(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-27
(45)【発行日】2023-04-04
(54)【発明の名称】リーン車両
(51)【国際特許分類】
B62K 5/10 20130101AFI20230328BHJP
B62K 5/05 20130101ALI20230328BHJP
B62K 5/027 20130101ALI20230328BHJP
B62J 15/00 20060101ALI20230328BHJP
B62J 25/00 20200101ALI20230328BHJP
【FI】
B62K5/10
B62K5/05
B62K5/027
B62J15/00 B
B62J25/00
(21)【出願番号】P 2021529170
(86)(22)【出願日】2020-07-01
(86)【国際出願番号】 JP2020025902
(87)【国際公開番号】W WO2021002404
(87)【国際公開日】2021-01-07
【審査請求日】2021-12-20
(31)【優先権主張番号】P 2019123219
(32)【優先日】2019-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142022
【氏名又は名称】鈴木 一晃
(74)【代理人】
【識別番号】100085213
【氏名又は名称】鳥居 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100196623
【氏名又は名称】松下 計介
(72)【発明者】
【氏名】倉掛 元仁
(72)【発明者】
【氏名】内山 克弘
【審査官】西中村 健一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/216727(WO,A1)
【文献】特開2017-094906(JP,A)
【文献】特開2013-256237(JP,A)
【文献】国際公開第2014/098223(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62K 5/027、5/05、5/10
B62J 15/00、25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体フレームと、
前記車体フレームに支持され、クロス部、左サイド部及び右サイド部を有するリンク機構と、
前記左サイド部に対して、左操舵軸線回りに回転可能に支持され、かつ、前記左操舵軸線の軸線方向に変位不能に支持される左前輪と、
前記右サイド部に対して、右操舵軸線回りに回転可能に支持され、かつ、前記右操舵軸線の軸線方向に変位不能に支持される右前輪と、
前記左前輪よりも後ろに位置し、運転者の左足を載せる左足載置面を有する左フートステップ部と、
前記右前輪よりも後ろに位置し、運転者の右足を載せる右足載置面を有する右フートステップ部と、
前記左フートステップ部を前記左サイド部に連結する左フートステップ連結部と、
前記右フートステップ部を前記右サイド部に連結する右フートステップ連結部と、
を備え、
左に旋回する際には左に傾斜し、右に旋回する際には右に傾斜するリーン車両であって、
前記リーン車両の傾斜中に、前記車体フレームの上下方向における前記車体フレームに対する位置関係が変化する一方、前記車体フレームの上下方向における前記左サイド部及び前記左フートステップ部に対する位置関係が変化しないように、且つ、前記左前輪が前記左操舵軸線回りに回転している間に、前記左前輪と共に回転せず、前記左サイド部及び前記左フートステップ部に対する位置関係が変化しないように、前記左フートステップ部と前記左前輪との間で、前記左フートステップ連結部に支持される左フロントガード部と、
前記リーン車両の傾斜中に、前記車体フレームの上下方向における前記車体フレームに対する位置関係が変化する一方、前記車体フレームの上下方向における前記右サイド部及び前記右フートステップ部に対する位置関係が変化しないように、且つ、前記右前輪が前記右操舵軸線回りに回転している間に、前記右前輪と共に回転せず、前記右サイド部及び前記右フートステップ部に対する位置関係が変化しないように、前記右フートステップ部と前記右前輪との間で、前記右フートステップ連結部に支持される右フロントガード部と、
を備える、リーン車両。
【請求項2】
請求項1に記載のリーン車両において、
前記左フロントガード部は、前記左フートステップ連結部に沿って延びており、
前記右フロントガード部は、前記右フートステップ連結部に沿って延びている、リーン車両。
【請求項3】
請求項2に記載のリーン車両において、
前記左フロントガード部は、
前記リーン車両の前後方向に見て前記左前輪と重なり且つ前記リーン車両の上下方向に見て前記左前輪と重なるように設けられ、
前記右フロントガード部は、前記リーン車両の前後方向に見て前記右前輪と重なり且つ前記リーン車両の上下方向に見て前記右前輪と重なるように設けられる、リーン車両。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載のリーン車両において、
前記左フートステップ連結部は、前記左前輪の後ろに前記左前輪に沿って前記左サイド部から後ろに向かうほど下に位置するように延び、前部が前記左サイド部に接続され、後部が前記左フートステップ部の前部を支持し、
前記右フートステップ連結部は、前記右前輪の後ろに前記右前輪に沿って前記右サイド部から後ろに向かうほど下に位置するように延び、前部が前記右サイド部に接続され、後部が前記右フートステップ部の前部を支持している、リーン車両。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一つに記載のリーン車両において、
前記左フロントガード部の下端は、前記左フートステップ部の前記左足載置面の前端部と同じ高さかそれよりも下に位置し、
前記右フロントガード部の下端は、前記右フートステップ部の前記右足載置面の前端部と同じ高さかそれよりも下に位置している、リーン車両。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一つに記載のリーン車両において、
前記左フートステップ部および前記右フートステップ部は、それぞれ、上下方向に水を通さない水通過防止構造を有する、リーン車両。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一つに記載のリーン車両において、
上下方向および前後方向に延びる板状で、前記左フートステップ部の右に位置するように前記左フートステップ部および前記左フートステップ連結部の少なくとも一方に取り付けられ、運転者の左足をガードする左サイドガード部と、
上下方向および前後方向に延びる板状で、前記右フートステップ部の左に位置するように前記右フートステップ部および前記右フートステップ連結部の少なくとも一方に取り付けられ、運転者の右足をガードする右サイドガード部と、
をさらに備え、
前記左フートステップ部の右端は、前記左サイドガード部の左面よりも右に位置し、
前記右フートステップ部の左端は、前記右サイドガード部の右面よりも左に位置している、リーン車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リーン車両に関する。
【背景技術】
【0002】
運転者が左フートステップ部に左足を載せるとともに右フートステップ部に右足を載せて乗車する立ち乗り型のリーン車両が知られている。このようなリーン車両として、例えば非特許文献1には、立ち乗り型の2輪車両が開示されている。
【0003】
前記非特許文献1の2輪車両では、左フートステップ部および右フートステップ部は、それぞれ、車体フレームに固定されている。前記左フートステップ部は、2輪車両を左右方向から見て前輪と後輪との間で、且つ、前輪および後輪よりも左に位置している。前記右フートステップ部は、2輪車両を左右方向から見て前輪と後輪との間で、且つ、前輪および後輪よりも右に位置している。
【0004】
前記非特許文献1の2輪車両の前部には、前輪の水跳ねによって運転者の足元が濡れるのを防止する水跳ね防止部材が配置されている。前記水跳ね防止部材は、前輪を支持する部材に取り付けられているため、前輪を操舵軸回りに回転させると、前輪と共に左右に回転する。
【0005】
特許文献1には、車体フレームと、左前輪と、右前輪と、前記左前輪を支持している左懸架部と、前記右前輪を支持している右懸架部と、前記左前輪及び前記右前輪よりも上に位置し、前記車体フレームに対する前記左前輪及び前記右前輪の相対位置を変更して前記車体フレームを前記車両の左または右に傾斜させるように構成されているリンク機構とを備えた車両が開示されている。前記リンク機構は、左右方向に延びる上クロス部材及び下クロス部材と、前記上クロス部材及び前記下クロス部材の右端部を回転可能に支持する右サイド部材と、前記上クロス部材及び前記下クロス部材の左端部を回転可能に支持する左サイド部材とを含んでいる。
【0006】
また、特許文献1に開示された車両は、前記リンク機構に荷重を伝達する荷重伝達機構を備えている。前記荷重伝達機構は、左足置き部と右足置き部とを含んでいる。前記左足置き部は、左足置き面と左連結部材とを含んでいる。前記右足置き部は、右足置き面と右連結部材とを含んでいる。前記左足置き面上には、起立した運転者の左足が載置される。前記左連結部材は、左足置き面と左サイド部材とを連結している。前記右足置き面上には、起立した運転者の右足が載置される。前記左連結部材は、左足置き面と左サイド部材とを連結している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【非特許文献】
【0008】
【文献】“glafit[プレスリリース]”、glafit株式会社、[令和2年6月12日検索]、インターネット(https://glafit.com/news/pr20200528)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、前記特許文献1に開示されているように左前輪の後ろに左足置き面が位置すると共に右前輪の後ろに右足置き面が位置する車両では、濡れた路面を走行する際に、左前輪および右前輪によって跳ね上げられた水が運転者の足元にかかる可能性がある。
【0010】
そのため、車両に、左前輪の水跳ねにより運転者の足元が濡れるのを防止する左水跳ね防止部材と、右前輪の水跳ねにより運転者の足元が濡れるのを防止する右水跳ね防止部材とを設けることが考えられる。前記左前輪を支持する部材に、左前輪の水跳ねによって運転者の足元が濡れないような大型の左水跳ね防止部材を設けるとともに、前記右前輪を支持する部材に、右前輪の水跳ねによって運転者の足元が濡れないような大型の右水跳ね防止部材を設けた場合、前記左前輪および前記右前輪を操舵して左右に回転させた際に、前記左水跳ね防止部材が前記左前輪と共に回転し、前記右水跳ね防止部材が前記右前輪と共に回転する。従って、車両には、前記左前輪と左連結部との間に前記大型の左水跳ね防止部材が回転するための空間が必要となり、前記右前輪と右連結部との間に前記大型の右水跳ね防止部材が回転するための空間が必要となる。
【0011】
上述のように左前輪と左連結部との間に空間を設ける場合には、前記左前輪に対して、前記左連結部を後ろまたは上にずらして配置する必要がある。前記左連結部を後ろにずらして空間を設けた場合には、車両の前後方向の長さが大きくなる。
【0012】
一方、前記左連結部を上にずらして上述のような空間を設けた場合には、前記左前輪及び前記左水跳ね防止部材の回転領域である前記空間を避けるように、ヘッドパイプを配置する必要がある。そのため、本来であれば車両の低い位置に配置したいヘッドパイプを低い位置に配置することができず、車両を上下方向にコンパクトな構成にすることが難しい。なお、上述のように左前輪と左連結部との間に空間を設ける場合と同様に、右前輪と右連結部との間に空間を設ける場合も、車両を前後方向及び上下方向にコンパクトな構成にすることが難しい。
【0013】
本発明は、左前輪および右前輪を有するリーン車両において、車両のコンパクト化を図りつつ、前記左前輪および前記右前輪の水跳ねにより運転者の足元が濡れるのを防止可能な構成を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、路面が濡れた状態でリーン車両が走行した際に、左前輪および右前輪の水跳ねにより運転者の足元が濡れるのを防止可能な構成について検討した。
