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特許7252776カップ収容部付きアウター衣料およびカップ付きアウター衣料
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  • 特許-カップ収容部付きアウター衣料およびカップ付きアウター衣料 図1
  • 特許-カップ収容部付きアウター衣料およびカップ付きアウター衣料 図2
  • 特許-カップ収容部付きアウター衣料およびカップ付きアウター衣料 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-28
(45)【発行日】2023-04-05
(54)【発明の名称】カップ収容部付きアウター衣料およびカップ付きアウター衣料
(51)【国際特許分類】
   A41D 1/22 20180101AFI20230329BHJP
   A41C 3/08 20060101ALI20230329BHJP
【FI】
A41D1/22 Z
A41C3/08
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019025163
(22)【出願日】2019-02-15
(65)【公開番号】P2020133016
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2021-12-10
(73)【特許権者】
【識別番号】519053094
【氏名又は名称】東麗(香港)有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100186484
【弁理士】
【氏名又は名称】福岡 満
(72)【発明者】
【氏名】大塚 亜津希
(72)【発明者】
【氏名】白石 肇
(72)【発明者】
【氏名】岩本 克彦
(72)【発明者】
【氏名】高山 昌子
【審査官】須賀 仁美
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-013774(JP,A)
【文献】特開2001-316907(JP,A)
【文献】登録実用新案第3111510(JP,U)
【文献】登録実用新案第3131863(JP,U)
【文献】特開2016-53222(JP,A)
【文献】実開昭54-157709(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D1/22
A41C3/00-3/14
A41B9/00-9/16
A41D7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
身体を覆う前身頃部および後身頃部とカップを出し入れ自由に収容するためのカップ収容部を前記前身頃部に備えるカップ収容部付きアウター衣料であって、前記前身頃部が外側生地と肌側生地からなる二重前身頃であり、前記肌側生地の前記外側生地側の面にカップ収容部が形成されていることを特徴とするカップ収容部付きアウター衣料。
【請求項2】
前記肌側生地にカップ収容部を形成するための生地がカップを収容可能とする空間を有して接合されていることを特徴とする請求項1に記載のカップ収容部付きアウター衣料。
【請求項3】
前記肌側生地と前記カップ収容部を形成するための生地とが接着材を介して接合されていることを特徴とする請求項2に記載のカップ収容部付きアウター衣料。
【請求項4】
前記前身頃部において、前記外側生地と前記肌側生地とは裾部でもって縫い目を有することなく連続した一枚の布でもって構成されていることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のカップ収容部付きアウター衣料。
【請求項5】
前記カップ収容部において、カップを収容するためのカップ収容口が脇接ぎ線付近または脇接ぎ線上に配されていることを特徴とする請求項1~4の何れかに記載のカップ収容部付きアウター衣料。
【請求項6】
前記接着材がポリウレタンフィルムまたはポリウレタン編物を中間層として上層、下層にホットメルト接着層を有することを特徴とする請求項3に記載のカップ収容部付きアウター衣料。
【請求項7】
前記接着材を介して接合された箇所のヨコ方向への伸長率が30%以上180%以下、であり、かつ、伸長回復率が80%以上100%以下であることを特徴とする請求項3または6に記載のカップ収容部付きアウター衣料。
【請求項8】
