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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-28
(45)【発行日】2023-04-05
(54)【発明の名称】梱包機のバンドリール
(51)【国際特許分類】
   B65B 13/22 20060101AFI20230329BHJP
   B65B 13/18 20060101ALI20230329BHJP
【FI】
B65B13/22 A
B65B13/18 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019010171
(22)【出願日】2019-01-24
(65)【公開番号】P2020117278
(43)【公開日】2020-08-06
【審査請求日】2022-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000107697
【氏名又は名称】ストラパック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002398
【氏名又は名称】弁理士法人小倉特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】籾山 裕樹
【審査官】▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】実開平01-073101(JP,U)
【文献】実開昭50-059190(JP,U)
【文献】特開平06-345026(JP,A)
【文献】特開2005-088958(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0128541(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 13/22
B65B 13/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バンドリールと,前記バンドリールよりバンドを引き出して送り出すと共に,送り出したバンドを引き戻して被梱包物の外周に巻き付けるローラユニットを備えた梱包機に設けられる前記バンドリールにおいて,
前記バンドが巻かれたバンドリール本体と,前記バンドリール本体を回転可能に支承するリール支持機構と,前記バンドリール本体の回転中心を成すリールシャフトと,前記リールシャフトの外周を覆う円筒状のゼンマイバネ室と,該ゼンマイバネ室に収容されるゼンマイバネを設け,
前記ゼンマイバネの外周端側を固定することなく前記ゼンマイバネ室の内周面に接触させた状態で前記ゼンマイバネ室内に収容すると共に,
前記ゼンマイバネの内周端を前記リールシャフトと係合可能に構成し,
前記リールシャフト又は前記ゼンマイバネ室のいずれか一方を前記リール支持機構に固定すると共に,他方を前記バンドリール本体に設け,かつ,前記リールシャフトを前記バンドリール本体に固定すると共に,前記ブレーキ手段を,前記リールシャフトが挿入されるシャフト孔に対し直交方向に連通するボルト孔に挿入されたボルト先端に設けた発条により付勢される樹脂杆で,前記リールシャフトを押圧することを特徴とする梱包機のバンドリール。
【請求項2】
前記ゼンマイバネ室の前記内周面を,一定の摩擦係数を有する材料で内装したことを特徴とする請求項1記載の梱包機のバンドリール。
【請求項3】
前記バンドリール本体に加える回転抵抗を可変とするブレーキ手段を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の梱包機のバンドリール。
【請求項4】
前記ブレーキ手段の前記樹脂杆は,一定の摩擦係数であることを特徴とする請求項記載のバンドリール。
【請求項5】
前記リールシャフトに,外周方向に突出する係合突起を設けると共に,
前記ゼンマイバネの内周端に,内周端を内周側で折り返して形成した係止爪を設け,前記ゼンマイバネの内周端を前記リールシャフトに固定することなく,前記係止爪と係合突起で係脱可能に係合させたことを特徴とする請求項1~いずれか1項記載の梱包機のバンドリール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,被梱包物にバンドを巻き付けて梱包を行う梱包機に設けられるバンドリールに関し,より詳細には,被梱包物に対するバンドの巻き付けと引き締めを行った際に生じた余剰のバンドを自動で巻き取ることができるようにした,ゼンマイバネ内蔵型のバンドリールに関する。
【背景技術】
【0002】
バンドBを被梱包物Wに巻き付けて梱包する梱包機100では,図7に示すように被梱包物Wを載置するテーブル107と,梱包に使用するPPバンド等のバンドBが巻かれたバンドリール本体111と,前記バンドリール本体111よりバンドBを引き出して前記テーブル107上に送り出すと共に,送り出したバンドBを引き戻すローラユニット120,及び,前記テーブル107の下方に配置され,前記バンドBの端部を把持すると共に,該バンドBの切断と溶着を行うシールユニット140を備えている。
【0003】
