(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-28
(45)【発行日】2023-04-05
(54)【発明の名称】包装箱構造
(51)【国際特許分類】
B65D 5/54 20060101AFI20230329BHJP
【FI】
B65D5/54 301J
(21)【出願番号】P 2018231422
(22)【出願日】2018-12-11
【審査請求日】2021-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】592182311
【氏名又は名称】日本フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080160
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149205
【氏名又は名称】市川 泰央
(72)【発明者】
【氏名】田北 一彦
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3177197(JP,U)
【文献】特表2005-536405(JP,A)
【文献】特開2003-072746(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装箱の前面板と後面板の上下に罫線を介して配設した上下外フラップと、
左側面板と右側面板の上下に罫線を介して配設した上下内フラップと、
前後面板及び左右側面板のいずれかに罫線を介して配設した継ぎ代と、
で構成した直方体形状の包装箱において、
前記前面板に開封手段として、長方形状に形成した第1切込線と、
前記第1切込線がなす長方形状の対角線の方向に沿うように前記第1切込線がなす長方形状の
各隅部から
傾斜状に外側に伸延するように形成した第2切込線と、を備え
、前記第2切込線は平行に形成した複数の直線で形成したことを特徴とする包装箱構造。
【請求項2】
前記前面板に、前記第1切込線の前記隅部を外側から囲むように形成された第3切込線を備えたことを特徴とする請求項1に記載の包装箱構造。
【請求項3】
前記第3切込線を前記第1切込線の前記隅部を外側から囲むように略円弧状に形成すると共に、前記第2切込線を前記前面板の前記第3切込線に連通するように備えたことを特徴とする請求項2に記載の包装箱構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、段ボール箱等の包装箱構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自治体指定のごみ袋等として、切り込み破線を介して複数枚の袋体を一連に連設した帯状の連続した袋体をロール状に巻き取ったロール状袋体がある。かかるロール状袋体の包装構造としては、専用の包装用袋でロール状袋体の全体を覆い包むものがあるが、資源節約やコスト低減、ごみの減少などの観点から、ロール状袋体よりも幅狭の帯状に形成した紙製の包装用シートを用いたものが知られている。かかる包装用シートは、筒状の外形を有するロール状袋体の外周状に巻き付けられた状態でロール状袋体を包装する。
【0003】
このような包装用シートについては、ロール状袋体の外周に少なくとも1周以上巻きつけられるシート長さを有し、シートの端部同士を重ね合わせ、その部分を接着糊や粘着テープ等で止め付ける構成のものがある。かかる構成によれば、包装用シートを止め付けるに際し、包装用シートがロール状袋体に直接接着されることによりロール状袋体の汚れや破れを回避することができる。
【0004】
このように構成されたロール状袋体は、複数のロール状袋体を1つの包装箱に収容して所定の箇所に運搬される。このロール状袋体を収容物(内容物)として包装箱に収容する際には、包装箱の収容空間に対してロール状袋体を差し込むようにして、複数のロール状袋体が収容空間の端から順に詰め込まれる。また、複数のロール状袋体が収納された包装箱を積み上げる際には、運搬時に包装箱にかかる荷重によって包装箱が圧潰することを回避すべく、ロール状袋体の軸方向が上下方向となるように、包装箱が積み上げられる。
【0005】
このような包装箱に対するロール状袋体の詰め込み作業においては、例えば、
図15に示すように、包装用シートSを巻き付けたロール状袋体Gを包装箱の側面から差し込む態様で包装箱Pに収容しようとすると、ロール状袋体Gを囲繞する包装用シートSが収容済みのロール状袋体Gの端部に引っ掛かり破損する虞があった。特に、ロール状袋体Gの位置が不安定となるため、作業者(人)による手詰め作業の場合と比べて、包装用シートSの引っ掛かりが生じ易くなる。従って、ロール状袋体Gの収納作業は包装用シートが破損しないように細心の注意の下、人による手詰め作業として行われていた。
【0006】
