(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-27
(45)【発行日】2023-04-04
(54)【発明の名称】車両制御装置、車両制御システム、及び車両制御プログラム
(51)【国際特許分類】
B60R 25/24 20130101AFI20230328BHJP
E05B 49/00 20060101ALI20230328BHJP
【FI】
B60R25/24
E05B49/00 K
(21)【出願番号】P 2020017103
(22)【出願日】2020-02-04
【審査請求日】2022-02-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】399007408
【氏名又は名称】株式会社シイエム・シイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】桜田 伸
(72)【発明者】
【氏名】太田 恭久
(72)【発明者】
【氏名】高田 直幸
(72)【発明者】
【氏名】辰本 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】佐久間 智
(72)【発明者】
【氏名】矢島 哲
【審査官】瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-127887(JP,A)
【文献】特開2012-060482(JP,A)
【文献】特開2016-171486(JP,A)
【文献】特開2021-067056(JP,A)
【文献】国際公開第2016/059451(WO,A1)
【文献】特開2011-074721(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 25/00-25/24
E05B 49/00-49/04,77/00-85/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハードウェアを有するプロセッサを備え、
前記プロセッサが、
所定の無線通信装置から受信した電波の強度が閾値以上である第1状態が所定時間継続した場合、車両のスマートキー機能を停止させ
、
前記第1状態が前記所定時間継続した場合、車両のリモートイモビライザ機能の設定を要求する第1の信号を送信する、
車両制御装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記スマートキー機能が停止している状態において、前記無線通信装置から受信した電波の強度が閾値未満である第2状態が所定時間継続した場合、前記スマートキー機能を復帰させる、請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記リモートイモビライザ機能が停止している状態において、前記第2状態が前記所定時間継続した場合、前記リモートイモビライザ機能の解除を要求する第2の信号を送信する、請求項
2に記載の車両制御装置。
【請求項4】
前記所定の無線通信装置は、ユーザによって予め登録された無線通信装置である、請求項1~
3のうち、いずれか1項に記載の車両制御装置。
【請求項5】
前記所定の無線通信装置は、前記ユーザの自宅及び/又は前記ユーザが勤める会社に設置された無線通信装置である、請求項
4に記載の車両制御装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、前記スマートキー機能の動作状態を示す情報を出力する、請求項1~
5のうち、いずれか1項に記載の車両制御装置。
【請求項7】
車両と、
ハードウェアを有する第1のプロセッサを備える鍵装置と、
ハードウェアを有する第2のプロセッサを備えるサーバ装置と、
を備え、
前記第1のプロセッサが、所定の無線通信装置から受信した電波の強度が閾値以上である第1状態が所定時間継続した場合、前記車両のスマートキー機能を停止させる、
車両制御システム。
【請求項8】
前記第1のプロセッサは、前記スマートキー機能が停止している状態において、前記無線通信装置から受信した電波の強度が閾値未満である第2状態が所定時間継続した場合、前記スマートキー機能を復帰させる、
請求項
7に記載の車両制御システム。
【請求項9】
前記第1のプロセッサは、前記第1状態が前記所定時間継続した場合、車両のリモートイモビライザ機能の設定を要求する第1の信号を送信し、
前記第2のプロセッサが、前記第1の信号を受信するのに応じて、前記車両と通信することにより前記リモートイモビライザ機能を設定する、
請求項
7又は
8に記載の車両制御システム。
【請求項10】
前記第1のプロセッサは、前記リモートイモビライザ機能が停止している状態において、
前記無線通信装置から受信した電波の強度が閾値未満である第2状態
が所定時間継続した場合、前記リモートイモビライザ機能の解除を要求する第2の信号を送信し、