このような梱包機100では,ローラユニット120のメインローラ121が正転(図示の例では反時計回りに回転)してバンドリール本体111よりバンドBを引き出すと共にテーブル107上に送り出し〔図7(A)〕,所定長さバンドBを送り出すと,ローラユニット120が停止してバンドBの送り出しが終了する。
【0004】
このようにしてテーブル107上にバンドBを所定長さ送り出してローラユニット120が停止した状態において,ユーザが,テーブル107上に載置した被梱包物Wの外周を囲むループを形成するようにバンドBの先端をテーブル107下方に配置されたシールユニット140の所定の位置に差し込むと〔図7(B)参照〕,バンドBの先端が挿入されたことを検知したセンサの検知信号によってシールユニット140のバンド把持機構がバンドBの先端部を把持すると共に,ローラユニット120のメインローラ121が逆転(図示の例では時計回りの回転)を開始してバンドBの引き戻しを行い,被梱包物Wの外周にバンドBの巻き付けと,巻き付けたバンドBの引き締めが行われる〔図7(C)参照〕。
【0005】
このようにして被梱包物Wの外周に対するバンドBの巻き付け及び引き締めが完了すると,シールユニット140がバンドBの切断とバンドBの端部間の溶着を行って,バンドBによる被梱包物Wの梱包が終了する。
【0006】
以上のように構成された梱包機100において,ローラユニット120によってバンドBの引き戻しが行われると,引き戻されたバンドBは,ローラユニット120とバンドリール本体111の間に溜まる〔図7(C)参照〕。
【0007】
そのため,小型の被梱包物Wの梱包を行う場合のように,引き戻されるバンドBの長さが長くなると,ローラユニット120とバンドリール本体111間に溜まるバンドBの長さも長くなり,溜まったバンドBに絡みや捩れ等が生じることで,次回のバンド送りの際に,絡んだり捩れたりしたバンドBが,バンド給送路内に噛み込む等してバンドBを送り出すことができなくなるといった作動不良が発生する。
【0008】
このような作動不良の発生を防止するために,バンドリール110にゼンマイバネを内蔵して,バンドBが引き出される際のバンドリール本体111の回転(以下,バンドBが引き出される際のバンドリール本体111の回転を「正転」という。)によってゼンマイバネを巻き締めてゼンマイバネに力を貯えると共に,ローラユニット120によってバンドBの引き戻しが開始されると,ゼンマイバネの力によってバンドリール本体111を,バンドBの巻き取りを行う方向に回転(以下,バンドを巻取る方向のバンドリール本体111の回転を「逆転」という。)させて,ローラユニット120とバンドリール本体111間に,ローラユニット120が引き戻したバンドBが溜まらないようにした,ゼンマイバネ内蔵型のバンドリールを備えた梱包機も提案されている。
【0009】
このようなゼンマイバネ内蔵型のバンドリールとして,ローラユニット120によるバンドBの送り出し時,ゼンマイバネ165が一定限度巻締められた状態となった後もバンドBが更に送り出されると,それ以上ゼンマイバネ165の巻き締めを行うことなしにバンドBを送り出すことができるように構成したものも提案されている。
【0010】
このようなゼンマイバネ内蔵型のバンドリール110として,後掲の特許文献1には,図8に示すように,ブラケットに固定されたシャフト112の外周に,バンドリール本体111を回転可能に取り付けた構成のバンドリール110において,ゼンマイバネ165の一端をバンドリール本体111の側板111aに,他端をリールシャフト112に設けたバネ受け117に固定し,リールシャフト112の端部に設けたエンドプレート118と,同リールシャフト112に嵌合した摩擦板119との間にスプリング200を装着して,摩擦板119とバネ受け117とを圧接することで,ゼンマイバネ165が一定限度巻き締められた状態で更にバンドが送られると,バネ受け117と摩擦板119とのスリップにより,ゼンマイバネ165をそれ以上巻き締めることなくバンドBを送り出すことができるようにしたバンドリール110も提案されている(特許文献1の請求項1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】実開平2-37803号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
図8を参照して説明した特許文献1に記載のバンドリール110では,締付けナット102の締め付けによってスプリング200の付勢力を調整することでバネ受け117と摩擦板119間の摩擦力を適切に設定することで,ゼンマイバネ165が所定限度以上巻き締められると,バネ受け117と摩擦板119間に滑りが生じて,ゼンマイバネ165を更に巻き締めることなく,バンドを送り出すことができるように構成されている。
【0013】
しかし,上記構成のバンドリール110では,締付けナット102が適正に調整されておらず,スプリング200の付勢力が過大に増大していると,ゼンマイバネ165が一定限度巻き締められても,バネ受け117と摩擦板119間が滑り出さずにバンドリール本体111が回転を停止してしまい,必要長さのバンドBを送ることができず,また,巻き締め限界以上に巻かれたゼンマイバネ165に破損が生じるおそれがある。
【0014】
更に,前述したゼンマイバネ内蔵型のバンドリール110を備えた梱包機100では,ローラユニット120によるバンドBの引き戻しによってバンドリール本体111側に引き戻されたバンドBは,ゼンマイバネ165によって逆転するバンドリール本体111が巻き取ることで,ローラユニット120とバンドリール本体111間にバンドが溜まることがなく,従って,溜まったバンドBが絡んだり捩れたりすることによって生じる,バンドBの噛み込み等の作動不良が生じ難くなっている。
