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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-28
(45)【発行日】2023-04-05
(54)【発明の名称】光学試験用装置
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/497 20060101AFI20230329BHJP
   G01S 7/486 20200101ALI20230329BHJP
   G01J 11/00 20060101ALI20230329BHJP
   G02F 1/03 20060101ALI20230329BHJP
   G02F 1/11 20060101ALI20230329BHJP
【FI】
G01S7/497
G01S7/486
G01J11/00
G02F1/03 502
G02F1/11 502
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019189595
(22)【出願日】2019-10-16
(65)【公開番号】P2021063762
(43)【公開日】2021-04-22
【審査請求日】2022-04-12
(73)【特許権者】
【識別番号】390005175
【氏名又は名称】株式会社アドバンテスト
(74)【代理人】
【識別番号】100097490
【弁理士】
【氏名又は名称】細田 益稔
(74)【代理人】
【識別番号】100113354
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 総
(72)【発明者】
【氏名】菅原 聡洋
(72)【発明者】
【氏名】桜井 孝夫
【審査官】藤田 都志行
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-022833(JP,A)
【文献】米国特許第5281813(US,A)
【文献】特開2015-155855(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0019154(US,A1)
【文献】特開2020-183914(JP,A)
【文献】特開2021-063736(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/48- 7/51
G01S 17/00-17/95
G01C 3/00- 3/32
G01B 11/00-11/30
G01J 11/00
G02F 1/03
G02F 1/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源からの入射光パルスを入射対象に与えて、該入射光パルスが該入射対象により反射された反射光パルスを取得する光学測定器具を試験する際に使用する光学試験用装置であって、
前記光学測定器具に与える試験用光パルスを生成する試験用光源と、
前記試験用光パルスの立ち上がり時間を制御する立ち上がり時間制御部と、
を備えた光学試験用装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光学試験用装置であって、
前記光学測定器具がToFセンサである、
光学試験用装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の光学試験用装置であって、
前記立ち上がり時間制御部により制御された前記立ち上がり時間が、前記反射光パルスの立ち上がり時間に相当する、
光学試験用装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか一項に記載の光学試験用装置であって、
前記立ち上がり時間制御部が音響光学結晶である、
光学試験用装置。
【請求項5】
請求項4に記載の光学試験用装置であって、
制御用電気信号を出力する制御用電気信号出力部をさらに備え、
前記立ち上がり時間制御部が、前記制御用電気信号に応じて、前記試験用光パルスの立ち上がり時間を制御する、
光学試験用装置。
【請求項6】
請求項5に記載の光学試験用装置であって、
前記制御用電気信号出力部が、
所定の周波数のローカル電気信号を出力するローカル電気信号出力部と、
前記試験用光源の出力する前記試験用光パルスよりも立ち上がり時間が長い電気パルスを出力する電気パルス出力部と、
