(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-28
(45)【発行日】2023-04-05
(54)【発明の名称】手洗器
(51)【国際特許分類】
E03C 1/14 20060101AFI20230329BHJP
【FI】
E03C1/14 Z
(21)【出願番号】P 2018213111
(22)【出願日】2018-11-13
【審査請求日】2021-10-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000155333
【氏名又は名称】株式会社木村技研
(73)【特許権者】
【識別番号】391007460
【氏名又は名称】中日本ハイウェイ・エンジニアリング名古屋株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 朝映
【審査官】油原 博
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-285600(JP,A)
【文献】特開平11-128888(JP,A)
【文献】特開2015-025310(JP,A)
【文献】中国実用新案第206368410(CN,U)
【文献】特開2001-003420(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/12-1/33
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄水を吐出する水栓と、
前記洗浄水を受けるボウルと、
前記ボウルに設けられた排水口と、
前記排水口と下水管とを連通させ、前記排水口から排出される前記洗浄水を前記下水管へ排水する排水管と、
前記排水管の詰まりを検出する詰まり検出部と、
前記排水管の詰まりが検出された場合に、所定の通知先へ前記詰まりの発生を通知する通知部と
、
前記洗浄水中のゴミを受け止めるゴミ受部と、を備え
、
前記ゴミ受部が、
前記排水管の排水経路上に設置され、前記洗浄水から前記ゴミを濾しとる濾し部と、
一端が前記排水管と接続され、他端が前記濾し部を抜き出すための開口を有し、当該開口側の端部が、前記排水管側の端部よりも高い位置に設けられた筒部と、を備え
前記詰まり検出部が、前記排水管の詰まりによって前記排水管に溜まった水の水位を検出し、
前記通知部が、前記筒部の前記開口よりも前記水位が低い状態か否かを通知する手洗器。
【請求項2】
前記詰まり検出部が、前記排水管の詰まりの程度を検出し、
前記通知部が、前記詰まりの発生と共に、前記詰まりの程度を通知する請求項1に記載の手洗器。
【請求項3】
前記通知部が、ネットワークを介して前記詰まりの発生を示す情報を所定の情報処理装置へ送信する請求項1又は2に記載の手洗器。
【請求項4】
前記排水管の詰まりが検出された場合に、前記水栓から吐出する洗浄水の水量を制限する制限部を備えた請求項1~
3の何れか一項に記載の手洗器。
【請求項5】
前記詰まり検出部が、前記排水管の詰まりによって前記排水管に溜まった水の水位を検出し、
前記制限部が、前記水位に応じて前記洗浄水の吐出量を制限する請求項
4に記載の手洗器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手洗器に関する。
【背景技術】
【0002】
洗面所などに設けられる手洗器は、手に付着してる汚れを洗い流すための水を吐出する水栓や、当該水を受けるボウル部を備えている。ボウル部の内側には汚れが残ることがあるため、適宜清掃する必要がある。
【0003】
特許文献1では、使用者が去った後、ボウル部を洗浄するための洗浄水を吐出する水栓を備えた手洗器が提案されている。
【0004】
また、特許文献2では、ボウル部の周側壁において略接線方向へ洗浄水を吐水する噴出口を有するオストメイト用汚物流しが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-25310号公報
【文献】特開2009-178460号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
手洗器の排水が詰まった場合に、水栓から水を吐出し続けると、ボウル部から水が溢れて、床面の汚染や床下への漏水といった被害を招くことがあるため、速やかに詰まりを解消する等の対応が必要であった。
【0007】
そこで、本発明は、手洗器の排水に詰まりが生じた際、適切な対応を可能とする技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る手洗器は、
洗浄水を吐出する水栓と、
前記洗浄水を受けるボウルと、
前記ボウルに設けられた排水口と、
前記排水口と下水管とを連通させ、前記排水口から排出される前記洗浄水を前記下水管へ排水する排水管と、
前記排水管の詰まりを検出する詰まり検出部と、
前記排水管の詰まりが検出された場合に、所定の通知先へ前記詰まりの発生を通知する通知部と、を備える。
【0009】
前記手洗器は、
前記詰まり検出部が、前記排水管の詰まりの程度を検出し、
前記通知部が、前記詰まりの発生と共に、前記詰まりの程度を通知してもよい。
【0010】
前記手洗器は、前記通知部が、ネットワークを介して前記詰まりの発生を示す情報を所定の情報処理装置へ送信してもよい。
【0011】
前記手洗器は、
前記排水管による排水経路の途中に設けられ、前記洗浄水中のゴミを受け止めるゴミ受部を更に備え、
前記詰まり検出部が、前記ゴミ受部による前記排水管の詰まりを検出してもよい。
【0012】
前記手洗器は、
前記ゴミ受部が、
前記排水経路上に設置され、前記洗浄水から前記ゴミを濾しとる濾し部と、
