(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-27
(45)【発行日】2023-04-04
(54)【発明の名称】腓骨材料の切除及び移植テンプレート
(51)【国際特許分類】
A61B 17/15 20060101AFI20230328BHJP
A61B 17/56 20060101ALI20230328BHJP
A61F 2/28 20060101ALI20230328BHJP
【FI】
A61B17/15
A61B17/56
A61F2/28
(21)【出願番号】P 2020520584
(86)(22)【出願日】2018-10-09
(86)【国際出願番号】 EP2018077505
(87)【国際公開番号】W WO2019072865
(87)【国際公開日】2019-04-18
【審査請求日】2021-09-16
(31)【優先権主張番号】102017123516.7
(32)【優先日】2017-10-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】515121597
【氏名又は名称】カール ライビンガー メディツィンテヒニーク ゲーエムベーハー ウント コーカーゲー
【氏名又は名称原語表記】KARL LEIBINGER MEDIZINTECHNIK GMBH & CO. KG
【住所又は居所原語表記】Kolbinger Strasse 10, 78570 Muehlheim, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【氏名又は名称】大西 渉
(72)【発明者】
【氏名】エルゾーグ, レベッカ
(72)【発明者】
【氏名】ガベル, ローレンツ
【審査官】北村 龍平
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第03195816(EP,A1)
【文献】特表2013-524995(JP,A)
【文献】国際公開第2011/136898(WO,A1)
【文献】特表2015-517325(JP,A)
【文献】国際公開第2013/165558(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/15 - 17/16
17/56 - 17/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨領域(3)に
接して前記骨領域(3)の表面に沿うように設計された板状で
アーチ状の曲面に湾曲した主部品(4)を有し、少なくとも1つの骨分離器具ガイド部分(8)が前記主部品(4)に取り付け可能であり、又は着脱可能に取り付けられ、かつ、
前記主部品(4)に前記骨領域(3)が取り付けられた状態でインプラント(9)を受け入れるように設計された受入れポケット(10a、10
b)が前記主部品(4)
の前記骨領域(3)に向く側の曲面の長手方向側部に
、前記主部品(4)の端部(35)に向かって形成され、前記主部品(4)は、
前記骨領域(3)に接して前記骨領域(3)を支持するための支持横材(13)を
、前記骨領域(3)に向く側の曲面の前記受入れポケット(10a、10b)を除く部分に有し、前記支持横材の高さが前記受入れポケット(10a、10b)の高さを
形成していることを特徴とする、腓骨材料の切除及び移植テンプレート(1)。
【請求項2】
前記主部品(4)は、第1骨領域(3)に
接して支持するための第1支持領域(2)を有し、かつ、前記主部品(4)の側方に配置可能である又は配置されるとともに第2骨領域(6、24)に
接して支持するための第2支持領域(5)を有する
板状でアーチ状の曲面に湾曲した側部品(7a、7b)が、前記主部品(4)に隣接して設けられる、請求項1に記載の腓骨材料の切除及び移植テンプレート(1)。
【請求項3】
インプラント(9)を受け入れるように設計された前記受入れポケッ
トは、前記主部品(4)及び前記側部品(7a、7b)のそれぞれに設けられることを特徴とする、請求項2に記載の腓骨材料の切除及び移植テンプレート(1)。
【請求項4】
前記主部品(4)の前記受入れポケット(10a、10b)は、
前記主部品(4)の側方に隣接して配置された前記側部品(7a、7b)に向く側に開口する、及び/又は、前記側部品(7a、7b)の前記受入れポケット(11a、11b)は、
前記第2骨領域(6、24)に向く側に、前記主部品(4)の前記受入れポケット(10a、10b)に向かって形成され、前記主部品(4)
の前記受入れポケット(10a、10b)及び前記側部品(7a、7b)の前記受入れポケット(11a、11b)はそれぞれ他方を向く側に開口する
ようにされており、
前記主部品(4)の前記受入れポケット(10a、10b)の開口と前記側部品(7a、7b)の前記受入れポケット(11a、11b)の開口とは、前記主部品(4)及び前記側部品(7a、7b)の長手方向が180°の角度をなす位置において対向している、請求項3に記載の腓骨材料の切除及び移植テンプレート(1)。
【請求項5】
前記主部品(4)及び前記側部品(7a、7b)の前記受入れポケット(10a、10b、11a、11b)は、それぞれ、前記インプラント(9)の一部を挿入するための挿入開口部(12)を有する、請求項3又は4に記載の腓骨材料の切除及び移植テンプレート(1)。
【請求項6】
前記主部品(4)の前記第1支持領域(2)は、前記支持横材(13)を
、前記第1骨領域(3)に向く側の曲面の前記受入れポケット(10a、10b)を除く部分に有し、前記支持横材の高さが、前記主部品(4)の前記受入れポケット(10a、10b)の高さを
形成していることを特徴とする、請求項2~5の1項に記載の腓骨材料の切除及び移植テンプレート(1)。
【請求項7】
前記側部品(7a、7b)の前記第2支持領域(5)は、
前記第2骨領域(6、24)に接して前記第2骨領域(6、24)を支持するための支持横材(14)を
、前記第2骨領域(6、24)に向く側の曲面の前記受入れポケット(11a、11b)を除く部分に有し、前記第2支持領域の支持横材の高さが、前記側部品(7a、7b)の前記受入れポケット(11a、11b)の高さを
形成していることを特徴とする、請求項3~6の1項に記載の腓骨材料の切除及び移植テンプレート(1)。
【請求項8】
前記主部品(4)の前記受入れポケット(10a、10b)に開口するとともに前記主部品(4)を貫通する少なくとも1つの貫通孔(16)が、固定手段(15)を受け入れるため前記主部品(4)に設けられることを特徴とする、請求項2~7の1項に記載の腓骨材料の切除及び移植テンプレート(1)。
【請求項9】
前記側部品(7a、7b)の前記受入れポケット(11a、11b)に開口するとともに前記側部品(7a、7b)を貫通する少なくとも1つの貫通孔(16)が、固定手段(15)を受け入れるため前記側部品(7a、7b)に設けられることを特徴とする、請求項
