(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-28
(45)【発行日】2023-04-05
(54)【発明の名称】収納ラック
(51)【国際特許分類】
B66C 13/12 20060101AFI20230329BHJP
【FI】
B66C13/12 D
(21)【出願番号】P 2019175390
(22)【出願日】2019-09-26
【審査請求日】2022-05-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002044
【氏名又は名称】弁理士法人ブライタス
(72)【発明者】
【氏名】森下 茂
(72)【発明者】
【氏名】寺司 周平
(72)【発明者】
【氏名】石橋 大希
【審査官】八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-010183(JP,A)
【文献】特開2009-242101(JP,A)
【文献】特開2010-143650(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 13/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の線状部材を収納する収納ラックであって、
上下方向に並ぶように配置され、それぞれ上方から見て所定方向に延びるように設けられ、かつそれぞれ前記線状部材が横たわるように前記線状部材を支持可能に構成された複数段の支持ユニットを備え、
前記複数段の支持ユニットは、最も下方に配置された最下段ユニットと、前記最下段ユニットの上方に配置された1以上の上部ユニットとを含み、
前記1以上の上部ユニットはそれぞれ、前記線状部材を下方から支持できるように前記所定方向に間隔をおいて配置された複数の支持具を有し、
前記上部ユニットの各支持具は、
自身と自身の1つ下段の前記支持ユニットとの間をいずれの前記線状部材も通っていない場合には、前記線状部材が上方から降下してきたときにその線状部材を1つ下段の前記支持ユニットへ送り、
いずれかの前記線状部材が自身と自身の1つ下段の前記支持ユニットとの間を通るように前記1つ下段の前記支持ユニットに支持されている場合には、前記線状部材が上方から降下してきたときにその線状部材を下方から支持し、
前記1つ下段に送った前記線状部材が自身の下方から上昇してきたときには、その線状部材を上方に送ることができる、収納ラック。
【請求項2】
前記最下段ユニットは、前記複数の線状部材を上下方向に通すための挿通部と、前記所定方向における前記挿通部の両側にそれぞれ設けられかつ前記線状部材が横たわるように前記線状部材を下方から支持する最下段支持部とを備える、請求項1に記載の収納ラック。
【請求項3】
前記上部ユニットの各支持具は、前記所定方向に延びる回転軸を中心としてそれぞれ回動可能に設けられた支持部材および切替部材を有し、
前記所定方向から見て、前記支持部材は前記回転軸に対して直交する方向に延び、前記切替部材は前記支持部材の延伸方向に交差する方向に延び、
当該支持具は、前記切替部材が上方から降下してきた線状部材に接触可能な第1状態と、前記支持部材が上方から降下してきた線状部材に接触可能な第2状態との間で切り替えられ、
前記支持具の第1状態において、上方から降下してきた前記線状部材が前記切替部材を下方に押して前記切替部材が回動することによって、前記線状部材が前記1つ下段の前記支持ユニットに送られるとともに、前記支持部材が前記切替部材とともに回動することによって前記支持具が前記第2状態となる、請求項1または2に記載の収納ラック。
【請求項4】
前記1以上の上部ユニットは、前記最下段ユニットの1つ上段の中段ユニットと、前記中段ユニットよりも上方に設けられる1以上の上段ユニットとを含み、
前記支持具の第1状態において、下方から上昇してきた前記線状部材が前記切替部材を上方に押して前記切替部材が回動することによって、前記線状部材が当該支持具の前記切替部材の上方に送られる、請求項3に記載の収納ラック。
【請求項5】
一の前記上部ユニットの前記複数の支持具と、前記一の上部ユニットの1つ上段の前記上部ユニットの前記複数の支持具とは、前記所定方向において互いにずれて配置されている、請求項1から4のいずれかに記載の収納ラック。
【請求項6】
前記複数の線状部材は、前記所定方向に並ぶように配置された複数の走行機械の巻き取り装置に、当該収納ラックの上方において巻き付けられている、請求項1から5のいずれかに記載の収納ラック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の線状部材を収納する収納ラックに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、港湾施設等において種々の走行機械が利用されている。具体的には、製鉄所の港湾施設では、貨物船からヤードへの原料(鉄鉱石等)の搬送経路において、アンローダ、スタッカ、リクレーマ、クレーン等の軌条走行式の走行機械が利用されている。
【0003】
上記のような走行機械には、種々の駆動装置(例えば、走行機械を走行させるためのモータ、原料を運搬するためのバケット等を駆動するためのモータ等)が搭載されている。このため、走行機械に対して、駆動装置を稼働させるための電力を供給する必要がある。
【0004】
