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特許7252317泌尿生殖器粘膜の予防および/または処置において使用するための組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-27
(45)【発行日】2023-04-04
(54)【発明の名称】泌尿生殖器粘膜の予防および/または処置において使用するための組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 36/63 20060101AFI20230328BHJP
   A61K 31/205 20060101ALI20230328BHJP
   A61K 31/047 20060101ALI20230328BHJP
   A61P 15/02 20060101ALI20230328BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230328BHJP
【FI】
A61K36/63
A61K31/205
A61K31/047
A61P15/02
A61P43/00 121
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021505364
(86)(22)【出願日】2019-07-31
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-02
(86)【国際出願番号】 EP2019070588
(87)【国際公開番号】W WO2020025657
(87)【国際公開日】2020-02-06
【審査請求日】2021-04-14
(31)【優先権主張番号】18382576.9
(32)【優先日】2018-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】520039238
【氏名又は名称】ムコサ イノバティオンズ,エセ エレ
【氏名又は名称原語表記】MUCOSA INNOVATIONS,S.L.
【住所又は居所原語表記】C/Araquil,11 28023 MADRID(ES)
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロドリゲス ビラボア,デボラ
【審査官】小川 知宏
(56)【参考文献】
【文献】特表2001-508423(JP,A)
【文献】特表2013-544858(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0193489(US,A1)
【文献】Maturitas,2015年,82,307-312
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 36/63
A61K 31/205
A61K 31/047
A61P 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
泌尿生殖器症候群の予防および/または処置において使用するための、オリーブオイル、トリメチルグリシンおよびキシリトールを含む組成物であって、
前記泌尿生殖器症候群の状態が、膣分泌物、膣不快感および膣疼痛のうち1つ、いくつかまたはすべてであり、
前記組成物は、前記オリーブオイルを0.2~4重量%、前記トリメチルグリシンを1.5~6重量%および前記キシリトールを1~30重量%含み、
前記組成物が膣用組成物である、
組成物。
【請求項2】
.2~2.5重量%のオリーブオイルを含む、請求項に記載の使用のための組成物。
【請求項3】
~4重量%のトリメチルグリシンを含む、請求項1または2に記載の使用のための組成物。
【請求項4】
~15重量%のキシリトールを含む、請求項1からのいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項5】
好ましくは、ヒドロキシチロソール、チロソール、オレウロペインおよびそれらの混合物、好ましくは、ヒドロキシチロソール、チロソールおよびオレウロペインからなる群から選択される抗酸化剤を含む、請求項1からのいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項6】
粘度制御剤、保湿剤、保存料、pH調節剤、甘味料、タンパク質分解酵素、乳化剤、エッセンシャルオイル、瘢痕形成剤、芳香、抗酸化剤、動物および/または植物ゼラチン、植物繊維、賦形剤およびそれらの組合せからなる群から選択される1種以上の追加の成分をさらに含む、請求項1~のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項7】
甘味料、芳香、エッセンシャルオイル、タンパク質分解酵素、植物繊維またはそれらの組合せを含む、請求項またはに記載の使用のための組成物。
【請求項8】
研磨剤およびフッ素供給源のうちいずれも含まない、請求項またはに記載の使用のための組成物。
【請求項9】