3~
5の1項に記載の腓骨材料の切除及び移植テンプレート(1)。
【請求項10】
前記主部品(4)及び前記側部品(7a、7b)において、それぞれの前記受入れポケット(10a、10b、11a、11b)に開口する
前記少なくとも1つの貫通孔(16)がそれぞれの場合において存在し、前記主部品(4)の前記
少なくとも1つの貫通孔(16)は
直線状の仮想の第1接続線(17)に沿って連ねて設けられ、前記側部品(7a、7b)の前記
少なくとも1つの貫通孔(16)は、前記第1接続線(17)に対して斜めに向く
直線状の仮想の第2接続線(18)に沿って連ねて設けられることを特徴とする、請求項
8~9の1項に記載の腓骨材料の切除及び移植テンプレート(1)。
【請求項11】
前記主部品(4)及び/又は前記側部品(7a、7b)において、補助ブラケット(20、22)が挿入可能である又は挿入されるブラケットシート部(19)が設けられることを特徴とする、請求項
2~10の1項に記載の腓骨材料の切除及び移植テンプレート(1)。
【請求項12】
請求項1~11の1項に記載の腓骨材料の切除及び移植テンプレート(1)と、前記受入れポケット(10a、11a、10b、11b)によって形成されるシート空間(21a、21b)に挿入可能であるように寸法を有するインプラント(9)と、を含む、組立てキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、骨領域に適用するように設計された主部品を有する、腓骨材料の切除及び移植テンプレート、すなわち、骨材料を腓骨(fibula)/腓骨(calf bone)から切除し、この骨材料を、特定の骨、好ましくは下顎骨が再建されるように移植させるテンプレートであって、少なくとも1つの骨分離器具ガイド部分が当該主部品に取り付け可能である、又は着脱可能に取り付けられるものに関する。さらに、本発明は、当該腓骨材料の切除及び移植テンプレートと、インプラントと、を含む組立てキットに関する。
【背景技術】
【0002】
先行技術より、下顎切除テンプレートなどの鋸テンプレートの形態の一般的なテンプレートは既に知られている。特許文献1は、例えば、腓骨又は下顎骨(lower jaw bone)/下顎(mandible)に使用可能な鋸テンプレートを公開している。特許文献2、特許文献3、特許文献4、及び特許文献5から、さらなる先行技術が知られている。
【0003】
ヒト下顎骨は、例えば、その骨の一部を切除する必要があるというように、事故又は発癌性の変化によって損傷するということが起こる。そして、損傷した骨は再建される必要がある。近年、例えば、腓骨から切除された骨領域/部分を、異常部が切除された下顎の領域に外科的に挿入することは一般に行われている。これは、精密な切開が、下顎骨、及び対応する腓骨においての双方で所定の方法で行われることを必要とする。
【0004】
この目的で、下顎骨及び腓骨における精密な切開ガイダンスを担い、同時に顎領域における移植のため切除骨領域を精密に移植させるように使用される、腓骨材料の切除及び移植テンプレートが通常使用される。
【0005】
しかしながら、現在のところ知られている解決法は、比較的取り扱いが不便なため、十分に精密ではない。また、それらの解決法は比較的コストがかかる。ここに改善が求められている。先行技術の構成における他の不利点は、外科的処置を行うための対応するテンプレートの取り扱いが比較的複雑であることである。特に下顎を再現するため使用される骨領域を接続するインプラントの位置決めは、比較的複雑である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】国際公開第2004/039266号
【文献】米国特許出願公開第2012/0029646号明細書
【文献】米国特許出願公開第2013/0338779号明細書
【文献】米国特許出願公開第2013/0304075号明細書
【文献】米国特許出願公開第2014/0149095号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ゆえに、先行技術より知られる不利点を解決する、特に骨切除における取り扱いを容易にする腓骨材料の切除及び移植テンプレートを提供することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、インプラントを受け入れるように設計される受入れポケットが主部品に形成/提供/挿入されることにより、一般的な腓骨材料の切除及び移植テンプレートにおいて解決される。
【0009】
これは、特に、腓骨の個々の骨領域を接続して切除した骨を構成するステップを大きく簡易化する。必要なことは、インプラントを受入れポケットに挿入すると、インプラントが、テンプレートを取り外す前に、所望の位置における意図した骨領域に既に配置されているということである。受入れポケットは、特に、凹部/ノッチ/窪み部であるということが理解される。
【0010】
さらなる有利な構成は従属請求項に記載し、以下においてさらに詳細に説明する。
【0011】
腓骨材料の切除及び移植テンプレートは、主部品が第1骨領域に適用するための第1支持領域を有し、当該主部品に加え、当該主部品の側方に配置可能である又は配置されるとともに第2骨領域に適用するための第2支持領域を有する側部品が設けられるとき、さらなる用途のために設計される。少なくとも1つの骨分離器具ガイド部分は、好ましくは、当該主部品に取り付け可能である又は取り付けられ、少なくとも1つの骨分離器具ガイド部分は、側部品に取り外し可能に取り付け可能である、又は取り付けられる。
【0012】
好ましくは骨プレートの形態におけるインプラントを受け入れるように設計された受入れポケットが、主部品及び側部品のそれぞれに提供/挿入/形成されるとき、当該インプラントは特に安定的に保持される。
【0013】
主部品の受入れポケットが側部品に向く側に開口する、及び/又は側部品の受入れポケットが主部品に向く側に開口するとき、インプラントの挿入はさらに容易である。また、主部品/側部品の形状と無関係にインプラントの設計を選択することができる。
【0014】
さらに、主部品及び側部品の受入れポケットがそれぞれインプラントの一部を挿入するため挿入開口部を有すると有利である。2つの受入れポケットの2つの挿入開口部は、主部品及び側部品が既に骨領域に取り付けられているとき、インプラントが2つの受入れポケットによって共同して形成されるシート空間に支障なく挿入されることができるように、互いに補うことが好ましい。これにより、さらに取り扱いが容易になる。
【0015】
主部品の第1支持領域が支持横材を有すると特に有利である。第1支持領域の支持横材の高さは、主部品の受入れポケットの高さを直接決定することが好ましい。
