IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 文化シヤッター株式会社の特許一覧

特許7252800シャッターカーテン用巻取軸の中子構造体の製造装置及びその製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-28
(45)【発行日】2023-04-05
(54)【発明の名称】シャッターカーテン用巻取軸の中子構造体の製造装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/171 20060101AFI20230329BHJP
【FI】
E06B9/171
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019050633
(22)【出願日】2019-03-19
(65)【公開番号】P2020153097
(43)【公開日】2020-09-24
【審査請求日】2021-11-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100153006
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 勇三
(74)【代理人】
【識別番号】100095212
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 武
(72)【発明者】
【氏名】小沢 力
(72)【発明者】
【氏名】河村 知和
(72)【発明者】
【氏名】巣瀬 佑輔
【審査官】素川 慎司
(56)【参考文献】
【文献】実開昭61-036389(JP,U)
【文献】特開2006-316442(JP,A)
【文献】特開昭48-070968(JP,A)
【文献】特開2014-000646(JP,A)
【文献】特開平05-305506(JP,A)
【文献】特開昭60-145288(JP,A)
【文献】特開昭49-115046(JP,A)
【文献】特開昭50-016979(JP,A)
【文献】特開2015-139790(JP,A)
【文献】特開2002-018575(JP,A)
【文献】特開2013-018047(JP,A)
【文献】実開昭57-009428(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/00 - 9/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャッターカーテンを繰り出し自在に巻き取るための巻取軸の軸方向の端部の軸首部を形成する棒状部材と、中心部に丸孔で設けられている中心孔に丸棒で形成された前記棒状部材が挿入されることでこの棒状部材に配置されるとともに、この棒状部材に溶接で結合され、前記巻取軸の本体を形成している丸筒状部材の内部で外周部がこの丸筒状部材の内周部に結合される中子部材とを含んで構成されるシャッターカーテン用巻取軸の中子構造体を製造するための装置であって、
前記中子部材を保持するための第1保持手段と、前記棒状部材を保持するための第2保持手段とを備えており、これらの保持手段のうち、少なくとも一方の保持手段は、前記棒状部材を前記中子部材の前記中心孔に挿入するために、他方の保持手段に向かって前進可能となっているとともに、前記棒状部材の先端面の外周部と、前記中心孔における前記先端面が挿入する側の端部の内周部とのうち、少なくとも一方に面取り部が設けられ、前記第1保持手段と前記第2保持手段のうち、少なくとも一方の保持手段は、前記先端面が前記中心孔に挿入されるときには、前記保持を緩和している状態となっており、
前記第1保持手段は、前記中子部材の円周方向に配置されている複数個の爪部材が、前記中子部材の内外径方向に移動自在となっているスクロールチャック式の保持手段であり、前記第2保持手段も、前記棒状部材の円周方向に配置されている複数個の爪部材が、前記棒状部材の内外径方向に移動自在となっているスクロールチャック式の保持手段であり、
前記保持を緩和している前記状態とは、前記スクロールチャック式の保持手段の前記複数個の爪部材が、前記保持を維持して少し外径方向に移動していることであり、
前記保持を緩和している前記状態は、前記第1保持手段において行われ、前記第2保持手段のそれぞれの前記爪部材には、前記中子部材の保持を緩和した前記第1保持手段のそれぞれの前記爪部材にこの中子部材を弾性的に押圧するための弾性部材が取り付けられていることを特徴とするシャッターカーテン用巻取軸の中子構造体の製造装置。
【請求項2】
請求項1に記載のシャッターカーテン用巻取軸の中子構造体の製造装置において、前記第1保持手段の前記複数個の爪部材の個数は、前記中子部材の円周方向に等角度間隔で配置された3個であり、前記第2保持手段の前記複数個の爪部材の個数も、前記棒状部材の円周方向に等角度間隔で配置された3個であることを特徴とするシャッターカーテン用巻取軸の中子構造体の製造装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のシャッターカーテン用巻取軸の中子構造体の製造装置において、前記第1保持手段のそれぞれの前記爪部材の内径側の先端部には、内径側が開放され、かつ外径側が閉じられていて、前記第2保持手段とは反対側に窪んだ窪み部が設けられ、前記第1保持手段で前記中子部材の前記保持を緩和している前記状態において、この中子部材は前記窪み部に前記弾性部材により弾性的に押圧されることを特徴とするシャッターカーテン用巻取軸の中子構造体の製造装置。
【請求項4】
請求項3に記載のシャッターカーテン用巻取軸の中子構造体の製造装置において、前記第1保持手段のそれぞれの前記爪部材の前記窪み部は、壁部によって前記外径側が閉じられているものとなっており、前記第1保持手段で前記中子部材の前記保持を緩和している前記状態とは、前記第1保持手段のそれぞれの前記爪部材の前記壁部が前記中子部材の外周部を挟着していない状態であることを特徴とするシャッターカーテン用巻取軸の中子構造体の製造装置。
【請求項5】
請求項3又は4に記載のシャッターカーテン用巻取軸の中子構造体の製造装置において、それぞれの前記窪み部に前記弾性部材により弾性的に押圧された前記中子部材を前記棒状部材にスポット溶接するための溶接手段を備えていることを特徴とするシャッターカーテン用巻取軸の中子構造体の製造装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれかに記載のシャッターカーテン用巻取軸の中子構造体の製造装置において、前記中子部材が配置された前記棒状部材を保持してこの棒状部材を回転させるための第3保持手段と、この第3保持手段で回転する前記棒状部材に前記中子部材をこの棒状部材の全周に渡って溶接するための溶接手段とを備えていることを特徴とするシャッターカーテン用巻取軸の中子構造体の製造装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれかに記載のシャッターカーテン用巻取軸の中子構造体の製造装置において、前記弾性部材はコイルばねであることを特徴とするシャッターカーテン用巻取軸の中子構造体の製造装置。
【請求項8】
