(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-28
(45)【発行日】2023-04-05
(54)【発明の名称】止水装置
(51)【国際特許分類】
E06B 5/00 20060101AFI20230329BHJP
E06B 9/17 20060101ALI20230329BHJP
E04H 9/14 20060101ALI20230329BHJP
【FI】
E06B5/00 Z
E06B9/17 Z
E04H9/14 Z
(21)【出願番号】P 2019144866
(22)【出願日】2019-08-06
【審査請求日】2022-07-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中島 厚二
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-159911(JP,A)
【文献】特開2016-180238(JP,A)
【文献】特開2016-3454(JP,A)
【文献】実開平3-113093(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 1/00-11/08
E04H 9/00- 9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物開口の下方の設置面と当接可能に設けられ、上下方向に移動することで前記建物開口を開閉するシャッターカーテンと、
前記建物開口の上方に位置され、前記シャッターカーテンを駆動する駆動機構を有した駆動装置と、
前記シャッターカーテンと前記建物開口の屋外側または屋内側に並ぶとともに前記設置面と当接可能に設けられ、前記シャッターカーテンと連動して前記上下方向に移動可能に構成された止水板と、
を備えた、止水装置。
【請求項2】
前記止水板は、前記シャッターカーテンに対して前記駆動装置を取り付ける躯体側にずれて位置された、請求項1に記載の止水装置。
【請求項3】
前記止水板は、前記建物開口を開放する開状態において、前記シャッターカーテンとともに前記駆動装置の収容部内に収容された、請求項1または2に記載の止水装置。
【請求項4】
前記設置面には、前記シャッターカーテンが当接する水平面と、当該水平面と交差し前記止水板が当接する段差面と、が設けられた、請求項1~3のうちいずれか一つに記載の止水装置。
【請求項5】
前記止水板は、前記シャッターカーテンに対して前記屋外側に位置され、
前記止水板を下方かつ前記屋内側の前記段差面へ向けて案内する傾斜面が設けられた案内機構を備えた、請求項4に記載の止水装置。
【請求項6】
前記シャッターカーテンは、前記設置面と当接可能な座板を有し、
前記止水板には、前記シャッターカーテン側に突出し、前記座板と前記上下方向に引っ掛かることによって前記シャッターカーテンと連動する被引掛部が設けられた、請求項1~5のうちいずれか一つに記載の止水装置。
【請求項7】
前記座板および前記被引掛部のうち一方には、前記上下方向に延びた突出部が設けられ、他方には、前記突出部が挿入される開口部が設けられた、請求項6に記載の止水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、止水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物開口を開閉するシャッターカーテンと、建物開口の上方に位置されシャッターカーテンを巻き取る巻取軸を有した巻取装置と、シャッターカーテンの下方に位置されシャッターカーテンと連動して上下方向に移動可能に構成された止水板と、を備えた止水装置が、知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の止水装置では、止水板については巻取装置の巻取軸に巻き取ることができないため、例えば、建物開口を開放する開状態において、止水板によって建物開口が狭まってしまう虞がった。
【0005】
そこで、本発明の課題の一つは、例えば、建物開口が止水板によって狭まるのを抑制できたり等、より不都合が少なくなるよう改善された新規な構成の止水装置を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の止水装置は、例えば、建物開口の下方の設置面と当接可能に設けられ、上下方向に移動することで前記建物開口を開閉するシャッターカーテンと、前記建物開口の上方に位置され、前記シャッターカーテンを駆動する駆動機構を有した駆動装置と、前記シャッターカーテンと前記建物開口の屋外側または屋内側に並ぶとともに前記設置面と当接可能に設けられ、前記シャッターカーテンと連動して前記上下方向に移動可能に構成された止水板と、を備える。