前記第2のプロセッサは、前記第2の信号を受信するのに応じて、前記車両と通信することにより前記リモートイモビライザ機能を停止する、
請求項
9に記載の車両制御システム。
【請求項11】
前記所定の無線通信装置は、ユーザによって予め登録された無線通信装置である、請求項
7~
10のうち、いずれか1項に記載の車両制御システム。
【請求項12】
前記所定の無線通信装置は、前記ユーザの自宅及び/又は前記ユーザが勤める会社に設置された無線通信装置である、請求項
11に記載の車両制御システム。
【請求項13】
前記第1のプロセッサは、前記スマートキー機能の動作状態を示す情報を出力する、請求項
7~
12のうち、いずれか1項に記載の車両制御システム。
【請求項14】
ハードウェアを有するプロセッサに対して、
所定の無線通信装置から受信した電波の強度が閾値以上である第1状態が所定時間継続した場合、車両のスマートキー機能を停止させ
、
前記第1状態が前記所定時間継続した場合、車両のリモートイモビライザ機能の設定を要求する第1の信号を送信する
ことを実行させる車両制御プログラム。
【請求項15】
前記プロセッサに対して、前記スマートキー機能が停止している状態において、前記無線通信装置から受信した電波の強度が閾値未満である第2状態が所定時間継続した場合、前記スマートキー機能を復帰させることを実行させる、請求項
14に記載の車両制御プログラム。
【請求項16】
前記プロセッサに対して、前記リモートイモビライザ機能が停止している状態において、前記第2状態が前記所定時間継続した場合、前記リモートイモビライザ機能の解除を要求する第2の信号を送信することを実行させる、請求項
15に記載の車両制御プログラム。
【請求項17】
前記所定の無線通信装置は、ユーザによって予め登録された無線通信装置である、請求項
14~
16のうち、いずれか1項に記載の車両制御プログラム。
【請求項18】
前記所定の無線通信装置は、前記ユーザの自宅及び/又は前記ユーザが勤める会社に設置された無線通信装置である、請求項
17に記載の車両制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両制御装置、車両制御システム、及び車両制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電子キーが、少なくとも3軸方向の磁気を検出する磁気センサを備え、磁気センサの検出結果に基づいて電子キーが定置状態にあると判断された場合、車載器との間で無線通信を行わないようにするスマートエントリシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ユーザの利便性を向上させたスマートエントリシステムの提供が期待されていた。
【0005】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、スマートキー機能の利便性を向上可能な車両制御装置、車両制御システム、及び車両制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る車両制御装置は、ハードウェアを有するプロセッサを備え、前記プロセッサが、所定の無線通信装置から受信した電波の強度が閾値以上である第1状態が所定時間継続した場合、車両のスマートキー機能を停止させる。
【0007】
本開示に係る車両制御システムは、車両と、ハードウェアを有する第1のプロセッサを備える鍵装置と、ハードウェアを有する第2のプロセッサを備えるサーバ装置と、を備え、前記第1のプロセッサが、所定の無線通信装置から受信した電波の強度が閾値以上である第1状態が所定時間継続した場合、前記車両のスマートキー機能を停止させる。
【0008】
本開示に係る車両制御プログラムは、ハードウェアを有するプロセッサに対して、所定の無線通信装置から受信した電波の強度が閾値以上である第1状態が所定時間継続した場合、車両のスマートキー機能を停止させることを実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、スマートキー機能の利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本開示の一実施形態である車両制御システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、本開示の一実施形態である停止処理の流れを示すフローチャートである。
【
図3】
図3は、本開示の一実施形態である設定処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本開示の一実施形態である車両制御システムについて詳細に説明する。
【0012】
〔構成〕
まず、
図1を参照して、本開示の一実施形態である車両制御システムの構成について説明する。
【0013】
