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特許7252664離床判定装置、離床判定システム、及び離床判定プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-28
(45)【発行日】2023-04-05
(54)【発明の名称】離床判定装置、離床判定システム、及び離床判定プログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/11 20060101AFI20230329BHJP
   A61B 5/16 20060101ALI20230329BHJP
   G01V 1/00 20060101ALI20230329BHJP
   A47C 17/02 20060101ALI20230329BHJP
【FI】
A61B5/11 100
A61B5/16 130
G01V1/00 A
A47C17/02 Z
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021165409
(22)【出願日】2021-10-07
(62)【分割の表示】P 2016091379の分割
【原出願日】2016-04-28
(65)【公開番号】P2022008947
(43)【公開日】2022-01-14
【審査請求日】2021-10-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000133179
【氏名又は名称】株式会社タニタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 富男
(72)【発明者】
【氏名】上原 克文
【審査官】▲瀬▼戸井 綾菜
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-202847(JP,A)
【文献】特開2014-023700(JP,A)
【文献】特開平07-031592(JP,A)
【文献】特開平10-014889(JP,A)
【文献】特開2012-011174(JP,A)
【文献】特開2004-097496(JP,A)
【文献】特開平11-076178(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0046668(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00-5/398
A61G 7/00-7/16
G06Q 50/22
G08B 1/00-31/00
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
寝具上のユーザの体動を示す体動情報を取得する体動取得手段と、
前記寝具上のユーザによる荷重を示す荷重情報を取得する荷重取得手段と、
取得された前記体動情報によって示される体動の時系列変化に基づいて前記ユーザが在床状態である場合を判定し、前記荷重情報によって示される現在の荷重と、前記ユーザが在床状態である場合の荷重と、の差分に基づいて、前記ユーザが離床したか否かを判定する判定手段と、
を備えた離床判定装置。
【請求項2】
寝具上のユーザの体動を検出する体動検出手段と、
前記寝具上のユーザの荷重を検出する荷重検出手段と、を備え、
前記体動取得手段は、前記体動検出手段により検出された体動を示す体動情報を取得し、
前記荷重取得手段は、前記荷重検出手段により検出された荷重を示す荷重情報を取得する
請求項1記載の離床判定装置。
【請求項3】
前記体動検出手段は、前記ユーザが在床している場合には前記ユーザからの圧力が加わると共に、前記ユーザが離床している場合には前記ユーザからの圧力が加わらない位置に設けられた圧力伝達体における振動を検出する振動センサであり、
前記荷重検出手段は、前記圧力伝達体における圧力の変化を検出する圧力センサである
請求項2記載の離床判定装置。
【請求項4】
前記荷重検出手段は、前記ユーザが在床している場合には前記ユーザからの外力が加わると共に、前記ユーザが離床している場合には前記ユーザからの外力が加わらない位置に設けられたシートに加わる外力を検出する外力センサである
請求項2記載の離床判定装置。
【請求項5】
前記判定手段は、前記ユーザが在床状態である場合の荷重、及び前記ユーザが不在状態である場合の荷重に基づいて前記ユーザが離床したか否かを判定する
請求項1~4の何れか1項記載の離床判定装置。
【請求項6】
前記判定手段は、前記体動の時系列変化において体動が検出されていない場合は前記ユーザが不在状態であると判定し、前記体動の時系列変化において体動が検出されている場合は前記ユーザが在床状態であると判定する
請求項5記載の離床判定装置。
【請求項7】
前記判定手段は、前記ユーザが在床状態である時間帯の初めの時刻を含む予め定めた時間帯の荷重を用いずに、前記ユーザが在床状態である場合の荷重を算出する
請求項6記載の離床判定装置。
【請求項8】
前記判定手段は、前記ユーザが在床状態であると判定した場合に、予め定めた時間を遡った時刻における前記ユーザが在床状態である場合の荷重から現在の時刻の荷重を減算した差分が、前記ユーザが在床状態である場合の荷重に基づいて決定された、前記ユーザが離床したか否かを判定するための閾値より大きい場合に、前記ユーザが離床したと判定する
請求項1~7の何れか1項記載の離床判定装置。
【請求項9】
前記判定手段は、前記ユーザが離床したと判定した場合、前記体動の時系列変化に基づいて前記ユーザが睡眠状態であるか覚醒状態であるかを判定し、予め定めた時間を遡った時間帯で前記ユーザが睡眠状態である場合、予め定めた時間を遡った時間帯に睡眠状態であった前記ユーザが離床したと判定する
請求項1~8の何れか1項記載の離床判定装置。
【請求項10】
前記判定手段は、前記ユーザが在床状態である場合の荷重、及び前記ユーザが不在状態である場合の荷重に基づいて前記ユーザが離床したか否かを判定するための基準値を算出し、前記ユーザが在床状態である場合の荷重から現在の荷重を減算した差分が前記基準値より大きい状態が予め定めた時間以上継続した場合に、前記ユーザが離床したと判定する
請求項5~7および請求項5を引用する請求項9の何れか1項記載の離床判定装置。
【請求項11】
前記判定手段は、前記ユーザが在床状態であると判定した場合に、予め定めた複数の時間を遡った複数の時間帯のうちの少なくとも1つの時間帯における前記ユーザが在床状態である場合の荷重から現在の荷重を減算した差分が前記基準値より大きい状態が予め定めた時間以上継続した場合に、前記ユーザが離床したと判定する
