(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-27
(45)【発行日】2023-04-04
(54)【発明の名称】経路設定装置、経路設定方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G01C 21/34 20060101AFI20230328BHJP
G08G 1/0969 20060101ALI20230328BHJP
B60W 30/10 20060101ALI20230328BHJP
【FI】
G01C21/34
G08G1/0969
B60W30/10
(21)【出願番号】P 2020555705
(86)(22)【出願日】2019-11-12
(86)【国際出願番号】 JP2019044274
(87)【国際公開番号】W WO2020100868
(87)【国際公開日】2020-05-22
【審査請求日】2021-05-13
(31)【優先権主張番号】P 2018213529
(32)【優先日】2018-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】321011767
【氏名又は名称】ジオテクノロジーズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】平野 宗亮
(72)【発明者】
【氏名】大石 淳也
【審査官】貞光 大樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-87763(JP,A)
【文献】特開2004-294142(JP,A)
【文献】特開2010-26875(JP,A)
【文献】特開2016-75905(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105575151(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/00 - 21/36
G08G 1/00 - 1/16
B60W 10/00 - 10/30
B60W 30/00 - 60/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体が曲がりながら道路の所定部分を通過するための経路を設定する経路設定装置であって、
前記移動体の属性情報、前記所定部分への進入位置及び前記所定部分からの退出位置を特定する進入退出情報、前記所定部分の属性、並びに前記所定部分内に位置している目標位置を示す目標位置情報を取得する取得部と、
前記進入退出情報及び前記目標位置情報を用いて前記経路を特定する際に用いられる特定ルールを、
前記属性情報を用い、前記所定部分の属性に
紐づけて設定する特定ルール設定部と、
前記特定ルール、前記進入退出情報、及び前記目標位置情報を用いて前記経路を設定する経路設定部と、
を備える経路設定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の経路設定装置において、
前記所定部分は交差点である経路設定装置。
【請求項3】
請求項2に記載の経路設定装置において、
前記交差点への進入側の道路、及び退出側の道路の少なくとも一方は複数の車線を有しており、
前記進入退出情報は、前記複数の車線の一つを特定する情報を、前記進入位置又は前記退出位置を示す情報として含む経路設定装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の経路設定装置において、
前記経路設定装置は地図情報を利用可能であり、
前記地図情報は、前記交差点につながる車線の前記交差点側の端の位置を示す端情報を有しており、
前記交差点への進入位置及び前記交差点からの退出位置は、前記交差点の端の位置であり、
前記取得部は、前記端情報を前記進入退出情報の少なくとも一部として取得し、
前記特定ルールは前記経路を算出するための演算式を含む経路設定装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の経路設定装置において、
前記移動体は車両であり、
前記属性情報は、前記車両の全長、車幅、最小回転半径、ホイールベース、フロントオーバーハング、リアオーバーハング、及び車種区分の少なくとも一つを含んでいる経路設定装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の経路設定装置において、
前記目標位置情報は前記属性情報に紐付いており、
前記取得部は、当該取得部が取得した前記属性情報に対応する前記目標位置情報を取得する経路設定装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の経路設定装置において、
