IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本信号株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-検査システム 図1
  • 特許-検査システム 図2
  • 特許-検査システム 図3
  • 特許-検査システム 図4
  • 特許-検査システム 図5
  • 特許-検査システム 図6
  • 特許-検査システム 図7
  • 特許-検査システム 図8
  • 特許-検査システム 図9
  • 特許-検査システム 図10
  • 特許-検査システム 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-28
(45)【発行日】2023-04-05
(54)【発明の名称】検査システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 23/10 20180101AFI20230329BHJP
   B65G 43/00 20060101ALI20230329BHJP
   B65G 43/08 20060101ALI20230329BHJP
   G01N 23/04 20180101ALI20230329BHJP
【FI】
G01N23/10
B65G43/00 D
B65G43/08 C
G01N23/04 340
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018086624
(22)【出願日】2018-04-27
(65)【公開番号】P2019191083
(43)【公開日】2019-10-31
【審査請求日】2021-03-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000004651
【氏名又は名称】日本信号株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼山 和朗
(72)【発明者】
【氏名】内田 清孝
(72)【発明者】
【氏名】川崎 栄嗣
【審査官】田中 洋介
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06218943(US,B1)
【文献】特許第2799345(JP,B2)
【文献】特開2008-045884(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0128806(US,A1)
【文献】特開平10-188056(JP,A)
【文献】特開2007-168949(JP,A)
【文献】特開平04-354704(JP,A)
【文献】特開2017-091498(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0185842(US,A1)
【文献】特開2019-095336(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 23/00-23/2276
B65G 43/00-43/10
G01N 27/72-27/9093
G01V 3/00-3/40
G01V 5/00-5/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送装置により荷物を搬送しつつ検査装置で検査して再検査の要否を判定し、再検査が必要と判定した荷物の検査後の搬送経路における搬送中の位置を、前記荷物が前記検査後の搬送経路から持ち去られたか否かにかかわらず、前記搬送装置の設定された搬送速度に基づいて前記検査後の搬送経路に沿った位置に表す機能を有する検査システム。
【請求項2】
前記検査後の搬送経路に沿って発光位置を変化させることが可能な発光装置の発光位置を前記設定された搬送速度に合わせて変化させることにより荷物の位置を表す
請求項1に記載の検査システム。
【請求項3】
前記搬送経路の片側に荷物の持ち主が通過する通路が設けられており、前記発光位置が当該通路側に設けられている
請求項2に記載の検査システム。
【請求項4】
第1搬送装置と当該第1搬送装置の下流側に設けられた第2搬送装置とにより荷物を搬送しつつ、前記第1搬送装置の搬送経路に設けられた検査装置で検査して再検査の要否を判定する検査システムであって、
前記第1搬送装置と前記第2搬送装置による搬送経路の片側に荷物の持ち主が通過する通路が設けられており、
荷物の再検査が必要と判定した場合、前記第2搬送装置による搬送は継続させつつ当該荷物検査空間から出てきたところで前記第1搬送装置による当該荷物の搬送を停止させる制御を行い
当該荷物を停止させる位置の前記通路側に、当該荷物の受け取りを抑止するように前記通路から見て荷物を覆い隠す抑止部材が設けられている検査システム。
【請求項5】
再検査が不要と判定した荷物については設定された搬送速度により搬送を継続する
請求項4に記載の検査システム。
【請求項6】
再検査が必要と判定した荷物と当該荷物の持ち主を撮影し、撮影した当該荷物の画像及び当該持ち主の画像を対応付けて示す画像データを出力する
請求項1からのいずれか1項に記載の検査システム。
【請求項7】
前記持ち主が通過する入場口を管理するシステムから当該持ち主の入場情報を取得し、
