(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-28
(45)【発行日】2023-04-05
(54)【発明の名称】溶融金属めっき装置
(51)【国際特許分類】
C23C 2/00 20060101AFI20230329BHJP
C23C 2/40 20060101ALI20230329BHJP
【FI】
C23C2/00
C23C2/40
(21)【出願番号】P 2019186597
(22)【出願日】2019-10-10
【審査請求日】2022-06-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】小谷 直弘
【審査官】▲辻▼ 弘輔
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/110945(WO,A1)
【文献】特開2004-059942(JP,A)
【文献】実開昭62-141058(JP,U)
【文献】特開平5-125509(JP,A)
【文献】特開2014-231617(JP,A)
【文献】特開2001-288548(JP,A)
【文献】特開平9-157813(JP,A)
【文献】特開2014-114484(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 2/00-2/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スナウト内を通過する金属板を溶融金属浴に浸漬させる溶融金属めっき装置であって、
一端側において前記スナウト内の前記溶融金属浴の浴面に浮遊する浴表面異物を含む溶融金属を導入し、他端側において前記スナウト外に前記溶融金属を排出する連通管と、
前記連通管の他端側に設けられ、前記溶融金属を前記連通管の他端側に導く吸引装置と、
前記連通管の他端側に設けられ、前記吸引装置によって吐出される前記溶融金属を引き上げられた前記金属板に向かわない方向に排出する排出構造と、を有し、
前記排出構造は、
前記連通管の他端側の前記浴面を含む位置に形成された吐出口と、
前記吐出口から吐出された前記溶融金属が導入される流路を形成する1対の側部板を有し、前記溶融金属の流れ方向に延びるガイド部材と、
前記流路に前記流れ方向に離隔して設けられた複数の干渉板とを有し、
前記流れ方向から見た場合に、前記複数の干渉板のそれぞれは前記流路の一部だけを閉塞し、かつ前記複数の干渉板は全体として前記流路の全体を閉塞するように配置されている溶融金属めっき装置。
【請求項2】
前記複数の干渉板は、
前記流れ方向の上流側に配置された第1の干渉板と、前記流れ方向の下流側に配置された第2の干渉板と、を有し、
前記第1の干渉板は、前記流路の前記流れ方向と直交する水平方向の一方側だけを閉塞し、
前記第2の干渉板は、前記流路の前記水平方向の他方側だけを閉塞し、
前記第1の干渉板と前記第2の干渉板とは、略同面積となるように形成されている請求項1に記載の溶融金属めっき装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スナウト内を通過する金属板を溶融金属浴に浸漬させる溶融金属めっき装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、金属板の表面に亜鉛等の溶融金属をめっきする溶融金属めっき装置が知られている。めっきをするに際しては、溶融金属浴に一部を挿入したスナウトを通じて、未焼鈍または焼鈍済の金属板を、溶融金属浴内に連続的に浸漬させるのが一般的である。
このような溶融金属めっき装置において、スナウト内の浴面に浴表面異物(スカム、ヒューム、浮遊ドロスなど)が発生する場合があり、この浴表面異物が金属板の表面に付着すると、金属板の品質が悪化するおそれがある。
【0003】
