(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-28
(45)【発行日】2023-04-05
(54)【発明の名称】演出方法及び演出具
(51)【国際特許分類】
G09F 19/00 20060101AFI20230329BHJP
A63H 33/28 20060101ALI20230329BHJP
A63J 5/00 20060101ALI20230329BHJP
【FI】
G09F19/00 Z
A63H33/28 B
G09F19/00 J
A63J5/00
(21)【出願番号】P 2019029882
(22)【出願日】2019-02-21
【審査請求日】2021-12-07
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 新規性を喪失した発明に係る演出方法及び演出具についての公開日:平成30年3月16日~平成30年3月18日新規性を喪失した発明に係る演出方法及び演出具について公開した場所:幕張メッセ(千葉県千葉市美浜区中瀬2丁目1)
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古高 佑季
【審査官】藤井 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-292986(JP,A)
【文献】実開昭58-039300(JP,U)
【文献】特開2015-096180(JP,A)
【文献】特開2003-301200(JP,A)
【文献】実開平3-114299(JP,U)
【文献】コーヒーの香りがはじけるシャボン玉に触りたい!泡カフェで絶品泡スイーツを【原宿】,[online],株式会社オンエア,2018年04月19日,https://tabizine.jp/2018/04/19/184486/,[検索日 2022.10.18]
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 19/00-27/00
A63H 1/00-37/00
A63J 5/00- 5/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
演出空間内に、シャボン玉を視認性を高めた状態で供給する演出方法であって、
前記シャボン玉は、内部に微小液滴を含む気体が封入されており、
前記演出空間内にハイコントラスト部材を配した状態下に、前記シャボン玉を供給し、
前記シャボン玉と前記ハイコントラスト部材とのL
*a
*b
*表色系における明度差が3以上90以下であ
り、
前記ハイコントラスト部材が、前記シャボン玉を受ける受け体を含み、
前記シャボン玉を割らないように前記受け体で受ける、演出方法。
【請求項2】
前記受け体により、前記シャボン玉を割らないように前記シャボン玉を受けてその移動を止めるか、又は前記シャボン玉を割らないように前記シャボン玉をはね返す、請求項1に記載の演出方法。
【請求項3】
前記受け体は、その表面に繊維体を有している、請求項
1又は2に記載の演出方法。
【請求項4】
前記受け体は、道具であるか又は身体の一部に装着される物品である、請求項1~3の何れか1項に記載の演出方法。
【請求項5】
前記演出空間内で、前記受け体と前記シャボン玉とを繰り返し接触させる、請求項1~4の何れか1項に記載の演出方法。
【請求項6】
前記シャボン玉は香気を有しており、前記香気と関連する商品の情報を前記演出空間内又は該演出空間を視認可能な隣接空間に提示する、請求項1~
5の何れか1項に記載の演出方法。
【請求項7】
前記シャボン玉は、シャボン膜に香料成分を含む、請求項6に記載の演出方法。
【請求項8】
演出空間内に、シャボン玉を視認性を高めた状態で供給する演出方法に用いられる演出具であって、
シャボン玉と、該演出空間内に配されるハイコントラスト部材とを有しており、
前記シャボン玉には、微小液滴を含む気体が封入されており、
前記シャボン玉と前記ハイコントラスト部材とのL
*a
*b
*表色系における明度差が3以上90以下であ
り、
前記ハイコントラスト部材が、前記シャボン玉を受ける受け体を含み、
前記シャボン玉の膜強度が、前記受け体と接触したときに割れないように調整されている、演出具。
【請求項9】
前記受け体は、前記シャボン玉を受けてその移動を止める部材か、又は該シャボン玉をはね返す部材である、請求項8に記載の演出具。
【請求項10】
前記受け体は、道具又は身体の一部に装着される物品である、請求項8又は9に記載の演出具。
【請求項11】
前記受け体は、その表面に繊維体を有している、請求項8~10の何れか1項に記載の演出具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、演出方法及びそれに用いられる演出具に関する。
【背景技術】
【0002】
シャボン玉は子供の玩具として広く親しまれているが、近年、娯楽性を高める等の観点から、シャボン玉を従来の玩具とは異なる方法で用いることが提案されている。例えば特許文献1には、内部に不透明な煙が封入されたシャボン玉に画像を投影するシャボン玉生成システムが記載されている。また、シャボン玉を、演劇や舞台、コンサート、イベント等の雰囲気を盛り上げる演出に使用することがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、シャボン玉は通常透明であるため視認し難く、これによってシャボン玉を視認する人にシャボン玉を用いた表現が伝わり難いという不都合が生じていた。特許文献1に記載のシャボン玉は、不透明な煙が封入されているため、透明なシャボン玉に比して視認性はあるものの、特に照明等の光源近傍で浮遊させた場合や、屋内で浮遊させた場合の視認性が不十分であった。
【0005】
本発明の課題は、前述した従来技術が有する欠点を解消し得る演出方法及びそれに用いられる演出具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、演出空間内に、シャボン玉を視認性を高めた状態で供給する演出方法であって、前記シャボン玉は、内部に微小液滴を含む気体が封入されており、前記演出空間内にハイコントラスト部材を配した状態下に、前記シャボン玉を供給し、前記シャボン玉と前記ハイコントラスト部材とのL*a*b*表色系における明度差が3以上90以下である、演出方法を提供するものである。
【0007】
また、本発明は、演出空間内に、シャボン玉を視認性を高めた状態で供給する演出方法に用いられる演出具であって、シャボン玉と、該演出空間内に配されるハイコントラスト部材とを有しており、前記シャボン玉には、微小液滴を含む気体が封入されており、前記シャボン玉と前記ハイコントラスト部材とのL*a*b*表色系における明度差が3以上90以下である、演出具を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の演出方法及び演出具によれば、シャボン玉の視認性に優れ、該シャボン玉を用いた演出効果を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の演出方法の一実施態様を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明に係るハイコントラスト部材の一実施形態を示す模式図である。
【
図3】
図3は、