【0015】
しかし,電動モータによって駆動されるローラユニット120によるバンドBの引き戻しは,引き戻しの開始初期より比較的早い巻き取り速度で行われる一方,バンドリール本体111の逆転動作は,比較的重いバンドリール本体111をゼンマイバネ165の力で逆転させることから,慣性によって動作開始初期の巻取り速度が遅くなる。
【0016】
その結果,ローラユニット120によるバンドの引き戻しに対し,バンドリール本体111によるバンドBの巻取りに遅れが生じる結果,ローラユニット120とバンドリール本体111間のバンドBにはたるみが生じる。
【0017】
このたるみの発生により,バンドリール本体111は,ローラユニット120が停止してバンドBの引き戻しが終了した後,バンドリール本体111によってたるみ分のバンドBを巻き取った時に,バンドBがピンと張って,バンドリール本体111の回転力をバンドBが受け止めたときに逆転を停止する。
【0018】
その結果,バンドリール本体111が逆転を停止する際,バンドBのテンションは瞬間的に増大し,ローラユニット120による引き締めによって適切な強さで被梱包物Wの外周に巻き付けられていたバンドBが,このテンションの増大によって更に引き締められる。
【0019】
このときのバンドBに加わるテンションは,バンドリール本体111に巻かれているバンドBの残量が多く,バンドリール本体111の重量,従って慣性力が増大している程大きなものとなり,また,バンドリール110に装備されているゼンマイバネに蓄えられている力が大きい程,大きなものとなる。
【0020】
従来の梱包機100では,ゼンマイバネ内蔵型のバンドリール110が停止する際に生じるバンドBのテンション増大は,減衰されることなくそのままバンドBに加えられており,増大したテンションによって,被梱包物Wに対する引き締め力が増大していたため,脆弱な被梱包物Wを梱包対象とする場合,被梱包物を破損させてしまうおそれがあり,脆弱な被梱包物Wの梱包に使用した場合であっても,被梱包物Wを破損等させることなく,高い信頼性を以て梱包することができるバンドリール110を備えた梱包機100が要望されている。
【0021】
その一方で,ゼンマイバネ165に蓄える力を弱めて逆転するバンドリール本体111の回転力を低下させると,バンドBのテンション増大は抑制できるものの,必要量のバンドBの巻取りが行えずに,ローラユニット120とバンドリール本体111間にバンドBが溜まり,バンド絡みやバンドの捩れ,従って,バンドの噛み込みによる作動不良が発生する原因となる。
【0022】
そのため,ゼンマイバネ165の巻取り力を弱めることなく,バンドリール本体111の停止時におけるバンドのテンション増大を防止することが必要となる。
【0023】
そこで本発明は,上記従来技術における欠点を解消するために成されたもので,比較的簡単な構成でありながら,また,特別な調整等を行うことなく,更にローラユニットが送り出すバンドの長さに拘わらず,ゼンマイバネを適切な巻き締め量で巻くことができ,従って,バンドの巻取り不足を生じさせることなく,また,必要以上にゼンマイバネが巻き締められて破損等することを防止することができるバンドリールを提供することを目的とする。
【0024】
本発明は,更に,バンドリールの停止時にバンドのテンションが急増することを防止して,脆弱な被梱包物を梱包した場合であっても破損等させることなく高い信頼性を以て梱包することができる梱包機のバンドリールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0025】
以下に,課題を解決するための手段を,発明を実施するための形態で使用する符号と共に記載する。この符号は,特許請求の範囲の記載と,発明を実施するための形態の記載との対応を明らかにするためのものであり,言うまでもなく,本発明の技術的範囲の解釈に制限的に用いられるものではない。
【0026】
上記目的を達成するために,本発明の梱包機1のバンドリール10は,
バンドリール10と,前記バンドリール10よりバンドBを引き出して送り出すと共に,送り出したバンドBを引き戻して被梱包物Wの外周に巻き付けるローラユニット20を備えた梱包機に設けられる前記バンドリール10において,
前記バンドBが巻かれたバンドリール本体11と,前記バンドリール本体11を回転可能に支承するリール支持機構60と,前記バンドリール本体11の回転中心を成すリールシャフト12と,前記リールシャフト12の外周を覆う円筒状のゼンマイバネ室64と,該ゼンマイバネ室64に収容されるゼンマイバネ65を設け,
前記ゼンマイバネ65の外周端側を固定することなく前記ゼンマイバネ室64の内周面64aに接触させた状態で前記ゼンマイバネ室64内に収容すると共に,
前記ゼンマイバネ65の内周端65aを前記リールシャフト12と係合可能に構成し,
前記リールシャフト12又は前記ゼンマイバネ室64のいずれか一方を前記リール支持機構60に固定すると共に,他方を前記バンドリール本体11に設け,かつ,前記リールシャフト12を前記バンドリール本体11に設けた構成では,このようなブレーキ手段50は,前記リールシャフト12が挿入されるシャフト孔62に対し直交方向に連通するボルト孔51と,前記ボルト孔51に挿入されたボルト先端に設けた発条により付勢される樹脂杆先端を前記リールシャフト12と接触させることによって構成することができる(請求項1)。