追加の有効成分を全く含まない、請求項1からのいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項10】
膣用のゲル、膣用の溶液、または膣坐剤として製剤化される、請求項1からのいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、療法の分野に関し、特に、泌尿生殖器粘膜に影響を及ぼす状態の予防および/または処置において使用するための組成物を指す。
【背景技術】
【0002】
粘液性膜、いわゆる、粘膜は、耳、鼻、口、唇、肛門、目および泌尿生殖器系(泌尿生殖系としても知られる)などの身体の開口部または小孔でのヒト皮膚の一続きのものである。
【0003】
粘膜は、防御壁として振る舞うが、吸収機能を有し、正常なヒト機能のために不可欠である摩擦、酸および他の排泄に対して耐性を有する。マイクロバイオーム保有者であり、pHおよび細菌叢シフトの影響を受ける。この粘液性膜の完全性と正常な平衡も病原体の障壁である。過去数年における研究の傾向は、粘膜を免疫系および全身の幸福と関連付けている。
【0004】
エストロゲン欠乏症、癌処置、加齢、喫煙などといった種々の因子が、泌尿生殖器粘膜に負に影響を及ぼし、中でも、泌尿生殖器萎縮をもたらし得る。
【0005】
泌尿生殖器の萎縮は、膣萎縮、萎縮性膣炎、萎縮性外陰膣炎および外陰膣萎縮(VVA)としても知られている。より最近、VVAの代わりに閉経期の泌尿生殖器症候群(GSM)という名称が提案された(Portman DJ、Gass ML.外陰膣萎縮技術用語コンセンサス会議パネル。閉経期の泌尿生殖器症候群:国際女性性機能学会(international society for the study of women’s sexual health)および北米更年期学会(the North American Menopause Society)からの外陰膣萎縮の新規技術用語(非特許文献1))。新技術用語のねらいは、医療、教育および研究のために状態を適切に説明することであった。GSMは、VVAよりも説明的な用語であり、病理を暗示しない(例えば、GSMは病理学的症状を有するが、患者は、それを疾患を有することとすぐに関連付けない)。GSMは、大陰唇/小陰唇、クリトリス、腟前庭/入口、膣、尿道および膀胱の変化に関与するエストロゲンおよび他の性ステロイドの減少と関連付けられた、症状および徴候の収集物として定義されている(非特許文献2)。GSMは、長期療法を必要とする慢性状態である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】国際公開第2002/47692号
【文献】国際公開第2007/085020号
【非特許文献】
【0007】
【文献】J Sex Med. 2014 Dec;第11巻(12号):2865~72頁
【文献】Portman and Gass、2014
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
新規用語GSMは「閉経期」に言及するが、症候群は、中でも、癌処置、卵巣摘出術、化学的に誘導された閉経期、喫煙または性転換処置に起因するエストロゲン欠乏症のために若い女性において生じ得るので、閉経周辺期、閉経期後女性に限定されない。最も高悪性度版の乳癌は、30から45歳の間の閉経前女性において生じる、腫瘍学的処置(例えば、タモキシフェン、アロマターゼ阻害剤と組み合わせたタモキシフェン)を受けている女性のおよそ50%がVVAを発症するということは思い出すに値する。したがって、本発明の著者は、これを考慮して、第2の用語である泌尿生殖器症候群(GS、本明細書において以下)を提案し、これは、この症候群が閉経周辺期、閉経期後女性に限定されないことを明確にするために本発明において使用される。
【0009】
GSを経験している女性は、泌尿生殖器系を含む多数の臓器に影響を及ぼす正常レベルのエストロゲンの欠乏症による性的および非性的両方のまたは泌尿器の合併症を呈することが多い。エストロゲンを喪失すると、加齢によって引き起こされるものでさえ、膣は、短く、狭くなり、粘膜膣壁は、薄く、平坦になり、あまり弾性でなくなり、色が薄くなる。多数の症状が、これらの変化に付随する。通常、GSを有する女性は、以下の症状のうち1つ、複数またはすべてを経験する:膣乾燥、性交後出血、膣分泌物、膣および/または外陰部不快感、膣および/または外陰部疼痛、ひりひり感、性的興奮および性欲の喪失、そう痒、刺激作用、灼熱感、外陰部そう痒症および性交疼痛症。膀胱、尿管および尿道の泌尿器粘膜における上皮変化は、膣において生じるものと同様であり、薄い、脆弱な組織をもたらす。具体的には、GSと関連している泌尿器の症状として、尿意切迫、頻度の増大、夜間多尿、排尿障害および失禁が挙げられる。GSを有する多くの女性が、障害に伴う疼痛、泌尿器科の症状に伴う不便、および結果として生じる性機能障害に伴う人間関係の潜在的な中断により、著しい個人的苦痛と生活の質の低下を経験する。この後者は、他では健康な状態で活発な性生活を有するより若い女性においてさらにより関連する。
【0010】