請求項10記載の離床判定装置。
【請求項12】
前記判定手段により前記ユーザが離床したと判定した場合、前記ユーザが離床した旨を報知する報知手段を更に備えた
請求項1~11の何れか1項記載の離床判定装置。
【請求項13】
前記判定手段により前記ユーザが離床したと判定した場合、予め定めた時間を遡った時間帯に睡眠状態であった前記ユーザが離床した旨を報知する報知手段を更に備えた
請求項9記載の離床判定装置。
【請求項14】
前記ユーザの入床及び離床の少なくとも1つの情報を外部装置に送信する送信手段を更に備えた
請求項1~13の何れか1項記載の離床判定装置。
【請求項15】
請求項1記載の体動取得手段及び荷重取得手段と、を備える第1装置と、
請求項1記載の判定手段を備える第2装置と、
を備えた離床判定システム。
【請求項16】
コンピュータを、請求項1~14の何れか1項記載の離床判定装置を構成する体動取得手段、荷重取得手段、及び判定手段として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザが離床したか否かを判定する離床判定装置、離床判定システム、及び離床判定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
高齢者の介護施設等では、在床中の被介護者が離床する際に転倒してしまったり、介護者が目を離している隙に在床中の被介護者が1人で離床して徘徊してしまったりする場合がある。そのため、被介護者がベッド上で起き上がったこと、離床したこと等を検知して介護者に報知する離床判定装置が提案されてきた。
【0003】
例えば、特許文献1には、被介護者の生体信号に基づいて被介護者の離床を判定する離床判定装置が開示されている。この離床判定装置は、被介護者の生体信号を無侵襲且つ無拘束で検出する生体信号検出手段と、生体信号検出手段によって検出された生体信号に対して利得制御を行うことによってピーク値を一定に制御し、そのときの利得の値を用いて生体信号強度を算出する生体信号強度算出手段と、生体信号強度算出手段によって算出された生体信号強度に基づいて、被介護者の在床を判定する在床判定手段と、利得制御を行うことによってピーク値を一定に制御した生体信号の波形振幅に基づいて、被介護者の体動の有無を検出する体動検出手段と、在床判定手段による判定結果と体動検出手段による検出結果とに基づいて、被介護者の離床の有無を判定する離床判定手段とを備えている。
【0004】
また、この離床判定装置の離床判定手段は、在床判定手段によって被介護者の在床が判定された状態で、体動検出手段によって体動があった旨が検出された場合に利得制御のレベルをロックするか又は一定レベル以下には利得を下げないようにし、且つ、生体信号強度のピーク値が所定値以上となるように利得制御を行わせ、体動検出手段によって所定時間継続した体動があった旨が検出された後に生体信号の波形振幅が略ゼロ値となった場合に離床があったものと判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2013-183812号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に開示された離床判定装置では、被介護者の生体信号を逐次解析して在床を判定するため、離床の判定に時間を要してしまう。離床の判定に時間を要し、被介護者が離床した旨を介護者に報知するタイミングが遅れた場合には、介護者が、被介護者が離床したことを認識した段階で、被介護者の居場所を特定できなくなってしまう場合がある。
【0007】
また、被介護者の離床を判定する方法として、被介護者の寝具の下部に荷重センサを配置し、配置された荷重センサにより計測された荷重の変化を用いる方法も考えられる。しかしながら、この方法では、例えば被介護者の所有物等の被介護者の荷重以外の荷重によって被介護者の在床又は離床が誤検知される可能性があり、被介護者の離床の判定の精度が低下する。
【0008】
本発明は、ユーザの離床を速やかに精度良く判定することができる離床判定装置、離床判定システム、及び離床判定プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る離床判定装置は、寝具上のユーザの体動を示す体動情報を取得する体動取得手段と、前記寝具上のユーザによる荷重を示す荷重情報を取得する荷重取得手段と、取得された前記体動情報によって示される体動の時系列変化に基づいて前記ユーザが在床状態である場合を判定し、前記荷重情報によって示される現在の荷重と、前記ユーザが在床状態である場合の荷重と、の差分に基づいて、前記ユーザが離床したか否かを判定する判定手段と、を備える。
【0010】
請求項2に係る離床判定装置は、寝具上のユーザの体動を検出する体動検出手段と、前記寝具上のユーザの荷重を検出する荷重検出手段と、を備え、前記体動取得手段は、前記体動検出手段により検出された体動を示す体動情報を取得し、前記荷重取得手段は、前記荷重検出手段により検出された荷重を示す荷重情報を取得する。
【0011】
請求項3に係る離床判定装置は、請求項2記載の発明において、前記体動検出手段は、前記ユーザが在床している場合には前記ユーザからの圧力が加わると共に、前記ユーザが離床している場合には前記ユーザからの圧力が加わらない位置に設けられた圧力伝達体における振動を検出する振動センサであり、前記荷重検出手段は、前記圧力伝達体における圧力の変化を検出する圧力センサである。
【0012】
請求項4に係る離床判定装置は、請求項2記載の発明において、前記荷重検出手段は、前記ユーザが在床している場合には前記ユーザからの外力が加わると共に、前記ユーザが離床している場合には前記ユーザからの外力が加わらない位置に設けられたシートに加わる外力を検出する外力センサである。
【0013】
請求項5に係る離床判定装置は、請求項1~4の何れか1項記載の発明において、前記判定手段は、前記体動の時系列変化に基づいて前記ユーザが在床状態であるか不在状態であるかを判定し、前記ユーザが在床状態である場合の荷重、及び前記ユーザが不在状態である場合の荷重に基づいて前記ユーザが離床したか否かを判定する。
【0014】
請求項6に係る離床判定装置は、請求項5記載の発明において、前記判定手段は、前記体動の時系列変化において体動が検出されていない場合は前記ユーザが不在状態であると判定し、前記体動の時系列変化において体動が検出されている場合は前記ユーザが在床状態であると判定する。
