(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-28
(45)【発行日】2023-04-05
(54)【発明の名称】睡眠状態可視化システム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/16 20060101AFI20230329BHJP
A61B 5/08 20060101ALI20230329BHJP
A61B 5/11 20060101ALI20230329BHJP
A61B 5/02 20060101ALI20230329BHJP
A61B 5/00 20060101ALI20230329BHJP
【FI】
A61B5/16 130
A61B5/16 200
A61B5/08
A61B5/11 100
A61B5/02 C
A61B5/00 102B
(21)【出願番号】P 2019077382
(22)【出願日】2019-04-15
【審査請求日】2022-04-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000196129
【氏名又は名称】西川株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100182006
【氏名又は名称】湯本 譲司
(72)【発明者】
【氏名】西川 康行
(72)【発明者】
【氏名】野々村 琢人
【審査官】藤原 伸二
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-186941(JP,A)
【文献】特開2007-190126(JP,A)
【文献】特開2009-022567(JP,A)
【文献】特開平08-131408(JP,A)
【文献】特開2007-007149(JP,A)
【文献】国際公開第2017/195839(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00-5/03
A61B 5/08
A61B 5/11-5/113
A61B 5/16-5/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
グループに属する複数の構成員のそれぞれが保有する寝具と、
複数の前記寝具のそれぞれに設けられており、前記構成員の睡眠データを取得する複数のセンサと、
前記複数のセンサのそれぞれによって測定された複数の前記構成員の睡眠データから複数の前記構成員の睡眠状態を前記構成員ごとに判定する睡眠状態判定部と、
前記睡眠状態判定部によって判定された複数の前記構成員の睡眠状態を複数の前記構成員のそれぞれの端末に表示するデータ表示制御部と、
を備え、
前記データ表示制御部は、前記構成員の識別情報と、前記構成員の睡眠状態とを1対1に対応付けて表示する、
睡眠状態可視化システム。
【請求項2】
前記睡眠状態判定部は、前記睡眠データから前記構成員が一定時間以上離床しているか否かを判定し、
前記構成員が前記一定時間以上離床していると判定されたときに、前記構成員の離床を複数の前記構成員のそれぞれの端末にリアルタイムで通知する離床通知部を更に備える、
請求項1に記載の睡眠状態可視化システム。
【請求項3】
前記睡眠状態判定部は、複数の前記構成員の睡眠データから複数の前記構成員の疲労度を判定し、
前記データ表示制御部は、複数の前記構成員の疲労度を複数の前記構成員のそれぞれの端末に表示する、
請求項1又は2に記載の睡眠状態可視化システム。
【請求項4】
前記センサは、前記構成員の呼吸を測定する呼吸測定センサ、及び前記構成員の心拍を測定する心拍測定センサを含んでおり、
前記睡眠状態判定部は、前記呼吸測定センサによって測定された呼吸、及び前記心拍測定センサによって測定された心拍、から前記構成員の疲労度を判定する、
請求項3に記載の睡眠状態可視化システム。
【請求項5】
前記睡眠状態判定部は、複数の前記構成員の睡眠データから複数の前記構成員の睡眠時間を算出し、
前記データ表示制御部は、複数の前記構成員の睡眠時間を複数の前記構成員のそれぞれの端末に表示する、
請求項1~4のいずれか一項に記載の睡眠状態可視化システム。
【請求項6】
前記睡眠状態判定部は、複数の前記構成員の睡眠データから複数の前記構成員の睡眠時間を算出すると共に前記疲労度を判定し、
前記データ表示制御部は、複数の前記構成員の睡眠時間及び疲労度を複数の前記構成員のそれぞれの端末に表示する、
請求項4に記載の睡眠状態可視化システム。
【請求項7】
前記睡眠状態判定部は、前記睡眠時間の算出、及び前記疲労度の判定を平日及び休日のそれぞれにおいて行い、
前記データ表示制御部は、平日における前記睡眠時間及び疲労度と、休日における前記睡眠時間及び疲労度とを前記端末に表示する、
請求項6に記載の睡眠状態可視化システム。
【請求項8】
前記睡眠状態判定部によって判定された睡眠状態から前記構成員への睡眠に関する提案情報を生成する提案情報生成部を更に備える、
請求項1~7のいずれか一項に記載の睡眠状態可視化システム。
【請求項9】
前記センサは、前記構成員の呼吸を測定する呼吸測定センサを含んでおり、
前記睡眠データは、前記呼吸測定センサによって測定された前記構成員の呼吸データを含んでおり、
前記睡眠状態判定部は、前記呼吸データから前記構成員の無呼吸の有無を判定する、
請求項1~8のいずれか一項に記載の睡眠状態可視化システム。
【請求項10】
起床時間を設定可能なアラーム通知部を備え、
前記睡眠状態判定部は、前記構成員の睡眠データから前記構成員の睡眠深度を判定し、
前記アラーム通知部は、設定された起床時間又は前記起床時間より前であって、且つ前記睡眠状態判定部によって判定された前記構成員の睡眠深度が睡眠深度閾値より浅くなったときにアラームを前記構成員に通知する、
請求項1~9のいずれか一項に記載の睡眠状態可視化システム。
【請求項11】
前記センサは、前記構成員の体重を測定する体重測定センサを含んでおり、
前記データ表示制御部は、前記体重測定センサによって測定された体重又は体重の変化量の時系列データを前記端末に表示する、
請求項1~10のいずれか一項に記載の睡眠状態可視化システム。
【請求項12】
前記センサは、
前記構成員の呼吸を測定する呼吸測定センサと、
前記構成員の心拍を測定する心拍測定センサと、
前記構成員の体動を測定する体動測定センサと、
を含んでおり、
前記呼吸測定センサ、前記心拍測定センサ及び前記体動測定センサは、前記寝具の上部に配置されており、
前記呼吸測定センサ、前記心拍測定センサ及び前記体動測定センサは、前記寝具と一体化されており、
前記寝具の上面には、凹部及び凸部が連続して形成されており、
前記呼吸測定センサ、前記心拍測定センサ及び前記体動測定センサは、前記凸部に接触した状態で固定されている、
請求項1~11のいずれか一項に記載の睡眠状態可視化システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、睡眠状態を可視化する睡眠状態可視化システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特開2010-99173号公報には、多人数用の睡眠管理システム及び多人数用の睡眠管理方法が記載されている。睡眠管理システムは、多数の生体情報センサと、多数の端末と、サーバとを備える。多数の生体情報センサのそれぞれと多数の端末のそれぞれとは通信可能とされており、サーバと多数の端末のそれぞれとは通信可能とされている。
【0003】
生体情報センサは睡眠管理システムの各使用者から睡眠生体情報を取得し、各端末は各生体情報センサから睡眠生体情報を受信する。サーバは、多数の端末のそれぞれから各使用者の睡眠生体情報を受信する。サーバは睡眠生体情報を解析する睡眠解析部を備えており、睡眠解析部は睡眠生体情報を心拍、寝息、いびき及び体動に分離すると共に睡眠深度解析を行う。
【0004】
サーバの睡眠解析部は、睡眠深度解析に基づいて、複数の使用者の睡眠のランキング付けを行う。睡眠解析部が行ったランキング付けの結果は、端末の表示部に表示される。端末には、睡眠時間、眠りの質、寝つき、中途覚醒及びいびきの各項目が点数化されてレーダーチャートとして表示される。
【0005】
また、サーバは、各端末に睡眠解析情報を報知する報知部を備える。報知部は、使用者が就寝するホテル、旅館、寮、病院、高齢者施設、障害者施設又は一般家庭に使用者の睡眠解析情報をインターネットを介して発信する。このように、各使用者の睡眠解析情報は、使用者の端末、又は、使用者に関係する登録機器に施設を介して報知される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述した睡眠管理システムでは、多数の使用者の睡眠解析情報を集中管理することが可能とされている。しかしながら、各端末には、各使用者の睡眠時間、眠りの質、寝つき、中途覚醒及びいびきが点数化されると共にレーダーチャートとして表示され、睡眠時間、眠りの質、寝つき、中途覚醒及びいびきの中では不要な情報が存在することもある。従って、表示される情報の分かりやすさの点で改善の余地がある。