取得した入場情報と前記荷物の画像及び当該持ち主の画像とを対応付けたデータを前記画像データとして出力する
請求項に記載の検査システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷物を検査する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
荷物を検査する技術として、特許文献1には、通常の検査結果と通常でない検査結果とで被検査品の停止位置を異ならせる技術が開示されている。
【0003】
【文献】特開2006-281192号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば空港等における荷物の検査では、待ち時間を少なくするため、検査自体は早く行いたい。検査を早めるには荷物の搬送速度を速くすることが有効であるが、搬送速度が速すぎると今度は検査後の荷物の受け取りがしにくくなる。
本発明は、上記の背景に鑑み、再検査が必要な荷物を見つけやすくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明は、搬送装置により荷物を搬送しつつ検査装置で検査して再検査の要否を判定し、再検査が必要と判定した荷物の検査後の搬送経路における搬送中の位置を、前記荷物が前記検査後の搬送経路から持ち去られたか否かにかかわらず、前記搬送装置の設定された搬送速度に基づいて前記検査後の搬送経路に沿った位置に表す機能を有する検査システムを第1の態様として提供する。
【0006】
第1の態様の検査システムによれば、再検査が必要な荷物を見つけやすくすることができる。
【0007】
上記の第1の態様の検査システムにおいて、前記検査後の搬送経路に沿って発光位置を変化させることが可能な発光装置の発光位置を前記設定された搬送速度に合わせて変化させることにより荷物の位置を表す、という構成が第2の態様として採用されてもよい。
【0008】
第2の態様の検査システムによれば、周囲がうるさくても再検査が必要な荷物を見つけやすくすることができる。
【0009】
上記の第2の態様の検査システムにおいて、前記搬送経路の片側に荷物の持ち主が通過する通路が設けられており、前記発光位置が当該通路側に設けられている、という構成が第3の態様として採用されてもよい。
【0010】
第3の態様の検査システムによれば、再検査が必要な荷物の位置を持ち主に伝えることができる。
【0011】
本発明は、第1搬送装置と当該第1搬送装置の下流側に設けられた第2搬送装置とにより荷物を搬送しつつ、前記第1搬送装置の搬送経路に設けられた検査装置で検査して再検査の要否を判定する検査システムであって、前記第1搬送装置と前記第2搬送装置による搬送経路の片側に荷物の持ち主が通過する通路が設けられており、荷物の再検査が必要と判定した場合、前記第2搬送装置による搬送は継続させつつ当該荷物検査空間から出てきたところで前記第1搬送装置による当該荷物の搬送を停止させる制御を行い、当該荷物を停止させる位置の前記通路側に、当該荷物の受け取りを抑止するように前記通路から見て荷物を覆い隠す抑止部材が設けられている検査システムを第4の態様として提供する。
【0012】
第4の態様の検査システムによれば、再検査が必要な荷物を見つけやすくすることができる。また、荷物を見るだけで再検査の要否を判断することができる。また、再検査が必要な荷物の持ち主による持ち去りを抑制することができる。また、第4の態様の検査システムによれば、再検査が不要な荷物の搬送を継続することができる。
【0013】
上記の第4の態様の検査システムにおいて、再検査が不要と判定した荷物については設定された搬送速度により搬送を継続する、という構成が第5の態様として採用されてもよい。
【0014】
第5の態様の検査システムによれば、再検査が不要な荷物の搬送を継続することができる。
【0019】
上記の第1から第のいずれか1の態様の検査システムにおいて、再検査が必要と判定した荷物と当該荷物の持ち主を撮影し、撮影した当該荷物の画像及び当該持ち主の画像を対応付けて示す画像データを出力する、という構成が第の態様として採用されてもよい。
【0020】
の態様の検査システムによれば、再検査が必要な荷物の持ち主を特定しやすくすることができる。
【0021】
上記の第の態様の検査システムにおいて、前記持ち主が通過する入場口を管理するシステムから当該持ち主の入場情報を取得し、取得した入場情報と前記荷物の画像及び当該持ち主の画像とを対応付けたデータを前記画像データとして出力する、という構成が第の態様として採用されてもよい。
【0022】
の態様の検査システムによれば、持ち主の入場情報を用いて再検査を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】実施例に係る荷物検査装置の外観を表す図
図2】制御装置の機能構成を表す図
図3】変化する発光位置の一例を表す
図4】発光位置の先端の移動速度の一例を表す図
図5】検査処理における荷物検査システムの動作手順の一例を表す図
図6】第2実施例に係る荷物検査システムの外観を表す図
図7】荷物検査システムの機能構成を表す図
図8】第2実施例の検査処理における動作手順の一例を表す図
図9】変形例の荷物検査システムの外観を表す図
