(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-28
(45)【発行日】2023-04-05
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
F24F 6/00 20060101AFI20230329BHJP
F24F 6/04 20060101ALI20230329BHJP
F24F 8/108 20210101ALI20230329BHJP
F24F 8/80 20210101ALI20230329BHJP
F24F 13/10 20060101ALI20230329BHJP
【FI】
F24F6/00 B
F24F6/04
F24F8/108 110
F24F8/108 310
F24F8/80 254
F24F8/80 400
F24F13/10 A
(21)【出願番号】P 2019167023
(22)【出願日】2019-09-13
【審査請求日】2022-03-14
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147304
【氏名又は名称】井上 知哉
(72)【発明者】
【氏名】小濱 卓
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 友亮
(72)【発明者】
【氏名】中村 芳紀
(72)【発明者】
【氏名】山田 慶太郎
【審査官】杉山 健一
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2010-0057330(KR,A)
【文献】特開2008-035998(JP,A)
【文献】特開2011-202815(JP,A)
【文献】米国特許第04759196(US,A)
【文献】特開2009-250504(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2011-0140045(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0073364(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 6/00
F24F 6/04
F24F 8/108
F24F 8/80
F24F 13/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気を吸込口から取り込み、吹出口から送出する送風機と、
空気を浄化するフィルタと、
前記フィルタで浄化した空気が送気される、第1の風路および第2の風路と、
前記第2の風路上に設けられ、前記第2の風路を通過する空気を加湿する加湿フィルタと、
前記第1の風路上に設けられ、前記第1の風路から前記第2の風路に向かう空気を調節する仕切部と、
前記第1の風路から前記第2の風路に向かう空気を通過させる開口部と、
を備え、
前記仕切部は、前記開口部を開閉可能に設けられ、回転軸を中心に回転することにより前記開口部を開閉させ、
前記回転軸は、前記開口部に対して、前記フィルタとは反対側に位置し、
前記仕切部は、前記開口部を閉じた状態から開いた状態にする場合に、前記回転軸とは反対の端部が、前記開口部における前記第1の風路の上流方向に変位
し、
前記開口部は、前記第2の風路上において、前記加湿フィルタよりも前記吹出口側で前記第1の風路から前記第2の風路に向かう空気を通過させる位置に配置される、
空気調和機。
【請求項2】
前記仕切部は、前記開口部を開いた場合に前記第1の風路を形成させ、前記開口部を閉じた場合に前記第1の風路を閉鎖させる、請求項
1に記載の空気調和機。
【請求項3】
前記仕切部は、前記回転軸を中心とした前記開口部に対する開口角度を多段階に調整可能である、請求項1
または2に記載の空気調和機。
【請求項4】
前記開口部が前記仕切部により閉じられた状態において、空気を加湿する加湿運転が行われる、請求項1から
3のいずれか1項に記載の空気調和機。
【請求項5】
前記加湿運転の場合に、前記加湿フィルタが水を吸い上げる構成とする、請求項
4に記載の空気調和機。
【請求項6】
空気の加湿量を増加させる運転を行う場合に、前記仕切部により前記開口部を閉じる、請求項1から
3のいずれか1項に記載の空気調和機。
【請求項7】
前記開口部を通過する前の前記第1の風路は、前記第2の風路の上方に設けられている、請求項1から
6のいずれか1項に記載の空気調和機。
【請求項8】
