(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-27
(45)【発行日】2023-04-04
(54)【発明の名称】砂糖溶液の処理
(51)【国際特許分類】
C13B 20/14 20110101AFI20230328BHJP
B01D 15/00 20060101ALI20230328BHJP
B01D 15/04 20060101ALI20230328BHJP
C13K 11/00 20060101ALI20230328BHJP
C13B 20/00 20110101ALI20230328BHJP
【FI】
C13B20/14
B01D15/00 M
B01D15/04
C13K11/00
C13B20/00
(21)【出願番号】P 2019557604
(86)(22)【出願日】2018-04-25
(86)【国際出願番号】 US2018029293
(87)【国際公開番号】W WO2018200629
(87)【国際公開日】2018-11-01
【審査請求日】2021-04-09
(32)【優先日】2017-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(73)【特許権者】
【識別番号】590002035
【氏名又は名称】ローム アンド ハース カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【氏名又は名称】出野 知
(72)【発明者】
【氏名】ディア、ジョシュア
(72)【発明者】
【氏名】ギッシュ、ダリル ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】マーティン、コリン エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】ピーズ、ステファン
(72)【発明者】
【氏名】トーマス、ライアン
(72)【発明者】
【氏名】ワン、ホンチー
【審査官】田ノ上 拓自
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第1991/003574(WO,A1)
【文献】特開昭60-009499(JP,A)
【文献】特開2005-295916(JP,A)
【文献】特開2009-278882(JP,A)
【文献】澱粉工業学会誌, 1959年,第6巻, 第3,4号,p.85-90
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C13B 20/14
B01D 15/00
B01D 15/04
C13K 11/00
C13B 20/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
FSTA(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水溶液の処理方法であって、
前記水溶液が、前記水溶液の重量を基準として10重量%~50重量%の量で溶解砂糖固形分を含み;
前記溶解砂糖固形分が、前記溶解砂糖固形分の重量を基準として1重量%~99重量%の量で単糖類を含有し;
前記水溶液が、100~10,000μS/cmのイオン伝導率及び100~10,000国際カラー単位のカラー含有量を有し;
前記方法が、
(a)前記水溶液を樹脂粒子の集合体と接触させる工程であって、
前記樹脂粒子が、1種以上の
ビニルポリマーを含み;
前記ポリマーが、前記樹脂粒子に結合した非第四級アミノ基を含
み、ここで前記樹脂粒子に結合した全てのアミノ基が、1リットルの樹脂粒子当たり0.1~2.0当量の量で存在し、かつ、前記樹脂粒子に結合した第四級アンモニウム基が、樹脂粒子の1リットル当たり0~0.25当量の量で存在する、工程と;
(b)前記水溶液を樹脂粒子の前記集合体から分離して樹脂処理水溶液を生成する工程と;
(c)前記樹脂処理水溶液を活性炭と接触させる工程と;
(d)前記樹脂処理水溶液を前記活性炭から分離して樹脂-炭素処理溶液を生成する工程と
を含
み、前記水溶液を先に前記樹脂と接触させ、次に前記樹脂処理水溶液を前記活性炭と接触させることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記
ビニルポリマーがビニル芳香族ポリマーである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記樹脂粒子が、16nm以上の平均細孔径を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
工程(a)及び(b)が、前記水溶液を前記樹脂粒子の固定床に通すことによって行われ、工程(c)及び(d)が、
(i)前記活性炭及び前記樹脂処理水溶液を単一容器中に入れて混合物を形成し、次に前記樹脂-炭素処理水溶液を前記活性炭から分離すること、又は
(ii)前記樹脂処理水溶液を活性炭粒子の集合体固定床に通すこと、
(iii)(i)と(ii)との組み合わせ
によって行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記水溶液が、高フルクトースコーンシロッププロセス流れから得られる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記水溶液が、甘蔗糖又はテンサイ糖プロセス流れから得られる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
