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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-28
(45)【発行日】2023-04-05
(54)【発明の名称】羽根駆動装置および撮像装置
(51)【国際特許分類】
   G03B 9/04 20210101AFI20230329BHJP
   G02B 5/22 20060101ALI20230329BHJP
   G02B 5/26 20060101ALI20230329BHJP
   G03B 9/22 20210101ALI20230329BHJP
   G03B 11/00 20210101ALI20230329BHJP
   H04N 23/50 20230101ALI20230329BHJP
   H04N 23/55 20230101ALI20230329BHJP
【FI】
G03B9/04
G02B5/22
G02B5/26
G03B9/22
G03B11/00
H04N23/50
H04N23/55
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019052819
(22)【出願日】2019-03-20
(65)【公開番号】P2020154150
(43)【公開日】2020-09-24
【審査請求日】2022-03-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000001225
【氏名又は名称】日本電産コパル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109896
【弁理士】
【氏名又は名称】森 友宏
(72)【発明者】
【氏名】澤登 孝司
【審査官】登丸 久寿
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-258167(JP,A)
【文献】特開2010-266718(JP,A)
【文献】特開2009-162824(JP,A)
【文献】特開2007-295771(JP,A)
【文献】特開2016-102992(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 9/04
G02B 5/22
G02B 5/26
G03B 9/22
G03B 11/00
H04N 23/50
H04N 23/55
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有するベースと、
前記ベースの前記開口部に対する位置が変化するよう駆動される羽根部材と、
前記ベース上において前記羽根部材を駆動させるための操作駆動部と、を備え、
前記操作駆動部は、所定の軸を中心として回動可能に構成されたアーム部と、前記アーム部の先端部に設けられた駆動ピンとを含み、
前記羽根部材は、前記操作駆動部の前記駆動ピンを挿通させるためのカム孔と、前記カム孔の内側から突出するよう形成された係合突部とを含み、
前記羽根部材の前記係合突部は、前記操作駆動部の前記駆動ピンが前記羽根部材の前記カム孔の端面を押し、前記羽根部材を駆動させる際には、前記操作駆動部の前記駆動ピンと接触せず、さらに、前記羽根部材の前記カム孔の前記端面が前記操作駆動部の前記駆動ピンを押した際には、前記操作駆動部の前記駆動ピンと係合し、前記羽根部材の駆動を規制するよう構成されている羽根駆動装置。
【請求項2】
前記羽根部材の前記係合突部は、前記操作駆動部の駆動により前記操作駆動部の前記アーム部が回動を開始する際には、前記操作駆動部の前記駆動ピンの回動軌跡内に位置せず、さらに、前記羽根部材の前記カム孔の前記端面が前記操作駆動部の前記駆動ピンを押した際には、前記操作駆動部の前記駆動ピンの前記回動軌跡内に位置するよう構成されている請求項1に記載の羽根駆動装置。
【請求項3】
前記操作駆動部は、前記アーム部の基端部と一体的に設けられ、前記所定の軸を中心として回転可能に設けられた円筒状の磁石と、一対の延伸部、前記一対の延伸部のそれぞれに形成された円弧部、および前記一対の延伸部同士を接続する接続部を有し、前記一対の延伸部の前記円弧部のそれぞれが前記円筒状の磁石の周面と対向するよう配置されたヨークと、前記ヨークの前記一対の延伸部の一方を囲むように設けられたコイルと、をさらに含み、
前記操作駆動部は、前記コイルに電流が供給されていない無通電状態において、前記円筒状の磁石と前記ヨークの前記円弧部との間の磁力によって、前記円筒状の磁石が自由回転しない定常状態を実現可能に構成されている請求項1または2に記載の羽根駆動装置。
【請求項4】
前記羽根部材の前記カム孔の前記端面が前記操作駆動部の前記駆動ピンを押した際には、前記操作駆動部の状態は、前記定常状態から変化し、
前記操作駆動部は、前記羽根部材の前記係合突部が前記操作駆動部の前記駆動ピンと係合し、前記羽根部材の前記駆動を規制した後、前記円筒状の磁石と前記ヨークの前記円弧部との間の前記磁力によって、前記定常状態に戻るよう構成されている請求項3に記載の羽根駆動装置。
【請求項5】
前記羽根部材は、前記ベースの前記開口部を覆うためのフィルタを含み、
前記操作駆動部は、前記羽根部材の前記フィルタが前記ベースの前記開口部上に位置しない第1の状態と、前記羽根部材の前記フィルタが前記ベースの前記開口部上に位置する第2の状態とを切り替えるために、前記ベース上において前記羽根部材を駆動させるよう構成されている請求項1ないし4のいずれかに記載の羽根駆動装置。
【請求項6】
前記羽根部材の前記係合突部は、前記第1の状態において、前記羽根部材の前記カム孔の前記端面が前記操作駆動部の前記駆動ピンを押した際に、前記操作駆動部の前記駆動ピンと係合する第1の係合突と、前記第2の状態において、前記羽根部材の前記カム孔の前記端面が前記操作駆動部の前記駆動ピンを押した際に、前記操作駆動部の前記駆動ピンと係合する第2の係合突と、を含む請求項5に記載の羽根駆動装置。
【請求項7】
前記羽根部材は、前記フィルタと一軸方向に並んで配置された透明ガラス板をさらに含み、
前記操作駆動部は、前記フィルタが前記ベースの前記開口部上に位置せず、さらに、前記透明ガラス板が前記ベースの前記開口部上に位置する前記第1の状態と、前記フィルタが前記ベースの前記開口部上に位置する前記第2の状態とを切り替えるために、前記ベース上において前記羽根部材をスライドさせるよう構成されている請求項5または6に記載の羽根駆動装置。
【請求項8】
前記操作駆動部は、前記第1の状態と、前記第2の状態とを切り替えるために、前記ベース上において前記羽根部材を回動させるよう構成されている請求項5または6に記載の羽根駆動装置。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれかに記載の羽根駆動装置を備える撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラやビデオカメラ等の撮像装置においてシャッター機能やフィルタ切り替え機能を提供するために利用される羽根駆動装置および該羽根駆動装置を備える撮像装置に係り、特に、羽根駆動装置の落下や振動等に起因する外力によって、羽根駆動装置の状態が切り替わることを防止することができる羽根駆動装置および該羽根駆動装置を備える撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、カメラやビデオカメラ等の撮像装置において、シャッター機能やフィルタ切り替え機能を提供するために、撮像装置内部に設けられた撮像素子を露光させるための開口に対する羽根部材の位置を変化させるための羽根駆動装置が用いられている。羽根部材は、光を遮断するためのシャッター部材または赤外線フィルタやNDフィルタ等のフィルタを含んでいる。羽根駆動装置は、羽根部材を少なくとも2つの方向に駆動可能に構成されており、撮像装置の撮像素子を露光させるための開口上にシャッター部材またはフィルタが位置する状態と、該開口上にシャッター部材またはフィルタが位置しない状態とを切り替えることができる。このような羽根駆動装置により、シャッター機能またはフィルタ切り替え機能が提供される。
【0003】
このような羽根駆動装置として、特許文献1は、円筒状の磁石と、円筒状の磁石の周面に対向するよう設けられたヨークとの間の磁力を利用した羽根駆動装置を開示している。特許文献1が開示する羽根駆動装置では、円筒状の磁石と、ヨークとの間の磁力によって、円筒状の磁石の回転および保持が制御されており、磁石の回転を利用することにより、開口に対する羽根部材の位置を変化させることができる。
【0004】
このような構成を有する羽根駆動装置では、落下や振動等の要因によって羽根駆動装置に外力が加わり、円筒状の磁石が意図せず回転し、羽根駆動装置の状態が切り替わってしまうという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2003-348398号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、落下や振動等に起因する外力が加わった際の状態の切り替わりを防止することが可能な羽根駆動装置および該羽根駆動装置を備える撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、落下や振動等に起因する外力が加わった際の状態の切り替わりを防止することが可能な羽根駆動装置が提供される。この羽根駆動装置は、開口部を有するベースと、上記ベースの上記開口部に対する位置が変化するよう駆動される羽根部材と、上記ベース上において上記羽根部材を駆動させるための操作駆動部とを備える。上記操作駆動部は、所定の軸を中心として回動可能に構成されたアーム部と、上記アーム部の先端部に設けられた駆動ピンとを含む。上記羽根部材は、上記操作駆動部の上記駆動ピンを挿通させるためのカム孔と、上記カム孔の内側から突出するよう形成された係合突部とを含む。上記羽根部材の上記係合突部は、上記操作駆動部の上記駆動ピンが上記羽根部材の上記カム孔の端面を押し、上記羽根部材を駆動させる際には、上記操作駆動部の上記駆動ピンと接触せず、さらに、上記羽根部材の上記カム孔の上記端面が上記操作駆動部の上記駆動ピンを押した際には、上記操作駆動部の上記駆動ピンと係合し、上記羽根部材の駆動を規制するよう構成されている。
【0008】
これにより、操作駆動部の駆動ピンが羽根部材のカム孔の端面を押し、羽根部材を駆動させる際には、羽根部材の係合突部は、操作駆動部の駆動ピンと接触せず、羽根部材の駆動を規制しない。一方、羽根駆動装置の落下や振動等の操作駆動部の駆動以外の要因で羽根部材が動き、羽根部材のカム孔の端面が操作駆動部の駆動ピンを押した際には、羽根部材の係合突部は、操作駆動部の駆動ピンと係合し、羽根部材の駆動を規制する。そのため、操作駆動部による羽根部材の駆動を規制することなく、羽根駆動装置の落下や振動等に起因する外力が羽根部材に加わった際の羽根部材の駆動を規制することができる。
【0009】
また、上記羽根部材の上記係合突部は、上記操作駆動部の駆動により上記操作駆動部の上記アーム部が回動を開始する際には、上記操作駆動部の上記駆動ピンの回動軌跡内に位置せず、さらに、上記羽根部材の上記カム孔の上記端面が上記操作駆動部の上記駆動ピンを押した際には、上記操作駆動部の上記駆動ピンの上記回動軌跡内に位置するよう構成されていることが好ましい。
【0010】
これにより、羽根駆動装置の落下や振動等の操作駆動部の駆動以外の要因で羽根部材が動いた際にのみ、羽根部材の係合突部が操作駆動部の駆動ピンと係合し、駆動ピンが意図せず回動し、羽根部材が駆動してしまうことを防止することができる。
【0011】
また、上記操作駆動部は、上記アーム部の基端部と一体的に設けられ、上記所定の軸を中心として回転可能に設けられた円筒状の磁石と、一対の延伸部、上記一対の延伸部のそれぞれに形成された円弧部、および上記一対の延伸部同士を接続する接続部を有していてもよい。また、上記操作駆動部は、上記一対の延伸部の上記円弧部のそれぞれが上記円筒状の磁石の周面と対向するよう配置されたヨークと、上記ヨークの上記一対の延伸部の一方を囲むように設けられたコイルとをさらに含んでいてもよい。上記操作駆動部は、上記コイルに電流が供給されていない無通電状態において、上記円筒状の磁石と上記ヨークの上記円弧部との間の磁力によって、上記円筒状の磁石が自由回転しない定常状態を実現可能に構成されていることが好ましい。
【0012】
これにより、操作駆動部は、コイルに電流が供給されていない無通電状態において、円筒状の磁石が自由回転しない定常状態を実現することができる。羽根駆動装置は、このような定常状態を利用して、コイルに電流が供給されていない無通電状態において、羽根部材を保持することができる。
【0013】
また、上記羽根部材の上記カム孔の上記端面が上記操作駆動部の上記駆動ピンを押した際には、上記操作駆動部の状態は、上記定常状態から変化してもよい。上記操作駆動部は、上記羽根部材の上記係合突部が上記操作駆動部の上記駆動ピンと係合し、上記羽根部材の上記駆動を規制した後、上記円筒状の磁石と上記ヨークの上記円弧部との間の上記磁力によって、上記定常状態に戻るよう構成されていることが好ましい。
【0014】
これにより、羽根駆動装置の落下や振動等に起因する外力が羽根部材に印加された際の羽根部材の意図せぬ駆動を防止することができるとともに、羽根部材に対する該外力の印加が解除された後に、操作駆動部は定常状態に戻ることができる。そのため、羽根部材の係合突部と操作駆動部の駆動ピンとの間の係合を解除するための特別な機構が不要となる。