前記送風機は、前記開口部よりも前記吹出口側に設けられる、請求項1から
7のいずれか1項に記載の空気調和機。
【請求項9】
前記開口部を通過する前の前記第1の風路と、前記第2の風路と、を区画する区画壁をさらに備える、請求項1から
8のいずれか1項に記載の空気調和機。
【請求項10】
前記第1の風路を流れる空気は、第1の室及び第2の室を流れ、
前記第2の風路を流れる空気は、前記第2の室を流れる、
請求項1から
9のいずれか1項に記載の空気調和機。
【請求項11】
前記加湿フィルタは、回転式加湿フィルタである、請求項1から
10のいずれか1項に記載の空気調和機。
【請求項12】
前記送風機は、前記加湿フィルタに対して、前記フィルタとは反対側において、前記加湿フィルタに対向するように配置されている、請求項1から
11のいずれか1項に記載の空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和機は、例えば、加湿機能を備えた空気清浄機等がある。例えば、特許文献1には、空気清浄用フィルタを通過した空気を加湿手段で加湿して吹出口から放出する加湿空気流路と、空気清浄用フィルタを通過した空気を吹出口から放出する清浄空気流路とを備える空気清浄機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された空気清浄機では、高い加湿能力を得ようとする場合に、ファンの能力を上げると、加湿空気流路を通過する風量が増加する一方で、加湿手段を通過するための圧力が高いため清浄空気流路を通過する風量も増加しまい十分な加湿量を得られない可能性があった。また、常に2つの流路が開通することにより、空気清浄のみを行っても、加湿空気流路の間にある加湿手段に通気されるため、早く加湿手段が汚れてしまう問題もあった。本発明の一形態は、加湿機能や清浄機能時の風量を調整することができる空気調和機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)本発明の一形態の空気調和機は、空気を吸込口から取り込み、吹出口から送出する送風機と、空気を浄化するフィルタと、前記フィルタで浄化した空気が取り込まれる第1の室および第2の室と、前記第2の室に設けられ、前記第2の室に取り込まれる空気を加湿する加湿フィルタと、前記第1の室と前記第2の室とを連通する開口部を開閉し、前記第1の室から前記第2の室へ取り込まれる空気の風量を調節する仕切部と、を備え、前記第1の室から前記第2の室に取り込まれた空気又は/及び前記第2の室に取り込まれた空気が前記吹出口から送出される。
【0006】
(2)本発明の一形態の空気調和機は、前記開口部が前記第1の室と前記第2の室との間において、前記第2の室における前記加湿フィルタよりも前記吹出口側を連通する。
【0007】
(3)本発明の一形態の空気調和機は、前記第1の室は、前記第2の室の上方に設けられている。
【0008】
(4)本発明の一形態の空気調和機は、前記送風機が前記第2の室よりも前記吹出口側に設けられる。
【0009】
(5)本発明の一形態の空気調和機は、空気を加湿する加湿運転の場合には、前記仕切部を駆動することにより前記開口部を閉じる一方で、非加湿運転の場合には、前記仕切部を駆動することにより前記開口部を開く。
【0010】
(6)本発明の一形態の空気調和機は、前記加湿運転の場合には、前記加湿フィルタが水を吸い上げる構成とする一方、前記非加湿運転の場合には、前記加湿フィルタが水を吸い上げない構成とする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示の実施形態1に係る空気調和機の内部構成を示す側面断面図である。
【
図2】空気調和機の仕切板を閉じた状態を示す簡略化した側面断面図である。
【
図3】空気調和機の仕切板を開いた状態を示す簡略化した側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、図面については、同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0013】
(第1の実施形態)
本開示の実施形態1の空気調和機の具体的構成の一例について説明する。本開示の実施形態1の空気調和機は、例えば室内の空気を本体内に吸込み加湿し、加湿した空気を吹出す加湿機能と、室内の空気を装置内に吸込み清浄化し、清浄化した空気を吹出す空気清浄機能を備えている。
図1は本開示の実施形態1に係る空気調和機の内部構成を示す側面断面図である。