【0015】
本発明者らは、鋭意検討の結果、以下のような構成に想到した。
【0016】
本発明の一実施形態に係るリーン車両は、車体フレームと、前記車体フレームに支持され、クロス部、左サイド部及び右サイド部を有するリンク機構と、前記左サイド部に対して、左操舵軸線回りに回転可能に支持され、かつ、前記左操舵軸線の軸線方向に変位不能に支持される左前輪と、前記右サイド部に対して、右操舵軸線回りに回転可能に支持され、かつ、前記右操舵軸線の軸線方向に変位不能に支持される右前輪と、前記左前輪よりも後ろに位置し、運転者の左足を載せる左足載置面を有する左フートステップ部と、前記右前輪よりも後ろに位置し、運転者の右足を載せる右足載置面を有する右フートステップ部と、前記左フートステップ部を前記左サイド部に連結する左フートステップ連結部と、前記右フートステップ部を前記右サイド部に連結する右フートステップ連結部と、を備え、左に旋回する際には左に傾斜し、右に旋回する際には右に傾斜するリーン車両である。このリーン車両は、傾斜中に、前記車体フレームの上下方向における前記車体フレームに対する位置関係が変化する一方、前記車体フレームの上下方向における前記左サイド部及び前記左フートステップ部に対する位置関係が変化しないように、且つ、前記左前輪が前記左操舵軸線回りに回転している間に、前記左前輪と共に回転せず、前記左サイド部及び前記左フートステップ部に対する位置関係が変化しないように、前記左フートステップ部と前記左前輪との間で、前記左フートステップ連結部に支持される左フロントガード部と、前記リーン車両の傾斜中に、前記車体フレームの上下方向における前記車体フレームに対する位置関係が変化する一方、前記車体フレームの上下方向における前記右サイド部及び前記右フートステップ部に対する位置関係が変化しないように、且つ、前記右前輪が前記右操舵軸線回りに回転している間に、前記右前輪と共に回転せず、前記右サイド部及び前記右フートステップ部に対する位置関係が変化しないように、前記右フートステップ部と前記右前輪との間で、前記右フートステップ連結部に支持される右フロントガード部と、を備える。
【0017】
上述のリーン車両では、左フロントガード部は、前記リーン車両の傾斜中に、車体フレームの上下方向における前記車体フレームに対する位置関係が変化する一方、前記車体フレームの上下方向における左サイド部及び左フートステップ部に対する位置関係が変化しないように、且つ、左前輪が左操舵軸線回りに回転している間に、前記左前輪と共に回転せず、前記左サイド部及び前記左フートステップ部に対する位置関係が変化しないように、左フートステップ部と左前輪との間で、左フートステップ連結部に支持される。
【0018】
これにより、前記リーン車両が傾斜している場合でも、前記左前輪が前記左操舵軸線回りに回転している場合でも、前記左フートステップ部上に載置された運転者の左足を、前記左フロントガード部によって前から覆うことができる。したがって、前記左前輪の水跳ねによって、運転者の左足が濡れるのを防止できる。
【0019】
右フロントガード部は、前記リーン車両の傾斜中に、前記車体フレームの上下方向における前記車体フレームに対する位置関係が変化する一方、前記車体フレームの上下方向における右サイド部及び右フートステップ部に対する位置関係が変化しないように、かつ、前記右前輪が右操舵軸線回りに回転している間に、前記右前輪と共に回転せず、前記右サイド部及び前記右フートステップ部に対する位置関係が変化しないように、右フートステップ部と右前輪との間で、右フートステップ連結部に支持される。
【0020】
これにより、前記リーン車両が傾斜している場合でも、前記右前輪が前記右操舵軸線回りに回転している場合でも、前記右フートステップ部上に載置された運転者の右足を、前記右フロントガード部によって前から覆うことができる。したがって、前記右前輪の水跳ねによって、運転者の右足が濡れるのを防止できる。
【0021】
しかも、上述のリーン車両では、左フロントガード部は、左前輪が左操舵軸線回りに回転している間に、左前輪と共に回転しないように、左フートステップ連結部に支持される。右フロントガード部は、右前輪が右操舵軸線回りに回転している間に、右前輪と共に回転しないように、右フートステップ連結部に支持される。すなわち、上述のリーン車両では、左前輪と左フートステップ連結部との間に左フロントガード部が回転するための空間、および右前輪と右フートステップ連結部との間に右フロントガード部が回転するための空間を設ける必要がない。
【0022】
従って、上述の構成により、左前輪に対して左フートステップ連結部を後ろにずらす必要がなく、右前輪に対して右フートステップ連結部を後ろにずらす必要がない。よって、車両を前後方向にコンパクトな構成にすることができる。また、上述の構成により、左前輪及び右前輪の上方に大型の水跳ね防止部材を配置するための空間を設ける必要がないため、車両を上下方向にコンパクトな構成にすることができる。
【0023】
上述の構成によって、左前輪および右前輪を有するリーン車両において、車両のコンパクト化を図りつつ、前記左前輪および前記右前輪の水跳ねにより運転者の足元が濡れるのを防止可能な構成を得ることができる。
【0024】
他の観点によれば、リーン車両は、以下の構成を含むことが好ましい。前記左フロントガード部は、前記左フートステップ連結部に沿って延びている。前記右フロントガード部は、前記右フートステップ連結部に沿って延びている。
【0025】
これにより、左フートステップ連結部に連結された左フートステップ部の前を、左フロントガード部によってより確実に覆うことができる。したがって、左前輪の水跳ねにより前記左フートステップ部上に載置された運転者の左足が濡れるのをより確実に防止できる。
【0026】
また、右フートステップ連結部に連結された右フートステップ部の前を、右フロントガード部によってより確実に覆うことができる。したがって、右前輪の水跳ねにより前記右フートステップ部上に載置された運転者の右足が濡れるのをより確実に防止できる。
【0027】
他の観点によれば、リーン車両は、以下の構成を含むことが好ましい。前記左フロントガード部は、前記リーン車両の前後方向に見て前記左前輪と重なり且つ前記リーン車両の上下方向に見て前記左前輪と重なるように設けられる。前記右フロントガード部は、前記リーン車両の前後方向に見て前記右前輪と重なり且つ前記リーン車両の上下方向に見て前記右前輪と重なるように設けられる。
【0028】
これにより、左前輪の後部且つ上部を、左フロントガード部によって、より確実に覆うことができる。したがって、前記左前輪によって跳ね上げられた水が運転者の左足の足元にかかるのを、前記左フロントガード部によってより確実に防止できる。
【0029】
また、右前輪の後部且つ上部を、右フロントガード部によって、より確実に覆うことができる。したがって、前記右前輪によって跳ね上げられた水が運転者の右足の足元にかかるのを、前記右フロントガード部によってより確実に防止できる。
【0030】
他の観点によれば、リーン車両は、以下の構成を含むことが好ましい。前記左フートステップ連結部は、前記左前輪の後ろに前記左前輪に沿って前記左サイド部から後ろに向かうほど下に位置するように延び、前部が前記左サイド部に接続され、後部が前記左フートステップ部の前部を支持している。前記右フートステップ連結部は、前記右前輪の後ろに前記右前輪に沿って前記右サイド部から後ろに向かうほど下に位置するように延び、前部が前記右サイド部に接続され、後部が前記右フートステップ部の前部を支持している。
【0031】
これにより、左前輪と左フートステップ連結部との隙間を小さくすることができる。よって、前記左フートステップ連結部に取り付けられた左フロントガード部を、前記左前輪により近い位置に配置することができる。したがって、前記左前輪によって跳ね上げられた水が運転者の左足の足元にかかるのを、前記左フロントガード部によってより確実に防止できる。
【0032】
また、右前輪と右フートステップ連結部との隙間を小さくすることができる。よって、前記右フートステップ連結部に取り付けられた右フロントガード部を、前記右前輪により近い位置に配置することができる。したがって、前記右前輪によって跳ね上げられた水が運転者の右足の足元にかかるのを、前記右フロントガード部によってより確実に防止できる。
【0033】
他の観点によれば、リーン車両は、以下の構成を含むことが好ましい。前記左フロントガード部の下端は、前記左フートステップ部の前記左足載置面の前端部と同じ高さかそれよりも下に位置している。前記右フロントガード部の下端は、前記右フートステップ部の前記右足載置面の前端部と同じ高さかそれよりも下に位置している。
【0034】
これにより、フロントガード部によって、フートステップ部の前をより確実に覆うことができる。従って、左前輪によって跳ね上げられた水が左フロントガード部の下から運転者の左足の足元にかかるのを防止できる。また、右前輪によって跳ね上げられた水が右フロントガード部の下から運転者の右足の足元にかかるのを防止できる。
【0035】
他の観点によれば、リーン車両は、以下の構成を含むことが好ましい。前記左フートステップ部および前記右フートステップ部は、それぞれ、上下方向に水を通さない水通過防止構造を有する。
【0036】
これにより、左前輪によって跳ね上げられた水が、左フートステップ部を上下方向に通過して運転者の左足の足元にかかるのを防止できる。また、右前輪によって跳ね上げられた水が、右フートステップ部を上下方向に通過して運転者の右足の足元にかかるのを防止できる。
【0037】
他の観点によれば、リーン車両は、以下の構成を含むことが好ましい。リーン車両は、上下方向および前後方向に延びる板状で、前記左フートステップ部の右に位置するように前記左フートステップ部および前記左フートステップ連結部の少なくとも一方に取り付けられ、運転者の左足をガードする左サイドガードと、上下方向および前後方向に延びる板状で、前記右フートステップ部の左に位置するように前記右フートステップ部および前記右フートステップ連結部の少なくとも一方に取り付けられ、運転者の右足をガードする右サイドガードと、をさらに備える。前記左フートステップ部の右端は、前記左サイドガードの左面よりも右に位置している。前記右フートステップ部の左端は、前記右サイドガードの右面よりも左に位置している。
【0038】
これにより、例えばリーン車両の走行中に左前輪によって跳ね上げられた水が運転者の右足にかかるのを、右サイドガードによって防止できる。同様に、例えばリーン車両の走行中に右前輪によって跳ね上げられた水が運転者の左足にかかるのを、左サイドガードによって防止できる。
【0039】
しかも、左フートステップ部の右端は、前記左サイドガードの左面よりも右に位置している。よって、前記左フートステップ部によって、前記左サイドガードの下をより確実に覆うことができる。従って、前記右前輪によって跳ね上げられた水が前記左フートステップ部の下から運転者の左足にかかるのを防止できる。また、右フートステップ部の左端は、前記右サイドガードの右面よりも左に位置している。よって、前記右フートステップ部によって、前記右サイドガードの下をより確実に覆うことができる。従って、前記左前輪によって跳ね上げられた水が前記右フートステップ部の下から運転者の右足にかかるのを防止できる。
【0040】
本明細書で使用される専門用語は、特定の実施例のみを定義する目的で使用されるのであって、前記専門用語によって発明を制限する意図はない。
【0041】
本明細書で使用される「及び/または」は、一つまたは複数の関連して列挙された構成物のすべての組み合わせを含む。
【0042】
本明細書において、「含む、備える(including)」、「含む、備える(comprising)」または「有する(having)」及びそれらの変形の使用は、記載された特徴、工程、要素、成分、及び/または、それらの等価物の存在を特定するが、ステップ、動作、要素、コンポーネント、及び/または、それらのグループのうちの1つまたは複数を含むことができる。
【0043】
本明細書において、「取り付けられた」、「接続された」、「結合された」、及び/または、それらの等価物は、広義の意味で使用され、“直接的及び間接的な”取り付け、接続及び結合の両方を包含する。さらに、「接続された」及び「結合された」は、物理的または機械的な接続または結合に限定されず、直接的または間接的な接続または結合を含むことができる。
