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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-28
(45)【発行日】2023-04-05
(54)【発明の名称】回路基板の接続構造及び接続方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/14 20060101AFI20230329BHJP
   H05K 1/02 20060101ALI20230329BHJP
   H05K 3/36 20060101ALI20230329BHJP
【FI】
H05K1/14 C
H05K1/14 J
H05K1/02 D
H05K3/36 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018248184
(22)【出願日】2018-12-28
(65)【公開番号】P2020107851
(43)【公開日】2020-07-09
【審査請求日】2021-05-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000215833
【氏名又は名称】帝国通信工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094226
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 裕
(74)【代理人】
【識別番号】100087066
【弁理士】
【氏名又は名称】熊谷 隆
(72)【発明者】
【氏名】趙 雲
(72)【発明者】
【氏名】牧野 大介
(72)【発明者】
【氏名】山田 高士
(72)【発明者】
【氏名】野村 修
(72)【発明者】
【氏名】岡村 達也
(72)【発明者】
【氏名】末崎 淳
【審査官】鹿野 博司
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-073422(JP,A)
【文献】特開2004-087709(JP,A)
【文献】特開平06-314866(JP,A)
【文献】特開2006-210788(JP,A)
【文献】特開2007-273785(JP,A)
【文献】特開2011-135005(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/14
H05K 1/02
H05K 3/36
H05K 3/00
H01C 10/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路パターン及び当該回路パターンに連結された接続パターンを形成した第1の回路基板と、
回路パターン及び当該回路パターンに連結された接続パターンを形成すると共に他の機器接続用の接続部を設けた第2の回路基板と、を具備し、
前記第1の回路基板の前記回路パターンを形成した部分には、当該第1の回路基板の下面と左右両側辺とを覆う形状の成形樹脂製の基台取り付けられており
前記基台の前記第1の回路基板の接続パターンが形成されている端部を突出させている側の下面には、凹状の固定体係止部が設けられており、
前記第1,第2の回路基板それぞれの接続パターンは、導電性接着剤を介在し且つ前記第1,第2の回路基板それぞれに設けた貫通孔の位置を一致させた状態で接合されており、且つ当該接合部分の周囲には、インサート成形による基板固定体取り付けられており、
前記基板固定体は、前記第1,第2の回路基板それぞれに設けた前記貫通孔を通して当該第1,第2の回路基板の上下に一体に形成されていると共に、前記基台に設けた固定体係止部内にも成形されていることを特徴とする回路基板の接続構造。
【請求項2】
請求項1に記載の回路基板の接続構造であって、
前記第1,第2の回路基板は何れもフレキシブル回路基板であることを特徴とする回路基板の接続構造。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の回路基板の接続構造であって、
前記第1の回路基板に形成されている回路パターンは、摺動子が摺接する摺接パターンであることを特徴とする回路基板の接続構造。
【請求項4】
請求項1又は2又は3に記載の回路基板の接続構造であって、
前記基板固定体は、溶融時に接着性を有する成形材料で構成されていることを特徴とする回路基板の接続構造。
【請求項5】
回路パターン及び当該回路パターンに連結された接続パターンを形成した第1の回路基板と、
回路パターン及び当該回路パターンに連結された接続パターンを形成すると共に他の機器接続用の接続部を設けた第2の回路基板と、
前記第1の回路基板の前記回路パターンを形成した部分の下面と左右両側辺とを覆うように取り付けられ、且つ前記第1の回路基板の前記接続パターンを形成した側の端部を外方に突出させ、さらに前記第1の回路基板を突出させた側の下面に凹状の固定体係止部を形成してなる成形樹脂製の基台と、を用意し、