走行機械に電力を供給する方法としては、例えば、特許文献1に開示されているように、地上に設けられた電源(給電設備)から給電ケーブルを介して走行機械に電力を供給する方法が知られている。
【0005】
以下、
図1を用いて、給電ケーブルを用いて走行機械に電力を供給する方法について簡単に説明する。なお、
図1には、走行機械の一例として、アンローダが示されている。また、
図1においては、図面が煩雑になることを避けるために、アンローダおよびその周辺の設備を簡略化して示している。
【0006】
図1に示すように、アンローダ1は、港湾施設に着岸した貨物船2から原料を陸揚げする装置である。アンローダ1は、一対のレール3a,3b上を走行可能な本体部4と、本体部4に支持された桁部5と、桁部5の長さ方向に移動可能に桁部5に支持されたグラブバケット6と、本体部4に支持された給電ケーブルの巻き取り装置7とを備えている。
【0007】
巻き取り装置7は、アンローダ1に電力を供給するための給電ケーブル8の巻き取りおよび繰り出しを行う装置である。図示は省略するが、給電ケーブル8の一部は、地中に埋め込まれるなどして地面側に固定されている。
図1の例では、給電ケーブル8のうち、ガイド装置9を介して地面Gから引き上げられた部分が示されている。給電ケーブル8の一端はアンローダ1に接続され、給電ケーブル8の他端は、図示しない電源に接続されている。
【0008】
上記のような構成により、アンローダ1がレール3a,3b上をガイド装置9から離れるように移動する際には、巻き取り装置7から給電ケーブル8が繰り出される。これにより、アンローダ1とガイド装置9との間で、給電ケーブル8に大きな張力が作用することを抑制することができる。
【0009】
一方、アンローダ1がレール3a,3b上をガイド装置9に近付くように移動する際には、巻き取り装置7によって給電ケーブル8が巻き取られる。これにより、給電ケーブル8のもつれを抑制できるとともに、給電ケーブル8がアンローダ1および他の装置の移動の障害となることを抑制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、港湾施設においては、共通の走行経路上に、複数の走行機械が配置される場合がある。そこで、本発明者らは、共通の走行経路上に配置された複数の走行機械に対しても、以下に説明するように、給電ケーブルを用いて電力を供給することを検討した。
【0012】
図2は、共通の走行経路上に複数の走行機械が配置された港湾施設を上方から見た図であり、各走行機械に対して給電ケーブルを用いて電力を供給するために本発明者らが検討した構成を示している。なお、
図2に示す港湾施設では、所定方向(矢印Xで示す方向。)に延びる共通のレール3a,3b上に、4台のアンローダ1a~1dが配置されている。また、
図2においては、2隻の貨物船2a,2bが示されている。
【0013】
図2において、アンローダ1a~1dは、上述のアンローダ1の巻き取り装置7と同様の構成を有する巻き取り装置7a~7dを備えている。また、アンローダ1a~1dには、上述の給電ケーブル8と同様の給電ケーブル8a~8dが接続されている。給電ケーブル8a~8dは、ガイド装置9aを介して地面から引き上げられている。
【0014】
図2に示すように給電ケーブル8a~8dを用いることによって、アンローダ1a~1dそれぞれに対して、必要な電力を適宜供給することができる。しかしながら、本発明者らが詳細に検討したところ、以下のような問題が生じることが分かった。
【0015】
図3および
図4は、
図2のアンローダ1a~1d、給電ケーブル8a~8dおよびガイド装置9aの位置関係を示す概略図(海側から見た図)である。なお、図面が煩雑になることを避けるために、
図3および
図4においては、アンローダ1a~1dのうち、巻き取り装置7a~7d以外の構成の図示を省略している。
【0016】
本発明者らの詳細な検討の結果、アンローダ1a~1dが共通のレール3a,3b上を所定方向Xに移動する場合には、給電ケーブル8a~8dのうちの少なくとも2つが接触しやすくなることが分かった。以下、所定方向Xをアンローダ1a~1dの移動方向Xと記載する。
【0017】
例えば、
図2および
図3に示すように、アンローダ1a~1dの移動方向Xにおいて、アンローダ1a,1bがガイド装置9aの一方側に位置し、アンローダ1c,1dがガイド装置9aの他方側に位置する場合には、アンローダ1a,1bに接続された給電ケーブル8a,8bが接触しやすくなり、アンローダ1c,1dに接続された給電ケーブル8c,8dが接触しやすくなる。
【0018】
また、例えば、
図4に示すように、アンローダ1a~1dの移動方向Xにおいて、アンローダ1a~1cがガイド装置9aの一方側に位置し、アンローダ1dがガイド装置9aの他方側に位置する場合には、アンローダ1a~1cに接続された給電ケーブル8a~8cが接触しやすくなる。
【0019】
上記のように給電ケーブル同士が接触すると、接触した部分において給電ケーブルが損傷するおそれがある。特に、給電ケーブル同士が絡まると、巻き取り装置によって給電ケーブルを円滑に巻き取れなくなったり、給電ケーブルを巻き取る際に、給電ケーブルに大きな張力が生じて、給電ケーブルが損傷したりするおそれがある。また、給電ケーブルが動力線に加えて信号線を有している場合には、当該給電ケーブルに接触する他の給電ケーブルから信号線にノイズが混入するおそれがある。
【0020】
