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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-28
(45)【発行日】2023-04-05
(54)【発明の名称】ロールペーパ供給装置
(51)【国際特許分類】
   A47K 10/38 20060101AFI20230329BHJP
【FI】
A47K10/38 H
A47K10/38 G
A47K10/38 J
A47K10/38 L
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018229956
(22)【出願日】2018-12-07
(65)【公開番号】P2020089637
(43)【公開日】2020-06-11
【審査請求日】2021-11-16
(73)【特許権者】
【識別番号】506182309
【氏名又は名称】株式会社エスミー
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【弁理士】
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 誠
【審査官】野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】実開昭63-127485(JP,U)
【文献】特開2007-135946(JP,A)
【文献】特開2016-036674(JP,A)
【文献】実開昭61-037896(JP,U)
【文献】実開平02-079888(JP,U)
【文献】特開2015-116400(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 10/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
予備ロールペーパを待機させる待機部と、
使用ロールペーパの孔に挿入され前記使用ロールペーパを回転自在に保持する芯棒と、を有するロールペーパ供給装置であって、
前記芯棒は、曲部を介して傾斜するとともに前記待機部まで連続して延出し、前記待機部の予備ロールペーパの孔に挿入され
前記曲部は、前記待機部に予備ロールペーパを待機させるように予備ロールペーパを保持することを特徴とするロールペーパ供給装置。
【請求項2】
予備ロールペーパを待機させる待機部と、
使用ロールペーパの孔に挿入され前記使用ロールペーパを回転自在に保持する芯棒と、を有するロールペーパ供給装置であって、
前記芯棒は、前記待機部まで連続して延出し、前記待機部の予備ロールペーパの孔に挿入され、
前記待機部に待機させるように予備ロールペーパの外周面を孔側に向かって付勢する付勢部材を有することを特徴とするールペーパ供給装置。
【請求項3】
予備ロールペーパを待機させる待機部と、
使用ロールペーパの孔に挿入され前記使用ロールペーパを回転自在に保持する芯棒と、を有するロールペーパ供給装置であって、
前記芯棒は、前記待機部まで連続して延出し、前記待機部の予備ロールペーパの孔に挿入されるとともに、前記使用ールペーパを回転自在に保持する第1延伸部と、前記第1延伸部に連続する曲部と、前記曲部に連続する第2延伸部と、を有し、
前記第2延伸部は、前記曲部を介して上側に向かって傾斜して延出していることを特徴とするールペーパ供給装置。
【請求項4】
該ロールペーパ供給装置の正面視において、前記第1延伸部と前記第2延伸部との間の鋭角側の傾斜角度が15°~30°であることを特徴とする請求項3に記載のロールペーパ供給装置。
【請求項5】
予備ロールペーパを待機させる待機部と、
使用ロールペーパの孔に挿入され前記使用ロールペーパを回転自在に保持する芯棒と、を有するロールペーパ供給装置であって、
前記芯棒は、前記待機部まで連続して延出し、前記待機部の予備ロールペーパの孔に挿入され、
前記芯棒および前記待機部の少なくとも何れか一方を上下方向に調整する調整機構を有することを特徴とするールペーパ供給装置。
【請求項6】
前記使用ロールペーパの紙を使用者が引出すための引出部を有し、
前記芯棒は、前記引出部から前記待機部まで連続して延出し、使用者が前記待機部の予備ロールペーパを前記引出部に移動させることに応じて前記予備ロールペーパを前記待機部から前記引出部にガイドすることを特徴とする請求項1ないし5の何れか1項に記載のロールペーパ供給装置。
【請求項7】
予備ロールペーパを補充するための補充部を有し、
前記芯棒は、前記補充部まで連続して延出し、前記補充部から予備ロールペーパの孔に挿入可能であることを特徴とする請求項1ないしの何れか1項に記載のロールペーパ供給装置。
【請求項8】
前記芯棒は、前記待機部に待機可能な上限数の予備ロールペーパが待機された状態において、全ての予備ロールペーパの孔に挿入される位置まで連続して延出していることを特徴とする請求項1ないしの何れか1項に記載のロールペーパ供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロールペーパ供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高速道路のサービスエリアあるいはパーキングエリア、または駅や公園に設置される公共トイレではトイレブースの壁面に収納するユニット化されたロールペーパ供給装置が多く使用されている(特許文献1)。
近年、このような公共トイレのロールペーパ供給装置に用いられるロールペーパは、ゴミを削減するためにペーパを巻き付けるための芯部材がないもの、いわゆるコアレスロールペーパを用いられている。このようなロールペーパは中心近くのペーパ自体が芯部材の役割を担う。
【0003】
更に、最近ではロールペーパの孔の内径が小さくなる傾向にある。このようにロールペーパの孔の内径を小さくすることで、中心近くまでペーパを巻き付けることができるためにペーパの全長を長くでき、ロールペーパを補充する回数を削減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-116400号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ロールペーパの孔の内径が小さくなると、ロールペーパの交換が容易ではないという問題がある。すなわち、ロールペーパを交換する場合には予備のロールペーパをロールペーパ供給装置の芯棒に挿入する作業が必要であり、ロールペーパの孔と芯棒とを正確に位置合わせする必要がある。特に、公共のトイレでは、ロールペーパを交換するのは交換に慣れていないトイレの使用者である場合が多く、更にロールペーパを交換するのを困難にさせてしまう。