【0015】
請求項7に係る離床判定装置は、請求項6記載の発明において、前記判定手段は、前記ユーザが在床状態である時間帯の初めの時刻を含む予め定めた時間帯の荷重を用いずに、前記ユーザが在床状態である場合の荷重を算出する。
【0016】
請求項8に係る離床判定装置は、請求項1~7の何れか1項記載の発明において、前記判定手段は、予め定めた時間を遡った時刻における前記ユーザの荷重から現在の時刻の荷重を減算した差分が、前記ユーザが在床状態である場合の荷重に基づいて決定された、前記ユーザが離床したか否かを判定するための閾値より大きい場合に、前記ユーザが離床したと判定する。
【0017】
請求項9に係る離床判定装置は、請求項1~8の何れか1項記載の発明において、前記ユーザが離床したと判定した場合、前記判定手段は、前記体動の時系列変化に基づいて前記ユーザが睡眠状態であるか覚醒状態であるかを判定し、予め定めた時間を遡った時間帯で前記ユーザが睡眠状態である場合、予め定めた時間を遡った時間帯に睡眠状態であった前記ユーザが離床したと判定する。
【0018】
請求項10に係る離床判定装置は、請求項5~7および請求項5を引用する請求項9の何れか1項記載の発明において、前記判定手段は、前記ユーザが在床状態である場合の荷重、及び前記ユーザが不在状態である場合の荷重に基づいて前記ユーザが離床したか否かを判定するための基準値を算出し、前記ユーザが在床状態である場合の荷重から現在の荷重を減算した差分が前記基準値より大きい状態が予め定めた時間以上継続した場合に、前記ユーザが離床したと判定する。
【0019】
請求項11に係る離床判定装置は、請求項10記載の発明において、前記判定手段は、予め定めた複数の時間を遡った複数の時間帯のうちの少なくとも1つの時間帯における前記ユーザの荷重から現在の荷重を減算した差分が前記基準値より大きい状態が予め定めた時間以上継続した場合に、前記ユーザが離床したと判定する。
【0020】
請求項12に係る離床判定装置は、請求項1~11の何れか1項記載の発明において、前記判定手段により前記ユーザが離床したと判定した場合、前記ユーザが離床した旨を報知する報知手段を更に備える。
【0021】
請求項13に係る離床判定装置は、請求項9記載の発明において、前記判定手段により前記ユーザが離床したと判定した場合、予め定めた時間を遡った時間帯に睡眠状態であった前記ユーザが離床した旨を報知する報知手段を更に備える。
【0022】
請求項14に係る離床判定装置は、請求項1~13の何れか1項記載の発明において、前記ユーザの入床、離床、睡眠時からの離床の少なくとも1つの情報を外部装置に送信する送信手段を更に備える。
【0023】
請求項15に係る離床判定システムは、請求項1記載の体動取得手段及び荷重取得手段と、を備える第1装置と、請求項1記載の判定手段を備える第2装置と、を備える。
【0024】
請求項16に係る離床判定プログラムは、コンピュータを、請求項1~14の何れか1項記載の離床判定装置を構成する各手段として機能させるプログラムである。
【発明の効果】
【0025】
請求項1、15、16の発明によれば、ユーザの離床を速やかに精度良く判定することができる。
【0026】
請求項2の発明によれば、離床判定装置が単体でユーザの離床を速やかに精度良く判定することができる。
【0027】
請求項3の発明によれば、ユーザが在床する際に不快感を与えることなく、ユーザの離床を速やかに精度良く判定することができる。
【0028】
請求項4の発明によれば、ユーザに離床判定装置が設置されていることを認識させることなく、ユーザの離床を速やかに精度良く判定することができる。
【0029】
請求項5の発明によれば、ユーザ毎の荷重に応じてユーザの離床を判定することができる。
【0030】
請求項6の発明によれば、ユーザが在床状態であるか否かを精度良く判定することができる。
【0031】
請求項7の発明によれば、ユーザが在床状態である場合の荷重を精度良く求めることができる。
【0032】
請求項8の発明によれば、ユーザが離床したことを速やかに精度良く判定することができる。
【0033】
請求項9の発明によれば、予め定めた時間を遡った時間帯に睡眠状態であったユーザが離床したことを速やかに精度良く判定することができる。
【0034】
請求項10の発明によれば、ユーザが離床したことを更に速やかに精度良く判定することができる。
【0035】
請求項11の発明によれば、ユーザの離床時の状態に関係なく、ユーザが離床したことを速やかに精度良く判定することができる。
【0036】
請求項12の発明によれば、ユーザの離床を第三者に速やかに認識させることができる。
【0037】
請求項13の発明によれば、予め定めた時間を遡った時間帯に睡眠状態であったユーザが離床したことを第三者に速やかに認識させることができる。
【0038】
請求項14の発明によれば、ユーザの入床、離床、睡眠時からの離床の少なくとも1つを外部装置に速やかに通知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】実施形態に係る離床判定システムの全体構成を示す構成図である。
図2】実施形態に係る離床判定装置の使用状態の一例を示す模式図である。
図3】実施形態に係る離床判定装置の機能的な構成を示すブロック図である。
図4】実施形態に係る離床判定装置における体動センサ及び荷重センサの構成を示す斜視図である。
図5】実施形態に係る状態コードを示す模式図である。
図6】実施形態に係る体動の時系列変化、及び荷重の時系列変化の一例を示すグラフである。
図7】実施形態に係る状態判定処理のプログラムの流れを示すフローチャートである。
図8】実施形態に係る荷重の基準値の設定方法を説明するための模式図である。
図9】実施形態に係る体動の時系列変化、及び荷重の時系列変化の一例を示すグラフである。
図10】実施形態に係る体動の時系列変化、及び荷重の時系列変化の一例を示すグラフである。
図11】実施形態に係る離床判定処理のプログラムの流れを示すフローチャートである。
図12】実施形態に係る荷重の基準値の設定方法を説明するための模式図である。
図13】実施形態に係る荷重の基準値の設定方法を説明するための模式図である。
図14】実施形態に係る荷重の基準値の設定方法を説明するための模式図である。
図15】実施形態に係る体動の時系列変化、及び荷重の時系列変化の一例を示すグラフである。
図16】実施形態に係る体動の時系列変化、及び荷重の時系列変化の一例を示すグラフである。
