(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-27
(45)【発行日】2023-04-04
(54)【発明の名称】難燃性ポリアミド組成物およびそれらの使用
(51)【国際特許分類】
C08L 77/00 20060101AFI20230328BHJP
C08K 3/32 20060101ALI20230328BHJP
C08K 5/134 20060101ALI20230328BHJP
C08K 5/524 20060101ALI20230328BHJP
C08K 5/5313 20060101ALI20230328BHJP
C08K 5/5317 20060101ALI20230328BHJP
C08K 7/14 20060101ALI20230328BHJP
【FI】
C08L77/00
C08K3/32
C08K5/134
C08K5/524
C08K5/5313
C08K5/5317
C08K7/14
(21)【出願番号】P 2020506708
(86)(22)【出願日】2018-08-08
(86)【国際出願番号】 EP2018071443
(87)【国際公開番号】W WO2019030250
(87)【国際公開日】2019-02-14
【審査請求日】2021-07-15
(31)【優先権主張番号】102017214045.3
(32)【優先日】2017-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】596081005
【氏名又は名称】クラリアント・インターナシヨナル・リミテツド
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100139527
【氏名又は名称】上西 克礼
(74)【代理人】
【識別番号】100164781
【氏名又は名称】虎山 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】バウアー・ハーラルト
(72)【発明者】
【氏名】ヘーロルト・ゼバスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ジッケン・マルティン
【審査官】佐藤 貴浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-179360(JP,A)
【文献】特開2004-263188(JP,A)
【文献】特表2007-536402(JP,A)
【文献】国際公開第2010/087193(WO,A1)
【文献】特開2012-214559(JP,A)
【文献】国際公開第2014/200082(WO,A1)
【文献】特開2006-291207(JP,A)
【文献】特表2008-511590(JP,A)
【文献】特表2002-520322(JP,A)
【文献】特表2013-538926(JP,A)
【文献】特表2017-508832(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00-101/14
C08K 3/00- 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含む難燃性ポリアミド組成物:
- 成分Aとして、290℃以下の融点を有するポリアミド25~95重量%、
- 成分Bとして、フィラーおよび/または強化材1~45重量%、
- 成分Cとして、式(I)のホスフィン酸塩1~35重量%、
【化1】
[式中、R
1およびR
2は、エチルを表し、
Mは、Al、Fe、TiO
pまたはZnであり、
mは、2~3を表し、そして
p=(4-m)/2である]
- 成分Dとして、エチルブチルホスフィン酸の、ジブチルホスフィン酸の、エチルへキシルホスフィン酸の、ブチルへキシルホスフィン酸のおよび/またはジヘキシルホスフィン酸のAl-、Fe-、TiO
p-またはZn塩の群から選択される化合物0.01~3重量%、
- 成分Eとして、式IIのホスホン酸塩0.001~1重量%、
【化2】
[式中、R
3は、エチルを表し、
Metは、Al、Fe、TiO
qまたはZnであり、
nは、2~3を表し、そして
q=(4-n)/2である]
- 成分Fとして、20~200の平均縮合度を有するメラミンポリホスフェート1~25重量%、
- 成分Gとして、立体障害性フェノール系酸化防止剤0.05~5重量%、および
- 成分Hとして、有機ホスファイトおよび/または有機ホスホナイト0.05~5重量%、および
- さらなる成分Iとして
、無機ホスホネート
0.005~10重量%、
但し、前記パーセント表示は、ポリアミド組成物の全量を基準とする。
【請求項2】
MおよびMetがAlを表し、mおよびnが3であり、そして成分Dがアルミニウム塩であることを特徴とする、請求項1に記載の難燃性ポリアミド組成物。
【請求項3】
成分Aの割合が25~75重量%であ
ることを特徴とする、請求項1に記載の難燃性ポリアミド組成物。
【請求項4】
成分Bの割合が20~40重量%であることを特徴とする、請求項1に記載の難燃性ポリアミド組成物。
【請求項5】
成分Cの割合が5~20重量%であることを特徴とする、請求項1に記載の難燃性ポリアミド組成物。
【請求項6】
成分Dの割合が0.05~1.5重量%であることを特徴とする、請求項1に記載の難燃性ポリアミド組成物。
【請求項7】
成分Eの割合が0.01~0.6重量%であることを特徴とする、請求項1に記載の難燃性ポリアミド組成物。
【請求項8】
成分Fの割合が2~10重量%であることを特徴とする、請求項1に記載の難燃性ポリアミド組成物。
【請求項9】
成分Gの割合が0.1~1重量%であることを特徴とする、請求項1に記載の難燃性ポリアミド組成物。
【請求項10】
成分Hの割合が0.1~1重量%であることを特徴とする、請求項1に記載の難燃性ポリアミド組成物。
【請求項11】
成分Iの割合が0.02~5重量%であることを特徴とする、請求項1に記載の難燃性ポリアミド組成物。
【請求項12】
前記無機ホスホネートが次式(III)
【化3】
[式中、Meは、Fe、TiO
r
、ZnまたはAlであり、
oは、2~3を表し、そして
r=(4-o)/2である]
の化合物であることを特徴とする、請求項1に記載の難燃性ポリアミド組成物。
【請求項13】
国際電気標準会議規格IEC-60112/3に従って測定された500ボルト超の比較トラッキング指数を有することを特徴とする、請求項1~
12のいずれか1つに記載の難燃性ポリアミド組成物。
【請求項14】
3.2mm~0.4mmの厚さでUL-94に従ってV0の評価を達成することを特徴とする、請求項1~
13のいずれか1つに記載の難燃性ポリアミド組成物。
【請求項15】
0.75~3mmの厚さでIEC-60695-2-12に従って少なくとも960℃のグローワイヤ燃焼性指数を有することを特徴とする、請求項1~
14のいずれか1つに記載の難燃性ポリアミド組成物。
【請求項16】
成分Aが、PA6、PA6,6、PA4,6、PA12、PA6,10からなる群から選択される1種以上のポリアミドであることを特徴とする、請求項1~
15のいずれか1つに記載の難燃性ポリアミド組成物。
【請求項17】
成分Aが、ポリアミド6,6であるか、あるいはポリアミド6,6とポリアミド6とのポリマー混合物であることを特徴とする、請求項
16に記載の難燃性ポリアミド組成物。
【請求項18】
成分Aが少なくとも75重量%のポリアミド6,6および最大で25重量%のポリアミド6からなることを特徴とする、請求項
17に記載の難燃性ポリアミド組成物。
【請求項19】
成分Bとしてガラス繊維が使用されることを特徴とする、請求項1~
18のいずれか1つに記載の難燃性ポリアミド組成物。
【請求項20】
メラミンポリホスフェートが320℃以上の分解温度を有することを特徴とする、請求項1~
19のいずれか1つに記載の難燃性ポリアミド組成物。
【請求項21】
成分Gが、アルキル化されたモノフェノール類、立体障害性アルキルチオメチルフェノール類、立体障害性ヒドロキシル化チオジフェニルエーテル類、立体障害性アルキリデン-ビスフェノール類、立体障害性ベンジルフェノール類、立体障害性ヒドロキシベンジル化マロネート類、立体障害性ヒドロキシベンジル芳香族化合物、立体障害性フェノール系トリアジン化合物、立体障害性フェノール系ベンジルホスホネート類、N-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-カルバミン酸アルキルエステル類、β-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオン酸と一価もしくは多価アルコールとのエステル、β-(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-プロピオン酸と一価もしくは多価アルコールとのエステル、β-(3,5-ジシクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオン酸と一価もしくは多価アルコールとのエステル、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル酢酸と一価もしくは多価アルコールとのエステル、またはβ-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオン酸のアミドからなる群から選択されることを特徴とする、請求項1~
20のいずれか一つに記載の難燃性ポリアミド組成物。
【請求項22】
成分Hが、トリアリールホスファイ
トであることを特徴とする、請求項1~
21のいずれか1つに記載の難燃性ポリアミド組成物。
【請求項23】
成分Gが、N,N’-ビス[3-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオニル]-ヘキサメチレンジアミンであること、および成分Hが、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイトであることを特徴とする、請求項
