前立腺特異的抗原(PSA)、フェリチン、ガングリオシド(例えば、GD2、GD3、GM2)、Ley、CA-125、CA19-9、上皮増殖因子受容体(EGFR)、p185HER2、IL-2受容体、de2-7 EGFR、線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)、テネイシン、メタロプロテイナーゼ、エンドシアリン、炭酸脱水酵素、ガレクチン9、アルドラーゼA、eIFγ4、チロシナーゼ、ガレクチン4、HERKV-K10、p53、NY-LU-12、レスチン、NY-CO-38、MAGE-1、MAGE-4a、SSX2、NY-ESO-1、SCP-1、707-AP、AFP、ART-4、BAGE、b-カテニン/m、Bcr-abl、CAMEL、CAP-1、CASP-8、CDC27m、CDK4/m、CT、Cyp-B、DAM-6(MAGE-B2)及びDAM-10(MAGE-B1)、ELF2M、ETV6-AML1、G250、GAGE、GnT-V、Gp100、HAGE、HER-2/neu、HLA-A*0201-R170I、HPV-E7、HSP70-2M、HST-2、hTERT(hTRT)、iCE、KIAA0205、LAGE、LDLR/FUT、MAGE、MART-1/メラン-A、MC1R、ミオシン/m、MUC1、MUM-1、MUM-2、MUM-3、NA88-A、NY-ESO-1、P15、p190マイナーbcr-abl、Pml/RARa、PRAME、RAGE、RU1、RU2、SAGE、SART-1、SART-3、TEL/AML1、TPI/m、TRP-1、タンパク質1、gp75、TRP-2、TRP-2/INT2又はWT1のうち任意の1つ以上を含むが、これらに限定されない。
【0329】
共刺激ドメイン
本発明において使用されるCARはまた、1つ以上の共刺激ドメインを含んでもよい。このドメインは、細胞増殖、細胞生存及びメモリー細胞の発生を増強し得る。
【0330】
各共刺激ドメインは、例えば、TNFRスーパーファミリーのメンバー、CD28、CD137(4-1BB)、CD134(OX40)、DaplO、CD27、CD2、CD5、ICAM-1、LFA-1、Lck、TNFR-1、TNFR-II、Fas、CD30、CD40又はそれらの組合せの任意の1つ以上の共刺激ドメインを含む。他のタンパク質由来の共刺激ドメインはまた、本発明において使用されるCARと共に使用されてもよい。さらなる共刺激ドメインは、当業者に明らかである。
【0331】
細胞内シグナル伝達ドメイン
本発明において使用されるCARはまた、細胞内シグナル伝達ドメインを含んでもよい。このドメインは、細胞質であってもよく、エフェクター機能シグナルを伝達し、細胞がその専門化した機能を行うよう指示してもよい。細胞内シグナル伝達ドメインの例は、T細胞受容体のζ鎖又はその相同体のいずれか(例えば、η鎖、FcεR1γ及びβ鎖、MB1(Igα)鎖、B29(Igβ)鎖等)、CD3ポリペプチド(Δ、δ及びε)、sykファミリーチロシンキナーゼ(Syk、ZAP70等)、srcファミリーチロシンキナーゼ(Lck、Fyn、Lyn等)並びにT細胞の伝達に関与する他の分子、例えば、CD2、CD5及びCD28を含むが、これらに限定されない。細胞内シグナル伝達ドメインは、ヒトCD3ゼータ鎖、FcyRIII、FcsRI、Fc受容体の細胞質テイル、細胞質受容体を有する免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフ(ITAM)、又はそれらの組合せであってもよい。
【0332】
膜貫通型ドメイン
本発明において使用されるCARはまた、膜貫通型ドメインを含んでもよい。膜貫通型ドメインは、I型、II型又はIII型膜貫通型タンパク質のいずれかを含む、膜貫通型ドメインを有する任意のタンパク質由来の膜貫通型配列を含み得る。本発明において使用されるCARの膜貫通型ドメインはまた、人工疎水性配列を含んでもよい。本発明において使用されるCARの膜貫通型ドメインは、二量体化しないように選択されてもよい。さらなる膜貫通型ドメインは、当業者に明らかである。CARコンストラクトにおいて使用される膜貫通型(TM)領域の例は、1)CD28 TM領域(Puleら、Mol Ther、2005年、11月;12(5):933~41頁;Brentjensら、CCR、2007年、9月、15;13(18 Pt 1):5426~35頁;Casucciら、Blood、2013年、11月、14;122(20):3461~72頁);2)OX40 TM領域(Puleら、Mol Ther、2005年、11月;12(5):933~41頁);3)41BB TM領域(Brentjensら、CCR、2007年、9月、15;13(18 Pt 1):5426~35頁);4)CD3ゼータTM領域(Puleら、Mol Ther、2005年、11月;12(5):933~41頁;Savoldo B、Blood、2009年、6月、18;113(25):6392~402頁);5)CD8a TM領域(Maherら、Nat Biotechnol、2002年、1月;20(1):70~5;Imai C、Leukemia、2004年、4月;18(4):676~84頁;Brentjensら、CCR、2007年、9月、15;13(18 Pt 1):5426~35頁;Miloneら、Mol Ther、2009年、8月;17(8):1453~64頁)である。
【0333】
免疫チェックポイント阻害薬
本明細書において使用される、用語、免疫チェックポイント阻害薬は、阻害性チェックポイント分子の発現を阻害するか、遮断するか、妨げるか、低減するか、若しくはダウンレギュレートするか、又はそうでなければ、阻害性チェックポイント分子に拮抗する分子、化合物、抗体又は薬物を指す。細胞表面上で発現される場合、阻害性チェックポイント分子は、前記細胞に対するT細胞媒介性免疫応答を阻害するか、又は抑える。例えば、阻害性チェックポイント分子の発現は、細胞がT細胞応答により殺傷されるのを妨げ得る。阻害性チェックポイント分子は、がん細胞が宿主T細胞応答を回避するのを可能にし得るので、がん細胞が、阻害性チェックポイント分子を発現する場合、この機序は、特に有害である。従って、腫瘍細胞上の阻害性チェックポイント分子が、免疫チェックポイント阻害薬により阻害される場合、腫瘍細胞に対する増強された宿主T細胞応答が生じるべきである。
【0334】
一実施形態において、免疫チェックポイント阻害薬は、A2AR(アデノシンA2A受容体)、B7-H3(CD276)、B7-H4(VTCN1)、BTLA(B及びTリンパ球アテニュエーター;CD272)、HVEM(ヘルペスウイルスエントリーメディエーター)、CTLA-4(細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4;CD152)、IDO(インドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ)、TDO(トリプトファン2,3-ジオキシゲナーゼ)、KIR(キラー細胞免疫グロブリン様受容体)、LAG3(リンパ球活性化遺伝子3)、PD-1(プログラム細胞死1受容体)、PD-L1(PD-1リガンド1)、PD-L2(PD-1リガンド2)、TIM-3(T細胞免疫グロブリンドメイン及びムチンドメイン3)、VISTA(T細胞活性化のVドメインIg抑制因子)、B7-1(CD80)、B7-2(CD86)からなる群から選択される阻害性チェックポイント分子を阻害する。チェックポイント阻害薬の組合せもまた使用され得る。
【0335】
一実施形態において、免疫チェックポイント阻害薬は、PD-1阻害薬であり、好ましくは、PD-1阻害薬は、抗PD-1抗体である。
【0336】
別の実施形態において、免疫チェックポイント阻害薬は、PD-L1阻害薬であり、好ましくは、PD-L1阻害薬は、抗PD-L1抗体である。
【0337】
別の実施形態において、免疫チェックポイント阻害薬は、PD-L2阻害薬であり、好ましくは、PD-L2阻害薬は、抗PD-L2抗体である。
【0338】
別の実施形態において、免疫チェックポイント阻害薬は、CTLA4阻害薬であり、好ましくは、CTLA4阻害薬は、抗CTLA4抗体である。
【0339】
別の実施形態において、免疫チェックポイント阻害薬は、LAG-3阻害薬であり、好ましくは、LAG-3阻害薬は、抗LAG-3抗体である。
【0340】
本明細書において使用される、用語「抗体」は、抗原(例えば、細胞表面マーカー)に特異的に結合し、認識する、免疫グロブリン遺伝子(単数又は複数)、又はその断片により実質的にコードされるポリペプチドとして理解される。本明細書において使用される、用語「抗体」は、全体又はインタクトな抗体分子(例えば、IgM、IgG(IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4を含む)、IgA、IgD、又はIgE)又はその任意の抗原結合断片を指す。
【0341】
抗体は、ポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体であってもよい。モノクローナル抗体は、同一の免疫細胞(例えば、抗体産生B細胞株とがん性B細胞株の融合物から生成され得るハイブリドーマ)により産生される。特定の抗原を対象とするモノクローナル抗体は、前記抗原上の単一の特定のエピトープを認識する。対照的に、ポリクローナル抗体は、複数の非同一の細胞株から産生され、それ故、特定の抗原上の幾つかの異なるエピトープを認識する。
【0342】
抗体の抗原結合断片は、例えば、一本鎖抗体、一本鎖Fv断片(scFv)、Fd断片、Fab断片、Fab'断片、又はF(ab')2断片を含む。scFv断片は、scFvが由来する抗体の重鎖可変領域と軽鎖可変領域の両方を含む単一のポリペプチド鎖である。加えて、イントラボディ、ミニボディ、トリアボディ、及びダイアボディ(例えば、Todorovskaら、(2001年)、J Immunol Methods、248(1):47~66頁;Hudson及びKortt、(1999年)、J Immunol Methods、231(1):177~189頁;Poljak、25(1994年)、Structure 2(12):1121~1123頁;Rondon及びMarasco、(1997年)、Annual Review of Microbiology 21:257~283を参照)はまた、抗体の定義に含まれ、本明細書において記載される方法における使用に適合する。本明細書において使用される用語「抗体」はまた、抗体全体の修飾により産生された抗体断片、又は組換え方法を使用して新たに合成された抗体断片のいずれかを含む。
【0343】
特定の抗原を対象とする抗体又はその抗原結合断片を生成する適当な方法は、当該技術分野において公知である(例えば、Greenfield、(2014年)、Antibodies:A Laboratory Manual、第2版、201~221頁を参照)。
【0344】
バリアント、誘導体、類似体、相同体及び断片
本明細書において述べられる特定のタンパク質及びポリヌクレオチドに加えて、本発明はまた、そのバリアント、誘導体、類似体、相同体及び断片の使用を包含する。
【0345】
本発明の関係において、任意の所与の配列のバリアントは、残基(アミノ酸であろうと核酸残基であろうと)の特定の配列が、問題のポリペプチド又はポリヌクレオチドが、実質的に、その内在性機能の少なくとも1つを保持するような様式で修飾された配列である。バリアント配列は、天然に生じるタンパク質に存在する少なくとも1つの残基の付加、欠失、置換、修飾、置き換え及び/又はバリエーションにより得ることができる。
【0346】
本明細書において使用される用語「誘導体」は、本発明のタンパク質又はポリペプチドとの関連において、配列由来の又は配列に対する1つ(又は複数の)アミノ酸残基の、任意の置換、バリエーション、修飾、置き換え、欠失及び/又は付加を含み、但し、生じたタンパク質又はポリペプチドは、実質的に、その内在性機能の少なくとも1つを保持する。
【0347】
本明細書において使用される用語「類似体」は、ポリペプチド又はポリヌクレオチドの関連において、任意の模倣物、つまり、それが模倣するポリペプチド又はポリヌクレオチドの内在性機能の少なくとも1つを有する化学化合物を含む。
【0348】
本発明において使用されるタンパク質はまた、サイレント変化を生じ、機能的に均等なタンパク質をもたらす、アミノ酸残基の欠失、挿入又は置換を有してもよい。内在性機能が保持される限り、よく考えられたアミノ酸置換が、残基の極性、電荷、溶解性、疎水性、親水性及び/又は両親媒性における類似性に基づきなされ得る。例えば、負に荷電したアミノ酸は、アスパラギン酸及びグルタミン酸を含み、正に荷電したアミノ酸は、リシン及びアルギニンを含み、類似の親水性値を有する荷電していない極性頭部基を有するアミノ酸は、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン及びチロシンを含む。
【0349】
置換は、アミノ酸の類似のアミノ酸への置き換え(保存的置換)を含み得る。類似のアミノ酸は、例えば、以下に示される、一緒にグループ化された、関連する特性を有する側鎖部分を有するものである:
(i)塩基性側鎖:リシン(K)、アルギニン(R)、ヒスチジン(H)、
(ii)酸性側鎖:アスパラギン酸(D)及びグルタミン酸(E)、
(iii)荷電していない極性側鎖:アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、セリン(S)、スレオニン(T)及びチロシン(Y)、又は
(iv)非極性側鎖:グリシン(G)、アラニン(A)、バリン(V)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、プロリン(P)、フェニルアラニン(F)、メチオニン(M)、トリプトファン(W)及びシステイン(C)。
【0350】
バリアント配列は、アミノ酸置換、付加、欠失及び/又は挿入を含んでもよい。
【0351】
保存的置換、付加又は欠失は、例えば、以下の表に従いなされてもよい。第2のカラムにおいて同じブロックにある、好ましくは、第3のカラムにおいて同じ列にあるアミノ酸は、互いに置換されてもよい。
【0352】
【表1】
【0353】
本発明はまた、相同な置換(置換と置き換えの両方は、既存のアミノ酸残基の代替の残基との相互変換を意味するために本明細書において使用される)、例えば、同等の置換、例えば、同等の塩基性、同等の酸性、同等の極性等を包含する。非相同な置換はまた、例えば、1つのクラスの残基から、天然でないアミノ酸、例えば、オルニチンの包含を含む、別又は代替のクラスに生じてもよい。
本明細書において使用される用語「バリアント」は、野生型アミノ酸配列又は野生型ヌクレオチド配列とある種の相同性を有する実体を意味し得る。用語「相同性」は、「同一性」と同じと考えることができる。
【0354】
バリアント配列は、対象配列と少なくとも50%、55%、65%、75%、85%又は90%同一、好ましくは、少なくとも95%、少なくとも97%、又は少なくとも99%同一であり得るアミノ酸配列を含んでもよい。典型的には、バリアントは、対象アミノ酸配列と同じ活性の部位等を含む。相同性はまた、本発明の関係において、類似性(すなわち、類似の化学特性/機能を有するアミノ酸残基)に関して考慮され得るが、配列同一性に関して相同性を発現することが好ましい。
【0355】
バリアント配列は、対象配列と少なくとも40%、45%、50%、55%、65%、75%、85%又は90%同一、好ましくは、少なくとも95%、少なくとも97%、又は少なくとも99%同一であり得るヌクレオチド配列を含んでもよい。相同性はまた、本発明の関係において、類似性に関して考慮され得るが、配列同一性に関して相同性を発現することが好ましい。
【0356】