【0015】
また、上記羽根部材は、上記ベースの上記開口部を覆うためのフィルタを含んでいてもよい。上記操作駆動部は、上記羽根部材の上記フィルタが上記ベースの上記開口部上に位置しない第1の状態と、上記羽根部材の上記フィルタが上記ベースの上記開口部上に位置する第2の状態とを切り替えるために、上記ベース上において上記羽根部材を駆動させるよう構成されていることが好ましい。
【0016】
これにより、ベース上において羽根部材を駆動させることにより、ベースの開口部上にフィルタが位置しない第1の状態と、ベースの開口部上にフィルタが位置する第2の状態とを任意に切り替えることが可能となる。
【0017】
また、上記羽根部材の上記係合突部は、上記第1の状態において、上記羽根部材の上記カム孔の上記端面が上記操作駆動部の上記駆動ピンを押した際に、上記操作駆動部の上記駆動ピンと係合する第1の係合突と、上記第2の状態において、上記羽根部材の上記カム孔の上記端面が上記操作駆動部の上記駆動ピンを押した際に、上記操作駆動部の上記駆動ピンと係合する第2の係合突とを含むことが好ましい。
【0018】
これにより、羽根駆動装置が、第1の状態および第2の状態のいずれの状態にあるときであっても、羽根駆動装置の落下や振動等の操作駆動部の駆動以外の要因で羽根部材が意図せず駆動してしまうことを防止することができる。
【0019】
また、上記羽根部材は、上記フィルタと一軸方向に並んで配置された透明ガラス板をさらに含んでいてもよい。上記操作駆動部は、上記フィルタが上記ベースの上記開口部上に位置せず、さらに、上記透明ガラス板が前記ベースの前記開口部上に位置する上記第1の状態と、上記フィルタが上記ベースの上記開口部上に位置する上記第2の状態とを切り替えるために、上記ベース上において上記羽根部材をスライドさせるよう構成されていることが好ましい。
【0020】
これにより、羽根駆動装置を用いて羽根部材をスライドさせることにより、透明ガラス板がベースの開口部上に位置する第1の状態と、フィルタがベースの開口部上に位置する第2の状態とを切り替えることができる。
【0021】
また、上記操作駆動部は、上記第1の状態と、上記第2の状態とを切り替えるために、上記ベース上において上記羽根部材を回動させるよう構成されていることが好ましい。
【0022】
これにより、羽根駆動装置を用いて羽根部材を回動させることにより、第1の状態と、第2の状態とを切り替えることができる。
【0023】
本発明の第2の態様によれば、上述した羽根駆動装置を備える撮像装置が提供される。
【0024】
これにより、撮像装置の落下や振動等に起因する外力が羽根駆動装置の羽根部材に加わった際に、羽根部材の駆動が駆動し、羽根駆動装置の状態が意図せず切り替わってしまいことを防止することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、羽根駆動装置の落下や振動等に起因する外力が羽根部材に加わっても、羽根駆動装置の状態の意図せぬ切り替わりを防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、本発明の第1実施形態における羽根駆動装置の斜視図である。
図2図2は、図1に示す羽根駆動装置の分解斜視図である。
図3図3は、図1に示す羽根駆動装置の羽根部材の平面図である。
図4図4は、図1に示す羽根駆動装置の操作駆動部の構成および動作を説明するための図である。
図5図5は、図1に示す羽根駆動装置の第1の状態を説明するための概略図である。
図6図6は、図5の一部拡大図である。
図7図7は、羽根駆動装置が、図5に示す第1の状態から、第2の状態に切り替わるまでの、羽根駆動装置の動作を説明するための概略図である。
図8図8は、羽根駆動装置が図5に示す第1の状態にあるときに、操作駆動部の駆動以外の要因によって羽根部材が駆動し、羽根部材のカム孔の端面が操作駆動部の駆動ピンを押したときの羽根駆動装置の状態を説明するための概略図である。
図9図9は、図8の一部拡大図である。
図10図10は、図1に示す羽根駆動装置の第2の状態を説明するための概略図である。
図11図11は、図10の一部拡大図である。
図12図12は、羽根駆動装置が、図10に示す第2の状態から、図5に示す第1の状態に切り替わるまでの、羽根駆動装置の動作を説明するための概略図である。
図13図13は、羽根駆動装置が図10に示す第2の状態にあるときに、操作駆動部の駆動以外の要因によって羽根部材が駆動し、羽根部材のカム孔の端面が操作駆動部の駆動ピンを押したときの羽根駆動装置の状態を説明するための概略図である。
図14図14は、図13の一部拡大図である。
図15図15は、図1に示す羽根駆動装置の羽根部材の変形例を示す図である。
図16図16は、図1に示す羽根駆動装置を備える撮像装置を示す概略図である。
図17図17は、本発明の第2実施形態における羽根駆動装置の斜視図である。
図18図18は、図17に示す羽根駆動装置の分解斜視図である。
図19図19は、図17に示す羽根駆動装置の羽根部材の平面図である。
図20図20は、図17示す羽根駆動装置の第1の状態を説明するための概略図である。
図21図21は、図20の一部拡大図である。
図22図22は、羽根駆動装置が、図20に示す第1の状態から、第2の状態に切り替わるまでの、羽根駆動装置の動作を説明するための概略図である。
図23図23は、羽根駆動装置が図20に示す第1の状態にあるときに、操作駆動部の駆動以外の要因によって羽根部材が駆動し、羽根部材のカム孔の端面が操作駆動部の駆動ピンを押したときの羽根駆動装置の状態を説明するための概略図である。
図24図24は、図23の一部拡大図である。
図25図25は、図17に示す羽根駆動装置の第2の状態を説明するための概略図である。
図26図26は、図25の一部拡大図である。
図27図27は、羽根駆動装置が、図25に示す第2の状態から、図20に示す第1の状態に切り替わるまでの、羽根駆動装置の動作を説明するための概略図である。
図28図28は、羽根駆動装置が図25に示す第2の状態にあるときに、操作駆動部の駆動以外の要因によって羽根部材が駆動し、羽根部材のカム孔の端面が操作駆動部の駆動ピンを押したときの羽根駆動装置の状態を説明するための概略図である。
図29図29は、図28の一部拡大図である。
図30図30は、図17に示す羽根駆動装置の羽根部材の変形例を示す図である。
図31図31は、図17に示す羽根駆動装置を備える撮像装置を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明に係る羽根駆動装置および撮像装置の実施形態について図1から図31を参照して詳細に説明する。なお、図1から図31において、同一又は相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。また、図1から図31においては、各構成要素の縮尺や寸法が誇張されて示されている場合や一部の構成要素が省略されている場合がある。また、各図において、同一または対応する構成要素には、同じ参照番号が付されている。
【0028】
<第1実施形態>
最初に、図1図15を参照して、本発明の第1実施形態に係る羽根駆動装置を詳述する。図1に示す本実施形態の羽根駆動装置1は、カメラやビデオカメラ等の撮像装置内部において、撮像素子(CCD画像センサーやCMOS画像センサー)とレンズ等の撮像光学系との間に設けられ、撮像素子に入射する所定の波長域の光をカットするためのフィルタのオンオフの切り替えを実行するために用いられる。また、羽根駆動装置1が撮像装置内部において用いられる際の羽根駆動装置1の向きは特に限定されないが、典型的には、羽根駆動装置1は、図1に示されているように、羽根部材15(図2参照)が重力方向に沿って駆動するような向きで用いられる。
【0029】
図1および図2に示されているように、羽根駆動装置1は、ベース11と、カバープレート12と、仕切り板13と、回路基板14と、羽根部材15と、操作駆動部16と、を含んでいる。また、羽根部材15は、透明ガラス板153aと、透明ガラス板153aと一軸方向(Z軸方向)に並んで配置された赤外線カットフィルタ153bと、を有している。
【0030】
羽根駆動装置1は、操作駆動部16の駆動によって、ベース11上において羽根部材15を一軸方向(図中のZ軸方向)に沿ってスライドさせることにより、ベース11の開口部114に対する羽根部材15の位置を変化させるよう構成されている。このようなベース11の開口部114に対する羽根部材15の位置の変化によって、羽根駆動装置1は、ベース11の開口部114上に、羽根部材15の赤外線カットフィルタ153bが位置せず、羽根部材15の透明ガラス板153aが位置する状態(以下、この状態を、羽根駆動装置1の「第1の状態」という)と、ベース11の開口部114上に羽根部材15の赤外線カットフィルタ153bが位置する状態(以下、この状態を、羽根駆動装置1の「第2の状態」という)と、を切り替えることができる。
【0031】
羽根駆動装置1は、典型的には、屋外や室内の任意の箇所に固定されて用いられる監視カメラにおいて用いられる。実施例の監視カメラは、赤外線照射機能を有しており、昼間や照明環境のような光量の多い環境下では、赤外線をカットした通常の撮像を実行し、夜間や照明が落とされた環境のような光量の少ない環境下では、赤外線撮像を実行する。羽根駆動装置1は、このような昼夜撮像の切り替えに用いられる。具体的には、光量の多い環境下で監視カメラが撮像を行う際には、羽根駆動装置1は、ベース11の開口部114上に羽根部材15の赤外線カットフィルタ153bが位置する第2の状態を取る。第2の状態において、羽根部材15の赤外線カットフィルタ153bによって赤外線をカットした撮影を実行することにより、監視カメラによって得られる画像の画質を向上させることができる。一方、光量の少ない環境下で監視カメラが撮像を行う際には、羽根駆動装置1は、ベース11の開口部114上に羽根部材15の赤外線カットフィルタ153bが位置せず、羽根部材15の透明ガラス板153aが位置する第1の状態を取る。第1の状態において、監視カメラは、赤外線撮像を実行することができ、光量の少ない環境下であっても鮮明な画像を取得することができる。以下、羽根駆動装置1の各構成要素について詳述する。
【0032】
(ベース11およびカバープレート12)
ベース11は、略長方形状の平面形状を有する部材であって、カバープレート12と係合することにより、羽根駆動装置1のハウジングを構成する。ベース11とカバープレート12との間に形成される空間内に、仕切り板13、羽根部材15、および操作駆動部16が収納される。ベース11は、本体部111と、壁部112と、収納部113と、開口部114と、ストッパー115a(図5参照)と、ストッパー115b(図5参照)と、一対のガイドピン116a、116b(図5参照)と、軸117(図5参照)と、壁部112上に形成され、雄ネジと螺合させるための2つのネジ孔(参照番号なし)と、を有している。ベース11は、セラミック材料、樹脂材料、カーボン材料等の非磁性材料や弱磁性材料によって構成することができ、ベース11の各構成要素は、別々の部品として成形されていてもよいし、一体成型されていてもよい。
【0033】
壁部112は、平面視におけるベース11の各縁から+Y方向に延伸するよう立接している。壁部112の+Y方向側の端面上には、+Y方向に延伸する2つの凸部1121が設けられている。カバープレート12は、ベース11の平面形状に対応する平面形状を有する平板上の部材であり、ベース11と同様の非磁性材料または弱磁性材料によって構成することができる。カバープレート12は、ベース11の開口部114へ入射する光を通過させるための開口121と、ベース11の壁部112の2つの凸部1121のそれぞれに対応する位置に形成された2つの切り欠き部122と、ベース11のガイドピン116a、116bのそれぞれを挿通させるためのガイドピン挿通孔123と、ベース11の2つのネジ孔のそれぞれに対応する位置に形成された2つのネジ挿通孔124と、を有している。ベース11上に羽根駆動装置1の各部品が載置された状態で、ベース11の壁部112の2つの凸部1121がそれぞれカバープレート12の2つの切り欠き部122と係合するように、カバープレート12をベース11の壁部112上に載置し、さらに、2つの雄ネジをカバープレート12の2つのネジ挿通孔124のそれぞれに挿通し、ベース11のネジ孔に螺合させることにより、羽根駆動装置1が組み立てられる。
【0034】
収納部113は、本体部111の平面視における+Z方向側の短辺に設けられた有底角筒状の部位であり、その内部において、操作駆動部16を収納する。収納部113には、操作駆動部16を固定するための複数の突部(図示せず)が形成されており、収納部113内に操作駆動部16が収納および固定される。収納部113の深さは、収納部113内に操作駆動部16を収納したときに、操作駆動部16の駆動ピン165のみが本体部111よりも+Y方向に突出するように設定されている。そのため、収納部113内に操作駆動部16を収納した状態で、本体部111上に仕切り板13を載置した場合、操作駆動部16の駆動ピン165のみが仕切り板13よりも+Y方向に突出する。
【0035】
