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特許7252262原動機付き車両用のシャシコントロールアーム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-27
(45)【発行日】2023-04-04
(54)【発明の名称】原動機付き車両用のシャシコントロールアーム
(51)【国際特許分類】
   B60G 7/00 20060101AFI20230328BHJP
   F16B 7/20 20060101ALI20230328BHJP
   F16B 11/00 20060101ALI20230328BHJP
【FI】
B60G7/00
F16B7/20 C
F16B11/00 C
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020565793
(86)(22)【出願日】2019-04-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-24
(86)【国際出願番号】 EP2019060844
(87)【国際公開番号】W WO2019223957
(87)【国際公開日】2019-11-28
【審査請求日】2021-12-23
(31)【優先権主張番号】102018208282.0
(32)【優先日】2018-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】500045121
【氏名又は名称】ツェットエフ、フリードリッヒスハーフェン、アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】ZF FRIEDRICHSHAFEN AG
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100208258
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 友子
(72)【発明者】
【氏名】シュティークリッツ・アンドレ
(72)【発明者】
【氏名】シュヴァルツ・トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ミュラー・インゴルフ
【審査官】村山 禎恒
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-101286(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102016211212(DE,A1)
【文献】欧州特許出願公開第02722533(EP,A1)
【文献】国際公開第2018/197136(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60G 1/00 - 99/00
F16B 7/00 - 7/22
F16B 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原動機付き車両用の部材(1)であって、当該部材(1)は、繊維強化合成樹脂から成る中空成形物部分(2)と、金属材料から成る負荷導入要素(3)とを備えており、中空成形物部分(2)及び負荷導入要素(3)は、共通の結合部分(4)において、取外し不能かつ接着された差込み結合部分(5)を介して互いに結合されており、差込み結合部分では、負荷導入要素(3)の端部(6)及び中空成形物部分(2)の端部(7)が、交互に、かつ、少なくとも本質的に形状結合式に互いの中へ係合している、前記部材において、
当該部材が、原動機付き車両用のシャシコントロールアーム(1)として形成されていること、及び負荷導入要素(3)の端部(6)が、少なくとも、本質的に共通の結合部分(4)の長手方向(9)において延在する歯(10)を有する差込み歯部(8)を備えており、これにより、共通の結合部分(4)の長手方向(9)における負荷導入要素(3)の端部(6)の剛性が低減されており、中空成形物部分(2)が、周囲において閉鎖されたチャンバとして形成された少なくとも1つの中空空間を備えており、差込み歯部(8)が少なくとも5つの歯を備えており、これら歯のうち少なくとも1つが中空成形物部分(2)の少なくとも1つの中空空間に係合することを特徴とする部材。
【請求項2】
差込み歯部(8)の歯(10)が中空成形物部分(2)の端部7の外周面及び内周面に部分的に接着されていることを特徴とする請求項1に記載の部材(1)。
【請求項3】
負荷導入要素(3)の端部(6)が、結合部分(4)の長手方向(9)に対して垂直に延在しつつ少なくとも部分的に交差する貫通溝(15)によって格子状に貫通されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の部材(1)。
【請求項4】
貫通溝(15)が、結合部分(4)の長手方向(9)において、直線状の延長部とは異なる延長部を少なくとも部分的に備えていることを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の部材(1)。
【請求項5】
結合部分(4)の長手方向(9)に対して垂直に延在する貫通溝(15)が、第1の方向(16)においては一定の幅を有し、第1の方向(16)に対して垂直に延在する第2の方向(17)においては一定でない幅を有していることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の部材(1)。
【請求項6】
歯(10)の、中空成形物部分(2)へ向いた自由端(19)が、結合部分(4)の長手方向(9)に対して垂直に最小の断面積を有していることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の部材(1)。
【請求項7】
歯(10)の、中空成形物部分(2)へ向いた自由端(19)が、結合部分(4)の長手方向(9)における負荷導入要素(3)の端部(6)の剛性の更なる低減のために、少なくとも部分的に端面側で凹状に成形されつつ中空成形物部分(2)へ向けて開放した凹部(23)を備えていることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の部材(1)。
【請求項8】
差込み歯部(8)の歯が、当該歯(10)が負荷導入要素(3)の中実材料へ移行する歯元部(18)において、結合部分(4)の長手方向(9)における負荷導入要素(3)の端部(6)の更なる剛性の低減のために、少なくとも部分的に先細に形成されていることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の部材(1)。
【請求項9】
差込み歯部(8)の少なくとも1つの歯(10)が、その長手延長部にわたって中空成形物部分(2)へ向けて連続的に先細に形成されていることを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の部材(1)。
【請求項10】
負荷導入要素(3)が、複数の中空成形物部分(2)の複数の端部(7)を収容するための、差込み歯部が形成された複数の端部(6)を備えていることを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載の部材(1)。
【請求項11】
差込み歯部(8)の全ての歯(10)がそれぞれ2つの加工されていない長手側を有しており、当該長手側は、少なくとも本質的に結合部分(4)の長手方向(9)に延在していることを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の部材(1)。
【請求項12】
負荷導入要素(3)が、成形物長手方向(13)に延在する加工されていない外周面及び/又は内周面を有する成形物部分として形成されていることを特徴とする請求項1~11のいずれか1項に記載の部材(1)。
【請求項13】
第1の負荷導入要素(3)が第1の成形物長手方向(13)を備えており、第2の負荷導入要素(3’)が、第1の成形物長手方向(13)とは異なる第2の成形物長手方向(13’)を備えていることを特徴とする請求項12に記載の部材(1)。
【請求項14】
少なくとも本質的に結合部分(4)の長手方向(9)に延在する歯(10)を備えた負荷導入要素(3)の差込み歯部(8)が貫通溝(15)を備えており、当該貫通溝は、負荷導入要素(3)の成形物長手方向(13)に対して90°ではない角度(α)で延在していることを特徴とする請求項12に記載の部材(1)。
【請求項15】