【0007】
このような構成によれば、止水板とシャッターカーテンとを建物開口の屋外側または屋内側に並列に設けることができるため、例えば、建物開口を開放する開状態において、建物開口が止水板によって狭まるのを抑制できる。また、例えば、建物開口を閉じる閉状態において、屋外側から屋内側へ向かう雨水等を止水板およびシャッターカーテンによって二重に堰き止めることができるため、建物開口からの浸水がより抑制されやすい。
【0008】
また、上記止水装置では、例えば、前記止水板は、前記シャッターカーテンに対して前記駆動装置を取り付ける躯体側にずれて位置される。このような構成によれば、例えば、建物開口を開放する開状態において、止水板を躯体と駆動機構との間のスペースに収納することができる。
【0009】
また、上記止水装置では、例えば、前記止水板は、前記建物開口を開放する開状態において、前記シャッターカーテンとともに前記駆動装置の収容部内に収容される。このような構成によれば、例えば、止水板が開状態において収容部から極力露出するのが抑制され、ひいては止水板によって外観が損なわれたり、建物開口が狭まったりするのを抑制できる。
【0010】
また、上記止水装置では、例えば、前記設置面には、前記シャッターカーテンが当接する水平面と、当該水平面と交差し前記止水板が当接する段差面と、が設けられる。このような構成によれば、例えば、止水板が閉状態においてシャッターカーテンとともに水平面と当接する場合と比べて、屋外側から屋内側へ向かう雨水等の侵入経路が屈曲する分、建物開口からの浸水がより一層抑制されやすい。
【0011】
また、上記止水装置では、例えば、前記止水板は、前記シャッターカーテンに対して前記屋外側に位置され、前記止水板を下方かつ前記屋内側の前記段差面へ向けて案内する傾斜面が設けられた案内機構を備える。このような構成によれば、例えば、案内機構の傾斜面によって止水板を段差面に向けて案内することができ、ひいては止水板の閉状態における段差面との間の密着性(シール性)がより高まりやすい。
【0012】
また、上記止水装置では、例えば、前記シャッターカーテンは、前記設置面と当接可能な座板を有し、前記止水板には、前記シャッターカーテン側に突出し、前記座板と前記上下方向に引っ掛かることによって前記シャッターカーテンと連動する被引掛部が設けられる。このような構成によれば、例えば、座板と被引掛部との引っ掛かりを利用した比較的簡素な構成によって、止水板をシャッターカーテンと連動させることができる。
【0013】
また、上記止水装置では、例えば、前記座板および前記被引掛部のうち一方には、前記上下方向に延びた突出部が設けられ、他方には、前記突出部が挿入される開口部が設けられる。このような構成によれば、例えば、突出部および開口部によって、止水板のシャッターカーテンに対する上下方向と交差した交差方向への位置ずれが抑制され、ひいては座板と被引掛部との引っ掛かりによるシャッターカーテンと止水板との連動状態がより確実に得られやすい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、例えば、より不都合が少なくなるよう改善された新規な構成の止水装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、実施形態の止水装置の例示的かつ模式的な正面図であって、止水板が閉位置に位置された状態の図である。
【
図3】
図3は、
図1のII-II断面図であって、止水板が開位置に位置された状態の図である。
【
図6】
図6は、第1変形例の止水装置の一部の例示的かつ模式的な断面図である。
【
図7】
図7は、第2変形例の止水装置の一部の例示的かつ模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の例示的な実施形態および変形例が開示される。以下に示される実施形態および変形例の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用および効果は、一例である。本発明は、以下の実施形態および変形例に開示される構成以外によっても実現可能である。また、本発明によれば、構成によって得られる種々の効果(派生的な効果も含む)のうち少なくとも一つを得ることが可能である。
