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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-27
(45)【発行日】2023-04-04
(54)【発明の名称】高さが低減された水素処理反応器内部
(51)【国際特許分類】
   B01J 8/00 20060101AFI20230328BHJP
   B01J 8/04 20060101ALI20230328BHJP
   B01F 25/42 20220101ALI20230328BHJP
【FI】
B01J8/00 A
B01J8/04
B01F25/42
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021546733
(86)(22)【出願日】2020-02-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-07
(86)【国際出願番号】 US2020017134
(87)【国際公開番号】W WO2020163670
(87)【国際公開日】2020-08-13
【審査請求日】2021-08-10
(31)【優先権主張番号】16/270,053
(32)【優先日】2019-02-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】598055242
【氏名又は名称】ユーオーピー エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100117640
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 達己
(72)【発明者】
【氏名】チャンピン、スー
【審査官】佐々木 典子
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-227040(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0000747(US,A1)
【文献】特表平04-503628(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 8/00- 8/46、
10/00-12/02、
14/00-19/32、
4/00- 7/02
B01F 21/00-25/90
C10G 1/00-99/00
F15D 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒床間の流体の混合及び分配のためのデバイスであって、
中央開口部(140)を備える収集トレー(115)であって、前記収集トレー(115)は、上部触媒床(105)の底部と流体連通している、収集トレー(115)と、
前記収集トレー(115)の前記中央開口部(140)と流体連通している中央パン(150)と、前記中央パン(150)と流体連通し、かつ前記中央パン(150)から外向きに延在する複数の流体分配トラフ(175)であって、前記流体分配トラフ(175)は、互いに離間しており、底部(179)、側壁(180)、及び端壁(185)であって、前記側壁(180)が前記中央パン(150)から前記端壁(185)まで下方に傾斜し、前記流体分配トラフ(175)の前記底部(179)が、その内部を貫通する開口部(177)を有し、前記端壁(185)は、反応器壁から離間されている、底部(179)、側壁(180)、及び端壁(185)を備える流体分配トラフ(175)と、を備える、粗液分配トレー(120)と、
前記粗液分配トレー(120)と流体連通し、下部触媒床(110)の頂部と流体連通している気液分配トレー(125)と、を含む、デバイス。
【請求項2】
前記中央パン(150)に隣接する流体分配トラフ(175)間に空間が存在し、前記空間が板(195)によって閉鎖される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記中央パン(150)における前記流体分配トラフ(175)の幅が、前記端壁(185)における前記流体分配トラフ(175)の幅よりも大きい、請求項1~2のいずれか一項に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0001】