そこで、本発明者らは、上記のような給電ケーブルの接触を抑制するために、複数の給電ケーブルをそれぞれ収納する複数の収納ラックを設けることを検討した。より具体的には、上方から見てレール3a,3bに対して平行に並ぶように、移動方向Xに延びる複数の収納ラックを設けることを検討した。この場合、複数の給電ケーブルを複数の収納ラックによってそれぞれ収納することができるので、給電ケーブル同士の接触を抑制することができる。
【0021】
しかしながら、上記の構成では、レール3a,3bの周辺に複数の収納ラックを設けるための大きなスペースが必要になる。このため、レール3a,3bの周辺に大きなスペースを確保できない場合には、複数の収納ラックを設置することができない。また、設置スペースを確保できた場合でも、複数の収納ラックをレール3a,3bに並べて設置することによって、アンローダ1a~1dのメンテナンスを行うための作業スペースが小さくなる。これにより、アンローダ1a~1dのメンテナンスの作業効率が低下する。
【0022】
そこで、本発明は、複数の線状部材が互いに接触することを抑制でき、かつ省スペース化が可能な収納ラックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明は、下記の収納ラックを要旨とする。
【0024】
(1)複数の線状部材を収納する収納ラックであって、
上下方向に並ぶように配置され、それぞれ上方から見て所定方向に延びるように設けられ、かつそれぞれ前記線状部材が横たわるように前記線状部材を支持可能に構成された複数段の支持ユニットを備え、
前記複数段の支持ユニットは、最も下方に配置された最下段ユニットと、前記最下段ユニットの上方に配置された1以上の上部ユニットとを含み、
前記1以上の上部ユニットはそれぞれ、前記線状部材を下方から支持できるように前記所定方向に間隔をおいて配置された複数の支持具を有し、
前記上部ユニットの各支持具は、
自身と自身の1つ下段の前記支持ユニットとの間をいずれの前記線状部材も通っていない場合には、前記線状部材が上方から降下してきたときにその線状部材を1つ下段の前記支持ユニットへ送り、
いずれかの前記線状部材が自身と自身の1つ下段の前記支持ユニットとの間を通るように前記1つ下段の前記支持ユニットに支持されている場合には、前記線状部材が上方から降下してきたときにその線状部材を下方から支持し、
前記1つ下段に送った前記線状部材が自身の下方から上昇してきたときには、その線状部材を上方に送ることができる、収納ラック。
【0025】
(2)前記最下段ユニットは、前記複数の線状部材を上下方向に通すための挿通部と、前記所定方向における前記挿通部の両側にそれぞれ設けられかつ前記線状部材が横たわるように前記線状部材を下方から支持する最下段支持部とを備える、上記(1)の収納ラック。
【0026】
(3)前記上部ユニットの各支持具は、前記所定方向に延びる回転軸を中心としてそれぞれ回動可能に設けられた支持部材および切替部材を有し、
前記所定方向から見て、前記支持部材は前記回転軸に対して直交する方向に延び、前記切替部材は前記支持部材の延伸方向に交差する方向に延び、
当該支持具は、前記切替部材が上方から降下してきた線状部材に接触可能な第1状態と、前記支持部材が上方から降下してきた線状部材に接触可能な第2状態との間で切り替えられ、
前記支持具の第1状態において、上方から降下してきた前記線状部材が前記切替部材を下方に押して前記切替部材が回動することによって、前記線状部材が前記1つ下段の前記支持ユニットに送られるとともに、前記支持部材が前記切替部材とともに回動することによって前記支持具が前記第2状態となる、上記(1)または(2)の収納ラック。
【0027】
(4)前記1以上の上部ユニットは、前記最下段ユニットの1つ上段の中段ユニットと、前記中段ユニットよりも上方に設けられる1以上の上段ユニットとを含み、
前記支持具の第1状態において、下方から上昇してきた前記線状部材が前記切替部材を上方に押して前記切替部材が回動することによって、前記線状部材が当該支持具の前記切替部材の上方に送られる、上記(3)の収納ラック。
【0028】
(5)一の前記上部ユニットの前記複数の支持具と、前記一の上部ユニットの1つ上段の前記上部ユニットの前記複数の支持具とは、前記所定方向において互いにずれて配置されている、上記(1)から(4)のいずれかの収納ラック。
【0029】
(6)前記複数の線状部材は、前記所定方向に並ぶように配置された複数の走行機械の巻き取り装置に、当該収納ラックの上方において巻き付けられている、上記(1)から(5)のいずれかの収納ラック。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、複数の線状部材が互いに接触することを抑制でき、かつ収納ラックの省スペース化が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】
図1は、港湾施設に設置されたアンローダを示す概略側面図である。
【
図2】
図2は、共通の走行経路上に複数の走行機械が配置された港湾施設の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、
図2のアンローダ、給電ケーブルおよびガイド装置の位置関係を示す概略図である。
【
図4】
図4は、
図2のアンローダ、給電ケーブルおよびガイド装置の位置関係を示す概略図である。
【
図5】
図5は、港湾施設に配置された収納ラックを上方から見た図である。
【