【0008】
また、前述した睡眠管理システムでは睡眠生体情報を心拍、寝息、いびき及び体動に分離して睡眠深度解析を行い、睡眠のランキング付けを行うと共に、睡眠時間、眠りの質、寝つき、中途覚醒及びいびきの各項目の点数化を行う。従って、大量なデータを取得することによってハードディスク等の記憶装置を圧迫することが懸念される。また、取得した膨大なデータから必要なデータを抽出する処理の負荷が高いという問題もある。このように処理の負荷が高いことにより、睡眠解析情報の表示に時間がかかることが懸念される。また、前述した睡眠管理システムでは、不要と思われる情報も併せて抽出及び表示を行うため、表示の効率の点においても改善の余地がある。
【0009】
本開示は、表示される情報を分かりやすくすることができると共に、効率よく表示を行うことができる睡眠状態可視化システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示に係る睡眠状態可視化システムは、グループに属する複数の構成員のそれぞれが保有する寝具と、複数の寝具のそれぞれに設けられており、構成員の睡眠データを取得する複数のセンサと、複数のセンサのそれぞれによって測定された複数の構成員の睡眠データから複数の構成員の睡眠状態を構成員ごとに判定する睡眠状態判定部と、睡眠状態判定部によって判定された複数の構成員の睡眠状態を複数の構成員のそれぞれの端末に表示するデータ表示制御部と、を備え、データ表示制御部は、構成員の識別情報と、構成員の睡眠状態とを1対1に対応付けて表示する。
【0011】
この睡眠状態可視化システムでは、グループに属する複数の構成員のそれぞれが寝具を保有し、複数の寝具のそれぞれには各構成員の睡眠データを取得するセンサが設けられている。睡眠状態判定部は、各センサによって取得された構成員の睡眠データから、複数の構成員の睡眠状態を構成員ごとに判定する。そして、データ表示制御部は、複数の構成員の睡眠状態を複数の構成員のそれぞれの端末に表示する。よって、複数の構成員が所有する端末のそれぞれに複数の構成員の睡眠状態が表示されるので、各構成員が複数の構成員の睡眠状態を把握することができる。従って、自分の睡眠状態だけでなく、他の構成員の睡眠状態を把握することもできるので、例えば、遠隔地に住む子供、祖父又は祖母の睡眠状態を把握することが可能となる。また、データ表示制御部は、構成員の識別情報と、構成員の睡眠状態とを1対1に対応付けて表示する。よって、各構成員の端末には、構成員の識別情報と各構成員の睡眠状態とが一覧として表示される。従って、必要な睡眠状態の情報を構成員ごとに一覧として表示することができるので、表示される情報を分かりやすくすることができる。更に、この睡眠状態可視化システムでは、必要な睡眠状態の判定を行えばよいので、データの抽出等の処理の負荷を抑えることができるため、構成員ごとの必要な睡眠状態の情報を一覧として速やかに表示することができる。従って、構成員ごとの睡眠状態を一覧として効率よく表示することができる。
【0012】
また、睡眠状態判定部は、睡眠データから構成員が一定時間以上離床しているか否かを判定し、構成員が一定時間以上離床していると判定されたときに、構成員の離床を複数の構成員のそれぞれの端末にリアルタイムで通知する離床通知部を更に備えてもよい。この場合、センサによって取得された睡眠データから構成員が一定時間以上離床しているか否かが睡眠状態判定部によって判定される。そして、睡眠状態判定部によって構成員が一定時間以上離床していると判定されたときに、離床通知部は構成員が一定時間以上離床している旨を複数の構成員のそれぞれの端末にリアルタイムで通知する。従って、構成員の一定時間以上の離床をリアルタイムで複数の構成員に共有することができるので、睡眠中に異常があった場合の対応を迅速に行うことができる。
【0013】
また、睡眠状態判定部は、複数の構成員の睡眠データから複数の構成員の疲労度を判定し、データ表示制御部は、複数の構成員の疲労度を複数の構成員のそれぞれの端末に表示してもよい。この場合、睡眠状態判定部は複数の構成員の疲労度を構成員ごとに判定し、データ表示制御部は複数の構成員の疲労度を構成員ごとに表示する。従って、グループの中の構成員の誰の疲労度が高いかを端末で速やかに把握することができる。
【0014】
また、センサは、構成員の呼吸を測定する呼吸測定センサ、及び構成員の心拍を測定する心拍測定センサを含んでおり、睡眠状態判定部は、呼吸測定センサによって測定された呼吸、及び心拍測定センサによって測定された心拍、から構成員の疲労度を判定してもよい。この場合、呼吸測定センサ及び心拍測定センサのそれぞれが各構成員の呼吸及び心拍のそれぞれを測定し、睡眠状態判定部は測定された呼吸及び心拍から疲労度を構成員ごとに判定する。従って、呼吸及び心拍を用いて各構成員の疲労度を判定することにより、疲労度の判定を高精度に行うことができる。
【0015】
また、睡眠状態判定部は、複数の構成員の睡眠データから複数の構成員の睡眠時間を算出し、データ表示制御部は、複数の構成員の睡眠時間を複数の構成員のそれぞれの端末に表示してもよい。この場合、構成員の睡眠時間が構成員ごとに一覧として表示される。従って、グループの構成員のうち誰の睡眠時間が不足しているかを速やかに把握することができる。
【0016】
また、睡眠状態判定部は、複数の構成員の睡眠データから複数の構成員の睡眠時間を算出すると共に疲労度を判定し、データ表示制御部は、複数の構成員の睡眠時間及び疲労度を複数の構成員のそれぞれの端末に表示してもよい。この場合、各構成員の睡眠時間及び疲労度が構成員ごとに一覧表示されるので、睡眠時間と疲労度との因果関係を構成員ごとに把握することができる。例えば、ある構成員は睡眠時間が不足しているから疲労度が高い、又は、ある構成員は睡眠時間が十分であるが別の理由で疲労度が高い等といったことを把握できる。
【0017】
また、睡眠状態判定部は、睡眠時間の算出、及び疲労度の判定を平日及び休日のそれぞれにおいて行い、データ表示制御部は、平日における睡眠時間及び疲労度と、休日における睡眠時間及び疲労度とを端末に表示してもよい。この場合、平日の疲労度と休日の疲労度を比較することによって休日の疲労回復度を把握することができる。また、平日及び休日の疲労度を睡眠時間と対応付けて表示することにより、休日の睡眠時間と平日の睡眠時間との差分である休日の寝だめの時間と、休日の疲労回復度との関係を把握することができる。従って、休日の寝だめ可能時間、及び休日の推奨起床時間を把握することが可能である。
【0018】
また、睡眠状態可視化システムは、睡眠状態判定部によって判定された睡眠状態から構成員への睡眠に関する提案情報を生成する提案情報生成部を更に備えてもよい。この場合、提案情報生成部が睡眠に関する提案情報を生成してデータ表示制御部が提案情報を表示することにより、各構成員の睡眠状態に関する提案を行うことができる。従って、グループに属する各構成員の睡眠状態の改善に寄与する。
【0019】
また、センサは、構成員の呼吸を測定する呼吸測定センサを含んでおり、睡眠データは、呼吸測定センサによって測定された構成員の呼吸データを含んでおり、睡眠状態判定部は、呼吸データから構成員の無呼吸の有無を判定してもよい。この場合、データ表示制御部によって構成員の無呼吸の有無に関する情報を表示することができるので、無呼吸を患う構成員を特定することができる。
【0020】
また、睡眠状態可視化システムは、起床時間を設定可能なアラーム通知部を備え、睡眠状態判定部は、構成員の睡眠データから構成員の睡眠深度を判定し、アラーム通知部は、設定された起床時間又は起床時間より前であって、且つ睡眠状態判定部によって判定された構成員の睡眠深度が睡眠深度閾値より浅くなったときにアラームを構成員に通知してもよい。この場合、アラーム通知部は、設定された起床時間又は起床時間より前であって且つ睡眠深度が睡眠深度閾値より浅くなったときに作動する。従って、設定された起床時間又は起床時間より前にアラーム通知部が作動することによって各構成員は所望の時間、又は所望の時間よりも早く起きることができる。更に、睡眠深度が睡眠深度閾値より浅いときにアラーム通知部が作動することによって各構成員は睡眠深度が浅い状態で快適に目覚めることができる。
【0021】
また、センサは、構成員の体重を測定する体重測定センサを含んでおり、データ表示制御部は、体重測定センサによって測定された体重又は体重の変化量の時系列データを端末に表示してもよい。この場合、各構成員の端末に体重又は体重の変化量の時系列データが表示されるので、各構成員は体重の増加減少の傾向を把握することができる。
【0022】