請求項1~7の何れかに記載のカップ収容部付きアウター衣料のカップ収容部にカップが収容されたカップ付きアウター衣料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、身体を覆う前身頃部および後身頃部を有し、カップを出し入れ自由に収容するためのカップ収容部を前記前身頃部に備えるアウター衣料に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、Tシャツ、タンクトップ、キャミソール等、身生地に左右のカップ部を取り付けたカップ付衣料が数多く開発、販売されており、ブラジャーを着用せずとも乳頭の透けを防ぎバストの保持ができる衣料として広く活用されている。
【0003】
例えば、特許文献1では、バストを覆うための内布が前身頃部の両肩部、両脇部では接合され、衿ぐり部と内布の裾部では接合されていない衣料が提案されている。
【0004】
また、特許文献2では、前身頃肌側面のバスト部に存在する左右のカップ部切替え生地が伸縮方向と繰り返し交差する線状の接着パターンで接合されている衣料が提案されている。
【0005】
また、特許文献3では、前身頃に一体成型カップを収容するための内布が接着材を介して接合され、内布の前中心に開口部を設けた衣料が提案されている。
【0006】
更に、特許文献4では、外側前身頃にカップ部が縫糸にて接合された衣料が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特許第6343526号明細書
【文献】特許第6227940号明細書
【文献】特許第6402743号明細書
【文献】実用新案登録第3186323号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1では、身頃と内布とが衿ぐりおよび裾にて接合されていないことで、外観の見栄えが良くなり、バストへのフィット感が向上する一方で、着脱時に内布が手や腕に引っかかり易く着脱がしづらくなるという課題があった。
【0009】
また、特許文献2および特許文献3では、前身頃に直接カップ収容生地が接着されているため、前身頃の伸長時、例えば運動した際に接着部と身頃生地との伸長率差で接着部の跡が浮き出てしまうという課題があった。
【0010】
また、特許文献4では、縫糸による接合「縫製仕様」であるため、肌当たりが悪くなるという課題があった。
【0011】
本発明の目的は、上述した問題に鑑み、ブラジャーを着用せずとも、本発明の衣料を着用するだけで、乳頭形状が表れることがなく、また、運動をしてもカップ収容部の形状が外観に表れることがなく、また、肌当たりが良好なアウター衣料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のカップ収容部付きアウター衣料は、身体を覆う前身頃部および後身頃部とカップを出し入れ自由に収容するためのカップ収容部を前記前身頃部に備えるアウター衣料であって、前記前身頃部が外側生地と肌側生地からなる二重前身頃であり、前記肌側生地の前記外側生地側の面にカップ収容部が形成されていることを特徴とする。
【0013】
また好ましく、本発明のカップ収容部付きアウター衣料は、前記肌側生地にカップ収容部を形成するための生地がカップを収容可能とする空間を有して接合されていることを特徴とする。
【0014】
また好ましく、本発明のカップ収容部付きアウター衣料は、前記肌側生地と前記カップ収容部を形成するための生地とが接着材を介して接合されていることを特徴とする。
【0015】
また好ましく、本発明のカップ収容部付きアウター衣料は、前記前身頃部において、前記肌側生地と前記外側生地とは裾部でもって縫い目を有することなく連続した一枚の布でもって構成されていることを特徴とする。
【0016】
また好ましく、本発明のカップ収容部付きアウター衣料は、前記カップ収容部において、カップを収容するためのカップ収容口が脇接ぎ線上に配されていることを特徴とする。
【0017】
また好ましく、本発明のカップ収容部付きアウター衣料は、前記接着材がポリウレタンフィルムを中間層として上層、下層にホットメルト接着層を有することを特徴とする。
【0018】
また好ましく、本発明のカップ収容部付きアウター衣料は、前記接着材を介して接合された箇所のヨコ方向への伸長率が30%以上180%以下、かつ、伸長回復率が80%以上100%以下であることを特徴とする。
【0019】