【0016】
これに関して、また、側部品の第2支持領域が支持横材を有すると有用である。また、第2支持領域の支持横材の高さは、側部品の受入れポケットの高さを直接決定することが好ましい。これにより、主部品及び側部品の構造が特に簡素に保たれる。
【0017】
特に、主部品の支持横材が主部品の長手方向軸に対して横方向である、特に好ましくは垂直である、及び/又は、側部品の支持横材が、側部品の長手方向軸に対して横方向である、特に好ましくは垂直であると有利である。さらに、第1支持領域及び/又は第2支持領域が多次元方向に延びる横材/横材領域によって、好ましくはL字状又はU字状横材によって構成されると有利である。
【0018】
主部品及び/又は側部品の受入れポケットがインプラントを支持するためストップ領域を有するとき、インプラントの挿入がさらに簡易化される。
【0019】
主部品の受入れポケットに開口するとともに主部品を貫通する、少なくとも1つの(第1)貫通孔が固定手段を受け入れるように主部品に挿入されるとき、インプラントの設置し易さがさらに向上する。
【0020】
ゆえに、また、側部品が、固定手段を受け入れるため、側部品の受入れポケットに開口するとともに側部品を貫通する、少なくとも1つの貫通孔を有すると有利である。
【0021】
インプラントを対応する骨領域に特に安定的に取り付けるため、それぞれの受入れポケットに開口する複数の貫通孔が主部品及び側部品に設けられると有利であり、主部品の貫通孔は仮想の第1接続線に沿って連ねて設けられ、側部品の貫通孔は、第1接続線に対して、並びに/又は主部品及び/若しくは側部品の長手方向軸に対して、角度をなして延びる/向く仮想の第2接続線に沿って連ねて設けられる。
【0022】
さらに、2つの部品を互いに接続する補助ブラケットがそこに差し込み可能である/差し込まれる/取り付け可能である/取り付けられる/固定可能である、主部品及び/又は側部品のブラケットシート部が存在すると有利である。このブラケットシート部の領域に固定ねじ又は複数の固定ねじによって補助ブラケットを主部品及び/又は側部品に固定する意図である。
【0023】
さらに、腓骨材料の切除及び移植テンプレートが、1つの側部品のみでなく2つの側部品を有すると有利であり、第1側部品は主部品の長手方向軸に沿って主部品の第1側に向かって配置され、第2側部品は主部品の長手方向軸に沿って、第1側から離れる方向に向く主部品の第2側に向かって配置される。そして、こうして中間部分として構成される主部品と、2つの側部品とは、好ましくは、互いに向く側にインプラントを受け入れるための受入れポケットを有する。
【0024】
好ましくは、複数の骨分離器具ガイド部分が主部品及び/又は側部品に着脱可能に取り付けられる。
【0025】
ゆえに、少なくとも1つの骨分離器具ガイド部分は、テンプレートの前側及び後側に開口する、2つの垂直面の間に形成されたガイドスリットを有すると有利である。このように、少なくとも1つの骨分離器具は、骨領域を腓骨から切除するとき遊走しないようになる。このように精密な切除を確実にする。
【0026】
ガイドスリットがテンプレートの下側及び/又は上側に開口すると取り扱いにおいてさらに有益である。
【0027】
使用の際/外科的処置時における調節性及び適応性は、それを取り囲むガイド部分に設置されてその長手方向軸に沿って移動可能であるバーが、主部品及び/又は側部品とは別の少なくとも1つの骨分離器具ガイド部分から突出すると、向上する。
【0028】
また、バーを固定するように設計された固定ねじがガイド部分に突入すると有用である。そして、簡単な変更を手術中になすことができる、又は手術前に少なくとも準備することができる。
【0029】
また、側部品及び主部品の双方が互いに向く側に、骨分離器具ガイド部分を備えると、適応的な外科的使用において有益である。また、さらなる骨分離器具ガイド部分(側部品からスライド可能及び取り外し可能なことが好ましい)が、主部品から離れる方向に向く側部品の側方に配置されると有利である。
【0030】
また、側部品の少なくとも1つの骨分離器具ガイド部分は、主部品の少なくともの1つの骨分離器具ガイド部分と同一である、又は少なくとも類似すると有利である。
【0031】
また、主部品に取り付けられる2つの骨分離器具ガイド部分のガイドスリットが60°+/-5°の角度をなし、側部品に取り付けられる2つの骨分離器具ガイド部分のガイドスリットが、後側の方向に鋭角、約72°+/-5°の角度をなすとさらに望ましい。
【0032】
好ましくは受入れ孔の形態のブラケットシート部が主部品の略中央に配置され、切除補助ブラケット又はインプラント補助ブラケットなどの補助ブラケットが、ブラケットシート部に挿入可能である、又は挿入されると有効であるということが分かっている。当該受入れ孔は、さらに好ましくは、単一の材料から作製される主部品又は主部品の一部とは別のクランプによって形成される。また、好ましくは受入れ孔の形態のブラケットシート部が側部品の略中央に配置され、切除補助ブラケット又はインプラント補助ブラケットなどの補助ブラケットが、ブラケットシート部に挿入可能である、又は挿入されると有利である。受入れ孔は、さらに好ましくは、単一の材料から作製される主部品又は主部品の一部とは別のクランプによって形成される。したがって、腓骨材料の切除及び移植テンプレートの個々の部品は、互いに対して位置を変えることができないよう空間的に固定可能である。
【0033】
補助ブラケットの設置のより良好な全体像を得るため、前述の部品(主部品及び側部品)には、右について「R」、左について「L」と表示している。また、他の方法又は補足としての色の表示及び/又は数字ラベルの使用も考慮される。
【0034】
また、側部品のブラケットシート部は、主部品のブラケットシート部と同一である、又は少なくとも類似すると有利である。
【0035】
それぞれのブラケットシート部において、受入れ孔が非貫通孔又は貫通孔の形態で設計され、当該受入れ孔に、補助ブラケットに固定されるばね部分の係止受入れ部を準備すると有利である。補助ブラケットを迅速に挿入及び取り外しすることが可能になるからである。また、他の好ましい構成においては、ばね部分は省略され、補助ブラケットはねじなどの他の固定手段によって受入れ孔に固定される。
【0036】
また、骨ねじのため、つまりそれぞれの主部品又は側部品を取り付けるためブラケットシート部の両側に貫通孔が存在すると有効であることが分かっている。
【0037】
また、主部品及び側部品のブラケットシート部は、剛性/硬質/非弾性/形状安定的な(鋼部品と類似の)インプラント補助ブラケットを受け入れるように作製されると有利である。これにより、個々の骨領域を正確な位置に配置することができる。
【0038】
