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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-28
(45)【発行日】2023-04-05
(54)【発明の名称】柱接合構造及び柱梁接合構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/58 20060101AFI20230329BHJP
   E04B 1/26 20060101ALI20230329BHJP
【FI】
E04B1/58 503L
E04B1/26 G
E04B1/26 E
E04B1/58 508L
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019046248
(22)【出願日】2019-03-13
(65)【公開番号】P2020147998
(43)【公開日】2020-09-17
【審査請求日】2022-01-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001317
【氏名又は名称】株式会社熊谷組
(74)【代理人】
【識別番号】100141243
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 靖夫
(72)【発明者】
【氏名】松岡 直人
【審査官】土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-329655(JP,A)
【文献】特開2003-013507(JP,A)
【文献】国際公開第00/055445(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/58
E04B 1/26
E04C 3/12,3/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下側に配置された木質の下柱の上端面よりも上方に突出するように設けられた金属製の下側接合部材と、上側に配置された木質の上柱の下端面よりも下方に突出するように設けられた金属製の上側接合部材とを備え、
下側接合部材と上側接合部材とが接合されることによって上柱と下柱とが接合された柱接合構造において、
下側接合部材は、下柱の上部側に固定手段により固定された固定部と、固定部の上端に設けられて上面が下柱の中心軸と直交する方向に延長する接合部とを備え、
上側接合部材は、上柱の下部側に固定手段により固定された固定部と、固定部の下端に設けられて下面が上柱の中心軸と直交する方向に延長する接合部とを備え、
下側接合部材の接合部の上面と上側接合部材の接合部の下面とが接触した状態で、下側接合部材の接合部と上側接合部材の接合部とが接合手段により接合され
下柱及び上柱は、
材軸方向と直交する断面が矩形状に形成された複数の木製の柱構成部材が接合されて1つの柱構成部材の断面よりも大きい断面に形成された柱であって、
材軸方向に沿った対向面同士が所定の間隔を隔てて互いに対向するように配置された一方の柱構成部材及び他方の柱構成部材と、
互いに所定の間隔を隔てて対向する一方の柱構成部材の対向面と他方の柱構成部材の対向面との間に設けられた金属板と、
金属板の一方の板面と一方の柱構成部材の対向面とが接触し、かつ、金属板の他方の板面と他方の柱構成部材の対向面とが接触した状態で、当該一方の柱構成部材と金属板と他方の柱構成部材とを接合した接合手段とを備えて構成され、
上側接合部材の固定部が、上柱の下端面に開口する一方の柱構成部材の対向面と他方の柱構成部材の対向面との間に挿入されて固定手段により固定され、
下側接合部材の固定部が、下柱の上端面に開口する一方の柱構成部材の対向面と他方の柱構成部材の対向面との間に挿入されて固定手段により固定され、
金属板は、T形鋼の縦板により形成され、
T形鋼は、一方の柱構成部材の対向面及び他方の柱構成部材の対向面と縦板の板面とが接触し、かつ、一方の柱構成部材の対向面と直交して材軸方向に延長する一方の柱構成部材の外面及び他方の柱構成部材の対向面と直交して材軸方向に延長する他方の柱構成部材の外面と横板における縦板側の板面とが接触した状態に設置されたことを特徴とする柱接合構造。
【請求項2】
下側接合部材及び上側接合部材は、T形鋼により構成され、
T形鋼の横板を接合部として機能させるとともに、T形鋼の縦板を固定部として機能させたことを特徴とする請求項1に記載の柱接合構造。
【請求項3】
接合手段は、
下側接合部材の接合部と上側接合部材の接合部とを貫通するように形成された連結軸挿入用貫通孔と、
連結軸挿入用貫通孔に挿入された連結軸と、
連結軸を連結軸挿入用貫通孔に固定した固定部材とを備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の柱接合構造。
【請求項4】
固定手段は、
一方の柱構成部材と固定部と他方の柱構成部材とに亘って連続するように設けられた連結軸挿入用貫通孔と、