22に記載の難燃性ポリアミド組成物。
【請求項24】
成分Hが、1,1-ビフェニル-4,4’-ジイルビスホスホナイ
トであることを特徴とする、請求項1~
21のいずれか一つに記載の難燃性ポリアミド組成物。
【請求項25】
成分Gが、N,N’-ビス[3-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオニル]-ヘキサメチレンジアミンであること、および成分Hが、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-[1,1-ビフェニル]-4,4’-ジイルビスホスホナイトであることを特徴とする、請求項
24に記載の難燃性ポリアミド組成物。
【請求項26】
成分Jとしてさらに別の添加剤を含み、前記のさらに別の添加剤が、立体障害性フェノールではない他の酸化防止剤、UV安定剤、ガンマ線安定剤、加水分解安定剤、有機ホスファイトではない酸化防止剤用共安定剤、帯電防止剤、乳化剤、成核剤、軟化剤、加工助剤、耐衝撃性改良剤、染料、顔料、および/または成分C、D、EおよびFとは異なる他の難燃剤からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1~
25のいずれか1つに記載の難燃性ポリアミド組成物。
【請求項27】
繊維、フィルムおよび成形
体の製造のための、請求項1~
26のいずれか1つに記載のポリアミド組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、難燃性ポリアミド組成物ならびにそれらから製造される成形品に関する。
【背景技術】
【0002】
可燃性プラスチックは、通常、プラスチック加工業者および一部の場合には立法者から求められる高い難燃性要件を達成できるためには、難燃剤とともに仕上げなければならない。好ましくは、-エコロジーの理由からも-わずかな煙道ガスしか生じないか、または煙道ガスを生じない、非ハロゲン系難燃剤系が使用される。
【0003】
これらの難燃剤では、ホスフィン酸の塩(ホスフィネート)が特に熱可塑性ポリマーに対して有効であることがわかっている(DE2252258A(特許文献1)およびDE2447727A(特許文献2))。
【0004】
さらに、多数のポリマーにおいて、難燃剤としてホスフィネート単独よりも有効に作用する、ホスフィネートと特定の窒素含有化合物との相乗的な組み合わせが既知である(WO2002/28953A1(特許文献3)ならびにDE19734437A1(特許文献4)およびDE19737727A1(特許文献5))。
【0005】
US7,420,007B2(特許文献6)から、少量の選択されたテロマーを含有するジアルキルホスフィネートがポリマー用の難燃剤として適していることが知られており、前記ポリマーは、当該難燃剤のポリマーマトリックスへの組み入れにおいて、非常にわずかな分解しか受けない。
【0006】
国際規格に従うプラスチックの十分な難燃性を確保するために、難燃剤は多くの場合に、高い用量で添加されなければならない。高温での難燃作用のために必要なそれらの化学的反応性のために、難燃剤は、特に比較的高量の場合には、プラスチックの加工安定性を損ない得る。ポリマー分解の増加、架橋反応、脱ガスまたは変色が起こり得る。
【0007】
WO2014/135256A1(特許文献7)から、熱安定性が大幅に改善され、マイグレーション傾向が低下し、そして良好な電気的および機械的特性を有するポリアミド成形材料が既知である。
【0008】
しかし、全ての要求される特性、例えば良好な流動性、良好な電気的値並びに効果的な難燃性を達成し、この際、同時に、変色傾向が生じない、難燃性ホスフィネート含有ポリアミド組成物はこれまで存在しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】DE2252258A
【文献】DE2447727A
【文献】WO2002/28953A1
【文献】DE19734437A1
【文献】DE19737727A1
【文献】US7,420,007B2
【文献】WO2014/135256A1
【文献】WO2012/045414A1
【文献】US7,420,007B2
【文献】WO2016/065971A1
【文献】DE102005016195A1
【文献】WO2006/027340A1
【文献】EP1789475B1
【文献】WO2000/002869A1
【文献】EP1095030B1
【文献】JPーAー2004204194
【文献】DEーAー102007036465
【文献】EP-A-3133112
【文献】DE102011120216A1
【文献】WO2000/002869A1
【非特許文献】
【0010】
【文献】Hans Domininghausの「Die Kunststoffe und ihre Eigenschaften(プラスチックおよびそれらの特性)」第5版(1998)第14頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
それ故、本発明の課題は、上記の全ての特性を同時に示し、特に、良好な流動性(MVR)、良好な電気的値(GWFI、CTI)並びに効果的な難燃性(UL94)を同時に示し、この際、同時に、変色傾向(色)が発生しない、ホスフィネート含有難燃剤系をベースとする難燃性ポリアミド組成物を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0012】
それ故、本発明の対象は、以下を含む難燃性のポリアミド組成物である:
- 成分Aとして、290℃以下の、好ましくは280℃以下の、特に好ましくは250℃以下の融点を有するポリアミド、
- 成分Bとして、フィラーおよび/または強化材、好ましくはガラス繊維、
- 成分Cとして、式(I)のホスフィン酸塩、
【0013】
【化1】
[式中、R
1およびR
2は、エチルを表し、
Mは、Al、Fe、TiO
pまたはZnであり、
mは、2~3、好ましくは2または3を表し、そして
p=(4ーm)/2である]
- 成分Dとして、エチルブチルホスフィン酸の、ジブチルホスフィン酸の、エチルへキシルホスフィン酸の、ブチルへキシルホスフィン酸のおよび/またはジヘキシルホスフィン酸のAl-、Fe-、TiO
p-またはZn塩の群から選択される化合物、
- 成分Eとして、式IIのホスホン酸塩、
【0014】
【化2】
[式中、R
3は、エチルを表し、
Metは、Al、Fe、TiO
qまたはZnであり、
nは、2~3、好ましくは2または3を表し、そして
q=(4ーn)/2である]
- 成分Fとして、2~200の平均縮合度を有するメラミンポリホスフェート、
- 成分Gとして、立体障害性フェノール系酸化防止剤、および/または
- 成分Hとして、有機ホスファイトおよび/またはホスホナイト。
【0015】
本発明のポリアミド組成物において、成分Aの割合は、通常25~95重量%であり、好ましくは25~75重量%である。
【0016】
本発明のポリアミド組成物において、成分Bの割合は、通常1~45重量%であり、好ましくは20~40重量%である。
【0017】
本発明のポリアミド組成物において、成分Cの割合は、通常1~35重量%であり、好ましくは5~20重量%である。
【0018】
本発明のポリアミド組成物において、成分Dの割合は、通常0.01~3重量%であり、好ましくは0.05~1.5重量%である。
【0019】
本発明のポリアミド組成物において、成分Eの割合は、通常0.001~1重量%であり、好ましくは0.01~0.6重量%である。
【0020】
本発明のポリアミド組成物において、成分Fの割合は、通常1~25重量%であり、好ましくは2~10重量%である。
【0021】
本発明のポリアミド組成物において、成分Gの割合は、通常0.01~5重量%であり、好ましくは0.5~1重量%である。
【0022】
本発明のポリアミド組成物において、成分Hの割合は、通常0.01~5重量%であり、好ましくは0.5~1重量%である。
【0023】
ここで、成分A~Hの割合に関するパーセント表示は、ポリアミド組成物の全量を基準とする。
【0024】
- 成分Aの割合が25~95重量%であり、
- 成分Bの割合が1~45重量%であり、
- 成分Cの割合が1~35重量%であり、
- 成分Dの割合が0.01~3重量%であり、
- 成分Eの割合が0.001~1重量%であり、
- 成分Fの割合が1~25重量%であり、
- 成分Gの割合が0.05~5重量%であり、そして
- 成分Hの割合が0.05~5重量%である、
(前記パーセント表示は、ポリアミド組成物の全量を基準とする)、
難燃性ポリアミド組成物が好ましい。
【0025】
- 成分Aの割合が25~75重量%であり、
- 成分Bの割合が20~40重量%であり、
- 成分Cの割合が5~20重量%であり、
- 成分Dの割合が0.05~1.5重量%であり、
- 成分Eの割合が0.01~0.6重量%であり、
- 成分Fの割合が2~10重量%であり、
- 成分Gの割合が0.1~1重量%であり、そして
- 成分Hの割合が0.1~1重量%である、
難燃性ポリアミド組成物が特に好ましい。
【0026】
成分Cの好ましく使用される塩は、Mm+がZn2+、Fe3+または特にAl3+を表す塩である。
【0027】
成分Dの好ましく使用される塩は、亜鉛-、鉄-または特にアルミニウム塩である。
【0028】
成分Eの好ましく使用される塩は、Metn+がZn2+、Fe3+または特にAl3+を表す塩である。
【0029】
MおよびMetがAlを表し、mおよびnが3であり、そして成分Dの化合物がアルミニウム塩として存在する難燃性ポリアミド組成物が、特に非常に好ましい。
【0030】
好ましい実施態様において、上述の難燃性ポリアミド組成物は、さらに別の成分Iとして無機ホスホネートを含む。
【0031】
本発明において成分Iとして使用される無機ホスホネートまたはさらに亜リン酸の塩(ホスファイト)の、難燃剤としての使用は既知である。例えば、WO2012/045414A1(特許文献8)は、ホスフィン酸塩の他に亜リン酸の塩(=ホスファイト)も含有する難燃剤組み合わせ物を開示している。