インプラント補助ブラケットは、切除補助ブラケットと類似するが、側部品及び主部品に組み付けられる位置が互いに異なり、それゆえ、接続点において異なる幾何学的構成を有するとき、その異なる間隙でもって腓骨から切除した骨領域を下顎骨に効率的に移植可能である。
【0039】
また、切除補助ブラケットは、側部品及び主部品を共通の一平面内になるよう強制するが、インプラント補助ブラケットは側部品及び主部品をU字状及び/又は下顎の輪郭に合う配置に強制すると有利である。
【0040】
また、腓骨材料の切除及び移植テンプレートは腓骨切除テンプレートとも呼ばれ、腓骨の平均的形状に適合する。ゆえに、腓骨材料の切除及び移植テンプレートは患者固有ではないが、平均的患者に適合する。
【0041】
すなわち、外科的処置時に、個々の部品(テンプレートの主部品及び側部品)は取り外し可能なブラケット(補助ブラケット)によって互いに接続される。補助ブラケットは、左右両方の腓骨に対して同じようにテンプレートを使用するため上方及び下方から取り付けることができる。さらに、ブラケットには、さらに前方に突出するための小段差部が設けられ、これは、この領域が軟部組織によって妨げられることがあるためである。さらに、取り外し可能なブラケットは弾性であるように設計される。これは、前述の個々の部品が、分離切断/鋸切断を正確な角度で行うことができるように、腓骨に密着するということを意味する。
【0042】
可撓性経路スロットを係止するための調節ねじは、前述のテンプレートに直交して設置されることが好ましい。
【0043】
振動鋸は、切除を行うために使用される。両側において下方若しくは上方に、又は開口若しくは閉鎖した約1.0mmの幅のガイドスリット/切込みを設計することが意図されている。しかしながら、すべての場合に鋸刃の側方ガイダンスを行うことが必要である。
【0044】
前述のテンプレートは、約2.0mmの外径を有する標準的なねじによって腓骨に固定される。各部品(主部品及び側部品)において、固定のために2つの孔(第2貫通孔)が存在する。
【0045】
さらに、本発明は、前述の構成の少なくとも1つ(好ましくは補助ブラケットの1つを含み、さらに好ましくは切除補助ブラケット及びインプラント補助ブラケットの双方を含む)における、本発明にかかる腓骨材料の切除及び移植テンプレートと、好ましくは骨プレートの形態のインプラントとの組立てキットに関し、インプラントは、主部品の受入れポケットによって形成されたシート空間に挿入可能であるように寸法を有する。
【0046】
主部品及び少なくとも1つの側部品を有する腓骨材料の切除及び移植テンプレートのさらなる好ましい構成において、主部品及びそれぞれの側部品の対向側における受入れポケットは共にシート空間を形成し、シート空間は、主部品の長手方向軸に沿って見て、遮られていない/連続的であることが好ましい。
【0047】
ゆえに、インプラントは、好ましくは、その厚みにおいて前述の2つの受入れポケットの高さに対応するように又は2つの受入れポケットより小さい高さに設計される。
【0048】
さらに、本発明は、以下の(好ましくはアルファベット順に時系列の)ステップによる、腓骨から下顎骨をモデリングする方法に関する。
a) 腓骨の第1骨領域についての少なくとも主部品及び/又は側部品を有する、及び、任意で、腓骨の第2骨領域についての側部品を有する前述の構成の少なくとも1つによる、本発明にかかる腓骨材料の切除及び移植テンプレートを適用し、
b) 2つの骨領域が互いに分離するように、少なくとも1つの骨分離器具ガイド部分に沿ってガイドされた(好ましくは骨鋸として形成された)骨分離器具によって腓骨を切断し、
c) 前述の2つの分離した骨領域が互いに接触する及び/又は特定の相対位置になるように再配置し、
d) 好ましくは骨プレートの形態における、前述の2つの骨領域を接続するように設計されたインプラントを、前述の主部品の受入れポケット及び/又は側部品の受入ポケットに挿入し、及び、
e) 主部品及び/又は側部品における前述のインプラントのガイダンス/支持のもと、前述の2つの骨領域に固定手段によって前述のインプラントを固定する。
【0049】
さらにステップe)の後のステップf)を備え、インプラントを適用した後腓骨材料の切除及び移植テンプレートを取り外す、すなわち、腓骨材料の切除及び移植テンプレートを前述の骨領域から分離すると、さらに好ましい。これにより、下顎骨の切除がさらに簡易化される。
【0050】
本発明について、ここで図面を使用して以下により詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【
図1】
図1は、本発明にかかる好ましい第1実施形態における、腓骨材料の切除及び移植テンプレートの斜視図を示し、当該テンプレートは、そこに取り付けられた骨領域と結合して少なくとも部分的に下顎骨を再建するように、既に移植位置に向けられ、テンプレートの個々の部品は、インプラント補助ブラケットとして設計された補助ブラケットを介して互いに対して配置されている。
【
図2】
図2は、
図1におけるテンプレートの主部品と第1側部品との間の領域の側面斜視図を示し、骨プレートはそれぞれの部品の受入れポケットに挿入されている。
【
図3】
図3は、
図2における領域の上方からの斜視図を示し、骨プレートを挿入するためのそれぞれの受入れポケットの挿入開口部を明らかに見て取ることができ、骨プレートは固定手段によって骨領域に既に接続されている。
【
図4】
図4は、
図2と同様の、テンプレートの領域の側面斜視図を示し、固定手段はまた骨プレートを骨領域に取り付けるため既に挿入されている。
【
図5】
図5は、
図1~
図4と同等の構成における腓骨材料の切除及び移植テンプレートの前側の斜視図を示し、特に、本発明にかかるものだが、主部品及び側部品の受入れポケットが形成されていない腓骨材料の切除及び移植テンプレートのさらなる構造を示す。
【
図6】
図6は、後側から、すなわち下顎側からの
図5の腓骨材料の切除及び移植テンプレートを示す。
【
図7】
図7は、低い切除補助ブラケットを伴う、前側からの
図5及び
図6の腓骨材料の切除及び移植テンプレートを示す。
【
図8】
図8は、上側からの
図7の腓骨材料の切除及び移植テンプレートを示し、テンプレートは腓骨と既に接触しており、複数の切込みが、骨分離器具ガイド部分を使用して腓骨に既になされている。
【
図9】
図9は、切除した残りの骨部分を伴う
図8の腓骨材料の切除及び移植テンプレートを示し、移植される骨領域はテンプレートに取り付けられている。
【
図13】
図13は、移植される骨領域が置換又は修復される下顎骨の形状に配置される、移植/移植位置における
図5~
図9の腓骨材料の切除及び移植テンプレートを示す。
【
図17-19】
図17-
図19は、数種の図面で、
図14~
図16と同様の、腓骨に取り付けられた腓骨材料の切除及び移植テンプレートのさらなる図面を示し、切除される骨片は、まだ一体である腓骨において印が付けられている。