GSは、すべてのこれらの症状および生活の質に与える重要な影響にもかかわらず、実際より少なく報告され、実際より少なく診断されている。さらに、GSは、女性において集中的に研究されてきたが、尿道、尿管および膀胱に負に影響を及ぼす泌尿生殖器萎縮性変化は、女性および男性両方で起こり得る。実際、男性において、尿道、前立腺部尿道および膀胱の下部に沿った粘膜壁の菲薄化が記載されている。したがって、本発明では、GSは、男性においても現れる。
【0011】
萎縮性膣炎の処置のための現在のモダリティは、一般的にホルモン剤の使用を中心に展開している。クリーム、膣リングおよび膣錠を含む女性ホルモンエストロゲンを含有する薬物療法は、全身に(経口および非経口型)および局所適用において広く処方されている。萎縮性膣炎のホルモン処置を開示する特許文書の例として、(特許文献1)および(特許文献2)が挙げられる。残念ながら、エストロゲン含有薬物療法の使用は、エストロゲン依存性新生物の発症のリスクの増大、乳房の敏感性、吐き気および嘔吐、膣出血および会陰領域における疼痛を含め、著しい欠点を有する。ホルモン局所適用の使用は、全身曝露のリスクを低減しながら、過形成や子宮内膜肥厚の進行などの副作用を伴わないわけではない。
【0012】
エストロゲンの使用と関連する副作用の一部に、卒中のリスクの増大があり、エストロゲンがプロゲスチンとともに摂取される場合には、乳癌、子宮癌、卒中、心臓発作、血餅、認知症、胆嚢疾患および卵巣癌のリスクの増大がある。エストロゲンを使用する処置は、一部の女性に適している場合があるが、例えば、乳房、子宮、子宮内膜、卵巣もしくは卵管癌のリスクにある、またはこのような癌(複数可)を有している女性には適していないしたがって、患者を追加のエストロゲン活性に曝露することのない、GSの有効な治療的処置が必要である。驚くべきことに、本発明の著者は、このような処置を開発した。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1の態様は、泌尿生殖器粘膜に影響を及ぼす状態の予防および/または処置において使用するためのオリーブオイル、トリメチルグリシン(TMG)およびキシリトールを含む組成物を指す。
【0014】
本発明の第2の態様は、泌尿生殖器粘膜に影響を及ぼす状態の予防および/または処置のための医薬の調製のための、オリーブオイル、TMGおよびキシリトールを含む組成物の使用を指す。
【0015】
本発明の第3の態様は、それを必要とする対象において泌尿生殖器粘膜に影響を及ぼす状態を処置する方法であって、対象に、オリーブオイル、TMGおよびキシリトールを含む組成物の治療上有効量を投与することを含む方法を指す。
【0016】
本発明の第4の態様は、対象において泌尿生殖器粘膜に影響を及ぼす状態を予防する方法であって、対象に、オリーブオイル、TMGおよびキシリトールを含む組成物の予防上有効量を投与することを含む方法を指す。
【0017】
本出願の他の目的、特徴、利点および態様は、以下の説明および添付の特許請求の範囲から当業者には明らかとなろう。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本明細書で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、文脈が明らかに他のことを示さない限り、それらの対応する複数形を含む。別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野における当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本発明の文脈において特定の用語の理解を容易にし、その意味を明確にするために、本発明の異なる態様のすべての実施形態に適用可能な、以下の定義およびその特定の好ましい実施形態が提供される。
【0019】
本発明では、状態とは、医学的状態、すなわち、薬によって処置可能な、または医学的処置を必要とする状態を指す。特に、負の状態または障害を指す。より詳しくは、泌尿生殖器粘膜に影響を及ぼす状態の場合には、泌尿生殖器粘膜に負に影響を及ぼす状態または泌尿生殖器粘膜に(負に)影響を及ぼす障害を指す。
【0020】
泌尿生殖器粘膜は、生殖器系および泌尿器系を含む泌尿生殖器系の粘膜である。上記で記載されるように、エストロゲンの欠乏症(例えば、部分的または完全喪失)は、泌尿生殖器粘膜に負に影響を及ぼす。したがって、本発明の特定の実施形態では(すなわち、本発明の第1、第2、第3および第4の態様)、泌尿生殖器粘膜に影響を及ぼす状態(本明細書において以下、本発明の状態と呼ばれる)は、エストロゲン欠乏症による状態(すなわち、エストロゲン欠乏症を特徴とする状態)である。
【0021】
上記で説明したように、エストロゲンの欠乏症は、中でも、泌尿生殖系の粘膜の菲薄化をもたらす。したがって、本発明の別の特定の実施形態では、泌尿生殖器粘膜に影響を及ぼす状態は、泌尿生殖器粘膜の菲薄化を特徴とする状態である。
【0022】