【0032】
好ましくは、前記無機ホスホネート(成分I)は、一般式(IV)または(V)に相当する。
【0033】
[(HO)PO2]2-
p/2 Katp+ (IV)
[(HO)2PO]-
p Katp+ (V)
[式中、Katは、p価のカチオン、特にアルカリ金属、アルカリ土類金属のカチオン、アンモニウムカチオン、および/またはFe、Znのカチオン、または特にAlのカチオン(カチオンAl(OH)またはAl(OH)2を含めて)であり、そしてpは、1、2、3または4を表す]。
【0034】
好ましくは、前記の無機ホスホネート(成分I)は、アルミニウムホスファイト[Al(H2PO3)3]、2級アルミニウムホスファイト[Al2(HPO3)3]、塩基性アルミニウムホスファイト[Al(OH)(H2PO3)2*2aq]、アルミニウムホスファイト四水和物[Al2(HPO3)3*4aq]、アルミニウムホスホネート、Al7(HPO3)9(OH)6(1,6-ヘキサンジアミン)1.5*12H2O、Al2(HPO3)3*xAl2O3*nH2O(x=2.27~1)および/またはAl4H6P16O18である。
【0035】
前記無機ホスホネート(成分I)は、好ましくはまた、式(VI)、(VII)および/または(VIII)のアルミニウムホスファイト
Al2(HPO3)3x(H2O)q (VI)
[式中、qは0~4を意味する]
Al2.00Mz(HPO3)y(OH)vx(H2O)w (VII)
[式中、Mはアルカリ金属カチオンを意味し、zは0.01~1.5、yは2.63~3.5、vは0~2、そしてwは0~4を意味する]
Al2.00(HPO3)u(H2PO3)tx(H2O)s (VIII)
[式中、uは2~2.99、tは2~0.01、そしてsは0~4を意味する]
および/または
アルミニウムホスファイト[Al(H2PO3)3]、2級アルミニウムホスファイト[Al2(HPO3)3]、塩基性アルミニウムホスファイト[Al(OH)(H2PO3)2*2aq]、アルミニウムホスファイト四水和物[Al2(HPO3)3*4aq]、アルミニウムホスホネート、Al7(HPO3)9(OH)6(1,6-ヘキサンジアミン)1.5*12H2O、Al2(HPO3)3*xAl2O3*nH2O(x=2.27~1)および/またはAl4H6P16O18である。
【0036】
好ましい無機ホスホネート(成分I)は、水に不溶性または難溶性の塩である。
【0037】
特に好ましい無機ホスホネートは、アルミニウム-、カルシウム-および亜鉛塩である。
【0038】
特に好ましくは、成分Fは、亜リン酸およびアルミニウム化合物からの反応生成物である。
【0039】
特に好ましい成分Fは、CAS番号15099-32-8、119103-85-4、220689-59-8、56287-23-1、156024-71-4、71449-76-8および15099-32-8のアルミニウムホスファイト類である。
【0040】
好ましく使用されるアルミニウムホスファイトの製造は、最大4日の期間、20~200℃で溶媒においてアルミニウム源とリン源および任意選択的にテンプレートを反応させることにより行われる。このためには、アルミニウム源およびリン源を1~4時間混合し、水熱条件または還流下に加熱し、濾別し、洗浄し、そして例えば110℃で乾燥する。
【0041】
好ましいアルミニウム源は、アルミニウムイソプロポキシド、硝酸アルミニウム、塩化アルミニウムおよび水酸化アルミニウム(例えば擬ベーマイト)である。
【0042】
好ましいリン源は亜リン酸、(酸性)亜リン酸アンモニウム、亜リン酸アルカリ金属塩または亜リン酸アルカリ土類金属塩である。
【0043】
好ましいアルカリ金属ホスファイトは、亜リン酸二ナトリウム、亜リン酸二ナトリウム水和物、亜リン酸三ナトリウム、亜リン酸水素カリウムである。
【0044】
好ましい亜リン酸二ナトリウム水和物は、Brueggemann社のBrueggolen(登録商標)H10である。
【0045】
好ましいテンプレートは、1,6-ヘキサンジアミン、グアニジンカーボネートまたはアンモニアである。
【0046】
好ましいアルカリ土類金属ホスファイトは亜リン酸カルシウムである。
【0047】
ここで、アルミニウムとリンと溶媒との好ましい比は、1:1:3.7~1:2.2:100molである。アルミニウムとテンプレートとの比は、1:0~1:17molである。反応溶液の好ましいpH値は、3~9である。好ましい溶媒は水である。
【0048】
特に好ましくは、前記使用において、亜リン酸塩の場合と同じホスフィン酸の塩、すなわち例えばジエチルホスフィン酸アルミニウムが、亜リン酸アルミニウムと一緒に、またはジエチルホスフィン酸亜鉛が亜リン酸亜鉛と一緒に使用される。
【0049】
好ましい実施態様において、上述の難燃性ポリエステル組成物は、成分Iとして次式(III)の化合物を含む。
【0050】
【化3】
[式中、Meは、Fe、TiO
r、Zn、または特にAlであり、
oは、2~3、好ましくは2または3を表し、そして
r=(4ーo)/2である]。
【0051】
式IIIの好ましく使用される化合物は、Meo+がZn2+、Fe3+または特にAl3+を表す化合物である。
【0052】
成分Iは、ポリアミド組成物の全量を基準として、好ましくは0.005~10重量%、特に0.02~5重量%の量で存在する。
【0053】
国際電気標準会議規格IEC-60112/3に従って測定された500ボルト超の比較トラッキング指数を有する本発明の難燃性ポリアミド組成物が好ましい。
【0054】
同様に、好ましい本発明の難燃性ポリアミド組成物は、特に3.2mm~0.4mmの厚さの成形品で測定して、UL-94によるV0の評価を達成する。
【0055】
さらなる好ましい本発明の難燃性ポリアミド組成物は、特に0.75~3mmの厚さの成形品で測定して、少なくとも960℃のIEC-60695-2-12に従うグローワイヤ燃焼性指数を有する。
【0056】
本発明のポリアミド組成物は、成分Aとして、290℃以下の融点を有する1種以上のポリアミドを含む。ここで、融点は、示差走査熱分析(DSC)を用いて10K/秒の加熱速度で測定される。
【0057】
成分Aのポリアミドは、概して、(シクロ)脂肪族ジカルボン酸またはそれらのポリアミド形成誘導体、例えばそれらの塩から誘導されるか、あるいは(シクロ)脂肪族ジアミンまたは(シクロ)脂肪族アミノカルボン酸またはそれらのポリアミド形成誘導体、例えばそれらの塩から誘導される、ホモーまたはコポリアミドである。
【0058】
本発明で成分Aとして使用されるポリアミドは、熱可塑性ポリアミドである。
【0059】
熱可塑性ポリアミド類は、Hans Domininghausの「Die Kunststoffe und ihre Eigenschaften(プラスチックおよびそれらの特性)」第5版(1998)第14頁(非特許文献1)に基づき、その分子鎖が、側鎖を有しないか、またはある程度の長さの、種々の数の側鎖を有し、加熱すると軟化し、ほぼ任意に成形可能なポリアミドと理解される。
【0060】
本発明において成分Aとして使用されるポリアミドは、種々の方法に従って製造することができ、種々の構成要素から合成することができ、特定の用途の場合には、単独でまたは加工助剤、安定剤またはさらにポリマーアロイパートナー、好ましくはエラストマーと組み合わせて、特定の確立した特性組み合わせを有する材料に仕上げることができる。他のポリマー、好ましくはポリエチレン、ポリプロピレン、ABSを含む混合物も適切であり、ここで、任意選択的に1つまたは複数の相容剤を使用することができる。ポリアミドの特性は、エラストマーの添加により、例えば衝撃強さに関して、特にポリアミドが本明細書におけるようにガラス繊維強化ポリアミドである場合に、改善することができる。多くの組み合わせの可能性が、種々の特性を有する非常に多数の生成物を可能にする。
【0061】
ポリアミドの製造のためには多数の方法が知られており、それらでは、所望の最終生成物に応じて、種々のモノマー構成単位、標的の分子量の調節のための種々の鎖調整剤、または後続の意図された後処理のための反応性基を有するモノマーも使用される。
【0062】
ポリアミド類の製造のための工業的に重要な方法は、大抵、溶融物での重縮合を通して進行する。この枠において、ラクタム類の加水分解重合もまた、重縮合として理解される。
【0063】
好ましくは、成分Aとして使用されるポリアミド類は、半結晶性脂肪族ポリアミドであって、脂肪族ジアミンおよび脂肪族ジカルボン酸および/または少なくとも5個の環員を有する脂環式ラクタム、あるいは対応のアミノ酸から出発して製造することができる半結晶性脂肪族ポリアミドである。
【0064】
原料としては、脂肪族ジカルボン酸、好ましくはアジピン酸、2,2,4-および2,4,4-トリメチルアジピン酸、アゼライン酸および/またはセバシン酸、脂肪族ジアミン、好ましくはテトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1,9-ノナンジアミン、2,2,4-および2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、異性体のジアミノジシクロヘキシルメタン、ジアミノジシクロヘキシルプロパン、ビスアミノメチルシクロヘキサン、アミノカルボン酸、好ましくはアミノカプロン酸または対応のラクタム類が考えられる。複数の上記モノマーからのコポリアミドが含まれる。特に好ましくはカプロラクタム、特に非常に好ましくはε-カプロラクタムが使用される。
【0065】
好ましくは、本発明で使用される脂肪族ホモ-もしくはコポリアミドは、ポリアミド12、ポリアミド4、ポリアミド4,6、ポリアミド6、ポリアミド6,6、ポリアミド6,9、ポリアミド6,10、ポリアミド6,12、ポリアミド6,66、ポリアミド7,7、ポリアミド8,8、ポリアミド9,9、ポリアミド10,9、ポリアミド10,10、ポリアミド11またはポリアミド12である。これらは例えば、商標Nylon(登録商標)(DuPont社)、Ultramid(登録商標)(BASF社)、Akulon(登録商標)K122(DSM社)、Zytel(登録商標)7301(DuPont社);Durethan(登録商標)B29(Bayer社)およびGrillamid(登録商標)(Ems Chemie社)で知られている。