前記取得部は、地図情報を記憶している地図情報記憶部から前記目標位置情報を取得する経路設定装置。
【請求項8】
請求項1~6のいずれか一項に記載の経路設定装置において、
前記目標位置情報は、前記移動体に取り付けられたセンサが生成したデータを用いて生成されている経路設定装置。
【請求項9】
移動体が曲がりながら道路の所定部分を通過する際の経路を設定する経路設定方法であって、
コンピュータが、
前記移動体の属性情報、前記所定部分への進入位置及び前記所定部分からの退出位置を特定する進入退出情報、前記所定部分の属性、並びに前記所定部分内に位置している目標位置を示す目標位置情報を取得し、
前記進入退出情報及び前記目標位置情報を用いて前記経路を特定する際に用いられる特定ルールを、
前記属性情報を用い、前記所定部分の属性に
紐づけて設定し、
前記特定ルール、前記進入退出情報、及び前記目標位置情報を用いて前記経路を設定する、経路設定方法。
【請求項10】
コンピュータを、請求項1~8のいずれか一項に記載の経路設定装置として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経路設定装置、経路設定方法、プログラム、及び地図データに関する。
【背景技術】
【0002】
近年は車両等の移動体を自律的に目的地まで移動させるための技術開発が進められている。移動体を自律的に目的地まで移動させるためには、移動体が移動すべき経路を設定する必要がある。この経路を設定する技術は、例えばカーナビゲーション装置の関する技術がある。
【0003】
一方、一般的なカーナビゲーション装置は、交差点内での経路までは設定できない。これに対して特許文献1に記載の技術は、交差点への進入レーン、交差点からの退出レーン、及び交差点の中心を用いて走行軌跡を算出することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
移動体が曲がりながら進む場合、移動体が移動しやすい経路は、その移動体の属性によって変わるはずである。本発明が解決しようとする課題としては、移動体が曲がりながら進む際に、移動体の属性によってその経路が変わるようにすることが一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の経路設定装置は、移動体が曲がりながら道路の所定部分を通過するための経路を設定する経路設定装置であって、
前記移動体の属性情報、前記所定部分への進入位置及び前記所定部分からの退出位置を特定する進入退出情報、前記所定部分の属性、並びに前記所定部分内に位置している目標
位置を示す目標位置情報を取得する取得部と、
前記進入退出情報及び前記目標位置情報を用いて前記経路を特定する際に用いられる特定ルールを、前記属性情報を用い、前記所定部分の属性に紐づけて設定する特定ルール設定部と、
前記特定ルール、前記進入退出情報、及び前記目標位置情報を用いて前記経路を設定する経路設定部と、
を備える経路設定装置である。
【0007】
本願の経路設定方法は、移動体が曲がりながら道路の所定部分を通過する際の経路を設定する経路設定方法であって、
コンピュータが、
前記移動体の属性情報、前記所定部分への進入位置及び前記所定部分からの退出位置を特定する進入退出情報、前記所定部分の属性、並びに前記所定部分内に位置している目標位置を示す目標位置情報を取得し、
前記進入退出情報及び前記目標位置情報を用いて前記経路を特定する際に用いられる特定ルールを、前記属性情報を用い、前記所定部分の属性に紐づけて設定し、
前記特定ルール、前記進入退出情報、及び前記目標位置情報を用いて前記経路を設定する、経路設定方法である。
【0008】
本願のプログラムは、コンピュータを、上述したいずれかの経路設定装置として機能させるためのプログラムである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
上述した目的、およびその他の目的、特徴および利点は、以下に述べる好適な実施の形態、およびそれに付随する以下の図面によってさらに明らかになる。
【0012】
【
図1】第1の実施形態に係る経路設定装置の使用環境を示す図である。
【
図3】経路設定装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図4】経路設定装置が行う経路設定処理の一例を示すフローチャートである。
【
図5】交差点に対して設定される経路Rの第1例を示す図である。
【
図7】交差点に対して設定される経路の第2例を示す図である。
【