【
図23-25】
図23-
図25は、挿入したインプラント補助ブラケットを伴う、
図5~
図9の腓骨材料の切除及び移植テンプレートを示し、挿入したインプラント補助ブラケットによって、切除した骨領域が下顎骨のものと同様の形状にされて、移植のために整えられる。
【
図34】
図34は、本発明にかかる好ましい第2実施形態における、腓骨材料の切除及び移植テンプレートの切除位置における正面図を示し、当該テンプレートは、第1実施形態と比較して、それぞれの補助ブラケット(ここでは切除補助ブラケット)を固定するための追加の固定ねじを有する。
【
図36】
図36は、下側からの、
図34に示すような腓骨材料の切除及び移植テンプレートを示し、色及び数の表示が主部品及び側部品の取り扱い簡易化のため主部品及び側部品に設けられていることがわかる。
【
図37】
図37は、
図34における腓骨材料の切除及び移植テンプレートの背面図を示し、主部品及び側部品に形成された受入れポケットが明らかにわかる。
【
図38】
図38は、
図34の腓骨材料の切除及び移植テンプレートにおける主部品及び第1側部品の組立体の正面図を示す。
【
図39】
図39は、
図34に示すような腓骨材料の切除及び移植テンプレートの第1側部品の正面図を示す。
【
図40】
図40は、
図34における腓骨材料の切除及び移植テンプレートの主部品の正面図を示す。
【
図41】
図41は、第2実施形態の腓骨材料の切除及び移植テンプレートの移植位置における正面図を示し、切除位置においてまだ当該テンプレートに取り付けられている骨分離器具ガイド部分はここで主部品及び側部品から取り外され、当該側部品は当該主部品に対し互いに旋回し、当該側部品は、インプラント補助ブラケットによって当該主部品及び当該側部品に対して所定の角度位置において固定される。
【
図42】
図42は、
図41の腓骨材料の切除及び移植テンプレートにおける主部品及び第1側部品の組立体の正面図を示す。
【
図43】
図43は、
図41における腓骨材料の切除及び移植テンプレートに使用される第1側部品の正面図を示す。
【
図44】
図44は、
図41における腓骨材料の切除及び移植テンプレートに使用される主部品の正面図を示す。
【
図45】
図45は、
図41と同様に、
図41における腓骨材料の切除及び移植テンプレートの正面図を示し、骨プレートの形態のインプラントは、受入れポケットの側に既に挿入されている。
【
図46】
図46は、後側からの、
図45における挿入したインプラントを伴う腓骨材料の切除及び移植テンプレートの斜視図を示し、受入れポケットにおけるインプラントの位置が明らかにわかる。
【
図47】
図47は、前側からの、
図45における腓骨材料の切除及び移植テンプレートの斜視図を示す。
【
図48】
図48は、
図41に示すような腓骨材料の切除及び移植テンプレートの背面図を示し、互いに対する受入れポケットの位置が特に良好にわかる。
【
図49】
図49は、
図41の腓骨材料の切除及び移植テンプレートにおける主部品及び第2側部品の組立体の背面図を示す。
【
図50】
図50は、後側からの、
図41における腓骨材料の切除及び移植テンプレートの斜視図を示す。
【
図51】
図51は、第2実施形態の腓骨材料の切除及び移植テンプレートの
図34に示すような切除位置における側面斜視図を示し、ブラケットシート部における特別なミリング部分が示される。
【
図52】
図52は、
図34の腓骨材料の切除及び移植テンプレートに使用されるような主部品の正面図を示し、主部品に取り付けられたピン/ペグの形態のばねがわかる。
【
図53】
図53は、本発明にかかる第3実施形態における、腓骨材料の切除及び移植テンプレートの正面図を示し、前述の側部品は、第1実施形態と比較して、異なる方法で前述の主部品に接続されている。
【
図54】
図54は、複数の色及び数の表示を主部品及び側部品に見ることができる、
図53に示すような腓骨材料の切除及び移植テンプレートの平面図を示す。
【
図55】
図55は、
図53の腓骨材料の切除及び移植テンプレートに使用される主部品の詳細な平面図を示す。
【
図58】
図58は、
図53の腓骨材料の切除及び移植テンプレートにおける主部品及び第2側部品の組立体の平面図を示す。
【
図59】
図59は、
図53の腓骨材料の切除及び移植テンプレートに挿入される主部品の平面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0052】
図面は、本質的に概略にすぎず、本発明を理解する役割のみを担う。同一の要素は、同一の参照符号で示される。
【0053】
図1~
図4は、本発明にかかる好ましい第1実施形態における腓骨材料の切除及び移植テンプレート1(以下、簡潔にするためテンプレート1という)を示す。テンプレート1は、部分的に下顎骨を再建する状態/移植位置に既に配置されている。
【0054】
本発明にかかる腓骨材料の切除及び移植テンプレート1の完全な構造を
図5~
図38に示す。
図5~
図28は、本発明にかかる実施形態の腓骨材料の切除及び移植テンプレートと同等のテンプレート1を示すが、その主部品4及び側部品7a、7bにおいて、以下により詳細に記載する受入れポケット10a、10b、11a、11bは明確に示されていない。以下において、本発明にかかるテンプレート1の構造及び機能を、
図5~
図38のこれら同等のテンプレート1に基づいて記載する。
【0055】
また、
図5~
図33に関して記載するテンプレート1は、腓骨材料の切除及び移植テンプレート1として機能し、
図7~
図33はまた、腓骨(fibula)/腓骨(fibula bone)34から切除された複数の骨領域3、6、24/骨部分による、下顎/下顎骨33の再建について示す。
【0056】
図5に、切除位置におけるテンプレート1を示す。このテンプレート1は主部品4を有する。それぞれの(末端の)端部35において、主部品4における骨分離器具ガイド部分8が存在する。骨分離器具ガイド部分8は複数の口/ブロックとして設計され、基体36に着脱可能に接続される。特に、骨分離器具ガイド部分8は、主部品4/基体36にスライド可能に連結される。このように、主部品4は、その延在する基体36に沿う(すなわち、主部品4の仮想の長手方向軸に沿う)それぞれの端部35に、取り外し可能/着脱可能に取り付けられた、骨分離器具ガイド部分8を有する。このように、主部品4における2つの骨器具ガイド部分8はまた、相対的に互いに向かって及び互いから離れるようにスライド可能であるように設置される。
【0057】
それぞれの骨分離器具ガイド部分8は、2つの垂直面26の間のガイドスリット25を有する。これらのガイドスリット25は前側及び後側において開口する/透過的である。それぞれのガイドスリット25は、前側及び後側に延在する開口部を除いて全面的に材料に取り囲まれている。しかしながら、ガイドスリット25は上部及び/又は底部において開口することができる。