本発明は、上述したような問題点に鑑みてなされたものであり、ロールペーパの交換を容易にできるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、予備ロールペーパを待機させる待機部と、使用ロールペーパの孔に挿入され前記使用ロールペーパを回転自在に保持する芯棒と、を有するロールペーパ供給装置であって、前記芯棒は、曲部を介して傾斜するとともに前記待機部まで連続して延出し、前記待機部の予備ロールペーパの孔に挿入され、前記曲部は、前記待機部に予備ロールペーパを待機させるように予備ロールペーパを保持することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ロールペーパの交換を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態のロールペーパ供給装置の外観の構成の一例を示す図である。
図2】ロールペーパ供給装置の内部の構成の一例を示す図である。
図3】芯棒の構成の一例を示す図である。
図4】第1の変形例の構成の一例を示す斜視図である。
図5】第2の変形例の構成の一例を示す斜視図である。
図6】第3の変形例の構成の一例を示す斜視図である。
図7】第2実施形態のロールペーパ供給装置の外観の構成の一例を示す図である。
図8】ロールペーパ供給装置の内部の構成の一例を示す図である。
図9】芯棒の上下方向の調整方法を説明するための図である。
図10】第4の変形例の構成の一例を示す斜視図である。
図11】第3実施形態のロールペーパ供給装置の外観の構成の一例を示す図である。
図12】ロールペーパ供給装置の内部の構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、実施形態に係るロールペーパ供給装置について図面を参照して説明する。なお、説明を容易にするために、各図には必要に応じて、上側をUp、下側をLo、右側をR、左側をL、前側をFr、後側Rrとして示している。
【0010】
(第1実施形態)
第1実施形態に示すロールペーパ供給装置100は全体の左右方向の長さが上下方向の長さに比べて長い形状であり、上下方向にスペースが取れない場合に用いられて好適である。また、ロールペーパ供給装置100に用いられるロールペーパPは芯部材がないコアレスタイプであって、孔の内径が従来に比べて小さい略13mmである。なお、以下では、トイレの使用者により紙が引出されるロールペーパを使用ロールペーパといい、使用される前のロールペーパを予備ロールペーパという。ただし、区別する必要がない場合には単にロールペーパという。
【0011】
図1(a)~(c)は、ロールペーパ供給装置100の外観の構成の一例を示す正面図、平面図、側面図である。図2(a)~(c)は、ロールペーパ供給装置100の内部の構成の一例を示す正面図(表側パネルを省略した図)、断面平面図、断面側面図である。図2(a)~(c)では、ロールペーパPを二点鎖線で示している。なお、ロールペーパ供給装置100には、図示しない洗浄操作用のボタン、操作パネル、便座クリーナ液ボトル設置部、便座クリーナ液受部等を配置してもよい。
ロールペーパ供給装置100は、トイレブースの壁面に形成された凹部に埋設させて取り付けられる。ロールペーパ供給装置100は、筐体10と、紙切り部30と、芯棒40とを有する。
【0012】
まず、筐体10について説明する。
筐体10は、ロールペーパ供給装置100の外観を構成し、基台部として機能する。筐体10は、表側パネル11と、裏側筐部16とを有する。
表側パネル11は、ロールペーパ供給装置100をトイレブースの収容凹部に埋設させたときに外観面になる。表側パネル11は、引出口12と、確認窓13と、補充口14とが形成される。
【0013】
引出口12は、表側パネル11の下側かつ左側(左右方向の一方側)に位置し、トイレの使用者がロールペーパPの紙を引出すための矩形の開口である。また、引出口12から連続して確認窓13側に差込み口12aがある。差込み口12aは、使用者が予備ロールペーパPを移動させるために手を差込むための開口である。
確認窓13は、補充者が予備ロールペーパPの残数を確認するための開口である。確認窓13は、表側パネル11の略中央に位置する。確認窓13の開口は、透明な部材によって閉塞されていてもよい。また、確認窓13は引出口12まで広げることで一つの大きな開口としてもよい。なお、補充者とはロールペーパPを補充する作業をする者であり、トイレの使用者とは異なる者である。
補充口14は、補充者が予備ロールペーパPをロールペーパ供給装置100に補充するための開口である。補充口14は表側パネル11の上側かつ右側(左右方向の他方側)に位置する。なお、補充口14には、施錠可能な扉部15がヒンジを介して開閉可能に連結されている。補充者は解錠した上で扉部15を手前に開き、補充口14から予備ロールペーパPを補充する。
【0014】
裏側筐部16は複数のロールペーパPを収容可能である。裏側筐部16は前側が開口し、開口縁を表側パネル11の裏面に固定することで筐体10が構成される。裏側筐部16には、引出部17と、待機部19と、補充部21とを有する。
引出部17は、使用者が使用ロールペーパPの紙を引出すための部位である。引出部17は、表側パネル11の引出口12と前後方向に連通する。図2(a)に示すように、引出部17は、側板18a、天板18b、底板18c、裏板により囲まれて構成される。
【0015】
待機部19は、引出部17に移動させる前の予備ロールペーパPを待機させたり、引出部17に予備ロールペーパPを移動させたりするための部位である。また、待機部19は引出部17から連続し、表側パネル11の確認窓13と前後方向に連通する。図2(a)に示すように、待機部19は、天板20a、底板20b、裏板により囲まれ傾斜して構成される。すなわち、天板20aおよび底板20bは引出部17から補充部21に向かって斜めに配置される。本実施形態の待機部19は、第1~第3の予備ロールペーパPを待機させることができる大きさである。
補充部21は、補充口14から補充された予備ロールペーパPが投入される部位である。補充部21は待機部19から連続し、表側パネル11の補充口14と前後方向に連通する。図2(a)に示すように、補充部21は、側板22a,22b、天板22c、底板22d、裏板により囲まれて構成される。なお、補充部21の底板22dは、待機部19の底板20bから一体で連続し、斜めに配置される。また、本実施形態の補充部21は、第4(最後)の予備ロールペーパPを待機させることができることから、待機部としても機能する。
【0016】
次に、紙切り部30について説明する。
紙切り部30は、引出部17に位置する使用ロールペーパPの引出された紙を切断する。紙切り部30は湾曲した板状であり、先端に切断部を有する。また、紙切り部30は引出部17の側板18aから右方向に突出する回転軸回りに回転自在であり、自重によって常に使用ロールペーパPの外周面と接する。なお、使用者がロールペーパPを交換するときに紙切り部30が邪魔にならないように、紙切り部30は切断部を上昇させた位置で停止させる機構を有していてもよい。
【0017】
次に、芯棒40について説明する。
