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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-28
(45)【発行日】2023-04-05
(54)【発明の名称】制御装置、制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/16 20060101AFI20230329BHJP
   A63F 13/28 20140101ALI20230329BHJP
   A63F 13/54 20140101ALI20230329BHJP
   G06F 3/01 20060101ALI20230329BHJP
   H04R 3/00 20060101ALI20230329BHJP
【FI】
G06F3/16 610
A63F13/28
A63F13/54
G06F3/01 560
H04R3/00 310
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019164227
(22)【出願日】2019-09-10
(65)【公開番号】P2021044648
(43)【公開日】2021-03-18
【審査請求日】2022-03-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100140958
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137888
【弁理士】
【氏名又は名称】大山 夏子
(72)【発明者】
【氏名】大西 剛史
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 史明
(72)【発明者】
【氏名】中井 裕真
【審査官】田川 泰宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-96171(JP,A)
【文献】国際公開第2015/001875(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/16
A63F 13/28
A63F 13/54
G06F 3/01-3/04895
H04R 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物が接触する接触領域を有する入力部に対して前記対象物による前記接触領域への接触を伴う操作がなされたと判定された場合、音出力部に音を出力させる制御部を備え、
前記制御部は、前記音出力部に音を出力させる制御における制御パラメータとして、音の鋭さを示すシャープネスの最大値であるシャープネスピークを調整する、制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記シャープネスピークを第1の基準値よりも大きくなるように調整し、
前記第1の基準値は、前記音出力部から出力される音を知覚不能なほど小さな前記シャープネスピークである、請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記シャープネスピークを第2の基準値よりも小さくなるように調整し、
前記第2の基準値は、前記音出力部から出力される音を知覚不能なほど大きな前記シャープネスピークである、請求項1又は2記載の制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記制御パラメータとして、ラウドネスピークを、前記シャープネスピークと共に調整し、
前記ラウドネスピークは、音の強さを示すラウドネスの最大値である、請求項1~3のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記シャープネスピークを第1の基準値よりも大きくなるように調整する場合、前記ラウドネスピークを第3の基準値よりも大きくなるように調整し、
前記第1の基準値は、前記音出力部から出力される音を知覚不能なほど小さな前記シャープネスピークであり、
前記第3の基準値は、前記音出力部から出力される音を知覚不能な前記ラウドネスピークである、請求項4に記載の制御装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記シャープネスピークを第2の基準値よりも小さくなるように調整する場合、前記ラウドネスピークを第4の基準値よりも小さくなるように調整し、
前記第2の基準値は、前記音出力部から出力される音を知覚不能なほど大きな前記シャープネスピークであり、
前記第4の基準値は、前記音出力部から出力される音を知覚可能な前記ラウドネスピークである、請求項4又は5に記載の制御装置。
【請求項7】
前記シャープネスは、人が知覚する音の鋭さを示す、請求項1~6のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項8】
対象物が接触する接触領域を有する入力部に対して前記対象物による前記接触領域への接触を伴う操作がなされたと判定された場合、音出力部に音を出力させること、
を含み、