好ましくは、本明細書において詳述される配列番号のいずれか1つに対してパーセント同一性を有する配列への言及は、言及される配列番号の全長にわたり所定のパーセント同一性を有する配列を指す。
【0357】
同一性比較は、目視により、又はより通常には、容易に入手可能な配列比較プログラムの助けを借りて、行うことができる。これらの市販のコンピュータープログラムは、2つ以上の配列間でのパーセンテージ相同性又は同一性を計算することができる。
【0358】
パーセンテージ相同性は、連続する配列にわたり計算されてもよく、すなわち、一方の配列が、他方の配列とアライメントされ、一方の配列における各アミノ酸が、同時に、他方の配列における対応するアミノ酸、1つの残基と直接比較される。これは、「ギャップのない」アライメントと呼ばれる。典型的には、そのようなギャップのないアライメントは、比較的少ない数の残基にわたってのみ行われる。
【0359】
これは、非常に単純かつ一貫した方法であるが、例えば、配列のそうでなければ同一の対において、ヌクレオチド配列における1つの挿入又は欠失が、次のコドンをアライメントから締め出し、これにより、広範なアライメントが行われる場合のパーセント相同性における大いなる低減を潜在的にもたらし得ることを考慮することができない。結果的に、大抵の配列比較方法は、全体的な相同性スコアを過度に不利にすることなく、可能性のある挿入及び欠失を考慮する最適なアライメントを生じるよう設計される。これは、配列アライメントにおいて「ギャップ」を挿入して、局所の相同性を最大にするように試みることにより達成される。
【0360】
しかしながら、これらのより複雑な方法は、同数の同一のアミノ酸について、2つの比較した配列間でのより高い関連性を反映する、出来るだけ少ないギャップを有する配列アライメントが、多くのギャップを有するものよりも高いスコアを達成するように、アライメントにおいて生じる各ギャップに「ギャップペナルティー」を付与する。ギャップの存在について比較的高いコスト、及びギャップにおけるその後の各残基に対してより少ないペナルティーを負わせる、「アフィンギャップコスト」が、典型的には使用される。これは、最も一般的に使用されるギャップスコアリングシステムである。高いギャップペナルティーは、当然、より少ないギャップを有する最適化されたアライメントを生じる。大抵のアライメントプログラムは、ギャップペナルティーを改変することを可能にする。しかしながら、配列比較のためにそのようなソフトウエアを使用する場合、デフォルト値を使用することが好ましい。例えば、GCGウィスコンシンベストフィット(Wisconsin Bestfit)パッケージを使用する場合、アミノ酸配列のデフォルトギャップペナルティーは、ギャップについて-12、及び各拡張について-4である。
【0361】
それ故、最大のパーセンテージ相同性の計算は、ギャップペナルティーを考慮して、まず、最適なアライメントの生成を要求する。そのようなアライメントを行うのに適当なコンピュータープログラムは、GCGウィスコンシンベストフィットパッケージ(ウィスコンシン大学、米国;Devereuxら、(1984年)、Nucleic Acids Res.、12:387頁)である。配列比較を行うことができる他のソフトウエアの例は、BLASTパッケージ(Ausubelら、(1999年)、同書、18章を参照)、FASTA(Atschulら、(1990年)、J. Mol. Biol.、403~410頁)及び比較ツールであるGENEWORKS一式を含むが、これらに限定されない。BLASTとFASTAの両方が、オフライン及びオンラインの検索のため利用可能である(Ausubelら、(1999年)同書、7~58から7~60頁を参照)。しかしながら、一部の適用については、GCGベストフィットプログラムを使用することが好ましい。BLAST2配列を呼ばれる別のツールもまた、タンパク質及びヌクレオチド配列を比較するため利用可能である(FEMS Microbiol. Lett.、(1999年)、174:247~50頁;FEMS Microbiol. Lett.、(1999年)、177:187~8頁を参照)。
【0362】
最終パーセンテージ相同性は、同一性に関して測定され得るが、アライメントプロセス自体は、典型的には、全か無かの対比較に基づいていない。代わりに、化学類似性又は進化的距離に基づく各対での比較にスコアを付与する、スケーリングされた類似性スコアマトリックスが、一般に使用される。一般的に使用されるそのようなマトリックスの例は、BLOSUM62マトリックス-プログラムのBLAST一式についてのデフォルトマトリックスである。GCGウィスコンシンプログラムは、一般に、公的なデフォルト値又は供給されているなら、カスタムシンボルの比較表のいずれかを使用する(さらなる詳細についてはユーザーマニュアルを参照)。一部の適用については、GCGパッケージについての公的なデフォルト値、又は他のソフトウエアの場合、デフォルトマトリックス、例えば、BLOSUM62を使用することが好ましい。
【0363】
ソフトウエアが、最適なアライメントを生じたら、パーセンテージ相同性、好ましくは、パーセンテージ配列同一性を計算することが可能になる。ソフトウエアは、典型的には、配列比較の一部としてこれを行い、数値結果を生成する。
【0364】
「断片」はまた、バリアントでもあり、用語は、典型的には、機能的に、又は例えば、アッセイにおける目的のものであるポリペプチド又はポリヌクレオチドの選択された領域を指す。従って、「断片」は、全長ポリペプチド又はポリヌクレオチドの一部であるアミノ酸又は核酸配列を指す。
【0365】
そのようなバリアントは、標準的な組換えDNA技術、例えば、部位特異的変異誘発を使用して調製され得る。挿入がなされるべきである場合、挿入部位のいずれかの側で天然に生じる配列に対応する5'及び3'の隣接する領域と一緒に挿入をコードする合成DNAが、作製されてよい。隣接する領域は、配列が、適当な酵素(複数可)で切断され、合成DNAが切断部にライゲーションされ得るように、天然に生じる配列における部位に対応する好都合な制限部位を含有する。次に、DNAを、本発明に従い、発現させて、コードされたタンパク質を作製する。これらの方法は、DNA配列の操作について当該技術分野において公知の多数の標準的技術の単に説明であり、他の公知の技術も使用され得る。
【0366】
組合せ(物)
本発明のHSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ、単球又はベクターは、免疫チェックポイント阻害薬と組み合わせて使用されてもよい。
【0367】
或いは、本発明のHSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ、単球又はベクターは、TAA特異的T細胞と組み合わせて使用されてもよい。
【0368】
或いは、本発明のHSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ、単球又はベクターは、CARを発現するTAA特異的T細胞と組み合わせて使用されてもよい。
【0369】
或いは、本発明のHSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ、単球又はベクターは、トランスジェニックTCRを発現するTAA特異的T細胞と組み合わせて使用されてもよい。
【0370】
或いは、本発明のHSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ、単球又はベクターは、免疫チェックポイント阻害薬及びトランスジェニックTCRを発現するTAA特異的T細胞と組み合わせて使用されてもよい。
【0371】
或いは、本発明のHSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ、単球又はベクターは、免疫チェックポイント阻害薬及びCARを発現するTAA特異的T細胞と組み合わせて使用されてもよい。
【0372】
或いは、本発明のHSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ、単球又はベクターは、1-メチル-トリプトファン(1-MT)と組み合わせて使用されてもよい。
【0373】
本明細書において使用される、語句「と組み合わせて使用される」は、免疫チェックポイント阻害薬及び/又はTAA特異的T細胞と逐次、別々又は同時の本発明のHSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ、単球又はベクターの投与を包含する。
【0374】
本発明のHSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ、単球又はベクターは、TAA特異的T細胞及び/又は免疫チェックポイント阻害薬の少なくとも5分、少なくとも10分、少なくとも15分、少なくとも30分、少なくとも45分、少なくとも60分前に投与されてもよい。
【0375】
本発明のHSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ、単球又はベクターは、TAA特異的T細胞及び/又は免疫チェックポイント阻害薬の少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間、少なくとも6時間、少なくとも12時間、少なくとも24時間、少なくとも48時間、少なくとも72時間前に投与されてもよい。
【0376】
本発明のHSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ、単球又はベクターは、TAA特異的T細胞及び/又は免疫チェックポイント阻害薬の少なくとも1日、少なくとも2日、少なくとも3日、少なくとも4日、少なくとも5日、少なくとも6日、少なくとも7日、又は少なくとも14日前に投与されてもよい。
【0377】
本発明のHSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ、単球又はベクターは、TAA特異的T細胞及び/又は免疫チェックポイント阻害薬の少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも5週間、少なくとも6週間、少なくとも7週間、少なくとも8週間、少なくとも9週間、少なくとも10週間、少なくとも11週間、又は少なくとも12週間前に投与されてもよい。
【0378】
本発明のHSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ、単球又はベクターは、TAA特異的T細胞及び/又は免疫チェックポイント阻害薬の少なくとも1カ月、少なくとも2カ月、少なくとも3カ月、少なくとも4カ月、少なくとも5カ月、少なくとも6カ月、少なくとも7カ月、少なくとも8カ月、少なくとも9カ月、少なくとも10カ月、少なくとも11カ月、又は少なくとも12カ月前に投与されてもよい。
【0379】
本発明のHSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ、単球又はベクターは、TAA特異的T細胞及び/又は免疫チェックポイント阻害薬の少なくとも1カ月、少なくとも2カ月、少なくとも3カ月、少なくとも4カ月、少なくとも5カ月、少なくとも6カ月、少なくとも7カ月、少なくとも8カ月、少なくとも9カ月、少なくとも10カ月、少なくとも11カ月、又は少なくとも12カ月前に投与されてもよい。
【0380】
本明細書において使用される、語句「と組み合わせて使用される」は、1-メチル-トリプトファン(1-MT)と逐次、別々又は同時の本発明のHSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ、単球又はベクターの投与を包含する。
【0381】
本発明のHSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ、単球又はベクターは、1-メチル-トリプトファン(1-MT)の少なくとも5分、少なくとも10分、少なくとも15分、少なくとも30分、少なくとも45分、少なくとも60分前に投与されてもよい。
【0382】
本発明のHSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ、単球又はベクターは、1-メチル-トリプトファン(1-MT)の少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間、少なくとも6時間、少なくとも12時間、少なくとも24時間、少なくとも48時間、少なくとも72時間前に投与されてもよい。
【0383】
本発明のHSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ、単球又はベクターは、1-メチル-トリプトファン(1-MT)の少なくとも1日、少なくとも2日、少なくとも3日、少なくとも4日、少なくとも5日、少なくとも6日、少なくとも7日、又は少なくとも14日前に投与されてもよい。
【0384】
本発明のHSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ、単球又はベクターは、1-メチル-トリプトファン(1-MT)の少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも5週間、少なくとも6週間、少なくとも7週間、少なくとも8週間、少なくとも9週間、少なくとも10週間、少なくとも11週間、又は少なくとも12週間前に投与されてもよい。
【0385】
本発明のHSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ、単球又はベクターは、1-メチル-トリプトファン(1-MT)の少なくとも1カ月、少なくとも2カ月、少なくとも3カ月、少なくとも4カ月、少なくとも5カ月、少なくとも6カ月、少なくとも7カ月、少なくとも8カ月、少なくとも9カ月、少なくとも10カ月、少なくとも11カ月、又は少なくとも12カ月前に投与されてもよい。
【0386】
本発明のHSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ、単球又はベクターは、1-メチル-トリプトファン(1-MT)の少なくとも1カ月、少なくとも2カ月、少なくとも3カ月、少なくとも4カ月、少なくとも5カ月、少なくとも6カ月、少なくとも7カ月、少なくとも8カ月、少なくとも9カ月、少なくとも10カ月、少なくとも11カ月、又は少なくとも12カ月前に投与されてもよい。
【0387】
医薬組成物
本発明により使用するための、HSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ、単球、免疫チェックポイント阻害薬、TAA特異的T細胞、ベクター、1-メチル-トリプトファン(1-MT)及びそれらの組合せは、医薬的に許容される担体、希釈剤又は賦形剤と共に製剤化されてもよい。
【0388】
患者
患者は、ヒト患者であってもよい。患者は、非ヒト動物であってもよい。
【0389】
患者は、がんにかかっていてもよい。或いは、患者は、がんを発症するリスクがあってもよい。
【0390】
患者は、がんを発症するリスクがあると以前に決定されていてもよい。増大したリスクは、遺伝子スクリーニングにより及び/又は患者の家族歴を審査することにより、決定されてもよい。患者は、がんを発症する増大したリスクの指標である1つ以上の遺伝子マーカーを発現すると決定されていてもよい。
【0391】
適当には、当業者は、がんを発症する増大したリスクと関連する遺伝子リスク因子(例えば、遺伝子マーカー)を知っている。当業者は、当該技術分野において公知の任意の適当な方法又は技術を使用して、対象が、がんを発症する増大したリスクを有するかどうかを決定し得る。
【0392】
対象は、がんのための処置を以前に受けていてもよい。対象は、がんの寛解にあってもよい。対象は、化学療法に対して抵抗性であってもよい。