包装箱に関する技術が、例えば、特許文献1,2に記載されている。
【0007】
特許文献1には、包装箱の天面に構成した略長方形状の開口部の各隅部から包装箱の隅部に至るミシン目状の切断線が形成された構成について記載されており、該切断線に沿って包装箱を切断することで包装箱の天面を簡単に開放することができる構成について記載されている。
【0008】
特許文献2には、紙製の収納箱において、天面パネルの略中央に開口部を形成し、該開口部から包装箱の4隅に向けて切込線が形成される構成について記載されており、該ミシン目に沿って収納箱を切断することで収納箱を簡単に開放することができる構成について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2016-210465号公報
【文献】特開2005-104549号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、いずれの文献に開示された包装箱も、例えば、収容物の収容作業の自動化に際して、包装箱に対する収容物の収納性や、収容物が詰め込まれた状態での運搬性を考慮したものではない。
【0011】
一方、包装箱としてのダンボール箱のブランクシートは、型抜き機によって形成される。そして、ダンボール箱にミシン目状の切断線を形成するためには、ミシン刃をはめ込んだ木型が用いられる。従来は、ブランクシートのサイズが異なる場合、サイズ毎に木型を準備する必要があった。
【0012】
そこで、本発明は、開封及び収容物の取出しを容易に行うことができるとともに、収容物の収容性および収容物が詰め込まれた状態での運搬性を向上させることができ、しかも、切込線を形成するための木型を共通化することができる包装箱構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この発明は、包装箱の前面板と後面板の上下に罫線を介して配設した上下外フラップと、左側面板と右側面板の上下に罫線を介して配設した上下内フラップと、前後面板及び左右側面板のいずれかに罫線を介して配設した継ぎ代と、で構成した直方体形状の包装箱において、前記前面板に開封手段として、長方形状に形成した第1切込線と、前記第1切込線がなす長方形状の隅部から前記前面板の隅部に向うように直線状に複数本形成した第2切込線と、を備えたことを特徴とする包装箱構造である。
【0014】
また、前記前面板に、前記第1切込線の前記隅部を外側から囲むように形成された第3切込線を備えたことを特徴とする包装箱構造である。
【0015】
また、前記第3切込線を前記第1切込線の前記隅部を外側から囲むように略円弧状に形成すると共に、前記第2切込線を前記前面板の前記第3切込線に連通するように備えたことを特徴とする請求項2に記載の包装箱構造。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の発明によれば、包装箱の前面板と後面板の上下に罫線を介して配設した上下外フラップと、
左側面板と右側面板の上下に罫線を介して配設した上下内フラップと、前後面板及び左右側面板のいずれかに罫線を介して配設した継ぎ代と、で構成した直方体形状の包装箱において、前記前面板に開封手段として、長方形状に形成した第1切込線と、前記第1切込線がなす長方形状の対角線の方向に沿うように前記第1切込線がなす長方形状の各隅部から傾斜状に外側に伸延するように形成した第2切込線と、を備え、前記第2切込線は平行に併設した複数の直線で形成したことにより、包装箱の積層時や包装箱の運搬時に所定の強度を有する包装箱形態を実現できると共に、包装箱の運搬後には包装箱の向きを変更することなく容易に前面板を全面開放状態にできる。
また、第1切込線の隅部から傾斜状に外側に伸延するように第2切込線を形成し、第2切込線を平行に併設した複数の直線で形成したことにより、包装箱の大小に依らずいずれかの第2切込線が前面板の隅部に向かうせん断補助線として機能し、容易に前面板を開放することができる。
また、第2切込線を平行に併設した複数の直線で形成した構成により、大きさの異なる大小の箱体に同一の形態で第2切込線を形成したとしてもいずれかの切込線が前面板の隅部に向かい容易に前面板を開放でき、切込線を形成するための木型を共通化することができる。
【0017】
また、請求項2に記載の発明によれば、前記前面板に、前記第1切込線の前記隅部を外側から囲むように形成された第3切込線を備えたことにより、前面板を全面開放する手順を第1切込線、第2切込線、第3切込線のいずれかの切込線から選択できるようになり、前面板を全面開放する手順の自由度を増すことができる。