図2は空気調和機の仕切板を閉じた状態を示す簡略化した側面断面図である。
図3は空気調和機の仕切板を開いた状態を示す簡略化した側面断面図である。
【0014】
図1に示すように、空気調和機1は、本体2の前面上部に吹出口3を有し、本体2の上面にスイッチ・ボタン等を含む操作部(図示しない)を有し、後述する仕切部の駆動制御、その他空気調和機の各種運転(加湿運転、空気清浄運転、自動運転など)を制御する制御部(図示しない)を有する。本体2の背面には、略凹状のフィルタ収納部11が形成される。フィルタ収納部11のフィルタ開口部11aには、背面パネル5が着脱可能に取り付けられる。背面パネル5には、吸込口4を有する。吸込口4は、例えば格子状の仕切板で形成される開口からなる。
【0015】
図2に示すように、空気調和機1は、空気を吸込口4から取り込み、吹出口3から送出する送風機21と、空気を浄化するフィルタ12と、フィルタ12で浄化した空気が取り込まれる第1の室16および第2の室17と、第2の室17に設けられ、第2の室17に取り込まれる空気を加湿する加湿フィルタ32と、第1の室16と第2の室17とを連通する開口部15-1を開閉し、第1の室16から第2の室17へ取り込まれる空気の風量を調節する仕切部18と、を備え、第1の室16から第2の室17に取り込まれた空気又は/及び(第1の室16を介さず、吸込口4から)第2の室17に取り込まれた空気が吹出口3から送出される。
【0016】
フィルタ収納部11には、背面パネル5側から順に、プレフィルタ、脱臭フィルタ、集塵フィルタ等のフィルタ12を重ね合わして収納する。
【0017】
プレフィルタは、空気中の塵埃(粗塵)を捕集する。プレフィルタは、例えばポリプロピレン等のシート状のメッシュにより形成される。
【0018】
脱臭フィルタは、空気中の臭気成分を吸着して空気を脱臭する。
【0019】
集塵フィルタは、空気中の塵埃、具体的には、微細な塵埃や所定粒径(例えば、3μm)よりも小さい粒径のPM2.5等の微小粒子を捕集する。集塵フィルタは、例えばHEPAフィルタからなり、濾材(図示しない)を覆うように枠材(図示しない)がホットメルトにより溶着される。
【0020】
本体2は、フィルタ収納部11の奥側を第1の隔壁13と第2の隔壁14とで仕切り、さらに、第1の隔壁13と第2の隔壁14の間の空間を上下に区画して、上段側の第1の室16と下段側の第2の室17を設けている。かかる第1の室16が第2の室17の上方に設けられるので、狭い本体2内のスペースを有効に利用することが可能となる。
【0021】
第1の隔壁13には、第1の室16に連通する第1の連通孔13-1および第2の室17に連通する第2の連通孔13-2がそれぞれ形成される。また、第2の連通孔13-2は、後述する加湿フィルタ32の略円形状の面に対向しており、第1の隔壁13の下部に形成される。
【0022】
第1の室16と第2の室17との間には、区画する区画壁15を設けている。区画壁15には、第1の室16と第2の室17とを連通する開口部15-1が形成される。さらに、開口部15-1は、開閉自在の略板状の仕切部18で覆われている。具体的には開口部15-1は、第1の室16と第2の室17との間において、第2の室17内の加湿フィルタ32よりも吹出口3側を連通する。かかる構成とすることで、第1の室16から第2の室17へ空気を送気することができると共に、この空気が第2の室内の加湿フィルタを通過することなく、第2の室17内を経て、吹出口3に吹き出される。なお、開口部15-1は、複数設けてもよい。
【0023】
仕切部18は、両端部を区画壁15に軸支され、駆動モータ(図示しない)により略扇状に多段階に角度を変えるように駆動制御される。このように仕切部18は、制御部による駆動制御により区画壁15の開口部15-1を開口し、または閉じることができる。仕切部18の角度θは、例えば0°~90°の範囲とすることができる。なお、仕切部の構成は、スライド方式或いはシャッタ式で構成してもよい。
【0024】
具体的には、
図2に示すように、仕切部18の角度θを0°とした場合には開口部15-1が仕切部18で閉じられるため、第1の室16から第2の室17への空気の流入量は無くなる。仕切部18の角度θを15°とした場合には、開口部15-1が開口するため、第1の室16から第2の室17への空気の流入量は少量となる。
図3に示すように、仕切部18の角度θを90°とした場合には開口部15-1が開口するため、第1の室16から第2の室17への空気の流入量は最大量となる。
【0025】
図2及び