【0066】
特に、PA6、PA6,6および他の脂肪族ホモ-もしくはコポリアミドをベースとする化合物がさらに適切であり、当該化合物では、ポリマー鎖中のポリアミド基あたり3~11個のメチレン基が存在する。
【0067】
PA6、PA6,6、PA4,6、PA12、PA6,10からなる群から選択される1種以上のポリアミドが成分Aとして使用される難燃性ポリアミド組成物が好ましい。
【0068】
成分Aとして、ポリアミド6,6、またはポリアミド6,6とポリアミド6のポリマー混合物が使用される難燃性ポリアミド組成物が特に好ましい。
【0069】
成分Aが少なくとも75重量%のポリアミド6,6および最大で25重量%のポリアミド6からなる難燃性ポリアミド組成物が特に非常に好ましい。
【0070】
成分Bとしては、フィラーおよび/または好ましくは強化材、好ましくはガラス繊維が使用される。2種以上の異なるフィラーおよび/または強化材の混合物もまた使用できる。
【0071】
好ましいフィラーは、タルク、雲母、ケイ酸塩、石英、二酸化チタン、珪灰石、カオリン、非晶質シリカ、ナノスケール鉱物、特に好ましくはモンモリロナイトまたはナノベーマイト、炭酸マグネシウム、白亜、長石、ガラス球および/または硫酸バリウムをベースとする鉱物性粒子状フィラーである。特に好ましくは、鉱物性粒子状フィラーは、タルク、珪灰石および/またはカオリンをベースとする。
【0072】
さらに、特に好ましくは、針状鉱物性フィラーを使用することもできる。針状鉱物性フィラーは、本発明において、非常に顕著な針状特性を有する鉱物性のフィラーと理解される。針状珪灰石が好ましい。好ましくは、上記の鉱物は、2:1~35:1、特に好ましくは3:1~19:1、殊に好ましくは4:1~12:1の長さと直径の比を有する。本発明において成分Bとして使用される針状鉱物系フィラーの平均粒度は、CILAS粒度計で測定された場合に、好ましくは20μm未満、特に好ましくは15μm未満、殊に好ましくは10μm未満である。
【0073】
本発明で好ましく使用される成分Bは、強化材である。ここで、例えば、炭素繊維および/またはガラス繊維をベースとする強化材を挙げることができる。
【0074】
前記フィラーおよび/または強化材は、好ましい実施態様において、表面改質されていてもよく、好ましくは接着促進剤または接着促進剤系(特に好ましくはシランベースの)を用いて表面改質されていてもよい。特にガラス繊維を使用する場合には、シランに加えて、ポリマー分散物、造膜剤、分岐剤および/またはガラス繊維加工助剤も使用することができる。
【0075】
本発明において成分Bとして好ましく使用されるガラス繊維は、ガラス短繊維および/またはガラス長繊維であってもよい。ガラス短繊維またはガラス長繊維としては、チョップド・ファイバーを使用することができる。ガラス短繊維は粉砕したガラスファイバーの形態でも使用できる。その他に、ガラス繊維はさらに、連続繊維の形態で、例えばロービング、モノフィラメント、フィラメントヤーンまたは撚糸の形態で使用することができ、あるいはガラス繊維は、テクスタイル製平坦形成物の形態で、例えばガラスクロスとして、ガラス編物としてまたはガラスマットとして使用することができる。
【0076】
ポリアミドマトリックスへ組み入れる前のガラス短繊維の典型的な繊維長は、0.05~10mm、好ましくは0.1~5mmの範囲である。ポリアミドマトリックスへの組み入れ後、ガラス繊維の長さは減少する。ポリアミドマトリックスへの組み入れ後のガラス短繊維の典型的な繊維長は、0.01~2mm、好ましくは0.02~1mmの範囲である。
【0077】
個々の繊維の直径は、広範な範囲で変動し得る。個々の繊維の典型的な直径は、5~20μmの範囲で変動し得る。
【0078】
前記ガラス繊維は、任意の断面形状、例えば、円形、楕円形、n角形のまたは不規則な断面を有することができる。単葉または複葉(mono- oder multilobalen)断面を有するガラス繊維を使用してもよい。
【0079】
ガラス繊維は、連続繊維として、または切断されたもしくは粉砕されたガラス繊維として使用してもよい。
【0080】
ガラス繊維自体は、それらの断面積および長さにかかわらず、例えば、Eーガラス繊維、Aーガラス繊維、Cーガラス繊維、Dーガラス繊維、Mーガラス繊維、Sーガラス繊維、Rーガラス繊維および/またはECRガラス繊維の群から選択することができ、Eーガラス繊維、Rーガラス繊維、Sーガラス繊維およびECRガラス繊維が特に好ましい。前記ガラス繊維には、好ましくは、造膜剤としてポリウレタンを、接着促進剤としてアミノシランを好ましくは含有するサイズ剤が供される。
【0081】
特に好ましく使用されるE-ガラス繊維は、以下の化学組成を有する:SiO2 50~56%;Al2O3 12~16%;CaO 16~25%;MgO ≦6%;B2O3 6~13%;F ≦0.7%;Na2O 0.3~2%;K2O 0.2~0.5%;Fe2O3 0.3%。
【0082】
特に好ましく使用されるR-ガラス繊維は、以下の化学組成を有する:SiO2 50~65%;Al2O3 20~30%;CaO 6~16%;MgO 5~20%;Na2O 0.3~0.5%;K2O 0.05~0.2%;Fe2O3 0.2~0.4%,TiO2 0.1~0.3%。
【0083】
特に好ましく使用されるECR-ガラス繊維は、以下の化学組成を有する:SiO2 57.5~58.5%;Al2O3 17.5~19.0%;CaO 11.5~13.0%;MgO 9.5~11.5。
【0084】
本発明において成分Cとして使用されるジエチルホスフィン酸の塩は、ポリマー成形材料用の既知の難燃剤である。
【0085】
本発明において成分DおよびEとして使用されるホスフィン酸-およびホスホン酸塩を含むジエチルホスフィン酸の塩もまた、既知の難燃剤である。これらの物質の組み合わせの製造は、例えばUS7,420,007B2(特許文献9)に記載されている。
【0086】
本発明に従い使用される、成分Cのジエチルホスフィン酸の塩は、少量の成分Dの塩および成分Eの塩を含み、例えば、成分C、DおよびEの量を基準にして、10重量%までの成分D、好ましくは0.01~6重量%、特に0.2~2.5重量%の成分D、および10重量%までの成分E、好ましくは0.01~6重量%、特に0.2~2.5重量%の成分Eを含む。
【0087】
本発明において成分Eとして使用されるエチルホスホン酸の塩は、例えばWO2016/065971A1(特許文献10)から、ポリマー成形材料用難燃剤におけるジエチルホスフィネートへの添加剤として同様に既知である。
【0088】
本発明において成分Fとして使用される20以上の縮合度を有するメラミンのポリホスフェート誘導体の、難燃剤としての使用もまた既知である。例えば、DE102005016195A1(特許文献11)は、99~1重量%のメラミンポリホスフェートおよび予備アルカリ度を有する1~99重量%の添加剤を含む、安定化された難燃剤を開示している。この文献では、この難燃剤を、ホスフィン酸および/またはホスフィン酸塩と組み合わせることができることも開示されている。
【0089】
好ましい本発明の難燃性ポリアミド組成物は、成分Fとして、平均縮合度が20~200、特に40~150であるメラミンポリホスフェートを含む。
【0090】
別の好ましい範囲において、前記の平均縮合度は2~100である。
【0091】
さらに好ましい本発明の難燃性ポリアミド組成物は、成分Fとして、320℃以上、特に360℃以上、特に好ましくは400℃以上の分解温度を有するメラミンポリホスフェートを含む。
【0092】
好ましくは、成分Fとして、WO2006/027340A1(特許文献12)(EP1789475B1(特許文献13)に対応)およびWO2000/002869A1(特許文献14)(EP1095030B1(特許文献15)に対応)から既知のメラミンポリホスフェート類が使用される。
【0093】
好ましくは、メラミンポリホスフェート類であって、平均縮合度が20~200、特に40~150であり、メラミン含有量がリン原子1molあたり1.1~2.0mol、特に1.2~1.8molであるメラミンポリホスフェート類が使用される。
【0094】
同様に好ましくは、メラミンポリホスフェート類であって、平均縮合度(数平均分子量)が>20であり、分解温度が320℃超であり、1,3,5-トリアジン化合物とリンとのモル比が1.1未満、特に0.8~1.0であり、25℃の水における10%濃度のスラリーのpH値が5以上、好ましくは5.1~6.9であるメラミンポリホスフェート類が使用される。
【0095】
さらなる好ましい実施態様において、成分C、D、EおよびFは、メジアン粒径(d50)が1~100μmである粒子状形態で存在する。
【0096】
本発明において成分Gとして加えられる立体障害性フェノールは、それ自体既知の酸化防止剤である。
【0097】