芯棒40は、引出部17に位置する使用ロールペーパPの孔に挿入することで、使用ロールペーパPを回転自在に保持する。芯棒40は、基端に板状のフランジ部41が結合され、引出部17の側板18aにフランジ部41を介してネジや溶接等によって取り付けられる。
ここで、本実施形態の芯棒40は、断面視で円形であり、ロールペーパPの小径な孔に挿入できるように細軸状である。また、芯棒40は先端部が略円錐状であり、最先端(円錐の頂点)が半球状である。ここで、芯棒40は直径が11mm~5mmであり、更には10mm~8mmであることが好ましい。このような寸法に規定するのは、直径が11mmあるいは10mmよりも大きいと芯棒40をロールペーパPの孔に挿入するのが困難となり、8mmあるいは5mmよりも小さいと芯棒40自体の剛性が低下してしまうためである。芯棒40は長手方向に沿って略同一の直径である。また、芯棒40には例えばステンレス鋼等の金属が用いられる。
【0018】
更に、本実施形態の芯棒40は裏側筐部16内に沿って延出している。具体的に、芯棒40は引出部17を越えて待機部19に到るまで、あるいは、引出部17および待機部19を超えて補充部21まで隙間なく連続して延出している。芯棒40は正面視で、先端部が補充口14と重なり合う位置まで到っている。
図3(a)~(c)は、芯棒40を抜き出して示した正面図、平面図、側面図である。
芯棒40は、第1延伸部42と、曲部43と、第2延伸部44とを有する。
【0019】
第1延伸部42は、引出部17に位置し、使用ロールペーパPの孔に挿入され使用ロールペーパPを回転自在に保持する。第1延伸部42は、フランジ部41から右方向に略水平に延出する。第1延伸部42の長さは、使用ロールペーパPの幅あるいは紙切り部30の幅よりも長い。また、第1延伸部42は左右方向と略平行な直線状である。
曲部43は、正面視で引出部17と待機部19と間の境界付近に位置する。曲部43は、予備ロールペーパPの孔に挿入され、引出部17に直近の第1の予備ロールパーパを待機部19の位置で保持する。曲部43は、第1延伸部42から連続する。また、曲部43は、角が形成されないように滑らかに湾曲する。
第2延伸部44は、待機部19に位置し、複数の予備ロールペーパPの孔に挿入され、複数の予備ロールペーパPを待機部19内で移動可能に保持する。第2延伸部44は、曲部43から連続し、少なくとも水平方向に対して上側に傾斜して延出する。第2延伸部44は、後述する延伸内曲部45bによって一部が曲がっている。第2延伸部44の長さは、3つの予備ロールペーパPを合わせた幅よりも長い、あるいは略同一である。
【0020】
図3(a)に示すように正面視において、第2延伸部44は曲部43によって傾斜して延出している。本実施形態では、曲部43の角度、すなわち第1延伸部42と第2延伸部44との間の傾斜角度α(鋭角側)は15°~30°であり、より好ましくは20°~25°である。なお、図3(a)では傾斜角度αが略23°である。このように規定するのは、15°あるいは20°よりも小さいと予備ロールペーパPが自重で芯棒40に沿って移動できず、30°あるいは25°よりも大きいと使用者が待機部19から引出部17に予備ロールペーパPを移動させるときに抵抗になり易いためである。
【0021】
また、図3(b)あるいは図3(c)に示すように、第2延伸部44は、第1傾斜部45aと、延伸内曲部45bと、第2傾斜部45cとを有する。
第1傾斜部45aは、曲部43から連続する。第1傾斜部45aは引出部17に直近の第1の予備ロールペーパPの孔に挿入される。第1傾斜部45aの長さは、1つの予備ロールペーパPの幅よりも短い。また、第1傾斜部45aは、直線状である。ここで、第1傾斜部45aは曲部43から後側に向かって傾斜する。すなわち、第1傾斜部45aは、曲部43によって上下方向の傾斜に加えて前後方向にも傾斜している。本実施形態では、図3(b)に示す平面視において、曲部43の角度、すなわち第1延伸部42と第1傾斜部45aとの間の傾斜角度β(鋭角側)は略10°~15°である。なお、図3(b)では傾斜角度βが略12°である。このように、第1傾斜部45aを前後方向に傾斜させるのは、上述した第1延伸部42をなるだけ前側に配置させて、第1延伸部42に保持された使用ロールペーパPを使用者が引出し易くするためである。
【0022】
延伸内曲部45bは、第1傾斜部45aから連続する。延伸内曲部45bは、第2延伸部44の長さの中心よりも左側に偏って位置する。延伸内曲部45bは、角が形成されないように滑らかに湾曲する。
第2傾斜部45cは、延伸内曲部45bから連続する。第2傾斜部45cは引出部17に直近の第1の予備ロールペーパP以降の第2~第4の予備ロールペーパPの孔に挿入される。第2傾斜部45cの長さは、2つの予備ロールペーパPを合わせた幅よりも長い。また、第2傾斜部45cは、直線状である。ここで、第2傾斜部45cは第1傾斜部45aに対して上下方向の傾斜が維持される一方、前後方向に対する傾斜が解消され左右方向に略平行である。すなわち、本実施形態では、図3(b)に示す平面視において、延伸内曲部45bの角度、すなわち第1傾斜部45aと第2傾斜部45cとの間の傾斜角度γ(鋭角側)は、略10°~15°であり、傾斜角度βと略同一にして、前後方向の傾斜を解消させる。なお、図3(b)では傾斜角度γが略12°である。このように、第2傾斜部45cにおいて前後方向の傾斜を解消させるのは、補充者が第2傾斜部45c(第2延伸部44)の先端部を予備ロールペーパPの孔に挿入し易くするためである。
【0023】
ただし、芯棒40は、曲部43の傾斜のうち傾斜角度αが形成されていればよく、その他の傾斜角度β、γは0°であってもよい。具体的には、図3(b)の二点鎖線で示す芯棒40Aのように曲部43の傾斜角度βが0°であり、平面視で芯棒40が直線状であってもよい。また、図3(b)の二点鎖線で示す芯棒40Bのように延伸内曲部45bの傾斜角度γが0°であり、平面視で第2延伸部44全体が曲部43から後側に傾斜していてもよい。
【0024】
以上のように構成されるロールペーパ供給装置100において、補充者によりロールペーパPを補充する方法について説明する。
ここでは、芯棒40にはロールペーパPが挿入されていない状態とする。まず、補充者は補充口14を通して補充部21にロールペーパPを投入する。具体的には、補充者は、ロールペーパPの軸線が芯棒40の第2延伸部44の軸線と一致するように、ロールペーパPを斜めにし、ロールペーパPの孔に芯棒40の先端部を挿入させる。このとき、芯棒40の先端部は補充口14に近接しているので、補充者はロールペーパPの孔に芯棒40の先端部を容易に挿入させることができる。芯棒40が挿入されたロールペーパPは、芯棒40をガイドにして自重で待機部19を移動する。このとき、ロールペーパPの外周面は天板20a、底板20b、裏板から離れているのでロールペーパPが自重で移動するときの摩擦を低減させることができる。自重で移動したロールペーパPは、曲部43で停止する。具体的には、曲部43の上部がロールペーパPの内周面(内周面の左側)に接することで、ストッパとなってロールペーパPを保持する。更に、曲部43の下部がロールペーパPの内周面の下側と接することで曲部43とロールペーパPとの間で摩擦を発生させてもよい。したがって、芯棒40の曲部43によってロールパーパPを待機部19で待機させることができる。