【0027】
前記ゼンマイバネ室64の前記内周面64aは,ここでは,一定の摩擦係数を有する例えばシリコンゴムでコーティング等で内装することが好ましい(請求項2)。
【0028】
また,本発明のバンドリール10には,更に,前記バンドリール本体11に加える回転抵抗を可変とするブレーキ手段50を設けることができる(請求項3)。
【0030】
更に,前記ブレーキ手段50の前記ボルト孔51の発条の先端には,一定の摩擦係数を有するウレタンやナイロン等の樹脂杆53を取り付けることが望ましい(請求項)。
【0031】
更に,前記リールシャフト12に,外周方向に突出する係合突起14を設けると共に,
前記ゼンマイバネの内周端65aに,該内周端65aを内周側で折り返して形成した係止爪66を設け,前記ゼンマイバネ65の内周端65aを前記リールシャフト12に固定することなく,前記係止爪66と係合突起14で係脱可能に係合させるものとしても良い(請求項)。
【発明の効果】
【0032】
以上で説明した構成により,本発明のバンドリール10では,ゼンマイバネ65は,その外周端側をゼンマイバネ室64内に固定することなくゼンマイバネ室64の内周面64aと接触された状態でゼンマイバネ室64内に収容されている。
【0033】
この状態から,ゼンマイバネ65の内周端65aをリールシャフト12と係合させてゼンマイバネ65の巻き締めを行うと,ゼンマイバネ65はその外径を縮小するように変形することから〔図6(A),(B)参照〕,巻締めが進行するに従い,ゼンマイバネ65の外周端側とゼンマイバネ室64の内周面64aとの接触抵抗が減少する。
【0034】
そのため,本発明の構成では,何らの調整作業を行わなくとも,ゼンマイバネ65は,所定量巻き締められると,ゼンマイバネ室64内で空転を開始することになるから,ゼンマイバネ65が限界以上に巻き締められて破損等することが防止される。
【0035】
また,ゼンマイバネ65が必要以上に巻き締められて,ゼンマイバネ65に必要以上の力が貯えられると,バンドリール本体11がバンドBの巻取りを終了してもゼンマイバネ65は未だ力を貯えた状態となり,バンドリール10の逆転を停止させる際にバンドBのテンションを大幅に高めることとなるが,本発明のバンドリール10では,ゼンマイバネ65が適切な強さに巻き締められることで,バンドリール10の停止時にバンドBのテンションが過剰に増大することも防止でき,その結果,脆弱な被梱包物Wであっても破損等生じさせることなく梱包することができた。
【0036】
なお,ゼンマイバネ65の外周端側をゼンマイバネ室64内に固定することなくゼンマイバネ室64の内周面64aと接触させた構成では,ゼンマイバネ65の外周端側とゼンマイバネ室64の内周面64aとの接触抵抗が小さいと,ゼンマイバネ65は僅かに巻き締めただけで空転を開始する。
【0037】
また,ゼンマイバネ65の空転時,ゼンマイバネ65は,貯えた力の一部を開放して,その外周端側がゼンマイバネ室64の内周面64aと接触して,空転を停止し得る接触抵抗が回復される外径となるまで膨張することから,ゼンマイバネ65の外周端側とゼンマイバネ室64の内周面64aの接触抵抗が低いと,空転時に開放される力も大きくなり,ゼンマイバネ65に十分な力を貯えることができなくなり,特にゼンマイバネ65が空転した直後にローラユニット20によるバンドの送り出しが終了してゼンマイバネ65の更なる巻き締めが行われない場合等に,ローラユニット20が引き戻したバンドBを全量巻き取ることができない場合が生じ得る。
【0038】
しかし,ゼンマイバネ室64の内周面64aをシリコンゴムでコーティングした構成では,ゼンマイバネ65の外周端側とゼンマイバネ室64の内周面64aとの摩擦抵抗が増大することで,空転を開始するゼンマイバネ65の巻き締め量を増大させることができると共に,空転が生じた場合であっても,空転開始後,早急に接触抵抗を回復して空転が停止することで,ゼンマイバネ65に貯えられた力が必要以上に開放されることを防止でき,その結果,ゼンマイバネ65が空転した直後にローラユニット20によるバンドの送り出しが終了した場合であっても,バンドBを全量巻き取ることができた。
【0039】
更に,バンドリール本体11に与える回転抵抗を可変となすブレーキ手段50を設けた構成では,バンドリール本体11の回転に適度な抵抗を与えることで,無抵抗で回転させる場合に比較して,バンドリール本体11の逆転を迅速,かつ緩やかに停止させることができ,バンドリール本体11が逆転を停止する際にバンドBに与える衝撃をより小さなものとすることで,脆弱な被梱包物Wを梱包対象とした場合であっても,バンドBの引き締め力が増大して被梱包物Wを破損等することを防止することができた。
【0040】
リールシャフト12をバンドリール本体11に設けると共に,前述したブレーキ手段50を,シャフト孔62に対し直交方向に連通するボルト孔51と,前記ボルト孔51に螺合されて先端をリールシャフト12と接触させるボルト52によって構成する場合には,比較的簡単な構成でありながら,ボルト52をねじ込む深さを調整することによってバンドリール本体11に与える回転抵抗の微調整を可能とすることができた。