前記第1,第2の回路基板それぞれの接続パターンを、前記第1,第2の回路基板それぞれに設けた貫通孔の位置を一致させた状態で、導電性接着剤を介して接合する工程と、
当該接合部分の周囲にインサート成形によって基板固定体を取り付ける工程と、
を有し、
前記基板固定体を取り付ける工程の際、当該基板固定体は、前記第1,第2の回路基板それぞれに設けた前記貫通孔を通して当該第1,第2の回路基板の上下に一体に形成されると共に、前記基台に設けた固定体係止部内にも成形されることを特徴とする回路基板の接続方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板同士の接続に用いて好適な回路基板の接続構造及び接続方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、回路基板の中には、例えば特許文献1の図11図14に示すように、フレキシブル回路基板(40)を成形樹脂からなる基台(60)にインサート成形することで構成される基台付き基板(1-2)があった。この基台付き基板(1-2)は、基台(60)の上面に、フレキシブル回路基板(40)の表面に形成した抵抗体パターン(43)と導電体パターン(45)を露出し、露出したこれらパターン(43),(45)上を、移動体(130)に取り付けた摺動子(150)が摺動することで、その出力を変化させるように構成されている。フレキシブル回路基板(40)には、これと一体に引出部(57)が設けられている。引出部(57)は基台(60)から外部に引き出され、その所定位置に設けた接続部を他の機器に接続することで、上記出力を外部に取り出し可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-135005号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記構成の基台付き基板(1-2)においては、特許文献1の図16に示すように、フレキシブル回路基板(40)を金型(10,30)内に収納して基台(60)を成形する際に、前記フレキシブル回路基板(40)の一端の側辺から延出している引出部(57)も金型(10,30)間に挟持しなければならない。
【0005】
しかし、引出部(57)の長さや形状は、客先によって様々であり、このためフレキシブル回路基板(40)をインサート成形する際に引出部(57)に金型(10,30)が干渉しないようにするために、引出部(57)の長さや形状に合わせた金型(10,30)をそれぞれ個別に用意しなければならなかった。
【0006】
また引出部(57)の長さが長いような場合、金型(10,30)上のフレキシブル回路基板(40)が占める面積が広くなり、このため大きな金型が必要になったり、また1組の金型で多数の商品の成形(多数個取り)ができなかったりするという問題もあった。
【0007】
また基台(60)をインサート成形する前に、複数組の抵抗体パターン(43)と導電体パターン(45)を形成した大きな合成樹脂フィルム(41)から、プレス加工によって、個品のフレキシブル回路基板(40)をそれぞれ切り出すが、引出部(57)の長さや形状によっては、プレス加工した際に生じる合成樹脂フィルム(41)の無駄(材料ロス、即ち不要になって廃棄する部分)が多くなってしまう虞もあった。
【0008】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものでありその目的は、他の機器に接続する接続部を有する回路基板を用いた製品を、容易且つ低コストに製造することができる回路基板の接続構造及び接続方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明にかかる回路基板の接続構造は、回路パターン及び当該回路パターンに連結された接続パターンを形成した第1の回路基板と、回路パターン及び当該回路パターンに連結された接続パターンを形成すると共に他の機器接続用の接続部を設けた第2の回路基板と、を具備し、前記第1の回路基板の前記回路パターンを形成した部分には、当該第1の回路基板の下面と左右両側辺とを覆う形状の成形樹脂製の基台取り付けられており、前記基台の前記第1の回路基板の接続パターンが形成されている端部を突出させている側の下面には、凹状の固定体係止部が設けられており、前記第1,第2の回路基板それぞれの接続パターンは、導電性接着剤を介在し且つ前記第1,第2の回路基板それぞれに設けた貫通孔の位置を一致させた状態で接合されており、且つ当該接合部分の周囲には、インサート成形による基板固定体取り付けられており、前記基板固定体は、前記第1,第2の回路基板それぞれに設けた前記貫通孔を通して当該第1,第2の回路基板の上下に一体に形成されていると共に、前記基台に設けた固定体係止部内にも成形されていることを特徴としている。
本発明によれば、導電性接着剤と基板固定体の両者によって、第1の回路基板と第2の回路基板間の電気的・機械的接続を強固にすることができる。