【0393】
本発明の一部の態様において、患者は、TAA特異的T細胞及び/又は免疫チェックポイント阻害薬の投与に先立ち、本発明の造血幹細胞(HSC)、造血前駆細胞(HPC)、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球を以前に投与されている。
【0394】
一実施形態において、本発明のHSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球は、TAA特異的T細胞及び/又は免疫チェックポイント阻害薬の投与の少なくとも6時間、少なくとも12時間、少なくとも24時間、少なくとも48時間、少なくとも72時間前に、患者に投与される。
【0395】
一実施形態において、本発明のHSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球は、TAA特異的T細胞及び/又は免疫チェックポイント阻害薬の投与の少なくとも1日、少なくとも2日、少なくとも3日、少なくとも4日、少なくとも5日、少なくとも6日、少なくとも7日、又は少なくとも14日前に、患者に投与される。
【0396】
一実施形態において、本発明のHSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球は、TAA特異的T細胞及び/又は免疫チェックポイント阻害薬の投与の少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも5週間、少なくとも6週間、少なくとも7週間、少なくとも8週間、少なくとも9週間、少なくとも10週間、少なくとも11週間、又は少なくとも12週間前に、患者に投与される。
【0397】
一実施形態において、本発明のHSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球は、TAA特異的T細胞及び/又は免疫チェックポイント阻害薬の投与の少なくとも1カ月、少なくとも2カ月、少なくとも3カ月、少なくとも4カ月、少なくとも5カ月、少なくとも6カ月、少なくとも7カ月、少なくとも8カ月、少なくとも9カ月、少なくとも10カ月、少なくとも11カ月、又は少なくとも12カ月前に、患者に投与される。
【0398】
本発明の一部の態様において、患者は、1-メチル-トリプトファン(1-MT)の投与に先立ち、本発明の造血幹細胞(HSC)、造血前駆細胞(HPC)、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球を以前に投与されている。
【0399】
一実施形態において、本発明のHSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球は、1-メチル-トリプトファン(1-MT)の投与の少なくとも6時間、少なくとも12時間、少なくとも24時間、少なくとも48時間、少なくとも72時間前に、患者に投与される。
【0400】
一実施形態において、本発明のHSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球は、1-メチル-トリプトファン(1-MT)の投与の少なくとも1日、少なくとも2日、少なくとも3日、少なくとも4日、少なくとも5日、少なくとも6日、少なくとも7日、又は少なくとも14日前に、患者に投与される。
【0401】
一実施形態において、本発明のHSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球は、1-メチル-トリプトファン(1-MT)の投与の少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも5週間、少なくとも6週間、少なくとも7週間、少なくとも8週間、少なくとも9週間、少なくとも10週間、少なくとも11週間、又は少なくとも12週間前に、患者に投与される。
【0402】
一実施形態において、本発明のHSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球は、1-メチル-トリプトファン(1-MT)の投与の少なくとも1カ月、少なくとも2カ月、少なくとも3カ月、少なくとも4カ月、少なくとも5カ月、少なくとも6カ月、少なくとも7カ月、少なくとも8カ月、少なくとも9カ月、少なくとも10カ月、少なくとも11カ月、又は少なくとも12カ月前に、患者に投与される。
【0403】
ヒトと獣医学処置の両方が、本発明の範囲内である。
【0404】
本明細書において使用される用語「含むこと(comprising)」、「含む(comprises)」及び「から構成される(comprised of)」は、「含むこと(including)」若しくは「含む(includes)」、又は「含有すること(containing)」若しくは「含有する(contains)」と同義であり、包括的又は無制限であり、追加の列挙されていないメンバー、構成要素又は工程を除外しない。用語「含むこと(comprising)」、「含む(comprises)」及び「から構成される(comprised of)」はまた、用語「からなる(consisting of)」を含む。
【0405】
本発明の実施は、別段示されない限り、当業者の能力の範囲内である、細胞生物学、分子生物学、組織学、免疫学、腫瘍学の従来の技術を利用する。そのような技術は、文献において説明される。
【0406】
例えば、Sambrook, J.、Fritsch, E.F.及びManiatis, T.、(1989年)、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press;Ausubel, F.M.ら、(1995年及び定期的補足)、Current Protocols in Molecular Biology、9、13及び16章、John Wiley and Sons;Roe, B.、Crabtree, J.及びKahn, A.、(1996年)、DNA Isolation and Sequencing:Essential Techniques、John Wiley and Sons;Polak, J.M.及びMcGee, J.O'D.、(1990年)、In Situ Hybridization:Principles and Practice、Oxford University Press;Gait, M.J.、(1984年)、Oligonucleotide Synthesis:A Practical Approach、IRL Press;並びにLilley, D.M.及びDahlberg, J.E.、(1992年)、Methods in Enzymology:DNA Structures Part A:Synthesis and Physical Analysis of DNA、Academic Pressを参照。これらの一般的な教本のそれぞれが、本明細書において参照により組み込まれる。
【0407】
本発明の様々な好ましい特色及び実施形態は、ここで、非限定的な例として記載される。
以下、本発明の実施形態を示す。
(1)患者におけるがんの処置又は予防における使用のための、ベクターを含む造血幹細胞(HSC)、造血前駆細胞(HPC)、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球であって、前記ベクターが、サイトカインをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含み、前記HSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球が、免疫チェックポイント阻害薬、腫瘍関連抗原(TAA)特異的T細胞及び/又は1-メチル-トリプトファン(1-MT)と組み合わせて使用され、
好ましくは、サイトカインが、インターフェロン(IFN)、IL-12又は顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)であり、
好ましくは、IFNが、I型IFN(好ましくは、IFNα又はIFNβ)、又はII型IFN(好ましくは、IFNγ)であり、
より好ましくは、I型IFNがIFNαである、
前記造血幹細胞(HSC)、造血前駆細胞(HPC)、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球。
(2)免疫チェックポイント阻害薬及びTAA特異的T細胞と組み合わせて使用される、(1)に記載の使用のためのHSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球。
(3)TAA特異的T細胞が、キメラ抗原受容体(CAR)及び/又はトランスジェニックT細胞受容体(TCR)を発現する、(1)又は(2)に記載の使用のためのHSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球。
(4)TAAが、癌胎児抗原(CEA)、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、エフリンB2、ROR1、メソテリン、c-Met、GD-2、及びMAGE A3 TCR、4-1BB、腺癌抗原、アルファ-フェトプロテイン、BAFF、Bリンパ腫細胞、C242抗原、炭酸脱水酵素9(CA-IX)、CCR4、CD152、CD200、CD22、CD19、CD22、CD123、CD221、CD23(IgE受容体)、CD28、CD4、CD40、CD44、CD44 v6、CD51、CD52、CD56、CD74、CD80、CS-1、CNT0888、CTLA-4、DR5、EpCAM、CD3、フィブロネクチンエキストラドメインB、葉酸受容体1、糖タンパク質75、GPNMB、HGF、ヒト散乱因子受容体キナーゼ、IGF-1受容体、IGF-I、IgGl、L1-CAM、IL-13、IL-6、インスリン様増殖因子I受容体、インテグリンα5β1、インテグリンαvβ3、MORAb-009、MS4A1、ムチンCanAg、N-グリコリルノイラミン酸、NPC-1C、PDGF-Rα、PDL192、ホスファチジルセリン、前立腺癌細胞、RANKL、RON、SCH900105、SDC1、SLAMF7、テネイシンC、TGFベータ2、TGF-β、TRAIL-R1、TRAIL-R2、腫瘍抗原CTAA16.88、血管内皮増殖因子(VEGF)、VEGF-A、VEGFR-1、VEGFR2、ビメンチン、5T4、CD5、CD19、CD20、CD21、CD25、CD37、CD30、CD33、CD45、CAMPATH-1(CDw52)、HLA-DR、抗イディオタイプ、TAG-72、Ep-CAM、MUC1、葉酸結合タンパク質、A33、G250、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、前立腺特異的抗原(PSA)、フェリチン、ガングリオシド(例えば、GD2、GD3、GM2)、Le y 、CA-125、CA19-9、上皮増殖因子受容体(EGFR)、p185HER2、IL-2受容体、de2-7EGFR、線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)、テネイシン、メタロプロテイナーゼ、エンドシアリン、炭酸脱水酵素、ガレクチン9、アルドラーゼA、eIFγ4、チロシナーゼ、ガレクチン4、HERKV-K10、p53、NY-LU-12、レスチン、NY-CO-38、MAGE-1、MAGE-4a、SSX2、NY-ESO-1、SCP-1、707-AP、AFP、ART-4、BAGE、b-カテニン/m、Bcr-abl、CAMEL、CAP-1、CASP-8、CDC27m、CDK4/m、CT、Cyp-B、DAM-6(MAGE-B2)及びDAM-10(MAGE-B1)、ELF2M、ETV6-AML1、G250、GAGE、GnT-V、Gp100、HAGE、HER-2/neu、HLA-A * 0201-R170I、HPV-E7、HSP70-2M、HST-2、hTERT(hTRT)、iCE、KIAA0205、LAGE、LDLR/FUT、MAGE、MART-1/メラン-A、MC1R、ミオシン/m、MUC1、MUM-1、MUM-2、MUM-3、NA88-A、NY-ESO-1、P15、p190マイナーbcr-abl、Pml/RARa、PRAME、RAGE、RU1、RU2、SAGE、SART-1、SART-3、TEL/AML1、TPI/m、TRP-1、タンパク質1、gp75、TRP-2、TRP-2/INT2及びWT1からなる群から選択され、
好ましくは、TAA特異的T細胞が、CD19特異的CARを発現する、
(1)~(3)のいずれか一に記載の使用のためのHSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球。
(5)TAA特異的T細胞が、患者から単離された細胞に由来する、(1)~(4)のいずれか一に記載の使用のためのHSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球。
(6)TAA特異的T細胞が、少なくとも1つの内在性遺伝子を破壊するように操作され、好ましくは、少なくとも1つの内在性遺伝子が、TCR α鎖、TCR β鎖及び主要組織適合複合体(MHC)をコードする内在性遺伝子から選択される、(1)~(5)のいずれか一に記載の使用のためのHSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球。
(7)免疫チェックポイント阻害薬が、抗体であり、好ましくは、免疫チェックポイント阻害薬抗体が、抗CTLA4抗体、抗PD1抗体、抗PDL1抗体、抗PDL2抗体及び抗LAG-3抗体からなる群から選択される、(1)~(6)のいずれか一に記載の使用のためのHSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球。
(8)ベクターが、少なくとも1つのmir-130a標的配列及び少なくとも1つのmir-126標的配列を含み、好ましくは、ベクターが、2つのmir-130a標的配列及び2つのmir-126標的配列を含む、(1)~(7)のいずれか一に記載の使用のためのHSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球。
(9)ベクターが、サイトカインをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した組織特異的プロモーターをさらに含み、好ましくは、組織特異的プロモーターが、TEK(Tie2)プロモーターである、(1)~(8)のいずれか一に記載の使用のためのHSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球。
(10)がんが、血液悪性腫瘍又は固形腫瘍であり、好ましくは、血液悪性腫瘍が、急性骨髄性白血病(AML)、リンパ芽球性白血病、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、骨髄異形成症候群(MDS)、骨髄増殖性腫瘍(MPN)、原発性骨髄線維症、本態性血小板血症、真性多血症、非定型慢性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病(CML)、リンパ腫、多発性骨髄腫、非ホジキンリンパ腫及びホジキンリンパ腫からなる群から選択されるか、又は好ましくは、固形腫瘍が、肺がん、乳がん、食道がん、胃がん、結腸がん、胆管細胞癌、膵臓がん、卵巣がん、頭頸部がん、滑膜肉腫、血管肉腫、骨肉腫、甲状腺がん、子宮内膜がん、ニューロブラストーマ、横紋筋肉腫、肝臓がん、メラノーマ、前立腺がん、腎臓がん、軟部組織肉腫、尿路上皮がん、胆道がん、神経膠芽腫、子宮頸部がん及び結腸直腸がんからなる群から選択される、(1)~(9)のいずれか一に記載の使用のためのHSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球。