また、センサは、構成員の呼吸を測定する呼吸測定センサと、構成員の心拍を測定する心拍測定センサと、構成員の体動を測定する体動測定センサと、を含んでおり、呼吸測定センサ、心拍測定センサ及び体動測定センサは、寝具の上部に配置されており、呼吸測定センサ、心拍測定センサ及び体動測定センサは、寝具と一体化されており、寝具の上面には、凹部及び凸部が連続して形成されており、呼吸測定センサ、心拍測定センサ及び体動測定センサは、凸部に接触した状態で固定されていてもよい。この場合、呼吸測定センサ、心拍測定センサ及び体動測定センサは、共に寝具の上部に配置されており、睡眠中の各構成員に近い位置に配置される。よって、呼吸測定センサ、心拍測定センサ及び体動測定センサのそれぞれが測定するデータの精度を高めることができる。また、呼吸測定センサ、心拍測定センサ及び体動測定センサは、寝具に一体化される。従って、測定の度に呼吸測定センサ、心拍測定センサ及び体動測定センサを設置する手間を解消することができる。また、寝具の上面に凹部及び凸部が形成されているので、クッション性が高い寝具とすることができる。更に、呼吸測定センサ、心拍測定センサ及び体動測定センサが凸部に接触した状態で固定されることにより、呼吸測定センサ、心拍測定センサ及び体動測定センサを寝具の上部に配置できるので、呼吸、心拍及び体動のデータをより高精度に取得することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、表示される情報を分かりやすくすることができると共に、効率よく表示を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、実施形態に係る睡眠状態可視化システムの機能の例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、
図1の機能の詳細の例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、
図3の寝具の例示的な横断面を示す断面図である。
【
図5】
図5(a)は、構成員ごとの睡眠時間の一覧画面の例を示す図である。
図5(b)は、構成員ごとの疲労度の一覧画面の例を示す図である。
【
図6】
図6(a)は、構成員ごとの睡眠時間及び疲労度の一覧画面の例を示す図である。
図6(b)は、平日及び休日のそれぞれの睡眠時間及び疲労度の画面の例を示す図である。
【
図7】
図7(a)は、睡眠状態に対する提案画面の例を示す図である。
図7(b)は、構成員ごとの無呼吸の有無を示す例示的な画面である。
【
図8】
図8は、構成員の体重の時系列データの例を示す図である。
【
図9】
図9は、実施形態に係る睡眠状態可視化方法の各工程の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下では、図面を参照しながら本開示に係る睡眠状態可視化システムの実施形態について説明する。図面の説明において同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。また、図面は、理解の容易のため、一部を簡略化又は誇張して描いている場合があり、寸法比率等は図面に記載のものに限定されない。
【0026】
本明細書において、「グループ」とは、複数の構成員の集合体(集まり)を示しており、典型的には、家族、企業等の職場、病院、又は地域が挙げられる。「構成員」とは、グループに属する人を示しており、例えば、家族を構成する父、母、子、職場の職員、病院の患者、又は地域の高齢者等が挙げられる。「寝具」とは、構成員が身体を休めたり睡眠をとったりするときに構成員の身体が当てられるものであり、典型的には、マットレス、敷き布団、枕、掛け布団又はクッションである。「地域」とは、例えば、町内会等の地域のグループを示しており、当該地域に住む住民によって構成されているグループである。
【0027】
図1は、本実施形態に係る睡眠状態可視化システム10の機能の例を示すブロック図である。睡眠状態可視化システム10は、例えば、グループG1の構成員A,B,Cのそれぞれが保有する寝具1と、各寝具1に設けられており構成員A,B,Cのそれぞれの睡眠データを取得する複数のセンサSと、各センサSによって測定された構成員A,B,Cの睡眠状態を判定する睡眠状態判定部23を含む睡眠管理部20と、構成員A,B,Cのそれぞれが所有する端末T1,T2,T3とを含む。なお、グループG1に属する構成員は、一例として構成員A,B,Cとしているが、構成員の人数は適宜変更可能である。
【0028】
本明細書において、「睡眠データ」とは、睡眠状態を判定する基となる睡眠のデータを示しており、例えば、睡眠時における構成員Aの呼吸、睡眠時における構成員Aの心拍、又は、睡眠時における構成員Aの体動が挙げられる。また、「睡眠データ」は、例えば、寝具1に横たわる構成員Aの体重、身長、血圧、血糖値、脈(一例として血中飽和酸素濃度)、又は皮膚表面温度(体温)であってもよい。
【0029】
「睡眠状態」とは、寝具において睡眠をとる構成員の状態を示している。「睡眠状態」は、例えば、睡眠時間及び睡眠深度等の眠りの状態、疲労度、ストレス度並びに体重等、眠りの状態以外の構成員の生体情報も含んでいる。「睡眠状態が劣化する」とは、睡眠時間が一定の推奨時間よりも短くなったり、睡眠深度が浅い状態が続いたり、疲労度若しくはストレス度が高い状態が続いたり、体重が増加傾向になったりすることを含んでいる。「睡眠状態が改善する」とは、睡眠状態が劣化した状態から脱した状態を示している。
【0030】
睡眠状態可視化システム10は、複数のグループを備えていてもよく、グループG1の他に、構成員X,Y,Zを含むグループG2を更に備えていてもよい。このように、睡眠状態可視化システム10では、複数のグループと連携することも可能である。但し、睡眠状態の情報共有は、グループ内で行われる。
【0031】
一例として、グループG1は家族であり、グループG2は職場である。睡眠状態可視化システム10では、グループG1及びグループG2等のグループに属する複数の構成員の睡眠状態を睡眠状態判定部23によって判定し、判定した複数の構成員の睡眠状態を可視化してグループ内における複数の構成員の間で各構成員の睡眠状態を共有する。
【0032】
すなわち、睡眠状態可視化システム10では、家族又は職場等のグループ内で構成員の睡眠状態を共有可能である。よって、グループの各構成員の睡眠に対する意識の変革を促すことが可能であり、睡眠状態をグループ内で共有することによって家族又は職場等の睡眠に対する意識を高めて、良質な睡眠を得ることを構成員に促すことが可能である。
【0033】
例えば、グループが家族である場合には、仕事で睡眠時間が不足しがちな父親、又は、学業で睡眠時間が不足しがちな子供に対して睡眠時間を確保するように促すことが可能になると共に、遠隔地に住む祖父又は祖母と睡眠状態を共有することも可能となる。グループが会社である場合には、仕事が多すぎてストレス等で睡眠状態が劣化している従業員がいないかどうかを共有することが可能となり、例えば睡眠状態が劣化している従業員を病気になる前に休ませる等の措置が可能となる。グループが地域である場合には、例えば、寝付けない等の理由で睡眠状態が劣化している高齢者がいないかどうかを地域で共有することが可能となり、睡眠状態が劣化して病を患いそうな高齢者等を事前に救済することも可能となる。
【0034】
睡眠管理部20は、例えば、構成員A,B,C,X,Y,Zのそれぞれが所有する寝具1の各センサSと、端末T1,T2,T3,T4,T5,T6とのそれぞれと通信可能とされている。睡眠管理部20は、各センサSから構成員A,B,C,X,Y,Zのそれぞれの睡眠データを受信する。睡眠管理部20の睡眠状態判定部23によって判定された構成員A,B,Cの睡眠状態はグループG1内において共有される。また、睡眠管理部20の睡眠状態判定部23によって判定された構成員X,Y,Zの睡眠状態はグループG2内において共有される。
【0035】
端末T1,T2,T3,T4,T5,T6のそれぞれは、スマートフォン又はタブレット等の携帯端末、及びパーソナルコンピュータ又はノートパソコン等のコンピュータを含んでいる。睡眠管理部20は、例えば、コンピュータ(サーバであってもよい)に設けられている。
【0036】
寝具1は、例えば、ネットワークモジュールを構成する通信部を含んでおり、寝具1の通信部は、無線LAN又はBluetooth(登録商標)等の無線通信インタフェースを含む。寝具1に内蔵されたセンサSは、例えば、寝具1の通信部を介して睡眠管理部20と通信可能である。
【0037】
睡眠管理部20が設けられるコンピュータは、例えば、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラム等を実行するプロセッサ(例えばCPU)と、ROM及びRAM等によって構成される主記憶部と、ハードディスク又はフラッシュメモリ等で構成される補助記憶部と、ネットワークカード又は無線通信モジュールで構成される通信制御部と、を備える。