また、収納部113の+Z方向の端部には、切り欠き部1131が形成されている。羽根駆動装置1が組み立てられた状態において、操作駆動部16のコイル1632の両端部が、切り欠き部1131を介して、羽根駆動装置1のハウジング外に延出する。切り欠き部1131を介して羽根駆動装置1のハウジング外に延出したコイル1632の両端部が、回路基板14上に形成された2つの配線141の2つの端子142にそれぞれ接続される。回路基板14を介して、カメラやビデオカメラ等の撮像装置の制御部から電流がコイル1632に供給され、操作駆動部16が駆動される。
【0036】
開口部114は、羽根駆動装置1を撮像装置内部に設けた際に、撮像装置の撮像素子に対応する位置に形成された円形開口である。開口部114の大きさや形状は特に限定されず、羽根駆動装置1が用いられる撮像装置の撮像素子の大きさや形状に応じて、適宜設定される。
【0037】
ストッパー115a、115bのそれぞれは、ベース11上に+Y方向に向かって延伸するよう設けられた直方体状の部材であり、ベース11の本体部111上での羽根部材15のスライドを規制する。ストッパー115a、115bのそれぞれは、弾性材料から構成されている。図5に示されているように、ストッパー115aは、平面視においてベース11の+X方向の長辺側に設けられており、羽根部材15の-Z軸方向へのスライドを規制する。ストッパー115bは、平面視においてベース11の+Z方向側の短辺側に設けられており、羽根部材15の+Z軸方向へのスライドを規制する。ベース11上において、羽根部材15は、操作駆動部16の駆動によって、ストッパー115a、115bの間でスライドする。
【0038】
ガイドピン116a、116bのそれぞれは、ベース11の本体部111上に+Y方向に向けて延伸するよう立設されており、ベース11の本体部111上での羽根部材15のスライドをガイドする。ガイドピン116a、116bのそれぞれは、円柱形状を有しており、硬質樹脂材料や金属材料等の硬質材料から構成されている。ガイドピン116a、116bの基端部は、ベース11の本体部111上に固定されている。一方、ガイドピン116a、116bの先端部は、カバープレート12のガイドピン挿通孔123にそれぞれ挿通され、ガイドピン116a、116bの先端部がカバープレート12のガイドピン挿通孔123によって支持されている。軸117は、収納部113内に+Y方向に延伸するよう設けられており、操作駆動部16の回動軸として機能する。図5に示されているように、羽根駆動装置1が組み立てられた状態において、操作駆動部16の円筒状の磁石161の中央開口部内に軸117が挿通される。
【0039】
(仕切り板13)
図2に戻り、仕切り板13は、ベース11の平面形状に対応する平面形状を有する平板上の部材であり、ベース11と同様の非磁性材料または弱磁性材料によって構成することができる。仕切り板13は、ベース11の収納部113内に操作駆動部16が収納された状態で、ベース11の本体部111上に載置され、操作駆動部16と羽根部材15との接触を防止するために用いられる。仕切り板13は、ベース11の開口部114に対応する位置に形成された開口部131と、ベース11のガイドピン116a、116bのそれぞれに対応する位置に形成された2つのガイドピン挿通孔132と、操作駆動部16の駆動ピン165を挿通させるための駆動ピン挿通孔133と、を有している。開口部131は、ベース11の開口部114の径よりも小さな径を有する円形開口である。羽根駆動装置1が組み立てられた状態において、2つのガイドピン挿通孔132には、ベース11のガイドピン116a、116bがそれぞれ挿通され、さらに、操作駆動部16の駆動ピン165が駆動ピン挿通孔133に挿通され、駆動ピン165が仕切り板13よりも+Y方向に延出する。
【0040】
(回路基板14)
回路基板14は、樹脂材料等の絶縁性材料によって構成された回路基板である。図1に示されているように、回路基板14は、ベース11の収納部113の-Y方向側の面上に接着剤等により固定されている。回路基板14の-Y方向側の面上には、2つの配線141と、配線141の端子142とが形成されている。2つの端子142には、操作駆動部16のコイル1632の両端部がそれぞれ接続される。回路基板14の配線141には、外部機器(例えば、羽根駆動装置1を備える撮像装置のプロセッサー、マイコン等)が接続され、回路基板14を介して、外部機器からコイル1632に電流が供給される。
【0041】
(羽根部材15)
図2に戻り、羽根部材15は、非磁性材料または弱磁性材料から構成されている平板状の部材であり、ベース11上において保持され、ベース11の開口部114に対する位置が変化するよう操作駆動部16によって駆動される。より具体的には、本実施形態では、羽根部材15は、ベース11上において、操作駆動部16によって一軸方向(Z軸方向)に沿ってスライドされ、ベース11の開口部114に対する羽根部材15の位置が変化する。図3に示されているように、羽根部材15は、本体部151と、第1の開口152aと、第2の開口152bと、透明ガラス板153aと、赤外線カットフィルタ153bと、一対の延伸部154a、154bと、ガイド孔155a、155bと、ストッパー係合部156と、カム孔157と、第1の係合突部158aと、第2の係合突部158bと、を有している。
【0042】
本体部151は、略長方形状の平面形状を有する平板状の部材である。図3に示されているように、平面視における本体部151の+X方向の長辺からは、延伸部154aが外側に向かって延伸しており、本体部151の-X方向の長辺からは、延伸部154bが外側に向かって延伸している。さらに、平面視における本体部151の+Z方向の短辺からはストッパー係合部156が上側に向かって延伸している。また、本体部151には、第1の開口152aおよび第2の開口152bが形成されている。透明ガラス板153aは、第1の開口152aを覆うよう設けられており、赤外線カットフィルタ153bは、第2の開口152bを覆うよう設けられている。透明ガラス板153aおよび赤外線カットフィルタ153bは、接着剤または任意の固定具によって、本体部151上において固定されている。
【0043】
透明ガラス板153aは、略正方形の平面形状を有し、透明ガラス材料から構成されている。赤外線カットフィルタ153bは、透明ガラス板153aと同じ形状を有する透明ガラス板上に誘電体多層膜を蒸着することに得ることができ、赤外線カットフィルタ153bに入射する赤外線を実質的にカットする一方、それ以外の波長帯の光、特に、可視光域の光を通過させる。透明ガラス板153aは、赤外線カットフィルタ153bと一軸方向(Z軸方向)に並んで配置されている。羽根駆動装置1は、ベース11上において羽根部材15をZ軸方向に沿ってスライドさせることにより、ベース11の開口部114上に、透明ガラス板153aおよび赤外線カットフィルタ153bのいずれか一方を位置させる。
【0044】
延伸部154a、154bには、羽根部材15のスライド方向(Z軸方向)に伸長なガイド孔155a、155bがそれぞれ形成されている。ガイド孔155aにはベース11のガイドピン116aが挿通され、ガイド孔155bにはベース11のガイドピン116bが挿通される。ガイド孔155a、155bのそれぞれの長軸方向(Z軸方向)の長さは、必要とされる羽根部材15のスライド量に応じて適宜設定され、ガイド孔155a、155bのそれぞれの短軸方向の幅(X軸方向の長さ)は、ガイドピン116a、116bの直径よりも大きい。ガイド孔155a、155bに対してベース11のガイドピン116a、116bをそれぞれ挿通させることにより、羽根部材15のスライド方向とは異なる方向への揺動が抑えられる。
【0045】
また、延伸部154aは、羽根部材15の-Z方向へのスライド時において、ベース11のストッパー115aと当接し、羽根部材15の-Z方向へのスライドを規制する。ストッパー係合部156は、本体部151の平面視における+Z方向の短辺から上側に向かって延伸しており、羽根部材15の+Z方向へのスライド時において、ベース11のストッパー115bと当接し、羽根部材15の+Z方向へのスライドを規制する。
【0046】
本体部151の+Z方向の短辺側には、カム孔157が形成されている。カム孔157には、操作駆動部16の駆動ピン165が挿通される。カム孔157に操作駆動部16の駆動ピン165が挿通された状態で、操作駆動部16の駆動によって駆動ピン165が回動し、駆動ピン165がカム孔157の端面を押すと、ベース11上において羽根部材15が一軸方向(Z軸方向)に沿ってスライドする。図3に示されているように、カム孔157は、本体部151の長辺方向(羽根部材15のスライド方向)に対して傾斜した略長溝状の形状を有している。カム孔157の内側、より具体的には、カム孔157の+Z方向の端面には、-Z方向に向かって突出する第1の係合突部158aが形成されている。さらに、カム孔157の内側、より具体的には、カム孔157の-Z方向の端面には、+Z方向に向かって突出する第2の係合突部158bが形成されている。
【0047】
第1の係合突部158aの形状およびカム孔157の端面からの突出量は、操作駆動部16の駆動によってアーム部164が回動を開始する際には、第1の係合突部158aが駆動ピン165の回動軌跡内に位置せず、さらに、落下や振動等に起因する外力によって、羽根部材15がベース11上において-Z方向にスライドし、カム孔157の端面が駆動ピン165を押した際には、駆動ピン165の回動軌跡内に位置するよう、設定される。そのため、落下や振動等に起因する外力によって、羽根部材15がベース11上において-Z方向にスライドし、カム孔157の端面が駆動ピン165を押した際には、第1の係合突部158aが操作駆動部16の駆動ピン165と係合し、羽根部材15の-Z方向へのさらなるスライド(駆動)を規制する。
【0048】
同様に、第2の係合突部158bの形状およびカム孔157の端面からの突出量は、操作駆動部16の駆動によってアーム部164が回動を開始する際には、第2の係合突部158bが駆動ピン165の回動軌跡内に位置せず、さらに、落下や振動等に起因する外力によって、羽根部材15がベース11上において+Z方向に移動し、カム孔157の端面が駆動ピン165を押した際には、駆動ピン165の回動軌跡内に位置するよう、設定される。そのため、落下や振動等に起因する外力によって、羽根部材15がベース11上において+Z方向に移動し、カム孔157の端面が駆動ピン165を押した際には、第2の係合突部158bが操作駆動部16の駆動ピン165と係合し、羽根部材15の+Z方向へのさらなるスライド(駆動)を規制する。本実施形態の羽根駆動装置1では、羽根部材15が上述のようなカム孔157、第1の係合突部158a、および第2の係合突部158bを有していることから、羽根駆動装置1に対する外力によって、羽根駆動装置1の状態が、第1の状態と第2の状態との間で、意図せず切り替わることを防止することができる。カム孔157、第1の係合突部158a、および第2の係合突部158bによる羽根駆動装置1の状態切り替わりの防止に関する羽根駆動装置1の動作および原理については、図5図14を参照して、後に詳述する。
【0049】
図2に戻り、操作駆動部16は、回路基板14の配線141に接続された外部機器から供給される電流によって駆動し、ベース11上において羽根部材15を駆動させる機能を有している。より具体的には、操作駆動部16は、外部機器からの制御に応じて、ベース11上において羽根部材15を一軸方向(Z軸方向)に沿ってスライドさせる機能を有している。図2に示されているように、操作駆動部16は、円筒状の磁石161と、ヨーク162と、コイル組み立て体163と、アーム部164と、駆動ピン165と、を含む。
【0050】
円筒状の磁石161は、中央開口部を有し、円筒形状の一方の側がN極に、他方の側がS極となるよう着磁された永久磁石である。円筒状の磁石161の中央開口内にはベース11の軸117が挿通される。そのため、円筒状の磁石161は、ベース11の軸117を中心として回転可能である。さらに、円筒状の磁石161には、アーム部164の基端部が一体的に取り付けられている。そのため、円筒状の磁石161がベース11の軸117を中心として回転すると、アーム部164もベース11の軸117を中心として回動する。したがって、ベース11の軸117は、円筒状の磁石161の回転軸およびアーム部164の回動軸として機能する。
【0051】
ヨーク162は、磁性材料から構成されたU字状の部材である。ヨーク162は、一対の対向する延伸部1621a、1621bと、一対の延伸部1621a、1621bの基端部を接続する接続部1622と、一対の延伸部1621a、1621bのそれぞれの対向面に形成された円弧部1623a、1623bと、を含む。一対の延伸部1621a、1621bの基端部は、接続部1622によって接続されており、一対の延伸部1621a、1621bの先端側は互いに離間している。また、一対の延伸部1621a、1621bの互いの対向面には、それぞれ、互いに対向するよう形成された円弧部1623a、1623bが形成されている。
【0052】
図4は、操作駆動部16の構成および動作を説明するための図である。図4中では、操作駆動部16は、円筒状の磁石161からヨーク162のU字形状の開放端側にアーム部164が延伸し、図示の量だけ回動するものとして図示されているが、本発明はこれに限られない。円筒状の磁石161からのアーム部164の延伸方向および長さ、並びに、アーム部164の回動量は、必要に応じて適宜設定される。図4は、操作駆動部16の構成および動作を説明するためだけに用いられ、本発明の各実施形態においては、円筒状の磁石161からのアーム部164の延伸方向および長さ、並びに、アーム部164の回動量は、必要に応じて適宜設定されている点に留意されたい。