図1に示すシャボン玉を生成するシャボン玉生成装置の概略を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下本発明の演出方法を、その好ましい一実施態様に基づき図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の演出方法の一実施態様を示している。本実施態様における演出方法は、演出空間S内に、シャボン玉Bを視認性を高めた状態に供給するものであり、各種イベントの雰囲気を盛り上げる演出に好適に用いられる。前記イベントとしては、例えば演劇、舞台、コンサート等のショーイベント、消費者の購買意欲を喚起させたり、商品、地域、企業等の知名度やイメージ等を向上させるためのプロモーションイベント等が挙げられる。前記「視認性を高めた状態」とは、シャボン玉Bを視覚的に知覚し易くなるように、該シャボン玉Bを目立たせた状態である。視覚的な知覚には、前記イベントに参加した人等が、演出空間S内に供給されたシャボン玉を直接目視して知覚することに加え、該演出方法を実施した様子を撮影した映像や画像を視た人が、該映像や画像に映るシャボン玉Bを目視して知覚することも含まれる。
【0011】
シャボン玉Bは、シャボン液により形成されるシャボン膜を空気等の気体で膨らませて生成したものであり、該シャボン玉Bの内部に、微小液滴を含む気体が封入されている。微小液滴を含む気体は、該微小液滴が可視光を散乱することにより、半透明又は不透明となっているため、視認可能である。即ち、シャボン玉Bは、内部に微小液滴を含む気体が封入されているため、視認可能である。微小液滴を含む気体は、ヘリウム、二酸化炭素等の単体ガス、空気、又はこれらの混合ガスと、微小液滴とを混合させて生成することができる。微小液滴の生成方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば微小液滴の原料となる液体や固体を加熱によって揮散させる方法や、超音波振動によって霧化させる方法等が挙げられる。
【0012】
演出空間Sは、シャボン玉Bを供給する空間であり、通常、前述のイベントが行われるイベントスペースの少なくとも一部に設けられる。演出空間Sは、ステージ上のステージ空間であってもよく、複数のパーテーションで仕切られた空間であって、一方向から視たとき該空間の内部が透視可能な空間であってもよい。
【0013】
演出空間S内には、ハイコントラスト部材Cが配されている。ハイコントラスト部材Cは、シャボン玉Bとの間に高いコントラスト、具体的にはシャボン玉Bとの間に後述する明度差を有することによって、シャボン玉Bの視認性を高め得る部材である。ハイコントラスト部材Cは、演出空間S内に配されて、シャボン玉Bと共に視認される物を、特に制限なく用いることができる。例えば、本実施態様におけるハイコントラスト部材Cは、
図1に示すように、演出空間Sを形成する背景壁部C11及び床部C12である。また、ハイコントラスト部材Cは、演出空間S内の人に装着される装着物品や、演出空間S内の人が使用する道具であってもよい。
【0014】
シャボン玉Bとハイコントラスト部材CとのL
*a
*b
*表色系における明度差は、3以上90以下である。この明度差により、シャボン玉Bとハイコントラスト部材Cとは、視覚的に識別可能である。本実施態様におけるシャボン玉Bは、内部に微小液滴を含む気体が封入されているため、透明なシャボン玉に比して高い視認性を有しているが、演出空間S内のハイコントラスト部材Cと対比することで、さらにシャボン玉Bが目立つため、シャボン玉Bの視認性に優れる(
図1参照)。特に照明等の光源近傍でシャボン玉Bを浮遊させた場合や、屋内でシャボン玉Bを浮遊させた場合においても、シャボン玉Bをハイコントラスト部材Cと対比することで、該シャボン玉を容易に視認することができる。
【0015】
また、視認性に優れることによりシャボン玉Bを用いた演出効果を高めることができる
。前記演出効果は、シャボン玉Bによる視覚的な効果であって、演出空間S内に供給されたシャボン玉Bを視た人、即ち観者を主として楽しませる効果である。したがって、本実施態様の演出方法は、舞台、演劇、コンサート等のショーイベントや、遊戯施設におけるアトラクション又はショーにて好適に使用される。また、前記演出効果には、シャボン玉Bを視た人を楽しませて、イベントのコンセプトを印象付ける効果も含まれる。このような効果には、プロモーションイベントに係る商品等の宣伝効果、例えば商品等の知名度を向上させる効果等が含まれる。そのため、本実施態様の演出方法は、展示会や商業施設の特設ブース、又は店頭で行われる商品の販売促進活動に好適に使用される。前記観者には、演出空間S内で該シャボン玉Bを視る者と、演出空間Sの外から該演出空間S内のシャボン玉Bを視る者とが含まれる。
【0016】
シャボン玉Bとハイコントラスト部材CとのL*a*b*表色系における明度差は、下記の方法により撮影したシャボン玉とハイコントラスト部材との画像を用いた、画像処理によって測定される。
【0017】
〔シャボン玉及びハイコントラスト部材の撮影方法〕
背景に黒色の台紙を配置し、光源装置(光源D65、NEC社製、製品名:FHF32EX-N-HX-S)が設置された撮影環境下にて、微小液滴を含む気体を内部に封入したシャボン玉と、ハイコントラスト部材とを対比し得るように配置した状態で撮像し、該シャボン玉とハイコントラスト部材との画像を取得する。シャボン玉の寸法は、直径80mm~100mmとする。ハイコントラスト部材が後述する受け体である場合、シャボン玉を受け体に載置した状態で撮影を行う。この場合、シャボン玉の全体及び受け体の全体が、黒色の台紙を背景にした状態となる。但し、ハイコントラスト部材が、演出空間を形成する空間形成部材である場合、該ハイコントラスト部材で演出空間を形成する状態にしてシャボン玉の撮影を行う。例えば、ハイコントラスト部材が、後述する背景壁部や床部である場合、該床部を床に、該背景壁部を壁にした空間内でシャボン玉を撮影する。この場合、シャボン玉は浮遊状態であってもよい。ハイコントラスト部材が複数あり、これらが受け体、及び空間形成部材である場合、空間形成部材で演出空間を形成する状態にし、且つシャボン玉を受け体に載置した状態で撮影を行う。
撮影時は、光源装置の位置が、シャボン玉の表面に対して法線方向に30cm離間する位置となるように、シャボン玉を配置する。撮影は、デジタルカメラ(例えばCASIO社製、EX-100F)をシャボン玉の水平方向に15cm離間した位置に配置し、且つ該デジタルカメラを下記の設定にして行う。1サンプル当たりシャボン玉は3個以上用意し、各シャボン玉毎にハイコントラスト部材と対比させた状態の画像を撮影する。
撮影モード:オートフォーカス
ISO感度:6400
フラッシュ:無し
露出補正:0.0
シャボン玉とハイコントラスト部材との明度差は、下記の方法により測定される。
【0018】
〔L*a*b*表色系における明度差の測定方法〕
画像処理ソフトウェア(Adobe社製のPhotoshop CC)を用いて、前記〔シャボン玉とハイコントラスト部材との撮影方法〕によって取得した画像中のシャボン玉及びハイコントラスト部材それぞれについて、JIS Z 8729に規定されるL*a*b*表色系の明度(L*値)を測定する。具体的には、1枚の画像につき、シャボン玉の任意の10箇所の明度を測定する。次いで、得られた測定結果から、明度が99以上となる測定値を除外して、1枚の画像当たりのシャボン玉の明度の平均値を求める。これを画像毎に行って、各画像の明度の平均値を求める。次いで、各画像の明度の平均値から全ての画像のシャボン玉の明度の平均値を求めて、これをシャボン玉の明度(L*値)とする。これと同様の方法により、全ての画像当たりのハイコントラスト部材の明度の平均
値を求め、該平均値をハイコントラスト部材の明度(L*値)とする。そして、シャボン玉の明度とハイコントラスト部材の明度との差を求め、これをシャボン玉とハイコントラスト部材とのL*a*b*表色系における明度差とする。
【0019】