【0044】
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての用語(技術用語及び科学用語を含む)は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。
【0045】
一般的に使用される辞書に定義された用語は、関連する技術及び本開示の文脈における意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本明細書で明示的に定義されていない限り、理想的または過度に形式的な意味で解釈されることはない。
【0046】
本発明の説明においては、いくつもの技術及び工程が開示されていると理解される。これらの各々は、個別の利益を有し、他に開示された技術の1つ以上、または、場合によっては全てと共に使用することもできる。
【0047】
したがって、明確にするために、本発明の説明では、不要に個々のステップの可能な組み合わせをすべて繰り返すことを控える。しかしながら、本明細書及び特許請求の範囲は、そのような組み合わせがすべて本発明の範囲内であることを理解して読まれるべきである。
【0048】
本明細書では、本発明に係るリーン車両の実施形態について説明する。
【0049】
以下の説明では、本発明の完全な理解を提供するために多数の具体的な例を述べる。しかしながら、当業者は、これらの具体的な例がなくても本発明を実施できることが明らかである。
【0050】
よって、以下の開示は、本発明の例示として考慮されるべきであり、本発明を以下の図面または説明によって示される特定の実施形態に限定することを意図するものではない。
【0051】
[リーン車両]
本明細書において、リーン車両とは、傾斜姿勢で旋回する車両である。具体的には、リーン車両は、左に旋回する際に左に傾斜し、右に旋回する際に右に傾斜する車両である。リーン車両は、一人乗りの車両であってもよいし、複数人が乗車可能な車両であってもよい。
【0052】
[前輪の後部]
本明細書において、前輪の後部とは、前輪において、該前輪の回転中心である車輪軸よりも後ろの部分を意味する。
【0053】
[前輪の上部]
本明細書において、前輪の上部とは、前輪において、該前輪の回転中心である車輪軸よりも上の部分を意味する。
【0054】
[左連結部の下端部]
本明細書において、左連結部の下端部とは、左連結部の下部のうち、左前輪によって跳ね上げられた水が運転者の左足に向かって飛散する領域に位置する部分である。左連結部の下端部は、左連結部において、該左連結部が接続される左足載置部に近い端部である。
【0055】
[右連結部の下端部]
本明細書において、右連結部の下端部とは、右連結部の下部のうち、右前輪によって跳ね上げられた水が運転者の右足に向かって飛散する領域に位置する部分である。右連結部の下端部は、右連結部において、該右連結部が接続される右足載置部に近い端部である。
【発明の効果】
【0056】
本発明の一実施形態によれば、左前輪および右前輪を有するリーン車両において、車両のコンパクト化を図りつつ、前記左前輪および前記右前輪の水跳ねにより運転者の足元が濡れるのを防止可能な構成を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【
図1】
図1は、実施形態に係るリーン車両の全体構成を示す左側面図である。
【
図2】
図2は、メインフレームカバーを外した状態のリーン車両の左側面図である。
【
図3】
図3は、リーン車両を前から見た場合の車両前部の構成を示す正面図である。
【
図4】
図4は、リーン車両の構成を示す上面図である。
【
図5】
図5は、リーン車両を左から見た場合の左足載置部と左フロントガード部との位置関係を模式的に示す図である。
【
図6】
図6は、リーン車両を前から見た場合の左足載置部と左サイドガードとの位置関係、および右足載置部と右サイドガードとの位置関係を模式的に示す図である。
【
図7】
図7は、リンク機構を拡大して示す斜視図である。
【
図8】
図8は、リーン車両の構成を示す背面図である。
【
図9】
図9は、左に傾斜した状態のリーン車両の構成を示す正面図である。
【
図10】
図10は、左に傾斜した状態のリーン車両の構成を示す背面図である。
【
図11】
図11は、リーン車両を右前から見た場合のリーン車両の斜視図である。
【
図12】
図12は、リーン車両を右後ろから見た場合のリーン車両の斜視図である。
【
図13】
図13は、(a)直立状態のリーン車両の構成を模式的に示す背面図、(b)傾斜状態のリーン車両の構成を模式的に示す背面図、(c)左前輪を左操舵軸線回りに回転させるとともに右前輪を右操舵軸線回りに回転させた状態のリーン車両において、前輪と左フロントガード部及び右フロントガード部との関係を模式的に示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0058】
以下で、実施形態について、図面を参照しながら説明する。各図において、同一部分には同一の符号を付して、その同一部分の説明は繰り返さない。なお、各図中の構成部材の寸法は、実際の構成部材の寸法及び各構成部材の寸法比率等を忠実に表したものではない。
【0059】
以下、図中の矢印Fは、リーン車両1の前方向を示す。図中の矢印Bは、リーン車両1の後方向を示す。図中の矢印Uは、リーン車両1の上方向を示す。図中の矢印Dは、リーン車両1の下方向を示す。図中の矢印Rは、リーン車両1の右方向を示す。図中の矢印Lは、リーン車両1の左方向を示す。また、リーン車両1の前後方向、左右方向及び上下方向は、それぞれ、リーン車両1を運転する運転者から見た場合に、リーン車両1を基準とした前後方向、左右方向及び上下方向を意味する。
【0060】
本実施形態のリーン車両1は、鉛直方向に対して車体フレームを左右方向に傾斜させて旋回する。そのため、上述の車両を基準とした方向に加え、車体フレームを基準とした方向を以下のように定める。図中の矢印FFは、車体フレームの前方向を示す。図中の矢印FBは、車体フレームの後方向を示す。図中の矢印FUは、車体フレームの上方向を示す。図中の矢印FDは、車体フレームの下方向を示す。図中の矢印FRは、車体フレームの右方向を示す。図中の矢印FLは、車体フレームの左方向を示す。また、車体フレームの前後方向、左右方向及び上下方向は、それぞれ、リーン車両を運転する運転者から見た場合に、車体フレームを基準とした前後方向、左右方向及び上下方向を意味する。
【0061】
(全体構成)
図1は、実施形態に係るリーン車両1の全体構成の概略を示す左側面図である。
図2は、リーン車両1において、メインフレームカバー25を外した状態を示す左側面図である。リーン車両1は、車両本体2と、左右一対の前輪3と、後輪4と、リンク機構5と、操舵機構6と、荷重伝達機構8とを備えている。すなわち、この実施形態におけるリーン車両1は、左右一対の前輪3を有する3輪車である。また、リーン車両1は、左に旋回する際に左に傾斜し、右に旋回する際に右に傾斜する車両である。
【0062】
なお、リーン車両1には、運転者が着座するシートが設けられていない。すなわち、リーン車両1は、運転者が立った状態で乗車する、いわゆる立ち乗り車両である。また、リーン車両1には、後輪4を支持するリアアームが設けられていない。リーン車両1の後輪4は、後述の車体フレーム21によって支持されている。また、リーン車両1には、前輪3及び後輪4を変位可能に弾性支持する緩衝装置が設けられていない。リーン車両1の前輪3及び後輪4は、後述の車体フレーム21に対して緩衝装置を介さずに支持されている。
【0063】
車両本体2は、車体フレーム21と、パワーユニット22とを備えている。
図1及び
図2において、車体フレーム21は直立状態である。以下の説明において、
図1または
図2を参照する場合には、車体フレーム21は直立状態を前提としている。なお、車体フレーム21が直立状態とは、車体フレーム21の上下方向が鉛直方向と同じ状態を意味する。
【0064】
図2に示すように、車体フレーム21は、パワーユニット22等を支持している。車体フレーム21は、ヘッドパイプ211(リンク支持部)と、メインフレーム212とを備えている。
【0065】
ヘッドパイプ211は、リーン車両1の前部に位置する。リーン車両1を左から見て、ヘッドパイプ211の上部は、車体フレーム21の前後方向において、ヘッドパイプ211の下部よりも後ろに位置する。ヘッドパイプ211の周囲には、リンク機構5が配置されている。ヘッドパイプ211には、後述のステアリングシャフト652が回転可能に挿入されている。
【0066】
メインフレーム212は、ヘッドパイプ211に接続されている。メインフレーム212は、車体フレーム21の前後方向において、ヘッドパイプ211よりも後ろに位置する。メインフレーム212は、パワーユニット22を支持している。メインフレーム212の後端部は、後輪4を、車輪軸41を中心として回転可能に支持している。
図1に示すように、メインフレーム212は、メインフレームカバー25によって覆われている。メインフレームカバー25は、メインフレーム212に支持されている。メインフレームカバー25は、樹脂製の部材である。
【0067】
図2に示すように、メインフレーム212は、アッパーフレーム213と、アンダーフレーム214とを備えている。
【0068】
アッパーフレーム213は、車体フレーム21を左から見て、ヘッドパイプ211から後輪4に向かって、車体フレーム21の前後方向における後ろ且つ車体フレーム21の上下方向における下に延びている。アッパーフレーム213の後端部は、後輪4の左右にそれぞれ位置するように2つに分岐されている。すなわち、アッパーフレーム213は、後輪4の左に位置するアッパーフレーム左後端部213a及び後輪4の右に位置するアッパーフレーム右後端部213bを有する。アッパーフレーム左後端部213a及びアッパーフレーム右後端部213bは、後述のアンダーフレーム左後端部214c及びアンダーフレーム右後端部214dとともに、後輪4を支持する。パワーユニット22は、アッパーフレーム213に支持されている。
【0069】
アンダーフレーム214は、アンダーフレーム前部214aと、アンダーフレーム後部214bとを有する。アンダーフレーム前部214aは、車体フレーム21を左から見て、ヘッドパイプ211から車体フレーム21の前後方向における後ろ且つ車体フレーム21の上下方向における下に延びている。アンダーフレーム前部214aの前端部は、ヘッドパイプ211に接続されている。
【0070】
アンダーフレーム後部214bは、車体フレーム21の前後方向において、アンダーフレーム前部214aの後端部から後ろに延びている。アンダーフレーム後部214bの後端部は、後輪4の左右にそれぞれ位置するように2つに分岐されている。すなわち、アンダーフレーム後部214bは、後輪4の左に位置するアンダーフレーム左後端部214c及び後輪4の右に位置するアンダーフレーム右後端部214dを有する。
【0071】
アンダーフレーム左後端部214cは、アッパーフレーム左後端部213aに接続されている。このようにアンダーフレーム左後端部214c及びアッパーフレーム左後端部213aが接続されることにより、メインフレーム左後端部212aが構成される。アンダーフレーム右後端部214dは、アッパーフレーム右後端部213bに接続されている。このようにアンダーフレーム右後端部214d及びアッパーフレーム右後端部213bが接続されることにより、メインフレーム右後端部212bが構成される。メインフレーム左後端部212a及びメインフレーム右後端部212bは、後輪4を支持する。
【0072】
このように、メインフレーム212がアッパーフレーム213及びアンダーフレーム214を有することにより、メインフレーム212の強度及び剛性を向上することができる。なお、メインフレームにおける車体フレームの上下方向の高さをより低くする場合には、メインフレームはアンダーフレームのみを有していてもよい。
【0073】
図3は、リーン車両1の前部を前から見た正面図である。
図3において、車体フレーム21は、直立状態である。以下の説明において、
図3を参照する場合には、車体フレーム21は直立状態を前提としている。
【0074】
図1から