工程(d)の後に以下の工程:
前記樹脂-炭素処理水溶液を1種以上のカチオン交換媒体と接触させる工程;
前記樹脂-炭素処理水溶液を、本発明の樹脂粒子の集合体に加えて1種以上のアニオン交換媒体と接触させる工程;
前記樹脂-炭素処理水溶液を異性化させて前記樹脂-炭素処理水溶液中に含有されるグルコースのいくらか若しくは全てをフルクトースへ転化する工程;又は
前記樹脂-炭素処理水溶液をクロマトグラフィー樹脂と接触させて別個のグルコースに富む溶液及びフルクトースに富む溶液を生成する工程
の1つ以上をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記樹脂粒子が200m
2/g以下の表面積を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記樹脂粒子が35%~60%の保水容量を有する、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
砂糖の精製方法において、色を付与する物質を除去するために1種以上の単糖類を含有する水溶液を処理することが多くの場合望まれる。色を除去するための一方法は、水溶液を吸着剤粒子のベッドに通し、着色物質を粒子上へ吸着されるようにすることである。そのような方法が用いられる場合、運転のある期間後に、吸着剤粒子は再生される;すなわち、溶液から着色物質を除去するために吸着剤粒子を再使用できるように、吸着された着色物質のほとんど又は全てが吸着剤粒子から除去される。
【背景技術】
【0002】
これまで、着色物質を砂糖溶液から除去するための吸着剤粒子として活性炭粒子を使用することが一般的であった。活性炭は、砂糖溶液から着色物質を除去するのに有効であることが知られている。活性炭粒子の一般的な形態は、粉末活性炭及び粒状活性炭である。着色物質の除去における活性炭の有用性にもかかわらず、活性炭粒子の使用は、幾つかの欠点を有する。粉末活性炭は、活性炭の粒子を攪拌タンク中で砂糖溶液と混合し、炭素粒子を混合物から分離した後に、単一使用後の炭素粒子を廃棄することによって一般に使用される。この方法は、使用済み炭素の大量の廃棄物流れを生み出す。粒状活性炭は、炭素粒子をカラム中に入れ、砂糖溶液をカラムに通すことによって一般に使用される。定期的に、炭素粒子を炉中で高温に加熱することによって炭素は再生される。この方法は、炉を設置するための大きい資本経費を必要とし、炉を運転するための高い運転費を必要とし、各再生サイクル中に炭素の3~10%の損失を引き起こす。したがって、活性炭の使用は、粉末形態か粒状形態かのいずれが使用されるかにかかわらず、かなりの欠点を有する。
【0003】
着色物質の除去のための活性炭の有効性をうまく利用しながら、着色物質の除去のために炭素を使用することの欠点の1つ以上を著しく減らす着色物質の除去方法を提供することが望まれる。砂糖溶液と活性炭との接触前に、砂糖溶液をある種の吸着剤樹脂粒子と接触させ得ることが発見された。そのような手順において、吸着剤樹脂粒子が再生できることがまた望ましく、且つ、再生後に、吸着剤樹脂粒子が着色物質を除去するために再使用できることが望ましい。吸着剤樹脂粒子が良好な浸透安定性を示すことがまた望まれる。
【0004】
米国特許第6,942,805号明細書は、単分散イオン交換体、好ましくはアニオン交換体を用いる砂糖ジュースの脱色方法、及び砂糖ジュース脱色のためのその使用を記載している。砂糖溶液からの着色物質の改善された除去方法を提供することが望まれる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下は本発明の説明である。
【0006】
本発明の第1態様は、水溶液の処理方法であって、
水溶液が、水溶液の重量を基準として10重量%~50重量%の量で溶解砂糖固形分を含み;
溶解砂糖固形分が、溶解砂糖固形分の重量を基準として1重量%~99重量%の量で単糖類を含有し;
水溶液が、100~10,000μS/cmのイオン伝導率及び100~10,000国際カラー単位のカラー含有量(color content)を有し;
本方法が、
(a)水溶液を樹脂粒子の集合体と接触させる工程であって、
樹脂粒子が、1種以上のポリマーを含み;
ポリマーが、樹脂粒子に結合した非第四級アミノ基を含む工程と;
(b)水溶液を樹脂粒子の集合体から分離して樹脂処理水溶液を生成する工程と;
(c)樹脂処理水溶液を活性炭と接触させる工程と;
(d)樹脂処理水溶液を活性炭から分離して樹脂-炭素処理溶液を生成する工程と
を含む方法である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
以下は、図面の簡単な説明である。
【0008】
【
図1】デンプン処理プロセスの例についてのフローチャートを示す。括弧中の部分が本発明のプロセスを表す。いくつかのデンプン処理プロセスにおいて、左下隅に示されるグルコース及びフルクトースは、例えば、グルコース及びフルクトースを含有する水溶液へと組み合わせて高フルクトースコーンシロップを形成する工程、又はもう一つ例を挙げると、水を除去して固体砂糖製品を形成する工程などの、さらなる工程に供される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下は本発明の詳細な説明である。
【0010】
本明細書で用いるところでは、以下の用語は、文脈がそうではないと明らかに示さない限り、指定される定義を有する。