多種多様なプロセスで、流体と固体粒子との間の接触をもたらすために、流体(複数の場合あり)が粒子状物質の固体床上を流れる並流反応器が使用される。反応器において、固体は、流体が反応して生成物を形成する触媒材料を含み得る。流体は、液体、蒸気、又は液体と蒸気との混合物であり得、流体は、反応して液体、蒸気、又は液体と蒸気との混合物を形成する。これらのプロセスは、炭化水素変換、水素化分解及び水素化処理など、様々なプロセスを網羅する。
【0002】
固定床を有する並流反応器は、反応器が触媒床上での流体流れを可能にするように構築される。流体が液体、蒸気、又は液体と蒸気との混合物である場合、流体は通常、反応器を通って下方に流れるように方向付けられる。反応器床が反応器シェル内で互いに積み重ねられている多床反応器も、頻繁に使用される。典型的には、これらは、床間にある程度の空間をもって積み重ねられる。
【0003】
床間空間は、多くの場合、冷却、加熱、混合、及び再分配などのプロセス流体の中間処理を提供するように作られる。
【0004】
発熱触媒反応では、流体温度及び分配の制御が重要である。上部触媒床から及び反応器の外側からの流体の温度及び組成は、下方の触媒床に分配される前に十分に混合されるべきである。触媒床の頂部での初期の不十分な温度及び組成の分配は、プロセス流体が反応器を下方に移動するにつれて持続又は拡大し得る。ホットスポットが発達し、触媒の急速な失活を引き起こし、反応器運転サイクル長を短縮させ得る。触媒床間の空間は、急冷ガス又は液体の注入のため、並びに流体の混合及び分配のためにある。炭化水素処理では、急冷ガスは多くの場合、冷却水素/炭化水素流である。しかしながら、混合及び分配を制御することなく流体を冷却することは、後続の反応器床における不均一な反応及び不均一な温度の分配をもたらす。また、複雑な混合及び分配システムは、複数の触媒床を保持する反応器チャンバ内の貴重な空間を占める。
【0005】
急冷流体を導入し、急冷流体と共に蒸気及び液体を混合するための反応器床間の空間を最小限に抑えることが常に望まれている。特に、既存の水素処理反応器では、反応器のスループット又は運転サイクル時間又はその両方を増加させることができるように、触媒充填を増加させるための触媒床間の空間を低減することが望ましい場合が多い。新たな反応器についても、多くの場合、加工工場における設備投資及び反応器のプロファイルを低減するために、反応器の全体的なサイズを低減することが望まれる。したがって、比較的短い床間空間内で、隣接する触媒床間の流体の良好な混合及び分配を提供することが望ましい。
【0006】
これらの制限を克服するための反応器の設計は、触媒充填を最大化するために、反応器内の貴重な空間を有意に節約し得る。更に、触媒床間の同じ又は低減された急冷ゾーン空間を有するプロセスを改善するために、既存の反応器を改良することが望ましい場合が多い。反応器シェル内の空間の利用を改善する新しい反応器内部は、かなりのコスト削減を提供することができ、新しい動作及び規制要件を満たす既存の反応器の改良を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本発明の水素化処理反応器内部の一実施形態の断面である。
図2図2は、本発明の収集トレー及び環状分配器の一実施形態の上面図である。
図3図3は、本発明の蒸気煙突の一実施形態の上面図である。
図4図4は、本発明の粗液分配トレーの一実施形態の上面図である。
図5図5は、粗液分配トレーのトラフの支持体の一実施形態の側面図である。
図6A図6Aは、本発明の粗液分配トレーの代替実施形態である。
図6B図6Bは、本発明の粗液分配トレーの代替実施形態である。
図7図7は、バッフルを上に有する収集トレーの一実施形態の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
既存の反応器の改良における水素処理反応器内部(HRI)の高さを最小化し、触媒充填を最大化することは、プロセスの経済性を改善する生産速度及び/又は運転サイクル長を増加させるのに役立つ。この設計では、HRI高さの低減は、流体流れのためにトレーの上方及び下方の必要な空間が低減されるように、粗液分配トレーのより開いた設計によって達成される。
【0009】
水素処理反応器急冷ゾーン内部は、収集トレー、粗液分配トレー、及び気液分配トレーを含む。いくつかの実施形態では、流体混合は、専用混合チャンバなしに、収集トレー及び粗液分配トレーの両方の上で生じる。
【0010】
収集トレーは、下方への流体流れのための中央開口部を有し、いくつかの実施形態では、下方蒸気流のために中央開口部の周囲の1つ以上の煙突を有する。収集トレー上の環状分配器は、収集トレーに急冷流体を導入する。収集トレーは、上部触媒床の底部と流体連通している。
【0011】