前記ローカル電気信号と前記電気パルスとを乗ずる乗算部と、
を有する光学試験用装置。
【請求項7】
請求項5に記載の光学試験用装置であって、
前記制御用電気信号を受けて、超音波に変換する圧電振動子を備え、
前記立ち上がり時間制御部が、前記超音波を受けて、前記試験用光パルスの立ち上がり時間を制御する、
光学試験用装置。
【請求項8】
請求項1ないし3のいずれか一項に記載の光学試験用装置であって、
前記立ち上がり時間制御部が、
電気光学結晶と、
前記電気光学結晶と前記試験用光源との間に配置され、その偏波透過軸が、前記電気光学結晶の電界印加方向と45度傾いている第一偏光子と、
前記電気光学結晶の出力を受け、その偏波透過軸が、前記電気光学結晶の電界印加方向と45度傾いている第二偏光子と、
を有し、
前記第一偏光子の偏波透過軸と、前記第二偏光子の偏波透過軸とが直交する、
光学試験用装置。
【請求項9】
請求項8に記載の光学試験用装置であって、
制御用電気信号を出力する制御用電気信号出力部をさらに備え、
前記立ち上がり時間制御部が、前記制御用電気信号に応じて、前記試験用光パルスの立ち上がり時間を制御する、
光学試験用装置。
【請求項10】
請求項9に記載の光学試験用装置であって、
前記制御用電気信号出力部が、
前記試験用光源の出力する前記試験用光パルスよりも立ち上がり時間が長い電気パルスを出力する電気パルス出力部を有する光学試験用装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反射光を取得する器具の試験に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、入射光を距離測定の対象に与えて、反射光を取得する光学測定器具が知られている。この光学測定器具と、距離測定の対象との距離が測定される(例えば、特許文献1、2および3を参照)。なお、入射する光の位相を変調することも知られている(例えば、特許文献4の要約を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-15729号公報
【文献】特開2006-126168号公報
【文献】特開2000-275340号公報
【文献】特開2019-105577号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の従来技術のような光学測定器具は光パルスを距離測定の対象に与えるが、光パルスの立ち上がり時間は色々な値が考えられる。よって、光学測定器具が受ける光パルスの立ち上がり時間の許容範囲が分かることが好ましい。
【0005】
そこで、本発明は、光学測定器具が受ける光パルスの立ち上がり時間の許容範囲を測定することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかる光学試験用装置は、光源からの入射光パルスを入射対象に与えて、該入射光パルスが該入射対象により反射された反射光パルスを取得する光学測定器具を試験する際に使用する光学試験用装置であって、前記光学測定器具に与える試験用光パルスを生成する試験用光源と、前記試験用光パルスの立ち上がり時間を制御する立ち上がり時間制御部とを備えるように構成される。
【0007】
上記のように構成された光学試験用装置は、光源からの入射光パルスを入射対象に与えて、該入射光パルスが該入射対象により反射された反射光パルスを取得する光学測定器具を試験する際に使用する装置である。試験用光源が、前記光学測定器具に与える試験用光パルスを生成する。立ち上がり時間制御部が、前記試験用光パルスの立ち上がり時間を制御する。
【0008】
なお、本発明にかかる光学試験用装置は、前記光学測定器具がToFセンサであるようにしてもよい。
【0009】
なお、本発明にかかる光学試験用装置は、前記立ち上がり時間制御部により制御された前記立ち上がり時間が、前記反射光パルスの立ち上がり時間に相当するようにしてもよい。
【0010】
なお、本発明にかかる光学試験用装置は、前記立ち上がり時間制御部が音響光学結晶であるようにしてもよい。
【0011】
なお、本発明にかかる光学試験用装置は、制御用電気信号を出力する制御用電気信号出力部をさらに備え、前記立ち上がり時間制御部が、前記制御用電気信号に応じて、前記試験用光パルスの立ち上がり時間を制御するようにしてもよい。
【0012】