【0017】
また、以下に開示される実施形態および変形例には、同様の構成要素が含まれる。よって、以下では、それら同様の構成要素には共通の符号が付与されるとともに、重複する説明が省略される。なお、本明細書では、序数は、部品や、部材、部位、位置、方向等を区別するためだけに用いられており、順番や優先度を示すものではない。
【0018】
[実施形態]
図1は、実施形態の止水装置1の正面図であって、止水板4が閉位置P1に位置された状態の図である。
図1に示されるように、止水装置1は、例えば、シャッターカーテン3と、止水板4と、ガイドレール5と、巻取装置6と、を備えており、建物開口101を開閉可能に覆っている。建物100は、例えば、車庫や、工場、倉庫、ビル、店舗、住宅等の建築構造物であり、自動車等の車両や人間等が建物開口101を介して建物100に出入りしうる。止水装置1は、止水板付きシャッター装置や、開閉装置等とも称される。
【0019】
なお、以下の説明では、便宜上、互いに直交する三方向が定義されている。X方向は、止水板4の厚さ方向に沿うとともに、建物開口101の開口方向(前後方向)に沿う。Y方向は、止水板4の横幅方向に沿うとともに、建物開口101の幅方向(左右方向)に沿う。Z方向は、止水板4の縦幅方向に沿うとともに、建物開口101の高さ方向(上下方向)に沿う。
【0020】
また、以下の説明では、便宜上、X方向は前方、X方向の反対方向は後方とも称され、Y方向は左方、Y方向の反対方向は右方とも称され、Z方向は上方、Z方向の反対方向は下方とも称される場合がある。なお、以下の説明では、設置面110とは建物開口101の下方に隣接した面を意味する便宜上の文言であり、床面や、コンクリート面、地面等を含むものとする。
【0021】
また、以下の説明では、建物開口101を介して前方(X方向)の空間から後方(X方向の反対方向)の空間へ雨水等の水が浸入する可能性がある場合の後方が屋内側と定義され、前方が屋外側と定義される。すなわち、屋内側とは、止水板4によって水の浸入を防止(阻止、抑制)したい側であり、屋外側とは、浸入可能性のある水が流れてくる側のことである。
【0022】
図2は、
図1のII-II断面図である。
図2に示されるように、シャッターカーテン3は、例えば、複数のスラット31と、座板32と、を有している。スラット31の下端は、座板32と接続(固定)され、スラット31の上端は、巻取装置6の巻取軸12と接続(固定)されている。
【0023】
図1に示されるように、複数のスラット31は、それぞれ帯状かつ板状の形状を有し、Z方向に一定の幅を有し、Y方向に延びている。複数のスラット31は、Z方向に並べられ、互いに隣接したスラット31の端部同士が回動可能に接続されている。シャッターカーテン3は、例えば、鉄系材料やアルミ二ウム合金のような金属材料によって構成されている。
【0024】
図2に示されるように、座板32は、シャッターカーテン3の下端に位置され、設置面110と当接可能に設けられている。本実施形態では、座板32が後述する止水板4の被引掛部44とZ方向に引っ掛かることによって、シャッターカーテン3と止水板4とが連動してZ方向に移動可能に構成されている。
【0025】
止水板4は、例えば、シャッターカーテン3に対してX方向(屋外側)にずれて位置されている。
図1にも示されるように、止水板4は、長方形状かつ板状の形状、言い換えると、X方向に扁平な直方体状に構成されている。止水板4は、例えば、アルミニウムや、ステンレス、合成樹脂材料等によって構成されている。
【0026】
ガイドレール5は、シャッターカーテン3および止水板4のY方向の両端部に位置されている。
図2に示されるように、ガイドレール5には、例えば、止水板4のY方向の両端部を支持する溝部5aや、シャッターカーテン3のY方向の両端部を支持する溝部5c等が設けられている。
【0027】
溝部5a,5cは、Y方向の中央部側に向けて開放され、設置面110と巻取装置6との間に亘ってZ方向に直線状に延びている。ガイドレール5は、シャッターカーテン3および止水板4をZ方向に沿ってスライド可能に支持する。
【0028】
巻取装置6は、シャッターカーテン3および止水板4の上方に設けられている。
図2に示されるように、巻取装置6は、例えば、シャッターケース11や、巻取軸12、開閉機13、動力伝達機構15等を有している。巻取装置6は、駆動装置の一例である。
【0029】
巻取装置6は、例えば、建物100における躯体103の屋内側のスペースに取り付けられている。躯体103は、下がり壁部材や、天井部材等とも称される。なお、