図6】
図6は、
図5のアンローダ、給電ケーブル、および収納ラックの位置関係を示す概略図である。
【
図7】
図7は、アンローダの下部を
図5に矢印Aで示す方向に見た概略図である。
【
図8】
図8は、収納ラックのうち、ガイド装置の近傍の部分を示す拡大図である。
【
図13】
図13は、収納ラックの動作を説明するための図である。
【
図14】
図14は、収納ラックの動作を説明するための図である。
【
図15】
図15は、収納ラックの動作を説明するための図である。
【
図16】
図16は、収納ラックの動作を説明するための図である。
【
図17】
図17は、収納ラックの動作を説明するための図である。
【
図18】
図18は、収納ラックの動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施の形態に係る収納ラックについて図面を参照しつつ説明する。なお、以下においては、
図2に示した港湾施設と同様の港湾施設において本発明の一実施形態に係る収納ラックを使用する場合について説明する。
【0033】
図5は、港湾施設に配置された収納ラックを上方から見た図である。また、
図6は、
図5のアンローダ1a~1d(巻き取り装置7a~7d)、給電ケーブル8a~8d、および収納ラック10の位置関係を示す概略図(海側から見た図)であり、
図7は、アンローダ1aの下部を
図5に矢印Aで示す方向に見た概略図である。
【0034】
なお、
図5~
図7に示す港湾施設が
図2に示した港湾施設と異なる点は、収納ラック10が設けられている点およびガイド装置9aの代わりにガイド装置9bが設けられている点である。ガイド装置9bは、ガイド装置9aに比べて上下方向に長い。ガイド装置9bは、複数の給電ケーブル8a~8dを地面Gから引き上げるための装置であり、ガイド装置9bの構成は特に限定されない。したがって、ガイド装置9bではなく、上述のガイド装置9aを用いてもよい。また、各給電ケーブルに対してそれぞれガイド装置を設けてもよい。
【0035】
図5に示すように、収納ラック10は、上方から見て、アンローダ1a~1dの移動方向X(以下、単に移動方向Xと記載する。)に延びるように設けられている。
図6および
図7に示すように、収納ラック10は、上下方向に並ぶように配置され、かつそれぞれ移動方向Xに延びるように設けられた複数段(本実施形態では4段)の支持ユニット12a~12dを備えている。
【0036】
図5~
図7に示すように、本実施形態では、給電ケーブル8a~8dは、移動方向Xに並ぶように配置されたアンローダ1a~1dの巻き取り装置7a~7dに、収納ラック10の上方において巻き付けられている。本実施形態では、後述の
図14に示すように、給電ケーブル8a~8dは、断面略矩形状を有している。詳細は後述するが、巻き取り装置7a~7dから繰り出された給電ケーブル8a~8dの一部は、巻き取り装置7a~7dとガイド装置9bとの間において、横たわるように支持ユニット12a~12dに支持される。
【0037】
なお、本実施形態では、支持ユニット12aが最下段ユニットに相当し、支持ユニット12b~12dのそれぞれが上部ユニットに相当する。また、支持ユニット12b~12dのうち、支持ユニット12bが中段ユニットに相当し、支持ユニット12c,12dがそれぞれ上段ユニットに相当する。
【0038】
図8は、収納ラック10のうち、ガイド装置9bの近傍の部分を示す拡大図である。また、
図9は、収納ラック10の断面を示す図であり、(a)は、
図8のa-a部分を示す断面図であり、(b)は、
図8のb-b部分を示す断面図である。
【0039】
図8および
図9に示すように、支持ユニット12a(最下段ユニット)は、移動方向Xに延びるように配置された板状の基礎部20aと、基礎部20a上に支持された複数の支持部材20bとを有している。複数の支持部材20bは、移動方向Xに沿ってかつ互いに間隔をおいて並ぶように配置されている。図示は省略するが、基礎部20aのうち、ガイド装置9bの上方の領域20c(一点鎖線で囲んだ部分)には、給電ケーブル8a~8dを上下方向に通すための貫通孔が形成されている。本実施形態では、領域20cに形成された貫通孔が挿通部に相当する。また、移動方向Xにおいて領域20cの一方側に配置された複数の支持部材20bおよび他方側に配置された複数の支持部材20bが、最下段支持部を構成する。
【0040】
図9に示すように、収納ラック10の幅方向Y(上方から見て移動方向X(
図5参照)に直交する方向)における基礎部20aの両端部に支持されるように、一対の側壁部14が設けられている。一対の側壁部14はそれぞれ、移動方向Xに沿ってかつ間隔をおいて並ぶように配置された複数の板状部材によって構成されている。
図8に示すように、本実施形態では、各支持部材20bは、移動方向Xにおいて、側壁部14を構成する板状部材と板状部材との隙間に配置されている。
【0041】
図8に示すように、基礎部20aの領域20cの上方において一対の側壁部14を貫通するように、幅方向Y(
図5参照)に延びる複数(本実施形態では、3つ)のガイド部材16a~16cが設けられている。ガイド部材16a~16cの幅方向Yにおける両端部は、一対の側壁部14に支持されている。本実施形態では、移動方向Xにおいてガイド部材16aの一方側を通るように給電ケーブル8aが設けられ、ガイド部材16aとガイド部材16bとの間を通るように給電ケーブル8bが設けられ、ガイド部材16bとガイド部材16cとの間を通るように給電ケーブル8cが設けられ、移動方向Xにおいてガイド部材16cの他方側を通るように給電ケーブル8dが設けられている。