シャッターカーテンを繰り出し自在に巻き取るための巻取軸の軸方向の端部の軸首部を形成する棒状部材と、中心部に丸孔で設けられている中心孔に丸棒で形成された前記棒状部材が挿入されることでこの棒状部材に配置されるとともに、この棒状部材に溶接で結合され、前記巻取軸の本体を形成している丸筒状部材の内部で外周部がこの丸筒状部材の内周部に結合される中子部材とを含んで構成されるシャッターカーテン用巻取軸の中子構造体を製造するための方法であって、
前記棒状部材の先端面の外周部と、前記中心孔における前記先端面が挿入する側の端部の内周部とのうち、少なくとも一方に面取り部を設けるための作業工程と、
前記中子部材を第1保持手段により保持させるとともに、前記棒状部材を第2保持手段により保持させるための作業工程と、
前記第1保持手段と前記第2保持手段のうち、少なくとも一方の保持手段を、前記棒状部材を前記中子部材の前記中心孔に挿入するために、他方の保持手段に向かって前進させるための作業工程と、
前記第1保持手段と前記第2保持手段のうち、少なくとも一方の保持手段を、前記先端面が前記中心孔に挿入されるときには、前記保持を緩和させている状態とするための作業工程と、
を含み、
前記第1保持手段は、前記中子部材の円周方向に配置されている複数個の爪部材が、前記中子部材の内外径方向に移動自在となっているスクロールチャック式の保持手段であり、前記第2保持手段も、前記棒状部材の円周方向に配置されている複数個の爪部材が、前記棒状部材の内外径方向に移動自在となっているスクロールチャック式の保持手段であり、
前記保持を緩和させている前記状態とは、前記スクロールチャック式の保持手段の前記複数個の爪部材が、前記保持を維持して少し外径方向に移動していることであり、
前記保持を緩和させている前記状態は、前記第1保持手段において行われ、
前記第2保持手段のそれぞれの前記爪部材には、前記第1保持手段のそれぞれの前記爪部材に前記中子部材を弾性的に押圧するための弾性部材が取り付けられており、
前記保持を緩和させている前記状態のときに、前記弾性部材により、前記第1保持手段のそれぞれの前記爪部材に前記中子部材を弾性的に押圧することを特徴とするシャッターカーテン用巻取軸の中子構造体の製造方法。
【請求項9】
請求項8に記載のシャッターカーテン用巻取軸の中子構造体の製造方法において、
前記保持を緩和させている前記状態とするための前記作業工程の後に、前記第1保持手段のそれぞれの前記爪部材が内径方向に移動することで前記中子部材を前記第1保持手段により強固に保持する作業工程と、
前記中子部材を前記棒状部材にスポット溶接により仮結合する作業工程と、
を含むことを特徴とするシャッターカーテン用巻取軸の中子構造体の製造方法。
【請求項10】
請求項9に記載のシャッターカーテン用巻取軸の中子構造体の製造方法において、前記中子部材を前記棒状部材にスポット溶接により仮結合する前記作業工程の後に、前記中子部材を前記棒状部材に全周溶接により結合する作業工程と、
を含むことを特徴とするシャッターカーテン用巻取軸の中子構造体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャッターカーテンを繰り出し自在に巻き取る巻取軸のための中子構造体を製造するための装置及びその方法に係り、例えば、出入口等の開口部を開閉するシャッターカーテンや、全閉となることで防火区画を形成するシャッターカーテン等のための巻取軸の中子構造体を製造するために利用できるものである。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1には、シャッターカーテンを繰り出し自在に巻き取る巻取軸が中子構造体を含んで構成されていることが示されている。この中子構造体は、シャッターカーテンを繰り出し自在に巻き取るための巻取軸の軸方向の端部の軸首部を形成する棒状部材と、中心部に丸孔で設けられている中心孔に丸棒で形成された棒状部材が挿入されることでこの棒状部材に配置されるとともに、この棒状部材に溶接で結合され、巻取軸の本体を形成している丸筒状部材の内部で外周部がこの丸筒状部材の内周部に結合される中子部材とを含んで構成されたものとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-316442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以上の中子構造体を組み立てて製造することは、作業者による手作業で行われており、棒状部材を中子部材の中心孔に挿入するための作業も手作業で行われているため、作業時間の短縮を実現し、作業効率を向上させるために、棒状部材を中子部材の中心孔に挿入するための作業を自動的に行える装置及び方法が求められる。
【0005】
本発明の目的は、シャッターカーテンを繰り出し自在に巻き取る巻取軸のための棒状部材を中子部材の中心孔に挿入する作業を、棒状部材と中心孔とに芯ずれがあっても、自動的に行えるようになるシャッターカーテン用巻取軸の中子構造体の製造装置及びその製造方法を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るシャッターカーテン用巻取軸の中子構造体の製造装置は、シャッターカーテンを繰り出し自在に巻き取るための巻取軸の軸方向の端部の軸首部を形成する棒状部材と、中心部に丸孔で設けられている中心孔に丸棒で形成された前記棒状部材が挿入されることでこの棒状部材に配置されるとともに、この棒状部材に溶接で結合され、前記巻取軸の本体を形成している丸筒状部材の内部で外周部がこの丸筒状部材の内周部に結合される中子部材とを含んで構成されるシャッターカーテン用巻取軸の中子構造体を製造するための装置であって、前記中子部材を保持するための第1保持手段と、前記棒状部材を保持するための第2保持手段とを備えており、これらの保持手段のうち、少なくとも一方の保持手段は、前記棒状部材を前記中子部材の前記中心孔に挿入するために、他方の保持手段に向かって前進可能となっているとともに、前記棒状部材の先端面の外周部と、前記中心孔における前記先端面が挿入する側の端部の内周部とのうち、少なくとも一方に面取り部が設けられ、前記第1保持手段と前記第2保持手段のうち、少なくとも一方の保持手段は、前記先端面が前記中心孔に挿入されるときに、前記保持を緩和している状態となっていることを特徴とするものである。
【0007】
このように本発明に係るシャッターカーテン用巻取軸の中子構造体の製造装置では、棒状部材の先端面の外周部と、中子部材の中心孔における前記先端面が挿入する側の端部の内周部とのうち、少なくとも一方に面取り部が設けられており、また、第1保持手段と第2保持手段のうち、少なくとも一方の保持手段は、棒状部材の先端面が中子部材の中心孔に挿入されるときには、前記保持を緩和している状態となっているため、棒状部材の先端面が中子部材の中心孔に挿入されるときに、棒状部材と中心孔とに芯ずれが生じていても、中子部材と棒状部材のうち、少なくとも一方が内外径方向に移動することによってこの芯ずれを解消しながら、棒状部材を中子部材の中心孔に所定どおり挿入することができ、これにより、作業時間の短縮、作業効率の向上を図ることができる。
【0008】