中空成形物部分(2)が複数チャンバ成形物部分として形成されていることを特徴とする請求項1~14のいずれか1項に記載の部材(1)。
【請求項16】
中空成形物部分(2)が、曲げ剛性及び/又はねじり剛性及び/又は座屈剛性の向上のために、断面において見て外方へ向けて突出した少なくとも1つのリブ(22)を備えていることを特徴とする請求項1~15のいずれか1項に記載の部材(1)。
【請求項17】
中空成形物部分(2)が、断面において見てその外周面及び/又は内周面から突出した狭い厚み部(28)を備えており、当該厚み部によって、負荷導入要素(2)の端部(6)及び中空成形物部分(2)の端部(7)が規定されて最小間隔に保持されていることを特徴とする請求項1~16のいずれか1項に記載の部材(1)。
【請求項18】
結合部分(4)内において、2つの歯(10)の間の少なくとも1つの中空空間が接着剤(11)によってのみ充填されていることを特徴とする請求項1~17のいずれか1項に記載の部材(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部分による、繊維強化合成樹脂から成る中空成形物部分と、金属材料から成る負荷導入要素とを備えた原動機付き車両用の部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
繊維強化合成樹脂から成る中空成形物部分と、金属材料から成る負荷導入要素とを備えた原動機付き車両用の部材は、従来技術から知られている。特許文献1には、パイプ状の中空成形物として形成された、繊維強化合成樹脂から成る支柱状の部材が開示されている。支柱状の部材は、取外し不能な差込み結合部を介して、中間部材と呼ばれる、金属材料から成る負荷導入要素へ結合されており、取外し不能な差込み結合部は、接着結合部として形成されている。接着結合部を製造するために、まず、支柱状の部材の端部が接着層でコーティングされる。つづいて、このようにコーティングされた端部が負荷導入要素のスリーブ状の収容空間へ差し込まれ、これにより、接着層がスリーブ状の収容空間の壁部へ接触し、その機能が発揮される。ここで、支柱状の部材の端部は、外周においてスリーブ状の収容空間の内壁と接着されている。当該配置では、繊維強化合成樹脂から成る支柱状の部材への負荷導入がパイプ状の中空成形物の端部の外周を介してのみ行われる。したがって、負荷は中空成形物へ均等に導入されず、これにより、両接合パートナーが互いに接着されている結合範囲では、中空成形物の端部の外周に近い範囲が中空成形物の端部の内周面に近い範囲よりも大きく負荷を受ける。ここで、臨界的な負荷の場合には、中空成形物の端部の外側の外周に近い位置が中空成形物の端部の残りの部分から取り外されることで機能不全が生じる。実際には、これは、中空成形物の端部の縁部層がはがれることを意味している。中空成形物、特に中空成形粒の端部へ曲げ負荷が生じる場合には、中空成形物はわずかにしか支持されないため、貼付された中空成形物の端部から自由な中空成形物範囲への移行部において応力集中が局所的に生じてしまう。冒頭に挙げた種類の原動機付き車両用の部材が特許文献2及び特許文献3から知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】独国特許出願公開第102010053843号明細書
【文献】国際公開第2018/197136号
【文献】欧州特許出願公開第2722533号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、少なくとも部分的に繊維強化合成樹脂から成る軽量部材として形成されているとともに比較的大きな負荷を伝達可能な、原動機付き車両用の部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
当該課題は、本発明に従い、従属請求項1の特徴を有する部材によって解決される。
【0006】
好ましい実施形態及び発展形成は、従属請求項の対象である。本発明の別の特徴及び利点は、明細書及び図面に基づき明らかである。
【0007】
したがって、本発明は、原動機付き車両用の部材を企図したものである。部材は、繊維強化合成樹脂から成る中空成形物部分と、金属材料から成る負荷導入要素とを備えている。中空成形物部分及び負荷導入要素は、共通の結合部分において、取外し不能かつ接着された差込み結合部分を介して互いに結合されている。差込み結合部分では、負荷導入要素の1つの端部と中空成形物部分の1つの端部が、交互に、かつ、少なくとも本質的に係合式に互いの中へ係合している。本発明によれば、部材は原動機付き車両用のシャシコントロールアームとして形成されており、負荷導入要素の端部は、少なくとも、本質的に共通の結合部分の長手方向において延在する歯を有する差込み歯部を備えており、これにより、共通の結合部分の長手方向における負荷導入要素の端部の剛性が低減されている。
【0008】
特に、中空成形物部分及び負荷導入要素は、共通の結合部分において、接着剤によって互いに結合されている。中空成形物部分が繊維強化合成樹脂で構成され、材料に起因して、金属、例えばアルミニウムから成る負荷導入要素よりも明らかにわずかな剛性を有している場合には、このような接着剤における応力は、例えば共通の結合部分における引張負荷の際には、基本的に比較的大きい。本発明による差込み歯部では、結合部分の長手方向における、中空成形物部分と負荷導入要素の共通の結合部分における負荷導入要素の剛性は、幾何形状的な措置によって、つまり差込み歯部によって低減されている。差込み歯部の範囲では、負荷導入要素の端部は中実に形成されておらず、歯の間の中間空間の体積だけ削減されている。特に、結合部分の引張負荷時に共通の結合部分の長手方向における負荷導入要素の端部の剛性は低減されている。このような引張負荷は、中空成形物部分の端部を差込み歯部から結合部分の長手方向に引き出そうとするものである。共通の結合部分の長手方向における負荷導入要素の剛性低減は、引張負荷時に差込み歯部の歯が、負荷導入要素の端部の中実の構成の場合よりもむしろ結合部分の長手方向における弾性的な延びを受けることに根拠付けられている。
【0009】
特に、圧縮負荷時にも、共通の結合部分の長手方向における負荷導入要素の端部の低減された剛性が存在する。特に、中空成形物部分が結合部分の長手方向において差込み歯部への当接まで差し込まれておらず、負荷導入要素に向いた、中空成形物部分の端面側と差込み歯部の基底部の間に隙間が残っている場合には、圧縮負荷におけるこの低減された剛性が得られる。特に、この隙間は接着剤で充填されている。特に、歯は、歯の最大の幅の少なくとも二倍の長さを有しており、これにより、引張負荷時にも、また圧縮負荷時にも、共通の結合部分の長手方向における差込み歯部の比較的大きな弾性的な延び特性が得られる。比較的薄く成形された歯により、特にシャシコントロールアームの引張負荷時に、接着剤層において生じる応力の低減を達成することができる。上述の隙間があれば、同様のことが圧縮負荷の場合にも当てはまる。特に、歯は、負荷導入要素と一体的に形成されている。特に、結合部分の長手延長部は、その長手方向において、差し込み深さに対応し、中空成形物部分は、当該差し込み深さで負荷導入要素の差込み歯部へ差し込まれている。このとき、上述のように、中空成形物部分は、結合部分の長手方向において差込み歯部への当接まで差し込まれることができるか、又は上述の隙間によって当該最大位置から間隔を有することが可能である。差込み歯部は、引張負荷及び/又は圧縮負荷において特に有利であるが、ねじり負荷及び/又は曲げ負荷においても有意義である。
【0010】
シャシコントロールアーム(シャシリンク)は、本発明の範囲では、棒状又は他の、1つ又は複数の空間方向に延びる、力及び/又はモーメントを伝達する適当な部材と理解される。シャシコントロールアームは、例えば二点式、三点式、四点式又は五点式のコントロールアームであってよく、二点式コントロールアームは、例えばアクスルストラット又はトルク支持部として形成されることが可能である。第一に、1つ又は複数の負荷導入要素を介して中空成形物部分へ導入される引張力及び/又は圧縮力は、シャシコントロールアームへ作用する。さらに、曲げモーメント及び/又はねじりモーメントは、シャシコントロールアームに作用し得る。このことは、例えば、シャシコントロールアームが、走行時には、加速過程及び制動過程に起因した引張負荷及び圧縮負荷のほかに、車両構造のロール運動による曲げ負荷及びねじり負荷も受けるアクスルストラットである場合であり得る。シャシコントロールアームは、特に構築されたシャシコントロールアーム、すなわち別々に製造された複数の個別部材から組み立てられたシャシコントロールアームである。この構造は、一部材から成るシャシコントロールアームに比して、例えば中空成形物部分を長さを一定にすることなく製造することが可能であり、これにより、シャシコントロールアームの異なる変形態様をモジュール原理により実現可能であるという利点を有している。特に、中空成形物部分は、円環形状とは異なる断面形状を備えている。なぜなら、円環断面を有する中空成形物部分は、周方向へのねじり負荷時には接着剤によってのみ保持され得るためである。これに対して、負荷導入要素の端部が形状に対応した支持範囲を備えていれば、円形形状とは異なる断面形状は、周方向において更に係合式にも支持されることが可能である。好ましくは、中空成形物部分は、円形でない断面形状を備えている。