【0011】
本明細書で用いるところでは、「溶解砂糖固形分」は、単糖類、二糖類、オリゴサッカリド、又は多糖類である全ての溶解化合物を指す。単糖は、より簡単な糖化合物に加水分解することができない糖化合物である。単糖類には、三炭糖、四炭糖、五炭糖、六炭糖、及び七炭糖が含まれる。二糖は、2個の単糖がグリコシド結合によって結び合わせられるときに形成される分子である。オリゴサッカリドは、3~10個の単糖がグリコシド結合によって結び合わせられるときに形成される分子である。多糖は、11個以上の単糖がグリコシド結合によって結び合わせられるときに形成される分子である。
【0012】
「樹脂」は、本明細書で用いるところでは、「ポリマー」と同意語である。「ポリマー」は、本明細書で用いるところでは、より小さい化学繰り返し単位の反応生成物からなる比較的大きい分子である。ポリマーは、線状、分岐状、星形、ループ状、超分岐状、架橋、又はそれらの組み合わせである構造を有し得;ポリマーは、単一タイプの繰り返し単位を有し得(「ホモポリマー」)、又はそれらは、2つ以上のタイプの繰り返し単位を有し得る(「コポリマー」)。コポリマーは、ランダムに、順序正しく、ブロックで、他の配列で、又はそれらの任意の混合若しくは組み合わせで配列された様々なタイプの繰り返し単位を有し得る。ポリマーは、2,000以上の重量平均分子量を有する。
【0013】
互いに反応してポリマーの繰り返し単位を形成することができる分子は、「モノマー」として本明細書では知られている。そのようにして形成された繰り返し単位は、モノマーの「重合単位」として本明細書では知られている。
【0014】
ビニルモノマーは、フリーラジカル重合プロセスに関与することができる非芳香族炭素炭素二重結合を有する。ビニルモノマーは、2,000未満の分子量を有する。ビニルモノマーには、例えば、スチレン、置換スチレン、ジエン、エチレン、エチレン誘導体、及びそれらの混合物が含まれる。エチレン誘導体には、例えば、下記: 酢酸ビニル及びアクリルモノマーの非置換及び置換バージョンが含まれる。「置換」は、例えば、アルキル基、アルケニル基、ビニル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、カルボン酸基、スルホン酸基、アミノ基、第四級アンモニウム基、他の官能基、及びそれらの組み合わせなどの少なくとも1個の結合した化学基を有することを意味する。
【0015】
一官能性ビニルモノマーは、1分子当たり正確に1個の重合性炭素炭素二重結合を有する。多官能性ビニルモノマーは、1分子当たり2個以上の重合性炭素炭素二重結合を有する。
【0016】
本明細書で用いるところでは、ビニル芳香族モノマーは、1個以上の芳香環を含有するビニルモノマーである。
【0017】
ビニルモノマーは、炭素炭素二重結合が互いに反応してポリマー鎖を形成する、ビニル重合のプロセスによってポリマーを形成すると考えられる。
【0018】
ポリマーの重量を基準として重量で、重合単位の90%以上が1種以上のビニルモノマーの重合単位であるポリマーがビニルポリマーである。ビニル芳香族ポリマーは、ポリマーの重量を基準として重量で、重合単位の50%以上が1種以上のビニル芳香族モノマーの重合単位であるポリマーである。ビニル芳香族ポリマーに結合している1つ以上の置換基(例えば、アミノ基又はメチレン架橋基などの)をもたらす1つ以上の化学反応に供されたビニル芳香族ポリマーは、ビニル芳香族ポリマーであると本明細書では依然として考えられる。重合後に、ビニル芳香族モノマーの重合単位に結合している1つ以上の置換基(例えば、アミノ基又はメチレン架橋基などの)をもたらす1つ以上の化学反応に供されたビニル芳香族モノマーの重合単位は、ビニル芳香族モノマーの重合単位であると本明細書では依然として考えられる。
【0019】
樹脂は、ポリマーをいかなる溶剤にも溶けないようにするために、ポリマー鎖が十分な分岐点を有する場合には架橋されると本明細書では考えられる。ポリマーが溶剤に溶けないと本明細書で言われる場合、それは、0.1グラム未満の樹脂が25℃で100グラムの溶剤に溶解するであろうことを意味する。
【0020】
本明細書で用いるところでは、用語「アミノ基」は、第一級アミノ基、第二級アミノ基、第三級アミノ基、又は第四級アンモニウム基を指す。「非第四級アミノ基」は、第一級アミノ基、第二級アミノ基、又は第三級アミノ基のどれかであるが、第四級アンモニウム基ではない。
【0021】
樹脂は、アミノ基の窒素原子が樹脂に直接に、又は間接的に共有結合している場合にアミノ基を含有すると考えられる。すなわち、アミノ基の窒素原子は、ポリマーの主鎖中の原子に直接共有結合していても、又はアミノ基の窒素原子は、順繰りに、ポリマーの主鎖中の原子に共有結合する中間の化学基に共有結合していてもよい。非第四級アミノ基は、構造-NR1R2、又は構造-N+HR1R2を有し、ここで、オープン結合が、ポリマーの主鎖上の原子に直接若しくは間接的に連結し;ここで、R1及びR2のそれぞれは独立して、水素又は置換若しくは非置換アルキル基である。R1もR2も、上の構造において示されたオープン結合を介してアミノ基の窒素原子を介して以外は、ポリマーの主鎖中の原子に直接若しくは間接的に結合していない。
【0022】