一端が前記排水管と接続され、他端が前記濾し部を抜き出すための開口を有し、当該開口側の端部が、前記排水管側の端部よりも高い位置に設けられた筒部と、
を備えてもよい。
【0013】
前記手洗器は、
前記詰まり検出部が、前記排水管の詰まりによって前記排水管に溜まった水の水位を検出し、
前記通知部が、前記筒部の前記開口よりも前記水位が低い状態か否かを通知してもよい。
【0014】
前記手洗器は、
前記排水管の詰まりが検出された場合に、前記水栓から吐出する洗浄水の水量を制限する制限部を備えてもよい。
【0015】
前記手洗器は、
前記詰まり検出部が、前記排水管の詰まりによって前記排水管に溜まった水の水位を検出し、
前記制限部が、前記水位に応じて前記洗浄水の吐出量を制限してもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、手洗器の排水に詰まりが生じた際、適切な対応を可能とする技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】第一実施形態に係る手洗器の一例を示す斜視図である。
【
図2】第一実施形態に係る手洗器の一例を示す平面図である。
【
図3】第一実施形態に係る手洗器の一例を示す正面図である。
【
図4】第一実施形態に係る手洗器の一例を示すA-A断面図である。
【
図6】コンピュータの装置構成図の一例を示す図である。
【
図5】第一実施形態に係る制御装置の構成を示す図である。
【
図7】制御装置が洗浄水を吐出させる処理を示す図である。
【
図8】制御装置が詰まりの発生を検出する処理を示す図である。
【
図10】第二実施形態に係る制御装置が、詰まりの発生を検出する処理を示す図である。
【
図11】第三実施形態に係る手洗器の一例を示す斜視図である。
【
図12】第三実施形態に係る手洗器の一例を示す正面図である。
【
図13】第三実施形態に係る手洗器の一例を示すB-B断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<第一実施形態>
<手洗器の構成>
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。なお、実施の形態は本発明の一例であり、本発明の構成は以下の例には限られない。
【0019】
図1は、本実施形態に係る手洗器10の一例を示す斜視図である。また、
図2、
図3及び
図4は、本実施形態に係る手洗器10の一例を示す平面図、正面図及びA-A断面図である。手洗器10は、手洗用の水を吐出する手洗用水栓(「第1の水栓」とも称す)110と、手洗用水栓110の前に手がかざされたことを、例えば赤外線を利用して検知する手検知センサ112と、手洗水を受けるボウル部(単に「ボウル」とも呼ぶ)130と、ボウル部130を洗浄するための洗浄水を吐出するボウル洗浄用水栓140とを有する。また、手洗器10は、使用者の存在を検出する人感センサ150と、洗浄後の洗浄水(単に水又は排水とも称す)を排出する排水管160と、排水管160の詰まりを検出する詰まり検出部170と、洗浄水の吐出量等を制御する制御装置190を有する。なお、手洗器10は、自動又は手動で洗剤を吐出する洗剤保持部をさらに有していてもよい。また、手洗器10は、手検知センサ112の代わりに手洗用水栓110を吐水又は止水させるためのつまみ(ハンドル)又はレバーを有してもよい。本実施形態では、手洗器10の使用時に使用者が位置する側を「手前」と呼び、その反対方向を「奥」と呼ぶ。
【0020】
手洗用水栓110は、水道水や井戸水を供給する上水管201に電気的駆動弁202を介して接続された水栓であり、手洗用の水を吐出する。また、手洗用水栓110の手前側先端部には手検知センサ112が設けられている。手検知センサ112は、例えば赤外線センサであり、使用者が手を洗おうとして手洗用水栓110の前に出した際、赤外線の変化により、この手が出されたことを検知する。
【0021】
手検知センサ112は、電気的駆動弁202を制御する制御装置190と電気的に接続されている。手検知センサ112で手が出されたことを検知した場合、制御装置190は、電磁弁、電動弁等のような電気的駆動弁202を駆動させて、手洗用水栓110から手洗水を吐出させる。
【0022】
さらに、手洗器10は、ボウル部130を洗浄するボウル洗浄用水栓(「第2の水栓」とも呼ぶ)140を有している。本実施形態では、ボウル洗浄用水栓140は、正面視で手洗用水栓110の下方に設けられている。また、
図3において一点鎖線の矢印で示すように、ボウル洗浄用水栓140は、ボウル部130の内壁に沿ってボウルを洗浄するための洗浄水(「ボウル洗浄水」とも呼ぶ)を吐出する。なお、ボウル洗浄水は、
図3に示すように正面視で左右に吐出するようにしてもよいし、いずれか一方に吐出するようにしてもよい。また、左右に吐出する場合は、一方と他方とで吐出方向に角度差をつけたり、吐出タイミングに時間差をつけたりしてもよい。また、手洗器10は、ボウル部130の縁に沿ってボウル洗浄用水栓140を備え、ボウル部130の縁から内壁に沿ってボウル洗浄水を吐出するように構成されてもよい。後述するように、ボウル洗浄水は、例えば、使用者が手洗器10を使用した後に吐出される。このようにすれば、手洗器10は、ボウル部130の内部を適切なタイミングで清掃できるようになる。
【0023】
図4に示すように、手洗用水栓110とボウル洗浄用水栓140が、電気的駆動弁(三方弁)202を介して上水管201に接続されており、制御装置190が電気的駆動弁202を制御することにより、洗浄水の吐出先を手洗用水栓110又はボウル洗浄用水栓140に切り換えることができる。