図10】変形例の荷物検査システムの機能構成を表す図
図11】変形例で表示された画像の一例を表す図
【発明を実施するための形態】
【0024】
[1]第1実施例
図1は第1実施例に係る荷物検査システム1の外観を表す。荷物検査システム1は、例えば空港において荷物(主に機内に持ち込む手荷物)にナイフ等の持ち込みが禁止されている物(持ち込み禁止物)が含まれていないかを検査するための処理を行うシステムである。荷物検査システム1は本発明の「検査システム」の一例である。
【0025】
荷物検査システム1は、荷物2の持ち主3と、荷物検査を行う検査担当者4とによって利用される。図1(a)では鉛直上方から見た荷物検査システム1が表され、図1(b)では水平方向に見た荷物検査システム1が表されている。荷物検査システム1は、第1搬送装置10と、第2搬送装置20と、スキャナ装置30と、発光装置40L及び40R(これらを区別しない場合は「発光装置40」という)と、制御装置50とを備える。
【0026】
第1搬送装置10及び第2搬送装置20は、いずれも、検査の対象物である荷物(図1では荷物2)を搬送方向A1に搬送する。この荷物2は、両搬送装置により搬送される搬送物であり、荷物検査システム1で検査が行われる被検査物でもある。第1搬送装置10は、第2搬送装置20の上流側に配置されている。
【0027】
第1搬送装置10は、ベルトコンベヤ11と、駆動部12とを備える。ベルトコンベヤ11は、ベルト型の搬送用のコンベヤであり、無端のベルト13と、ベルト13を内周面側から支持する駆動ローラ及び複数の支持ローラとを備える。また、ベルト13の内周面側には、ベルト13上の荷物の重量を検知する重量センサが設けられている。駆動部12は、モータ及びギヤ等を有し、モータで発生する駆動力を駆動ローラを介してベルト13に伝達してベルト13を回転させる。
【0028】
第2搬送装置20は、ベルトコンベヤ21と、駆動部22とを備える。ベルトコンベヤ21は、ベルト型の搬送用のコンベヤであり、無端のベルト23と、ベルト23を内周面側から支持する駆動ローラ及び複数の支持ローラとを備える。また、ベルト23の内周面側には、ベルト23上の荷物の重量を検知する重量センサが設けられている。駆動部22は、モータ及びギヤ等を有し、モータで発生する駆動力を駆動ローラを介してベルト23に伝達してベルト23を回転させる。
【0029】
第1搬送装置10が荷物2を搬送する搬送経路には検査空間B1が設けられている。検査空間B1は、スキャナ装置30により荷物検査が行われる空間である。スキャナ装置30は、荷物検査のために検査空間B1を通過する物体を透過させた画像(透過画像)を撮影する装置である。スキャナ装置30は本発明の「検査装置」の一例である。スキャナ装置30は、例えば検査空間B1を通過する荷物2に対し電磁波を照射し、荷物2を透過した電磁波の強度に応じた濃淡により描かれる画像を荷物2の透過画像として生成する。
【0030】
スキャナ装置30が荷物2に照射する電磁波は、荷物2を透過するが荷物2の内容物の物質に応じて透過率が異なる周波数帯域の電磁波であり、例えばX線である。スキャナ装置30が撮影した透過画像に持ち込み禁止物の可能性がある物が写っている場合、検査担当者4は荷物2を開けて実際に何が入っているかを確認する再検査を行う。この再検査の要否の判定は、撮影された画像を元に後述する制御装置50が行う。詳しい判定方法については後ほど説明する。
【0031】
このように、荷物検査システム1は、荷物2を搬送しつつその荷物2をスキャナ装置30で検査して再検査の要否を判定する。検査空間B1の下流側には、スキャナ装置30による検査が行われた荷物2を第1搬送装置10及び第2搬送装置20が搬送する搬送経路C1が形成されている。この検査後の搬送経路である搬送経路C1の片側には、荷物2の
持ち主3が通過する通路C2が設けられている。
【0032】
搬送経路C1は、通路C2を通過する持ち主3が自分の荷物を受け取るための受取エリアとなっている。発光装置40は、搬送経路C1の両側に設けられており、搬送経路C1に沿って発光位置を変化させることが可能な装置である。発光装置40Lは、搬送方向A1を向いたときの左側、すなわち通路C2側に設けられており、発光装置40Rは、搬送方向A1を向いたときの右側、すなわち検査担当者4が立っている側に設けられている。
【0033】
発光装置40は、筐体41と、複数のLEDライト42(LED:Light Emitting Diode)とを備えている。筐体41は、搬送方向A1を長手とする直方体の形をしており、複数のLEDライト42を格納している。複数のLEDライト42は、搬送方向A1に沿って一列に並べられている。発光装置40L及び40Rは、搬送方向A1の位置が同じ対になるLEDライト42を備えている(従ってLEDライト42の数も同じである)。
【0034】
筐体41の上面43(鉛直上方を向いた面)には、LEDライト42の光を外部に放出する透明なガラス面が各LEDライト42について設けられている。発光装置40は、筐体41の上面43が、ベルトコンベヤ11のベルト13の上面131(鉛直上方を向いた面)及びベルトコンベヤ21のベルト23の上面231(鉛直上方を向いた面)と同じ高さになるように設けられている。
【0035】