シャボン玉Bとハイコントラスト部材CとのL*a*b*表色系における明度差は、上述した範囲であればよいが、シャボン玉の視認性をより向上させる観点から、シャボン玉Bとハイコントラスト部材CとのL*a*b*表色系における明度差は、好ましくは5以上、より好ましくは10以上、一層好ましくは30以上であり、また好ましくは85以下、より好ましくは80以下であり、また好ましくは5以上85以下、より好ましくは10以上80以下で、一層好ましくは30以上80以下である。
【0020】
シャボン玉Bの明度(L*値)は、ハイコントラスト部材Cの明度(L*値)に比して高くてもよく、低くてもよい。例えば、シャボン玉Bが白色、ハイコントラスト部材Cが黒色であってもよく、シャボン玉Bが黒色、ハイコントラスト部材Cが白色であってもよい。シャボン玉Bを容易に視認する観点から、シャボン玉Bの明度(L*値)は、ハイコントラスト部材Cの明度に比して高いことが好ましい。
シャボン玉の視認性を向上させる観点から、シャボン玉Bの明度がハイコントラスト部材Cの明度に比して高い態様においては、シャボン玉Bの明度(L*値)が50以上99以下であり、ハイコントラスト部材Cの明度(L*値)が1以上47以下である組み合わせが好ましく、シャボン玉Bの明度(L*値)が60以上90以下であり、ハイコントラスト部材Cの明度(L*値)が2以上30以下である組み合わせがより好ましい。
上記と同様の観点から、シャボン玉Bの明度がハイコントラスト部材Cの明度に比して低い態様においては、シャボン玉Bの明度(L*値)が1以上47以下であり、ハイコントラスト部材Cの明度(L*値)が50以上99以下である組み合わせが好ましく、シャボン玉Bの明度(L*値)が2以上30以下であり、ハイコントラスト部材Cの明度(L*値)が60以上90以下である組み合わせがより好ましい。
【0021】
ハイコントラスト部材Cは、演出空間Sの少なくとも一部を形成する空間形成部材C1、及びシャボン玉Bを受ける受け体C2の何れか一方又は双方であることが好ましい。
前記空間形成部材C1としては、演出空間Sを形成する背景壁部C11や床部C12等が挙げられる。背景壁部C11は、イベント等に参加した観者が演出空間Sを視たとき、シャボン玉Bの背景として目視される部材である(
図1参照)。前記背景壁部C11は、建築物が有する既存の壁を構成する部材とは別に設けられる部材であることが好ましく、例えば既存の壁に取り付けた板状の部材や、布、紙、樹脂性シートからなるシート材、既存の壁とは別に立設した壁の壁面等が挙げられる。
【0022】
前記受け体C2は、シャボン玉Bを下方等から受け止める部材であり、シャボン玉を受けてその移動を止め得る狭義の受け止め部材の他、シャボン玉Bをはね返すことができる部材等も含まれる。
受け体C2としては、載置部材、装着物品、及び道具等が挙げられる。載置部材は、シャボン玉Bの載置場所を有する部材であり、載置場所及び載置されたシャボン玉Bの背景部分を有するものが好ましい。載置部材としては、例えばテーブル、椅子、台座、スクリーンパネル、カーペット、床材、カーテン、ベッド、寝具、車内シート、壁材、モニター等の表示装置等が挙げられる。
前記受け体C2としての装着物品は、人の手等の身体の一部に装着されるものである。装着物品としては、手袋、靴、靴下、帽子等の装身具、シャツ、コート、パーカー、スカート、ジャンパー、カーディガン、ワンピース、ジャケット、パンツ、スウェット、和装等の衣類等が挙げられる。例えば、
図2に示すように、装着物品として手袋C21を用いる場合、手袋C21を手に装着した状態で、掌等にシャボン玉Bを載置したり、お手玉のようにして該シャボン玉Bをはね返すことができる。
前記受け体C2としての道具は、テニス、卓球等のラケットを模した道具や、野球のバッドを模した棒状の道具、団扇等が挙げられる。
【0023】
ハイコントラスト部材Cは、空間形成部材C1及び受け体C2の何れか一方であってもよく、これら双方であってもよい。即ち、ハイコントラスト部材Cは、空間形成部材C1のみ、又は受け体C2のみであってもよく、空間形成部材C1及び受け体C2であってもよい。さらに、演出空間S内に配されるハイコントラスト部材Cは、1個だけでもよく、2個以上の複数であってもよい。例えば、背景壁部がハイコントラスト部材Cである演出空間S内に、ハイコントラスト部材Cである載置部材としてテーブルを配置し、さらにハイコントラスト部材Cである受け体C2として手袋を装着した人が該演出空間S内にいてもよい。
演出空間S内に複数のハイコントラスト部材Cがある場合、シャボン玉Bと各ハイコントラスト部材Cとの明度差が同じであってもよく、それぞれ異なっていてもよい。
また、演出空間S内に複数のシャボン玉Bが供給される場合、複数のシャボン玉の明度が同じであってもよく、それぞれ異なっていてもよい。
【0024】
本実施態様の演出方法において、シャボン玉B及びハイコントラスト部材Cそれぞれは、通常、相異なる色である。シャボン玉B及びハイコントラスト部材Cそれぞれの色は、特に制限されず、例えば、白色、紫色、薄紫色、赤色、ピンク色、灰色、緑色、薄緑色、青色、薄青色、水色、黒色、黄色、黄土色、茶色、橙色等が挙げられる。シャボン玉の視認性を向上させる観点から、シャボン玉Bの色とハイコントラスト部材Cの色との組み合わせは、白色と黒色との組み合わせ、白色と紫色との組み合わせ、白色と青色との組み合わせ、白色と赤色との組み合わせが好ましい。
【0025】
本実施態様における演出方法において、演出空間S内の人が前述した装着物品や道具等の受け体C2と膜強度の高いシャボン玉Bとを繰り返し接触させて、該シャボン玉Bをはね返してもよい。この場合、受け体C2と接触してもシャボン玉Bが割れることを抑制する観点から、受け体C2は、その表面に繊維体を有していることが好ましく、シャボン玉Bを載置する部分に繊維体を有していることがより好ましい。具体的には、受け体C2として、載置部材を用いる場合、載置場所の表面に繊維体を有していることが好ましい。例えば、テーブルや椅子を繊維体からなるカバーで覆ってもよい。また、受け体C2として装着物品を用いる場合、装着物品の少なくとも一部が繊維体から形成されていることが好ましい。
【0026】
繊維体としては、不織布、織布、編物、抄紙又はこれらの積層体等や、獣類の毛皮や皮革等の繊維状物質を用いることができる。不織布としては、例えば、エアスルー不織布、スパンボンド不織布、スパンレース不織布、メルトブローン不織布、レジンボンド不織布、ニードルパンチ不織布などが挙げられ、これらの不織布を2種以上組み合わせた積層体や、これらの不織布とフィルム等とを組み合わせた積層体を用いることもできる。繊維体の繊維材料としては、天然繊維、再生繊維、半合成繊維、合成繊維等を使用することができる。天然繊維には、植物繊維と動物繊維とがある。植物繊維としては、綿、カポック等の種子繊維、リネン、ラミー、ヘンプ、ジュート等の靱皮繊維、マニラ麻、サイザル麻、ニュージーランド麻、ロープーマ等の葉脈繊維、やし等の果実繊維等の天然セルロース繊維を使用することができる。動物繊維としては、ケラチンを含む繊維を使用することができ、例えば、アルパカ、アンゴラ、カシミヤ、モヘアなどの獣毛繊維、絹等の繭繊維、ダウン、フェザー等の羽毛繊維等が挙げられる。再生繊維としては、天然繊維からのものと、再生繊維としては、レーヨン、キュプラ、テンセル、リヨセル等のセルロース系の繊維、カゼイン繊維、落花生タンパク繊維、トウモロコシタンパク繊維、大豆タンパク繊維、再生絹糸等のタンパク質系の繊維や、アルギン繊維、キチン繊維、マンナン繊維、ゴム繊維等が挙げられる。半合成繊維としては、アセテート、トリアセテート、酸化アセテート