前記音出力部に音を出力させることは、前記音出力部に音を出力させる制御における制御パラメータとして、音の鋭さを示すシャープネスの最大値であるシャープネスピークを調整することを含む、制御方法。
【請求項9】
コンピュータを、
対象物が接触する接触領域を有する入力部に対して前記対象物による前記接触領域への接触を伴う操作がなされたと判定された場合、音出力部に音を出力させる制御部、
として機能させ、
前記制御部は、前記音出力部に音を出力させる制御における制御パラメータとして、音の鋭さを示すシャープネスの最大値であるシャープネスピークを調整する、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ユーザ操作に対しフィードバックを出力する技術が盛んに検討されている。例えば、下記特許文献1では、ユーザが操作受付部を押下した場合に操作受付部を振動させることで、ユーザに対し触覚をフィードバックする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-287231号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1に記載の技術では、単なる振動がフィードバックされるのみであった。そのため、フィードバックは、ユーザ操作が受け付けられたか否かをユーザに通知するもの以上の意味を持たなかった。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、フィードバックの表現力を向上させることが可能な仕組みを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、対象物が接触する接触領域を有する入力部に対して前記対象物による前記接触領域への接触を伴う操作がなされたと判定された場合、音出力部に音を出力させる制御部を備え、前記制御部は、前記音出力部に音を出力させる制御における制御パラメータとして、音の鋭さを示すシャープネスの最大値であるシャープネスピークを調整する、制御装置が提供される。
【0007】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、対象物が接触する接触領域を有する入力部に対して前記対象物による前記接触領域への接触を伴う操作がなされたと判定された場合、音出力部に音を出力させること、を含み、前記音出力部に音を出力させることは、前記音出力部に音を出力させる制御における制御パラメータとして、音の鋭さを示すシャープネスの最大値であるシャープネスピークを調整することを含む、制御方法が提供される。
【0008】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、コンピュータを、対象物が接触する接触領域を有する入力部に対して前記対象物による前記接触領域への接触を伴う操作がなされたと判定された場合、音出力部に音を出力させる制御部、として機能させ、前記制御部は、前記音出力部に音を出力させる制御における制御パラメータとして、音の鋭さを示すシャープネスの最大値であるシャープネスピークを調整する、プログラムが提供される。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように本発明によれば、フィードバックの表現力を向上させることが可能な仕組みが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の一実施形態に係るシステムの構成の一例を示す図である。
図2】本実施形態に係る制御パラメータと制御パラメータを調整することで創出される感覚との関係の一例を示す図である。
図3】本実施形態に係る制御パラメータの一例を説明するための図である。
図4】本実施形態に係る制御パラメータの一例を説明するための図である。
図5】本実施形態に係るシステムにおいて実行されるフィードバック処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0012】
<1.構成例>
図1は、本開示の一実施形態に係るシステム1の構成の一例を示す図である。図1に示すように、本実施形態に係るシステム1は、入力装置100、制御装置200、及び音出力装置300を含む。とりわけ、図1において、入力装置100は、断面図として図示されている。また、図1において、制御装置200は、ブロック図として図示されている。
【0013】
(1)入力装置100
入力装置100は、対象物による接触を伴う操作を受け付ける装置である。対象物とは、入力装置100を操作して情報を入力する任意の物体である。例えば、対象物としては、ユーザの指、手の平、ユーザが手に持つ各種の物体等が挙げられる。対象物による接触を伴う操作としては、例えば、後述する操作受付部110の接触領域111を押し下げる操作である押下操作が挙げられる。入力装置100は、本発明における入力部の一例である。
【0014】
図1に示すように、入力装置100は、操作受付部110、検出部120、アクチュエータ130、及び支持材140を含む。そして、図1に示すように、操作受付部110、検出部120、アクチュエータ130、及び支持材140は、一方向に沿って、順に設けられている。かかる一方向のうち、操作受付部110の方を上方とも称し、支持材140の方を下方とも称する。