【0025】
次に、補充者は、引出口12から手を差込み、待機部19に待機させているロールペーパPを引出部17に向かって移動(スライド)させる。この際、ロールペーパPの孔内を曲部43が通過するときに、曲部43によって孔の内径を広げる方向の力が掛かるためにスライドさせるときの抵抗となる。しかしながら、ロールペーパPはコアレスであるために曲部43の通過に応じて孔の形状が変形するために、補充者は適度な力でロールペーパPを引出部17まで移動させることができる。引出部17まで移動させたロールペーパPは芯棒40の第1延伸部42によって回転自在に保持される。
【0026】
続いて、補充者は上述した作業と同様な方法で、第1の予備ロールペーパPを補充する。したがって、第1の予備ロールペーパPは、自重で待機部19を移動し、曲部43で停止する。同様に、補充者は上述した作業と同様な方法で、第2および第3の予備ロールペーパPを補充する。第2の予備ロールペーパPは、左端面が第1の予備ロールペーパPの右端面と当接した状態で停止する。第3の予備ロールペーパPは、左端面が第2の予備ロールペーパPの右端面と当接した状態で停止する。
ここで、第1~第3(最後から2つ目)の予備ロールペーパPを待機部19で待機させている状態では、芯棒40の第2延伸部44が、第3の予備ロールペーパPの右端面から突出している(図2(a)を参照)。本実施形態では、第3の予備ロールペーパPの右端面から芯棒40の先端部までの突出長さが短くなるように設定している。突出長さは予備ロールペーパPの幅の半分の長さよりも短く、更に予備ロールペーパPの幅の1/4の長さよりも短いことがより好ましい。
【0027】
続いて、補充者は第4(最後)の予備ロールペーパPを補充する。具体的には、補充者は第4の予備ロールペーパPの孔に、第3の予備ロールペーパPの右端面から短い長さで突出している芯棒40の先端部を挿入させる。第4の予備ロールペーパPは、左端面が第3の予備ロールペーパPの右端面と当接した状態で停止する。このとき、第4の予備ロールペーパPの孔には、芯棒40が短い長さでしか挿入されていないものの短い長さでも挿入されていれば、芯棒40は待機部19での第4の予備ロールペーパPの移動をガイドすることができる。
【0028】
このように、待機部19(補充部21を含む)に第1~第4の予備ロールペーパPを待機させることができる。なお、第1の予備ロールペーパPは、使用ロールペーパPおよび紙切り部30に接触せずに離れた状態で保持されている。したがって、使用ロールペーパPおよび紙切り部30は第1の予備ロールペーパPとの干渉が防止され、使用者は容易に使用ロールパーパの紙を引出すことができる。
【0029】
次に、使用者がロールペーパPを交換する方法について説明する。
使用者が使用ロールペーパPの紙を引出し終わった場合、コアレスタイプであるために芯棒40の第1延伸部42には芯部材が残らない。なお、使用ロールペーパPの紙が残り少ない場合、使用者は使用ロールペーパPを軸方向に沿って破断させることで芯棒40の第1延伸部42から使用ロールペーパPを取り除くことができる。
次に、使用者は、引出口12から手を差込み、待機部19に待機させている第1の予備ロールペーパPを引出部17に向かって移動(スライド)させる。この作業および作業に伴う第1の予備ロールペーパPの移動は、上述した補充者による作業および作業に伴うロールペーパPの移動と同様である。
【0030】
すなわち、使用者は適度な力で第1の予備ロールペーパPを引出部17まで移動させることができる。このとき、芯棒40は引出部17から待機部19まで延出して、待機部19に位置する予備ロールペーパPの孔に予め挿入されているので、使用者は芯棒40を予備ロールペーパPの孔に挿入する作業を行う必要がない。すなわち、本実施形態のロールペーパ供給装置100によれば、使用者は待機部19に位置する第1の予備ロールペーパPを単に引出部17に向かって移動させるだけでよいので、容易にロールペーパPの交換を行うことができる。
【0031】
また、予め芯棒40を予備ロールペーパPの孔に挿入する作業は、作業に慣れた補充者が行うために、孔の内径が小さいロールペーパPを用いても挿入する作業に手間取ることがない。一方、孔の内径が小さいロールペーパPを用いることができれば、予備ロールペーパPを補充する回数を削減することができ、人件コストを大幅に低減することができる。ただし、本実施形態のロールペーパ供給装置100は、従来の孔の内径のロールペーパPにも用いることができる。
【0032】
また、本実施形態の芯棒40は、待機部19(補充部21を含む)に待機可能な上限数の予備ロールペーパPが待機された状態において、全ての予備ロールペーパPの孔に挿入される位置まで連続して延出している。換言すると、待機部19(補充部21を含む)に待機されている予備ロールペーパPの全ては、予め芯棒40が挿入されている状態である。したがって、予備ロールペーパPが自重により移動するときに、芯棒40が予備ロールペーパPの孔に挿入されない状態を防止することができる。
【0033】
なお、第1の予備ロールペーパPが引出部17に移動することで、第2の予備ロールペーパPは自重で待機部19を移動し、曲部43で停止する。したがって、第2の予備ロールペーパPは第1の予備ロールペーパPに遷移する。同様に、第3~第4の予備ロールも自重で待機部19を移動し、それぞれ第2~第3の予備ロールペーパPに遷移する。このように、予備ロールペーパPは常に待機部19のうち引出部17に近接した位置に自動的に移動するので、使用者は容易にロールペーパPを交換することができる。
なお、補充者は定期的に確認窓13を視認することで予備ロールペーパPの残数を確認でき、必要に応じて補充口14から予備ロールペーパPを補充する。
【0034】
次に、第1実施形態のロールペーパ供給装置100の変形例について説明する。
[第1の変形例]
図4は、第1の変形例の構成を示す斜視図である。第1の変形例では、ロールペーパ供給装置が待機部19に位置する予備ロールペーパPを保持する付勢部材50を有する。
付勢部材50は、待機部19の天板20aに取り付けられ、第1の予備ロールペーパPの外周面を、第1の予備ロールペーパPの孔側に向かって付勢する。付勢部材50は、例えば板バネを用いることができる。
【0035】
このように、付勢部材50により第1の予備ロールペーパPの外周面を付勢して保持することで、曲部43で保持させる場合に比べて第1の予備ロールペーパPの孔の変形を抑制することができる。
なお、付勢部材50のみで第1の予備ロールペーパPを保持する場合に限られず、曲部43および付勢部材50で協働して第1の予備ロールペーパPを保持してもよい。また、付勢部材50は、天板20aに取り付けられる場合に限られず、待機部19に取り付けられていればよい。例えば、付勢部材50は、表側パネル11の裏面、待機部19の天板20a、底板20bおよび裏板の少なくとも何れかに1つあるいは複数に取り付けられていてもよい。