等のセルロース系の繊維、プロミックス等のタンパク質系の繊維、塩化ゴム、塩酸ゴム等が挙げられる。合成繊維としては、ナイロン、ナイロン6、ナイロン66、芳香族ナイロン、アラミド等のポリアミド繊維、ビニロン等のポリビニルアルコール繊維、ビニリデン等のポリ塩化ビニリデン繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリエステル繊維、ポリアクリロニトリル繊維、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン繊維、レクセ、サクセス等のポリエーテルエステル繊維、ポリウレタン繊維等や、ポリクラールを使用することができる。前記の繊維材料は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0027】
本実施態様の演出方法は、前述したようにプロモーションイベントに用いることができる。プロモーションイベントに係る商品の宣伝効果を向上させる観点から、本実施態様の演出方法においては、シャボン玉Bは香気を有しており、香気と関連する商品の情報を演出空間S内又は該演出空間Sを視認可能な隣接空間に提示することが好ましい。このような態様として、例えば、商品がハンドソープである場合、シャボン玉が該ハンドソープの香気を有し、該ハンドソープの商品名等を演出空間S内又は該演出空間Sを視認可能な隣接空間に提示する態様が挙げられる。前記態様の演出方法を用いたイベントの参加者は、演出空間S内に供給されたシャボン玉Bからハンドソープの香りを知覚するため、該参加者にハンドソープを嗅覚的に印象付けることができる。
【0028】
香気と関連する商品の情報は、商品の視覚情報であり、通常、コマーシャル映像やポスター広告等のサイネージコンテンツとして視認可能な情報である。前記商品の情報には、静止画と動画があり、静止画としては、写真、コンピューターグラフィック、イラスト等が挙げられ、動画としては映像、アニメーション等が挙げられる。商品名、発売日、販売会社、商品の使用方法、商品特性等を表す文字、図形、もしくはイラスト、URLやQRコード(登録商標)等のウェブページの情報、販売会社のロゴマーク、商品又はそのパッケージの外観、商品の使用方法、商品特性等を表す画像が含まれ、これらを単独又は組み合わせて用いてもよい。商品特性とは、商品の効果、効能、味等の商品の特徴である。商品又はそのパッケージの外観は、商品又はそのパッケージの全体の外観や特徴的な部分(形状、模様)等の一部の外観、又はこれらを模して表したものであって、商品を想起し得るものを好ましく用いることができる。
【0029】
シャボン玉Bが有する香気は、前述した例のように、商品に付与された香気であってもよく、商品のイメージを表す香気であってもよい。商品のイメージを表す香気は、商品に付与された香気と異なっていてもよい。例えば、商品のイメージを表す香気は、商品に付与された香気の香調と類似するものであってもよい。また、例えば、森のイメージをもつ商品には、グリーン系の香調を有して森を想起させる香気等を付与することができる。
【0030】
演出空間Sを視認可能な隣接空間は、演出空間Sとは別の空間であって、シャボン玉Bが供給されない空間であり、前記観者、特に演出空間Sの外から該演出空間S内のシャボン玉Bを視る者の視界に入る空間である。
また、香気を有するシャボン玉Bは、シャボン膜に香料成分を含んでいてもよく、該シャボン玉Bの内部に微小液滴と揮発性の香料成分とを含む気体を封入していてもよい。
【0031】
次に、上述した実施態様における演出方法に好適に用いられる演出具の一実施形態について説明する。本実施形態の演出具は、シャボン玉Bと、演出空間S内に配されるハイコントラスト部材Cとを有している。シャボン玉B及びハイコントラスト部材Cは、前述した構成を具備している。即ち、シャボン玉Bには、微小液滴を含む気体が封入されており、シャボン玉と前記ハイコントラスト部材とのL*a*b*表色系における明度差が上述した範囲内である。
【0032】
シャボン玉Bは、人の呼気により、シャボン膜を微小液滴を含む気体で膨らませて生成してもよく、シャボン玉生成装置を用いて生成してもよい。以下に、シャボン玉生成装置を用いた、シャボン玉の製造方法の一実施態様を
図3及び
図4を参照しながら説明する。
図3及び
図4に示すシャボン玉生成装置1は、シャボン玉を連続して生成可能なシャボン玉生成装置であり、ノズル部21を備えた回転ドラム2と、ノズル部21に、シャボン液11を供給するシャボン液供給部3とを備えている。
【0033】
回転ドラム2は、
図3に示すように、円筒状の外周面20を有し、ノズル部21は、その外周面20における周方向の一部に、外周面20から突出した状態に設けられている。回転ドラム2は、その回転軸X1の軸長方向における一端側が第1側壁2aで封鎖され、他端側が中心に開口を有する第2側壁2bで封鎖されている。第1側壁2aは、その中央部に、駆動モータ4によって回転するシャフト41が連結されている。第2側壁2bは、
図4に示すように、前記開口の周囲から回転軸X1の軸長方向に突出する筒状部2cを備えており、筒状部2cは、内部気体供給装置5が備える混合筐体55に設けられた環状軸受部15に回転自在に支持されている。環状軸受部15は、好ましくはボールベアリングを備えている。内部気体供給装置5は、微小液滴を含む気体を生成する微小液滴生成部58と、香気成分を生成する香気生成部51と、微小液滴を含む気体に香気生成部51で生成された香気成分を混合する混合筐体55とを備えている。混合筐体55は、
図4に示すように、その内部が、微小液滴を含む気体と香気成分とを混合する混合室54となっている。混合筐体55は、筒状部2cの一端開口部と対向する位置に、連通孔55cを有している。
【0034】
微小液滴生成部58は、前述した方法によって微小液滴の原料を揮散又は霧化させ、これを外部から取り込まれた空気と混合して、微小液滴を含む気体を生成する。微小液滴を含む気体は、微小液滴生成部58が備える空気供給手段の制御下にて、ダクト57を介して混合室54内に送りこまれる。前記空気供給手段としては、混合室54内に直接又はダクト57等を介して間接に移送させる電動ファン等、各種公知のもの等を特に制限なく用いることができる。微小液滴生成部58は、前記空気供給手段に代えて、ヘリウム、二酸化炭素空気等の単体ガスを取り込むガス供給手段を備えていてもよい。この場合、微小液滴を含む気体は、微小液滴の原料を揮散又は霧化させたものと、前記単体ガスとを混合して生成される。
ダクト57は、内部が混合室54となる混合筐体55における、回転ドラム2側とは反対側に位置する壁面に接続・開口されおり、微小液滴を含む気体は、該ダクト57を介して混合室54に供給される。混合室54には、ダクト56を介して香気生成部51が接続されている。ダクト56は、内部が混合室54となる混合筐体55における、回転ドラム2側の面と直交する壁面に接続・開口されている。香気生成部51では、香気成分を含む香料等の液体や固体に超音波振動又は熱を加えて、揮発性の香気成分を生成する。香気生成部51により生成される香気成分は、電動ファン等の送風手段の制御下にて、ダクト56を介して混合室54に送出され、該混合室54にて微小液滴を含む気体と混合される。このようにして、微小液滴と揮発性の香気成分とを含む気体が生成される。以下、微小液滴と揮発性の香気成分とを含む気体を内部気体ともいう。
【0035】
本実施形態においては、混合筐体55の連通孔55c、環状軸受部15の内側空間及び筒状部2cの内部空間により気体導入孔23が形成されており、その気体導入孔23を介して、内部気体供給装置5から、回転ドラム2の内部空間22内に、シャボン玉Bの内部に封入される内部気体が供給される。即ち、回転ドラム2の内部空間22の全体が、ノズル部21に内部気体を供給する気体供給路を形成しており、ノズル部21に供給された内部気体が、回転ドラム2の回転軸X1の軸長方向に沿って回転ドラム2の内部空間22に向けて導入される。内部気体を供給する手段としては、例えば、電動モータにより駆動されるファン又は空気ポンプ等が挙げられ、該電動モータの回転又は空気ポンプ等の駆動の