【0038】
睡眠管理部20が設けられるコンピュータの各構成要素は、プロセッサ又は主記憶部に所定のソフトウェアを読み込ませて当該ソフトウェアを実行することによって実現される。プロセッサは、当該ソフトウェアに従って通信制御部を動作させ、主記憶部又は補助記憶部におけるデータの読み出し又は書き出しを行う。コンピュータの処理に必要なデータは、主記憶部又は補助記憶部に記憶される。
【0039】
睡眠管理部20は、例えば、各センサSによって取得された睡眠データを寝具1の通信部から受信する。一例として、睡眠管理部20は、センサSの後述する呼吸心拍測定センサ2が測定した構成員Aの呼吸及び心拍、センサSの後述する体動測定センサ3が測定した構成員Aの体動、並びに、センサSの後述する体重測定センサ4が測定した体重を解析する。例えば、睡眠状態判定部23は、呼吸、心拍及び体動の少なくともいずれかから構成員Aの睡眠深度を判定する。
【0040】
一例として、睡眠管理部20は、機能的構成要素として、構成員情報取得部21、寝具情報取得部22、睡眠状態判定部23、離床通知部24、アラーム通知部25、提案情報生成部26、データ表示制御部27及びデータ記憶部28を含む。データ記憶部28は、睡眠管理部20が受信した情報、及び睡眠管理部20の内部において得られた情報を前述した主記憶部又は補助記憶部に記憶するデータベースである。なお、以下では、睡眠管理部20を扱う構成員を例示的に構成員A,B,C、睡眠管理部20を扱う端末を端末T1,T2,T3として説明することがある。
【0041】
図1及び
図2に示されるように、構成員情報取得部21は、構成員A,B,Cの情報を取得する。構成員情報取得部21は、例えば、構成員個人情報21a、職場通学場所情報21b、グループ情報21c及び情報共有可能者情報21dを取得する。構成員個人情報21aは、一例として、睡眠状態可視化システム10の構成員を識別するための情報(利用者ID)、パスワード、性別、年代及びメールアドレスを含む。
【0042】
構成員個人情報21aは、例えば、入眠前の構成員A,B,Cの情報を含む。入眠前の構成員A,B,Cから取得する構成員個人情報21aは、例えば、入眠数時間前(一例として入眠2時間前)までの構成員A,B,Cの行動情報を含む。入眠数時間前までの構成員A,B,Cの行動情報は、一例として、食事の有無、運動の有無、入浴の有無、飲酒の有無、カフェイン摂取の有無、喫煙の有無、及び疲労感の程度に関する情報を含む。なお、疲労感の程度は、例えば、選択式(一例として5段階のラジオボタン)で入力されてもよい。この場合、疲労感の入力の手間を軽減させることが可能となる。
【0043】
更に、構成員個人情報21aは、起床後の構成員A,B,Cの情報を含んでいてもよく、例えば、起床後の構成員A,B,Cの疲労感の程度に関する情報を含んでいてもよい。構成員個人情報21aが入眠前の疲労感の程度に関する情報と起床後の疲労感の程度に関する情報とを含むことにより、睡眠による疲労感の回復度合をデータ記憶部28に蓄積することが可能となる。
【0044】
職場通学場所情報21bは、例えば、職場通学場所の郵便番号を含む。構成員個人情報21a及び職場通学場所情報21bのそれぞれは上記の情報を例えば端末T1,T2,T3のそれぞれから取得し、当該取得された上記の情報はデータ記憶部28に記憶される。これにより、睡眠状態判定部23は、例えば、性別ごとの睡眠状態の判定、年代ごとの睡眠状態の判定、又は職場通学場所ごとの睡眠状態の判定を行うことが可能である。更に、睡眠時間判定部23aは、入眠数時間前までの食事の有無、運動の有無、入浴の有無、飲酒の有無、カフェイン摂取の有無、喫煙の有無、又は疲労感の程度ごとの睡眠状態の判定を行うことが可能である。
【0045】
グループ情報21cは、構成員が属するグループの情報である。例えば、グループ情報21cは、構成員A,B,CについてはグループG1(例えばXX一家)、構成員X,Y,ZについてはグループG2(例えばYY会社)という情報を含む。情報共有可能者情報21dは、構成員A,B,Cのそれぞれの睡眠状態の共有を可能な構成員の情報を含んでいる。
【0046】
例えば、構成員Aは構成員Bとは睡眠状態を共有してもよいが構成員Cとは睡眠状態を共有したくない場合、構成員Aの情報共有可能者情報21dは情報共有が可能な構成員Bのみである。構成員個人情報21aが情報共有可能者情報21dを有することによって、構成員A,B,Cごとに睡眠状態の情報共有者を選択することが可能となる。
【0047】
寝具情報取得部22は、寝具1の情報を取得する。寝具情報取得部22は、例えば、寝具1を識別する寝具品番情報22aと、使用場所情報22bとを含む。使用場所情報22bは、例えば、寝具1の使用場所(一例として自宅)の郵便番号を含む。寝具品番情報22a及び使用場所情報22bのそれぞれは、寝具1の品番、及び寝具1の使用場所情報を例えば端末T1,T2,T3のそれぞれから取得し、当該取得された上記の情報はデータ記憶部28に記憶される。
【0048】
睡眠状態判定部23は、例えば、寝具1の品番ごと(又は寝具1の種類ごと)の睡眠状態の判定、又は寝具1の使用場所ごとの睡眠状態の判定を行うことが可能である。更に、睡眠状態判定部23は自宅及び職場通学場所ごとの睡眠状態の判定を構成員A,B,Cごとに行うことが可能であり、この場合、通勤時間又は通学時間と睡眠時間との関係を把握することも可能となる。
【0049】
また、自宅以外の場所(例えばホテル)の寝具1において使用場所情報22bが寝具情報取得部22に取得されている場合、睡眠状態判定部23は普段の寝具1の使用場所(例えば自宅)以外の構成員A,B,Cの睡眠状態を判定することが可能となる。睡眠状態判定部23は、各センサSから得られた睡眠データから構成員ごとに睡眠状態を判定する。以下では、睡眠状態判定部23について詳細な説明を行う前に寝具1及びセンサSの具体例について説明する。
【0050】
図3に示されるように、本実施形態に係る寝具1は、例えば、構成員A,B,Cのそれぞれが睡眠をとるときに構成員A,B,Cのそれぞれの睡眠データを測定する。
図3では、構成員Aの睡眠データを測定する例について説明する。「睡眠データを測定する」とは、例えば、睡眠中の構成員Aの呼吸、心拍、体動及び体重の少なくともいずれかを測定することによって、構成員Aの眠りの深さ等を推定し、眠りの状態に関する情報を取得することを示している。寝具1は、通常の寝具と同様、睡眠をとるために個人用又は家庭用として用いられてもよいし、試験研究用として研究所等で用いられるものであってもよい。
【0051】
図3は、本実施形態に係る例示的な寝具1を示す平面図である。
図3に示されるように、寝具1に内蔵されたセンサS(
図1参照)は、例えば、構成員Aの呼吸及び心拍を測定する呼吸心拍測定センサ2と、構成員Aの体動を測定する体動測定センサ3と、構成員Aの体重を測定する体重測定センサ4と、寝具1の周囲の空間の温度を測定する温度センサ(不図示)とを備える。呼吸心拍測定センサ2、体動測定センサ3及び体重測定センサ4を含む寝具1のセンサSは、寝具1に一体化され、本実施形態では、寝具1の内部に予め固定されている。
【0052】
本明細書において「一体化」とは、ある物と他の物とが互いに固定されて一体となることを示しており、ある物と他の物とが予め一体化されていること、及びある物と他の物とが後で一体化されること、の両方を含んでいる。なお、寝具1のセンサSの構成は、上記呼吸心拍測定センサ2、体動測定センサ3及び体重測定センサ4を含むセンサSの例に限られず、例えば、呼吸心拍測定センサ2、体動測定センサ3及び体重測定センサ4の少なくともいずれかが省略されてもよい。
【0053】
例えば、寝具1は、2つの呼吸心拍測定センサ2を備える。一例として、呼吸心拍測定センサ2は、同軸線を含む圧電センサである。但し、呼吸心拍測定センサ2の種類は適宜変更可能である。また、本実施形態では、呼吸を測定する呼吸測定センサと、心拍を測定する心拍測定センサとが一体の呼吸心拍測定センサ2とされている。しかしながら、呼吸測定センサと心拍測定センサとが互いに独立して別々に設けられていてもよい。
【0054】
例えば、呼吸心拍測定センサ2は、寝具1の長手方向D1の一端1aから長さL1の箇所に配置された呼吸心拍測定センサ2Aと、一端1aから長さL2の箇所に配置された呼吸心拍測定センサ2Bとを含む。呼吸心拍測定センサ2A及び呼吸心拍測定センサ2Bは、共に、寝具1の幅方向D2に延びている。長さL1は構成員Aの肩M1から胸M2の位置に相当する長さであり、長さL2は構成員Aの腰M3の位置に相当する長さである。
【0055】
例えば、長さL1は30cm以上且つ70cm以下(一例として50cm)であり、長さL2は70cm以上且つ110cm以下(一例として90cm)である。呼吸心拍測定センサ2は、寝具1の幅方向D2の一端から他端まで延びており、これにより、構成員Aがどのように寝返りを打っても構成員Aの呼吸及び心拍を測定することが可能となる。なお、平面視における呼吸心拍測定センサ2の位置は、上記の例に限られず適宜変更可能である。