成分Gとして好ましく使用される酸化防止剤は、アルキル化されたモノフェノール類、例えば2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノールまたは2,6-ジ-tert.-ブチル-4-メトキシフェノール; 立体障害性アルキルチオメチルフェノール類、例えば2,4-ジ-オクチルチオメチル-6-tert.-ブチルフェノール、立体障害性ヒドロキシル化チオジフェニルエーテル類、例えば2,2’-チオ-ビス(6-tert-ブチル-4-メチルフェノール)、4,4’-チオ-ビス-(6-tert-ブチル-3-メチル-フェノール)、4,4’-チオ-ビス-(6-tert-ブチル-2-メチルフェノール)、4,4’-チオ-ビス-(3,6-ジ-sec.-アミルフェノール)、4,4’-ビス-(2,6-ジ-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-ジスルフィド; 立体障害性アルキリデン-ビスフェノール類、例えば2,2’-メチレン-ビス-(6-tert-ブチル-4-メチルフェノール; 立体障害性ベンジルフェノール類、例えば3,5,3’,5’-テトラ-tert-ブチル-4,4’-ジヒドロキシジベンジルエーテル; 立体障害性ヒドロキシベンジル化マロネート類、例えばジオクタデシル-2,2-ビス-(3,5-ジ-tert-ブチル-2-ヒドロキシ-ベンジル)-マロネート; 立体障害性ヒドロキシベンジル-芳香族化合物、例えば1,3,5-トリス-(3,5-ジ-tert-ブチル)-4-ヒドロキシ-ベンジル)-2,4,6-トリメチルベンゼン、1,4-ビス-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-2,3,5,6-テトラメチルベンゼン、2,4,6-トリス-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-フェノール; 立体障害性フェノール系トリアジン化合物、例えば2,4-ビス-オクチルメルカプト-6(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシアニリノ)-1,3,5-トリアジン; 立体障害性フェノール系ベンジルホスホネート類、例えばジメチル-2,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホネート; N-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-カルバミン酸アルキルエステル;β-(3.5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオン酸と一価もしくは多価アルコールとのエステル;β-(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-プロピオン酸と一価もしくは多価アルコールとのエステル;β-(3,5-ジシクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオン酸と一価もしくは多価アルコールとのエステル; 3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル酢酸と一価もしくは多価アルコールとのエステル; β-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオン酸のアミド、例えばN,N’-ビス-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオニル)-ヘキサメチレンジアミン、N,N’-ビス-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオニル)-トリメチレンジアミンまたはN,N’-ビス-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオニル)-ヒドラジンである。
【0098】
本発明において成分Hとして加えられる有機ホスファイトおよび/または有機ホスホナイトは、酸化防止剤用のそれ自体既知の共安定剤である。
【0099】
有機ホスファイトは、一般式P(OR)3を有し、ここでRは一価の有機残基である。
【0100】
有機ホスホナイトは、一般式PR’(OR)2を有し、ここでRおよびR’は一価の有機残基である。
【0101】
適当な有機ホスファイトの例は、トリアリールホスファイト、ジアリールアルキルホスファイト、アリールジアルキルホスファイト、トリアルキルホスファイトである。
【0102】
トリアリールホスファイトの例は、トリフェニルホスファイト、特にトリス(ノニルフェニル)ホスファイトまたはトリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイトである。
【0103】
ジアリールアルキルホスファイトの例は、ジフェニルアルキルホスファイト、特にビス-(2,4-ジ-tert-ブチル-6-メチルフェニル)メチルホスファイトまたはビス(2,4-ジ-tert-ブチル-6-メチルフェニル)エチルホスファイトである。
【0104】
アリールジアルキルホスファイトの例は、フェニルジアルキルホスファイトである。
【0105】
トリアリールホスファイトの例は、C12~C18-トリアリールホスファイト、特にトリラウリルホスファイトまたはトリオクタデシルホスファイトである。
【0106】
他の適当な有機ホスファイトの例は、ペンタエリトリトールジ-ホスファイト、例えばジステアリルペンタエリトリトールジホスファイト、ジイソデシルペンタエリトリトールジホスファイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリトリトールジホスファイト、ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリトリトールジホスファイト、ジイソデシルオキシペンタエリトリトールジホスファイト、ビス-(2,4-ジ-tert-ブチル-6-メチルフェニル)ペンタエリトリトールジホスファイトまたはビス-(2,4,6-トリス(tert-ブチルフェニル))ペンタエリトリトールジホスファイトである。
【0107】
他の適当な有機ホスファイトは、トリステアリルソルビトールトリホスファイト、2,2’、2’’-ニトリロ-[トリエチル-トリス(3,3’,5,5’-テトラ-tert-ブチル-1,1’-ビフェニル-2,2’-ジイル)ホスファイト]または2-エチルヘキシル-(3,3’,5,5’-テトラ-tert-ブチル-1,1’-ビフェニル-2,2’-ジイル)ホスファイトである。
【0108】
好ましくは、本発明において成分Hとして使用される有機ホスホナイトは次式IVのホスホナイトである。
【0109】
R4-[P(OR5)2]p (IV)
式中、
R4は、一価もしくは多価の脂肪族、芳香族またはヘテロ芳香族有機残基であり、そして
R5は、次式(V)
【0110】
【化4】
の構造であるか、または両残基R
5は構造(VI)の橋掛け基を形成し、
【0111】
【化5】
式中、
Aは、直接結合、O、S、線状もしくは分岐状C
1~18アルキレン、線状もしくは分岐状C
1~18アルキリデンを意味し、
R
6は、互いに独立して、線状もしくは分岐状C
1~12アルキル、線状もしくは環状C
1~12アルコキシおよび/またはC
5~12シクロアルキルを意味し、
qは0~5を意味し、そして
pは1~4を意味する。
【0112】
好ましくは、成分Hとして式IVのホスホナイトが使用され、式中、残基R4は、線状もしくは分岐状C4~18アルキル、線状もしくは分岐状C4~18アルキレン、C5~12シクロアルキル、C5~12シクロアルキレン、C6~24アリールもしくはヘテロアリール、C6~24アリーレンもしくはヘテロアリーレンであり、これらは、場合によっては更に置換されていることもでき、R5は式(V)また(VI)の残基であり、R6は、互いに独立して、線状もしくは分岐状C1~8アルキル、線状もしくは分岐状C1~8アルコキシまたはシクロヘキシルを表し、Aは、直接結合、O、線状もしくは分岐状C1~8アルキレン、線状もしくは分岐状C1~8アルキリデンを意味し、qは0~3であり、そしてpは1~3である。
【0113】
特に好ましくは、成分Hとしては、式IVのホスホナイトが使用され、式中、残基R4はシクロヘキシル、フェニル、フェニレン、ビフェニルまたはビフェニレンを表し、R5は式VまたはVIの残基を意味し、ここでR6は、互いに独立して、線状もしくは分岐状C1~8アルキル、線状もしくは分岐状C1~8アルコキシまたはシクロヘキシルを意味し、Aは、直接結合、O、または線状もしくは分岐状C1~6アルキリデンであり、qは1~3であり、そしてpは1または2である。
【0114】
特に好ましい成分Hは、上記の定義に基づき、芳香族化合物またはヘテロ芳香族化合物、例えばベンゼン、ビフェニルエーテルまたはジフェニルエーテルと三ハロゲン化リン、好ましくは三塩化リンとの、例えば塩化アルミニウム、塩化亜鉛もしくは塩化鉄などのフリーデルクラフツ触媒の存在下でのフリーデルクラフツ反応、並びにその後の、式VおよびVIに基づくフェノール類との反応によって製造される化合物である。この際、上記の反応シーケンスに従い過剰の三ハロゲン化リンと上述のフェノール類とから生成する、ホスファイトとのこのような混合物も明らかに包含される。
【0115】
有機ホスホナイトのこの群から、再び、以下に記載の式の化合物が好ましい:
【0116】
【化6】
ここで、nは0または1であることができ、そしてこれらの混合物は、任意選択的に更に、以下に記載の化合物を含むことができる:
【0117】
【化7】
特に好ましい成分Hは、1,1-ビフェニル-4,4’-ジイルビスホスホナイトおよびそれの中でも特にテトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-[1,1-ビフェニル]-4,4’-ジイルビスホスホナイト(P-EPQ)である。
【0118】
特に好ましいものは、成分Gとしては、N,N’-ビス[3-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオニル]-ヘキサメチレンジアミン(例えばIrganox(登録商標)1098、BASF)、および成分Hとしては、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト(例えばIrgaphos(登録商標)168、BASF)が使用される。
【0119】
特に好ましいものは、成分Gとしては、N,N’-ビス[3-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオニル]-ヘキサメチレンジアミン(例えばIrganox(登録商標)1098、BASF)、および成分Hとしては、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-[1,1-ビフェニル]-4,4’-ジイルビスホスホナイト(例えばSandostab(登録商標)、Clariant)が使用される。