粗液分配トレーは、中央パンと、外端が反応器シェルに近接して径方向外側に延在する、パンに取り付けられた複数の流体分配トラフと、を備える。流体分配トラフ底部は、以下の気液分配トレーへの液体流のための孔を有する。流体分配トラフは、中央パンから外側端部に傾斜する2つの側壁と、液体分配用の流体分配トラフ内に液体を保持するための端壁と、を有する。蒸気は、壁の頂部から流体分配トラフを出て、流体分配トラフ間と流体分配トラフと反応器シェルとの間の開放空間を通って気液分配に流れ落ちる。
【0012】
急冷ガスは、回収トレー上の環状分配器から注入され、上部触媒床からのプロセス蒸気及び液体と混合される。流体は、収集トレー上で、更に単一の中央開口部で混合される。いくつかの実施形態では、中央開口部に取り付けられたダウンカマーが存在する。ダウンカマーは、粗液分配トレーの中央パンの上で終端される。
【0013】
蒸気煙突が存在する場合、急冷ガス及びプロセス蒸気は、収集トレーの上方及び蒸気煙突内で混合される。全ての流体は、中央パン内の液体中に混合ガス及び蒸気を煙突の底部から注入することによって、中央パン内で更に混合される。次いで、蒸気及び液体は、中央パンに取り付けられた流体分配トラフに水平に流れる。液体は、トラフの底部の孔を通って気液分配トレーに下方に分配され、蒸気はトラフ間の空間を通って流れる。
【0014】
本発明の一態様は、触媒床間の流体の混合及び分配のためのデバイスである。一実施形態では、デバイスは、中央開口部を備える収集トレーを備え、収集トレーは、上部触媒床の底部と流体連通している。収集トレーの中央開口部と流体連通している中央パンと、中央パンと流体連通し、かつ中央パンから外向きに延在する複数の流体分配トラフであって、流体分配トラフは互いに離間し、底部、側壁、及び端壁であって、側壁が、中央パンから端壁に向かって下方に傾斜し、流体分配トラフの底部が、その内部を貫通する開口部を有し、端壁は、反応器壁から離間している、底部、側壁、及び端壁を備える流体分配トラフと、を含む、粗液分配トレーがある。粗液分配トレーと流体連通し、下部触媒床の頂部を有する気液分配トレーが存在する。
【0015】
いくつかの実施形態では、中央パンに隣接する流体分配トラフ間に空間が存在し、空間は板によって閉鎖される。
【0016】
いくつかの実施形態では、中央パンにおける流体分配トラフの幅は、端壁における流体分配トラフの幅よりも大きい。
【0017】
いくつかの実施形態では、中央パンにおける流体分配トラフの幅は、端壁における流体分配トラフの幅よりも小さい。
【0018】
いくつかの実施形態では、流体分配トラフの幅は24インチ未満である。
【0019】
いくつかの実施形態では、デバイスは、急冷流体を収集トレーの上方の空間内に注入するための注入器を備える環状分配器を更に備える。
【0020】
いくつかの実施形態では、注入器は、環状分配器に対して内側に実質的に垂直に方向付けられるか、又は注入器は環状分配器に対して接線方向に方向付けられる。
【0021】
いくつかの実施形態では、デバイスは、収集トレーの上方に混合チャンバを更に備え、混合チャンバは、内壁及び外壁を有し、内壁は、中央開口部の周囲に位置付けされ、外壁は、注入器の内側の位置に位置し、外壁は、スピルウェイを有する。
【0022】
いくつかの実施形態では、デバイスは、中央開口部の半径方向外側に位置付けされた蒸気流のための蒸気煙突を更に備える。
【0023】
いくつかの実施形態では、蒸気煙突は、収集トレーの表面の上方及び下方に延在し、蒸気煙突は、収集トレーの通常動作液レベルよりも上方の上部開口部と、蒸気煙突の下部の下部開口部とを有する。
【0024】
いくつかの実施形態では、蒸気煙突は、側部及び閉鎖底部を有し、下部開口部は、蒸気煙突の底部に隣接する側にある。
【0025】
いくつかの実施形態では、蒸気煙突は、開放底部を有し、収集トレーの下面に隣接して終端される。
【0026】
いくつかの実施形態では、蒸気煙突の断面は三角形である。
【0027】
いくつかの実施形態では、中央開口部の周囲に円周方向に配列され、それらの間に流体流路を形成する複数の蒸気煙突が存在する。
【0028】
いくつかの実施形態では、蒸気煙突は、中央開口部に隣接する内壁と、中央開口部から離間した外壁とを有し、内壁の高さは外壁の高さよりも小さい。
【0029】
いくつかの実施形態では、蒸気煙突は、収集トレーの上方に位置付けされる。
【0030】
いくつかの実施形態では、蒸気煙突は、中央開口部に隣接する内壁と、中央開口部から離間した外壁とを有し、内壁の幅は外壁の幅よりも小さい。
【0031】
いくつかの実施形態では、デバイスは、中央開口部に取り付けられたダウンカマーを更に含み、ダウンカマーの底部は中央パンの上方にある。