また、前面板を開放状態とする際に最も面積の小さな第3切込線を起点として開口部を形成し、その後、第1切込線に沿って切断して形成された端片を取り除くことで前面板の中央に開口部を形成し、さらに、開口部の隅部から前面板の隅部に向かって延びる第2切込線で残りの端片を切断することで容易に前面板を全面開放状態にできる。また、最も面積の小さな第3切込線から順番に面積の大きな端片を除去する構成としているため効率的に包装箱の前面板を開放状態にできる。
【0018】
また、請求項3に記載の発明によれば、前記第3切込線を前記第1切込線の前記隅部を外側から囲むように略円弧状に形成すると共に、前記第2切込線を前記前面板の前記第3切込線に連通するように備えたことにより、第3切込線のどの部分から押圧したとしても同一の力が加わり容易に開口部を形成できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施形態における包装箱を展開した状態を示す図である。
【
図2】本発明の実施形態における包装箱の組立て状態を示す斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態における包装箱を組立てた際の前面板を示す正面図である。
【
図4】本発明の実施形態における包装箱の前面板に設けた第3切込線の他の実施形態を示す斜視図である。
【
図5】本発明の実施形態における包装箱の前面板に設けた第3切込線の他の実施形態を示す前面板を示す正面図である。
【
図6】本発明の実施形態における包装箱の大きさ違いの形態を示す斜視図である。
【
図7】本発明の実施形態における包装箱の組立て状態における第3切込線を示す他の実施形態を示す斜視図である。
【
図8】本発明の他の実施例における包装箱を展開した状態を示す図である。
【
図9】本発明の実施形態における包装箱に包装用シートで囲繞されたロール状袋体をロボットアームにて梱包する状態を示す斜視図である。
【
図10】本発明の実施形態における包装箱の前面板を開放する際の第1ステップを示す斜視図である。
【
図11】本発明の実施形態における包装箱の前面板を開放する際の第2ステップを示す斜視図である。
【
図12】本発明の実施形態における包装箱の前面板を開放する際の第2ステップでの切込線によって端片を除去した状態を示す斜視図である。
【
図13】本発明の実施形態における包装箱の前面板を開放する際の第3ステップを示す斜視図である。
【
図14】本発明の実施形態における包装箱の前面板を開放する際の第3ステップで前面板を全面開放状態とした状態を示す斜視図である。
【
図15】従来の包装箱に包装用シートを囲繞したロール状袋体を梱包する際の問題点を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、包装箱の前面板と後面板の上下に罫線を介して配設した上下外フラップと、左側面板と右側面板の上下に罫線を介して配設した上下内フラップと、前後面板及び左右側面板のいずれかに罫線を介して配設した継ぎ代と、で構成した直方体形状の包装箱において、前記前面板上に開封手段として、長方形状に形成した第1切込線と、前記第1切込線の隅部から前記前面板の前後左右の隅部に向けて直線状に複数本形成した第2切込線と、を備え、前記第1切込線の隅部に略半円形の第3切込線を備えたことを要旨としている。
【0021】
この発明の実施形態について
図1~14を参照して詳細に説明する。
図1は本発明の実施形態における包装箱100を組み立てる前の一枚のシート状のブランクシートBを示している。つまり、ブランクシートBは、包装箱100を展開した状態のものである。
【0022】
包装箱100は、
図1に示すように、前後面板10,40と、左右側面板20,30と、前後面板10,40の上下の各罫線L6,L8,L10,L12を介して配設した各上外フラップ11,41と各下外フラップ12,42と、左右側面板20,30の上下に各罫線L5,L7,L9,L11を介して配設した上内フラップ21,41と下内フラップ22,32と、左側面板20の左辺から延設した継ぎ代50と、で構成している。
【0023】
包装箱100は、
図1及び
図2に示すように、一枚のダンボール製のシートを切り抜いたブランクシートBを罫線L1~L12に応じて山折り、または、谷折りして、ブランクシートBの端部に設けた継ぎ代50、及び各フラップ11,21,31,41,12,22,32,42を接着剤などで箱形状に固定することで構成している。
なお、
図1に示すブランクシートBは、
図2の包装箱100(100A)とした際に包装箱100(100A)の外側面が見えるように図示している。
【0024】
前面板10は、
図1に示すように、左右方向を長手方向とする長方形状を有する。前面板10の上辺には罫線L6を介して上外フラップ11を連設しており、前面板10の下辺には罫線L10を介して下外フラップ12を連設している。上下外フラップ11,12は、包装箱100を箱型に組み上げた際に外側となるフラップである。また、前面板10の左辺には罫線L2を介して左側面板20を連設しており、右辺には罫線L3を介して右側面板30を連設している。