【0120】
本発明によるポリアミド組成物は、成分Jとしてさらに別の添加剤を含有することができる。本発明の意味で好ましい成分Jは、立体障害性フェノールではない他の酸化防止剤、UV安定剤、ガンマ線安定剤、加水分解安定剤、有機ホスファイトではない酸化防止剤用共安定剤、帯電防止剤、乳化剤、成核剤、軟化剤、加工助剤、耐衝撃性改良剤、染料、顔料、および/または成分C、D、E、FおよびIとは異なる他の難燃剤である。
【0121】
これらには、特に、ホスフェート類、メラミンポリ(金属ホスフェート)が含まれる。これに関して好ましい金属は、周期表の第2主族、第3主族、第2亜族、第4亜族および亜族VIIIaの元素、ならびにセリウムおよび/またはランタンである。
【0122】
メラミン-ポリ(金属ホスフェート)は、好ましくは、メラミン-ポリ(亜鉛ホスフェート)、メラミン-ポリ(マグネシウムホスフェート)および/またはメラミン-ポリ(カルシウムホスフェート)である。
【0123】
(メラミン)2Mg(HPO4)2、(メラミン)2Ca(HPO4)2、(メラミン)2Zn(HPO4)2、(メラミン)3Al(HPO4)3、(メラミン)2Mg(P2O7)、(メラミン)2Ca(P2O7)、(メラミン)2Zn(P2O7)、(メラミン)3Al(P2O7)3/2が好ましい。
【0124】
二座のハイドロゲンホスフェート-もしくはピロホスフェート-配位子を有する配位中心として4もしくは6結合性の金属原子を有する錯体アニオンを有するハイドロゲンホスファト-もしくはピロホスファトメタレートとして知られるメラミンポリ(金属ホスフェート)が好ましい。
【0125】
メラミンが挿入された、縮合ホスフェートのアルミニウム-、亜鉛-またはマグネシウム塩もまた好ましく、ビス-メラミン-ジンコ-ジホスフェート(Bis-Melamin-zinko-diphosphat)および/またはビス-メラミン-アルモトリホスフェート(Bis-Melamin-alumotriphosphat)が特に非常に好ましい。
【0126】
さらに、周期表の第2主族、第3主族、第2亜族、第4亜族および亜族VIIIaの元素の、ならびにセリウムおよび/またはランタンの、第5主族のオキソ酸のアニオン(ホスフェート、ピロホスフェートおよびポリホスフェート)との塩が好ましい。
【0127】
リン酸アルミニウム、モノリン酸アルミニウム;オルトリン酸アルミニウム(AlPO4)、リン酸水素アルミニウム(Al2(HPO4)3)および/またはリン酸二水素アルミニウムが好ましい。
【0128】
リン酸カルシウム、リン酸亜鉛、リン酸チタンおよび/またはリン酸鉄もまた好ましい。
【0129】
リン酸水素カルシウム、リン酸水素カルシウム二水和物、リン酸水素マグネシウム、リン酸水素チタン(TIHC)および/またはリン酸水素亜鉛が好ましい。
【0130】
リン酸二水素アルミニウム、リン酸二水素マグネシウム、リン酸二水素カルシウム、リン酸二水素亜鉛、リン酸二水素亜鉛二水和物および/またはリン酸二水素アルミニウムが好ましい。
【0131】
ピロリン酸カルシウム、ピロリン酸二水素カルシウム、ピロリン酸マグネシウム、ピロリン酸亜鉛および/またはピロリン酸アルミニウムが特に好ましい。
【0132】
上記および他の類似のホスフェートは、例えば、米国のJM Huber CorporationによりSafire(登録商標)Productsとして販売されており、これらには例えば、APP Type II、AMPP、MPP、MPyP、PiPyP.PPaz、Safire(登録商標)400、Safire(登録商標)600、EDAP等のタイプが含まれる。
【0133】
さらに別のホスフェートは、例えば、JPーAー2004204194(特許文献16)、DEーAー102007036465(特許文献17)およびEP-A-3133112(特許文献18)に記載されており、それらは使用可能な成分Iに明確に含まれるものである。
【0134】
前記のさらに別の添加剤は、それ自体、ポリアミド組成物への添加剤として知られており、単独でまたは混合物でまたはマスターバッチの形態で使用することができる。
【0135】
前述の成分A、B、C、D、E、F、G、Hおよび任意選択的にIおよび/またはJは、多種多様に組合せて、本発明による難燃性ポリアミド組成物を調製することができる。例えば、重縮合の開始時に既にまたは終了時に、または後続のコンパウンディングプロセスにおいて、前記成分をポリアミド溶融物中に混合することが可能である。さらに、個々の成分をさらに後になってから添加する加工プロセスがある。これは特に、顔料-または添加剤マスターバッチの使用の場合に実施される。さらに、特に粉末状の成分を、乾燥プロセスを経て任意選択的に加温されたポリマーペレットに、ドラムを使用して組み入れることも可能である。
【0136】
本発明のポリアミド組成物の2種以上の成分は、ポリアミドマトリックス中に組み入れる前に混合により組み合わせることもできる。その際、従来の混合装置を使用することができ、前記成分を適当なミキサー内で、例えば0~300℃で0.01~10時間混合する。
【0137】
本発明のポリアミド組成物の成分の2種以上から、粒状物もまた製造することができ、これは引き続きポリアミドマトリックスに組み入れることができる。
【0138】
このために、本発明のポリアミド組成物の2種以上の成分を、粒状化助剤および/またはバインダーと、適切なミキサーまたはパン型造粒機(Granulierteller)中で処理して、粒状物とすることができる。
【0139】
最初に形成された粗製生成物は、適切な乾燥機中で乾燥させるか、または熱処理によって他の粒子構造としてもよい。
【0140】
一実施形態では、本発明によるポリアミド組成物またはその2つ以上の成分は、ロール圧縮によって製造することができる。
【0141】
一実施形態では、本発明によるポリアミド組成物またはその2以上の成分は、構成成分を混合し、押出し、細かく砕き(あるいは任意選択的に粉砕し、分粒し)、そして乾燥する(および任意選択的にコーティングする)ことにより、製造することができる。
【0142】
一実施態様において、本発明のポリアミド組成物またはその2種以上の成分は、噴霧造粒によって製造することができる。
【0143】
本発明の難燃性ポリマー成形材料は、好ましくは粒状物形態で、例えば押出物としてまたはコンパウンドとして、存在する。前記粒状物は、好ましくは、円形の、楕円形のまたは不規則な底面を有する円筒形状、球状、クッション形状、立方体形状、直方体形状、プリズム形状を有する。
【0144】
粒状物の典型的な長さ対直径比は、1:50~50:1、好ましくは1:5~5:1である。
【0145】
前記粒状物は、好ましくは0.5~15mm、特に好ましくは2~3mmの直径、および好ましくは0.5~15mm、特に好ましくは2~5mmの長さを有する。
【0146】
本発明の対象はまた、成分A、b、C、D、E、F、GおよびHならびに任意選択的に成分Iおよび/またはJを含む、上記の難燃性ポリアミド組成物から製造される成形品にも関する。
【0147】
本発明の成形品は、任意の形態であることができる。これらの例は、本発明による難燃性ポリアミド成形材料から任意の成形方法、特に射出成形または押出成形により得ることができる繊維、フィルムまたは成形体である。
【0148】
本発明による難燃性ポリアミド成形体の製造は、任意の成形方法によって行うことができる。これらの例としては、前記の難燃性ポリアミド成形材料を用いた、より高い温度での、射出成形、圧縮、射出発泡成形、ガスアシスト射出成形、ブロー成形、フィルム成形、カレンダー成形、ラミネート加工またはコーティングが挙げられる。
【0149】
前記の成形品は、好ましくは、射出成形品または押出成形品である。
【0150】
本発明による難燃性ポリアミド組成物は、繊維、フィルムおよび成形体の製造、特に電気-および電子分野における用途のための繊維、フィルムおよび成形体の製造に適している。
【0151】
本発明は、好ましくは、プラグコネクタ、電力分配装置における電流接触部品(漏電遮断)、印刷回路基板、密封材、パワープラグ、回路遮断器、ランプハウジング、LEDハウジング、コンデンサハウジング、回路基板中もしくは上のコイル部品およびベンチレータ、接地線、プラグ;プラグ用、ケーブル用、フレキシブル印刷回路基板用、携帯電話充電用ケーブル用のハウジング、エンジンカバー、またはテクスタイルコーティング中におけるまたはこれらのための、本発明による難燃性ポリアミド組成物の使用に関する。
【0152】
本発明は同様に、好ましくは、電気/電子分野用、特に印刷回路基板、ハウジング、フィルム、ケーブル、スイッチ、分配器、リレー、抵抗器、コンデンサー、コイル、ランプ、ダイオード、LED、トランジスタ、コネクタ、調整器、メモリおよびセンサの部品用の構成要素の形態にある、広域にわたる構成要素の形態、特に制御キャビネット用のハウジング部品の形態にある、ならびに精巧な幾何学的形状を有する複雑に形成された構成要素の形態にある成形体の製造のための、本発明による難燃性ポリアミド組成物の使用に関する。
【0153】
本発明の成形体の壁厚は、典型的には最大で10mmであることができる。1.5mm未満の壁厚、より好ましくは1mm未満の壁厚、特に好ましくは0.5mm未満の壁厚を有する成形体が特に好適である。
【0154】
以下の例により本発明を説明するが、これは本発明を限定するものではない。
【実施例】
【0155】
1.使用した成分
市販のポリアミド(成分A):
ポリアミド6,6(PA6,6-GV;255~260℃の溶融範囲):Ultramid(登録商標)A27(BASF)
ポリアミド6(217~222℃の溶融範囲):Durethan(登録商標)B29(Lanxess)
ポリアミド6T/6,6(310~320℃の溶融範囲):Vestamid(登録商標)HT plus 1000(Evonik)
ガラス繊維(成分B):
ガラス繊維PPG HP3610 10μm直径、4.5mmの長さ(PPG社,NL)
難燃剤FM1(成分C、DおよびE):