図9】第2の実施形態に係る経路設定装置の使用環境を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0014】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る経路設定装置10の使用環境を示す図である。経路設定装置10は、移動体が曲がりながら道路の所定部分を通過するための経路を設定する装置であり、地図データ記憶部30とともに使用される。経路設定装置10は、上記した経路を設定する際に、地図データ記憶部30が記憶している地図データを用いる。地図データ記憶部30が記憶している地図データには、経路設定装置10が上記した経路を設定する際に用いる様々な情報が含まれている。
【0015】
移動体は、例えば道路を走行する車両であるが、これに限定されない。本図に示す例において、経路設定装置10は、移動体制御装置20とともに使用される。移動体制御装置20は移動体の移動を制御する装置であり、経路設定装置10が設定した経路に沿って移動体を移動させる。移動体制御装置20は、例えば自動運転が行われる車両の自動運転制御装置であり、例えば制御対象の移動体に搭載されている。この場合、経路設定装置10は、制御対象の移動体の外に位置していてもよいし、移動体制御装置20の一部としてその移動体に搭載されていてもよい。また、経路設定装置10及び移動体制御装置20の双方がこの移動体の外部に位置していてもよい。
【0016】
また、地図データ記憶部30も制御対象の移動体に搭載されていてもよいし、この移動体の外部に位置していてもよい。また、地図データ記憶部30は経路設定装置10の一部であってもよい。移動体制御装置20及び地図データ記憶部30は、経路設定装置10と異なる場所に設置されている場合、例えばインターネット等の公衆通信網を介して経路設定装置10と通信する。この公衆通信網の少なくとも一部は無線通信である。
【0017】
道路の上記した所定部分は、例えば交差点であるが、所定角度(例えば45°)以上曲がっている部分であってもよいし、クランクであってもよい。交差点は、三叉路であってもよいし、四叉路であってもよいし、五叉路以上であってもよい。以下、所定部分は交差点であると仮定して、説明を行う。ただし、所定部分が交差点以外であっても、各種データ(地図データを含む)の構成及び経路設定装置10の動作は、以下に記載する例と同じである。
【0018】
図2は、経路設定装置10の機能構成を示す図である。経路設定装置10は、取得部110、特定ルール設定部120、及び経路設定部130を有している。
【0019】
取得部110は、移動体の属性情報、進入退出情報、及び目標位置情報を取得する。進入退出情報は、交差点への進入位置及び交差点からの退出位置を特定する情報である。進入退出情報が示す進入位置及び退出位置は、点であってもよいし、ある程度の面積や幅を持った情報(例えば線)であってもよい。移動体の属性情報は、移動体に関する情報である。移動体が車両である場合、移動体の属性情報は、例えば車両の全長、車幅、最小回転半径、ホイールベース、フロントオーバーハング、リアオーバーハング、及び車種区分の少なくとも一つを含んでいる。目標位置情報は、交差点内に位置している目標位置を示す情報である。目標位置は、移動体の経路が少なくともその近くを経由すべき位置を示している。
【0020】
特定ルール設定部120は、経路を特定する際に用いられるルール(以下、特定ルールと記載)を、移動体の属性情報を用いて設定する。なお、特定ルールは、上記した進入退出情報及び目標位置情報とともに用いられる。経路設定部130は、特定ルール設定部120が設定した特定ルール、並びに取得部110が取得した進入退出情報及び目標位置情報を用いて、上記した経路を設定する。
【0021】
図3は、経路設定装置10のハードウェア構成の一例を示す図である。経路設定装置10の主な構成は、集積回路を用いて実現される。この集積回路は、バス182、プロセッサ184、メモリ186、ストレージデバイス188、入出力インタフェース190、及びネットワークインタフェース192を有する。バス182は、プロセッサ184、メモリ186、ストレージデバイス188、入出力インタフェース190、及びネットワークインタフェース192が、相互にデータを送受信するためのデータ伝送路である。ただし、プロセッサ184などを互いに接続する方法は、バス接続に限定されない。プロセッサ184は、マイクロプロセッサなどを用いて実現される演算処理装置である。メモリ186は、RAM(Random Access Memory)などを用いて実現されるメモリである。ストレージデバイス188は、ROM(Read Only Memory)やフラッシュメモリなどを用いて実現されるストレージデバイスである。