【0025】
前面板10の略中央部には略長方形状で前面板10と略相似形状の第1切込線13を形成している。第1切込線13は、長方形状のミシン目である。この第1切込線13の4つの隅部R5,R6,R7,R8の内、右上及び左上の隅部R6,R7にはミシン目状で略半円弧状の第3切込線14を形成している。第3切込線14は、第1切込線13による長方形状の隅部を、外側から円弧状に囲むように形成されている。したがって、第3切込線14によれば、第1切込線13の隅部の直角状の屈曲線とともに、円弧状の第3切込線14とにより、これらの切込線によって囲まれた部分として、中心角が略270°の略扇形状の部分が形成されている。すなわち、前面板10は、第1切込線13および第3切込線14によって区画された領域部分として、第1切込線13の内側の長方形状の部分と、第1切込線13の外側の枠状の部分と、この枠状の部分に含まれる上記の略扇形状の部分とを有する。
【0026】
第1切込線13の4つの隅部R5,R6,R7,R8の各隅部の外側には、前面板10の隅部R1,R2,R3,R4に向かうようにミシン目状で直線に形成された3本の第2切込線C1,C2,C3がそれぞれ形成されている。第2切込線C1,C2,C3は、第1切込線13がなす長方形状の対角線の方向に沿うように、同長方形状に対してその隅部から傾斜状に外側に伸延するように形成されている。本実施形態では、
図2に示すように第2切込線C1が前面板10の各隅部R1~R4に対し、第1切込線13の各隅部R5,R6,R7,R8から直線状に形成されている。
【0027】
3本の第2切込線C1,C2,C3は、第1切込線13の隅部と前面板10の隅部の頂点同士を結ぶ直線に対して平行状に形成されている。
図3の前面板10を正面から見た図面では、3本の第2切込線C1,C2,C3のうち、中央の第2切込線C1は、第1切込線13の隅部と前面板10の隅部の頂点同士を結ぶ直線上に位置している。他の2本の第2切込線C2,C3は、中央の第2切込線C1に対する間隔を互いに略同じとし、第2切込線C1を中心線として線対称に設けられている。
【0028】
前面板10の四隅近傍の4箇所に形成された3本の第2切込線C1,C2,C3のうち、第3切込線14が形成されていない第1切込線13の左上及び右下の隅部R5,R8の外側に形成された3本の第2切込線C1,C2,C3は、第1切込線13の隅部と前面板10の隅部との関係において同様の態様で設けられている。具体的には、本実施形態では、隅部R5,R8の外側において、3本の第2切込線C1,C2,C3は、一端側を第1切込線13に繋げるように設けられている。詳細には、隅部R5,R8の外側において、3本の第2切込線C1,C2,C3のうちの中央の第2切込線C1は、その他端側を第1切込線13の隅部の頂点部に繋げており、他の2本の第2切込線C2,C3は、その他端側を第1切込線13の頂点部近傍の辺部に繋げている。
【0029】
また、前面板10の四隅近傍の4箇所に形成された3本の第2切込線C1,C2,C3のうち、第3切込線14が形成された第1切込線13の右上及び左下の隅部R6,R7の外側に形成された3本の第2切込線C1,C2,C3は、第3切込線14と前面板10の隅部との関係において同様の態様で設けられている。具体的には、本実施形態では、隅部R6,R7の外側において、3本の第2切込線C1,C2,C3は、一端側を第3切込線14に繋げるように設けられている。
【0030】
このように、各第2切込線C1,C2,C3の一端側(以下「基端側」という。)は、第1切込線13、及び第3切込線14の周縁部に繋がっている。これに対し、各第2切込線C1,C2,C3の他端側(以下「先端側」という。)は、各隅部R5,R6,R7,R8をなす前面板10縁端に繋がっておらず、各第2切込線C1,C2,C3の先端と前面板10縁端との間に、隙間G1~G4を設けている。
【0031】
この隙間G1~G4を設けることで前面板10を天面として複数の包装箱100を積層した際にも、前面板10の隅部R1~R4から罫線L5,L7,L9,L11を折曲して形成された稜線の軸方向に荷重が伝達され、包装箱100が圧潰する蓋然性が可及的に低減される。すなわち、第2切込線C1,C2,C3が形成されていない隙間G1~G4が存在することで、その部分が、第2切込線C1,C2,C3が途切れた余白部となり、この余白部と、罫線L5,L7,L9,L11に沿う稜線部とが、比較的剛性が高い柱状の部分として機能する。これにより、前面板10を天面とした場合に、上記の柱状の部分が包装箱100(100A)を補強し、包装箱100(100A)における上下方向の耐荷重性が向上する。