【0041】
特に,ボルト52内に挿入した発条54の先端にウレタンやナイロン等の一定の摩擦係数の樹脂杆53を取り付けた構成では,バンドリール本体11に与える回転抵抗が過大になることを防止して,適度な回転抵抗を与えることができると共に,回転抵抗のより一層の微調整が可能となると共に,ボルト52の先端に設けた発条54先端に一定の摩擦係数の樹脂杆53を挿入した構成では,樹脂杆が摩滅した際に新たな樹脂棒に差し換えることで,容易に再生可能である。
【0042】
更に,前記リールシャフト12に,外周方向に突出する係合突起14を設けると共に,前記ゼンマイバネの内周端65aに,該内周端65aを内周側に折り返して形成した係止爪66を設け,前記ゼンマイバネ65の内周端65aを前記リールシャフト12に固定することなく,前記係止爪66と係合突起14で係脱可能に係合させた構成では,ゼンマイバネ65が伸び切った状態で更に慣性等によってバンドリール本体11が逆転すると,係合突起14と係止爪66との係合が解除されてバンドリール本体11をゼンマイバネ65から切り離した状態で逆転させることで,ゼンマイバネ65が破損することを好適に防止することができた。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】本発明のバンドリールを装備した梱包機の正面概略図。
図2】本発明のバンドリールを装備した梱包機の背面概略図。
図3】梱包機に取り付けられた状態のバンドリールの斜視図。
図4】バンドリールの支持機構に設けた軸受箱部分の正面図。
図5】バンドリール本体を取り付けた状態における図4のV-V線断面図。
図6】ゼンマイバネ内周端に設けた係止爪とリールシャフトに設けた係合突起の係合状態に関する説明図であり,(A)はゼンマイバネが伸び切った状態でバンドリール本体が正転を開始してゼンマイバネを巻はじめた状態,(B)は,巻き上げられたゼンマイバネが開放されながらバンドリール本体を逆転させている状態,(C),(D)はゼンマイバネが伸び切った状態で更にバンドリール本体が逆転している状態。
図7】従来の梱包機の説明図であり,(A)はバンド送り出し時,(B)はバンド送り出し後,引き戻し開始前,(C)はバンド引き戻し時。
図8】従来のゼンマイバネ内蔵型のバンドリールの要部断面図(特許文献1の第1図に対応)。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下に,添付図面を参照しながら,本発明の梱包機1のバンドリール10について説明する。
【0045】
本発明のバンドリール10が適用される梱包機1は,図1及び図2に示すように,被梱包物Wを載置するテーブル7と,梱包に使用するPPバンド等のバンドBが巻かれたバンドリール本体11を備えたバンドリール10と,前記バンドリール本体11よりバンドBを所定長さ引き出して前記テーブル7上に送り出すと共に,送り出したバンドBを引き戻すローラユニット20,及び,前記テーブル7の下方に配置され,前記バンドBの端部を把持すると共に,該バンドBの切断と溶着を行うシールユニット40を備えている。
【0046】
そして,ローラユニット20によってテーブル7上に送り出されたバンドBを,被梱包物Wの外周を囲むループを形成するように,その先端をユーザがテーブル7の下方に配置されたシールユニット40の所定の位置に差し込むと,シールユニット40のバンド把持機構がバンドBの先端を把持すると共に,ローラユニット20がバンドBを引き戻して被梱包物Wの外周にバンドBを巻付けると共に引き締め,その後,シールユニット40がバンドBの切断とバンド端部間の溶着を行って梱包が終了する点は,図7を参照して説明した従来の梱包機と同様である。
【0047】
以上のように構成された梱包機1に適用される本発明のバンドリール10は,ゼンマイバネ65を内蔵したゼンマイバネ内蔵型のバンドリールであり,このゼンマイバネ65の力でバンドBを巻き取ることで,ローラユニット20とバンドリール本体11の間に,引き戻されたバンドBが溜まらないようにしている。
【0048】
このバンドリール10は,バンドBが巻かれるバンドリール本体11と,該バンドリール本体11と共に回転するリールシャフト12と,前記リールシャフト12を支承する,図示の例では支持アームであるリール支持機構60を備えている(図5参照)。
【0049】
前述の支持アーム60には,図4に示すようにリールシャフト12が挿入されるシャフト孔62を備えた軸受箱61が設けられており,この軸受箱61に設けたシャフト孔62内に軸受(ベアリング)63を挿入し,この軸受63にシャフト12を軸承させている。
【0050】
この軸受箱61には,前述した軸受63の取り付け位置よりもバンドリール本体11側に,リールシャフト12の外周を囲む円筒状の空間がゼンマイバネ室64として形成されており(図4及び図5参照),このゼンマイバネ室64内にゼンマイバネ65が収容されている。
【0051】
ゼンマイバネ室64内に収容するゼンマイバネ65は,その外周端側をゼンマイバネ室64内に固定することなく,ゼンマイバネ65自身が膨張しようとする力によってゼンマイバネ室64の内周面に押圧された状態で接触するように収容されている。
【0052】
このようにゼンマイバネ65の外周端側と接触されるゼンマイバネ室64の内周面64aは,軸受箱61の材質である樹脂や金属,セラミックス等の材質そのままの状態であっても良いが,摩擦抵抗の大きい材料,好ましくはシリコンゴムによってコーティングすることで,ゼンマイバネ65の外周端側との接触抵抗を増大させている。