(11)患者におけるがんの処置又は予防における使用のための腫瘍関連抗原(TAA)特異的T細胞であって、前記患者が、ベクターを含む造血幹細胞(HSC)、造血前駆細胞(HPC)、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球を以前に投与されており、前記ベクターが、サイトカインをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含み、好ましくは、TAAが、癌胎児抗原(CEA)、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、エフリンB2、ROR1、メソテリン、c-Met、GD-2、及びMAGE A3 TCR、4-1BB、腺癌抗原、アルファ-フェトプロテイン、BAFF、Bリンパ腫細胞、C242抗原、炭酸脱水酵素9(CA-IX)、CCR4、CD152、CD200、CD22、CD19、CD22、CD123、CD221、CD23(IgE受容体)、CD28、CD4、CD40、CD44、CD44 v6、CD51、CD52、CD56、CD74、CD80、CS-1、CNT0888、CTLA-4、DR5、EpCAM、CD3、フィブロネクチンエキストラドメインB、葉酸受容体1、糖タンパク質75、GPNMB、HGF、ヒト散乱因子受容体キナーゼ、IGF-1受容体、IGF-I、IgGl、L1-CAM、IL-13、IL-6、インスリン様増殖因子I受容体、インテグリンα5β1、インテグリンαvβ3、MORAb-009、MS4A1、ムチンCanAg、N-グリコリルノイラミン酸、NPC-1C、PDGF-Rα、PDL192、ホスファチジルセリン、前立腺癌細胞、RANKL、RON、SCH 900105、SDC1、SLAMF7、テネイシンC、TGFベータ2、TGF-β、TRAIL-R1、TRAIL-R2、腫瘍抗原CTAA16.88、血管内皮増殖因子(VEGF)、VEGF-A、VEGFR-1、VEGFR2、ビメンチン、5T4、CD5、CD19、CD20、CD21、CD25、CD37、CD30、CD33、CD45、CAMPATH-1(CDw52)、HLA-DR、抗イディオタイプ、TAG-72、Ep-CAM、MUC1、葉酸結合タンパク質、A33、G250、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、前立腺特異的抗原(PSA)、フェリチン、ガングリオシド(例えば、GD2、GD3、GM2)、Le y 、CA-125、CA19-9、上皮増殖因子受容体(EGFR)、p185HER2、IL-2受容体、de2-7EGFR、線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)、テネイシン、メタロプロテイナーゼ、エンドシアリン、炭酸脱水酵素、ガレクチン9、アルドラーゼA、eIFγ4、チロシナーゼ、ガレクチン4、HERKV-K10、p53、NY-LU-12、レスチン、NY-CO-38、MAGE-1、MAGE-4a、SSX2、NY-ESO-1、SCP-1、707-AP、AFP、ART-4、BAGE、b-カテニン/m、Bcr-abl、CAMEL、CAP-1、CASP-8、CDC27m、CDK4/m、CT、Cyp-B、DAM-6(MAGE-B2)及びDAM-10(MAGE-B1)、ELF2M、ETV6-AML1、G250、GAGE、GnT-V、Gp100、HAGE、HER-2/neu、HLA-A * 0201-R170I、HPV-E7、HSP70-2M、HST-2、hTERT(hTRT)、iCE、KIAA0205、LAGE、LDLR/FUT、MAGE、MART-1/メラン-A、MC1R、ミオシン/m、MUC1、MUM-1、MUM-2、MUM-3、NA88-A、NY-ESO-1、P15、p190マイナーbcr-abl、Pml/RARa、PRAME、RAGE、RU1、RU2、SAGE、SART-1、SART-3、TEL/AML1、TPI/m、TRP-1、タンパク質1、gp75、TRP-2、TRP-2/INT2及びWT1からなる群から選択され、好ましくは、TAA特異的T細胞が、キメラ抗原受容体(CAR)及び/又はトランスジェニックT細胞受容体(TCR)を発現し、
好ましくは、サイトカインが、インターフェロン(IFN)、IL-12又は顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)であり、
好ましくは、IFNが、I型IFN(好ましくは、IFNα又はIFNβ)、又はII型IFN(好ましくは、IFNγ)であり、
より好ましくは、I型IFNが、IFNαであり、
好ましくは、TAA特異的T細胞が、CD19特異的CARを発現する、
前記腫瘍関連抗原(TAA)特異的T細胞。
(12)患者におけるがんの処置又は予防における使用のための免疫チェックポイント阻害薬であって、前記患者が、ベクターを含む造血幹細胞(HSC)、造血前駆細胞(HPC)、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球を以前に投与されており、前記ベクターが、サイトカインをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含み、好ましくは、前記免疫チェックポイント阻害薬が、抗体であり、より好ましくは、免疫チェックポイント阻害薬抗体が、抗CTLA4抗体、抗PD1抗体、抗PDL1抗体、抗PDL2抗体及び抗LAG-3抗体からなる群から選択され、
好ましくは、サイトカインが、インターフェロン(IFN)、IL-12又は顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)であり、
好ましくは、IFNが、I型IFN(好ましくは、IFNα又はIFNβ)、又はII型IFN(好ましくは、IFNγ)であり、
より好ましくは、I型IFNが、IFNαである、
前記免疫チェックポイント阻害薬。
(13)患者におけるがんの処置又は予防における使用のための1-メチル-トリプトファン(1-MT)であって、前記患者が、ベクターを含む造血幹細胞(HSC)、造血前駆細胞(HPC)、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球を以前に投与されており、前記ベクターが、サイトカインをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含み、
好ましくは、サイトカインが、インターフェロン(IFN)、IL-12又は顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)であり、
好ましくは、IFNが、II型IFN(好ましくは、IFNγ)である、
前記1-メチル-トリプトファン(1-MT)。
(14)患者におけるがんの処置又は予防における使用のための免疫チェックポイント阻害薬と腫瘍関連抗原(TAA)特異的T細胞の組合せ物であって、前記患者が、ベクターを含む造血幹細胞(HSC)又は造血前駆細胞(HPC)を以前に投与されており、前記ベクターが、サイトカインをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含み、好ましくは、TAA特異的T細胞が、キメラ抗原受容体(CAR)及び/又はトランスジェニックT細胞受容体(TCR)を発現し、
好ましくは、サイトカインが、インターフェロン(IFN)、IL-12又は顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)であり、
好ましくは、IFNが、I型IFN(好ましくは、IFNα又はIFNβ)、又はII型IFN(好ましくは、IFNγ)であり、
より好ましくは、I型IFNが、IFNαである、
前記組合せ物。
(15)ベクターが、少なくとも1つのmir-130a標的配列及び少なくとも1つのmir-126標的配列を含み、好ましくは、ベクターが、2つのmir-130a標的配列及び2つのmir-126標的配列を含む、(11)に記載の使用のためのTAA特異的T細胞、(12)に記載の使用のための免疫チェックポイント阻害薬、(13)に記載の使用のための1-メチル-トリプトファン(1-MT)又は(14)に記載の使用のための組合せ物。
(16)ベクターが、サイトカインをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した組織特異的プロモーターをさらに含み、好ましくは、組織特異的プロモーターが、TEK(Tie2)プロモーターである、(11)若しくは(15)に記載の使用のためのTAA特異的T細胞、(12)若しくは(15)に記載の使用のための免疫チェックポイント阻害薬、(13)若しくは(15)に記載の使用のための1-メチル-トリプトファン(1-MT)、又は(14)若しくは(15)に記載の使用のための組合せ物。
(17)がんが、血液悪性腫瘍又は固形腫瘍であり、好ましくは、血液悪性腫瘍が、急性骨髄性白血病(AML)、リンパ芽球性白血病、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、骨髄異形成症候群、リンパ腫、多発性骨髄腫、非ホジキンリンパ腫及びホジキンリンパ腫からなる群から選択されるか、又は好ましくは、固形腫瘍が、肺がん、乳がん、食道がん、胃がん、結腸がん、胆管細胞癌、膵臓がん、卵巣がん、頭頸部がん、滑膜肉腫、血管肉腫、骨肉腫、甲状腺がん、子宮内膜がん、ニューロブラストーマ、横紋筋肉腫、肝臓がん、メラノーマ、前立腺がん、腎臓がん、軟部組織肉腫、尿路上皮がん、胆道がん、神経膠芽腫、子宮頸部がん及び結腸直腸がんからなる群から選択される、(11)及び(15)~(16)のいずれか一に記載の使用のためのTAA特異的T細胞、(12)及び(15)~(16)のいずれか一に記載の使用のための免疫チェックポイント阻害薬、(13)若しくは(15)~(16)に記載の使用のための1-メチル-トリプトファン(1-MT)、又は(14)~(16)のいずれか一に記載の使用のための組合せ物。
(18)がんを処置又は予防する方法であって、サイトカインをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含むベクターを含む造血幹細胞(HSC)、造血前駆細胞(HPC)、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球を、それを必要とする患者に投与する工程を含み、前記HSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球が、免疫チェックポイント阻害薬、腫瘍関連抗原(TAA)特異的T細胞及び/又は1-メチル-トリプトファン(1-MT)と組み合わせて患者に投与され、好ましくは、TAA特異的T細胞が、キメラ抗原受容体(CAR)及び/又はトランスジェニックT細胞受容体(TCR)を発現し、
好ましくは、サイトカインが、インターフェロン(IFN)、IL-12又は顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)であり、
好ましくは、IFNが、I型IFN(好ましくは、IFNα又はIFNβ)、又はII型IFN(好ましくは、IFNγ)であり、
より好ましくは、I型IFNが、IFNαである、
前記方法。
(19)サイトカインをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含むベクターを含む造血幹細胞(HSC)、造血前駆細胞(HPC)、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球を以前に投与された患者におけるがんを処置又は予防する方法であって、腫瘍関連抗原(TAA)特異的T細胞を投与する工程、免疫チェックポイント阻害薬を投与する工程、及び/又は1-メチル-トリプトファン(1-MT)を投与する工程を含み、好ましくは、TAA特異的T細胞が、キメラ抗原受容体(CAR)及び/又はトランスジェニックT細胞受容体(TCR)を発現し、
好ましくは、サイトカインが、インターフェロン(IFN)、IL-12又は顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)であり、
好ましくは、IFNが、I型IFN(好ましくは、IFNα又はIFNβ)、又はII型IFN(好ましくは、IFNγ)であり、
より好ましくは、I型IFNが、IFNαである、
前記方法。
(20)患者におけるがんの処置又は予防における使用のための、第1のサイトカインをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結された少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含むベクター、並びに第2のサイトカインをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含むベクターを含む造血幹細胞(HSC)、造血前駆細胞(HPC)、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球であって、第1及び第2のサイトカインが、異なり、
好ましくは、第1及び第2のサイトカインが、インターフェロン(IFN)又は腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)からそれぞれ独立して選択され、
好ましくは、第1及び第2のサイトカインが、I型IFN(好ましくは、IFNα又はIFNβ)、II型IFN(好ましくは、IFNγ)及びTNFαからなる群からそれぞれ独立して選択され、
好ましくは、第1及び第2のサイトカインが、IFNα、IFNβ、IFNγ及びTNFαからなる群からそれぞれ独立して選択される、
前記造血幹細胞(HSC)、造血前駆細胞(HPC)、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球。
(21)患者におけるがんの処置又は予防における使用のための、第1のサイトカインをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結された少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含むベクター、並びに第2のサイトカインをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結された少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含むベクターが形質導入された造血幹細胞(HSC)、造血前駆細胞(HPC)、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球の集団であって、第1及び第2のサイトカインが、異なり、
好ましくは、第1及び第2のサイトカインが、インターフェロン(IFN)又は腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)からそれぞれ独立して選択され、
好ましくは、第1及び第2のサイトカインが、I型IFN(好ましくは、IFNα又はIFNβ)、II型IFN(好ましくは、IFNγ)及びTNFαからなる群からそれぞれ独立して選択され、
好ましくは、第1及び第2のサイトカインが、IFNα、IFNβ、IFNγ及びTNFαからなる群からそれぞれ独立して選択される、
前記造血幹細胞(HSC)、造血前駆細胞(HPC)、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球の集団。