本開示の一実施形態である車両制御システムは、車両に搭載されたスマートキー機能及びリモートイモビライザ機能を制御するためのものである。
【0014】
ここで、“スマートキー機能”とは、ユーザが所持している鍵装置と車両との間で近距離無線通信を行うことにより、車両のドアの開錠及び施錠を行う機能のことを意味する。スマートキー機能には、鍵装置を所持しているユーザが車両に近づいた際に、車両側が近距離無線通信を通じて鍵装置の認証を行い、ユーザが車両のドアノブ等に触れることにより、ドアの開錠等を行うスマートエントリ機能と、鍵装置が備えるスイッチをユーザが操作することにより、ドアの開錠等を行うリモートキーレスエントリ機能と、が含まれる。本実施形態では、近距離無線通信による車両のドアの開錠を許可するためにスマートキー機能をオンにすることを「スマートキー機能を設定(復帰)」と表現し、近距離無線通信による車両のドアの開錠を禁止するためにスマートキー機能をオフにすることを「スマートキー機能を停止(解除)」と表現する。
【0015】
また、“リモートイモビライザ機能”とは、サーバ装置からのリモート操作により車両のエンジンの始動を禁止する機能のことを意味する。本実施形態では、車両のエンジンの始動を禁止するためにリモートイモビライザ機能をオンにすることを、「リモートイモビライザ機能を設定」と表現し、車両のエンジンの始動を許可するためにリモートイモビライザ機能をオフにすることを「リモートイモビライザ機能を停止(解除)」と表現する。
【0016】
図1は、本開示の一実施形態である車両制御システムの構成を示すブロック図である。
図1に示すように、本開示の一実施形態である車両制御システム1は、携帯端末装置2、車両3、及びサーバ装置4を備え、携帯端末装置2、車両3、及びサーバ装置4はインターネット回線網や携帯電話回線網等の電気通信回線5を介して相互に情報通信可能なように構成されている。
【0017】
携帯端末装置2は、鍵装置として機能する。携帯端末装置2は、スマートフォンやスマートキー等の車両3やサーバ装置4と情報通信可能な装置によって構成されており、車両3を所有するユーザによって所持されている。本実施形態では、携帯端末装置2は、移動体通信制御部21、近距離通信制御部22、充電制御部23、位置情報検出部24、磁気センサ25、インジケータ26、記憶部27、及び制御部28を備えている。
【0018】
移動体通信制御部21は、電気通信回線5を介した情報通信のための通信回路によって構成され、電気通信回線5を介した車両3やサーバ装置4との間の情報通信を制御する。具体的には、移動体通信制御部21は、送信対象の信号を電気通信回線5の周波数帯に変調して送信すると共に、電気通信回線5の周波数帯の信号を受信するとこれを復調する。
【0019】
近距離通信制御部22は、NFC(Near Field radio Communication)、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)、IrDA(Infrared Data Association)等の規格に準拠した情報通信機能を有する電子回路によって構成され、車両3や無線通信装置6との間の近距離無線通信を制御する。具体的には、近距離通信制御部22は、送信対象の信号を変調して車両3に送信すると共に、車両3から信号を受信するとこれを復調する。
【0020】
充電制御部23は、携帯端末装置2が備えるバッテリ等の二次電池の外部電源による充電動作を制御する装置である。
【0021】
位置情報検出部24は、GPS(Global Positioning System)衛星からの電波を受信することにより携帯端末装置2の位置情報を検出する装置によって構成されており、検出した携帯端末装置2の位置情報を示す電気信号を制御部28に出力する。
【0022】
磁気センサ25は、例えば地磁気の方向を3軸方向で検出可能な磁気センサによって構成されており、検出した地磁気の方向を示す電気信号を制御部28に出力する。磁気センサ25を用いることにより例えば携帯端末装置2が定置状態にあるか否かを判別することができる。
【0023】
インジケータ26は、制御部28からの制御信号に従って点灯・点滅等することにより、スマートキー機能やリモートイモビライザ機能の動作状態をユーザに提示する。これにより、ユーザは、スマートキー機能やリモートイモビライザ機能の動作状態を常時確認することができる。
【0024】