図3に示すように、左右一対の前輪3は、車体フレーム21の上下方向において、ヘッドパイプ211及びリンク機構5よりも下に位置する。
図2に示すように、左右一対の前輪3は、後述する左懸架部61及び右懸架部62によって、支持されている。
【0075】
図1及び
図2に示すように、後輪4は、車体フレーム21の前後方向において、左右一対の前輪3よりも後ろに位置する。
【0076】
パワーユニット22は、リーン車両1を走行させる駆動力を発生する。
図2に示すように、パワーユニット22は、車体フレーム21の前後方向において、後輪4の車輪軸41よりも前に位置する。パワーユニット22は、車体フレーム21に固定されている。パワーユニット22は、図示しないモータ及びバッテリ221を含む。本実施形態では、前記モータは、後輪4のホイール4a内に配置されている。前記モータには、車体フレーム21のアッパーフレーム213に固定されたバッテリ221から電力が供給される。
【0077】
図3に示すように、左右一対の前輪3は、左前輪31と、右前輪32とを含む。左前輪31は、車体フレーム21の左右方向において、車体フレーム21の一部であるヘッドパイプ211よりも左に位置する。右前輪32は、車体フレーム21の左右方向において、ヘッドパイプ211よりも右に位置する。すなわち、左前輪31及び右前輪32は、車体フレーム21の左右方向に並んで位置する。
【0078】
図3に示すように、左前輪31は、左懸架部61に接続されている。詳しくは、左前輪31は、左懸架部61の下部に接続されている。左前輪31は、左懸架部61に、左車軸311を中心として回転可能に支持されている。左車軸311は、左懸架部61の下部に、車体フレーム21の左右方向に延びるように配置されている。
【0079】
右前輪32は、右懸架部62に接続されている。詳しくは、右前輪32は、右懸架部62の下部に接続されている。右前輪32は、右懸架部62に、右車軸321を中心として回転可能に支持されている。右車軸321は、右懸架部62の下部に、車体フレーム21の左右方向に延びるように配置されている。
【0080】
図4は、車体フレーム21の上下方向において、リーン車両1を上から見た上面図である。
図7は、リンク機構5を拡大して示す斜視図である。
図4及び
図7において、車体フレーム21は直立状態である。以下の説明において、
図4及び
図7を参照する場合には、車体フレーム21は直立状態を前提としている。
【0081】
リンク機構5は、平行四節リンク(パラレログラムリンクとも呼ばれる)方式のリンク機構である。
【0082】
図1から
図3に示すように、リンク機構5は、車体フレーム21の上下方向において、ハンドルバー651よりも下に位置する。リンク機構5は、車体フレーム21の上下方向において、左前輪31及び右前輪32よりも上に位置する。
【0083】
図1から
図3及び
図7に示すように、リンク機構5は、上クロス部51と、下クロス部52と、左サイド部53と、右サイド部54とを含む。リンク機構5は、ハンドルバー651の操作に伴うステアリングシャフト652の中間操舵軸線Zを中心とする回転に対して連動しない。すなわち、リンク機構5は、中間操舵軸線Zを中心として、車体フレーム21に対して回転しない。なお、上クロス部51及び下クロス部52が、クロス部に対応する。
【0084】
図1に示すように、上クロス部51は、車体フレーム21の前後方向において、ヘッドパイプ211よりも後ろに位置する。
図3に示すように、上クロス部51は、車体フレーム21の左右方向に延びている。
【0085】
図1及び
図2に示すように、下クロス部52は、車体フレーム21の上下方向において、上クロス部51よりも下に位置する。
図3に示すように、下クロス部52は、車体フレーム21の左右方向に延びている。
【0086】
図7に示すように、下クロス部52は、左右方向中央部に、ヘッドパイプ211が貫通する貫通孔52aを有する。また、下クロス部52は、車体フレーム21の左右方向において、左端部に、左サイド部53が位置する左切り欠き部52bを有し、右端部に、右サイド部54が位置する右切り欠き部52cを有する。
【0087】
図3及び
図4に示すように、左サイド部53は、車体フレーム21の左右方向において、ヘッドパイプ211の左に位置する。左サイド部53は、車体フレーム21の上下方向において、左前輪31よりも上に位置する。左サイド部53は、ヘッドパイプ211が延びる方向に延びている。左サイド部53は、ステアリングシャフト652の中間操舵軸線Zが延びる方向に延びている。左サイド部53の上部は、車体フレーム21の前後方向において、左サイド部53の下部よりも後ろに位置する。
【0088】
右サイド部54は、車体フレーム21の左右方向において、ヘッドパイプ211の右に位置する。右サイド部54は、車体フレーム21の上下方向において、右前輪32よりも上に位置する。右サイド部54は、ヘッドパイプ211が延びる方向に延びている。右サイド部54は、ステアリングシャフト652の中間操舵軸線Zが延びる方向に延びている。右サイド部54の上部は、車体フレーム21の前後方向において、右サイド部54の下部よりも後ろに位置する。
【0089】
図7に示すように、ヘッドパイプ211は、上中間連結部211aと、下中間連結部211bとを有する。
【0090】
上クロス部51の中間部は、上中間連結部211aを介してヘッドパイプ211に回転可能に連結されている。すなわち、上クロス部51は、上中間連結部211aを通り車体フレーム21の前後方向に延びる上中間連結軸線UI(中間軸線)を中心として、ヘッドパイプ211に対して回転可能である。
【0091】
下クロス部52の中間部は、下中間連結部211bを介してヘッドパイプ211に回転可能に連結されている。すなわち、下クロス部52は、下中間連結部211bを通り車体フレーム21の前後方向に延びる下中間連結軸線DI(中間軸線)を中心として、ヘッドパイプ211に対して回転可能である。
【0092】
左サイド部53は、上左連結部53aと、下左連結部53bとを有する。
【0093】
上クロス部51の左端部は、上左連結部53aを介して左サイド部53に回転可能に連結されている。すなわち、上クロス部51は、上左連結部53aを通り車体フレーム21の前後方向に延びる上左連結軸線UL(左軸線)を中心として、左サイド部53に対して回転可能である。
【0094】
下クロス部52の左端部は、下左連結部53bを介して左サイド部53に回転可能に連結されている。すなわち、下クロス部52は、下左連結部53bを通り車体フレーム21の前後方向に延びる下左連結軸線DL(左軸線)を中心として、左サイド部53に対して回転可能である。
【0095】
右サイド部54は、上右連結部54aと、下右連結部54bとを有する。
【0096】
上クロス部51の右端部は、上右連結部54aを介して右サイド部54に回転可能に連結されている。すなわち、上クロス部51は、上右連結部54aを通り車体フレーム21の前後方向に延びる上右連結軸線UR(右軸線)を中心として、右サイド部54に対して回転可能である。
【0097】
下クロス部52の右端部は、下右連結部54bを介して右サイド部54に回転可能に連結されている。すなわち、下クロス部52は、下右連結部54bを通り車体フレーム21の前後方向に延びる下右連結軸線DR(右軸線)を中心として、右サイド部54に対して回転可能である。
【0098】
上中間連結軸線UI、上右連結軸線UR、上左連結軸線UL、下中間連結軸線DI、下右連結軸線DR及び下左連結軸線DLは、互いに平行に延びている。上中間連結軸線UI、上右連結軸線UR、上左連結軸線UL、下中間連結軸線DI、下右連結軸線DR及び下左連結軸線DLは、車体フレーム21の上下方向において、左前輪31及び右前輪32よりも上に位置する。
【0099】
以上説明したように、上クロス部51、下クロス部52、左サイド部53及び右サイド部54は、上クロス部51と下クロス部52とが相互に平行な姿勢を保ち、且つ、左サイド部53と右サイド部54とが相互に平行な姿勢を保つように、車体フレーム21に支持されている。
【0100】
図3に示すように、操舵機構6は、左懸架部61と、右懸架部62と、左ブラケット63と、右ブラケット64と、操舵部材65と、操舵力伝達機構66とを含む。なお、操舵機構6の構成は、国際公開2020/111254に開示されている操舵機構と同様の構成である。よって、操舵機構6の詳しい構成の説明は省略する。よって、操舵機構6を用いたリーン車両1の操舵動作も、国際公開2020/111254に開示されている操舵動作と同様であるため、詳しい説明を省略する。
【0101】
左懸架部61は、リンク機構5に対して左前輪31を支持する。左懸架部61は、中間操舵軸線Zが延びる方向に延びている。左懸架部61の下端部は、左前輪31を支持している。左懸架部61は、左前輪31と後述する左連結部812との間の隙間が変位しないように左前輪31を支持している。左懸架部61の上端部は、左ブラケット63に固定されている。
【0102】
左ブラケット63は、その上部に図示しない左回転部材を有する。前記左回転部材は、リンク機構5の左サイド部53の内部に位置し、左サイド部53が延びる方向に延びている。前記左回転部材は、左サイド部53に対して、左操舵軸線Xを中心として回転可能である。すなわち、左ブラケット63は、左サイド部53に対して、左操舵軸線Xを中心として回転可能である。左操舵軸線Xは、左サイド部53が延びる方向に延びている。
【0103】
図3に示すように、左操舵軸線Xは、ステアリングシャフト652の中間操舵軸線Zと平行に、車体フレーム21の上下方向に延びている。
【0104】
右ブラケット64は、その上部に図示しない右回転部材を有する。前記右回転部材は、リンク機構5の右サイド部54の内部に位置し、右サイド部54が延びる方向に延びている。前記右回転部材は、右サイド部54に対して、右操舵軸線Yを中心として回転可能である。すなわち、右ブラケット64は、右サイド部54に対して、右操舵軸線Yを中心として回転可能である。右操舵軸線Yは、右サイド部54が延びる方向に延びている。
【0105】
右懸架部62は、リンク機構5に対して右前輪32を支持する。右懸架部62は、中間操舵軸線Zが延びる方向に延びている。右懸架部62の下端部は、右前輪32を支持している。右懸架部62は、右前輪32と後述する右連結部822との間の隙間が変位しないように右前輪32を支持している。右懸架部62の上端部は、右ブラケット64に固定されている。
【0106】
図3に示すように、右操舵軸線Yは、ステアリングシャフト652の中間操舵軸線Zと平行に、車体フレーム21の上下方向に延びている。
【0107】
操舵部材65は、ハンドルバー651と、ステアリングシャフト652とを含む。
【0108】
ハンドルバー651は、ステアリングシャフト652の上部に接続されている。ステアリングシャフト652は、その一部がヘッドパイプ211に回転可能に支持されている。ステアリングシャフト652は、運転者によるハンドルバー651の操作に応じて、中間操舵軸線Zを中心として回転する。
【0109】
操舵力伝達機構66は、操舵部材65の回転に応じて、左操舵軸線Xを中心として左懸架部61を操舵部材65の回転方向に回転させる。同様に、操舵力伝達機構66は、操舵部材65の回転に応じて、右操舵軸線Yを中心として右懸架部62を操舵部材65の回転方向に回転させる。これにより、操舵力伝達機構66は、運転者による操舵部材65の操作に応じて、操舵力を左前輪31及び右前輪32に伝達する。左前輪31及び右前輪32は、それぞれ、左操舵軸線X及び右操舵軸線Yを中心として、運転者による操舵部材65の操作方向に応じた方向に回転する。
【0110】
リーン車両1が左または右に傾斜する動作も、既述の国際公開2020/111254に開示されている傾斜動作と同様である。よって、リーン車両1が左または右に傾斜する動作の詳しい説明は省略する。
【0111】
図4及び
図8に示すように、荷重伝達機構8は、左足荷重伝達部81と、右足荷重伝達部82と、左右連結部材83とを有する。
【0112】
左足荷重伝達部81は、左足載置部811(左フートステップ部)と、左連結部812(左フートステップ連結部)とを有する。
【0113】
左足載置部811は、起立した運転者の左足が載置される左足載置面811aを有する。左足載置部811は、上下方向に水を通過させない水通過防止構造を有する。たとえば、左足載置部811は、上下方向に貫通する貫通孔を有さない板状である。これにより、リーン車両1が走行している際に左前輪31によって跳ね上げられた水が、左足載置部811の下から運転者の左足にかかるのを防止できる。