(22)(a)第1のサイトカインが、IFNαであり、且つ、第2のサイトカインが、IFNγであるか、
(b)第1のサイトカインが、IFNαであり、且つ、第2のサイトカインが、TNFαあるか、又は
(c)第1のサイトカインが、IFNγであり、且つ、第2のサイトカインが、TNFαであり、
好ましくは、第1のサイトカインが、IFNγであり、且つ、第2のサイトカインが、TNFαである、
(20)又は(21)に記載の使用のためのHSC、HPC、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ、単球又は集団。
(23)患者におけるがんの処置又は予防における使用のための、サイトカインをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した少なくとも1つのmir-130a及び/又はmir-126標的配列を含むベクターを含む造血幹細胞(HSC)、造血前駆細胞(HPC)、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球であって、サイトカインが、インターフェロン(IFN)又は腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)であり、
好ましくは、IFNが、II型IFN(好ましくは、IFNγ)又はI型IFN(好ましくは、IFNα又はIFNβ)であり、
より好ましくは、II型IFNが、IFNγである、
前記造血幹細胞(HSC)、造血前駆細胞(HPC)、骨髄/単球にコミットした前駆細胞、マクロファージ又は単球。
【0408】
[実施例]
[実施例1]
腫瘍標的化IFNαは、ALLモデルにおけるT細胞媒介性抗腫瘍応答をブーストする
本発明者らは、C57Bl/6マウスに、mTie2-IFN-mirT LV(IFNマウス)若しくはmTie2-GFP-mirT LVのいずれかを形質導入した、又は偽形質導入したHSC(両者を対照マウスとして使用)を移植して、腫瘍において非常に豊富である分化したTIE2+単球子孫でのIFN/GFP発現を目標にした15、16。以前に示した通り、mTie2-IFN-mirT LVを形質導入した細胞を用いた再構成は、明白な副作用を示さず、機能的な多系統のグラフトを生じる8~10。次に、本発明者らは、本発明者らの以前に記載したB-ALLモデルを、再構成したマウスに負荷し(図1a)、IFN対対照マウスにおける白血病増殖の阻害を見出した(図1b、c)。抗CTLA4遮断抗体(aCTLA4)の投与は、対照マウスにおいて効果を有しなかったが、IFNマウスにおいてさらなる大幅に改善したALL阻害を有し、これは、IFNマウスにおける観察した応答に対する免疫寄与を示唆している。IFN遺伝子療法とαCTLA4の組合せは、マウスの生存を大幅に改善した(図21)。抗腫瘍免疫の誘導を調べるために、本発明者らは、双方向性プロモーターからの、卵白アルブミン(OVA)モデル抗原及び切断形態の神経成長因子受容体(NGFR)細胞表面マーカーの協調発現を可能にするレンチウイルスベクター(LV)を用いて、ALL細胞を操作した(OVA-ALL、図5a、b)。
【0409】
イムノコンピテントC57Bl/6マウスに注射した場合、OVA-ALLは、親ALLと比較して、マウスの一部において、より遅い増殖動態を示し、発症を遅延させた。検死において、全てのマウスが、ALL細胞による大量のBM浸潤を示し、これは、遅延した疾患を有するマウスにおけるNGFR陰性芽細胞の増殖を伴った(図5c、d)。OVA ALL細胞を免疫欠損NOD-SCID-IL2Rg-/-(NSG)マウスに注射した場合、本発明者らは、親細胞と同等の腫瘍増殖を観察し、NGFR発現の喪失は観察しなかった(図5c、e)。全体として、これらの結果は、稀な、形質導入されていない又はサイレンシングさせた(OVA/NGFR陰性)ALLクローンの免疫編集及び選択を導くOVA-ALLバリアントの増大した免疫原性が、恐らく、融合産物に存在することを示す。しかしながら、いずれの負荷でも生存したマウスはいなかった。従って、本発明者らは、OVA-ALLに対する抗腫瘍免疫応答をブーストする腫瘍標的化IFN細胞及び遺伝子ベースの送達の能力を試験した。ALLは、対照マウスにおいて迅速に拡大した(図1d~f)一方、IFNマウスの血中の芽細胞の遅延した出現及び蓄積、並びにBM及び脾臓における低減した浸潤が存在した。注目すべきことに、IFNマウスの一部は、解析した全ての器官において白血病が存在しないことを示した。
【0410】
IFNマウス由来のインビトロで刺激し精製した脾臓のCD8+T細胞は、g-IFN-ELISPOTによるOVAに対する特異的応答の誘導を示し、これは、マウスにおけるレスポンダー細胞の数が増大するにつれ、最小の腫瘍負荷を示した(図1g)。OVA特異的CD8+T細胞を、IFNと対照マウスの両方においてOVA257-264-H-2Kb-五量体染色により検出し、先の群の血液及びBMにおけるパーセンテージ及び数より大きかった(図1h~j及び図6a)。さらに、対照マウスのCD8+T細胞は、OVAを用いたエクスビボ再刺激の際、IFNマウスのT細胞(図1k)のようにはIFN-gを放出せず、これは、対照対IFNマウスにおける腫瘍阻害の欠如と一致して、機能障害を示唆している(図6b~d)。顕著なことには、IFNマウスにおけるCD8+T細胞の枯渇は、抗腫瘍応答を抑止した(図1l、m)。全体としては、これらの結果は、CTLの誘導が、IFNマウスにおける腫瘍の新規抗原に対する有効な応答を開始させることができることを示す。
【0411】
本発明者らはまた、対照と比較して、CD8枯渇IFNマウスにおけるより小さい初期腫瘍負荷に気付き、これは、CD8媒介性制御を外れた追加の機序が、腫瘍阻害に少なくとも初期及び一時的に関与し得ることを示唆している(図6e)。IFNと対照マウスの間でBM及び脾臓ALL細胞のアポトーシス細胞の割合及び細胞周期分布に相違はなかった(図7a~d)一方、EdU取り込みにより測定した増殖速度は、IFNマウスの、BMにおいてより低いが、脾臓においては低くなかった(図7e、f)。増殖における遅延は、IFNにより直接トリガーされる可能性があり、有効なエフェクターと標的の比での腫瘍特異的CTLの蓄積に有利であり、腫瘍細胞増殖を抑制する。
【0412】
[実施例2]
養子移入したトランスジェニックOT-I T細胞のみが、IFNマウスにおいて拡大し、白血病を含有する
T細胞動員及び活性化に対するI型IFNの効果を調べるために、本発明者らは、IFN及び対照マウスにおいてナイーブトランスジェニックOVA特異的T細胞(OT-I)を養子移入した(図2a)。本発明者らは、同等の白血病負荷でOT-I細胞が注入されるように、2つの群の間での注入の時間を調整し、(図2b及び図8a)、3日後にマウスを解析した。本発明者らは、白血病を注射したIFNの脾臓及びBMにおいて、対照マウスよりも実質的に大きい数のOT-I細胞を観察し、ここで、OT-I細胞を、腫瘍を有さない対照と類似する少ない数で回収した(図2c)。細胞蛍光測定法解析は、OT-I細胞の多数が、白血病を有するIFN及び対照マウスにおいて、活性化受容体LAG3をアップレギュレートし、セントラルメモリー又はエフェクターメモリー表現型を獲得し、前者の群において活性化が増大したことを示した。
【0413】
これらの知見は、腫瘍のない対照マウスと極めて対照的であり、ここで、OT-I細胞は、回収物のナイーブ表現型を維持した(図2d及び図8b~d)。白血病負荷は、IFN対対照マウスにおいて、養子T細胞移入後早期に既に、大幅に低減した(図8e)。対照マウスのほぼ全ての白血病細胞が、NGFRマーカーを発現した一方、IFNマウスにおいてNGFR陰性細胞の割合が増大し、これは、OVA-ALLに対する選択的な圧力を示唆している(図8f)。
【0414】
次に、本発明者らは、生存の促進における、IFN細胞療法とOT-I T細胞の養子移入の相乗作用を調査した(図2e)。OT-I T細胞の注入は、20%のマウス生存をもたらしたのに対し対照群において生存をもたらさなかった一方、組み合わせた処置は、生存を67%に大幅に改善した(図2f)。IFN+OT-Iマウスの長期的解析は、注入の6日後にピークがあり、一過性のLAG3アップレギュレーション及びOVA-ALLクリアランスを伴った、OT-I拡大を明らかにした(図2g、h及び図9a)。注目すべきは、疾患に屈したそれらのIFN+OT-Iマウス(図2g、h及び図9aにおいて黒色で示す)は、血液及びBMにおいてNGFR陰性ALL細胞の増殖を示し、これにより、OVA発現白血病細胞が、注入したOT-I細胞により根絶されたことを確認した(図9a、c)。逆に、大部分の対照マウスにおけるOT-I細胞は、拡大に失敗し、T細胞疲弊の兆候である、恒常的な高レベルのLAG3発現を示した(図2g、h)。従って、循環NGFR発現白血病細胞における初期の、だが一過性の減少、その後の血液及びBMにおけるそれらの増殖により示される通り、注入したOT-I細胞は、これらのマウスにおいてOVA発現B-ALL細胞を根絶するのに失敗した(図9b、d)。
【0415】
検死において、IFN+OT-IマウスのBM、脾臓及びリンパ節におけるOT-I T細胞のかなりの割合が、メモリープールとして維持され、PD1阻害性マーカーをダウンレギュレートした一方、CTRL+OT-IマウスにおけるOT-I T細胞の多数は、それら全てが、PD1マーカーを発現していたので、疲弊したエフェクターの特性を有していた(図9e、f)。予想通り、腫瘍を注射していない対照マウスに注入したOT-I T細胞は、拡大せず、Lag3発現をアップレギュレートしなかった(図2g、h)。全体としては、これらのデータは、OT-I細胞が、IFNマウスにおいてロバストな活性化及び拡大を受け、腫瘍クリアランスを導いた一方、これらの細胞は、対照マウスにおいて低機能であり、拡大に失敗し、疲弊の表現型の証拠を示したことを示す。
【0416】
[実施例3]
IFNマウスにおけるM1及びTh1応答に向けてプライミングされた免疫遺伝子シグネチャー、並びにIFN遺伝子療法は、腫瘍微小環境(TME)において白血病により誘導された変化を相殺し、免疫刺激プログラムを強いる
本発明者らのIFN遺伝子送達ストラテジーが、有効な免疫応答の誘導が有利になるように白血病微小環境を変えるかどうかを研究するために、本発明者らは、白血病負荷の前及び後に、対照及びIFNマウスの脾臓及びBMに対するがん免疫プロファイリングのため使用される750個の遺伝子のパネル上での遺伝子発現のマルチプレックス測定を行った。IFN対対照マウスの両方の組織におけるほぼ全ての大幅にアップレギュレートされた遺伝子は、IFN刺激遺伝子(ISG)であり、脾臓において、T細胞活性化、抗原処理、マクロファージ/DC活性化、NK活性化及び自然免疫遺伝子は、本発明者らの処置が、これらの組織においてIFN/Th1応答シグネチャーを強いたことを確認する。これらの変化は、腫瘍負荷後も明らかなままであり、白血病関連遺伝子のダウンレギュレーションが伴った(図3a)。次に、本発明者らは、脾臓のCD4+T細胞を精製して、選択した遺伝子を調べ、Th1転写因子TBETをコードする、Tbx21の大幅なアップレギュレーションが起きたこと、並びにIFN対対照腫瘍を有するマウスにおいてプロトタイプTh2及びTreg遺伝子における変化がなかったことを示した。本発明者らはまた、IFNマウスにおけるIl17遺伝子のアップレギュレーションを観察したが、この変化は、他のプロトタイプIl22及びRorc Th17遺伝子のアップレギュレーションを伴わなかった(図3b及び図10a)。
【0417】
次に、本発明者らは、血液、脾臓及びBMにおける骨髄細胞の表現型を特徴付けた。本発明者らは、IFN対対照マウスの血液における、増大したパーセンテージの古典的(Ly6C+Ly6Glow)及び低減したパーセンテージの非古典的(Ly6C-Ly6G-)単球を見出し、そのような相違は、白血病負荷によりさらに増強した(図3c及び図11a)。本発明者らはまた、IFNマウスにおいて増大した循環顆粒球(Ly6Cint Ly6G+)を見出した。対照マウスの脾臓における白血病増殖は、未熟骨髄細胞(CD11cint MHCII-F4/80-)の拡大及び増大したパーセンテージのMHC-II陰性M2マクロファージを伴った一方、これらの変化のどれも、IFNマウスにおいて見られなかった(図11b~d)。白血病関連変化はまた、IFNマウスのBM骨髄細胞において存在せず、代わりに、DC及びMHC-I上で免疫優性OVA257~264ペプチドを提示するDCの割合の増大を示した(図12a、b及び図18)。同様に、活性化NKG2D受容体の減少した発現を含む、白血病マウスの脾臓及びBMにおいて見られるNK及びNKT細胞における変化は、IFNマウスにおいて存在しなかった(図13a~e)。
【0418】
RNA配列決定(RNA-Seq)解析は、マクロファージにおける白血病誘導転写変化を明らかにし、それは、IFN遺伝子療法により実質的に相殺された(図22a、b)。ALL対対照マウス由来の脾臓マクロファージは、免疫抑制性サイトカインIL-10、阻害性免疫チェックポイントPD-1をコードする遺伝子並びに細胞分裂及び免疫刺激遺伝子オントロジー(GO)期間に対する応答と関連する遺伝子をアップレギュレートした。ダウンレギュレートされた遺伝子は、脂肪酸代謝、白血球活性化及び抗原提示に関連するGO期に豊富であった(図19a、c)。ALLマウスにおけるIFN遺伝子療法は、防御応答、白血球遊走及びインターフェロンGO期対する応答において豊富なIFN刺激遺伝子(ISG)のアップレギュレーションにより特徴付けられる免疫刺激プログラムを誘発し、Il10の白血病誘導アップレギュレーション及びMHC II遺伝子のダウンレギュレーションを抑止した(図19b~d)。ALLマウスにおけるIFN遺伝子療法は、対照においてトリガーされたものよりも高いレベルでISGを誘導し(図19d及び図22a)、対照及びIFN腫瘍のないマウス由来のマクロファージのトランスクリプトームは、高い相関を示し、一方、それらは、ALL及びIFN+ALL群と明確に異なった(図22b)。これらのデータは、本発明者らの単球媒介性遺伝子療法が、TMEに対してIFNを優先的に標的にするという以前の報告(De Palma, M.ら、(2008年)、Cancer Cell、14:299~311頁;Escobar, G.ら、(2014年)、Sci. Transl. Med、6:217ra3;Catarinella, M.ら、(2016年)、EMBO Mol. Med、8:155~170頁)を確認し、拡大する。
【0419】