【0024】
また、手洗器10は、人感センサ150を有している。人感センサ150は、例えば、赤外線センサである。人感センサ150は、制御装置190と電気的に接続されている。本実施形態の人感センサ150は、手洗器10の手前側に検出領域を有し、使用者の存在を検知して、この検知結果を制御装置190に入力する。そして、使用者の存在を検出し
なくなったこと、即ち使用者が手洗器10の前から去ったことを人感センサ150が検知することにより、制御装置190が電気的駆動弁202を駆動させて、ボウル洗浄用水栓140からボウル洗浄水を吐出させる。本実施形態では、人感センサ150を備えたことにより、使用者が手洗器10の使用を終えたタイミングでボウル部130を洗浄することができる。これにより、汚れがボウル内で固まって洗い流し難くなる前に、速やかにボウル部130を清掃できる。
【0025】
制御装置190は、センサ112,150の検出結果に限らず、所定のタイミングで洗浄水を吐出させてもよい。例えば、制御装置190は、定期的に洗浄水を吐出させることや、最後に洗浄水を吐出させてから所定時間経過したタイミングで洗浄水を吐出させることとしてもよい。
【0026】
また、ボウル部130は、手洗用水栓110及びボウル洗浄用水栓140から吐出された水を受けて排水管106へ排水するため、例えばボウル部130の最下部に排水口135を有している。排水口135の直上には、下部周壁136に囲繞された上向きの排水路137が設けられ、排水路137の上方を覆うようにボウル部内側の内底部131が前側へ延設されている。ボウル部130の内空を囲む周壁の前側部分は、排水口135よりも手前側へ張り出して設けられており、この張り出した前側部分の内壁132と内底部131との間にスリット状の開口133が形成されている。内壁132の下部には、開口133の下側で排水口135側へ湾曲された前底部134が延設され、前底部134と内底部131との間の空間が、開口133から排出される水の排水路138となっている。
【0027】
ボウル部130に吐出された水は、ボウル部130の内壁に沿って開口133へ流れ込み、排水路138及び排水路137を通り、排水口135から排水管160へ排水として排出される。
【0028】
本例の手洗器10は、排水口135の上方に内底部(遮蔽部とも称す)131を有し、使用者から排水口135が見えないように構成されている。また、ボール部内の水を排出する開口133が、排水口135よりも前側に設けられている、即ち、平面視において、排水口135の外側に外れた位置に設けられているため、使用者が上方から開口133を覗き込んだとしても、前底部134が見えるだけで、排水口135は見えない。
【0029】
排水管160は、上端の上流側接続部161が、ボウル部130の排水口135を有する下部周壁136の下端とパッキン162を介して接続され、反対側の端部が、壁50内に埋設された下水管310に接続され、排水口135と下水管310とを連通させている。
【0030】
排水管160は、排水の流れる方向(排水方向)下流側の一部、
図4の例では下水管310との下流側接続部163に対し、その上流側の流路が下流側接続部163よりも低い位置へ下降した後、上向きに湾曲して、上方へ延設され、上端である上流側接続部161が下流側接続部163よりも高い位置でボウル部130と接続されている。このため、排水管160において、下流側接続部163よりも低い湾曲部分に排水(封水)164が溜まり、排水路を水封するので、この湾曲部分が排水トラップ165となる。
【0031】
詰まり検出部170は、排水路の途中に設けられ、排水管160の詰まりを検出し、この検出結果を制御装置190へ入力する。詰まり検出部170は、排水管160の詰まりを検出できれば、何処に設けられてもよいが、本実施形態では、ボウル部130の排水口135と排水トラップ165との間に設けられている。詰まり検出部170は、例えば排水管160内に溜まった排水を検出した場合に、詰まりの発生を示す信号を検出結果として制御装置190に入力する。排水管160は、詰まりが発生していない状態では、排水
トラップ165以外には排水が滞留せず、流下するように設計されている。このため、排水トラップ以外の位置に設置された詰まり検出部170が、溜まっている排水を検出した場合には、詰まりが発生したと判別できる。
【0032】
本実施形態の詰まり検出部170は、検出面に対する圧力によって水位を検出するセンサであり、検出面側の端部が排水管160の管壁に設けた貫通穴に外側から挿入され、検出面を排水管内に露出した状態で設置されている。排水が流れている場合、検出面に対する圧力は少ないが、排水が溜まって排水の水位が検出面より高くなると検出面に対する圧力が高くなる。このため、詰まり検出部170は、検出面に対する圧力が閾値を超えた場合に、排水管160内に溜まった排水を検出する、即ち詰まりが発生したことを検出する。なお、閾値は、大気圧に所定のオフセット値を加えた値など、大気圧に応じて変化するものであってもよい。
【0033】
詰まり検出部170は、検出面に対する圧力を検出する方式に限定されるものではなく、詰まりを検出できるものであればよい。例えば、詰まり検出部170は、排水が流れている場合と溜まっている場合との差を検出面における誘電率の変化や、伝導率の変化、フロートの浮沈で、排水が溜まったことを検出するものであってもよい。
【0034】
制御装置190は、詰まり検出部170によって詰まりの発生を検出した場合の通知や、洗浄水の吐出量の制限などの制御を行う情報処理装置である。
図5は、制御装置の構成を示す図である。例えば、制御装置190は、ネットワークNを介して管理サーバ30と接続し、詰まりの発生を通知する。また、制御装置190は、排水管160の詰まりを検出した場合に洗浄水の吐出量を制限する。