【0056】
例えば、体動測定センサ3は、寝具1の上に横たわる構成員Aの体動を測定する。「体動」とは、身体の向きが仰臥位(仰向け)、側臥位(横向き寝)及び俯せのそれぞれの時系列データ等を含んでおり、睡眠中における構成員Aの身体の動きを示している。体動測定センサは、例えば、伸縮性を有する歪みセンサである。
【0057】
一例として、体動測定センサ3は、ゴム状の静電容量センサである。この場合、体動測定センサ3は、複数の金属片と、複数の金属片の間に位置する誘電体とを備える。外力で体動測定センサ3が変形すると、外力に伴って複数の金属片の間の距離が変化して静電容量が変化することにより、体動測定センサ3が構成員Aの体動を検出する。なお、体動測定センサ3の種類は、上記の例に限られず適宜変更可能である。
【0058】
寝具1は、例えば、複数(一例として4個)の体動測定センサ3を備える。4個の体動測定センサ3は、例えば、平面視における左端に配置された体動測定センサ3A、平面視における右端に配置された体動測定センサ3D、体動測定センサ3Aと体動測定センサ3Dの間において左側に配置された体動測定センサ3B及び右側に配置された体動測定センサ3Cを含む。複数の体動測定センサ3は、例えば、寝具1の幅方向D2に沿って配列されている。このように、複数の体動測定センサ3が幅方向D2に沿って配列されることにより、構成員Aがどの位置で寝ていてもより確実に構成員Aの体動を測定することが可能となる。複数の体動測定センサ3は、例えば、平面視における寝具1の中心1bを通ると共に長手方向D1に延びる直線Lに対して互いに対称となる位置に配置されていてもよい。
【0059】
体重測定センサ4は、その図示を簡略化しているが、例えば、寝具1の複数の箇所のそれぞれにおける体圧を検出する複数の圧力センサを含んでいる。体重測定センサ4は、複数の圧力センサの検出値から構成員Aの体重を算出する。また、体重測定センサ4は構成員Aの荷重を測定する。そして、体重測定センサ4によって測定された構成員Aの荷重の有無によって睡眠状態判定部23は構成員Aの寝具1の使用有無を判定する。なお、体重測定センサ4の構成は複数の圧力センサを備える構成に限られず適宜変更可能である。
【0060】
図4は、寝具1を鉛直方向に沿って切断したときの断面図である。寝具1は、例えば、マットレスである。一例として、寝具1は、クッション材5と、クッション材5を覆う側地9とを備えており、側地9はクッション材5を覆っている。呼吸心拍測定センサ2、体動測定センサ3及び体重測定センサ4は寝具1の上部5Aに設けられている。本明細書において、「上部」とは、あるものの下面より上方の部分を示しており、例えば、あるものの上半分の部分、及びあるものの上面を含む部分を示していてもよい。
【0061】
クッション材5は、例えば、直方体状を成すベース部6と、ベース部6の上面6aに設けられる複数の第1突起7(凸部)と、各第1突起7の頂面7bに設けられる第2突起8(凸部)とを備える。一例として、ベース部6及び第1突起7は第2突起8よりも硬く、各第2突起8はスポンジ状とされている。第1突起7及び第2突起8は、ベース部6の上面6aにおいて格子状に配置されていてもよい。
【0062】
ベース部6は、例えば、上面6aから下方に延びるスリット6b(凹部)を備える。一例として、スリット6bは、上面6aから下方に延びる直線部6cと、直線部6cの下端において拡張する拡張部6dとを有する。拡張部6dは、例えば、直線部6cの下端から円形状に拡張しているが、拡張部6dの形状は適宜変更可能である。このように、スリット6bの直線部6cの下端に拡張部6dが形成されることにより、クッション材5のクッション性が高められている。
【0063】
ベース部6は、複数のスリット6bを備えており、例えば、複数のスリット6bがクッション材5において周期的に設けられていてもよい。このように、複数のスリット6bを有することによってクッション性が高い領域を広くすることができ、複数のスリット6bが周期的に設けられることによってクッション性が高い領域を均一に配置することが可能となる。
【0064】
第1突起7の材料は、例えば、ベース部6の材料と同一である。例えば、2つのスリット6bの間に複数の第1突起7が設けられている。すなわち、2つのスリット6bの間に形成されたベース部6の島部6eに複数の第1突起7が設けられている。一例として、島部6eに3列の第1突起7が配置されている。なお、第1突起7の材料は、ベース部6の材料とは異なっていてもよく、適宜変更可能である。
【0065】
第1突起7は、例えば、截頭四角錐状とされている。具体的には、第1突起7は、ベース部6の上面6aから上方に延びる複数の斜辺7aと、複数の斜辺7aの上端同士の間において上面6aに沿って延びる頂面7bとを備える。斜辺7aは、例えば、第1突起7の外側に膨らむように湾曲している。また、側面視において、第1突起7は、2本の斜辺7aが脚となる台形状とされていてもよい。頂面7bは、一例として、平坦面である。しかしながら、斜辺7a及び頂面7bの形状は適宜変更可能であり、更に、第1突起7の形状は、截頭四角錐状に限られず、適宜変更可能である。
【0066】
第2突起8は、第1突起7の頂面7bに載せられた突起であって、クッション材5の上端面を形成する。第2突起8は、例えば、上端に頂点が位置する放物線状となっている。しかしながら、第2突起8の形状は、例えば、円弧状であってもよく適宜変更可能である。一例として、第2突起8は着色されており、例えば、第2突起8の色彩はベース部6及び第1突起7の色彩とは異なる色彩とされている。これにより、着色された第2突起8が格子状に配列されるので、クッション材5のデザイン性が高められている。
【0067】
呼吸心拍測定センサ2は、例えば、第2突起8の頂部8aに固定されていてもよい。呼吸心拍測定センサ2は、複数の頂部8aのうちの一部のみに固定されていてもよいし、複数の頂部8aの全てに固定されていてもよい。また、呼吸心拍測定センサ2は、例えば、側地9の裏面9aと第2突起8の頂部8aとの間に設けられていてもよく、側地9の裏面9aに固定されていてもよい。呼吸心拍測定センサ2の固定の手段は、例えば、縫い込み、接着又は溶着等、種々の方法が挙げられる。以上のように構成される寝具1を構成員A,B,Cが使用することにより、構成員A,B,Cは快適な寝心地を得ることが可能となる。
【0068】
図1及び
図2に示されるように、睡眠状態判定部23は、睡眠時間判定部23a、睡眠深度判定部23b、疲労度判定部23c及びストレス判定部23dを含む。睡眠時間判定部23aは、例えば、体重測定センサ4によって測定された寝具1への構成員A,B,Cの荷重の時系列データから睡眠時間を判定してもよい。
【0069】
この場合、睡眠時間判定部23aは、体重測定センサ4によって構成員A,B,Cの荷重が検知されたときに睡眠時間の加算を行い、体重測定センサ4によって構成員A,B,Cの荷重が検知されなくなったときに睡眠時間の加算を停止することによって、構成員A,B,Cの睡眠時間を判定する。また、睡眠時間判定部23aは、呼吸心拍測定センサ2によって測定された構成員A,B,Cの呼吸及び心拍、又は体動測定センサ3によって測定された構成員A,B,Cの体動から睡眠時間の判定を行ってもよい。
【0070】
睡眠深度判定部23bは、例えば、睡眠中の構成員A,B,Cの睡眠深度を判定する。例えば、睡眠深度判定部23bは、構成員A,B,Cの寝返りを測定する寝返り測定部を含んでおり、寝返り測定部は体動測定センサ3によって測定された構成員A,B,Cの体動から寝返りを測定する。一例として、睡眠深度判定部23bの寝返り測定部は、構成員A,B,Cの仰向けの時間及び回数、構成員A,B,Cの横向き寝の時間及び回数、並びに、構成員A,B,Cのうつ伏せの時間及び回数を測定してもよい。
【0071】
睡眠深度判定部23bは、例えば、前述した寝返り測定部によって測定された寝返りの回数、並びに、呼吸心拍測定センサ2によって測定された構成員A,B,Cの呼吸及び心拍、の少なくともいずれかから構成員A,B,Cの睡眠深度を判定する。一例として、睡眠深度判定部23bは、寝返りの回数が所定回数以下であるときに構成員A,B,Cの睡眠深度が深いと判定してもよい。
【0072】
また、睡眠深度判定部23bは、呼吸及び心拍の少なくともいずれかが所定回数以上であるときに構成員A,B,Cの睡眠深度が浅いと判定してもよい。睡眠深度判定部23bは、例えば、構成員A,B,Cの睡眠深度を、0(レム睡眠)、1、2、3及び4のいずれかの5段階で判定する。この場合、睡眠深度判定部23bが判定した睡眠深度の数値が大きいほど睡眠深度が深いことを示しており、例えば、睡眠深度「4」が最も深く、「0」が最も浅い。
【0073】