連結軸挿入用貫通孔に挿入された連結軸と、
連結軸を連結軸挿入用貫通孔に固定した固定部材とを備えたことを特徴とする請求項に記載の柱接合構造。
【請求項5】
一方の柱構成部材と金属板と他方の柱構成部材とを接合した接合手段は、
一方の柱構成部材と金属板と他方の柱構成部材とに亘って連続するように設けられた連結軸挿入用貫通孔と、
連結軸挿入用貫通孔に挿入された連結軸と、
連結軸を連結軸挿入用貫通孔に固定した固定部材とを備えたことを特徴とする請求項又は請求項に記載の柱接合構造。
【請求項6】
請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載の柱接合構造により接合された柱と木質の梁との柱梁接合構造であって、
上側接合部材の接合部又は下側接合部材の接合部が、柱の側面よりも外側に延長する梁接合部を備え、
当該梁接合部と梁の端面から外方に延長するように設けられた金属製の柱接合部とが接合手段により接合されたことにより、柱と梁とが接合されたことを特徴とする柱梁接合構造。
【請求項7】
梁は、
材軸方向と直交する断面が矩形状に形成された複数の木製の梁構成部材が接合されて1つの梁構成部材の断面よりも大きい断面に形成された梁であって、
材軸方向に沿った対向面同士が所定の間隔を隔てて互いに対向するように配置された一方の梁構成部材及び他方の梁構成部材と、
互いに所定の間隔を隔てて対向する一方の梁構成部材の対向面と他方の梁構成部材の対向面との間に設けられた金属板と、
金属板の一方の板面と一方の梁構成部材の対向面とが接触し、かつ、金属板の他方の板面と他方の梁構成部材の対向面とが接触した状態で、当該一方の梁構成部材と金属板と他方の梁構成部材とを接合した接合手段とを備えて構成され、
金属板は、T形鋼の縦板により形成され、
T形鋼は、一方の梁構成部材の対向面及び他方の梁構成部材の対向面と縦板の板面とが接触し、かつ、一方の梁構成部材の対向面と直交して材軸方向に延長する一方の梁構成部材の外面及び他方の梁構成部材の対向面と直交して材軸方向に延長する他方の梁構成部材の外面と横板における縦板側の板面とが接触した状態に設置され、
柱接合部は、梁の端面から外方に延長するように設けられたT形鋼の横板により形成されたことを特徴とする請求項に記載の柱梁接合構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木質の下柱と木質の上柱とが接合部材により接合された柱接合構造等に関する。
【背景技術】
【0002】
木質の下柱の上端面より柱の内部に向けて柱の中心軸に沿った方向に延長する溝(スリット)を形成するとともに、木質の上柱の下端面より柱の内部に向けて柱の中心軸に沿った方向に延長する溝(スリット)を形成し、これら溝に鋼板により形成された接合板を装着し、接合板の上端側と上柱とをドリフトピン等で固定するとともに、接合板の下端側と下柱とをドリフトピン等で固定することにより、下柱と上柱とを接合した柱接合構造が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-174962号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した柱接合構造では、下柱と上柱とが、柱の中心軸に沿って延長する板面を有した平板により形成された接合板で接合されただけの構造であるため、接合部分の強度及び剛性が小さいという課題がある。
本発明は、木質の下柱と木質の上柱との接合部分の強度及び剛性を大きくできる柱接合構造等を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る柱接合構造は、下側に配置された木質の下柱の上端面よりも上方に突出するように設けられた金属製の下側接合部材と、上側に配置された木質の上柱の下端面よりも下方に突出するように設けられた金属製の上側接合部材とを備え、下側接合部材と上側接合部材とが接合されることによって上柱と下柱とが接合された柱接合構造において、下側接合部材は、下柱の上部側に固定手段により固定された固定部と、固定部の上端に設けられて上面が下柱の中心軸と直交する方向に延長する接合部とを備え、上側接合部材は、上柱の下部側に固定手段により固定された固定部と、固定部の下端に設けられて下面が上柱の中心軸と直交する方向に延長する接合部とを備え、下側接合部材の接合部の上面と上側接合部材の接合部の下面とが接触した状態で、下側接合部材の接合部と上側接合部材の接合部とが接合手段により接合され、下柱及び上柱は、材軸方向と直交する断面が矩形状に形成された複数の木製の柱構成部材が接合されて1つの柱構成部材の断面よりも大きい断面に形成された柱であって、材軸方向に沿った対向面同士が所定の間隔を隔てて互いに対向するように配置された一方の柱構成部材及び他方の柱構成部材と、互いに所定の間隔を隔てて対向する一方の柱構成部材の対向面と他方の柱構成部材の対向面との間に設けられた金属板と、金属板の一方の板面と一方の柱構成部材の対向面とが接触し、かつ、金属板の他方の板面と他方の柱構成部材の対向面とが接触した状態で、当該一方の柱構成部材