【0035】
制御装置190は、水栓制御部91や、詰まり判定部92、通知部93、制限部94を有している。水栓制御部91は、手検知センサ112や人感センサ150の検知結果に基づいて、手洗用水栓110やボウル洗浄用水栓140から洗浄水を吐出させる。
【0036】
詰まり判定部92は、詰まり検出部170の検出結果に基づいて、詰まりの状態を判定する。通知部93は、詰まり検出部170で詰まりの発生を検出した場合に、詰まりの発生を示す通知情報を管理サーバ30へ通知する。なお、通知部93は、詰まり検出部170で詰まりの発生を検出し、且つ詰まり判定部92で通知が必要と判定した場合に通知情報を管理サーバ30へ通知してもよい。通知情報は、例えば、詰まりが発生した手洗器10の識別情報や、当該手洗器が設置されているトイレの識別情報、詰まりの状態等である。
【0037】
制限部94は、詰まり検出部170で詰まりの発生を検出した場合に、手洗用水栓110やボウル洗浄用水栓140から吐出させる洗浄水を制限する。
【0038】
管理サーバ30は、ネットワークNを介して他の装置と通信可能な情報処理装置である。管理サーバ30は、制御装置190から通知情報を受信すると、通知情報に含まれる識別情報に基づいて、対応するメンテナンス担当者の担当者端末40に通知情報を転送する。
【0039】
担当者端末40は、ネットワークNを介して他の装置と通信可能な情報処理装置である。担当者端末40は、管理サーバ30から通知情報を受信した場合に、制御装置190から通知情報を受信すると、通知情報に含まれる識別情報に基づいて、メンテナンスが必要な手洗器の情報を表示する。
【0040】
図6は、コンピュータの装置構成図の一例を示す図である。制御装置190、管理サー
バ30、及び担当者端末40は、
図6に示すようなコンピュータ1000である。コンピュータ1000は、例えば、CPU(Central Processing Unit)1001、主記憶装置
1002、補助記憶装置1003、通信IF(Interface)1004、入出力IF(Interface)1005、ドライブ装置1006、通信バス1007を備えている。CPU1001は、プログラムを実行することにより本実施の形態で説明する処理を行う。主記憶装置1002は、CPU1001が読み出したプログラムやデータをキャッシュしたり、CPUの作業領域を展開したりする。主記憶装置は、具体的には、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等である。補助記憶装置1003は、CPU1001により実行されるプログラムや、本実施の形態で用いる設定情報などを記憶する。補助記憶装置1003は、具体的には、HDDやSSD、フラッシュメモリ等である。通信IF1004は、他のコンピュータ装置との間でデータを送受信する。通信IF1004は、具体的には、有線又は無線のネットワークカード等である。入出力IF1005は、入出力装置と接続され、コンピュータのユーザから入力を受け付けたり、ユーザへ情報を出力したりする。入出力装置は、具体的には、キーボード、マウス、ディスプレイ又はタッチパネル等である。ドライブ装置1006は、フレキシブルディスク、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、BD(Blu-ray(登録商標) Disc)等の記録媒体に記録されたデータを読み出したり、記録媒体にデータを書き込んだりする。以上のような構成要素が、通信バス1007で接続されている。なお、これらの構成要素は複数設けられていてもよいし、一部の構成要素(例えば、ドライブ装置1006)を設けないようにしてもよい。また、入出力装置がコンピュータと一体に構成されていてもよい。コンピュータ1000は、CPU1001が、補助記憶装置1003に格納されたプログラムを主記憶装置の作業領域にロードして実行し、プログラムの実行を通じて各構成部等が制御されることによって、所定の目的に合致した各機能を実現することができる。例えば、制御装置190であれば、CPU1001は、水栓制御部91や、詰まり判定部92、通知部93、制限部94の機能を実現する。ただし、一部または全部の機能はASICやFPGAのようなハードウェア回路によって実現されてもよい。なお、管理サーバ30は、単一のコンピュータで構成されてもよいし、互いに連携する複数台のコンピュータによって構成されてもよい。
【0041】
<管理方法>
図7は、制御装置190が洗浄水を吐出させる処理を示す図、
図8は、制御装置190が詰まりの発生を検出する処理を示す図である。
【0042】
制御装置190は、電源が投入されると、
図7の処理を開始し、電源が切断されるまで周期的に実行する。
【0043】
ステップS10にて、制御装置190は、人感センサ150が使用者の存在を検出しているか否かを判定する。
【0044】
ステップS10にて、肯定判定であれば、制御装置190は、ステップS20へ移行し、使用者が手洗器10の前に存在している時間、即ち使用者が手洗器10を使用している時間(使用時間)を示すカウンタ値をインクリメントし、ステップS30へ移行する。
【0045】
ステップS30にて、制御装置190は、手検知センサ112が手を検知したか否かを判定する。ステップS30で否定判定であれば、制御装置190は、ステップS100へ移行し、肯定判定であればステップS40へ移行する。
【0046】
ステップS40にて、制御装置190は、手洗用水栓110に係る吐出量の設定値を記憶装置から読み出し、ステップS50へ移行する。
【0047】