以上の本発明に係るシャッターカーテン用巻取軸の中子構造体の製造装置において、棒状部材を中子部材の中心孔に挿入するためには、第1保持手段と第2保持手段の両方を移動させてもよく、あるいは、第1保持手段と第2保持手段のうち、一方の保持手段だけを移動させてもよい。また、前記保持を緩和する状態にすることは、第1保持手段と第2保持手段の両方について行ってもよく、あるいは、第1保持手段と第2保持手段のうち、一方の保持手段だけについて行ってもよい。
【0009】
また、棒状部材を中子部材の中心孔に挿入するために、第1保持手段と第2保持手段のうち、一方の保持手段だけを移動させるとともに、前記保持を緩和する状態にすることを、第1保持手段と第2保持手段のうち、一方の保持手段だけについて行う場合には、これらの一方の保持手段を同じ保持手段としてもよく、互いに別の保持手段としてもよい。
【0010】
また、以上の本発明に係るシャッターカーテン用巻取軸の中子構造体の製造装置において、棒状部材に配置される中子部材の個数は、1個でもよく、あるいは、棒状部材の軸方向に間隔をあけて配置される複数個でもよい。
【0011】
また、中子部材を保持するための第1保持手段の保持構造や、棒状部材を保持するための第2保持手段の保持構造は、中子部材や棒状部材の保持及び保持解除を行えるものであれば任意の形式、形態のものでよい。その一例の第1保持手段は、中子部材の円周方向に配置されている複数個の爪部材が、中子部材の内外径方向に移動自在となっているスクロールチャック式の保持手段であり、また、第2保持手段も、棒状部材の円周方向に配置されている複数個の爪部材が、棒状部材の内外径方向に移動自在となっているスクロールチャック式の保持手段である。これ以外に第1保持手段及び第2保持手段を、中子部材と棒状部材の全周を包持して、これらの中子部材と棒状部材を空気圧等で弾性的に保持及び保持解除する圧力式弾性部材によるものとしてもよい。
【0012】
また、上述したように第1保持手段を、中子部材の円周方向に配置されている複数個の爪部材が、中子部材の内外径方向に移動自在となっているスクロールチャック式の保持手段とし、第2保持手段も、棒状部材の円周方向に配置されている複数個の爪部材が、棒状部材の内外径方向に移動自在となっているスクロールチャック式の保持手段とする場合には、前述したように棒状部材の先端面が中子部材の中心孔に挿入されるときに、中子部材を保持する第1保持手段と、棒状部材を保持する第2保持手段とのうち、少なくとも一方の保持手段を、前記保持を緩和している状態にすることは、スクロールチャック式の保持手段の複数個の爪部材を、前記保持を維持して外径方向に少し移動させることとすることにより実現できる。
【0013】
また、このように棒状部材の先端面が中子部材の中心孔に挿入されるときに、中子部材を保持する第1保持手段と、棒状部材を保持する第2保持手段とのうち、少なくとも一方の保持手段を、前記保持を緩和している状態にするために、スクロールチャック式の保持手段の複数個の爪部材を、前記保持を維持して外径方向に少し移動させることとする場合であって、前記保持を緩和している状態が、第1保持手段で行われることとする場合には、第2保持手段のそれぞれの爪部材に、中子部材の保持を緩和した第1保持手段のそれぞれの爪部材にこの中子部材を弾性的に押圧するための弾性部材を取り付けてもよい。
【0014】
これによると、第1保持手段の爪部材が中子部材の保持を緩和しているときに、第2保持手段のそれぞれの爪部材に取り付けられている弾性部材が、第1保持手段のそれぞれの爪部材に中子部材を弾性的に押圧するため、中子部材の中心孔の内径が、この中心孔に挿入される棒状部材の外径よりも少し大きくなっていても、中子部材を棒状部材に直立状態にして配置することができる。
【0015】
そして、このように第2保持手段のそれぞれの爪部材に、中子部材の保持を緩和した第1保持手段のそれぞれの爪部材にこの中子部材を弾性的に押圧するための弾性部材を取り付ける場合には、第1保持手段のそれぞれの爪部材の内径側の先端部に、内径側が開放され、かつ外径側が閉じられていて、第2保持手段とは反対側に窪んだ窪み部を設け、中子部材をこれらの窪み部に、第2保持手段のそれぞれの爪部材に取り付けられた弾性部材により弾性的に押圧することにより、第1保持手段での中子部材の保持を維持しつつ、この保持を緩和することと、中子部材を棒状部材に直立状態にして配置することとの両方を有効に実現できる。
【0016】
また、本発明に係るシャッターカーテン用巻取軸の中子構造体の製造装置には、第1保持手段のそれぞれの爪部材に設けられた前記窪み部に前記弾性部材により弾性的に押圧された中子部材を棒状部材にスポット溶接するための溶接手段を設けてもよい。
【0017】
これによると、中子部材を棒状部材に直立状態にして配置した後に、溶接手段によるスポット溶接により中子部材を棒状部材に位置決め結合することができる。
【0018】
さらに、本発明に係るシャッターカーテン用巻取軸の中子構造体の製造装置には、中子部材が配置された棒状部材を保持してこの棒状部材を回転させるための第3保持手段と、この第3保持手段で回転する棒状部材に中子部材をこの棒状部材の全周に渡って溶接するための溶接手段とを設けてもよい。
【0019】
これによると、中子部材が配置された棒状部材を保持した第3保持手段によって棒状部材を回転させることにより、溶接手段によって棒状部材に中子部材を棒状部材の全周に渡って溶接することができる。
【0020】
なお、上述したスポット溶接のための溶接手段と、棒状部材の全周に渡って中子部材を棒状部材に溶接するための溶接手段は、同じ溶接手段でもよく、それぞれ別の溶接手段でもよい。
【0021】
本発明に係るシャッターカーテン用巻取軸の中子構造体の製造方法は、シャッターカーテンを繰り出し自在に巻き取るための巻取軸の軸方向の端部の軸首部を形成する棒状部材と、中心部に丸孔で設けられている中心孔に丸棒で形成された前記棒状部材が挿入されることでこの棒状部材に配置されるとともに、この棒状部材に溶接で結合され、前記巻取軸の本体を形成している丸筒状部材の内部で外周部がこの丸筒状部材の内周部に結合される中子部材とを含んで構成されるシャッターカーテン用巻取軸の中子構造体を製造するための方法であって、前記棒状部材の先端面の外周部と、前記中心孔における前記先端面が挿入する側の端部の内周部とのうち、少なくとも一方に面取り部を設けるための作業工程と、前記中子部材を第1保持手段により保持させるとともに、前記棒状部材を第2保持手段により保持させるための作業工程と、前記第1保持手段と前記第2保持手段のうち、少なくとも一方の保持手段を、前記棒状部材を前記中子部材の前記中心孔に挿入するために、他方の保持手段に向かって前進させるための作業工程と、前記第1保持手段と前記第2保持手段のうち、少なくとも一方の保持手段を、前記先端面が前記中心孔に挿入されるときには、前記保持を緩和させている状態とするための作業工程と、を含んでいることを特徴とするものである。
【0022】