【0058】
骨分離器具ガイド部分8のスライド移動を可能とするため、バー27を設けることを推奨する。バー27は、バー27を囲む主部品4のガイド部分28にスライド可能に設置される。バー27を固定するため、固定ねじ(ここでは明確にするため図示せず)を使用可能である。
【0059】
主部品4の中央に、ブラケットシート部19が存在する。ブラケットシート部19は、ここで、基体36とは別のクランプ30として形成されるが、好ましくは、
図1~
図4の実施形態における基体36/主部品4と一体に形成される。この目的で、主部品4は、基体36における隆起部37の領域に、補助ブラケットを挿入可能で、ブラケットシート部19も形成する受入れ孔29を有する(
図1)。
図5において、補助ブラケットを構成する切除補助ブラケット20は、凸状ばね部分31で受入れ孔29に係合する。他の実施形態によれば、他の固定手段、好ましくはねじも、ばね部分31の代わりに補助ブラケットをブラケットシート部19に固定するため使用される。しかしながら、
図1~
図4においては、インプラント補助ブラケット22が受入れ孔29に挿入されている。
【0060】
クランプ30の左右には、基体36を貫通するとともに骨ねじの形態の固定手段を受け入れるように機能するそれぞれの(第2)貫通孔32が存在する。固定手段及び貫通孔32を使用して、主部品4を腓骨34に取り付けることができる。貫通孔32は穴の形態で設計される。
【0061】
それぞれの側部品7a、7bは主部品4の両側に接続される。ゆえに、主部品4はまた中間部分とも呼ばれる。このように、主部品4の基体36は側部品7a、7bの間に配置される。それぞれの側部品7a、7bは2つの骨分離器具ガイド部分8を有する。それぞれの側部品7a、7bの骨分離器具ガイド部分8は、主部品4に向くそれぞれの側部品7a、7bの側方に配置される。それぞれの側部品7a、7bのこれらの骨分離器具ガイド部分8は、主部品4の骨分離器具ガイド部分8と同じに設計される。そして、それぞれの側部品7a、7bのさらなる骨分離器具ガイド部分8は、シフト機構38によって、主部品4から離れる方向に向くそれぞれの側部品7a、7bの側方に保持される。格子部41を形成するようにその前側40上にリブ、ノッチ、又はキャッチを有する、2つのガイド横材39が使用される。
【0062】
図5においても、補助ブラケット/切除補助ブラケット20の端部が係合する、クランプ30の形態のブラケットシート部19が存在する。切除補助ブラケット20とクランプ30との接続は、既に記載したものと類似、又は同一である。
【0063】
側部品7a、7bのそれぞれにおいても、ねじによって腓骨34の骨領域に取り付けることを可能にする(第2)貫通孔32が存在する。補助ブラケット/切除補助ブラケット20は、テンプレートの固定に対しては取り外し可能である。調節ねじ42は、ガイドスロット25の形態の可撓性経路スロットを固定するため使用される。
【0064】
図5は、テンプレート1を実質的にその前側を示し、
図6は、実質的にその後側を示し、すなわち腓骨34から見た図を示す。側部品7a、7bの長さは、45.2mm又は45mm~66.2mm又は80mmの間で可変である必要がある。主部品4のシーケンス長は、好ましくは30mm又は34mmである必要があり、固定可能である。このように、テンプレート1の後側は、(ヒトの)腓骨に接触するように準備される。
【0065】
図7および
図10では、
図8、
図9、
図11、及び
図17のように、腓骨34の骨領域3、6、24に固定するため、固定手段43が骨ねじの形態で既に挿入されている。
図13には、切除補助ブラケット20と幾何学的にわずかに異なるインプラント補助ブラケット22が、テンプレート1の移植位置/インプラント位置において挿入されている。そして、腓骨34の個々のカットオフ骨領域3、6、24/部分は、インプラント補助ブラケット22に関してテンプレート1によって予め定められたものと空間的位置において同様に、好ましくは同一に、全く再配置される。骨分離器具ガイド部分8は、すべて取り外されている。このように、切込み又はそれぞれのガイドスリット25は、骨領域3、6、24を「相対するように」配置することができるように取り外された。
【0066】
(腓骨34に)適用し、(腓骨34を)切断し、(腓骨34のカットオフ骨領域3、6、24を)切除し、及び、(下顎骨33を部分的に再建する形態に骨領域3、6、24を)その後組み立てる工程を、
図14~
図33に示す。
【0067】
図1~
図4の、本発明にかかる第1実施形態に戻ると、テンプレート1の全体の構成は、特に
図1に関する、下顎骨33に取り付けられた/下顎骨33を再建する状態において示される。したがって、
図1~
図4は、骨分離器具ガイド部分8が主部品4及び側部品7a、7bから取り外されているので、特に骨分離器具ガイド部分8を示していない。
【0068】
図1に原則として示すように、本発明にかかる実施形態の主部品4並びに第1側部品7a及び第2側部品7bは、それぞれの骨領域3、6、24に/骨領域3、6、24の表面に取り付けられるように機能する支持領域2、5を有する。
【0069】
主部品4は、それぞれの長手方向側部/それぞれの端部35に向かって受入れポケット10a、10bを有する。特に、実質的に板状及び湾曲/アーチ状の基体36を形成する主部品4は、第1骨領域3に向く側にそれぞれの受入れポケット10a、10bを有する。このように、受入れポケット10a及び10bはそれぞれ、主部品4が取り付けられる第1骨領域3に向かって開口する。さらに、受入れポケット10a、10bは、
図3に見られるように主部品4の(第1)支持領域2によって空間的に互いに離れている。第1支持領域2は、それぞれの受入れポケット10a、10bが側方に配置された側部品7a、7bに向かって開口するように配置される。このように、主部品4の第1受入れポケット10aは、第1側部品7aに向かって開口する一方、主部品4の第2受入れポケット10bは、第2側部品7bに向かって開口する。さらに、主部品4の受入れポケット10a、10bは、上側に向かって周囲に開口する。受入れポケット10a、10bはそれぞれ、
図1に示すようにテンプレート1が腓骨24に取り付けられた状態で骨プレートの形態のそれぞれのインプラント9を受入れポケット10a、10bに挿入できるように寸法を有する、挿入開口部12を形成する。
【0070】