記憶部27は、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、ハードディスクドライブ(Hard Disk Drive:HDD)、及びリムーバブルメディア等の記録媒体から構成されている。リムーバブルメディアとしては、例えばUSB(Universal Serial Bus)メモリ、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、BD(Blu-ray(登録商標) Disc)のようなディスク記録媒体を例示できる。記憶部27には、携帯端末装置2の動作に必要な各種コンピュータプログラム及び各種制御データが記憶されている。本実施形態では、記憶部27には、コンピュータプログラムである制御プログラム27a及び各種アプリケーションプログラム27bと、スマートキー機能に用いられるキー情報27cと、携帯端末装置2との間で近距離無線通信を行う無線通信装置6(例えばユーザの自宅及び/又はユーザが勤める会社に設置されたアクセスポイント等)の情報を示す無線通信装置情報27dが記憶されている。無線通信装置情報27dは、ユーザが携帯端末装置2を操作することにより予め登録されている。
【0025】
制御部28は、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等からなるプロセッサと、RAM(Random Access Memory)、ROM等からなる主記憶部と、を備えている。制御部28は、記憶部27に格納されているコンピュータプログラムを主記憶部の作業領域にロードし、コンピュータプログラムを実行することにより携帯端末装置2の各部を制御する。本実施形態では、制御部28は、記憶部27に格納されている制御プログラム27aを主記憶部の作業領域にロードし、制御プログラム27aを実行することにより状態判定部28a及び車両操作制御部28bとして機能する。状態判定部28a及び車両操作制御部28bの機能については後述する。
【0026】
車両3は、EV(Electric Vehicle),HV(Hybrid Vehicle),FCEV(Fuel Cell Electric Vehicle)等の周知の車両により構成され、移動体通信制御部31、近距離通信制御部32、位置情報検出部33、ECU(Electric Control Unit)34、及び車両制御部35を備えている。
【0027】
移動体通信制御部31は、電気通信回線5を介した情報通信のための通信回路によって構成され、電気通信回線5を介した携帯端末装置2やサーバ装置4との間の情報通信を制御する。具体的には、移動体通信制御部31は、送信対象の信号を電気通信回線5の周波数帯に変調して送信すると共に、電気通信回線5の周波数帯の信号を受信するとこれを復調する。
【0028】
近距離通信制御部32は、NFC、BLE、IrDA等の規格に準拠した情報通信機能を有する電子回路によって構成され、携帯端末装置2との間の近距離無線通信を制御する。具体的には、近距離通信制御部32は、送信対象の信号を変調して携帯端末装置2に送信すると共に、携帯端末装置2から信号を受信するとこれを復調する。
【0029】
位置情報検出部33は、GPS衛星からの電波を受信することにより車両3の位置情報を検出する装置によって構成されており、検出した車両3の位置情報を示す電気信号をECU34に出力する。なお、車両3の位置情報を検出する方法として、LiDAR(Light Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Ranging)と3次元デジタル地図とを組み合わせた方法を採用することもできる。
【0030】
ECU34は、CPU、DSP、FPGA等からなるプロセッサと、RAM、ROM等からなる記憶部34aと、を備えている。ECU34は、記憶部34aに格納されているコンピュータプログラムを実行することにより、車両3に搭載されている各種構成要素の動作を統括的に制御する。本実施形態では、ECU34は、携帯端末装置2から送信されたキー情報27cと記憶部34aに格納されているキー情報27cとを照合することにより携帯端末装置2を認証し、携帯端末装置2が認証された場合、車両制御部35を制御することにより車両3のドアを開錠又は施錠する。また、ECU34は、サーバ装置4からリモートイモビライザ機能の設定信号又は停止信号を受信するのに応じて、車両制御部35を制御することにより車両3のエンジンの始動を禁止又は許可する。
【0031】
車両制御部35は、ECU34からの制御信号に従って車両3に搭載されている各種構成要素の動作を制御する。本実施形態では、車両制御部35は、ECU34からの制御信号に従って車両3のドアの施解錠を制御する。また、車両制御部35は、ECU34からの制御信号に従って車両3のエンジンの始動を禁止又は許可する。
【0032】
サーバ装置4は、ワークステーション等の情報処理装置によって構成され、通信制御部41、記憶部42、ユーザ情報データベース(ユーザ情報DB)43、及び制御部44を備えている。
【0033】
通信制御部41は、電気通信回線5を介した情報通信のための通信回路によって構成され、電気通信回線5を介した携帯端末装置2や車両3との間の情報通信を制御する。具体的には、通信制御部41は、送信対象の信号を電気通信回線5の周波数帯に変調して送信すると共に、電気通信回線5の周波数帯の信号を受信するとこれを復調する。
【0034】