疲労度判定部23cは構成員A,B,Cの疲労度を判定する。ここで、「疲労度」とは、疲労の程度を表した値であって、一例として、最も疲労度が低い「A」から「B」、「C」、「D」及び最も疲労度が高い「E」の5段階で示される。この場合、「A」が最も疲労度が少なく、「E」が最も疲労している状態である。疲労度は、例えば、呼吸心拍測定センサ2によって測定された呼吸及び心拍が所定範囲内で安定している場合に低く判定され、呼吸心拍測定センサ2によって測定された呼吸及び心拍のいずれかが所定範囲から逸脱している場合に高く判定されてもよい。
【0074】
ストレス判定部23dは構成員A,B,Cのストレス度を判定する。ここで、「ストレス度」とは、構成員A,B,Cが受けているストレスの度合を表した値であって、一例として、「高」、「中」及び「低」の3段階で示される。ストレス判定部23dは、呼吸心拍測定センサ2によって得られた構成員A,B,Cの心拍変動の時系列データ(RRI:R-R Interval)からストレス指標を示すLF/HFを判定し、当該判定の結果を「高」、「中」及び「低」のいずれかとしてもよい。
【0075】
離床通知部24は、構成員A,B,Cのいずれかの寝具1からの離床を構成員A,B,Cで共有するために端末T1,T2,T3に離床の通知を行う。例えば、体重測定センサ4によって構成員Cの荷重が所定時間検知されていない状態が継続したときに、睡眠状態判定部23は構成員Cが一定時間離床していると判定する。
【0076】
離床通知部24は、例えば、睡眠状態判定部23によって構成員Cが一定時間以上離床していると判定されたときに、構成員Cの離床を構成員A,B,Cの端末T1,T2,T3のそれぞれにリアルタイムで通知する。睡眠状態判定部23の判定基準となる上記の「一定時間」は、例えば、15分又は30分であるが、端末T1,T2,T3の操作によって変更可能とされていてもよい。この場合、所望の時間に離床の通知を受けることが可能となる。
【0077】
アラーム通知部25は、例えば、起床時間を設定可能な起床手段である。「起床時間」は、構成員A,B,Cのそれぞれによって設定される起床時間を示している。「起床時間」は、構成員A,B,Cのそれぞれによって設定される起床時刻、及び起床時刻より所定時間前の時刻から起床時刻までの時間、の双方を含む。
【0078】
具体例として、「起床時間」は、起床時刻が6時に設定されたときには、6時より所定時間前の時刻(例えば30分前の5時半)から6時までの30分間を含んでもよい。また、「起床時間」は、起床時刻として設定されてもよいし、所定の範囲をもった時間(例えば5時半から6時までの間)として設定されてもよい。
【0079】
アラーム通知部25は、端末T1,T2,T3のそれぞれにおいて設定された起床時間になるとアラームを端末T1,T2,T3のそれぞれに通知して構成員A,B,Cを覚醒及び起床させる。アラーム通知部25は、例えば、寝具1に内蔵された発光部、寝具1に内蔵された振動部、及び寝具1に内蔵された発熱部、の少なくともいずれかに制御信号を出力して、当該発光部、当該振動部及び当該発熱部の少なくともいずれかを起動させて構成員A,B,Cを起こしてもよい。
【0080】
提案情報生成部26は、睡眠状態判定部23によって判定された構成員A,B,Cの睡眠状態から当該睡眠状態に対する提案情報を生成する。例えば、提案情報生成部26は、推奨入眠時刻、推奨起床時刻、推奨睡眠時間、コメント、商品情報及び施設情報の少なくともいずれかを生成する。
【0081】
提案情報生成部26が生成する推奨入眠時刻、推奨起床時刻及び推奨睡眠時間は、例えば、平日及び休日のそれぞれに対して生成されてもよい。本明細書において、「休日」とは土曜、日曜及び祝日を示しており、「平日」とは休日以外の日を示している。但し、土曜は「平日」に含まれてもよい。また、休暇に合わせる等のために「平日」及び「休日」の日を変更可能であってもよい。
【0082】
提案情報生成部26が生成するコメントとしては、例えば、睡眠時間が所定時間よりも短いときに睡眠時間を増やした方がよい等のコメント、又は睡眠をとる部屋の温度を高くした方がよい等のコメントが挙げられる。提案情報生成部26が生成する商品情報としては、例えば、抱き枕若しくは枕を含む寝具情報、又は温熱治療器等の情報が挙げられる。提案情報生成部26が生成する施設情報としては、医療機関情報又は睡眠相談所情報が挙げられる。
【0083】
データ表示制御部27は、睡眠状態判定部23によって判定された構成員A,B,Cのそれぞれの睡眠状態を端末T1,T2,T3のそれぞれに表示する。
図5(a)に示されるように、例えば、データ表示制御部27は、睡眠時間判定部23aによって判定された構成員A,B,Cの睡眠時間を一覧として表示する。
図5(a)の例では、構成員A,B,Cだけでなく、他の構成員D,E,F、G,H,I,J,K,Lの睡眠時間も併せて表示している。
図5(a)の例では、構成員C、構成員G、構成員I及び構成員Kの睡眠時間が比較的少ないことが一目で分かる。
【0084】
データ表示制御部27は、構成員A,B,Cの識別情報と、構成員A,B,Cの睡眠状態(例えば、睡眠時間)とを1対1に対応付けて表示する。「構成員の識別情報」とは、グループ内の構成員を識別するための情報を示しており、例えば、氏名が挙げられる。また、「構成員の識別情報」は、ニックネーム等、氏名以外の識別情報であってもよく、例えば、グループが家族であれば、父、母又は子等の続柄であってもよい。
【0085】
図5(b)に示されるように、例えば、データ表示制御部27は、睡眠状態判定部23によって判定された疲労度を端末T1,T2,T3のそれぞれに表示する。一例として、データ表示制御部27は、睡眠状態判定部23によって判定された構成員A,B,C,D,E,F、G,H,I,J,K,Lの疲労度を一覧として表示している。この例では、構成員B、構成員C、構成員G及び構成員Kの疲労度が比較的高いことが一目で分かる。
【0086】
データ表示制御部27は、例えば、構成員A,B,Cごとの一日前の睡眠状態(例えば、昨晩の睡眠時間、又は昨晩の疲労度)を表示してもよいし、構成員A,B,Cごとの一定期間における睡眠状態の平均(例えば、睡眠時間の平均、又は疲労度の平均)を表示してもよい。
【0087】
また、
図5(a)及び
図5(b)では、データ表示制御部27が棒グラフとして構成員ごとの睡眠時間又は疲労度を表示する例について説明した。しかしながら、データ表示制御部27は、棒グラフに限られず、時系列グラフを含む折れ線グラフ、円グラフ、帯グラフ、ヒストグラム、レーダーチャート又は散布図等として、構成員ごとの睡眠状態を表示してもよい。また、データ表示制御部27は、離床通知部24による離床の通知を端末T1,T2,T3のそれぞれに表示してもよいし、アラーム通知部25による起床の通知を端末T1,T2,T3のそれぞれに表示してもよい。
【0088】
図6(a)に示されるように、データ表示制御部27は、例えば、睡眠時間及び疲労度の一覧を構成員A,B,C,D,E,Fごとに表示してもよい。
図6(a)の例では、構成員A,B,C,D,E,Fごとの睡眠時間及び疲労度の一覧をデータ表示制御部27が端末T1,T2,T3に表示する例を示している。一例として、疲労度は、前述したように「A」~「E」の5段階で示されており、
図6(a)の例では、構成員Cが他の構成員と比較して睡眠時間が短く且つ若干疲れており、構成員Bは睡眠時間は十分であるが若干疲れていることが一目で分かる。
【0089】
図6(b)に示されるように、データ表示制御部27は、提案情報生成部26による提案情報を表示してもよい。例えば、データ表示制御部27は、平日及び休日のそれぞれにおける構成員Aの睡眠時間及び疲労度と、休日の推奨起床時刻を端末T1,T2,T3に表示する。このように、データ表示制御部27が休日の推奨起床時刻を表示することにより、休日の睡眠時間と平日の睡眠時間とが乖離しすぎることを抑制することができる。
【0090】
また、
図6(b)の例では、平日及び休日のそれぞれにおける睡眠時間及び疲労度をデータ表示制御部27が表示することにより、休日の寝だめの効果を把握することができる。この例では、構成員Aは、平日よりも休日に1時間長く寝ているが、疲労度は「B」とそれほど変わらないことを示している。
【0091】
図7(a)に示されるように、例えば、データ表示制御部27は、提案情報生成部26によって生成されたコメントと商品情報を表示する。
図7(a)の例では、構成員Aの睡眠状態に関するコメントが表示されており、もう少し早く寝た方がいい旨、及びもう少し寝具1の部屋の温度を上げた方がいい旨のコメントを例示している。また、商品情報としては、快眠家電をお勧めしている例を示している。
【0092】
