(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-27
(45)【発行日】2023-04-04
(54)【発明の名称】耳介神経野刺激デバイス
(51)【国際特許分類】
A61N 1/36 20060101AFI20230328BHJP
【FI】
A61N1/36
(21)【出願番号】P 2021509961
(86)(22)【出願日】2019-04-25
(86)【国際出願番号】 US2019029172
(87)【国際公開番号】W WO2020036651
(87)【国際公開日】2020-02-20
【審査請求日】2022-03-29
(32)【優先日】2018-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520414505
【氏名又は名称】ニュアラクシス,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100172041
【氏名又は名称】小畑 統照
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン,クリストファー・アール
(72)【発明者】
【氏名】ピーターソン,ゲーリー・エム
【審査官】菊地 康彦
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0360030(US,A1)
【文献】米国特許第07103417(US,B1)
【文献】特開2013-052179(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非経皮的な経耳介神経野刺激デバイスであって、
それぞれが人間の耳の耳介の腹側面に非経皮的に接触するようになっている、
間隔を空けて配置された導電性の第1の複数
の電極と、
それぞれが前記耳介の背側面に非経皮的に接触するようになっている、
間隔を空けて配置された導電性の第2の複数
の電極と、
電気回路であって、前記第1の複数の電極及び前記第2の複数の電極に結合されているとともに、前記第1の複数の電極及び前記第2の複数の電極のうちの少なくとも1つに電気刺激信号を選択的に印加して、前記第1の複数の電極と、第1の対の組み合わせに従って前記第1の複数の電極と対になっている前記第2の複数の電極のうちのそれぞれの1つと、の間に前記耳介を通して経耳介電流の第1のセットを流し、且つ、前記第1の複数の電極と、前記第1の対の組み合わせとは異なる第2の対の組み合わせに従って前記第1の複数の電極と対になっている前記第2の複数の電極のうちのそれぞれの1つと、の間に前記耳介を通して経耳介電流の第2のセットを流して、前記経耳介電流の第1のセット及び前記経耳介電流の第2のセットが前記耳介内の少なくとも1つの耳介神経野を刺激するように構成されている電気回路と、
を備え
、
前記経耳介電流の第1のセットは、前記第1の複数の電極および前記第2の複数の電極の1つの対の間で前記耳介を通して斜向かいに確立された第1の周波数を有する第1電流と、前記第1の複数の電極および前記第2の複数の電極の別の対の間で前記耳介を通して斜向かいに確立された第2の周波数を有する第2電流とを含み、前記第1電流は、前記耳介内の空間で前記第2電流と干渉し、前記空間に前記第1の周波数と前記第2の周波数との間の差に等しい周波数を有する干渉電流を画定する、デバイス。
【請求項2】
前記電気回路が前記電気刺激信号を印加して、前記第1の複数の電極と前記第2の複数の電極との間に、前記経耳介電流の第1のセット及び前記経耳介電流の第2のセットを同時に流すように構成されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記電気回路が前記電気刺激信号を印加して、前記経耳介電流の第2のセットではなく前記経耳介電流の第1のセットを、前記第1の対の組み合わせに従って前記第1の複数の電極と、前記第2の複数の電極との間に流し、続いて、前記電気刺激信号を印加して、前記経耳介電流の第1のセットではなく前記経耳介電流の第2のセットを、前記第2の対の組み合わせに従って前記第1の複数の電極と、前記第2の複数の電極との間に流すように構成されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記電気回路が前記電気刺激信号を印加して、前記第1の複数の電極から前記第2の複数の電極に向けて、前記耳介を通して、前記経耳介電流の第1のセットを流すように構成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項5】
前記電気回路が前記電気刺激信号を印加して、前記第2の複数の電極から前記第1の複数の電極に向けて、前記耳介を通して、前記経耳介電流の第1のセットを流すように構成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記電気回路が前記電気刺激信号を印加して、前記第1の複数の電極から前記第2の複数の電極に向けて、前記耳介を通して、前記経耳介電流の第2のセットを流すように構成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記電気回路が前記電気刺激信号を印加して、前記第2の複数の電極から前記第1の複数の電極に向けて、前記耳介を通して、前記経耳介電流の第2のセットを流すように構成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項8】
前記第1の複数の電極、前記第2の複数の電極、及び前記電気回路がすべて装着される可撓性のキャリアと、
前記可撓性のキャリアを前記耳介の少なくとも一部分に取り付けるための手段と、
をさらに備える、請求項1~
7のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項9】
前記可撓性のキャリアが、
前記耳介の耳輪の少なくとも一部分に沿って長手方向に延在するように、且つ、前記耳輪の前記少なくとも前記一部分の周りを少なくとも部分的に短手方向に覆い包むようにサイズが決められ、構成された細長い本体と、
前記細長い本体の一方の端部にあるとともに、前記耳介の前記腹側面の少なくとも第1の部分上に延在するように、且つ、前記耳介の前記背側面の少なくとも第1の部分上に延在するようにサイズが決められた上側翼部材であって、前記複数の第1の電極のうちの少なくとも1つ、及び前記複数の第2の電極のうちの少なくとも1つが装着された前記上側翼部材と、
前記細長い本体の反対側端部にあるとともに、前記腹側面の前記少なくとも第1の部分から間隔を空けて配置された前記耳介の前記腹側面の少なくとも第2の部分上に延在するように、且つ、前記背側面の前記少なくとも第1の部分から間隔を空けて配置された前記耳介の前記背側面の少なくとも第2の部分上に延在するようにサイズが決められた下側翼部材であって、前記複数の第1の電極のうちの少なくとも別の電極、及び、前記複数の第2の電極のうちの少なくとも別の電極が装着された前記下側翼部材と、
前記細長い本体から延在する電気回路装着部であって、前記電気回路が装着された前記電気回路装着部と、
前記電気回路と、前記第1の複数の電極及び前記第2の複数の電極のそれぞれとの間に接続された導電体と、
を備える、請求項
8に記載のデバイス。
【請求項10】
前記上側翼部材が、
前記細長い本体の前記一方の端部から離間するように短手方向に、第1の方向に延在するとともに、前記耳介の前記腹側面の前記少なくとも前記第1の部分上に延在するようにサイズが決められた第1の翼であって、前記第1の複数の電極のうちの前記少なくとも1つが装着され、且つ、前記腹側面の前記少なくとも前記第1の部分に非経皮的に接触するように構成された前記上側翼部材の前記第1の翼と、
前記細長い本体の前記一方の端部から離間するように短手方向に、前記第1の方向と反対の第2の方向に延在するとともに、前記耳介の前記背側面の前記少なくとも前記第1の部分上に延在するようにサイズが決められた第2の翼であって、前記第2の複数の電極のうちの前記少なくとも1つが装着され、且つ、前記背側面の前記少なくとも前記第2の部分に非経皮的に接触するように構成された前記上側翼部材の前記第2の翼と、
を備える、請求項
9に記載のデバイス。
【請求項11】
前記下側翼部材が、
前記細長い本体の前記反対側端部から離間するように短手方向に、第1の方向に延在するとともに、前記耳介の前記腹側面の前記少なくとも前記第2の部分上に延在するようにサイズが決められた第1の翼であって、前記第1の複数の電極のうちの前記少なくとも別の電極が装着され、且つ、前記腹側面の前記少なくとも前記第2の部分に非経皮的に接触するように構成された前記下側翼部材の前記第1の翼と、
前記細長い本体の前記反対側端部から離間するように短手方向に、前記第1の方向と反対の第2の方向に延在するとともに、前記耳介の前記背側面の前記第2の部分上に延在するようにサイズが決められた第2の翼であって、前記第2の複数の電極のうちの前記少なくとも別の電極が装着され、且つ、前記背側面の前記少なくとも前記第2の部分に非経皮的に接触するように構成された前記下側翼部材の前記第2の翼と、
を備える、請求項
9又は
10に記載のデバイス。
【請求項12】
前記可撓性のキャリアが、前記細長い本体と、前記電気回路装着部との間に短手方向に延在する回路延長部材をさらに備える、請求項
9~
11のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項13】
前記可撓性のキャリアが、織布又は不織布、ラテックス、及びプラスチックのうちの少なくとも1つを含む、請求項