樹脂は、第四級アンモニウム基の窒素原子が直接にか、又は間接的に樹脂に共有結合しているときに第四級アンモニウム基を含有すると本明細書では考えられる。第四級アンモニウム基は、構造-N+R1R2R3を有し、ここで、オープン結合が、ポリマーの主鎖上の原子に直接若しくは間接的に連結し;ここで、R1、R2、及びR3のそれぞれは独立して、置換若しくは非置換ヒドロカルビル基である。R1、R2、及びR3のそれぞれは独立して、アミノ基の窒素原子を含まない共有結合のセットによってポリマーの主鎖中の原子に直接若しくは間接的に結合していてもしていなくてもよい。
【0023】
メチレン基は、二価の化学基-CH
2-である。メチレン基は、メチレン基の炭素原子が芳香環の炭素原子に結合し、且つ、異なる芳香環の炭素原子に結合している場合に2個の芳香環間のメチレン架橋基であると本明細書では考えられる。メチレン架橋基は、次の構造(I):
【化1】
に示される-CH
2-基である。
【0024】
樹脂粒子の集合体は、粒子の直径で特徴付けられ得る。球形ではない粒子は、その粒子と同じ容積を有する球の直径に等しい直径を有すると考えられる。樹脂粒子の集合体の有用な特徴付けは、次の特性を有する直径である、D60である:60容積%の樹脂粒子がD60よりも下の直径を有し、40容積%の樹脂粒子がD60以上の直径を有する。同様に、容積で10%の樹脂粒子はD10よりも下の直径を有し、容積で90容積%の樹脂粒子はD10以上の直径を有する。均等係数(UC)は、D60をD10で割ることによって得られる。調和平均径(HMD)は、次の方程式:
【数1】
(式中、iは、個々の粒子にわたっての添字であり;d
iは、各個々の粒子の直径であり;Nは、粒子の総数である)
によって定義される。
【0025】
樹脂粒子の集合体の保水容量(WRC)は、バルク液体水が除去されてしまったときに樹脂粒子に付着している水分子の尺度である。WRCは、バルク液体水を樹脂粒子の集合体から除去し、樹脂粒子の集合体を、100%湿度を有する空気と室温(およそ23℃)で平衡にならせて脱水湿潤樹脂を生成することによって測定される。脱水湿潤樹脂は、秤量され、乾燥させられ、再び秤量される。WRCは、百分率として表される、初期重量で割られた減量である。
【0026】
樹脂粒子の集合体の表面積は、窒素ガスを使用するブルナウアー-エメット-テラー(Brunauer-Emmett-Teller)(BET)法を用いて見いだされる。窒素ガスを使ったBET法はまた、樹脂粒子の集合体の全細孔容積及び平均細孔径を特徴付けるためにも用いられる。
【0027】
活性炭は、非晶性固体と黒鉛結晶との組み合わせの形態で、重量で75%以上の元素炭素でできている物質である。活性炭は、500m2/g以上の、BET法によって測定されるような、表面積を有する。
【0028】
本発明の樹脂粒子は、1種以上のポリマーを含む。ポリマーは、好ましくは芳香環を含む。好ましいポリマーは、ビニルポリマーであり;ビニル芳香族ポリマーがより好ましい。好ましくは、全ビニル芳香族モノマーの重合単位の総重量は、ポリマーの重量で、50%以上;より好ましくは75%以上;より好ましくは90%以上;より好ましくは95%以上である。
【0029】
好ましいビニル芳香族モノマーは、スチレン、アルキルスチレン、及び多官能性ビニル芳香族モノマーである。アルキルスチレンの中で、アルキル基が1~4個の炭素原子を有するものが好ましく;エチルビニルベンゼンがより好ましい。多官能性ビニル芳香族モノマーの中で、ジビニルベンゼンが好ましい。好ましくはポリマーは、ポリマーの重量を基準とする重量で、0.5%以上;より好ましくは1%以上の量で多官能性ビニル芳香族モノマーの重合単位を含有する。好ましくはポリマーは、ポリマーの重量を基準とする重量で、10%以下;より好ましくは8%以下の量で多官能性ビニル芳香族モノマーの重合単位を含有する。
【0030】
好ましくは、樹脂粒子におけるポリマーは架橋されている。
【0031】
本発明の樹脂粒子の集合体は、樹脂粒子及び水を両方とも含有する。好ましくは(樹脂粒子、水、及び任意選択的に他の成分を含む)樹脂粒子の集合体の総重量を基準とする百分率としての、樹脂粒子の重量プラス水の重量の合計は、80%以上;より好ましくは90%以上;より好ましくは95%以上;より好ましくは98%以上である。
【0032】
樹脂粒子におけるポリマーは、好ましくはメチレン架橋基を含有する。メチレン架橋基の量は、ポリマーの重量の百分率としてのメチレン架橋基の重量で特徴付けられる。メチレン架橋基の量は、好ましくはゼロよりも大きい。好ましくはメチレン架橋基の量は4%以下である。
【0033】
樹脂粒子におけるポリマーは、非第四級アミノ基を有する。より好ましくは、樹脂粒子におけるポリマーは、第二級若しくは第三級であるアミノ基を有する。好ましくは(上に定義されたような)R1及び2は両方とも、非置換アルキル基である。好ましくはR1及びR2のそれぞれは独立して、1~4個の炭素原子、より好ましくは1~2個の炭素原子を有する。好ましくはR1及びR2は、互いに同じものである。
【0034】
第四級及び非第四級を含めて、全タイプのアミノ基の総量は、樹脂粒子の集合体の1リットル当たりのアミノ基の当量(当量/L)で特徴付けることができる。好ましくは、ポリマーは、0.1当量/L以上;より好ましくは0.2当量/L以上;より好ましくは0.5当量/L以上の量でアミノ基を有する。好ましくは、ポリマーは、2.0当量/L以下;より好ましくは1.7当量/L以下;より好ましくは1.5当量/L以下の量で全アミノ基を有する。
【0035】
ポリマーは好ましくは、0.25当量/L以下;好ましくは0.2当量/L以下の、樹脂粒子の集合体の1リットル当たりの当量としての量で第四級アンモニウム基を有する。ポリマーは、ゼロほどに低い量で第四級アンモニウム基を有してもよい。