と金属板と他方の柱構成部材とを接合した接合手段とを備えて構成され、上側接合部材の固定部が、上柱の下端面に開口する一方の柱構成部材の対向面と他方の柱構成部材の対向面との間に挿入されて固定手段により固定され、下側接合部材の固定部が、下柱の上端面に開口する一方の柱構成部材の対向面と他方の柱構成部材の対向面との間に挿入されて固定手段により固定され、金属板は、T形鋼の縦板により形成され、T形鋼は、一方の柱構成部材の対向面及び他方の柱構成部材の対向面と縦板の板面とが接触し、かつ、一方の柱構成部材の対向面と直交して材軸方向に延長する一方の柱構成部材の外面及び他方の柱構成部材の対向面と直交して材軸方向に延長する他方の柱構成部材の外面と横板における縦板側の板面とが接触した状態に設置されたことを特徴とする。
また、下側接合部材及び上側接合部材は、T形鋼により構成され、T形鋼の横板を接合部として機能させるとともに、T形鋼の縦板を固定部として機能させたことを特徴とする。
また、接合手段は、下側接合部材の接合部と上側接合部材の接合部とを貫通するように形成された連結軸挿入用貫通孔と、連結軸挿入用貫通孔に挿入された連結軸と、連結軸を連結軸挿入用貫通孔に固定した固定部材とを備えたことを特徴とする。
た、固定手段は、一方の柱構成部材と固定部と他方の柱構成部材とに亘って連続するように設けられた連結軸挿入用貫通孔と、連結軸挿入用貫通孔に挿入された連結軸と、連結軸を連結軸挿入用貫通孔に固定した固定部材とを備えたことを特徴とする。
また、一方の柱構成部材と金属板と他方の柱構成部材とを接合した接合手段は、一方の柱構成部材と金属板と他方の柱構成部材とに亘って連続するように設けられた連結軸挿入用貫通孔と、連結軸挿入用貫通孔に挿入された連結軸と、連結軸を連結軸挿入用貫通孔に固定した固定部材とを備えたことを特徴とする。
発明に係る柱接合構造によれば、接合部分の強度及び剛性を大きくでき、しかも、簡単かつ安価な柱接合構造を提供できる。
発明の柱梁接合構造は、上述した柱接合構造により接合された柱と木質の梁との柱梁接合構造であって、上側接合部材の接合部又は下側接合部材の接合部が、柱の側面よりも外側に延長する梁接合部を備え、当該梁接合部と梁の端面から外方に延長するように設けられた金属製の柱接合部とが接合手段により接合されたことにより、柱と梁とが接合されたことを特徴とする。
また、梁は、材軸方向と直交する断面が矩形状に形成された複数の木製の梁構成部材が接合されて1つの梁構成部材の断面よりも大きい断面に形成された梁であって、材軸方向に沿った対向面同士が所定の間隔を隔てて互いに対向するように配置された一方の梁構成部材及び他方の梁構成部材と、互いに所定の間隔を隔てて対向する一方の梁構成部材の対向面と他方の梁構成部材の対向面との間に設けられた金属板と、金属板の一方の板面と一方の梁構成部材の対向面とが接触し、かつ、金属板の他方の板面と他方の梁構成部材の対向面とが接触した状態で、当該一方の梁構成部材と金属板と他方の梁構成部材とを接合した接合手段とを備えて構成され、金属板は、T形鋼の縦板により形成され、T形鋼は、一方の梁構成部材の対向面及び他方の梁構成部材の対向面と縦板の板面とが接触し、かつ、一方の梁構成部材の対向面と直交して材軸方向に延長する一方の梁構成部材の外面及び他方の梁構成部材の対向面と直交して材軸方向に延長する他方の梁構成部材の外面と横板における縦板側の板面とが接触した状態に設置され、柱接合部は、梁の端面から外方に延長するように設けられたT形鋼の横板により形成されたことを特徴とする。
本発明に係る柱梁接合構造によれば、柱梁接合部分の強度及び剛性を大きくできるとともに、簡単かつ安価な柱梁接合構造を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】柱接合構造を示す断面図(実施形態1)。
図2】下柱と上柱とが接合されて構成された柱を示す斜視図(実施形態1)。
図3】下柱と上柱とを分離して示す斜視図(実施形態1)。
図4】柱接合構造を示す分解斜視図(実施形態1)。
図5】柱梁接合構造を示す断面図(実施形態2)。
図6】柱梁接合構造を示す斜視図(実施形態2)。
図7】柱梁接合構造の適用例を示す平面図(実施形態2)
【発明を実施するための形態】
【0007】
実施形態1
図1乃至図4を参照し、実施形態1に係る柱接合構造を説明する。
実施形態1に係る柱接合構造は、下側に配置された木質の下柱1Xの上端面1tよりも上方に突出するように設けられた金属製の下側接合部材2Xと、上側に配置された木質の上柱1Yの下端面1uよりも下方に突出するように設けられた金属製の上側接合部材2Yとを備えて、下側接合部材2Xと上側接合部材2Yとが接合されることによって下柱1Xと上柱1Yとが接合された柱接合構造である。
【0008】
下側接合部材2Xは、下柱1Xの上端面1tより下方に向けて下柱1Xの中心軸1Cに沿った方向に延長する間隙Sに、下柱1Xの上端面1tに開口する開口部から挿入されて下柱1Xに固定手段により固定される固定部2Aと、固定部2Aの上端に設けられて上面(板面)2aが下柱1Xの中心軸1Cと直交する方向に延長する接合部2Bとを備える。