【0011】
負荷導入要素とは、ここでは、作用技術的に中空成形物部分と結合されているとともに、力及び/又はモーメントのような動作負荷を中空成形物部分へ導入することが可能な要素と理解され得る。中空成形物部分とは、本発明との関連では、無端成形物の一部と理解され得る。中空成形物部分の壁厚は、その断面に比して明らかに小さく寸法設定されている。中空成形物部分が、少なくとも本質的に外面に接触する正方形によって書き換えられ得る断面幾何形状を有する場合には、中空成形物部分の壁厚は、中空成形物部分の外寸の好ましくは10~20パーセント、特に好ましくは10~15パーセントである。断面において見て、中空成形物部分は少なくとも1つの中空空間を備えており、当該中空空間は、周囲で閉鎖されたチャンバとして形成されている。特に、中空成形物部分は、その長手延長部にわたって一定の断面幾何形状を有している。ここで、中空成形物部分は、その長手延長部にわたって直線状に、又は湾曲して形成されることが可能である。これに代えて、中空成形物部分は、その長手延長部にわたって一定の主な断面のほかに、更に機能統合要素を備えており、当該機能統合要素は、同様に中空成形物部分の全長にわたって、又は一部の長さにわたって延在している。特に、後者の場合には、機能統合要素を含む、中空成形物部分の断面範囲は、まず、その全長にわたって形成されており、つづいて、必要に応じて例えば切断によって分離される。機能統合要素は、例えば、液体搬送のためのパイプ又はホースを結合するために、又はケーブルホルダとして、例えば損傷検出のための電子部品の支持部として、若しくは螺着面として用いられることができる。
【0012】
特に、負荷導入要素は、結合部分の長手方向に対して垂直に向けられた開口部を備えている。当該開口部は、例えばボールジョイントのボールスタッドのジョイントボールを収容するために、鍋状に1つの開口部で形成されることができる。これに代えて、開口部は、貫通開口部として形成されることができ、例えば、かぎ爪ジョイントとも呼ばれる分子ジョイントを収容する円筒状の貫通開口部で形成されることが可能である。特に、貫通開口部は、組み込まれた状態で、加工されていない内周面を備えている。これに代えて、負荷導入要素は、自然状態において加工されていない内周面を備えているものの組み付けられた状態では加工された、切削によって製造された内周面を備えた貫通開口部を有することが可能である。貫通開口部には鋼ブッシュをはめ込むことが可能である。中空成形物部分がまっすぐに形成されていれば、結合部分の長手方向は、中空成形物部分の長手方向に対応している。中空成形物部分が湾曲して形成されていれば、結合部分の長手方向は、中空成形物部分の端部に接する接線の長手方向に対応している。中空成形物部分が湾曲して形成されているとしても、中空成形物部分の端部の長手方向、負荷導入要素の端部の長手方向及び結合部分の長手方向は、負荷導入要素と中空成形物部分の間の少なくとも比較的均等な力伝達及び/又はモーメント伝達を保証するために、少なくとも本質的に同一である。
【0013】
特に、結合部分の長さは、本質的に中空成形物の断面の外寸に対応している。これにより、結合部分の比較的長い長さが得られる。このことは、接着剤が温度の影響下でやや軟化しこれによってより弾性的となる場合、特により高い温度におけるシャシコントロールアームの負荷時に効果を現す。この場合、シャシコントロールアームが引張負荷を受ければ、接着結合部は、歯元部の範囲でも負荷を受ける。したがって、結合部分の比較的長い長さは、いわば比較的高い周囲温度での許容負荷予備である。結合部分の明らかにより長い長さにより、負荷導入要素及び中空成形物部分の結合の耐荷重はもはや大きく増大しない。結合部分の明らかにより短い長さは、耐荷重の低減につながる。負荷導入要素の端部及び中空成形物部分の端部が「少なくとも本質的に」係合式に互いの中へ係合しているという言い回しにより、両端部が、少なくとも全面的には直接的に互いに接触せず、互いに対してわずかな間隔を有し、当該わずかな間隔は特に全面的に分配された接着剤で充填されているという表現がもたらされるべきである。
【0014】
特に、繊維強化された中空成形物は、引抜き成形された、すなわち引抜き成形方法において製造された中空成形物である。引抜き成形方法は、連続した経過における繊維強化された合成樹脂成形物を安価に製造するための方法である。特に、中空成形物は強化繊維を有しており、当該強化繊維は、成形物全断面にわたって分配されているとともに、成形物長手方向に延在しており、これにより、当該方向における互い剛性及び堅固性が生じる。有利には、曲げ及び/又は座屈に対して中空成形物部分を設計するために、延伸された繊維の比較的多くの割合が、成形物断面の縁部範囲及び成形物長手方向に延びるように配置されている。特に、全ての繊維が中空成形物部分の長手方向に向けられている。好ましい一実施形態では、同時に成形物長手方向の高い剛性と、高い曲げ剛性と、中空成形物部分における繊維の良好な力伝達とを得るために、中空成形物部分は、約65パーセントの繊維体積含有率を有している。一般的に、50~75パーセントの繊維体積含有率が可能である。中空成形物部分では、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維又は天然繊維が用いられ、これら繊維は、それぞれ合成樹脂マトリクスへ埋入されている。有利には、マトリクス系はビニルエステル樹脂で構成されている。なぜなら、当該ビニルエステル樹脂は、非常に良好な化学的特性及び機械的特性で引抜き成形において良好に加工され得るためである。加えて、ビニルエステル樹脂は、いくつかの重要な接着剤との組合せにおいて良好な接着性を有している。これに代えて、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂又はポリウレタン樹脂をマトリクス材料として用いることが可能である。接着された差込み結合部分は、特にエポキシド接着剤を備えている。これに代えて、例えばメタクリル酸メチル接着剤のような他の接着剤も用いられることが可能である。特に大きなねじり負荷に対して設計された中空成形物部分は、引抜き成形方法において、繊維又は織物を入れ込み、織り込み、又は包み込むことで得ることができ、繊維又は織物は、±45°未満で中空成形物部分の長手方向へ向けられているとともに、中空成形物部分の壁部に統合されている。さらに、中空成形物部分を製造するためにプルワインド成形方法も用いることができ、当該プルワインド成形方法は、引抜きプロセスと、更に巻付けプロセスとを組み合わせるものである。
【0015】
特に、負荷導入要素の端部及び中空成形物部分の端部は、負荷導入要素あるいは中空成形物部分の自由端を形成する。負荷導入要素は、シャシコントロールアームのリンク式の支持部の一部であってよいか、又はこれに代えて2つ若しくはそれより多くの中空成形物部分を結合するために用いられ得るか、又はシャシコントロールアームのリンク式の支持部の一部であるとともに2つ若しくはそれより多くの中空成形物部分を結合するために用いられ得る。特に、中空成形物部分は、結合部分の範囲において少なくとも部分的に視認可能であり、したがって、部分的に結合部分の外周面を形成している。特に、中空成形物部分が結合部分の外周面を形成する範囲は、負荷導入要素の端部が結合部分の外周面を形成する範囲と一直線に配置されている。特に、接着剤は、少なくとも部分的に結合部分の外周面を形成している。
【0016】
有利には、差込み歯部の歯が中空成形物部分の端部の外周面及び内周面に部分的に接着されている。中空成形物部分が、同一に大きな断面積を有する中実の完全成形物部分に比べて、本質的により大きな表面積を有しているため、中空成形物部分の繊維複合物への力導入を拡大された結合面を介して行うことが可能である。負荷導入要素の端部と中空成形物部分の端部の間の接着面の拡大により、シャシコントロールアームの向上した許容負荷が得られる。さらに、中空成形物部分の端部の内周面の追加的な利用により、中空成形物部分への均等な負荷導入が達成される。中空成形物部分の表面が繊維強化合成樹脂からはがれることは、生じる機能不全特性であるため、中実の全断面に比べて拡大された、中空成形物部分の表面により、より大きな負荷を伝達することが可能である。中空成形物部分の縁部のはがれによる上述の機能不全の場合を、このようにして防止し、又は少なくとも本質的により大きな負荷範囲へ設定することが可能である。