ステップS50にて、制御装置190は、ステップS40で読み出した設定値に基づいて電気的駆動弁202の開度を制御し、洗浄水を手洗用水栓110から吐出させる。
【0048】
一方、ステップS10で否定判定の場合、制御装置190は、ステップS60へ移行し、使用時間のカウンタ値を読み出し、ステップS70へ移行する。
【0049】
ステップS70にて、制御装置190は、ステップS60で読み出したカウンタ値等の情報が、手洗器10の洗浄条件を満たしたか否かを判定する。ここで洗浄条件とは、例えば、カウンタ値が閾値を超えていることが挙げられる。即ち、使用時間が閾値を超えた場合には洗浄条件を満たしたと判定する。また、カウンタ値が閾値を超え、且つ前回の洗浄から所定時間以上経過した場合に、洗浄条件を満たしたと判定してもよい。或は、カウンタ値が閾値を超えた場合、又は前回の洗浄から所定時間以上経過した場合に、洗浄条件を満たしたと判定してもよい。
【0050】
ステップS70で肯定判定の場合、制御装置190は、ステップS80へ移行し、ボウル洗浄用水栓140に係る吐出量の設定値を記憶装置から読み出す。
【0051】
ステップS90にて、制御装置190は、ステップS80で読み出した設定値に基づいて電気的駆動弁202の開度を制御し、洗浄水をボウル洗浄用水栓140から吐出させる。
【0052】
ステップS100にて、制御装置190は、ステップS40,S80で読み出した設定値に基づいて吐出が完了したか否かを判定する。例えば設定値に基づき、ステップS50,S90で開始させた吐出を所定の時間(以下、吐出時間と称す)継続させる場合、制御装置190は、ステップS50,S90で吐出を開始させてから経過した時間(以下、経過時間と称す)が吐出時間に達しか否かを判定する。
【0053】
ステップS100で否定判定の場合、制御装置190は、
図7の処理を終了する。即ち、経過時間が吐出時間に達していないため、吐出を継続させる。そして、制御装置190は、
図7の処理を繰り返し、ステップS100で肯定判定した場合、ステップS105へ移行し、吐出を停止させる。
【0054】
このように制御装置190は、手検知センサ112や人感センサ150の検知結果に基づいて、手洗用水栓110又はボウル洗浄用水栓140から洗浄水を吐出させる。
【0055】
また、制御装置190は、電源が投入されると、
図8の処理を開始し、電源が切断されるまで周期的に実行する。
【0056】
ステップS110にて、制御装置190は、詰まり検出部170による検出結果を取得し、検出した時刻と共に記憶装置に記憶して、ステップS120へ移行する。
【0057】
ステップS120にて、制御装置190は、ステップS110で取得した検出結果に基づいて、通知を行う条件(通知条件)を満たしているか否かを判定する。例えば、排水管160内に排水が溜まったことを通知条件とし、ステップS110で排水が溜まったことを検出した場合に肯定判定し、排水が溜まったことを検出しなかった場合に否定判定する。なお、ボウル洗浄用水栓140から洗浄水を吐出させる場合、比較的短時間に多くの洗浄水を吐出するため、一時的に排水管内に排水が溜まることがある。この場合、排水管160が詰まっていなければ、排水管内に溜まった排水は短時間で排出されるので、すぐに詰まり検出部170に検出されなくなるが、詰まりが発生している場合には、検出されなくなるまでの時間が長くなる。このため、制御装置190は、記憶装置に記憶された検出
結果を参照し、排水管160内に溜まった排水を検出してから、検出しなくなるまでの時間(滞留時間)を求め、この滞留時間が閾値以上となったことを通知条件としてもよい。即ち、制御装置190は、滞留時間が閾値以上の場合に肯定判定し、滞留時間が閾値未満の場合に否定判定する。また、手洗用水栓110から洗浄水が吐出中であって、且つ排水管160内に溜まった排水を検出したことを通知条件としてもよい。
【0058】
ステップS120で、否定判定の場合、制御装置190は、
図8の処理を終了し、肯定判定の場合、ステップS130へ移行する。
【0059】
ステップS130にて、制御装置190は、詰まりが発生したこと及び詰まりが発生した手洗器10の識別情報を示す通知情報を管理サーバ30へ送信する。なお、制御装置190は、排水の滞留時間に基づいて詰まりの程度(閉塞度)を求め、この詰まりの程度を通知情報に含めて通知してもよい。通知情報を受信した管理サーバ30は、通知情報に基づいて詰まりが発生した手洗器10を特定し、対応するメンテナンス担当者の担当者端末40へ通知情報を送信する。なお、
図8の処理は、繰り返し実行されるため、前回通知情報を送信(通知)してから所定時間経過していない場合、ステップS130をスキップして同じ通知情報を繰り返し送信しないようにしてもよい。
【0060】
ステップS140にて、制御装置190は、詰まり検出部170の検出結果に基づき、手洗用水栓110及びボウル洗浄用水栓140に係る吐出の設定値を更新することで、手洗用水栓110やボウル洗浄用水栓140から吐出させる洗浄水の吐出量を制限する。例えば、制御装置190は、排水管160内に溜まった排水を検出している場合には、電気的駆動弁202の開度或は洗浄水の吐出時間を零とするように設定値を更新する。これにより制御装置190は、