【0053】
図4(a)および図4(b)に示されているように、円筒状の磁石161は、円筒状の磁石161の周面がヨーク162の円弧部1623a、1623bに対向するよう配置される。円筒状の磁石161のN極から発生する磁力線は、ヨーク162の延伸部1621a、1621bおよび接続部1622を通過し、その後、円筒状の磁石161のS極へ入る。そのため、円筒状の磁石161およびヨーク162によって、操作駆動部16の磁気回路が形成されている。
【0054】
コイル組み立て体163は、延伸部1621aの基端側の部分を囲むように設けられている。コイル組み立て体163は、円筒状のコイルボビン1631と、コイルボビン1631の外周上に巻き付けられたコイル1632と、コイルボビン1631の揺動を抑えるためにコイルボビン1631と一体的に設けられたフランジ部1633と、を含む。コイルボビン1631の中央開口部に、ヨーク162の延伸部1621aが挿通され、ヨーク162にコイル組み立て体163が取り付けられる。ヨーク162にコイル組み立て体163が取り付けられた状態において、コイル1632は、ヨーク162の延伸部1621aを囲む。また、図1に示すような羽根駆動装置1が組み立てられた状態において、コイル1632の両端部が、ベース11の切り欠き部1131から外部に延出し、回路基板14の2つの端子142にそれぞれ接続される。また、羽根駆動装置1が組み立てられた状態において、フランジ部1633がベース11の収納部113と係合し、コイル組み立て体163の揺動が防止される。
【0055】
回路基板14の配線141に接続された外部機器からコイル1632に電流を供給することにより、操作駆動部16が駆動する。回路基板14の配線141に接続された外部機器からコイル1632に電流が供給されると、コイル1632内を流れる電流の向きに応じて、コイル1632の中央開口部を貫く磁力線が発生し、ヨーク162の一対の延伸部1621a、1621bの磁極が変化する。そのため、コイル1632に供給される電力の向きや強さを制御することにより、ヨーク162の一対の延伸部1621a、1621bの磁極を制御することができる。コイル1632内を電流が流れると、コイル1632内を流れる電流の向きに応じて、円筒状の磁石161を時計回り方向および半時計回り方向のいずれか一方に回転させる磁力が発生する。そのため、外部機器からコイル1632への電流の供給を制御することにより、円筒状の磁石161を任意の方向へ回転させることができる。
【0056】
また、操作駆動部16は、回路基板14を介して外部機器からコイル1632へ電流を供給していない無通電状態において、円筒状の磁石161が自由回転しない2つの定常状態を実現するよう構成されている。図4(a)および図4(b)に示されているように、円弧部1623a、1623bのそれぞれは、円筒状の磁石161の周面に対応する形状を有しており、円弧部1623a、1623bのそれぞれと円筒状の磁石161の周面との間の離間距離は一定となっている。また、円弧部1623a、1623bのそれぞれは、円筒状の磁石161の周面と対向する2つのエッジ部1624を有している。ヨーク162内を流れる磁力線の密度は、エッジ部1624において最も高くなるので、ヨーク162の延伸部1621a、1621bにおいて磁力が最も強い箇所は、エッジ部1624となる。そのため、コイル1632に電流を供給していない無通電状態において、4つのエッジ部1624が円筒状の磁石161を磁力により保持し、これにより、円筒状の磁石161が自由回転しない定常状態が実現されている。この定常状態では、円筒状の磁石161に対し、円筒状の磁石161を回転させようとする所定のしきい値以上の外力が印加されない限り、円筒状の磁石161は、回転しない。操作駆動部16は、ヨーク162の延伸部1621a、1621bおよび円弧部1623a、1623bの形状によって、図4(a)に示す第1の定常状態と、図4(b)に示す第2の定常状態とを実現することができる。
【0057】
次に、図4(a)および図4(b)を参照して、操作駆動部16の第1の定常状態と第2の定常状態との間の切り替えについて詳述する。回路基板14の配線141に接続された外部機器からコイル1632に電流が供給されると、コイル1632内を流れる電流の向きに応じて、コイル1632の中央開口部を貫く磁場が発生し、ヨーク162の一対の延伸部1621a、1621bの磁極が変化する。図4(a)に示す第1の定常状態において、回路基板14の配線141に接続された外部機器からコイル1632に一方の向きの電流が供給されると、ヨーク162の円弧部1623a、1623bと円筒状の磁石161との間の磁力が、図4(a)の矢印で示されているように、円筒状の磁石161を時計回りに回すよう作用する。このような磁力によって円筒状の磁石161が時計回りに回転し、操作駆動部16の状態は、第1の定常状態から変化する。その後、外部機器からコイル1632への電流の供給が停止すると、円弧部1623a、1623bのエッジ部1624によって円筒状の磁石161が保持され、操作駆動部16の状態は、図4(b)に示す第2の定常状態となる。同様に、図4(b)に示す第2の定常状態において、回路基板14の配線141に接続された外部機器からコイル1632に他方の向きの電流が供給されると、ヨーク162の円弧部1623a、1623bと円筒状の磁石161との間の磁力が、図4(b)の矢印で示されているような、円筒状の磁石161を反時計回りに回すよう作用する。このような磁力によって円筒状の磁石161が反時計回りに回転し、操作駆動部16の状態は、第2の定常状態から変化する。その後、外部機器からコイル1632への電流の供給が停止すると、円弧部1623a、1623bのエッジ部1624によって円筒状の磁石161が保持され、操作駆動部16の状態は、図4(a)に示す第1の定常状態となる。このように、コイル1632内への電流の供給を制御することにより、操作駆動部16の状態を、第1の定常状態および第2の定常状態の一方から他方への切り替えることができる。
【0058】
アーム部164および駆動ピン165は、円筒状の磁石161の回転運動を羽根部材15のスライド運動に変換する機能を有している。アーム部164および駆動ピン165のそれぞれは、非磁性材料または弱磁性材料によって構成することができる。アーム部164は、基端側から先端側にかけて幅が漸減するテーパー形状を有している。図2に示されているように、アーム部164の基端部は、円筒状の磁石161と一体化されており、円筒状の磁石161がベース11の軸117を中心として回転すると、アーム部164がベース11の軸117を中心として回動する。駆動ピン165は、アーム部164の先端側において、+Y方向に延伸するよう設けられた円柱状の部材である。操作駆動部16の駆動によって、アーム部164がベース11の軸117を中心として回動すると、駆動ピン165が羽根部材15のカム孔157の端面を押し、ベース11上において羽根部材15をスライドさせる。
【0059】
アーム部164および駆動ピン165によって、筒状の磁石161の回転運動が羽根部材15のスライド運動に変換される。本実施形態の羽根駆動装置1は、操作駆動部16の第1の定常状態が、ベース11の開口部114上に羽根部材15の透明ガラス板153aが位置する第1の状態に対応し、操作駆動部16の第2の定常状態が、ベース11の開口部114上に羽根部材15の赤外線カットフィルタ153bが位置する第2の状態に対応するよう構成されている。そのため、操作駆動部16のコイル1632への電流の供給を制御することにより、ベース11上において羽根部材15を+Z方向または-Z方向の一方へスライドさせ、羽根駆動装置1の状態を、第1の状態と第2の状態との間で、任意に切り替えることができる。
【0060】
操作駆動部16では、コイル1632に電流を供給していない無通電状態における2つの定常状態は、円筒状の磁石161とヨーク162の円弧部1623a、1623bとの間の磁力、より具体的には、円筒状の磁石161とヨーク162の円弧部1623a、1623bのエッジ部1624との間の磁力によって、円筒状の磁石161を保持することにより実現されている。第1の定常状態または第2の定常状態での、円筒状の磁石161とヨーク162の円弧部1623a、1623bとの間の磁力による円筒状の磁石161を保持する保持力は、ギア等の機械的機構によって円筒状の磁石161を保持する場合の保持力と比較して弱い。そのため、羽根駆動装置1の落下や振動等によって、円筒状の磁石161を回転させようとする外力が働くと、容易に、円筒状の磁石161が回転し、羽根駆動装置1の状態が、第1の状態と第2の状態との間で意図せず変化してしまう。また、外力によって円筒状の磁石161が所定量以上回転すると、円筒状の磁石161を第1の定常状態または第2の定常状態で保持している磁力が、円筒状の磁石161の回転を促すよう作用してしまう。本実施形態の羽根駆動装置1では、上述した羽根部材15のカム孔157、第1の係合突部158a、および第2の係合突部158bによって、羽根駆動装置1の落下や振動等の操作駆動部16の駆動以外の要因による羽根駆動装置1の状態の変化が防止されている。以下、図5図14を参照して、羽根部材15のカム孔157、第1の係合突部158a、および第2の係合突部158bによって提供される羽根駆動装置1の状態切り替わりの防止について詳述する。
【0061】
図5図7図8図10図12、および図13は、羽根駆動装置1を+Y方向から見た羽根駆動装置1の平面図において、羽根駆動装置1の状態切り替わりの防止を説明するために必要な構成要素のみを図示し、それ以外の構成要素を省略したものである。また、図5図14には、操作駆動部16の駆動によって、操作駆動部16のアーム部164が回動した際の駆動ピン165の回動軌跡が、一点破線により示されている。また、図6図9図11図14のそれぞれは、図5図8図10図13のそれぞれに示された羽根部材15のカム孔157付近の領域の拡大図である。
【0062】
最初に、図5図13を参照して、羽根駆動装置1の第1の状態からの動作について詳述する。図5は、羽根駆動装置1の第1の状態を示している。すなわち、図5に示す状態では、操作駆動部16は、第1の定常状態を取っており、かつ、羽根駆動装置1の落下や振動等によって羽根部材15に外力が印加されていない。図5に示されているように、羽根駆動装置1の第1の状態において、羽根部材15の透明ガラス板153aが仕切り板13の開口部131上に位置する。仕切り板13の開口部131は、ベース11の開口部114に対応する位置に形成されているので、羽根駆動装置1の第1の状態において、羽根部材15の透明ガラス板153aは、ベース11の開口部114上に位置する。
【0063】
また、図6に示されているように、羽根駆動装置1の第1の状態において、羽根部材15のカム孔157の+Z方向の端面に形成された第1の係合突部158aは、一点破線により示されている操作駆動部16の駆動ピン165の回動軌跡内に位置していない。そのため、羽根駆動装置1の第1の状態において操作駆動部16が駆動し、アーム部164が時計回り方向に回動する際には、第1の係合突部158aは、操作駆動部16の駆動ピン165の回動軌跡内に位置していない。そのため、羽根駆動装置1の第1の状態からの駆動ピン165の時計回り方向への回動は、第1の係合突部158aによって規制されない。
【0064】
図5に示されている羽根駆動装置1の第1の状態において操作駆動部16が駆動すると、駆動ピン165がカム孔157内を時計回り方向に回動し、羽根駆動装置1は、図7(a)に示されている状態になる。図7(a)に示されている状態では、駆動ピン165が、カム孔157の-Z方向の端面に当接する。図7(a)に示されている状態から駆動ピン165がさらに時計回り方向に回動すると、駆動ピン165がカム孔157の-Z方向の端面を-Z方向に押し、図7(b)に示されているように、ベース11上において羽根部材15が-Z方向にスライドされる。羽根部材15は、羽根部材15の延伸部154aがベース11のストッパー115aと当接するまで、駆動ピン165によって-Z方向にスライドさせられる。羽根部材15の延伸部154aがベース11のストッパー115aと当接すると、羽根部材15の-Z方向へのスライドが終了し、羽根駆動装置1の状態は、図7(c)に示す第2の状態へと切り替わる。このように、羽根部材15の第1の係合突部158aは、羽根駆動装置1の第1の状態において、操作駆動部16の駆動によってアーム部164が時計回り方向に回動を開始する際に、操作駆動部16の駆動ピン165の回動軌道内に位置しないよう、構成されている。
【0065】
次に、図5に示す羽根駆動装置1の第1の状態において、羽根駆動装置1の落下や振動等によって羽根部材15に外力が印加された際の羽根駆動装置1の状態切り替わりの防止について詳述する。図5に示す羽根駆動装置1の第1の状態において、羽根駆動装置1の落下や振動等によって、羽根部材15に外力が印加されると、羽根部材15が-Z方向にスライドし、羽根部材15のカム孔157の端面が、操作駆動部16の駆動ピン165を-Z方向に押す。羽根部材15のカム孔157の端面によって操作駆動部16の駆動ピン165が押されると、操作駆動部16の駆動ピン165がわずかに回動し(例えば、約2°程度回動し)、羽根駆動装置1の状態が、第1の状態から、図8に示す状態に変化する。
【0066】