【0022】
入出力インタフェース190は、経路設定装置10を周辺デバイスと接続するためのインタフェースである。
【0023】
ネットワークインタフェース192は、経路設定装置10を通信網に接続するためのインタフェースである。ネットワークインタフェース192が通信網に接続する方法は、無線接続であってもよいし、有線接続であってもよい。
【0024】
ストレージデバイス188は、経路設定装置10の各機能要素を実現するためのプログラムモジュールを記憶している。プロセッサ184は、このプログラムモジュールをメモリ186に読み出して実行することで、経路設定装置10の各機能を実現する。また、ストレージデバイス188は、地図データ記憶部30としても機能する場合もある。
【0025】
なお、上記した集積回路のハードウェア構成は本図に示した構成に限定されない。例えば、プログラムモジュールはメモリ186に格納されてもよい。この場合、集積回路は、ストレージデバイス188を備えていなくてもよい。
【0026】
図4は、経路設定装置10が行う経路設定処理の一例を示すフローチャートである。まず経路設定装置10の取得部110は、移動体の属性情報、進入退出情報、及び目標位置情報を取得する(
図4のステップS10)。以下、各情報の取得方法の具体例を説明する。
【0027】
移動体の属性情報は、例えば経路設定装置10の記憶部に記憶されている。この場合、取得部110は、この記憶部から移動体の属性情報を読み出す。
【0028】
また、移動体の属性情報は、外部の記憶装置に記憶されていてもよい。この場合、取得部110は、この記憶装置から移動体の属性情報を取得する。なお、外部の記憶装置は、移動体を識別する移動体識別情報(例えばナンバープレートに記載されているナンバー、車台番号など)に紐づけてその移動体の属性情報を記憶していることがある。この場合、取得部110は、移動体識別情報を取得し、この移動体識別情報を外部の記憶装置に送信する。記憶装置は、受信した移動体識別情報に対応する属性情報を、取得部110に送信する。なお、移動体識別情報は、経路設定装置10に予め記憶されていてもよいし、移動体制御装置20から取得されてもよい。
【0029】
取得部110は、進入退出情報を、例えば移動体の移動ルート及び地図データを用いて取得する。
【0030】
詳細には、移動体の移動体制御装置20には、出発地点(又は現在位置)と、目標地点とを結ぶ移動ルートが、例えばカーナビゲーション用のプログラムを用いて設定されている。この移動ルートを示すルート情報には、経路設定装置10が経路を設定すべき交差点が含まれている。このため、経路設定装置10は、ルート情報を用いることで、対象となっている交差点を特定でき、また、その交差点に進入する際に通行する道路(以下、進入路と記載)、及び交差点から退出する際に通行する道路(以下、退出路と記載)を特定できる。
【0031】
また、上記したように、経路設定装置10は地図データ記憶部30が記憶している地図データを使用することができる。この地図データは、道路を示す情報(以下、道路情報と記載)として、道路の車線を示す情報(例えば右折レーンの有無、左折レーンの有無など)を含んでいる。このため、移動体制御装置20は、ルート情報及び地図データを用いることにより、進入路及び退出路のそれぞれにおいて、移動体が通過すべき車線を特定することができる。
【0032】
なお、地図データにおいて、道路情報は、交差点においてその道路の端を示す情報(以下、端情報と記載)を含んでいる。取得部110は、進入路における端情報を、進入位置を示す情報の少なくとも一部として取得し、また、退出路における端情報を、退出位置を示す情報の少なくとも一部として取得する。
【0033】
道路情報がノードおよびリンクを用いて定義されている場合を考える。この場合、端情報は、リンクの端である。そして、取得部110は、進入路において移動体が通過すべき車線を特定したうえで、その車線のうちリンクの端部に相当する位置を、交差点への進入位置と認識する。また、取得部110は、退出路において移動体が通過すべき車線を特定したうえで、その車線のうちリンクの端部に相当する位置を、交差点からの退出位置と認識する。
【0034】
また、進入退出情報は、移動体の搭乗者又はその代理人によって入力されてもよい。この場合、搭乗者又はその代理人は、例えばディスプレー上に表示された交差点の中から、進入位置及び退出位置のそれぞれを選択することにより、進入退出情報を入力する。なお、入力のための装置は、入力する人が操作する端末であってもよいし、経路設定装置10の一部であってもよい。
【0035】