【0042】
図8および
図9に示すように、支持ユニット12b~12dはそれぞれ、複数の支持具22を有している。支持ユニット12bの複数の支持具22は、支持ユニット12aよりも上方において、移動方向Xに沿ってかつ互いに間隔をおいて並ぶように配置されている。支持ユニット12cの複数の支持具22は、支持ユニット12bよりも上方において、移動方向Xに沿ってかつ互いに間隔をおいて並ぶように配置されている。支持ユニット12dの複数の支持具22は、支持ユニット12cよりも上方において、移動方向Xに沿ってかつ互いに間隔をおいて並ぶように配置されている。
【0043】
本実施形態では、支持ユニット12bの複数の支持具22と、支持ユニット12aの複数の支持部材20bとは、移動方向Xにおいて互いにずれて配置されている。また、支持ユニット12b~12dのうちのいずれかの支持ユニットの複数の支持具22と、上下方向において隣り合う他の支持ユニット12b~12dの複数の支持具22とは、移動方向Xにおいて互いにずれて配置されている。具体的には、支持ユニット12bの複数の支持具22と、支持ユニット12bの1つ上段の支持ユニット12cの複数の支持具22とは、移動方向Xにおいて互いにずれて配置されている。同様に、支持ユニット12cの複数の支持具22と、支持ユニット12cの1つ上段の支持ユニット12dの複数の支持具22とは、移動方向Xにおいて互いにずれて配置されている。
【0044】
図10は、支持具22の構造を説明するための図である。具体的には、
図10(a)は支持具22の正面図(幅方向Yから見た図)であり、
図10(b)は支持具22の側面図(移動方向Xから見た図)であり、
図10(c)は
図10(a)のC-C部分を示す断面図である。
【0045】
図10に示すように、支持具22は、軸部材24と、支持部材26と、連結部材28と、錘30と、切替部材32とを有している。軸部材24は円柱形状を有し、一方の側壁部14(
図9参照)の外側において移動方向Xに延びるように設けられている。軸部材24の移動方向Xにおける両端部は、側壁部14に支持されている。本実施形態では、軸部材24が支持部材26および切替部材32の回転軸として機能する。
【0046】
支持部材26および連結部材28は、移動方向Xから見て、軸部材24の延伸方向(移動方向X)に対して直交する方向(本実施形態では、軸部材24の径方向)に延び、かつ軸部材24を中心として回動できるように、軸部材24に支持されている。本実施形態では、支持部材26と連結部材28とは、移動方向Xから見て略直交するように一体形成されている。支持部材26の中央部には、スリット26aが形成されている。連結部材28の先端部に、錘30が固定されている。
【0047】
切替部材32は、移動方向Xから見て、支持部材26の延伸方向に交差する方向に延び、かつ軸部材24を中心として回動できるように、軸部材24に支持されている。本実施形態では、切替部材32は、支持部材26のスリット26aの内側において、軸部材24に取り付けられている。詳細は後述するが、本実施形態では、支持部材26を軸部材24周りに回動させることによって、当該支持部材26と側壁部14(
図9参照)に設けられたストッパ18(
図9参照)とが互いに係止するように、支持部材26の長さが設定されている。また、切替部材32を軸部材24周りに回動させる際に、当該切替部材32とストッパ18とが接触しないように、切替部材32の長さが設定されている。
【0048】
本実施形態では、支持具22の原位置(支持具22が給電ケーブルに接触していないときに復帰する位置)では、
図10に示すように、連結部材28および切替部材32が水平な状態となる。言い換えると、原位置では、移動方向Xから見て、支持部材26と切替部材32とが略直交する。原位置から錘30が下方に移動するように連結部材28および支持部材26が回動することは、図示しないストッパによって防止されている。なお、錘30の重量は、支持具22が給電ケーブルに接触していないときに、支持具22を原位置に戻すことができるように設定されていればよい。
【0049】
また、詳細な説明は省略するが、切替部材32が原位置から下方に向かって回動する場合には、切替部材32と連結部材28とが互いに係止されることによって、支持部材26、連結部材28および切替部材32が一体的に回動する。一方、切替部材32が原位置から上方に向かって回動する場合には、切替部材32は、連結部材28および支持部材26から独立して回動することができる。本実施形態においては、原位置の支持具22の状態が、「切替部材が上方から降下してきた線状部材に接触可能な第1状態」に対応する。
【0050】
以下、図面を用いて収納ラック10における支持具22の動作をより具体的に説明する。
図11および
図12は、支持具22の動作を説明するための図である。
図11(a)~(c)に示すように、例えば、支持ユニット12bの原位置の支持具22に対して、切替部材32の上方から給電ケーブル8aが降下してきた場合には、給電ケーブル8aが切替部材32を下方に押して切替部材32が回動する。これより、給電ケーブル8aが1つ下段の支持ユニット12a(
図9参照)に送られる。このとき、支持部材26および連結部材28は、切替部材32と一体的に回動する。これにより、