図17】実施形態に係る体動の時系列変化、及び荷重の時系列変化の一例を示すグラフである。
図18】実施形態に係る体動の時系列変化、及び荷重の時系列変化の一例を示すグラフである。
図19】実施形態に係る体動の時系列変化、及び荷重の時系列変化の一例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、添付図面を参照して、本実施形態に係る離床判定システムについて説明する。
【0041】
図1に示すように、本実施形態に係る離床判定システム1は、ユーザ(被介護者)の離床を判定し、ユーザが離床した場合にはユーザが離床した旨を示す情報を外部装置に送信する離床判定装置10を備えている。また、離床判定システム1は、ユーザが離床した旨を示す情報を受信した場合、ユーザが離床した旨を報知する情報端末20を有している。
【0042】
離床判定装置10は、ユーザの体動、及びユーザの荷重を検出するマットレス部12と、検出したユーザの体動の時系列変化、及びユーザの荷重の時系列変化に基づいてユーザの離床を判定し、ユーザが離床した場合にはユーザが離床した旨を示す情報を情報端末20に送信する本体部14と、を備えている。
【0043】
図2に示すように、マットレス部12は、例えば精製水等の流体が内封された内部空間を有する袋状の部材であり、ユーザ200が横たわる寝具150の下部に配置される。具体的には、マットレス部12は、ユーザ200が在床している場合にはユーザ200からの圧力が加わると共に、ユーザ200が離床している場合にはユーザ200からの圧力が加わらない位置に配置される。本実施形態では、マットレス部12は、ユーザが在床している場合にユーザ200の胸部及び腹部を支える位置に配置される場合について説明するが、これに限らず、マットレス部12は、ユーザ200が在床している場合にユーザ200からの圧力が加わる位置に配置されれば良い。これにより、マットレス部12は、上面に横たわったユーザ200等による、外部から加えられた圧力を、上記流体により伝達する圧力伝達体として機能する。また、本体部14には、各種情報を表示する表示部22、及び、ユーザ200又はユーザ200の介護者等により操作される操作部24が設けられている。
【0044】
ここで、離床判定装置10のシステム構成について説明する。
【0045】
図3に示すように、離床判定装置10は、上述したマットレス部12、体動検出手段の一例である体動センサ32、及び、荷重検出手段の一例である荷重センサ34を備えている。また、離床判定装置10は、体動センサ32により検出されたユーザ200の体動を示す体動情報を入力し、入力した体動情報を処理する信号処理部36を備えている。また、離床判定装置10は、荷重センサ34により検出されたユーザ200の荷重を示す荷重情報と、信号処理部36により処理された体動情報と、をデジタル信号に変換するA/D変換部38を備えている。また、離床判定装置10は、変換されたデジタル信号からユーザ200の離床を判定する、体動取得手段、荷重取得手段、判定手段、報知手段、及び送信手段の一例である制御部40を備えている。また、離床判定装置10は、制御部40による判定結果を情報端末20等の外部装置に送信する外部通信部42を備えている。
【0046】
体動センサ32は、図4に示すように、マットレス部12の上記流体が内封された内部空間の圧力の変化によりユーザ200の体動を検出するセンサを有する。このセンサとしては、例えば、コンデンサマイクロホン、振動センサ等が例示されるが、本実施形態では、コンデンサマイクロホンが使用された場合について説明する。体動センサ32は、当該センサにより検出された圧力を示す検出信号を信号処理部36及びAD変換部38を介して制御部40に出力する。検出信号を入力した制御部40は、検出信号に基づいてユーザ200の体動の時系列変化を示す情報を生成する。なお、体動センサ32により検出された体動の時系列変化によって、マットレス部12の上に横たわったユーザ200の呼吸、心拍、及び体動が検出される。本実施形態では、後述するように、ユーザ200の呼吸、心拍、及び体動により、ユーザ200の振動が安定しているか否かが判定される。
【0047】
荷重センサ34は、図4に示すように、マットレス部12の上記流体が内封された内部空間に加わっている圧力の変化によりユーザ200の荷重を検出するセンサを有する。このセンサとしては、例えば、圧力の変化を検出する圧力センサ、マットレス部12に加わる外力によるマットレス部12の変形の度合いを検出する、外力センサの一例である歪みゲージ、マットレス部12の変位を検出する変位センサ等が例示されるが、本実施形態では、圧力センサが使用された場合について説明する。荷重センサ34は、当該センサにより検出された荷重を示す検出信号をAD変換部38を介して制御部40に出力する。検出信号を入力した制御部40は、検出信号に基づいてユーザ200の荷重の時系列変化を示す情報を生成する。なお、後述するように、ユーザ200の荷重の時系列変化によって、マットレス部12の上に在床したユーザ200が在床しているか否かが判定される。
【0048】
なお、体動センサ32により検出される圧力は、圧力の変化分であっても、圧力それ自体であっても構わない。また、荷重センサ34により検出される荷重も、荷重の変化分であっても、荷重それ自体であっても構わない。
【0049】
信号処理部36は、入力した信号のうちの所定の帯域のみを通過させるフィルタを備える。例えば、信号処理部36は、3つのバンドパスフィルタ(以降、BPFと略称する)である第1BPF、第2BPF、及び第3BPFを有している。第1BPFは、体動センサ32から入力した体動の時系列変化を示す信号から、0.5Hz~2Hzといった周波数帯域の脈拍に対応する信号を、脈拍信号として抽出するBPFである。第2BPFは、体動センサ32から入力した体動の時系列変化を示す信号から、0.2Hz~1Hz程度の周波数帯域の呼吸に対応する信号を、呼吸信号として抽出するBPFである。第3BPFは、体動センサ32から入力した体動の時系列変化を示す信号から、10Hz以上100Hz以下の周波数帯域のその他の身体の動きに対応する信号を、体動信号として抽出するBPFである。
【0050】
A/D変換部38は、信号処理部36から入力した脈拍信号、呼吸信号、体動信号、及び、荷重センサ34から入力した荷重情報をA/D変換してデジタルデータを生成し、制御部40に出力する。
【0051】
制御部40は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を備えている。制御部40は、CPUにより所定のプログラムを実行することにより、離床判定装置10の各部を統括的に制御して、後述する状態判定処理及び離床判定処理を含む各種処理を実行する。