目標位置情報は、例えば地図データ記憶部30に記憶されている。上記したように、目標位置情報は、移動体の経路が少なくともその近くを経由すべき位置を示している。地図データ記憶部30は、好ましくは、各交差点に紐づけて目的位置情報を記憶している。この場合、取得部110は、対象となっている交差点に紐付いた目的位置情報を取得する。
【0036】
また目的位置情報は、交差点を特定する情報(又は交差点の種類を特定する情報)及び移動体の属性情報の組み合わせに応じて変更される状態になってもよい。例えば目的位置情報は、交差点(又は交差点の種類)別かつ移動体の属性情報別に記憶されている。ここで、交差点の種類は、交差点で交わっている道路の数、各道路における車線の数、道路が交差点で交差する角度等を用いて定義される。この場合、地図データ記憶部30は、例えば交差点毎に、小型車用の目的位置情報と、大型車用の目的位置情報と、トレーラー用の目的位置情報を記憶している。この場合、取得部110は、対象となっている交差点に紐付いた目的位置情報のうち、移動体の属性情報に対応する目的位置情報を選択して取得する。
【0037】
なお、上記した2つの例において、目的位置情報は、交差点の種類を特定する情報に応じて変更される状態になってもよい。例えば目的地情報は、交差点の種類別に記憶されていてもよい。この場合、取得部110は、地図データ記憶部30が記憶している道路情報を用いて、対象となっている交差点の種類を特定し、特定した種類に対応する目的位置情報を取得する。
【0038】
上記した3つの例において、目標位置情報は、さらに、移動体の進入車線と退出車線の組み合わせに紐づけて記憶されていてもよい。この場合、取得部110は、地図データ記憶部30が記憶している道路情報、及び移動データを用いて、対象となっている交差点における進入車線及び退出車線を特定し、特定した車線の組み合わせに対応する目的位置情報を取得する。
【0039】
なお、目的位置情報は、移動体の属性情報のみに紐づけて記憶されていてもよい。取得部110は、移動体の属性情報に対応する目的位置情報を選択して取得する。
【0040】
次いで、特定ルール設定部120は、移動体の属性情報を用いて、経路を設定する際に用いられる特定ルールを設定する(ステップS20)。この特定ルールは、例えば演算式を記述したプログラムであり、例えば経路設定装置10の記憶部又は地図データ記憶部30に予め記憶されている。プログラムへの入力には、進入退出情報及び目標位置情報が含まれている。
【0041】
上記した記憶部又は地図データ記憶部30は、複数の特定ルールを、その特定ルールが使用されるべき移動体の属性情報に紐づけて記憶していてもよい。例えば上記した記憶部又は地図データ記憶部30は、小型車用の特定ルールと、大型車用の特定ルールと、トレーラー用の特定ルールを記憶している。そして特定ルール設定部120は、ステップS10で取得した属性情報に対応する特定ルールを記憶部又は地図データ記憶部30から読み出す。
【0042】
また、上記した演算式が少なくとも一つのパラメータを含んでいる場合、特定ルール設定部120は、ステップS10で取得した属性情報を用いてこのパラメータの値を決定し、決定した値を上記したプログラムに入れることにより、特定ルールを設定してもよい。
【0043】
上記したいずれの例においても、上記した記憶部又は地図データ記憶部30は、各交差点に紐づけて上記した特定ルールを記憶していてもよい。この場合、交差点によって特定ルールが異なる。そして特定ルール設定部120は、上記した記憶部又は地図データ記憶部30から、処理対象となっている交差点に対応する特定ルールを読み出す。ただし、複数の交差点が一組となり、その組に対して一つの特定ルールが設定されていてもよい。
【0044】
なお、地図データ記憶部30は、地図データの一部として、上記した特定ルールを、移動体の属性情報に対応した状態、かつ、交差点に直接紐づいていない状態で記憶していてもよい。
【0045】
次いで、経路設定部130は、ステップS20で設定した特定ルールに進入退出情報及び目標位置情報を設定し、処理することにより、移動体が移動すべき経路を設定する(ステップS30)。
【0046】
図5は、交差点800に対して設定される経路Rの第1例を示す図である。本図に示す交差点800は十字路であり、各道路は2車線を有している。経路設定装置10は、移動体900が交差点を右折するための経路Rを設定する。
【0047】
具体的には、地図データ記憶部30が記憶している地図データは、移動体900の進入路のリンク840a、移動体900の退出路のリンク840b、及びこの交差点800の目標位置830を示す目標位置情報を含んでいる。取得部110は、この交差点800が指定されると、地図データ記憶部30からリンク840a,840b、及び目標位置情報を読み出す。取得部110は、進入路における移動体900の走行車線のうち、リンク840aの交差点800側の端842aに相当する部分を進入位置810と認識する。また取得部110は、退出路における移動体900の走行車線のうち、リンク840bの交差点800側の端842bに相当する部分を退出位置820と認識する。