【0053】
前述のゼンマイバネ65は,図4に示すようにその内周端65aを内周側に折り返して形成された係止爪66を備えており,この係止爪66に,リールシャフト12に設けた係合突起14(図5及び図6参照)を係合させることができるように構成されている。
【0054】
図示の構成では,ゼンマイバネ65の内周端65aに形成した係止爪66は,ゼンマイバネ65の内周端65aをU字状に折り返して形成したものとなっているが,この係止爪66は,図4及び図6に示した形状に限定されず,例えばV字状に折り返すことにより形成しても良い。
【0055】
このように,ゼンマイバネ65の内周端65aに設けた係止爪66を,ゼンマイバネ65の内周端65aを内周側で折り返して形成したことで,図6(A)に示すようにバンドリール本体11の正転によってリールシャフト12に設けた係合突起14が紙面反時計回り方向に回転する際には,係合突起14が係止爪66と係合して,ゼンマイバネ65を巻き締める。
【0056】
また,図6(B)に示すように,ゼンマイバネ65が巻き締められて力を貯えた状態で,ゼンマイバネ65の内周端65aが紙面時計回り方向に移動しているときには,ゼンマイバネ65の内周端65aに設けた係止爪66がリールシャフト12に設けた係合突起14と係合して,ゼンマイバネ65によってリールシャフト12が紙面時計回り方向に回転され,これによりバンドリール本体11が逆転する。
【0057】
しかし,図6(C)に示すように,ゼンマイバネ65が伸び切った状態で更にバンドリール本体11が慣性等によって逆転して係合突起14が紙面時計回り方向に回転すると,係合突起14と係止爪66との係合が解除されて,バンドリール本体11はゼンマイバネ65から切り離されて回転する。
【0058】
しかも,図6(D)に示すように,係止爪66は,ゼンマイバネ65の内周端65aを内向きに折り返して形成されていることで,バンドリール本体11が更に逆回転を継続して,時計回り方向で係止爪66に衝突すると,この衝突によりゼンマイバネ65の内周端65aは,外周方向に押し退けられてバンドリール本体11は更にゼンマイバネ65と切り離された状態で逆転できるようになっている。
【0059】
その結果,ゼンマイバネ65は,完全に伸び切った状態から更に紙面時計回り方向に回転されることがなく,これによりゼンマイバネ65の破損等を防止できるようになっている。
【0060】
リールシャフト12を軸承する前述の支持アーム60には,更にリールシャフト12に与える回転抵抗を可変と成す,ブレーキ手段50が設けられている。
【0061】
このブレーキ手段50としては,既知の各種の構成のものを採用可能であるが,本実施形態にあっては,図5に示すように,軸受箱61に設けたシャフト孔62と直交方向に連通するボルト孔51を設け,このボルト孔51にボルト52を螺合して,このボルト52の先端をシャフト孔62内に挿入されリールシャフト12の外周と接触させることで,ボルト52のねじ込み量の調整によってリールシャフト12に与える回転抵抗を可変とするブレーキ手段50を構成した。
【0062】
このブレーキ手段50を構成するボルト52の先端には,ウレタンやナイロン等の一定の摩擦係数の樹脂杆53を取り付けることが好ましく,本実施形態では,図5中に拡大図で示したように,リールシャフト12の外周と接触させる部分のボルト52の先端を,一定の摩擦係数の樹脂杆53によって形成すると共に,この樹脂杆53の棒が摩滅した場合には容易に交換することができるようにした。
【0063】
以上のようにして支持アーム60に回転可能に軸支したバンドリール本体11の外周位置には,図1~3に示すようにガイドローラ31が設けられており,バンドリール10より引き出したバンドBを,このガイドローラ31の外周に掛けてその向きを変換した後,ローラユニット20に導入することがでるように構成されている。
【0064】
このガイドローラ31は,一端32a側が軸支されて擺動可能とされたスイングアーム32の他端32b側に回転自在に取り付けられており,スイングアーム32の擺動によって,ガイドローラ31は,ローラユニット20との間の距離が拡縮するように移動できるように構成されている。
【0065】
このスイングアーム32は,バンドリール本体11の外周位置においてガイドローラ31をローラユニット20に近付け及び遠ざける方向に移動させることができるものであれば,特に,その構造は限定されないが,好ましくは,図2及び図3に示すように,スイングアーム32の一端32a側を,リールシャフト12と同軸上に軸支し,ガイドローラ31がバンドリール10の同心外周上を移動するように構成する。
【0066】
このように構成することで,図1に示す正面図においてスイングアーム32の殆どの部分をバンドリール10と重なる位置(バンドリール10の裏側)に配置して,スイングアーム32を設けた構成としながら梱包機1に大きな出っ張りが生じず全体的にコンパクトな形状とすることができる一方,ガイドローラ31の移動幅を比較的大きくとることができ,バンドBの大きなたるみについても吸収することができるものとなっている。
【0067】
前述のスイングアーム32には,ガイドローラ31をローラユニット20から遠ざける方向にスイングアーム32を付勢する付勢手段33が設けられており,本実施形態ではこの付勢手段33としてコイルスプリングを採用している。