よりバイアスのない様式においてTMEに対する白血病及びIFN遺伝子療法の影響を精査するために、本発明者らは、IFN遺伝子療法で処置した又は処置していない、対照及び腫瘍を有するマウスの脾臓から単離したCD11b+細胞上で単一細胞(sc)RNA-Seqを行った。小滴ベースのアプローチ(Zheng, G.X.ら、(2017年)、Nat. Commun、8:14049頁)を使用して、本発明者らは、平均1,338個の遺伝子/細胞を検出する、10,821個の細胞のscRNA-Seqデータを作成した。公開されたデータセット(Lavin, Y.ら、(2014年)、Cell、159:1312~1326頁;Varol, D.ら、(2017年)、Immunity、46:1030~1044頁;ImmGen)を使用したグラフベースのクラスター形成及び遺伝子シグネチャー解析は、単球(クラスター1~3)、好中球(クラスター4~6)、樹状細胞(クラスター7)、マクロファージ(クラスター8)、ナチュラルキラー及びT細胞(クラスター9)、マスト細胞(クラスター10)並びにB細胞(クラスター11)に対応する11種のクラスターを同定した。非古典的(クラスター1)及び古典的(クラスター2)単球、単球及び好中球遺伝子を同時発現するクラスター(クラスター3)(Yanez, A.ら、(2017年)、Immunity、47:890~902頁)並びに好中球成熟中間体を包含する、単球及び好中球集団内で、不均一性を観察した(図19e及び図23a、b)。白血病は、非古典的単球の転写状況に主に影響を有し(図19f)、それは、腫瘍を有するマウスの脾臓において拡大した(図11cを参照)。マクロファージ及びDCを含む、他の骨髄細胞集団は、比較的に、白血病誘導変更をあまり示さなかった(図24)。腫瘍関連非古典的単球は、GO期、例えば、補体活性化及び炎症の負の制御に豊富な遺伝子をアップレギュレートし、一方、それらは、抗原処理及び提示に関連する遺伝子をダウンレギュレートした(図19g)。IFN遺伝子療法は、防御及び先天性免疫応答に関連するGO期に豊富な遺伝子、並びにMHC II遺伝子のアップレギュレーションにより証明される通り、ALLマウス由来の非古典的単球にISG駆動型免疫刺激プログラムを強いた(図19g、h)。IFN遺伝子療法によるTMEの転写リプログラミングは、グラフベースのクラスター形成及び差次的遺伝子発現により明らかにされる(図19f、h)通り、IFN遺伝子療法に応答しなかったマウス由来の非古典的単球においてあまり有効でなかった(図25a)。非古典的単球のscRNA-Seqデータのサブクラスター形成は、4つ主なサブクラスター(1A~1D;図25b)を同定した。サブクラスター1Aは、対照及びIFNマウスの疾患のないマウス由来の細胞から構成された一方、他の3つのサブクラスターは、IFN+ALLレスポンダー(1B)、IFN+ALL非レスポンダー(1C)、及びALL(1D)由来の細胞と大部分が重複した。最小極大木(MST)解析は、1A~1Dのトラジェクトリーを明らかにし、非レスポンダー対レスポンダーIFNマウス由来の細胞における部分的対有効なリプログラミングを確認した(図19i)。
【0420】
予想外に、本発明者らはまた、腫瘍を注射したIFNマウスのBMにおいて増大した数のFOXP3+CD25+CD4+T細胞を見出した(図12c、d)。全体としては、これらの変化は、IFNマウスにおけるM1及びTh1応答の活性化に向けたプライミングと一致し、それは、白血病負荷の際に、防御免疫応答の誘導にとって有利であり得る。
【0421】
[実施例4]
IFN処置は複数の腫瘍抗原を標的にする永続性のある抗腫瘍応答を誘導する
次に、本発明者らは、腫瘍標的化IFNα処置がまた、マウスにおいて長期持続性応答を促進し得るかどうかを調べた。顕著なことには、IFNマウスの平均24%(5つの異なる実験、n=11、14、8、16、12の平均)が長期生存し、疾患を有効に治癒させた一方、対照マウス(n=13、14、8、16、13)の2%のみが、そこまで生存した(1つの代表的な実験を図4a及び図14aに示す)。注目すべきは、生存期間に基づきマウスを層別化することにより、本発明者らは、腫瘍注射の直後に安楽死させたマウスが、低いパーセンテージの循環OVA特異的T細胞を示し、NGFR陰性ALLの出現を示さないことを見出した(図14b)。逆に、後の時点にて安楽死させたマウスは、様々なパーセンテージの循環OVA特異的T細胞の誘導及びNGFR陰性ALLクローンの出現を示した(図14b)。これらの結果は、疾患に屈するマウスが、免疫選択OVA陰性ALLクローンの疲弊又は出現のいずれかのため、免疫応答を開始するのに失敗し、非常に早期に死亡したか、又は抗OVA応答を開始したが、これらの細胞がマウスを保護するのに失敗したのに起因して、最終的に死亡したかのいずれかであることを示唆する。長期生存マウスは、安定な循環OVA特異的T細胞を示し、OVA-ALLを再負荷した場合、疾患がないままであった(図4b及び図14c)。腫瘍クリアランスは、循環OVA特異的T細胞の拡大と関連し、これは、メモリーT細胞応答の発生が、続く腫瘍負荷からマウスを保護するのに鍵となる役割を果たすことを示唆している(図14d)。顕著なことには、長期生存しているIFNマウスは、1対1の比のこれらの細胞又は親細胞単独を再負荷した場合、OVA発現ALL細胞と親OVA陰性ALL細胞の両方を効率的にクリアランスし、追加の腫瘍関連抗原(TAA)に対する応答の広がりが生じており、これが、長期永続性のある保護を達成するのに必要とされ得ることを示唆している(図4c、d及び図14e)。
【0422】
[実施例5]
IFN処置とCTLA-4遮断の組合せは、白血病に対する生存を増強する
次に、本発明者らは、本発明者らの実験OVA-ALLモデルにおいて、CTLA-4遮断療法の腫瘍標的化IFNα処置との組合せを調べた(図4e)。全ての処置群、IFN遺伝子療法若しくはCTLA4単独を用いた処置又はそれらの組合せは、マウス生存対対照を大幅に増大した一方、併用療法は、第2の実験(IFN+αCTLA4、30%対αCTLA4、8%;図4g及び図15b)において確認される通り、より有効であった(IFN、21%;CTLA4、20%;CTRL+アイソタイプ対照抗体、7%;IFN+aCTLA4、36%;図4f及び図15a)。IFN又はaCTLA-4処置は、PBにおけるOVA207特異的T細胞のパーセンテージを増大し、併用群においてさらに増大した(図16b)。従って、NGFR陰性ALLの免疫選択は、遅延した疾患経過を一貫して伴うわけではない(図16a)がIFN+aCTLA4及びaCTLA4群においてより明らかであり、これは、単一の新規抗原に対する免疫応答が、腫瘍保護を提供し得ないことを示唆している。優性OVA抗原に加えて、本発明者らのALLモデルはまた、形質転換した表現型を駆動するのを助ける可能性のある新規抗原として、OFP(miR-126と同時発現する)及び原核生物のトランス活性化因子tTA(miR-126発現をアップレギュレートする)を発現する(図1aを参照)。本発明者らは、LV発現tTA、OFP、NGFR又はOVAを形質導入した標的細胞を用いて、長期生存しているマウス(図4fに示す実験から)の末梢血単核細胞(PBMC)を刺激し、ELISPOTによりγ-IFN産生を測定した。これらのマウスの大部分が、OVAに加えて、1つ以上の新規抗原に対する反応性を示し、観察した最強の応答はtTAに対してで、最弱の応答はNGFRに対してであった(図4h)。
【0423】
これらの知見は、追加の新規抗原に対する免疫応答の広がりが、長期生存しているマウスの大部分において生じたことを示す。次に、本発明者らは、これらのマウスに1:1の比のOVA陽性と陰性ALLを再負荷し、それらの大部分が、再負荷から生存したことを見出した。興味深いことに、個々のマウスの解析は、生存に失敗したものが、腫瘍抗原に対して広範な応答を生じるのに失敗し、及び/又は1つより多くの新規抗原を欠くALLクローンの選択に屈したことを示した(補足表1)。マウスの生存の根底にある適応免疫応答のさらなる指標として、本発明者らは、白血病負荷の前及び後に、PBMCのTCR-β相補性決定領域(CDR)レパートリーを比較した。生産的クローン性(各マウス内での0=ポリクローナル~1=モノクローナルの範囲にある多様性の測定値)及び異なるマウスの間でのレパートリーの類似性の両方は、白血病再負荷の際に増大し、これは、生存しているマウスの間での、共通するセットのTAAに対する腫瘍反応性T細胞クローンの拡大を示している(図4i及び図16c)。
【0424】
複数の新規抗原に対する応答の生成が、長期生存の予想因子であるかどうかをさらに評価するために、本発明者らは、新たな実験を行い、OVA-ALL負荷の直後にPBMCを収集して、IFNg-ELISPOTアッセイにより、全ての公知のTAAに対するT細胞反応性を調べた。複数のTAAを包含する抗腫瘍レパートリーを示すマウスが、全て疾患で死亡した、単一のTAAに応答する又は応答しないマウスよりも長期生存の高い可能性を有した(図4j、k)。
【0425】
全体として、これらのデータは、IFN遺伝子療法とCTLA4遮断の両方が、T細胞プライミングを増大させ、腫瘍新規抗原に対する応答のレパートリーを広げること、及びこれらの応答が、相加的であり、腫瘍からの長期保護をもたらし得ることを示す。
【0426】
[実施例6]
IFN遺伝子療法は、養子移入したCAR19を形質導入したT細胞の活性化及び拡大をブーストし、生存を増強する
臨床的に関連するモデルにおいてIFN遺伝子療法と養子T細胞移入の間の相乗作用をさらに調査するために、本発明者らは、マウスCD19を標的にし(CART19細胞)、CD28内部共刺激ドメインを取り込む(Kochenderfer, J.N.ら、(2010年)、Blood、116:3875~3886頁)、以前に記載した第2の世代(2G)CARを発現するT細胞を生成し、親(OVA陰性)ALLを注射したマウスを処置した。CAR遺伝子移入のため、本発明者らは、双方向性プロモーターからCAR及びNGFRマーカーを協調的に発現するLVを開発した(Casucci, M.ら、(2013年)、Blood、122:3461~3472頁)(図26a、b)。CART19細胞生着を可能にするために(Davila, M.L.ら、(2013年)、PLoS One、8:1~14頁)、マウスを、注入に先立ち、シクロホスファミドで条件付けた(図20a)。CART19細胞単独は、本発明者らの実験条件において、対照マウスにおいて迅速に増殖するALLに対してほとんど影響しなかった一方、IFNマウスにおいて白血病負荷及び枯渇した正常B細胞を大幅に阻害した(図20b及び図26c)。OT-I T細胞を用いた知見を連想させることには、CART19細胞は、IFNにおいて早期かつ一過性のLAG3及びPD1アップレギュレーションを明らかにしたが、対照マウスにおいてはアップレギュレーションはなく、これは、長期IFN生存マウスにおいて最大のピークに達した(図20c及び図26d、IFN長期生存マウスを緑色で示す)。興味深いことに、NGFR発現はまた、IFNマウスのCART19細胞上でアップレギュレートされ、これは恐らく、IFNマウスにおけるCART細胞のより高い代謝活性化に応答してホスホグリセリン酸キナーゼプロモーター(PGK)の増大した活性を反映している(図26e、f)。本発明者らのLVにおいて、NGFR及びCAR19発現は、PGKプロモーターにより同時制御されるので、後者のより高い発現はまた、IFNマウスにおいてより効率的なCD19+ALL殺傷に有利であった可能性がある。本発明者らはまた、第1及び第3のCD3ゼータITAMドメインにおける不活性化している変異を含有し、標準的CAR19と比較して、殺傷効率を改善し、T細胞生存能を増大させることが報告された(Kochenderfer, J.N.ら、(2010年)、Blood、116:3875~3886頁)、改良したCD19 CARバージョン(iCAR19)を試験した。本発明者らは、低い又は高い白血病負荷にて、CAR19又は対照T細胞のいずれかを発現するT細胞で対照又はIFNマウスを処置した(図20d及び図27a、b)。CART19及びiCART19細胞は、対照マウスにおいて検出可能だが、腫瘍負荷に対する顕著な効果を有さなかった一方、それらは、早期及び後期介入試験のいずれかにおいて、IFNマウスにおいてALLを大幅に阻害した(図20e)。本発明者らはまた、IFNマウス由来の両方のCART19細胞における早期LAG3アップレギュレーションを確認した(図20f)。長期的解析は、ALL増殖の阻害又はクリアランスに付随したIFNマウスにおけるiCART19拡大のピーク、及びIFNマウスにおけるNGFR/CAR19発現の早期アップレギュレーションを明らかにした(図27c、d)。全体としては、CART19細胞で処置したIFNマウスのかなりの割合が、最後のフォローアップにおいて依然として生きていた(図20g)。
【0427】
材料及び方法
実験設計
実験モデル及びアッセイでの以前の経験に従い、標本サイズを選択した。解析から除外した試料又は動物はなかった。各実験群にマウスを無作為に割り当てた。研究者は盲検ではなかった。
【0428】
プラスミド構築及びLV産生
mTie2-IFN-mirT、mTie2-GFP-mirT、PGK-OFP、PGK-tTA LVは、以前に記載されている9、10、14。NGFR-GFP BdLV38においてGFP cDNA(AgeI~SalI)の代わりに、PCRによりPGK-OVA LV37から増幅したOVA cDNA(AgeI~SalI)をクローニングすることにより、NGFR-OVA移入BdLVを生成した。使用したプライマーは、以下:フォワードプライマー:5'-CGACCGGTCCACAAAGACAGCACCATGACA、リバースプライマー:5'-ATTGTCGACTTAAGGGGAAACACATCTGCCAAAGAであった。NGFR-GFP BdLVにおいてGFP cDNA(AgeI平滑末端~SalI)の代わりに、合成したプラスミド(KpnI平滑末端~SalI)からコドン最適化ヒトCD20 cDNAをクローニングすることにより、NGFR-CD20移入BdLVを生成した。以下のプライマー:リバースプライマー(不活性なCAR19):5'-AAACAGCTCCTCGAGTTATCTAGGGGCCA;リバースプライマー(CAR19):5'-AAACAGCTCCCTCGAGTCATCTAGGGGCCAGT;フォワードプライマー(CAR19及び不活性なCAR19): 5'-AACACCGGTGTACCGAATTCATGGGCGTGを使用して、NGFR-GFP BdLVにおいてGFP cDNA(AgeI~SalI)の代わりに、PCRにより以前に記載された(Kochenderfer, J.N.ら、(2010年)、Blood、116:3875~3886頁)CAR19及び不活性なCAR19配列をクローニングすることにより、NGFR-CAR19及びNGFR-iCAR19移入BdLVを生成した。濃縮したVSV-G-シュードタイプ化LVを産生し、既に記載された(Follenzi, A.ら、(2000年)、Nat. Genet、25:217~222頁)通り力価決定した。
【0429】
マウス
C57Bl/6 Ly45.2及びLy45.1マウスを、Charles River Laboratoryから購入した。San Raffaele Scientific Instituteの動物実験施設において、C57Bl/6 Ly45.2とC57Bl/6 Ly45.1マウスを交配させることにより、C57Bl/6 Ly45.1/Ly45.2を得て、HPC移植のためのドナーとして使用した。San Raffaele Scientific Instituteの動物実験施設にてコロニーとして、トランスジェニックOT-I C57Bl/6 Ly45.2マウスを維持した。San Raffaele Scientific Instituteの動物実験委員会(IACUC 600)により承認され、イタリアの法律に従い、保健省及び地方当局に連絡したプロトコールに従い、全ての動物手技を行った。
【0430】
造血幹前駆細胞(HSPC)移植
C57Bl/6マウスにおけるHSPC移植
6週齢のC57Bl/6 Ly45.2/Ly45.1マウスをCO2で安楽死させ、大腿骨及び脛骨をフラッシュすることによりBMを回収した。免疫磁石カラムベースの細胞精製システム(系統細胞枯渇キットマウス、Miltenyi、#130-090-858)を使用して、総BMからHS/PCにおいて豊富な系統陰性細胞を単離した。次に、サイトカインのカクテル(20ng/ml IL-3、100ng/ml SCF、100ng/ml FLT-3L、50ng/ml TPO、全てPeprotechより)を含有する無血清StemSpan培地(StemCell Technologies)において3~4時間、106個の系統陰性細胞/mlを前刺激し、次に、同じサイトカイン含有培地において12時間、108個の形質導入単位/mlの用量で示したレンチウイルスベクターを形質導入した。形質導入後、細胞を洗浄し、106個の細胞を、致死量で照射した6週齢のC57Bl/6 Ly45.1のメスの尾静脈に注入した。放射線量は、2回に分けた935cGyであった。形質導入した細胞をまた、10%FBS、SCF(100ng/ml)、FLT3L(100ng/ml)、ペニシリン(100IU/ml)、ストレプトマイシン(100μg/ml)及び2%グルタミンを添加したIMDMにおいて15日間、インビトロで培養し、次に、安定な造血再構成(6週間)にて、移植したマウスから単離したPBMC細胞と一緒に試験して、以前に記載された通り(De Palmaら、Blood、2005年)、qPCRによりVCNを定量した。