発光装置40は、例えば搬送方向A1の位置が特定の範囲に含まれるLEDライト42だけを点灯させ、その範囲を搬送方向A1に移動させることで、発光位置を変化させることができる。時間の経過と共に各LEDライト42のオンオフを切り替えて発光位置を変化させる制御は、制御装置50によって行われる。制御装置50は、荷物検査システム1の各装置を制御する装置である。
【0036】
制御装置50は、本体51と、操作部52と、表示部53とを備える。本体51は、CPU(Central Processing Unit)、メモリ、ストレージ及び通信部等を備えるコンピュータである。操作部52は、キーボード及びマウス等の操作子を備え、利用者の操作を受け付ける。表示部53は、ディスプレイ等を備え、スキャナ装置30により撮影された透過画像等を表示する。
【0037】
制御装置50は、第1搬送装置10、第2搬送装置20、スキャナ装置30及び発光装置40と図示せぬ配線で電気的に接続されており、各装置とデータのやり取りを行いながら各装置の動作(搬送、撮影、点灯の開始、終了等)を制御する。本体51のCPUがストレージに記憶されているプログラムを読み出し、メモリをワークエリアとして用いてそのプログラムを実行する。これにより、以下に述べる機能が実現される。
【0038】
図2は荷物検査システム1の機能構成を表す。荷物検査システム1は、搬送制御部101と、検査処理部102と、発光制御部103とを備える。搬送制御部101は、駆動部12及び駆動部22を制御して、第1搬送装置10及び第2搬送装置20による荷物2の搬送を制御する。搬送制御部101は、設定された搬送速度で荷物2が搬送されるように制御する。搬送制御部101は、例えば、搬送中に検査が行われる第1搬送装置10の搬送速度D1よりも、搬送中に荷物2の受け取りが行われる第2搬送装置20の搬送速度D2を遅くする。
【0039】
これにより、早く検査を終わらせて荷物2を受け取れるようにしつつ、第2搬送装置20の搬送エリアまで行けば搬送速度が遅くなるので持ち主3が荷物2を受け取り易くなるようにしている。また、搬送制御部101は、検査担当者4等の操作により搬送を開始し、終了するが、それ以外に、第1搬送装置10及び第2搬送装置20に設けられた重量セ
ンサが荷物の重量を検知した場合に搬送を開始し、その重量を検知しなくなった場合に搬送を終了する。
【0040】
検査処理部102は、荷物に持ち込み禁止物が含まれているか否かを検査するための検査処理を行う。具体的には、検査処理部102は、検査空間B1を通過する荷物をスキャナ装置30に撮影させる撮影処理と、撮影処理により撮影された透過画像に基づいて、荷物に持ち込み禁止物の可能性がある物が含まれているか否か、すなわち検査担当者4による再検査が必要か否かを判定する判定処理とを検査処理として行う。
【0041】
検査処理部102は、撮影された透過画像から周知の画像解析手法により荷物に含まれる内容物の形状を解析し、解析した形状からパターンマッチング等の手法により内容物の種別を推定する。さらに、検査処理部102は、推定した内容物の種別に応じて、荷物を、例えば、(ケースA)危険物、(ケースB)危険物の可能性あり、(ケースC)非危険物、の三通りに分類する。ケースAは、例えば荷物に大型ナイフや拳銃等が含まれると推定された場合である。
【0042】
ケースBは、ケースAには該当しないが、例えば荷物に多量の液体が含まれると推定された場合や、荷物に含まれる物の種別の推定が未完了である場合である。ケースCは、ケースA及びケースBのいずれにも該当しない場合である。検査処理部102は、本実施例では、ケースA及びBに分類された荷物を再検査が必要と判定し、ケースCに分類された荷物を再検査が不要と判定する。
【0043】
検査処理部102は、分類されたケース名、再検査の要否(つまり判定結果)及び検査時刻(判定を行った時刻)を示す検査結果データを発光制御部103に供給する。発光制御部103は、発光装置40による発光を制御して、検査処理部102により再検査が必要と判定された荷物の位置を表す。具体的には、発光制御部103は、発光装置40の発光位置を搬送速度に合わせて変化させることにより荷物2の位置を表す。
【0044】
図3は変化する発光位置の一例を表す。図3(a)では、搬送速度D1で搬送されて検査空間B1から途中まで出てきた荷物2が表されている。この場合、発光制御部103は、LEDライト42を上流側の端から3つ(発光装置40L及び40Rの両方とも。図3において以下同じ)点灯させている。これら点灯している3つのLEDライト42が配置されている位置が発光位置として認識される。
【0045】
図3(b)では、第1搬送装置10による搬送から第2搬送装置20による搬送に切り替わる位置まで搬送された荷物2が表されている。この場合、発光制御部103は、LEDライト42を上流側の端から9つ目から13個目までの5つを点灯させている。図3(c)では、第2搬送装置20により搬送されている荷物2が表されている。この場合、発光制御部103は、LEDライト42を上流側の端から21つ目から25個目までの5つを点灯させている。
【0046】
ここまでの発光制御の方法について説明する。発光制御部103は、検査処理部102から供給された検査結果データにより再検査が必要であることが示されている場合、その検査結果データが示す検査時刻から所定の時間(第1所定時間)が経過したときに、上流側の端のLEDライト42を点灯させる。この第1所定時間は、例えば検査時刻から荷物の先端が検査空間B1から出てくる時刻までに要する時間の平均値である。