8~
12のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項14】
前記可撓性のキャリアが、少なくとも部分的に、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン及びポリウレタンのうちの少なくとも1つの形でプラスチックを含む、請求項
13に記載のデバイス。
【請求項15】
前記電気回路が、
1つ又は複数の電力源と、
前記1つ又は複数の電力源のうちの少なくとも1つに結合されるとともに、電気刺激制御信号を生成するようにプログラムされた少なくとも1つの制御回路と、
前記1つ又は複数の電力源のうちの少なくとも1つ、及び前記少なくとも1つの制御回路に結合された1つ又は複数のゲート回路であって、前記生成された電気刺激制御信号に応答して、前記1つ又は複数の電力源のうちの前記少なくとも1つによって発生した電力を使用して前記電気刺激信号を発生させる前記1つ又は複数のゲート回路と、
を備える、請求項1~
13のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項16】
前記1つ又は複数のゲート回路が2つ以上のゲート回路を含む、請求項
15に記載のデバイス。
【請求項17】
前記2つ以上のゲート回路の電力基準が互いに減結合されている、請求項
16に記載のデバイス。
【請求項18】
前記1つ又は複数の電力源が1つ又は複数のバッテリを備える、請求項
15~
17のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項19】
前記少なくとも1つの制御回路が、前記電気刺激制御信号のうちの1つ又は複数の極性、前記電気刺激制御信号のうちの1つ又は複数の周波数、前記電気刺激制御信号のうちの1つ又は複数のデューティサイクル、前記電気刺激制御信号のうちの1つ又は複数の継続時間、前記電気刺激制御信号のうちの1つ又は複数の隣接する印加間の休止時間、及び、前記電気刺激制御信号のうちの少なくとも1つが発生する全治療継続時間、のうちの少なくとも1つを制御するようにプログラムされている、請求項
15~
18のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項20】
非経皮的な経耳介神経野刺激デバイスであって、
人間の耳の耳介の腹側面の第1の部分に非経皮的に接触するようになっている
導電性の第1
の電極と、
前記腹側面の前記第1の部分の反対側にある前記耳介の背側面の第1の部分に非経皮的に接触するようになっている
導電性の第2
の電極と、
前記腹側面の前記第1の部分から間隔を空けて配置された、耳介の前記腹側面の第2の部分に非経皮的に接触するようになっている
導電性の第3
の電極と、
前記腹側面の前記第2の部分の反対側にある前記耳介の前記背側面の第2の部分に非経皮的に接触するようになっている
導電性の第4
の電極と、
前記第1の電極、前記第2の電極、前記第3の電極、及び前記第4の電極に結合された電気回路と、
を備えるとともに、
前記電気回路が、(i)前記第1の電極及び前記第2の電極のうちの少なくとも1つに第1の電気刺激信号を選択的に印加して、第1の経耳介電流を前記耳介の間に、前記耳介の横断面に平行な方向に前記耳介を通して短手方向に流すように、(ii)前記第3の電極及び前記第4の電極のうちの少なくとも1つに第2の電気刺激信号を選択的に印加して、第2の経耳介電流を前記耳介の間に、前記耳介の前記横断面に平行な前記方向に前記耳介を通して短手方向に流すように、(iii)前記第2の電極及び前記第3の電極のうちの少なくとも1つに第3の電気刺激信号を選択的に印加して、第3の経耳介電流を前記耳介の間に、前記耳介を通して斜向かいに流すように、且つ、(iv)前記第1の電極及び前記第4の電極のうちの少なくとも1つに第4の電気刺激信号を選択的に印加して、第4の経耳介電流を前記耳介の間に、前記耳介を通して斜向かいに流すように構成されて
おり、
前記第3の経耳介電流は第1の周波数を有し、前記第4の経耳介電流は第2の周波数を有し、前記第3の経耳介電流と前記第4の経耳介電流とは、前記耳介内の空間で互いに干渉し、前記空間に前記第1の周波数と前記第2の周波数との間の差に等しい周波数を有する干渉電流を画定する、デバイス。
【請求項21】
前記電気回路が、前記第1の電気刺激信号、前記第2の電気刺激信号、前記第3の電気刺激信号、及び前記第4の電気刺激信号を同時に印加して、前記耳介を通して前記第1の経耳介電流、前記第2の経耳介電流、前記第3の経耳介電流、及び前記第4の経耳介電流を同時に流すように構成されている、請求項
20に記載のデバイス。
【請求項22】
前記電気回路が、前記第1の電気刺激信号及び前記第2の電気刺激信号だけを同時に印加して、前記耳介を通して前記第1の経耳介電流及び前記第2の経耳介電流だけを同時に流し、続いて、前記第3の電気刺激信号及び前記第4の電気刺激信号だけを同時に印加して、前記耳介を通して前記第3の経耳介電流及び前記第4の経耳介電流だけを同時に流すように構成されている、請求項
20に記載のデバイス。
【請求項23】
前記電気回路が、前記第1の電気刺激信号、前記第2の電気刺激信号、前記第3の電気刺激信号、及び、前記第4の電気刺激信号のうちの1つ又は複数の極性、前記第1の電気刺激信号、前記第2の電気刺激信号、前記第3の電気刺激信号、及び、前記第4の電気刺激信号のうちの1つ又は複数の周波数、前記第1の電気刺激信号、前記第2の電気刺激信号、前記第3の電気刺激信号、及び、前記第4の電気刺激信号のうちの1つ又は複数のデューティサイクル、前記第1の電気刺激信号、前記第2の電気刺激信号、前記第3の電気刺激信号、及び、前記第4の電気刺激信号のうちの1つ又は複数の継続時間、前記第1の電気刺激信号、前記第2の電気刺激信号、前記第3の電気刺激信号、及び、前記第4の電気刺激信号のうちの1つ又は複数の隣接する印加間の休止時間、並びに、前記第1の電気刺激信号、前記第2の電気刺激信号、前記第3の電気刺激信号、及び、前記第4の電気刺激信号のうちの少なくとも1つが発生する全治療継続時間、のうちの少なくとも1つを制御するように構成されている、請求項
20~
22のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項24】
前記第1の電極、前記第2の電極、前記第3の電極、及び、前記第4の電極、並びに前記電気回路がすべて装着される可撓性のキャリアと、
前記可撓性のキャリアを前記耳介の少なくとも一部分に取り付けるための手段と、
をさらに備える、請求項
20~
23のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項25】
前記可撓性のキャリアが、
前記耳介の耳輪の少なくとも一部分に沿って長手方向に延在するように、且つ、前記耳輪の前記少なくとも前記一部分の周りを少なくとも部分的に短手方向に覆い包むようにサイズが決められ、構成された細長い本体と、
前記細長い本体の一方の端部にあるとともに、前記耳介の前記腹側面の少なくとも前記第1の部分上に、且つ、前記耳介の前記背側面の少なくとも前記第1の部分上に延在するようにサイズが決められた上側翼部材であって、前記第1の電極及び前記第2の電極が装着された前記上側翼部材と、
前記細長い本体の反対側端部にあるとともに、前記腹側面の前記第1の部分から間隔を空けて配置された前記耳介の前記腹側面の少なくとも前記第2の部分上に、且つ、前記背側面の前記第1の部分から間隔を空けて配置された前記耳介の前記背側面の少なくとも前記第2の部分上に延在するようにサイズが決められた下側翼部材であって、前記第3の電極及び前記第4の電極が装着された前記下側翼部材と、
前記細長い本体から延在する電気回路装着部であって、前記電気回路が装着された前記電気回路装着部と、
前記電気回路と、前記第1の電極、前記第2の電極、前記第3の電極、及び前記第4の電極のそれぞれとの間に接続された導電体と、
を備える、請求項
24に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年4月26日に出願された、米国仮特許出願第62/662,995号明細書の利益、及び同明細書に対する優先権を主張し、その開示全体が参照によって本明細書に援用される。
【0002】
本開示は、概して、電気刺激デバイスに関し、より具体的には、耳介神経野を刺激するための耳介刺激デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
経皮的電気刺激デバイスは、既知であり、人間及び動物に治療を提供するために使用されている。このようなデバイスの一例として、従来の電気鍼治療デバイスが耳の部位にあるツボを含む鍼治療のツボに経皮的に電気刺激を供給するために使用されている。
【0004】
耳の内部には、脳内に直接吻合する(接続する)脳神経V、VII、IX、Xと、頸椎内に直接吻合している大後頭神経及び小後頭神経の枝と、がある。背側面及び腹側面の両方に別個の耳介の領域があり、脳神経、末梢神経、動脈枝、及び神経血管束の優位性/集中度を有する。この点に関して、疼痛管理を含む様々な目的のために他の既知の電気刺激デバイスを使用して、このような耳介の末梢神経野に経皮的に電気刺激を供給する。
【0005】