【0431】
腫瘍研究
マウスOVA-ALL
NGFR-OVA BdLVを用いて親ALLクローン#1114を形質導入することにより、OVA-ALLサブクローンを生成した。簡潔に述べると、ALLを、10%FBS、ペニシリン(100IU/ml)、ストレプトマイシン(100μg/ml)、2%グルタミン、IL3(20ng/ml)、SCF(100ng/ml)、FLT3L(100ng/ml)、TPO(50ng/ml)を添加したStem Spanにおいて2×106個の細胞/mlの濃度にて培養物中で維持し、NGFR-OVA BdLVを用いて2×107TU/mlにて形質導入した。LV曝露の6時間後、形質導入したALLを洗浄し、半致死量で照射した(450cGy)レシピエントC57Bl/6 Ly45.2マウスに静脈内注射した。ALLが、総PB細胞の90%に達した場合、14日後に、白血病マウスを屠殺し、大腿骨及び脛骨をフラッシュすることによりBMを回収した。
【0432】
NGFR+形質導入した細胞を、免疫磁石細胞標識化(CD271 MicroBead Kit、Miltenyi、#130-099-023)により単離した。選択したALLの純度を、抗NGFR抗体を用いて細胞を標識化することによるフローサイトメーター解析により決定し、98%であると推定した(NGFR+ALL、図5aを参照)。次に、OVA-ALLバッチを、複数のアリコートで凍結し、液体窒素において保存し、全ての実験のため使用した。腫瘍負荷について、マウスに、リン酸緩衝食塩水(PBS)200μlに再懸濁した用量105個のOVA-ALL又は3×104個の親ALLを静脈内注射した。再負荷実験について、本発明者らは、1:1の比(105個の総ALL)でOVA-ALLと親(OVA陰性)ALLを混合した。抗NGFR抗体を用いて混合した細胞を標識化することにより、インビボ注射に先立ち、フローサイトメーター解析により注入製品の組成物を検証した。定期的なPB試料採取の際に、細胞蛍光測定法解析により、腫瘍増殖動態を決定した。生存研究について、マウスを毎日検査し、罹患の兆候を示した場合、疾患状態について評価し、続いて安楽死させ、さらなる解析のため無菌条件で、BM及び脾臓を収集した。CTLA-4遮断実験について、マウス抗マウスCTLA4遮断モノクローナル抗体(mAbクローン9D9 BioXCell、#BE0164)又はマウスアイソタイプ対照抗体(mAbクローンMCP-11 BioXCell、#BE0086)を、親ALL又はOVA-ALL注射の3日目から、初期用量200μg/マウスで、続いて、計5回の抗体注入のため3~4日毎に用量100μg/マウスにより腹膜内投与した。
【0433】
インビボCD8 T細胞枯渇
インビボT細胞枯渇について、抗CD8を枯渇させるモノクローナル抗体(mAb 53-6.72 BioXCell、#BE0004-1)を、マウスに、OVA-ALL注射の1日前に用量200μg/マウスにて、次に、実験の全持続時間の間、3日毎に腹膜内投与した。
【0434】
養子OT-I T細胞移入
養子T細胞実験について、免疫磁石選択(CD8+T細胞単離キット、Miltenyi、#130-104-075)により8週齢のトランスジェニックメスOT-I C57Bl/6 Ly45.2マウスの脾臓から、OT-I T細胞を精製した。抗CD8、CD4及びCD3抗体のパネルを使用して、細胞蛍光測定法解析により、選択したOT-I T細胞の純度を評価した。OVA-ALL注射後、示した時間にて移植したIFN又はCTRLマウスに、1×106個のナイーブOT-I T細胞を静脈内注射した。
【0435】
CART19細胞の生成
免疫磁石選択(汎T細胞単離キット、Miltenyi、#130-095-130)により、8週齢のメスC57Bl/6 CD45.2+マウスの脾臓から、T細胞をまず精製し、続いて製造元の指示に従い、抗CD3/CD28ダイナビーズ(ThermoFisher、#11452D)を用いて活性化した。10%FBS、ペニシリン(100U/ml)、ストレプトマイシン(100μg/ml)、1%グルタミン、IL2(30u/ml)、IL7(5ng/ml)、IL15(5ng/ml)、ピルビン酸ナトリウム(1mM)、へぺス(20mM)、NEAA(1μM)及びベータ-メルカプトエタノール(0.05mM)を添加したRPMIにおいて、T細胞を培養した。活性化の1日後、108TU/ml NGFR-CAR19又はNGFR-iCAR19 BdLVを含む濃度1×106個の細胞/mlにて、T細胞に形質導入した。LV曝露の12時間後、T細胞を洗浄し、マウスへの注入の8日前に、7×106個(図20bの実験から)及び107(図20eの実験から)NGFR+T細胞の用量で、培養物中で拡大した。
【0436】
インビボEdu増殖アッセイ
BrdUの代替で使用するチミジン類似体である5-エチニル-2'デオキシウリジン(EdU、Invitrogen)を使用して、インビボ増殖アッセイを行った。濃度10mg/mlで無菌の1×PBSに、EdUを溶解した。解析の24時間前に、100μgのEdUをマウスにi.p.注射した。製造元の指示に従い(Click-iT(登録商標)EdUフローサイトメトリーアッセイキット、Invitrogen、#C10636)、BM及び脾臓を回収し、処理して、白血病細胞へのEdU取り込みのパーセンテージを、フローサイトメトリー解析により測定した。
【0437】
細胞培養及び形質導入
10%FBS、ペニシリン(100IU/ml)、ストレプトマイシン(100μg/ml)及び2%グルタミンを添加したIMDMにおいて、マウスEL4 C57Bl/6に由来するリンパ腫細胞株を維持した。用量108TU/mlの示したベクターストックを含む濃度106個の細胞/mlにて、形質導入を行った。細胞を12時間インキュベートし、次に、洗浄して、ベクターを除去した。フローサイトメトリー解析により、培養の7日目に、形質導入した細胞上のOFPを評価した。形質導入の7日目に、抗NGFR又は抗CD20抗体を用いて細胞を染色することにより、NGFR及びCD20発現を評価した(フローサイトメトリーのセクションを参照)。以前に記載された(De Palmaら、Blood、2005)通り、培養の15日目にリアルタイムqPCRにより、形質導入した細胞のVCNを決定した。
【0438】
フローサイトメトリー
全ての細胞数測定解析を、FACSCanto II及びLSRFortessa装置(BD Bioscience)を使用して行い、FlowJoソフトウエア(v. 9.3、Tree Star Inc.)を用いて解析した。
【0439】
培養細胞
EL4細胞を洗浄し、2%FBSを含有するPBSに再懸濁した。免疫染色のため、細胞を、4℃で15分間、抗マウスFc受容体遮断抗体とインキュベートし、次に、抗NGFR又は抗CD20抗体(抗体については、補足表1を参照)を用いて、4℃で20分間染色した。解析から死細胞を除外するために、細胞を洗浄し、10ng/ml 7-アミノアクチノマイシンD(7-AAD)を含有するPBSに再懸濁した。
【0440】
末梢血
各マウスについて、250μlの末梢血を、45mg/mL EDTAを含有する10μLのPBSに加えた。免疫染色のため、分かっている体積の全血(100μl)を、抗マウスFcγIII/II受容体(Cd16/Cd32)遮断抗体と10分間室温でまずインキュベートし、次に、モノクローナル抗体(抗体については、添付の表1を参照)の存在下で15分間室温でインキュベートした。等体積のFBS(100μl)の存在下でTQ-Prepワークステーション(Beckman-Coulter)を用いた溶解により、赤血球を除去して、白血球を保護した。定量的フローサイトメトリーのため、本発明者らは、上記した通り、分かっている体積の血液(100μl)をまず染色し、溶解し、次に、本発明者らは、公知の濃度を有する、固定体積(50μl)のフローカウントフルオロスフェレス(Flow-count Fluorospheres)(Beckman Coulter、#7547053)を加えた。細胞の絶対数を決定するために、本発明者らは、式:絶対カウント(細胞/μl)=[カウントした細胞の総数/(カウントしたフルオロスフェレスの総数×2)]×フローカウントフルオロスフェレスの濃度を使用した。OVA特異的五量体染色のため、全血を、H2Oを用いてまず溶解した。次に、1×106個のPBMCを、2mM EDTA及び0.5%ウシ血清アルブミン(BSA)を含有する50μlのPBSに再懸濁し、抗マウスFcγIII/II受容体(Cd16/Cd32)遮断抗体と10分間室温にて、次に、OVA特異的五量体試薬(0.5μg/1×106個の細胞)及びモノクローナル抗体(抗体については、補足表1を参照)とさらに10分間室温にてインキュベートした。解析から死細胞を除外するために、細胞を洗浄し、2%FBS及び10ng/ml 7-アミノアクチノマイシンD(7-AAD)を含有するPBSに再懸濁した。PBでのTreg細胞染色のため、本発明者らは、上記の通り、50μlの全血上での表面染色をまず行った(抗体については、補足表1を参照)。次に、染色した全血を洗浄し、100μlの固定/透過処理溶液(eBioscience、#00-5523-00)に再懸濁し、20分間室温にてインキュベートし、洗浄し、抗マウスFoxP3又はアイソタイプ対照抗体を含有する50μlの透過処理溶液に再懸濁し、20分間室温にてインキュベートした。
【0441】
骨髄
大腿骨をPBS 2%FBS溶液においてフラッシュすることにより、及び細胞懸濁液を40μmのナイロンフィルターに通すことにより、BM細胞を得た。細胞(1×106~3×106個の細胞)を洗浄し、2mM EDTA及び0.5%ウシBSAを含有する100μlのPBSに再懸濁し、抗マウスFcγIII/II受容体(Cd16/Cd32)遮断抗体と15分間4℃にてインキュベートした。次に、モノクローナル抗体(抗体については、補足表1を参照)を用いて20分間4℃にて染色を行った。OVA特異的五量体染色について、PBについて上で記載した通り、1×106個のBM細胞を染色した。全ての細胞内染色について、及び一部の表面染色について、製造元の指示に従い、LIVE/DEAD Fixable Dead Cell Staining (ThermoFisher、#L34959)を使用して、生細胞と死細胞を区別した。BMにおけるTreg染色について、本発明者らは、PBについて上で記載した通り、1×106個のBM細胞上で表面染色をまず行った。
【0442】
脾臓
脾臓をまず粉砕し、得られた細胞懸濁液を40μmのナイロンフィルターに通した。赤血球を、H20により溶解し、得られた細胞懸濁液を、40μmのナイロンフィルターにさらに通し、2mM EDTA及び0.5%BSAを含有する冷PBSにおいて洗浄した。BMについて上で記載した通り、細胞を処理し、免疫染色した。
【0443】
細胞周期染色
OVA-ALLを注射したマウスからBM細胞及び脾臓細胞を、上記の通り、回収した。次に、細胞を表面マーカーについて染色し、洗浄し、BD Cytofixバッファー(BD #554655)を使用して固定し、洗浄し、BD Perm 2(BD #347692)を用いて透過処理し、洗浄し、PerCP-Cy5.5-又はAPCコンジュゲートKi67抗体を用いて染色し、最後に、1μg/mLのヘキストを含むBD Cytofixバッファーに再懸濁した。次に、UVレーザーを備えたBD LSRFortessaマシーン上で、細胞を解析した。
【0444】
細胞アポトーシス染色
OVA-ALLを注射したマウスからBM細胞及び脾臓細胞を、上記の通り、回収した。次に、上記の通り、表面マーカーを用いて細胞を染色した。次に、染色した細胞を、細胞染色バッファー(BioLegend、#420201)を用いて2回洗浄し、(Biolegend、#422201)において再懸濁し、5μlのパシフィックブルーコンジュゲートアネキシンV及び10μlの7-AAD(Biolegend、#420403/420404)と15分間室温にてインキュベートした。次に、400μlのアネキシンV結合バッファーを、各試料に加え、OVA-ALLにおけるアポトーシス/死細胞のパーセンテージを、染色から30分以内に、フローサイトメトリー解析により測定した。
【0445】
ELISPOTアッセイ
5μg/ml抗マウスIFN-g一次抗体(BD、#554430)を用いてコーティングした96ウェルの平底プレート(Millipore)において、g-IFN ELISPOTを行った。免疫磁石細胞標識化(CD8 MicroBead Kit、Miltenyi、#130-049-401)により、脾臓のCD8+エフェクターT細胞をまず精製し、抗CD8、CD4及びCD3抗体のパネルを使用して、細胞蛍光測定法解析により、純度を評価した。続いて、エフェクターT細胞を、最終濃度105又は2×105個の細胞/ウェルにて、照射した(6000cGy)105個のEL4標的細胞の存在下で播種した。一部の実験のため、本発明者らはまた、対照として、2.5μg/mlコンカナバリンAを用いてエフェクターT細胞を刺激した。37℃/5%CO2でのインキュベーションの46時間後、細胞を洗浄し、ビオチン化抗マウスIFN-g抗体(クローンXMG1.2、BD、#554410、1μg/ml)と2時間インキュベートした。次に、プレートを、PBS-ツイーンを用いて4回洗浄し、続いて、PBSを用いて3回洗浄し、次に、アビジン-POD(Roche、#11089153001)を加え1時間おいた(PBS中で1:5000希釈した)。次に、プレートを、PBS-ツイーンを用いて4回洗浄し、続いて、PBSを用いて3回洗浄し、次に、50μlの3-アミノ-9-エチルカルバゾール基質 (AEC、SIGMA、#A6926/50tab)を、各ウェルに加え15~20分間おいた。水道水の添加により、反応を停止させ、ELI-Expert.Elispot-Readerを用いて、スポットを定量し、Eli.Analyzeバージョン5.1(A.EL.VIS)により解析した。エフェクター細胞として総PBMCを使用する場合、全血をH2Oを用いてまず溶解して、赤血球を排除し、回収したPBMCをカウントし、最終濃度105個の細胞/ウェルにて播種した。
【0446】
RNA抽出、qPCR及び遺伝子発現解析
RNeasyプラスミニキット(Qiagen)を使用して、BM細胞、脾臓細胞及び精製した脾臓のCD4+T細胞からのRNA抽出を行った。ベータ-メルカプトエタノールを添加したバッファーRLTプラスにおいて、細胞を溶解した。次に、溶解物を20ゲージの針に通した。次に、製造元の指示に従い、RNAを抽出した。SuperScript Viloキット(11754250、Invitrogen)を使用して、抽出したmRNAを逆転写した。Applied BiosystemsのTaqManプローブ(以下を参照)を使用して、単一の遺伝子上での全Q-PCR解析を行った。次に、Viia7ソフトウエアを使用して、生データ(Ct)を抽出しながら、Viia7装置を使用して、40サイクル、QPCRを実行した。遺伝子発現を決定するために、各遺伝子の閾値サイクル(Ct)と参照遺伝子の閾値サイクルとの間の差(ΔCt)を計算した。ΔCtが低いほど、遺伝子発現レベルは高い。相対的定量値を得るために、次に、本発明者らは、式2-ΔΔCtにより、参照試料におけるその発現に対する目的の遺伝子の変化倍率[0]発現を計算した。2つの群の間で各遺伝子についての平均2-ΔΔCt値のマンホイットニーに基づき、p値を計算する。
【0447】