このように本発明に係るシャッターカーテン用巻取軸の中子構造体の製造方法では、棒状部材の先端面の外周部と、中子部材の中心孔における棒状部材の先端面が挿入する側の端部の内周部とのうち、少なくとも一方に面取り部を設けられ、また、中子部材は第1保持手段により保持されるとともに、棒状部材は第2保持手段により保持され、これらの第1保持手段と第2保持手段のうち、少なくとも一方の保持手段は、棒状部材を中子部材の中心孔に挿入するために、他方の保持手段に向かって前進し、第1保持手段と第2保持手段のうち、少なくとも一方の保持手段は、棒状部材の先端面が中子部材の中心孔に挿入されるときには、前記保持を緩和させている状態となっているため、棒状部材の先端面が中子部材の中心孔に挿入されるときに、棒状部材と中心孔とに芯ずれがあっても、中子部材と棒状部材のうち、少なくとも一方が内外径方向に移動することによってこの芯ずれを解消しながら、棒状部材を中子部材の中心孔に所定どおり挿入することができ、これにより、作業時間の短縮、作業効率の向上を図ることができる。
【0023】
また、本発明に係るシャッターカーテン用巻取軸の中子構造体の製造方法においても、棒状部材を中子部材の中心孔に挿入するためには、第1保持手段と第2保持手段の両方を移動させてもよく、あるいは、第1保持手段と第2保持手段のうち、一方の保持手段だけを移動させてもよい。また、前記保持を緩和する状態にすることは、第1保持手段と第2保持手段の両方について行ってもよく、あるいは、第1保持手段と第2保持手段のうち、一方の保持手段だけについて行ってもよい。
【0024】
また、棒状部材を中子部材の中心孔に挿入するために、第1保持手段と第2保持手段のうち、一方の保持手段だけを移動させるとともに、前記保持を緩和する状態にすることを、第1保持手段と第2保持手段のうち、一方の保持手段だけについて行う場合には、これらの一方の保持手段を同じ保持手段としてもよく、互いに別の保持手段としてもよい。
【0025】
以上説明した本発明に係るシャッターカーテン用巻取軸の中子構造体の製造装置及びその製造方法は、任意の用途のためのシャッターカーテンを繰り出し自在に巻き取る巻取軸の中子構造体を製造するために用いることができ、このシャッターカーテンは、例えば、複数個が連設されるスラットや、パネル、パイプ等によって少なくとも一部が形成され、出入口等の開口部を開閉するためのシャッターカーテンでもよく、あるいは、耐火性や防火性を有するシート等によって少なくとも一部が形成され、全閉となることにより防火区画を形成するためのシャッターカーテンでもよい。
【発明の効果】
【0026】
本発明によると、シャッターカーテンを繰り出し自在に巻き取る巻取軸のための棒状部材を中子部材の中心孔に挿入する作業を、棒状部材と中心孔とに芯ずれがあっても、自動的に行えるようになるという効果を得られる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は、巻取軸で繰り出し自在に巻き取られるシャッターカーテンを備えているシャッター装置の全体を示す正面図である。
図2図2は、中子構造体を含んで構成されている巻取軸を示す一部省略の正面図である。
図3図3は、図2のS3-S3線断面図である。
図4図4は、中子構造体の製造装置の全体を示す正面図である。
図5図5は、中子構造体の製造装置の全体を示す平面図である。
図6図6は、第1保持手段を示し、(A)は、左側面図、(B)は、正面図である。
図7図7は、第2保持手段を示し、(A)は、右側面図、(B)は、正面図である。
図8図8は、第3保持手段を示し、(A)は、左側面図、(B)は、正面図である。
図9図9は、中子構造体を製造する際の最初の作業を示す概略正面図である。
図10図10は、中子構造体を製造する際の次の作業を示す図9と同様の図である。
図11図11は、中子構造体を製造する際の図10の次の作業を示す図9と同様の図である。
図12図12は、中子構造体を製造する際の図11の次の作業を示す図9と同様の図である。
図13図13は、図12の一部を拡大した図であって、中子部材を断面で示した図である。
図14図14は、中子構造体を製造する際の図12の次の作業を示す図9と同様の図である。
図15図15は、中子構造体を製造する際の図14の次の作業を示す図9と同様の図である。
図16図16は、中子構造体を製造する際の図15の次の作業を示す図9と同様の図である。
図17図17は、中子構造体を製造する際の図16の次の作業を示す図9と同様の図である。
図18図18は、中子構造体を製造する際の図17の次の作業を示す図9と同様の図である。
図19図19は、中子構造体を製造する際の図18の次の作業を示す図9と同様の図である。
図20図20は、中子構造体を製造する際の図19の次の作業を示す図9と同様の図である。
図21図21は、中子構造体を製造する際の図20の次の作業を示す図9と同様の図である。
図22図22は、中子構造体を製造する際の図21の次の作業を示す図9と同様の図である。
図23図23は、中子構造体を製造する際の図22の次の作業を示す図9と同様の図である。
図24図24は、中子構造体を製造する際の図23の次の作業を示す図9と同様の図である。
図25図25は、中子構造体を製造する際の図24の次の作業を示す図9と同様の図である。
図26図26は、中子構造体を製造する際の図25の次の作業を示す図9と同様の図である。
図27図27は、中子構造体を製造する際の図26の次の作業を示す図9と同様の図である。
図28図28は、中子構造体を製造する際の図27の次の作業を示す図9と同様の図である。
図29図29は、中子構造体を製造する際の図28の次の作業を示す図9と同様の図である。
図30図30は、中子構造体を製造する際の図29の次の作業を示す図9と同様の図である。
図31図31は、中子構造体を製造する際の図30の次の作業を示す図9と同様の図である。
図32図32は、中子構造体を製造する際の図31の次の作業を示す図9と同様の図である。
図33図33は、中子構造体を製造する際の図32の次の作業を示す図9と同様の図である。
図34図34は、中子構造体を製造する際の図33の次の作業を示す図9と同様の図である。
図35図35は、中子構造体を製造する際の図34の次の作業を示す図9と同様の図である。
図36図36は、中子構造体を製造する際の図35の次の作業を示す図9と同様の図である。
図37図37は、中心孔に面取り部が設けられている別実施形態の中子部材を示す図13と同様の図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。図1には、本発明の一実施形態に係る装置及び方法で製造される中子構造体を有する巻取軸で開閉移動するシャッターカーテン1が示されている。このシャッターカーテン1は、左右一対のガイドレール2と、巻取軸3が内部に収納されたシャッターケース4と、床5とにより囲まれた出入口等の開口部6を開閉するものであり、多数のスラット1Aが上下に連設されることで主要部が形成されているシャッターカーテン1は、このシャッターカーテン1の上端が連結されている巻取軸3が図示しない開閉機により正回転することで巻取軸3に巻き取られ、また、巻取軸3が開閉機により逆回転することで巻取軸3から繰り出され、これにより、シャッターカーテン1は左右一対のガイドレール2に案内されて上下に開閉移動する。なお、巻取軸3の軸方向の両端部は、ブラケット9により回転自在に支持されている。
【0029】