【0048】
そして経路設定部130は、端842a,842bを結ぶように、移動体900の経路Rを設定する。その際、経路が目標位置830と重なるか、またはその近くを通るようにする。
【0049】
なお、目標位置830の位置によって、移動体900の経路Rは異なる。例えば
図6に示すように目標位置830が交差点800の外周側に移動するにつれて、経路Rも交差点800の外側に移動する。このため、経路設定装置10は、移動体900の属性によって目標位置830を変えることにより、その移動体900に適した経路Rを設定することができる。
【0050】
図7及び
図8は、交差点800に対して設定される経路の第2例を示す図である。本図に示す例において、交差点800への進入路及び退出路の少なくとも一方(図に示す例では双方)は、複数の車線を有している。地図データ記憶部30が記憶している地図データはこれらの情報を含んでいる。そして、経路設定装置10の取得部110は、移動体900の移動ルートを示すルート情報を用いることにより、移動体900が交差点800に進入する際に通る車線、及び、移動体900が交差点800から退出する際に通る車線のそれぞれを特定し、これらを進入退出情報の一部とする。すなわち、本図に示す例において、進入退出情報は、複数の車線の一つを特定する情報を含んでいる。
【0051】
そして、取得部110は、特定した車線のうちリンク840の端部と重なる位置を、8900への進入位置又は退出位置にする。そして、
図7及び
図8に示すように、移動体900が交差点800に進入する車線(又は移動体900が交差点800から退出する車線)が異なると、移動体900が通るべき経路Rも異なる。
【0052】
以上、本実施形態によれば、経路設定装置10は、移動体900の属性に応じて、移動体900が曲がりながら道路の所定部分を通過するための経路を設定することができる。従って、移動体900は安定した状態で道路の上記した所定部分を曲がることができる。
【0053】
(第2の実施形態)
図9は、第2の実施形態に係る経路設定装置10の使用環境を説明するための図である。本図に示す例において、移動体900はセンサ40及び解析装置50を有している。センサ40は例えばLiDAR(Light Detection and Ranging)又は撮像装置である。解析装置50は、センサ40が生成したデータを解析することにより、移動体900の周囲の状態を示す情報(以下、周囲情報と記載)を生成する。周囲情報は、道路の停止線の位置、及び、交差点の中に描かれている走行路を示す線やマークの位置を、その線やマークの種類を特定する情報に紐づけた状態で含んでいる。そして経路設定装置10の取得部110は、上記した周囲情報を用いて目標位置情報及び進入退出情報の少なくとも一方を生成する。
【0054】
例えば経路設定装置10は、交差点の中に描かれているべき所定の線またはマークを、目標位置に設定する。そして経路設定装置10の取得部110は、周囲情報の中から、上記した所定の線またはマークの位置を認識し、認識した位置を目標位置に設定する。
【0055】
また、取得部110は、周囲情報の中から、進入路の停止線の位置を認識し、この位置を進入位置として設定する。また取得部110は、退出路を定義する車線の開始位置を退出位置として設定する。
【0056】
本実施形態によっても、第1の実施形態と同様に、移動体900は安定した状態で道路の上記した所定部分を曲がることができる。また、地図データ記憶部30が目標位置情報を記憶していなくても、センサ40が生成したデータを用いて目標位置情報を生成できる。
【0057】
以上、図面を参照して実施形態及び実施例について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0058】
この出願は、2018年11月14日に出願された日本出願特願2018-213529号を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【符号の説明】
【0059】
10 経路設定装置
20 移動体制御装置
30 地図データ記憶部
40 センサ
50 解析装置
110 取得部
120 特定ルール設定部
130 経路設定部
800 交差点
810 進入位置
820 退出位置
830 目標位置
840,840a,840b リンク
842a,842b 端
900 移動体
R 経路