図9は、図8に示された羽根部材15のカム孔157付近の領域の拡大図である。図9に示されているように、羽根部材15のカム孔157の+Z方向の端面に形成された第1の係合突部158aは、操作駆動部16の駆動ピン165の回動軌跡内に位置する。このように、羽根部材15の第1の係合突部158aは、羽根駆動装置1の第1の状態において、羽根駆動装置1の落下や振動等によって羽根部材15に外力が印加され、羽根部材15のカム孔157の端面が、操作駆動部16の駆動ピン165を押した状態において、操作駆動部16の駆動ピン165の回動軌道内に位置するよう、構成されている。図9に示されているように、操作駆動部16の駆動ピン165は、羽根部材15の第1の係合突部158aと係合し、操作駆動部16の駆動ピン165のそれ以上の回動が規制される。そのため、羽根駆動装置1の落下や振動等によって羽根部材15に印加される外力が、操作駆動部16の第1の定常状態における円筒状の磁石161に対する保持力を上回っていても、該外力による操作駆動部16の円筒状の磁石161の回転量は、わずかな量に抑えられ、操作駆動部16が第1の定常状態から第2の定常状態に切り替わることはない。そのため、羽根駆動装置1の落下や振動等の操作駆動部16の駆動以外の要因によって、羽根駆動装置1の状態が、第1の状態から第2の状態に意図せず切り替わってしまうことを防止することができる。
【0067】
また、羽根駆動装置1の落下や振動等に起因する外力は一時的なものなので、操作駆動部16の駆動ピン165が羽根部材15の第1の係合突部158aと係合し、操作駆動部16の駆動ピン165のそれ以上の回動を規制した後、羽根部材15に印加された外力が解除される。羽根部材15に印加された外力が解除されると、操作駆動部16の円筒状の磁石161とヨーク162の円弧部1623a、1623bとの間の磁力が、円筒状の磁石161を第1の定常状態に戻すよう作用し、操作駆動部16は第1の定常状態に戻る。その結果、羽根駆動装置1の落下や振動等に起因する外力が加わった後であっても、羽根駆動装置1は、第1の状態に戻ることができる。そのため、操作駆動部16の駆動ピン165と、羽根部材15の第1の係合突部158aとの係合を解除するための特別な機構を用いなくとも、操作駆動部16は第1の定常状態に戻ることができる。
【0068】
次に、図10図14を参照して、羽根駆動装置1の第2の状態からの動作について詳述する。図10は、羽根駆動装置1の第2の状態を示している。すなわち、図10に示す状態では、操作駆動部16は、第2の定常状態を取っており、かつ、羽根駆動装置1の落下や振動等によって羽根部材15に外力が印加されていない。
【0069】
図10に示されているように、羽根駆動装置1の第2の状態において、羽根部材15の赤外線カットフィルタ153bが仕切り板13の開口部131上に位置する。仕切り板13の開口部131は、ベース11の開口部114に対応する位置に形成されているので、羽根駆動装置1の第2の状態において、羽根部材15の赤外線カットフィルタ153bは、ベース11の開口部114上に位置する。
【0070】
また、図11に示されているように、羽根駆動装置1の第2の状態において、羽根部材15のカム孔157の-Z方向の端面に形成された第2の係合突部158bは、一点破線により示されている操作駆動部16の駆動ピン165の回動軌跡内に位置していない。そのため、羽根駆動装置1の第2の状態において操作駆動部16が駆動し、アーム部164が反時計回り方向に回動する際には、第2の係合突部158bは、操作駆動部16の駆動ピン165の回動軌跡内に位置していない。そのため、羽根駆動装置1の第2の状態からの駆動ピン165の反時計回り方向への回動は、第2の係合突部158bによって規制されない。
【0071】
図10に示されている羽根駆動装置1の第2の状態において操作駆動部16が駆動すると、駆動ピン165がカム孔157内を反時計回り方向に回動し、羽根駆動装置1は、図12(a)に示されている状態になる。図12(a)に示されている状態では、駆動ピン165が、カム孔157の+Z方向の端面に当接する。図12(a)に示されている状態から駆動ピン165がさらに反時計回り方向に回動すると、駆動ピン165がカム孔157の+Z方向の端面を+Z方向に押し、図12(b)に示されているように、ベース11上において羽根部材15が+Z方向にスライドされる。羽根部材15は、羽根部材15のストッパー係合部156がベース11のストッパー115bと当接するまで、駆動ピン165によって+Z方向にスライドさせられる。羽根部材15のストッパー係合部156がベース11のストッパー115bと当接すると、羽根部材15の+Z方向へのスライドが終了し、羽根駆動装置1の状態は、図12(c)に示す第1の状態へと切り替わる。このように、羽根部材15の第2の係合突部158bは、羽根駆動装置1の第2の状態において、操作駆動部16の駆動によってアーム部164が反時計回り方向に回動を開始する際に、操作駆動部16の駆動ピン165の回動軌道内に位置しないよう、構成されている。
【0072】
次に、図10に示す羽根駆動装置1の第2の状態において、羽根駆動装置1の落下や振動等によって羽根部材15に外力が印加された際の羽根駆動装置1の状態切り替わりの防止について詳述する。図10に示す羽根駆動装置1の第2の状態において、羽根駆動装置1の落下や振動等によって、羽根部材15に外力が印加されると、羽根部材15が+Z方向にスライドし、羽根部材15のカム孔157の端面が、操作駆動部16の駆動ピン165を+Z方向に押す。羽根部材15のカム孔157の端面によって操作駆動部16の駆動ピン165が押されると、操作駆動部16の駆動ピン165がわずかに回動し(例えば、約2°程度回動し)、羽根駆動装置1の状態が、第1の状態から、図13に示す状態に変化する。
【0073】
図14は、図13に示された羽根部材15のカム孔157付近の領域の拡大図である。図14に示されているように、羽根部材15のカム孔157の-Z方向の端面に形成された第2の係合突部158bは、操作駆動部16の駆動ピン165の回動軌跡内に位置する。このように、羽根部材15の第2の係合突部158bは、羽根駆動装置1の第2の状態において、羽根駆動装置1の落下や振動等によって羽根部材15に外力が印加され、羽根部材15のカム孔157の端面が、操作駆動部16の駆動ピン165を押した状態において、操作駆動部16の駆動ピン165の回動軌道内に位置するよう、構成されている。操作駆動部16の駆動ピン165は、羽根部材15の第2の係合突部158bと係合し、操作駆動部16の駆動ピン165のそれ以上の回動が規制される。そのため、羽根駆動装置1の落下や振動等によって羽根部材15に印加される外力が、操作駆動部16の第2の定常状態における円筒状の磁石161に対する保持力を上回っていても、該外力による操作駆動部16の円筒状の磁石161の回転量は、わずかな量に抑えられ、操作駆動部16が第2の定常状態から第1の定常状態に切り替わることはない。そのため、羽根駆動装置1の落下や振動等の操作駆動部16の駆動以外の要因によって、羽根駆動装置1の状態が、第2の状態から第1の状態に意図せず切り替わってしまうことを防止することができる。
【0074】
また、操作駆動部16の駆動ピン165が羽根部材15の第2の係合突部158bと係合し、操作駆動部16の駆動ピン165のそれ以上の回動を規制した後、羽根部材15に印加された外力が解除される。羽根部材15に印加された外力が解除されると、操作駆動部16の円筒状の磁石161とヨーク162の円弧部1623a、1623bとの間の磁力が、円筒状の磁石161を第2の定常状態に戻すよう作用し、操作駆動部16は第2の定常状態に戻る。その結果、羽根駆動装置1の落下や振動等に起因する外力が加わった後であっても、羽根駆動装置1は、第2の状態に戻ることができる。そのため、操作駆動部16の駆動ピン165と、羽根部材15の第2の係合突部158bとの係合を解除するための特別な機構を用いなくとも、操作駆動部16は第2の定常状態に戻ることができる。
【0075】
本実施形態の羽根駆動装置1は、上述のようなカム孔157、第1の係合突部158a、および第2の係合突部158bを含む羽根部材15を用いることにより、羽根駆動装置1の落下や振動等の操作駆動部16の駆動以外の要因によって、羽根駆動装置1の状態が、第1の状態と第2の状態との間で意図せず切り替わることを防止することができる。
【0076】
なお、図面を参照してここまで詳述した本実施形態の羽根駆動装置1は、本発明の1つの例に過ぎず、本発明の範囲はこれに限られない。例えば、羽根部材15のカム孔157、第1の係合突部158a、および第2の係合突部158bの形状は、上述したように、操作駆動部16の駆動により操作駆動部16のアーム部164が羽根部材15のカム孔157の端面を押し、羽根部材15を駆動させる際には操作駆動部16の駆動ピン165と接触せず、羽根駆動装置1の落下や振動等の操作駆動部16の駆動以外の要因によって、羽根部材15が回動し、羽根部材15のカム孔157の端面が操作駆動部16の駆動ピン165と係合し、羽根部材15の駆動を規制するよう構成されていれば、特に限られない。
【0077】
また、図示の態様では、羽根部材15のカム孔157の内側に2つの係合突部158a、158bが形成されているが、本発明はこれに限られない。羽根部材15のカム孔157の内側に係合突部158a、158bの一方のみが形成されているような態様も本発明の範囲内である。例えば、図15には、羽根部材15の変形例が示されている。図15に示す羽根部材15の変形例では、第1の係合突部158aが省略されている。このような羽根部材15の変形例を用いた場合、羽根駆動装置1の落下や振動等の操作駆動部16の駆動以外の要因による羽根駆動装置1の第2の状態から第1の状態への切り替わりが、第2の係合突部158bにより防止される。
【0078】
上述のような羽根部材15のカム孔157、第1の係合突部158a、および第2の係合突部158bによる羽根駆動装置1の状態の切り替えの防止は、操作駆動部16の駆動による羽根部材15のスライド方向と、重力方向とが一致する場合に、特に、有用である。操作駆動部16による羽根部材15のスライドが、重力方向に沿ったものである場合、第1の状態において羽根部材15は、重力に逆らって持ち上げられている。この状態では、羽根部材15の自重が、羽根駆動装置1の状態を、第1の状態から第2の状態へと切り替えようとする力として機能する。そのため、羽根駆動装置1の落下や振動等に起因する外力が羽根部材15に印加されると、羽根駆動装置1の状態が第1の状態から第2の状態へ容易に切り替わってしまう。本実施形態の羽根駆動装置1では、羽根部材15のカム孔157および第1の係合突部158aにより、このような羽根駆動装置1の状態の切り替わりを効果的に防止することができる。
【0079】
次に、図16を参照して、第1実施形態の羽根駆動装置1を備える撮像装置について詳述する。図16に示す撮像装置100は、屋外や室内の任意の箇所に固定されて用いられ、動画を取得するための監視カメラである。撮像装置100は、ハウジング110と、ハウジング110内に設けられたCPUやマイコン等の制御部(図示せず)と、ハウジング110によって保持されたレンズ等の複数の光学素子によって構成される撮像光学系120と、ハウジング110内に配置され撮像光学系120によって形成された光学像を撮像するための撮像素子(図示せず)と、撮像素子と撮像光学系120との間に設けられた上述の第1実施形態の羽根駆動装置1と、を備える。
【0080】
ハウジング110内において、羽根駆動装置1は、ベース11の開口部114が撮像素子の撮像面の前方に位置するよう、固定的に保持される。また、撮像装置100の制御部は、羽根駆動装置1の回路基板14の配線141に接続され、撮像装置100の制御部からの制御に応じて操作駆動部16が駆動し、羽根駆動装置1の状態が、第1の状態と第2の状態との間で任意に切り替えられる。このような羽根駆動装置1を用い、撮像装置100は、羽根駆動装置1が第1の状態にあるときに撮像を行うことにより、赤外線がカットされていない状態での撮像を行うことができる。一方、撮像装置100は、羽根駆動装置1が第2の状態にあるときに撮像を行うことにより、赤外線がカットされた状態での撮像を行うことができる。
【0081】
<第2実施形態>
次に、本発明に係る羽根駆動装置の第2実施形態について図17図30を参照して詳細に説明する。なお、上述の第1実施形態における部材又は要素と同一の作用又は機能を有する部材又は要素には同一の符号を付し、特に説明しない部分については第1実施形態と同様である。
【0082】
以下、第2実施形態に係る羽根駆動装置について、第1実施形態に係る羽根駆動装置との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。第2実施形態の発電装置は、第1実施形態に係る羽根駆動装置1と同様のコンセプトに基づいている。第1実施形態に係る羽根駆動装置1は、羽根部材15が、操作駆動部16の駆動によって、一軸方向(Z軸方向)に沿ってスライドするよう構成されていたが、第2実施形態に係る羽根駆動装置は、羽根部材15が、操作駆動部16の駆動によって、所定の軸を中心として回動するよう構成されている。
【0083】
図17に示す本実施形態の羽根駆動装置2は、カメラやビデオカメラ等の撮像装置内部において、撮像素子とレンズ等の撮像光学系との間に設けられ、撮像素子に入射する光量を制限するためのフィルタの切り替えと、撮像素子への光の入射のオンオフの切り替えを実行するために用いられる。
【0084】