なお、本実施形態において第3切込線14は第1切込線13の隅部R6,R7の外側に向かって設ける構成としているが、第3切込線14の形成箇所は、R6,R7に限定されるわけではなく、隅部R5,R6,R7,R8から任意の1箇所または2箇所または3箇所を選択して第3切込線14を形成しても良いし、隅部R5,R6,R7,R8の4箇所全てに第3切込線14を形成した構成としても良い。
【0032】
また、
図4に示すように、第1切込線13は各隅部R1~R4の内側に第1切込線13を構成する辺の内、近接した2辺を斜線状に連結する斜め切断線CL5a,CL6a,CL7a,CL8aを形成し、第1切込線13を正面視略8角形状とし、この略8角形状の各隅部R5a,R5b,R6a,R6b,R7a,R7b,R8a,R8bから第1切込線13の外方に辺CL5b,CL5c,CL6b,CL6c,CL7b,CL7c,CL8b,CL8cを延設し、正面視略三角形状の第3切込線14とする構成としても良い。すなわち、
図4及び
図5に示す構成は、長方形状をなす第1切込線13の隅部R5,R6,R7,R8において斜め切断線CL5a,CL6a,CL7a,CL8aを形成することで、第1切込線13の上下左右の辺と斜め切断線CL5a,CL6a,CL7a,CL8aとにより面取長方形状を形成するとともに、第1切込線13の上下左右の辺に沿って斜め切断線CL5a,CL6a,CL7a,CL8aの外側に辺CL5b,CL5c,CL6b,CL6c,CL7b,CL7c,CL8b,CL8cを延設している。これにより、斜め切断線CL5a,CL6a,CL7a,CL8aと斜め切断線CL5a,CL6a,CL7a,CL8aの両側から延設された辺CL5b,CL5c,CL6b,CL6c,CL7b,CL7c,CL8b,CL8cとによって、第1切込線13の四隅において略三角形状の領域部分が区画されている。
【0033】
かかる正面視略三角形状の第3切込線14は、例えば、正面視略三角形状の内、隅部R5a,5bを除く残りの頂部において辺CL5b,CL5c同士が非連結状態となるように構成されている。このような構成によれば、前面板10を全面開放状態とする際に第1切込線13に従い略8角形状の端片を除去すると第2切込線C1,C2,C3に第3切込線14により形成される略三角形状の部分が連結した状態で残留する。その後、残留した略三角形状の部分が第2切込線C1,C2,C3を開封する際のタブとして機能し、第2切込線C1,C2,C3の開封を容易とすることができる。
【0034】
また、第3切込線14は第1切込線13の隅部R5,R6,R7,R8に形成するだけでなく、正面視略方形状に構成された第1切込線13を構成する各辺の何れかに設けられていても良く、形成されるミシン目形状は第1切込線13の辺を跨ぐように略円形に形成されていても、第1切込線13の内側、外側のいずれかのみに形成されていても良く、第1切込線13に連結するように第3切込線14のミシン目形状が形成されていればどのような形態で構成されていても良い。
【0035】
また、前面板10に形成されるミシン目状の各切込線13,14,C1,C2,C3は、包装箱100の縦横比が変動した場合において、同様の効果を発揮して前面板10を容易に全面開放できる。すなわち、各切込線13,14,C1,C2,C3がいずれかのミシン目状の切込線と連結することで、該切込線以外の部分での破損を防止し、さらに、第2切込線C1,C2,C3を複数本構成することで、構成した第2切込線C1,C2,C3の内、何れかの先端部が包装箱100(100B)の隅部を向くこととなる。
【0036】
この際、3本に形成された第2切込線C1,C2,C3の内、
図2及び
図3では第2切込線C1が前面板10の直角部分、すなわち、各隅部R1~R4に向かって設けられているが、
図6に示す包装箱100(100B)では、第2切込線C2が前面板10の各隅部R1~R4に向かう切断線を構成している。
このように切断線を複数本の第2切込線C1,C2,C3で構成することでいずれかの第2切込線C1,C2,C3が前面板10の隅部R1~R4に向かうこととなり、前面板10を全面開放する際の切断ガイドとして機能できる。
なお、第2切込線C1,C2,C3は本実施形態において3本の直線状の構成としているが、この本数に限定されることなく、第2切込線C1,C2,C3は2本以上の複数本で構成されていれば良い。このように第2切込線C1,C2,C3を複数本設ける構成とすることで、包装箱100の大きさに依らず切込線が第1切込線13の隅部R5,R6,R7,R8から全面開放される前面板10の隅部に直線状に形成できる。また、第2切込線C1,C2,C3は略平行状態として記載しているが、特に平行状態に限定されるわけではなく、第1切込線13の隅部を中心として放射状に形成されていても、包装箱100の隅部に集約するように形成されていても良く、第1切込線13の隅部近傍を基端として複数本が前面板10の隅部に伸延する構成であればなんでもよい。