【0032】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのパラメータを感知する位置に位置付けされたセンサ、送信機、又はデータを受信し、データを分析し、データを送信し、又はそれらの組み合わせを行うコンピューティングデバイス、の少なくとも1つを更に含む、請求項1に記載のデバイス。
【0033】
本発明の別の態様は、触媒床間の流体の混合及び分配のためのデバイスである。一実施形態では、デバイスは、中央開口部を備える収集トレーを備え、収集トレーは、上部触媒床の底部と流体連通している。中央開口部の半径方向外側に位置付けされた蒸気流のための蒸気煙突が存在し、収集トレーの上方の空間に急冷流体を注入するための注入器を備える、環状分配器が存在する。収集トレーの中央開口部と流体連通している中央パンと、中央パンと流体連通し、かつ中央パンから外向きに延在する複数の流体分配トラフであって、流体分配トラフは互いに離間し、底部、側壁、及び端壁であって、側壁が、中央パンから端壁に向かって下方に傾斜し、流体分配トラフの底部が、その内部を貫通する開口部を有し、端壁は、反応器壁から離間している、底部、側壁、及び端壁を備える流体分配トラフと、を含む、粗液分配トレーがある。粗液分配トレーと流体連通し、下部触媒床の頂部を有する気液分配トレーが存在する。
【0034】
図1に示すように、急冷ゾーンHRI 100は、上部触媒床105の底部と下部触媒床110の頂部との間にある。これは、収集トレー115、粗液分配トレー120及び気液分配トレー125を含む。粗液分配トレー120は、中央パン150と、中央パン150に取り付けられた流体分配トラフ175とを備える。
【0035】
環状分配器130は、上方触媒床105からのダウンフロープロセス蒸気及び液体と接触するために、急冷流体135を収集トレー115の上方の空間に注入するために使用される。図2に示すように、注入器137は、環状分配器130に対して内側に実質的に垂直に方向付けられる。いくつかの実施形態では、注入器137は、環状分配器130に接線方向に方向付けられる。
【0036】
全ての流体は、混合のために収集トレー115の中心に向かって流れる。流体は、収集トレー115内の中央開口部140を通って下方に流れる。図7に示されるような1つ以上の湾曲したバッフル250は、流体混合を容易にするために、中央開口部140における回転流体流れを誘導するために、環状分配器130と中央開口部140との間の収集トレー115上に設置されてもよい。バッフル250は、収集トレー115から触媒支持グリッド255に向かって上方に延在し得る。いくつかの実施形態では、蒸気及び液体の両方が中央開口部140を通って下方に流れる。図1に示すような他の実施形態では、蒸気の大部分は、中央開口部140の周囲の1つ以上の蒸気煙突145を通って流れ、ほとんどの液体は中央開口部140を通って流れる。蒸気煙突145が存在する場合、それらは、液体が混合のために中央開口部140を優先的に通って流れ、蒸気煙突145を通って蒸気が流れるように、収集トレー115の上方に数インチ延ばすことができる。蒸気煙突145は、図2に示すように、液体が中央開口部140内に入る前にいくらかの液体混合が生じるように配置され得る。
【0037】
いくつかの実施形態では、特定の圧力低下(例えば、3.5kPa又は0.5spi)は、高い蒸気出口速度が粗液分配トレー120の中央パン150内の液体と乱流接触を生じさせるように、蒸気煙突145の底部160付近の狭いスロット165をほとんど通って発生するように設計される。蒸気煙突145が存在する場合、中央開口部140及び蒸気煙突145は、液体の大部分が中央開口部140を通って流れ、混合ガス及び蒸気の大部分が、収集トレー115上の蒸気煙突145を通って流れるように設計される。
【0038】
ダウンカマー155が存在する場合、中央開口部140で収集トレー115に取り付けられ、粗液分配トレー120の底部の上方で終端されて、粗液分配トレー120上の中央パン150の中心に液体を排出する。収集トレー115に取り付けられた蒸気煙突145は、中央パン150の上面(例えば、上記0.5”のように低い)に近接して、収集トレー115の下面と同じ高さまで下方に延在してもよい。図3に示すようないくつかの実施形態では、蒸気煙突145の底部160は閉じている。出口蒸気速度及び方向を制御することができるように、混合ガス及び蒸気を中央パン150内の液体に注入するために、底部160の近くの蒸気煙突145の側面170にスロット165が存在する。三角形の蒸気煙突145が使用されるとき、蒸気は水平方向に三角蒸気煙突145を出ることができ、その結果、流体の流れの回転が中央パン150内に作り出されて、更なる流体混合及び熱伝達をする。