【0015】
操作受付部110は、対象物による接触を伴う操作を受け付ける部材である。操作受付部110は、対象物が接触する接触領域111を有する。接触領域111とは、対象物が接触する領域である。
【0016】
本実施形態においては、操作受付部110をタッチパネルとして構成してもよい。この場合、上方から見た接触領域111の形状は、長方形、円形又は角丸長方形等、任意である。なお、操作受付部110は、対象物による接触を伴う操作を受け付ける部材であれば、タッチパネルとして構成されている場合に限らず、操作を受け付ける各種のボタン、各種のノブ、各種のレバーなどとして構成されていてもよい。
【0017】
検出部120は、操作受付部110を介した操作を検出するための指標を出力するセンサである。本実施形態における検出部120は、例えば、操作受付部110にかかる圧力を検出する感圧センサであってもよい。そして、検出部120は、検出した圧力を示すセンサ情報を制御装置200に送信する。
【0018】
なお、本発明における検出部120は、感圧センサに限らず、操作受付部110を介した操作を検出するための指標を出力するセンサであれば、操作受付部110にかかる力を検出して出力する力センサであってもよいし、操作受付部110にかかる荷重を検出して出力する荷重センサであってもよい。さらには、検出部120は、操作受付部110の操作によって導線を導通遮断する接点であってもよい。
【0019】
アクチュエータ130は、制御装置200による制御に基づいて振動する。アクチュエータ130は、例えば、リニアモータアクチュエータ及びボイスコイルモータ等により構成される。
【0020】
ここで、操作受付部110と検出部120とアクチュエータ130とは接続される。従って、アクチュエータ130が振動すると、それに連動して操作受付部110も振動する。
【0021】
支持材140は、入力装置100が含む各構成要素を支持する部材である。支持材140は、アクチュエータ130を支持する。
【0022】
(2)音出力装置300
音出力装置300は、音を出力する装置である。音出力装置300は、制御装置200による制御に基づいて音を出力する。音出力装置300は、入力装置100を操作するユーザに対し音を出力可能に配置される。例えば、音出力装置300は、入力装置100の周囲に配置されてもよいし、ユーザの耳元に配置されてもよい。音出力装置300は、例えば、スピーカ及びヘッドフォン等により構成される。音出力装置300は、本発明における音出力部の一例である。
【0023】
(3)制御装置200
制御装置200は、システム1全体の動作を制御する装置である。図1に示すように、制御装置200は、制御部210及び記憶部220を含む。
【0024】
記憶部220は、制御装置200による動作のための各種情報を記憶する機能を有する。例えば、記憶部220は、後述する制御パラメータの各種基準値を記憶する。記憶部220は、例えば、フラッシュメモリ等の任意の記録媒体、及び当該記録媒体への情報の読み書きを実行する記録再生装置を含む。
【0025】
制御部210は、システム1の動作全般を制御する。制御部210は、例えばCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、及びECU(Electronic Control Unit)等の電子回路により実現される。例えば、制御部210は、検出部120から受信したセンサ情報に基づいて音出力装置300に音を出力させる。詳しくは、まず、制御部210は、センサ情報に基づいて、操作受付部110に対し対象物による接触領域111への接触を伴う操作がなされたか否かを判定する。例えば、制御部210は、検出部120により検出された圧力が所定の閾値を超えた場合に当該操作がなされたと判定し、検出部120により検出された圧力が所定の閾値を超えない場合に当該操作がなされていないと判定する。そして、制御部210は、操作受付部110に対し対象物による接触を伴う操作がなされたと判定された場合、音出力装置300に音を出力させる。これにより、ユーザは、操作受付部110に対し接触を伴う操作を行うと、音によるフィードバックを受けることが可能となる。
【0026】
さらに、制御部210は、操作受付部110に対し対象物による接触を伴う操作がなされたと判定された場合、アクチュエータ130を振動させることで、操作受付部110(より正確には、接触領域111)を振動させてもよい。これにより、ユーザは、操作受付部110に対し接触を伴う操作を行うと、振動によるフィードバックを受けることが可能となる。
【0027】
<2.技術的特徴>
制御部210は、音出力装置300に音を出力させる制御における制御パラメータを調整する。制御パラメータとは、音出力装置300から出力される音を定義する値である。例えば、音を定義するパラメータは、周波数に関するパラメータ、及び音量に関するパラメータ等を含む。制御部210は、調整後の制御パラメータに従った音を音出力装置300に出力させるための信号を生成し、生成した信号を音出力装置300に入力する。これにより、音出力装置300は、調整後の制御パラメータに従った音を出力することができる。また、制御パラメータを調整することで、様々な感覚を創出することが可能となる。換言すると、制御パラメータを適切に調整することで、所望の感覚をユーザに知覚させることが可能となる。これにより、フィードバックの表現力が向上する。制御パラメータを調整することで様々な感覚が創出される点について、図2を参照しながら詳しく説明する。