図7の処理を実行した際、ステップS50、S90で電気的駆動弁202の開度を零とする、即ち電気的駆動弁202を閉じ、洗浄水の吐出を停止する。或は吐出時間が零となることで、制御装置190は、洗浄水の吐出中であってもステップS100で吐出が完了したと判定し、洗浄水の吐出を停止する。また、制御装置190は、洗浄水の吐出後、排水管160内に溜まった排水が検出されない場合には、詰まりが発生していないと判定できるため、電気的駆動弁202の開度や洗浄水の吐出時間の設定値を初期値とし、吐出量を制限しないようにする。また、制御装置190は、詰まりの程度に応じて吐出量の設定値を更新してもよい。例えば、排水の滞留時間が短く、詰まりの程度が低い場合には、設定値を初期値或は初期値に近い大きな値とし、排水の滞留時間が長く、詰まりの程度が高いと判定される場合には、設定値を小さい値とするように、当該設定値の初期値に対する割合を滞留時間に応じて設定してもよい。
【0061】
<実施形態の効果>
上述のように本実施形態によれば、手洗器10の排水管160に詰まりが発生した場合、メンテナンス担当者に詰まりの発生を通知するので、メンテナンス担当者が速やかにメンテナンスを行うことができる。
【0062】
また、詰まりが発生した場合、洗浄水の吐出量を制限するので、メンテナンスを行う前に、洗浄水が溢れて床を汚染するといった被害の拡大を防止することができる。
【0063】
<第二実施形態>
第二実施形態では、排水管160内に複数の詰まり検出部を備えた例を示す。本実施形態は、前述の第一実施形態と比較して、この複数の詰まり検出部を備えた構成が異なり、その他の構成は同じである。このため、前述の第一実施形態と同じ構成には、同符号を付すなどして、再度の説明を省略している。
【0064】
図9は、第二実施形態に係る手洗器10の断面図である。
図9に示すように、本実施形
態の手洗器10は、排水管160内において、排水方向に位置を異ならせて複数の詰まり検出部170A~170Cを配置している。換言すると、本実施形態の手洗器10は、排水管160内のトラップ165とボウル部130の開口133との間に三つの詰まり検出部170A~170Cを配置している。なお、詰まり検出部170の数は、これに限定されるものではなく、排水の水位を段階的に求められるように複数有していればよい。
【0065】
詰まり検出部170Aは、排水路内に溜まる排水の上限を僅かに超えた位置に設けられている。詰まり検出部170Cは、排水トラップ165の水面よりもやや上であって、複数の詰まり検出部170A~170Cの中で、最も低い位置に設けられている。詰まり検出部170Bは、詰まり検出部170Aと詰まり検出部170Cの中間に設けられている。
【0066】
このように詰まり検出部170A~170Cは、排水方向において異なる位置に設けられ、排水管160に溜まった排水の水位を段階的に検出することができる。
【0067】
同じ量の排水を排水管160に流した場合、詰まりの程度(閉塞度)が高い程、排水管160内に溜まる排水が多くなるため、詰まり判定部92は、詰まり検出部170A~170Cで検出したは、排水の水位に基づいて、閉塞度を検出できる。例えば、排水管160の閉塞度を異ならせた手洗器10について、手洗用水栓110やボウル洗浄用水栓140から洗浄水を所定量吐出させ、所定時間後に溜まる排水の水位を求め、この閉塞度と水位の対応関係をデータテーブルとして記憶装置に記憶させておく。そして、詰まり判定部92は、詰まりを検出する処理において、このデータテーブルを参照し、詰まり検出部170A~170Cで検出した排水の水位と対応する閉塞度を求める。
【0068】
また、詰まり判定部92は、排水管160内に溜まった排水の水位が、詰まり検出部170Cで検出される位置(第一水位)から詰まり検出部170Bで検出される位置(第二水位)に達するまでの時間(増水時間)から閉塞度を求めてもよい。例えば、閉塞度が高く、排水が殆ど流れない状態であれば、増水時間は短くなり、閉塞度が低ければ増水時間は長くなる。このため閉塞度と増水時間の対応関係を予め求め、データテーブルとして記憶装置に記憶しておく。そして、詰まり判定部92は、詰まりを検出する処理において、このデータテーブルを参照し、排水管160内に溜まった排水を詰まり検出部170Cで検出してから詰まり検出部170Bで検出するまでの時間に応じて閉塞度を求めてもよい。
【0069】
制限部94は、詰まり検出部170で詰まりの発生を検出した場合、この詰まりの程度(閉塞度)に応じて、手洗用水栓110やボウル洗浄用水栓140から吐出させる洗浄水の量を制限する。本実施形態の手洗器10は、排水口135の直上を内底部(遮蔽部)131が覆っているため、排水管160内に多少排水が溜まったとしても内底部(遮蔽部)131が覆われた範囲に収まれば、使用者に不快感を与えることがない。そこで、排水の水位の上限を設定しておき、制限部94は、詰まり判定部92で求めた閉塞度に応じ、排水の水位が上限を超えないように洗浄水の吐出量を制限する。
【0070】
排水の水位の上限は、内底部(遮蔽部)131が覆われた範囲内であれば、何処に設定してもよいが、本実施形態では、詰まり検出部170Aより排水方向下流側で最も高い位置、例えば、詰まり検出部170Aの検出面における下端としている。即ち、排水管160内に溜まった排水が、詰まり検出部170Aで検出された場合、上限を超えているので、制限部94は、吐出量の設定値を零とし、手洗用水栓110及びボウル洗浄用水栓140から洗浄水を吐出させないようにする。
【0071】
図10は、第二実施形態に係る制御装置190が、詰まりの発生を検出する処理を示す
図である。制御装置190は、電源が投入されると、
図10の処理を開始し、電源が切断されるまで周期的に実行する。
【0072】
ステップS110にて、制御装置190は、詰まり検出部170A~170Cによる検出結果を取得し、検出した時刻と共に記憶装置に記憶して、ステップS115へ移行する。
【0073】
ステップS115にて、制御装置190は、ステップS110で取得した詰まり検出部170B,170Cの検出結果に基づいて、排水管160の閉塞度を求める。
