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特許7252337土木用機械、特にスラリーウォールカッター
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  • 特許-土木用機械、特にスラリーウォールカッター 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-27
(45)【発行日】2023-04-04
(54)【発明の名称】土木用機械、特にスラリーウォールカッター
(51)【国際特許分類】
   E02F 5/02 20060101AFI20230328BHJP
   F16J 15/34 20060101ALI20230328BHJP
   F16J 15/16 20060101ALI20230328BHJP
   E02F 5/08 20060101ALI20230328BHJP
【FI】
E02F5/02 N
F16J15/34 Z
F16J15/16 B
E02F5/08 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021531126
(86)(22)【出願日】2019-10-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-29
(86)【国際出願番号】 EP2019078134
(87)【国際公開番号】W WO2020114656
(87)【国際公開日】2020-06-11
【審査請求日】2021-11-29
(31)【優先権主張番号】102018131226.1
(32)【優先日】2018-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501190549
【氏名又は名称】リープヘル-ヴェルク ネンツィング ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラインハート ハンス
【審査官】大塚 裕一
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-316932(JP,A)
【文献】特開2013-245821(JP,A)
【文献】特開2005-140328(JP,A)
【文献】特開平02-304270(JP,A)
【文献】特開2014-005886(JP,A)
【文献】特開2005-163928(JP,A)
【文献】特開2000-027729(JP,A)
【文献】特表2002-527694(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 5/00-7/10
F16H 57/00-57/12
F16J 15/16-15/32
15/324-15/38
15/46-15/53
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
土木用機械、特にスラリーウォールカッターであって、
少なくとも1つの回転工具と、
前記土木用機械のハウジング内に配置され、該ハウジングから工具に向かう軸の出口の領域において、少なくとも1つの軸受シールによって外部に対して封止される工具駆動装置と、を備え、
前記軸受シールは、少なくとも2つの別個のシール要素を含み、該シール要素の配列は、該シール要素の間に位置するシールチャンバを形成し、
前記土木用機械の周囲圧力に依存して前記シールチャンバ内のチャンバ圧力を制御する圧力補償装置を有し、
前記圧力補償装置は、前記周囲圧力に依存して必要とされるチャンバ圧力と同じ圧力を加圧するために、圧力出口が前記シールチャンバに接続されるポンプを備え、
前記ポンプは、前記工具駆動装置のハウジングまたはトランスミッション空間からトランスミッションオイルを吸い込み、それを前記シールチャンバに圧送することを特徴とする土木用機械。
【請求項2】
請求項1に記載の土木用機械において、
外側シール要素は、前記外部に対して前記シールチャンバを封止し、
前記外側シール要素は、前記シール要素を囲む支持液に対して、耐材料特性を有し、
前記外側シール要素は、特にメカニカルシールとして構成されていることを特徴とする土木用機械。
【請求項3】
請求項1または2に記載の土木用機械において、
内部シール要素は、ハウジング空間、特に前記工具駆動装置のトランスミッション空間に対して前記シールチャンバを封止し、