制御により気体の供給量を制御する。
回転ドラム2の内部空間22内に供給された内部気体は、回転ドラム2の内部空間側からノズル部21に供給され、ノズル部21の先端において、シャボン玉Bの内部に封入される。
【0036】
回転ドラム2は、駆動モータ4からの動力を受けて、回転軸X1周りに回転する。駆動モータ4としては、例えば、ACモータ、サーボモータ、ステッピングモータ等の電動モータを用いることができる。本実施形態において駆動モータ4は、その回転を回転ドラム2に伝達するシャフト41を介して回転ドラム2と連結されている。シャフト41は、その軸長方向を、回転ドラム2の回転軸X1の軸長方向と一致させた状態で、駆動モータ4に接続され、他端が回転ドラム2の第1側壁2aに接続されている。駆動モータ4は、基台13又は床等に立設された支持体14に固定されて支持されている。
【0037】
シャボン液供給部3は、シャボン液11が内部に収容される貯留槽30を備えており、回転ドラム2の回転に伴い、ノズル部21の先端側が、該貯留槽30中のシャボン液11と繰り返し接触するようになされている。具体的には、貯留槽30は、上面が開口した箱状に形成されており、開口面が回転ドラム2の外周面と対向するように、回転ドラム2の真下に配置されている。また貯留槽30には、回転ドラム2の回転に伴って、ノズル部21が真下を向いたときに、該ノズル部21の先端部がシャボン液11に接触するように、シャボン液11が貯留される。貯留槽30は、シャボン液11の水面の高さ位置が一定となるように、シャボン液の自動補充装置を備えていても良い。ここで「ノズル部21が真下を向いた」状態とは、ノズル部21の先端が下方を向いた状態であって、回転ドラム2の回転軸と、ノズル部21の先端側の開口の中央部とを最短距離で結ぶ線が、鉛直方向と平行になる状態である。
【0038】
シャボン玉生成装置1では、回転ドラム2を一方向に回転させながら、内部気体供給装置5を作動させることで、
図3に示すように、内部気体供給装置5から供給される気体が、回転ドラム2内を介してノズル部21に供給され、内部に該気体が封入されたシャボン玉Bが順次生成される。
【0039】
シャボン玉Bを生成するシャボン液11としては、シャボン玉Bを生成し得るものを特に制限なく用いることができ、例えば、水、界面活性剤、添加剤を含むものを用いることができる。界面活性剤は、大きく分けて非イオン界面活性剤、両性界面活性剤、陽イオン界面活性剤及び陰イオン界面活性剤に分類される。これらの分類において、界面活性剤は、疎水基及び親水基の各種類等に応じて詳細に分類される。例えば、両性界面活性剤としてはベタイン型界面活性剤、アミンオキシド型界面活性剤等があり、非イオン性界面活性剤としては、アルカノールアミド型界面活性剤等がある。前記のベタイン型界面活性剤としては、スルホベタイン型界面活性剤、カルボベタイン型界面活性剤、アルキルベタイン型両性界面活性剤等が挙げられる。
添加剤としては、多価アルコール、糖類、水溶性高分子、溶剤、無機化合物、脂肪酸、脂肪酸塩、香料、染料、顔料等が挙げられる。
【0040】
シャボン膜を容易に形成する観点から、シャボン液は、下記に示す界面活性剤(a)~(e)の少なくとも1種以上を組み合わせて含有することが好ましい。
界面活性剤(a)は陰イオン界面活性剤である。陰イオン界面活性剤としては、特に限定されず、任意のものを用いることができるが、硫酸エステル基又はスルホン酸基を有する陰イオン界面活性剤を用いること好ましい。このような陰イオン界面活性剤としては、炭素数8~21の炭化水素基と、硫酸エステル塩基又はスルホン酸塩基とを有する陰イオン界面活性剤であることが好ましい。上記と同様の観点から、界面活性剤(a)は、炭素数が、好ましくは8以上、また好ましくは18以下、より好ましくは15以下であり、ま
た好ましくは8~18、より好ましくは8~15のアルキル基を有する硫酸エステル塩基、該硫酸エステル塩基であって炭素数2~3のオキシアルキレン基の平均付加モル数が好ましくは0.1以上、より好ましくは0.3以上、さらに好ましくは0.4以上であり、また好ましくは6以下、より好ましくは3以下、さらに好ましくは1.5以下であり、また好ましくは0.1~6、より好ましくは0.3~3、さらに好ましくは0.4~1.5であるポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、炭素数8~15のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸塩、及び炭素数8~15のアルカンスルホン酸塩から選ばれる1種以上の陰イオン界面活性剤が好適である。塩としてはナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩等の無機塩、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩等の有機アミン塩が挙げられる。
【0041】
シャボン膜の膜強度を向上させる観点から、界面活性剤(a)が、下記界面活性剤(a-1)であることが好ましい。
〔界面活性剤(a-1)〕
界面活性剤(a-1)は、(a1)で表される陰イオン界面活性剤である。
R11a-O-(PO)n1-SO3M2・・・(a1)
〔式中、R11aは、炭素数が8以上、好ましくは10以上であり、また18以下、好ましくは14以下であり、また8~18、好ましくは8~14のアルキル基であり、POは、プロピレンオキシ基であり、n1はPOの平均付加モル数であり、0以上、好ましくは0.1以上であり、また6以下、好ましくは2以下であり、また0≦n1≦6、好ましくは0.1≦n1≦2の数である。M2は陽イオンである。〕
【0042】
シャボン膜の膜強度を向上させる観点から、n1は、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.2以上、さらに好ましくは0.3以上、さらに好ましくは0.4以上であり、また好ましくは2以下、より好ましくは1.5以下、さらに好ましくは1以下、さらに好ましくは0.8以下であり、また好ましくは0.1~2、より好ましくは0.2~1.5、さらに好ましくは0.3~1、さらに好ましくは0.4~0.8である。
【0043】
前記一般式(a1)において、n1が0の場合には、R11aが分岐構造を有するアルキル基を含む化合物であることが好ましい。n1が0である場合、一般式(a1)の化合物は、分岐率が好ましくは15モル%以上、より好ましくは40モル%以上、さらに好ましくは70モル%以上であり、また好ましくは100モル%以下であり、また好ましくは15~100モル%、より好ましくは40~100モル%、さらに好ましくは70~100モル%の化合物が好適である。前記分岐率は、一般式(a1)における化合物の総モル数に対する、分岐鎖アルキル基を有する化合物の総モル数の割合である。
【0044】
前記一般式(a1)中のM2としては、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、アンモニウムイオン等の無機陽イオン、モノエタノールアンモニウムイオン、ジエタノールアンモニウムイオン、トリエタノールアンモニウムイオン等の有機陽イオンが挙げられるが、好ましくはナトリウムイオン、カリウムイオン、又はマグネシウムイオンである。
【0045】