なお、上述した実施形態では、第2切込線C1,C2,C3は、第3切込線14の外側に形成されているが、第2切込線C1,C2,C3は、第3切込線14の内側までの範囲で形成されてもよい。具体的には、
図7に示す例では、前面板10の四隅近傍の4箇所に形成された3本の第2切込線C1,C2,C3は、第1切込線13の隅部と前面板10の隅部との関係において同様の態様で設けられている。言い換えると、3本一組で形成された4箇所の第2切込線C1,C2,C3は、略上下対称かつ略左右対称に設けられている。第1切込線13の右上及び左下の隅部R6,R7の外側において、3本の第2切込線C1,C2,C3は、いずれも第3切込線14に交差するように形成されている。つまり、3本の第2切込線C1,C2,C3は、第3切込線14の略半円状の領域の内外にわたって形成されている。したがって、第1切込線13の隅部の屈曲線と第3切込線14とにより区画された略扇形状の部分を横切るように形成されている。
【0037】
左側面板20は、
図1に示すように、正面視略長方形状で左側面板20の上下辺を構成する罫線L5,L9が左右辺を構成する罫線L1,L2よりも長い構成としている。左側面板20の上辺を構成する罫線L5、及び下辺を構成する罫線L9はブランクシートBを包装箱100に組み上げた際の内側に位置する略長方形状の上内フラップ21、及び下内フラップ22を上下に連設している。また、左側面板20の後辺には罫線L1を介して平面視略長方形状の継ぎ代50を連設している。
【0038】
右側面板30は、
図1に示すように、左側面板20と略同等の形状で罫線L7、及び罫線L11にそれぞれ上内フラップ31、及び下内フラップ32を連設している。また、右側面板30の右辺には罫線L4を介して後面板40を連設している。
【0039】
後面板40は、
図1に示すように、前面板10と平面視略同等の形状で後面板40の上下辺を構成する罫線L8と罫線L12にそれぞれ上外フラップ41、及び下外フラップ42を連設している。
本実施形態では後面板40には前面板10に設けた第1切込線13,第3切込線14、及び第2切込線C1,C2,C3を設けない構成としているが、本発明はこの構成に限定されることなく後面板40に各切込線13,14,C1,C2,C3を設けた構成としてもよい。
【0040】
継ぎ代50は、
図1に示すように、平面視略長方形状で罫線L1を介して左側面板20に連設している。ブランクシートBを組み上げて略箱型とする際には、この継ぎ代50を後面板40の右辺近傍に接着剤を介して固定することで角筒を形成できる。
なお、継ぎ代50の形状は、
図1に示すように、平面視略長方形状としているが左側面板20と後面板40を固設できればどのような形態であっても良く、例えば、三角形状や円形状、楕円形状のいずれの形態でも良い。
【0041】
<第2実施例>
次に、包装箱を形成するブランクシートBを上述のように横長の形態から縦長の形態とした際の第2実施例について説明する。第1実施例と同一の構成については同一の符号を付し、適宜その説明を省略する。
【0042】
包装箱200は、前後面板10,40と、前面板10の左側に連設した左側面板20と、前面板10の右側に連設した右側面板30と、前面板10と後面板40の間に位置する底面板60と、左側面板20の罫線L1aを介して連設した継ぎ代50aと、右側面板30の罫線L1bを介して連設した継ぎ代50bとで構成している。
【0043】
前面板10は、
図8に示すように、平面視略長方形状で左右辺の罫線L2a,L3aを介して左右側面板20,30を連設している。また、前面板10の上辺は罫線L6aを介して上外フラップ11aを連設しており、下辺は罫線L10aを介して底面板60と連設している。
【0044】
底面板60は、
図8に示すように、平面視略長方形状で上辺の罫線L6aは前述の通り、前面板10と連設しており、下辺は罫線L12aを介して後面板40と連設している。
【0045】
後面板40は、
図8に示すように、平面視略長方形状で下辺の罫線L8aを介して外フラップ41aを連設している。
【0046】
また、左側面板20は、
図8に示すように、平面視略長方形状で上辺、及び下辺の罫線L5a,L9aを介して上下内フラップ21,22と連設している。さらに、左側面板20は左辺の罫線L1aを介して継ぎ代50aと連設している。
【0047】
また、右側面板30は、
図8に示すように、平面視略長方形状で上辺、及び下辺の罫線L7a,L11aを介して上下内フラップ31,32と連設している。さらに、右側面板30は右辺の罫線L1bを介して継ぎ代50bと連設している。
【0048】
このように構成することで包装箱200の箱形状とする際、底面板60を包装箱100のように底面の内フラップ22,32と外フラップ12,42の4枚のフラップを接着剤などで固定することで底面板を形成しなければならない手間が省略され、包装箱200を容易に箱形状に組み立てることができる。
【0049】