特に、膣粘膜の菲薄化は、上皮再生の低い可能性および重要な細胞代謝産物、特に、グリコーゲンの少ない産生を提供する。通常、グリコーゲンは、グルコースの供給源を提供し、グルコースは、厚い通常の粘膜では、通常の膣のマイクロバイオームによって、主に、ラクトバチルスによって乳酸へ変換し、次いで、これは、膣における低い膣pHがほとんどの感染を防ぐことを可能にする。この天然の機序が、萎縮性膣における粘膜菲薄化のために存在しない場合には、3.5の理想から4.5への、またはさらに4.8よりも高くへのpH変化が、健康な膣の通常の平衡を妨げる。
【0023】
前記の実施形態のいずれか1つに従う本発明の特定の実施形態では、本発明の状態は、泌尿生殖器の感染性疾患を含まない。これらの感染性疾患は、性感染症および/または細菌、真菌もしくは酵母感染症(例えば、カンジダ症)であろう。これらの感染症は、悪臭膣分泌物、感染性膣流動物の増大、酵母感染に伴うそう痒および他の種類の感染性膣炎を特徴とし得る。より詳しくは、本発明の状態は、泌尿生殖器の粘膜または皮膚の発がん性変化を含まない。
【0024】
泌尿生殖器粘膜の菲薄化は、まとめてGSと呼ばれる上記で説明したような種々の状態または症状、例えば、膣乾燥、性交後出血、膣分泌物、膣および/または外陰部不快感、膣および/または外陰部疼痛、ひりひり感、性的興奮および性欲の喪失、そう痒、刺激作用、灼熱感、外陰部そう痒症、性交疼痛症、尿意切迫、頻度の増大、夜間多尿、排尿障害、尿失禁のうち1つ、いくつかまたはすべてをもたらす。本発明の特定の実施形態(すなわち、本発明の第1、第2、第3および第4の態様)では、泌尿生殖器粘膜に影響を及ぼす状態は、GSである。本発明の好ましい実施形態では、本発明の状態は、膣乾燥、性交後出血、膣分泌物、膣および/または外陰部不快感、膣および/または外陰部疼痛、ひりひり感、性的興奮および性欲の喪失、そう痒、刺激作用、灼熱感、外陰部そう痒症、性交疼痛症、尿意切迫、頻度の増大、夜間多尿、排尿障害、尿失禁のうち1つ、複数またはすべて(好ましくは、いくつかまたはすべて)およびそれらの組合せからなる群から選択される。すべてのこの一連の症状の中でも、より頻繁に見られるものは、膣乾燥、膣不快感/疼痛、外陰部不快感/疼痛、膣分泌物、尿意切迫および尿失禁である。したがって、好ましくは、状態は、膣乾燥、膣不快感、膣疼痛、膣分泌物、外陰部不快感、外陰部疼痛、尿意切迫、尿失禁およびそれらの組合せから選択される。より好ましくは、状態は、膣分泌物および/または膣不快感および/または膣疼痛および/または外陰部不快感および/または外陰部疼痛である。
【0025】
上記のように、より広範囲の研究は、GSMおよびこれまでのVVAの場合のように女性で行われてきたが、泌尿生殖器粘膜は、男性および女性に存在する。したがって、本発明の対象は、男性または女性、より好ましくは、女性である。
【0026】
GSは、閉経周辺期および閉経期後の女性ならびにエストロゲン欠乏症を有する非閉経周辺期および閉経期後の女性、例えば、喫煙する女性または癌処置、卵巣摘出術、化学的に誘導された閉経期もしくは性転換処置を受けていた女性に影響を及ぼす。したがって、本発明の特定の実施形態では、対象は、閉経期周辺期の女性、閉経期後の女性、喫煙者の女性または癌処置、卵巣摘出術、化学的に誘導された閉経期もしくは性転換処置を受けた女性から選択される。
【0027】
本明細書において、「防ぐ」または「予防」という用語は、本発明の状態と関連する症状の重症度を防ぐ、遅延するおよび/または低減することを意味する。
【0028】
「予防上有効量」とは、送達される場合に、本発明の状態と関連する症状の重症度を防ぐ、遅延するおよび/または低減する量を指す。
【0029】
「処置」とは、本発明の状態の症状の低減または排除を指す。
【0030】
「治療上有効量」とは、本発明の状態の症状を低減または排除するのに有効である量を指す。
【0031】
第1の態様において、本発明は、泌尿生殖器粘膜に影響を及ぼす医学的状態の予防および/または処置において使用するための、オリーブオイル、トリメチルグリシンおよびキシリトールを含む組成物(本明細書において以下、本発明の組成物と呼ばれる)を指す。
【0032】
オリーブオイル、TMGおよびキシリトールを含む組成物は、最先端技術においてすでに公知である、例えば、US8,540,970 B2を参照のこと。この特許文献は、口内乾燥の処置のためのこのような組成物の使用を記載している。しかし、口内乾燥および本発明の泌尿生殖器粘膜に影響を及ぼす状態は、完全に異なる状態である。さらに、US8,540,970 B2に示されるように、口内乾燥(xerostomy)の処置は、無刺激唾液の産生の増大によるものであり、最先端技術において、特に、唾液腺が泌尿生殖器管中に存在しない場合に、これが泌尿生殖器粘膜の任意の状態が生じることを防ぐことを示唆するものはない。
【0033】
驚くべきことに、オリーブオイル、TMGおよびキシリトールを含む本発明の組成物は、泌尿生殖器粘膜に影響を及ぼす状態の予防および/または処置にとって有用である。泌尿生殖器粘膜に影響を及ぼす状態の特定の好ましい実施形態は、上記のものであり、本発明のすべての態様に適用可能である。
【0034】