図2には、長さ方向の一部が省略された巻取軸3が示されている。この巻取軸3は、巻取軸3の軸方向の両端部の軸首部3Aと、これらの軸首部3Aの間の本体3Bとを有するものとなっており、図1のブラケット9で回転自在に支持されるそれぞれの軸首部3Aは、金属製の丸棒による棒状部材7で形成されており、本体3Bは、巻取軸3の全長よりも少し短い長さ寸法の金属製の丸筒状部材8により形成されている。また、左右2個の棒状部材7のうち、一方の棒状部材7には、電動モータとブレーキの組み合せで構成される上述の開閉機からの駆動力がチェーンで伝達されるスプロケットホイールが取り付けられ、これにより、巻取軸3は開閉機からの駆動力により正逆回転する。
【0030】
軸首部3Aを形成しているそれぞれの棒状部材7には、それぞれ金属製板材により円板状に形成された第1中子部材11と第2中子部材12が棒状部材7の軸方向の間隔をあけて配置されており、厚さ寸法が同じであって、外径寸法も同じになっているこれらの第1及び第2中子部材11,12を棒状部材7に配置するために、図2のS3-S3線断面図である図3からも分かるように、第1及び第2中子部材11,12の中心部には、棒状部材7の外径よりも内径が少し大きい丸孔による中心孔11A,12Aが設けられ、これらの中心孔11A,12Aに棒状部材7が挿入された後に、棒状部材7と第1及び第2中子部材11,12とが、第1及び第2中子部材11,12の厚さ方向両側において、棒状部材7の全周に渡る溶接部14~17で結合され、これらの全周溶接部14~17により棒状部材7に第1及び第2中子部材11,12が結合されている。
【0031】
以上の棒状部材7と第1及び第2中子部材11,12とにより、図2で示すように左右対称形状となっている2個の中子構造体20が製造され、これらの中子構造体20を構成する部材のうち、第1及び第2中子部材11,12は、巻取軸3の本体3Bを形成する丸筒状部材8の内部に挿入されて、第1及び第2中子部材11,12の外周部を丸筒状部材8の内周部に結合することにより、本体3Bの軸方向の両端部に、中子構造体20の棒状部材7により軸首部3Aが設けられた巻取軸3が製造される。
【0032】
なお、第1及び第2中子部材11,12の外周部を丸筒状部材8の内周部に結合するために、図2及び図3では、丸筒状部材8に、第1及び第2中子部材11,12の配置箇所と一致する位置において、図3で示されている孔8Aを円周方向に複数個設け、これらの孔8Aにおいて、丸筒状部材8と第1及び第2中子部材11,12とを、溶接棒を用いる電気溶接によりスポット溶接している。しかし、第1及び第2中子部材11,12のうち、丸筒状部材8の軸方向の端部側に配置される第2中子部材12については、丸筒状部材8の軸方向の端部の開口部から丸筒状部材8の内部に挿入した溶接棒を用いる電気溶接手段により、この第2中子部材12の外周部の全周を丸筒状部材8の内周部に溶接してもよい。
【0033】
また、図2に示されているように、左右対称形状となっている2個の中子構造体20を構成しているそれぞれの棒状部材7の軸方向の両端面には、これらの両端面の外周部を切削加工することによって面取り部7A,7Bが形成され、これらの面取り部7A,7Bのうち、丸筒状部材8の外側に突出している面取り部7Aが形成されている棒状部材7の端面は、この棒状部材7の先端面7Cとなっており、丸筒状部材8の内部に配置された面取り部7Bが形成されている棒状部材7の端面は、この棒状部材7の後端面7Dである。
【0034】
図4には、本発明の一実施形態に係る中子構造体20の製造装置30の正面図が示され、図5は、この製造装置30の平面図である。製造装置30は、台座30Aの上に、後述から分かるように第1及び第2中子部材11,12を保持するための第1保持手段31と、棒状部材7を保持するための第2保持手段32と、棒状部材7を保持しかつこの棒状部材7を回転させるための第3保持手段33とが、左右方向に間隔をあけて配置されたものとなっており、第2保持手段32と第3保持手段33との間に配置されている第1保持手段31は、台座30Aに固定設置されている。また、第2保持手段32は、ガイドレール34で案内されて第1保持手段31に対し前後進自在となっているスライダ35の上に配置され、第3保持手段33も、ガイドレール36で案内されて第1保持手段31に対し前後進自在となっているスライダ37の上に配置されている。スライダ35には、図4で示す電動モータ38からの駆動力がベルト等で構成された駆動力伝達手段39を介して伝達される送りねじ部材40に螺合されているナット部材41が取り付けられ、これにより、第2保持手段32とスライダ35は、電動モータ38の正逆回転により第1保持手段31に対し前後進する。また、スライダ37には、図4で示す電動モータ42からの駆動力がベルト等で構成された駆動力伝達手段43を介して伝達される送りねじ部材44に螺合されているナット部材45が取り付けられ、これにより、第3保持手段33とスライダ37も、電動モータ42の正逆回転により第1保持手段31に対し前後進する。
【0035】
図6は、第1保持手段31を示し、図6(A)は、左側面図であり、図6(B)は、正面図である。第1保持手段31は、台座30Aに固定設置されたリング状の本体50と、この本体50の第2保持手段32と対向する側面に、第1保持手段31で保持される第1及び第2中子部材11,12の円周方向に等角度間隔で3個配置された爪部材51とを含んで構成されたものとなっており、それぞれの爪部材51は、本体50の第2保持手段32と対向する側面に形成された案内溝52で案内されて第1及び第2中子部材11,12の内外径方向に移動自在である。なお、リング状の本体50の中心部に設けられている円形の開口孔50Aは、爪部材51が外径方向に移動しているときに、棒状部材7を含めて第1及び第2中子部材11,12を通過させることができる大きさとなっている。
【0036】
図5に示されているように、本体50には、ブラケット53を介して電動モータ54が取り付けられ、この電動モータ54の駆動力はベベルギヤ機構55を介して本体50の内部に入力している。また、本体50の内部には、図6(A)で示されているリング状の円盤部材56が回転自在に収納され、本体50の内部に入力した電動モータ54の駆動力は、本体50の内部に配置されているベベルギヤ機構を介して円盤部材56に伝達されるため、電動モータ54の駆動軸の回転方向に応じて、円盤部材56は正回転又は逆回転する。また、円盤部材56には渦巻き状の凸条が形成されており、それぞれの爪部材51には、この渦巻き状の凸条に係合する凹条が設けられているため、円盤部材56が正回転すると、それぞれの爪部材51は内径方向に移動することで第1及び第2中子部材11,12を保持し、円盤部材56が逆回転すると、それぞれの爪部材51は外径方向に移動することで第1及び第2中子部材11,12の保持を解除する。
【0037】
このため、第1保持手段31は、第1及び第2中子部材11,12の円周方向に3個配置された爪部材51が、第1及び第2中子部材11,12の内外径方向に移動して、第1及び第2中子部材11,12の保持と保持解除とを行うスクロールチャック式の保持手段となっている。
【0038】
図6(B)で示されているように、それぞれの爪部材51の内径側の先端部には、第2保持手段32とは反対側に窪んだ窪み部57が設けられ、これらの窪み部57は、内径側が開放されていて、外径側が壁部57Aで閉じられたものとなっている。
【0039】