なお、本発明にかかる光学試験用装置は、前記制御用電気信号出力部が、所定の周波数のローカル電気信号を出力するローカル電気信号出力部と、前記試験用光源の出力する前記試験用光パルスよりも立ち上がり時間が長い電気パルスを出力する電気パルス出力部と、前記ローカル電気信号と前記電気パルスとを乗ずる乗算部とを有するようにしてもよい。
【0013】
なお、本発明にかかる光学試験用装置は、前記制御用電気信号を受けて、超音波に変換する圧電振動子を備え、前記立ち上がり時間制御部が、前記超音波を受けて、前記試験用光パルスの立ち上がり時間を制御するようにしてもよい。
【0014】
なお、本発明にかかる光学試験用装置は、前記立ち上がり時間制御部が、電気光学結晶と、前記電気光学結晶と前記試験用光源との間に配置され、その偏波透過軸が、前記電気光学結晶の電界印加方向と45度傾いている第一偏光子と、前記電気光学結晶の出力を受け、その偏波透過軸が、前記電気光学結晶の電界印加方向と45度傾いている第二偏光子とを有し、前記第一偏光子の偏波透過軸と、前記第二偏光子の偏波透過軸とが直交するようにしてもよい。
【0015】
なお、本発明にかかる光学試験用装置は、制御用電気信号を出力する制御用電気信号出力部をさらに備え、前記立ち上がり時間制御部が、前記制御用電気信号に応じて、前記試験用光パルスの立ち上がり時間を制御するようにしてもよい。
【0016】
なお、本発明にかかる光学試験用装置は、前記制御用電気信号出力部が、前記試験用光源の出力する前記試験用光パルスよりも立ち上がり時間が長い電気パルスを出力する電気パルス出力部を有するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】光学測定器具2の実際の使用態様を示す図(図1(a))、光学測定器具2の試験の際の使用態様を示す図(図1(b))である。
図2】本発明の実施形態にかかる光学試験用装置1の構成を示す機能ブロック図である。
図3】ローカル信号源16aの出力するローカル電気信号(図3(a))、変調信号源16bの出力する電気パルス(図3(b))、ミキサ16cの出力(図3(c))を示すタイミングチャートである。
図4】変形例にかかる光学測定器具2の実際の使用態様を示す図(図4(a))、光学測定器具2の試験の際の使用態様を示す図(図4(b))である。
図5】本発明の実施形態の変形例にかかる光学試験用装置1の構成を示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。
【0019】
図1は、光学測定器具2の実際の使用態様を示す図(図1(a))、光学測定器具2の試験の際の使用態様を示す図(図1(b))である。
【0020】
図1(a)を参照して、実際の使用態様において、光学測定器具2は、光源2a(図2参照)からの入射光パルスを入射対象4に与える。入射光パルスは入射対象4により反射されて反射光パルスとなり、光学測定器具2の受光部2b(図2参照)により取得される。光学測定器具2は、例えば、LiDARモジュールまたはToFカメラであり、光学測定器具2と入射対象4との間の距離を測定するために使用される。
【0021】
なお、入射光パルスの立ち上がり時間をt1とすると、反射光パルスの立ち上がり時間もまたt1である。入射光パルスの立ち上がり時間t1は、光源2aによって、色々な値をとる。受光部2bには、反射光パルスの立ち上がり時間t1を許容できる許容範囲がある。反射光パルスの立ち上がり時間t1が許容範囲内であれば、受光部2bが正常に動作する。反射光パルスの立ち上がり時間t1が許容範囲外であれば、受光部2bが正常に動作しない。
【0022】
図1(b)を参照して、光学試験用装置1が、光学測定器具2を試験する際に使用される。試験は、例えば、光学測定器具2の受光部2bが正常に動作するか否かの試験を行うものである。光学試験用装置1は、光学測定器具2に試験用光パルスを与えるが、試験用光パルスの立ち上がり時間もまたt1である。すなわち、試験用光パルスの立ち上がり時間t1が、反射光パルスの立ち上がり時間t1に相当する。なお、後述するように、試験用光パルスの立ち上がり時間t1は、音響光学結晶(立ち上がり時間制御部)18(図2参照)により制御される。
【0023】
図4は、変形例にかかる光学測定器具2の実際の使用態様を示す図(図4(a))、光学測定器具2の試験の際の使用態様を示す図(図4(b))である。図1においては、光学測定器具2が光源2aおよび受光部2bを有するように図示しているが、図4に示すように光学測定器具2は受光部2bのみを有し、光源2aは光学測定器具2の外部に配置するようにしてもよい。光学測定器具2は、例えば、ToFセンサである。本発明のいずれの実施形態においても、図1に示す光学測定器具2も、図4に示す光学測定器具2も使用可能である。