図7(b)に示されるように、データ表示制御部27は、睡眠中における無呼吸の有無を構成員ごとに端末T1,T2,T3に表示してもよい。この例では、呼吸心拍測定センサ2によって測定された構成員A,B,C,D,E,Fの呼吸から睡眠状態判定部23が無呼吸の有無を構成員A,B,C,D,E,Fごとに判定し、当該判定の結果がデータ表示制御部27によって表示される。この例では、構成員Cが無呼吸を患っていることが分かる。
【0093】
図8に示されるように、データ表示制御部27は、構成員Aの体重の時系列データを端末T1,T2,T3に表示してもよい。また、データ表示制御部27は、構成員Aの体重の変化量の時系列データを端末T1,T2,T3に表示してもよい。
図8の例では、体重測定センサ4によって測定された構成員Aの体重が睡眠管理部20に送信されてデータ記憶部28に記憶され、当該記憶された体重又は体重の変化量の時系列データがデータ表示制御部27によって表示される。
図8の例では、構成員Aの体重が若干増加傾向であることが分かる。
【0094】
次に、睡眠状態可視化システム10を用いて構成員A,B,Cのそれぞれの睡眠状態を可視化する睡眠状態可視化方法の例について
図9のフローチャートを参照しながら説明する。
図9は、本実施形態に係る睡眠状態可視化方法の各工程の一例を示しており、一連の工程は例えば睡眠管理部20によって実行される。以下では、構成員A,B,Cが睡眠状態可視化システム10を用いて睡眠状態を可視化する方法の例について説明する。
【0095】
まず、構成員A,B,Cの構成員情報、及び寝具1の情報の登録を行う(ステップS1)。このとき、構成員A,B,Cは、端末T1,T2,T3によって構成員個人情報21a、職場通学場所情報21b、グループ情報21c及び情報共有可能者情報21dを構成員情報取得部21に入力する。
【0096】
そして、構成員A,B,Cは、端末T1,T2,T3によって寝具1の寝具品番情報22a及び使用場所情報22bを寝具情報取得部22に入力する。なお、構成員情報取得部21への構成員情報の入力、及び寝具情報取得部22への寝具情報の入力は、例えば、寝具1の購入後等、睡眠状態可視化システム10を使用する前までに予め行われる。
【0097】
次に、入眠前に、起床時間の設定、並びに、入眠前行動及び疲労感の入力を行う(ステップS2)。このとき、構成員A,B,Cは、端末T1,T2,T3によって各自の起床時間をアラーム通知部25に設定する。そして、構成員A,B,Cは、端末T1,T2,T3によって入眠前の情報を構成員情報取得部21に入力する。前述したように、入眠前の情報としては、例えば、入眠数時間前までの構成員A,B,Cの行動情報、すなわち、食事の有無、運動の有無、入浴の有無、飲酒の有無、カフェイン摂取の有無、喫煙の有無、及び疲労感の程度に関する情報が挙げられる。
【0098】
ステップS2の後に構成員A,B,Cが寝具1に入眠すると、センサSが構成員A,B,Cの呼吸、心拍、体動及び体重の測定を行う(ステップS3)。なお、センサSは、構成員A,B,Cの体温を測定してもよい。このとき、睡眠状態判定部23が構成員A,B,Cの睡眠状態の判定を開始してもよい。
【0099】
この場合、睡眠状態判定部23は、例えば、呼吸心拍測定センサ2によって得られた構成員A,B,Cの呼吸及び心拍から構成員A,B,Cのストレス度を判定し、データ表示制御部27がストレス度を表示してもよい。データ表示制御部27は、例えば、ストレス度の表示を提案形式で行ってもよく、この場合、ダイレクトにストレスが高いと表示するのではなく、「もう少し部屋の温度を暖かくした方がよい」のように提案する形でストレス度を表示する。
【0100】
構成員A,B,Cが入眠した後には、睡眠状態判定部23によって構成員A,B,Cが一定時間以上離床したか否かが判定される(ステップS4)。例えば、構成員Cが一定時間(一例として15分)以上離床している場合(ステップS4においてYES)、離床通知部24が構成員Cの離床を端末T1,T2,T3に通知する(ステップS5)。また、構成員A,B,Cが一定時間以上離床していない場合(ステップS4においてNO)、ステップS6に移行する。
【0101】
ステップS6では、アラーム通知部25に設定された起床時間の所定時間前になったか否かが判定される。当該所定時間は、例えば、10分以上且つ30分以下であるが、適宜変更可能である。例えば、起床時間が6時で当該所定時間が20分である場合、「起床時間の所定時間前」は5時40分である。起床時間の所定時間前になっていないと判定された場合には、ステップS4に戻る。また、ステップS6において、起床時間の所定時間前になったと判定された場合にはステップS7に移行する。
【0102】
ステップS7では、睡眠深度判定部23bによって判定されている構成員A,B,Cの睡眠深度が睡眠深度閾値より浅いか否かが判定される。「睡眠深度閾値」とは、構成員の睡眠深度が目覚めに相応しい睡眠深度になっているか否かを判定する基準となる値であり、例えば、レム睡眠とノンレム睡眠との境界値となる睡眠深度「1」である。
【0103】
この場合、睡眠深度判定部23bによって判定された睡眠深度が「1」より浅い(レム睡眠)か否かが判定され、睡眠深度が「1」より浅くないと判定された場合には引き続きステップS7を実行する。一方、睡眠深度が「1」より浅い(レム睡眠)と判定された場合にはステップS8に移行する。但し、前述した「睡眠深度閾値」の値は、睡眠深度「1」に限られず適宜変更可能である。
【0104】
一例として、「起床時間前の所定時間前」である5時40分を経過して、5時50分に睡眠深度が睡眠深度閾値より浅くなった場合、5時50分にステップS8に移行し、眠りが浅くなった5時50分にアラーム通知部25が端末T1,T2,T3にアラームを通知する。アラーム通知部25が端末T1,T2,T3にアラームを通知することによって構成員A,B,Cが起床する。
【0105】
起床した後に、構成員A,B,Cは、構成員情報取得部21に起床後の疲労感の入力を行ってもよい。この場合、データ記憶部28に起床後の疲労感と入眠前の疲労感とが記憶されるので、睡眠による疲労回復度のデータを構成員A,B,Cごとにデータ記憶部28に蓄積できる。また、構成員A,B,Cによって入力された疲労度の主観データを睡眠状態判定部23による疲労度の判定に用いられる客観データに反映させて、睡眠状態判定部23による疲労度の判定の精度が高められてもよい。以上のように、構成員A,B,Cが入眠から起床までの過程を経ることにより、構成員A,B,Cのそれぞれの端末T1,T2,T3で構成員A,B,Cの睡眠状態を共有することが可能となる。
【0106】
次に、本実施形態に係る睡眠状態可視化システム10から得られる作用効果について詳細に説明する。
図1、
図5(a)及び
図5(b)に例示されるように、睡眠状態可視化システム10では、グループG1に属する構成員A,B,Cのそれぞれが寝具1を保有し、複数の寝具1のそれぞれには構成員A,B,Cのそれぞれの睡眠データを取得するセンサSが設けられている。
【0107】
データ表示制御部27は、各センサSによって取得された構成員A,B,Cの睡眠データから、構成員A,B,Cの睡眠状態を構成員A,B,Cの端末T1,T2,T3のそれぞれに表示する。よって、構成員A,B,Cが所有する端末T1,T2,T3のそれぞれに構成員A,B,Cの睡眠状態が表示されるので、構成員A,B,Cのそれぞれが構成員A,B,Cの睡眠状態を把握することができる。
【0108】
従って、自分の睡眠状態だけでなく、他の構成員の睡眠状態を把握することもできるので、例えば、遠隔地に住む子供、祖父又は祖母の睡眠状態を把握することが可能となる。また、データ表示制御部27は、構成員A,B,Cの識別情報(例えば、父、母、子又は氏名等)と、構成員A,B,Cの睡眠状態とを1対1に対応付けて表示する。
【0109】
よって、構成員A,B,Cのそれぞれの端末T1,T2,T3には、構成員A,B,Cの識別情報と構成員A,B,Cのそれぞれの睡眠状態とが一覧として表示される。従って、必要な睡眠状態の情報を構成員ごとに一覧として表示することができるので、表示される情報を分かりやすくすることができる。
【0110】
更に、睡眠状態可視化システム10では、必要な睡眠状態の判定を行えばよいので、データの抽出等の処理の負荷を抑えることができるため、構成員ごとの必要な睡眠状態を一覧として速やかに表示することができる。従って、構成員ごとの睡眠状態を一覧として効率よく表示することができる。
【0111】
また、睡眠状態判定部23は、睡眠データから構成員A,B,Cが一定時間以上離床しているか否かを判定し、構成員Cが一定時間以上離床していると判定されたときに、構成員Cの離床を構成員A,B,Cの端末T1,T2,T3にリアルタイムで通知する離床通知部24を備える。従って、センサSによって取得された睡眠データから構成員A,B,Cが一定時間以上離床しているか否かが睡眠状態判定部23によって判定される。
【0112】