<ロール状袋体の梱包手順>
次に、上記のように構成したブランクシートBを箱型に組み立てる手順について、箱内へのロール状袋体Gの収容の手順も含めて、包装箱100を例にして説明する。
【0050】
まず、包装箱100とした際の側面を形成するために、前後面板10,40、左右側面板20,30、及び継ぎ代50の各連結部に設けた罫線L1~L4をその折り目に従い折り曲げる。
【0051】
次に、継ぎ代50の外側面に接着材を塗布し、後面板40の右辺近傍の内面に接着固定する。
その後、左右側面板20,30の下辺L9,L11に連設した下内フラップ22,32を包装箱100の内面側に折曲し、さらに、前後面板10,40の下辺である罫線L10,L12に連設した下外フラップ12,42を包装箱100の内面側に折曲し、下内フラップ22,32の外側面と下外フラップ12,42の内側面を接触させ、下外フラップ12,42の下端部17,43の隙間を粘着テープなどで固定することで包装箱100の底面板を形成する。これにより、上側を開放可能とした包装箱100が構成される。
【0052】
次に、
図9に示すように、上記手順で形成された上部開口状態の包装箱100の開口部18より、ロボットアームAを利用して、包装箱100の内部にロール状袋体Gを、その長手方向が左右側面板20,30の短手方向である罫線L5,L7と平行となるように収容する。この際、ロボットアームAは、ロール状袋体Gを囲繞する包装用シートSの周面に沿うようにロール状袋体Gを把持し、包装箱100の内部の所定位置まで搬送する。
【0053】
このような包装用シートSについては、ロール状袋体Gの外周に少なくとも1周以上巻きつけられるシート長さを有し、シートの端部同士を重ね合わせ、その部分を接着糊や粘着テープ等で止め付ける構成のため、周面方向の端部が浮き上がる虞がなく包装箱100に収納する際に該包装用シートSが引っ掛かり破損する虞がない。
この構成に対して包装用シートSの長側辺は、ロール状袋体Gに単に巻きつけて短側辺を止め付ける構成のため、ロール状袋体Gから包装用シートSが浮いており、この状態で包装箱100にロール状袋体Gを差込収納しようとすると、包装箱100に先に収納された包装用シートSと、これから挿入しようとする包装用シートSの長側辺同士が干渉し、いずれかの包装用シートSが破損する虞を生起する。
このように、包装箱100にロール状袋体Gを収容する際、包装用シートSが引っ掛かりにくい方向で収容できる構成とすることで収容時に包装用シートSが破損する虞を可及的に低減している。
【0054】
次に、包装箱100の罫線L1~L4と略同等の高さまでロール状袋体Gを積層し、その後、左右側面板20,30の上辺である罫線L5,L7に連設した上内フラップ21,31を包装箱100の内面側に折曲する。
次に、先に包装箱100の内面側に折曲した上内フラップ21,31の外側面に当接するように前後面板10,40の上辺である罫線L6,L8に連設した上外フラップ11,41を折曲し、上外フラップ11,41の上端部19,44をテープ等で固定することで包装箱100にロール状袋体Gを囲繞する包装用シートSが破損することなく梱包できる。
【0055】
また、搬送時は形成された包装箱100をトラックなどに積層して運搬するため、運搬時に包装箱100が圧潰することがないように前面板10を包装箱100の天面とし、後面板40を底面とすることで運搬時に包装箱100が圧潰することのない所定の強度を確保している。
【0056】
<開封手順>
次に、上記のように封緘された包装箱100を運搬後に開封し、包装箱100に収容されたロール状袋体Gを取り出す作業についてその手順について
図10~
図14を参照して説明する。
【0057】
まず、
図10に示すように、運搬中、及び運搬後の包装箱100は前後面板10,40を天面、及び底面としている。この前面板10の略中央部に形成した第1切込線13の隅部R6に周縁部をミシン目状に形成した第3切込線14による略扇形状の部分を包装箱100の外側面から内側面に向けて押圧することで第3切込線14に沿って第3切込線14に開口部14aを形成できる(第1ステップ)。
【0058】
次に、第2ステップとして
図11に示すように、開口部14aから指Hを包装箱100の内部に挿入し、第1切込線13で囲われた端片13aを包装箱100の内側から外側に引き上げることで第1切込線13による長方形状の部分がミシン目に沿って端片13aが前面板10から引き剥がされ、第3切込線14に形成された開口部14aと併せて開口部15が形成される(
図12参照)。
【0059】
次に、第3ステップとして
図13に示すように、前面板10の開口部15を形成する枠状の部分をなす面部であって互いの間に第2切込線C1,C2,C3が形成された前端片16a~16dは、第2切込線C1,C2,C3により、次のような順序で開封される。