また、図4では、確認窓56が正面視で芯棒40と重ならないように、芯棒40に沿って略平行に開口しており、引出口12と繋がっている。このように、確認窓56を芯棒40に沿って開口させることで、予備ロールペーパPが自重で移動しない場合に確認窓56から手を差込み、移動させることができる。
【0036】
[第2の変形例]
図5は、第2の変形例の構成を示す斜視図である。第2の変形例では、ロールペーパ供給装置は芯棒40を支持する支持部材51を有する。
支持部材51は、待機部19の底板20bに取り付けられる。具体的に、支持部材51は、支持部52と、回動部53とを有する。支持部52は支持部材51の上部に二股状に形成され、下側から芯棒40を支持する。回動部53は、底板20bに対して前後方向に沿った軸線回りに回動する。したがって、支持部材51は、回動部53を介して底板20aと重なるようにあるいは略面一になるように回動できる。また、支持部材51は、図示しない付勢部材によって、支持部52が芯棒40を支持する方向、すなわち起立した状態に付勢される。
【0037】
このように、支持部材51が芯棒40を支持することで、芯棒40の剛性が低かったり、長すぎたりする場合であっても自重による垂れ下がりを防止することができる。したがって、補充者が芯棒40の先端部を予備ロールペーパPの孔に容易に挿入することができる。一方、芯棒40を予備ロールペーパPの孔に挿入した後では、予備ロールペーパPが自重で芯棒40をガイドにして移動するときに支持部材51に接触することで支持部材51が回動部53を介して回動する。したがって、予備ロールペーパPは支持部材51に干渉されることなく曲部43まで自重で移動する。
【0038】
[第3の変形例]
図6は、第3の変形例の構成を示す斜視図である。第3の変形例では、ロールペーパ供給装置は補充部21から芯棒40の先端部まで予備ロールペーパPを搬送する複数のローラ部54を有する。
各ローラ部54は、待機部19の底板20bに回転可能に取り付けられる。具体的には、ローラ部54は前後方向に沿った軸回りに回転する。したがって、補充された予備ロールペーパPは、各ローラ部54によって芯棒40の先端部までスムーズに搬送される。
【0039】
また、ローラ部54は、前後の両側に予備ローラペーパの外周面と接する傾斜部55を有する。予備ローラペーパは両側の傾斜部55に沿って滑ることで、ローラ部54の前後方向の中心側に精度よくガイドされる。したがって、ローラ部54によって芯棒40まで搬送された予備ロールペーパPは、芯棒40の先端部が孔に正確に挿入される。芯棒40が挿入された予備ロールペーパPは自重により芯棒40に沿って移動し、曲部43で保持される。
【0040】
(第2実施形態)
第2実施形態に示すロールペーパ供給装置200は全体の上下方向の長さが左右方向の長さに比べて長い形状であり、左右方向にスペースが取れない場合に用いられて好適である。また、ロールペーパPは第1実施形態と同様のロールペーパPを用いることができる。なお、第1実施形態と同様の構成は適宜、説明を省略する。
【0041】
図7(a)~(c)は、ロールペーパ供給装置200の外観の構成の一例を示す正面図、平面図、側面図である。図8(a)~(c)は、ロールペーパ供給装置200の内部の構成の一例を示す正面図(表側パネルを省略した図)、断面平面図、断面側面図である。図8(a)~(c)では、ロールペーパPを二点鎖線で示している。なお、ロールペーパ供給装置200には、図示しない洗浄操作用のボタン、操作パネル、便座クリーナ液ボトル設置部、便座クリーナ液受部等を配置してもよい。
ロールペーパ供給装置200は、筐体60と、紙切り部80と、芯棒90とを有する。
筐体60は、表側パネル61と、裏側筐部66とを有する。
表側パネル61は、引出口62と、確認窓63と、補充口64とが形成される。
【0042】
引出口62は、表側パネル61の下側かつ右側(左右方向の他方側)に位置する。引出口62から連続する左側には開口62aがある。開口62aの開口縁には板状の支持部材110が開口62aを塞ぐような態様で結合される。支持部材110は、開口62aの上下の開口端から前側に向かって突出する。支持部材110は、予備ロールペーパPが開口62aから前側に飛び出ないように規制する。
ここで、支持部材110には上下方向の中央に差込み口111を有する。差込み口111は、使用者が予備ロールペーパPを移動させるために手を差込むための開口である。また、支持部材110は、下側に傾斜部112を有する。傾斜部112は、下側から上側に向かうにしたがって前側に突出するように傾斜する。傾斜部112は裏面で、後述する揺動部材120と共に第1の予備ロールペーパPを位置決めした状態で支持する。また、傾斜部112は予備ロールペーパPと接する面が平面である。
確認窓63は、表側パネル61の上下方向の略中央かつ左側(左右方向の一方側)に位置する。
補充口64は、表側パネル61の上側かつ左側に位置する。なお、補充口64には、施錠可能な扉部65がヒンジを介して開閉可能に連結されている。
【0043】
裏側筐部66には、引出部67と、待機部69と、補充部71とを有する。
図8(a)に示すように、引出部67は、側板68a、天板68b、底板68cおよび裏板により囲まれて構成される。
図8(a)に示すように、待機部69は、側板70a,70b、底板70cおよび裏板により囲まれ上下方向に構成される。本実施形態の待機部69は、第1~第4の予備ロールペーパPを待機させることができる大きさである。
【0044】
ここで、待機部69には下端に近接した位置に揺動部材120を有する。揺動部材120は、待機部69の側板70aから右方向に略水平に突出する揺動軸回りに揺動可能である。ここで、揺動部材120は、引出部67と隣接する位置に第1の予備ロールペーパPを支持する第1の姿勢と、第2の予備ロールペーパPの落下を許容する第2の姿勢とに遷移する。
具体的に、揺動部材120は、揺動部121と、規制部122と、傾斜部123とを有する。揺動部121は揺動部材120の揺動中心となる。規制部122は、第1の姿勢では揺動部121から上側に向かって突出し、第2の予備ロールペーパPの外周面に接することで第2の予備ロールペーパPの落下を規制する。一方、規制部122は、第2の姿勢では後側に揺動することで第2の予備ロールペーパPの落下を許容する。傾斜部123は、第1の姿勢では第1の予備ロールペーパPの外周面と接した状態で、上述した支持部材110の傾斜部112と共に第1の予備ロールペーパPを位置決めした状態で支持する。このとき、傾斜部123は、下側から上側に向かうにしたがって後側に突出するように傾斜する。一方、傾斜部123は、第2の姿勢では落下した第2の予備ロールペーパPを受け止める。また、傾斜部123は、予備ロールペーパPと接する面が平面である。
【0045】