このとき、第1の回路基板を電子部品の内部に設置し、第2の回路基板の接続部を他の機器に接続する構成とすれば、第1の回路基板を用いて定型の電子部品を製造し、その後、他の機器の設置位置などによって異なる形状となる第2の回路基板を第1の回路基板に接続することが可能となる。これによって、第1の回路基板を用いた電子部品を製造する際に第2の回路基板は連結しておかなくてよいので、当該電子部品の製造が容易に行え、その後客先の要望に応じた形状の第2の回路基板を接続すればよいので、電子部品から引き出した回路基板の形状や長さが各種要望に応じて異なる場合であっても、容易且つ低コストに、当該回路基板を製造することができる。
【0010】
また本発明は、上記特徴に加え、前記第1,第2の回路基板は何れもフレキシブル回路基板であることを特徴としている。
本発明によれば、可撓性を有する第1の回路基板の回路パターンを形成した部分に基台を取り付けることで、容易に第1の回路基板を用いた電子部品を構成することができる。また第1の回路基板を基台にインサート成形する場合は、第2の回路基板を金型内に設置する必要がないので、金型の小型化が図れ、また1組の金型による多数個の基台の成形(多数個取り)も容易に行うことができる。
また、第1の回路基板と第2の回路基板を1枚のフレキシブル回路基板として形成する場合に比べて、プレス加工によって個品の回路基板を切り出す際のフレキシブル基板(フィルムなど)の材料ロスも少なくできる。
【0011】
また本発明は、上記特徴に加え、前記第1の回路基板に形成されている回路パターンは、摺動子が摺接する摺接パターンであることを特徴としている。
この摺接パターンを有する電子部品としては、例えばスライド式の基台付き回路基板や、回転式の基台付き回路基板などがある。これら基台付き回路基板は、スライド式又は回転式の可変抵抗器やスイッチとして用いることができる。
【0012】
また本発明は、上記特徴に加え、前記基板固定体は、溶融時に接着性を有する成形材料で構成されていることを特徴としている。
これによって、基板固定体の両回路基板への密着度が増し、導電性接着剤によって接合した部分の補強をより確実に行うことができる。
【0013】
また本発明にかかる回路基板の接続方法は、回路パターン及び当該回路パターンに連結された接続パターンを形成した第1の回路基板と、回路パターン及び当該回路パターンに連結された接続パターンを形成すると共に他の機器接続用の接続部を設けた第2の回路基板と、前記第1の回路基板の前記回路パターンを形成した部分の下面と左右両側辺とを覆うように取り付けられ、且つ前記第1の回路基板の前記接続パターンを形成した側の端部を外方に突出させ、さらに前記第1の回路基板を突出させた側の下面に凹状の固定体係止部を形成してなる成形樹脂製の基台と、を用意し、前記第1,第2の回路基板それぞれの接続パターンを、前記第1,第2の回路基板それぞれに設けた貫通孔の位置を一致させた状態で、導電性接着剤を介して接合する工程と、当該接合部分の周囲にインサート成形によって基板固定体を取り付ける工程と、を有し、前記基板固定体を取り付ける工程の際、当該基板固定体は、前記第1,第2の回路基板それぞれに設けた前記貫通孔を通して当該第1,第2の回路基板の上下に一体に形成されると共に、前記基台に設けた固定体係止部内にも成形されることを特徴としている。
本発明によれば、導電性接着剤と基板固定体の両者によって、第1の回路基板と第2の回路基板間を、電気的・機械的に強固に接続することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、他の機器に接続する接続部を有する回路基板を用いた製品を、容易且つ低コストに製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】回路基板の接続構造1の概略構成断面図である。
図2】基台付き回路基板100の一例を示す斜視図である。
図3】接続構造1部分の要部拡大斜視図である。
図4】接続構造1部分を裏面側から見た要部拡大斜視図である。
図5図3のA-A概略断面図である。
図6】基板固定体80の成形方法説明図である。
図7】第1,第2の回路基板10,50の導電性接着剤70による接合方法説明図である。
図8】第1,第2の回路基板10,50の導電性接着剤70による接合方法説明図である。
図9】第1,第2の回路基板10,50の導電性接着剤70による接合方法説明図である。
図10】第1,第2の回路基板10,50の導電性接着剤70による接合方法説明図である。
図11】他の第2の回路基板50を示す斜視図である。
図12】他の第2の回路基板50を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明にかかる回路基板の接続構造1の概略構成断面図である。同図に示す回路基板の接続構造1は、第1の回路基板10と第2の回路基板50とを具備し、第1の回路基板10に設けた接続パターン15と、第2の回路基板50に設けた接続パターン55を、導電性接着剤70を介して接合し、且つ当該接合部分A1の周囲にインサート成形による基板固定体80を取り付けて構成されている。なお以下の説明において、「上」とは第1の回路基板10の接続パターン15から第2の回路基板50の接続パターン55を見る方向をいい、「下」とはその反対方向をいうものとする。