そして、睡眠状態判定部23によって構成員Cが一定時間以上離床していると判定されたときに、離床通知部24は構成員Cが離床している旨を構成員A,B,Cのそれぞれの端末T1,T2,T3にリアルタイムで通知する。従って、構成員の一定時間以上の離床をリアルタイムで複数の構成員に共有することができるので、睡眠中に異常があった場合の対応を迅速に行うことができる。
【0113】
また、睡眠状態判定部23は、構成員A,B,Cの睡眠データから構成員A,B,Cの疲労度を判定し、データ表示制御部27は、構成員A,B,Cの疲労度を構成員A,B,Cの端末T1,T2,T3のそれぞれに表示してもよい。この場合、睡眠状態判定部23は複数の構成員A,B,Cの疲労度を構成員ごとに判定し、データ表示制御部27は構成員A,B,Cの疲労度を構成員ごとに表示する。従って、グループG1の中の誰の疲労度が高いかを端末T1,T2,T3で速やかに把握することができる。
【0114】
また、センサSは、構成員Aの呼吸及び心拍を測定する呼吸心拍測定センサ2を含んでいてもよく、睡眠状態判定部23は、呼吸心拍測定センサ2によって測定された呼吸及び心拍から構成員Aの疲労度を判定してもよい。この場合、呼吸心拍測定センサ2が構成員A,B,Cのそれぞれの呼吸及び心拍のそれぞれを測定し、睡眠状態判定部23は測定された呼吸及び心拍から疲労度を構成員ごとに判定する。従って、呼吸及び心拍を用いて各構成員の疲労度を判定することにより、疲労度の判定を高精度に行うことができる。
【0115】
また、
図1、
図6(a)及び
図6(b)に示されるように、睡眠状態判定部23(睡眠時間判定部23a)は、構成員A,B,Cの睡眠データから構成員A,B,Cの睡眠時間を算出すると共に疲労度を判定し、データ表示制御部27は、構成員A,B,Cの睡眠時間及び疲労度を構成員A,B,Cのそれぞれの端末T1,T2,T3に表示してもよい。
【0116】
この場合、各構成員の睡眠時間及び疲労度が構成員ごとに一覧表示されるので、睡眠時間と疲労度との因果関係を構成員ごとに把握することができる。例えば、構成員Cは睡眠時間が不足しているから疲労度が高い、又は構成員Bは睡眠時間が十分であるが別の理由で疲労度が高い等といったことを把握できる。
【0117】
また、睡眠状態判定部23は、睡眠時間の算出、及び疲労度の判定を平日及び休日のそれぞれにおいて行い、データ表示制御部27は、平日における睡眠時間及び疲労度と、休日における睡眠時間及び疲労度とを端末T1,T2,T3に表示する。よって、平日の疲労度と休日の疲労度を比較することによって休日の疲労回復度を把握することができる。
【0118】
また、平日及び休日の疲労度を睡眠時間と対応付けて表示することにより、休日の睡眠時間と平日の睡眠時間との差分である休日の寝だめの時間と、休日の疲労回復度との関係を把握することができる。従って、休日の寝だめ可能時間、及び休日の起床推奨時刻を把握することが可能である。
【0119】
また、
図1、
図7(a)及び
図7(b)に示されるように、睡眠状態可視化システム10は、睡眠状態判定部23によって判定された睡眠状態から構成員A,B,Cへの睡眠に関する提案情報を生成する提案情報生成部26を更に備えてもよい。この場合、提案情報生成部26が睡眠に関する提案情報を生成してデータ表示制御部27が提案情報を表示することにより、各構成員の睡眠状態に関する提案を行うことができる。従って、グループに属する構成員の睡眠状態の改善に寄与する。
【0120】
また、センサSは、構成員A~Fの呼吸を測定する呼吸測定センサ(例えば呼吸心拍測定センサ2)を含んでいてもよく、睡眠データは呼吸測定センサによって測定された構成員A~Fの呼吸データを含んでおり、睡眠状態判定部23は呼吸データから構成員A~Fの無呼吸の有無を判定してもよい。この場合、データ表示制御部27によって構成員A~Fの無呼吸の有無に関する情報を表示することができるので、無呼吸を患う構成員Cを特定することができる。
【0121】
また、睡眠状態可視化システム10は、起床時間を設定可能なアラーム通知部25を備え、睡眠状態判定部23(睡眠深度判定部23b)は、構成員A,B,Cの睡眠データから構成員A,B,Cの睡眠深度を判定し、アラーム通知部25は、設定された起床時間又は起床時間より前であって、且つ睡眠状態判定部23によって判定された構成員A,B,Cの睡眠深度が睡眠深度閾値より浅くなったときにアラームを構成員A,B,Cに通知する。
【0122】
すなわち、アラーム通知部25は、設定された起床時間又は起床時間より前であって且つ睡眠深度が睡眠深度閾値より浅くなったときに作動する。従って、設定された起床時間又は起床時間より前にアラーム通知部25が作動することによって構成員A,B,Cのそれぞれは所望の時間、又は所望の時間よりも早く起きることができる。更に、睡眠深度が睡眠深度閾値より浅いときにアラーム通知部25が作動することによって構成員A,B,Cのそれぞれは睡眠深度が浅い状態で快適に目覚めることができる。
【0123】
また、センサSは、構成員の体重を測定する体重測定センサ4を含んでおり、データ表示制御部27は、体重測定センサ4によって測定された体重又は体重の変化量の時系列データを端末T1,T2,T3に表示する。従って、各構成員の端末T1,T2,T3に体重又は体重の変化量の時系列データが表示されるので、各構成員は体重の増加減少の傾向を把握することができる。
【0124】
また、
図3及び
図4に示されるように、センサSは、構成員A,B,Cの呼吸を測定する呼吸心拍測定センサ2と、構成員A,B,Cの体動を測定する体動測定センサ3と、を含んでおり、呼吸心拍測定センサ2及び体動測定センサ3は、寝具1の上部に配置されており、呼吸心拍測定センサ2及び体動測定センサ3は寝具1と一体化されており、寝具1の上面には、凹部及び凸部が連続して形成されており、呼吸心拍測定センサ2及び体動測定センサ3は凸部に接触した状態で固定されていてもよい。
【0125】
この場合、呼吸心拍測定センサ2及び体動測定センサ3は、共に寝具1の上部に配置されており、睡眠中の構成員A,B,Cのそれぞれに近い位置に配置される。よって、呼吸心拍測定センサ2及び体動測定センサ3のそれぞれが測定するデータの精度を高めることができる。また、呼吸心拍測定センサ2及び体動測定センサ3は寝具1に一体化される。従って、測定の度に呼吸心拍測定センサ2及び体動測定センサ3を設置する手間を解消することができる。
【0126】
また、寝具1の上面に凹部及び凸部が形成されているので、クッション性が高い寝具1とすることができる。更に、呼吸心拍測定センサ2及び体動測定センサ3が凸部に接触した状態で固定されることにより、呼吸心拍測定センサ2及び体動測定センサ3を寝具1の上部に配置できるので、呼吸、心拍及び体動のデータをより高精度に取得することができる。
【0127】
以上、本開示に係る睡眠状態可視化システムの実施形態について説明したが、本発明は、前述した実施形態に限られるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲において適宜変更可能である。すなわち、本発明に係る睡眠状態可視化システムの各部の構成及び機能は、上記の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0128】
例えば、前述の実施形態では、マットレスである寝具1について例示したが、本発明に係る寝具は、マットレス以外のものであってもよい。例えば、本発明に係る寝具は、敷き布団、枕、掛け布団、クッション又は座布団等であってもよい。また、前述の実施形態では、クッション材5と側地9との間に呼吸心拍測定センサ2を含むセンサSが固定される例について説明した。しかしながら、センサSが固定される場所は、例えば、クッション材5の内部であってもよく適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0129】
1…寝具、1a…一端、1b…中心、2,2A,2B…呼吸心拍測定センサ、3,3A,3B,3C,3D…体動測定センサ、4…体重測定センサ、5…クッション材、6…ベース部、6a…上面、6b…スリット(凹部)、6c…直線部、6d…拡張部、6e…島部、7…第1突起(凸部)、7a…斜辺、7b…頂面、8…第2突起(凸部)、8a…頂部、9…側地、9a…裏面、10…睡眠状態可視化システム、20…睡眠管理部、21…構成員情報取得部、21a…構成員個人情報、21b…職場通学場所情報、21c…グループ情報、21d…情報共有可能者情報、22…寝具情報取得部、22a…寝具品番情報、22b…使用場所情報、23…睡眠状態判定部、23a…睡眠時間判定部、23b…睡眠深度判定部、23c…疲労度判定部、23d…ストレス判定部、24…離床通知部、25…アラーム通知部、26…提案情報生成部、27…データ表示制御部、28…データ記憶部、A,B,C,X,Y,Z,…構成員、D1…長手方向、D2…幅方向、G1,G2…グループ、L…直線、L1,L2…長さ、M1…肩、M2…胸、M3…腰、S…センサ、T1,T2,T3,T4,T5,T6…端末。