精製した脾臓のマウスCD4+T細胞:Il10 Mm00439616_m1)、Il17(Mm00439618_m1)、Ifn-g(Mm01168134_m1)、Il2 Mm00434256_m1)、Tbx21(TBET)(Mm00450960_m1)、Rorc(Mm01261022_m1)、Foxp3 Mm00475156_m1)、Gata3(Mm00484683_m1)、Il22(Mm00444241_m1)、Il4 Mm00445259_m1)において、以下のTaqManプローブを使用した。
【0448】
TCR配列決定
腫瘍注射前(T0)、腫瘍のない長期生存しているマウスにおけるOVA-ALL注射の30日目(T1)及び1:1の比で混合したOVA-ALL並びに親ALLを用いた再負荷の4日目(T2)に、IFN及びCTRLマウスのPBMCから、インプットDNAを得た。全54種の公知の発現したVβ及び全13種のJβ領域に特異的なプライマーを含むImmunoSEQプラットフォームを使用して、Adaptive Biotechnologiesにて、TCR β鎖配列決定を行った。アミノ酸レベルでの各の固有のCDR鋳型を、100万当たりのカウント(cpm)で定量した。クローン性を、1-ピールーの均等度39:
【0449】
【数1】
(式中、H'は、0より大きい鋳型カウント上で計算した、試料のエントロピー(すなわち、マウスにおける全ての観察可能な鋳型のセット)であり、Hは、
【0450】
【数2】
(式中、Sは、マウスにおける異なる鋳型の数である)
により定義した、マウスについて最大の理論エントロピーである)
として評価した。1-試料sと時間tでの鋳型カウントの平均の間のブレイカーティス距離として、類似性を評価した。
【数3】
【0451】
この測定値は、ソレンセン-ダイス類似性指標に等しく、時間tにて全てのiの観察した鋳型を含み、評価した。
【0452】
バルクRNA配列決定
ReliaPrep RNA MiniPrepシステム(Promega)を使用して、10,000~50,000個の分取した細胞から、RNAを抽出し、若干改変した、SMART-Seq2プロトコール(Picelli, S.ら、(2014年)、Nat. Protoc、9:171~181頁)を用いて、RNA-Seqライブラリーを調製した。簡潔に述べると、カスタムオリゴdT及び鋳型スイッチングLNAオリゴ(配列)、続いて、PCR増幅及び精製(Ampure XPビーズ、Beckman Coulter)を使用して、RNA(1~5ng)を逆転写した。得られたcDNA(0.5~1ng)を、55℃にて30分間タグメンテーションし、最終的なRNA-Seqライブラリーを、Nextera XT DNA Library Prep Kit (Illumina)の試薬を使用して生成した。NextSeq500/550 High Output v2キットを使用してNextSeq 500マシーン(Illumina、San Diego、CA)上で、配列決定を行った(75サイクル)。
【0453】
単一細胞RNAの配列決定
製造元の指示に従い、Chromium Single Cell 3' Reagent Kit v2を使用して、Chromium Single-Cell Controller (10X Genomics、Pleasanton、CA)上で、液滴ベースのデジタル3'末端scRNA-Seqを行った。簡潔に述べると、懸濁した単一細胞を、エマルジョン中のゲルビーズ(GEM)に分配し、溶解し、続いて、RNAバーコーディング、逆転写及びPCR増幅(12~14サイクル)した。製造元の指示に従い、配列決定の準備が出来たscRNA-Seqを調製し、2100 Bioanalyzer (Agilent Genomics、Santa Clara、CA)及びQubit 3.0(Invitrogen、Carlsbad、CA)装置上でチェックし、定量した。NextSeq500/550 High Output v2キットを使用してNextSeq 500マシーン(Illumina、San Diego、CA)上で、配列決定を行った(75サイクル)。
【0454】
計算法
生読み取り値を処理し、デフォルトパラメーターを用いたCellRangerバージョン1.3(https://support.10xgenomics.com/single-cell-gene-expression/software/pipelines/latest/what-is-cell-ranger)を使用して、ENSEMBL mm10トランスクリプトームに整列させた。確実にマッピングした読み取り値である、有効なバーコード及びUMI(固有の分子識別子)を有する、PCRによるものではない二重重複のみを保持した。本発明者らは、低品質の細胞をフィルタリングして取り除いた。細胞について検出した300種の固有の遺伝子という最小値を必要とし、加えて、0.1を超えるミトコンドリア対内在性遺伝子発現比を有する細胞を廃棄した。得られた10,821個の細胞をさらなる解析のため保持した。100万当たりでの転写物数をlog変換したもの(log transformed transcript per million) [log(TPM+1)]として、遺伝子発現値を定量した。RソフトウエアパッケージSeuratバージョン2.1(https://github.com/satijalab/seurat/)を使用して、下流解析を行った。細胞クラスター形成及びtSNE解析は、0.01よりも高い平均発現、及び0.5よりも高い、分散対平均の比のlog変換値を有するものとして選択した1,031個の最も可変性の遺伝子に対して行った。
【0455】
ナノストリングデータ解析
製造元の指示に従い、マウスパネル(Nanostring Technologies)について、nCounter PanCancer Immune Profilerを使用して、nCounter SPRINT装置上で、RNA発現を評価した。NanoString(登録商標)を用いて得た転写カウントを、以下の通り処理した。R/ Bioconductor library NanoStringNorm (v 1.1.21)40を使用して、RCCファイルにおける生カウントを標準化し、技術的アッセイバリエーションを、内部対照の幾何平均を使用して標準化し、陰性対照の平均を計算して、バックグラウンドを推定し、ハウスキーピング遺伝子発現の幾何平均を使用して、RNAカウントを標準化し、さらなる分散安定化を適用した。R/Bioconductor limma library41において実行した線形モデルにより、標準化したデータの差次的発現を評価した。調整したp値の閾値<0.05(Benjamini-Hochberg補正)を用いて、転写物を差次的に発現したとみなした。
【0456】
統計解析
値を、示した通り、平均±平均の標準誤差(SEM)として表す。別段示さない限り、マンホイットニー検定又はクラスカルウォリス検定、続いて、ダン検定後補正により、統計解析を行った。p<0.05の差を、統計的に有意とみなした。R 3.2.242、NPC検定R1043及びPrism (GraphPad Prismバージョン7.0)を用いて、解析を行った。パラメトリックホテリングTスクエア2試料検定の順列ベースの代替検定である、ノンパラメトリック組合せ検定43により、図2における細胞集団の解析を行った。この方法論は、多変量の正規性について前提を満たさない、少数の観察を含む群における平均の多変量比較を行うことを可能にする。パラメトリック手技が適当でない、小さい標本サイズ、外れ値の存在、非ガウス及び非常に歪んだデータ分布を考慮可能なノンパラメトリックフレームワーク内で、図1a、l、図16b図17及び図20b、eをモデル化した。階乗設計において縦断的解析に適したロバストかつ柔軟な順位ベースの方法を適用した44、45。この関係において、仮説検定は、平均の間の差ではなく収集した変数の分布における差を検出することに焦点を当てる46、47。R46において開発されたnparLDパッケージを使用して、この解析を実行した。カプラン-マイヤー(KM)により、生存曲線を推定した。ここで考慮される事象変数は、死亡までの時間であり、情報がある打ち切りは生じなかった。ノンパラメトリックログランク(マンテルヘンツェル)検定統計を使用して、k-試料と関連するk生存曲線を比較した48。ボンフェローニ法によりp値を調整することにより、2つより多くの群の存在下での、複数の比較の問題に取り組んだ。
【0457】
[実施例7]
本発明者らは、インターフェロン-ガンマ(IFNγ)、II型インターフェロンの腫瘍特異的発現のため、新規レンチウイルスベクターコンストラクトを開発した。腫瘍特異性は、以前に記載された(Escobar, G.ら、(2014年)、Sci Transl Med、6:217ra3)通り、miR-126-3p及びmiR-130aにより認識されるマイクロRNA標的配列の助けを借りて、造血幹及び前駆細胞における発現を妨げながら、腫瘍浸潤性骨髄細胞のサブセットにおいて選択的に導入遺伝子発現を駆動するTie2(Tek)遺伝子座由来のエンハンサー/プロモーター配列を通じた転写制御によりもたらされる。このコンストラクトを「Tig126/130a」と名付けた。
【0458】
Tie2の制御下でのインターフェロン-アルファ及びmiR-126標的配列の発現のための類似のコンストラクト(すなわち、Tie2.Ifna.126T)を、「Tia126」と名付けた。
【0459】
Tig126/130a及びTia126ベクターに加えて、本発明者らは、腫瘍壊死因子アルファ(Tnfa)遺伝子のcDNAを有するレンチウイルスベクターを開発し、それを「Tta126/130a」と名付けた。コンストラクト(例えば、Tig126/130a及びTta126/130a)の構造を、図28に示す。
【0460】
造血幹及び前駆細胞(HSPC)にTig126/130aを用いてエクスビボで形質導入し、続いて、操作した細胞の条件付けレシピエントへの移植により、療法を送達する。生着後、HSPC子孫は、拡大し、分化し、それらの一部は、腫瘍微小環境に動員される。腫瘍浸潤性単球/マクロファージのサブセットにおいて、特に、血管周囲エリアに局在し、血管新生促進及び免疫抑制性機能を有するTie2発現単球/マクロファージ(TEM)(De Palma, M.ら、(2005年)、Cancer Cell、8:211~226頁;De Palma, M.ら、(2008年)、Cancer Cell、14:299~311頁)において、プロモーター活性は、特異的にアップレギュレートされ、これにより、この戦略的位置にカーゴ(例えば、IFNγ)を送達する。
【0461】
本発明者らは、例えば、骨髄由来抑制細胞の出現、MHCクラスII遺伝子のダウンレギュレーション並びにIL10及びPD1のダウンレギュレーションにより特徴付けられる腫瘍促進性免疫抑制性微小環境を容易に誘導する、ヒトフィラデルフィア様B-ALLを厳密に模倣する(Nucera, S.ら、(2016年)、Cancer Cell、29:905~921頁)、B急性リンパ芽球性白血病(B-ALL)の移植可能なモデルを利用した。
【0462】
本発明者らは、白血病増殖に対するTig126/130aベースのIFNγ送達の結果及び白血病により誘導された腫瘍促進性微小環境をまず評価した(図29)。
【0463】
Tig126/130a、Tta126/130a又は生物学的に不活性な切断型神経成長因子受容体(NGFR)遺伝子を発現する対照レンチウイルスベクターのいずれかを用いて形質導入した系統陰性HSPCを用いて、6~8週齢のC57/BL6マウスを再構成した。Tig126/130a及びTta126/130a投与量を、インビトロでそれぞれ、1,39及び2,01、並びにインビボでそれぞれ、0,44及び0,83のベクターコピー数として定量した。移植の8週間後、末梢血が再構成されたら、動物は、B-ALLを受け、続いて、頻繁に血液を採取した。対照動物と比較して、IFNγを発現するように操作したマウスは、大幅に遅い疾患の進行を示した(図29A)。さらに、屠殺の際、本発明者らは、脾臓のマクロファージ上でのMHCクラスII発現のアップレギュレーション(図29B)、並びに腫瘍微小環境のより抗腫瘍性の「M1様」極性化状態への変換を示す、骨髄における骨髄由来抑制細胞の低減(図29C)を観察した。Tig126/130a遺伝子療法による白血病阻害の程度は、本発明者らが、同様のベクター骨格(Tia126)、同じ送達プラットフォーム及び同じ白血病モデルを使用して導入したI型インターフェロンカーゴ(すなわち、インターフェロン-アルファ)を用いて以前に観察したものと同等であった。対照的に、Tta126/130aベクターは、単独療法として導入した場合、白血病増殖に対する測定可能な効果を有さなかった。
【0464】
次に、本発明者らは、異なる導入遺伝子カーゴを備えたTie2ベクター骨格を使用した、幾つかの免疫刺激性サイトカインの白血病微小環境への同時送達を組み合わせた。本発明者らは、Tia126単独療法又は生物学的に不活性なTie2.NGFRベクターを用いて形質導入した対照群とは対照的に、Tia126、Tig126/130a及びTta126/130aベクターの一対の組合せを用いて系統陰性HSPCに同時形質導入し、細胞を致死量で照射したレシピエントマウスに移植した。予想通り、マウスは、組み合わせたサイトカイン発現に起因する相加的な毒性を伴わずに再構成された。特定の定量的PCRアッセイにより測定した単一ベクターのベクターコピー数は、再構成したマウスにおいて0.1~0.3の範囲でむしろ小さかった。上記の通り、マウスにB-ALLを負荷した。Tia126単独は、Tig126/130a又はTta126/130aのいずれかとの組合せと類似し、対照と比較して、白血病増殖における低減を示した(図30A)。
【0465】
予想外に、Tig126/130aとTta126/130aの組合せは、脾臓のマクロファージ上でのMHCクラスII発現の大幅な増大(図30B)、MDSCにおける低減(図30C)及び脾臓における細胞傷害性CD8+T細胞の増大(図30D)と関連する、白血病進行における劇的な低減をもたらした。これらのデータは、Tie2エンハンサー/プロモーターの制御下で白血病浸潤性骨髄細胞を通じて、腫瘍微小環境において局所的に発現したIFNγとTNFaの間の相乗作用を示唆する。
【0466】
さらに、本発明者らは、チェックポイント阻害薬抗CTLA-4及び抗LAG-3並びにIDO酵素である1-メチル-トリプトファン(1-MT)の阻害薬を含む他の免疫療法ストラテジーとの、IFNγの本発明者らの遺伝子療法ベースの送達の可能性のある相乗作用を評価した。本発明者らは、Tig126/130a又は対照の生物学的に不活性なTie2.NGFRベクターを用いて系統陰性HSPCに形質導入し、細胞を致死量で照射したレシピエントマウスに移植した。予想通り、マウスは、組み合わせたサイトカイン発現に起因する相加的な毒性を伴わずに再構成された。特定の定量的PCRアッセイにより測定した単一ベクターのベクターコピー数は、再構成したマウスにおいて、Tig126/130aについて0,72及び対照について0,84であった。上記の通り、マウスにB-ALLを負荷した。
【0467】
本発明者らは、抗CTLA-4(αCTLA4)及び抗LAG-3(αLAG3)が、B-ALL進行の低減において単独療法において既に幾分かの有効性を示した一方、1-MT処置は、有益な効果を有さなかったことを観察した(図31A)。さらに、1-MTとチェックポイント阻害薬の両方とのIFNγの遺伝子療法ベースの送達の組合せは、処置の有効性を増大し、これにより、脾臓及び骨髄マクロファージ上でのMHCクラスII発現の大幅な増大(図31A及び31B)並びに脾臓における細胞傷害性CD8+T細胞の増大(図31D)と関連する、疾患進行の低減を導いた(図31A)。
【0468】
参考文献
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【配列表】
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