非経皮的電気刺激デバイスもまた既知であり、人間及び動物に治療を提供するために使用されている。このような非経皮的デバイスの一例は、従来の経皮的電気神経刺激(TENS:transcutaneous electrical nerve stimulation)デバイスであり、これは、典型的には、疼痛管理の目的で皮膚の表面に低電圧電流を供給するように人間又は動物の皮膚の領域又は部位に沿って間隔を空けて配置された2つ以上の非経皮的な電極を使用する。TENSデバイスの1つの特定のクラスには、典型的には、皮膚の領域又は部位に沿って間隔を空けて配置された4つ以上の非経皮的な電極を使用する、いわゆる干渉療法(IFT:interferential therapy)デバイス又は干渉電流(IFC:interferential current)デバイスが含まれる。従来のIFTデバイスの動作は、斜向かいに間隔を空けて配置された電極の対の両端に周波数が異なる電圧が印加されて、間隔を空けて配置された4つの電極の間に位置する解剖学的部位に低周波数「干渉」電流を生み出すという点で、従来のTENSとは異なっている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、添付の特許請求の範囲に記載される特徴のうちの1つ若しくは複数の特徴、及び/又は以下の特徴のうちの1つ若しくは複数の特徴、並びにそれらの組み合わせを含むことができる。一態様では、非経皮的な経耳介神経野刺激デバイスは、それぞれが人間の耳の耳介の腹側面に非経皮的に接触するようになっている、第1の複数の間隔を空けて配置された導電性の電極と、それぞれが耳介の背側面に非経皮的に接触するようになっている、第2の複数の間隔を空けて配置された導電性の電極と、電気回路であって、第1の複数の電極及び第2の複数の電極に結合されているとともに、第1の複数の電極及び第2の複数の電極のうちの少なくとも1つに電気刺激信号を選択的に印加して、第1の複数の電極と、第1の対の組み合わせに従って第1の複数の電極と対になっている第2の複数の電極のうちのそれぞれの1つと、の間に耳介を通して経耳介電流の第1のセットを流し、且つ、第1の複数の電極と、第1の対の組み合わせとは異なる第2の対の組み合わせに従って第1の複数の電極と対になっている第2の複数の電極のうちのそれぞれの1つと、の間に耳介を通して経耳介電流の第2のセットを流して、経耳介電流の第1のセット及び経耳介電流の第2のセットが耳介内の少なくとも1つの耳介神経野を刺激するように構成されている電気回路と、を備えることができる。
【0007】
別の態様では、非経皮的な経耳介神経野刺激デバイスは、人間の耳の耳介の腹側面の第1の部分に非経皮的に接触するようになっている第1の導電性の電極と、腹側面の第1の部分の反対側にある耳介の背側面の第1の部分に非経皮的に接触するようになっている第2の導電性の電極と、腹側面の第1の部分から間隔を空けて配置された、耳介の腹側面の第2の部分に非経皮的に接触するようになっている第3の導電性の電極と、腹側面の第2の部分の反対側にある耳介の背側面の第2の部分に非経皮的に接触するようになっている第4の導電性の電極と、第1の電極、第2の電極、第3の電極、及び第4の電極に結合された電気回路と、を備えることができ、この電気回路は、(i)第1の電極及び第2の電極のうちの少なくとも1つに第1の電気刺激信号を選択的に印加して、第1の経耳介電流を耳介の間に、耳介の横断面に平行な方向に耳介を通して短手方向に流すように、(ii)第3の電極及び第4の電極のうちの少なくとも1つに第2の電気刺激信号を選択的に印加して、第2の経耳介電流を耳介の間に、耳介の横断面に平行な方向に耳介を通して短手方向に流すように、(iii)第2の電極及び第3の電極のうちの少なくとも1つに第3の電気刺激信号を選択的に印加して、第3の経耳介電流を耳介の間に、耳介を通して斜向かいに流すように、且つ、(iv)第1の電極及び第4の電極のうちの少なくとも1つに第4の電気刺激信号を選択的に印加して、第4の経耳介電流を耳介の間に、耳介を通して斜向かいに流すように構成されている。
【0008】
本開示は例として図示されているものであり、添付の図面に限定するものではない。適切であると考えられる場合には、対応又は類似する要素を表示するために、参照番号が図面間で繰り返されている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】非経皮的な経耳介神経野刺激デバイスの一実施形態の側面の立面図である。
【
図2】断面線2-2に沿って見たときの、
図1のデバイスの断面図である。
【
図3】人間の耳の耳介の腹側面及び背側面に装着された、
図1及び
図2のデバイスの側面の立面図である。
【
図4】断面線4-4に沿って見たときの、
図3に図示されているデバイスの断面図である。
【
図5】単一の電圧ゲート回路、又は共通のグラウンド基準を有する複数の電圧ゲート回路を使用している、
図1~
図4に図示されているデバイスの4つの電極の間の経耳介電流の流れの可能な組み合わせを図示する表である。
【
図6】減結合されたグラウンド基準を有する2つの電圧ゲート回路を使用している、
図1~
図4に図示されているデバイスの4つの電極の間の経耳介電流の流れの可能な組み合わせのうちのいくつかを図示する別の表である。
【
図7】非経皮的な経耳介神経野刺激デバイスの別の実施形態の側面の立面図である。
【
図8】共通のグラウンド基準を有する電圧ゲート回路を使用している、
図7に図示されているデバイスの6つの電極の間の経耳介電流の流れの1つの例を図示する、単純化された図である。
【
図9A】非経皮的な電極が、経皮的に挿入可能な針電極を取り囲んでいるハイブリッド電極組立体の一実施形態の側面の立面図である。
【
図10】
図9A及び
図9Bのハイブリッド電極組立体のうちの複数のハイブリッド電極組立体の例示的な配置を実証している人間の耳の平面図である。
【
図11】
図10に図示されている、配置されたハイブリッド電極組立体の、断面線11-11に沿って見たときの断面図である。
【
図12】
図11に類似した、
図11のハイブリッド電極組立体への代替的なワイヤ接続スキームを図示する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図面の詳細な説明
本開示の概念は様々な修正形態及び代替的形態を受け入れるが、図面には本開示の特定の例示の実施形態が例として示されており、本明細書ではそれらが詳細に説明される。しかしながら、本開示の概念は、開示される特定の形態に限定されることを意図されず、むしろ、本開示及び添付の特許請求の範囲と矛盾しないすべての修正形態、均等物及び代替物を包含することを意図されることを理解されたい。
【0011】
本明細書で「1つの実施形態」、「一実施形態」、「例示的な実施形態」等と言う場合、記載された実施形態が特定の特徴、構造又は特性を含む場合があるが、すべての実施形態がその特定の特徴、構造又は特性を必ずしも含まなくてもよいことを示す。それに加え、このような言い回しは同じ実施形態を指す場合もあれば、必ずしも同じ実施形態を指していない場合もある。さらに、特定の特徴、構造又は特性が実施形態と関連して記載される場合、明示的に記載されているか否かを問わず、他の実施形態と関連してこのような特徴、構造又は特性を有効にすることが当業者の知識の範囲内にあると考えられる。なおさらに、本明細書に開示されている単一の特徴、構造又は特性はすべて、明示的に記載されているか否かを問わず、開示されている任意の1つ又は複数の他の特徴、構造又は特性と組み合わせることができ、したがって、このような組み合わせの型及び/又は数は限定されないと推論されるべきであることが企図される。
【0012】
本開示は、人間又は動物の耳介の背側面の皮膚と接触して装着された少なくとも2つの非経皮的な電極と、同じ耳介の腹側面の皮膚と接触して装着された少なくとも2つの非経皮的な電極と、を使用するデバイス及び方法に向けたものである。電極に電気刺激信号を選択的に印加して、耳介を通して複数の方向に電流の流れを向けて、耳介内で経耳介の、多方向の末梢神経野刺激を実現する。
【0013】
定義
本開示の目的のために、以下の用語を定義する。添付の特許請求の範囲に記載される同様の用語は、以下の用語と矛盾なく解釈されるものとする。
【0014】
耳介-人間又は動物の頭部の外側にある、人間又は動物の耳の目に見える部分。
【0015】
背側面-耳介の後面。
【0016】
腹側面-耳介の前面。
【0017】
耳介の前頭面-耳介を背側面と腹側面とに分割する平面。
【0018】
耳介の横断面-耳介の背側面及び腹側面を貫通し、耳介の前頭面に垂直な、耳介を頂部と底部とに分割する平面。
【0019】
経耳介-背側面から腹側面へ、及び/又はその逆へ、短手方向に耳介を通り抜けている。
【0020】
経耳介電流-背側面から腹側面へ、及び/又はその逆へ、短手方向に耳介を通り抜ける電流。
【0021】
非経皮的な(非経皮的に)接触、又は接触していること-物理的に接触しているが、貫通もせず、突き抜けもせず、それ以外の方法でも皮膚を突き破らない。
【0022】
経皮的な挿入-皮膚を貫通しているか、又は突き抜けている。
【0023】
干渉電流-2つが腹側面に沿って間隔を空けて、残りの2つが背側面に沿って間隔を空けて耳介に配置されている4つの電極間で、一方の腹側電極と、間隔を空けて配置された背側電極のうちの一方との間に耳介を通して斜向かいに確立された電流が第1の周波数を有し、もう一方の腹側電極と、間隔を空けて配置されたもう一方の背側電極との間に耳介を通して斜向かいに確立された別の電流が第2の周波数を有するときに、2つの電流が交差した耳介内の空間における干渉電流が、第1の周波数と第2の周波数との間の差に等しい周波数を有する。
【0024】
第1の実施形態
図1~
図4を参照すると、非経皮的な経耳介神経野刺激デバイス10の一実施形態が示されている。デバイス10は、