図11(c)に示すように、支持部材26は、給電ケーブル8aの上方を覆う位置に移動する。このように、本実施形態では、切替部材32は、支持部材26を下方に向かって回動させるための操作レバーとして機能する。
【0051】
なお、
図11(c)に示す状態では、支持具22には、錘30によって原位置に戻ろうとする力が生じている。しかし、支持ユニット12bから下方の支持ユニット12a(
図9参照)に送られた給電ケーブル8aによって、切替部材32の上方への回動が防止される。すなわち、支持具22が原位置に戻ることが防止される。これにより、支持部材26が給電ケーブル8aの上方を覆う状態が維持される。一方、
図11(c)に示す状態から給電ケーブル8aが上方に移動した場合には、支持具22は、原位置に戻るように回動する。本実施形態では、
図11(c)に示す支持具22の状態が、「支持部材が上方から降下してきた線状部材に接触可能な第2状態」に対応する。なお、第2状態は、言い換えると、上方から見て、支持具の支持部材と、下方の支持ユニットに支持された線状部材とが重なっている状態である。
【0052】
その後、
図11(d)に示すように、上方から降下してきた給電ケーブル8bによって支持部材26が下方に押されることによって、支持部材26および連結部材28が回動する。支持部材26の先端部の下面が側壁部14(
図9参照)に設けられたストッパ18(
図9参照)に係止されることによって、支持部材26は略水平な状態で維持される。これにより、支持ユニット12bの支持部材26によって給電ケーブル8bを支持することができる。
【0053】
図12(a)~(c)に示すように、例えば、支持ユニット12cの原位置の支持具22に対して、切替部材32の下方から給電ケーブル8aが上昇してきた場合には、給電ケーブル8aが切替部材32を上方に押して切替部材32が回動する。このとき、支持部材26および連結部材28は回動しない。
図12(d)に示すように、給電ケーブル8aが切替部材32を越えてさらに上方に移動することによって、切替部材32は、自重により原位置に戻る。なお、本実施形態では、支持ユニット12b、支持ユニット12cおよび支持ユニット12dが同様の支持具22を備えているが、各支持ユニットが備える支持具の構成が異なっていてもよい。例えば、下から2段目の支持ユニット12bの支持具22においては、支持部材26、連結部材28および切替部材32が常に一体的に回動するように構成されていてもよい。すなわち、下から2段目の支持ユニット12bの支持具22においては、支持部材26、連結部材28および切替部材32が一体形成されていてもよい。
【0054】
上記のように各支持具22が動作することによって、収納ラック10は、巻き取り装置7a~7d(アンローダ1a~1d)の位置に応じて、支持ユニット12a~12dのいずれかによって給電ケーブル8a~8dを支持する。以下、収納ラック10による給電ケーブル8a~8dの支持態様について具体的に説明する。
【0055】
図13および
図14は、巻き取り装置7a~7d(
図6参照)の全てが、移動方向Xにおいてガイド装置9bよりも一方側に位置している場合の収納ラック10の状態を示す図である。具体的には、
図13は、収納ラック10のうち、ガイド装置9bの近傍の部分を示す拡大図であり、
図14(a)は、
図13のA-A部分を示す断面図であり、
図14(b)は、
図13のB-B部分を示す断面図である。
【0056】
また、
図15および
図16は、巻き取り装置7a~7cが移動方向Xにおいてガイド装置9bよりも一方側に位置し、巻き取り装置7dが移動方向Xにおいてガイド装置9bよりも他方側に位置している場合の収納ラック10の状態を示す図である。具体的には、
図15は、収納ラック10のうち、ガイド装置9bの近傍の部分を示す拡大図であり、
図16(a)は、
図15のA-A部分を示す断面図であり、
図16(b)は、
図15のB-B部分を示す断面図である。
【0057】
図13に示すように、巻き取り装置7a~7dの全てが移動方向Xにおいてガイド装置9bよりも一方側に位置している場合には、上記一方側において、収納ラック10の支持ユニット12a~12dによって給電ケーブル8a~8dが支持される。
【0058】
具体的には、
図13および
図14(a)に示すように、巻き取り装置7aから繰り出された給電ケーブル8aは、支持ユニット12aの複数の支持部材20bによって支持される。巻き取り装置7bから繰り出された給電ケーブル8bは、支持ユニット12bの複数の支持具22(より具体的には、支持部材26)によって支持される。同様に、巻き取り装置7cから繰り出された給電ケーブル8cは、支持ユニット12cの複数の支持具22によって支持され、巻き取り装置7dから繰り出された給電ケーブル8dは、支持ユニット12dの複数の支持具22によって支持される。
【0059】
なお、
図13および
図14(b)に示すように、移動方向Xにおいてガイド装置9bよりも他方側では、支持ユニット12b~12dの各支持具22は、原位置(第1状態)に位置づけられる。
【0060】
図13に示す状態から巻き取り装置7d(
図6参照)が移動方向Xにおいてガイド装置9bの他方側に移動すると、
図15に示すように、巻き取り装置7dから繰り出された給電ケーブル8dは、上記他方側において、支持ユニット12aの複数の支持部材20bによって支持される。
【0061】