そこで、浴表面異物を除去する方法が検討されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の溶融金属めっき装置は、スナウト内の浴表面異物を含む溶融金属を、連通管の一端部から吸引しつつ連通管の他端部からスナウト外に排出して、浴表面異物を回収している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載の溶融金属めっき装置では、連通管の他端部の周囲に囲いを設けることによって、浴表面異物の拡散を防止している。しかしながら、このような構成であると、囲いが邪魔となり浴表面異物の回収に支障をきたすなどの不具合がある。
【0006】
本発明は、排出される浴表面異物の拡散を抑制することができ、浴表面異物を容易に回収することができる溶融金属めっき装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の溶融金属めっき装置は、スナウト内を通過する金属板を溶融金属浴に浸漬させる溶融金属めっき装置であって、一端側において前記スナウト内の前記溶融金属浴の浴面に浮遊する浴表面異物を含む溶融金属を導入し、他端側において前記スナウト外に前記溶融金属を排出する連通管と、前記連通管の他端側に設けられ、前記溶融金属を前記連通管の他端側に導く吸引装置と、前記連通管の他端側に設けられ、前記吸引装置によって吐出される前記溶融金属を引き上げられた前記金属板に向かわない方向に排出する排出構造と、を有し、前記排出構造は、前記連通管の他端側の前記浴面を含む位置に形成された吐出口と、前記吐出口から吐出された前記溶融金属が導入される流路を形成する1対の側部板を有し、前記溶融金属の流れ方向に延びるガイド部材と、前記流路に前記流れ方向に離隔して設けられた複数の干渉板とを有し、前記流れ方向から見た場合に、前記複数の干渉板のそれぞれは前記流路の一部だけを閉塞し、かつ前記複数の干渉板は全体として前記流路の全体を閉塞するように配置されている。
【0008】
上記溶融金属めっき装置において、前記複数の干渉板は、前記流れ方向の上流側に配置された第1の干渉板と、前記流れ方向の下流側に配置された第2の干渉板と、を有し、前記第1の干渉板は、前記流路の前記流れ方向と直交する水平方向の一方側だけを閉塞し、前記第2の干渉板は、前記流路の前記水平方向の他方側だけを閉塞し、前記第1の干渉板と前記第2の干渉板とは、略同面積となるように形成されていてよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ガイド部材に設けられた干渉板によって、溶融金属の流れの勢いが弱められ、浴表面異物を含む溶融金属が吐出口から遠くに拡散されることが抑制される。特に、流路の一部だけを閉塞する複数の干渉板が全体としては流路の全体を閉塞することによって、溶融金属の流れに適度な抵抗を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態の溶融金属めっき装置の概略断面図である。
【
図3】本発明の実施形態の排出構造の斜視図である。
【
図4】本発明の実施形態の排出構造の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
〔溶融金属めっき装置の構成〕
本発明の実施形態に係る溶融金属めっき装置1は、連続搬送される鋼板等の金属板Sをめっきする装置である。
図1に示すように、溶融金属めっき装置1は、溶融金属槽2と、スナウト3と、異物除去装置4と、を備えている。
【0012】
溶融金属槽2には、例えば溶融亜鉛等の溶融金属Mが収容され、溶融金属浴を形成している。
スナウト3は、下端部が溶融金属浴中に斜め上方から浸漬され、その内部を金属板Sが通過するようになっている。金属板Sは、スナウト3から溶融金属浴中へ浸漬される。浸漬された金属板Sは、ポットロール5および案内ロール6を通過して引上げられる。その後、金属板Sに付着しためっき付着量は、ガスワイピングノズル7によって調整される。
【0013】
スナウト3内の溶融金属浴の浴面には、スカム、ヒューム、浮遊ドロス等の浴表面異物FMが発生する場合がある。異物除去装置4は、スナウト3内の浴表面異物FMを除去する。異物除去装置4は、後述する噴射装置19と、吸引ヘッド8と、連通管9と、吸引装置10と、排出構造11と、を有する。
【0014】