【0052】
制御部40は、体動の時系列変化に基づいてユーザ200の状態を判定し、判定結果に応じてユーザ200の状態コードを作成する。ここで、ユーザ200の状態コードについて説明する。
【0053】
図5に示すように、本実施形態では、体動情報から、ユーザ200が在床しているか否かを示す在床是非状態、及びユーザ200が睡眠状態であるか否かを示す睡眠是非状態が判定される。そして、状態コードは、在床是非状態、睡眠是非状態の順で羅列された「0」又は「1」で表される2ケタのコードで表される。
【0054】
すなわち、在床是非状態は、体動センサ32により体動が検出されている場合に、ユーザ200が在床していると判定され、「0」で表され、体動センサ32により体動が検出されていない場合に、ユーザ200が不在状態であると判定され、「1」で表される。
【0055】
睡眠是非状態は、体動センサ32により検出される振動が安定している場合に、睡眠状態であることを示す「0」で表され、体動センサ32により検出される振動が安定していない場合、及び振動していない場合に、覚醒状態であることを示す「1」で表される。
【0056】
そして、状態コードが「00」(在床是非状態:0,睡眠是非状態:0)である場合には、ユーザ200が睡眠状態であると判定される。また、状態コードが「01」(在床是非状態:0,睡眠是非状態:1)である場合には、ユーザ200が覚醒状態であると判定される。一方、状態コードが「11」(在床是非状態:1,睡眠是非状態:1)である場合には、ユーザ200が不在状態であると判定される。
【0057】
図6に、ユーザ200の体動の時系列変化、及びユーザ200の荷重の時系列変化の一例を示した。図6に示す例では、体動の時系列変化における0秒後(初期)では、状態コードが「00」となっていて、その32秒後にも、状態コードが「00」となっている。この場合には、0秒後(初期)にはユーザ200が睡眠状態であり、その32秒後にもユーザ200が睡眠状態であることが表されている。
【0058】
また、図6に示す例では、荷重の時系列変化における0秒後(初期)~64秒後の間は、マットレス部12に加わる荷重がほぼ一定であるが、128秒後には、マットレス部12に加わる荷重が軽くなっている。この場合には、マットレス部12に加わる荷重がほぼ一定である状態から、荷重が軽くなった時点で、ユーザ200が離床したことが表されている。
【0059】
なお、本実施形態では、制御部40は、図6に示すように、ユーザ200の状態コードは、体動の時系列変化に基づき、予め定めた時間(例えば、16秒)毎に判定する。また、本実施形態では、荷重の時系列変化に基づいて、制御部40は、予め定めた時間(例えば、16秒)毎に荷重の平均値を算出し、算出した荷重の平均値に基づいてユーザ200の離床を判定する。
【0060】
まず、本実施形態に係る離床判定装置10が、ユーザ200の状態を判定する状態判定処理を行う際の処理の流れを、図7に示すフローチャートを参照して説明する。
【0061】
なお、本実施形態では、状態判定処理のプログラムは予め制御部40の記憶手段に記憶されているが、これに限らない。例えば、状態判定処理のプログラムは、外部装置から通信手段を介して受信して実行されても良い。また、CD(Compact Disc)、半導体メモリ等の記録媒体に記録された状態判定処理のプログラムが読み込まれることにより、状態判定処理が実行されるようにしてもよい。
【0062】
本実施形態では、状態判定処理のプログラムは、予め定めた時間(例えば、1分)が経過する毎に実行される。
【0063】
ステップS101では、制御部40は、体動センサ32により検出されたユーザ200の体動の時系列変化から、何れかの時間帯を選択し、選択した時間帯における体動の時系列変化を抽出する。ここで選択される時間帯は、例えば、後述するステップS103乃至S119の処理を行っていない時間帯における初めの16秒間である。
【0064】
ステップS103では、制御部40は、抽出した時系列変化においてユーザ200の体動が検出されていないか否かを判定する。ステップS103でユーザ200の体動が検出されていないと判定した場合(S103,Y)はステップS105に移行し、ユーザ200の体動が検出されたと判定した場合(S103,N)はステップS109に移行する。
【0065】
ステップS105では、制御部40は、ユーザ200が不在状態であると判定し、選択した時間帯における状態コードを「11」とする。
【0066】
ステップS107では、制御部40は、選択した時間帯における荷重の平均値を、不在時の荷重を示す基準値P1として設定する。
【0067】
一方、ステップS109では、制御部40は、ユーザ200が在床状態であると判定する。
【0068】
ステップS111では、制御部40は、抽出した時系列変化に基づいて、抽出した時間帯における体動の振動が安定しているか否かを判定する。ステップS111で体動の振動が安定していると判定した場合(S111,Y)はステップS113に移行する。また、ステップS111で対動の振動が安定していないと判定した場合(S111,N)はステップS117に移行する。
【0069】
ステップS113では、制御部40は、ユーザ200が睡眠状態であると判定し、選択した時間帯における状態コードを「00」とする。
【0070】
ステップS115では、制御部40は、抽出した時系列変化に基づいて、選択した時間帯における荷重の平均値を、在床時の荷重を示す基準値P3として設定する。
【0071】
なお、ステップS107及びS115により、一例として図8に示すように、不在時の荷重を示す基準値P1と、基準値P1より値が大きい在床時の荷重を示す基準値P3が設定される。
【0072】
また、一例として図9に示すように、ユーザ200がマットレス部12の上に入床する際には、例えば、入床時はマットレス部12に座ったり、マットレス部12上で上体を手で支えたりする等の動作に伴い、図9に示すグラフにおける楕円枠C1内の部分に示されるように、ユーザ200の睡眠時の荷重以上の荷重がかかる場合が多い。そこで、本実施形態では、基準値P3を設定する際、抽出した時系列変化における荷重と、基準値P1との差分が予め定めた閾値(例えば、ユーザ200の体重に基づく、ユーザ200が在床しているか否かを判定するための閾値)より大きい状態が予め定めた時間(例えば、32秒)継続した場合に、ユーザ200が在床したとする。この場合、一例として図10に示すように、上記予め定めた時間t3における上記予め定めた時間の初めを含む時間帯t4(例えば、前半の16秒)を用いずに、基準値P3を設定する。例えば、上記予め定めた時間t3における上記予め定めた時間の初めを含まない時間帯t5(例えば、後半の16秒)における荷重の平均値を、基準値P3とする。