【0114】
左連結部812は、左足載置部811とリンク機構5の左サイド部53とを連結している。
図1に示すように、左連結部812は、左前輪31の後ろに、左前輪31に沿うように、左サイド部53から車体フレーム21の前後方向における後ろ且つ車体フレーム21の上下方向における下に延びている。なお、左連結部812が左前輪31に沿うとは、左から見て、左連結部812が円弧状に湾曲している場合だけでなく、左から見て左連結部812が直線状に傾斜している場合、左から見て左連結部812が曲線形状を有する場合、左から見て左連結部812が曲線及び直線を組み合わせた形状を有する場合、左から見て左連結部812が角度の異なる複数の直線を組み合わせた形状を有する場合なども含む。左連結部812の後端部は、左足載置部811に連結されている。左足荷重伝達部81は、左足載置部811を介して入力される運転者の荷重を、左サイド部53に伝達可能に構成されている。左連結部は、左サイド部と一体でもよい。
【0115】
図4及び
図8に示すように、右足荷重伝達部82は、右足載置部821(右フートステップ部)と、右連結部822(右フートステップ連結部)とを有する。
【0116】
右足載置部821は、起立した運転者の右足が載置される右足載置面821aを有する。右足載置部821は、上下方向に水を通過させない水通過防止構造を有する。たとえば、右足載置部821は、上下方向に貫通する貫通孔を有さない板状である。これにより、リーン車両1が走行している際に右前輪32によって跳ね上げられた水が、右足載置部821の下から運転者の右足にかかるのを防止できる。
【0117】
右連結部822は、右足載置部821とリンク機構5の右サイド部54とを連結している。右連結部822は、右前輪32の後ろに、右前輪32に沿うように、右サイド部54から車体フレーム21の前後方向における後ろ且つ車体フレーム21の上下方向における下に延びている。なお、右連結部822が右前輪32に沿うとは、右から見て、右連結部822が円弧状に湾曲している場合だけでなく、右から見て右連結部822が直線状に傾斜している場合、右から見て右連結部822が曲線形状を有する場合、右から見て右連結部822が曲線及び直線を組み合わせた形状を有する場合、右から見て右連結部822が角度の異なる複数の直線を組み合わせた形状を有する場合なども含む。右連結部822の後端部は、右足載置部821に連結されている。右足荷重伝達部82は、右足載置部821を介して入力される運転者の荷重を、右サイド部54に伝達可能に構成されている。右連結部は、右サイド部と一体でもよい。
【0118】
上述の構成により、運転者の左足を介して左足載置部811に加えられる荷重と、当該運転者の右足を介して右足載置部821に加えられる荷重とを個別に調整することにより、車体フレーム21の傾斜を制御できる。
【0119】
例えば、
図9及び
図10に示すように車体フレーム21がリーン車両1の左に傾斜すると、車体フレーム21の上下方向において、左サイド部53は、右サイド部54よりも上に位置する。
図10は、車体フレーム21が左に傾斜した状態におけるリーン車両1の前部を、車体フレーム21の後方から見た背面図である。
【0120】
左足で左足載置部811を介して左サイド部53に荷重を加えると、左サイド部53に対して車体フレーム21の下方向に変位させる力が作用する。これにより、リーン車両1の左右方向において、車体フレーム21が左へ傾斜するのを抑制できる。
【0121】
逆に、車体フレーム21がリーン車両1の右に傾斜すると、車体フレーム21の上下方向において、右サイド部54は、左サイド部53よりも上に位置する。右足で右足載置部821を介して右サイド部54に荷重を加えると、右サイド部54に対して車体フレーム21の下方向に変位させる力が作用する。これにより、リーン車両1の左右方向において、車体フレーム21が右に傾斜するのを抑制できる。
【0122】
車体フレーム21が直立状態から左または右に傾斜すると、左足載置部811の載置面に対する法線方向及び右足載置部821の載置面に対する法線方向が変化する。しかしながら、ヘッドパイプ211が延びている方向(中間操舵軸線Zが延びている方向)と左足載置部811の載置面及び右足載置部821の載置面とがなす角度は変化しない。すなわち、左足載置部811の載置面に対する法線方向及び右足載置部821の載置面に対する法線方向は、車体フレーム21の上下方向と常に同じである。
【0123】
左右連結部材83は、左足載置部811と右足載置部821とを、車体フレーム21の下で車体フレーム21の左右方向に連結している。車体フレーム21の左右方向において、左右連結部材83の中央部は、車体フレーム21のアンダーフレーム214の下部に固定された回転支持部(図示省略)に、アンダーフレーム214を中心として回転可能に支持されている。よって、左右連結部材83は、車体フレーム21の上下方向において、左足載置部811及び右足載置部821の上下移動に応じて、上下方向に傾く。
【0124】
これにより、左足載置部811及び右足載置部821は、左足載置部811への左足の荷重入力または右足載置部821への右足の荷重入力に応じて、連動して上下動する。よって、上述のような左足載置部811への左足の荷重入力または右足載置部821への右足の荷重入力によって、車体フレーム21の左または右の傾斜を容易に抑制できる。
【0125】
(フロントフェンダー)
図1から
図3、
図9及び
図11に示すように、リーン車両1は、左フロントフェンダー33及び右フロントフェンダー34を有する。
【0126】
左フロントフェンダー33は、車体フレーム21の上下方向において、左前輪31の上に位置する。
図1及び
図2に示すように、左フロントフェンダー33は、左から見て左前輪31に沿った円弧状である。左フロントフェンダー33は、左前輪31との間隔が左前輪31と左連結部812との間隔よりも小さくなるように、左前輪31に沿って配置されている。左フロントフェンダー33は、リンク機構5の左サイド部53の下端部に回転可能に取り付けられた左伝達プレート664に、左フロントフェンダー取付部材331を介して取り付けられている。
【0127】
左フロントフェンダー33は、上から見て、後述する左フロントガード部86の一部と重なるように、左前輪31の上に配置されている。
【0128】
左フロントフェンダー33は、左から見て、左前輪31の上部を中心角で90度以下の範囲に亘って覆っている。なお、左フロントフェンダー33は、左から見て、左前輪31の上部を中心角で90度よりも広い範囲に亘って覆っていてもよい。
【0129】
上述のような左フロントフェンダー33を左前輪31の上に配置することで、リーン車両1の走行時に左前輪31によって跳ね上げられた水が、運転者の左足にかかるのを左フロントフェンダー33によって防止できる。
【0130】
しかも、左フロントフェンダー33を、小型化して、リンク機構5の左サイド部53の下端部に回転可能に取り付けられた左伝達プレート664に、左フロントフェンダー取付部材331を介して取り付けることにより、左フロントフェンダー33を簡易な構成で支持できる。すなわち、本実施形態の左フロントフェンダー33は、小型であるため、複数点で支持する必要がない。よって、左フロントフェンダー33が他の部品と干渉するのを防止できる。
【0131】
また、上述のように、左フロントフェンダー33を小型化することにより、リーン車両1の走行時に左フロントフェンダー33に振動が生じた場合でも、左フロントフェンダー33と後述の左サイドガード84及び左フロントガード部86との干渉を防止できる。
【0132】
図3及び
図11に示すように、右フロントフェンダー34は、車体フレーム21の上下方向において、右前輪32の上に位置する。右フロントフェンダー34は、右から見て右前輪32に沿った円弧状である。右フロントフェンダー34は、右前輪32との間隔が右前輪32と後述する右連結部822との間隔よりも小さくなるように、右前輪32に沿って配置されている。右フロントフェンダー34は、後述するリンク機構5の右サイド部54の下端部に回転可能に取り付けられた右伝達プレート665に、右フロントフェンダー取付部材341を介して取り付けられている。
【0133】
右フロントフェンダー34は、上から見て、後述する右フロントガード部87の一部と重なるように、右前輪32の上に配置されている。
【0134】
右フロントフェンダー34は、右から見て、右前輪32の上部を中心角で90度以下の範囲に亘って覆っている。なお、右フロントフェンダー34は、右から見て、右前輪32の上部を中心角で90度よりも広い範囲に亘って覆っていてもよい。
【0135】
上述のような右フロントフェンダー34を右前輪32の上に配置することで、リーン車両1の走行時に右前輪32によって跳ね上げられた水が、運転者の右足にかかるのを右フロントフェンダー34によって防止できる。
【0136】
しかも、右フロントフェンダー34を、小型化して、リンク機構5の右サイド部54の下端部に回転可能に取り付けられた右伝達プレート665に、右フロントフェンダー取付部材341を介して取り付けることにより、右フロントフェンダー34を簡易な構成で支持できる。すなわち、本実施形態の右フロントフェンダー34は、小型であるため、複数点で支持する必要がない。よって、右フロントフェンダー34が他の部品と干渉するのを防止できる。
【0137】
また、上述のように、右フロントフェンダー34を小型化することにより、リーン車両1の走行時に右フロントフェンダー34に振動が生じた場合でも、右フロントフェンダー34と後述の右サイドガード85及び右フロントガード部87との干渉を防止できる。
【0138】
(サイドガード)
図1、
図6、
図8、
図10から
図12に示すように、リーン車両1は、左サイドガード84及び右サイドガード85を有する。
図6は、リーン車両1を前から見た場合の左足載置部811と左サイドガード84との位置関係、および右足載置部821と右サイドガード85との位置関係を模式的に示す図である。なお、
図6において、実線矢印は、車輪によって跳ね上げられた水の動きを示している。また、
図6では、断面ではないが、説明のために、左足載置部811、右足載置部821、左サイドガード84及び右サイドガード85を斜線で示す。さらに、
図6では、二点鎖線は、運転者の足を示している。
【0139】
図1に示すように、左サイドガード84は、樹脂製であり、上下方向および前後方向に延びる側面視で三角形の板状である。左サイドガード84は、左足載置部811の右端部及び左連結部812に固定されている。具体的には、左サイドガード84の下端部は、左足載置部811の右端部に取り付けられている。本実施形態では、
図6に示すように、左足載置部811の右端は、左サイドガード84の左面84aよりも右に位置する。これにより、リーン車両1の走行中に、左前輪31によって跳ねられた水が、左サイドガード84の下から運転者の左足にかかるのを防止できる。
【0140】
図1に示すように、左サイドガード84の前端部は、左連結部812に取り付けられている。左サイドガード84は、左足載置部811及び左連結部812に固定された状態で、前に向かうほど上下方向の高さが大きい。
【0141】
上述の構成を有する左サイドガード84を左足載置部811の右に配置することで、左足載置部811上に載置された左足の位置決め及び保護を行うことができるとともに、リーン車両1が走行した際に右前輪32によって跳ね上げられた水が運転者の左足にかかるのを防止できる。特に、左サイドガード84は、リーン車両1が傾斜した状態で走行した際に右前輪32によって跳ね上げられた水が運転者の左足にかかるのを防止できる。
【0142】
図11及び
図12に示すように、右サイドガード85は、樹脂製であり、上下方向および前後方向に延びる側面視で三角形の板状である。右サイドガード85は、右足載置部821の左端部及び右連結部822に固定されている。具体的には、右サイドガード85の下端部は、右足載置部821の左端部に取り付けられている。本実施形態では、右足載置部821の左端は、右サイドガード85の右面85aよりも左に位置する。これにより、リーン車両1の走行中に、右前輪32によって跳ねられた水が、右サイドガード85の下から運転者の右足にかかるのを防止できる。
【0143】