また、本発明のカップ付きアウター衣料は、前記のカップ収容部付きアウター衣料のカップ収容部にカップが収容されている。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ブラジャーを着用せずとも乳頭の透けを防ぎ、ブラジャー不要で外出が可能であり、また、運動をしてもカップ収容部の形状が外観に表れることがなく、また、肌当たりが良好である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施形態の一例を示す正面図である。
図2】本発明の実施形態の一例における前身頃部の断面模式図である。
図3】本発明の実施形態の一例における前身頃部の肌側生地を外側生地の側の面からみたときの正面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明によるカップ付き収容部付きアウター衣料およびカップ付きアウター衣料について図面を参照しつつ例を挙げて説明する。なお、本発明は係る例に限定して解釈されるものではない。
【0023】
図1は、本発明の一形態にかかるカップ収容部付きアウター衣料の正面から見た模式図である。なお、図1の右の図はカップ収容部4とカップ収容口8の位置を示した透視図である。また、図2は、本発明の一形態にかかるカップ収容部付きアウター衣料の前身頃を前中心で裁断したときの断面模式図である。図1に示すように、本発明のカップ収容部付きアウター衣料1は、身体を覆うように構成されている前身頃部2および後身頃部3とカップを出し入れ自由に収容するためのカップ収容部4を前記前身頃部に備えている。また図2に示すように、前身頃部2は、外側生地(以下、生地Aと称することがある)と肌側生地(以下、生地Bと称することがある)とからなる二重前身頃となっており、前記生地Bの前記生地A側の面にカップ収容部4(4a)が形成されている。この図2においてはカップを収容するための生地(以下、カップ収容部形成用生地、あるいは、単に生地Cと称することがある)によってカップ収容部4(4a)がカップを収容可能とする空間を有して生地Bに接合されている。前身頃部2が二重になっており、かつ、肌側生地にカップ収容部4が形成されていることで、カップを収容しての着用時に激しい運動を行ったとしても外観上カップ収容部の形状あるいはカップの形状が目立つことなく、すっきりとした外観となる効果を得ることができる。そして、本発明のカップ付きアウター衣料1枚を外衣として着用することも可能となる。また、前身頃部が二重身頃となっており、肌側生地の外側生地の側の面にカップ収容部が形成されているので、着用時あるいは脱衣時に腕や手や頭や首がカップ収容部に引っかかることが無いか、殆ど無い。
【0024】
なお、カップ収容部を生地Bに設けることができれば生地Bは必ずしも生地Aと略同形である、つまり概略同じ形状を有している、必要は無い。例えば、生地Bの縦長さの方が生地Aのそれよりも短い場合が挙げられる。しかしながら、生地Aと生地Bが略同形でない場合には生地Aと生地Bとの縫着線が目立つこととなりやすく外観を損ねる虞があるため、略同形、例えばカップ収容口8を設けることで形状が異なる程度の差の範囲、であることが好ましい。
【0025】
本発明においてアウター衣料とは、外出時に外衣として着用できる衣料であれば、特に限定されるものではない。また、襟や袖の有無また各種の装飾部材の有無などの衣料としての設計事項は使用目的に応じて任意に設計することができる。また、後身頃部においてファスナーなどにて開いたり閉じたりできる構造となっていても構わない。
【0026】
本発明のカップ収容部付きアウター衣料の前身頃部2および後身頃部3を構成する布帛は、特に限定されるものではないが、胸部における適度な締め付け感が得られ、かつ、動きやすさを実現するために、織物、編物または不織布を用いることが好ましく、柔軟性やストレッチ性に優れることから編物を用いることが特に好ましい。
【0027】
織物としては、織組織や製法に特に制限は無く、意匠性や着心地における要求に従って選択すれば良い。
【0028】
編物としては、編組織や製造方法に特に制限は無く、例えば、緯編の場合は、平編(天竺)、ゴム編(リブ編)、パール編(ガータ編)、両面編(スムース編)、平編の変化組織(親子天竺、鹿の子編、ヘンリンボン、浮き編、シングルジャガード、アコーディオン編、レース編、添え糸編、パイル編、縄編、インターシャー編等)、ゴム編の変化組織(針抜きゴム編、かたあぜ編、両畦編、振り編、ダブルジャガード編、片袋編、ミラノリブ、ダブルピケ、ブリスター等)、両面編の変化組織(エイトロック、シングルピケ、モックミラノ、ポンチローマ等)などが挙げられる。経編の場合は、トリコット(デンビー編、コード編、アトラス編等)、ラッシェル編などが挙げられる。