【0047】
この点灯制御により、荷物の先端が出てきたタイミングで1つ目のLEDライト42が点灯する。次に、発光制御部103は、点灯から所定の時間(第2所定時間)が経過すると1つ下流側のLEDライト42を新たに点灯する。この第2所定時間は、搬送速度D1
で搬送された荷物がLEDライト42の間隔の距離だけ搬送されるのに要する時間である。発光制御部103は、第2所定時間が所定回数(図3の例では5回)経過するまではLEDライト42を点灯させたままにして、所定回数が経過するとLEDライト42を消灯させる。
【0048】
この点灯制御により、点灯する複数の(図3の例では5つの)LEDライト42が表す発光位置が、搬送速度D1で搬送される荷物と同じ速度で移動するように見えることになる。また、発光制御部103は、発光位置の先端が第1搬送装置10及び第2搬送装置20の境界まで到達すると、下流側のLEDライト42を新たに点灯するまでの所定の時間を、搬送速度D2で搬送された荷物がLEDライト42の間隔の距離だけ搬送されるのに要する時間となるように段階的に変化させる。これにより、発光位置の先端の移動速度が次のように変化する。
【0049】
図4は発光位置の先端の移動速度の一例を表す。図4では、縦軸が発光位置の先端速度(先端の移動速度)を示し、横軸が検査空間B1からの距離を示すグラフが表されている。発光位置の先端速度は、第1搬送装置10及び第2搬送装置20の境界までは搬送速度D1となり、その境界から次第に低下し、発光位置の先端が所定の距離だけ移動したところで搬送速度D2に到達し、それ以降は搬送速度D2で移動している。
【0050】
第1搬送装置10及び第2搬送装置20の境界では、搬送速度D2の方が搬送速度D1より遅いため荷物2が少しずつ減速し、完全に第2搬送装置20の上まで移動したところで搬送速度D2での搬送が行われる。このような荷物の搬送速度の変化傾向の平均値を予め測定しておき、発光制御部103は、その平均値と同じように発光位置の先端速度を変化させるよう発光制御を行う。
【0051】
また、発光制御部103は、本実施例では、荷物2を持ち主3が持ち去ったか否かに関わらず、下流側の端のLEDライト42まで上記の発光制御を行う。図3(d)では、再検査のために荷物2が検査担当者4により持ち運ばれた後に、発光位置が発光装置40の下流側の端まで到達した状態が表されている。このように荷物2が持ち運ばれた後まで発光位置が表されていても、その位置に他の荷物は存在しないので混乱を招くことはない。
【0052】
発光制御部103は、下流側の端のLEDライト42が発光位置の後端となり、消灯すると、発行制御を終了する。以上のとおり、発光制御部103は、検査処理部102により再検査が必要と判定された荷物の位置を搬送速度に基づいて表す(搬送速度に基づいて決まる速度で移動する発光位置により表す)機能である。荷物検査システム1は、上記の構成に基づいて荷物を検査する検査処理を行う。
【0053】
図5は検査処理における動作手順の一例を表す。この動作手順は、荷物検査システム1の電源が投入されて動作開始の操作が行われることを契機に開始される。まず、荷物検査システム1(搬送制御部101)は、第1搬送装置10及び第2搬送装置20による荷物の搬送を開始する(ステップS11)。次に、荷物検査システム1(検査処理部102)は、スキャナ装置30に透過画像を撮影させる処理を開始する(ステップS12)。
【0054】
続いて、荷物検査システム1(検査処理部102)は、撮影された透過画像に基づいて、撮影された荷物の再検査が必要か否かを判定する(ステップS13)。荷物検査システム1(検査処理部102)は、再検査が不要(NO)と判定した場合は、ステップS13に戻って、次に撮影された透過画像に基づく判定を行う。
【0055】
ステップS13で再検査が必要(YES)と判定された場合は、荷物検査システム1(発光制御部103)は、その荷物の位置を搬送速度に基づいて表す発光制御を開始する(
ステップS14)。そして、荷物検査システム1は、搬送する荷物が有るか否かを判断し(ステップS15)、有る(YES)と判断した場合はステップS13に戻って動作を行い、無い(NO)と判断した場合は搬送を終了して(ステップS16)、この動作手順を終了する。
【0056】
本実施例では、上記のとおり再検査が必要と判定された荷物の位置をLEDライト42の発光位置によって表している。これにより、発光位置が表されない場合に比べて、再検査が必要な荷物を見つけやすくすることができる。また、発光位置を用いることで、音に関係なく荷物の位置が表されるので、周囲がうるさくても再検査が必要な荷物を見つけやすくすることができる。また、発光位置を表す発光装置40が、搬送経路の両側に設けられている。これにより、検査担当者4はもちろん持ち主3にも、再検査が必要な荷物の位置を伝えることができる。
【0057】
[2]第2実施例
本発明の第2実施例について、以下、第1実施例と異なる点を中心に説明する。第1実施例では荷物の位置を表すため発光装置40が用いられたが、第2実施例では、発光装置40を用いずに荷物の位置が表される。
【0058】