図1~
図4に図示されている実施形態では、複数の非経皮的な電極、例えば、A、B、C及びDと、電気回路、例えば、
図1及び
図3に図示されている、電気刺激信号を生成し、生成された電気刺激信号を電極に供給するための回路14と、を含む。電極は、皮膚の表面に接触しているが、突き抜けもせず、貫通もせず、それ以外の方法でも皮膚の表面を突き破らずに位置決めされ、電気回路が電気刺激信号を生成し、電気刺激信号を電極に印加するように構成されている点で、非経皮的である。電極もまた、導電性であり、下記でより詳細に説明するように、耳介の腹側面及び背側面の皮膚表面との接触を介して耳介内の組織に電気刺激信号を送達する機能を果たす。例示的な一実施形態では、電極は、低抵抗、高導電性、高密度のシリコーンコネクタ、例えば、Fujipoly America Corp.of Carteret,New Jerseyから、ZEBRA(登録商標)Elastomeric Electronic Connectorという商標で市販されているようなシリコーンコネクタの形で設けられる。代替的な実施形態では、電極のうちの1つ又は複数は、1つ又は複数の導電性材料から作られているか、又は導電性材料を含んでいる剛性の電極、半剛性の電極、又は可撓性の電極の形で設けることができ、導電性材料の例には、銅、アルミニウム、金、銀、プラチナ、パラジウム、ベリリウム、ニッケル、タングステン、チタン、ステンレス鋼などが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、電極の形成に使用される材料を制限して、例えば、ニッケルなどのアレルギーを引き起こす一般的な材料を除外するか、又は最低限に抑えることができる。いくつかの実施形態では、電極A、B、C、Dのうちの1つ又は複数と、耳介30の皮膚との間の低抵抗接触は、電極と耳介30との間で接触を行う前に、耳介30の皮膚上、及び/又は、電極A、B、C、Dのうちの1つ又は複数の表面上に従来の導電性ゲル、若しくは他の電導性物質を提供することによって強化することができる。
【0025】
いくつかの実施形態では、電極、例えば、
図1~
図4に描かれたA、B、C及びD、並びに電気回路、例えば、
図1及び
図3に描かれた電気回路14は、人間又は動物の耳介に動作可能に取り付けられるように構成された可撓性の(又は半可撓性の)キャリア12に装着されているか、又は、それ以外の方法でキャリアによって支えられている。図示されている実施形態では、可撓性のキャリア12の形状は、特に、人間の耳介30に動作可能に取り付けられるようになっているが、人間の耳に取り付けるための代替的な形状、及び/又は、片方若しくは両方の動物の耳専用の他の形状が、本開示の範囲内にあるように意図されることが理解されよう。
図1及び
図3に図示されている実施形態では、可撓性のキャリア12は、人間の耳32の耳介30の耳輪34の少なくともの一部分に沿って長手方向に延在するように、且つ、
図3に最もはっきりと図示されているように、耳輪34のその一部分の周りを少なくとも部分的に短手方向に覆い包むようにサイズが決められ、構成された細長い本体部12Aを実例として含む。
【0026】
上側翼部材12Bは、細長い本体12Aの上側端部又は頂端部に画定され、下側翼部材12Cは、本体12Aの下側端部に画定されている。上側翼部材12Bは、耳介30の腹側面36の少なくとも第1の部分上に延在するように、且つ、背側面38の少なくとも第1の部分上に延在するようにサイズが決められている。この点に関して、上側翼部材12Bは、本体12Aの対応する上側端部から離間するように短手方向に、一方の方向、例えば、前方方向に延在する第1の翼12B
1と、本体12Aの対応する上側端部から離間するように短手方向に、反対の方向、例えば、後方方向に延在する第2の翼12B
2と、を含む。第1の翼12B
1は、腹側面36の第1の部分上に延在し、第1の部分に付着するように構成され、第2の翼12B
2は、背側面38の第1の部分上に延在し、第1の部分に付着するように構成され、
図3に図示されているように、上側翼部材12Bが耳輪34の周りを覆い包み、第1の翼12B
1と、第2の翼12B
2との間で耳輪34に取り付けられている。
【0027】
電極のうちの1つであるAが第1の翼12B
1に実例として装着され、電極のうちの別の1つであるBが第2の翼12B
2に装着されている。
図2の例によって図示されているように、電極Aの少なくとも一部分が、第1の翼12B
1の底面で露出されることで、電極Aは、上側翼12Bが耳介30の腹側面36の第1の部分に取り付けられているときに耳介30の腹側面36の第1の部分の皮膚と接触し、接触したままの状態であるようになっている。同様に、電極Bの少なくとも一部分が、第2の翼12B
2の底面で露出されることで、電極Bは、上側翼12Bが耳介30の背側面38の第1の部分に取り付けられているときに耳介30の背側面38の第1の部分の皮膚と接触し、接触したままの状態であるようになっている。電極Aが接触する腹側面36の第1の部分は、腹側面36の任意の部分とすることができるか、又は任意の部分を含むことができ、これらの部分には、限定ではないが、解剖学的用語が一般的に理解されているので、舟状窩、対耳輪ヒダ、対耳輪、対耳輪の上側脚部、対耳輪の下側脚部、三角窩、耳甲介、対耳輪及び耳甲介の脚部、並びに、耳甲介腔が含まれることを理解されたい。電極Bが接触する背側面38の第1の部分は、電極Aが接触して設けられている腹側面36の部分の、概して(短手方向に)反対側にある背側面38の任意の部分とすることができるか、又は任意の部分を含むことができる。
【0028】
下側翼部材12Cは、細長い本体12Aの上側端部又は頂端部の反対側にある、本体12Aの下側端部又は底端部に画定されている。下側翼部材12Cは、耳介30の腹側面36の少なくとも第2の部分上に延在するように、且つ、背側面38の少なくとも第2の部分上に延在するようにサイズが決められている。この点に関して、下側翼部材12Cは、本体12Aの対応する下側端部から離間するように短手方向に、上側翼部材12Bの第1の翼12B1の方向と同じ方向に延在する第1の翼12C1と、本体12Aの対応する下側端部から離間するように短手方向に、反対の方向に、すなわち、上側翼部材12Bの第2の翼12B2の方向と同じ方向に延在する第2の翼12C2と、を含む。
【0029】
第1の翼12B1は、腹側面36の第1の部分上に延在し、第1の部分に付着するように構成され、第2の翼12B2は、背側面38の第1の部分上に延在し、第1の部分に付着するように構成され、
図3に示されているように、上側翼部材12Bが耳輪34の周りを覆い包み、第1の翼12B1と第2の翼12B2との間で耳輪34に取り付けられている。電極Cは第1の翼12C
1に実例として装着され、電極Dは第2の翼12C
2に装着されている。電極Cの少なくとも一部分が、第1の翼12C
1の底面で露出されることで、電極Cは、下側翼12Cが耳介30の腹側面36の第2の部分に取り付けられているときに耳介30の腹側面36の第2の部分の皮膚と接触し、接触したままの状態であるようになっている。同様に、電極Dの少なくとも一部分が、第2の翼12C
2の底面で露出されることで、電極Dは、下側翼12Cが耳介30の背側面38の第2の部分に取り付けられているときに耳介30の背側面38の第2の部分の皮膚と接触し、接触したままの状態であるようになっている。電極Cが接触する腹側面36の第2の部分は、電極Aが接触する部分よりも下の腹側面36の任意の部分とすることができるか、又は任意の部分を含むことができる。電極Aが接触する腹側面36の領域は、用途によって実例として変わる場合があり、それに応じて、この領域は、腹側面36の任意の適切な残りの部分とすることができるか、又は任意の適切な残りの部分を含むことができ、これらの部分には、限定ではないが、舟状窩、対耳輪ヒダ、対耳輪、対耳輪の上側脚部、対耳輪の下側脚部、三角窩、耳甲介、対耳輪、耳甲介の脚部、並びに、耳甲介腔が含まれる。電極Dが接触する背側面38の第2の部分は、電極Dが接触して設けられている腹側面36の部分の、概して(短手方向に)反対側にある背側面38の任意の部分とすることができるか、又は任意の部分を含むことができる。
【0030】
キャリア12は、下記で詳細に説明するように、電気回路14が装着される電気回路装着部12E、及び、本体12Aと電気回路装着部12Eとの間の回路延長部材12Dをさらに含む。実例として、回路延長部材12Dは、本体12Aの、上側翼部材12Bと下側翼部材12Cとの間の部分から後方に、例えば、翼12B2及び12C2と同じ方向に延在し、したがって、電気回路装着部12Eは、同様に本体12Aに対して後方にある。代替的な実施形態では、電気回路装着部12Eは、本体12Aの他の部分から延在していてもよい。いずれにせよ、数M個の導電体が、キャリア12の様々な部分に沿って延在して、電極A、B、C及びDをそれぞれ、電気回路14に電気的に接続する。Mは任意の正の整数とすることができる。いくつかの実施形態では、導電体のうちの1つ又は複数、又はすべてが、キャリア12内に埋め込まれ、他の実施形態では、導電体のうちの1つ又は複数、又はすべてが、キャリア12の頂面若しくは底面に取り付けられている。
【0031】
図2の例によって図示されているように、粘着層20は、
図3に図示され、上記で説明したように、キャリア12を、例えば、貼付して耳介30に取り付ける目的で、キャリア12の底面のうちのすべての部分、又は1つ又は複数の部分を被覆することができる。いくつかのそのような実施形態では、紙など取り外し可能な層又は他のそのような層22が粘着層20を被覆して、貼付前の粘着層20を保護することができる。取り外し可能な層22は、この層を含む実施形態では、