図17(a)は、羽根駆動装置2の斜視図であり、図17(b)は、図17(a)とは異なる角度から見た羽根駆動装置2の斜視図である。図17および図18に示されているように、羽根駆動装置2は、ベース21と、第1のカバープレート22aと、第2のカバープレート22bと、第1の仕切り板23aと、第2の仕切り板23bと、回路基板24と、羽根部材25と、シャッター羽根26と、第1の操作駆動部16aと、第2の操作駆動部16bと、を含んでいる。また、羽根部材25は、NDフィルタ253を有している。
【0085】
羽根駆動装置2は、第1の操作駆動部16aの駆動によって、ベース21上において羽根部材25を回動させることにより、ベース21の開口部214に対する羽根部材25の位置を変化させるとともに、第2の操作駆動部16bの駆動によって、ベース21上においてシャッター羽根26を回動させることにより、ベース21の開口部214に対するシャッター羽根26の位置を変化させるよう構成されている。羽根駆動装置2において第1の操作駆動部16aおよび第2の操作駆動部16bは、回路基板24に接続された外部機器によってそれぞれ独立に制御され、駆動される。このようなベース21の開口部214に対する羽根部材25およびシャッター羽根26の位置の変化によって、羽根駆動装置2は、撮像素子に入射する光量を制限するためのフィルタのオンオフの切り替えと、撮像素子への光の入射のオンオフの切り替えを、それぞれ独立して実行することができる。特に、フィルタのオンオフの切り替えに関し、羽根駆動装置2は、ベース21の開口部214上に羽根部材25のNDフィルタ253が位置しない状態(以下、この状態を、羽根駆動装置2の「第1の状態」という)と、ベース21の開口部214上に羽根部材25のNDフィルタ253が位置する状態(以下、この状態を、羽根駆動装置2の「第2の状態」という)と、を切り替えることができる。同様に、撮像素子への光の入射のオンオフに関し、羽根駆動装置2は、ベース21の開口部214上にシャッター羽根26が位置しない状態(以下、この状態を、羽根駆動装置2の「シャッターオフ状態」という)と、ベース21の開口部214上にシャッター羽根26が位置する状態(以下、この状態を、羽根駆動装置2の「シャッターオン状態」という)と、を切り替えることができる。
【0086】
羽根駆動装置2は、通常は、フィルタのオンオフに関する第1の状態、かつ、撮像素子への光の入射のオンオフに関するシャッターオフ状態を取った状態で用いられる、所謂ノーマリーオープンタイプの羽根駆動装置であり、一般的なコンパクトカメラ等の撮像装置において用いることができる。フィルタのオンオフに関し、撮像装置が、通常の撮像を行う際には、羽根駆動装置2は、第1の状態を取る。一方、撮像装置が、撮像素子に入射する光量が制限された状態で撮像を行う際には、羽根駆動装置2は、第2の状態を取る。一方、撮像装置の撮影タイミング等の所望のタイミングにおいて、羽根駆動装置2は、外部機器からの制御に応じて、シャッターオフ状態からシャターオン状態、またはその逆に切り替わる。以下、羽根駆動装置2の各構成要素について詳述する。
【0087】
(ベース21、第1のカバープレート22a、および第2のカバープレート22b)
ベース21は、略長方形状の平面形状を有する部材であって、第1のカバープレート22aおよび第2のカバープレート22bと係合することにより、羽根駆動装置2のハウジングを構成する。ベース21と第1のカバープレート22aとの間に形成される空間内に第1の仕切り板23a、第2の仕切り板23b、羽根部材25、およびシャッター羽根26が収納される。ベース21と第2のカバープレート22bとの間に形成される空間内に第1の操作駆動部16aおよび第2の操作駆動部16bが収納される。ベース21は、略長方形の平面計上を有する平板状の本体部211と、壁部212と、収納部213と、開口部214と、ストッパー215a(図20参照)と、ストッパー215b(図20参照)と、軸216a(図20参照)と、シャッター羽根用軸216b(図17(a)参照)と、第1の操作駆動部16aの回動軸として機能する第1の軸217(図20参照)と、第2の操作駆動部16bの回動軸として機能する第2の軸(参照番号なし)と、を有している。
【0088】
壁部212は、平面視におけるベース21の各縁から+Y方向に延伸するよう立接している。壁部212には、第1のカバープレート22aをベース21に固定するための3つの凹部2121と、第2のカバープレート22bをベース21に固定するための2つの凹部2122とが形成されている。第1のカバープレート22aは、ベース21の平面形状に対応する平面形状を有する平板上の部材である。第1のカバープレート22aは、ベース21の開口部214へ入射する光を通過させるための開口221aと、ベース21の壁部212の3つの凹部2121のそれぞれに対応する位置に形成された3つの係合部222aと、軸216a、シャッター羽根用軸216b、ストッパー215a、215bをそれぞれ挿通させるための複数の孔と、を有している。ベース21の壁部212上に第1のカバープレート22aを載置し、第1のカバープレート22aの3つの係合部222aを、ベース21の壁部212の3つの凹部2121にそれぞれ係合させることにより、第1のカバープレート22aがベース21に対して固定される。
【0089】
第2のカバープレート22bは、収納部213の平面形状に対応する平面形状を有する平板上の部材である。第2のカバープレート22bは、第1の操作駆動部16aのコイル組み立て体163および第2の操作駆動部16bのコイル組み立て体163をそれぞれ外部に露出するための2つの開口221bと、ベース21の壁部212の2つの凹部2122のそれぞれに対応する位置に形成された2つの係合部222bと、を有している。ベース21の収納部213上の-Y方向の面上に第2のカバープレート22bを載置し、第2のカバープレート22bの2つの係合部222bを、ベース21の壁部212の2つの凹部2122に係合させることにより、第2のカバープレート22bがベース21に対して固定される。羽根駆動装置2が組み立てられた状態において、第1の操作駆動部16aおよび第2の操作駆動部16bのコイル1632の両端部が、2つの開口221bを介して、第2のカバープレート22bの外部に延出する。2つの開口221bを介して露出した第1の操作駆動部16aおよび第2の操作駆動部16bのコイル1632の両端部が、回路基板24上に形成された2対の配線241の端子242(合計4つの端子242)にそれぞれ接続される。回路基板24を介して、撮像装置の制御部等の外部機器から電流が第1の操作駆動部16aおよび第2の操作駆動部16bのコイル1632に独立して供給され、第1の操作駆動部16aおよび第2の操作駆動部16bが、互いに独立して駆動される。
【0090】
収納部213は、本体部211の平面視における+X方向側の短辺に設けられた角筒状の部位であり、その内部において、第1の操作駆動部16aおよび第2の操作駆動部16bを収納する。収納部213には、第1の操作駆動部16aおよび第2の操作駆動部16bを固定するための複数の突部と、第1の操作駆動部16aの駆動ピン165および第2の操作駆動部16bの駆動ピン165を+Y方向側へ突出させるための孔部とが形成されており、収納部113内に第1の操作駆動部16aおよび第2の操作駆動部16bが収納および固定される。第1の操作駆動部16aおよび第2の操作駆動部16bを収納部213に収納すると、第1の操作駆動部16aの駆動ピン165および第2の操作駆動部16bの駆動ピン165がベース21よりも+Y方向に突出する。
【0091】
開口部214は、羽根駆動装置2を撮像装置内部に設けた際に、撮像装置の撮像素子に対応する位置に形成された円形開口である。開口部214の大きさや形状は特に限定されず、羽根駆動装置2が用いられる撮像装置の撮像素子の大きさや形状に応じて、適宜設定される。
【0092】
ストッパー215a、215bのそれぞれは、ベース21上に+Y方向に向かって延伸するよう設けられた部材であり、ベース21の本体部211上での羽根部材25の回動を規制する。ストッパー215a、215bのそれぞれは、弾性材料から構成されている。図20に示されているように、ストッパー215aは、平面視においてベース21の図20中の左下側に設けられており、羽根部材25の反時計回り方向への回動を規制する。ストッパー215bは、平面視においてベース21の図20中の右上側に設けられており、羽根部材25の時計回り方向の回動を規制する。ベース21上において、羽根部材25は、操作駆動部16の駆動によって、ストッパー215a、215bの間で回動する。
【0093】
軸216aは、本体部211上に+Y方向に延伸するよう設けられており、羽根部材25の回動軸として機能する。シャッター羽根用軸216bは、収納部213上に+Y方向に延伸するよう設けられており、シャッター羽根26の回動軸として機能する。羽根駆動装置2が組み立てられた状態において、羽根部材25の軸挿通孔255内に軸216aが挿通され、シャッター羽根26を構成する羽根261a、261b、261cの軸挿通孔262内にシャッター羽根用軸216bが挿通される。
【0094】
第1の軸217および第2の軸のそれぞれは、収納部213上に+Y方向に延伸するよう設けられており、それぞれ、第1の操作駆動部16aおよび第2の操作駆動部16bの回動軸として機能する。羽根駆動装置2が組み立てられた状態において、第1の操作駆動部16aの円筒状の磁石161の中央開口部内に第1の軸217が挿通され、第2の操作駆動部16bの円筒状の磁石161の中央開口部内に第2の軸が挿通される。
【0095】
(第1の仕切り板23aおよび第2の仕切り板23b)
図18に戻り、第1の仕切り板23aおよび第2の仕切り板23bのそれぞれは、ベース21の平面形状に対応する平面形状を有する平板上の部材である。第1の仕切り板23aは、羽根部材25とシャッター羽根26との間に設けられ、羽根部材25と、シャッター羽根26との間の接触を防止するために用いられる。第2の仕切り板23bは、シャッター羽根26と、第1の操作駆動部16aおよび第2の操作駆動部16bとの間に設けられ、シャッター羽根26と、第1の操作駆動部16aおよび第2の操作駆動部16bとの間の接触を防止するために用いられる。第1の仕切り板23aおよび第2の仕切り板23bのそれぞれは、ベース21の開口部214に対応する位置に形成された開口部231と、第1の操作駆動部16aの駆動ピン165を挿通させるための第1の駆動ピン挿通孔232aと、第2の操作駆動部16bの駆動ピン165を挿通させるための第2の駆動ピン挿通孔232bと、軸216a、シャッター羽根用軸216b、ストッパー215a、215bをそれぞれ挿通させるための複数の孔と、を有している。羽根駆動装置2が組み立てられた状態において、第1の操作駆動部16aの駆動ピン165が、第1の仕切り板23aおよび第2の仕切り板23bの第1の駆動ピン挿通孔232aに挿通され、第1の仕切り板23aおよび第2の仕切り板23bよりも+Y方向に延出する。同様に、第2の操作駆動部16bの駆動ピン165が、第1の仕切り板23aおよび第2の仕切り板23bの第2の駆動ピン挿通孔232bに挿通され、第1の仕切り板23aおよび第2の仕切り板23bよりも+Y方向に延出する。
【0096】
(回路基板24)
回路基板24は、樹脂材料等の絶縁性材料によって構成された回路基板である。図17に示されているように、回路基板24は、第2のカバープレート22b上に接着剤等により固定されている。回路基板24の-Y方向側の面上には、2対の配線241(合計で4つの配線241)と、配線241の端子242(合計で4つの端子242)とが形成されている。一方の対の配線241の端子242には第1の操作駆動部16aのコイル1632の両端部がそれぞれ接続され、他方の対の配線241の端子242には第2の操作駆動部16bのコイル1632の両端部がそれぞれ接続される。回路基板24の配線241には、外部機器が接続され、回路基板24を介して、外部機器から第1の操作駆動部16aおよび第2の操作駆動部16bのコイル1632に電流が供給される。
【0097】
(羽根部材25)
図18に戻り、羽根部材25は、平板状の部材であり、ベース21上において保持され、ベース21の開口部214に対する位置が変化するよう第1の操作駆動部16aによって駆動される。より具体的には、本実施形態では、羽根部材25は、ベース21上において、第1の操作駆動部16aによって軸216aを中心として回動され、ベース21の開口部214に対する羽根部材25の位置が変化する。図19に示されているように、羽根部材25は、本体部251と、開口252と、NDフィルタ253と、ストッパー係合部254a、254bと、軸挿通孔255と、カム孔256と、第1の係合突部257aと、第2の係合突部257bと、を有している。
【0098】
本体部251は、軸216aを中心として回動する平板状の部材である。図19に示されているように、本体部251には、開口252が形成されており、NDフィルタ253が開口252を覆うように本体部251上に設けられている。NDフィルタ253は、接着剤または任意の固定具によって、本体部251上において固定されている。NDフィルタ253は、任意の形状の透明ガラス板上に誘電体多層膜を蒸着することで得ることができ、NDフィルタ253に入射する光量を制限する。
【0099】
本体部251の先端部(図19の+Z方向側の部分)からは-X方向に延伸するストッパー係合部254aと、-X方向に延伸するストッパー係合部254bとが形成されている。ストッパー係合部254aは、軸216aを中心とする羽根部材25の反時計回り方向の回動時において、ベース21のストッパー215aと係合し、羽根部材25の反時計回り方向の回動を規制する。ストッパー係合部254bは、軸216aを中心とする羽根部材25の時計回り方向の回動時において、ベース21のストッパー215bと係合し、羽根部材25の時計回り方向の回動を規制する。