前記一般式(a1)の化合物の調製方法としては、特に限定されず、任意の方法を用いることができる。前記一般式(a1)の化合物は、例えばR11a-OHで示される脂肪アルコールに、目的に応じてプロピレンオキシドを所定量付加させた後、液体又は気体の三酸化硫黄、三酸化硫黄含有ガス、発煙硫酸、及びクロルスルホン酸から選ばれる硫酸化剤で硫酸エステル化し、所定のアルカリ剤で中和して製造される。プロピレンオキシドの付加反応は触媒が必要である。前記触媒としては、NaOH、KOHなどの水酸化アルカリ、また、特開平8-323200号公報に記載の酸化マグネシウムを主成分とするものを用いることができる。前者は付加モル数分布が比較的広いポリオキシプロピレンアルキル
エーテルを得ることができ、後者は比較的狭い付加モル数分布を有する化合物を得ることができる。また、特開平10-158384号公報に開示されているようにアルカリ触媒と金属酸化物触媒を併用することにより付加モル数分布を制御することも可能である。
【0046】
前記一般式(a1)において、n1が0である場合であって、好適なR11aが分岐構造を有するアルキル基を含む化合物であり、該化合物を得る場合、原料であるR11a-OHで示されるアルコールとして、炭素数8~14の1-アルケンをヒドロホルミル化して得られたアルコール(OH基に対してβ位にメチル基が分岐したアルキル基が15~70モル%含まれる)、炭素数4~8のアルデヒドを縮合させた後、還元して得られるゲルベ型アルコール(OH基に対してβ位に炭素数3~6のアルキル基が分岐した構造のものが100モル%含まれる)、イソブテンの2量体をヒドロホルミル化して得られる3,5,5-トリメチルヘキサノール、イソブテンの3量体をヒドロホルミル化して得られる多分岐トリデカノール(分岐率は100モル%である)、石油、石炭を原料とした合成アルコール(分岐率が約20~100モル%のアルキル基である)等を挙げることができる。
【0047】
シャボン膜の膜強度を向上させる観点から、界面活性剤(a)が、下記界面活性剤(a-2)であることが好ましい。
〔界面活性剤(a-2)〕
界面活性剤(a-2)は、下記一般式(a2)で表される陰イオン界面活性剤である。
R21a-O-(PO)n-(EO)m-SO3M3 (a2)
〔式中、R21aは炭素数8~18のアルキル基であり、POはプロピレンオキシ基であり、EOはエチレンオキシ基であり、nはPOの平均付加モル数及びmはEOの平均付加モル数であり、それぞれ0<n<1、0<m≦3の数である。M3は陽イオンである。〕
【0048】
前記一般式(a2)において、nで示されるプロピレンオキシドの平均付加モル数の下限値は、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.15以上、より好ましくは0.2以上、より好ましくは0.3以上である一方、nの上限値は、好ましくは0.9以下、より好ましくは0.8以下、より好ましくは0.7以下、より好ましくは0.6以下である。
【0049】
界面活性剤(a-2)は、R21a-OHで表される化合物に、プロピレンオキシド(以下POともいう。)を付加させた後、次にエチレンオキシド(以下EOともいう。)を付加して得た化合物を硫酸化した後、中和して得ることができる。ここで、EOの平均付加モル数mは好ましくは0.5以上、より好ましくは0.9以上、さらに好ましくは1以上、さらに好ましくは1.3以上であり、また好ましくは2.5以下、より好ましくは2.3以下、さらに好ましくは2以下である。
【0050】
前記一般式(a2)中のM3としては、塩を形成する陽イオン基であり、アルカリ金属イオン、-N+H4(アンモニウムイオン)、及びモノエタノールアンモニウム基等のアルカノールアンモニウム基等が挙げられる。アルカリ金属としてはナトリウム、カリウム、リチウム等が挙げられるが、これらの中でナトリウム、又はカリウムであることが好ましい。また、アルカリ土類金属イオンが、対イオンとなっていてもよい。アルカリ土類金属イオンとしては、マグネシウム、カルシウム等が挙げられるが、これらの中でマグネシウムが好ましい。
【0051】
なお、本発明では、界面活性剤(a-2)に係る質量に関する記述(質量%や質量比)は、界面活性剤(a-2)の一般式(a2)中のM3を水素原子と仮定したときの質量(酸換算での比率)に基づくものとする。
【0052】
界面活性剤(a-2)は次のようにして製造することができる。
工程(I):直鎖1級アルコールにプロピレンオキサイドを付加させる工程
工程(II):上記工程(I)で得られたプロピレンオキサイド付加物にエチレンオキサイドを付加させる工程
工程(III):上記工程(II)で得られたアルコキシレートを硫酸化し、次いで中和する工程
【0053】
前記工程(I)、(II)を実施する方法としては、従来公知の方法を使用することができる。例えば、オートクレーブに、アルコールと該アルコールに対し0.5~1モル%のKOHを触媒として仕込み、昇温・脱水し、約120~160℃の温度で、それぞれ所定量のプロピレンオキサイド及びエチレンオキサイドを付加反応させる方法が挙げられる。この場合、付加形態はブロック付加であり、かつプロピレンオキサイド付加〔工程(I)〕、エチレンオキサイド付加〔工程(II)〕の順に行う。使用するオートクレーブは、攪拌装置、温度制御装置、自動導入装置を備えていることが好ましい。
【0054】
前記工程(III)は、前記工程(II)で得られたアルコキシレートを硫酸化し、次いで中和させる工程である。硫酸化の方法としては、液体又は気体の三酸化硫黄、三酸化硫黄含有ガス、発煙硫酸、クロルスルホン酸等を用いる方法が挙げられるが、特に、廃硫酸及び廃塩酸等の発生を防止する観点から、三酸化硫黄をアルコキシレートと同時にガス状又は液状で連続的に供給する方法が好ましい。
【0055】
硫酸化物の中和方法は、特に制限されず、任意の方法を採用することができる。前記中和方法としては、所定量の中和剤へ硫酸化物を添加・攪拌しながら中和を行うバッチ式と、硫酸化物と中和剤を配管内へ連続的に供給し、攪拌混合機にて中和を行うループ式等が挙げられる。中和方法に使用される中和剤としては、アルカリ金属化合物の水溶液、アンモニア水、トリエタノールアミン、アルカリ土類金属化合物の水溶液等が挙げられるが、これらの中でもアルカリ金属化合物の水溶液が好ましく、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムの水溶液がより好ましい。
【0056】
シャボン膜の膜厚を容易に増加させて、膜の強度を高めることにより、受け体C2と接触したシャボン玉Bを割れ難くする観点から、シャボン液の組成は以下の範囲内であることが好ましい。
シャボン液における界面活性剤(a)の含有量は、好ましくは0.05質量%以上1.00質量%以下、より好ましくは0.1質量%以上0.9質量%以下である。
【0057】
界面活性剤(b)は、スルホベタイン型界面活性剤である。スルホベタイン型界面活性剤としては、アルキル基の炭素数が10~18のN-アルキル-N,N-ジメチル-N-スルホプロピルアンモニウムスルホベタイン、N-アルキル-N,N-ジメチル-N-(2-ヒドロキシスルホプロピル)アンモニウムスルホベタイン、アルカノイル基の炭素数が10~18のN-アルカノイルアミノプロピル-N,N-ジメチル-N-スルホプロピルアンモニウムスルホベタイン、N-アルカノイルアミノプロピル-N,N-ジメチル-N-(2-ヒドロキシスルホプロピル)アンモニウムスルホベタイン等が挙げられる。
【0058】
シャボン液における界面活性剤(b)の含有量は、0.01質量%以上0.5質量%以
下、より好ましくは0.02質量%以上0.3質量%、更に好ましくは0.05質量%以上0.15質量%、また、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.02質量%以上、更に好ましくは0.05質量%以上であり、また好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.3質量%以下、更に好ましくは0.15質量%以下である。