【0024】
図2は、本発明の実施形態にかかる光学試験用装置1の構成を示す機能ブロック図である。図2を参照して、本発明の実施形態にかかる光学試験用装置1は、試験用光源12、レンズ14、制御用電気信号出力部16、圧電振動子17、音響光学結晶(立ち上がり時間制御部)18を備える。
【0025】
試験用光源12は、光学測定器具2に与える試験用光パルスを生成し、レンズ14を介して、音響光学結晶18に与える。なお、音響光学結晶18に与えられる試験用光パルスの立ち上がり時間はt1に比べて極めて小さく無視できるような値である。
【0026】
レンズ14は、試験用光源12の生成した試験用光パルスを受け、試験用光パルスのビーム径を絞って、音響光学結晶18に与える。
【0027】
音響光学結晶(立ち上がり時間制御部)18は、試験用光源12から与えられた試験用光パルスの立ち上がり時間を制御してt1にし、光学測定器具2に向けて出力する。なお、音響光学結晶18は、制御用電気信号出力部16の出力する制御用電気信号(後述するように、包絡線の立ち上がりが遅くなっている)に応じて、試験用光パルスの立ち上がり時間を制御する。具体的には、圧電振動子17が制御用電気信号を受けて超音波に変換し、その超音波を音響光学結晶18が受けて、回折格子を形成する。この回折格子を、試験用光源12の生成した試験用光パルスが通過することで、試験用光パルス(回折格子を通過した1次光である)の立ち上がり時間が音響光学結晶18により制御されt1となる。
【0028】
制御用電気信号出力部16は、ローカル信号源(ローカル電気信号出力部)16a、変調信号源(電気パルス出力部)16b、ミキサ(乗算部)16c、アンプ16dを有する。
【0029】
ローカル信号源(ローカル電気信号出力部)16aは、所定の周波数(例えば、110MHz)のローカル電気信号を出力する。
【0030】
変調信号源(電気パルス出力部)16bは、電気パルスを出力する。ただし、この電気パルスの立ち上がり時間t0は、試験用光源12の出力する試験用光パルスの立ち上がり時間(ほぼ0)よりも長い。電気パルスの立ち上がり時間t0は可変であり、電気パルスの立ち上がり時間t0を変えることにより、試験用光パルスの立ち上がり時間を制御してt1とすることができる。なお、試験用光源12と変調信号源16bとは同期している。
【0031】
ミキサ(乗算部)16cは、ローカル信号源16aの出力するローカル電気信号と、変調信号源16bの出力する電気パルスとを乗ずる。これにより、ローカル電気信号の包絡線の立ち上がりが遅くなる。
【0032】
アンプ16dは、ミキサ16cの出力を受けて増幅し、制御用電気信号として出力する。
【0033】
図3は、ローカル信号源16aの出力するローカル電気信号(図3(a))、変調信号源16bの出力する電気パルス(図3(b))、ミキサ16cの出力(図3(c))を示すタイミングチャートである。図3(a)は、ローカル電気信号(実線)およびその包絡線(点線)を図示している。ローカル電気信号の包絡線は一定の値をとり、立ち上がり時間というものはない。ローカル電気信号に、電気パルス(立ち上がり時間t0)(図3(b)参照)を乗じたものが、ミキサ16cの出力(図3(c)参照)となる。ミキサ16cの出力(実線)は、その包絡線(点線)が一定の値をとるまでに時間がかかる。ミキサ16cの出力の開始から、その包絡線が一定の値をとるまでの時間をΔtとすると、Δtは無視できないほど大きい。
【0034】
圧電振動子17は、制御用電気信号を受けて、超音波に変換し、音響光学結晶18に与える。なお、圧電振動子17は、音響光学結晶18に接着されていてもよい。また、Δtが無視できないほど大きいため、超音波の出力の開始から、その強度が一定の値に達するまでには、無視できないほどの時間がかかる。
【0035】
次に、本発明の実施形態の動作を説明する。
【0036】
試験用光源12が生成した試験用光パルス(立ち上がり時間は、ほぼ0)は、レンズ14を介して、音響光学結晶18に与えられる。
【0037】