吸引ヘッド8は、スナウト3内に設けられ、吸引装置10のポンプ作用により溶融金属Mとともに、溶融金属浴の浴面に浮遊する浴表面異物FMを吸引する。
連通管9は、一端9A側において吸引ヘッド8と接続されている。連通管9の他端9B側には排出構造11が設けられている。連通管9は、スナウト3内の溶融金属浴の浴面に浮遊する浴表面異物FMを含む溶融金属Mを一端9A側から導入し、他端9B側からスナウト3外に排出するように形成されている。連通管9は、例えば、内径60mm~120mmの円管状のパイプで形成することができる。
【0015】
連通管9は、スナウト3から鉛直方向下方に延びる連通管第一部12と、連通管第一部12の下端に接続され、ポットロール5および案内ロール6の下方を通過する連通管第二部13と、連通管第二部13に接続され、溶融金属浴の浴面まで鉛直方向上方に延びる連通管第三部14と、を有している。
本実施形態の溶融金属めっき装置1では、連通管第一部12と連通管第三部14との間で金属板Sが上方に引き上げられるように構成されている。換言すれば、連通管9は、吸引ヘッド8から吸引された浴表面異物FMを含む溶融金属Mをポットロール5および案内ロール6によって引き上げられる金属板Sよりも遠い位置に排出するように形成されている。
【0016】
吸引装置10は、連通管第三部14(連通管9の他端9B)に上方から挿入されたガス供給管16と、ガス供給管16に不活性ガス(例えば、N2ガス)を供給するガス供給源17と、を有している。吸引装置10は、ガス供給源17から供給された不活性ガスをガス供給管16の下端から排出する。これにより、不活性ガスが連通管9の他端9B側から吐出される。
【0017】
排出構造11は、連通管9の他端9B側に設けられ、吸引装置10のポンプ作用によって連通管9の他端9B側に導かれて吐出される溶融金属Mを引き上げられた金属板Sに向かわない方向に排出する。本実施形態の排出構造11は、溶融金属Mを引き上げられた金属板Sの面に沿う方向に排出しているが、これに限ることはなく、金属板Sとは反対側に排出してもよい。排出構造11の詳細な構成については、後述する。
【0018】
図2に示すように、異物除去装置4は、スナウト3内に配置された噴射装置19を有する。噴射装置19は、噴射ヘッド20と、噴射ポンプ21とを備えている。噴射装置19は、スナウト3内における金属板Sの幅方向の一端側に設けられ、幅方向の他端側に向けて溶融金属Mを噴射する。
噴射ポンプ21は、噴射ヘッド20に接続されている。噴射ポンプ21は、スナウト3の外部の溶融金属Mを噴射ヘッド20に供給し、溶融金属Mを噴射ヘッド20から噴射する。
【0019】
吸引ヘッド8は、スナウト3内における金属板Sの幅方向の他端側に設けられている。上述したように、吸引ヘッド8は連通管9に接続されており、浴表面異物FMを含む溶融金属Mは、吸引装置10のポンプ作用により連通管9に導入される。
【0020】
次に、浴表面異物FMを含む溶融金属Mを排出する排出構造11について説明する。
図3に示されるように、排出構造11は、連通管9に形成された吐出口25と、ガイド部材26と、複数(本実施形態では2つ)の干渉板29と、を有する。
吐出口25は、連通管9に形成されており、吸引ヘッド8で吸引された溶融金属Mが吐出される矩形状の孔である。吐出口25の幅(連通管9の周方向における寸法)は、例えば、連通管9の周長の約1/2とすることができる。吐出口25の長さLH(連通管9の軸方向の長さ)は、150mm~200mmとすることができる。吐出口25は、溶融金属浴の浴面が吐出口25の上端と下端との間に位置するように形成されている。
【0021】
ガイド部材26は、吐出口25から吐出された溶融金属Mをガイドする部材である。ガイド部材26は、吐出口25から吐出される溶融金属Mの流れ方向Dに延びるように形成されている。ガイド部材26は、例えば、長手方向の長さLGを300mm~500mmとすることができる。
【0022】
ガイド部材26の流れ方向Dから見た断面形状は、下方が開放されたU字状である。具体的には、ガイド部材26は、浴面と平行をなして一方向に延びる上部板27と、上部板27の幅方向(流れ方向Dと直交する方向)の端部から下方に突出する一対の側部板28と、を有している。