US7,420,007B2の例3に従って製造された、0.9mol%のエチルブチルホスフィン酸アルミニウムおよび0.5mol%のエチルホスホン酸アルミニウムを含有するジエチルホスフィン酸のアルミニウム塩
難燃剤FM2(成分C、DおよびE):
US7,420,007B2の例4に従って製造された、2.7mol%のエチルブチルホスフィン酸アルミニウムおよび0.8mol%のエチルホスホン酸アルミニウムを含有するジエチルホスフィン酸のアルミニウム塩
難燃剤FM3(成分C、DおよびE):
US7,420,007B2による方法に従って製造された、0.5mol%のエチルブチルホスフィン酸アルミニウムおよび0.05mol%のエチルホスホン酸アルミニウムを含有するジエチルホスフィン酸のアルミニウム塩
難燃剤FM4(成分C、DおよびE):
US7,420,007B2による方法に従って製造された、10mol%のエチルブチルホスフィン酸アルミニウムおよび5mol%のエチルホスホン酸アルミニウムを含有するジエチルホスフィン酸のアルミニウム塩
難燃剤FM5(成分C):
DE19607635A1の例1に類似して製造されたジエチルホスフィン酸のアルミニウム塩
難燃剤FM6(成分CおよびE):
8.8mol%のエチルホスホン酸アルミニウムを含有するジエチルホスフィン酸のアルミニウム塩
難燃剤FM7(成分I):
DE102011120216A1(特許文献19)の例1に従って製造されたホスホン酸のアルミニウム塩
難燃剤FM8(成分F):
WO2000/002869A1(特許文献20)の例に従って製造されたメラミンポリホスフェート
難燃剤FM9(本発明によらない):
WO2000/002869A1(特許文献20)に類似して製造された、平均縮合度18を有するメラミンポリホスフェート
酸化防止剤(成分G):
N,N’-ビス[3-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオニル]-ヘキサメチレンジアミン(Irganox(登録商標)1098,BASF)
共安定剤H1(成分H):
トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト(Irgaphos(登録商標)168,BASF)
共安定剤H2(成分H):
テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-[1,1-ビフェニル]-4,4’-ジイルビスホスホナイト(Sandostab(登録商標)P-EPQ,Clariant)
2.難燃性ポリアミド成形材料の製造、加工および試験
難燃剤成分を表に記載される比で酸化防止剤および共安定剤と混合し、二軸スクリュー押出機(Leistritz ZSE 27/44D型)のサイドフィーダーを介して、260~310℃の温度でPA6,6に、または250~275℃でPA6に、あるいは310~330℃でPA6T/6,6に練り込んだ。ガラス繊維は、第2のサイドフィーダーを介して添加した。均質化したポリマーストランドを引き取り、水浴で冷却し、引き続き造粒した。
【0156】
十分に乾燥した後、成形材料を射出成形機(タイプArburg 320C Allrounder)で、250~320°Cの材料温度で試験片に加工し、そしてUL94試験(Underwriter Laboratories)に基づいて難燃性について試験、分類した。分類に加えて、残炎時間も示した。
【0157】
成形材料の流動性は、275℃/2.16kgでのメルトボリュームインデックス(MVR)を求めることによって決定した。高いMVR値ほど、射出成形プロセスにおけるより良好な流動性を意味する。しかし、MVR値のより強い上昇は、ポリマー分解も示唆し得る。
【0158】
成形品の比較トラッキング指数は、国際電気標準会議規格IECー60112/3に従って決定した。
【0159】
グローワイヤ燃焼性指数(GWIT-Index)は、IECー60695ー2ー12規格に従って決定した。
【0160】
成形品の色は視覚的に評価した。
【0161】
各シリーズの全ての試験は、別段の記載がない限り、比較可能性のために、同一条件(例えば、温度プログラム、スクリュー形状および射出パラメーター)下で行った。
【0162】
PA6,6を用いた、実施例1~6、1a、1b、5aおよび比較例V1~V8
PA6,6成形材料を用いた試験の結果は、以下の表1に示した例中に列挙されている。全ての量は重量%として表し、難燃剤、添加剤および強化材を含めたポリアミド成形材料を基準とする。
【0163】
【0164】
例1~6、1a、1bおよび5aの本発明によるポリアミド組成物は、0.4mmで燃焼性等級UL94 Vー0を達成し、同時にCTI600ボルトおよびGWFI960℃を有し、着色を示さない成形材料である。例5および5aにおける成分Iの添加は、低減された残炎時間によって示される難燃性のさらなる改善をもたらす。
【0165】
比較例V1における成分DおよびEの省略は、残炎時間の延長に加え、例1~4と比較して高まったMVR値並びにCTI値の低下という結果をもたらした。
【0166】
比較例V2における成分Dの省略は、残炎時間の延長に加え、例1~4と比較して高まったMVR値並びにCTI値の低下という結果をもたらした。
【0167】
比較例V3において、成分Fをより低い縮合度を有する成分で置き換えると、製造中にポリアミドストランドが発泡し、測定を行うことができないという結果になった。
【0168】
比較例V4における成分Fの省略は、例2と比較して燃焼保護等級の劣化の他に、高まったMVR値並びにGWFI値の低下という結果をもたらした。
【0169】
比較例V5では、成分C、DおよびEの濃度を高めることによって、例V4と比較して確かに燃焼保護等級の向上が達成された。しかし、このポリアミド組成物は、なおも、比較例2と比べて低い燃焼保護等級並びに高まったMVR値および低められたGWFI値を示した。
【0170】
比較例V6において成分Hを省略すると、例2と比べて明らかに高まったMVR値が確認された。
【0171】
比較例V7において成分Gを省略すると、例2と比べて高まったMVR値並びに低められたCTI-およびGWFI値が確定された。更に、成形体は製造時に明らかに変色した。
【0172】
比較例V8において成分GおよびHを省略すると、例2と比べて高まったMVR値並びに低められたCTI値が確定された。更に、この場合も、成形体は製造時に明らかに変色した。
【0173】
PA6を用いた例7~12および比較例V6~V16
PA6成形材料を用いた試験の結果は、以下の表に示した例中に列挙してある。全ての量は重量%として表し、難燃剤、添加剤および強化材を含めたポリアミド成形材料を基準とする。
【0174】
【0175】
例7~12の本発明によるポリアミド組成物は、0.4mmで燃焼性等級UL94 Vー0を達成し、同時にCTI600ボルトおよびGWFI960℃を有し、着色を示さない成形材料である。例11における成分Iの添加は、低減された残炎時間によって示される難燃性のさらなる改善をもたらす。
【0176】
比較例V9における成分DおよびEの省略は、残炎時間の延長に加え、例7~10と比較して高まったMVR値並びにCTI値の低下という結果をもたらした。
【0177】
比較例V10における成分Dの省略は、残炎時間の延長に加え、例7~10と比較して高まったMVR値並びにCTI値の低下という結果をもたらした。
【0178】
比較例V11において、成分Fをより低い縮合度を有する成分で置き換えると、製造中にポリアミドストランドが発泡し、測定を行うことができないという結果になった。
【0179】
比較例V12において成分Fを省略すると、例8と比較して燃焼保護等級の劣化の他に、高まったMVR値並びにGWFI値の低下という結果をもたらした。
【0180】
比較例V13では、成分C、DおよびEの濃度を高めることによって、例V12と比較して確かに燃焼保護等級の向上が達成された。しかし、このポリアミド組成物は、なおも、比較例8と比べて低い燃焼保護等級並びに高まったMVR値および低められたGWFI値を示した。
【0181】
比較例V14において成分Hを省略すると、例8と比べて明らかに高まったMVR値が確認された。
【0182】
比較例V15において成分Gを省略すると、例8と比べて高まったMVR値並びに低められたCTIおよびGWFI値が確定された。更に、成形体は製造時に明らかに変色した。
【0183】
比較例V16において成分GおよびHを省略すると、例8と比べて高まったMVR値並びに低められたCTI値が確定された。更に、この場合も、成形体は製造時に明らかに変色した。
【0184】
PA6,6/PA6を用いた例13~18および比較例V17~V24
PA6/PA6,6成形材料を用いた試験の結果を、以下の表に示した例中に列挙する。全ての量は重量%として表し、難燃剤、添加剤および強化材を含めたポリアミド成形材料を基準とする。
【0185】
【0186】
例13~18の本発明によるポリアミド組成物は、0.4mmで燃焼性等級UL94 Vー0を達成し、同時にCTI600ボルトおよびGWFI960℃を有し、着色を示さない成形材料である。例17における成分Iの添加は、短縮された残炎時間によって示される難燃性のさらなる改善をもたらす。
【0187】
比較例V17における成分DおよびEの省略は、残炎時間の延長に加え、例13~16と比較して高まったMVR値並びにCTI値の低下という結果をもたらした。
【0188】
比較例V18における成分Dの省略は、残炎時間の延長に加え、例13~16と比較して高まったMVR値並びにCTI値の低下という結果をもたらした。
【0189】
比較例V19において、成分Fをより低い縮合度を有する成分で置き換えると、製造中にポリアミドストランドが発泡し、測定を行うことができないという結果になった。
【0190】
比較例V20において成分Fを省略すると、例14と比較して燃焼保護等級の劣化の他に、高まったMVR値並びにGWFI値の低下という結果をもたらした。
【0191】
比較例V21では、成分C、DおよびEの濃度を高めることによって、例V20と比較して確かに燃焼保護等級の向上が達成された。しかし、このポリアミド組成物は、なおも、比較例14と比べて低い燃焼保護等級並びに高まったMVR値および低められたGWFI値を示した。