図8(a)に示すように、補充部71は、側板72a,72b、天板72cおよび裏板により囲まれて構成される。なお、補充部71の側板72a,72bおよび裏板は、待機部69の側板70a,70bおよび裏板から一体で連続する。また、本実施形態の補充部71は、第5(最後)の予備ロールペーパPを待機させることができることから、待機部としても機能する。
【0046】
紙切り部80は、引出部67の側板68aから左方向に突出する回転軸回りに回転自在であり、自重によって常に使用ロールペーパPの外周面と接する。
芯棒90は、基端に板状のフランジ部91が結合され、引出部67の側板68aにフランジ部91を介して固定ネジによって取り付けられる。
本実施形態の芯棒90は、断面視で円形であり、ロールペーパPの小径な孔に挿入できるように細軸状である。芯棒90は先端部が略円錐状であり、最先端(円錐の頂点)が半球状である。芯棒90の直径は、第1実施形態と同様である。一方、本実施形態の芯棒90は正面視で、引出部67内でしか延出していない、あるいは待機部69に僅かに到るまでしか延出しておらず、上下方向に傾斜させるための曲部を有していない。
【0047】
また、本実施形態のロールペーパ供給装置200は芯棒90を上下方向に調整する調整機構を有する。図9(a)~(c)は、調整機構による芯棒90の上下方向の調整方法を説明するための図である。
ここでは、引出部67の側板68aには上下に距離Lの間隔で離れた2つの雌ねじ部93a,93bが形成される。一方、芯棒90のフランジ部91には、複数(例えば4つ)の挿通孔94a~94dを有する。芯棒90は、2つの固定ネジ95をフランジ部91の挿通孔94a~94dを通して雌ねじ部93a,93bに螺合することで、側板68aに固定される。
【0048】
ここで、挿通孔94aと挿通孔94bとは距離Lの間隔で離れており、両者の中心に芯棒40が位置している。したがって、図9(a)に示すように、2つの固定ネジ95をフランジ部91の挿通孔94a,94bを通して雌ねじ部93a,93bに螺合した場合には、雌ねじ部93aと雌ねじ部93bとの間の中心に芯棒90が位置するように取り付けられる。
一方、挿通孔94cと挿通孔94dとは距離Lの間隔で離れているが、両者の中心よりも挿通孔94c側にオフセットして芯棒90が位置している。本実施形態では中心からのオフセット量が例えば2mmである。
【0049】
したがって、図9(b)に示すように、フランジ部91の挿通孔94cを上側、挿通孔94dを下側にした状態で、2つの固定ネジ95を挿通孔94c,94dを通して雌ねじ部93a,93bに螺合した場合には、雌ねじ部93aと雌ねじ部93bとの間の中心よりも芯棒90が上側に位置するように取り付けられる。すなわち、本実施形態ではオフセット量が2mmであることから、図9(a)よりも芯棒90を2mm上側に調整できる。
また、図9(c)に示すように、フランジ部91の挿通孔94dを上側、挿通孔94cを下側にした状態で、2つの固定ネジ95を挿通孔94d,94cを通して雌ねじ部93a,93bに螺合した場合には、雌ねじ部93aと雌ねじ部93bとの間の中心よりも芯棒90が下側に位置するように取り付けられる。すなわち、本実施形態ではオフセット量が2mmであることから、図9(a)よりも芯棒90を2mm下側に調整できる。
【0050】
なお、本実施形態の調整機構では、上側および下側にそれぞれ2mm調整することができるが、オフセット量を変更することで調整する量を変更することができる。また、異なるオフセット量の挿通孔94の組み合わせを増やすことで、更に多くの調整量を実現することができる。また、本実施形態では、フランジ部91側を挿通孔にして、側板68a側を雌ねじ部にしたが、逆にフランジ部91側を雌ねじ部にして側板68a側を挿通孔にしてもよい。
また、本実施形態の調整機構は段階的に調整する場合について説明したが、挿通孔を上下方向に長い長孔にして任意の位置でフランジ部91を取り付けることで芯棒90を上下方向に無段階で調整できるようにしてもよい。
【0051】
以上のように構成されるロールペーパ供給装置200において、補充者によりロールペーパPを補充する方法について説明する。
ここでは、芯棒90にはロールペーパPが挿入されていない状態とする。まず、補充者は補充口64を通して補充部71にロールペーパPの軸線を左右方向にした状態で投入する。補充部71から待機部69に沿って落下したロールペーパPは、第2の姿勢の揺動部材120により受け止められる。揺動部材120は、ロールペーパPの重さによって揺動部121を中心に揺動して第1の姿勢に遷移する。
この状態では側面視で、支持部材110の傾斜部112と、揺動部材120の傾斜部123とが略V字状に位置し、ロールペーパPの外周面がそれぞれ、傾斜部112の平面と、傾斜部123の平面によって支持される。したがって、待機部69に待機しているロールペーパPは前後方向および上下方向に位置決めされる。ここでは、側面視でロールペーパPの孔の軸線と芯棒90の軸線とが一致するように設定されている。
【0052】
次に、補充者は、差込み口111から手を差込み、待機部69に待機させているロールペーパPを引出部67に向かって移動(スライド)させる。待機部69に待機しているロールペーパPの孔の軸線と芯棒90の軸線とは一致しているので、ロールペーパPを単に引出部67に向かって移動させることで、ロールペーパPの孔に芯棒90を挿入させることができる。引出部67まで移動させたロールペーパPは芯棒90によって回転自在に保持される。なお、揺動部材120は、ロールペーパPによる重さがなくなることで、第2の姿勢に遷移する。
【0053】
続いて、補充者は上述した作業と同様な方法で、第1の予備ロールペーパPを補充する。したがって、揺動部材120は第1の予備ロールペーパPによる重さによって第1の姿勢に遷移する。また、第1の予備ロールペーパPは前後方向および上下方向に位置決めされた状態で待機部69に待機する。
続いて、補充者は第2~第5の予備ロールペーパPを補充する。この場合、揺動部材120は、第1の姿勢であるために第2の予備ロールペーパPは揺動部材120への落下が規制される。したがって、第2~第5の予備ロールペーパPは、外周面を接した状態で上下に積載されるように待機部69(補充部71を含む)で待機する。
【0054】
次に、使用者がロールペーパPを交換する方法について説明する。
使用者が使用ロールペーパPの紙を引出し終わった場合、差込み口111から手を差込み、待機部69に待機させている第1の予備ロールペーパPを引出部67に向かって移動(スライド)させる。この作業および作業に伴う第1の予備ロールペーパPの移動は、上述した補充者による作業および作業に伴うロールペーパPの移動と同様である。
すなわち、本実施形態のロールペーパ供給装置200によれば、使用者は待機部69に位置する第1の予備ロールペーパPを単に引出部67に向かって移動させるだけでよいので、容易にロールペーパPの交換を行うことができる。
【0055】