上部板27の幅WGは、例えば、120mm~180mmとすることができる。また、側部板28の高さHGは、例えば、80mm~120mmとすることができる。
【0023】
ガイド部材26において、上部板27および一対の側部板28とで囲まれた矩形状の空間が、吐出口25から排出された溶融金属Mが流入する流路Fとして機能する。ガイド部材26は、側部板28の下端から20mm~40mmが溶融金属浴に浸漬するように配置されている。これによって、吐出口25から排出されて流路Fに流入した溶融金属Mは、側部板28の間を流れ方向Dに向けて導かれる。ここで、
図3において浴面の位置を一点鎖線で示す。図示されるように、ガイド部材26はその全体が溶融金属浴に浸漬しておらず、浴面と上部板27との間には、空間が生じている。
【0024】
干渉板29は、吐出口25から吐出されて、ガイド部材26によって流れ方向Dに導かれる溶融金属Mが衝突するように、ガイド部材26の流路Fに配置された板状の部材である。干渉板29は、流れ方向Dの上流側に配置された第1の干渉板29Aと、第1の干渉板29Aに対して流れ方向Dの下流側に配置された第2の干渉板29Bと、を有している。
【0025】
図4に示されるように、第1の干渉板29Aと第2の干渉板29Bとは、流れ方向Dと直交するように配置されている。また、第1の干渉板29Aと第2の干渉板29Bとは、流れ方向Dから見て重ならないように形成されている。
さらに、
図5に示されるように、第1の干渉板29Aと第2の干渉板29Bとは、第1の干渉板29Aと第2の干渉板29Bが全体として流路Fの全体を閉塞するように形成されている。
具体的には、本実施形態において、第1の干渉板29Aが矩形状の流路Fの幅方向の一方側だけを閉塞し、第2の干渉板29Bが矩形状の流路Fの幅方向の他方側を閉塞するように配置されている。さらに、第1の干渉板29Aの幅W1と第2の干渉板29Bの幅W2との和がガイド部材26の流路Fの幅WFと略同一となるように形成されている。
つまり、本実施形態において、第1の干渉板29Aおよび第2の干渉板29Bは互いに重複せず、流路Fの全体を過不足なく閉塞している。第1の干渉板29Aと第2の干渉板29Bとが同形状をなし、略同面積となるように形成してもよい。これによって、流路Fの閉塞が溶融金属Mの流れに及ぼす影響を均等化し、偏流の発生を抑制することができる。
【0026】
本実施形態の第2の干渉板29Bは、ガイド部材26の端部に配置されている。連通管第三部14の中心軸Aとガイド部材26の流れ方向D下流側の端部との距離をLとし、連通管第三部14の中心軸Aと第1の干渉板29Aとの距離をL1とすると、L1<L/2とされている。第1の干渉板29Aと第2の干渉板29Bとの距離は、ガイド部材26の寸法に応じて適宜設定することができる。
【0027】
次に、本実施形態の溶融金属めっき装置1の動作について説明する。
溶融金属めっき装置1は、スナウト3内の溶融金属Mに金属板Sを順次浸漬して、金属板Sのめっき処理を行う。また、めっき処理と同時に、噴射装置19の噴射ポンプ21および吸引装置10を作動させ、噴射ヘッド20から溶融金属Mを噴射するとともに、吸引ヘッド8で吸引を行う。
【0028】
吸引ヘッド8の吸引力は、吸引装置10の作用によって生じる。吸引装置10では、ガス供給源17の作動によりガス供給管16に不活性ガスが送り込まれ、不活性ガスがガス供給管16の下端から連通管9内に供給される。連通管9内に供給された不活性ガスの気泡が連通管9内を上昇することによって、連通管9の他端に向かう溶融金属Mの流れが生じる。
【0029】
吸引装置10の作用による吸引力によって、金属板Sの厚さ方向の両側において溶融金属Mの流れが形成され、この溶融金属Mの流れによって、浴表面異物FMが吸引ヘッド8に向かう方向に押し流される。さらに、浴表面異物FMは吸引ヘッド8によって吸引され、連通管9を経て、吐出口25から排出される。吐出口25から吐出された浴表面異物FMを含む溶融金属Mは、ガイド部材26に沿って流れ方向Dに流れる。
【0030】