図1では、便宜上、躯体103は、図示省略されている。
【0030】
シャッターケース11は、例えば、Y方向に横長な直方体状の箱型に構成されている。シャッターケース11内には、ガイドレール5の上端や、巻取軸12、開閉機13、動力伝達機構15等が設けられている。
【0031】
また、本実施形態では、シャッターケース11は、シャッターカーテン3および止水板4を収納可能に構成されている。止水板4は、例えば、シャッターカーテン3とX方向に並んだ状態で、巻取軸12と躯体103との間のX方向のスペースに収納される。シャッターケース11は、収容部の一例である。
【0032】
また、シャッターケース11には、シャッターカーテン3および止水板4が出入りする開口部が設けられている。開口部は、シャッターケース11の底壁11aをZ方向に貫通するとともにシャッターカーテン3および止水板4に沿ってY方向に細長く延びた長穴である。
【0033】
巻取軸12は、シャッターケース11にY方向に沿った回転中心Ax1回りに回転可能に支持されている。巻取軸12には、シャッターカーテン3の上端が接続されている。巻取軸12は、回転中心Ax1回りに回転することで、シャッターケース11内にシャッターカーテン3を巻き取って収納したり、シャッターケース11外にシャッターカーテン3を繰り出したりする。
【0034】
開閉機13は、例えば、駆動源としてのモータや、巻取軸12の回転を制動するブレーキ機構、モータおよびブレーキ機構を制御する制御部等を有している。開閉機13は、チェーンやスプロケット等を含む動力伝達機構15を介して、巻取軸12と接続されている。これにより、開閉機13から巻取軸12に駆動力が伝達される。巻取軸12、開閉機13、および動力伝達機構15は、駆動機構の一例である。
【0035】
図3は、
図1のII-II断面図であって、止水板4が開位置P2に位置された状態の図である。
図2,3に示されるように、シャッターカーテン3および止水板4は、建物開口101を閉じる閉位置P1(
図2参照)と、建物開口101を開く開位置P2(
図3参照)と、の間でZ方向に沿って移動可能に構成されている。
【0036】
シャッターカーテン3および止水板4の開方向は、
図1~3の上方(Z方向)、すなわち設置面110から離れる方向であり、閉方向は、
図1~3の下方、すなわち設置面110に近付く方向である。本実施形態では、止水板4は、シャッターカーテン3の上昇に伴い被引掛部44によって開方向へと移動する一方で、シャッターカーテン3の下降に伴い自重によって閉方向へと移動する。
【0037】
止水板4が閉位置P1に位置された状態では、後述する止水ゴム42(
図4参照)と設置面110の段差面111とが当接し、シャッターカーテン3とともに建物開口101が閉じられる。これにより、止水板4と設置面110との間がシールされ、建物開口101を介した屋内側への雨水等の水の浸入が、防止(阻止、抑制)される。
【0038】
また、止水板4が開位置P2(
図3参照)に位置された状態では、止水板4が設置面110からシャッターカーテン3とともにZ方向に離間し、建物開口101が開放される。ここで、本実施形態では、開位置P2では、止水板4がシャッターカーテン3とともにシャッターケース11内に収納される。これにより、止水板4によって外観が損なわれたり、建物開口101が狭まったりするのが抑制され、ひいては建物開口101を通る自動車等の車両と止水板4との干渉(接触)を抑制することができる。
【0039】
図4は、
図2の止水板4の近傍の拡大図であり、
図5は、
図2のV-V断面図である。
図4,5に示されるように、止水板4は、例えば、パネル部41と、止水ゴム42,43と、被引掛部44と、スライダ45,46と、カバー部47と、を有している。パネル部41は、止水板本体等とも称される。
【0040】
パネル部41のY方向の両端部は、ガイドレール5の溝部5a(
図5参照)によって上述した閉位置P1と開位置P2との間でZ方向に沿って移動可能に支持されている。パネル部41は、浸水時の水圧に耐えうる剛性を有している。パネル部41は、例えば、アルミニウムを含む防錆性を有する軽量の金属板のフレームの内部に充填剤を充填すること等によって構成されている。
【0041】
止水ゴム42(
図4参照)は、例えば、パネル部41の屋内側の後面に設けられ、当該後面の下端部を覆っている。止水ゴム42は、Z方向に所定の幅を有し、Y方向に沿って細長く延びた帯板状に構成されている。止水ゴム42は、例えば、合成ゴムのようなエラストマで作られる。止水ゴム42は、底部止水ゴムや、第一シール部材、第一区間等とも称される。