同様に、上側接合部材2Yは、上柱1Yの下端面1uより上方に向けて上柱1Yの中心軸1Cに沿った方向に延長する間隙Sに、上柱1Yの下端面1uに開口する開口部から挿入されて上柱1Yに固定手段により固定される固定部2Aと、固定部2Aの下端に設けられて下面(板面)2bが上柱1Yの中心軸1Cと直交する方向に延長する接合部2Bとを備える。
【0009】
そして、実施形態1に係る柱接合構造は、下側接合部材2Xの接合部2Bの上面(板面)2aと上側接合部材2Yの接合部2Bの下面(板面)2bとが接触した状態で、下側接合部材2Xの接合部2Bと上側接合部材2Yの接合部2Bとが接合手段により接合されて構成される。
【0010】
下柱1X及び上柱1Yは、材軸方向と直交する断面が矩形状に形成された複数の木製の柱構成部材が接合されて1つの柱構成部材の断面よりも大きい断面に形成される。
即ち、下柱1X及び上柱1Yは、軸方向に沿った対向面1a,1a同士が所定の間隔を隔てて互いに対向するように例えば左右に配置された一方の柱構成部材1A及び他方の柱構成部材1Bと、互いに所定の間隔を隔てて対向する一方の柱構成部材1Aの対向面1aと他方の柱構成部材1Bの対向面1aとの間に設けられた金属板3と、金属板3の一方の板面と一方の柱構成部材1Aの対向面1aとが接触し、かつ、金属板3の他方の板面と他方の柱構成部材1Bの対向面1aとが接触した状態で、当該一方の柱構成部材1Aと金属板3と他方の柱構成部材1Bとを接合した接合手段とを備えて構成される。
【0011】
一方の柱構成部材1Aと金属板3と他方の柱構成部材1Bとを接合する接合手段は、例えば、一方の柱構成部材1Aと金属板3と他方の柱構成部材1Bとに亘って連続するように設けられた連結軸挿入用貫通孔4と、複数の連結軸挿入用貫通孔4に挿入された連結軸5と、連結軸5を連結軸挿入用貫通孔4に固定する固定部材としてのナット6とで構成した。
【0012】
柱構成部材1A,1Bは、材軸方向(長手方向)と直交する断面が矩形状に形成された長尺な柱構成部材であり、CLT(Cross Laminated Timber(直交集成板))又は集成材により形成される。
尚、CLTとは、農林水産省告示第3079号に規定されたように、「ひき板又は小角材(これらをその繊維方向を互いにほぼ平行にして長さ方向に接合接着して調整したものを含む。)をその繊維方向を互いにほぼ平行にして幅方向に並べ又は接着したものを、主としてその繊維方向を互いにほぼ直角にして積層接着し3層以上の構造を持たせた一般材」である。
即ち、CLTは、張り合わせる板の繊維方向が直交するように複数の板を張り合わせて構成された木材であり、直交集成板と呼ばれている。
また、集成材は、張り合わせる板の繊維方向が並行方向となるように複数の板を張り合わせて構成された木材である。
【0013】
互いに所定の間隔を隔てて対向する柱構成部材1A,1Bの対向面1a,1aは、図3に示すように、材軸方向に沿った辺となる互いに平行な辺1b,1bと、当該辺1b,1bの一端同士を繋ぐ辺1cと、当該辺1b,1bの他端同士を繋ぐ辺1dとで囲まれた面である。
【0014】
金属板3は、縦板31と横板32とを備えた断面T字状のT形鋼30の縦板31により形成される。
【0015】
T形鋼30は、例えば、図3図4に示すように、一方の柱構成部材1Aと他方の柱構成部材1Bとが組合されて構成される柱1(下柱1X,上柱1Y)において互いに対向する一方の側面1e側と他方の側面1f側とにそれぞれ前後に対称な状態に設置される。
即ち、図4に示すように、柱1の他方の側面1f側に設置される他方のT形鋼30は、縦板31の一方の板面31aと一方の柱構成部材1Aの対向面1aとが接触するとともに、縦板31の他方の板面31bと他方の柱構成部材1Bの対向面1aとが接触する状態に設置される。さらに、一方の柱構成部材1Aの対向面1aと直交して材軸方向に延長する一方の柱構成部材1Aの外面としての他方の側面1f及び他方の柱構成部材1Bの対向面1aと直交して材軸方向に延長する他方の柱構成部材1Bの外面としての他方の側面1fと横板32における縦板31側の板面32a,32a(縦板31と横板32との境界部で区切られた板面)とが接触した状態に設置される。
同様に、柱1の一方の側面1e側に設置される一方のT形鋼30は、縦板31の一方の板面31aと一方の柱構成部材1Aの対向面1aとが接触するとともに、縦板31の他方の板面31bと他方の柱構成部材1Bの対向面1aとが接触し、かつ、一方の柱構成部材1Aの対向面1aと直交して材軸方向に延長する一方の柱構成部材1Aの外面としての一方の側面1e及び他方の柱構成部材1Bの対向面1aと直交して材軸方向に延長する他方の柱構成部材1Bの外面としての一方の側面1eと横板32における縦板31側の板面32a,32a(縦板31と横板32との境界部で区切られた板面)とが接触した状態に設置される。
また、柱1の一方の側面1e側に設置される一方のT形鋼30の縦板31の先端31eと柱1の他方の側面1f側に設置されるT形鋼30の縦板31の先端31eとが間隔Tを隔てて離間するように構成される。