吐出口25から吐出された溶融金属Mは、第1の干渉板29Aと第2の干渉板29Bとに順次衝突することによって、流れの勢いが弱められ、浴表面異物FMを含む溶融金属Mが吐出口25からより遠くに拡散されることが抑制される。これにより、浴表面異物FMを含む溶融金属Mは金属板Sに向かって拡散することなく、流路Fの出口近傍に漂う。すなわち、浴表面異物FMを回収する位置を流路Fの出口近傍とすることができ、作業者は当該位置に漂う浴表面異物FMを容易に回収することができる。
【0031】
特に、第1の干渉板29Aと第2の干渉板29Bとによって、ガイド部材26の流路Fの全体が覆われていることによって、溶融金属Mの流れに適度な抵抗を与えることができ、消波作用を生じさせることができる。
一方で、第1の干渉板29Aと第2の干渉板29Bとが流れ方向Dに離隔して配置され、かつ、流れ方向Dから見て重ならないように形成されていることによって、溶融金属Mの流れが完全に阻害されることがなく、確実に流路Fの出口まで到達するため、浴表面異物FMの回収に支障をきたすことがない。
【0032】
また、第1の干渉板29Aが流れ方向Dと直交する水平方向の一方側に配置され、第2の干渉板29Bが水平方向の他方側に配置され、第1の干渉板29Aと第2の干渉板29Bとが略同面積となるように形成されていることによって、溶融金属Mが流路F内を蛇行するように流れる。これにより、溶融金属Mに適度な抵抗を与えることができる。
【0033】
また、連通管第三部14の中心軸Aとガイド部材26の流れ方向Dの端部との距離をLとし、中心軸Aと第1の干渉板29Aとの距離をL1とすると、L1<L/2としたことによっても、溶融金属Mに与えられる抵抗を適当なものとすることができる。
さらに、溶融金属Mが引き上げられた金属板Sに向かわない方向に排出されることで、排出された浴表面異物FMが金属板Sに付着しにくくなる。
【0034】
これにより、作業者は、例えば、連通管の他端部の周囲に囲いを設ける形態と比較して、浴表面異物FMをより確実に回収することができる。
従って、本実施形態では、上方に引き上げられる金属板Sに付着する浴表面異物FMを低減することができる。発明者らによる実験の結果、金属板Sに付着する浴表面異物FMに起因する不良率(歩留り落ち)を4%から1%に低減することができた。これにより、製造される金属板Sの歩留まりを改善することができた。
【0035】
なお、上記実施形態では、2つの干渉板29A,29Bを設ける構成としたが、流れ方向Dから見て重ならないように形成されているとともに、複数の干渉板29によってガイド部材26の流路Fの全体が覆われていればこれに限ることはない。
例えば、
図6に示されるように、3つの干渉板29C,29D,29Dを配置する構成としてもよい。
図6に示す、変形例の排出構造11は、流れ方向Dで、吐出口25に近い位置に配置された第3の干渉板29Cと、第1の干渉板29Aに対して流れ方向Dの下流側に配置された2つの第4の干渉板29Dと、を有している。
第3の干渉板29Cは、流路Fの幅方向の中央に配置され、第4の干渉板29Dは、流路Fの幅方向の両側に配置されている。第3の干渉板29Cと第4の干渉板29Dとは、流れ方向Dから見て重ならないように形成されているとともに、第3の干渉板29Cと第4の干渉板29Dとによって、ガイド部材26の流路Fの全体を覆うように形成されている。
【0036】
このような形態によっても、浴表面異物FMを含む溶融金属Mが吐出口25からより遠くに拡散されることが抑制される。
【0037】
また、上記実施形態では、ガイド部材26の流れ方向Dから見た断面形状を、下方が開放されたU字状としたがこれに限ることはなく、上部板27を設けずに、ブラケットなどを介して、側部板28および干渉板29を支持する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0038】
1…溶融金属めっき装置、2…溶融金属槽、3…スナウト、8…吸引装置、9…連通管、10…吸引装置、11…排出構造、25…吐出口、26…ガイド部材、27…上部板、28…側部板、29…干渉板、D…流れ方向、F…流路、FM…浴表面異物、M…溶融金属、S…金属板。