【0100】
本体部251の基端部(図19の-Z方向側の部分)には、ベース21の軸216aを挿通させるための軸挿通孔255が形成されている。ベース21の軸216が軸挿通孔255に挿通され、ベース21の軸216が羽根部材25の回動軸として機能する。本体部251の基端部であって、軸挿通孔255に近接する位置には、カム孔256が形成されている。カム孔256には、第1の操作駆動部16aの駆動ピン165が挿通される。カム孔256に第1の操作駆動部16aの駆動ピン165が挿通された状態で、第1の操作駆動部16aの駆動によって駆動ピン165が回動し、第1の操作駆動部16aの駆動ピン165がカム孔256の端面を押すと、ベース21上において羽根部材25が軸216aを中心として回動する。図19に示されているように、カム孔256は、X方向に扁平な略菱形形状を有している。カム孔256の内側、より具体的には、カム孔256の-Z方向かつ-X方向側の端面には、カム孔256の中心方向に向かって突出する第1の係合突部257aが形成されている。さらに、カム孔256の内側、より具体的には、カム孔256の-Z方向かつ+X方向側の端面には、カム孔256の中心方向に向かって突出する第2の係合突部257bが形成されている。
【0101】
第1実施形態の羽根駆動装置1と同様に、本実施形態の羽根駆動装置2においても、第1の係合突部257aの形状およびカム孔256の端面からの突出量は、第1の操作駆動部16aの駆動によって、第1の操作駆動部16aのアーム部164が回動を開始する際には、第1の係合突部257aが第1の操作駆動部16aの駆動ピン165の回動軌跡内に位置せず、さらに、落下や振動等に起因する外力によって、羽根部材25がベース21上において軸216aを中心として回動し、カム孔256の端面が第1の操作駆動部16aの駆動ピン165を押した際には、第1の操作駆動部16aの駆動ピン165の回動軌跡内に位置するよう、設定される。そのため、落下や振動等に起因する外力によって、羽根部材25がベース11上において回動し、カム孔256の端面が第1の操作駆動部16aの駆動ピン165を押した際には、第1の係合突部257aが第1の操作駆動部16aの駆動ピン165と係合し、羽根部材25のさらなる回動(駆動)を規制する。
【0102】
同様に、第2の係合突部257bの形状およびカム孔256の端面からの突出量は、第1の操作駆動部16aの駆動によってアーム部164が回動を開始する際には、第2の係合突部257bが第1の操作駆動部16aの駆動ピン165の回動軌跡内に位置せず、さらに、落下や振動等に起因する外力によって、羽根部材25がベース21上において回動し、カム孔256の端面が第1の操作駆動部16aの駆動ピン165を押した際には、第1の操作駆動部16aの駆動ピン165の回動軌跡内に位置するよう、設定される。そのため、落下や振動等に起因する外力によって、羽根部材25がベース21上において回動し、カム孔256の端面が第1の操作駆動部16aの駆動ピン165を押した際には、第2の係合突部257bが第1の操作駆動部16aの駆動ピン165と係合し、羽根部材25のさらなる回動(駆動)を規制する。本実施形態の羽根駆動装置2では、羽根部材25が上述のようなカム孔256、第1の係合突部257a、および第2の係合突部257bを有していることから、羽根駆動装置2に対する外力によって、羽根駆動装置2の状態が、第1の状態と第2の状態との間で、意図せず切り替わることを防止することができる。カム孔256、第1の係合突部257a、および第2の係合突部257bによる羽根駆動装置2の状態切り替わりの防止に関する羽根駆動装置2の動作および原理については、図22図31を参照して、後に詳述する。
【0103】
(シャッター羽根26)
図18に戻り、シャッター羽根26は平板状の部材であり、ベース21上において保持され、ベース21の開口部214に対する位置が変化するよう第2の操作駆動部16bによって駆動される。より具体的には、本実施形態では、シャッター羽根26は、ベース21上において、第2の操作駆動部16bによってシャッター羽根用軸216bを中心として回動され、ベース21の開口部214に対するシャッター羽根26の位置が変化する。シャッター羽根26は、第2の操作駆動部16bの駆動によって連動する3つの羽根261a、261b、261cによって構成されている。3つの羽根261a、261b、261cは、シャッター羽根26がベース21の開口部214上に位置しないシャッターオフ状態において、互いに重なって折り畳まれ、シャッター羽根26がベース21の開口部214上に位置するシャッターオン状態において、展開するように構成されている。シャッターオフ状態においては、3つの羽根261a、261b、261cが互いに重なるよう折り畳まれるので、シャッター羽根26を収納するためのスペースを小さくすることができる。一方、シャッターオフ状態においては、3つの羽根261a、261b、261cが展開し、幅広い範囲を覆う。これにより、シャッターオン状態において、ベース21の開口部214に入射する光を確実に遮断することができる。
【0104】
羽根261a、261b、261cのそれぞれは、シャッター羽根用軸216bを挿通させるために軸挿通孔262と、第2の操作駆動部16bの駆動ピン165を挿通させるためのカム孔263と、を有している。さらに、羽根261b、261cのそれぞれは、羽根261b、261cを軽量化するための肉抜き孔264を有している。羽根261a、261b、261cのカム孔263は、それぞれ異なった形状を有している。そのため、第2の操作駆動部16bが駆動し、第2の操作駆動部16bのアーム部164が回動すると、羽根261a、261b、261cは、シャッター羽根用軸216bを中心として、それぞれ異なるスピードで回動する。このような構成により、シャッターオフ状態での羽根261a、261b、261cの折り畳み、および、シャッターオン状態での羽根261a、261b、261cの展開を実現することができる。
【0105】
(第1の操作駆動部16aおよび第2の操作駆動部16b)
第1の操作駆動部16aおよび第2の操作駆動部16bのそれぞれは、上述した第1実施形態の羽根駆動装置1において用いられる操作駆動部16と同様の構成を有しているため、第1の操作駆動部16aおよび第2の操作駆動部16bの構成についての詳細は、省略する。なお、第1実施形態の羽根駆動装置1では、操作駆動部16のアーム部164および駆動ピン165は、円筒状の磁石161の回転運動を羽根部材15のスライド運動に変換する機能を有していたが、本実施形態の羽根駆動装置2では、第1の操作駆動部16aのアーム部164および駆動ピン165は、円筒状の磁石161の回転を羽根部材25の回動に変換する機能を有し、第2の操作駆動部16bのアーム部164および駆動ピン165は、円筒状の磁石161の回転をシャッター羽根26の回動に変換する機能を有している。
【0106】
本実施形態の羽根駆動装置2は、第1の操作駆動部16aの第1の定常状態が、ベース21の開口部214上に羽根部材25のNDフィルタ253が位置していない第1の状態に対応し、第1の操作駆動部16aの第2の定常状態が、ベース21の開口部214上に羽根部材25のNDフィルタ253が位置する第2の状態に対応するよう、構成されている。そのため、第1の操作駆動部16aのコイル1632への電流の供給を制御することにより、ベース21上において羽根部材25を所望の方向へ回動させ、羽根駆動装置2の状態を、第1の状態と第2の状態との間で、任意に切り替えることができる。
【0107】
また、本実施形態の羽根駆動装置2は、第2の操作駆動部16bの第1の定常状態が、ベース21の開口部214上にシャッター羽根26が位置していないシャッターオフ状態に対応し、第2の操作駆動部16bの第2の定常状態が、ベース21の開口部214上にシャッター羽根26が位置するシャッターオン状態に対応するよう、構成されている。そのため、第2の操作駆動部16bのコイル1632への電流の供給を制御することにより、ベース21上においてシャッター羽根26を所望の方向へ回動させ、羽根駆動装置2の状態を、シャッターオフ状態とシャッターオン状態との間で、任意に切り替えることができる。第1の操作駆動部16aおよび第2の操作駆動部16bは、回路基板24の配線241に接続された外部機器からの制御によって独立に制御され、駆動される。そのため、羽根駆動装置2は、撮像素子に入射する光量を制限するためのフィルタのオンオフの切り替えと、撮像素子への光の入射のオンオフの切り替えを、それぞれ独立して実行することができる。以下、図20図29を参照して、羽根部材25のカム孔256、第1の係合突部257a、および第2の係合突部257bによって提供される羽根駆動装置2の状態切り替わりの防止について詳述する。
【0108】
図20図22図23図25図27、および図28は、羽根駆動装置2を+Y方向から見た羽根駆動装置2の平面図において、羽根駆動装置2の状態切り替わりの防止を説明するために必要な構成要素のみを図示し、それ以外の構成要素を省略したものである。図20図29には、第1の操作駆動部16aの駆動によって、第1の操作駆動部16aのアーム部164が回動した際の駆動ピン165の回動軌跡が、一点破線により示されている。また、図21図24図26図29のそれぞれは、図20図23図25図28のそれぞれに示された羽根部材25のカム孔256付近の領域の拡大図である。
【0109】
最初に、図20図24を参照して、羽根駆動装置2の第1の状態からの動作について詳述する。図20は、羽根駆動装置2の第1の状態を示している。すなわち、図20に示す状態では、第1の操作駆動部16aは、第1の定常状態を取っており、かつ、羽根駆動装置2の落下や振動等によって羽根部材25に外力が印加されていない。図20に示されているように、羽根駆動装置2の第1の状態において、羽根部材25のNDフィルタ253は、第1の仕切り板23aの開口部231上に位置していない。したがって、羽根駆動装置2の第1の状態において、ベース21の開口部214は開放されている。
【0110】
また、図21に示されているように、羽根駆動装置2の第1の状態において、羽根部材25のカム孔256の端面に形成された第1の係合突部257aは、一点破線により示されている第1の操作駆動部16aの駆動ピン165の回動軌跡内に位置していない。そのため、羽根駆動装置2の第1の状態において第1の操作駆動部16aが駆動し、第1の操作駆動部16aのアーム部164が時計回り方向に回動する際には、第1の係合突部257aは、第1の操作駆動部16aの駆動ピン165の回動軌跡内に位置していない。そのため、羽根駆動装置2の第1の状態からの第1の操作駆動部16aの駆動ピン165の時計回り方向への回動は、第1の係合突部257aによって規制されない。
【0111】
図20に示されている羽根駆動装置2の第1の状態において第1の操作駆動部16aが駆動すると、第1の操作駆動部16aの駆動ピン165がカム孔256内を時計回り方向に回動し、羽根駆動装置2は、図22(a)に示されている状態になる。図22(a)に示されている状態では、第1の操作駆動部16aの駆動ピン165が、カム孔256の+Z方向の端面に当接する。図22(a)に示されている状態から第1の操作駆動部16aの駆動ピン165がさらに時計回り方向に回動すると、第1の操作駆動部16aの駆動ピン165がカム孔256の+Z方向の端面を+Z方向に押し、図22(b)に示されているように、ベース21上において羽根部材25が軸216aを中心として反時計回り方向に回動される。羽根部材25は、羽根部材25のストッパー係合部254aがベース21のストッパー215aと当接するまで、第1の操作駆動部16aの駆動ピン165によって、軸216aを中心として反時計方向に回動させられる。羽根部材25のストッパー係合部254aがベース21のストッパー215aと当接すると、軸216aを中心とする羽根部材25の反時計回り方向への回動が終了し、羽根駆動装置2の状態は、図22(c)に示す第2の状態へと切り替わる。このように、羽根部材25の第1の係合突部257aは、羽根駆動装置2の第1の状態において、第1の操作駆動部16aの駆動によって第1の操作駆動部16aのアーム部164が時計回り方向に回動を開始する際に、第1の操作駆動部16aの駆動ピン165の回動軌道内に位置しないよう、構成されている。
【0112】
次に、図20に示す羽根駆動装置1の第1の状態において、羽根駆動装置2の落下や振動等によって羽根部材25に外力が印加された際の羽根駆動装置2の状態切り替わりの防止について詳述する。図20に示す羽根駆動装置2の第1の状態において、羽根駆動装置2の落下や振動等によって、羽根部材25に外力が印加されると、羽根部材25が軸216aを中心として反時計回り方向に回動し、羽根部材25のカム孔256の-Z方向の端面が、第1の操作駆動部16aの駆動ピン165を+Z方向に押す。羽根部材25のカム孔256の端面によって第1の操作駆動部16aの駆動ピン165が押されると、第1の操作駆動部16aの駆動ピン165が軸216aを中心として時計回り方向にわずかに回動し(例えば、約2°程度回動し)、羽根駆動装置2の状態が、第1の状態から、図23に示す状態に変化する。
【0113】