即ち、柱1においては、T形鋼30,30が、前後で対向する柱1の一方の側面1e側及び柱1の他方の側面1f側にそれぞれ前後対称となるように設置され、柱1の一方の側面1e側に設置される一方のT形鋼30の縦板31の先端31eと柱1の他方の側面1f側に設置される他方のT形鋼30の縦板31の先端31eとの間に間隔Tが設けられた構成とした。
従って、断面寸法の一定なT形鋼30,30を用いて、間隔Tを変えることで、様々な断面寸法の柱1を形成できるようになるので、様々な断面寸法の柱1を安価に提供できるようになる。
【0016】
図1図3に示すように、連結軸挿入用貫通孔4は、一方の柱構成部材1Aの例えば左右の面(対向面1aと側面1g)に貫通するように形成された貫通孔4Aと、他方の柱構成部材1Bの例えば左右の面(対向面1aと側面1h)に貫通するように形成された貫通孔4Bと、T形鋼30の縦板31に形成された貫通孔4Cとで構成される。
即ち、連結軸挿入用貫通孔4は、T形鋼30の縦板31と、縦板31の一方の板面31aと対向面1aとが接触するように設置された一方の柱構成部材1Aと、縦板31の他方の板面31bと対向面1aとが接触するように設置された他方の柱構成部材1Bとに連続するように形成された貫通孔4A,4C,4Bとで構成される。
【0017】
連結軸挿入用貫通孔4の孔径は、連結軸5を挿入可能なように、連結軸5の軸径に対応して当該軸径より若干大きい寸法に形成されている。
【0018】
図1に示すように、連結軸挿入用貫通孔4の両端側には、ナット6の径に対応して当該ナット6の径より若干大きい寸法の径に形成された大径部41,41を備えている。
一方の大径部41は、連結軸挿入用貫通孔4の一端開口より延長して一方の柱構成部材1Aの対向面1aと対向する側面1gに開口する大径孔に形成される。
同様に、他方の大径部41は、連結軸挿入用貫通孔4の他端開口より延長して他方の柱構成部材1Bの対向面1aと対向する側面1hに開口する大径孔に形成される。
【0019】
連結軸5は、連結軸挿入用貫通孔4の長さよりも長く、かつ、柱1の例えば左右幅寸法よりも短い長さに形成され、連結軸挿入用貫通孔4を貫通して当該連結軸挿入用貫通孔4の両端よりそれぞれ大径部41,41に突出する両端部は、ナット6が螺着されるねじ部51,51に形成されている。
【0020】
即ち、一方の柱構成部材1Aの対向面1aと他方の柱構成部材1Bの対向面1aとの間に、これら対向面1a,1aとT形鋼30の縦板31の板面31a,31bとを接触させるとともに、貫通孔4A,4C,4Bの中心軸を一致させて連結軸挿入用貫通孔4を形成するように、一方の柱構成部材1Aと他方の柱構成部材1BとT形鋼30とを位置決めした後、連結軸5を連結軸挿入用貫通孔4に挿入し、連結軸挿入用貫通孔4の両端側に位置される大径部41,41にそれぞれナット6を挿入して当該ナット6を連結軸5の端部のねじ部51に螺着して締結することにより、一方の柱構成部材1Aと縦板31(金属板3)と他方の柱構成部材1Bとが接合されて柱1が構成される。
つまり、柱1の左右幅の中間に位置される一方の柱構成部材1Aの対向面1aと他方の柱構成部材1Bの対向面1aとの間隙Sに縦板31(金属板3)が介在した剛性の大きい安価な構成の木質の柱1(下柱1X,上柱1Y)となる。
【0021】
下側接合部材2X及び上側接合部材2Yは、例えば、縦板21と横板22とを備えた断面T字状のT形鋼20により構成される。
【0022】
即ち、下側接合部材2Xを構成するT形鋼20は、下柱1Xを構成する一方の柱構成部材1Aの対向面1aと他方の柱構成部材1Bの対向面1aとの間である間隙Sに、下柱1Xの下端面1uに開口する間隙Sの開口から挿入されて下柱1Xに固定手段を介して固定される固定部2Aとして機能する縦板21と、縦板21の上端に設けられて上面(板面)2aが下柱1Xの中心軸1Cと直交する方向に延長する接合部2Bとして機能する横板22とを備えた構成である。
同様に、上側接合部材2Yを構成するT形鋼20は、上柱1Yを構成する一方の柱構成部材1Aの対向面1aと他方の柱構成部材1Bの対向面1aとの間である間隙Sに、上柱1Yの上端面1tに開口する間隙Sの開口から挿入されて上柱1Yに固定手段を介して固定される固定部2Aとして機能する縦板21と、縦板21の下端に設けられて下面(板面)2bが上柱1Yの中心軸1Cと直交する方向に延長する接合部2Bとして機能する横板22とを備えた構成である。
そして、下側接合部材2Xの接合部2Bとなる横板22の上面2aと上側接合部材2Yの接合部2Bとなる横板22の下面2bとが接触するように、下側接合部材2Xの接合部2Bと上側接合部材2Yの接合部2Bとが接合手段により接合されることによって、下柱1Xと上柱1Yとが接合される。
【0023】
図1に示すように、固定部2Aを柱1(下柱1X,上柱1Y)に固定する固定手段は、例えば、一方の柱構成部材1Aと固定部2Aとしての縦板21と他方の柱構成部材1Bとに亘って連続するように設けられた連結軸挿入用貫通孔40と、連結軸挿入用貫通孔40に挿入された連結軸50と、連結軸50を連結軸挿入用貫通孔40に固定する固定部材としてのナット60とで構成した。