【0059】
貯蔵安定性や、膜強度を向上することを目的として、上述した界面活性剤(a)及び(b)以外に、膜強度を損ねない範囲内で、界面活性剤(c)を用いることが好ましい。界面活性剤(c)は、非イオン界面活性剤である。非イオン界面活性剤としては、ポリオキシ
アルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、アルキルグリコシド等の非イオン界面活性剤を挙げることができる。中でも、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル及び/又はアルキルグリコシドが好適である。後述する、アルキルグリセリルエーテルは非イオン界面活性剤に分類されるが、当該アルキルグリセリルエーテルは、他の非イオン界面活性剤と区別するものとする。
【0060】
シャボン液における界面活性剤(c)の含有量は、好ましくは0.01質量%以上であり、より好ましくは0.03質量%以上であり、さらに好ましくは0.05質量%以上であり、そして、好ましくは2.0質量%以下であり、より好ましくは1.5質量%以下であり、さらに好ましくは1.0質量%以下である。また、好ましくは0.01質量%以上2.0質量%以下であり、より好ましくは0.03質量%以上1.5質量%以下であり、
さらに好ましくは0.05質量%以上1.0質量%以下である。
【0061】
また、シャボン膜の膜強度を向上し、シャボン玉を割れ難くする観点から、シャボン液に界面活性剤(d)を用いることが好ましい。界面活性剤(d)は、アミンオキシド型界面活性剤である。アミンオキシド型界面活性剤としては、N-アルカノイルアミノプロピル-N,N-ジメチルアミンオキシド(アルカノイルとしてはラウロイル又はミリスチロイル)、N-アルキル-N,N-ジメチルアミンオキシド(アルキル基としてはラウリル基又はミリスチル基)を挙げることができる。
【0062】
シャボン液における界面活性剤(d)の含有量は、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.03質量%以上であり、また好ましくは2.0質量%以下、より好ましくは1.5質量%以下であり、また好ましくは0.01質量%以上2質量%以下、より好ましくは0.03質量%以上1.5質量%以下である。
【0063】
シャボン膜の膜強度を向上させる観点から、界面活性剤(e)を用いることが好ましい。界面活性剤(e)は、アルキルグリセリルエーテルである。アルキルグリセリルエーテルは、アルキル基の炭素数が、好ましくは6~18、より好ましくは8~12であり、また好ましくは6以上、より好ましくは8以上であり、また好ましくは18以下、より好ましくは12以下である。具体的には下記一般式(1)の化合物が好適である。
R5-O-(Gly)r-H (1)
〔式中、R5は炭素数6~18のアルキル基を示し、Glyはグリセリンから2つの水素原子を除いた残基を示し、rは平均付加モル数で1~4の数を示す。〕
一般式(1)において、R5は炭素数6~18、好ましくは7~12、より好ましくは8~10、また、炭素数6以上、更に7以上、更に8以上、そして、18以下、更に12以下、更に10以下のアルキル基であり、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などの直鎖アルキル基を用いることができるが、本発明では膜強度向上の観点から、分岐構造を有する化合物が好適であり、R5の分岐構造を有する具体的なアルキル基として、2-エチルヘキシル基、sec-オクチル基、イソノニル基及びイソデシル基から選ばれる基がより好ましく、2-エチルヘキシル基又はイソデシル基が更に好ましく、2-エチルヘキシル基がより更に好ましい。一般式(1)において、rは1~3が好ましく、1~2がより好ましく、r=1の化合物が更に好ましい。より更に好ましい化合物は、R5が2-エチルヘキシル基で、かつ、r=1の化合物である。
【0064】
Glyで示される構造はグリセリンの1位と3位のヒドロキシ基が結合している-CH2CH(OH)CH2-で示される構造か、又はグリセリンの1位と2位のヒドロキシ基が結合している-CH(CH2OH)CH2-で示される構造であり、触媒や反応条件によって異なる。
一般式(1)の化合物を得るには、例えば炭素数6~10のアルコールとしてR5-OHで示されるアルキルアルコールを用い、エピハロヒドリンやグリシドールなどのエポキシ化合物とを、BF3などの酸触媒、あるいはアルミニウム触媒を用いて反応させて製造
する方法を用いることができる。_例えば、2-エチルヘキサノールを用いて製造する場
合、得られる2-エチルヘキシルモノグリセリルエーテルは、特開2005-272750号公報に記載されているように複数の生成物を含み得る混合物である。
シャボン液において、アルキルグリセリルエーテルの含有量は、好ましくは0.01質量%以上2質量%以下、より好ましくは0.03質量%以上1.0質量%以下、更に好ましくは0.05以上0.5質量%以下であり、また好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは質量0.03%以上、更に好ましくは質量0.05%以上であり、また好ましくは2.0質量%以下、より好ましくは1.0質量%以下、更に好ましくは0.5質量%以下である。
【0065】
シャボン液における添加剤の含有量は、好ましくは0.5質量%以上50質量%以下、より好ましくは8質量%以上40質量%以下である。
【0066】
シャボン玉の内部に微小液滴を含む気体を安定して封入させる観点から、添加剤として多価アルコール、糖類、及び水溶性高分子を含有していることが好ましい。多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ポリエチレングリコール等が挙げられ、中でもグリセリン、ペンタエリスリトール及びポリエチレングリコールから選ばれる1種又は2種以上を用いるが好ましい。糖類としては、ガラクトース、N-アセチルガラクトサミン、ラクトース、デンプン、グリコーゲン、ムコ多
糖、グルコース、フルクトース、マルトース、スクロース等の糖や、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、ラクチトール、マルチトール、イソマルト等の糖アルコールが挙げられ、中でもマンニトール、ソルビトール、及びエリスリトールから選ばれる1種又は2種以上を用いることが好ましい。水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルブチラール、デキストリン、ポリエチレンオキシド、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸、キトサン、セルロース、グアガム、アガロース、カラギーナン、プルラン、ポリアミド、ポリアクリルアミド等が挙げられ、それらの単体や誘導体、および2種以上から調製された共重合体を特に制限なく用いることができる。中でもポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン及びセルロールから選ばれる1種又は2種以上を用いることが好ましい。ポリビニルピロリドンとしては、K-15、K-30、K-60又はK-90のグレードのポリビニルピロリドンを用いることが好ましい。
【0067】