【0017】
さらに、特に差込み歯部が比較的多くの歯を備えていれば、差込み歯部は、シャシコントロールアームの曲げ負荷時に、中空成形物部分の比較的多くの表面へ過剰に係合式の力伝達をもたらす。このことは、歯が中空成形物部分に向いたその自由端で結合部分の長手方向に対して垂直にある程度の可撓性を有していることにおいて根拠付けられている。このようにして、曲げ負荷時には、中空成形物部分の貼付された端部から自由な中空成形物の自由な範囲への移行部における、冒頭で説明した局所的な応力集中の明らかな低減が達成される。負荷導入要素の端部の提案される形態により、比較的わずかな壁厚を有する中空成形物部分の端部の形態及び中空成形物部分の少なくとも1つの中空空間に関連して、結合部分における均等な負荷導入及び負荷配分が可能となる。厚い壁の成形物の場合と異なり、結合部における負荷は、中空成形物部分の縁部層を介してその壁部の内部へ、又はその逆に中空成形物部分からその表面を介して負荷導入要素の歯へ分配される。中空成形物部分の曲げ負荷時には、結合部分の範囲における比較的多くの歯の結合面により、いわば係合式の力伝達及びこれによる応力集中の大幅な低減が可能となる。
【0018】
少なくとも1つの中空空間によって、中空成形物部分は閉鎖された断面を有しているため、比較的大きな断面二次モーメント及び比較的大きなねじり慣性モーメントが提供される。このために、差込み歯部は少なくとも5つの歯を備えており、これら歯のうち少なくとも1つは、中空成形物部分の少なくとも1つの中空空間へ係合する。特に、中空空間、特にチャンバの内表面は中空成形物部分の端部の内周面であり、当該内周面には差込み歯部の歯が接着されている。少なくとも4つの別の歯は、中空成形物部分の端部を包囲している。このとき、例えば中空成形物部分が最も単純な場合において長方形パイプ又は正方形パイプとして形成されていれば、4つの別の歯は、特に、断面幾何形状に関してそれぞれ約90°ずらされた中空成形物部分の4つの外側に接触する。この関係では、中空成形物部分の外周面は、ウォータバスへの中空チャンバ成形物の完全な埋入時に、周囲で閉鎖された少なくとも1つのチャンバの以前のシールの下で湿潤される全ての面であり得る。特に、差込み歯部は、中空成形物部分の端部を部分的にのみ、特に、中空成形物部分の端部が部分的に周囲で露出するように包囲する。
【0019】
好ましくは、負荷導入要素の端部は、結合部分の長手方向に対して垂直に延在しつつ少なくとも部分的に交差する貫通溝によって格子状に貫通されている。したがって、中空成形物部分の端部の仮想的な中実の全断面が貫通溝の材料分だけ低減される。貫通溝は負荷導入要素の端部を格子状に貫通しているため、差込み歯部の歯は残った材料である。これにより低減される、金属材料から成る負荷導入要素の端部の剛性は、上述の理由から、繊維強化合成樹脂から成る中空成形物部分の端部との接着に際して有利である。好ましくは、貫通溝は、本質的に90°の角度で交差する。特に、貫通溝は、二方向における格子状の構造を形成するために延在している。特に、それぞれ複数の貫通溝は、各方向において結合部分の長手方向に対して垂直に互いに対して平行に延在している。さらに、好ましくは、結合部分の長手方向に対して垂直に同一方向へ延在する貫通溝は、幾何形状的に同一に形成されている。
【0020】
特に、差込み歯部の歯は、その長手延長部にわたって、負荷導入要素の端部の長手方向において長方形状又は正方形状の全断面を備えており、端部の長手方向は、好ましくは結合部分の長手方向と同一であるか、又は本質的に同一である。特に、貫通溝は、負荷導入要素の端部の長手方向におけるまっすぐな経過を少なくとも部分的に備えている。これは、いくつかの貫通溝が直線状の経過を有し得るが、他のものはそうではないことを意味している。特に、結合部分の長手方向、負荷導入要素の端部の長手方向及び中空成形物部分の端部の長手方向は、正確に合同であるか、又は少なくとも本質的に合同である。特に、歯は、負荷導入要素の端部の長手方向に延在する、4つのうち少なくとも2つの長手側で貫通溝に隣接している。特に、歯は、負荷導入要素の端部の長手方向に延在する、2つ、3つ又は4つの長手側で貫通溝に隣接している。負荷導入要素の端部が、結合部分の長手方向に対して垂直に延在しつつ少なくとも部分的に交差する貫通溝によって格子状に貫通されているという言い回しは、全ての貫通溝が他の貫通溝と必ずしも交差しなければならないわけではないことを表現するものとなっている。
【0021】
代替的な形態によれば、貫通溝は、結合部分の長手方向において、直線状の延長部とは異なる延長部を少なくとも部分的に備えている。ここで、有利には、結合部分の長手方向に対して垂直に、かつ、同一方向において互いに対して平行に延びる貫通溝は、直線状の延長部とは異なる延長部を備えている。そして、特に、当該貫通溝は、同様に直線状の延長部とは異なっている。さらに、特に、当該延長溝は、幾何形状的に同一に形成されている。特に、直線状の延長部とは異なる延長部を備える貫通溝は、加工されていない表面を有している。特に、直線状の延長部とは異なる延長部を備える貫通溝は、結合部分の長手方向において、一定の曲率半径を有する湾曲された経過を有しており、当該曲率半径は、好ましくは中空成形物部分の割り当てられた端部の曲率半径に対応している。このようにして、湾曲して形成された中空成形物部分は、負荷導入要素の端部と問題なく結合されることが可能である。特に、直線状の延長部とは異なる延長部を有する貫通溝は、歯元部の範囲では正確に結合部分の長手方向に延在しているとともに、歯の自由端へ向けてわずかな規模で当該方向を離れる。したがって、当該実施形態では、直線状の延長部とは異なる延長部を有する貫通溝も結合部分の長手方向に延在するということができる。
【0022】
有利には、結合部分の長手方向に対して垂直に延在する貫通溝は、第1の方向においては一定の幅を有し、第1の方向に対して垂直に延在する第2の方向においては一定でない幅を有している。このとき、特に、結合部分の長手方向に対して垂直に同一方向に延在する全ての貫通溝は、同様に形成されており、したがって、一定の幅又は一定でない幅を有している。特に、一定の幅を有する貫通溝は、加工された、好ましくは切削された、特にフライス切削された表面を備えている。特に、一定でない幅を有する貫通溝は、加工されていない、特に押出成形された表面を備えており、これにより、加工コストが生じない。特に、一定でない幅を有する貫通溝は、歯元部の範囲において、及び/又は歯の自由端の範囲において、拡大された幅を有している。
【0023】
合目的には、中空成形物部分に対向する、歯の自由端は、結合部分の長手方向に対して垂直に最小の断面積を有している。これによって、差込み歯部の歯は、結合部分の長手方向におけるその経過に関して素の自由端で最小の断面積を有することが意図されている。これに起因して、歯は、その自由端において、結合部分の長手方向における更に低減された剛性を有している。特に、中空成形物部分に向いた歯の自由端は、結合部分の長手方向に対して垂直に、少なくとも延在方向において、結合部分の長手方向における少なくとも1つの他の範囲の場合によりも大きな互いに対する間隔を有している。このことは、特に、一定でない幅を有する貫通溝が歯の自由端の範囲で拡大された幅を有していることに根拠付けられている。特に、負荷導入要素の端部を中空成形物部分の端部に結合する接着剤は、歯の自由端において、拡大された層厚を少なくとも部分的に備えている。したがって、拡大された接着剤の層厚により、接着層における局所的な応力は、低減されるとともに、結合部分全体へ均等に分配される。
【0024】
好ましくは、歯の、中空成形物部分に向いた自由端は、結合部分の長手方向における負荷導入要素の端部の剛性の更なる低減のために、端面側で凹状に成形された、中空成形物部分へ向けて開放した凹部を少なくとも部分的に備えている。特に、一定でない幅を有する貫通溝は、その長手延長部にわたって、負荷導入要素の端部の中央部分における結合部分の長手方向において最小の幅を有している。
【0025】