なお、本実施形態のロールペーパ供給装置200では異なる直径(巻き径)のロールペーパPの種類にも対応することができる。すなわち、ロールペーパPの直径が異なると、待機部69で待機させている第1の予備ロールペーパPは直径に応じて上下方向に変化してしまうために、第1の予備ロールペーパPの孔の軸線と芯棒90の軸線とは一致させることができない。そのために、ロールペーパPの直径に応じて芯棒90を上下方向に調整できる調整機構を用いて調整する。
【0056】
具体的には、直径がφ105mmのロールペーパPを用いる場合には、図9(a)に示すように、雌ねじ部93aと雌ねじ部93bとの間の中心に芯棒90が位置するようにフランジ部91を取り付ける。
また、直径がφ109mmのロールペーパPを用いる場合には、図9(b)に示すように、雌ねじ部93aと雌ねじ部93bとの間の中心よりも芯棒90が2mm上側に位置するようにフランジ部91を取り付ける。
また、直径がφ101mmのロールペーパPを用いる場合には、図9(c)に示すように、雌ねじ部93aと雌ねじ部93bとの間の中心よりも芯棒90が2mm下側に位置するようにフランジ部91を取り付ける。
このように、芯棒90の調整機構により直径が異なるロールペーパPを用いる場合であっても、待機部69に待機しているロールペーパPの孔の軸線と芯棒90の軸線とを一致させることができるので、使用者は容易にロールペーパPの交換を行うことができる。
【0057】
なお、芯棒90を上下方向に調整する調整機構に限られず、待機部69自体を上下方向に調整する調整機構を設けてもよく、両方を設けてもよい。待機部69自体を上下方向に調整する調整機構としては、待機部69を1つの筐体として裏側筐部66とは別体で構成して待機部69を裏側筐部66に対して上下方向に調整可能に構成したり、待機部69に設けられた揺動部材120の揺動軸を、上述した芯棒90と同様の方法で上下方向に調整可能に構成したりしてもよい。
【0058】
次に、第2実施形態のロールペーパ供給装置200の変形例について説明する。
[第4の変形例]
図10は、第4の変形例の構成を示す斜視図である。第4の変形例では、芯棒130が第1実施形態の芯棒40と同様に、曲部133を有する。また、第4の変形例では、揺動部材140の傾斜部143の形状が第2実施形態の傾斜部123と異なる形状である。
【0059】
具体的に、芯棒130は、第1延伸部132と、曲部133と、第2延伸部134とを有する。第1延伸部132は、使用ロールペーパPの孔に挿入され使用ロールペーパPを回転自在に保持する。曲部133は、予備ロールパーパを待機部69の位置で保持する。第2延伸部134は、待機部69に位置し、揺動部材140から滑り落ちた予備ロールペーパPの孔に挿入される。第2延伸部134は、曲部133から連続し、少なくとも水平方向に対して上側に傾斜して延出する。第2延伸部134の長さは、1つの予備ロールペーパPの幅よりも短い長さである。
【0060】
一方、揺動部材140は、揺動部141と、規制部142と、傾斜部143とを有する。揺動部141および規制部142は、第2実施形態の揺動部121および規制部122と同様の構成である。一方、傾斜部143は、第1の姿勢では左側から右側に向かうにしたがって下側になるように傾斜する。この傾斜は、芯棒130の第2延伸部134の傾斜と平行である。また、傾斜部143は、断面視(側面視)で前後方向の中央に略V字状の溝部144が左右方向に沿って形成されている。したがって、予備ロールペーパPは傾斜部143上で溝部144によって前後方向および上下方向が位置決めされる。第1の姿勢では、予備ロールペーパPは傾斜部143によってガイドされ、芯棒130の第2延伸部134に向かって滑るように移動する。
【0061】
第4の変形例によれば、補充部71から待機部69に沿って落下した予備ロールペーパPは、第2の姿勢の揺動部材140により受け止められる。揺動部材140は、予備ロールペーパPの重さによって揺動部141を中心に揺動して第1の姿勢に遷移する。
この状態では、揺動部材140の傾斜部143は芯棒130の第2延伸部134に向かって傾斜する。したがって、予備ロールペーパPは傾斜部143によってガイドされ、芯棒130の第2延伸部134に向かって滑るように移動し、予備ロールペーパPの孔に芯棒130が挿入される。芯棒130が挿入された予備ロールペーパPは自重で移動して、曲部133で保持され停止する。
【0062】
使用者は、引出口62から手を差込み、待機部69に待機させている第1の予備ロールペーパPを引出部67に向かって移動(スライド)させる。このとき、芯棒130は引出部67から待機部69まで延出して、待機部69に位置する予備ロールペーパPの孔に予め挿入されているので、使用者は芯棒130を予備ロールペーパPの孔に挿入する作業を行う必要がない。すなわち、第4の変形例によれば、使用者は待機部69に位置する第1の予備ロールペーパPを単に引出部67に向かって移動させるだけでよいので、容易にロールペーパPの交換を行うことができる。
【0063】
(第3実施形態)
第3実施形態に示すロールペーパ供給装置300は上下方向および左右方向にスペースを確保することができる場合に用いられて好適である。また、ロールペーパPは第1実施形態と同様のロールペーパPを用いることができる。なお、第1実施形態と同様の構成は適宜、説明を省略する。
【0064】
図11(a)~(c)は、ロールペーパ供給装置300の外観の構成の一例を示す正面図、平面図、側面図である。図12(a)~(c)は、ロールペーパ供給装置300の内部の構成の一例を示す正面図、断面平面図、断面側面図である。図12(a)~(c)では、ロールペーパPを二点鎖線で示している。なお、ロールペーパ供給装置300には、図示しない洗浄操作用のボタン、操作パネル、便座クリーナ液ボトル設置部、便座クリーナ液受部等を配置してもよい。
ロールペーパ供給装置300は、トイレブースの壁面に直接取り付けられる。ロールペーパ供給装置300は、筐体150と、紙切り部170と、芯棒180とを有する。
【0065】
筐体150は、引出部151と、待機部153と、補充部157とを有する。
引出部151は、側板152a、天板152bにより構成される。本実施形態の引出部151は、前方に加えて下方も開放されていることから、ロールペーパPの紙を容易に引出すことができる。
待機部153は、表板154a、底板154b、側板154c,154d、傾斜板154e,154fおよび裏板により構成される。本実施形態の待機部153は、第1~第4の予備ロールペーパPを待機させることができる大きさであり、正面視で略L字状である。表板154aは、差込み口155と、確認窓156とを有する。差込み口155は、表板154aの下側に位置し、芯棒180に沿って湾曲するように形成される。確認窓156は、表板154aの上下方向の略中央に位置する。
【0066】
補充部157は、待機部153から連続し、待機部153の上端に位置する。補充部157は上方向に開口する補充口158を有する。なお、補充口158には、施錠可能な扉部159がヒンジを介して開閉可能に連結されている。補充者は解錠した上で扉部159を上側に開き、補充口158から予備ロールペーパPを補充する。