TMGは、浸透圧保護性作用を有し、表面活性剤作用はない。コカミドプロピルベタイン(CAPB)と混同されてはならない、これは、口腔衛生製品においてよく使用される表面活性剤作用を有する界面活性剤である。患者の群は、粘膜完全性への挑戦を包含し、このような場合には界面活性剤は完全に有害であることを特別に考慮して、本発明の組成物では、すべての界面活性剤は排除される。したがって、特定の実施形態では、本発明の組成物は、本発明の実施形態のいずれか1つに従って、界面活性剤を全く含まない。したがって、本発明の組成物は、衛生製品においてよく使用されるラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルサルコシン酸ナトリウム、CAPBまたは界面活性剤を含まない、好ましくは、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルサルコシン酸ナトリウムおよび/またはCAPBを含まない。
【0035】
これまでの実施形態のいずれか1つに従う特定の実施形態では、本発明の組成物は、0.1重量%~5重量%のオリーブオイル、好ましくは、0.2重量%~4重量%のオリーブオイルおよびより好ましくは、0.2重量%~2.5重量%のオリーブオイルを含む。
【0036】
本発明において与えられるすべてのパーセンテージは、特に断りのない限り、総組成物の重量による重量(w/w)で与えられる。
【0037】
これまでの実施形態のいずれか1つに従う特定の実施形態では、本発明の組成物は、0.1重量%~10重量%のTMG、好ましくは、1.5%~6%およびより好ましくは、2重量%~4重量%を含む。
【0038】
これまでの実施形態のいずれか1つに従う特定の実施形態では、本発明の組成物は、1重量%~50重量%のキシリトール、好ましくは、1%~30%およびより好ましくは、1~15%、さらにより好ましくは、10%を含む。
【0039】
好ましい実施形態では、本発明の組成物は、0.2重量%~4重量%のオリーブオイル、1.5重量%~6重量%のTMGおよび1重量%~30重量%のキシリトールを含む。
【0040】
別の好ましい実施形態では、本発明の組成物は、0.2重量%~2.5重量%のオリーブオイル、2重量%~4重量%のTMGおよび1重量%~15重量%のキシリトールを含む。
【0041】
実施例で示されるように、上記で定義される範囲内の一定量のオリーブオイル、TMGおよびキシリトールを含む組成物は、泌尿生殖器粘膜に影響を及ぼす状態、例えば、GSの処置において極めて有効である。別の好ましい実施形態では、本発明の組成物は、オリーブオイル、TMGおよびキシリトールを、実施例において記載される製剤のうちいずれか1つにおいて定義される量で含む。
【0042】
これまでの実施形態のいずれか1つに従う特定の実施形態では、オリーブオイルは、エキストラバージンオリーブオイルである。別の特定の実施形態では、組成物は、エッセンシャルオイルを除いて任意の他の植物油を含まない。このように、より低い品質のオイル、例えば、パルマオイル(palma oil)の使用は、これらのオイルの使用が、ヒト口腔癌腫の転移の高度に有意な増大および大きさと最近関連付けられたので、避けられる。
【0043】
前記の実施形態のいずれか1つに従う特定の実施形態では、組成物は、抗酸化剤、好ましくは、天然抗酸化剤を含む。特に、抗酸化剤は、酢酸トコフェロール、ビタミンC、ヒドロキシチロソール、チロソール、オレウロペイン、およびそれらの混合物の群から選択される。興味深いことに、ヒドロキシチロソール、チロソールおよびオレウロペインは、オリーブオイルの抗炎症、抗菌および抗酸化活性を増強し、組成物を安定化できると思われる(すなわち、製剤を対象によってより許容されるものにするさらなる保存料の必要性を低減する、またはさらに排除する)。したがって、好ましい実施形態では、組成物は、ヒドロキシチロソールおよび/またはチロソールおよび/またはオレウロペインを含む、好ましくは、ヒドロキシチロソール、チロソールおよびオレウロペインを含む。
【0044】
これまでの実施形態のいずれか1つに従う別の特定の実施形態では、本発明の組成物は、粘度制御剤、保湿剤、保存料、pH調節剤、甘味料、タンパク質分解酵素、乳化剤、エッセンシャルオイル、瘢痕形成(cicatrizing)剤、芳香、抗酸化剤、動物および/または植物ゼラチン、植物繊維、賦形剤およびそれらの混合物からなる群から選択される1つ以上の成分をさらに含む。
【0045】
好ましくは、これまでの実施形態のいずれか1つに従う本発明の組成物は、瘢痕形成剤、抗酸化剤、バッファー、保存料、保湿および溶媒(好ましくは、水)、任意選択で、レオロジー剤および/または乳化剤を含む。本段落に開示される実施形態のうちいずれか1つに従う特定の実施形態では、組成物は、甘味料、芳香、エッセンシャルオイル、植物繊維、動物および/または植物ゼラチン、タンパク質分解酵素またはそれらの組合せを含む。
【0046】
前記の実施形態のいずれかに従う別の好ましい実施形態では、本発明の組成物は、芳香、エッセンシャルオイル、研磨剤、フッ素供給源またはタンパク質分解酵素のうちいずれかを含まない。この実施形態は、患者による許容度を促進する。
【0047】