前記内部シール要素は、エラストマーシールであることを特徴とする土木用機械。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1つに記載の土木用機械において、
前記シールチャンバは、特に前記土木用機械の外部およびハウジング空間若しくはトランスミッション空間の少なくとも1つに対して密封されていることを特徴とする土木用機械。
【請求項5】
請求項1に記載の土木用機械において、
前記シールチャンバは、少なくとも1つのスロットルを介して、ハウジング空間、特にトランスミッション空間に向かって解放されることを特徴とする土木用機械。
【請求項6】
請求項に記載の土木用機械において、
前記ポンプの圧力出口に、生成されたチャンバ圧力を調整するための圧力制限バルブが設けられ、
前記圧力制限バルブは、制御圧力体積を介して膜に接続された制御圧力ポートを提供し、前記周囲圧力の膜変化が、前記制御圧力ポート内の制御圧力体積に転送されることを特徴とする土木用機械。
【請求項7】
請求項6に記載の土木用機械において、
前記圧力制限バルブは、ばね付勢、特に、調整可能なばね付勢されており、
前記チャンバ圧力と周囲圧力との間の設定差圧は、前記ばね付勢を介して調整可能であることを特徴とする土木用機械。
【請求項8】
請求項6または7に記載の土木用機械において、
前記圧力制限バルブの出口は、ハウジング空間、特に前記工具駆動装置のトランスミッション空間に接続されていることを特徴とする土木用機械。
【請求項9】
請求項1~のいずれか1つに記載の土木用機械において、
前記土木用機械のオイル回路は、少なくとも1つの熱交換器及び/又はオイルフィルタ及び/又はオイル分析装置が一体化されていることを特徴とする土木用機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土木用機械、特に、少なくとも1つの回転工具と、機械工具のハウジング内に配置され、従動工具に向かってその軸の出口の領域に配置される少なくとも1つの工具駆動装置とを備え、外部に対してハウジング内部をシールするための少なくとも1つのベアリングシールを含むスラリーウォールカッターに関する。
【背景技術】
【0002】
特殊な土木作業では、深い地盤掘削、例えば100メートル以上の深さまでの深い地盤掘削は、特殊なフライス工具またはドリル工具によって行われる。このようにして得られた非常に細い掘削ピットの幾何学的形状は、土壌を支持するための型枠の設置を可能にしないので、掘削作業が依然として進行中である間は、支持液が使用される。この支持液は、通常、水、粘土鉱物、および他の骨材からなる。
【0003】
浸透深さおよび液体密度に応じて、支持液に浸漬された器具は、深さが増加することにつれて増加する外部からの圧力負荷にさらされる。工具駆動装置の機械的構成要素に腐食及び研磨効果を及ぼすことがある水及び鉱物が含有しているため、駆動装置内への支持液の侵入は、常に確実に防止されなければならない。
【0004】
よく使用されるシールシステムは、ほとんどの場合、メカニカルシールが用いられている。メカニカルシールは、特別に生成された圧力で内部から加圧する必要があり、その圧力は、理想的には卓越する外圧よりわずかに高い。このような解決策は、基本的にはウォールチェーサーの駆動ハウジングに由来する。ウォールチェーサーの内部空間は、トランスミッションオイルで満たされ、かつ圧力レベルの適応が油圧調整ピストンを介して行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】欧州特許出願公開1529924号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、これらの解決策の欠点は、ピストンや膨張タンク等の許容可能なシステムサイズでハウジング内の圧力変化を達成できるようにするために、完全な駆動ハウジングがオイルで満たされなければならないことである。特にトランスミッションへの用途においては、これは潤滑剤、ベアリング、およびシーリング材料にかなりの熱応力を伴う流体力学的プロセス(いわゆるフランジング)によるかなりの効率損失につながる。
【0007】
さらに、ピストンシールの摩擦損失のために、このシステムは、特に作業深さが浅く、器具の移動方向が変化すると加圧の精度が損なわれる不可避のヒステリシスを受ける。
【0008】