図3に図示されているように、キャリア12を耳介30に取り付ける前に取り外されることになっている。
図2に図示されている粘着層20は、可撓性のキャリア12を耳介30に取り付けるための構造及び技法の単なる一例を表しており、本開示は、可撓性のキャリア12を耳介30に取り付けるために、貼付するために、装着するために、又はそれ以外の方法で固定するために、1つ又は複数の他の従来の構造及び技法を使用することも代替的に、又は追加的に企図していることが認識されるであろう。例示的な一実施形態では、キャリア12は、織物材料の形で設けられているが、本開示は代替的な実施形態も企図しており、代替的な実施形態では、キャリア12は、限定されるべきではないが、不織布、1つ又は複数の他の織布若しくは不織布生地、ラテックス、又はポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン、及び/又は、ポリウレタンなどの1つ又は複数の適切なプラスチック材料とすることができるか、又はそれらを含むことができる。
【0032】
ここで特に
図1を参照すると、キャリア12の電気回路装着部12Eに装着されているか、又はそれ以外の方法で電気回路装着部によって支えられている電気回路14は、信号発生回路15と、少なくとも1つの対応する導電体17を介して信号発生回路14に電気的に接続された少なくとも1つの電源16と、を実例として含む。いくつかの実施形態では、電気回路14は、対応する数N個の導電体19
1~19
Nを介して信号発生回路14に電気的に接続された、数N個の電圧調節スイッチ18
1~18
Nをさらに実例として含み、この場合のNは、任意の正の整数とすることができる。信号発生回路15は、下記でより詳細に説明するように、電極A、B、C、Dのうちの1つ又は複数に電気刺激信号を選択的に印加して、腹側面36と接触した電極A、Bのうちの1つ又は複数と、背側面38と接触した電極C、Dのうちの1つ又は複数との間に耳介30の組織を通して、1つ又は複数の経耳介電流を流すことで、耳介30内の1つ又は複数の耳介神経野を刺激するように構成され、且つ、そのように動作可能である。
【0033】
図1にさらに図示されているように、信号発生回路14の一実施形態は、少なくとも1つの電源16と、任意の数N個の従来のゲート回路46
1~46
Nとに電気的に結合された、少なくとも1つの制御回路40を実例として含む。なお、この場合のNは、上記で説明したように、任意の正の整数とすることができる。一実施形態では、少なくとも1つの制御回路40は、従来のメモリ44に通信可能に結合された、少なくとも1つの従来のプロセッサ又はコントローラ42の形で実例として設けられ、メモリ44は、命令、すなわち、1つ又は複数のプログラムがそこに格納されており、プロセッサ又はコントローラ42によって実行されると、プロセッサ又はコントローラ42に、1つ又は複数のゲート回路46
1~46
Nに供給される電気刺激制御信号を生成させる。1つ又は複数のゲート回路46
1~46
Nは、次には、プロセッサ又はコントローラ42によって生じた電気刺激制御信号に応答して、少なくとも1つの電源16によって生じた電力を使用して電極A、B、C、Dのうちの1つ又は複数に印加されることになる電気刺激信号を発生させる。代替的な実施形態では、少なくとも1つの制御回路40は、1つのアナログ及び/又はデジタルハードウェア回路、若しくは、アナログ及び/又はデジタルハードウェア回路の組み合わせなど、他の形で設けられてもよい。
【0034】
1つ又は複数のゲート回路461~46Nは、下記でより詳細に説明するように、少なくとも1つの制御回路40によって実例として制御されて、電極A、B、C、Dのうちの1つ又は複数に電圧を選択的に印加する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの制御回路40は、1つ又は複数のゲート回路461~46Nを含むことができる。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の、例えば、各ゲート回路につき1個の電圧調節スイッチ181~18Nを設けて、ゲート回路によって生じた最高及び/又は最低電圧の調節ができるようにする。実例として、このようなゲート回路は、それ/それらを含む実施形態では、従来の感圧性電圧調節スイッチの形で設けてもよい。ただし、他の従来の電圧調節スイッチ又はアクチュエータをこの代わりに使用してもよい。いずれにせよ、電圧調節スイッチ181~18Nのうちの1つ又は複数は、一実施形態では、製造中及び/又は後続の試験中にのみ、調節されるように構成及び/又は修正することができ、他の実施形態では、電圧調節スイッチ181~18Nのうちの1つ又は複数は、ユーザ及び/又はユーザを手助けする人によって調節可能であるように構成及び/又は修正することができる。
【0035】
図1に図示されている実施形態では、キャリア12に装着されるか、又はそれ以外の方法でキャリアによって支えられている単一の電源16が示されている。一実施形態では、電源16は、例えば、従来のバッテリの形で実例として設けられた、DC電源である。他の実施形態では、電源16は、1つ又は複数の他の従来のAC及び/又はDC電圧源、及び/又は電流源、或いは蓄電デバイスとすることができるか、又はこれらを含むことができる。いくつかの実施形態では、2つ以上の任意の型の電源16が含まれていてもよい。示されているような単一の電源16だけを含む実施形態では、この単一の電源16が、1つ又は複数のゲート回路18
1~18
Nを含めた、すべての電力を消費する回路に電力を供給する。2つ以上のこのようなゲート回路を含むいくつかの実施形態では、このようなゲート回路がすべて共通の電力基準電位、例えば、グラウンド基準を実例として共有するように、信号発生回路14を構成することができる。2つ以上のゲート回路を含む他の実施形態では、ゲート回路のうちの少なくとも2つの電力基準が互いに減結合されるように、信号発生回路14を構成することができる。いずれにせよ、信号発生回路15の回路部品は、例えば、電極A、B、C、Dのうちの1つ又は複数に供給される電気刺激信号のうちの1つ又は複数の電気刺激信号の1つ又は複数の属性を制御するようにプログラム、電気的相互接続、及び/又はそれ以外の方法で構成されるなどして、電気信号の属性を制御するように、実例として動作可能である。このような属性の例は、限定されるべきではないが、スイッチング周波数、デューティサイクル、信号継続時間、信号印加間の休止時間、最高電圧レベル及び/又は最低電圧レベル、最大電流レベル及び/又は最小電流レベル、電極のうちの2つ以上の両端に印加された電圧の極性、信号系列印加継続時間、及び少なくとも1つの電気刺激信号が生じる全治療継続時間とすることができるか、又はこれらを含むことができる。
【0036】
ここで
図4を参照すると、
図3の断面線4-4に沿って見たときの断面図が示されている。
図4に示されているように、キャリア12は、例えば、粘着層20を介して、耳介30に取り付けられていることで、電極A及び電極Cが、耳介30の腹側面36の皮膚表面と接触するとともに、腹側面36に沿って互いに間隔を空けて配置され、且つ、電極B及び電極Dが、同様に耳介30の背側面38の皮膚表面と接触するとともに、背側面38に沿って互いに間隔を空けて配置されるようになっている。電極Bは、電極Aと実例として位置合わせされ、電極Dは、電極Cと実例として位置合わせされている。図示されている配置は好適であるが、実際には、電極A、B及び/又は電極C、Dは、互いに対して若干ずれている場合があるので、厳密に求められるものではない。いずれの場合も、電極A、B、C、Dは、電極に供給された電気刺激信号に応答して、一方の方向に、電極Aと電極Bとの間、電極Cと電極Dとの間、電極Aと電極Dとの間、及び電極Bと電極Cとの間に、耳介30を通して経耳介電流を流すようになっている。下記でより詳細に説明するように、電気刺激信号は、耳介30を通してただ1つのこのような経耳介電流を任意の1回に流すように、耳介30を通してこのような経耳介電流の任意の組み合わせを同時に流すように、及び/又は、耳介30を通して一連の任意のこのような経耳介電流を経時的に及び/又は時間系列で流すように制御することができる。
【0037】
ここで
図5を参照すると、少なくとも1つのDC電圧源16を使用して電極A、B、C、Dに印加し得る電圧極性の、可能なすべての組み合わせの表50が示されている。このような4つの電極A、B、C、Dが存在するので、2
4=16個の可能な組み合わせが存在する。さらに言えば、Kが任意の正の、通常は偶数の、整数であるK個の電極を含む実施形態であれば、このような電極に印加し得る電圧極性の、可能な組み合わせの総数は、2
Kである。矢印付きの線は、印加電圧に応答して耳介30を通る電流の流れの方向を表す。電極A、B、C、Dに印加される電圧は同時に印加され、単一のゲート回路46か、共通の電力源基準を共有する複数のゲート回路かのいずれかによって、物理的に印加されることがこれらの描写から明白である。極性の組み合わせ1及び16だけが電流の流れを発生させず、残りの組み合わせの結果、耳介30を通る、耳介30の横断面に平行な方向に電流の流れ、例えば、極性の組み合わせ7に描かれた2つの貫通電流、耳介30を通る、斜向かいに電極Aと電極Dとの間及び/又は電極Bと電極Cとの間の電流の流れと、例えば、極性の組み合わせ6に描かれた2つの斜向かいの電流、及び/又は皮膚に沿った、少なくとも部分的に、腹側面36及び/又は背側面38の耳介組織の中への電流の流れ、例えば、極性の組み合わせ7に描かれるような、腹側面36の皮膚表面に沿って電極Aと電極Cとの間に流れる電流、及び背側面38の皮膚表面に沿って電極Dと電極Bとの間に流れる電流と、が生じる。