【0039】
図4に示されるように、混合流体は、次いで、分配のために中央パン150に取り付けられた流体分配トラフ175に入る。液体は、流体分配トラフ175の底板179の孔177を通って気液分配トレー125に流れ落ち、蒸気(気体)は、側壁180及び端壁185の頂部並びに流体分配トラフ175間の空間190を通って流れる。
【0040】
中央パン150に取り付けられた端部に隣接する流体分配トラフ175間に間隙が存在する場合、中央パン150を出る流体が、以下の気液分配トレー125への分配のために、流体分配トラフ175内にのみ流れることができるように、間隙は板195で閉鎖される。
【0041】
流体分配トラフ175は、任意の好適なサイズ及び形状であり得る。狭い流体分配トラフ175(例えば、24インチ未満)は、必要とされる封止を最小限に抑えて容易に設置するために、反応器内のマンウェイを通過させるように設計することができる。狭い流体分配トラフ175は剛性であり、図5に示すように、デッキに取り付けられたロッド200及び気液分配トレー125用の支持梁207の頂部フランジ205で支持され得る。流体分配トラフ175は、流体分配トラフ175の底板179上の孔177が遮断されず、液体が梁フランジ205の頂部上に落下するときに液体の跳ね出しがほとんど生じないように、梁フランジ205の頂部の上方に短い距離(例えば、0.25~0.5インチ)離間していてもよい。複数の狭い流体分配トラフ175はまた、流体分配トラフ175から出る蒸気の速度を、流体分配トラフ175の側壁180の上方の隙間を通して低減し、流体分配トラフ175及び粗液分配トレー120の高さ及び粗液分配トレー120と気液分配トレー125との間の空間を最小化する。
【0042】
流体分配トラフ175の数、寸法、及び形状は、様々な蒸気及び液体流量を収容するように設計され得る。例えば、図6Aでは、端壁185における流体分配トラフ175の幅は、中央パン150における流体分配トラフ175の幅よりも小さい。図6Bでは、端壁185における流体分配トラフ175の幅は、中央パン150における流体分配トラフ175の幅よりも大きい。
【0043】
図1及び3に示される実施形態では、蒸気煙突145は収集トレー115に取り付けられ、中央パン150の上面に近接して下方に延在している。煙突底部160は閉じられ、中央パン150内の液体に混合ガス及び蒸気を水平に注入し、流体混合及び熱伝達を促進するために中央パン150の上方の流体の旋回流を生成するために、底部160の近くの側部170上にスロット165を有する。
【0044】
流体分配トラフ175は、底部穿孔板179、傾斜側壁180及び端壁185を備えて構成されている。中央パン150に取り付けられた端部は、流体混合物が流体分配トラフに入ることができるように開放される。側壁180は、粗液分配トレー120と収集トレー115との間の間隔に近い高さから傾斜し(例えば、トレー間の間隔が6インチである場合、側壁180は5.75インチになる)中央パン150に取り付けられた側で、反応器シェル210に近い端壁185において1~3インチになる。典型的には、流体分配トラフ175の端壁185の高さは、それらが合流する側壁180と同じである。
【0045】
先行技術及び本発明のプロセス及び装置の説明は、添付の図面を参照して提示される。図は、本発明の従来技術及び様々な実施形態の簡略図であり、本明細書に提供される説明及び添付の特許請求の範囲の一般的に広い範囲に関する過度の限定として意図されていない。バルブ、ポンプ、圧縮機、熱交換器、機器、及び制御部などの特定のハードウェアは、本発明の明確な理解に必須ではないために省略されている。このハードウェアの使用及び適用は、当業者には周知である。
【0046】
上記のライン、導管、ユニット、デバイス、容器、周囲環境、ゾーン、又は同様のもののいずれも、センサ、測定デバイス、データ捕捉デバイス、又はデータ送信デバイスを含む1つ以上の監視構成要素を装備してもよい。監視構成要素からの信号、プロセス、又は状態測定値、並びにデータを使用して、プロセス機器内、その周囲、及びその上の状況を監視することができる。監視構成要素によって生成又は記録された信号、測定値、及び/又はデータは、プライベート若しくはパブリック、一般的若しくは特定的、直接若しくは間接的、有線若しくは無線、暗号化若しくは非暗号化、及び/又はそれらの組み合わせ(複数可)であってもよい1つ以上のネットワーク又は接続を介して収集、処理、及び/又は送信されてもよい。本明細書は、この点において限定することを意図するものではない。