図3に示すように、開口部15-1は、第2の隔壁14側に近接する区画壁15に形成される。開口部15-1の直下には、第2の室17の後半部17-2を臨むと共に、第2の室17の前半部17-1に位置する加湿フィルタ32の後半部のフィルタ裏面32-3を臨むことができる。開口部15-1の開口位置は、区画壁15の奥行方向において、加湿フィルタ32の後半部のフィルタ裏面32-3を臨むことができように区画壁15に設けられる。
【0026】
本体2の第2の室17の奥側には、送風機21を配置する送風機収納部20が形成される。すなわち、送風機21が第2の室よりも吹出口3側に設けられる。かかる構成によれば、第2の室17に集められた加湿された空気及び/又は浄化された空気を短い距離で吹出口3まで送気することができる。第2の隔壁14の下部には、第2の室17と送風機収納部20とを連通するための第3の連通孔14-1が形成される。送風機収納部20は、上方の吹出口3へ連通する風路22に接続している。
【0027】
送風機21は、送風機モータにより駆動されるシロッコファン等の遠心ファンにより形成され、軸方向に空気を吸込んで周方向に空気を送り出す。送風機21は、ファンの回転中心が第2の室17に向くように配置されている。なお、送風機21の出力(回転数)を大きくすることにより風量を大きくできる一方で、送風機21の出力を小さくすることにより風量を小さくできる。
【0028】
イオン発生装置23は、高圧電圧の印加によりイオンを発生する。イオン発生装置23は、本体2内の風路22の終端部に設けることで、イオン発生装置23により生成されるイオン、送風機21の気流にのって、吹出口3からそれぞれ外部に吹き出される。なお、上記イオン発生部に限定されるものではなく、例えば電子、オゾン、ラジカル、活性種など、放電生成物を、放電により気体から生成する任意の放電部に適用することができる。
【0029】
本体2の吹出口3の近傍には、表示部(図示しない)が設けられる。表示部は、例えば、空気中の汚れ度、温度、湿度等を表示するものである。また、空気中の汚れ度、温度、湿度等を検知する各種センサが設けられており、制御部(図示しない)は各種センサの検知信号に基づいて各種運転時の制御を行う。例えば、加湿運転や自動運転において制御部は湿度センサからの検知信号に基づいて適湿か否かを判断して加湿部30や送風機21等を制御する。
【0030】
第2の室17には、フィルタ12で浄化した空気を加湿するための加湿部30を設けている。加湿部30は、送風機21からの吸引力により、通過する空気を加湿するためのものである。加湿部30は、水を溜めるトレイ31と、トレイ31内の水に下部を浸漬して配置される略円盤状の加湿フィルタ32と、加湿フィルタ32の周囲の一部を覆うカバー体33とを備えている。
【0031】
加湿部30では、回転する加湿フィルタ32がトレイ内の水に浸漬されて、加湿フィルタ32に第1の隔壁13の第2の連通孔13-2を通過した空気が吹き付けられることで、加湿フィルタ32に含まれた水が気化させて空気を加湿している。また、加湿フィルタ32の下方の一部分には、トレイ31内の水に接しない切り欠き部(図示しない)が設けられている。後述する非加湿運転時には、加湿部30の加湿フィルタ32の回転を停止する。かかる加湿フィルタ32の切り欠き部を下方のトレイ31内に位置することにより、加湿フィルタ32がトレイ31内の水を吸い上げなくなり、非加湿状態となる。
【0032】
トレイ31は、上面が開放した略箱型の水受け部31-1と、貯水タンク(図示しない)を載置する載置部(図示しない)を有している。トレイ31は、本体2の側部に形成された側部開口(図示しない)から出し入れ自在な構造としている。
【0033】
載置部には、貯水タンク側の止水弁を開放する突起(図示しない)が形成され、貯水タンクを装着することでトレイ内に水を導く構造となっている。
【0034】
加湿フィルタ32は、吸水性のある所定厚みの不織布を蛇腹状に折り曲げて形成している。この加湿フィルタ32は、枠体32-1に保持されてトレイ31の水受け部31-1に着脱自在に収納される。
【0035】
なお、加湿フィルタ32は、例えば揚水用水車のように、水受け部31-1に貯められた水を枠体32-1に設ける複数のバケツで巻き上げて、同フィルタ面に掛ける構造であってもよく、その他、水受け部31-1の水をポンプで汲み上げて上方から加湿フィルタ32に強制的に吹き付ける方式であってもよい。
【0036】