本発明の組成物のさらなる成分は、当業者にはよく知られており、前記化合物の限定されない例は、以下に示されている。前記の実施形態のいずれか1つに従う特定の実施形態では、これらの化合物は、以下に示される実施例から選択される。
【0048】
最先端技術において公知の任意のレオロジー剤が、粘度制御剤として使用されてもよい。特に、レオロジー剤は、アラビアゴム、トラガカントゴム、キサンタンゴム、カルボキシメチルセルロース、カルボポール型ポリマー、ペクチン、ムチンおよびそれらの混合物からなる群から選択され得る。
【0049】
最先端技術において公知の任意の保湿剤が、本発明の組成物において使用されてもよい。特に、保湿剤は、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトールおよびそれらの混合物からなる群から選択され得、好ましくは、グリセリンであり得る。
【0050】
本発明の組成物において使用されてもよい保存料の中でも、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、安息香酸、ジアゾリジニル尿素、イミダゾリニル尿素、ナトリウムメチルパラベン、ナトリウムプロピルパラベンおよびそれらの混合物が好ましい。
【0051】
本発明の組成物において、最先端技術において公知の任意のpH調節剤(バッファーとも呼ばれる)が使用されてもよい。特に、pH調節剤は、乳酸、乳酸塩、クエン酸、クエン酸塩、リンゴ酸およびその塩、水酸化ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム塩、ピロリン酸ナトリウムおよびそれらの混合物からなる群から選択され得る。
【0052】
最先端技術において公知の任意の甘味料が、本発明の組成物において使用されてもよい。特に、甘味料は、マルチトール、イソマルチトール、マンニトール、ラクチトール、サッカリンナトリウム、アセサルフェームカリウム、アスパルテーム、シクラメート、タウマチン、スクラロース、エステビア・レバウディアナ(estevia rebaudiana)、ネオヘスペリジンDCおよびそれらの混合物からなる群から選択され得る。
【0053】
パパインなどのタンパク質分解酵素も、例えば、本発明の組成物に組み込まれてもよい。これは、粘膜傷害病変が存在する場合に、細片の清掃を容易にし、粘膜の破壊に拍車をかける原因となっていた死細胞を低減するので有用であり得る。
【0054】
本発明の組成物において、当技術分野で公知の任意の適した乳化剤が使用されてもよい。特に、乳化剤は、ポリエチレングリコール(PEG)40硬化ヒマシ油、レシチンおよびそれらの混合物からなる群から選択され得る。
【0055】
上記のように、本発明の組成物は、エッセンシャルオイル、例えば、パセリシードオイルおよび/またはシトラス・メディカ(citrus medica)オイルを組み込み得る。
【0056】
本発明の組成物において、特に、アラントイン、D-パンテノール、パントテン酸カルシウムおよびそれらの混合物からなる群から選択される、最先端技術において公知の任意の瘢痕形成剤が使用されてもよい。
【0057】
本発明の組成物は、動物および/または植物ゼラチン、例えば、ウシゼラチン、魚ゼラチン、藻類ゼラチンおよびそれらの混合物を含み得る。
【0058】
本発明の組成物はまた、例えば、シトラス・メディカ(citrus medica)などの芳香も含み得る。
【0059】
これまでの実施形態のいずれかに従う別の特定の実施形態では、本発明の組成物は、任意の追加の有効成分を含まない。特に、ハチミツおよび/またはプロポリスを含まない。
【0060】
所望の提示/製剤によれば、組成物は、所望の感覚受容およびレオロジー形態を提供するのに必要なすべてのそれらの成分を含む。
【0061】
好ましくは、本発明の組成物は、3.5から6.5の間、好ましくは、3.5から4.5の間のpHを有する。好ましくは、水は、特に、液体および生地状のゲル様調製物の場合には溶媒として使用される。
【0062】
本発明の状態の処置の間、水性組成物が好ましく、そのため、乳化剤の必要性が低減される。したがって、本発明の第1の態様の実施形態のいずれか1つに従う好ましい実施形態では、組成物は水性ゲルであり、乳化剤を含まない。
【0063】
特定の実施形態では、本発明の組成物は、溶液、ゲル、局所溶液、局所軟膏、局所ゲルとして、アプリケーターを用いて、または用いずに製剤化される。さらに、組成物は、膣坐剤(vaginal ovule)として製剤化される。さらに、本発明の組成物の単回用量提示(例えば、モノドース(monodosis)膣坐剤)が使用されてもよい。
【0064】
任意の場合において、当業者ならば、本発明の組成物を、本発明の状態の予防および/または処置のための簡単な使用を可能にする任意の適した提示で製剤化するであろう。
【0065】
本発明の組成物は、本発明の状態の期間の間ならびに徴候および症状の停止後少なくとも2週間毎日使用されてもよい。
【0066】
本発明の状態の処置のための好ましい投与プロトコールは、本発明の組成物を膣に、好ましくは、アプリケーターを用いて、またはモノドース膣坐剤として適用することである。このように、患部に容易に適用され得る。