【0047】
監視構成要素によって生成又は記録された信号、測定値、及び/又はデータは、1つ以上のコンピューティングデバイス又はシステムに送信されてもよい。コンピューティングデバイス又はシステムは、少なくとも1つのプロセッサと、少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、1つ以上のコンピューティングデバイスに1つ以上の工程を含み得るプロセスを実行させる、コンピュータ可読命令を記憶するメモリと、を含み得る。例えば、1つ以上のコンピューティングデバイスは、1つ以上の監視構成要素から、プロセスに関連付けられた機器の少なくとも一部に関連するデータを受信するように構成されてもよい。1つ以上のコンピューティングデバイス又はシステムは、データを分析するように構成されてもよい。データの分析に基づいて、1つ以上のコンピューティングデバイス又はシステムは、本明細書に記載される1つ以上のプロセスの1つ以上のパラメータに対する1つ以上の推奨される調整を決定するように構成されてもよい。1つ以上のコンピューティングデバイス又はシステムは、本明細書に記載される1つ以上のプロセスの1つ以上のパラメータに対する1つ以上の推奨される調整を含む暗号化又は非暗号化データを送信するように構成されてもよい。
【0048】
弁、ポンプ、フィルタ、冷却器などの様々な他の構成要素は、それらの詳細が十分に当業者の知識の範囲内であり、またそれらの説明が、本発明の実施形態の実践又は理解に必須ではないと考えられるため、図面には示されていないことが、当業者には認識及び理解されるべきである。
【0049】
上記の本発明の詳細な説明において、少なくとも1つの例示的な実施形態を提示したが、膨大な数の変形例が存在する点を認識されたい。例示的な実施形態(複数可)は、あくまで実例にすぎず、いかなる意味でも発明の範囲、適用可能性、又は構成の限定を目的としていない点もまた理解されるはずである。むしろ、上記の詳細な説明は、発明の例示的な実施形態を実施するうえで便利な指針を当業者に提供するものであり、添付の特許請求の範囲及びそれらの法的均等物に記載される発明の範囲から逸脱することなく、例示的な実施形態に記載される機能及び要素の配置に様々な変更がなされ得る点は理解されよう。
【0050】
特定の実施形態
以下を特定の実施形態と併せて説明するが、この説明は、前述の説明及び添付の特許請求の範囲を例示するものであり、限定するものではないことが理解されるであろう。
【0051】
本発明の第1の実施形態は、中央開口部を含む収集トレーであって、収集トレーは、上部触媒床の底部と流体連通する、収集トレーと、収集トレーの中央開口部と流体連通している中央パンと、中央パンと流体連通し、中央パンから外向きに延在する複数の流体分配トラフであって、流体分配トラフが互いに離間しており、流体分配トラフが、底部、側壁、及び端壁であって、側壁が、中央パンから端壁に向かって下方に傾斜し、流体分配トラフの底部は、その内部を貫通する開口部を有し、端壁は、反応器壁から離間している、底部、側壁、及び端壁を備える、流体分配トラフと、を含む、粗液体分配トレーと、粗液体分配トレーと流体連通し、下部触媒床の頂部を有する、気液分配トレーと、を備える、触媒床間の流体の混合及び分配のための装置である。本発明の一実施形態は、本段落の先行する実施形態から本段落の第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであって、中央パンに隣接する流体分配トラフ間に空間が存在し、空間は板によって閉鎖されている。本発明の一実施形態は、本段落の先行する実施形態から本段落の第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであって、中央パンにおける流体分配トラフの幅が、端壁における流体分配トラフの幅よりも大きい。本発明の一実施形態は、本段落の先行する実施形態から本段落の第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであって、中央パンにおける流体分配トラフの幅は、端壁における流体分配トラフの幅よりも小さい。本発明の一実施形態は、本段落の先行する実施形態から本段落の第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであって、流体分配トラフの幅は24インチ未満である。本発明の一実施形態は、本段落の先行する実施形態から本段落の第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであって、収集トレー上の空間に急冷流体を注入するための注入器を備える環状分配器を更に含む。