【0192】
比較例V22において成分Hを省略すると、例14と比べて明らかに高まったMVR値が確認された。
【0193】
比較例V23において成分Gを省略すると、例14と比べて高まったMVR値並びに低められたCTIおよびGWFI値が確定された。更に、成形体は製造時に明らかに変色した。
【0194】
比較例V24において成分GおよびHを省略すると、例14と比べて高まったMVR値並びに低められたCTI値が確定された。更に、この場合も、成形体は製造時に明らかに変色した。
【0195】
PA6T/6,6を用いた比較例V25~V31
PA6T/6,6成形材料を用いた試験の結果を、以下の表に示した例中に列挙する。全ての量は重量%として表し、難燃剤、添加剤および強化材を含めたポリアミド成形材料を基準とする。
【0196】
【0197】
PA成形材料が加工不能であることが判明したので、比較例V25~V32のPA成形材料のいずれからも試験片を製造することはできなかった。ポリアミドストランドが製造中に発泡し、測定に適した試験片は製造できなかった。
本願は特許請求の範囲に記載の発明に係るものであるが、本願の開示は以下も包含する:
1. 以下を含む難燃性ポリアミド組成物:
- 成分Aとして、290℃以下の融点を有するポリアミド、
- 成分Bとして、フィラーおよび/または強化材、
- 成分Cとして、式(I)のホスフィン酸塩、
【化8】
[式中、R
1
およびR
2
は、エチルを表し、
Mは、Al、Fe、TiO
p
またはZnであり、
mは、2~3を表し、そして
p=(4-m)/2である]
- 成分Dとして、エチルブチルホスフィン酸の、ジブチルホスフィン酸の、エチルへキシルホスフィン酸の、ブチルへキシルホスフィン酸のおよび/またはジヘキシルホスフィン酸のAl-、Fe-、TiO
p
-またはZn塩の群から選択される化合物、
- 成分Eとして、式IIのホスホン酸塩、
【化9】
[式中、R
3
は、エチルを表し、
Metは、Al、Fe、TiO
q
またはZnであり、
nは、2~3を表し、そして
q=(4-n)/2である]
- 成分Fとして、2~200の平均縮合度を有するメラミンポリホスフェート、
- 成分Gとして、立体障害性フェノール系酸化防止剤、および/または
- 成分Hとして、有機ホスファイトおよび/または有機ホスホナイト。
2. MおよびMetがAlを表し、mおよびnが3であり、そして成分Dがアルミニウム塩であることを特徴とする、前記1.に記載の難燃性ポリアミド組成物。
3. ポリアミド組成物の全量を基準としたパーセント表示で、
- 成分Aの割合が25~95重量%であり、
- 成分Bの割合が1~45重量%であり、
- 成分Cの割合が1~35重量%であり、
- 成分Dの割合が0.01~3重量%であり、
- 成分Eの割合が0.001~1重量%であり、
- 成分Fの割合が1~25重量%であり、
- 成分Gの割合が0.05~5重量%であり、そして
- 成分Hの割合が0.05~5重量%である、
ことを特徴とする、前記1.または2.に記載の難燃性ポリアミド組成物。
4.- 成分Aの割合が25~75重量%であり、
- 成分Bの割合が20~40重量%であり、
- 成分Cの割合が5~20重量%であり、
- 成分Dの割合が0.05~1.5重量%であり、
- 成分Eの割合が0.01~0.6重量%であり、
- 成分Fの割合が2~10重量%であり、
- 成分Gの割合が0.1~1重量%であり、そして
- 成分Hの割合が0.1~1重量%である、
ことを特徴とする、前記3.に記載の難燃性ポリアミド組成物。
5. さらなる成分Iとして無機ホスホネートを含むことを特徴とする、前記1.~4.のいずれか1つに記載の難燃性ポリアミド組成物。
6. 前記無機ホスホネートが式(III)
【化10】
[式中、Meは、Fe、TiO
r
、Zn、または特にAlであり、
oは、2~3、好ましくは2または3を表し、そして
r=(4-o)/2である]
の化合物であり、当該式IIIの化合物が、ポリアミド組成物の全量を基準として、0.005~10重量%の量、特に0.02~5重量%の量で存在することを特徴とする、前記5.に記載の難燃性ポリアミド組成物。
7. 国際電気標準会議規格IEC-60112/3に従って測定された500ボルト超の比較トラッキング指数を有することを特徴とする、前記1.~6.のいずれか1つに記載の難燃性ポリアミド組成物。
8. 3.2mm~0.4mmの厚さでUL-94に従ってV0の評価を達成することを特徴とする、前記1.~7.のいずれか1つに記載の難燃性ポリアミド組成物。
9. 0.75~3mmの厚さでIEC-60695-2-12に従って少なくとも960℃のグローワイヤ燃焼性指数を有することを特徴とする、前記1.~8.のいずれか1つに記載の難燃性ポリアミド組成物。
10. 成分Aが、PA6、PA6,6、PA4,6、PA12、PA6,10からなる群から選択される1種以上のポリアミドであることを特徴とする、前記1.~9.のいずれか1つに記載の難燃性ポリアミド組成物。
11. 成分Aが、ポリアミド6,6であるか、あるいはポリアミド6,6とポリアミド6とのポリマー混合物であることを特徴とする、前記10.に記載の難燃性ポリアミド組成物。
12. 成分Aが少なくとも75重量%のポリアミド6,6および最大で25重量%のポリアミド6からなることを特徴とする、前記11.に記載の難燃性ポリアミド組成物。
13. 成分Bとしてガラス繊維が使用されることを特徴とする、前記1.~12.のいずれか1つに記載の難燃性ポリアミド組成物。
14. 成分C、D、EおよびFが粒子状形態で存在し、これらの成分のメジアン粒径d
50
が1~100μmであることを特徴とする、前記1.~13.のいずれか1つに記載の難燃性ポリアミド組成物。
15. 前記メラミンポリホスフェートの平均縮合度が2~100であることを特徴とする、前記1.~14.のいずれか1つに記載の難燃性ポリアミド組成物。
16. メラミンポリホスフェートが320℃以上の分解温度を有することを特徴とする、前記1.~15.のいずれか1つに記載の難燃性ポリアミド組成物。
17. 成分Gが、アルキル化されたモノフェノール類、立体障害性アルキルチオメチルフェノール類、立体障害性ヒドロキシル化チオジフェニルエーテル類、立体障害性アルキリデン-ビスフェノール類、立体障害性ベンジルフェノール類、立体障害性ヒドロキシベンジル化マロネート類、立体障害性ヒドロキシベンジル芳香族化合物、立体障害性フェノール系トリアジン化合物、立体障害性フェノール系ベンジルホスホネート類、N-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-カルバミン酸アルキルエステル類、β-(3.5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオン酸と一価もしくは多価アルコールとのエステル、β-(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-プロピオン酸と一価もしくは多価アルコールとのエステル、β-(3,5-ジシクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオン酸と一価もしくは多価アルコールとのエステル、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル酢酸と一価もしくは多価アルコールとのエステル、またはβ-(3,5-Di-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオン酸のアミドからなる群から選択されることを特徴とする、前記1.~16.のいずれか一つに記載の難燃性ポリアミド組成物。
18. 成分Hが、トリアリールホスファイト、特にトリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイトであることを特徴とする、前記1.~17.のいずれか1つに記載の難燃性ポリアミド組成物。
19. 成分Gが、N,N’-ビス[3-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオニル]-ヘキサメチレンジアミンであること、および成分Hが、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイトであることを特徴とする、前記18.に記載の難燃性ポリアミド組成物。
20. 成分Hが、1,1-ビフェニル-4,4’-ジイルビスホスホナイト、特にテトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-[1,1-ビフェニル]-4,4’-ジイルビスホスホナイトであることを特徴とする、前記1.~17.のいずれか一つに記載の難燃性ポリアミド組成物。
21. 成分Gが、N,N’-ビス[3-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオニル]-ヘキサメチレンジアミンであること、および成分Hが、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-[1,1-ビフェニル]-4,4’-ジイルビスホスホナイトであることを特徴とする、前記20.に記載の難燃性ポリアミド組成物。
22. 成分Jとしてさらに別の添加剤を含み、前記のさらに別の添加剤が、立体障害性フェノールではない他の酸化防止剤、UV安定剤、ガンマ線安定剤、加水分解安定剤、有機ホスファイトではない酸化防止剤用共安定剤、帯電防止剤、乳化剤、成核剤、軟化剤、加工助剤、耐衝撃性改良剤、染料、顔料、および/または成分C、D、EおよびFとは異なる他の難燃剤からなる群から選択されることを特徴とする、前記1.~21.のいずれか1つに記載の難燃性ポリアミド組成物。
23. 繊維、フィルムおよび成形体、特に電気-および電子分野における使用のための繊維、フィルムおよび成形体の製造のための、前記1.~22.のいずれか1つに記載のポリアミド組成物の使用。