ローカル信号源16aの出力するローカル電気信号(図3(a)参照)と、変調信号源16bの出力する電気パルス(図3(b)参照)とが、ミキサ16cにより乗じられ、ローカル電気信号に比べて包絡線の立ち上がりが遅くなった信号(立ち上がり時間Δt)がミキサ16cから出力される(図3(c)参照)。ミキサ16cの出力はアンプ16dにより増幅されて、制御用電気信号として、圧電振動子17に与えられる。制御用電気信号は、圧電振動子17により、超音波に変換されて、音響光学結晶18に与えられる。この超音波の出力の開始から、その強度が一定の値に達するまでにも時間がかかる。
【0038】
音響光学結晶18は、超音波を受けて、回折格子を形成する。この回折格子を、試験用光源12の生成した試験用光パルスが通過する。超音波の強度が出力開始から一定の値に達するまでの時間遅れに応じて、試験用光パルス(1次光)の立ち上がり時間も遅れてt1となる。t0を色々と変えることにより、t1を色々な値に変え、そのときの受光部2bの動作を検証することにより、光学測定器具2が受ける光パルスの立ち上がり時間の許容範囲を測定することができる。
【0039】
本発明の実施形態によれば、電気パルス(図3(b)参照)の立ち上がり時間t0を色々と変化させることにより、試験用光パルスの立ち上がり時間t1を制御して色々な値にすることができる。その際に受光部2bが正常に動作するか否かを試験することで、光学測定器具2が受ける光パルスの立ち上がり時間t1の許容範囲を測定することができる。
【0040】
なお、本発明の実施形態には、以下に示すような変形例が考えられる。
【0041】
図5は、本発明の実施形態の変形例にかかる光学試験用装置1の構成を示す機能ブロック図である。図5を参照して、本発明の実施形態の変形例にかかる光学試験用装置1は、試験用光源12、レンズ14、制御用電気信号出力部16、電気光学結晶19、第一偏光子52、第二偏光子54を備える。以下、本発明の実施形態と同様な部分は、同一の符号を付して説明を省略する。
【0042】
試験用光源12およびレンズ14は、実施形態と同様である。なお、試験用光源12と、後述する電気パルス出力部16eとは同期している。
【0043】
電気光学結晶19、第一偏光子52および第二偏光子54は、立ち上がり時間制御部を構成する。すなわち、立ち上がり時間制御部は、電気光学結晶19、第一偏光子52および第二偏光子54を有する。
【0044】
電気光学結晶19は、ポッケルス効果を持つ例えば、LiNbO3,LiTaO3などの結晶である。第一偏光子52は、電気光学結晶19と試験用光源12との間に配置され、その偏波透過軸が、電気光学結晶19の電界印加方向と45度傾いている。第二偏光子54は、電気光学結晶19の出力を受け、その偏波透過軸が、電気光学結晶19の電界印加方向と45度傾いている。なお、第一偏光子52の偏波透過軸と、第二偏光子54の偏波透過軸とが直交する。
【0045】
制御用電気信号出力部16は、制御用電気信号を出力する。立ち上がり時間制御部が、制御用電気信号に応じて、試験用光パルスの立ち上がり時間を制御する。
【0046】
制御用電気信号出力部16は、電気パルス出力部16e、アンプ16dを有する。電気パルス出力部16eは、変調信号源16bと同じものであり、試験用光源12の出力する試験用光パルスよりも立ち上がり時間が長い電気パルスを出力するものであるが、その出力をアンプ16dに与えることが、実施形態と異なる。
【0047】
アンプ16dは、電気パルス出力部16eの出力を受けて増幅し、制御用電気信号として出力する。
【0048】
試験用光パルスが、第一偏光子52により、常光および異常光の二つの偏波に分かれ、電気光学結晶19の中を伝搬する。電気光学結晶19に、制御用電気信号を与えて、電界を印加することで、両偏波間の位相差が変調され、楕円偏波の状態が変化する。電気光学結晶19を透過した光は、第二偏光子54を透過する。第二偏光子54を透過した光の光強度は、実施形態と同様に、立ち上がり時間t1のパルスとなる。このような変形例によっても、実施形態と同様の効果を奏する。
【符号の説明】
【0049】
2 光学測定器具
2a 光源
2b 受光部
4 入射対象
1 光学試験用装置
12 試験用光源
14 レンズ
16 制御用電気信号出力部
16a ローカル信号源(ローカル電気信号出力部)
16b 変調信号源(電気パルス出力部)
16c ミキサ(乗算部)
16d アンプ
16e 電気パルス出力部
17 圧電振動子
18 音響光学結晶(立ち上がり時間制御部)
19 電気光学結晶
52 第一偏光子
54 第二偏光子
t0、t1 立ち上がり時間
Δt ミキサ16cの出力の包絡線が一定の値をとるまでの時間
図1
図2
図3
図4
図5