カバー体(図示しない)は、水受け部31-1と載置部との間に立設しており、カバー体は、加湿フィルタ32の表面32-2の周縁の左半部を覆う構成としている。このように加湿フィルタ32の周縁は、カバー体と第1の隔壁13の下半部に設けた湾曲部(図示しない)で覆われるため、加湿運転時には加湿フィルタ32のフィルタ面の表面32-2から空気が通気することができる。
【0037】
かかる構成とすることで、加湿フィルタ32を通過する空気を増やすことができる一方で、加湿フィルタ32の正面側の周縁から漏れる加湿されていない空気が第2の室17の後半部17-2に流れ込みを減少できる。
【0038】
本体2の内部には、背面パネル5の吸込口4から空気が流通し、上記第1の室16又は第2の室17や送風機収納部20を経由して、吹出口3に向けて、フィルタ12により浄化された空気及び/又は加湿された空気が送気される送風路が設けられる。
【0039】
具体的には、送風路は、
図3に示すように、第1の風路と第2の風路の2つの風路が本体2に形成されている。以下、第1の風路に送気する空気を符号W1とし、第2の風路に送気する空気を符号W2と示す。第1の風路は、第1の室16の仕切部18を開くことで、外部の空気が背面パネル5の吸込口4から吸い込まれて、フィルタ12、第1の隔壁13の第1の連通孔13-1を通過して、第1の室16に導かれ、区画壁15の開口部15-1から、第2の室17の後半部17-2を通過して、さらに第2の隔壁14の第3の連通孔14-1を通過して、送風機収納部20内の送風機21に流れるまでの送風路である。
【0040】
第2の風路は、空気が背面パネル5の吸込口4から吸い込まれて、フィルタ12、第1の隔壁13の第2の連通孔13-2を通過して、第2の室17の前半部17-1から、加湿フィルタ32を通過して、第2の室17の後半部を通過して、第2の隔壁14の第3の連通孔14-1を通過して、送風機収納部20内の送風機21に流れるまでの送風路である。上記第1の風路と第2の風路を通過する各空気W1,W2は、第2の室17を通過して、吹出口3から吹き出される。
【0041】
空気調和機の空気清浄運転時と加湿運転時における仕切部の動作および第1の風路および第2の風路を流れる空気について説明する。
【0042】
図3に示すように、空気調和機の非加湿運転の空気清浄運転時には、加湿フィルタ32を通過する空気量を減らすために、第1の室16の仕切部18を駆動して、区画壁15の開口部15-1を開くことにより、第2の風路の他に第1の風路が形成される。
【0043】
第1の風路を通る空気W1は、仕切部18を開くことで開口部15-1が開口することにより、第1の室16から第2の室17内の加湿フィルタ32の後半部の裏面32-3側に案内される。さらに加湿フィルタ32を通過する第2の風路の空気W2と合流して、本体2の奥の送風機収納部20に流入して、風路22を経由して吹出口3から吹き出される。具体的には、第1の室16から第2の室17の後半部17-2に流入する空気が加湿フィルタ32を通過しないため、第2の室17の前半部17-1に位置する加湿フィルタ32を清潔に保つことができる。なお、非加湿運転時には、加湿部30の加湿フィルタ32の回転を停止して、加湿フィルタ32の切り欠き部(図示しない)を下方のトレイ31内に位置している。加湿フィルタ32の切り欠き部は、トレイ31内の水を吸えないため、加湿フィルタ32が非加湿状態となる。かかる乾燥した加湿フィルタ32には、外部の空気の一部が加湿フィルタ32の表面32-2から通気して、非加湿状態の空気が第2の室17の後半部17-2に送出されている。
【0044】
かかる構成によれば、加湿フィルタ32を通気するには圧力が高くなるため、外部の空気の大半が第1の風路を通過することができる。また、外部の空気の一部が第2の風路を通過するものの少ない風量となるため、加湿フィルタ32を長期にわたり清潔に保つことができる。
【0045】
図2に示すように、空気調和機の加湿運転時には、第1の室16の仕切部18を駆動して、区画壁15の開口部15-1を閉じることにより、本体2に第2の風路のみが形成される。さらに、加湿部30の加湿フィルタ32が回転すると、加湿フィルタ32の切り欠き部を除く部分がトレイ31内の水を吸い上げるため、この加湿フィルタ32の表面側から外部の空気が通過することにより加湿される。
【0046】
具体的には第2の風路を通る空気W2は、第2の室17内の加湿フィルタ32を通過することで加湿されて、第2の室17の後半部17-2に流入して、第2の隔壁14の下部の第3の連通孔14-1を通過して、送風機収納部20に流入して、風路22を経由して吹出口3から吹き出される。
【0047】