【0028】
図2は、本実施形態に係る制御パラメータと制御パラメータを調整することで創出される感覚との関係の一例を示す図である。図2の左側は制御パラメータであり、右側は感覚である。図2に示した関係は、本発明者らが行った実験により明らかになった関係である。本発明者らは、制御パラメータを変化させたときに、入力装置100に対し押下操作を行ってフィードバックを受けたユーザがどのような感覚を知覚したかを回答させる実験を行った。そして、本発明者らは、複数人のユーザに対する実験結果に基づいて、制御パラメータと感覚との組み合わせに関し相関分析を行った。
【0029】
図2において、実線のリンクで接続された制御パラメータと感覚との組み合わせは、第1の閾値以上の相関係数が算出された、正の相関関係を有する組み合わせである。即ち、制御パラメータを正の方向に変化させると、当該制御パラメータと実線のリンクで接続された感覚が正の方向に変化する。ここで、制御パラメータを正の方向に変化させるとは、制御パラメータの値を大きくすることを指す。また、感覚が正の方向に変化するとは、典型的には、ユーザに知覚される感覚が強くなることを指す。一方で、制御パラメータを負の方向に変化させると、当該制御パラメータと実線のリンクで接続された感覚が負の方向に変化する。ここで、制御パラメータを負の方向に変化させるとは、制御パラメータの値を小さくすることを指す。また、感覚が負の方向に変化するとは、典型的には、ユーザに知覚される感覚が弱くなることを指す。なお、第1の閾値の一例として、0.6が考えられる。
【0030】
図2において、破線のリンクで接続された制御パラメータと感覚との組み合わせは、第2の閾値以下の相関係数が算出された、負の相関関係を有する組み合わせである。即ち、制御パラメータを正の方向に変化させると、当該制御パラメータと破線のリンクで接続された感覚が負の方向に変化する。一方で、制御パラメータを負の方向に変化させると、当該制御パラメータと破線のリンクで接続された感覚が正の方向に変化する。なお、第2の閾値の一例として、-0.6が考えられる。
【0031】
(1)創出される感覚
図2に示すように、創出される感覚は、高さ、乾湿、高級感、及び金属感を含む。以下、各感覚について説明する。
【0032】
高さ(tune)とは、人が知覚する音の高さである。高いと知覚することは、音が高いと知覚することを指す。低いと知覚することは、音が低いと知覚することを指す。ここで、高さが正の方向に変化するとは、ユーザが、変化前と比較して高いと知覚することを指す。高さが負の方向に変化するとは、ユーザが、変化前と比較して低いと知覚することを指す。
【0033】
乾湿(dry and wet)とは、操作に対する追従の程度のうち、滑らかな追従を示す感覚である。さらに言えば、乾湿とは、硬さ、大きさ、高さなどから連想される、湿った/乾いたという水分量のイメージに関連する感覚である。乾いていると知覚することは、操作に対する追従の程度のうち、滑らかな追従を示す感覚が小さいと知覚することを指す。湿っていると知覚することは、操作に対する追従の程度のうち、滑らかな追従を示す感覚が大きいと知覚することを指す。ここで、乾湿が正の方向に変化するとは、ユーザが、変化前と比較して乾いたと知覚することを指す。乾湿が負の方向に変化するとは、ユーザが、変化前と比較して湿ったと知覚することを指す。
【0034】
高級感(sense of quality)とは、重厚で、しっとりした、存在感のある感覚である。高級であると知覚することは、重厚で、しっとりとしており、存在感があると知覚することを指す。安っぽいと知覚することは、重厚ではなく、しっとりとしておらず、存在感がないと知覚することを指す。ここで、高級感が正の方向に変化するとは、ユーザが、変化前と比較して高級と知覚することを指す。高級感が負の方向に変化するとは、ユーザが、変化前と比較して安っぽいと知覚することを指す。
【0035】
金属感(sense of metal)とは、重たく、小さく、高く、且つ一体感を感じられる感覚である。金属感があると知覚することは、重たく、小さく、高く、且つ一体感があると感じることを指す。金属感がないと知覚することは、軽く、大きく、低く、且つ一体感がないと感じることを指す。ここで、金属感が正の方向に変化するとは、ユーザが、変化前と比較して金属感があると知覚することを指す。金属感が負の方向に変化するとは、ユーザが、変化前と比較して金属感がないと知覚することを指す。
【0036】
(2)制御パラメータの調整
調整される制御パラメータとしては、シャープネスピークが挙げられる。本実施形態では、ラウドネスピークを、シャープネスピークに加えて、調整される制御パラメータとしてもよい。以下、各制御パラメータの調整について説明する。
【0037】
-シャープネスピーク