図7は、第2保持手段32を示し、図7(A)は、右側面図であり、図7(B)は、正面図である。第2保持手段32は、図4及び図5で示したスライダ35に固定設置されたリング状の本体60と、この本体60の第1保持手段31と対向する側面に、第2保持手段32で保持される棒状部材7の円周方向に等角度間隔で3個配置された爪部材61とを含んで構成されたものとなっており、それぞれの爪部材61は、本体60の第1保持手段31と対向する側面に形成された案内溝62で案内されて棒状部材7の内外径方向に移動自在である。
【0040】
図5に示されているように、本体60には、ブラケット63を介して電動モータ64が取り付けられ、この電動モータ64の駆動力はベベルギヤ機構65を介して本体60の内部に入力し、本体60の内部には、図7(A)で示されているリング状の円盤部材66が回転自在に収納されている。本体60の内部に入力した電動モータ64の駆動力は、本体60の内部に配置されているベベルギヤ機構を介して円盤部材66に伝達され、これにより、電動モータ64の駆動軸の回転方向に応じて、円盤部材66は正回転又は逆回転する。また、この円盤部材66にも、渦巻き状の凸条が形成されており、それぞれの爪部材61には、この渦巻き状の凸条に係合する凹条が設けられているため、円盤部材66が正回転すると、それぞれの爪部材61は内径方向に移動することで棒状部材7を保持し、円盤部材66が逆回転すると、それぞれの爪部材61は外径方向に移動することで棒状部材7の保持を解除する。
【0041】
このため、第2保持手段32も、棒状部材7の円周方向に3個配置された爪部材61が、棒状部材7の内外径方向に移動して、この棒状部材7の保持と保持解除とを行うスクロールチャック式の保持手段となっている。
【0042】
図7(B)で示されているように、それぞれの爪部材61の外径側の後端部には、第1保持手段31とは反対側に窪んだ窪み部67が設けられ、これらの窪み部67に弾性部材であるコイルばね68が配置され、基端部が窪み部67に溶接又は図示しない結合具等で結合されているこれらのコイルばね68は、無負荷の自然状態では、先端部68Aが爪部材61における第1保持手段31側の側面61Aよりも第1保持手段31側へ突出した状態になっている。
【0043】
図8は、第3保持手段33を示し、図8(A)は、左側面図であり、図8(B)は、正面図である。第3保持手段33は、図4及び図5で示したスライダ37に固定設置されている基台37Aに水平軸を中心に回転自在となって配置されたリング状の本体70と、この本体70の第1保持手段31と対向する側面に、第3保持手段33で保持される棒状部材7の円周方向に等角度間隔で3個配置された爪部材71とを含んで構成されたものとなっている。それぞれの爪部材71は、本体70の第1保持手段31と対向する側面に形成された案内溝72で案内されて棒状部材7の内外径方向に移動自在である。
【0044】
図5に示されているように、基台37Aには、ブラケット73を介して電動モータ74が取り付けられ、この電動モータ74の駆動力はベベルギヤ機構75を介して本体70の内部に入力し、この本体70の内部には、図8(A)で示されているリング状の円盤部材76が回転自在に収納されている。本体70の内部に入力した電動モータ54の駆動力は、本体70の内部に配置されているベベルギヤ機構を介して円盤部材76に伝達され、このため、電動モータ74の駆動軸の回転方向に応じて、円盤部材76は正回転又は逆回転する。この円盤部材76にも渦巻き状の凸条が形成され、それぞれの爪部材71には、この渦巻き状の凸条に係合する凹条が設けられているため、円盤部材76が正回転すると、それぞれの爪部材71は内径方向に移動することで棒状部材7を保持し、円盤部材76が逆回転すると、それぞれの爪部材71は外径方向に移動することで棒状部材7の保持を解除する。
【0045】
このため、第3保持手段33も、棒状部材7の円周方向に3個配置された爪部材71が、棒状部材7の内外径方向に移動して、この棒状部材7の保持と保持解除とを行うスクロールチャック式の保持手段となっている。
【0046】
また、この第3保持手段33には、本体70と連結されたリングギヤ77が設けられ、本体70とリングギヤ77とを連結するために、リング状の本体70の中心部に、本体70とリングギヤ77とを連結するための筒状連結部材が設けられている。本体70の全周に渡るリングギヤ77には、図4及び図5で示されているように、基台37Aにブラケット78を介して取り付けられた電動モータ79で回転するギヤ80が噛合しており、このため、この電動モータ79の駆動力により、本体70は基台37Aに対して水平軸を中心に回転し、この本体70と共に3個の爪部材71も水平軸を中心に回転する。
【0047】
このため、第3保持手段33の3個の爪部材71は、電動モータ74による棒状部材7の内外径方向への移動と、電動モータ79による水平軸を中心とした回転とを行い、3個の爪部材71が棒状部材7を保持しているときに、これらの爪部材71が回転することで棒状部材7も回転する。
【0048】
したがって、この第3保持手段33では、後述するように3個の爪部材71が棒状部材7を保持しているときに、電動モータ79により本体70と3個の爪部材71とが水平軸を中心に回転するようになっている。この作動を実現するために、電動モータ79により本体70と3個の爪部材71とが水平軸を中心に回転しているときに、電動モータ74の駆動力で3個の爪部材71が棒状部材7の保持を持続するようになっており、あるいは、電動モータ79により本体70と3個の爪部材71とが水平軸を中心に回転しているときに、電動モータ74の電力供給回路が遮断されて、図示しない電磁ブレーキ等の作動により、棒状部材7を保持した3個の爪部材71が外径方向に移動することが阻止されるようになっている。
【0049】
図5に示されているように、本実施形態に係る中子構造体20の製造装置30には、第1保持手段31に第1及び第2中子部材11,12を供給し、かつ第2保持手段32に棒状部材7を供給するための供給手段85と、棒状部材7に第1及び第2中子部材11,12をスポット溶接するための第1溶接手段86と、棒状部材7に第1及び第2中子部材11,12を棒状部材7の全周に渡って溶接するための第2溶接手段87とが設けられ、これらの供給手段85と、溶接棒を用いる電気溶接手段となっている第1及び第2溶接手段86,87は、例えば、ロボットにより第1~第3保持手段31~33に対して進退移動及び左右移動するものとなっている。なお、供給手段85は、後述するように、棒状部材7の全周に渡って第1及び第2中子部材11,12がこの棒状部材7に溶接された中子構造体20を第3保持手段33から取り出すために用いてもよく、また、第1及び第2溶接手段86,87を共通化された1個の溶接手段としてもよい。
【0050】
次に、図9図36により、図4及び図5で示した製造装置30によって図2で示した中子構造体20を製造するための作業の手順について説明する。以下に説明するこの作業は、コンピュータのプログラムによるシーケンス手段により、製造装置30の台座30Aに配置されている図4の電動モータ38,42と、図5で示されている第1保持手段31の電動モータ54と、第2保持手段32の電動モータ64と、第3保持手段33の電動モータ74,79と、ロボットを含む供給手段85と、ロボットを含む第1及び第2溶接手段86,87とを制御することによる自動作業として行われる。