有利には、差込み歯部の歯は、当該歯が負荷導入要素の中実材料へ移行する歯元部において、結合部分の長手方向における負荷導入要素の端部の更なる剛性の低減のために、少なくとも部分的に先細に形成されている。特に、歯元部は、一定でない幅を有する貫通溝と隣接するその長手側において先細に形成されている。中空成形物部分は、素の長手延長部にわたって一定の断面を有しているため、歯元部の範囲において少なくとも部分的に厚みをもった接着層が生じる。特に、先細に形成された歯元部により生じる、歯元部における拡大された歯の中間空間は、接着剤で充填されている。したがって、拡大された接着剤の層厚により、接着層における局所的な応力は、低減されるとともに、結合部分全体へ均等に分配される。
【0026】
好ましくは、差込み歯部の少なくとも1つの歯は、その長手延長部にわたって中空成形物部分へ向けて先細に形成されている。このことは、上記少なくとも1つの歯がその歯元部において最大の断面積を有しており、当該断面積は、最終的に自由端で最小値を有するように、自由端へ向けて連続的に低減される。したがって、上記少なくとも1つの歯は、結合部分の長手方向に対して垂直に、その自由端へ向けて連続的に低下する、共通の結合部分の長手方向における剛性を有している。上記少なくとも1つの歯の連続的な先細部も、同様に、共通の結合部分の長手方向における剛性比率の連続的な移行に寄与する。特に、中空成形物部分へ向けて連続的に先細な、少なくとも1つの歯は、貫通溝に隣接し、負荷導入要素の端部の長手方向に延在する2つの長手側を有するコーナ歯である。
【0027】
本発明の発展形態によれば、負荷導入要素は、複数の中空成形物部分の複数の端部を収容するための、差込み歯部が形成された複数の端部を備えている。このとき、個々の端部の長手方向は、互いに対して90°の角度又は90°とは異なる角度を有することができる。特に、負荷導入要素が、とりわけ、又は単に少なくとも2つの中空成形物部分を互いに結合するために用いられる場合には、個々の端部の2つの長手方向は、互いに対して180°の角度を有することができる。
【0028】
好ましくは、差込み歯部の全ての歯は、少なくとも本質的に結合部分の長手方向に延在する、それぞれ2つの加工されていない長手側を有している。負荷導入要素の端部及び中空成形物部分の端部は特に互いに少なくとも全面的には直接接触せず、互いに対してわずかな、公差を補整するような間隔を有しているため、歯の長手側を少なくとも部分的に加工されないままとすることで十分かつ更に安価である。
【0029】
有利には、負荷導入要素は、成形物長手方向に延在する加工されていない外周面及び/又は内周面を有する成形物部分として、特に押出成形物部分として形成されている。このことは、負荷導入要素のための初期材料として比較的安価な棒材を用いることが可能であるという利点を有している。押出成形された成形物部分に代えて、例えば冷間引抜き又は圧延された成形物部分も可能である。この関係では、成形物部分の外周面は、ウォータバスへの成形物部分の完全な埋入時に、場合によっては存在する中空空間の以前のシールの下で湿潤される全ての面であり得る。成形物部分の長手方向に延在する中空空間が存在する場合には、内周面はその他の面である。成形物部分とは、本発明との関連では、無端成形物の一部と理解され得る。特に、成形物部分は、その長手延長部にわたって一定の断面幾何形状を有している。これに代えて、成形物部分は、その長手延長部にわたって一定の主な断面のほかに、更に機能統合要素を備えており、当該機能統合要素は、同様に成形物部分の全長にわたって、又は一部の長さにわたって延在している。特に、後者の場合には、機能統合要素を含む、成形物部分の断面範囲は、まず、その全長にわたって形成されており、つづいて、必要に応じて例えば切断によって分離される。機能統合要素は、例えば、液体搬送のためのパイプ又はホースを結合するために、又はケーブルホルダとして、例えば損傷検出のための電子部品の支持部として、若しくは螺着面として用いられることができる。
【0030】
本発明の代替的な実施形態によれば、第1の負荷導入要素は第1の成形物長手方向を備えており、第2の負荷導入要素は第1の成形物長手方向とは異なる第2の成形物長手方向を備えている。特に、第1の成形物長手方向及び第2の成形物長手方向は90°の角度ずれを有している。三点式コントロールアームを実現するために、上述のように、2つの第1の負荷導入要素と1つの第2の負荷導入要素とを設けることができる。
【0031】
別の代替的な形態によれば、少なくとも本質的に結合部分の長手方向に延在する歯を備えた負荷導入要素の差込み歯部は貫通溝を備えており、当該貫通溝は、負荷導入要素の成形物長手方向に対して90°ではない角度で延在している。特に、負荷導入要素の成形物長手方向に対して90°とは異なる角度で延在する貫通溝を有する負荷導入要素のこのような端部は、同様に負荷導入要素の成形物長手方向に対して90°とは異なる角度で延在する中空成形物部分の結合に適している。この場合、負荷導入要素の差込み歯部の基底部に向いた、中空成形物部分の端面は、同様に、中空成形物部分の長手方向に対して90°とは異なる角度で少なくとも1つの方向へ延在している。特に、負荷導入要素の成形物長手方向に対して90°とは異なる角度で延在する貫通溝は、切削により製造される、特にフライス切削された、又はのこ切削された貫通溝である。
【0032】
90°とは異なる角度は例えば60°、70°又は80°であってよく、差込み歯部の歯は少なくとも本質的に結合部分の長手方向において延在しているという定義がここでも当てはまることとなっている。特に、この実施形態では、貫通溝は、負荷導入要素の成形物長手方向に対して90°とは異なる角度で、及び部分的にはちょうど90°の角度で延在する。有利には、最後に挙げた、負荷導入要素の成形物長手方向に対してちょうど90°の角度で延在する貫通溝は、加工されていない、例えば押出成形プロセスによる表面を備えている。特に、負荷導入要素の成形物長手方向に対して90°とは異なる角度で延在する貫通溝を有する負荷導入要素の端部は、同様に負荷導入要素の成形物長手方向に対して90°とは異なる角度で延在するのこ切削された外面を備えることができる。こののこ切削された外面は、負荷導入要素を成形物ロッドから斜めに切断することで生じる。この場合、貫通溝も、また上述の外面も、好ましくは負荷導入要素の成形物長手方向に対して90°とは異なる同一の角度で延在している。
【0033】
好ましくは、中空成形物部分は、複数チャンバ成形物部分として形成されている。これは、中空成形物部分が、断面において見て、周囲で閉鎖されたチャンバとして形成された少なくとも2つの中空空間を備えていることを意味している。複数チャンバ成形物部分により、幾何形状的な構造及び複数のチャンバの互いに対する配置にかかわらず、中空成形物部分の断面二次モーメントを高めることが可能である。このことは、特に曲げ負荷及び/又はねじり負荷の際にも、また圧縮負荷の際にも、より大きな力及び/又はモーメントを伝達することができるように影響を及ぼす。特に、複数チャンバ成形物部分は、断面において少なくとも1つのクロスウェブを備えており、当該クロスウェブによって、複数チャンバ成形物部分の複数のチャンバが互いに分離されている。クロスウェブにより、負荷導入要素の端部との中空成形物部分の端部の接着時に追加的な結合面を可能とし、当該結合面は、接着剤層における応力分配に均等に影響を及ぼす。複数チャンバ成形物部分は、必要に応じて1つより多くのクロスウェブを備えることが可能である。
【0034】
有利には、中空成形物部分は、曲げ剛性及び/又はねじり剛性及び/又は座屈剛性の向上のために、断面において見て外方へ向けて突出した少なくとも1つのリブを備えている。特に、少なくとも1つのリブは、中空成形物部分断面の長方形又は正方形の部分断面を形成している。外方へ向けて突出した少なくとも1つのリブにより、負荷導入要素の端部と中空成形物部分の端部の間の接着面を拡大することが可能である。同時に外方へ向けて突出した少なくとも1つのリブは、中空成形部分の断面二次モーメント及びねじり慣性モーメントの増大をもたらす。特に、リブの長手側は、結合部分の外面を形成している。特に、リブは、差込み歯部の2つの歯の間の結合部分の長手方向に延在している。中空成形部分の断面側に複数のリブが配置されていれば、リブの間に凹部が生じ、これにより、中空成形部分のこの追加的に得られる表面において差込み歯部の更なる歯が係合可能である可能性が生じる。特に、中空成形部分は、断面において見て、外方へ向けて突出した少なくとも4つのリブを備えている。特に、この少なくとも4つのリブのうちそれぞれ2つは、中空成形部分の断面に関して、対で対角状に対向して配置されている。
【0035】