本発明の一実施形態は、本段落の先行する実施形態から本段落の第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであって、注入器が環状分配器に対して内側に実質的に垂直に方向付けられている、又は注入器が環状分配器に対して接線方向に方向付けられる。本発明の一実施形態は、本段落の先行する実施形態から本段落の第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであって、収集トレーの上方に混合チャンバを更に備え、混合チャンバは、内壁及び外壁を有し、内壁は、中央開口部の周囲に位置付けされ、外壁は、注入器の内側の位置に位置し、外壁は、スピルウェイを有する。本発明の一実施形態は、本段落の先行する実施形態から本段落の第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであって、中央開口部の半径方向外側に位置付けされた蒸気流のための蒸気煙突を更に含む。本発明の一実施形態は、本段落の先行する実施形態から本段落の第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであって、蒸気煙突は、収集トレーの表面の上方及び下方に延在し、蒸気煙突は、収集トレーの通常動作液レベルより上の上部開口部と、蒸気煙突の下部の下部開口部とを有する。本発明の一実施形態は、本段落の先行する実施形態から本段落の第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであって、蒸気煙突は、側面及び閉鎖底部を有し、下部開口部は、蒸気煙突の底部に隣接する側にある。本発明の一実施形態は、本段落の先行する実施形態から本段落の第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであって、蒸気煙突は開放底部を有し、収集トレーの下面に隣接して終端されている。本発明の一実施形態は、本段落の先行する実施形態から本段落の第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであって、蒸気煙突の断面は三角形である。本発明の一実施形態は、本段落の先行する実施形態から本段落の第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであって、それらの間に流体流路を形成するように、中央開口部の周囲に円周方向に配列された複数の蒸気煙突が存在する。本発明の一実施形態は本段落の先行する実施形態から本段落の第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであって、蒸気煙突は、中央開口部に隣接する内壁と、中央開口部から離間した外壁とを有し、内壁の高さは外壁の高さよりも小さい。本発明の一実施形態は、本段落の先行する実施形態から本段落の第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであって、蒸気煙突は収集トレーの上に位置付けされている。本発明の一実施形態は、本段落の先行する実施形態から本段落の第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであって、蒸気煙突は、中央開口部に隣接する内壁と、中央開口部から離間した外壁とを有し、内壁の幅は外壁の幅よりも小さい。本発明の一実施形態は、本段落の先行する実施形態から本段落の第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであって、環状分配器と中央開口部との間の収集トレー上に湾曲したバッフルを更に備える。本発明の一実施形態は、本段落の先行する実施形態から本段落の第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであって、少なくとも1つのパラメータを感知する位置に位置付けされたセンサ、送信機、又はデータを受信し、データを分析し、データを送信し、又はそれらの組み合わせを行うコンピューティングデバイス、の少なくとも1つを更に含む。
【0052】