シャープネスピークは、音の鋭さを示すシャープネスの最大値である。シャープネスとは、音の鋭さを示す指標である。とりわけ、シャープネスは、人が知覚する音の鋭さを示す指標である。典型的なシャープネスの単位はacumである。一例として、1kHzを中心とする、音圧レベルが60dBである狭帯域雑音のシャープネスが、1acumに相当する。なお、シャープネスピークは、シャープネスの極大値であってもよい。シャープネスピークについて、図3を参照しながら詳しく説明する。
【0038】
図3は、本実施形態に係る制御パラメータの一例を説明するための図である。図3の縦軸は、シャープネスを示している。シャープネスの単位はacumである。図3の横軸は時間を示している。時間の単位はミリ秒である。図3では、フィードバックとして出力される音のシャープネスの時系列変化が示されている。図3に示すように、シャープネススピーク40は、シャープネスの最大値である。
【0039】
制御部210は、シャープネスピークを調整する。これにより、図2に示すように、高さ、乾湿、高級感、及び金属感、といったユーザに知覚される感覚を調整することが可能となる。図2に示すように、シャープネスピークは、高さ、乾湿、及び金属感との間で、正の相関関係を有する。そのため、シャープネスピークを正の方向に調整することで、これらの感覚を正の方向に変化させることが可能となる。また、シャープネスピークを負の方向に調整することで、これらの感覚を負の方向に変化させることが可能となる。また、図2に示すように、シャープネスピークは、高級感との間で、負の相関関係を有する。そのため、シャープネスピークを正の方向に調整することで、この感覚を負の方向に変化させることが可能となる。また、シャープネスピークを負の方向に調整することで、この感覚を正の方向に変化させることが可能となる。
【0040】
一例として、制御部210は、シャープネスピークを第1の基準値よりも大きくなるように調整してもよい。第1の基準値は、音出力装置300から出力される音を知覚不能なほど小さなシャープネスピークである。なお、シャープネスピークが小さすぎる場合、出力される音の周波数が人の可聴域の下限を下回り、人は音を知覚不能になると考えられる。第1の基準値の一例は、0である。図2に示すように、かかる調整により、調整前と比較して、高く、乾いており、安っぽく、且つ金属感がある、とユーザに知覚させることが可能となる。もしくは、第1の基準値は、音出力装置300から出力される音を知覚可能なシャープネスピークであってもよい。その場合、調整前後で共に音が知覚されるので、調整による感覚の変化をユーザに明確に知覚させることが可能となる。
【0041】
なお、第1の基準値として、調整が加えられる前のシャープネスピークを用いても良い。この場合、シャープネスピークを第1の基準値よりも大きくなるように調整することで、高く、乾いており、安っぽく、且つ金属感がある、とユーザに知覚させることを、より柔軟に制御できる。
【0042】
他の一例として、制御部210は、シャープネスピークを第2の基準値よりも小さくなるように調整してもよい。第2の基準値は、音出力装置300から出力される音を知覚不能なほど大きなシャープネスピークである。なお、シャープネスピークが大きすぎる場合、出力される音の周波数が人の可聴域の上限を上回り、人は音を知覚不能になると考えられる。第2の基準値の一例は、無限大である。図2に示すように、かかる調整により、調整前と比較して、低く、湿っており、高級で、且つ金属感がない、とユーザに知覚させることが可能となる。もしくは、第2の基準値は、音出力装置300から出力される音を知覚可能なシャープネスピークであってもよい。その場合、調整前後で共に音が知覚されるので、調整による感覚の変化をユーザに明確に知覚させることが可能となる。
【0043】
なお、第2の基準値として、調整が加えられる前のシャープネスピークを用いても良い。この場合、シャープネスピークを第2の基準値よりも小さくなるように調整することで、低く、湿っており、高級で、且つ金属感がない、とユーザに知覚させることを、より柔軟に制御できる。
【0044】
ここで、シャープネスピークの調整は、シャープネスを調整することで実現される。そして、シャープネスの調整は、音の大きさ及び周波数の少なくともいずれかを変化させることで実現される。例えば、シャープネスを大きくする調整は、音出力装置300から出力される音の周波数を高くすることで、及び/又は低い周波数の音よりも高い周波数の音の大きさを大きくすることで、実現される。また、例えば、シャープネスを小さくする調整は、音出力装置300から出力される音の周波数を低くすることで、及び/又は高い周波数の音よりも低い周波数の音の大きさを大きくすることで、実現される。
【0045】
なお、シャープネスは、ある時間範囲の中での音の変化を示す指標であってもよい。その場合、シャープネスの調整は、ある時間範囲の中での音の大きさ及び周波数の少なくともいずれかを変化させることで、実現される。一例として、制御部210は、周波数を急激に変更し、音の大きさを緩やかに変更することで、シャープネスを調整してもよい。他の一例として、制御部210は、周波数を緩やかに変更し、音の大きさを急激に変更することで、シャープネスを調整してもよい。
【0046】
-ラウドネスピーク