【0051】
図9に示されているように、最初に、第2保持手段32に図5の供給手段85により棒状部材7が供給され、この棒状部材7は、第2保持手段32の内径方向に移動した爪部材61により保持され、次いで、図10に示されているように、第1保持手段31に供給手段85により第1中子部材11が供給され、この第1中子部材11は、第1保持手段31の内径方向に移動した爪部材51により保持される。この保持は、図6で示したそれぞれの爪部材51の窪み部57において、これらの窪み部57の外径側の壁部57Aで第1中子部材11の外周部を挟着することで行われる。この後に、図11に示されているように、第2保持手段32は第1保持手段31に向かって前進し、この前進により、棒状部材7の図2でも示されている先端面7Cが第1中子部材11に近づくと、図12に示されているように、第1保持手段31のそれぞれの爪部材51は外径方向に少し移動する。これにより、第1中子部材11は、第1保持手段31における保持が緩和されることになる。このときに第1中子部材11は自重で少し下側に移動するが、爪部材51の外径方向への移動量は、窪み部57についての内外径方向の長さ寸法よりも充分に小さいため、第1中子部材11がそれぞれの爪部材51から脱落することはなく、このため、第1保持手段31での第1中子部材11の保持は維持されながら、この保持は緩和されることになる。
【0052】
図13には、このときにおける図12の一部拡大図が、第1中子部材11が断面として示されている。棒状部材7の先端面7Cには、図2で説明したように、この先端面7Cの外周面を切削加工することで形成された面取り部7Aが設けられている。このため、棒状部材7の中心軸N1と、第1中子部材11の中心部に設けられている前述の中心孔11Aの中心軸N2とに、たとえ上下方向や、前後方向(図13では紙面の表裏方向)の芯ずれが生じていても、図14に示されているように、第2保持手段32が第1保持手段31側へ前進すると、面取り部7Aにより、第1保持手段31での保持が緩和されている第1中子部材11が上下方向や前後方向の内外径方向に移動することによって芯ずれが解消されることになり、これにより、棒状部材7は、先端面7Cから第1中子部材11の中心孔11Aに挿入される。
【0053】
このため、本実施形態によると、製造装置30での第1保持手段31や第2保持手段32についての設置精度に、たとえ上下方向や前後方向の誤差があり、この誤差により、棒状部材7の中心軸N1と、第1中子部材11の中心孔11Aの中心軸N2とに、上下方向や前後方向の芯ずれが生じていても、このような誤差及び芯ずれを面取り部7Aにより解消して、棒状部材7を、先端面7Cから第1中子部材11の中心孔11Aに挿入することができて、この第1中子部材11を棒状部材7に配置することができる。
【0054】
図15及び図16には、図14の後作業が示され、図15に示されているように、第1保持手段31のそれぞれの爪部材51が外径方向に移動した後に、図16に示されているように、棒状部材7を保持している第2保持手段32は第1保持手段31から後退する。次いで、図17に示されているように、第1保持手段31に供給手段85により第2中子部材12が供給されて、この第2中子部材12は、第1保持手段31の内径方向に移動した爪部材51により保持され、この保持は、図10のときと同様に、図6で示されているそれぞれの爪部材51の窪み部57において、これらの窪み部57の外径側の壁部57Aで第2中子部材12の外周部を挟着することにより行われる。
【0055】
次いで、図18に示されているように、第2保持手段32は第1保持手段31に向かって前進し、この前進により、棒状部材7の先端面7Cが第1中子部材11に近づいたときに、第1保持手段31のそれぞれの爪部材51は外径方向に少し移動し、これにより、第1保持手段31での第2中子部材12の保持は緩和される。この緩和は、図12のときと同様に、爪部材51の外径方向への移動量が窪み部57についての内外径方向の長さ寸法よりも充分に小さくなって行われるため、第2中子部材12がそれぞれの爪部材51から脱落することはなく、このため、第1保持手段31での第2中子部材12の保持は維持されながら、この保持は緩和される。
【0056】
この後に、図19に示されているように、棒状部材7を保持している第2保持手段32は第1保持手段31側へ前進し、このときも、製造装置30での第1保持手段31や第2保持手段32についての設置精度に上下方向や前後方向の誤差があるために、棒状部材7の中心軸と、第2中子部材12の中心孔12Aの中心軸とに、上下方向や前後方向の芯ずれがあっても、面取り部7Aにより、第1保持手段31での保持が緩和されている第2中子部材12が上下方向や前後方向の内外径方向に移動することによって芯ずれが解消されることになり、これにより、棒状部材7を、先端面7Cから第2中子部材12の中心孔12Aに挿入することができる。
【0057】
次いで、図20に示されているように、第1保持手段31の爪部材51は内径方向に移動して第2中子部材12を強固に保持し、この強固の保持により、中心孔12Aの内径が、この中心孔12Aに棒状部材7を挿入できるように、棒状部材7の外径よりも少し大きな寸法となっていても、第2中子部材12は棒状部材7に直立状態となって配置されることになる。この後に、図21に示されているように、第2中子部材12は棒状部材7に、図5で示した第1溶接手段86によりスポット溶接され、スポット溶接部90により、第2中子部材12は棒状部材7に位置決めされて仮結合される。
【0058】
この後に、図22に示されているように、第1保持手段31の爪部材51は外径方向に移動して第2中子部材12の保持を解除し、さらに、図23に示されているように、棒状部材7を保持している第2保持手段32は第1保持手段31側へ前進する。これにより、棒状部材7に配置されている第2中子部材12は、第1保持手段31の図6(A)で示されている本体50の円形の開口孔50Aを通過するとともに、第1中子部材11が、第1保持手段31の爪部材51が配置されている位置と一致又は略一致する位置まで移動する。次いで、図24に示されているように、第3保持手段33が第1保持手段31側へ前進し、この後に、図25に示されているように、この第3保持手段33のそれぞれの爪部材71が内径方向に移動することにより、棒状部材7は第3保持手段33により保持される。次いで、図26に示されているように、第1保持手段31のそれぞれの爪部材51は内径方向に移動し、このときの移動量は、爪部材51の窪み部57の前述した壁部57Aが第1中子部材11の外周部を挟着するための移動量よりも小さくて、図12のときと同様に、爪部材51が第1中子部材11を緩和して保持する移動量と同程度の移動量である。
【0059】
この後に、図27に示されているように、第2保持手段32の爪部材61は外径方向に移動し、次いで、図28に示されているように、第2保持手段32は、第1保持手段31側へ少し前進する。これによると、第2保持手段32のそれぞれの爪部材61には、図7で示した弾性部材となっているコイルばね68が取り付けられ、これらのコイルばね68の先端部68Aは、爪部材61における第1保持手段31側の側面61Aから突出していて、第1保持手段31の爪部材51による第1中子部材11の保持が緩和されているため、これらのコイルばね68により、第1中子部材11は爪部材51の窪み部57に大きな荷重で弾性的に押圧されることになる。このため、第1中子部材11の中心孔11Aの内径が、この中心孔11Aに棒状部材7を挿入できるように、棒状部材7の外径よりも少し大きな寸法となっていても、この第1中子部材11は棒状部材7に直立して配置された状態になる。