図12に示すように、右サイドガード85の前端部は、右連結部822に取り付けられている。右サイドガード85は、右足載置部821及び右連結部822に固定された状態で、前に向かうほど上下方向の高さが大きい。
【0144】
上述の構成を有する右サイドガード85を右足載置部821の左に配置することで、右足載置部821上に載置された右足の位置決め及び保護を行うことができるとともに、
図9及び
図10に示すようにリーン車両1が走行した際に左前輪31によって跳ね上げられた水が運転者の右足にかかるのを防止できる。特に、右サイドガード85は、リーン車両1が傾斜した状態で走行した際に左前輪31によって跳ね上げられた水が運転者の右足にかかるのを防止できる。
【0145】
(フロントガード部)
図1、
図5、
図8、
図11から
図13に示すように、リーン車両1は、左フロントガード部86と、右フロントガード部87とを有する。
図5は、リーン車両1を左から見た場合の左足載置部811と左フロントガード部86との位置関係を模式的に示す図である。
図13は、(a)直立状態のリーン車両1の構成を模式的に示す背面図、(b)傾斜状態のリーン車両1の構成を模式的に示す背面図、(c)左前輪31を左操舵軸線X回りに回転させるとともに右前輪32を右操舵軸線Y回りに回転させた状態のリーン車両1において、前輪3と左フロントガード部86及び右フロントガード部87との関係を模式的に示す上面図である。
【0146】
なお、
図1および
図5において、実線矢印は、車輪によって跳ね上げられた水の動きを示している。また、
図5において、二点鎖線は、運転者の足を示している。
図13(c)において、二点鎖線は、左前輪31の左操舵軸線X回りの回転を示し、右前輪32の右操舵軸線Y回りの回転を示す。
【0147】
左フロントガード部86は、左前輪31の後部の少なくとも一部を覆うように、左連結部812の少なくとも下端部に取り付けられる。左連結部812の下端部とは、
図1に示すように、左連結部812の下部のうち、左前輪31によって跳ね上げられた水が運転者の左足に向かって飛散する領域に位置する部分である。本実施形態では、左連結部812が左サイド部53から左前輪31の左車軸311の高さまで延びている。左フロントガード部86は、左前輪31の左車軸311の後ろに位置する部分を覆うように、左連結部812に取り付けられている。
【0148】
具体的には、本実施形態では、左フロントガード部86は、左連結部812の下端部から左連結部812に沿って上に延びている。すなわち、左フロントガード部86は、平面視で長方形の樹脂製板部材であって、左前輪31の後部且つ上部を覆っている。左フロントガード部86は、長手方向が左連結部812の延びる方向に沿うように、左連結部812に固定されている。この際、左フロントガード部86は、左連結部812に対して前に取り付けられる。
【0149】
なお、左フロントガード部86は、左連結部812に対して、左連結部812と左前輪31との前後方向の隙間が最も小さい部分よりも下に設けられていてもよい。これにより、後述するように左前輪31によって跳ね上げられた水が運転者の左足にかかるのを防止できる。
【0150】
上述のように、左連結部812に左フロントガード部86を設けることにより、
図13(a)、(b)に示すように、リーン車両1の傾斜中では、左フロントガード部86は、車体フレーム21の上下方向における車体フレーム21に対する位置関係が変化する一方、車体フレーム21の上下方向における左サイド部53及び左足載置部811に対する位置関係が変化しない。すなわち、車体フレーム21の上下方向における左フロントガード部86の位置は、リーン車両1の傾斜中に変化する。一方、左フロントガード部86は、左サイド部53及び左足載置部811に連結された左連結部812に固定されているため、リーン車両1の傾斜中であっても、車体フレーム21の上下方向において、左サイド部53及び左足載置部811に対する左フロントガード部86の位置は変化しない。
【0151】
また、
図13(c)に示すように、左前輪31が左操舵軸線X回りに回転している間では、左フロントガード部86は、左前輪31と共に回転せず、左サイド部53及び左足載置部811に対する位置関係が変化しない。なお、左前輪31が左操舵軸線X回りに回転している間における左サイド部53及び左足載置部811に対する左フロントガード部86の位置関係とは、リーン車両1を基準とした前後方向、左右方向及び上下方向の位置関係である。
【0152】
以上のように、左フロントガード部86は、リーン車両1の傾斜中に、車体フレーム21の上下方向における車体フレーム21に対する位置関係が変化する一方、車体フレーム21の上下方向における左サイド部53及び左足載置部811に対する位置関係が変化しないように、且つ、左前輪31が左操舵軸線X回りに回転している間に、左前輪31と共に回転せず、左サイド部53及び左足載置部811に対する位置関係が変化しないように、左足載置部811と左前輪31との間で、左連結部812に支持される。
【0153】
これにより、リーン車両1が傾斜している場合でも、左前輪31が左操舵軸線X回りに回転している場合でも、左足載置部811上に載置された運転者の左足を、左フロントガード部86によって前から覆うことができる。したがって、左前輪31の水跳ねによって、運転者の左足が濡れるのを防止できる。
【0154】
左フロントガード部86は、右部に、左連結部812に係合する左フロントガード第1フック部86a及び一対の左フロントガード第2フック部86bを有する。左フロントガード第1フック部86a及び一対の左フロントガード第2フック部86bは、左フロントガード部86の右部に長手方向に並んで設けられていて、それぞれ左フロントガード部86から右に突出している。左フロントガード第1フック部86a及び一対の左フロントガード第2フック部86bは、左フロントガード部86に一体に設けられている。
【0155】
左フロントガード部86が左連結部812に取り付けられた状態で、左フロントガード第1フック部86aは左連結部812の前に位置し、一対の左フロントガード第2フック部86bは左連結部812の後ろに位置する。左フロントガード第1フック部86a及び一対の左フロントガード第2フック部86bは、左連結部812の外形に沿うように、左フロントガード部86の長手方向から見て半円状に形成されている。
【0156】
これにより、左フロントガード第1フック部86a及び一対の左フロントガード第2フック部86bが左連結部812により確実に係合する。よって、左フロントガード部86を左連結部812により確実に固定することができる。
【0157】
左フロントガード部86が左連結部812に固定された状態において、
図5に示すように、左フロントガード部86は、左足載置部811の左足載置面811aの前端部の高さよりも下に延びている。なお、左フロントガード部は、左足載置部の左足載置面の前端部の高さと同じ位置まで延びていてもよい。
【0158】
左フロントガード部86は、上述のように左連結部812に固定された状態で、左から見て、左前輪31の外形に沿うような円弧状である。また、左フロントガード部86は、上述のように左連結部812に固定された状態で、上から見て、左フロントフェンダー33の一部と重なる位置に位置する。左フロントガード部86の下端部は、上述のように左連結部812に固定された状態で、左足載置部811の前に位置する。
【0159】
これにより、リーン車両1が走行している際に左前輪31によって跳ね上げられた水が運転者の左足にかかるのを、左フロントガード部86によって防止できる。しかも、上述のように、左フロントガード部86が左連結部812に固定されることで、リーン車両1が左に傾斜した際に、左連結部812とともに左フロントガード部86も左に傾斜し、リーン車両1が右に傾斜した際に、左連結部812とともに左フロントガード部86も右に傾斜する。よって、リーン車両1が走行している際に左前輪31によって跳ね上げられた水が運転者の左足にかかるのを、左フロントガード部86によって、より確実に防止できる。
【0160】
また、上述のように、上から見て、左フロントガード部86が左フロントフェンダー33の一部と重なる位置に位置することで、リーン車両1が比較的高速で走行している場合に左前輪31によって跳ね上げられる水が、運転者の左足にかかるのを、左フロントガード部86及び左フロントフェンダー33によってより確実に防止できる。
【0161】
また、左フロントフェンダー33とは別に左フロントガード部86を設けることで、リーン車両1が走行している際に左前輪31によって跳ね上げられた水が運転者の左足にかかるのを防止しつつ、リーン車両1が左または右に傾斜することを許容できる。
【0162】
また、上述のように、左フロントガード部86が左足載置面811aよりも下に延びているので、左フロントガード部86によって左足載置部811をより確実に前から覆うことができる。従って、リーン車両1が走行している際に左前輪31によって跳ね上げられた水が、左フロントガード部86の下から運転者の左足にかかるのを防止できる。
【0163】
しかも、上述のように、左フロントガード部86が左連結部812に固定されているので、左フロントガード部86は、左前輪31の操舵時に左前輪31と共に回転しない。従って、左前輪31と左連結部812との間に左フロントガード部86が回転する空間を設ける必要がなく、左前輪31と左連結部812との間の隙間を小さくできる。また、リーン車両1の左前輪31は、車体フレーム21に対して緩衝装置を介さずに支持されている。従って、左前輪31と左連結部812との間の隙間が変位しないので、前記隙間を小さくできる。
【0164】
右フロントガード部87は、右前輪32の後部の少なくとも一部を覆うように、右連結部822の少なくとも下端部に取り付けられる。右連結部822の下端部とは、
図1に示すように、右連結部822の下部のうち、右前輪32によって跳ね上げられた水が運転者の右足に向かって飛散する領域に位置する部分である。本実施形態では、右連結部822が右サイド部54から右前輪32の右車軸321の高さまで延びている。右フロントガード部87は、右前輪32の右車軸321の後ろに位置する部分を覆うように、右連結部822に取り付けられている。
【0165】
具体的には、本実施形態では、右フロントガード部87は、右連結部822の下端部から右連結部822に沿って上に延びている。すなわち、右フロントガード部87は、平面視で長方形の樹脂製板部材であって、右前輪32の後部且つ上部を覆っている。右フロントガード部87は、長手方向が右連結部822の延びる方向に沿うように、右連結部822に固定されている。この際、右フロントガード部87は、右連結部822に対して前に取り付けられる。
【0166】
なお、右フロントガード部87は、右連結部822に対して、右連結部822と右前輪32との前後方向の隙間が最も小さい部分よりも下に設けられていてもよい。これにより、後述するように右前輪32によって跳ね上げられた水が運転者の右足にかかるのを防止できる。
【0167】
上述のように、右連結部822に右フロントガード部87を設けることにより、
図13(a)、(b)に示すように、リーン車両1の傾斜中では、右フロントガード部87は、車体フレーム21の上下方向における車体フレーム21に対する位置関係が変化する一方、車体フレーム21の上下方向における右サイド部54及び右足載置部821に対する位置関係が変化しない。すなわち、車体フレーム21の上下方向における右フロントガード部87の位置は、リーン車両1の傾斜中に変化する。一方、右フロントガード部87は、右サイド部54及び右足載置部821に連結された右連結部822に固定されているため、リーン車両1の傾斜中であっても、車体フレーム21の上下方向において、右サイド部54及び右足載置部821に対する右フロントガード部87の位置は変化しない。
【0168】
また、
図13(c)に示すように、右前輪32が右操舵軸線Y回りに回転している間では、右フロントガード部87は、右前輪32と共に回転せず、右サイド部54及び右足載置部821に対する位置関係が変化しない。なお、右前輪32が右操舵軸線Y回りに回転している間における右サイド部54及び右足載置部821に対する右フロントガード部87の位置関係とは、リーン車両1を基準とした前後方向、左右方向及び上下方向の位置関係である。
【0169】