図24は、図23に示された羽根部材25のカム孔256付近の領域の拡大図である。図24に示されているように、羽根部材25のカム孔256の端面に形成された第1の係合突部257aは、第1の操作駆動部16aの駆動ピン165の回動軌跡内に位置する。このように、羽根部材25の第1の係合突部257aは、羽根駆動装置2の第1の状態において、羽根駆動装置2の落下や振動等によって羽根部材25に外力が印加され、羽根部材25のカム孔256の端面が、第1の操作駆動部16aの駆動ピン165を押した状態において、第1の操作駆動部16aの駆動ピン165の回動軌道内に位置するよう、構成されている。図24に示されているように、第1の操作駆動部16aの駆動ピン165は、羽根部材25の第1の係合突部257aと係合し、第1の操作駆動部16aの駆動ピン165のそれ以上の回動が規制される。そのため、羽根駆動装置2の落下や振動等によって羽根部材25に印加される外力が、第1の操作駆動部16aの第1の定常状態における円筒状の磁石161に対する保持力を上回っていても、該外力による第1の操作駆動部16aの円筒状の磁石161の回転量は、わずかな量に抑えられ、第1の操作駆動部16aが第1の定常状態から第2の定常状態に切り替わることはない。そのため、羽根駆動装置2の落下や振動等の第1の操作駆動部16aの駆動以外の要因によって、羽根駆動装置2の状態が、第1の状態から第2の状態に意図せず切り替わってしまうことを防止することができる。
【0114】
また、第1の操作駆動部16aの駆動ピン165が羽根部材25の第1の係合突部257aと係合し、第1の操作駆動部16aの駆動ピン165のそれ以上の回動を規制した後、羽根部材25に印加された外力が解除される。羽根部材25に印加された外力が解除されると、第1の操作駆動部16aの円筒状の磁石161とヨーク162の円弧部1623a、1623bとの間の磁力が、円筒状の磁石161を第1の定常状態に戻すよう作用し、第1の操作駆動部16aは第1の定常状態に戻る。その結果、羽根駆動装置2の落下や振動等に起因する外力が加わった後であっても、羽根駆動装置2は、第1の状態に戻ることができる。
【0115】
次に、図25図29を参照して、羽根駆動装置2の第2の状態からの動作について詳述する。図25は、羽根駆動装置2の第2の状態を示している。すなわち、図25に示す状態では、第1の操作駆動部16aは、第2の定常状態を取っており、かつ、羽根駆動装置2の落下や振動等によって羽根部材25に外力が印加されていない。
【0116】
図25に示されているように、羽根駆動装置1の第2の状態において、羽根部材25のNDフィルタ253が第1の仕切り板23aの開口部231上に位置する。第1の仕切り板23aの開口部231は、ベース21の開口部214に対応する位置に形成されているので、羽根駆動装置2の第2の状態において、羽根部材25のNDフィルタ253は、ベース21の開口部214上に位置する。
【0117】
また、図26に示されているように、羽根駆動装置2の第2の状態において、羽根部材25のカム孔256の端面に形成された第2の係合突部257bは、一点破線により示されている第1の操作駆動部16aの駆動ピン165の回動軌跡内に位置していない。そのため、羽根駆動装置2の第2の状態において第1の操作駆動部16aが駆動し、第1の操作駆動部16aのアーム部164が反時計回り方向に回動する際には、第2の係合突部257bは、第1の操作駆動部16aの駆動ピン165の回動軌跡内に位置していない。そのため、羽根駆動装置2の第2の状態からの第1の操作駆動部16aの駆動ピン165の反時計回り方向への回動は、第2の係合突部257bによって規制されない。
【0118】
図25に示されている羽根駆動装置2の第2の状態において第1の操作駆動部16aが駆動すると、第1の操作駆動部16aの駆動ピン165がカム孔256内を反時計回り方向に回動し、羽根駆動装置2は、図27(a)に示されている状態になる。図27(a)に示されている状態では、第1の操作駆動部16aの駆動ピン165が、カム孔256の-Z方向の端面に当接する。図27(a)に示されている状態から第1の操作駆動部16aの駆動ピン165がさらに反時計回り方向に回動すると、第1の操作駆動部16aの駆動ピン165がカム孔256の-Z方向の端面を-Z方向に押し、図27(b)に示されているように、ベース21上において羽根部材25が軸216aを中心として時計回り方向に回動される。羽根部材25は、羽根部材25のストッパー係合部254bがベース21のストッパー215bと当接するまで、第1の操作駆動部16aの駆動ピン165によって、軸216aを中心として時計方向に回動させられる。羽根部材25のストッパー係合部254bがベース21のストッパー215bと当接すると、軸216aを中心とする羽根部材25の時計回り方向への回動が終了し、羽根駆動装置2の状態は、図27(c)に示す第1の状態へと切り替わる。このように、羽根部材25の第2の係合突部257bは、羽根駆動装置2の第2の状態において、第1の操作駆動部16aの駆動によって第1の操作駆動部16aのアーム部164が反時計回り方向に回動を開始する際に、第1の操作駆動部16aの駆動ピン165の回動軌道内に位置しないよう、構成されている。
【0119】
次に、図25に示す羽根駆動装置2の第2の状態において、羽根駆動装置2の落下や振動等によって羽根部材25に外力が印加された際の羽根駆動装置2の状態切り替わりの防止について詳述する。図25に示す羽根駆動装置2の第2の状態において、羽根駆動装置2の落下や振動等によって、羽根部材25に外力が印加されると、羽根部材25が軸216aを中心として時計回り方向に回動し、羽根部材25のカム孔256の+Z方向の端面が、第1の操作駆動部16aの駆動ピン165を-Z方向に押す。羽根部材25のカム孔256の端面によって第1の操作駆動部16aの駆動ピン165が押されると、第1の操作駆動部16aの駆動ピン165が軸216aを中心として反時計回り方向にわずかに回動し(例えば、約2°程度回動し)、羽根駆動装置2の状態が、第2の状態から、図28に示す状態に変化する。
【0120】
図29は、図28に示された羽根部材25のカム孔256付近の領域の拡大図である。図29に示されているように、羽根部材25のカム孔256の端面に形成された第2の係合突部257bは、第1の操作駆動部16aの駆動ピン165の回動軌跡内に位置する。このように、羽根部材25の第2の係合突部257bは、羽根駆動装置2の第2の状態において、羽根駆動装置2の落下や振動等によって羽根部材25に外力が印加され、羽根部材25のカム孔256の端面が、第1の操作駆動部16aの駆動ピン165を押した状態において、第1の操作駆動部16aの駆動ピン165の回動軌道内に位置するよう、構成されている。第1の操作駆動部16aの駆動ピン165は、羽根部材25の第2の係合突部257bと係合し、第1の操作駆動部16aの駆動ピン165のそれ以上の回動が規制される。そのため、羽根駆動装置2の落下や振動等によって羽根部材25に印加される外力が、第1の操作駆動部16aの第2の定常状態における円筒状の磁石161に対する保持力を上回っていても、該外力による第1の操作駆動部16aの円筒状の磁石161の回転量は、わずかな量に抑えられ、第1の操作駆動部16aが第2の定常状態から第1の定常状態に切り替わることはない。そのため、羽根駆動装置2の落下や振動等の第1の操作駆動部16aの駆動以外の要因によって、羽根駆動装置2の状態が、第2の状態から第1の状態に意図せず切り替わってしまうことを防止することができる。
【0121】
また、第1の操作駆動部16aの駆動ピン165が羽根部材25の第2の係合突部257bと係合し、第1の操作駆動部16aの駆動ピン165のそれ以上の回動を規制した後、羽根部材25に印加された外力が解除される。羽根部材25に印加された外力が解除されると、第1の操作駆動部16aの円筒状の磁石161とヨーク162の円弧部1623a、1623bとの間の磁力が、円筒状の磁石161を第2の定常状態に戻すよう作用し、第1の操作駆動部16aは第2の定常状態に戻る。その結果、羽根駆動装置2の落下や振動等に起因する外力が加わった後であっても、羽根駆動装置2は、第2の状態に戻ることができる。
【0122】
本実施形態の羽根駆動装置2は、第1実施形態の羽根駆動装置1と同様に、上述のようなカム孔256、第1の係合突部257a、および第1の係合突部257bを含む羽根部材25を用いることにより、羽根駆動装置2の落下や振動等の第1の操作駆動部16aの駆動以外の要因によって、羽根駆動装置2の状態が、第1の状態と第2の状態との間で意図せず切り替わることを防止することができる。
【0123】
また、図示の態様では、羽根部材25のカム孔256の内側に2つの係合突部257a、257bが形成されているが、本発明はこれに限られない。羽根部材25のカム孔256の内側に係合突部257a、257bの一方のみが形成されているような態様も本発明の範囲内である。例えば、図30には、羽根部材15の変形例が示されている。図30に示す羽根部材25の変形例では、第2の係合突部257bが省略されている。図32に示されているような羽根部材25の変形例を用いた場合、羽根駆動装置2の落下や振動等の第1の操作駆動部16aの駆動以外の要因による羽根駆動装置2の第1の状態から第2の状態への切り替わりが、第1の係合突部257aにより防止される。
【0124】
次に、図31を参照して、第2実施形態の羽根駆動装置2を備える撮像装置について詳述する。図31に示す撮像装置200は、コンパクトデジタルカメラ等のデジタルカメラである。撮像装置200は、ハウジング210と、ハウジング210内に設けられたCPUやマイコン等の制御部(図示せず)と、ハウジング210によって保持されたレンズ等の複数の光学素子によって構成される撮像光学系220と、ハウジング210内に配置され撮像光学系220によって形成された光学像を撮像するための撮像素子(図示せず)と、撮像素子と撮像光学系220との間に設けられた上述の第2実施形態の羽根駆動装置2と、を備える。
【0125】
ハウジング210内において、羽根駆動装置2は、ベース21の開口部214が撮像素子の撮像面の前方に位置するよう固定的に保持される。また、撮像装置200の制御部は、羽根駆動装置2の回路基板24の配線241に接続されている。撮像装置200の制御部によって、第1の操作駆動部16aおよび第2の操作駆動部16bは、それぞれ独立して制御され、駆動される。そのため、撮像装置200は、羽根駆動装置2を用いて、撮像素子に入射する光量を制限するためのフィルタのオンオフの切り替えと、撮像素子への光の入射のオンオフの切り替えを、それぞれ独立して実行することができる。
【0126】
さてこれまで本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいものである。本発明の各構成は、同様の機能を発揮し得る任意のものと置換することができ、あるいは、本発明の各構成に任意の構成のものを付加することができる。
【0127】
また、第1実施形態および第2実施形態の羽根駆動装置の構成要素の数や種類は、説明のための例示にすぎず、本発明は必ずしもこれに限られない。本発明の原理および意図から逸脱しない範囲において、任意の構成要素が追加若しくは組み合わされ、または任意の構成要素が削除された様態も、本発明の範囲内である。例えば、第1実施形態および第2実施形態の羽根駆動装置の任意の構成要素を組み合わせることができる。
【0128】
また、第1実施形態では、羽根部材が透明ガラス板および赤外線カットフィルタを有し、第2実施形態では、羽根部材がNDフィルタを有していたが、本発明はこれに限られない。羽根部材が、赤外線をカットするための赤外線フィルタ、任意の数の赤外線カットフィルタのような種々の種類の光学フィルタ、光を遮断するためのシャッター部材、および任意の種類のガラス板、およびこれらの組み合わせを有しているような態様も、本発明の範囲内である。さらに、羽根部材には、ベース部材の開口部よりも小さい口径の開口を有する絞り部材が含まれていてもよい。
【0129】
なお、本明細書において使用した用語「下」、「上」、「底」、「上方」、「下方」、「上側」、「下側」、その他の位置関係を示す用語は、図示した実施形態との関連において使用されているのであり、装置の相対的な位置関係によって変化するものである。
【0130】
これまで本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0131】
1 羽根駆動装置
11 ベース
12 カバープレート
15 羽根部材
151 本体部
152a 第1の開口
152b 第2の開口
153a 透明ガラス板
153b 赤外線カットフィルタ
154a 延伸部
154b 延伸部
156 ストッパー係合部
157 カム孔
158a 第1の係合突部
158b 第2の係合突部
16 操作駆動部
16a 第1の操作駆動部
16b 第2の操作駆動部
161 磁石
162 ヨーク
1621a 延伸部
1621b 延伸部
1622 接続部
1623a 円弧部
1623b 円弧部
1624 エッジ部
163 コイル組み立て体
1631 コイルボビン
1632 コイル
1633 フランジ部
164 アーム部
165 駆動ピン
100 撮像装置
2 羽根駆動装置
21 ベース
25 羽根部材
251 本体部
252 開口
253 NDフィルタ
254a ストッパー係合部
254b ストッパー係合部
255 軸挿通孔
256 カム孔
257a 第1の係合突部
257b 第2の係合突部
200 撮像装置
図1
図2
図3
図4
図5
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図31