【0036】
好ましくは、ポリマーは、炭素、水素、及び窒素以外の任意の原子を含有する基を全く持たないか、又は樹脂粒子の集合体の1リットル当たり0.01当量(当量/L)以下;より好ましくは0.005当量/L以下;より好ましくは0.002当量/L以下の炭素、水素、及び窒素以外の1つ以上の原子を含有する基の総量を有する。
【0037】
本発明の樹脂粒子は、好ましくは35%以上;より好ましくは40%以上の保水容量を有する。本発明の樹脂粒子は、好ましくは60%以下;より好ましくは58%以下;より好ましくは57%以下の保水容量を有する。
【0038】
本発明の粒子は、200m2/g以下;より好ましくは100m2/g以下の表面積を有する。本発明の粒子は、好ましくは10m2/g以上;より好ましくは20m2/g以上の表面積を有する。
【0039】
好ましくは樹脂粒子の集合体は、200マイクロメートル~1,000マイクロメートルの調和平均径を有する。好ましくは樹脂粒子の集合体は、1.5以下;より好ましくは1.3以下;より好ましくは1.1未満の均等係数を有する。
【0040】
樹脂粒子の集合体の平均細孔径は、好ましくは50nm以下;より好ましくは45nm以下である。樹脂粒子の集合体の平均細孔径は、好ましくは16nm以上;より好ましくは18nm以上;より好ましくは20nm以上である。
【0041】
樹脂粒子の集合体は、任意の方法により製造され得る。樹脂粒子の集合体の好ましい製造方法は、モノマー混合物の水性懸濁重合を用いて、ポリマー粒子の集合体を先ず製造することである。好ましくはモノマー混合物は、1種以上のビニル芳香族モノマーを含有する。好ましくはビニル芳香族モノマーは炭化水素である。より好ましくは、全モノマーが炭化水素である。
【0042】
好ましくはモノマー混合物はまた、1種以上のポロゲンを含有する。ポロゲンは、23℃で液体であり、且つ、23℃と重合温度との間の全温度で、使用される量において、モノマー混合物に可溶である化合物である。ポロゲンは、重合中に形成されたポリマーを有効に膨張させないが、代わりにポリマーのマトリックス内にポロゲンのポケットを形成する。重合後に、ポロゲンは除去され、ポリマー粒子中に細孔を残す。
【0043】
好ましくは、重合後に、アミン官能基が、ハロメチル化、引き続くアミノ化の2段階プロセスによって追加される。
【0044】
ハロメチル化は、例えば、ポリマーを、例えば、メチルクロロメチルエーテルなどのハロメチル化剤と反応させることによって成し遂げられ得る。ハロメチル化工程中に、主たる反応は、ハロメチル基(例えば、クロロメチル基などの)を芳香環上中の炭素原子に結合させることであると考えられる。ハロメチル化中に、ポリマーの芳香環を互いに連結する(上の構造(I)に示されるような)メチレン架橋基が形成される、副反応もまた起こるとも考えられる。
【0045】
ハロメチル化ポリマーのアミノ化は、例えば、ポリマーを、例えば、ジメチルアミンなどのアミノ化剤と反応させることによって成し遂げられ得る。アミノ化プロセス中の主たる反応は、例えば、ジメチルアミノメチル基へのクロロメチル基の転化などの、アミノ基へのハロメチル基の転化であると考えられる。アミノ化中に、2つのハロメチル基が第四級アンモニウム基によって互いに結び付けられ、例えば、以下:
【化2】
のような構造をもたらすことになる副反応が起こるとまた考えられる。
【0046】
本発明の樹脂粒子の集合体を製造する際に、クロロメチル化ポリマーはフリーデル-クラフツ(Friedel-Crafts)化学反応に供されないことが好ましい。フリーデル-クラフツ反応は、例えば、FeCl3などのフリーデル-クラフツ触媒の存在下で、例えば、二塩化エチレンなどの、溶媒の存在下でポリマーを反応させることを含む。フリーデル-クラフツ反応は、ベンジルクロリド基の-CH2Cl基中の炭素原子が塩素原子から非結合になり、新たな芳香環にある芳香族炭素原子に結合し、こうしてメチレン架橋を形成することになることを引き起こす。
【0047】
活性炭は、任意の形態にあってもよい。好ましい形態は、粉末及び粒状である。粉末活性炭は、容積で90%以上の粒子が、50μm~500μmの調和平均サイズで、直径1mm未満の径を有する、粒子の集合体の形態にある。粒状活性炭は、容積で85%以上の粒子が840μm以上の直径を有する、粒子の集合体の形態にある。
【0048】
水溶液は、任意の源から得られてもよい。いくつかの好適な源には、高フルクトースコーンシロッププロセス流れ、甘蔗糖又はテンサイ糖プロセス流れ、発酵ブロス、デンプン流れ又は抽出物、及びセルロース加水分解物が含まれる。高フルクトースコーンシロッププロセス流れ及び甘蔗糖又はテンサイ糖プロセス流れが好ましく;高フルクトースコーンシロップ流れがより好ましい。甘蔗糖又はテンサイ糖プロセス流れにおいて、好ましくは、水溶液は、テンサイ又は甘蔗に関する機械的操作(粉砕、スライス、プレス、又はそれらの組み合わせの1つ以上などの);水と甘蔗若しくはテンサイとの、又は機械的プロセスの生成物との混合物の形成;及びその混合物の任意選択の濾過を含むプロセスによって得られる。高フルクトースコーンシロッププロセスにおいて、好ましくは、水溶液は、コーンを粉砕してデンプンを抽出すること;水とコーン又は粉砕の生成物との混合物の形成;より短い長さの糖類へデンプンを壊すためのその混合物への酸及び/又は酵素の添加;並びに混合物の濾過を含むプロセスによって得られる。