以上のように、右フロントガード部87は、リーン車両1の傾斜中に、車体フレーム21の上下方向における車体フレーム21に対する位置関係が変化する一方、車体フレーム21の上下方向における右サイド部54及び右足載置部821に対する位置関係が変化しないように、且つ、右前輪32が右操舵軸線Y回りに回転している間に、右前輪32と共に回転せず、右サイド部54及び右足載置部821に対する位置関係が変化しないように、右足載置部821と右前輪32との間で、右連結部822に支持される。
【0170】
これにより、リーン車両1が傾斜している場合でも、右前輪32が右操舵軸線Y回りに回転している場合でも、右足載置部821上に載置された運転者の右足を、右フロントガード部87によって前から覆うことができる。したがって、右前輪32の水跳ねによって、運転者の右足が濡れるのを防止できる。
【0171】
右フロントガード部87は、左部に、右連結部822に係合する右フロントガード第1フック部87a及び一対の右フロントガード第2フック部87bを有する。右フロントガード第1フック部87a及び一対の右フロントガード第2フック部87bは、右フロントガード部87の左部に長手方向に並んで設けられていて、それぞれ右フロントガード部87の左に突出している。右フロントガード第1フック部87a及び一対の右フロントガード第2フック部87bは、右フロントガード部87に一体に設けられている。
【0172】
右フロントガード部87が右連結部822に取り付けられた状態で、右フロントガード第1フック部87aは右連結部822の前に位置し、一対の右フロントガード第2フック部87bは右連結部822の後ろに位置する。右フロントガード第1フック部87a及び一対の右フロントガード第2フック部87bは、右連結部822の外形に沿うように、右フロントガード部87の長手方向から見て半円状に形成されている。
【0173】
これにより、右フロントガード第1フック部87a及び一対の右フロントガード第2フック部87bが右連結部822により確実に係合する。よって、右フロントガード部87を右連結部822により確実に固定することができる。
【0174】
右フロントガード部87が右連結部822に固定された状態において、特に図示しないが、右フロントガード部87は、右足載置部821の右足載置面821aの前端部の高さよりも下に延びている。なお、右フロントガード部87は、右足載置部821の右足載置面821aの前端部の高さと同じ位置まで延びていてもよい。
【0175】
右フロントガード部87は、上述のように右連結部822に固定された状態で、右から見て、右前輪32の外形に沿うような円弧状である。また、右フロントガード部87は、上述のように右連結部822に固定された状態で、上から見て、右フロントフェンダー34の一部と重なる位置に位置する。右フロントガード部87の下端部は、上述のように右連結部822に固定された状態で、右足載置部821の前に位置する。
【0176】
これにより、リーン車両1が走行している際に右前輪32によって跳ね上げられた水が運転者の右足にかかるのを、右フロントガード部87によって防止できる。しかも、上述のように、右フロントガード部87が右連結部822に固定されることで、リーン車両1が左に傾斜した際に、右連結部822とともに右フロントガード部87も左に傾斜し、リーン車両1が右に傾斜した際に、右連結部822とともに右フロントガード部87も右に傾斜する。よって、リーン車両1が走行している際に右前輪32によって跳ね上げられた水が運転者の右足にかかるのを、右フロントガード部87によって、より確実に防止できる。
【0177】
また、上述のように、上から見て、右フロントガード部87が右フロントフェンダー34の一部と重なる位置に位置することで、リーン車両1が比較的高速で走行している場合に右前輪32によって跳ね上げられる水が、運転者の右足にかかるのを、右フロントガード部87及び右フロントフェンダー34によってより確実に防止できる。
【0178】
また、右フロントフェンダー34とは別に右フロントガード部87を設けることで、リーン車両1が走行している際に右前輪32によって跳ね上げられた水が運転者の右足にかかるのを防止しつつ、リーン車両1が左または右に傾斜することを許容できる。
【0179】
また、上述のように、右フロントガード部87が右足載置面821aよりも下に延びているので、右フロントガード部87によって右足載置部821のより確実に前から覆うことができる。従って、リーン車両1が走行している際に右前輪32によって跳ね上げられた水が、右フロントガード部87の下から運転者の右足にかかるのを防止できる。
【0180】
しかも、上述のように、右フロントガード部87が右連結部822に固定されているので、右フロントガード部87は、右前輪32の操舵時に右前輪32と共に回転しない。従って、右前輪32と右連結部822との間に右フロントガード部87が回転する空間を設ける必要がなく、右前輪32と右連結部822との間の隙間を小さくできる。また、リーン車両1の右前輪32は、車体フレーム21に対して緩衝装置を介さずに支持されている。従って、右前輪32と右連結部822との間の隙間が変位しないので、前記隙間を小さくできる。
【0181】
図1、
図2、
図4、
図8、
図11及び
図12に示すように、リーン車両1は、リアフェンダー42を有する。リアフェンダー42は、前部及び後部で、それぞれメインフレーム212に支持されている。リアフェンダー42には、一対のライセンスプレート支持部材45が接続されており、前記一対のライセンスプレート支持部材45に反射部101およびライセンスプレート102が支持される。
【0182】
本実施形態のリーン車両1は、車体フレーム21と、車体フレーム21に支持され、上クロス部51、下クロス部52、左サイド部53及び右サイド部54を有するリンク機構と、左サイド部53に対して、左操舵軸線X回りに回転可能に支持され、かつ、左操舵軸線Xの軸線方向に変位不能に支持される左前輪31と、右サイド部54に対して、右操舵軸線Y回りに回転可能に支持され、かつ、右操舵軸線Yの軸線方向に変位不能に支持される右前輪32と、左前輪31よりも後ろに位置し、運転者の左足を載せる左足載置面811aを有する左足載置部811と、右前輪32よりも後ろに位置し、運転者の右足を載せる右足載置面821aを有する右足載置部821と、左足載置部811を左サイド部53に連結する左連結部812と、右足載置部821を右サイド部54に連結する右連結部822と、を備え、左に旋回する際には左に傾斜し、右に旋回する際には右に傾斜するリーン車両である。
【0183】
リーン車両1は、リーン車両1の傾斜中に、車体フレーム21の上下方向における車体フレーム21に対する位置関係が変化する一方、車体フレーム21の上下方向における左サイド部53及び左足載置部811に対する位置関係が変化しないように、且つ、左前輪31が左操舵軸線X回りに回転している間に、左前輪31と共に回転せず、左サイド部53及び左足載置部811に対する位置関係が変化しないように、左足載置部811と左前輪31との間で、左連結部812に支持される左フロントガード部86と、リーン車両1の傾斜中に、車体フレーム21の上下方向における車体フレーム21に対する位置関係が変化する一方、車体フレーム21の上下方向における右サイド部54及び右足載置部821に対する位置関係が変化しないように、且つ、右前輪32が右操舵軸線Y回りに回転している間に、右前輪32と共に回転せず、右サイド部54及び右足載置部821に対する位置関係が変化しないように、右足載置部821と右前輪32との間で、右連結部822に支持される右フロントガード部87とを備える。
【0184】
上述のリーン車両1では、左フロントガード部86は、リーン車両1の傾斜中に、車体フレーム21の上下方向における車体フレーム21に対する位置関係が変化する一方、車体フレーム21の上下方向における左サイド部53及び左足載置部811に対する位置関係が変化しないように、且つ、左前輪31が左操舵軸線X回りに回転している間に、左前輪31と共に回転せず、左サイド部53及び左足載置部811に対する位置関係が変化しないように、左足載置部811と左前輪31との間で、左連結部812に支持される。
【0185】
これにより、リーン車両1が傾斜している場合でも、左前輪31が左操舵軸線X回りに回転している場合でも、左足載置部811上に載置された運転者の左足を、左フロントガード部86によって前から覆うことができる。したがって、左前輪31の水跳ねによって、運転者の左足が濡れるのを防止できる。
【0186】
右フロントガード部87は、リーン車両1の傾斜中に、車体フレーム21の上下方向における車体フレーム21に対する位置関係が変化する一方、車体フレーム21の上下方向における右サイド部54及び右足載置部821に対する位置関係が変化しないように、且つ、右前輪32が右操舵軸線Y回りに回転している間に、右前輪32と共に回転せず、右サイド部54及び右足載置部821に対する位置関係が変化しないように、右足載置部821と右前輪32との間で、右連結部822に支持される。
【0187】
これにより、リーン車両1が傾斜している場合でも、右前輪32が右操舵軸線Y回りに回転している場合でも、右足載置部821上に載置された運転者の右足を、右フロントガード部87によって前から覆うことができる。したがって、右前輪32の水跳ねによって、運転者の右足が濡れるのを防止できる。
【0188】
しかも、上述のリーン車両1では、左フロントガード部86は、左前輪31が左操舵軸線X回りに回転している間に、左前輪31と共に回転しないように、左連結部812に支持される。右フロントガード部87は、右前輪32が右操舵軸線Y回りに回転している間に、右前輪32と共に回転しないように、右連結部822に支持される。すなわち、上述のリーン車両1では、左前輪31と左連結部812との間に左フロントガード部86が回転するための空間、および右前輪32と右連結部822との間に右フロントガード部87が回転するための空間を設ける必要がない。
【0189】
従って、左前輪31に対して左連結部812を後ろにずらす必要がなく、右前輪32に対して右連結部822を後ろにずらす必要がないため、車両の前後方向の長さを短くできる。よって、リーン車両1を前後方向にコンパクトな構成にすることができる。また、上述の構成により、左前輪31及び右前輪32の上方に大型のフロントフェンダーを配置するための空間を設ける必要がないため、リーン車両1を上下方向にコンパクトな構成にすることができる。
【0190】
以上より、左前輪31および右前輪32を有するリーン車両1において、リーン車両1のコンパクト化を図りつつ、左前輪31および右前輪32の水跳ねにより運転者の足元が濡れるのを防止可能な構成を得ることができる。
【0191】
しかも、左前輪31及び右前輪32に大型のフロントフェンダーを設けた場合には、左前輪31及びフロントフェンダーが回転する空間を左前輪31の上に設けるとともに、右前輪32及びフロントフェンダーが回転する空間を右前輪32の上に設ける必要がある。この場合には、これらの空間と干渉しないようにヘッドパイプを配置する必要がある。これに対し、本実施形態のような左フロントガード部86及び右フロントガード部87をリーン車両1に設けることにより、上述のような空間を設ける必要がなくなる。これにより、リーン車両1におけるヘッドパイプ211の位置を下げることができる。したがって、フレームの低重心化および軽量化を図ることができる。また、本実施形態の構成によりリーン車両1のフレームが低くなるため、運転者がリーン車両1に容易に乗車することができる。
【0192】
本実施形態のリーン車両1では、左フロントガード部86は、左連結部812に沿って延びている。右フロントガード部87は、右連結部822に沿って延びている。
【0193】
これにより、左連結部812に連結された左足載置部811の前を、左フロントガード部86によってより確実に覆うことができる。したがって、左前輪31の水跳ねにより左足載置部811上に載置された運転者の左足が濡れるのをより確実に防止できる。また、右連結部822に連結された右足載置部821の前を、右フロントガード部87によってより確実に覆うことができる。したがって、右前輪32の水跳ねにより右足載置部821上に載置された運転者の右足が濡れるのをより確実に防止できる。。
【0194】
本実施形態のリーン車両1では、左フロントガード部86は、リーン車両1の前後方向に見て左前輪31と重なり且つリーン車両1の上下方向に見て左前輪31と重なるように設けられる。右フロントガード部87は、リーン車両1の前後方向に見て右前輪32と重なり且つリーン車両1の上下方向に見て右前輪32と重なるように設けられる。