具体的には、給電ケーブル8dは、まず、ガイド装置9bよりも上記一方側において、支持ユニット12dの支持部材26から上方に離隔する。これにより、上記一方側の支持ユニット12dの支持具22は、原位置に戻るように回動する。しかし、
図16(a)に示すように、支持ユニット12dの支持具22が原位置に戻ることは、支持ユニット12c上の給電ケーブル8cによって防止される。したがって、支持ユニット12dの支持具22は、第2状態(給電ケーブル8dが上方から降下してきた場合に、給電ケーブル8dを支持部材26によって支持できる状態)となる。
【0062】
次に、給電ケーブル8dは、ガイド装置9bよりも上記他方側において、収納ラック10の上方から、支持ユニット12dの支持具22、支持ユニット12cの支持具22、および支持ユニット12bの支持具22を回動させつつ下方に移動する。その後、給電ケーブル8dは、支持ユニット12aの複数の支持部材20bに支持される。このとき、
図16(b)に示すように、支持ユニット12c,12dの支持具22は、給電ケーブル8dが下方に通過した後、原位置に戻る。一方、支持ユニット12bの支持具22が原位置に戻ることは、支持ユニット12a上の給電ケーブル8dによって防止される。したがって、支持ユニット12bの支持具22は、第2状態(給電ケーブル8cが上方から降下してきた場合に、給電ケーブル8cを支持部材26によって支持できる状態)となる。
【0063】
図15に示す状態から巻き取り装置7c(
図6参照)が移動方向Xにおいてガイド装置9bの他方側に移動する際には、給電ケーブル8cは、まず、ガイド装置9bよりも上記一方側において、支持ユニット12cの支持部材26から上方に離隔する。これにより、上記一方側の支持ユニット12cの支持具22は、原位置に戻るように回動する。しかし、
図9に示すように、支持ユニット12cの支持具22が原位置に戻ることは、支持ユニット12b上の給電ケーブル8bによって防止される。したがって、支持ユニット12cの支持具22は、第2状態(給電ケーブル8cが上方から降下してきた場合に、給電ケーブル8cを支持部材26によって支持できる状態)となる。
【0064】
また、ガイド装置9bよりも上記一方側において、給電ケーブル8cは、支持ユニット12dの切替部材32を回動させつつ上方に移動する。
図9に示すように、支持ユニット12dの支持具22は、給電ケーブル8cが上方に通過した後、原位置に戻る。
【0065】
次に、給電ケーブル8cは、ガイド装置9bよりも上記他方側において、収納ラック10の上方から、支持ユニット12dの支持具22および支持ユニット12cの支持具22を回動させつつ下方へ移動する。その後、給電ケーブル8cは、支持ユニット12bの複数の支持具22(支持部材26)に支持される。このとき、
図8に示すように、ガイド装置9bよりも上記他方側において、支持ユニット12dの支持具22は、給電ケーブル8cが下方に通過した後、原位置に戻る。一方、支持ユニット12cの支持具22が原位置に戻ることは、支持ユニット12b上の給電ケーブル8cによって防止される。したがって、支持ユニット12cの支持具22は、第2状態(給電ケーブル8bが上方から降下してきた場合に、給電ケーブル8bを支持部材26によって支持できる状態)となる。
【0066】
詳細な説明は省略するが、
図8に示す状態から巻き取り装置7b(
図6参照)がガイド装置9bの上記他方側に移動した場合には、
図17に示すように、巻き取り装置7bから繰り出された給電ケーブル8bは、ガイド装置9bの上記他方側において、支持ユニット12cの複数の支持具22によって支持される。
【0067】
このとき、ガイド装置9bの上記他方側の支持ユニット12dの複数の支持具22は、給電ケーブル8bによって、第2状態(給電ケーブル8aが上方から降下してきた場合に、給電ケーブル8aを支持部材26によって支持できる状態)にされる。一方、ガイド装置9bの上記一方側の支持ユニット12cの複数の支持具22は、第2状態から原位置に戻る。
【0068】
また、
図17に示す状態から巻き取り装置7a(
図6参照)がガイド装置9bの上記他方側に移動した場合には、
図18に示すように、巻き取り装置7aから繰り出された給電ケーブル8aは、ガイド装置9bの上記他方側において、支持ユニット12dの複数の支持具22によって支持される。このとき、ガイド装置9bの上記一方側の支持ユニット12bの複数の支持具22は、第2状態から原位置に戻る。
【0069】
説明は省略するが、複数の給電ケーブル8a~8dが、ガイド装置9bの上記他方側から上記一方側へ移動する場合にも、複数の支持具22は同様に動作する。
【0070】
以上のように、本実施形態では、上部ユニット(支持ユニット12b~12d)の各支持具22は、自身と自身の1つ下段の支持ユニットとの間をいずれの給電ケーブルも通っていない場合には、給電ケーブルが上方から降下してきたときにその給電ケーブルを1つ下段の支持ユニットへ送る。一方、各支持具22は、いずれかの給電ケーブルが自身と自身の1つ下段の支持ユニットとの間を通るように1つ下段の支持ユニットに支持されている場合には、給電ケーブルが上方から降下してきたときにその給電ケーブルを下方から支持する。さらに、各支持具22は、1つ下段に送った給電ケーブルが自身の下方から上昇してきたときには、その給電ケーブルを上方に送ることができる。
【0071】