【0049】
好ましくは、水溶液中の溶解砂糖固形分の量は、水溶液の重量を基準とする重量で、10%以上;より好ましくは20%以上;より好ましくは25%以上である。好ましくは、水溶液中の溶解砂糖固形分の量は、水溶液の重量を基準とする重量で、70%以下;より好ましくは50%以下;より好ましくは40%以下である。
【0050】
好ましくは、全単糖類の総量は、溶解砂糖固形分の重量を基準とする重量で、1%以上;より好ましくは5%以上;より好ましくは20%以上;より好ましくは90%以上;より好ましくは92%以上である。好ましくは、単糖類は、グルコース、フルクトース、又はそれらの混合物を含有し;より好ましくは単糖類はグルコースを含有する。好ましくはグルコースの量は、単糖類全ての総重量を基準とする重量で、50%以上;より好ましくは70%以上;より好ましくは92%以上である。
【0051】
好ましくは、水の量プラス溶解砂糖固形分の量の合計は、水溶液の重量を基準とする重量で、50%以上;より好ましくは70%以上;より好ましくは90%以上;より好ましくは95%以上である。
【0052】
水溶液は、好ましくは100μS/cm以上;より好ましくは200μS/cm以上の伝導率を有する。水溶液は、好ましくは10,000μS/cm以下;より好ましくは5,000μS/cm以下の伝導率を有する。
【0053】
水溶液は、100国際カラー単位(ICU、国際砂糖統一分析法委員会(International Commission for Uniform Methods of Sugar Analysis)(ICUMSA)によって定義されるような)以上のカラー含有量を有する。好ましくは、水溶液は、10,000ICU以下;より好ましくは5,000ICU以下;より好ましくは2,000ICU以下のカラー含有量を有する。
【0054】
水溶液は、任意の方法によって本発明の樹脂粒子の集合体と接触させられてもよい。好ましくは、水溶液が樹脂粒子の集合体と接触させられた後に、溶液は次に、樹脂粒子の集合体から分離される。分離後に、元の水溶液に色を付与したいくつかの物質は、樹脂粒子の集合体上に残り、水溶液のカラー含有量は著しく低下すると考えられる。
【0055】
好ましい方法は、水溶液を樹脂粒子の集合体の固定床に通すことである。固定床は、水溶液が入口を通って入り、樹脂粒子の集合体に接触し、出口を通って出ることを可能にしながら、樹脂粒子の集合体を所定の位置に保持する容器中に保持されている。好適な容器は、クロマトグラフィーカラムである。この方法が用いられる場合、固定床を通しての水溶液の流量は、1時間当たりのベッドボリューム(BV/時)で特徴付けられ、ここで、ベッドボリューム(BV)は、固定床中の樹脂の容積である。好ましい流量は、0.1BV/時以上;より好ましくは0.5BV/時以上である。好ましい流量は、10BV/時以下、より好ましくは5BV/時以下である。
【0056】
水溶液が、樹脂との接触から引き離された後に、水溶液は、「樹脂処理」溶液と本明細書では呼ばれる。樹脂処理溶液は、活性炭と接触させられる。接触は、任意の方法で行われ得る。活性炭との接触後に、水溶液は、活性炭との接触から引き離され、結果として生じた水溶液は、樹脂-炭素処理水溶液と本明細書では呼ばれる。
【0057】
活性炭が粉末形態にある場合、活性炭を樹脂処理水溶液と接触させる好ましい方法は、活性炭及び樹脂処理水溶液を単一容器中へ入れて混合物を形成し、攪拌によるなどの、機械的かき混ぜを提供することである。水溶液は次に好ましくは、例えば沈降若しくは濾過若しくは遠心分離又はそれらの組み合わせによって、活性炭から分離される。
【0058】
活性炭が粒状形態にある場合、活性炭を樹脂処理水溶液と接触させる好ましい方法は、水溶液を活性炭粒子の集合体の固定床に通すことである。固定床は、水溶液が入口を通って入り、活性炭粒子の集合体に接触し、出口を通って出ることを可能にしながら、活性炭粒子の集合体を所定の位置に保持する容器中に保持される。好適な容器は、クロマトグラフィーカラムである。
【0059】
樹脂-炭素処理水溶液は、目的に応じて使用され得る。好ましくは、樹脂-炭素処理水溶液は、以下の操作:1種以上のカチオン交換媒体との接触;本発明の樹脂粒子の集合体に加えて1種以上のアニオン交換媒体との接触;又はそれらの組み合わせの1つ以上に供される。
【0060】
水溶液が、テンサイ糖又は甘蔗糖プロセス流れの一部として生成する場合、樹脂-炭素処理水溶液は、好ましくは以下の操作:溶液中の砂糖の結晶化;1種以上のカチオン交換媒体との接触;本発明の樹脂粒子の集合体に加えて1種以上のアニオン交換媒体との接触;クロマトグラフィー樹脂との接触;又はそれらの組み合わせの1つ以上に供される。
【0061】
水溶液が、高フルクトースコーンシロップ生産プロセスの一環として生成する場合、樹脂-炭素処理水溶液は、好ましくは以下の操作:1種以上のカチオン交換媒体との接触;本発明の樹脂粒子の集合体に加えて1種以上のアニオン交換媒体との接触;フルクトースへグルコースのいくらか又は全てを転化するための異性化;別個のグルコースに富む及びフルクトースに富む溶液を生成するためのクロマトグラフィー樹脂との接触;又はそれらの組み合わせの1つ以上に供される。
【0062】