【0038】
上記で説明したように、電気刺激パルスを電極A、B、C、Dに印加する2つ以上のゲート回路の電源基準を減結合することもまた可能である。このようにしておくと、電極A、B、C、Dのうち、特に、対になっている電極間にのみ電流の流れを仕向けることによって、
図5に描かれた電流の流れの可能性が効果的に修正される。
図6を参照すると、例えば、ゲート回路VG1及びVG2に減結合された2つの基準(グラウンド)を使用する4つの可能な経耳介電流の流れのシナリオを描いている表60が示されている。ゲートの組み合わせ1では、電極Aと電極Bとの間にVG1によって正電圧が印加され、別個の(すなわち、減結合された)正電圧が、VG2によって電極Cと電極Dとの間に同時に印加される。その結果、電極Aから電極Bに向けて耳介30を通る第1の経耳介電流と、電極Cから電極Dに向けて耳介30を通る第2の経耳介電流とが同時に流れる。このような電流はいずれも、耳介30の生理学的横断面に平行な方向に流れる。ゲートの組み合わせ2では、VG1及びVG2の極性は反対になっており、その結果、ゲートの組み合わせ1に描かれているものと同じ第1の経耳介電流及び第2の経耳介電流だが、反対方向の流れが生じている。
【0039】
ゲートの組み合わせ3では、VG1によって電極Aと電極Dとの間に正電圧が印加され、別個の(すなわち、減結合された)正電圧が、VG2によって電極Cと電極Bとの間に同時に印加される。その結果、電極Aから電極Dに向けて耳介30を通る第3の経耳介電流と、電極Cから電極Bに向けて耳介30を通る第4の経耳介電流とが同時に流れる。第3の経耳介電流は、耳介30を通して電極Aと電極Dとの間に下向きの斜向かい方向に流れ、第4の経耳介電流は、耳介30を通して電極Cと電極Bとの間に下向きの斜向かい方向に流れる。ゲートの組み合わせ4では、VG1及びVG2の極性は反対になっており、その結果、ゲートの組み合わせ3に描かれているものと同じ第3の経耳介電流及び第4の経耳介電流だが、それぞれ反対方向の流れが生じている。
【0040】
図5及び
図6から明白であるように、耳介30の腹側面36に接触している電極A及び電極Cを、背側面38に接触している電極B及び電極Dのうちの別々の電極と制御可能に、且つ、選択的に対にし、次に、経耳介電流の流れの方向を制御するように印加電圧の極性をさらに制御することによって、様々な経耳介電流の流れを確立することができる。一例として
図6に図示されているゲートの組み合わせを使用すると、ゲートの組み合わせ1及び2では、VG1及びVG2は第1の対にセットされ、この対では、電極Aが電極Bと対になり、電極Cが電極Dと対になっている。ゲートの組み合わせ3及び4では、VG1及びVG2は第2の対にセットされ、この対では、電極Aが電極Dと対になり、電極Bが電極Cと対になっている。電気回路14によって生成された電気刺激信号は、次に、例えば、1対ずつ順番に、様々な対に印加され、例えば、ゲートの組み合わせ1及び/又は2を使用して、耳介30を通して経耳介電流の第1のセットを流し、次に、例えば、ゲートの組み合わせ3及び/又は4を使用して、耳介30を通して経耳介電流の第2のセットを流す。発電信号のこのような印加は、連続して印加すること、すなわち、経耳介電流のうちの一方のセットは流れるが、もう一方は流れないようにし、次に、それを逆にすること、又は、
図5に図示されているように、共通の基準電位、例えば、グラウンド基準を共有するゲート回路を同時に使用して、若しくは、
図6に図示されているように、基準、例えば、グラウンド基準が減結合されたゲート回路を使用して、連続して印加することができる。
【0041】
前述の説明から、耳介30を通して対応する経耳介電流を流して、耳介30内の少なくとも1つの耳介神経野を刺激することにより治療を提供する目的で、電気回路14をプログラムするか、又はそれ以外の方法で、電気刺激信号を、例えば、電圧又は電圧差異の形で、電極A、B、C、Dの様々な組み合わせに、同時に及び/又は連続して、上記で説明した任意の所望の信号属性で、選択的に印加するように構成することが可能であることが明らかであるはずである。耳介神経野刺激を提供するためのこのような電気刺激信号の1つの例示的なシーケンスは、以下の通りである。ただし、当業者には、このシーケンスは、デバイス10を使用して実施し得る多数の様々な実現可能な治療法の単なる1つを表していることがわかるであろう。デバイス10を使用して実施可能であるこのような様々な治療法はすべて、本開示の範囲内にあるように意図されていることが理解されよう。いずれにせよ、以下の例示的なシーケンスは、
図6に図示されているように、電極A、B、C、Dに電圧及び電圧差異を選択的に印加するように制御可能な2つのグラウンド基準減結合ゲート回路の使用を想定するものである。
【0042】
例示的な治療シーケンス
以下の項目1~16のパターンは、Q時間単位の各繰り返しパターンの間に静止時間又は休止時間(電気刺激信号が印加されない)を有しながら、P時間単位の間、実例として連続して繰り返される。合計治療時間は、R時間単位である。
【0043】
1.組み合わせ1に従って、TヘルツでU時間単位の間、Sボルトを印加する。
【0044】
2.V時間単位の静止又は休止。
【0045】
3.組み合わせ2に従って、TヘルツでU時間単位の間、Sボルトを印加する。
【0046】
4.V時間単位の静止又は休止。
【0047】
5.組み合わせ1に従って、WヘルツでU時間単位の間、Sボルトを印加する。
【0048】
6.V時間単位の静止又は休止。
【0049】
7.組み合わせ2に従って、WヘルツでU時間単位の間、Sボルトを印加する。
【0050】
8.V時間単位の静止又は休止。
【0051】
9.組み合わせ3に従って、TヘルツでU時間単位の間、Sボルトを印加する。
【0052】
10.V時間単位の静止又は休止。
【0053】
11.組み合わせ4に従って、TヘルツでU時間単位の間、Sボルトを印加する。
【0054】
12.V時間単位の静止又は休止。
【0055】
13.組み合わせ3に従って、WヘルツでU時間単位の間、Sボルトを印加する。
【0056】
14.V時間単位の静止又は休止。
【0057】
15.組み合わせ4に従って、WヘルツでU時間単位の間、Sボルトを印加する。
【0058】
16.V時間単位の静止又は休止。
【0059】
変数P~Wの例示的な値は、以下の通りであるが、他の実施態様では、P~Wのうちの1つ又は複数は、様々な値を取り得ることが理解されよう。
P=15分。
Q=1分。
R=72時間。
S=4.2ボルト。
T=1Hz。
U=1ミリ秒。
V=2000ミリ秒。
W=10Hz。
【0060】
いくつかの実施形態では、項目1~16のうちの1つ又は複数は、省略される場合及び/又はパターンの様々な点において実行される場合があることで、連続するパターンが、任意の順番で実行される項目1~16のうちのいずれかの任意の組み合わせを含み得るようになっていることがさらに理解されよう。いくつかの代替的な実施形態では、4つの電極A、B、C及びDのうちの対A、Dと対B、Cとの間に流れる2つの電流が交差した耳介30内の空間に干渉電流を確立するために、ステップ9、11、13及び15のうちのいずれか、又はすべてにおいて電極Aと電極Dとの間に印加された電圧は、電極Bと電極Cとの間に印加された電圧とは異なる周波数を有することができる。
【0061】
第2の実施形態
非経皮的な経耳介神経野刺激デバイス10の第1の実施形態は、2つの電極が間隔を空けて耳介30の腹側面36と接触し、残りの2つの電極が間隔を空けて背側面38と接触している4つの電極A、B、C、Dを含むものとして
図1~
図6に図示され、上記で説明されている。しかしながら、電極及び/又は電極対の総数を制限することを意図したり、制限することを暗示したりするものではないことが理解されよう。この点に関して、非経皮的な経耳介神経野刺激デバイス100の第2の実施形態が
図7及び
図8に図示され、このデバイスは合計6つの電極A~Fを含み、そのうちの3つの電極A、E及びCが間隔を空けて耳介30の腹側面36と接触し、残りの3つの電極B、F及びDが間隔を空けて背側面38と接触している。
図1~
図3に図示されているキャリア12に似たキャリア120は、本体120Aと、電極A及び電極Bがそれぞれ装着されている第1の翼120B
1及び第2の翼120B
2を画定する上側翼部材120Bと、電極C及び電極Dがそれぞれ装着されている第1の翼120C
1及び第2の翼120C
2を画定する下側翼部材120Cと、電気回路14が装着されている電気回路装着部120Fと、本体120Aと電気回路装着部120Fとの間の回路延長部材120Eと、を含む。
図1~
図3に図示されているキャリア12とは異なり、キャリア120は、翼120B
1と翼120B
2との間に、これらの翼と同じ方向に本体から短手方向に離間するように延在する中間翼120Dをさらに含む。電極Eは中間翼120Dに装着されており、電極Fは回路延長部材120Fに装着されている。図示されている実施形態では、電極A、E、及びCは、本体120Aを2等分する仮想の長手方向線を中心に短手方向にそれぞれ互いに位置合わせされている。ただし、キャリア120に対する電極の他の実現可能な場所も企図されるので、このような位置合わせは厳密に求められるものではないことが理解されよう。
【0062】
図示されている電極配列では、電流の流れの組み合わせの合計2