まず、第3切込線14が形成されていない隅部R8から隅部R4に向かって直線状に形成された第2切込線C1,C2,C3に沿って前端片16c,16dを分割する。
次に、第3切込線14が形成されていない隅部R5から隅部R1に向かって直線状に形成された第2切込線C1,C2,C3に沿って前端片16a,16bを分割する。
次に、第3切込線14が形成された隅部R6から隅部R2に向かって直線状に形成された第2切込線C1,C2,C3に沿って前端片16a,16dを分割する。
最後に、第3切込線14が形成された隅部R7から隅部R3に向かって直線状に形成された第2切込線C1,C2,C3に沿って前端片16b,16cを分割する。
【0060】
このようにして、前端片16a~16dの各片を第2切込線C1,C2,C3で分割することで、
図14に示すように、前面板10の全面が開放状態となり、包装箱100に収容されたロール状袋体Gを取り出す際に見落としがなくなり、誤ってロール状袋体Gを廃棄する蓋然性を可及的に低減できる。
【0061】
また、上記の包装箱100の開封手順はあくまでも一例を示したものであり、上記の開封手順に限定されるわけではない。そのため、例えば、上記手順では第3切込線14を最初に開封しているが、第1切込線13でも第2切込線C1,C2,C3のいずれの切込線から開封して前面板10を全面開放としてもよい。
【0062】
また、第2切込線C1,C2,C3の先端側と、前面板10の四隅の縁端との間には、隙間G1~G4が設けられている。このような構成によれば、前面板10の縦横の大きさが異なる複数サイズの包装箱100において、前面板10に第1切込線13、第2切込線C1,C2,C3、及び第3切込線14を形成するための木型を共通化することが可能となる。ここで、第1~3切込線を形成するための木型は、例えば木製のベース板に第1~3切込線となるミシン目を形成するためのミシン刃をはめ込んだものであり、型抜き機に装着され、打抜き加工によって得られるブランクシートBの形成に用いられる型部材である。
【0063】
具体的には、例えば、
図2と
図6に示すように、前面板10の縦横の寸法を異ならせるように箱全体のサイズが異なる包装箱100間において、第1~3切込線を形成するための木型として共通の木型を用いることが可能となる。すなわち、仮に、
図6に示す大きい方の包装箱100Bにおいて、第2切込線C1,C2,C3の先端側が前面板10の四隅の縁端に達している場合、包装箱100Bの製造において第1~3切込線を形成するための木型は、
図2に示す小さい方の包装箱100Aの製造において適用することが困難となる。この点、本実施形態に係る包装箱100においては、第2切込線C1,C2,C3の先端側と前面板10の四隅の縁端との間に、余白部をなす隙間G1~G4が設けられていることにより、前面板10の縦横の寸法を異ならせるように箱全体のサイズが異なる包装箱100間において、第1~3切込線を形成するための木型を共用することが可能となる。
【0064】
そして、前端片16a~16d間の切断部となる境界部分に複数本の第2切込線C1,C2,C3が形成されていることにより、上述したような包装箱100の開封作業において前端片16a~16d間を切断する際に、包装箱100のサイズに応じて、少なくともいずれか1本の第2切込線が切断ガイドとして機能することになり、開封作業を容易化することが可能となる。すなわち、包装箱100のサイズが異なることで前面板10のサイズに対する第1~3切込線の寸法比が異なっても、複数本の第2切込線のいずれかが、前端片16a~16d間を切断する際の応力を受けやすい第2切込線となり、前端片16a~16d間を容易に切断することができるため、前面板10の全面開放作業を容易に行うことが可能となる。
【0065】
なお、本発明は上述した実施形態に限られず、上述した実施形態の中で開示した各構成を相互に置換したり組合せを変更したりした構成、公知発明並びに上述した実施形態の中で開示した各構成を相互に置換したり組合せを変更したりした構成等も含まれる。また、本発明の技術的範囲は上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された事項とその均等物まで及ぶものである。
【符号の説明】
【0066】
100,200 包装箱
10 前面板
11 上外フラップ
12 下外フラップ
13 第1切込線
13a端片
14 第3切込線
14a開口部
15 開口部
16a~16d 前端片
20 左側面板
21 上内フラップ
22 下内フラップ
30 右側面板
31 上内フラップ
32 下内フラップ
40 後面板
41 上外フラップ
42 下外フラップ
50,50a,50b 継ぎ代
A ロボットアーム
B ブランクシート
C1,C2,C3 第2切込線
H 指
L1~L12 罫線
P 包装箱
S 包装用シート
G ロール状袋体
G1~G4 隙間
R1~R8 隅部