本発明の使用は砂糖溶液の処理において著しい利点を提供すると考えられる。通常は、様々な砂糖製品を生成するプロセス流れの多くで、水溶液は、溶解砂糖、並びにまた、カラー化合物(すなわち、溶液に色を付与し、完成砂糖製品に色を付与する可能性がある化合物)、1種以上の溶解酸などの、いくつかの不純物、及び場合により他の不純物の両方を含有することが分かっている。一般的なやり方は、これまで、砂糖溶液を活性炭と接触させてカラー化合物のいくらか又は全てを除去することによってそのような砂糖溶液を処理することであった。活性炭は、カラー化合物を除去するのに有効であるが、活性炭は、さらなるカラー化合物を除去するその能力を最終的には失い、そして次に活性炭を再生すること(すなわち、活性炭を再使用できるようにカラー化合物を除去すること)は、通常は不可能であるか、又は望ましくない程、高価である。
【0063】
活性炭の稼働寿命は、本明細書に記載されるような2段階プロセス(「段階的な」プロセスとも呼ばれる)を用いることによって著しく増加し得ることが今や見いだされた。本発明の実施に際して、水溶液は先ず、非第四級アミノ基を含有する樹脂(弱塩基性アニオン交換樹脂、又は「WBA」樹脂と呼ばれることがある)と接触させられ、次に樹脂処理水溶液が活性炭と接触させられる。WBA樹脂は、かなりの量のカラー化合物を水溶液から除去する。したがって、活性炭によって除去される必要があるカラー化合物の量は大きく減少する。
【0064】
活性炭によって除去される必要があるカラー化合物の量の減少のために、活性炭の稼働寿命は延ばされる。すなわち、活性炭は、活性炭がカラー化合物を除去するその能力を失う前に、より大きい総量の水溶液から色を除去することができる。
【0065】
活性炭とは対照的に、WBA樹脂は、活性炭よりもはるかに容易に、且つ、安価に再生することができる。また、本発明の樹脂は好ましくは、樹脂が再生される必要がある前に比較的大量のカラー化合物を除去することができる。したがって、本発明の段階的な方法において、WBA樹脂は、必要な場合、容易に再生することができ、活性炭の稼働寿命は延ばされる。したがって、色を水性砂糖溶液から除去するプロセスは、本発明の方法を用いることによって、より少ない困難及び費用で行うことができる。
【0066】
本発明によって与えられる改善の詳細は、使用される活性炭のタイプ(粉末又は粒状)に依存する。
【0067】
粉末活性炭が使用される場合、それは典型的には一回使用され、そのとき捨てられる。砂糖溶液が本発明に従って樹脂との接触によって先ず処理される場合、所望のレベルの色の除去を達成するためにより少量の炭素が必要とされ、こうして廃棄される活性炭の量を減少させるであろう。
【0068】
粒状活性炭が使用される場合、それが着色物質をもはや有効に除去しなくなるまで、粒状活性炭は典型的には使用され、次に、通常、およそ800℃で制御された雰囲気下に炉中で加熱することによって、粒状活性炭は典型的には再生される。この再生は、特別な炉を運転するために大きな費用を必要とし、且つ、再生は、各再生サイクル中に炭素のいくらかの損失を引き起こす。砂糖溶液が樹脂との接触によって先ず処理される場合、炭素は、再生なしにより長い時間使用することができ、したがって炉の運転費を下げ、また再生中の炭素の浪費を減らすことができよう。
【0069】
本発明に使用される樹脂は、非常に低い費用で及び非常に少ない廃棄物で、希苛性溶液を樹脂上に通すことによって容易に再生することができる。再生条件の例は、例えば、Dow Chemical Company,Midland,Michigan,USA.によって出版された、刊行物「DOWEXTMMONOSPHERETM77 Ion Exchange Resin for Sweetener Applications」、書式番号177-01710-0209に見ることができる。それ故、樹脂の再生が考慮される場合でさえ、砂糖溶液を脱色するために活性炭のみを使用するよりも本発明の使用に著しい利点がある。
【0070】
好ましくは、本発明のプロセスは、1種以上の砂糖製品を生産するより大きいプロセスの一環として行われる。好ましくは、カラー化合物が除去された後に、樹脂-炭素処理水溶液は、溶液をさらに精製するために及び/又は例えば、フルクトース、グルコース、サッカロース、それらの溶液、又はそれらの組み合わせなどの、1種以上の砂糖製品を単離するために1つ以上の追加の工程に供される。各タイプの製品にふさわしい、そのような追加の工程のいくつかは、上に本明細書で記載されている。
【実施例】
【0071】
以下は本発明の実施例である。操作は、特に明記される場合を除いて室温(およそ23℃)で行った。
【0072】
使用した原材料は次の通りであった:
HFCS=Sweeteners Plus製の高フルクトースコーンシロップ
樹脂1=市販の弱塩基アニオン交換樹脂;スチレン及びジビニルベンゼンの重合単位;マクロ多孔性;第三級アミン基で官能化された;475μm~575μmの調和平均径;全アミン基の総量 1.44当量/L;第四級アンモニウム基の量 0.17当量/L;保湿容量 54.7%;1.1未満の均等係数;表面積 54.4m2/g;平均細孔径 23.4nm。
GAC=Calgon Carbon Corporation製のCPG LF粒状活性炭
PAC=Calgon Cargon Corporation製のPWA粉末活性炭
【0073】
吸光度は、1cmガラスキュベットを使用するThermo Scientific GenesysTM10uv走査分光光度計を用いて420nmで測定した。
【0074】