6=64個の可能な組み合わせが、電圧電位を電極A~Fに、及びこれら電極のうちの様々な電極の間に、選択的に印加することによって実現することができ、この点に関して、1つの例示的な組み合わせが
図8に図示されている。
図1~
図6に図示されているデバイス10の場合のように、電気回路14は、1つ又は複数のゲート回路を含むことができる。複数のゲート回路が含まれている場合には、2つ以上のこのようなゲート回路が、共通の基準電位、例えば、グラウンド基準を共有することができ、且つ/又は2つ以上のゲート回路が、減結合された基準、例えば、減結合されたグラウンド基準を有することができる。
【0063】
第3の実施形態
図1~
図6、及び
図7、
図8にそれぞれ図示されている、耳介神経野刺激デバイス10及び100の第1の実施形態及び第2の実施形態は、上記で説明したような、経耳介的な対で互いに間隔を空けて配置された4つ以上の非経皮的な電極を含む。第3の実施形態は、複数の非経皮的な経耳介電極対のうちの少なくとも1つを、少なくとも1つの非経皮的に接触する電極と、耳32の耳介30の中へと経皮的に挿入するための少なくとも1つの針電極と、をそれぞれが有するハイブリッド経耳介電極対と置き換えている。このようなハイブリッド電極の一実施形態が、ハイブリッド電極組立体200の形で
図9A及び
図9Bに図示されている。
【0064】
図9A及び9Bを参照すると、ハイブリッド電極組立体200は、概して平坦な表面214Aを有する概して円板の形をした、非導電性の(すなわち、電気的に絶縁する)ハウジング202を含み、このハウジング上に、従来のやり方で導電性リング204が形成されるか、又は取り付けられ、ハウジングの中へと、絶縁された導電体206がリング204との電気的接触、すなわち、取り付け部まで延在している。図示されている実施形態では、リング204はハウジング202に外接しているが、代替的な実施形態では、リング204は、それぞれが導電体206に電気的に接続された、2つ以上のピースに細分化されてもよい。リング204の外周は、円形のハウジング202の外周に実例として隣接しているが、代替的な実施形態では、ハウジング202の表面214Aの少なくとも一部分がリング204の外周を越えて延在するように、リング204の外周は、ハウジング202の外周の内側にあってもよい。1つの例示的な実施態様は、いかなる点においても限定であると見なすべきではないが、この実施態様では、円形のハウジング202は、約2ミリメートル(mm)の高さ又は厚さ、及び約3mmの直径を有する。ただし、代替的な実施態様では、高さ又は厚さは2mmよりも大きくても小さくてもよく、且つ/又は、直径は3mmよりも大きくても小さくてもよい。それに加え、
図9A及び
図9Bに図示されているハウジング202の円板構成は、実例としてのみ提供されており、代替的な実施形態では、ハウジング202は他の形状又は構成を有し得ることが理解されよう。
【0065】
やはり実例として概して円板の形をした針ハウジング208は、表面214Aとは反対側のハウジング202の表面214Bに結合されている。一実施形態では、針ハウジング208は、ハウジング202とは別個のものであり、従来のやり方でハウジングに取り付けられているか、又は貼付されている。ただし、ハウジング202及び208が単体構造であるように、針ハウジング208がハウジング202と一体化されている代替的な実施形態も企図されている。いずれにせよ、絶縁された導電体212が、針ハウジング208の中へと延在し、針ハウジング208によって支えられた導電性の針又は針電極210に電気的に接続されている。針又は針電極210は、針ハウジング208から、ハウジング202の中心を通って延在し、針210の一部分が、ハウジング202の表面214Aから離間するように外に向かって延在するようになっている。
図9Bに最も良く示されているように、導電性のリング204の内周は、針電極210がハウジング202の表面214Aのリング状部分216の分だけ、リング204から間隔を空けて配置された状態で、針電極210を取り囲んでいる。したがって、導電性の針電極210は、ハウジング202及び218によって導電性のリング204から電気的に絶縁され、導電体206及び212は互いに独立しており、それぞれがリング204及び針電極210のそれぞれの1つに取り付けられている。図示されている実施形態では、ハイブリッド電極組立体202は、単一の針電極210を有するが、代替的な実施形態では、針電極210は、それぞれが導電体212に電気的に接続された1つ又は複数の追加の針電極で増強することができる。
【0066】
いくつかの実施形態では、
図1~
図8に図示されている少なくとも1つの非経皮的な電極の経耳介的な対は、同様に互いに対して経耳介関係で配置された1対のハイブリッド電極組立体200で置き換えることができ、その針電極210は、耳介30の中へと経皮的に挿入され、その導電性のリング204がそれぞれの針電極210の周りで皮膚に非経皮的に接触するまで、耳介の中を進む。いくつかのこのような実施形態では、
図1~
図8に図示されている非経皮的な電極の経耳介的な対はすべて、対応するハイブリッド電極組立体200の対で置き換えることができる。他の実施形態では、
図1~
図8に図示されている非経皮的な電極が可能であるのと同様に、ハイブリッド電極組立体200は、
図3に図示されている場所又は位置とは異なる耳介30に沿った場所又は位置に、経耳介的な対で配置することが可能である。
【0067】
図10及び
図11を参照すると、例えば、代替的な耳介神経野刺激デバイス10’の一実施態様が示されおり、図では、電極はハイブリッド電極組立体200の2つの経耳介的な対200A、200B及び対200C、200Dの形で設けられている。ハイブリッド電極組立体200Aは、耳介30の腹側面36の、概して対耳輪33の上方の、三角窩35に実例として配置することができ、ハイブリッド電極組立体200Bは、ハイブリッド電極組立体200Aの向かい側の背側面38に配置することができることで、電極組立体200A、200Bが電極の経耳介的な対を形成するようになっている。ハイブリッド電極組立体200Cは、図示されている実施形態では、耳たぶ37の腹側面36に配置することができ、ハイブリッド電極組立体200Dは、ハイブリッド電極組立体200Cの向かい側の、耳たぶ37の背側面38に配置することができることで、電極組立体200C、200Dが別の電極の経耳介的な対を形成するようになっている。他の実施態様では、電極組立体200A~200Dの経耳介的な対のうちのいずれか、又は両方は、耳介に沿った他の場所に配置することができること、及び/又は、デバイス10’は、耳介30に沿った任意の場所に配置された2つ以上の追加のハイブリッド電極組立体200の経耳介的な対、及び/又は非経皮的な電極を含むことができることが理解されよう。
【0068】
いずれにせよ、ハイブリッド電極組立体200は、いくつかの実施形態では、
図1~
図4及び
図7に図示されている可撓性のキャリア12によって支えること、すなわち、可撓性のキャリアに動作可能に結合することができる。ただし、他の実施形態では、ハイブリッド電極組立体はそれぞれ、耳介30に個々に結合されている場合がある。個々に結合されている場合では、ハウジング202はそれぞれ、個別の、裏に粘着剤が付いた、上記で説明したような可撓性のキャリアと実例として嵌合することができる。或いは、リング204と耳介30の皮膚表面との間の接触を促進し、維持するために、適切な粘着剤又は他の取り付け用媒体をハウジング202の領域216に塗布することができる。上記で説明したフィルム22のような取り外し可能なフィルムを使用して、電極組立体200を配置する前の、このような粘着剤又は他の取り付け用媒体を保護することができる。
【0069】
ハイブリッド電極組立体200A~200Dの導電体208、212は、
図1に図示されているのと同様に、電気回路14に電気的に結合されているが、デバイス10’の電気的な制御は、デバイス10’の電気回路14が、各電極組立体200A~200D内で2つの電極構造をそれぞれ独立して制御するという点で、デバイス10、100の電気的な制御とは異なっている。ハイブリッド電極組立体200A~200Dを制御するための例示的なプロセスを下記で詳細に説明する。
図3に図示されているように、電気回路14は、患者に、例えば、耳32の後ろ又は他の場所に取り付け可能である。代替的な実施形態では、電気回路14は、患者が携帯可能な、及び/又は患者に取り付け可能な適切な回路ハウジングに収容することができる。
【0070】
図10及び
図11に図示されている例では、各ハイブリッド電極組立体200A~200Dは、
図9A及び
図9Bに図示され、上記で説明したように、合計8つの導電体用に2つの絶縁された導電体208、212に接続されている。
図11では、針電極210に電気的に結合された導電体212は、A、C、E及びGと表記され、リング電極204に電気的に結合された導電体208は、B、D、F及びHとそれぞれ表記されている。耳介30を通して対応する電流を流して、耳介30内の少なくとも1つの耳介神経野を刺激することにより治療を提供する目的で、電気刺激信号を、例えば、電圧又は電圧差異の形で、電極A~Hの様々な組み合わせに、同時に、個別に、及び/又は連続して、且つ、上記で説明した任意の所望の信号属性で、選択的に印加するように電気回路14をプログラムするか、又はそれ以外の方法で構成することが可能である。
【0071】