代替的な解決策は、特許文献1から知られている。ここでは電子的な解決手段が採用されている。この解決手段は、圧力レベルの、センサに基づく能動的計測、対応する信号処理、および電子制御ユニットによる圧力制御について提案している。しかしながら、能動的圧力制御を用いるセンサベースのシステムは、シフト動作及びプロセス可能な制御偏差を補償することができるようにするために、減衰装置が必須となる。
【0009】
したがって、本発明の目的は、上述の課題を少なくとも部分的に克服することができる代替の解決策を探すことである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、請求項1の特徴による土木用機械、特にスラリーウォールカッターによって達成される。土木用機械の有利な実施形態は、従属請求項の主題である。
【0011】
本発明によれば、土木用機械の少なくとも1つの軸受シールを、少なくとも2つの別個のシール要素から構成することが提案される。本発明によれば、別個のシール要素を互いに対して配置することによって、シール要素間にシールチャンバが形成され、このシールチャンバは、規定可能な圧力レベルを受けることができる。圧力に関しては、この圧力チャンバは残りの収容空間から分離される。そこに存在する圧力レベルは、シール要素の少なくとも1つに作用して、そのシール効果が保証され、ハウジング内部またはシールチャンバが周囲圧力に対して外側に封止されるようにする。
【0012】
貫入深さと液体密度に依存して、掘削ピット内、特に液体内に浸漬された土木用機械は、深さの増加と共に増加する外部からの圧力負荷にさらされる。以下では、簡略化のために、この圧力負荷を周囲圧力と呼ぶ。シールチャンバ内の圧力レベルは、圧力補償装置によって、前記圧力レベルが周囲圧力と等しいか又はそれよりも高くなるように調整されなければならない。これが、少なくとも1つのシール要素の十分なシール効果を保証する唯一の方法であるためである。
【0013】
特に、土木用機械は、工具として1つ以上の切削ホイールを含むスラリーウォールカッターであり、これらの切削ホイールは、ハウジング内に収容された少なくとも1つのカッター駆動装置を介して回転される。ハウジングから出る駆動軸の領域において、対応するベアリングシールには、本発明に係る構成が設けられている。
【0014】
従来技術とは対照的に、もはやハウジング空間全体に対応する圧力レベルを供給する必要はないが、別個の比較的小容量のシールチャンバ内に圧力を蓄積すれば十分である。これにより、外部圧力の変化に対するより迅速な反応を可能になるだけでなく、工具駆動装置への悪影響を回避することができる。従来技術で要求されている以外に、工具駆動装置またはカッター駆動装置を、過剰量のトランスミッションオイルで作動させる必要はなく、その代わりに、通常の作動に必要なオイル量を使用することができる。その結果、効率と潤滑剤寿命の両方を最適化することができる。
【0015】
本発明の有利な実施形態によれば、シールチャンバは外側シール要素によって外部に対して密封され、外側シール要素は好ましくは特殊な土木工学における土木用機械を取り囲む物質、特に液体に対して十分な材料耐性を有する。土木用機械がスラリーウォールカッターである場合、外側シール要素はスロット内に充填された支持液に対して十分に耐性があり、この支持液は、大部分が水、粘土鉱物、およびさらなる凝集体からなる。特に、このようなシール要素は、周囲の支持液の研磨特性および腐食特性に耐えることができる。ただし、そのためには、シールチャンバから必要な圧力が必要である。好ましくは、外側シール要素は、メカニカルシールである。
【0016】
内部シール要素、すなわち、工具駆動装置または伝達空間に対してシールチャンバを密封するシール要素として、明らかに材料耐性の低いシール要素を使用することができる。内部シール要素は、支持液の前述の汚染物と接触しないが、一方で、シールチャンバ内で使用される圧力媒体、または工具駆動装置/トランスミッション空間内に存在する可能性がある物質、特に伝達オイルと接触するだけであるからである。適切なシール材料の選択において得られる柔軟性は、ここでは圧力に耐えない材料を使用することができるという利点を含み、その封止効果は、圧力にかかわらず存在する。ここで適切なものは、例えば、エラストマーシールである。
【0017】
シールチャンバは、すなわち、周囲圧力、及びハウジング空間若しくはトランスミッション空間の少なくとも1つに対して密封することができる。同様に、その代わりに、少なくとも1つの圧力解放が、ハウジング空間または伝達空間に向かって供給されることが考えられる。例えば、シールチャンバは、少なくとも1つのスロットルを介して、ハウジング空間、特に伝達空間に向かって解放される。