本発明の第2の実施形態は、中央開口部を含む収集トレーであって、収集トレーは、上部触媒床の底部と流体連通する、収集トレーと、中央開口部の半径方向外側に位置付けされた蒸気流のための蒸気煙突と、収集トレーの上方の空間に急冷流体を注入するための注入器を備える環状分配器と、収集トレーの中央開口部と流体連通している中央パンと、中央パンと流体連通し、中央パンから外向きに延在する複数の流体分配トラフであって、流体分配トラフが互いに離間しており、流体分配トラフが、底部、側壁、及び端壁であって、側壁が、中央パンから端壁に向かって下方に傾斜し、流体分配トラフの底部は、その内部を貫通する開口部を有し、端壁は、反応器壁から離間している、底部、側壁、及び端壁を備える、流体分配トラフと、を含む、粗液体分配トレーと、粗液体分配トレーと流体連通し、下部触媒床の頂部を有する、気液分配トレーと、を備える、触媒床間の流体の混合及び分配のための装置である。
【0053】
更に説明することなく、前述の説明を用いて、当業者が、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく本発明を最大限に利用し、本発明の本質的な特性を容易に確認でき、本発明の様々な変更及び修正を行い、様々な使用及び条件に適合させることができると考えられる。したがって、先行する好ましい特定の実施形態は、単なる例示として解釈されるべきであり、いかなるようにも本開示の残りを限定するものではなく、添付の特許請求の範囲内に含まれる様々な修正及び同等の構成を網羅することを意図するものである。
【0054】
上記では、全ての温度は摂氏度で記載され、全ての部及び百分率は、別途記載のない限り、重量基準である。
<付記>
[形態1]
触媒床間の流体の混合及び分配のためのデバイスであって、
中央開口部(140)を備える収集トレー(115)であって、前記収集トレー(115)は、上部触媒床(105)の底部と流体連通している、収集トレー(115)と、 前記収集トレー(115)の前記中央開口部(140)と流体連通している中央パン(150)と、前記中央パン(150)と流体連通し、かつ前記中央パン(150)から外向きに延在する複数の流体分配トラフ(175)であって、前記流体分配トラフ(175)は、互いに離間しており、底部(179)、側壁(180)、及び端壁(185)であって、前記側壁(180)が前記中央パン(150)から前記端壁(185)まで下方に傾斜し、前記流体分配トラフ(175)の前記底部(179)が、その内部を貫通する開口部(177)を有し、前記端壁(185)は、反応器壁から離間されている、底部(179)、側壁(180)、及び端壁(185)を備える流体分配トラフ(175)と、を備える、粗液分配トレー(120)と、
前記粗液分配トレー(120)と流体連通し、下部触媒床(110)の頂部と流体連通している気液分配トレー(125)と、を含む、デバイス。
[形態2]
前記中央パン(150)に隣接する流体分配トラフ(175)間に空間が存在し、前記空間が板(195)によって閉鎖される、形態1に記載のデバイス。
[形態3]
前記中央パン(150)における前記流体分配トラフ(175)の幅が、前記端壁(185)における前記流体分配トラフ(175)の幅よりも大きい、形態1~2のいずれか一項に記載のデバイス。
[形態4]
前記中央パン(150)における前記流体分配トラフ(175)の幅が、前記端壁(185)における前記流体分配トラフ(175)の幅よりも小さい、形態1~2のいず
れか一項に記載のデバイス。
[形態5]
前記流体分配トラフ(175)の幅が24インチ未満幅である、形態1~2のいずれか一項に記載のデバイス。
[形態6]
前記収集トレー(115)の上方の空間に急冷流体を注入するための注入器(137)を備える環状分配器(130)を更に備える、形態1~2のいずれか一項に記載のデバイス。
[形態7]
前記注入器(137)が、前記環状分配器(130)に対して内側に実質的に垂直に方向付けられているか、又は前記注入器(137)が前記環状分配器(130)に対して接線方向に方向付けられる、形態6に記載のデバイス。
[形態8]
前記収集トレー(115)の上方に混合チャンバを更に備え、前記混合チャンバは、内壁及び外壁を有し、前記内壁は、前記中央開口部(140)の周囲に位置付けされ、前記外壁が、前記注入器(137)の内側の位置に位置し、前記外壁がスピルウェイを有する、形態6に記載のデバイス。
[形態9]
前記中央開口部(140)の半径方向外側に位置付けされた蒸気流のための蒸気煙突(145)を更に備える、形態1~2のいずれか一項に記載のデバイス。
[形態10]
形態1に記載のデバイスであって、
少なくとも1つのパラメータを感知する位置に位置付けされたセンサ、
送信機、又は、
データを受信し、データを分析し、データを送信する、又はそれらの組み合わせを行うコンピューティングデバイス、の少なくとも1つを更に含む、デバイス。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7