【0068】
この付勢手段33によるスイングアーム32の付勢は,バンドBにテンションが掛かっていない状態ではガイドローラ31をローラユニット20より最も離れた位置に移動させる一方,ローラユニット20によるバンドBの送り出しによってバンドBにテンションが掛かると,ガイドローラ31がローラユニット20に近接した位置に移動できる程度の付勢力によって行われている。
【0069】
なお,ローラユニット20によるバンドBの送り出し時にバンドBに掛かるテンションは,バンドリール本体11の回転抵抗が大きい程,大きくなる。
【0070】
従って,ローラユニット20によるバンドBの送り出し時に,ガイドローラ31がローラユニット20に近接した位置へ移動するようにする調整は,付勢手段33の交換や取り付け位置の変更等の,付勢手段33側の付勢力の調整によって行うことができるだけでなく,リールシャフト12の回転抵抗を可変とするブレーキ手段50を設けた本実施形態の梱包機1にあっては,ブレーキ手段50を操作して,リールシャフト12に与える回転抵抗を変化させることによって調整するものとしても良い。
【0071】
〔作用等〕
以上のように構成された本発明のバンドリール10を備えた梱包機1において,ローラユニット20によるバンドの送り出しが行われると,バンドリール本体11に巻かれたバンドBが引き出されて,バンドリール本体11及びリールシャフト12が回転し,リールシャフト12に設けられた係合突起14は図6(A)に示すように,紙面反時計回り方向に回転する。
【0072】
これにより,係合突起14とゼンマイバネ65の内周端65aに設けた係止爪66とが係合して,ゼンマイバネ65の巻き締めが開始される。
【0073】
ゼンマイバネ65は,自身の膨張しようとする力によって,その外周端側がゼンマイバネ室64の内周面64aに押圧されて接触するようにゼンマイバネ室64内に収容されており,ゼンマイバネ65が巻かれていない状態では,ゼンマイバネ65の外周端側は,ゼンマイバネ室64の内周面64a上で滑りを生じない程度に強く圧接されている。
【0074】
この状態から,ゼンマイバネ65が巻き締められるに従い,ゼンマイバネ65は内周側に移動して外径を狭めるように変形することで〔図6(B)参照〕,ゼンマイバネ室64内周面64aに対してゼンマイバネ65外周端側を圧接する力が徐々に低下して,ゼンマイバネ65が所定数巻き締められると,ゼンマイバネ室64の内周面64a上でゼンマイバネ65の外周端側が滑り,ゼンマイバネ65が空転する。
【0075】
この空転時,ゼンマイバネ65は巻締めによって溜めていた力の一部を開放することで,空転が停止する接触抵抗が回復するまで外径が拡大することで空転が停止し,その後もローラユニット20によるバンドBの送り出しが継続して行われる場合,この状態から更にゼンマイバネ65の巻き締めが再開され,この動作が繰り返されることでゼンマイバネ65は,所定の巻き締め限界未満の状態に巻き締められることで,破損等することが防止されている。
【0076】
本発明のバンドリール10の構成では,巻き締めによってゼンマイバネ65に貯えられる力は,ゼンマイバネ65が空転を開始する直前において最大値となり,空転を開始した後,ゼンマイバネ室64内周面64aとの間で接触状態を回復して空転が停止した際には,貯えられた力の一部が開放されて失われる。
【0077】
従って,ゼンマイバネ65の外周端側と,ゼンマイバネ室64内周面64aとの接触抵抗が小さく,ゼンマイバネ65が容易に空転してしまう状態では,ゼンマイバネ65に貯えられる力の最大値が低くなり,また,ゼンマイバネ室64内周面64aとの接触状態が回復して空転を停止するまでに長時間を要し,より多くの力が開放されて失われることから,ゼンマイバネ65が空転した直後にローラユニット20によるバンドの送り出しが停止して,更なるゼンマイバネ65の巻き締めが行われない場合,ローラユニット20が引き戻したバンドBの全量をバンドリール本体11に巻き取れるだけの巻き締め力がゼンマイバネ65に貯えられていない状態が生じ得る。
【0078】
上記の点から,本実施形態では,ゼンマイバネ室64の内周面64aにシリコンゴムをコーティングして,ゼンマイバネ65の外周端側と,ゼンマイバネ室64の内周面64a間の接触抵抗を高めることで,ゼンマイバネ65に蓄えられる力の最大値を上昇させると共に,空転の発生時に接触抵抗の回復を早期に行わせることで,適正な巻き締め量で,かつ,バラツキの少ない状態でゼンマイバネを巻き締めることができるようにしている。
【0079】
以上のようにして,ローラユニット20によるバンドの送り出しが終了した後,ユーザが,テーブル上に載置された被梱包物Wの外周を囲むループを形成するように,バンドBの先端をシールユニット40の所定の位置に挿入すると,シールユニット40は挿入されたバンドBの端部を把持すると共に,ローラユニット20のメインローラ21が逆転を開始して,バンドBの引き戻しが開始される。
【0080】
このようにして,ローラユニット20によるバンドBの引き戻しが行われることで,ローラユニット20からバンドリール本体11側にバンドBが戻されると,ゼンマイバネ65によって逆転方向の回転力が与えられているバンドリール本体11が逆転してバンドの巻取りを開始する。
【0081】