【0024】
図1図3に示すように、連結軸挿入用貫通孔40は、一方の柱構成部材1Aに形成された貫通孔40Aと、他方の柱構成部材1Bに形成された貫通孔40Bと、T形鋼30の縦板21に形成された貫通孔40Cとで構成される。
即ち、連結軸挿入用貫通孔40は、T形鋼20の縦板21と、縦板21の一方の板面21aと対向面1aとが接触するように設置された一方の柱構成部材1Aと、縦板21の他方の板面21bと対向面1aとが接触するように設置された他方の柱構成部材1Bとに連続するように形成された貫通孔40A,40C,40Bとで構成される。
尚、下柱1Xの連結軸挿入用貫通孔40は、下柱1Xの上端側に形成され、上柱1Yの連結軸挿入用貫通孔40は、上柱1Yの下端側に形成される。
【0025】
連結軸挿入用貫通孔40の孔径は、連結軸50を挿入可能なように、連結軸50の軸径に対応して当該軸径より若干大きい寸法に形成されている。
【0026】
図1に示すように、連結軸挿入用貫通孔40の両端側には、ナット60の径に対応して当該ナット60の径より若干大きい寸法の径に形成された大径部41A,41Aを備えている。
一方の大径部41Aは、連結軸挿入用貫通孔40の一端開口より延長して一方の柱構成部材1Aの対向面1aと対向する側面1gに開口する大径孔に形成される。
同様に、他方の大径部41Aは、連結軸挿入用貫通孔40の他端開口より延長して他方の柱構成部材1Bの対向面1aと対向する側面1hに開口する大径孔に形成される。
【0027】
連結軸50は、連結軸挿入用貫通孔40の長さよりも長く、かつ、柱1の左右幅寸法よりも短い長さに形成され、連結軸挿入用貫通孔40を貫通して当該連結軸挿入用貫通孔40の両端よりそれぞれ大径部41A,41Aに突出する両端部は、ナット60が螺着されるねじ部51A,51Aに形成されている。
【0028】
即ち、一方の柱構成部材1Aの対向面1aと他方の柱構成部材1Bの対向面1aとの間に、T形鋼20の縦板21を挿入するとともに、貫通孔40A,40C,40Bの中心軸を一致させて連結軸挿入用貫通孔40を形成するように、T形鋼20を位置決めした後、連結軸50を連結軸挿入用貫通孔40に挿入し、連結軸挿入用貫通孔40の両端側に位置される大径部41A,41Aにそれぞれナット60,60を挿入して当該ナット60を連結軸50の端部のねじ部51Aに螺着して締結することにより、固定部2Aとして機能する縦板21が柱1に固定される。
これにより、図1に示すように、下側接合部材2Xの接合部2Bが、下柱1Xの上端面1tより上方に突出するように設けられるとともに、上側接合部材2Yの接合部2Bが、上柱1Yの下端面1uより下方に突出するように設けられる。
【0029】
下側接合部材2Xの接合部2Bと上側接合部材2Yの接合部2Bとを接合する接合手段は、例えば、図1図4に示すように、下側接合部材2Xの接合部2Bの下面に添えるように設置されるスプライスプレート(添板)61と、上側接合部材2Yの接合部2Bの上面に添えるように設置されるスプライスプレート(添板)62と、スプライスプレート61に形成された貫通孔63a,下側接合部材2Xの接合部2Bに形成された貫通孔63b,上側接合部材2Yの接合部2Bに形成された貫通孔63c,スプライスプレート62に形成された貫通孔63dにより構成された貫通孔63と、貫通孔63を貫通するように設けられた連結軸64と、貫通孔63を貫通した連結軸64の両端側に形成されたねじ部に螺着されて締結されて連結軸64を貫通孔に固定する固定部材としてのナット65,65とで構成される。
【0030】
即ち、図1に示すように、スプライスプレート61,下側接合部材2Xの接合部2B,上側接合部材2Yの接合部2B,スプライスプレート62を貫通する貫通孔63を貫通するように設けられた連結軸64の上下の両端側に形成されたねじ部にそれぞれナット65,65を螺着して締結することにより、下側接合部材2Xの接合部2Bの上面2aと上側接合部材2Yの接合部2Bの下面2bとが接触するように、下側接合部材2Xの接合部2Bと上側接合部材2Yの接合部2Bとが接合手段により接合された接合部分100が構成され、当該接合部分100によって下柱1Xと上柱1Yとが接合された構成の柱200が形成される。
【0031】
実施形態1に係る柱接合構造によれば、下柱1Xの上端面1tよりも上方に突出するように下側接合部材2Xを設けるとともに、上柱1Yの下端面1uよりも下方に突出するように上側接合部材2Yを設け、下柱1X及び上柱1Yの中心軸1Cと直交する下側接合部材2Xの接合部2Bの上面2aと上側接合部材2Yの接合部2Bの下面2bとが接触するように接合された構成の接合部分100を介して下柱1Xと上柱1Yとが接合されたので、接合部分100の強度及び剛性を大きくでき、しかも、簡単な構成で、かつ、安価な柱接合構造となる。
【0032】