【0017】
第1の回路基板10は、この例では、可撓性を有する合成樹脂フィルム11の表面(上面)に回路パターン13を形成して構成されている。回路パターン13の先端部分の上面側は、接続パターン15となっている。回路パターン13は、銀パターンgの上面に、銀パターンgの腐食防止のための保護層としてカーボンパターンcを積層して構成されている。一方、接続パターン15は銀パターンgで構成されている。回路パターン13と接続パターン15は、一般に合成樹脂フィルム11上に、複数本形成されている。なお上記回路パターン13は配線パターンとして示しているが、その代わりに、抵抗体パターンや導電体パターンやスイッチパターンなどの他の機能的パターンであってもよい。即ち、上記配線パターン、抵抗体パターン、導電体パターンなどの何れのパターンも、上記回路パターン13の概念に含まれる。例えば、上記回路パターン13を構成する銀パターンgの代わりに、カーボンパターンcのみを形成すれば抵抗体パターンになるなどである。また回路パターン13が銀パターンgやカーボンパターンcに限定されず、他の種々の材質や構造のパターンであってもよいことは言うまでもない。
【0018】
また点線で示すように、第1の回路基板10の外周や下面には、これを覆うように、成形樹脂製の基台30が取り付けられている。第1の回路基板10への基台30の取り付けは、インサート成形でもよいし、機械的な固定によるものであってもよい。これによって、第1の回路基板10を所望の形状に固定することができる。基台30の材質は、成形可能な合成樹脂材料であれば、どのような材質であってもよい。また、第1の回路基板10として、フレキシブル回路基板の代わりに、硬質の回路基板を用いてもよい。この場合は、基台30が不要になる場合もある。
【0019】
第2の回路基板50は、この例では、可撓性を有する合成樹脂フィルム51の表面(下面)に回路パターン53を形成して構成されている。回路パターン53の先端部分の下面側は、接続パターン55となっている。回路パターン53及び接続パターン55は、一般に、前記回路パターン13及び接続パターン15と同じ本数、合成樹脂フィルム51上に形成されている。回路パターン53は、銀パターンgの上面に、絶縁層xを積層して構成されている。接続パターン55は銀パターンgで構成されている。なおこの回路パターン53は配線パターンであり、接続パターン55とは反対側の端部には、接続部57が設けられている。接続部57は、前記銀パターンgの上に銀パターンgの腐食防止のためのカーボンパターンcを形成することで構成されている。なお、回路パターン53が銀パターンgやカーボンパターンcなどに限定されず、他の種々の材質や構造のパターンであってもよいことは言うまでもない。また、接続部57は、腐食防止の必要が無ければ、銀パターンgのみで構成してもよい。また接続部57は、場合によってはカーボンパターンcのみで構成してもよい。
【0020】
導電性接着剤70は、この例では、異方性導電フィルム(ACF)または異方性導電ペースト(ACP)によって構成されている。
【0021】
基板固定体80は、この例では、溶融時に接着性を有する成形材料として、ナイロン系エラストマーを用いている。このナイロン系エラストマーはゴム弾性を有するが、他の各種成形材料(例えば硬質のABS樹脂など)を用いてもよい。
【0022】
次に、上記第1,第2の回路基板10,50の接続方法について説明する。即ち、第1,第2の回路基板10,50を接続するには、第1の回路基板10の接続パターン15と、第2の回路基板50の接続パターン55とを対向させ、導電性接着剤70によって接合する。導電性接着剤70は、異方性導電フィルム又は異方性導電ペーストなので、両接続パターン15,55を接合する方向に熱と圧力を印可することで、熱圧着した方向のみに導電性を有して接着される。なおこの実施形態では、第1の回路基板10の接続パターン15、及び第2の回路基板50の接続パターン55を、カーボンパターンcなどを積層せず銀パターンgのみで構成しているので、第1の回路基板10と第2の回路基板50を接続した際の導通抵抗を低くすることができる。
【0023】
次に、前記接合部分の周囲に、基板固定体80をインサート成形によって取り付ける。この基板固定体80は、上述のように、溶融時に接着性を有する成形材料なので、前記接合部分への成形時の接着性が高くて両回路基板10,50に強く密着し、導電性接着剤70によって接合した部分の補強をより確実に行うことができる。
【0024】
以上のようにして構成された第1,第2回路基板10,50の接続構造1によれば、導電性接着剤70と基板固定体80の両者によって、第1の回路基板10と第2の回路基板50間の電気的・機械的接続を強固にすることができる。また、可撓性を有する第1の回路基板10の回路パターン13を形成した部分に基台30を取り付けたので、容易に第1の回路基板10の部分を電子部品(基台付き回路基板)として構成することができる。