【0073】
ステップS117では、制御部40は、ユーザ200が覚醒していると判定し、抽出した時間帯における状態コードを「01」とする。
【0074】
ステップS119では、制御部40は、ユーザ200の体動の時系列変化において、未処理の時間帯、すなわちステップS103乃至S119の処理を行っていない時間帯があるか否かを判定する。
【0075】
ステップS119で未処理の時間帯があると判定した場合(S119,Y)はステップS101に移行し、未処理の時間帯がないと判定した場合(S119,N)はステップS121に移行する。
【0076】
ステップS121では、制御部40は、例えば判定時刻と状態コード状態との組が羅列された、状態コードの時系列変化を作成し、本状態判定処理のプログラムの実行を終了する。
【0077】
このようにして、離床判定装置10は、体動センサ32により検出されたユーザ200の体動の時系列変化に基づいて、ユーザ200の状態を推定し、状態コードの時系列変化を作成する。
【0078】
なお、本実施形態では、制御部40が体動センサ32からユーザ200の体動の時系列変化を取得して、状態判定処理を行う場合について説明したが、これに限らない。例えば、体動センサ32が状態判定処理を行い、判定結果として、状態コードの時系列変化を制御部40に対して出力するようにしても良い。また、ユーザ200の状態を判定する方法はこれに限らず、例えば、特開2013-99507号公報に開示されている方法を用いても良い。
【0079】
次に、本実施形態に係る離床判定装置10が、ユーザ200の離床を判定する離床判定処理を行う際の処理の流れを、図11に示すフローチャートを参照して説明する。
【0080】
なお、本実施形態では、離床判定処理のプログラムは予め制御部40の記憶手段に記憶されているが、これに限らない。例えば、離床判定処理のプログラムは、外部装置から通信手段を介して受信して実行されても良い。また、CD(Compact Disc)、半導体メモリ等の記録媒体に記録された離床判定処理のプログラムが読み込まれることにより、離床判定処理が実行されるようにしてもよい。
【0081】
本実施形態では、離床判定処理のプログラムは、予め定めた時間(例えば、1秒)が経過する毎に実行される。
【0082】
ステップS201では、制御部40は、荷重センサ34により検出されたユーザ200の荷重の時系列変化、及び上述した図7のステップS121で作成した状態コードの時系列変化を取得する。
【0083】
ステップS202では、制御部40は、ユーザ200が不在状態であるか否かを判定する。ステップS202でユーザ200が不在状態であると判定した場合(S202,Y)はステップS203に移行し、ユーザ200が在床状態であると判定した場合(S202,N)はステップS209に移行する。
【0084】
ステップS203では、制御部40は、入床の判定対象とする時刻(例えば、現在の時刻)における荷重から、不在時の荷重を示す基準値P1を減算した差分ΔP1が、予め定めた規定値Paより大きいか否かを判定する。予め定めた規定値Paは、ユーザ200が入床したか否かを判定するための閾値であり、例えば、ユーザ200の体重、ユーザ200が入床している場合に荷重センサ34により検出されている荷重の平均値等に基づいて決定される。
【0085】
ステップS203で差分ΔP1が規定値Paより大きいと判定した場合(S203,Y)はステップS205に移行し、差分ΔP1が規定値Pa以下であると判定した場合(S203,N)は本離床判定処理のプログラムの実行を終了する。
【0086】
ステップS205では、制御部40は、差分ΔP1が規定値Pa以下より大きい状態が予め定めた時間t1(例えば、10分)以上継続したか否かを判定する。予め定めた時間t1は、ユーザ200が入床したか否かを判定するための閾値であり、例えば、ユーザ200が入床してから睡眠状態となるまでの平均時間等に基づいて決定される。
【0087】
ステップS205で差分ΔP1が規定値Paより大きい状態が予め定めた時間t1以上継続したと判定した場合(S205,Y)はステップS207に移行する。また、ステップS205で差分ΔP1が規定値Pa以下である状態が予め定めた時間t1以上継続しなかったと判定した場合(S205,N)は、ユーザ200が入床していないことが推定されるため、本離床判定処理のプログラムの実行を終了する。
【0088】
ステップS207では、制御部40は、現在の時刻の荷重に基づいて、離床の判定の基準値P2を設定する。本実施形態では、一例として図12に示すように、現在の時刻の荷重から不在時の荷重を示す基準値P1を減算した差分の予め定めた割合(例えば、2/3)を、離床の判定の基準値P2とする。これにより、ユーザ200の体重に応じた適切な基準値P2が設定される。
【0089】
このように、本実施形態では、ユーザ200が入床する毎に、ユーザ200の体動及び荷重に基づき、ユーザ200の在床時の荷重及び不在時の荷重が算出され、算出されたユーザ200の在床時の荷重及び不在時の荷重に基づき、離床の判定の基準値P2が設定される。そして、ユーザ200が入床する毎に設定された基準値P2を用いてユーザ200の離床が判定されることにより、ユーザ200の離床を速やかに精度良く判定することができる。
【0090】
ステップS208では、制御部40は、ユーザ200が入床したと判定し、入床イベントを発生させ、本離床判定処理のプログラムの実行を終了する。本実施形態では、入床イベントが発生すると、ユーザ200が入床した旨を示す入床情報を情報端末20に送信する。情報端末20は、入床情報を受信すると、例えば、ユーザ200が入床した旨を示す情報を表示手段に表示させると共に、警報音を発生させることにより、ユーザ200の介護者等にその旨を報知する。
【0091】
ステップS209では、制御部40は、現在の時刻から時間taだけ遡った時刻の荷重から、現在の時刻の荷重を減算した差分ΔP2が、予め定めた規定値Pbより大きいか否かを判定する。予め定めた規定値Pbは、ユーザ200が在床状態から離床したか否かを判定するための閾値であり、例えば、ユーザ200の体重、ユーザ200が在床している場合に荷重センサ34により検出される荷重の平均値等に基づいて決定される。本実施形態では、一例として図13に示すように、時間ta前の荷重から現在の時刻の荷重までの変化量が規定値Pbより大きい場合に、ユーザ200が離床したことが推定される。