【0029】
不織布としては、目付や製造方法に特に制限は無く、例えば、フェルト状のものを用いることができる。
【0030】
また、前身頃部2においては、外側生地(生地A)と肌側生地(生地B)が裾部でもって縫い目を有すること無く連続した一枚の布でもって構成されていることが好ましい。この場合、生地Aは裾部となるべき箇所から外側となる生地を、生地Bは裾部となるべき箇所から肌側となる生地を意味するものとする。生地Aと生地Bとが同じ生地であることにより、ストレスがかかっても同様の変形挙動を示すことから運動時に外観を損なうことが殆ど無く、また、着心地への影響も軽減できる。また、裾部で繋がった構造となっていることで裾部において縫糸による縫製を行う必要がなくなり、縫い目が無いことですっきりとした外観としてみせることができる。また、前述したようにカップ収容部4が生地Bに形成されていることから、カップ収容部は独立、つまりは前身頃部2の一部となっていることで、着脱性が向上するという効果も得られる。更に、洗濯時にもカップ収容部を構成する物が他の衣料と絡まるといった問題も解消されることに繋がる。
【0031】
前身頃部2の肌側生地(生地B)の外側生地(生地A)側の面に形成されているカップ収容部4は、乳頭の透けを防ぐ、もしくはバストの垂れを防止することを目的としたカップを自由に着脱可能とされていればどのような構造であっても良いが、カップ部の収容が容易であること、また、収容部の形成が簡便であること、洗濯のし易さなどのハンドリングの面から、カップの形状に近しい形状をもったカップを収容するための生地(生地C)を生地Bに固定することが望ましい。用いる生地としては生地Bと同じ材質の生地であっても良いが異なる材質の生地であっても構わない。また、該カップを収容するための生地はカップの形状に近い形状(カップの外縁を位置規制できる形状)とすることでカップの位置づれを防止することができる。また、好ましく、カップは弾性および/または可撓性のある素材で構成されるので、カップを変形させてカップをカップ収容部に納めることが可能である。また、カップ収容部4は前身頃部2においてしか形成されておらず、後身頃部3にまで延在させた構造とはしていないことで、締め付け感のない快適な着用感を得ることができる。
【0032】
カップをカップ収容部に収容するためのカップ収容口8はカップ収容部4のどの位置に設けても良いが、脇接ぎ線付近または脇接ぎ線上に配置することが好ましい。カップ収容口が脇接ぎ線上に近い位置であるほど、着用時の違和感を緩和でき、不快感を軽減することができる。また、収容口の形成方法としては、特に限定されないが、二本針オーバーロック縫いでの脇接ぎ時に収容口部のみ縫い合わせを行わない方法などが挙げられる。
【0033】
カップ収容部4を形成する方法としては、前記のとおり、カップを収容するための生地生地(生地C)を生地Bに固定することが望ましいが、固定の仕方としては生地Cの縁部に沿って生地Bに縫い合わせる方法や、図2に示すように、生地Bにカップ収容部形成用生地Cを接合する方法が好ましい。
【0034】
生地Cを生地Bに接合する方法としては、生地同士を直接溶着する方法も挙げられるが、また、縫着することも可能であるが、接着材5を用い、該接着材を介して接合することが好ましい。用いる接着材5としては特に限定されるものではないが、例えば、ポリウレタン系ホットメルト樹脂、ポリエステル系ホットメルト樹脂、ポリアミド系ホットメルト樹脂、EVA系ホットメルト樹脂、ポリオレフィン系ホットメルト樹脂、スチレン系エラストマー樹脂、湿気硬化型ウレタン系ホットメルト樹脂、反応型ホットメルト樹脂等が挙げられる。中でも、伸度および弾性率の高いポリウレタン系ホットメルト樹脂を用いることがより好ましい。また、ポリウレタン系ホットメルト樹脂単体での使用以外の方法として、ポリウレタンフィルムやポリウレタン編物などの弾性体を中間層として有し、その両面にホットメルト接着材の層を設けたポリウレタン系ホットメルトシートを使用しても良い。この場合、ポリウレタンフィルムを用いることが加工性に優れるので好ましい。ポリウレタン等の弾性体を中間層に配置した接着材を用いることで接着部全体の弾性が高まることとなる。本発明では、接着材5を介することで、生地Bの肌側に縫い目が露出することなく、肌当たりが良好となる。更に弾性率の高いポリウレタン系ホットメルトシートを用いることで、着用時のフィット感が向上し、バストの保持性が優れるという効果を得ることができる。
【0035】