また、上述した特許文献1の接合構造では、接合板をはめ込むための溝を上柱の下端面及び下柱の上端面に形成しなければならないため、柱の加工手間がかかるという課題があったが、実施形態1では、一方の柱構成部材1Aと、他方の柱構成部材1Bと、互いに間隔を隔てて対向する一方の柱構成部材1Aの対向面1aと他方の柱構成部材1Bの対向面1aとの間に設けられた金属板3とを備えて構成された柱1(下柱1X,上柱1Y)を用いたので、柱の端面に特許文献1のような溝を形成しなくてもよいため、特許文献1と比べて、柱の加工手間を少なくできるという効果も得られる。
【0033】
実施形態2
図5乃至図7を参照し、実施形態1で説明した柱接合構造により接合された柱200と木質の梁10との柱梁接合構造を説明する。
【0034】
実施形態2に係る当該柱梁接合構造は、図5に示すように、接合部分100における上側接合部材2Yの接合部2Bが柱1の側面1gよりも外側に延長する梁接合部2Cを備え、当該梁接合部2Cと梁10の端面11から外方に延長するように設けられた金属製の柱接合部12とが接合手段により接合されたことにより、柱200と梁10とが接合された柱梁接合構造とした。
【0035】
梁10は、上述した柱1と同様に構成される。
即ち、図6に示すように、梁10は、材軸方向と直交する断面が矩形状に形成された複数の木製の梁構成部材が接合されて1つの梁構成部材の断面よりも大きい断面に形成された梁であり、材軸方向に沿った対向面10a,10a同士が所定の間隔を隔てて互いに対向するように配置された一方の梁構成部材10A及び他方の梁構成部材10Bと、互いに所定の間隔を隔てて対向する一方の梁構成部材10Aの対向面10aと他方の梁構成部材10Bの対向面10aとの間に設けられた金属板3と、金属板3の一方の板面と一方の梁構成部材10Aの対向面10aとが接触し、かつ、金属板3の他方の板面と他方の梁構成部材10Bの対向面10aとが接触した状態で、当該一方の梁構成部材10Aと金属板3と他方の梁構成部材10Bとを接合した接合手段とを備えて構成される。
当該接合手段は、例えば、上述した一方の柱構成部材1Aと金属板3と他方の柱構成部材1Bとを接合する接合手段と同じように、一方の梁構成部材10Aと金属板3と他方の梁構成部材10Bとに亘って連続するように設けられた連結軸挿入用貫通孔と、連結軸挿入用貫通孔に挿入された複数の連結軸と、連結軸を連結軸挿入用貫通孔に固定する固定部材としてのナットとで構成した。
また、梁構成部材10A,10Bは、材軸方向(長手方向)と直交する断面が矩形状に形成された長尺な梁構成部材であり、上述した柱構成部材と同様に、CLT又は集成材により形成される。
【0036】
また、金属板3は、実施形態1で説明した金属板3と同様に、縦板31と横板32とを備えた断面T字状のT形鋼30の縦板31により形成される。
即ち、梁10の上面側に設置される一方のT形鋼30は、縦板31の一方の板面と一方の梁構成部材10Aの対向面10aとが接触するとともに、縦板31の他方の板面と他方の梁構成部材10Bの対向面10aとが接触し、かつ、一方の梁構成部材10Aの対向面10aと直交して材軸方向に延長する一方の梁構成部材10Aの上面及び他方の梁構成部材10Bの対向面10aと直交して材軸方向に延長する他方の梁構成部材10Bの上面とT形鋼30の横板32における縦板31側の板面(縦板31と横板32との境界部で区切られた板面)とが接触した状態に設置される。
また、同様に、梁10の下面側に設置される他方のT形鋼30は、縦板31の一方の板面と一方の梁構成部材10Aの対向面10aとが接触するとともに、縦板31の他方の板面と他方の梁構成部材10Bの対向面10aとが接触し、かつ、一方の梁構成部材10Aの対向面10aと直交して材軸方向に延長する一方の梁構成部材10Aの下面及び他方の梁構成部材10Bの対向面10aと直交して材軸方向に延長する他方の梁構成部材10Bの下面とT形鋼30の横板32における縦板31側の板面(縦板31と横板32との境界部で区切られた板面)とが接触した状態に設置される。
また、梁10の上面側に設置される一方のT形鋼30の縦板31の下端と梁10の下面側に設置されるT形鋼30の縦板31の上端とが間隔Tを隔てて離間するように構成される。
従って、断面寸法の一定なT形鋼30,30を用いて、間隔Tを変えることで、様々な断面寸法(梁せい寸法)の梁を形成できるようになるので、様々な断面寸法(梁せい寸法)の梁を安価に提供できるようになる。
【0037】
梁接合部2Cは、例えば図5図6に示すように、上側接合部材2Yの接合部2Bより延長して柱1の側面1gよりも外側に突出して柱1の中心軸1Cと直交する板面を有した平板により形成される。梁接合部2Cは、例えば、接合部2Bを形成するT形鋼20の横板22を水平方向に延長させた部分により形成される。さらに、換言すれば、T形鋼20の縦板21の下端から互いに反対方向に延長する横板構成部分のうちの一方の横板構成部分の延長長さが他方の横板構成部分の延長長さよりも長く形成され、柱1の側面1gよりも外側に突出する当該一方の横板構成部分の延長端側の部分を梁接合部2Cとした。
【0038】
柱接合部12は、例えば、梁10の端面11側の上端側に取付けられて梁10の端面11よりも外側に突出するT形鋼30の横板32により形成される。
【0039】