合目的には、中空成形物部分は、断面において見てその外周面及び/又は内周面から突出した狭い厚み部を備えており、当該厚み部によって、負荷導入要素の端部及び中空成形物部分の端部が規定されて最小間隔に保持されている。特に、厚み部が、中空成形部分の長手方向においてその全長にわたってストライプ状に延在している。当該厚み部は、一方では最小層厚の達成のために、他方では、負荷導入要素の端部と中空成形部分の端部を結合する接着剤の均等な層厚の達成のために寄与する。特に、厚み部は、中空成形部分の端部に向いたディスタンス面を備えており、当該ディスタンス面は、中空成形部分の端部に接するか、又は当該端部からわずかに間隔をあけられることが可能である。したがって、実際には、厚み部の外部に位置する、中空成形部分の端部の表面は、負荷導入要素の端部に対して最小間隔に保持されている。特に、厚み部は、負荷導入要素の端部への中空成形部分の端部の差込み時にガイド面となる。特に、厚み部は、中空成形部分の外周面及び/又は内周面から0.5ミリメートル未満だけ突出している。特に、厚み部は、中空成形部分の断面において見て、割り当てられた外周面及び/又は内周面に対して平行に5ミリメートル未満だけ延在しており、したがって、比較的狭く保持されている。厚み部が狭すぎる場合には、負荷導入要素の端部への中空成形部分の端部の差込み時に厚み部が押し出されるというおそれがある。厚み部が幅広すぎる場合には、このことが、負荷導入要素の端部と中空成形部分の端部の間の接着結合部にネガティブに作用することがあり得る。なぜなら、厚み部の範囲では接着剤の最適な層厚が達成されないためである。
【0036】
好ましくは、結合部分内では、2つの歯の間の少なくとも1つの中間空間が接着剤によってのみ充填されている。特に、当該接着剤は、同時に結合部分の外周面の一部となっている。特に、接着剤は、一定の幅を有する貫通溝における少なくとも2つの歯の間に位置している。特に、一定の幅を有するこのような貫通溝がフライス切削され、又はのこ切削されていれば、例えばプランジフライス切削による増大した加工の手間を回避するために、貫通溝を結合部分の長手方向に対して垂直に貫通して製造することが考慮に値する。貫通溝の貫通した製造時に、2つの歯の間に、中空成形部分の端部、例えば当該端部のリブによって充填されていない中間空間が生じる場合には、走行中に中間空間を汚れ及び場合によっては汚れ、塵埃、水しぶき、道路用の塩などによる腐食からも保護するために、当該中間空間を接着剤で充填することが推奨される。特に、接着剤が結合部分の外周部と一直線となるように、中間空間が充填されている。
【0037】
以下に、図示の図面の単に実施例に基づいて本発明を詳細に説明し、類似の、又は機能的に同一の部材又は要素には同一の符号が付されている。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】本発明の第1の実施形態によるシャシコントロールアームの部分的に分解された斜視図である。
図2図1によるシャシコントロールアームの負荷導入要素を斜視図で示す図である。
図3図2による負荷導入要素を側面図で示す図である。
図4図2及び図3による負荷導入要素を図3に対して90°回転した側面図で示す図である。
図5】本発明の第2の実施形態による負荷導入要素を側面図で示す図である。
図6図1によるシャシコントロールアームを図1におけるA-A線における断面図で示す図である。
図7図1によるシャシコントロールアームを図6におけるB-B線における部分断面図で示す図である。
図8図1によるシャシコントロールアームを図1におけるC-C線における断面図で示す図である。
図9】本発明の第3の実施形態による負荷導入要素を斜視図で示す図である。
図10a】本発明の別の実施形態による負荷導入要素を平面図で示す図である。
図10b】本発明の別の実施形態による負荷導入要素を平面図で示す図である。
図10c】本発明の別の実施形態による負荷導入要素を平面図で示す図である。
図11】本発明の第2の実施形態によるシャシコントロールアームの斜視図である。
図12】本発明の第3の実施形態によるシャシコントロールアームの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1には二点式コントロールアームとして形成されたシャシコントロールアーム(シャシリンク)1が示されており、当該シャシコントロールアームは、アクスルストラットとも呼ばれる。シャシコントロールアーム1は、繊維強化合成樹脂から成る、引抜き成形された中空成形物部分2と、アルミニウムから成る2つの負荷導入要素3とを備えており、中空成形物部分2と負荷導入要素3は、それぞれ共通の結合部分4において、取外し不能に接着された差込み結合部分5を介して互いに結合されている。両差込み結合部分5では、負荷導入要素3のそれぞれ1つの端部6と中空成形物部分2の端部7が、交互に、かつ、本質的に係合式に互いの中へ係合している。負荷導入要素3の端部6は、共通の結合部分4の長手方向9において延在する歯10を有する差込み歯部8を備えており、これにより、共通の結合部分4の長手方向9における負荷導入要素3の端部6の剛性が低減されている。共通の結合部分4では、中空成形物部分2の端部7及び負荷導入要素3の端部6が接着剤11によって全面的に、かつ、中空空間なく互いに結合されている。固化された接着剤11は、分解して図示されるシャシコントロールアーム1の端部では見やすさのために別々に図示されている。接着剤11は、単に平均で約0.5ミリメートルの層厚を有しており、これにより、とりわけ、負荷導入要素3の端部6と中空成形物部分2の端部7の上述の本質的に係合式の互いの中への係合が根拠付けられている。中空成形物部分2はここではまっすぐに形成されているため、結合部分4の長手方向9は、中空成形物部分2の長手方向12に対応している。
【0040】
図2では別々に図示された負荷導入要素3は押出成形物部分として形成されており、負荷導入要素は、成形物長手方向13において柱状に延在している。負荷導入要素3は、成形物長手方向13において押出成形された棒材を切削することで製造される。同様に成形物長手方向13に延在する負荷導入要素3の外周面は、下降されていないとともに、押出成形された棒材の表面状態に相当する。切削により製造される全部で2つの表面のうち視認可能な表面は、DIN EN ISO 1302により、材料切削して加工された表面についてのマークを備えている(閉鎖された三角形を有するシンボル)。材料切削して加工されておらず、同時に、押出成形された棒状の初期材料の表面である、負荷導入要素3の加工されていない表面は、内接した円を有する開放された三角形を備えたシンボルで同様に示されている。負荷導入要素3は、差込み歯部8のほかに、不図示のラバーメタルジョイントを収容する貫通開口部14を備えている。負荷導入要素3の端部6は、結合部分4の長手方向9に対して垂直に延在しつつ同時に部分的に交差する貫通溝15によって格子状に貫通されている。貫通溝15間に残るアルミニウムによって、歯10が形成されている。差込み歯部8は4つのコーナ歯10を備えており、当該コーナ歯は、更なる剛性低減のために、その長手延長にわたって中空成形物部分2へ向けて連続的に先細に形成されている。4つのコーナ歯10は、結合部分4の長手方向に延在するそれぞれ4つの面を備えており、当該面は、この方向においてそれぞれコーナ歯10の周囲を形成している。これら4つの面のうち、それぞれ1つは切削されており、1つはフライス加工されており、2つの面は、押出成形された棒状の初期材料の加工されていない表面である。第1の方向16において延在する2つの貫通溝15は、側フライス工具でのフライス加工によって製造されているとともに、一定の幅を有している。第1の方向16に対して垂直に向けられているとともに成形物長手方向13と一致する第2の方向17において延在する3つの貫通溝15は、棒状の初期材料の押出成形された貫通溝15であるとともに、一定でない幅を備えている。
【0041】
第1の方向16では、差込み歯部8の歯10が、負荷導入要素3の中実の材料へ歯10が移行する歯元部18において先細に形成されている。中空成形物部分2に対向する、歯10の自由端19は、結合部分4の長手方向9に対して垂直に最小の断面積を有している。第2の方向17において延在する、一定でない幅を有する貫通溝15は、歯元部18の範囲で、及び歯10の自由端19の範囲で、第1の方向16において拡大された幅を有している。コーナ歯10がその歯元部18において最大の断面積を有することが分かり、当該断面積は、自由端19へ向けて連続的に減少する。結合部分4の長手方向9に見た場合の、歯10の歯元部18と自由端19の間に配置された歯10の中央部分20では、第1の方向16において一定でない幅を有する貫通溝15が最小の幅を備えている。歯10は、いくつかの歯10では当該歯10の最大の幅のおよそ2倍の長さを結合部分4の長手方向9において有している。ただし、多くの歯10では、当該長さは、本質的にその最大の幅よりも大きい。