【0195】
これにより、左前輪31の後部且つ上部を、左フロントガード部86によって、より確実に覆うことができる。したがって、左前輪31によって跳ね上げられた水が運転者の左足の足元にかかるのを、左フロントガード部86によってより確実に防止できる。また、右前輪32の後部且つ上部を、右フロントガード部87によって、より確実に覆うことができる。したがって、右前輪32によって跳ね上げられた水が運転者の右足の足元にかかるのを、右フロントガード部87によってより確実に防止できる。
【0196】
本実施形態のリーン車両1では、左連結部812は、左前輪31の後ろに左前輪31に沿って左サイド部53から後ろに向かうほど下に位置するように延び、前部が左サイド部53に接続され、後部が左足載置部811の前部を支持している。右連結部822は、右前輪32の後ろに右前輪32に沿って右サイド部54から後ろに向かうほど下に位置するように延び、前部が右サイド部54に接続され、後部が右足載置部821の前部を支持している。
【0197】
これにより、左前輪31と左連結部812との間の隙間を小さくすることができる。よって、左連結部812に取り付けられた左フロントガード部86を、左前輪31のより近い位置に配置することができる。したがって、左前輪31によって跳ね上げられた水が運転者の左足の足元にかかるのを、左フロントガード部86によってより確実に防止できる。また、右前輪32と右連結部822との間の隙間を小さくすることができる。よって、右連結部822に取り付けられた右フロントガード部87を、右前輪32のより近い位置に配置することができる。したがって、右前輪32によって跳ね上げられた水が運転者の右足の足元にかかるのを、右フロントガード部87によってより確実に防止できる。
【0198】
本実施形態のリーン車両1では、左フロントガード部86の下端は、左足載置部811の左足載置面811aと同じ高さかそれよりも下に位置している。右フロントガード部87の下端は、右足載置部821の右足載置面821aと同じ高さかそれよりも下に位置している。
【0199】
これにより、左フロントガード部86によって左足載置部811の前をより確実に覆うことができ、右フロントガード部87によって右足載置部821の前をより確実に覆うことができる。従って、左前輪31によって跳ね上げられた水が左フロントガード部86の下から運転者の左足の足元にかかるのを防止できる。また、右前輪32によって跳ね上げられた水が右フロントガード部87の下から運転者の右足の足元にかかるのを防止できる。
【0200】
本実施形態のリーン車両1では、左足載置部811および右足載置部821は、それぞれ、上下方向に水を通さない水通過防止構造を有する。これにより、左前輪31によって跳ね上げられた水が、左足載置部811を上下方向に通過して運転者の左足の足元にかかるのを防止できる。また、右前輪32によって跳ね上げられた水が、右足載置部821を上下方向に通過して運転者の右足の足元にかかるのを防止できる。
【0201】
本実施形態のリーン車両1は、上下方向および前後方向に延びる板状で、左足載置部811の右に位置するように左足載置部811および左連結部812の少なくとも一方に取り付けられ、乗員の左足をガードする左サイドガード84と、上下方向および前後方向に延びる板状で、右足載置部821の左に位置するように右足載置部821および右連結部822の少なくとも一方に取り付けられ、乗員の右足をガードする右サイドガード85と、をさらに備える。左足載置部811の右端は、左サイドガード84の左面84aよりも右に位置している。右足載置部821の左端は、右サイドガード85の右面85aよりも左に位置している。
【0202】
これにより、例えばリーン車両1の走行中に左前輪31によって跳ね上げられた水が運転者の右足にかかるのを、右サイドガード85によって防止できる。同様に、例えばリーン車両1の走行中に右前輪32によって跳ね上げられた水が運転者の左足にかかるのを、左サイドガード84によって防止できる。
【0203】
しかも、左足載置部811の右端は、左サイドガード84の左面84aよりも右に位置している。よって、左足載置部811によって、左サイドガード84の下をより確実に覆うことができる。従って、右前輪32によって跳ね上げられた水が左足載置部811の下から運転者の左足にかかるのを防止できる。また、右足載置部821の左端は、右サイドガード85の右面85aよりも左に位置している。よって、右足載置部821によって、右サイドガード85の下をより確実に覆うことができる。従って、左前輪31によって跳ね上げられた水が右足載置部821の下から運転者の右足にかかるのを防止できる。
【0204】
(その他の実施形態)
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
【0205】
前記実施形態において、左フロントガード部86の下端は、左足載置面811aの前端部よりも下に位置し、右フロントガード部87の下端は、右足載置面821aの前端部よりも下に位置する。しかしながら、左フロントガード部の下端は、左足載置面の前端部よりも上に位置していてもよい。右フロントガード部の下端は、右足載置面の前端部よりも上に位置していてもよい。
【0206】
前記実施形態において、左足載置部811の右端は、左サイドガード84の左面84aよりも右に位置し、右足載置部821の左端は、右サイドガード85の右面85aよりも左に位置する。しかしながら、左足載置部の右端は、左サイドガードの左面よりも左に位置していてもよい。右足載置部の左端は、右サイドガードの右面よりも左に位置していてもよい。
【0207】
前記実施形態では、左足載置部811および右足載置部821を貫通孔のない板状とすることによって、水通過防止構造が構成されている。しかしながら、水通過防止構造は、左足載置部および右足載置部に設けられた貫通孔内に、車輪によって跳ね上げられた水が直接、進入しないように、左足載置部および右足載置部の下部に位置する開口部の開口方向が後ろまたは左右である貫通孔によって構成されていてもよい。また、水通過防止構造は、貫通孔の開口にカバーを設けることによって構成されていてもよい。水通過防止構造は、左足載置部と右足載置部とで、異なる構成によって実現されてもよい。
【0208】
前記実施形態では、リーン車両1は、左サイドガード84及び右サイドガード85を有する。しかしながら、リーン車両は、左サイドガードを有していなくてもよい。リーン車両は、右サイドガードを有していなくてもよい。
【0209】
前記実施形態では、左フロントガード部86は、左連結部812に対して前に取り付けられる。しかしながら、左フロントガード部は、左連結部に対して後ろに取り付けてもよいし、左連結部に対して前後方向中央に取り付けてもよい。また、前記実施形態では、右フロントガード部87は、右連結部822に対して前に取り付けられる。しかしながら、右フロントガード部は、右連結部に対して後ろに取り付けてもよいし、右連結部に対して前後方向中央に取り付けてもよい。
【0210】
前記実施形態において、左フロントガード部及び右フロントガード部の少なくとも一方は、前輪によって跳ね上げられた水がフロントガード部の左右端部を回り込んで運転者の足にかかるのを防止する構造を有していてもよい。具体的には、左フロントガード部および右フロントガード部の少なくとも一方は、左右両端部に前に折り曲げられた折曲部を有していてもよい。なお、左フロントガード部および右フロントガード部の少なくとも一方の左右両端部に、前に突出する別の部材を設けてもよい。
【0211】
前記実施形態では、左フロントガード第1フック部86a及び一対の左フロントガード第2フック部86bを左連結部812に係合させることにより、左フロントガード部86は左連結部812に固定されている。しかしながら、左フロントガード部は、左連結部にボルト等の締結部材によって固定されてもよい。左フロントガード部は、左連結部に接着剤等によって固定されてもよい。
【0212】
前記実施形態では、右フロントガード第1フック部87a及び一対の右フロントガード第2フック部87bを右連結部822に係合させることにより、右フロントガード部87は右連結部822に固定されている。しかしながら、右フロントガード部は、右連結部にボルト等の締結部材によって固定されてもよい。右フロントガード部は、右連結部に接着剤等によって固定されてもよい。
【0213】
前記実施形態では、左足載置部811と左フロントガード部86とは別体であり、右足載置部821と右フロントガード部87とは別体である。しかしながら、左足載置部811と左フロントガード部86とを一体とし、右足載置部821と右フロントガード部87とを一体としてもよい。
【0214】
前記実施形態では、左足載置部811と左サイドガード84とは別体であり、右足載置部821と右サイドガード85とは別体である。しかしながら、左足載置部811と左サイドガード84とを一体とし、右足載置部821と右サイドガード85とを一体としてもよい。
【0215】
前記実施形態では、左フロントガード部86と左サイドガード84とは別体である。右フロントガード部87と右サイドガード85とは別体である。しかしながら、左フロントガード部と左サイドガード部とを一体にしてもよい。右フロントガード部と右サイドガード部とを一体にしてもよい。
【0216】
前記実施形態では、リーン車両1は、左フロントフェンダー33及び右フロントフェンダー34を有する。しかしながら、リーン車両は、左フロントフェンダー及び右フロントフェンダーの一方のみを有していてもよいし、左フロントフェンダー及び右フロントフェンダーのいずれも有していなくてもよい。
【0217】
前記実施形態では、リンク機構5は、車体フレーム21の左右方向において、中間部がヘッドパイプ211に回転可能に支持された上クロス部51及び下クロス部52を有する。しかしながら、リンク機構は、他の構成を有していてもよい。
【0218】
前記実施形態では、リーン車両1には、運転者が着座するシートが設けられていない。しかしながら、リーン車両は、シートを有していてもよい。
【0219】
前記実施形態では、リーン車両1には、後輪4を支持するリアアームが設けられていない。しかしながら、リーン車両は、後輪を支持するリアアームを有していてもよい。
【符号の説明】
【0220】
1 リーン車両
2 車両本体
3 前輪
4 後輪
5 リンク機構
6 操舵機構
8 荷重伝達機構
21 車体フレーム
22 パワーユニット
211 ヘッドパイプ
212 メインフレーム
212a メインフレーム左後端部
212b メインフレーム右後端部
213 アッパーフレーム
213a アッパーフレーム左後端部
213b アッパーフレーム右後端部
214 アンダーフレーム
214a アンダーフレーム前部
214b アンダーフレーム後部
214c アンダーフレーム左後端部
214d アンダーフレーム右後端部
221 バッテリ
25 メインフレームカバー
31 左前輪
32 右前輪
33 左フロントフェンダー
331 左フロントフェンダー取付部材
34 右フロントフェンダー
341 右フロントフェンダー取付部材
41 車輪軸
42 リアフェンダー
45 ライセンスプレート支持部材
51 上クロス部(クロス部)
52 下クロス部(クロス部)
53 左サイド部
54 右サイド部
61 左懸架部
62 右懸架部
65 操舵部材
651 ハンドルバー
652 ステアリングシャフト
66 操舵力伝達機構
81 左足荷重伝達部
811 左足載置部(左フートステップ部)
811a 左足載置面
812 左連結部(左フートステップ連結部)
82 右足荷重伝達部
821 右足載置部(右フートステップ部)
821a 右足載置面
822 右連結部(右フートステップ連結部)
83 左右連結部材
84 左サイドガード
84a 左面
85 右サイドガード
85a 右面
86 左フロントガード部
86a 左フロントガード第1フック部
86b 左フロントガード第2フック部
87 右フロントガード部
87a 右フロントガード第1フック部
87b 右フロントガード第2フック部
101 反射部
102 ライセンスプレート
X 左操舵軸線
Y 右操舵軸線
Z 中間操舵軸線
UI 上中間連結軸線
UL 上左連結軸線
UR 上右連結軸線
DI 下中間連結軸線
DL 下左連結軸線
DR 下右連結軸線