【0042】
止水ゴム42は、止水板4が閉位置P1に位置された状態で、設置面110に設けられた段差面111とパネル部41との間に介在する。止水ゴム42は、段差面111とパネル部41との間に挟まれることで、弾性的に圧縮され、面圧を生じる。この面圧によって、段差面111とパネル部41との間から屋内側に水が浸入するのが抑制される。
【0043】
なお、止水ゴム42は、この例には限定されず、例えば、段差面111側に設けられてもよい。段差面111は、設置面110において、シャッターカーテン3が当接する水平面112と交差(直交)するとともに、当該水平面112よりも前方(屋外側)に一段下がっている。段差面111は、垂直面等とも称されうる。
【0044】
止水ゴム43は、例えば、パネル部41の後面に設けられ、当該後面のY方向の両端部を覆っている。
図5にも示されるように、止水ゴム43は、Y方向に所定の幅を有し、Z方向に沿って細長く延びた帯板状に構成されている。止水ゴム43は、例えば、合成ゴムのようなエラストマで作られる。止水ゴム43は、側部止水ゴムや、第二シール部材、第二区間等とも称される。
【0045】
止水ゴム43は、止水板4が閉位置P1に位置された状態で、溝部5aの屋内側の側面とパネル部41との間に介在する。止水ゴム43は、溝部5aの側面とパネル部41との間に挟まれることで、弾性的に圧縮され、面圧を生じる。この面圧によって、溝部5aの側面とパネル部41との間から屋内側に水が浸入するのが抑制される。なお、止水ゴム43は、この例には限定されず、例えば、溝部5a側に設けられてもよい。
【0046】
被引掛部44は、例えば、パネル部41の後面に設けられている。被引掛部44は、パネル部41からシャッターカーテン3側、すなわち後方(X方向の反対方向)に突出し、Y方向に延びている。被引掛部44は、座板32とZ方向に重なって位置されている。被引掛部44は、引掛プレート等とも称される。
【0047】
図4に示されるように、被引掛部44は、止水板4が閉位置P1に位置された状態では、座板32とZ方向に間隔をあけて面している。本実施形態では、例えば、被引掛部44と座板32とのX方向の重なり量は、ガイドレール5の傾斜面5b1(
図3参照)のX方向に沿った幅よりも大きくなるよう設定されている。
【0048】
これにより、例えば、止水板4が傾斜面5b1によって下方かつ屋内側にガイドされる場合でも、座板32および被引掛部44のZ方向の引っ掛かりによるシャッターカーテン3と止水板4との連動状態が解除されるのが抑制されている。
【0049】
なお、本実施形態では、座板32の上面には、例えば、発泡性の合成樹脂材料やゴム等によって構成された弾性部材33が設けられている。弾性部材33は、座板32と被引掛部44との間に介在することによって、座板32と被引掛部44との緩衝を抑制する。弾性部材33は、緩衝材や、クッション材等とも称される。
【0050】
スライダ46(
図5参照)は、例えば、パネル部41のY方向の両端面に設けられている。スライダ46は、溝部5aの底部に設けられた溝部5bにZ方向に沿って移動可能に支持されている。スライダ46は、例えば、溝部5bの側面や、上述した傾斜面5b1(
図3参照)を転動可能なローラ等である。これにより、止水板4は、ガイドレール5に沿って円滑に移動することができる。
【0051】
スライダ45(
図2参照)は、例えば、パネル部41の屋外側の前面におけるY方向の両端部に設けられている。スライダ45は、例えば、案内機構52の傾斜面52aを転動可能なローラ等である。なお、スライダ45は、この例には限定されず、パネル部41に対して回転不能に設けられてもよい。
【0052】
カバー部47(
図4参照)は、例えば、パネル部41の屋外側の前面における下方の二つの角部に設けられている。カバー部47は、例えば、前壁47aや、下壁47b、屈曲部47c等を有し、パネル部41の角部を覆っている。すなわち、カバー部47は、パネル部41のコーナーガードとして機能している。これにより、パネル部41の角部の保護性を高めることができる。
【0053】
また、屈曲部47cは、案内機構51の傾斜面51aにスライド可能に支持されている。