【0092】
ステップS209で差分ΔP2が規定値Pbより大きいと判定した場合(S209,Y)はステップS211に移行する。また、ステップS209で差分ΔP2が規定値Pb以下であると判定した場合(S209,N)は、ユーザ200が離床していないことが推定されるため、本離床判定処理のプログラムの実行を終了する。
【0093】
ステップS211では、制御部40は、ユーザ200が離床したと判定し、離床イベントを発生させる。本実施形態では、離床イベントが発生すると、ユーザ200が離床した旨を示す第1離床情報を情報端末20に送信する。情報端末20は、第1離床情報を受信すると、例えば、ユーザ200が離床した旨を示す情報を表示手段に表示させることにより、ユーザにその旨を報知する。なお、この段階では、ユーザ200が睡眠状態であるか覚醒状態であるかに関わらず、ユーザ200が離床した旨が報知される。
【0094】
ステップS213では、制御部40は、状態コードの時系列変化に基づいて、予め定めた時間tx前、すなわち現在の時刻から予め定めた時間tx遡った時刻に、ユーザ200が睡眠状態であったか否かを判定する。予め定めた時間txは、ユーザ200が睡眠状態から離床したか否かを判定するための閾値であり、例えば、ユーザ200が睡眠状態から覚醒してから離床するまでの平均時間を予め求めておき、この平均時間に基づいて決定される。
【0095】
ステップS213で時間tx前にユーザ200が睡眠状態であったと判定した場合(S213,Y)はステップS215に移行する。また、ステップS213で時間tx前にユーザ200が睡眠状態ではなかったと判定した場合(S213,N)は、ユーザ200が睡眠状態から離床していないことが推定されるため、本離床判定処理のプログラムの実行を終了する。
【0096】
ステップS215では、制御部40は、在床時の荷重を示す基準値P3から現在の時刻の荷重を減算した差分ΔP3が、離床の判定の基準値P2より大きいか否かを判定する。一例として図14に示すように、在床時の荷重から現在の時刻の荷重までの変化量が基準値P2より大きい場合に、ユーザ200が睡眠時から離床したことが推定される。
【0097】
ステップS215で差分ΔP3が基準値P2より大きいと判定した場合(S215,Y)はステップS217に移行する。また、ステップS215で差分ΔP3が基準値P2以下であると判定した場合(S215,N)は、ユーザ200が離床していないことが推定されるため、本離床判定処理のプログラムの実行を終了する。
【0098】
ステップS217では、在床時の荷重を示す基準値P3から現在の時刻の荷重を減算した差分ΔP3が、離床の判定の基準値P2より大きい状態が、予め定めた時間t2以上継続したか否かを判定する。本実施形態では、予め定めた時間t2は、ユーザ200が在床状態から離床したか否かを判定するための閾値であり、例えば、ユーザ200が在床状態から一旦離床した後に、直ぐに在床した場合、すなわちユーザ200が一旦起き上がって直ぐに横になった場合に、ユーザ200が離床した後に再び在床するまでの平均時間を予め求めておき、この平均時間に基づいて決定される。ステップ217で差分Δ3が基準値P2より大きい状態が時間t2以上継続したと判定した場合(S217,Y)はステップS219に移行する。また、ステップS217で差分Δ3が基準値P2より大きい状態が時間t2以上継続しなかったと判定した場合(S217,N)は、ユーザ200が離床していないことが推定されるため、本離床判定処理のプログラムの実行を終了する。
【0099】
ステップS219では、制御部40は、ユーザ200が睡眠時から離床したと判定し、睡眠時からの離床イベントを発生させ、本離床判定処理のプログラムの実行を終了する。本実施形態では、睡眠時からの離床イベントが発生すると、ユーザ200が睡眠時から離床した旨を示す第2離床情報を情報端末20に送信する。情報端末20は、第2離床情報を受信すると、例えば、ユーザ200が睡眠時から離床した旨を示す情報を表示手段に表示させると共に、警報音を発生させることにより、ユーザの介護者等にその旨を報知する。
【0100】
一例として図15に示すように、現在の時刻から時間taだけ遡った時刻(例えば、16秒)の荷重から、現在の時刻の荷重を減算した差分ΔP2が規定値Pbより大きい状態が、予め定めた時間(例えば、5秒)以上継続した場合には、ステップS211において、現在の時刻から時間txだけ遡った時刻にユーザ200が睡眠状態でなくても、離床判定装置10は、離床イベント発生を発生させる。
【0101】
また、一例として図16に示すように、現在の時刻から時間txだけ遡った時刻にユーザ200が睡眠中であって、在床時の荷重を示す基準値P3から、現在の時刻の荷重を減算した差分ΔP3が基準値P2より大きい状態が、予め定めた時間(例えば、5秒)以上継続した場合には、ステップS219において、離床判定装置10は、睡眠時からの離床イベント発生を発生させる。
【0102】
このように、本実施形態では、ユーザ200が離床した場合と、ユーザ200が睡眠時から離床した場合とで、それぞれ別個のイベントを発生させる。これにより、イベント発生時に実行する処理をイベント毎に設定しておくことで、例えば、ユーザ200が離床する度に介護者等にその旨を報知する、ユーザ200が睡眠時から離床した場合のみ、介護者等にその旨を報知する等、ユーザ200の状態に応じた処理を行わせることができる。
【0103】
また、本実施形態では、在床時の荷重を示す基準値P3から、現在の時刻の荷重を減算した差分ΔP3が基準値P2より大きい状態が、予め定めた時間以上継続した場合に、睡眠時からの離床イベント発生を発生させる場合について説明したが、これに限らない。例えば、現在の時刻から複数の時間を遡った複数の時間帯における荷重を用いて下記(A)乃至(C)に示すような判定を行い、その判定結果に基づいて複数種類の睡眠時からの離床イベントの少なくとも1つを発生させるようにしても良い。
【0104】
(A)第1の時間(例えば、1分)前に睡眠状態であり、第1の時間前における荷重と現在の時刻の荷重との差分が、離床の判定の基準値P2より大きい状態が時間t2以上継続した場合、睡眠時からの離床イベントAを発生させる。
【0105】
(B)第2の時間(例えば、2分)前に睡眠状態であり、第2の時間前における荷重と現在の時刻の荷重との差分が、離床の判定の基準値P2より大きい状態が時間t2以上継続した場合、睡眠時からの離床イベントBを発生させる。