本実施形態に係る収納ラック10では、上記のように各支持具22が動作することによって、給電ケーブル8a~8dそれぞれを、その位置に応じて、支持ユニット12a~12dのいずれかによって適切に支持することができる。これにより、収納ラック10は、巻き取り装置7a~7dとガイド装置9bとの間において、複数の給電ケーブル8a~8dを、互いに接触しないように支持することができる。その結果、複数の給電ケーブル8a~8dが互いに絡まることを抑制することができる。
【0072】
また、本実施形態では、複数の支持ユニット12a~12dが上下方向に並ぶように配置されているので、収納ラック10の幅を十分に小さくすることができる。これにより、収納ラック10の省スペース化が可能になる。その結果、アンローダ1a~1d(レール3a,3b)の周辺に、アンローダ1a~1dのメンテナンスを行うための作業スペースを十分に確保することができる。
【0073】
また、本実施形態では、収納ラック10は、ガイド装置9bの一方側および他方側においてそれぞれ給電ケーブル8a~8dを支持することができる。この場合、ガイド装置9bと給電ケーブル8a~8dとの距離を小さくできるので、給電ケーブル8a~8dの長さを短くできる。その結果、アンローダ1a~1dの巻き取り装置7a~7dの小型化が可能になる。
【0074】
また、本実施形態では、上下方向に隣り合う支持ユニットの複数の支持具22は、移動方向Xにおいて互いにずれて配置されている。これにより、支持具22同士が接触することを防止しつつ、収納ラック10の上下方向の寸法を小さくすることができる。
【0075】
なお、上述の実施形態では、移動方向Xにおいて収納ラック10の中央部の下方にガイド装置9bが設けられているが、走行機械の移動方向において、収納ラックの一端側または他端側にガイド装置(線状部材が引き出される部分)が設けられてもよい。
【0076】
また、上述の実施形態では、支持ユニット12a(最下段ユニット)は、複数の支持部材20bによって給電ケーブルを支持しているが、支持ユニット12aに複数の支持部材20bを設けずに、基礎部20aによって給電ケーブルを支持してもよい。すなわち、基礎部20aを最下段支持部として用いてもよい。この場合には、基礎部20aによって給電ケーブルを支持している際に、支持ユニット12bの支持具22の第2状態が維持されるように、支持ユニット12bの各支持具22の位置および寸法が適宜調整される。
【0077】
また、上述の実施形態では、原位置に戻ることができるように各支持具22に錘30を設けているが、バネ等の他の装置によって、支持具22を原位置に戻してもよい。また、支持部材26および切替部材32の形状および配置も上述の例に限定されない。上述の支持部材26および切替部材32と同様に動作することができるのであれば、移動方向Xに並ぶように、棒状の支持部材および棒状の切替部材を軸部材24に設けてもよい。なお、バネ等の他の装置によって支持具22を原位置に戻す場合には、連結部材28が原位置よりも下方に移動するように支持具22が回動することを防止するためのストッパは設けなくてもよい。また、この場合には、全ての支持具22において、支持部材26、連結部材28および切替部材32が一体形成されていてもよい。この場合、例えば、原位置の支持具22の切替部材32が下方から上昇してきた給電ケーブルによって上方に押されると、連結部材28が原位置よりも下方に移動するように、支持部材26、連結部材28および切替部材32が一体的に回動する。その後、給電ケーブルが切替部材32を越えてさらに上方に移動すると、支持部材26、連結部材28および切替部材32は、原位置に戻るように一体的に回動する。
【0078】
また、上述の実施形態では、線状部材の一例として給電ケーブルについて説明したが、線状部材は給電ケーブルに限定されない。本発明に係る収納ラックは、散水用の水を走行機械に供給するためのホース等の種々の線状部材を収納するために利用できる。
【0079】
また、上述の実施形態では、走行機械の一例としてアンローダについて説明したが、走行機械はアンローダに限定されない。本発明に係る収納ラックは、スタッカ、リクレーマ、クレーン等の種々の走行機械に接続された線状部材を収納するために利用することができる。
【0080】
また、上述の実施形態では軌条走行式の走行機械について説明したが、本発明に係る収納ラックは、タイヤ式の走行機械に接続された線状部材を収納するために利用することもできる。
【0081】
また、上述の実施形態では、収納ラックが4段の支持ユニットを備える場合について説明したが、支持ユニットの数は、収納する線状部材の数に応じて適宜変更できる。したがって、収納ラックが2段の支持ユニットによって構成されていてもよく、3段の支持ユニットによって構成されていてもよく、5段以上の支持ユニットによって構成されていてもよい。
【0082】
なお、各支持ユニットにおいて、移動方向Xにおいて隣り合う支持具同士の距離は、線状部材の剛性に応じて適宜設定することができる。線状部材がアンローダに接続される一般的な給電ケーブルである場合には、移動方向Xにおける支持具間の距離は、例えば、30~60cm程度に設定される。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明によれば、複数の線状部材が互いに接触することを抑制できる。
【符号の説明】
【0084】
1,1a~1d アンローダ
7 巻き取り装置
8,8a~8d 給電ケーブル
12a~12d 支持ユニット
22 支持具
24 軸部材
26 支持部材
32 切替部材
X 移動方向(所定方向)
Y 幅方向