かかる構成によれば、仕切部1を駆動制御して開口部15-1を閉じることで、外部の空気が第2の室17に形成される第2の風路のみを通過することができる。具体的には、フィルタ12を通過した空気は、全て第2の室17に流入して、加湿フィルタ32を通過して、全て加湿された空気として、第2の室17の後半部17-2に送られて、さらに、送風機収納部20に流入して、風路22を経由して吹出口3から吹き出される。フィルタ12を通過した全ての空気が加湿されるため十分な加湿量を得ることができる。
【0048】
上記開口部15-1は、加湿フィルタ32よりも吹出口3側に位置し、かつ、第1の室16からの空気が第2の室17に取り込まれるように、第1の室16と第2の室17を区画する区画壁15に設けられるので、加湿運転から空気清浄運転に切り替えた際に、第1の風路を通過する空気W1と第2の風路を通過する空気W2とが第2の室17の後半部17-2で合流して、第2の室17内をすばやく乾燥することができる。
【0049】
また、加湿フィルタ32の裏側に近接して、区画壁15の開口部15-1を設けているため、第1の風路を通過する空気W1は、第1の室16の開口部15-1から下方にある第2の室17の加湿フィルタ32の裏面32-3に向かって下降気流として流入して、第2の室17の後半部17-2から第2の隔壁14の第3の連通孔14-1を通過して、さらに送風機収納部20に流入して風路22を経由して本体2の吹出口3から吹き出される。
【0050】
仕切部18を駆動制御して上記開口部15-1を閉じることで、第1の室16から第2の室17に形成される第1の風路を簡単に閉鎖することができる。また、開口部15-1は仕切部18で密閉可能な構成とすることで、不用意に第1の風路が形成されないため、開口部15-1を通過する空気の流入音を防ぐことができる。なお、加湿運転時には、開口部を閉じるようにしたが、風量を得るために、仕切部を動かして、第1の室から第2の室に取り込まれる空気の量を調整してもよい。
【0051】
また、加湿フィルタを通過しない第1の風路を設けることにより、送風機の出力が一定な場合であっても空気清浄運転時の風量を増やすことができる。
【0052】
また、空気清浄運転時において制御部は、仕切部18が開口部15-1を開放するように駆動モータを駆動制御し、加湿運転時において制御部は、仕切部18が開口部15-1を閉鎖するように駆動モータを駆動制御することにより、空気清浄運転時または加湿運転時の仕切部の切り替えを簡単に行うことができる。
【0053】
なお、上述した加湿運転において、仕切部を駆動制御して開口部を閉じるようにしたが、加湿運転時においても風量を得るために、仕切部を駆動して開口部を開くようにしてもよい。かかる構成とすることで、送風機の出力が一定であっても風量を増やすことができる。
【0054】
なお、空気調和機は、第1の室から第2の室に取り込まれた空気のみが吹出口から送出されるようにしてもよい。すなわち、第2の室の前半部の加湿部に流入する空気を止めるためのシャッタ機構を備えて、シャッタ機構は、第1の隔壁と加湿フィルタとの間に設けて、シャッタ機構の開閉制御により加湿部へ空気を流入させたり、または空気の流入を停止することができる。
【0055】
上述した空気浄化運転や加湿運転の他に、自動運転を選択した場合において、室内が適湿を満たさないときは加湿運転となる。加湿運転時には、仕切部を駆動制御して開口部を閉じ、加湿部の加湿フィルタを回転し、加湿フィルタがトレイの水を吸い上げて、加湿フィルタを外部の空気が通気するようにしている。また、加湿運転時には、風量を得るために、開口部を一部開くようにしてもよい。さらに、室内が適湿を満たすときは空気清浄運転(非加湿運転)となる。非加湿運転時には、仕切部を駆動制御して開口部を開き、加湿部の加湿フィルタの回転を停止し、加湿フィルタの切り欠き部が下方に位置して、トレイの水を吸い上げないようにしている。
【0056】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0057】
1 空気調和機
2 本体
3 吹出口
4 吸込口
5 背面パネル
11 フィルタ収納部
11a フィルタ開口部
12 フィルタ
13 第1の隔壁
13-1 第1の連通孔
13-2 第2の連通孔
14 第2の隔壁
14-1 第3の連通孔
15 区画壁
15-1 開口部
16 第1の室
17 第2の室
18 仕切部
20 送風機収納部
21 送風機
22 風路
23 イオン発生装置
30 加湿部
31 トレイ
31-1 水受け部
32 加湿フィルタ
32-1 枠体