図2,3に示されるように、本実施形態では、止水板4が閉位置P1に向かう際に、屈曲部47cおよびスライダ45,46が案内機構51,52の傾斜面51a,52a,5b1に沿って下方かつ屋内側へスライドし、ひいては止水板4が下方かつ屋内側に向けて移動する。これにより、止水ゴム42がパネル部41と段差面111とによってX方向に弾性的に圧縮されるとともに、止水ゴム43がパネル部41と溝部5aの屋内側の側面とによってX方向に弾性的に圧縮された状態が得られる。
【0054】
以上のように、本実施形態では、例えば、止水装置1は、建物開口101の下方の設置面110と当接可能に設けられ、上下方向に移動することで建物開口101を開閉するシャッターカーテン3と、建物開口101の上方に位置され、シャッターカーテン3を巻き取り駆動する巻取軸12(駆動機構)を有した巻取装置6(駆動装置)と、シャッターカーテン3と建物開口101のX方向(屋外側)に並ぶとともに設置面110と当接可能に設けられ、シャッターカーテン3と連動して上下方向に移動可能に構成された止水板4と、を備える。
【0055】
このような構成によれば、止水板4とシャッターカーテン3とを建物開口101のX方向(屋外側)に並列に設けることができるため、例えば、建物開口101を開放する開位置P2(開状態)において、建物開口101が止水板4によって狭まるのを抑制できる。また、例えば、建物開口101を閉じる閉位置P1(閉状態)において、屋外側から屋内側へ向かう雨水等を止水板4およびシャッターカーテン3によって二重に堰き止めることができるため、建物開口101からの浸水がより抑制されやすい。
【0056】
また、本実施形態では、例えば、止水板4は、シャッターカーテン3に対して巻取装置6を取り付ける躯体103側にずれて位置される。このような構成によれば、例えば、建物開口101を開放する開位置P2(開状態)において、止水板4を躯体103と巻取軸12に収容された(巻き取られた)シャッターカーテン3との間のX方向のスペースに収納することができる。
【0057】
また、本実施形態では、例えば、止水板4は、建物開口101を開放する開位置P2(開状態)において、シャッターカーテン3とともに巻取装置6のシャッターケース11(収容部)内に収容される。このような構成によれば、例えば、止水板4が開位置P2においてシャッターケース11から極力露出するのが抑制され、ひいては止水板4によって外観が損なわれたり、建物開口101が狭まったりするのを抑制できる。
【0058】
また、本実施形態では、設置面110には、シャッターカーテン3が当接する水平面112と、当該水平面112と交差し止水板4が当接する段差面111と、が設けられている。このような構成によれば、例えば、止水板4が閉位置P1においてシャッターカーテン3とともに水平面112と当接する場合と比べて、屋外側から屋内側へ向かう雨水等の侵入経路が屈曲する分、建物開口101からの浸水がより一層抑制されやすい。
【0059】
また、本実施形態では、例えば、止水板4は、シャッターカーテン3に対してX方向(屋外側)に位置され、止水板4を下方かつ屋内側の段差面111へ向けて案内する傾斜面51aが設けられた案内機構51を備える。このような構成によれば、例えば、案内機構51の傾斜面51aによって止水板4を段差面111に向けて案内することができ、ひいては止水板4の閉位置P1における段差面111との間の密着性(シール性)がより高まりやすい。
【0060】
また、本実施形態では、例えば、シャッターカーテン3は、設置面110と当接可能な座板32を有し、止水板4には、シャッターカーテン3側に突出し、座板32と上下方向に引っ掛かることによってシャッターカーテン3と連動する被引掛部44が設けられている。このような構成によれば、例えば、座板32と被引掛部44との引っ掛かりを利用した比較的簡素な構成によって、止水板4をシャッターカーテン3と連動させることができる。
【0061】
[第1変形例]
図6は、第1変形例の止水装置1Aの一部の断面図である。止水装置1Aは、上記実施形態の止水装置1と同様の構成を備えている。よって、止水装置1Aは、当該同様の構成に基づく上記実施形態と同様の作用および効果を得ることができる。
【0062】
ただし、本変形例では、
図6に示されるように、座板32にZ方向に突出した突出部32aが設けられている点が、上記実施形態と相違している。突出部32aは、例えば、座板32のY方向の略中央部に位置され、被引掛部44に沿ってY方向に延びている。なお、突出部32aは、この例には限定されず、例えば、複数の突出部32aがY方向に間欠的に設けられてもよい。
【0063】