図6は第2実施例に係る荷物検査システム1aの外観を表す。荷物検査システム1aは、図1に表す発光装置40を備えておらず、代わりにカバー60を備えている。荷物検査システム1aは、再検査の有無により搬送速度を変化させることで荷物の位置を表す。
図7は荷物検査システム1aの機能構成を表す。荷物検査システム1aは、搬送制御部101と、検査処理部102とを備える(発光制御部103は備えない)。
【0059】
本変形例の搬送制御部101は、検査処理部102により再検査が不要と判定された荷物については設定された搬送速度により搬送を継続し、検査処理部102により再検査が必要と判定された荷物については設定された搬送速度とは異なる速度により搬送するよう搬送制御を行う。設定された搬送速度とは、例えば実施例で述べた第1搬送装置10の搬送速度D1及び第2搬送装置20の搬送速度D2である。
【0060】
搬送制御部101は、例えば、異なる速度をゼロとして搬送を制御する。より詳細には、搬送制御部101は、搬送制御部101により荷物の再検査が必要と判定された場合、すぐには第1搬送装置10を停止させないで、荷物の全体が検査空間B1から出てくるまで搬送速度D1のまま搬送を継続する。この搬送の継続時間は、判定結果が出てから荷物の全体が検査空間B1から出てくるまでの時間を予め実験して調べておいてその時間を定めればよい。
【0061】
搬送制御部101は、荷物の全体が検査空間B1から出てきたところで、第1搬送装置10の搬送速度D1をゼロに変更、すなわち停止させる。また、搬送制御部101は、第2搬送装置20の搬送速度D2については、判定結果に関わらず変更せずに維持する。つまり、搬送制御部101は、検査処理部102により再検査が必要と判定された荷物の下流側では設定された搬送速度により搬送を継続する。
【0062】
搬送制御部101は、本実施例では、例えば予め定められた停止時間だけ第1搬送装置10を停止させ、その停止時間が経過すると第1搬送装置10の搬送速度D1での搬送を再開させる。この停止時間としては、例えば検査担当者4が停止した荷物2を受け取るのに十分な時間が定められる。カバー60は、このように検査処理部102により再検査が必要と判定された荷物が停止する位置の通路C2(荷物の持ち主3が通過する通路)側に設けられ、持ち主3による荷物の受け取りを抑止する部材である。カバー60は本発明の「抑止部材」の一例である。
【0063】
カバー60は、例えばプラスチック等で形成された板状の部材であり、通路C2から見ると荷物2が完全に覆い隠される程度の大きさを有している。このカバー60が設けられていることで、再検査が必要な荷物が停止したときに再検査が必要なことに気付かずに持ち主3がその荷物を持ち去ってしまうこと、すなわち再検査が必要な荷物の持ち主による持ち去りを抑制することができる。
【0064】
図8は第2実施例の検査処理における動作手順の一例を表す。この動作手順は、図5に表す動作手順とステップS11(搬送開始)からS13(再検査の要否の判断)までの最初の動作が共通している。ステップS13で再検査が必要(YES)と判定された場合は、荷物検査システム1a(搬送制御部101)は、その荷物が検査空間B1を出るまで搬送し(ステップS21)、第1搬送装置10を停止させる(ステップS22)。
【0065】
次に、荷物検査システム1a(搬送制御部101)は、停止期間が経過したか否かを判断し(ステップS23)、経過していない(NO)と判断するとステップS23を再び実行する。荷物検査システム1a(搬送制御部101)は、停止期間が経過した(YES)と判断すると、第1搬送装置10の搬送速度D1での搬送を再開し(ステップS24)、図5に表すステップS15、S16の動作を行う。
【0066】
本実施例では、上記のとおり搬送速度をゼロにすることで、検査担当者4が、搬送され続けている荷物は再検査が不要で、停止した荷物は再検査が必要であると見分けることができる。つまり、搬送速度に変化がない場合に比べて、第1実施例と同様に、再検査が必要な荷物を見つけやすくすることができる。また、完全に停止するので、荷物が動き続けている場合(搬送速度がゼロでない場合)に比べて、その荷物を取出しやすくすることができる。
【0067】
なお、搬送制御部101は、第1搬送装置10の搬送速度D1をゼロではない速度(例えばD1の半分又は1/3等の速度)に変更させてもよい。その場合でも、再検査が必要な荷物は搬送速度が変化するので、搬送速度が変化しない荷物(再検査が不要な荷物)と見分けることができる。
【0068】
また、第1実施例では、LEDライト42により再検査が必要な荷物の位置を把握したが、本実施例では、例えば荷物の一部だけでも見えていればその動きから搬送速度を判断することができる。つまり、荷物を見るだけで再検査の要否を判断することができる。また、本実施例では、再検査が必要と判定された場合でも、第2搬送装置20の搬送速度D2による搬送は継続される。これにより、再検査が必要な荷物の前方に再検査が不要な荷物がある場合に、その荷物の搬送を継続することができる。
【0069】
[3]変形例
上述した各実施例はいずれも本発明の実施の一例に過ぎず、以下のように変形させてもよい。また、各実施例及び各変形例は必要に応じてそれぞれ組み合わせてもよい。
【0070】
[3-1]発光方法