【0106】
(C)第3の時間(例えば、3分)前に睡眠状態であり、第3の時間前における荷重と現在の時刻の荷重との差分が、離床の判定の基準値P2より大きい状態が時間t2以上継続した場合、睡眠時からの離床イベントCを発生させる。
【0107】
例えば、ユーザ200が、段階的に体をずらして離床する場合には、一例として図17の楕円枠C2に示すように、荷重の時系列変化が階段状となる。このような場合であっても、複数の時間t6、t7を遡った各々の時刻における荷重を用いることにより、ユーザの離床の判定を精度良く行うことができる。
【0108】
また、例えば、ユーザ200が寝たり起きたりを繰り返しながら離床する場合には、一例として図18の楕円枠C3に示すように、荷重の時系列変化において、荷重が増えたり減ったりを繰り返す。このような場合であっても、複数の時間を遡った各々の時刻における荷重の少なくとも1つから、現在の時刻の荷重を減算した差分が閾値より大きい状態が予め定めた時間以上継続した場合に、離床判定装置10は、離床イベントを発生させる。これにより、ユーザ200の離床の判定を精度良く行うことができる。
【0109】
なお、一例として図19に示すように、離床イベントを発生させてから予め定めた時間における離床の判定を無効とするような無効時間を設定できるようにしても良い。これにより、例えば、ユーザ200が寝たり起きたりを繰り返しながら離床する場合であっても、ユーザ200の離床が誤検知されることにより、ユーザ200が離床した旨が複数回にわたって報知されることが防止される。
【0110】
このように、本実施形態では、ユーザ200による荷重の時系列変化から、ユーザ200の離床を判定すると共に、ユーザ200の体動の時系列変化から、その離床が睡眠時からの離床であるか否かを判定する。これにより、ユーザ200の離床を速やかに精度良く判定することが可能となる。
【0111】
なお、本実施形態では、離床判定装置10によりユーザ200の離床が判定された場合、ユーザ200が離床した旨を示す情報を情報端末20に送信する場合について説明したが、これに限らない。例えば、離床判定装置10によりユーザ200の離床が判定された場合、離床判定装置10が警告音を鳴らす等により、ユーザが離床した旨を報知しても良い。これにより、離床判定装置10が単体でユーザ200の離床を速やかに精度良く判定すると共に、ユーザ200が離床した旨を報知することができる。
【0112】
また、本実施形態では、離床判定装置10が体動センサ32及び荷重センサ34を備えている場合について説明したが、これに限らない。例えば、離床判定装置10が、外部に設けられた体動センサ又は荷重センサから体動情報又は荷重情報を取得しても良い。これにより、体動センサ及び荷重センサが既に常用されている場合等に、離床判定装置10が、これらの体動センサ及び荷重センサから体動情報及び荷重情報を取得することにより、離床判定装置10が体動センサ32及び荷重センサ34を有さなくても、ユーザ200の離床を速やかに精度良く判定することができる。
【0113】
また、本実施形態では、離床判定装置10が体動情報及び荷重情報を取得して、状態判定処理及び離床判定処理を行う場合について説明したが、これに限らない。例えば、離床判定装置10が、体動情報及び荷重情報を外部に設けられた情報端末20等の外部装置に送信し、外部装置が状態判定処理及び離床判定処理を行っても良い。これにより、例えば、情報処理能力に優れたコンピュータに状態判定処理及び離床判定処理を行わせることにより、ユーザ200の離床を更に速やかに精度良く判定することができる。
【0114】
また、本実施形態では、体動センサ32及び荷重センサ34を用いてユーザ200の体動及び荷重を検知する場合について説明したが、これに限らない。例えば、ユーザ200が在床している場合にはユーザ200からの外力が加わると共に、ユーザ200が離床している場合にはユーザ200からの外力が加わらない位置に設けられた、圧電センサを備えたシート状のセンサを用いて、ユーザ200の体動及び荷重を検知しても良い。圧電センサを備えたシート状のセンサは、外力センサの一例であり、マットレス部12に加わる外力による厚み方向の変形に対して起電することで、マットレス部12に加わる外力を検出する。例えば、厚さが薄いシート状のセンサを用いることで、ユーザ200に離床判定装置100が設置されていることを認識させることなく、ユーザ200の離床を速やかに精度良く判定することができる。
【0115】
また、本実施形態では、マットレス部12に加わる圧力の変化を検出することによりユーザ200の体動の時系列変化を取得する場合について説明したが、これに限らない。例えば、脈拍等を検出するリストバンド等をユーザ200が身に着け、リストバンド等から脈拍等の時系列変化を取得するにより、ユーザ200の体動の時系列変化を取得しても良い。これにより、ユーザ200が健康管理用の器具を身に着けている場合等に、離床判定装置10が、この健康管理用の器具で生成された体動情報を用いることにより、離床判定装置10が体動センサ32を有さなくても、ユーザ200の離床を速やかに精度良く判定することができる。
【0116】
また、情報端末20は、患者又は被介護者が離床したことを示す情報を受信し、その旨を報知する手段を有すれば良く、看護師又は介護者が身に着ける携帯端末、腕時計等であっても良い。これにより、看護師又は介護者の居場所に関わらず、ユーザ200が離床した旨を報知することができる。
【0117】
本実施形態に係る離床判定システム1は、例えば、病院施設、介護施設等に設置されると良い。この場合には、離床判定装置10が患者又は被介護者のベッドのシーツの下方に配置されると共に、情報端末20が看護師又は介護者の待機室に配置される。そして、離床判定装置10が患者又は被介護者が離床したことを検知した場合に、その旨を示す情報が情報端末20に送信され、情報端末20により看護師又は介護者にその旨が報知される。これにより、看護師又は介護者は、患者又は被介護者が離床したことを速やかに認識することができる。
【符号の説明】
【0118】
1 離床判定システム
10 離床判定装置
12 マットレス部
14 本体部
20 情報端末
32 体動センサ
34 荷重センサ
36 信号処理部
38 A/D変換部
40 制御部
42 外部通信部
200 ユーザ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19