【0067】
好ましくは、投与量は、適用あたり2.5~5mlである。より好ましくは、組成物は、就寝、好ましくは、横になる前に投与される。実施例において示されるように、成功結果を得るために1日1回の適用で十分である。したがって、特定の実施形態では、組成物は、1日につき1回提供される。
【0068】
本発明の第1の態様の実施形態のいずれか1つに従う本発明の特定の実施形態では、投与プロトコールは、以下の実施例に記載されるものである。
【0069】
本発明の第2の態様は、泌尿生殖器粘膜に影響を及ぼす医学的状態の予防および/または処置のための医薬の調製のためのオリーブオイル、TMGおよびキシリトールを含む組成物の使用を指す。
【0070】
本発明の第1の態様について記載される本発明の組成物および状態の特定の好ましい実施形態は、本発明の第2の態様に適用可能である。
【0071】
本発明の第3の態様は、それを必要とする対象において泌尿生殖器粘膜に影響を及ぼす医学的状態を処置する方法であって、対象に、オリーブオイル、TMGおよびキシリトールを含む組成物の治療上有効量を投与することを含む方法を指す。
【0072】
本発明の第1の態様について記載される本発明の組成物および状態の特定の好ましい実施形態は、本発明の第3の態様に適用可能である。対象は、男性または女性、好ましくは、女性である。
【0073】
本発明の第3の態様の特定の実施形態では、それを必要とする対象において泌尿生殖器粘膜に影響を及ぼす状態を処置する方法は、対象に本発明の第1の態様の実施形態のいずれかにおいて定義される本発明の組成物の治療上有効量を投与することを含み、対象への前記投与は、第1の徴候および症状が現れるとすぐに開始される。それは、毎日、1日に少なくとも1回、好ましくは、1日1回与えられる。前記の実施形態のいずれか1つに従う好ましい実施形態では、投与量は、適用あたり2.5~5mlであり、アプリケーターを用いて、または用いずに投与される。より詳しくは、組成物は、膣および/または外陰部中に投与される。
【0074】
本発明の第3の態様の前記の実施形態のいずれか1つに従う好ましい実施形態では、組成物は、ゲル、より好ましくは、局所ゲルとして、または膣坐剤、より好ましくは、モノドース膣坐剤として製剤化される。より好ましくは、組成物は、就寝、好ましくは、横になる前に投与される。
【0075】
好ましい実施形態では、本発明の組成物の投与のプロトコールは、以下の実施例のいずれかに記載される通りである。
【0076】
本発明の状態がGSであり、前記GSが癌処置による場合は、本発明の組成物の投与は、癌処置の全期間の間、より好ましくは、癌処置の最後の後、少なくとも2週間超の間投与される。
【0077】
本発明の第4の態様は、対象において泌尿生殖器粘膜に影響を及ぼす医学的状態を予防する方法であって、オリーブオイル、TMGおよびキシリトールを含む組成物の有効量を対象に予防的に投与することを含む方法を指す。
【0078】
本発明の第1の態様について記載された本発明の組成物および状態の特定の好ましい実施形態は、本発明の第4の態様に適用可能である。対象は男性または女性、好ましくは、女性である。
【0079】
本発明の第4の態様の方法の特定の実施形態では、対象への投与は、できる限りすぐに開始する:
-状態が癌処置によるGSである場合、癌と診断され、癌療法が開始する時を承知した後、および腫瘍学的処置が始まる少なくとも24時間前、
-GSが、閉経期周辺期、閉経期後による場合、閉経期の第1の症状に気づいた後、または
-卵巣摘出術後。
【0080】
状態が、癌処置によるGSである場合、組成物は、全癌処置の間、好ましくは、療法サイクルの間停止せずに投与されるべきである。
【0081】
本発明の第4の態様の特定の実施形態では、組成物は毎日、1日あたり少なくとも1回、好ましくは、1日1回与えられる。より詳しくは、組成物は、就寝、好ましくは、横になる前に投与される。前記の実施形態のいずれか1つに従う好ましい実施形態では、投与量は、適用あたり2.5~5mlである。組成物は、アプリケーターを用いて、または用いずに投与される。
【0082】
本発明の第4の態様の前記の実施形態のいずれか1つに従う好ましい実施形態では、組成物は、ゲル、より好ましくは、局所ゲルとして、または膣坐剤、より好ましくは、モノドース膣坐剤として製剤化される。
【実施例
【0083】
本発明をその範囲を制限することなく例示するように働く本発明の特定の実施形態を以下に詳細に記載する。
【実施例1】
【0084】
GSの予防の研究
1.1.ねらいおよび対象
研究のねらいは、GSを有する患者において、特に、腫瘍学的処置後にGSを患っている患者において、すなわち、キシリトール、オリーブオイルおよびTMGを含む本発明の組成物の臨床有効性を、記載された成分を全く含まないプラセボ組成物と比較することであった。分析された特定のGS状態は、膣および外陰部領域における不快感/疼痛ならびに膣分泌物とした。
20人の患者を研究に含め、2つの群に無作為に分けた。
【0085】
1.2.組み入れおよび排除基準
組み入れ