ラウドネスピークは、音の強さを示すラウドネスの最大値である。ラウドネスとは、音の強さを示す指標である。とりわけ、ラウドネスは、人が知覚する音の強さを示す指標である。典型的なラウドネスの単位はsoneである。一例として、音圧レベルが40dBである、1000Hzの純音の音の強さが、1soneに相当する。なお、ラウドネスピークは、ラウドネスの極大値であってもよい。ラウドネスピークについて、図4を参照しながら詳しく説明する。
【0047】
図4は、本実施形態に係る制御パラメータの一例を説明するための図である。図4の縦軸は、ラウドネスを示している。ラウドネスの単位はsoneである。図4の横軸は時間を示している。時間の単位はミリ秒である。図4では、フィードバックとして出力される音のラウドネスの時系列変化が示されている。図4に示すように、ラウドネスピーク30は、ラウドネスの最大値である。
【0048】
制御部210は、ラウドネスピークを調整する。これにより、図2に示すように、高さ、乾湿、高級感、及び金属感、といったユーザに知覚される感覚を調整することが可能となる。図2に示すように、ラウドネスピークは、高さ、乾湿、及び金属感との間で、正の相関関係を有する。そのため、ラウドネスピークを正の方向に調整することで、これらの感覚を正の方向に変化させることが可能となる。また、ラウドネスピークを負の方向に調整することで、これらの感覚を負の方向に変化させることが可能となる。また、図2に示すように、ラウドネスピークは、高級感との間で、負の相関関係を有する。そのため、ラウドネスピークを正の方向に調整することで、この感覚を負の方向に変化させることが可能となる。また、ラウドネスピークを負の方向に調整することで、この感覚を正の方向に変化させることが可能となる。
【0049】
一例として、制御部210は、ラウドネスピークを第3の基準値よりも大きくなるように調整してもよい。第3の基準値は、音出力装置300から出力される音を知覚不能なラウドネスピークである。第3の基準値の一例は、0である。ラウドネスピークが大きいほど、ユーザが知覚する音は強くなるので、ユーザに音を知覚されやすくすることができる。さらには、図2に示すように、かかる調整により、調整前と比較して、高く、乾いており、安っぽく、金属感がある、とユーザに知覚させることが可能となる。もしくは、第3の基準値は、音出力装置300から出力される音を知覚可能なラウドネスピークであってもよい。その場合、調整前後で共に音が知覚されるので、調整による感覚の変化をユーザに明確に知覚させることが可能となる。
【0050】
なお、第3の基準値として、調整が加えられる前のラウドネスピークを用いても良い。この場合、ラウドネスピークを第3の基準値よりも大きくなるように調整することで、高く、乾いており、安っぽく、金属感がある、とユーザに知覚させることを、より柔軟に制御できる。
【0051】
他の一例として、制御部210は、ラウドネスピークを第4の基準値よりも小さくなるように調整してもよい。第4の基準値は、音出力装置300から出力される音を知覚可能なラウドネスピークである。第4の基準値の一例は、無限大である。ラウドネスピークが小さいほど、ユーザが知覚する音は弱くなるので、ユーザに音を知覚されにくくすることができる。さらには、図2に示すように、かかる調整により、調整前と比較して、低く、湿っており、高級で、金属感がない、とユーザに知覚させることが可能となる。
【0052】
なお、第4の基準値として、調整が加えられる前のラウドネスピークを用いても良い。この場合、ラウドネスピークを第4の基準値よりも小さくなるように調整することで、低く、湿っており、高級で、金属感がない、とユーザに知覚させることを、より柔軟に制御できる。
【0053】
ここで、ラウドネスピークの調整は、ラウドネスを調整することで実現される。そして、ラウドネスの調整は、音の強さを変化させることで実現される。例えば、ラウドネスを大きくする調整は、人の可聴域に含まれる周波数の音の強度を強くすることにより実現される。さらには、ラウドネスを大きくする調整は、人が聴き取りやすい周波数の音の強度を強くすることにより実現されてもよい。また、例えば、ラウドネスを小さくする調整は、人の可聴域に含まれる周波数の音の強度を弱くすることにより実現される。さらには、ラウドネスを小さくする調整は、人が聴き取りやすい周波数の音の強度を弱くすることにより実現されてもよい。
【0054】
(3)制御パラメータの調整の組み合わせ
制御部210は、制御パラメータとしてシャープネスピークを調整する。さらに、制御部210は、他の制御パラメータを、シャープネスピークと共に調整してもよい。
【0055】
一例として、制御部210は、ラウドネスピークを、シャープネスピークと共に調整してもよい。図2に示すように、シャープネスピークとラウドネスピークとは、高さ、乾湿、高級感、及び金属感とリンクで接続されている点で共通している。さらに、シャープネスピークとラウドネスピークとで、これらと共通にリンクで接続される感覚との相関関係の正負は同一である。そこで、制御部210は、シャープネスピークとラウドネスピークとを共に調整する場合、シャープネスピーク及びラウドネスピークを、互いに正負同一の方向に変化させる。これにより、シャープネスピーク及びラウドネスピークと共通にリンクで接続されている感覚の、正の方向への変化又は負の方向への変化を、より強めることが可能となる。