記憶部42は、EPROM、HDD、及びリムーバブルメディア等の記録媒体から構成されている。記憶部42には、サーバ装置4の動作に必要な各種コンピュータプログラム及び各種制御データが記憶されている。
【0035】
ユーザ情報DB43は、ユーザが所持している携帯端末装置2に割り当てられた固有の識別情報とユーザが所有している車両3に割り当てられた固有の識別情報とを関連付けして記憶している。
【0036】
制御部44は、CPU、DSP、FPGA等からなるプロセッサと、RAM、ROM等からなる主記憶部と、を備えている。制御部44は、記憶部42に格納されているコンピュータプログラムを主記憶部の作業領域にロードし、コンピュータプログラムを実行することによりサーバ装置4の各部を制御する。
【0037】
このような構成を有する車両制御システム1では、携帯端末装置2が、以下に示す停止処理及び設定処理を実行することによってスマートキー機能の利便性を向上させる。以下、
図2,
図3を参照して、停止処理及び設定処理を実行する際の携帯端末装置2の動作について説明する。
【0038】
〔停止処理〕
図2は、本開示の一実施形態である停止処理の流れを示すフローチャートである。
図2に示すフローチャートは、スマートキー機能が停止されているか否かを示す停止フラグの状態がスマートキー機能が停止されていないことを示すオフ状態にあるときに開始となり、停止処理はステップS1の処理に進む。停止処理は、停止フラグの状態がオフ状態である間、前回の停止処理が終了してから所定時間が経過する度毎に繰り返し実行される。
【0039】
ステップS1の処理では、近距離通信制御部22が、無線通信装置6から出力された電波を受信する。なお、無線通信装置6から電波を受信できなかった場合、状態判定部28aは、一連の停止処理を終了する。これにより、ステップS1の処理は完了し、停止処理はステップS2の処理に進む。
【0040】
ステップS2の処理では、状態判定部28aが、記憶部27から無線通信装置情報27dを読み出す。そして、状態判定部28aは、受信した電波に含まれる無線通信装置6の識別情報と無線通信装置情報27dとを比較することにより、電波を出力した無線通信装置が無線通信装置情報27dに登録されている無線通信装置6であるか否かを判別する。判別の結果、電波を出力した無線通信装置が無線通信装置情報27dに登録されている無線通信装置6である場合(ステップS2:Yes)、状態判定部28aは、停止処理をステップS3の処理に進める。一方、電波を出力した無線通信装置が無線通信装置情報27dに登録されている無線通信装置6でない場合には(ステップS2:No)、状態判定部28aは、一連の停止処理を終了する。
【0041】
ステップS3の処理では、状態判定部28aが、無線通信装置6から出力された電波の強度が閾値以上である状態が所定時間継続したか否かを判別する。判別の結果、無線通信装置6から出力された電波の強度が閾値以上である状態が所定時間継続した場合(ステップS3:Yes)、状態判定部28aは、停止処理をステップS4の処理に進める。一方、無線通信装置6から出力された電波の強度が閾値以上である状態が所定時間継続しなかった場合には(ステップS3:No)、状態判定部28aは、一連の停止処理を終了する。
【0042】
ステップS4の処理では、車両操作制御部28bが、スマートキー機能の実行を無効にするようにスマートキー機能を停止させる。なお、この際、車両操作制御部28bは、電気通信回線5を介してサーバ装置4にリモートイモビライザ機能の設定要求信号を送信してもよい。この場合、サーバ装置4は、携帯端末装置2からリモートイモビライザ機能の設定要求信号を受信するのに応じて、ユーザ情報DB43から設定要求信号に含まれる携帯端末装置2の識別情報に関連付けされている車両3の識別情報を読み出す。そして、サーバ装置4は、電気通信回線5を介して読み出された識別情報に対応する車両3と通信することにより、リモートイモビライザ機能を設定する。これにより、ステップS4の処理は完了し、停止処理はステップS5の処理に進む。
【0043】
ステップS5の処理では、車両操作制御部28bが、停止フラグの状態をスマートキー機能が停止されていることを示すオン状態に設定する。そして、車両操作制御部28bは、インジケータ26の状態をスマートキー機能が停止されていることを示す状態に設定する。なお、ステップS4の処理においてリモートイモビライザ機能を設定した場合には、車両操作制御部28bは、インジケータ26の状態をリモートイモビライザ機能が設定されていることを示す状態に設定する。これにより、ステップS5の処理は完了し、一連の停止処理は終了する。
【0044】
〔設定処理〕
図3は、本開示の一実施形態である設定処理の流れを示すフローチャートである。
図3に示すフローチャートは、停止フラグの状態がオン状態にあるときに開始となり、設定処理はステップS11の処理に進む。この設定処理は、停止フラグの状態がオン状態である間、前回の設定処理が終了してから所定時間が経過する度毎に繰り返し実行される。