また、被引掛部44には、突出部32aがZ方向に貫通する開口部44aが設けられている。本実施形態では、例えば、開口部44aの縁部と突出部32aとの当接によって、止水板4のシャッターカーテン3に対するXY平面への移動が制限されている。すなわち、突出部32aおよび開口部44aの縁部は、位置決め部の一例である。
【0064】
このように、本変形例によれば、例えば、突出部32aおよび開口部44aによって、止水板4のシャッターカーテン3に対するZ方向と交差した交差方向(XY平面)への位置ずれが抑制され、ひいては座板32と被引掛部44との引っ掛かりによるシャッターカーテン3と止水板4との連動状態がより確実に得られやすい。
【0065】
なお、本変形例では、座板32に突出部32aが設けられ、被引掛部44に開口部44aが設けられた場合が例示されたが、この例には限定されず、例えば、被引掛部44に突出部が設けられ、座板32に開口部が設けられてもよい。
【0066】
[第2変形例]
図7は、第2変形例の止水装置1Bの一部の断面図である。止水装置1Bは、上記第1変形例の止水装置1Aと同様の構成を備えている。よって、止水装置1Bは、当該同様の構成に基づく上記第1変形例と同様の作用および効果を得ることができる。
【0067】
ただし、本変形例では、
図7に示されるように、座板32にループ状の突出部32bが設けられている点が、上記第1変形例と相違している。突出部32bは、例えば、座板32のY方向の略中央部に位置され、被引掛部44に沿ってY方向に延びている。突出部32bには、Y方向に貫通する開口部32cが設けられている。なお、突出部32bは、この例には限定されず、例えば、複数の突出部32bがY方向に間欠的に設けられてもよい。
【0068】
また、被引掛部44は、例えば、パネル部41からX方向の反対方向に突出し、かつY方向に延びた略L字状に構成されている。被引掛部44は、フック部等とも称される。本実施形態では、例えば、被引掛部44の先端が開口部32c内に挿入されることによって、被引掛部44と突出部32bとが互いに係合される。これにより、止水板4のシャッターカーテン3に対するX方向、Y方向、およびZ方向への移動が制限され、ひいてはシャッターカーテン3と止水板4との連動状態がより一層確実に得られやすい。特に、シャッターカーテン3の下降に伴って突出部32bの上壁が被引掛部44を下方に押し下げることによって、止水板4が開位置P2から閉位置P1へとより確実に移動しうる。
【0069】
なお、止水板4は、この例には限定されず、例えば、閉位置P1において座板32が水平面112から僅かに上方に離間した状態で突出部32bの上壁が被引掛部44を下方に押し下げることにより、止水ゴム42を段差面111により密着させるようにしてもよい。また、被引掛部44は、この例には限定されず、例えば、突出部32bに結合(固定)されてもよい。
【0070】
以上、本発明の実施形態および変形例が例示されたが、上記実施形態および変形例は一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態および変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各構成や、形状、等のスペック(構造や、種類、方向、形式、大きさ、長さ、幅、厚さ、高さ、数、配置、位置、材質等)は、適宜に変更して実施することができる。
【0071】
例えば、駆動装置は、シャッターカーテンを巻き取り駆動する巻取軸等を有した巻取装置には限定されず、例えば、折り畳み駆動する駆動機構を有した折り畳み装置や、分離重合駆動する駆動機構を有した分離重合装置、さらには送り込み駆動する駆動機構を有した送込装置等、シャッターカーテンの駆動形式による駆動装置は、種々に変更可能である。また、収容部内とは、シャッターカーテンや駆動装置全体あるいは一部を囲うように設置されるシャッターケース内や、シャッターケースの無い単にシャッターカーテンを開放した際にシャッターカーテンが収容される空間部内をも含む。また、シャッターカーテンは、複数のスラットで構成されているもの以外に、例えば、複数のパネルやパイプで構成されているもの等でもよい。
【符号の説明】
【0072】
1,1A,1B…止水装置、3…シャッターカーテン、4…止水板、6…巻取装置(駆動装置)、11…シャッターケース(収容部)、12…巻取軸(駆動機構)、32…座板、32a…突出部、44…被引掛部、44a…開口部、51,52…案内機構、5b1,51a,52a…傾斜面、101…建物開口、103…躯体、110…設置面、111…段差面、112…水平面、P1…閉位置(閉状態)、P2…開位置(開状態)、Z…上下方向。