一実施形態では、電気回路14は、電気刺激処置の第1段階の間、経皮的に挿入された針電極210だけに電圧/電流を選択的に供給し、それに続いて、第1段階とは別個の電気刺激処置の第2段階の間、非経皮的なリング電極204だけに電圧/電流を選択的に供給するように、実例として構成されている。いくつかのこのような実施形態では、各第2段階処置を行う前に任意の回数の第1段階処置を実行することができ、逆もまた可能である。1つの特定の例示的な実施態様では、各第1段階処置の後に、1回の第2段階処置が続く。別の例示的な実施態様では、2回の第1段階処置が行われ、続いて1回の第2段階処置が行われ、続いて2回の第1段階処置が行われる、というように続いていく。さらに別の例示的な実施態様では、3回又は4回の第1段階処置が行われ、続いて1回の第2段階処置が行われ、続いて3回又は4回の第1段階処置が行われる、というように続いていく。前述の例のいずれにおいても、代替的な実施態様は、各1回又は複数回の第1段階処置の間に、2回以上の第2段階処置を行うことを含むことができる。さらに他の代替的な実施形態では、それぞれ1回だけの第1段階処置の間に、複数回の第2段階処置を行うことができる。当業者は、他の処置の組み合わせを認識するであろうし、このような他の組み合わせはすべて、本開示の範囲内にあるように意図されることが理解されよう。
【0072】
連続する第1段階処置のシーケンス及び第2段階処置のシーケンスの間に、回路14によって電極A~Hに印加される電気刺激信号の例示的な治療シーケンスは、以下の通りであるが、当業者は、これらの処置のシーケンスが、デバイス10’を使用して実施し得る、多種多様な実現可能なシーケンスの組み合わせ及び治療法のうちの1つを表しているにすぎないことを認識するであろう。デバイス10’を使用して実施可能であるこのような様々なシーケンスの組み合わせ及び/又は治療法はすべて、本開示の範囲内にあるように意図されていることが理解されよう。
【0073】
例示的な治療シーケンス
第1段階処置:
以下の例示的な第1段階処置のシーケンスは、針電極A、C、E及びGだけを利用し、針電極A、C、E及びGの任意の1つが、グラウンド又は基準電極として使用される。この例では、針電極Gが基準電極として使用されることになるが、他の治療シーケンスでは、及び/又はこの例示的な治療シーケンスの第1段階処置の他の実例では、基準電極は残りの針電極A、C及びEのうちのいずれかとし得ることが理解されよう。以下の項目1~8のパターンは、P時間単位の間、実例として連続して繰り返され、項目1~8のパターンをP時間単位の間、繰り返し実行した後に続いて、Q時間単位の静止時間又は休止時間を有する。
【0074】
1.A、C及びEに、TヘルツでU時間単位の間、Sボルトを同時に印加する。
【0075】
2.V時間単位の静止又は休止。
【0076】
3.A、C及びEに、WヘルツでU時間単位の間、Sボルトを同時に印加する。
【0077】
4.V時間単位の静止又は休止。
【0078】
5.A、C及びEに、TヘルツでU時間単位の間、-Sボルトを同時に印加する。
【0079】
6.V時間単位の静止又は休止。
【0080】
7.A、C及びEに、WヘルツでU時間単位の間、-Sボルトを同時に印加する。
【0081】
8.V時間単位の静止又は休止。
【0082】
変数P~Wの例示的な値は、以下の通りであるが、他の実施態様では、P~Wのうちの1つ又は複数は、様々な値を取り得ることが理解されよう。
P=15分。
Q=2分。
S=3.2ボルト。
T=1Hz。
U=1ミリ秒。
V=2秒。
W=10Hz。
【0083】
いくつかの実施形態では、項目1~8のうちの1つ又は複数は、省略される場合及び/又はパターンの様々な点において実行される場合があることで、連続するパターンが、任意の順番で実行される項目1~8のうちのいずれかの任意の組み合わせを含み得るようになっていることがさらに理解されよう。
【0084】
第2段階処置:
以下の第2段階処置のシーケンスは、リング電極B、D、F及びHだけを利用し、電極A、B、C及びDに関して
図6に図示されているように、電極B、D、F及びHに電圧及び電圧差異を選択的に印加するように制御可能な2つのグラウンド基準減結合ゲート回路を使用することを前提とするものである。この点に関して、ゲートの組み合わせ1は、VG1によって電極Bと電極Dとの間に印加された正電圧、及びVG2によって電極Eと電極Fとの間に同時に印加された別個の(すなわち、減結合された)正電圧を指し、ゲートの組み合わせ2は、VG1及びVG2の極性が逆になったゲートの組み合わせ1を指し、ゲートの組み合わせ3は、VG1によって電極Bと電極Hとの間に印加された正電圧、及びVG2によって電極Fと電極Dとの間に同時に印加された別個の(すなわち、減結合された)正電圧を指し、ゲートの組み合わせ4は、VG1及びVG2の極性が逆になったゲートの組み合わせ3を指す。
【0085】
以下の項目1~16のパターンは、Q時間単位の各繰り返しパターンの間に静止時間又は休止時間(電気刺激信号が印加されない)を有しながら、P時間単位の間、実例として連続して繰り返される。
【0086】
1.組み合わせ1に従って、TヘルツでU時間単位の間、Sボルトを印加する。
【0087】
2.V時間単位の静止又は休止。
【0088】
3.組み合わせ2に従って、TヘルツでU時間単位の間、Sボルトを印加する。
【0089】
4.V時間単位の静止又は休止。
【0090】
5.組み合わせ1に従って、WヘルツでU時間単位の間、Sボルトを印加する。
【0091】
6.V時間単位の静止又は休止。
【0092】
7.組み合わせ2に従って、WヘルツでU時間単位の間、Sボルトを印加する。
【0093】
8.V時間単位の静止又は休止。
【0094】
9.組み合わせ3に従って、TヘルツでU時間単位の間、Sボルトを印加する。
【0095】
10.V時間単位の静止又は休止。
【0096】
11.組み合わせ4に従って、TヘルツでU時間単位の間、Sボルトを印加する。
【0097】
12.V時間単位の静止又は休止。
【0098】
13.組み合わせ3に従って、WヘルツでU時間単位の間、Sボルトを印加する。
【0099】
14.V時間単位の静止又は休止。
【0100】
15.組み合わせ4に従って、WヘルツでU時間単位の間、Sボルトを印加する。
【0101】
16.V時間単位の静止又は休止。
【0102】
変数P~Wの例示的な値は、以下の通りであるが、他の実施態様では、P~Wのうちの1つ又は複数は、様々な値を取り得ることが理解されよう。
P=15分。
Q=1分。
S=4.2ボルト。
T=1Hz。
U=1ミリ秒。
V=2秒。
W=10Hz。
【0103】
いくつかの実施形態では、項目1~16のうちの1つ又は複数は、省略される場合及び/又はパターンの様々な点において実行される場合があることで、連続するパターンが、任意の順番で実行される項目1~16のうちのいずれかの任意の組み合わせを含み得るようになっていることがさらに理解されよう。いずれにせよ、一連の1つ又は複数の第1段階処置のサイクルとそれに続く第2段階処置の1つ又は複数のサイクルは、120時間の期間にわたって実例として実行され、その後、治療は中止される。非限定的な1つの例示的な実施態様では、第1段階処置の少なくとも2つのシーケンスが各第2段階処置の間で実行される。いくつかの代替的な実施形態では、4つの電極B、H、F及びDのうちの対B、Hと対F、Dとの間に流れる2つの電流が交差した耳介30内の空間に干渉電流を確立するために、ステップ9、11、13及び15のうちのいずれか、又はすべてにおいて電極Bと電極Hとの間に印加された電圧は、電極Fと電極Dとの間に印加された電圧とは異なる周波数を有することができる。
【0104】
第4の実施形態
耳介神経野刺激デバイス10’の第3の実施形態は、
図9A~
図11に図示され、上記で説明されているように、電気回路14に接続された別個の、専用の導電体をそれぞれが有する8つの電極A~Hを含むことで、電気回路14が各電極A~Hを独立して制御するようになっている。第4の実施形態10’’では、対照的に、各電極組立体200A’~200D’のリング電極204は、
図12の例によって図示されているように、電極組立体の針電極210に電気的に接続されている。このような接続は、ハウジング202、208内で、又はハウジング202、208に隣接した外部で実例として行うことができ、いずれの場合も、電気回路14と、電極組立体200A’~200D’のそれぞれとの間に、単一の導電体だけが延在している。
図12に図示されている実施形態では、電極組立体200A’~200D’に印加された電気信号が、電極組立体の各電極204、210に同時に印加される。この点に関して、上記で説明した第1段階処置を行うことは、上記で説明したような針電極210を介して経皮的な治療を提供するだけでなく、リング電極204を介して従来のTENS治療もさらに同時に提供する。同様に、上記で説明した第2段階処置を行うことは、上記で説明したようなリング電極204を介して第2段階処置の治療を提供するだけでなく、経皮的に挿入された針電極210を介して集中した第2段階処置の治療もさらに同時に提供する。リング電極204が、すべての電極組立体200A’~200D’の数よりも少ない数の、例えば、電極組立体200A’~200D’のうちの1つ又は複数の針電極210にのみ、電気的に接続されているさらなる代替的な実施形態も企図されることが理解されよう。
【0105】
図面及び前述の説明において本開示を詳細に図示及び説明してきたが、このような図示及び説明は、その性質が例示的であり、限定的ではないと見なされるべきであり、単に例示的な実施形態が示され、説明されていること、並びに、本開示及び列挙されている特許請求の範囲と矛盾しないすべての変更形態及び修正形態が保護されることが望まれることを理解されたい。