【0045】
ステップS11の処理では、近距離通信制御部22が、無線通信装置6から出力された電波を受信する。なお、所定時間の間、無線通信装置6から電波を受信できなかった場合、状態判定部28aは、設定処理をステップS14の処理に進める。これにより、ステップS11の処理は完了し、設定処理はステップS12の処理に進む。
【0046】
ステップS12の処理では、状態判定部28aが、記憶部27から無線通信装置情報27dを読み出す。そして、状態判定部28aは、受信した電波に含まれる無線通信装置6の識別情報と無線通信装置情報27dとを比較することにより、電波を出力した無線通信装置が無線通信装置情報27dに登録されている無線通信装置6であるか否かを判別する。判別の結果、電波を出力した無線通信装置が無線通信装置情報27dに登録されている無線通信装置6である場合(ステップS12:Yes)、状態判定部28aは、設定処理をステップS13の処理に進める。一方、電波を出力した無線通信装置が無線通信装置情報27dに登録されている無線通信装置6でない場合には(ステップS12:No)、状態判定部28aは、設定処理をステップS14の処理に進める。
【0047】
ステップS13の処理では、状態判定部28aが、無線通信装置6から出力された電波の強度が閾値未満である状態が所定時間継続したか否かを判別する。判別の結果、無線通信装置6から出力された電波の強度が閾値未満である状態が所定時間継続した場合(ステップS13:Yes)、状態判定部28aは、設定処理をステップS14の処理に進める。一方、無線通信装置6から出力された電波の強度が閾値未満である状態が所定時間継続しなかった場合には(ステップS13:No)、状態判定部28aは、一連の設定処理を終了する。
【0048】
ステップS14の処理では、車両操作制御部28bが、スマートキー機能の実行を有効にするようにスマートキー機能を復帰させる。なお、停止処理の際にリモートイモビライザ機能を設定した場合、この処理において、車両操作制御部28bは、電気通信回線5を介してサーバ装置4にリモートイモビライザ機能の解除要求信号を送信する。サーバ装置4は、携帯端末装置2からリモートイモビライザ機能の解除要求信号を受信するのに応じて、ユーザ情報DB43から解除要求信号に含まれる携帯端末装置2の識別情報に関連付けされている車両3の識別情報を読み出す。そして、サーバ装置4は、電気通信回線5を介して読み出された識別情報に対応する車両3と通信することにより、リモートイモビライザ機能を解除する。これにより、ステップS14の処理は完了し、設定処理はステップS15の処理に進む。
【0049】
ステップS15の処理では、車両操作制御部28bが、停止フラグの状態をオフ状態に設定する。また、車両操作制御部28bは、インジケータ26の状態をスマートキー機能が設定されていることを示す状態に設定する。なお、ステップS14の処理においてリモートイモビライザ機能を解除した場合には、車両操作制御部28bは、インジケータ26の状態をリモートイモビライザ機能が設定されていないことを示す状態に設定する。これにより、ステップS15の処理は完了し、一連の解除処理は終了する。
【0050】
以上の説明から明らかなように、本開示の一実施形態である車両制御システム1では、制御部28が、予め登録された無線通信装置6から受信した電波の強度が閾値以上である状態が所定時間継続した場合、スマートキー機能を停止させる。これにより、ユーザが自宅や会社等のスマートキー機能を利用する必要のない場所にいるときにはスマートキー機能が自動的に停止されるので、スマートキー機能の利便性を向上させることができる。
【0051】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。本開示のより広範な態様は、以上のように表し、且つ、記述した特定の詳細及び代表的な実施形態に限定されるものでなない。従って、添付のクレーム及びその均等物によって定義される総括的な開示の概念の精神又は範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0052】
1 車両制御システム
2 携帯端末装置
3 車両
4 サーバ装置
5 電気通信回線
6 無線通信装置
21 移動体通信制御部
22 近距離通信制御部
23 充電制御部
24 位置情報検出部
25 磁気センサ
26 インジケータ
27 記憶部
27a 制御プログラム
27b アプリケーションプログラム
27c キー情報
27d 無線通信装置情報
28 制御部
28a 状態判定部
28b 車両操作制御部
31 移動体通信制御部
32 近距離通信制御部
33 位置情報検出部
34 ECU(Electric Control Unit)
34a 記憶部
35 車両制御部
41 通信制御部
42 記憶部
43 ユーザ情報データベース(ユーザ情報DB)
44 制御部