【0042】
図3では、結合部分4の長手方向9に見た場合に、負荷導入要素3が差込み歯部8に対向するその端部において機能統合要素21を備えていることが分かり、当該機能統合要素はケーブルホルダとして形成されている。機能統合要素21の周囲輪郭部は、押出成形されているとともに、更なる加工がなされておらず、このことは、開放された三角形及び内接した円を有する上述のシンボルによって分かる。歯元部18は結合部分4の長手方向9において約10ミリメートル延在しており、中央部分20は約25ミリメートル延在しており、歯10の自由端19は同一の方向において約10ミリメートル延在している。約45ミリメートルの歯10の全長は、同一方向において、上述のように測定して、本質的に負荷導入要素3の端部6の長さに相当する。第1の方向16において測定して、異なる幅を有する3つの貫通溝15は、同時に差込み歯部8の基底部24に対応するその基礎部において約8.5ミリメートルの最大の幅を有しており、中央部分20では約7ミリメートルの幅を有し、歯10の自由端19では約7.75ミリメートルの幅を有している。差込み歯部8の歯10が、共通の結合部分4の長手方向9における負荷導入要素3の端部6の第1の方向16での剛性の更なる低減のためにその歯元部18において先細に形成されていることが、この視点においても明らかに見て取れる。また、差込み歯部8の全ての歯10がそれぞれ2つの加工されていない押出成形された長手側を有することが、開放された三角形及び内接した円を有する上述のシンボルによって示されており、長手側は、本質的に結合部分4の長手方向9において延在している。歯10の、中空成形物部分2に向いた自由端19は、共通の結合部分4の長手方向9における負荷導入要素3の端部6の剛性の更なる低減のために、部分的に端面側で凹状に成形された、中空成形物部分2へ向けて開放した凹部23を備えている。
【0043】
第2の方向17において一定の幅、ここでは約7ミリメートルを有する負荷導入要素3の両貫通溝15が切削により製造された表面を備えていることが図4から分かり、このことは、閉鎖された三角形を有する上述のシンボルによって示されている。この実施例では、第2の方向17は成形物長手方向13と同一である。機能統合要素21は、成形物長手方向13において破線で示唆された初期状態では、第2の方向17において負荷導入要素3の全長にわたって形成されている。負荷導入要素3の図示の完成状態では、対称に配置された2つの初期状態の範囲が切削式の方法によって切り目を付けられている。対応する表面表示が上述同様に記入されている。
【0044】
図5には、本質的に結合部分4の長手方向9に延在する歯10を有する差込み歯部8を有する負荷導入要素3が示されている。このとき、差込み歯部8は、第2の方向17において一定の幅を有するフライス切削された貫通溝15を備えており、当該貫通溝は、負荷導入要素3の成形物長手方向13に対して、90°とは異なる、結合部分4の長手方向9と同一の角度αで延在している。負荷導入要素3は、負荷導入要素3を成形物バーから斜めに切り落とすことに起因する鋸刃付けされた外面を備えているとともに、成形物長手方向13に対して、90°とは異なる、フライス切削された貫通溝15と同一の角度αで延在しており、閉鎖された三角形を有する上述のシンボルで示されている。負荷導入要素3は、第1の方向16において一定でない幅を有する不図示の加工されていない貫通溝15を更に備えており、当該貫通溝は、押出成形された表面を備えているとともに、成形物長手方向13に延在している。
【0045】
図6には負荷導入要素3が示されており、差込み歯部8の歯10は、結合部分4の長手方向9におけるその長手延長にわたって長方形状の全断面を備えている。4つのコーナ歯は、選択された切断面において、長方形状の全断面の特別形状として偶然に正方形の全断面を備えている。第1の方向16に延在しつつ一定の幅を有する両貫通溝15の両端部範囲は、この4つの範囲において結合部分4の外周面を形成する接着剤11で充填されている。換言すれば、結合部分4内には、それぞれ2つの歯10の間のここでは4つの中間空間を除いて接着剤11で充填されている。この中間空間の外部では、接着剤11の層厚は、平均でおよそ0.5ミリメートルとなっている。中空成形物部分2は、ここでの断面において、シャシコントロールアーム1の曲げ剛性、ねじり剛性及び座屈剛性を高めるために、外方へ向けて突出しつつ同時に第2の方向17へ延在する6つのリブ22を備えている。これら6つのリブ22の端面側は、結合部分4の部分外周面を形成している。図6には、同様に、差込み歯部8の歯10が中空成形物部分2の端部7の外周面及び内周面に部分的に接着されていることも示されている。
【0046】
図7では、中空成形物部分2が共通の結合部分4の長手方向9において当接するまで差込み歯部8へ差し込まれているわけではなく、負荷導入要素3へ向いた中空成形物部分2の端面側と差込み歯部8の基底部24の間に接着剤11で充填された隙間25が残されていることが見て取れる。
【0047】
図8には中空成形物部分2がその端部範囲7を通る断面において示されており、中空成形物部分2は、周囲で閉鎖された2つのチャンバ26を有する複数チャンバ成形物部分として形成されている。両チャンバ26は、クロスウェブ27によって互いに分離されている。組み立てられた状態では、両チャンバ26は、それぞれ1つの歯10によってふさがれている。ここでの断面において見て、中空成形物部分2は、その外周面及びその内周面から突出した狭い厚み部28を備えている。当該厚み部28によって、負荷導入要素3の端部6及び中空成形物部分2の端部7が規定されて最小間隔で保持されている。厚み部28は、引抜き成形された中空成形物部分2の端部にわたってのみならず、その全長にわたってストライプ状に延在している。ここでは、厚み部28は、約0.3ミリメートルだけ上述の外周面あるいは内周面から突出しているとともに、約3ミリメートルの幅を有している。中空成形物部分2の端部7を負荷導入要素3の端部6へ差し込む際には、厚み部28はガイド面となる。厚み部28の範囲では、接着剤11の層厚は計算上0.2ミリメートルであり、これにより、負荷導入要素3の端部6及び中空成形物部分2の端部7がわずかな遊びをもって、すなわち本質的に係合式に交互に互いの中へ係合することが明らかである。中空成形物部分2の内周面が両チャンバ26の周面と同一であることが指摘される。あらかじめ表された、外方へ突出した6つのリブ22が明らかに見て取れる。中空成形物部分2の断面側におけるそれぞれ2つのリブの間には凹部29が形成されており、当該凹部には、組み立てられた状態で、差込み歯部8のそれぞれ1つの歯10が係合する。
【0048】
図9には、中空成形物部分2のそれぞれ1つの端部7を収容する、差込み歯部8が形成された2つの端部6を有する負荷導入要素3が示されている。負荷導入要素3の両端部6は、互いに対して90°の角度をなしている。
【0049】
図10aには差込み歯部が形成された2つの端部6を有する負荷導入要素3が示されており、当該端部は、互いに対して180°の角度を有しているとともに、反対方向に開放されている。このような負荷導入要素3は、例えば2つの中空成形物部分2を互いに結合する結合部として機能することができる。
【0050】
図10bにはそれぞれ120°だけずらして配置された、差込み歯部が形成された3つの端部6を有する負荷導入要素3が示されており、当該端部は、1つの平面内に位置している。負荷導入要素3の中央範囲は、この範囲における製造による不都合な材料の蓄積を回避するために、三角形に形成された柱状の貫通部を備えている。
【0051】
図10cにはそれぞれ90°だけずらして配置された、差込み歯部が形成された4つの端部6を有する負荷導入要素3が示されており、当該端部は、1つの平面内に位置している。負荷導入要素3の中央範囲に図示された正方形状の凹部も、同様に柱状に形成されているとともに、上述と同様の目的に用いられる。
【0052】
4つより多くの端部を有する負荷導入要素3は、上述の実施形態と同様に形成されることが可能である。
【0053】
図10a~図10cによる上述の3つの負荷導入要素3は、紙面に対して垂直に延在する成形物長手方向13を有する、押出成形された負荷導入要素6である。
【0054】