【0074】
ステップS120にて、制御装置190は、ステップS115で求めた閉塞度に基づいて、通知を行う条件(通知条件)を満たしているか否かを判定する。例えば、閉塞度が閾値(例えば40%)を超えたこと、及び排水の水位が上限を超えたことを通知条件とする。
【0075】
ステップS120で、否定判定の場合、制御装置190は、
図10の処理を終了し、肯定判定の場合、ステップS130へ移行する。
【0076】
ステップS130にて、制御装置190は、詰まりが発生したことや、詰まりが発生した手洗器10の識別情報、及び閉塞度を示す通知情報を管理サーバ30へ送信する。通知情報を受信した管理サーバ30は、通知情報に基づいて詰まりが発生した手洗器10を特定し、対応するメンテナンス担当者の担当者端末40へ通知情報を送信する。なお、
図10の処理は、繰り返し実行されるため、前回通知情報を送信(通知)してから所定時間経過していない場合、ステップS130をスキップして同じ通知情報を繰り返し送信しないようにしてもよい。
【0077】
ステップS140にて、制御装置190は、詰まり検出部170A~170Cの検出結果、本実施形態では閉塞度に基づき、手洗用水栓110及びボウル洗浄用水栓140に係る吐出の設定値を更新することで、手洗用水栓110やボウル洗浄用水栓140から吐出させる洗浄水の吐出量を制限する。例えば、閉塞度が高ければ、電気的駆動弁202の開度や洗浄水の吐出時間の設定値を小さく設定し、洗浄水の吐出量を制限する。また、閉塞度が低ければ、電気的駆動弁202の開度や洗浄水の吐出時間の設定値を初期値或は大きい値に設定する。
【0078】
更に、制御装置190は、排水の水位が上限を超えた場合、電気的駆動弁202の開度或は洗浄水の吐出時間を零とするように設定値を更新する。これにより制御装置190は、
図7の処理を実行した際、ステップS50、S90で電気的駆動弁202の開度を零とする、即ち電気的駆動弁202を閉じ、洗浄水の吐出を停止する。或は吐出時間を零とすることで、制御装置190は、洗浄水を吐出中であってもステップS100で吐出が完了したと判定し、ステップS105で洗浄水の吐出を停止する。
【0079】
このように本実施形態によれば、詰まり検出部170A~170Cに基づいて、排水管160の詰まりの程度を精度良く検出できるので、詰まりの発生を誤って通知し、無駄にメンテナンスを行わせることが防止される。
【0080】
また、詰まりの程度によって、精度良く洗浄水の吐出を制限するので、詰まりが発生した場合でも洗浄水が溢れることを防止して被害の拡大を抑えることができると共に、無駄に洗浄水を停止して手洗器10を使えなくすることが防止される。
【0081】
<第三実施形態>
第三実施形態では、排水管160の途中にゴミ受部180を備えた例を示す。本実施形態は、前述の第二実施形態と比較して、このゴミ受部180を備えた構成が異なり、その他の構成は同じである。このため、前述の第二実施形態と同じ構成には、同符号を付すなどして、再度の説明を省略している。
【0082】
図11は、本実施形態に係る手洗器10の一例を示す斜視図である。また、
図12及び
図13は、本実施形態に係る手洗器10の一例を示す正面図及びB-B断面図である。
【0083】
本実施形態に係る手洗器10は、排水管160による排水経路の途中に、排水中のゴミを受け止めるゴミ受部180が設けられている。ゴミ受部180は、排水経路上に配置され、排水からゴミを濾しとる濾し部(ストレーナとも称す)181と、排水経路上に配置されたストレーナ181を水平方向よりも上側に向けて抜き出すための経路を内包する筒部182と、筒部182の前側端部の開口を密閉する蓋部183とを有している。
【0084】
筒部182は、一端が排水管と接続され、他端がストレーナ181を抜き出すための開口1821を有し、当該開口側の端部が、前記排水管側の端部よりも高い位置に設けられている。
【0085】
図14は、ストレーナ181の斜視図である。
図14に示すように、ストレーナ181は、有底筒状の網部18Aと、取っ手18Bとを有している。網部18Aと取っ手18Bは、筒部182及び排水管160内に収まる大きさに形成され、筒部182に対して挿抜可能に形成されている。
【0086】
網部18Aは、先端側を底部18A1、後端側を開口18A2とし、排水を開口18A2から流入させ、先端側へ通過させることで、排水中のゴミを濾しとり、網部18A内に保持する。取っ手18Bは、網部18Aの後部に延設され、ストレーナを抜き出す際の手掛かりとして用いられる。なお、本実施形態では、ゴミを濾しとるための濾材として、網部18Aを用いたが、濾材は、これに限らず、パンチングメタルや格子など、排水を通し、ゴミを止める開口を有した部材であればよい。また、本実施形態のストレーナ181は、ステンレスで構成されているが、濾材の材質は、これに限らず、金属、セラミック、琺瑯、合成樹脂など、ゴミを受け止める形状を維持できるものであればよい。
【0087】
筒部182の開口側端部の外周には、雄ネジ部が形成され、この筒部182の開口側端部に外嵌される蓋部183の雄ネジ部と対向する内周面に、雌ネジ部が形成されており、これらネジ部を螺合することで蓋部183が筒部182に取り付けられ、開口1821を密閉する。
【0088】
蓋部183を外した状態で、ストレーナ181が、筒部182の開口1821に挿入されると、ストレーナ181の先端が排水管160の湾曲した内壁に突き当たる位置に配置される。この場合、ストレーナ181の網部18Aが、排水トラップ165の封水164内で、開口18A2を上側、即ち排水路の下流側に向けて配置される。そして、蓋部183が、筒部182の開口側端部に取り付けられ、筒部182を密閉する。