このとき,ローラユニット20によるバンドの引き戻しに対し,バンドリール本体11によるバンドの巻取りに遅れが生じてローラユニット20とバンドリール本体11間のバンドBにたるみが生じた場合,このたるみは,付勢手段33の付勢力によってスイングアーム32が擺動して,ガイドローラ31がローラユニット20より離間する方向に移動されることで吸収される。
【0082】
また,バンドリール本体11にバンドBを巻き取っている際にゼンマイバネ65が伸び切った状態となってもバンドBの巻取りが終了せず,バンドリール本体11が慣性によって更に逆転を継続する場合,ゼンマイバネ65の内周端65aをリールシャフト12に固定した構成では,ゼンマイバネ65が伸び切った後も,ゼンマイバネ65が限界以上に伸ばされて破断するおそれがあったが,本発明の梱包機では,図6(C),(D)を参照して説明したように,ゼンマイバネ65が伸び切った状態で更にバンドリール10が逆転すると,ゼンマイバネ65の内周端65aに設けた係止爪66と,リールシャフト12に設けた係合突起14との係合が解除されてバンドリール10がゼンマイバネから切り離された状態で逆転することで,ゼンマイバネ65の破損が防止されている。
【0083】
ローラユニット20による所定量のバンドBの引き戻しが完了して,ローラユニット20が逆転を停止すると,その後,バンドリール本体11は,ローラユニット20とバンドリール本体11間のバンドBに生じている,たるみ分のバンドBを巻き取った時点で逆転できなくなって回転を停止する。
【0084】
このとき,ローラユニット20とバンドリール本体11間のバンドBは,ゼンマイバネ65の力と慣性力によって回転を継続しようとするバンドリール本体11の回転力を受け止めることでテンションが増大する。
【0085】
しかし,本発明のバンドリール10では,ブレーキ手段50によってバンドリール本体11と共に回転するリールシャフト12に適度な回転抵抗を与えることで,バンドリール本体11の逆転力を低減して,バンドリール本体11の回転停止時にバンドBに大きなテンション増加が生じることを防止している。
【0086】
特に,付勢手段33によって付勢されたスイングアーム32と,該スイングアーム32に取り付けたガイドローラ31を備えた構成では,バンドリール本体11の回転停止時に上昇するバンドBのテンションは,ガイドローラ31がローラユニット20に近付くようにスイングアーム32が擺動することにより吸収されることで,更にバンドBのテンション増大が抑制されている。
【0087】
その結果,脆弱な被梱包物Wを梱包する場合であっても,ローラユニット20によって被梱包物Wの外周に巻き付けられて適度に引き締められたバンドBが,バンドリール本体11の逆転停止時に更に引き締められることで破損等することを防止できる。
【0088】
このようにして,ローラユニット20によるバンドBの引き戻しが終了すると,シールユニット40においてバンドBの切断とバンド端間の溶着が行われて,梱包が終了する。
【0089】
なお,以上の説明では,リールシャフト12をバンドリール本体11に設けてバンドリール本体11と共に回転するように構成すると共に,ゼンマイバネ室64を,リール支持機構(支持アーム)60の軸受箱61に設けた構成を例に挙げて説明したが,この構成に代えて,図示は省略するが,図8を参照して説明した従来のバンドリール同様,リールシャフト12をリール支持機構60側に回転不能に固定した状態に設け,このリールシャフト12にバンドリール本体11を回転可能に軸承させる構成とすると共に,バンドリール本体11内にゼンマイバネ室64を形成して,ゼンマイバネ室64がリールシャフト12の外周を,バンドリール本体11と共に回転するように構成するものとしても良い。
【0090】
以上で説明したように,本発明の梱包機1のバンドリール10では,バンドリール10に設けたゼンマイバネ65を,過不足なく適正な状態に巻き締めることができると共に,バンドリール本体11の停止に伴って被梱包物Wに巻回されたバンドが必要以上に引き締められることを防止して,脆弱な被梱包物であっても破損等を生じさせることなく,高い信頼性を以て梱包することができる梱包機を提供することができた。
【符号の説明】
【0091】
1 梱包機
7 テーブル
10 バンドリール
11 バンドリール本体
12 リールシャフト
14 係合突起
20 ローラユニット
21 メインローラ
31 ガイドローラ
32 スイングアーム
32a 一端(スイングアームの)
32b 他端(スイングアームの)
33 付勢手段(コイルスプリング)
40 シールユニット
50 ブレーキ手段
51 ボルト孔
52 ボルト
53 樹脂(樹脂杆)
54 発条
60 リール支持機構(支持アーム)
61 軸受箱
62 シャフト孔
63 軸受(ベアリング)
64 ゼンマイバネ室
64a 内周面(ゼンマイバネ室の)
65 ゼンマイバネ
65a 内周端(ゼンマイバネの)
66 係止爪
100 梱包機
102 締付けナット
107 テーブル
110 バンドリール
111 バンドリール本体
111a 側板
112 リールシャフト
117 バネ受け
118 エンドプレート
119 摩擦板
120 ローラユニット
121 メインローラ
140 シールユニット
165 ゼンマイバネ
200 スプリング
B バンド
W 被梱包物

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8