【0025】
図2は、上記回路基板の接続構造1を用いて構成した基台付き回路基板100の一例を示す斜視図、図3は接続構造1部分の要部拡大斜視図、図4図3の部分を裏面側から見た要部拡大斜視図、図5図3のA-A概略断面図、図6は基板固定体80の成形方法説明図、図7図10は第1の回路基板10へ第2の回路基板50を導電性接着剤70によって接合する方法を示す図であり、図7図8は上側から見た斜視図、図9図10は下側から見た斜視図である。
【0026】
この基台付き回路基板100は、例えばズームカメラのズーム位置やピント位置を検出するためにカメラの筒状部分に取り付けられて使用される基台付き回路基板である。同図に示す基台付き回路基板100において、前記図1に示す回路基板の接続構造1と同一又は相当部分には同一符号を付す。なお以下で説明する事項以外の事項については、前記図1に示す実施形態と同じである。
【0027】
基台付き回路基板100は、ズームカメラの筒状部分の外周面の円弧面形状に合わせて円弧状に形成してなる基台30に第1の回路基板10をインサート成形し、基台30の一端から突出する第1の回路基板10に第2の回路基板50を接続した部分に基板固定体80を取り付け、これによって第1,第2の回路基板10,50を接続して構成されている。
【0028】
この基台付き回路基板100に用いている第1の回路基板10は、その表面に直線状の抵抗体パターン13-1と導電体パターン13-2と配線パターン13-3とを、平行に、合成樹脂フィルム11の長手方向に沿うように形成して構成されている。抵抗体パターン13-1と導電体パターン13-2は、図示しない摺動子が摺接する摺接パターンである。また第1の回路基板10の長手方向の一方の端部は、下記する図7に示すように、基台30から突出しており、この突出した端部の表面には、抵抗体パターン13-1に接続された配線パターン13-1aと,導電体パターン13-2に接続された配線パターン13-2aと、配線パターン13-3に接続された配線パターン13-3aとが形成され、さらに各配線パターン13-1a、2a、3aの先端にそれぞれ接続パターン15-1,2,3が形成されている。各接続パターン15-1,2,3の間とその先端側部分の4か所には、上下に貫通する円形の小孔からなる貫通部17が形成されている。なお、抵抗体パターン13-1と導電体パターン13-2と配線パターン13-3と各配線パターン13-1a,13-2a,13-3aは、図1で言う回路パターン13に相当し、一方各接続パターン15-1,2,3は、図1で言う接続パターン15に相当する。
【0029】
基台30は、第1の回路基板10の外周と底面とを覆うように成形されている。言い換えれば、基台30は、抵抗体パターン13-1と導電体パターン13-2と配線パターン13-3とを露出するように成形されている。基台30の前記第1の回路基板10を突出した側の端部の左右両側辺から下面にわたっては、凹状の固定体係止部31,31が形成されている。またこれら固定体係止部31,31によって、左右両側辺から突出する係止突起33,33が形成されている。
【0030】
一方、この基台付き回路基板100に用いる第2の回路基板50は、図7図9に示すように、略L字状に屈曲した合成樹脂フィルム51の下面に、3本の回路パターン53-1,2,3を形成して構成されている。各回路パターン53-1,2,3の第1の回路基板10側の端部は、何れも接続パターン55-1,2,3となっており、反対側の端部は、何れも接続部57-1,2,3となっている。また前記第1の回路基板10の各貫通部17に対向する位置には、上下に貫通する円形の小孔からなる貫通部59が形成されている。
【0031】
そして、第1の回路基板10と第2の回路基板50を接続するには、まず図7図9に示すように、第1の回路基板10の接続パターン15-1,2,3の上に、導電性接着剤70を介して第2の回路基板50の接続パターン55-1,2,3を当接し、両回路基板10,50を熱圧着する。これによって、図8図10に示すように、各接続パターン15-1,2,3と各接続パーン55-1,2,3間が接続固定される。なおこのとき、第1の回路基板10の各貫通部17と、第2の回路基板50の各貫通部59の位置が一致する。
【0032】
次に、図6に示すように、前記両回路基板10,50の接続部分を、第1,第2金型200,250によって挟持する。このとき第1,第2金型200,250によって、前記接続部分の周囲に、前記基板固定体80の形状のキャビティーCが形成される。またこのとき第1金型200のキャビティーC側の内壁面からは矩形状の押え部201が突出しており、その先端面は第2の回路基板50の先端部分に当接し、基台30の先端部分と共に、第1の回路基板10と第2の回路基板50間を挟持し、これによって溶融樹脂注入時の、前記接続パターン15-1,2,3と接続パターン55-1,2,3間の接続を確実なものとしている。そして、このキャビティーC内に、溶融時に接着性を有する溶融成形材料を注入し、当該溶融成形材料が固化した後に第1,第2金型200,250を取り外す。これによって、前記接続部分の周囲に基板固定体80が形成され、図2,3,4に示す状態となる。