【0018】
本発明を実現するために、原理的には任意の種類の圧力補償装置を使用することができ、これは、周囲圧力に依存してシールチャンバ内に存在する圧力レベルを調整するのに適している。特に好ましくは、このような圧力レベルが外側シールの十分なシール効果が保証され得るように、周囲圧力よりもわずかに高くなければならない。
【0019】
本発明の有利な実施形態によれば、新たに設計された圧力補償装置が使用され、この圧力補償装置は周囲圧力に応じて必要なチャンバ圧力でシールチャンバを加圧するために、圧力出口がシールチャンバに直接または間接的に接続された少なくとも1つのポンプを備える。例えば、スロットルは、ポンプの圧力側とシールチャンバとの間に一体化することができる。
【0020】
本発明の特に好ましい実施形態によれば、ポンプの吸引側は、工具駆動装置のハウジング内部、特にカッター駆動装置のトランスミッション空間に接続される。ポンプの圧力出口は、シールチャンバに接続されている。ポンプは、トランスミッション空間内に存在する物質、特にトランスミッションオイルの体積流を吸い込み、少なくとも部分的にそれをシールチャンバに圧送する。
【0021】
この点において、使用されるポンプがトランスミッション空間から一定の(小さい)体積流を吸い込むとき、特に好ましい。シールチャンバ内の所望の圧力レベルを調整するために、圧力制限バルブをポンプの圧力側に設置することができ、その圧力入口はポンプの圧力側に接続される。したがって、ポンプの吸引された容積流の一部のみが最終的にシールチャンバに送られ、余分な流体は圧力制限バルブを介して排出される。
【0022】
このスイッチング構成は、圧力制限バルブの開口部の適合によって、シールチャンバ内で達成される圧力レベルを正確に調整する。開口圧力の目標調整により、シールチャンバ内で達成可能な圧力レベルに影響を与え、十分な精度で調整することができる。ポンプの吸収容積の変化は、この目的のために必要ではない。
【0023】
好ましくは、使用される圧力制限バルブが開口圧力を対応して調整して、これにより、シールチャンバ内の所望の設定値圧力レベルに調節することができるように、圧力制限バルブがパイロット制御される。理想的には、制御圧力ポートが制御圧力容積を介して膜に接続される。膜に作用するのは、一方では制御圧力体積、他方では周囲圧力である。そのため、周囲圧力の変化は自動的に、圧力制限バルブの開口圧力の適応につながる。例えば、周囲圧力の増加は制御圧力の対応する増加につながり、それによって、シールチャンバ内の設定値圧力レベルが最終的に対応して適応される。
【0024】
圧力制限バルブおよびポンプが適切に寸法決めされると、シールチャンバ内の圧力レベルが周囲圧力に、または周囲圧力との正確な差に正確に調整される。所望の圧力差を調整するために、ばねバイアスの手段による圧力制限バルブの付加的な直接作動を提供することができる。ばねバイアスは制御圧力に対して圧力制限バルブ、すなわちバルブピストンに作用し、その結果、ばねバイアスは、シールチャンバ内の圧力レベルと周囲圧力との間の所望の圧力差を規定する。理想的には、ばねバイアスが調整可能な圧力制限バルブが使用される。
【0025】
圧力制限バルブの出口は、例えば、伝動オイルを閉回路の形でハウジングまたは伝動空間に通すために、工具駆動装置またはカッター駆動装置の伝動空間に直接接続することができる。この手順は、バルブピストンの一定の動きがあるように、圧力制限バルブを通る一定の体積流量が存在するという利点を有し、従来技術のような不利なヒステリシス効果をこれによって回避することができる。
【0026】
さらに、フィードバックされる作動油の手段によって、工具またはカッタドライブのそのような構成要素が潤滑され、通常の動作では潤滑されないか、または十分に潤滑されないことが想定される。
【0027】
加えて、トランスミッションオイルの提案されたオイル回路の実現は、例えば、オイルフィルタ、熱交換器、またはオイル特性を監視および評価するための別の分析装置のような追加コンポーネントを使用することを可能にする。熱交換器によって、例えば、トランスミッションオイルの充分な冷却を提供することができ、一方、フィルタは、動作中のトランスミッションオイルを清浄化することを可能にする。分析装置は、例えば、適時にトランスミッションオイルの汚染の可能性を検出し、それによって、軸受シールの減少するシール効果を推測する役割を果たすことができる。前記構成要素は、好ましくは圧力制限バルブから伝達空間への戻りライン内に設置される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1は、実施形態に係る本発明のスラリーウォールカッターの油圧回路図を示す。