梁接合部2Cと柱接合部12とを接合する接合手段は、例えば図6に示すように、梁接合部2Cの上面に設置されるスプライスプレート(添板)13と、柱接合部12の下面に設置されるスプライスプレート(添板)14と、スプライスプレート13、梁接合部2C、柱接合部12、スプライスプレート14にそれぞれ形成された各貫通孔を連通させて形成された連結軸挿入用貫通孔15と、連結軸挿入用貫通孔15を貫通するように設けられた連結軸16と、連結軸挿入用貫通孔15を貫通した連結軸16の両端側に形成されたねじ部に螺着されて締結されることによって連結軸16を連結軸挿入用貫通孔15に固定する固定部材としてのナット17,17とで構成される。
【0040】
そして、図5に示すように、柱1の側面1gよりも外側に延長するように形成された梁接合部2Cの下面2Ctと柱接合部12の上面12tとを接触させるとともに、梁接合部2Cの上面にスプライスプレート13を設置し、かつ、柱接合部12の下面にスプライスプレート14を設置する。そして、スプライスプレート13、梁接合部2C、柱接合部12、スプライスプレート14に形成された各貫通孔を一致させて連結軸挿入用貫通孔15を形成し、連結軸挿入用貫通孔15を貫通するように設けられた連結軸16の上下の両端側にナット17,17を締結することによって、梁接合部2Cと柱接合部12とが接合手段により接合された柱梁接合構造が構成される。
【0041】
実施形態2に係る柱梁接合構造によれば、梁接合部2Cと柱接合部12とが接合手段により接合されて構成された柱梁接合部分150を介して柱200と梁10とが接合されたので、柱梁接合部分150の強度及び剛性の大きくできるとともに、簡単、かつ、安価な柱梁接合構造を提供できる。
【0042】
尚、接合部分100における下側接合部材2Xの接合部2Bが柱1の側面1gよりも外側に延長する梁接合部を備えた構成とするとともに、当該梁接合部には、柱接合部を形成する梁10の端面11よりも外側に突出するT形鋼30の縦板31が挿入される溝(スリット)を形成した構成とし、横板32における縦板31側の下面と梁接合部の上面とを接触させた状態で、当該梁接合部と柱接合部とを接合手段で接合した柱梁接合構造としてもよい。
【0043】
また、図7(a)に示すように、柱200の4つの側面にそれぞれ柱梁接合部分150を介して梁10を接合するようにしてもよい。
また、図7(b)に示すように、柱200の3つの側面にそれぞれ柱梁接合部分150を介して梁10を接合するようにしてもよい。
また、図7(c)に示すように、柱200の互いに対向する2つの側面にそれぞれ柱梁接合部分150を介して梁10を接合するようにしてもよい。
また、図7(d)に示すように、柱200の互いに隣り合う2つの側面にそれぞれ柱梁接合部分150を介して梁10を接合するようにしてもよい。
【0044】
尚、固定部2Aを柱1(下柱1X,上柱1Y)に固定する固定手段、一方の柱構成部材1Aと金属板3と他方の柱構成部材1Bとを接合する接合手段、一方の梁構成部材10Aと金属板3と他方の梁構成部材10Bとを接合する接合手段は、上述した構成に加えて接着剤を併用した手段、あるいは、上述した連結軸挿入用貫通孔に連結軸としてのドリフトピンを嵌入する手段を採用してもよい。
また、これら接合手段や固定手段の数は、部材の大きさ等に応じて決めればよい。
【0045】
また、柱1や梁10の互いに対向する一方の外面側と他方の外面側とにそれぞれ設けられたT形鋼30,30は、図6に示すように、柱1や梁10の材軸方向に沿って間欠的に設けられた構成としても良いし、あるいは、柱1や梁10の材軸方向に沿って連続して設けられた構成としても良い。
【0046】
また、各実施形態では、T形鋼30として、縦板31の高さ寸法が、柱1の前後幅(あるいは左右幅)寸法の1/2よりも短い寸法、あるいは、梁10の高さ寸法の1/2よりも短い寸法のものを用いた例を示したが、縦板31の高さ寸法が、柱1の前後幅(あるいは左右幅)寸法より若干短い寸法、あるいは、梁10の高さ寸法よりも若干短い寸法のT形鋼を用いても良い。
【0047】
また、金属板3としては、T形鋼30の代わりに、平鋼(フラットバー)を用いてもよい。
また、上述したスプライスプレートは、用いた方が好ましいが、用いなくてもよい。
【0048】
また、各実施形態では、CLT又は集成材により形成された柱構成部材や梁構成部材を用いた柱や梁を使用した例を示したが、無垢材により形成された柱や梁を用いてもよい。
【符号の説明】
【0049】
1 柱、1X 下柱、1Y 上柱、1g 柱の側面、1t 下柱の上端面、
1u 上柱の下端面、2A 固定部、2B 接合部、2C 梁接合部、
2X 下側接合部材、2Y 上側接合部材、2a 下側接合部材の上面、
2b 上側接合部材の下面、3 金属板、10 梁、11 梁の端面、12 柱接合部、
20,30 T形鋼、21 T形鋼の縦板(固定部)、31 T形鋼の縦板(金属板)、22 T形鋼の横板(接合部)、32 T形鋼の横板、63 (連結軸挿入用)貫通孔、
64 連結軸、65 ナット(固定部材)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7