図11には三点式コントロールアームとして形成されたシャシコントロールアーム1が示されており、このシャシコントロールアーム1は、共通の平面において延在する第1の成形物長手方向13を有する2つの第1の負荷導入要素3を備えている。第2の負荷導入要素3’は第2の成形物長手方向13を有しており、当該第2の成形物長手方向13は、両第1の成形物長手方向13が延在する共通の平面に対して垂直に延在している。3つ全ての負荷導入要素3,3’では、成形物長手方向13は、上述の第2の方向17と一致し、当該第2の方向には、それぞれ貫通溝15が一定でない幅をもって延在している。当該貫通溝15は、上述と同様に、それぞれ歯元部18の範囲及び歯10の自由端19の範囲に、第1の方向16において拡大された幅を有している。第2の負荷導入要素3’は、2つの中空成形物部分2の2つの端部7を収容する、差込み歯部8が形成された2つの端部6を備えている。
【0055】
図12には、二点式コントロールアームとして形成されつつ幾何形状的に同一な2つの負荷導入要素3を備えたシャシコントロールアーム1が示されており、当該負荷導入要素は、中空成形物部分2によって互いに結合されている。中空成形物部分2は、湾曲して形成されているとともに、その全長延長部にわたって一定の曲率半径を有している。湾曲して形成された中空成形物部分2が問題なく負荷導入要素3の差込み歯部8へ挿入されることができるように、差込み歯部8の貫通溝15は、結合部分4の長手方向9において、同様に直線状の延長部とは異なる延長部を部分的に備えている。ここで、具体的には、差込み歯部8の貫通溝15は、中空成形物部分2と同一の曲率半径を有している。中空成形物部分2の湾曲部及び湾曲して形成された貫通溝15は、共に一平面内にあり、当該平面は、弓状に形成された中空成形物部分2及びその端部を結ぶ弦によって描かれる。湾曲して形成された両負荷導入要素3の貫通溝15は、上述の規定に従って成形物長手方向13に延在しているとともに、加工されていない押出成形された内面を更に備えている。さらに、湾曲して形成された貫通溝15は、上述のように、結合部分4の長手方向9において、その延長部にわたって一定でない幅を有している。
なお、本発明は、以下の態様も包含し得る:
1.原動機付き車両用の部材(1)であって、当該部材(1)は、繊維強化合成樹脂から成る中空成形物部分(2)と、金属材料から成る負荷導入要素(3)とを備えており、中空成形物部分(2)及び負荷導入要素(3)は、共通の結合部分(4)において、取外し不能かつ接着された差込み結合部分(5)を介して互いに結合されており、差込み結合部分では、負荷導入要素(3)の端部(6)及び中空成形物部分(2)の端部(7)が、交互に、かつ、少なくとも本質的に形状結合式に互いの中へ係合している、前記部材において、
当該部材が、原動機付き車両用のシャシコントロールアーム(1)として形成されていること、及び負荷導入要素(3)の端部(6)が、少なくとも、本質的に共通の結合部分(4)の長手方向(9)において延在する歯(10)を有する差込み歯部(8)を備えており、これにより、共通の結合部分(4)の長手方向(9)における負荷導入要素(3)の端部(6)の剛性が低減されていることを特徴とする部材。
2.差込み歯部(8)の歯(10)が中空成形物部分(2)の端部7の外周面及び内周面に部分的に接着されていることを特徴とする上記1.に記載のシャシコントロールアーム(1)。
3.負荷導入要素(3)の端部(6)が、結合部分(4)の長手方向(9)に対して垂直に延在しつつ少なくとも部分的に交差する貫通溝(15)によって格子状に貫通されていることを特徴とする上記1.又は2.に記載のシャシコントロールアーム(1)。
4.貫通溝(15)が、結合部分(4)の長手方向(9)において、直線状の延長部とは異なる延長部を少なくとも部分的に備えていることを特徴とする上記3.に記載のシャシコントロールアーム(1)。
5.結合部分(4)の長手方向(9)に対して垂直に延在する貫通溝(15)が、第1の方向(16)においては一定の幅を有し、第1の方向(16)に対して垂直に延在する第2の方向(17)においては一定でない幅を有していることを特徴とする上記3.に記載のシャシコントロールアーム(1)。
6.歯(10)の、中空成形物部分(2)へ向いた自由端(19)が、結合部分(4)の長手方向(9)に対して垂直に最小の断面積を有していることを特徴とする上記1.~5.のいずれか1つに記載のシャシコントロールアーム(1)。
7.歯(10)の、中空成形物部分(2)へ向いた自由端(19)が、結合部分(4)の長手方向(9)における負荷導入要素(3)の端部(6)の剛性の更なる低減のために、少なくとも部分的に端面側で凹状に成形されつつ中空成形物部分(2)へ向けて開放した凹部(23)を備えていることを特徴とする上記1.~6.のいずれか1つに記載のシャシコントロールアーム(1)。
8.差込み歯部(8)の歯が、当該歯(10)が負荷導入要素(3)の中実材料へ移行する歯元部(18)において、結合部分(4)の長手方向(9)における負荷導入要素(3)の端部(6)の更なる剛性の低減のために、少なくとも部分的に先細に形成されていることを特徴とする上記1.~7.のいずれか1つに記載のシャシコントロールアーム(1)。
9.差込み歯部(8)の少なくとも1つの歯(10)が、その長手延長部にわたって中空成形物部分(2)へ向けて連続的に先細に形成されていることを特徴とする上記1.~8.のいずれか1つに記載のシャシコントロールアーム(1)。
10.負荷導入要素(3)が、複数の中空成形物部分(2)の複数の端部(7)を収容するための、差込み歯部が形成された複数の端部(6)を備えていることを特徴とする上記1.~9.のいずれか1つに記載のシャシコントロールアーム(1)。
11.差込み歯部(8)の全ての歯(10)がそれぞれ2つの加工されていない長手側を有しており、当該長手側は、少なくとも本質的に結合部分(4)の長手方向(9)に延在していることを特徴とする上記1.~10.のいずれか1つに記載のシャシコントロールアーム(1)。
12.負荷導入要素(3)が、成形物長手方向(13)に延在する加工されていない外周面及び/又は内周面を有する成形物部分として、特に押出成形物部分として形成されていることを特徴とする上記1.~11.のいずれか1つに記載のシャシコントロールアーム(1)。
13.第1の負荷導入要素(3)が第1の成形物長手方向(13)を備えており、第2の負荷導入要素(3’)が、第1の成形物長手方向(13)とは異なる第2の成形物長手方向(13’)を備えていることを特徴とする上記12.に記載のシャシコントロールアーム(1)。
14.少なくとも本質的に結合部分(4)の長手方向(9)に延在する歯(10)を備えた負荷導入要素(3)の差込み歯部(8)が貫通溝(15)を備えており、当該貫通溝は、負荷導入要素(3)の成形物長手方向(13)に対して90°ではない角度(α)で延在していることを特徴とする上記12.に記載のシャシコントロールアーム(1)。
15.中空成形物部分(2)が複数チャンバ成形物部分として形成されていることを特徴とする上記1.~14.のいずれか1つに記載のシャシコントロールアーム(1)。
16.中空成形物部分(2)が、曲げ剛性及び/又はねじり剛性及び/又は座屈剛性の向上のために、断面において見て外方へ向けて突出した少なくとも1つのリブ(22)を備えていることを特徴とする1.~15.のいずれか1つに記載のシャシコントロールアーム(1)。
17.中空成形物部分(2)が、断面において見てその外周面及び/又は内周面から突出した狭い厚み部(28)を備えており、当該厚み部によって、負荷導入要素(2)の端部(6)及び中空成形物部分(2)の端部(7)が規定されて最小間隔に保持されていることを特徴とする上記1.~16.のいずれか1つに記載のシャシコントロールアーム(1)。
18.結合部分(4)内において、2つの歯(10)の間の少なくとも1つの中空空間が接着剤(11)によってのみ充填されていることを特徴とする上記1.~17.のいずれか1つに記載のシャシコントロールアーム(1)。
【符号の説明】
【0056】
1 シャシコントロールアーム
2 中空成形物部分
3 (第1の)負荷導入要素
3’ 第2の負荷導入要素
4 結合部分
5 差込み結合部分
6 負荷導入要素の端部
7 中空成形物部分の端部
8 差込み歯部
9 結合部分の長手方向
10 差込み歯部の歯
11 接着剤
12 中空成形物部分の長手方向
13 (第1の)成形物長手方向
13’ 第2の成形物長手方向
14 貫通開口部
15 貫通溝
16 第1の方向
17 第2の方向
18 歯元部
19 歯の自由端
20 歯の中央部分
21 機能統合要素
22 リブ
23 凹状に成形された凹部
24 差込み歯部の基底部
25 隙間
26 チャンバ
27 クロスウェブ
28 厚み部
29 凹部
α 90°ではない角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10a
図10b
図10c
図11
図12