【0067】
紙切り部170は、引出部151の側板152aから左方向に突出する回転軸回りに回転自在であり、自重によって常に使用ロールペーパPの外周面と接する。
芯棒180は、基端に板状のフランジ部181が結合され、引出部151の側板152aにフランジ部181を介して固定ネジによって取り付けられる。
本実施形態の芯棒180は、断面視で円形であり、ロールペーパPの小径な孔に挿入できるように細軸状である。芯棒180は先端部が略円錐状であり、最先端(円錐の頂点)が半球状である。芯棒180の直径は、第1実施形態と同様である。
本実施形態の芯棒180は、筐体150に沿って延出している。具体的に、芯棒180は引出部151を越えて、待機部153に到るまで、あるいは、引出部151および待機部153を超えて補充部157まで隙間なく連続して延出している。芯棒180は正面視で、先端部が補充口158まで到っている。
【0068】
芯棒180は、第1延伸部182と、曲部183と、第2延伸部184とを有する。
第1延伸部182は、引出部151に位置し、使用ロールペーパPの孔に挿入され使用ロールペーパPを回転自在に保持する。第1延伸部182は、フランジ部181から左方向に略水平に延出する。第1延伸部182の長さは、使用ロールペーパPの幅よりも長い。また、第1延伸部182は左右方向と略平行な直線状である。
曲部183は、正面視で待機部153が傾斜した付近に位置する。曲部183は、予備ロールペーパPの孔に挿入され、第1の予備ロールパーパを保持する。曲部183は、第1延伸部182から連続する。また、曲部183は、角が形成されないように滑らかに湾曲する。
第2延伸部184は、待機部153に位置し、複数の予備ロールペーパPの孔に挿入され、複数の予備ロールペーパPを待機部153内で落下できるように保持する。第2延伸部184は、曲部183から連続し、上下方向に延出する。第2延伸部184の長さは、3つの予備ロールペーパPを合わせた幅よりも長い、あるいは略同一である。
【0069】
以上のように構成されるロールペーパ供給装置300において、補充者によりロールペーパPを補充する方法について説明する。
ここでは、芯棒180にはロールペーパPが挿入されていない状態とする。まず、補充者は補充口158を通して補充部157にロールペーパPを投入する。具体的には、補充者は、ロールペーパPの軸線が芯棒180の第2延伸部184の軸線と一致するようにロールペーパPを立たせて、ロールペーパPの孔に芯棒180の先端部を挿入させる。芯棒180が挿入されたロールペーパPは、芯棒180をガイドにして自重で待機部153を落下する。補充部157から待機部153に沿って落下したロールペーパPは、曲部183で停止する。具体的には、曲部183の上部、下部、中央部の3点がロールペーパPの内周面に接することで、ストッパとなってロールペーパPを保持する。なお、落下速度が速い場合には、曲部183を通過して第1延伸部182にまで到る場合がある。次に、補充者は、差込み口155から手を差込み、待機部153に待機させているロールペーパPを引出部151に向かって移動(スライド)させる。引出部151まで移動させたロールペーパPは芯棒180の第1延伸部182によって回転自在に保持される。
【0070】
続いて、補充者は上述した作業と同様な方法で、第1の予備ロールペーパPを補充する。したがって、第1の予備ロールペーパPは、自重で待機部153を落下し、曲部183で停止する。上述した作業と同様な方法で、第2~第4の予備ロールペーパPを補充する。第1の予備ロールペーパPは曲部183で停止し、第2~第4の予備ロールペーパPは第2延伸部184に保持された状態でそれぞれ下側に位置する予備ロールペーパPと当接した状態で停止する。
なお、補充者は予備ロールペーパPの補充が終了してから扉部159を閉じることで、扉部159の中央に形成された規制部としての孔160に芯棒180の先端部が挿入される。したがって、芯棒180は孔160によって前後左右の移動が規制されることで、芯棒180は予備ロールペーパPの重みによって筐体150内で前後左右に偏ることが抑制される。
【0071】
次に、使用者がロールペーパPを交換する方法について説明する。
使用者は、差込み口155から手を差込み、待機部153に待機させている第1の予備ロールペーパPを引出部151に向かって移動(スライド)させる。この作業および作業に伴う第1の予備ロールペーパPの移動は、上述した補充者による作業および作業に伴うロールペーパPの移動と同様である。
本実施形態のロールペーパ供給装置300によれば、使用者は待機部153に位置する第1の予備ロールペーパPを単に引出部151に向かって移動させるだけでよいので、容易にロールペーパPの交換を行うことができる。
【0072】
以上、本発明を種々の実施形態および変形例を用いて説明したが、本発明は上述した実施形態および各変形例にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲内で変更等が可能であり、上述した実施形態および変形例を適宜、組み合わせてもよい。
例えば、第3の変形例で説明した、予備ロールペーパPを搬送する複数のローラ部54を、第1実施形態、第2実施形態、第1の変形例、第2の変形例、第4の変形例、第3実施形態に、追加してもよい。
また、例えば、第2実施形態で説明した、芯棒90を上下方向に調整する調整機構を第1実施形態、第1~第4の変形例、第3実施形態に追加してもよい。
【0073】
また、第1実施形態、第1~第4の変形例では、曲部43,133の上部がロールペーパPの内周面に接することで、ストッパとなってロールペーパPを保持する場合について説明したが、この場合に限られない。例えば、曲部43,133が完全にロールペーパPの孔に挿入され、第1延伸部42,132の上部、曲部43,133の下部、第2延伸部44,134の上部の3点がロールペーパPの孔に接することで保持されていてもよい。
また、第1実施形態、第2実施形態、第1~第4の変形例、第3実施形態のそれぞれにおいて、左右勝手が逆であってもよい。
また、芯棒40,90,130,180は側板部18a,68aに取り付けられる場合に限られず、表側パネルの裏面、天板部、底板部または裏板部の何れかに取り付け、略90°に屈曲させた後に左右方向に延出させてもよい。
また、第1実施形態のロールペーパ供給装置100および第2実施形態のロールペーパ供給装置200を壁面に直接取り付けてもよく、第3実施形態のロールペーパ供給装置300を壁面に埋設させて取り付けてもよい。
【符号の説明】
【0074】
19,69:待機部 40,90,130,180:芯棒 43,93,133,183:曲部 17,67,151:引出部 50:付勢部材 100,200,300:ロールペーパ供給装置
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