発光位置の表し方が第1実施例と異なっていてもよい。例えばLEDライト以外の発光体(白熱電球等)が用いられてもよいし、表示面を上に向けた細長いディスプレイを用いて発光位置が表されてもよい。また、搬送装置の側面に発光体を配置するのではなく、例えば天井にプロジェクタ装置を設け、そのプロジェクタ装置が投影する光で発光位置を表してもよい。要するに、搬送方向A1において光っている位置と光っていない位置とが区別できるのであれば、どのような方法で発光位置が表されてもよい。
【0071】
[3-2]再検査が不要な荷物の表示
発光制御部103は、第1実施例と異なる方法で発光制御を行ってもよい。発光制御部103は、第1実施例では、再検査が必要と判定された荷物の位置を発光位置として表示したが、反対に再検査が不要と判定された荷物の位置を発光位置として表示してもよい。この場合、発光制御部103は、再検査が不要と判定された荷物の場合に、第1実施例と同様の発光制御を行う。これにより、再検査不要な荷物の位置が発光位置によって表されると共に、発光位置が表されない荷物は再検査が必要な荷物であることが分かるので、結果的に第1実施例と同様に再検査が必要な荷物を見つけやすくすることができる。
【0072】
[3-3]荷物位置の検知
発光制御部103は、第1実施例では図4に表すように予め定められた速度で発光位置の先端を移動させたが、これに限らない。例えば、搬送経路C1を搬送される荷物の位置を検知するセンサを設けておき、発光制御部103が、そのセンサが検知した位置を発光位置とするように発光制御を行ってもよい。この場合、荷物の滞留等で設定された搬送速度どおりに荷物が搬送されない場合でも、再検査が必要な荷物の位置を表すことができる。
【0073】
[3-4]荷物位置の表し方
第1実施例では発光位置で荷物の位置を表したが、これに限らない。例えばLEDライト42の代わりに表裏で色が異なるパネルを回転させて、点灯=表、消灯=裏というように置き換えて表(又は裏)のパネルの位置で荷物の位置を表してもよい。また、荷物の位置を視覚的に表すだけでなく、LEDライト42の代わりに(又は共に)スピーカを備えて荷物の位置で音を出したり、送風機を備えて荷物の位置で送風したりして、聴覚的及び触覚的に荷物の位置を表してもよい。
【0074】
[3-5]判定結果の出力
上記の各実施例では、検査処理部102による判定結果が発光位置又は搬送速度によって表されたが、例えば検査担当者4が利用するユーザ端末(スマートフォン又はタブレット端末等)に出力されてもよい。
【0075】
図9は本変形例の荷物検査システム1bの外観を表す。荷物検査システム1bは、図1に表す各装置に加えて撮像装置70と、ユーザ端末80とを備える。撮像装置70は、画像(静止画像及び動画像のどちらでもよい)を撮影する装置であり、図9に表すように、持ち主3が荷物2を預けたときにその荷物2及び持ち主3の両方が撮影可能な位置に配置される。撮像装置70は、撮影した画像を示す画像データを制御装置50に送信する。
【0076】
図10は本変形例の荷物検査システム1bの機能構成を表す。荷物検査システム1bは、図2に表す各部に加えて画像取得部104と、検査結果出力部105とを備える。画像取得部104は、荷物とその荷物の持ち主を撮影した画像を取得する。画像取得部104は、例えば撮像装置70が動画像を撮影する場合に、撮像装置70から送信されてくる画像データが示す動画像を取得して、取得した動画像に写っている人物の顔を周知の顔認識技術を用いて認識する。
【0077】
撮像装置70の位置及び画角は固定されており、また、荷物を置く場所も決まっているので、荷物を置く瞬間の人物の顔はおおよそ決まった領域に写ることになる。本変形例では実験でその領域を予め定めておき、画像取得部104は、その領域に写った顔が認識された場合に、そのときの画像を荷物とその荷物の持ち主を撮影した画像として取得する。画像取得部104は、取得した画像を検査結果出力部105に供給する。
【0078】
なお、画像取得部104による画像の取得方法はこれに限らない。画像取得部104は
、例えば様々な形の荷物のパターン画像を記憶しておき、荷物も認識して、荷物と顔を同時に認識したときの画像を荷物とその荷物の持ち主を撮影した画像として取得してもよい。また、画像取得部104は、再検査の有無の判定がされた時刻から所定の時間(例えば荷物を置いてから判定がされるまでの平均時間)だけ遡った時刻に撮影された画像を荷物とその荷物の持ち主を撮影した画像として取得してもよい。
【0079】
本変形例では、検査処理部102が、上述した検査結果データ(分類されたケース名、再検査の要否及び検査時刻を示すデータ)を検査結果出力部105に供給する。検査結果出力部105は、検査処理部102による検査処理の結果(判定結果及び検査時刻)と、画像取得部104により取得された持ち主及び荷物の画像と、スキャナ装置30により撮影された透過画像とを示す画像データを生成し、ユーザ端末80に送信する。
【0080】
ユーザ端末80は、送信されてきた画像データが示す画像を表示する。ユーザ端末80は、例えば、「危険物検出」という検査結果画像と、「検査時刻:hh.mm.ss」という検査時刻画像と、持ち主画像と、荷物外観画像と、透過画像とを表示する。このように、荷物検査システム1bは、検査処理部102により再検査が必要と判定された荷物とその荷物の持ち主を撮影し、撮影した荷物の画像及び持ち主の画像を対応付けて示す画像データを出力する。