【0056】
詳しくは、制御部210は、シャープネスピークを第1の基準値よりも大きくなるように調整する場合、ラウドネスピークを第3の基準値よりも大きくなるように調整する。これにより、ラウドネスピーク又はシャープネスピークを単体で調整する場合と比較して、高く、乾いており、安っぽく、且つ金属感がある、といった感覚をより強くユーザに知覚させることが可能となる。一方で、制御部210は、シャープネスピークを第2の基準値よりも小さくなるように調整する場合、ラウドネスピークを第4の基準値よりも小さくなるように調整する。これにより、ラウドネスピーク又はシャープネスピークを単体で調整する場合と比較して、低く、湿っており、高級で、且つ金属感がない、といった感覚をより強くユーザに知覚させることが可能となる。
【0057】
(4)処理の流れ
以下、図5を参照しながら、本実施形態に係るフィードバック処理の流れについて説明する。図5は、本実施形態に係るシステム1において実行されるフィードバック処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0058】
図5に示すように、まず、制御部210は、対象物による接触領域111への接触を伴う操作がなされたか否かを判定する(ステップS102)。当該操作がなされていないと判定された場合(ステップS102:NO)、処理は再度ステップS102に戻る。一方で、当該操作がなされたと判定された場合(ステップS102:YES)、処理はステップS104に進む。
【0059】
ステップS104では、制御部210は、制御パラメータを調整する。詳しくは、制御部210は、シャープネスピークを調整する。その際、制御部210は、ラウドネスピークを、シャープネスピークと共に調整してもよい。そして、制御部210は、調整後の制御パラメータに従った音を音出力装置300に出力させる(ステップS106)。
【0060】
<3.補足>
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0061】
例えば、上記実施形態では、制御パラメータが、音出力装置300から出力される音を定義する値であるものと説明したが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、制御パラメータとして、音出力装置300から出力される音を定義する値を出力する関数が調整されてもよい。
【0062】
例えば、上記実施形態では、検出部120により検出された圧力に基づいて操作の有無を判定するものと説明したが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、操作受付部110は、接触領域111のうち対象物が接触した座標を検出する機能を有していてもよい。その場合、接触領域111のうち対象物が接触した座標が検出されたか否かに基づいて操作の有無が判定される。
【0063】
例えば、上記実施形態では、対象物による操作が押下操作であるものと説明したが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、操作受付部110が接触領域111のうち対象物が接触した座標を検出する機能を有していてもよい。そして、対象物による操作は、接触領域111に対象物が触れる操作であるタッチ操作であってもよいし、接触領域111に対象物が触れながら対象物を移動させる操作であるスライド操作であってもよい。
【0064】
なお、制御パラメータの調整のために使用される各種基準値は、固定であってもよいし、変化してもよい。例えば、基準値は、経時変化してもよい。一例として、基準値は、前回の調整の際に決定された制御パラメータの値であってもよい。その場合、ユーザに対し、前回の調整時と強さが異なる感覚を知覚させることが可能となる。
【0065】
また、本明細書において説明した各装置による一連の処理は、ソフトウェア、ハードウェア、及びソフトウェアとハードウェアとの組合せのいずれを用いて実現されてもよい。ソフトウェアを構成するプログラムは、例えば、各装置の内部又は外部に設けられる記録媒体(非一時的な媒体:non-transitory media)に予め格納される。そして、各プログラムは、例えば、コンピュータによる実行時にRAMに読み込まれ、CPUなどのプロセッサにより実行される。上記記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリ等である。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信されてもよい。
【0066】
また、本明細書においてフローチャートを用いて説明した処理は、必ずしも図示された順序で実行されなくてもよい。いくつかの処理ステップは、並列的に実行されてもよい。また、追加的な処理ステップが採用されてもよく、一部の処理ステップが省略されてもよい。
【符号の説明】
【0067】
1:システム、100:入力装置、110:操作受付部、120:検出部、130:アクチュエータ、140:支持材、200:制御装置、210:制御部、220:記憶部、300:音出力装置
図1
図2
図3
図4
図5