前記内部気体に含まれる微小液滴の原料としては、例えばプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール等のグリコール類、グリセリン等の有機溶媒等が挙げられ、これらの中から選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。微小液滴は、前述したように加熱や超音波振動によって揮散又は霧化させて、空気等の混合ガスやヘリウム等の単体ガスと混合される。微小液滴を含む気体を有色にする場合、微小液滴の前記原料と共に、着色料を加熱や超音波振動によって揮散又は霧化させる。着色料としては、例えば、赤色2号(CI Acid Red 27)、赤色3号(CI Acid Red 51)、赤色225号(CI Solv. Red 23)、赤色102号(CI Acid Red 18)、赤色104号(CI Acid Red 92)、赤色105号(CI Acid Red 94)、赤色106号(CI Acid
Red 52)、赤色201号(CI Pig. Red 57-1)、赤色213号(CI Basic Violet 10)、赤色226号(CI Vat Red 1)、赤色227号(CI Acid Red 33)、赤色230号(CI Acid Red 87)、赤色401号(CI Acid Violet 9)、赤色504号(CI Food Red 1)、黄色4号(CI Acid Yellow 23)、黄
色5号(CI Food Yellow 3)、黄色202号(CI Acid Yellow 73)、黄色203号(CI Acid Yellow 3)等が挙げられる。
前記内部気体に揮発性の香気成分を含ませる場合、該香気成分は、加熱や超音波等の公知の方法を用いて香料を気化又は霧化(微粒子化)して、混合ガス、単体ガス、あるいは微小液滴を含む気体と混合する。香料を気化又は霧化する際、必要に応じて香料をエタノール等の溶媒に溶解させる。
シャボン膜に香気成分を含ませる場合、香気成分をシャボン液に含有させる。
【0068】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は上述した実施形態に制限されず適宜変更可能である。
例えば、上述した実施態様では、
図1に示すように、1個のハイコントラスト部材Cにおける色が単色であったが、ハイコントラスト部材Cは、複数の相異なる色を有していてもよい。
また、演出空間S内に供給されたシャボン玉に、プロジェクタ等の公知の画像投影装置を用いて画像を投影してもよい。この場合、前述した商品情報、例えば商品の外観や該商品のパッケージの外観の画像を投影させてもよい。この場合、演出空間S内のシャボン玉Bは、浮遊している状態か、又は受け体R上に載置された状態で、画像に投影される。
また、本発明の演出方法では、音楽等のサウンドを出力するとともに、演出空間内に、レーザー光を照射したり、プロジェクションマッピング等による他の映像を投影してもよい。
【実施例】
【0069】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明は斯かる実施例に限定されるものではない。
【0070】
〔実施例1、2及び3〕
シャボン液として、アルキル(C8‐12)エーテル硫酸エステルナトリウム(プロピレンオキサイド付加モル数0.6)(花王株式会社製)、N-ラウリル-N,N-ジメチル-N-(2-ヒドロキシスルホプロピル)アンモニウムスルホベタイン(花王株式会社製:アンヒトール20HD)、グリセリン(花王株式会社製:化粧品用濃グリセリン)、及び水を含有する液を調製した。
【0071】
また、微小液滴の原料液(ANTARI社製、商品名「FLR5」)と、スモーク発生装置(ANTARI社製、機種名「Z-800-II」)とを、その使用方法に従って使用し、シャボン玉に封入される内部気体を調整した。前記のシャボン液を口径30mmのリングと接触させてシャボン膜を形成し、該シャボン膜を前記の内部気体で膨らませて、直径約80mmのシャボン玉を生成した。このシャボン玉の色は目視にて白色であった。
ハイコントラスト部材として、実施例1では黒色の手袋を、実施例2では紫色の手袋を、実施例3では灰色の手袋をそれぞれ用意した。実施例1,2では、アーテック社製の商品名「カラーのびのび手袋」(アクリル100%)の手袋を用いた。また、実施例3では、ACTIVE社製「マイクロユビクロス」の手袋の灰色の部分を使用した。
【0072】
前述した〔シャボン玉及びハイコントラスト部材の撮影方法〕従って、シャボン玉とハイコントラスト部材(手袋)とを対比させた状態の画像を撮影した。シャボン玉とハイコントラスト部材の撮影は、黒色の台紙を背景に、人の手に装着された手袋の掌部分にシャボン玉を載置した状態で行った(
図2参照)。1サンプル毎に4個のシャボン玉を生成し
、各シャボン玉毎に、前記の撮影を行った。
次いで、撮影した画像データを用いて、前述した〔L
*a
*b
*表色系における明度差の測定方法〕に従って、シャボン玉とハイコントラスト部材とのL
*a
*b
*表色系における明度差を測定した。1サンプル毎に撮影した4枚の画像における、シャボン玉及びハ
イコントラスト部材について、L
*a
*b
*表色系における明度(L
*値)、色度(a
*値、b
*値)と、シャボン玉とハイコントラスト部材との明度差の測定結果を下記表1に示す。
【0073】
〔シャボン玉の視認性の評価〕
光源装置(光源D65、Panasonic社製、製品名:FHF32EX-N-H)が設置された環境下にて、実施例1~3で用いた各手袋の掌部分に、前記のシャボン玉を載置した状態下における、該シャボン玉の視認性について5名のパネラーに評価してもらった。光源装置の位置が、シャボン玉の表面から法線方向に30cm離間した位置となるように、シャボン玉を配置した。パネラーには、シャボン玉及び該シャボン玉を載置した手袋の全体が黒色を背景とした状態で、該シャボン玉から水平方向に15cm離間した位置から該シャボン玉を目視してもらい、該シャボン玉の視認性を以下の評価基準で評価してもらった。そしてパネラーの評価点の平均値を、評価結果とした。評価結果を下記表1に示す。
5点:シャボン玉が、色が際立って明瞭に視認された。
4点:シャボン玉が明瞭に視認された。
3点:シャボン玉が視認された。
2点:シャボン玉がやや不明瞭であったが、視認された。
1点:シャボン玉が不明瞭であり、視認し難かった。
〔比較例1〕
白色の手袋を用いた点以外は、前記実施例と同様の方法により、シャボン玉のL*a*b*表色系における明度(L*値)の測定と、シャボン玉の視認性の評価を行った。
【0074】
〔比較例2〕
シャボン玉に封入される内部気体として、微小液滴を含まない空気を用いた点以外は、比較例1と同様の方法により、シャボン玉のL*a*b*表色系における明度(L*値)の測定と、シャボン玉の視認性の評価を行った。
【0075】
〔比較例3〕
シャボン玉に封入される内部気体として、微小液滴を含まない空気を用いた点以外は、実施例2と同様の方法により、シャボン玉のL*a*b*表色系における明度(L*値)の測定と、シャボン玉の視認性の評価を行った。
比較例1~3の測定結果及び評価結果を下記表1に示す。
【0076】
【0077】
表1に示す結果から明らかなように、実施例1~3では、シャボン玉の視認性に優れる結果となった。一方、比較例1~3では、実施例1~3に比してシャボン玉の視認性の評価が低かった。
【符号の説明】
【0078】
B シャボン玉
C ハイコントラスト部材
C1 空間形成部材
C2 受け体
S 演出空間
1 シャボン玉生成装置
2 回転ドラム
20 外周面
21 ノズル部
22 内部空間(気体供給路)
23 気体導入孔
3 シャボン液供給部
30 貯留槽
4 駆動モータ
40 DCモータ(電動モータ)
41 シャフト
5 内部気体供給装置
51 香気生成部
54 混合室
55 混合筐体
6 送風装置
60 送風ファン
7 制御部