図3にも示すように、第1側部品7a(ここでは第1側部品7aに対して示す)及び第2側部品7bの双方もまた、受入れポケット11a、11bを有する。側部品7a、7bの受入れポケット11a、11bは、主部品4の受入れポケット10a、10bと互いに関連する。第1側部品7aは、主部品4、すなわち第1受入れポケット10aに向くその(軸)側にその受入れポケット11aを有する。第2側部品7bは、主部品4、すなわち第2受入れポケット10bに向くその(軸)側にその受入れポケット11bを有する。受入れポケット11a及び第1受入れポケット10aはそれぞれ、他方のものを向く側に開口し、インプラント9のための一つの共通の連続したシート空間を形成する。受入れポケット11b及び第2受入れポケット10bはそれぞれ他方のものを向く側に開口し、インプラント9のための一つの共通の連続したシート空間を形成する。また、側部品7a、7bの受入れポケット11a、11bは、上側に開口し/挿入開口部12が設けられる。
【0071】
図3において、また、受入れポケット10a、10b、11a、11bはそれぞれ、それぞれの部分4、7a、7bにおいて翼状突出部/プレート領域によって形成されるということが明らかにわかる。底部に向かって、受入れポケット10a、10b、11a、11bは制限ストップ部/ストップ領域23によって制限される(
図3において第1側部品7aの受入れポケット11aにおいて見ることができる)。ストップ領域23は、それぞれの支持領域2、5によって直接的に形成され、骨領域3、6、24に対して未だ取り付けられていない状態のインプラント9の支持部として機能する。
【0072】
受入れポケット10a、10b、11a、11bは、インプラントの形状に既に適応している(これに対して反対となる)。インプラント9は、約132°又は120°の角度で折り曲げられた骨プレートによって形成されるが、既に折り曲げられているか又はそれ自体湾曲している。骨プレートは、上方から受入れポケット10a、11a又は10b、11bに挿入される。容易にインプラントを固定可能にするとともに、下顎骨33又は腓骨インプラント34の平均形状に基づいて3次元に予備形成される、1.0mmのプロファイル/厚みを有する骨プレートが適切であると分かっている。平均的な下顎骨33及び腓骨34の輪郭は、代表的なデータセットに基づいて生成される。骨プレート9は種々の形状及び構成で利用可能である。この目的はできるだけ少ない骨プレートで作業することである。ここで適用されるような骨プレートは、横材を有する4孔骨プレートが好ましい。また、横材を有する5孔又は6孔の骨プレートも可能である。骨プレートは、連係取付部を提供可能で、かつ標準的なねじとともに機能するように、多方向の、角度が安定したプレート孔44を有する。要求に応じて、骨プレートを所定位置に固定するため、ドライバなどの特別な工具が使用される。
【0073】
インプラント9を固定するため、それぞれの受入れポケット10a、10b、11a、11bの領域におけるそれぞれの側部品7a、7b及び主部品4には、主部品4又は側部品7a、7bを貫通する穴の形態の(第1)貫通孔16が設けられる。特に、(第1)貫通孔16は、それぞれの受入れポケット10a、10b、11a、11bを形成する主部品4又は側部品7a、7bの壁部分を貫通する。壁部分は基体36の一部であり、インプラント9を挿入するためのガイド面を形成する。第1貫通孔16は、インプラント9を対応する骨領域3、6、24に固定するための骨ねじの形態の複数の固定手段15を挿入するよう設計される寸法を有する。あるいは、固定手段15は固定ピンとして設計される。固定手段15は、第1貫通孔16に完全に押し通すことができるように、第1貫通孔16に適合させる。
【0074】
骨領域3、6、24に接続するインプラント9の配置後、主部品4及び側部品7a、7bは、以前に配置した対応する固定手段43を緩めることで骨領域3、6、24から分離される。
【0075】
また、
図2及び
図4は、主部品4及び第1側部品7aにおける(第1)貫通孔16の配置を示す。これより、主部品4が、第1受入れポケット10aにおいて、幾何学的な中心/中心軸心が仮想的な第1接続線17に沿って並ぶ2つの第1貫通孔16を有することがわかる。また、第1側部品7aが、受入れポケット11aにおいて、幾何学的な中心/中心軸心が仮想的な第2接続線18に沿って並ぶ2つの第1貫通孔16を有する。第1接続線17は第2接続線18に対して斜めに延び、175°~150°の角度をなす。このように、2つの接続線17及び18は、空間において「V字」姿勢を形成する、又は互いに対して斜めになっている。第2受入れポケット10bにおいて、2つのさらなる第1貫通孔16は、第2接続線18と平行に延びるような接続線に沿って配置される。受入れポケット11bにおいて、2つのさらなる第1貫通孔16は、第1接続線17と平行に延びるような接続線に沿って配置される。
【0076】
図34~
図52に、本発明にかかるさらなる第2実施形態における腓骨材料の切除及び移植テンプレート1を示す。本第2実施形態は、あるいは以下に他の記載がない限り、第1実施形態に従って構成されて機能する。
【0077】
図34は、切除補助ブラケット20について、
図41及び
図45~
図51は、インプラント補助ブラケット22について、それぞれの補助ブラケットをさらに固定するため、固定ねじ45がブラケットシート部19にねじ留めされることを明らかに示す。固定ねじ45は、ブラケットシート部19に形成された貫通孔のねじ山部にねじ留めされ、それぞれの補助ブラケット20、22を、主部品4及び側部品7a、7bに対して固着/固定する締め付け位置とするように作用する。主部品4において、及びそれぞれの側部品7a、7bにおいて、それぞれの固定ねじ45は、それぞれのブラケットシート部19に挿入される。好ましくは、固定ねじ45は特定の色、好ましくは金色に着色されている。特に、固定ねじ45は、その刃を取り付けたとき(すなわち、それらのツールを保持した外形)においてより良好に認識するため着色される。
【0078】
さらに、
図34は、第1実施形態のように主部品4から離れる方向に向くそれぞれの側部品7a、7bの側方に取り付けられた側部品7a、7bの骨分離器具ガイド部分8が、それぞれの側部品7a、7bにおいてスライド可能にガイドされるということを示す。この目的で、シフト機構によってそれぞれの側部品7a、7bにおいてガイドされるガイド横材39が、主部品4から離れる方向に向くそれぞれの側部品7a、7bの側方に取り付けられた、側部品7a、7bの骨分離器具ガイド部分8に設けられる。これらの骨分離器具ガイド部分8のそれぞれは、2つのガイド横材39を有する。さらに、長さ測定部が、可動の骨分離器具ガイド部分8を事前に所望の位置に配置するため、それぞれの骨分離器具ガイド部分8における2つのガイド横材39の1つに、示される/挿入される/設けられる。可動の骨分離器具ガイド部分8は、調節ねじ42で固定可能である。さらに、主部品4から離れる方向に向くそれぞれの側部品7a、7bの側方にそれぞれ配置される可動の骨分離器具ガイド部分8は、望むように交換可能であり、ゆえに入れ替えることができるように設計される。
【0079】