【0033】
基板固定体80は、略矩形状であって、その上面には前記押え部201によって矩形の凹状部81が形成される。凹状部81の底面には第2の回路基板50が露出している。基板固定体80は、第1の回路基板10の各貫通部17と第2の回路基板50の各貫通部59を通して第1,第2の回路基板10,50の上下に一体に形成されており、また基台30に設けた前記固定体係止部31,31内にも成形されるので、基台30から基板固定体80を引き抜く方向の力に対する強度が大きく向上する。なお、基台30の係止突起33,33の先端面は、基板固定体80の両側面に露出している。また基板固定体80は、この例ではナイロン系エラストマーを用いていてゴム弾性を有するので、第2の回路基板50の湾曲やその他の衝撃などに対して弾性変形し、損傷することはなく、確実に接続パターン15-1,2,3と接続パターン55-1,2,3間の接続状態を強固に維持することができる。
【0034】
以上のように構成された基台付き回路基板100において、基台30の上面に露出した第1の回路基板10の摺接パターン(抵抗体パターン13-1と導電体パターン13-2)上を、図示しない摺動子が摺動すれば、第2の回路基板50の各接続部57-1,2,3間の抵抗値(または出力電圧値)が変化する。なお、第2の回路基板50の接続部57-1,2,3を設けた部分は、他の機器のコネクタなどに差し込まれ、他の機器の回路に接続される。
【0035】
上記実施形態では、第1の回路基板10を電子部品(この例では当該基台付き回路基板100)の内部に設置し、一方第2の回路基板50の接続部57-1,2,3を他の機器に接続する構成としたので、第1の回路基板10を用いて定型の電子部品を製造し、その後、他の機器の設置位置などによって異なる各種形状の第2の回路基板50を第1の回路基板10に接続することが可能となる。即ち例えば、定型の第1の回路基板10に基台30を成形し、第2の回路基板50として、上記図7などに示す第2の回路基板50を用いる代わりに、図11に示すように、前記図7に示す第2の回路基板50とは反対方向に屈曲させた第2の回路基板50を用いたり、図12に示すように、直線状にした第2の回路基板50を用いたりすることで、接続部57の位置を種々変更することを容易に行うことができる。このように、第1の回路基板10を用いた電子部品を製造する際に第2の回路基板50は連結しておかなくてよいので、当該電子部品の製造が容易に行え、その後客先の要望に応じた形状の第2の回路基板50を接続すればよいので、電子部品から引き出す回路基板の形状や長さが、各種要望に応じて異なる場合であっても、容易且つ低コストに、これに対応することができる。
【0036】
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお直接明細書及び図面に記載がない何れの形状や構造や材質であっても、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。例えば、上記実施形態では、摺接パターンを有する電子部品としてスライド式の基台付き回路基板を示したが、回転式の基台付き回路基板など、他の電子部品であってもよい。また第1,第2の回路基板は、フレキシブル回路基板でなく、硬質の回路基板であってもよい。また導電性接着剤70は異方性でなくてもよく、その場合は対向する各接続パターン間をそれぞれ別々に接合すればよい。
【0037】
また、上記記載及び各図で示した実施形態は、その目的及び構成等に矛盾がない限り、互いの記載内容を組み合わせることが可能である。また、上記記載及び各図の記載内容は、その一部であっても、それぞれ独立した実施形態になり得るものであり、本発明の実施形態は上記記載及び各図を組み合わせた一つの実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0038】
1 回路基板の接続構造
10 第1の回路基板(フレキシブル回路基板)
11 合成樹脂フィルム
13 回路パターン
13-1 抵抗体パターン(回路パターン、摺接パターン)
13-2 導電体パターン(回路パターン、摺接パターン)
13-3 配線パターン(回路パターン)
13-1a、2a,3a 配線パターン(回路パターン)
15 接続パターン
15-1,2,3 接続パターン
30 基台
50 第2の回路基板(フレキシブル回路基板)
51 合成樹脂フィルム
53 回路パターン
55 接続パターン
57 接続部
70 導電性接着剤
80 基板固定体
100 基台付き回路基板
図1
図2
図3
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図5
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図9
図10
図11
図12