【0089】
このように本実施形態の手洗器10では、ゴミ受部180が、排水トラップ165の上流部分に設けられている。なお、これに限らず、ゴミ受部180は、排水管160の何処に設けられてもよいが、蓋部183を外した際の臭気の漏れや衛生害虫の進入を防止するために排水トラップ165内或は排水トラップ165よりも排水方向上流側に設けることが望ましい。
【0090】
本実施形態において、洗浄水を吐出する処理や詰まりの発生を検出する処理は、前述の
図7や
図10と同じである。なお、本実施形態では、網の形状が異なると、閉塞度と水位の対応関係が異なるため、網の形状毎にデータテーブルを有していてもよい。例えば、網目の細かいストレーナ181を採用した場合と、網目の粗いストレーナ181を採用した場合とでは、閉塞度と水位の対応関係が異なるため、採用したストレーナ181の形状に応じたデータテーブルを用いて、閉塞度を求める構成とする。
【0091】
また、本実施形態において、詰まり検出部170Cが、排水トラップ165における封水の水面169よりも高く、筒部182の開口よりも低い位置に設けられる。具体的には、詰まり検出部170Cが、筒部182の開口の下端よりも僅かに低い位置に設けられている。このため、詰まり検出部170Cが排水を検出していない状態であれば、ゴミ受部180の蓋183を開けても排水が溢れることがないが、詰まり検出部170Cが排水を検出している状態であれば、ゴミ受部180の蓋183を開けた際に排水が開口から溢れる。そこで、通知部93は、詰まり検出部170Cが排水を検出しているか否かを示す情報を通知情報に含めて、管理サーバ30へ通知してもよい。これにより通知情報を受信したメンテナンス担当者が、ゴミ受部180の蓋183を開けた場合に、排水が開口から溢れるか否かを事前に知ることができ、排水の水位が開口よりも低くなるまで待つか、溢れた排水を受ける準備をしてからメンテナンスにあたることができる。なお、詰まり検出部170Cが排水を検出しているか否かを示す情報は、通知情報で送信することに限らず、手洗器10に表示装置を設けて表示するようにしてもよい。また、通知情報は、ステップS130で送信するだけでなく、担当者端末40が管理サーバ30に接続して、通知情報を取得するようにしてもよい。
【0092】
<実施形態の効果>
本実施形態における手洗器10は、排水経路の途中にゴミ受部180を備え、排水経路の途中でゴミを受け止め、下水管310にゴミが流入することを抑えている。従来の手洗器では、排水口に設けた目皿や網でゴミを受け止めるものが広く普及しているが、目皿等にゴミが溜まると、使用者が手を洗う際に、このゴミを目にして、不快に感じることになる。このため、使用者に不快感を与えないためには、頻繁に清掃する必要がある。これに対し、本実施形態の手洗器10では、排水口135よりも下流側でゴミを受け止めるので、使用者が溜まったゴミを目にすることを抑えられる。特に、本実施形態では、排水口135を内底部(遮蔽部)131が覆っているため、使用者が排水口135内を見ることがなく、多少ゴミが溜まったとしても使用者に不快感を与えることがない。
【0093】
また、従来目皿等にゴミを溜まると、排水の流れが悪くなり、ボール部内に排水が溜まることになる。一時的にでも排水が溜まると、手を洗う際に排水が跳ねる等して不衛生であると共に、非常に不快感を感じることになる。このため、ガムやタバコの吸い殻等、排水の流れを悪くするようなゴミが捨てられた場合には、迅速に清掃する必要がある。
【0094】
これに対し本実施形態では、ゴミ受部180とボウル部130の開口133とが離れているため、多少水が溜まったとしても排水管内で収まる程度であれば、使用者が目にすることがないため、不快感を与えることがない。特に、本実施形態では、ゴミ受部180の網部18Aが封水内に配置されているので、排水から濾しとられたゴミが、封水内、即ち封水内で保持されるので、溜まったゴミの臭いによって使用者に不快感を与えることがない。
【0095】
上記のように、本実施形態の手洗器10では、排水管160を外すことなく、排水管160の途中に設けたゴミ受部180のストレーナ181を抜き出すことができるので、容易にゴミ受部180の清掃を行うことができる。
【0096】
特に、本実施形態の手洗器10では、ストレーナ181を抜き出すための経路が上向き
に形成され、開口1821が封水164の上面(水面)169よりも高い位置に設けられているため、蓋部183を外した場合でも封水164がこぼれて床を汚染することがなく、容易に清掃を行うことができる。
【0097】
また、詰まりが発生した状態で蓋部183を外す場合でも、排水が開口から溢れるか否かを事前に知ることができるため、排水を受ける準備をするなど、適切にメンテナンスを行うことができる。
【0098】
なお、本実施形態は、ゴミ受部180以外の構成を第二実施形態と同じとしたが、第一実施形態と同じであってもよい。
【0099】
上述の実施形態では、制御装置190が、管理サーバ30へ通知情報を送信し、管理サーバ30から担当者端末40へ通知情報を送信したが、これに限らず制御装置190が、担当者端末40へ通知情報を送信してもよい。
【符号の説明】
【0100】
10 :手洗器
30 :管理サーバ
40 :担当者端末
91 :水栓制御部
92 :判定部
93 :通知部
94 :制限部
106 :排水管
110 :手洗用水栓
112 :手検知センサ
130 :ボウル部
133 :開口
135 :排水口
140 :ボウル洗浄用水栓
150 :人感センサ
160 :排水管
170 :詰まり検出部
180 :ゴミ受部
190 :制御装置
201 :上水管
202 :電気的駆動弁
310 :下水管