【0081】
これにより、この画像データが出力されない場合に比べて、再検査が必要な荷物の持ち主を検査担当者4が特定しやすいようにすることができる。また、荷物検査システム1bは、再検査が必要と判定された荷物の透過画像をその荷物の画像に対応付けて示す画像データを出力している。これにより、どのような形状の物体が荷物に入っているかを想定しながら再検査をすることができるので、この画像データが出力されない場合に比べて、再検査の際にその物体(例えば危険物)を素早く特定することができる。
【0082】
[3-6]荷物の検査場所
上記の各実施例では、荷物の検査が空港で行われる場合を説明したが、それ以外にも様々な場所で荷物の検査が行われてもよい。例えば駅、港及びバスターミナル等の乗り物の入場口で行われてもよいし、コンサート会場、スポーツ競技場、スタジアム及び美術館等の施設の入場口で行われてもよい。要するに、入場口において安全のため入場者の荷物の中身を確認する必要があれば、どのような場所(入場口)で荷物の検査が行われてもよい。
【0083】
[3-7]入場情報の出力
上記変形例で出力された画像データにさらに他の情報が含まれていてもよい。例えば、荷物の検査が行われる入場口において、入場のための手続きが行われる場合がある。例えば乗り物の入場口であれば搭乗券の読み取りが行われ、施設の入場口であれば入場券の読み取りが行われる。
【0084】
それらの読み取り結果は入場の内容を示す情報(入場情報)として、入場を管理する入場管理システムに保存される。例えば危険物と疑われる物を持ち込む入場者には、検査担当者がその入場者に対して入場の目的等を確認するやり取りが行われることがある。その際に、上記画像データに入場情報も含まれていると、それを見ながら質問をすることができる。また、乗り物の場合、出発時刻までの時間の余裕も分かるので、再検査をどの程度急げばよいかを判断することもできる。
【0085】
本変形例では、図9に表す検査結果出力部105が、前述した入場管理システム(持ち主が通過する入場口を管理するシステム)からその持ち主の入場情報を取得し、取得した入場情報をさらに示す画像データを生成し、ユーザ端末80に送信する。
図11は本変形例で表示された画像の一例を表す。図11の例では、ユーザ端末80が、「危険物検出」という検査結果画像E1と、「検査時刻:hh.mm.ss」という検査時刻画像E2と、持ち主画像E3と、荷物外観画像E4と、透過画像E5と、「出発時刻」、「行先」、「到着時刻」という入場情報画像E6を表示している。
【0086】
このように、本変形例では、荷物検査システム1bが、入場管理システムからその持ち主の入場情報を取得し、取得した入場情報と荷物の画像及び持ち主の画像とを対応付けたデータを画像データとして出力する。これにより、再検査の際に、上述したように持ち主の入場情報を用いること(質問に用いたり時間の余裕の判断に用いたりすること)ができる。
【0087】
[3-8]コンベヤの種類
上記の各実施例ではベルトコンベヤが用いられたが、これに限らない。例えばローラコンベヤが用いられてもよい。ローラコンベヤとは、複数のローラを各ローラの回転軸を搬送方向に直交する向きで並べ、ローラに駆動力を与えて回転させることで搬送物を搬送するコンベヤである。
【0088】
なお、ローラコンベヤは、全てのローラが駆動される必要はなく、一部のローラが駆動されて回転することで搬送物を搬送するものであればよい。また、ローラコンベヤ以外にも、チェーンコンベヤ又はメッシュコンベヤ等の他の形式のコンベヤを用いてもよい。要するに、搬送速度を制御することができるコンベヤであればどのようなコンベヤが用いられてもよい。
【0089】
[3-9]1つのコンベヤ
上記の各実施例では、コンベヤが2つであったが1つであってもよい。その場合、搬送速度は常に一定であってもよいし、検査する荷物が少ない場合(例えば一時点では1つの荷物しか検査しない場合)、荷物が検査空間B1を通過する際はコンベヤの速度を速くし、荷物が検査空間B1を通過した後はコンベヤの速度を遅くしてもよい。また、第2実施例では、再検査が必要な荷物が検査空間B1から出てくると全体の搬送が停止することになるため、例えば検査担当者4が搬送経路C1の下流側にいても、搬送が停止されるのを見て、再検査が必要な荷物が出てきたことに気付くことができる。
【0090】
[3-10]搬送対象
本発明は、荷物検査以外にも適用可能である。例えば、工場で製品を搬送する検査システムに本発明を適用してもよい。具体例を挙げると、例えば、上流側では搬送物(製品等)を搬送しながら加工装置による加工処理を搬送物に対して行い、下流側では作業員が加工された搬送物に対して検品作業を行うという場合である。検品作業でも、本発明が適用されることで、実施例と同様に再検査が必要な荷物を見つけやすくすることができる。
【符号の説明】
【0091】
1…荷物検査システム、10…第1搬送装置、20…第2搬送装置、30…スキャナ装置、40…発光装置、42…LEDライト、50…制御装置、60…カバー、70…撮像装置、80…ユーザ端末、101…搬送制御部、102…検査処理部、103…発光制御部、104…画像取得部、105…検査結果出力部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11