【0060】
このように第1中子部材11が棒状部材7に直立して配置された状態になった後に、図29に示されているように、棒状部材7を保持している第3保持手段33は第1保持手段31から後退する。これにより、棒状部材7における第1中子部材11の配置位置は、この第1中子部材11がコイルばね68による押圧力を受けて棒状部材7に対する直立状態を維持しながら、棒状部材7の前述した先端面7Cから遠い位置に変更されることになり、第1中子部材11が、この先端面7Cとは棒状部材7における長さ方向の反対側の後端面7Dに近い位置に配置されることにより、この第1中子部材11は、図2で示されている棒状部材7の長さ方向における第1中子部材11の配置位置と同じ位置に配置される。
【0061】
次いで、図30に示されているように、第1保持手段31のそれぞれの爪部材51が内径方向に移動して第1中子部材11を強固に保持し、これにより、第1中子部材11は棒状部材7に直立して配置されている状態を継続する。この後に、図31に示されているように、第2保持手段32は第1保持手段31から後退する。次いで、図32に示されているように、棒状部材7に直立して配置されている第1中子部材11は、図5で示した第1溶接手段86により棒状部材7にスポット溶接され、スポット溶接部91により、第1中子部材11は棒状部材7に位置決めされて仮結合され、これにより、図33に示されているように、第1保持手段31の爪部材51が外径方向に移動して第1中子部材11の保持を解除しても、第1中子部材11は棒状部材7に直立した状態を維持する。
【0062】
なお、第1中子部材11を第1溶接手段86によるスポット溶接部91により棒状部材7に位置決めして仮結合する以前において、図31及び図32で示されているように、第2保持手段32を第1保持手段31から後退させる理由は、前述したように、棒状部材7における第1中子部材11の配置位置を、図2で示されている棒状部材7の長さ方向における第1中子部材11の配置位置と同じになるように、棒状部材7の先端面7Cとは棒状部材7の長さ方向の反対側の後端面7Dに近い位置に変更したときに、第1保持手段31と第2保持手段32との間に第1溶接手段86を挿入することができる充分に大きなスペースを確保するためである。これにより、図14図15において、棒状部材7を長い寸法に渡って第2保持手段32の爪部材61で保持しているために、図14図15の間で、第1保持手段31の爪部材51で第1中子部材11を強固に保持する作業を実施することで第1中子部材11を棒状部材7に第1溶接手段86によるスポット溶接により仮結合する作業を行うことができなくても、図32において、この仮結合作業を行うことができることになり、この仮結合により、第1中子部材11を棒状部材7に、この第1中子部材11からの棒状部材7の後端面7Dの突出量を小さくして配置することができる。
【0063】
この後に、図34に示されているように、第1及び第2中子部材11,12が配置されている棒状部材7を爪部材71により保持した第3保持手段33を第1保持手段31から後退させ、次いで、図35に示されているように、第3保持手段33のそれぞれの爪部材71が水平軸を中心に回転することにより、棒状部材7と第1及び第2中子部材11,12も水平軸を中心に回転する。この回転時において、図5で示した第2溶接手段87により、第2中子部材12における厚さ方向の一方の片側が棒状部材7の全周に渡って溶接され、これにより、第2中子部材12は、図2でも示されている全周溶接部17により棒状部材7に結合される。この後に、爪部材71によって棒状部材7と第1及び第2中子部材11,12が水平軸を中心に回転することにより、図36に示されているように、第2溶接手段87により、第2中子部材12における厚さ方向の他方の片側が棒状部材7の全周に渡って溶接されるとともに、第1中子部材11における厚さ方向の両側が棒状部材7の全周に渡って溶接され、これにより、第2中子部材12は、図2でも示されている全周溶接部16により、また、第1中子部材11は、図2でも示されている全周溶接部14,15により、それぞれ棒状部材7に結合される。
【0064】
以上により、棒状部材7と第1及び第2中子部材11,12とからなる図2で示した中子構造体20が製造されたことになる。
【0065】
次いで、図面には示されていないが、棒状部材7と第1及び第2中子部材11,12の水平軸を中心する回転が停止した後に、第3保持手段33の爪部材71が外径方向に移動して棒状部材7の保持を解除し、この後に、中子構造体20は、図示しない取り出し手段により第3保持手段33から取り出される。なお、この取り出し作業を、図5で示した供給手段85により実施してもよい。
【0066】
図37には、別実施形態に係る第1及び第2中子部材11’,12’が示されている。これらの第1及び第2中子部材11’,12’の中心部に丸孔として設けられている中心孔11A’,12A’には、これらの中心孔11A’,12A’における棒状部材7の先端面7Cが挿入する側の端部の内周部において、面取り部92が形成されている。これによると、前述したように、製造装置30での第1保持手段31や第2保持手段32についての設置精度に、たとえ上下方向や前後方向の誤差があり、この誤差により、棒状部材7の中心軸N1と、第1及び第2中子部材11’,12’の中心孔11A’12A’の中心軸N2とに、上下方向や前後方向の大きな芯ずれが生じていても、面取り部92と、棒状部材7の先端面7Cの外周部に形成された面取り部7Aとの両方により、このような誤差及び芯ずれを解消して、棒状部材7を、先端面7Cから第1及び第2中子部材11’,12’の中心孔11A’,12A’に挿入することができる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、出入口等の開口部を開閉するシャッターカーテンや、全閉となることで防火区画を形成するシャッターカーテン等のための巻取軸を構成する中子構造体を製造するために利用することができる。
【符号の説明】
【0068】
1 シャッターカーテン
3 巻取軸
3A 軸首部
3B 本体
7 棒状部材
7A 面取り部
7C 先端面
8 丸筒状部材
11,11’ 第1中子部材
11A,11A’ 中心孔
12,12’ 第2中子部材
12A,12A’ 中心孔
20 中子構造体
30 製造装置
31 第1保持手段
32 第2保持手段
33 第3保持手段
51,61,71 爪部材
57 窪み部
68 弾性部材であるコイルばね
85 棒状部材や第1及び第2中子部材を供給するための供給手段
86 棒状部材に第1及び第2中子部材をスポット溶接するための第1溶接手段
87 棒状部材に第1及び第2中子部材を全周溶接するための第2溶接手段
92 面取り部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37