つまり、可変切込み(可変の骨分離器具ガイド部分8)の位置/配置は、側部セグメントの長さ(ガイド横材39の長さ)に従って決めることができる。好ましくは、45mm~65mm又は65mm~80mmの長さ測定表示がそれぞれのガイド横材39に設けられる。好ましくは、目盛り値/長さ測定表示は、骨分離器具ガイド部分8の全部で2つのガイド横材39のうち、さらなるねじ(調節ねじ42)と接触しない、ガイド横材39にのみ設けられる。さらに、可変切込み/骨分離器具ガイド部分8は、長さ測定のための目盛りが、調節ねじ42でスロットに固定されない側にのみ配置されるように、ラベル付け/表示される。
【0080】
さらに、ばね溝ガイド/シート部が好ましくは設けられ、主部品4から離れる方向に向くそれぞれの側部品7a、7bの側方にそれぞれ配置された可動の骨分離器具ガイド部分8に適合する形状部を形成する。可動の骨分離器具ガイド部分8に(好ましくは特別なミリング部分によって)形成されたばね溝ガイドの溝部50(
図52)と、それぞれの側部品7a、7bに設けられたばね溝ガイドのピン49/ペグの形態のばねとは、不正確な向きの挿入/入れ替えを防ぎ、骨分離器具ガイド部分8は、特に、形状適合で所望の位置においてそれぞれの側部品7a、7bに取り付けられる。
【0081】
図36に関して、第1実施形態において選ばれた方向符号LRを有する表示の代わりに、第2実施形態においては、主部品4及び側部品7a、7bに数字及び色の表示を設けるということがわかる。主部品4はここでは数字「1」で表示される。主部品4は、第1側部品7aに向く側において青色で表示され、第2側部品7bに向く側において緑色で表示される。第1側部品7aは、また、主部品4に向く側において青色で表示され、数字「2」で表示される。第1側部品7aは、主部品4から離れる方向に向く側において数字「3」で表示される。また、主部品4から離れる方向に向く側に配置される第1側部品7aの可動の骨分離器具ガイド部分8は、数字「3」及び青色で表示される。第2側部品7bは、また緑色で表示される。さらに、第2側部品7bは、主部品4に向く側において数字「2」で表示され、主部品4から離れる方向に向く側において数字「3」で表示される。また、主部品4から離れる方向に向く側に配置される第2側部品7bの可動の骨分離器具ガイド部分8は、数字「3」及び緑色で表示される。色の表示はそれぞれ着色した点としてなされる。数字は、好ましくはレーザビーム加工によって表面に刻印される。
【0082】
そして、
図37(切除位置)及び
図48(移植位置)は、それぞれの主部品4及び側部品7a、7bに挿入されたそれぞれの受入れポケット10a、10b、11a、11bを示す。また、受入れポケット10a、10b、11a、11bに隣接する支持横材13、14も特に容易に特定される。この状況において、それぞれの側部品7a、7bは、2を超える、すなわち3つの第1貫通孔16が設けられていることも明らかである。第1側部品7aの3つの第1貫通孔16はまた、仮想の(第2)接続線18に沿って連ねて設けられる。
図46に、受入れポケット10a、10b、11a、11bに骨プレートの形態におけるインプラント9を意図したように受け入れた場合を、特に良好に見ることができる。
【0083】
図38~
図40、
図42~
図44、
図49及び
図52に関して、個々の側部品7a、7b及び主部品4はまた互いに独立して使用可能であるということに留意する必要がある。このように、主部品4は、原則として、単独で、他の部品に隣接して(例えば第1側部品7a若しくは第2側部品7bに隣接して)、又は、2つの他の部品(例えば第1側部品7a及び第2側部品7b)に隣接して、好ましくはそれらの中央において使用可能な、任意の部品を意味する。また、側部品7a、7bのそれぞれは、本願請求項記載事項の意味において個別の部品/主部品として設計及び使用可能である。
【0084】
図51に、特別なミリング部分51がまた、骨分離器具ガイド部分8/バー27をガイドするためブラケットシート部19に設けられ、それらが不正確に挿入/入れ替えできなくなるよう形状が適合することを示す。
【0085】
図53~
図59は、本発明にかかる腓骨材料の切除及び移植テンプレートの第3実施形態を示す。この第3実施形態はまた、おおむね第1実施形態に従って構成されるので、簡潔にするため、これら2つの実施形態の違いのみを以下に記載する。
【0086】
この実施形態において見受けられるように、それぞれの側部品7a、7bの幾何学形状は、主部品4への挿入部において異なる。それゆえ、
図59単独で容易に見ることができるように、主部品4は、2つの異なるように設計された受入れフック46a、46bを有する。第1受入れフック46aは、第1側部品7aに向く主部品4の端部35に形成される。第2受入れフック46bは、第2側部品7bに向く端部35に形成される。双方の受入れフック46a及び46bは実質的に平面視でL字状である。第1受入れフック46aは、第2受入れフック46bと異なる延在部を有する。特に、L字状第1受入れフック46aの自由端部分は、他方の第2受入れフック46の自由端部分より長い。それぞれの側部品7a及び7bは、それぞれの受入れフック46a及び46bに対応するフック受入れ開口部47a、47bを有する。受入れポケット10a、10b、11a、11bは、この実施形態においても適用するが、明確にするため、ここでさらには示していない。
【0087】
さらに、長尺孔48(例えば
図59に示す)が、テンプレート1を下顎により容易に固定できるように、主部品4から突出する突出部に設けられる。
【符号の説明】
【0088】
1 テンプレート
2 第1支持領域
3 第1骨領域
4 主部品
5 第2支持領域
6 第2骨領域
7a 第1側部品
7b 第2側部品
8 骨分離器具ガイド部分
9 インプラント
10a 主部品の第1受入れポケット
10b 主部品の第2受入れポケット
11a 第1側部品の受入れポケット
11b 第2側部品の受入れポケット
12 挿入開口部
13 主部品の支持横材
14 側部品の支持横材
15 固定手段
16 第1貫通孔
17 第1接続線
18 第2接続線
19 ブラケットシート部
20 切除補助ブラケット
21a 第1シート空間
21b 第2シート空間
22 インプラント補助ブラケット
23 ストップ領域
24 第3骨領域
25 ガイドスリット
26 垂直面
27 バー
28 ガイド部分
29 受入れ孔
30 クランプ
31 ばね部分
32 第2貫通孔
33 下顎骨
34 腓骨
35 端部
36 基体
37 隆起部
38 シフト機構
39 ガイド横材
40 前側
41 格子部
42 調節ねじ
43 固定手段
44 プレート孔
45 固定ねじ
46a 第1受入れフック
46b 第2受入れフック
47a 第1フック受入れ開口部
47b 第2フック受入れ開口部
48 長尺孔
49 ピン
50 溝部
51 ミリング部分