乳癌の処置後に膣分泌物ならびに膣および外陰部領域における不快感/疼痛について訴えた患者。
【0086】
排除
研究を開始する以前に試験製品を使用していた患者は、参加を許可されなかった。組み入れ基準について訴えなかった患者は研究から排除された。
【0087】
1.3.製剤化および研究デザイン
2種の異なる組成物を試験した:
組成物A(発明):0.5%オリーブオイル、4.0% TMGおよび10%キシリトールを含む。
組成物B(プラセボ):組成物A中と同一賦形剤を含むが、有効成分を有さない。
【0088】
【表1】
【0089】
【表2】
【0090】
研究は、クロスオーバーであり、そのため、すべての女性が、無作為に割り当てられた両組成物を使用した。1種の組成物と次のものの投与の間に、1週間の休薬があった。
【0091】
製品は、患者の番号で確認される白色チューブ中にパッケージングした。内容物は、密閉された包装材料中で維持し、データ処置のためだけに開けた。
【0092】
【表3】
【0093】
訴えごとにVAS(視覚的アナログスケール)100mm長によって評価した。
膣分泌物および膣不快感/疼痛に起因するVAS値を、4つの異なる日に患者ごとに得た:
・0日目:研究の開始時。
・8日目:第1の処置期間後。
・15日目:休薬期間後。
・22日目:第2の処置期間後。
【0094】
すべての場合において、製品を5ml投薬するアプリケーターを用いて流体ゲルとして膣に適用した。患者に、全週間の間、毎晩就寝前に5ml適用した。
【0095】
1.4.結果および結論
研究では、2群があったが、結果を表す時点で、群を考慮しなかった。20人の患者の結果が、表1および表2に示されている。
【0096】
膣分泌物
本発明またはプラセボ組成物を使用した後に得られた平均結果が、表1に示されている。
【0097】
【表4】
【0098】
膣不快感/疼痛
本発明またはプラセボ組成物を使用した後に得られた平均結果が、表2に示されている。
【0099】
【表5】
【0100】
表1および2に示されるように、本発明の組成物は、1日1回1週間膣に適用された場合に20人の女性の群において、プラセボ組成物と比較して膣不快感/疼痛(p<0.000)および膣分泌物(p<0.000)を有意に低減する。
【実施例2】
【0101】
GSの処置の比較研究
2.1.目的、対象および製剤
研究の目的は、GSを有する患者において、特に、腫瘍学的処置後にGSを有する患者において、本発明の組成物(すなわち、有効成分としてキシリトール、オリーブオイルおよびTMGを含む)の臨床有効性を、有効成分としてオリーブオイルのみを含む組成物と比較することであった。分析された特定のGS状態は、膣および外陰部領域における不快感/疼痛ならびに膣分泌物であった。
研究の目的のために、9人の患者を研究に受け入れた。患者を2群に無作為に分けた(4人の患者を有する一方の群および5人の患者を有するもう一方の群)。
【0102】
2.2.組み入れおよび排除基準
組み入れ基準
乳癌の処置後に膣分泌物ならびに膣および外陰部領域における不快感/疼痛を訴えた患者。
【0103】
排除基準
組み入れ基準について訴えなかった患者は研究から排除された。
【0104】
2.3.製剤化および研究デザイン
2種の異なる組成物を試験した:
組成物A(発明):0.5%オリーブオイル、4.0% TMGおよび10%キシリトールを含む。
組成物B(オリーブオイル):0.5%オリーブオイルを含むが、TMGおよびキシリトールを含まない。
【0105】
【表6】
【0106】
【表7】
【0107】
研究は、クロスオーバーであり、そのため、すべての女性が、無作為に割り当てられた両組成物を使用した。1種の組成物と次のものの投与の間に、1週間の休薬があった。
【0108】
製品は、患者の番号で確認される白色チューブ中にパッケージングした。内容物は、密閉された包装材料中で維持し、データ処置のためだけに開けた。
【0109】
【表8】
【0110】
訴えごとにVAS100mm長によって評価した。
膣分泌物および膣不快感/疼痛に起因するVAS値を、4つの異なる日に患者ごとに得た:
・0日目:研究の開始時。
・8日目:第1の処置期間後。
・15日目:休薬期間後。
・22日目:第2の処置期間後
【0111】
すべての場合において、製品を5ml投薬するアプリケーターを用いて流体ゲルとして膣に適用した。患者に、全週間の間、毎晩就寝前に5ml適用した。
【0112】
2.4.結果および結論
研究では、2群があったが、結果を表す時点で、群を考慮しなかった。
【0113】
膣分泌物
本発明またはオリーブオイル組成物を使用した後の平均結果が、表3に示されている:
【0114】
【表9】
【0115】
膣不快感/疼痛
本発明またはオリーブオイル組成物を使用した後に得られた平均結果が、表4に示されている:
【0116】
【表10】
【0117】
表3および4に示されるように、本発明の組成物は、1日1回1週間膣に適用された場合に9人の女性の群において、有効成分として0.5%オリーブオイルのみを含む組成物との比較において膣分泌物(p=0.003)および膣不快感/疼痛(p=0.01)を有意に低減する。