砂糖及び着色物質を含有する水溶液(AQS1)は、次の通り生成した。その中の溶解砂糖固形分の42重量%がフルクトースであり、溶解砂糖固形分のおよそ55重量%がグルコーである高フルクトースコーンシロップ(HFCS)を使用した。HFCSを脱イオン水中30ブリックスに希釈した。7%塩酸溶液(水中の重量で)を添加してHFCSのpHをおよそ1に下げた。酸性HFCSを80℃に加熱し、およそ4~6時間攪拌した。この時間中に、HFCS中の砂糖は分解し、反応して着色物質を形成した。着色物質は、ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)及び他の物質を含んだと考えられる。HFCSの色がおよそ0.35の420nmでの吸光度に達したらすぐに加熱を中止した。HFCSを冷却し、4%(水中重量で)水酸化ナトリウム溶液を使用してpHを上げて3.5~4.0に戻した。結果として生じた着色HFCS液体を本明細書ではAQS1と言う。
【0075】
この水溶液AQS1を使用して得られる結果は、水溶液がより高い割合のグルコース(例えば、溶解砂糖固形分の90重量%以上)を含有する場合に得られる結果に似ているであろうと考えられる。例えば、水溶液が(上に記載された実験室手順からの代わりに)高フルクトースコーンシロッププロセス流れから得られた場合に、水溶液は、比較的高い割合のグルコースを有することができ、比較的少ないフルクトースを有することができるであろうと予期される。高フルクトースコーンシロッププロセス流れから得られる水溶液を使用する本発明の方法の実施は、上に記載された実験室手順で製造された水溶液AQS1を使用することによって得られた本明細書で報告される利益に似た利益をもたらすであろうと予期される。
【0076】
クロマトグラフィーカラムを使用する全ての手順は、制御された温度での循環水を含有する外套付きガラスカラムを使用した。
【0077】
樹脂1でのAQS1の処理は、次の通り行った。遊離塩基形態の30mLの樹脂1を含有するカラムを使用して樹脂処理溶液を調製した。0.33の420nmでの吸光度のAQS1溶液を、120mL/時の流量(4.0ベッドボリューム/時)で樹脂1ベッドに通した。このプロセスの全体にわたってベッドを60℃に維持した。結果として生じたカラム流出液(すなわち、樹脂処理溶液)は、0.11の420nmでの平均吸光度を有した。800BVのAQS1にわたって樹脂1で処理されるように処理を続行した。流出液の吸光度を、以下の結果をもって、プロセスの全体にわたって監視した。
【0078】
【0079】
吸光度は、比較的大量の水溶液が処理される間ずっと低いままであった。これらの結果は、樹脂を再生する必要なしに、比較的大量の水溶液を本発明の樹脂で処理できることを実証している。
【0080】
比較例1C:粉末活性炭でのAQS1の脱色
幾つかの異なる用量のPACを、AQS1と60℃で振盪し、PACと接触した液体の吸光度を30分毎に測定した。下の表1は、この実験の結果を示す。
【0081】
【0082】
実施例2:粉末活性炭での樹脂処理AQS1の脱色
幾つかの異なる用量のPAC(炭素の用量は、AQS1の1リットル当たりの炭素のグラムで特徴付けられる)を、樹脂処理AQS1と60℃で振盪し、PACと接触した液体の吸光度を30分毎に測定した。下の表2は、この実験の結果を示す。
【0083】
【0084】
樹脂処理液は、低レベルの吸光度を達成するためにはるかに少ない炭素を必要とする。例えば、PACへの30分の暴露後に、AQS1は、吸光度を0.041に下げるために0.75g/LのPACを必要とした。対照的に、同様にPACへの30分の暴露後に、樹脂処理AQS1は、0.34g/Lの炭素用量でさらにより低い吸光度(すなわち、0.037)を有した。すなわち、樹脂処理AQS1で、樹脂処理されなかったAQS1と比べると、半分未満の炭素用量がさらにより低い吸光度を達成した。
【0085】
実施例3C:粒状活性炭でのAQS1の脱色
3つの等しい容積のGAC(8.0mL)をそれぞれ、外套付きガラスカラムに入れ、65℃に加熱した。AQS1を、各カラムについて12mL/時(1.5BV/時)でカラムを通して流した。AQS1のpHは3.8であった。流出液のサンプルを採取し、吸光度を測定した。結果を表3に示す。
【0086】
【0087】
【0088】
比較例4:粒状活性炭での樹脂処理AQS1の脱色
単純AQS1の代わりに樹脂処理AQSを使用して、実施例3Cの手順を繰り返した。樹脂処理AQS1のpHは4.7であった。結果を表4に示す。
【0089】
【0090】
【0091】
実施例5:粒状活性炭でのpH調整樹脂処理AQS1の脱色
AQS1と同じpHを有するために、pH=3.8に調整された樹脂処理AQS1を使用して、比較例4の手順を繰り返した。結果を表5に示す。
【0092】
【0093】
300よりも上のBVで、比較例4Cは、2つの本発明の実施例4及び5と比較して吸光度挙動に大きい相違を示した。300BVよりも上で、比較例4Cの吸光度は、増加し続け、1,000よりも上のBVで0.13よりも上の吸光度に達した。対照的に、300BVよりも上で、実施例4の吸光度は、およそ0.025でほぼ一定であり、実施例5の吸光度は、およそ0.012でほぼ一定である。
【0094】
この相違は、脱色プロセスに大きな影響を及ぼす。例えば、0.035以下の吸光度を有する溶液を生成することが望まれる場合、上の結果は、非処理AQS1が使用されるとき、炭素は、およそ300BV後に使用中止とされ、再生されなければならないであろうことを示す。対照的に、樹脂処理AQS1が使用されるとき、炭素は、再生の必要なしに1000BV超の間使用され得る。