さらに好ましい態様について、図3を用いて説明する。図3はカップ収容部付きアウター衣料前身頃部2の肌側生地を外側生地の側の面からみたときの正面模式図である。カップ収容部は、着用者のバストを囲む位置、つまりは上辺である前腋点を結んだライン6から下辺であるアンダーバストライン7までの範囲に好ましく位置している。前記前腋点を結んだライン6とアンダーバストライン7にカップ収容部を配置するために、前記前腋点を結んだライン上とアンダーバストライン上に前述した接着材5を配置、付与して生地Cと接合することでこのような構成を採ることが可能である。
【0036】
前腋点を結んだライン上とアンダーバストライン上に配置された接着材5の形状は、特に限定されるものではないが、図3に示す接着材線6、7のような二ツ山および逆二ツ山形状にすることが好ましい。二ツ山形状にすることで、体のラインにフィットし、歩行などの運動時にズレるなどの問題が生じにくくなり、着用快適性が向上することとなる。
【0037】
また、本発明において、接着材を介して接合された箇所のヨコ方向の伸長率(伸び率ともいうことがある)、および、伸長回復率(伸長弾性率ともいうことがある)は、着用時のバスト保持性および着用快適性が向上することから、伸長率として30%以上、180%以下、伸長回復率として80%以上、100%以下であることが好ましい。なおここで、伸長率および伸長回復率は、生地Bと生地Cが接着材で接合された箇所からサンプリングを行い、JIS L 1096に準じて測定する。
【0038】
カップ収容部4に収容されるカップは、乳頭の透けを防ぎ、かつバストを支えることができれば、素材、形状は特に制限されるものでないが、弾性および/または可撓性のあるものが着心地の点などから好ましく、また、左右カップが連続したワンピースカップを使用することが特に好ましい。ワンピースカップを使用することで、カップが左右へ流れることなく、所定の位置で保持することが可能となる。
【0039】
本発明のカップ付きアウター衣料はカップ収容部付きアウター衣料にカップを収容することで得ることができる。
【0040】
本発明に用いられる各種の生地は染色されていても構わない。生地の染色方法は、特に限定されるものではないが、一般的な方法で染色することができる。また、生地には機能性を付与する機能加工を加えられていても良い。例えば、吸湿性向上のための加工剤、制電性付与のための加工剤、UVカット付与のための加工剤、保温性向上のための加工剤等、柔軟剤向上のための加工剤などを付与しても差し支えない。
【0041】
本発明に用いられる各種の生地を構成する繊維としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンフタレートおよびポリブチレンテレフタレートなどからなる繊維や、これらに第三成分を共重合してなる芳香族ポリエステル系繊維、L-乳酸を主成分とするもので代表される脂肪族ポリエステル系繊維、ナイロン6やナイロン66などのポリアミド系繊維、ポリアクリロニトリルを主成分とするアクリル系繊維、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維などの合成繊維、スパンデックスなどのポリウレタン弾性繊維、アセテートやレーヨンなどの半合成繊維、および木綿、絹および羊毛などの天然繊維などが挙げられる。本発明では、これらの繊維を単独または2種以上の混合物として使用することができるが、ポリエステル系繊維またはポリアミド系繊維を主成分にした繊維もしくはポリエステル系繊維またはポリアミド系繊維を主成分にした繊維とスパンデックスなどのポリウレタン弾性繊維とを併用した態様が好ましく使用される。また、フラットヤーン、カバードヤーン、仮撚加工糸、強撚糸、タスラン加工糸、太細糸および混繊糸等のフィラメントヤーン、各種繊維を混紡した紡績糸であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0042】
このように、本発明により、ブラジャーを着用せずとも、乳頭の透けを防ぎ、かつバストの保持が可能となり、衣料1枚を着用するだけで外出が可能、かつ楽に着用可能なアウター衣料を提供できる。
【符号の説明】
【0043】
1: カップ付きアウター衣料
2: 前身頃部
3: 後身頃部
4: カップ収容部
4a: カップ収容部(断面)
5: 接着材
6: 左右前腋点を結んだ接着材配置曲線
7: アンダーバスト上の接着材配置曲線
8: カップ収容口
生地A: 前身頃 外側(表側)生地
生地B: 前身頃 肌側(裏側)生地
生地C: 前身頃 カップ収容部形成用生地
図1
図2
図3