図2図2は、図1の例示的な実施形態に対して若干修正された構成の油圧回路図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明のさらなる利点および特性を、例示的な実施形態を参照して以下に詳細に説明する。
【0030】
図1は、本発明によるスラリーウォールカッターのための液圧回路図を示し、これは、カッター駆動装置が収容される、不図示のハウジングを備えている。カッター駆動装置は、共通の油圧モーター2によって駆動される2つのフライスホイールギア1を備えている。ハウジングから出る複数の駆動軸は、以下に詳細に説明するように、ベアリングシール9、10を介してシールされなければならない。
【0031】
フライスホイール駆動装置の移動状態にかかわらず、一定の油圧駆動装置12を介して別々にエネルギーが供給されると、ポンプユニット3はトランスミッション内部4から小さい一定のオイル流を吸引する。このオイル流は、圧力制限バルブ5を通って流れる。圧力制限バルブ5は、調整可能なばねバイアス及び制御圧力ポート7を有する。膜6を介して、周囲圧力は、バルブ5の制御圧力ポート7に作用する油量に直接作用する。
【0032】
ポンプ3によって生成されかつ圧力制限バルブ5によって制御される圧力は、オイルが充填されたシールチャンバ8に加えられる。このシールチャンバ8は、メカニカルシール9によって、また、伝動装置1の内部空間に対してエラストマーシール10によって、外部に対して封止される。
【0033】
トランスミッション内部の全容積中の空気の含有量が高いため、支持液中への駆動装置への侵入深さにかかわらず、温度に応じて大気圧がトランスミッション空間4中に多かれ少なかれ存在する。一方、通常の作業深さを有する支持液中の周囲圧力は、例えば、大気圧と約20~25barの間の値とすることができる。
【0034】
シール9および10は、ベアリングシールのシール作業全体を、それらがそれぞれ設計される2つのサブタスクに分割する。
【0035】
シール9は、周囲の支持液の研磨特性および腐食特性に耐えることができるが、そのためにはシールチャンバ8内の圧力が可能な限り正確に維持され、周囲の支持液の圧力より約2バール上にあり、公差が1バール未満であることが必要である。
【0036】
シール10は、外部とトランスミッション内部との間の潜在的に高い差圧に耐えることができるが、そうするためには周囲の流体の清浄度を必要とする。
【0037】
圧力制限バルブ5は、バネ圧力(2バール)を制御ポート7内の周囲圧力に加えることによって、シールチャンバ8内の圧力に影響を及ぼす。さらに、バルブ5は、常に通過して流れ、したがって、そのバルブピストンは移動し続ける。それによって、圧力ピークが回避され、可能性のあるヒステリシス効果が低く抑えられる。
【0038】
循環油は、戻りライン11を介して再びトランスミッション1に供給される。有利な実施形態では、この戻りオイルが常時動作によってオイル濡れが保証されないトランスミッション部品を潤滑するために使用される。
【0039】
別の有利な実施形態において、または機能の拡張において、熱交換器、フィルタ、およびオイル分析のための装置は、特にオイル中の支持液の成分を検出することによって、熱を放散し、オイルから歯車摩耗を除去し、シール効果の減少を明らかにするために、ライン11に一体化され得る。
【0040】
その基本的な構成では、提示されたシステムが電子部品を必要とせず、さらなる制御努力を必要とせずに行うことができる。ベアリングシールのシール効果はシステム全体の駆動装置が作動している限り、すべての制御システムの故障時にも維持される。
【0041】
図1に関してわずかに修正された図2の実施形態では、シールチャンバ8’は気密封止されず、代わりにスロットル13を介してトランスミッション空間4内に解放される。このような変形例は、シールチャンバ8’からの熱の放散、およびシールチャンバ8’のオイル交換およびオイル浄化を可能にする。図2の実施形態の残りの設計は図1と同一であり、そのため、同一の参照番号が使用されている。
図1
図2